(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157842
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/26 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D41/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072449
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084EA02
3E084EB02
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
3E084LE07
3E084LF01
(57)【要約】
【課題】注出ノズルの向きを気にすることなく内容液を注出させることができる注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップを提案する。
【解決手段】注出キャップ2は、筒状をなし内側に内部通路Tを有していて、内部通路Tの一端部が収容空間S1に向けて開口し内部通路Tの他端部が外界に向けて開口する注出ノズル4fと、注出ノズル4fの内側に設けられ、内部通路Tを複数の通路部分に区画する区画壁4gとを備え、容器10を傾倒姿勢に変位させた状態において、上方に位置する一の通路部分を通して外界からの空気が収容空間S1に導入され、下方に位置する他の通路部分を通して収容空間S1の内容液が外界に向けて注出される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液が収容される収容空間を有する容器に装着される注出キャップであって、
筒状をなし内側に内部通路を有していて、該内部通路の一端部が前記収容空間に向けて開口し該内部通路の他端部が外界に向けて開口する注出ノズルと、
前記注出ノズルの内側に設けられ、前記内部通路を複数の通路部分に区画する区画壁と、を備え、
前記容器を傾倒姿勢に変位させた状態において、上方に位置する一の前記通路部分を通して外界からの空気が前記収容空間に導入され、下方に位置する他の前記通路部分を通して該収容空間の内容液が外界に向けて注出される注出キャップ。
【請求項2】
前記注出ノズルは円筒状であって、
前記区画壁は、前記注出ノズルの中心軸線に対して直交する向きに延在する平面に対して正対する向きにおいて十字状である、請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の注出キャップと、該注出キャップに着脱可能に保持され前記注出ノズルから注出させた内容液の計量を行う計量カップと、を備える計量カップ付き注出キャップであって、
前記注出キャップは、前記容器に対して回転不能に保持されるベースと、該ベースに対して閉鎖位置と開放位置との間で回転可能に保持され、前記注出ノズルを有する回転体と、を備え、
前記ベースは、前記収容空間に通じる外側連通口が設けられた外側周壁を有し、
前記回転体は、前記注出ノズルを取り囲んで該注出ノズルとの間に間隙空間を区画するとともに前記外側周壁の内側に位置する内側周壁と、該内側周壁に設けられ、該回転体を前記閉鎖位置に回転させると前記外側周壁で隠覆され該回転体を前記開放位置に回転させると前記外側連通口と連通して前記間隙空間と前記収容空間とを通じさせる内側連通口とを有し、
前記計量カップは、内容液の計量を行う計量空間を内側に有していて、前記注出キャップに保持された状態において少なくとも一部が該間隙空間に収まる周壁を有する計量カップ付き注出キャップ。
【請求項4】
前記回転体は、回転体ねじ部を有し、
前記計量カップは、前記回転体ねじ部に螺合するカップねじ部を有し、
前記回転体ねじ部と前記カップねじ部が螺合する向きに前記計量カップを回転させると、該回転体が前記開放位置へ回転するとともに該計量カップが該回転体に保持され、該回転体ねじ部と該カップねじ部との螺合が解除される向きに該計量カップを回転させると、該回転体が前記閉鎖位置へ回転するとともに該計量カップが該回転体から脱離される請求項3に記載の計量カップ付き注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容液が収容される収容空間を有する容器に装着され、容器を傾倒姿勢に変位させると注出ノズルから内容液が注出される注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内容液として洗剤や柔軟剤を収容する容器に装着され、容器を傾倒姿勢に変位させると注出ノズルから内容液が注出される注出キャップ、及びこのような注出キャップに計量カップが着脱可能に保持される計量カップ付き注出キャップが既知である(例えば特許文献1参照)。