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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157847
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ジャイロユニット、操縦システム
(51)【国際特許分類】
   A63H 30/00 20060101AFI20241031BHJP
   A63H 27/20 20060101ALI20241031BHJP
   G05D 1/49 20240101ALI20241031BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20241031BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A63H30/00 Z
A63H27/20
G05D1/08
G05D1/00 B
B64C13/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072457
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌廣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠平
【テーマコード(参考)】
2C150
5H301
【Fターム(参考)】
2C150CA09
2C150DK02
2C150DK08
2C150EB01
5H301AA06
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD17
5H301GG17
(57)【要約】
【課題】被操縦体の後進を伴う操縦を行う場合における操縦容易性の向上を図る。
【解決手段】本発明に係るジャイロユニットは、外部より受信される操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体に搭載されるジャイロユニットであって、ジャイロセンサと、操縦信号とジャイロセンサの検出信号とに基づき、被操縦体の姿勢制御のための演算を行う演算部と、被操縦体の前進時と後進時とで姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御を行う制御部とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部より受信される操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体に搭載されるジャイロユニットであって、
ジャイロセンサと、
前記操縦信号と前記ジャイロセンサの検出信号とに基づき、前記被操縦体の姿勢制御のための演算を行う演算部と、
前記被操縦体の前進時と後進時とで前記姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御を行う制御部と、を備えた
ジャイロユニット。
【請求項2】
前記操縦信号を送信する送信機が、信号送信チャンネルとして複数のチャンネルを有すると共に、前記複数のチャンネルのうち予め定められた特定チャンネルにより前記被操縦体の前進/後進の切り替え操作に係る信号である切替通知信号を送信し、
前記制御部は、前記特定チャンネルの送信信号に基づいて前記制御方向の切り替え制御を行う
請求項1に記載のジャイロユニット。
【請求項3】
前記検出信号の非反転信号を前記演算部に入力する非反転入力状態と、前記検出信号の反転信号を前記演算部に入力する反転入力状態との切り替えが可能に構成された入力切替部を備え、
前記制御部は、
前記制御方向の切り替え制御として、前記入力切替部の制御を行う
請求項1に記載のジャイロユニット。
【請求項4】
前記ジャイロセンサとして、角速度の検出対象軸が異なる複数のジャイロセンサを備えており、
前記ジャイロセンサごとに後進時の前記制御方向を個別に設定可能とされた
請求項1に記載のジャイロユニット。
【請求項5】
後進時における前記ジャイロセンサごとの前記制御方向の組み合わせを、事前設定された複数の組み合わせのうちから選択可能に構成された
請求項4に記載のジャイロユニット。
【請求項6】
前記操縦信号を送信する送信機が、信号送信チャンネルとして複数のチャンネルを有すると共に、ユーザ操作に基づき、前記複数のチャンネルのうち予め定められた特定チャンネルにより前記組み合わせを指示する信号を送信し、
前記制御部は、前記特定チャンネルの送信信号に基づいて前記組み合わせを選択する
請求項5に記載のジャイロユニット。
【請求項7】
前記送信機が送信する前記切替通知信号は、前進操作と後進操作の切り替えに応じて信号態様が変化する信号とされ、
前記制御部は、
前記前進操作と後進操作の切り替えに応じて前記切替通知信号の信号態様が変化したタイミングに対し、前記制御方向の切り替えタイミングをディレイさせる
請求項2に記載のジャイロユニット。
【請求項8】
前記被操縦体の前進と後進の切り替わりを推定する推定部を備え、
前記制御部は、
前記推定部の推定結果に基づいて前記制御方向の切り替えタイミングをディレイさせる
請求項7に記載のジャイロユニット。
【請求項9】
前記推定部は、
前記被操縦体に搭載される加速度センサの検出信号に基づいて前記被操縦体の前進と後進の切り替わりを推定する
請求項8に記載のジャイロユニット。
【請求項10】
前記推定部は、
前記被操縦体の推進用モータの駆動電流又は駆動電圧の検出結果に基づいて前記被操縦体の前進と後進の切り替わりを推定する
請求項8に記載のジャイロユニット。
【請求項11】
前記制御部は、
前記被操縦体の前進と後進の切り替え操作が行われた場合において、切り替え後の進行方向の推力の操作量が所定操作量を超えるまでは前記制御方向の切り替え制御を行わない
請求項1から請求項10の何れかに記載のジャイロユニット。
【請求項12】
操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体に対して前記操縦信号を送信する送信機と、前記被操縦体に搭載されるジャイロユニットとを備えて構成される操縦システムであって、
前記送信機は、
信号送信を行う送信部を備え、
前記ジャイロユニットは、
ジャイロセンサと、
前記ジャイロセンサの検出信号に基づき、前記被操縦体の姿勢制御のための演算を行う演算部と、
前記被操縦体の前進時と後進時とで前記姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御を行うジャイロ側制御部と、を備える
操縦システム。
【請求項13】
前記送信機は、
前記被操縦体についての前進と後進の切り替え操作タイミングに対してディレイさせたタイミングで前記制御方向の切り替えを指示する信号を前記送信部により送信させる送信機側制御部を備えた