この種の注出キャップには、注出ノズルの軸線方向に沿う向きに延在して注出ノズル及び注出ノズルにつながる壁部を切り欠くスリットが設けられている。このスリットは、例えば計量カップで計り取った内容液が多すぎる場合にこれを容器内に戻す際の導入口として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで収容した内容液を注出ノズルから注出させようとして容器を傾倒姿勢に変位させる際、スリットが設けられている部分が下方に位置しているとこのスリットから内容液が溢れるため、スリットが上方に位置することを確認してから容器を傾倒姿勢に変位させる必要がある。すなわち使用者は、内容液を注出させる際に注出ノズルのスリットの位置を確認しなければならないため、操作性の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、注出ノズルの向きを気にすることなく内容液を注出させることができる注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容液が収容される収容空間を有する容器に装着される注出キャップであって、
筒状をなし内側に内部通路を有していて、該内部通路の一端部が前記収容空間に向けて開口し該内部通路の他端部が外界に向けて開口する注出ノズルと、
前記注出ノズルの内側に設けられ、前記内部通路を複数の通路部分に区画する区画壁と、を備え、
前記容器を傾倒姿勢に変位させた状態において、上方に位置する一の前記通路部分を通して外界からの空気が前記収容空間に導入され、下方に位置する他の前記通路部分を通して該収容空間の内容液が外界に向けて注出される注出キャップである。
【0007】
前記注出ノズルは円筒状であって、
前記区画壁は、前記注出ノズルの中心軸線に対して直交する向きに延在する平面に対して正対する向きにおいて十字状であることが好ましい。
【0008】
また本発明は、上述した注出キャップと、該注出キャップに着脱可能に保持され前記注出ノズルから注出させた内容液の計量を行う計量カップと、を備える計量カップ付き注出キャップであって、
前記注出キャップは、前記容器に対して回転不能に保持されるベースと、該ベースに対して閉鎖位置と開放位置との間で回転可能に保持され、前記注出ノズルを有する回転体と、を備え、
前記ベースは、前記収容空間に通じる外側連通口が設けられた外側周壁を有し、
前記回転体は、前記注出ノズルを取り囲んで該注出ノズルとの間に間隙空間を区画するとともに前記外側周壁の内側に位置する内側周壁と、該内側周壁に設けられ、該回転体を前記閉鎖位置に回転させると前記外側周壁で隠覆され該回転体を前記開放位置に回転させると前記外側連通口と連通して前記間隙空間と前記収容空間とを通じさせる内側連通口とを有し、
前記計量カップは、内容液の計量を行う計量空間を内側に有していて、前記注出キャップに保持された状態において少なくとも一部が該間隙空間に収まる周壁を有する計量カップ付き注出キャップでもある。
【0009】
前記回転体は、回転体ねじ部を有し、
前記計量カップは、前記回転体ねじ部に螺合するカップねじ部を有し、
前記回転体ねじ部と前記カップねじ部が螺合する向きに前記計量カップを回転させると、該回転体が前記開放位置へ回転するとともに該計量カップが該回転体に保持され、該回転体ねじ部と該カップねじ部との螺合が解除される向きに該計量カップを回転させると、該回転体が前記閉鎖位置へ回転するとともに該計量カップが該回転体から脱離されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップは、内部通路を複数の通路部分に区画する区画壁が注出ノズルの内側に設けられているため、注出ノズルの向きを気にすることなく容器を傾倒姿勢に変位させても、その際に上方に位置する一の通路部分を通して外界からの空気を収容空間に導入することができ、下方に位置する他の通路部分を通して内容液を外界に向けて注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明に係る計量カップ付き注出キャップの一実施形態につき、これを容器に装着した状態で示す側面視での断面図(
図1BのB-Bに沿う断面図)である。
【
図1B】
図1Aに示すA-Aに沿う断面図(外側周壁よりも外側は省略)である。
【
図2A】
図1Aに示した計量カップ付き注出キャップから計量カップを取り外した状態を示した側面視での断面図である。
【
図2B】
図2Aに示すC-Cに沿う断面図(外側周壁よりも外側は省略)である。
【