請求項12に記載の操縦システム。
【請求項14】
前記送信機は、
前記被操縦体の前進と後進の切り替え操作に基づいて前記ジャイロユニットに対する前記制御方向の切り替え指示を行う送信機側制御部を備え、
前記送信機側制御部は、
前記前進と後進の切り替え操作に関して、切り替え後の進行方向の推力の操作量が所定操作量を超えるまでは前記制御方向の切り替え指示を行わない
請求項12又は請求項13に記載の操縦システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部より受信される操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体に搭載されるジャイロユニット、及び被操縦体に対して操縦信号を送信する送信機と前記ジャイロユニットとを備えて構成される操縦システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
模型飛行機やドローン、模型車両等の被操縦体を遠隔操縦する操縦システムには、例えば下記特許文献1、2に記載されるようにジャイロセンサを用いた姿勢制御機能を有するものがある。
具体的に、下記特許文献1、2では、模型飛行機の操縦システムにおいて、ジャイロセンサを用いた姿勢制御機能を適用した例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-43623号公報
【特許文献2】特開2022-65402号公報
【0004】
ここで、模型飛行機については、前進だけでなく後進も可能として、いわゆる4Dフライトを行うことがマニア間で流行しつつある。4Dフライトとは、例えば、逆立ちトルクロールや後進時の急激なターン、前後進を繰り返す等といった、後進機能を活用したアクロバティックなフライト演技を意味する。
4Dフライトには、例えばウィングスパンが1m前後の比較的小型な模型飛行機が用いられる傾向にある。
4Dフライトでは、ジャイロセンサを非搭載として操縦テクニックのみでフライトさせるか、ジャイロセンサを搭載して、後進時のみ姿勢制御を活用するフライトが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ジャイロセンサを用いた姿勢制御を行う場合には、ロール、ピッチ、ヨーといった角速度の検出対象軸ごとに、姿勢制御の制御方向を一意に定めなくてはならないため、姿勢制御は、前進時、後進時の何れか一方でしか適切に行うことができないのが現状である。
従って、後進時の操縦容易性を優先して後進時に合わせた向きでジャイロセンサを搭載してしまうと前進時の演技を操縦テクニックのみで行わなければならず、操縦の難易度が高まってしまう。また、逆の場合も同様に、後進時の操縦難易度が高まってしまうことになる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、前進時と後進時の双方で姿勢制御機能を利用可能として、被操縦体の後進を伴う操縦を行う場合における操縦容易性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るジャイロユニットは、外部より受信される操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体に搭載されるジャイロユニットであって、ジャイロセンサと、前記操縦信号と前記ジャイロセンサの検出信号とに基づき、前記被操縦体の姿勢制御のための演算を行う演算部と、前記被操縦体の前進時と後進時とで前記姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御を行う制御部と、を備えたものである。
【0008】
また、本発明に係る操縦システムは、操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体に対して前記操縦信号を送信する送信機と、前記被操縦体に搭載されるジャイロユニットとを備えて構成される操縦システムであって、前記送信機は、信号送信を行う送信部を備え、前記ジャイロユニットは、ジャイロセンサと、前記ジャイロセンサの検出信号に基づき、前記被操縦体の姿勢制御のための演算を行う演算部と、前記被操縦体の前進時と後進時とで前記姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御を行うジャイロ側制御部と、を備えるものである。
【0009】
上記構成によるジャイロユニットを用いることで、前進時と後進時の双方で姿勢制御機能を利用可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被操縦体の後進を伴う操縦を行う場合における操縦容易性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態としての操縦システムの構成例を示した図である。
図2】実施形態における送信機及び被操縦体の内部構成例について説明するための図である。
図3】実施形態におけるジャイロユニットの構成例についての説明図である。
図4】チャンネルの割り当て設定を行うための設定画面の例を示した図である。
図5】送信機のプログラムミキシングの設定画面の例を示した図である。
図6】プログラムミキシングにおけるACT/INH設定とON/OFFスイッチの設定に係る画面の例を示した図である。
図7】プログラムミキシングのON/OFFに係る設定画面の例を示した図である。
図8】ジャイロユニットの接続に応じて表示される画面の例を示した図である。
図9】ジャイロユニット側におけるチャンネル割り当ての設定画面の例を示した図である。
図10】ジャイロユニット側におけるD2からD5のモードの設定画面の例を示した図である。
図11】後進時におけるジャイロセンサごとの制御方向の組み合わせを設定するための設定画面の例を示した図である。
図12】第一実施形態における送信機側の処理手順例を示したフローチャートである。
図13】第一実施形態におけるジャイロユニット側の処理手順例を示したフローチャートである。
図14】送信機におけるチャンネルの割り当て設定を行うための設定画面例を示した図である。
図15】ジャイロユニット側におけるチャンネル割り当ての設定画面の例を示した図である。
図16】第一実施形態の別例におけるモードの設定画面の例を示した図である。
図17】第一実施形態の別例におけるジャイロセンサごとの制御方向の組み合わせを設定するための設定画面の例を示した図である。
図18】第二実施形態としてのジャイロユニットの構成例についての説明図である。
図19】第二実施形態におけるジャイロ制御部が行う処理のフローチャートである。
図20】第二実施形態の別例としてのジャイロユニットの構成例の説明図である。
図21】ジャイロユニット側の処理で不感帯を実現する場合の処理手順例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を次の順序で説明する。
<1.第一実施形態>
[1-1.システム構成例]
[1-2.送信機及び被操縦体の構成例]
[1-3.ジャイロユニットの構成例]
[1-4.実施形態としての制御方向切替手法、及び事前設定について]
[1-5.処理手順例]
[1-6.第一実施形態の別例]
<2.第二実施形態>
<3.変形例>
<4.実施形態のまとめ>
【0013】
<1.第一実施形態>
[1-1.システム構成例]
図1は、本発明に係る操縦システムの一実施形態である操縦システム1の構成例を示した図である。
図示のように操縦システムは、少なくとも被操縦体2と送信機3とを備えて構成される。
被操縦体2は、外部より受信される操縦信号に基づき操縦が行われる物体である。また、送信機3は、被操縦体2に対して操縦信号を含む各種信号の送信を行う装置とされる。
【0014】
本実施形態では、被操縦体2の一例として、模型飛行機を挙げる。
図示のように模型飛行機としての被操縦体2は、胴体部21と、それぞれ左右一対の主翼22、22及び水平尾翼23、23と、垂直尾翼24とを備えている。
【0015】
ここで、被操縦体2の姿勢は、ロール軸回りの回転方向、ピッチ軸回りの回転方向、及びヨー軸回りの回転方向により表現することができる。図中では、これらロール軸、ピッチ軸、及びヨー軸の各方向を例示しているが、図示のようにロール軸は、被操縦体2の胴体部21を前後に貫く軸であり、ピッチ軸は被操縦体2を左右に貫く軸、ヨー軸は被操縦体2を上下に貫く軸である。
【0016】
被操縦体2において、各主翼22にはエルロン(Aileron)26が設けられている。また、各水平尾翼23にはエレベータ(Elevator)27が、垂直尾翼24にはラダー(Rudder)28がそれぞれ設けられている。
エルロン26は、被操縦体2をロール軸回りに回転させるための可動翼部である。また、エレベータ27は、被操縦体2をピッチ軸回りに回転させるための可動翼部であり、ラダー28は、被操縦体2をヨー軸回りに回転させるための可動翼部である。
これらエルロン26、エレベータ27、及びラダー28を動作させることで、被操縦体2の飛行姿勢を変化させることができる。
【0017】
また、被操縦体2には、プロペラ25が設けられている。このプロペラ25の回転により、被操縦体2に前後方向の推進力を与えることができる。
本実施形態の被操縦体2は、プロペラ25の回転方向を切り替えることが可能に構成されている。プロペラ25の回転方向の切り換えにより、被操縦体2の前進/後進の切り換えを行うことが可能とされる。
【0018】
送信機3は、操縦者としてのユーザによる操縦のための操作を受け付けると共に、受け付けた操作に応じた操縦信号を送信する機能を有する。
送信機3には、操縦信号を無線送信するためのアンテナ3aや、操縦のための操作入力を受け付けるための操作子3b、操縦者等としてのユーザに各種情報を表示するための表示画面33aが形成されている。
ここでは、操縦のための操作子3bとしてスティック状の操作子が二つ設けられたタイプの送信機3を例示しているが、操作子3bの形態はスティック状に限らず例えばホイール状等の他形態も考えられ、また操作子3bの数としても2以外とすることも考えられる。
【0019】
ここで、本明細書において「操縦信号」とは、被操縦体2における例えばプロペラ25やエルロン26、エレベータ27、ラダー28等の可動部の動作を指示する信号を意味するものとする。
操縦システム1においては、このように可動部の動作を指示する操縦信号以外の信号も送信機3から被操縦体2側に送信され得る。
【0020】
本実施形態の操縦システム1においては、規格上、送信機3から被操縦体2側への信号送信チャンネルとして、複数のチャンネルを利用可能とされている。具体的に、本例における操縦システム1では、信号送信チャンネルとして合計で18のチャンネル(CH1からCH16、及びDG1、DG2)が用意されている。
これら複数のチャンネルを用いて、上記したプロペラ25やエルロン26、エレベータ27、ラダー28等の可動部ごとの操縦信号をチャンネルごとに分けて送信することが可能とされている。具体的には、例えばプロペラ25の操縦信号をCH1に、エルロン26の操縦信号をCH2に、エレベータ27の操縦信号をCH3に割り当てる等、チャンネルごとに何れの信号を送信するかの設定を行うことが可能とされている。
このようなチャンネルごとの送信信号の割り当て設定では、操縦信号以外の信号を送信信号として割り当てることも可能とされている。
【0021】
[1-2.送信機及び被操縦体の構成例]
図2のブロック図を参照し、送信機3及び被操縦体2の内部構成例について説明する。
図2では、送信機3及び被操縦体2について、電気的な構成の例を示しており、メカ的な構成については図示を省略している。
【0022】
図示のように送信機3は、送信機側制御部31、操作部32、表示部33、送信部34、及び通信部35を備えている。
操作部32は、ユーザが送信機3に対して各種操作入力を行うための操作子を包括的に表したものである。具体的には、上述したスティック状等による操縦操作のための操作子3bや、操縦操作以外の各種操作を行うための例えばボタン、キー、レバー、タッチパネル等の操作子を包括的に表している。
本例の送信機3においては、上述した表示画面33a上に、画面に対するタッチ操作を検出するためのタッチパネルが形成されており、操作部32における操作子には該タッチパネルも含まれる。
【0023】
表示部33は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを有して構成され、ユーザに各種情報を表示する。
上述した表示画面33aは、表示部33における表示画面である。
【0024】
送信機側制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、CPUがROM等のメモリに格納されたプログラムに従った処理を実行することで、送信機3の全体制御を行う。
例えば、送信機側制御部31は、操作部32における上述した操作子3bに対する操作に基づき、操縦信号を生成する処理を行う。
また、送信機側制御部31は、操作部32における操作子3b以外の所定の操作子、特に本例では上述した表示画面33a上のタッチパネルに対する操作に基づき、各種の情報を表示部33に表示させる処理を行う。例えば、設定メニュー画面の表示や、設定メニュー画面から選択された項目についての設定画面の表示等を表示部33に実行させる処理を行う。また、設定画面において、操作部32に対する操作によりユーザから指示された値等の情報を表示させる処理や、設定の指示操作に基づき、該操作に対応する設定処理を行う。
【0025】