図3】容器の内容液を計量カップで計量する状態を示した図である。
【
図4A】
図3で示した状態の後、計量カップを注出キャップに装着した状態を示す側面視での断面図である。
【
図4B】
図4Aに示すD-Dに沿う断面図(外側周壁よりも外側は省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップの一実施形態について説明する。なお本明細書等における上下方向とは、図示した中心軸線O(
図1Aに示した注出ノズル4fの中心軸線)に沿う方向である。また径方向とは、中心軸線Oに対して垂直な面内で中心軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で中心軸線Oを中心として周回する方向である。
【0013】
図1Aに示した計量カップ付き注出キャップ1は、容器10に装着されるものであり、注出キャップ2と計量カップ5を備えている。本実施形態における注出キャップ2は、ベース3と回転体4で構成されている。
【0014】
まず、容器10について説明する。容器10は、有底筒状になる胴体10a(
図1Aでは下部を省略して示している)に円筒状の口部10bを設けたものであり、口部10bの外周面には雄ねじ部10cが設けられている。口部10bの根元には、凸部10dが設けられている。凸部10dは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。なお、凸部10dの機能については後述する。容器10の内側には、内容液が収容される収容空間S1が設けられている。
【0015】
ベース3は、口部10bの外側を取り囲む円筒状のベース外周壁3aを備えている。ベース外周壁3aの内周面には、雄ねじ部10cに螺合する雌ねじ部3bが設けられている。またベース外周壁3aの下端部には、突起部3cが設けられている。突起部3cは、雄ねじ部10cと雌ねじ部3bとを螺合させた際に、間隔をあけて設けられる凸部10dの相互間に嵌まり込んで、容器10に対してベース3を回転不能に保持する機能を有する。
【0016】
またベース外周壁3aの上端部には、径方向内側に向けて延在するベース天壁3dが設けられていて、ベース天壁3dの内縁部には、外側周壁3eが設けられている。本実施形態の外側周壁3eは、上部は円筒状であって、下部は上部よりも小径になる円筒状である。また上部と下部との間に位置する中間部は、上方から下方に向かって縮径するように形作られている。外側周壁3eには、外側周壁3eの下部を径方向に貫通する外側連通口3fが設けられている。外側連通口3fは、
図1Aに示すように収容空間S1に通じている。本実施形態の外側連通口3fは、
図1Bに示すように、中心軸線Oを挟んで対向する配置で合計2個設けられている。また外側周壁3eの下部における径方向内側には、上面が下方に向けて凹んだ凹状部3gが設けられている。そして外側周壁3eの上部には、径方向外側に向けて突出する外向き爪部3hが設けられている。
【0017】
回転体4は、外側周壁3eの上部を取り囲む円筒状の回転体外周壁4aを備えている。回転体外周壁4aの外周面には、雄ねじ状の回転体ねじ部4bが設けられている。回転体外周壁4aの内周面における下部には、外向き爪部3hに係合する内向き爪部4cが設けられている。
【0018】
また回転体外周壁4aの内周面における内向き爪部4cの上方には、内側周壁4dが設けられている。本実施形態の内側周壁4dは、上部は回転体外周壁4aの内周面から径方向内側に向けて延在するように形作られていて、下部は円筒状をなしていて外側周壁3eの径方向内側に位置している。また上部と下部との間に位置する中間部は、上方から下方に向かって縮径するように形作られている。内側周壁4dには、内側周壁4dの下部を径方向に貫通する内側連通口4eが設けられている。本実施形態の内側連通口4eは、
図1Bに示すように、中心軸線Oを挟んで対向する配置で合計2個設けられている。
【0019】
内側周壁4dの径方向内側には、注出ノズル4fが設けられている。本実施形態の注出ノズル4fは全体的に円筒状である。より詳細に説明すると、注出ノズル4fの上部は上方に向けて若干縮径するように形作られた円筒状であって、下部は上部よりも大径になる円筒状である。ここで注出ノズル4fの下部は、凹状部3gの内側に挿入されている。また上部と下部との間に位置する中間部は、上方から下方に向かって拡径するように形作られている。なお
図2Aに示すように注出ノズル4fの下部は、内側周壁4dの下部と一体に連結している。ここで、注出ノズル4fの内側に位置する通路を内部通路Tと称する。
図1Aに示すように内部通路Tの下端部は、収容空間S1に向けて開口していて、内部通路Tの上端部は、計量カップ5を取り外した状態において(