また、送信機側制御部31は、生成した操縦信号等、被操縦体2側に送信すべき信号を送信部34により送信させる処理を行う。
送信部34は、送信機側制御部31により指示された信号をアンテナ3aを介して送信する。
【0026】
なお、送信部34は、送信機能のみでなく受信機能を有していてもよい。後述する受信機4が送信機能を有する場合には、被操縦体2側で取得された情報を送信機3において受信することができる。例えば、被操縦体2に温度センサやプロペラ25(後述する推進用モータ7)の回転数センサ等の監視用のセンサを設けている場合には、該センサによる検出情報を送信機3側で受信して表示部33に表示する等といったことが可能となる。
【0027】
通信部35は、外部機器との間で有線通信を行うための通信デバイスとされる。
送信機側制御部31は、この通信部35を介して、送信機3に有線接続された外部装置、特に本実施形態では後述するジャイロユニット5との間で通信を行うことが可能とされる。
【0028】
被操縦体2は、受信機4、ジャイロユニット5、ESC(Electronic Speed Controller:スピードコントローラとも呼ばれる)6、推進用モータ7、及び複数のサーボモータ8を備えている。
【0029】
推進用モータ7は、図1に示したプロペラ25を回転駆動するモータである。本実施形態では、推進用モータ7としては、駆動電流の極性により回転方向を切り替え可能なモータが用いられる。
【0030】
サーボモータ8としては、エルロン26を駆動するサーボモータ8-a、エレベータ27を駆動するサーボモータ8-e、及びラダー28を駆動するサーボモータ8-rの三つが設けられている。
【0031】
受信機4は、アンテナ4aを有し、送信機3における送信部34が送信した信号を受信する。
受信機4は、受信した信号をESC6、及びジャイロユニット5に出力する。
【0032】
ESC6は、受信機4を介して入力された送信機3からの送信信号に含まれる、プロペラ25の動作を指示する操縦信号を取得し、該操縦信号に基づき、推進用モータ6の駆動信号を生成する。
この駆動信号が推進用モータ7に対して出力され、推進用モータ7が駆動される。
【0033】
ジャイロユニット5は、後述するようにロール軸、ピッチ軸、ヨー軸の各軸に対応したジャイロセンサ(ジャイロセンサ52)を有し、それらジャイロセンサの検出信号(角速度検出信号)に基づき、被操縦体2の姿勢制御を行うユニットとされる。
詳細は後述するが、ジャイロユニット5は、受信機4を介して入力された送信機3からの送信信号に含まれる、エルロン26の動作を指示する操縦信号(以下「エルロン操縦信号」と表記する)、エレベータ27の動作を指示する操縦信号(以下「エレベータ操縦信号」と表記する)、及びラダー28の動作を指示する操縦信号(以下「ラダー操縦信号」と表記する)を抽出し、これらの操縦信号と各ジャイロセンサの検出信号とに基づき、サーボモータ8-a、8-e、8-rそれぞれの駆動信号として、姿勢制御(姿勢安定化制御)を実現するための駆動信号を生成する。
このようにジャイロユニット5が生成した駆動信号に基づきサーボモータ8-a、8-e、8-rがそれぞれ駆動されることで、被操縦体2の姿勢安定化制御が実現される。
【0034】
[1-3.ジャイロユニットの構成例]
図3は、ジャイロユニット5の構成例についての説明図である。
なお、図3では、ジャイロユニット5の構成例と共に、図2に示した受信機4とサーボモータ8-a、8-e、8-rを併せて示している。
【0035】
図示のようにジャイロユニット5は、通信部50、ジャイロ制御部51、軸ごとのジャイロセンサ52(52-a、52-e、52-r)、演算部53、及び軸ごとの入力切替部54(54-a、54-e、54-r)を有している。
【0036】
ジャイロセンサ52-aは、ロール軸回り(エルロン26による回転方向)の角速度を検出するジャイロセンサである。また、ジャイロセンサ52-eは、ピッチ軸回り(エレベータ27による回転方向)の角速度を検出するジャイロセンサであり、ジャイロセンサ52-rは、ヨー軸回り(ラダー28による回転方向)の角速度を検出するジャイロセンサである。
ジャイロユニット5が被操縦体2において正しい向きに設置されることで、これらジャイロセンサ52-a、52-e、52-rがそれぞれ所期の軸回りの角速度を検出可能となる。
【0037】
ジャイロ制御部51は、通信部50を介して外部装置との間で有線通信を行うことが可能とされている。被操縦体2の操縦時には、図示のように通信部50に対しては受信機4が有線接続され、ジャイロ制御部51は、通信部50を介して、受信機4が受信した送信機3からの送信信号を受信可能とされている。
【0038】
ジャイロ制御部51は、受信機4を介して入力された送信機3からの送信信号に含まれるエルロン操縦信号、エレベータ操縦信号、及びラダー操縦信号を抽出し、これらの操縦信号を演算部53に出力する。
前述のように本例では、何れの操縦信号を何れのチャンネルで送信するかが予め設定されているため、ジャイロ制御部51は、該設定に従って、送信信号からエルロン操縦信号、エレベータ操縦信号、及びラダー操縦信号を抽出する。
【0039】
ここで、本実施形態におけるジャイロ制御部51は、被操縦体2の前進/後進の切り換えに応じた各種の処理も行うが、これについては後に改めて説明する。
【0040】
演算部53には、ジャイロ制御部51を介してエルロン操縦信号、エレベータ操縦信号、及びラダー操縦信号が入力されると共に、ジャイロセンサ52-a、52-e、52-rの検出信号が、それぞれ入力切替部54-a、54-e、54-rを介して入力される。
なお、入力切替部54-a、54-e、54-rについては後に改めて説明する。
【0041】
演算部53は、入力切替部54-aを介して入力されるジャイロセンサ52-aの検出信号(以下「ロール軸角速度信号」と表記)、入力切替部54-eを介して入力されるジャイロセンサ52-eの検出信号(以下「ピッチ軸角速度信号」と表記)、及び入力切替部54-rを介して入力されるジャイロセンサ52-rの検出信号(以下「ヨー軸角速度信号」と表記)と、ジャイロ制御部51より入力されるエルロン操縦信号、エレベータ操縦信号、及びラダー操縦信号とに基づき、ロール、ピッチ、ヨーの軸ごとに姿勢安定化制御のための演算を行って、サーボモータ8-a、8-e、8-rそれぞれの駆動信号を生成する。
【0042】
本例における演算部53は、ロール、ピッチ、ヨーの軸ごとに、操縦信号と角速度検出信号とに基づくPID(Proportional Integral Differential)制御演算を行うことで、姿勢安定化制御を実現するためのサーボモータ8-a、8-e、8-rそれぞれの駆動信号を生成する。
具体的に、ロール軸については、エルロン操縦信号に基づいて被操縦体2のロール軸回りの目標回転角度を算出し、この目標回転角度とロール軸角速度信号とに基づくPID制御演算を行うことで、エルロン26を駆動するサーボモータ8-aの駆動信号を生成する。