図2A参照)、外界に向けて開口している。また内側周壁4dと注出ノズル4fの間に位置する空間を間隙空間S2と称する。なお上述した内側連通口4eは、間隙空間S2に通じている。
【0020】
注出ノズル4fの内側には、中心軸線Oに沿って延在する区画壁4gが設けられている。本実施形態の区画壁4gは、
図1Bに示すように中心軸線Oに対して直交する向きに延在する平面に対して正対する向きにおいて十字状である。また本実施形態における区画壁4gは、
図1Aに示すように側面視において、下部の中央部が下方に向けて突出するように形作られ、上部の中央部が下方に向けて凹むように形作られている。このような区画壁4gによって、内部通路Tは複数の通路部分に(本実施形態では4つの通路部分T1~T4に)区画される。
【0021】
このように回転体外周壁4aが外側周壁3eの径方向外側に位置し、内側周壁4dが外側周壁3eの径方向内側に位置し、更に注出ノズル4fの下部が凹状部3gに挿入された状態で、回転体4は、ベース3に対して回転可能に支持されている。ここで、ベース3に対して回転体4が回転する範囲は所定の範囲に制限されていて、本実施形態の回転体4は、
図1A、
図1Bに示した開放位置(
図4A、
図4Bも同様)と、
図2A、
図2Bに示すようにこの開放位置から中心軸線Oを中心として90°ずれた閉鎖位置との間で回転する。ここで開放位置とは、
図1A、
図1B(
図4A、
図4B)に示したように、外側連通口3fに対して内側連通口4eの周方向位置が重なっていて両者が連通する位置であり、閉鎖位置とは、
図2A、
図2Bに示したように、内側連通口4eが外側周壁3eで隠覆される位置である。
【0022】
なお、ベース3に対して回転体4が回転する範囲を制限するには、例えば外側周壁3eの内周面に外向き突起を設け、内側周壁4dの外周面には、開放位置で外向き突起に係合する内向き突起と、閉鎖位置で外向き突起に係合する他の内向き突起を設ければよい。但し、ベース3に対して回転体4が回転する範囲を制限する構成はこれに限られず、例えばこのような外向き突起を外側周壁3eの上部における外周面に設け、このような内向き突起を回転体外周壁4aの内周面に設けてもよい。また回転体4は、内向き爪部4cが外向き爪部3hに係合しているため、ベース3に対して抜け出し不能でもある。
【0023】
更に回転体4は、内側周壁4dにおける内側連通口4eの上方に位置する外周面に、径方向外側に向けて膨出する膨出部4hを備えている(
図1AのX1詳細図参照)。この膨出部4hは、周方向に沿って内側周壁4dの全周に亘って設けられていて、外側周壁3eの内周面に接触している。また膨出部4hは、注出ノズル4fの下部における外周面にも設けられていて(
図1AのX2詳細図参照)、凹状部3gにおける径方向外側に位置する内周面に接触している。上述したように、回転体4はベース3に対して所定の範囲で回転するが、膨出部4hは外側周壁3eの内周面と凹状部3gの内周面に対して局所的に接触するため、ベース3と回転体4との摺動抵抗を抑えることができる。またX1詳細図に示した膨出部4hは、外側周壁3eの内周面に対して全周に亘って接触し、X2詳細図に示した膨出部4hは凹状部3gの内周面に対して全周に亘って接触するため、この接触する部位においてベース3と回転体4との間を液密に維持することができる。
【0024】
計量カップ5は、回転体外周壁4aを取り囲む外周壁5aを備えている。外周壁5aの内周面には、回転体ねじ部4bに螺合する雌ねじ状のカップねじ部5bが設けられている。外周壁5aの上端部には、径方向内側に向けて延在する上壁5cが設けられていて、上壁5cの下面には、回転体外周壁4aの内周面に接触する環状のシール壁5dが設けられている。
【0025】
また計量カップ5は、上壁5cにつながる円筒状の周壁5eを備えている。周壁5eの上端部には、上方に向けて湾曲するように延在する頂壁5fが設けられている。ここで、周壁5eと頂壁5fによって区画される内側の空間を計量空間Kと称する。
【0026】
計量カップ5は、
図1Aに示すように、カップねじ部5bを回転体ねじ部4bに螺合させることによって回転体4に保持される。計量カップ5が回転体4に保持された状態において、周壁5eの下部は、
図1Aに示すように間隙空間S2に収まっている。
【0027】
このような構成になる計量カップ付き注出キャップ1は、容器10に対して計量カップ5を
図2Bに示した矢印の向きに回転させると、回転体ねじ部4bとカップねじ部5bとの螺合が解除されるため、計量カップ5を回転体4から取り外すことができる。ここで、ベース3に対して回転体4は、
図1A、
図1Bに示した開放位置と
図2A、
図2Bに示した閉鎖位置との間で回転可能である。また回転体ねじ部4bとカップねじ部5bとの螺合は、ある程度の摺動抵抗をもって解除される。従って計量カップ5を