また、ピッチ軸については、エレベータ操縦信号に基づいて被操縦体2のピッチ軸回りの目標回転角度を算出し、この目標回転角度とピッチ軸角速度信号とに基づくPID制御演算を行うことでエレベータ27を駆動するサーボモータ8-eの駆動信号を生成する。
また、ヨー軸については、ラダー操縦信号に基づいて被操縦体2のヨー軸回りの目標回転角度を算出し、この目標回転角度とヨー軸角速度信号とに基づくPID制御演算を行うことで、ラダー28を駆動するサーボモータ8-rの駆動信号を生成する。
【0043】
なお、ジャイロセンサの検出信号に基づく姿勢制御演算についてはPID制御演算に限定されるものではなく、他のフィードバック制御演算を採用することもできる。
また、ジャイロセンサの検出信号に基づく姿勢制御はフィードバック制御に限定されるものではなく、フィードフォワード制御であってもよい。
【0044】
[1-4.実施形態としての制御方向切替手法、及び事前設定について]
ここで、本実施形態における被操縦体2は、前進/後進の切り換えを行うことが可能に構成されているが、前述のように従来技術では、ジャイロセンサ52を用いた姿勢制御は前進時、後進時の何れか一方でしか行うことができないものとされていた。
【0045】
そこで、本実施形態では、前進時と後進時の双方でジャイロセンサ52を用いた姿勢制御機能を利用可能とするべく、被操縦体2の前進時と後進時とで、姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御するという手法を採る。
【0046】
本例では、制御方向の切り換えは、図3に示した入力切替部54(54-a、54-e、54-r)を用いて実現する。
図3に示すように各入力切替部54は、反転回路55とスイッチ(SW)56とを有している。各入力切替部54において、スイッチ56には、ジャイロセンサ52-a、52-e、52-rのうち対応する軸のジャイロセンサ52の検出信号と、該対応する軸のジャイロセンサ52の検出信号を反転回路55により反転した信号とが入力される。すなわち、スイッチ56には、該対応する軸のジャイロセンサ52の検出信号の非反転信号と反転信号とが入力される。各入力切替部54におけるスイッチ56は、このように入力される非反転信号と反転信号のうち何れか一方を、ジャイロ制御部51からの切り換え指示に基づき演算部53に出力する。
これにより、ジャイロセンサ52-a、52-e、52-rを用いた各軸の姿勢制御について、制御方向(修正舵の付与方向とも換言できる)を切り換えることが可能とされる。
【0047】
ここで、姿勢制御の制御方向の切り換えは、上述したPID制御における目標回転角度の極性を切り換える等、演算部53における演算内において行うことも考えられるが、その場合には、演算誤差に起因して姿勢制御の安定性が低下してしまう虞があることが確認されている。
上記のように演算部53に入力する角速度信号の極性を切り換える手法とすることで、姿勢制御にPID制御を適用した場合であっても、前進/後進の切り替えに応じた適切な姿勢制御信号が得られるように図られ、前進時及び後進時の姿勢制御の精度向上を図ることができる。
【0048】
本実施形態では、前述のように推進用モータ7の回転方向の切り換えにより被操縦体2の前進/後進が切り換えられる。そして、本例では、推進用モータ7の回転方向の切り換えは、プロペラ25の動作指示のための操作子3bの操作入力によって実現される。具体的には、該操作子3bをニュートラル位置(「0」位置)からプラス側の方向(例えば、上側の方向)に操作した場合には、推進用モータ7が正転して被操縦体2が前進し、該操作子3bをニュートラル位置からマイナス側の方向(例えば、下側の方向)に操作した場合には推進用モータ7が逆転して被操縦体2が後進するように構成されている。
【0049】
なお以下、プロペラ25の動作指示のための操作子3bのことを「スロットル操作子」と表記し、スロットル操作子を用いた操作のことを「スロットル操作」、スロットル操作子の操作量のことを「スロットル操作量」と表記する。また、スロットル操作子の、上記したニュートラル位置を基準とした操作位置のことを「スロットル操作位置」と表記する。スロットル操作位置は、ニュートラル位置を基準としてプラス側とマイナス側に変化し得るものであり、従ってスロットル操作位置は、正/負の極性を有するものと捉えることができる。
【0050】
また、以下の説明において、スロットル操作子の操作に応じて定まる、プロペラ25の動作指示のための操縦信号のことを「スロットル信号」と表記する。
本例において、スロットル信号は、その極性により推進用モータ7の正転/逆転を指示する信号であるとする。具体的に、正極性のスロットル信号は推進用モータ7の正転側の回転数を指示し、負極性のスロットル信号は推進用モータ7の逆転側の回転数を指示するものであるとする。
【0051】
本例では、スロットル操作位置の極性の反転に応じて被操縦体2の前進/後進が切り替わるものとなるため、スロットル操作位置に基づき、姿勢制御の制御方向の切り換え制御を行う。
【0052】
被操縦体2の前進/後進の切り替わりに応じて姿勢制御の制御方向を切り替えにあたっては、ジャイロ制御部51にスロットル信号を参照させ、該スロットル信号に基づいて被操縦体2の前進/後進の切り換わり判定、及びスイッチ56の切り換え制御を行うことが考えられるが、本例では、ジャイロ制御部51にスロットル信号を参照させるということはせず、スロットル信号とは別の切替通知信号を送信機3において生成し、該切替通知信号をジャイロ制御部51に参照させるという手法を採る。
ここで言う切換通知信号とは、前進/後進の切り替え操作に係る信号である。本例では、送信機3における送信機側制御部31が、スロットル操作位置に基づき切換通知信号を生成し、送信部34を介して被操縦体2側に送信する。
【0053】
本例では、切替通知信号の送信には、複数の信号送信チャンネルのうちの特定のチャンネルを割り当てる。
具体的に、本例では、スロットル操作位置に基づく切換通知信号の送信に、送信機3が有するプログラムミキシング機能を利用する。
プログラムミキシング機能とは、或る操作に連動させて、その操作に対して予め指定された態様による動作指示信号を、予め指定された信号送信チャンネルにより送信する機能である。
このプログラムミキシング機能により、スロットル操作に連動させて、前進/後進の切り換えに応じた制御方向の切り換え制御の実行を指示する切替通知信号がジャイロ制御部51に対して送信されるようにする。
【0054】
また、本例では、ジャイロセンサ52ごとに後進時の制御方向を個別に設定できるようにする。
例えば、飛行体としての被操縦体2を用いた飛行演技等、被操縦体2を用いた演技の種別や、操縦者の好み等によっては、後進時における制御方向について、全てのジャイロ(検出対象軸)の制御方向を前進時とは逆方向にしたい場合や、一部のジャイロについては制御方向を前進時と同じとしたい等といったことが要請されることが考えられる。