図2Bに示した矢印の向きに回転させると、計量カップ5を回転体4から取り外すことができるとともに回転体4を開放位置から閉鎖位置へ回転させることができる。すなわちこの状態で、内側連通口4eは外側周壁3eで隠覆される。
【0028】
内容液を注出ノズル4fから注出させて計量カップ5で計量するにあたっては、
図3に示すように注出ノズル4fの先端が計量カップ5の内側に指向するように容器10を傾倒姿勢に変位させる。なお
図3では、容器10を傾倒姿勢に変位させた際に通路部分T1、T2が上方に位置し、通路部分T3、T4が下方に位置しているが、この向きに限られるものではなく、例えば通路部分T3、T4が上方に位置して通路部分T1、T2が下方に位置してもよいし、通路部分T1、T4が上方に位置して通路部分T2、T3が下方に位置してもよい。また通路部分T1が上方に位置して通路部分T3が下方に位置する(通路部分T2、T3は側方に位置する)ようにしてもよい。すなわち、何れの向きにおいても、上方に位置する通路部分(
図3においては通路部分T1、T2)を通して外界からの空気を収容空間S1に導入することができ、下方に位置する通路部分(
図3においては通路部分T3、T4)を通して収容空間S1の内容液を計量カップ5に向けて注出させることができる。このように本実施形態の計量カップ付き注出キャップ1によれば、注出ノズル4fの向きを気にすることなく内容液を注出することができる。なお、
図3に示す状態において、回転体4は閉鎖位置へ回転していて、内側連通口4eは外側周壁3eで隠覆されているため、容器10を傾倒姿勢に変位させても収容空間S1の内容液は間隙空間S2に流れ込むことはない。
【0029】
計量した内容液を使用した後、計量カップ5を回転体4に装着するにあたっては、
図4Bに示した矢印の向きに計量カップ5を回転させる。これにより、カップねじ部5bが回転体ねじ部4bに螺合するため、計量カップ5を回転体4に保持させることができる。またこのとき、回転体4は閉鎖位置から開放位置へ回転して外側連通口3fと内側連通口4eが連通するため、間隙空間S2と収容空間S1を通じさせることができる。すなわち、内容液を計量したことによって周壁5eの内周面には内容液が付着しているため、計量カップ5を回転体4に保持させた際、付着した内容液は周壁5eの先端部から垂れ落ちるおそれがあるが、
図4Aに示すように周壁5eの下部は間隙空間S2に収まっているため、内容液が間隙空間S2に垂れ落ちることがあっても、外側連通口3fと内側連通口4eを通して収容空間S1に回収することができる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0031】
例えば、注出ノズル4fは円筒状になるものに限られず、外形が多角形状になる筒状(三角筒状や四角筒状など)でもよい。また区画壁4gは、上述した十字状になるものに限られず、例えば内部通路Tを2つの通路部分に区画する一文字状になるものでもよいし、内部通路Tを3つ又は5つ以上の通路部分に区画する放射状になるものでもよい。なお、注出ノズル4fの向きにかかわらず同じように内容液が注出できるようにするため、区画された通路部分の形状は全て同一であることが好ましい。
【0032】
なお、上述した外側連通口3fや内側連通口4e等を設けることによって、計量カップ5から垂れ落ちた内容液を収容空間S1に回収することができるが、内容液を回収する機能を省いた注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップも本発明に含まれる。また上述した計量カップ5を回転体4から取り外すことができるとともに回転体4を開放位置から閉鎖位置へ回転させることができる(又は回転体4を閉鎖位置から開放位置へ回転させることができる)機能を省いた注出キャップ、及び計量カップ付き注出キャップも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1:計量カップ付き注出キャップ
2:注出キャップ
3:ベース
3a:ベース外周壁
3b:雌ねじ部
3c:突起部
3d:ベース天壁
3e:外側周壁
3f:外側連通口
3g:凹状部
3h:外向き爪部
4:回転体
4a:回転体外周壁
4b:回転体ねじ部
4c:内向き爪部
4d:内側周壁
4e:内側連通口
4f:注出ノズル
4g:区画壁
4h:膨出部
5:計量カップ
5a:外周壁
5b:カップねじ部
5c:上壁
5d:シール壁
5e:周壁
5f:頂壁
10:容器
10a:胴体
10b:口部
10c:雄ねじ部
10d:凸部
K:計量空間
O:中心軸線
S1:収容空間
S2:間隙空間
T:内部通路
T1~T4:通路部分