上記のように後進時における制御方向をジャイロセンサ52ごとに個別に設定可能とすることにより、そのような様々なニーズに応えることが可能となり、使い勝手の向上を図ることができる。
【0055】
また、本例では、上記のような後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の設定の組み合わせを、事前設定された複数の組み合わせのうちから選択可能とする。
具体的に、本例では、プログラムミキシング機能により提供される後述するD2からD5のモードごとに、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向を予め設定しておくことが可能とされる。つまりこの場合、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせとして、4種の組み合わせを予め設定しておくことが可能とされる。そして、この事前設定後に、ユーザが上記したD2からD5のうち何れかを指定する操作を送信機3に対して行うことで、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせを、上記4種の組み合わせのうちから選択することが可能となる。
ここで、D1のモードには、前進時の制御方向が割り当てられる。本例では、前進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向は固定とされており、ユーザによる変更はできないものとされている。具体的に、本例において、前進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向は、全て順方向(つまり、本例においてはスイッチ56において非反転信号を選択する側の方向)に定められているものとする。
【0056】
プログラムミキシング機能では、指定されたチャンネル(特定チャンネル)がCH1からCH16の何れかである場合には、D1からD5のモードごとに、該特定チャンネルの 送信信号のパルス幅を変化させるようになっている。
送信機3において、送信機側制御部31は、スロットル操作位置に基づき、前進の操作が行われていると判定される場合には、特定チャンネルの送信信号、すなわち切替通知信号として、D1のモードに対応したパルス幅による信号を送信する処理を行う。一方で、送信機側制御部31は、スロットル操作位置に基づき後進の操作が行われていると判定される場合には、特定チャンネルにより送信する切替通知信号として、D2からD5のモードのうち指定されたモードに対応したパルス幅による信号を送信する処理を行う。
【0057】
ジャイロユニット5側において、ジャイロ制御部51は、特定チャンネルで送信される切替通知信号を参照し、該切替通知信号のパルス幅がD1のモードに対応したパルス幅であれば、姿勢制御の制御方向を順方向とすべく、各入力切替部54において、スイッチ56により非反転信号を選択させる。
また、切替通知信号のパルス幅がD1のモードに対応したパルス幅以外のパルス幅であれば、ジャイロ制御部51は、D2からD5のモードのうち、該パルス幅により特定されるモードに設定されたジャイロセンサ52ごとの制御方向が実現されるように、各入力切替部54におけるスイッチ56の制御を行う。
【0058】
このようにして、前進と後進の切り換えに応じた姿勢制御の制御方向の切り換えが実現されると共に、後進時においては、ジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせとして、予め設定された組み合わせのうち送信機3に対するユーザ操作により指定された組み合わせが選択されるようにすることができる。
【0059】
また、本実施形態においては、スロットル操作位置の極性が反転したタイミングで制御方向の切り換えを行うのではなく、スロットル操作位置の極性が反転したタイミングに対して、制御方向の切り換えを行うタイミングをディレイさせる。
本例では、このようなディレイの処理は、送信機3側で行う。具体的には、送信機側制御部31が、上述した切替通知信号のパルス幅を変化させるタイミングを、スロットル操作位置の極性変化タイミングに対してディレイさせるものである。
【0060】
本例では、このディレイについても、プログラムミキシング機能を利用して行う。
ここで、プログラムミキシング機能では、被連動操作としての主たる操作(本例ではスロットル操作)について、プログラムミキシングのON/OFFを切り換える操作位置を指定可能とされている。例えば、操作位置=0をプログラムミキシングのON/OFFを切り換える操作位置として指定する等である。
なお、プログラムミキシングのONとは、特定チャンネルの送信信号のパルス幅を、上述したD1に対応するパルス幅からD2からD5のうち選択中のモードに対応するパルス幅に切り換えることに相当するものである。プログラムミキシングのOFFとは、特定チャンネルの送信信号のパルス幅を、D2からD5のうち選択中のモードに対応するパルス幅から、D1に対応するパルス幅に切り換えることに相当するものである。
そして、プログラムミキシング機能では、主たる操作についての操作位置が指定された操作位置となってから、実際にプログラムミキシングのON/OFFを切り換えるまでに、任意のディレイ時間を指定可能とされている。本例では、このようなプログラムミキシング機能が持つディレイ機能を、切替通知信号のパルス幅切り換えタイミングのディレイに利用する。
【0061】
さらに、本実施形態では、前進と後進の切り替え操作に関して、切り替え後の進行方向の操作量が所定操作量を超えるまでは、切替通知信号のパルス幅の切り換えを行わない(制御方向の切り替え指示を行わない)。
具体的には、スロットル操作位置の極性が切り替わった際に、切り替わり後の極性側のスロットル操作量が所定操作量を超えるまでは切替通知信号のパルス幅の切り換えを行わないものであり、これは、スロットル操作位置に関して、0近傍の領域に、制御方向の切り換えを行わない「不感帯」を設けるものと換言することができる。
【0062】
このような不感帯についても、プログラムミキシング機能を利用して設定することができる。具体的に、プログラムミキシング機能では、上述した主たる操作について、プログラムミキシングをONとする操作位置(以下「ON位置」と表記する)とOFFとする操作位置(以下「OFF位置」と表記する)を指定可能とされている。従って、これらON位置とOFF位置として「0」以外の位置を指定することで、上記した不感帯を設定することができる。
【0063】
図4から図11を参照して、上記した第一実施形態としての制御方向切替手法を実現するためにユーザが行っておくべき事前設定の例について説明する。
図4から図7は、送信機3に対して行っておくべき事前設定を説明するための図であり、前述した設定メニュー画面から呼び出すことのできる各種の設定画面の例を示している。確認のため述べておくと、これらの設定画面は、表示部33における表示画面33aに表示されるものであり、本例では、表示画面33a上に設けられた前述のタッチパネルにより、ユーザは、表示画面33aに対するタッチ操作を行うことで設定画面に対する各種の操作入力を行うことができる。
【0064】
図4は、チャンネルの割り当て設定を行うための設定画面の例を示している。該設定画面は3ページ分あり、図中では各ページの画面をまとめて示している。
図示のように本例では、合計18の信号送信チャンネル(CH1からCH16、及びDG1、DG2)のうち、CH12を上述した切替通知信号の信号送信チャンネルとして割り当てた例とする(図中「GYRO.REV」を参照)。
【0065】
図5から図7は、プログラムミキシング機能に係る設定画面の例を示しており、図5は、送信機のプログラムミキシングの設定画面の例を、図6はプログラムミキシングにおけるACT/INH設定とON/OFFスイッチの設定に係る画面の例を、図7はプログラムミキシングのON/OFFに係る設定画面の例をそれぞれ示している。
【0066】
図5の設定画面では、前述したD1からD5の各モードやディレイ時間に係る設定を行うことが可能とされ、図示のように「スレーブ」「オフセット」「スピード」「ディレイ」の各項目の設定を行うための設定領域が設けられている。
「スレーブ」の設定領域は、主たる操作に連動する動作指示信号の送信を行うチャンネルを設定するための領域である。上述のように本例では、切替通知信号の信号送信チャンネルとして「GYRO.REV」(=CH12)を指定しているため、「スレーブ」には「GYRO.REV」を設定する。
【0067】
「オフセット」の設定領域は、送信信号(主たる操作に連動する動作指示信号)のパルス幅に係るオフセット値を設定するための領域である。ここで、本例の操縦システム1においては、送信信号のパルス幅の下限値から上限値は「-100」から「100」の数値により表すものとされている。本例では、D1のモード(前進モード)は、パルス幅を下限値とするモードとするため、図示のように「オフセット」における「OFF」の項目には、下限値を表す「-100(-100.0)」を設定しておく。確認のため述べておくと、ここでの「OFF」は、プログラムミキシングの「OFF」を意味するものである。
【0068】
また、「オフセット」における「ON」の項目は、D2からD5のモードを選択するための項目となる。
プログラムミキシング機能では、D1からD5の合計5モードを識別できるように、送信信号のパルス幅を5段階で変化させることが可能とされている。つまりこの場合、送信信号のパルス幅は、上記した「-100」から「100」の範囲表記によれば、「-100」から「-75」の範囲(代表値=「-100.0」とされる)に対応したパルス幅、「-75」から「-25」の範囲(代表値=「-50.0」とされる)に対応したパルス幅、「-25」から「25」の範囲(代表値=「0.0」とされる)に対応したパルス幅、「25」から「75」の範囲(代表値=「50.0」とされる)に対応したパルス幅、「75」から「100」の範囲(代表値=「100.0」とされる)に対応したパルス幅の間で変更可能とされている(後述する図10参照)。
本例では、上記した五つの数値範囲のうち、「-75」から「-25」の範囲(代表値=「-50.0」)をD2、「-25」から「25」の範囲(代表値=「0.0」)をD3、「25」から「75」の範囲(代表値=「50.0」)をD4、「75」から「100」の範囲(代表値=「100.0」)をD5に割り当てるものとする。なお、上述のように、「-100」から「-75」の範囲(代表値=「-100.0」)はD1で固定である。
ユーザは、「オフセット」の領域における「ON」の項目に対し、D2からD5のうち何れかのモードの範囲を示す数値を設定することで、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせを、予め設定した四つの組み合わせのうちの任意の組み合わせとするように指示することができる。具体的に、D2からD5のモード指示は、「オフセット」の領域における「ON」の項目に、上述した代表値(すなわち、「-50.0」「0.0」「50.0」「100.0」の何れか)を設定することで行うことができる。
【0069】
「スピード」の設定領域は、プログラムミキシングのON/OFF切り替え時における送信信号のパルス幅変化スピードを設定するための領域である。図示のように「スピード」の設定領域には「イン」と「アウト」の設定項目が設けられる。「イン」の設定項目により、プログラムミキシングがOFFからONに切り替わる際のパルス幅変化スピードを指定可能とされ、「アウト」の設定項目によりプログラムミキシングがONからOFFに切り替わる際のパルス幅変化スピードを指定可能とされる。
【0070】
また、図中、「ディレイ」の設定領域は、前述したディレイの時間長を設定するための領域である。本例では、「ディレイ」の領域には「スタート」と「ストップ」の設定項目がある。
「スタート」の設定項目は、プログラムミキシングのOFFからONへの切り替わりの際のディレイ時間を設定するための項目である。また、「ストップ」の設定項目は、プログラムミキシングのONからOFFへの切り替わりの際のディレイ時間を設定するための項目である。
本例におけるディレイの時間長設定においては、上記の「スタート」「ストップ」の設定項目に対し、任意の時間長を設定すればよい。
【0071】
図6の設定画面には、「スイッチ」の設定領域が設けられている。この「スイッチ」の設定領域は、主たる操作の操作子を設定するための領域であり、本例では、スロットル操作子を指定する情報を設定すればよい。
【0072】
図7の設定画面では、プログラムミキシングのON/OFFに関して、前述したON位置とOFF位置を設定するための「切替位置」の設定領域が設けられている。この「切替位置」の設定領域には、「ON」と「OFF」の設定項目があり、「ON」はON位置としての操作位置を設定するための項目であり、「OFF」はOFF位置としての操作位置を設定するための項目である。本例では、図6の設定画面においてスロットル操作子が設定されているため、これら「ON」「OFF」で設定対象とする操作位置は、スロットル操作位置となる。
前述のように本例では不感帯を設けるため、「ON」「OFF」の設定項目に対してはそれぞれ「0」以外の数値を設定する。
【0073】
なお、図7に示す例では、OFF側の数値をマイナス、ON側の数値をプラスの数値としているが、これは、後進側でプログラムミキシングをONとすることに対応させたものである。図7に示す設定画面において、OFF側、ON側それぞれの数値をプラス表記、マイナス表記とするかは任意であり、必ずしも図示の例に限定されるものではない。
【0074】
図8から図11は、ジャイロユニット5(ジャイロ制御部51)に対して行っておくべき事前設定を説明するための図である。
本例では、ジャイロユニット5に対する事前設定は、送信機3に対してジャイロユニット5を有線接続した状態で、送信機3に対する操作により行うことが可能とされる。本例では、図8から図11に示すジャイロユニット5の設定画面は、送信機3における表示画面33aに表示されるものであり、ユーザは、これら設定画面に対するタッチ操作により、ジャイロユニット5に対する事前設定を行うことができる。
【0075】
なお、ジャイロユニット5に対する事前設定を送信機3を介して行うことは必須ではなく、例えば、送信機3以外の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等)を介してジャイロユニット5に対する事前設定が行われてもよい。
【0076】
図8は、ジャイロユニット5の接続に応じて表示される画面の例を示している。
この画面には、「ベーシックメニュー」の項目が設けられている。図示は省略したが、この「ベーシックメニュー」の項目を選択することで、表示画面33a上には、ジャイロユニット5の各種設定メニューが表示され、ユーザは任意の設定メニューを選択することで、対応する設定画面を呼び出すことができる。
【0077】
図9は、ジャイロユニット5側におけるチャンネル割り当ての設定画面の例を示している。先の図4と同様に、複数のページをまとめて示している。
先の図4で説明したように、本例では、送信機3側のチャンネル設定においてCH12を「GYRO.REV」のチャンネルとして指定しているので、ジャイロユニット5側においてもこれに対応させて、CH12を「GYRO.REV」に設定する。
【0078】
図10は、ジャイロユニット5側におけるD2からD5のモードの設定画面の例を示している。
この設定画面は、ジャイロユニット5側で特定チャンネルの受信信号のパルス幅とD2からD5のモードとの紐付けを行うための画面となる。図示のように該設定画面では、D2からD5のモードごとに、前述した「-100」から「100」の範囲の表記上でパルス幅を指定可能とされている。
前述のように、本例では「-75」から「-25」の範囲をD2、「-25」から「25」の範囲をD3、「25」から「75」の範囲をD4、「75」から「100」の範囲をD5に割り当てるものと定めているので、該設定画面においても、これに従った割り当てが行われるように、モードごとのパルス幅の指定を行う。
【0079】
図11は、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせを設定するための設定画面の例を示している。
本例において、この図11の設定画面では、D1からD5のモードの識別子が表示される領域をタッチすることで、D1からD5の何れかのモードを選択することができる。図11AはD1のモードを選択した場合、図11BはD2のモードを選択した場合、図11CはD3のモードを選択した場合、図11DはD4のモードを選択した場合、図11EはD5のモードを選択した場合の画面例をそれぞれ示している。
図11の設定画面では、ジャイロセンサ52ごと(図中「AIL」「ELE」「RUD」ごと)に、姿勢制御の制御方向についての順方向(図中「無効」)、逆方向(図中「リバース」)を設定可能とされている。
ただし、図11Aにおいて、D1については前進モードであるため、これら順方向/逆方向の設定を行うことが不能とされている。
【0080】
この図11に例示するような設定画面により、ユーザは、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせを、D2からD5のモードごとに事前設定しておくことができる。
【0081】
[1-5.処理手順例]
図12及び図13のフローチャートを参照して、第一実施形態としての制御方向切替手法を実現するための具体的な処理手順例を説明する。
図12は送信機3側の処理手順例であり、図13はジャイロユニット5側の処理手順例である。
図12に示す処理は、送信機側制御部31が実行するものであり、図13に示す処理はジャイロ制御部51が実行するものである。
【0082】
図12において、送信機側制御部31は、先ずステップS101で、スロットルの操作位置が「切替位置」の「ON」の設定値以下に低下したか否かを判定する。すなわち、スロットル操作位置の値が、図7に示した設定画面の「切替位置」における「ON」の項目に設定されたスロットル操作位置(図7ではプラス表示であるが内部的にはマイナスの値で記憶される)の値以上に上昇したか否かを判定する。
【0083】
ステップS101において、スロットルの操作位置が「切替位置」の「ON」の設定値以下に低下していないと判定した場合、送信機側制御部31はステップS102に進み、スロットルの操作位置が「切替位置」の「OFF」の設定値以上に上昇したか否かを判定する。すなわち、スロットル操作位置の値が、図7に示した設定画面の「切替位置」における「OFF」の項目に設定されたスロットル操作位置(図7ではマイナス表示であるが内部的にはプラスの値で記憶される)の値以上に上昇したか否かを判定する。
【0084】
ステップS102において、スロットルの操作位置が「切替位置」の「OFF」の設定値以上に上昇していないと判定した場合、送信機側制御部31はステップS103に進み、処理終了であるか否かを判定する。すなわち、例えば電源断等、図12に示す処理を終了すべきものとして予め定められた条件が成立したか否かを判定する。
【0085】
ステップS103で処理終了ではないと判定した場合、送信機側制御部31はステップS101に戻る。
【0086】
上記ステップS101→S102→S103→S101のループ処理により、送信機側制御部31は、スロットル操作位置が「切替位置」の「ON」の設定値以下に低下するとの条件、スロットル操作位置が「切替位置」の「OFF」の設定値以上に上昇するとの条件、処理終了条件の何れかが成立するまで待機するようにされる。
【0087】
ステップS101において、スロットルの操作位置が「切替位置」の「ON」の設定値以下に低下したと判定した場合、送信機側制御部31は、ステップS104に進んでタイムカウントをスタートし、続くステップS105でディレイ時間が経過するまで待機する。すなわち、図5の設定画面の「ディレイ」における「スタート」で指定されたディレイ時間が経過するまで待機する。
【0088】
ステップS105において、ディレイ時間が経過したと判定した場合、送信機側制御部31はステップS106に進み、特定チャンネルの送信信号のパルス幅を「オフセット」の「ON」の設定値に応じたパルス幅に変化させる。つまり本例では、CH12により送信する切替通知信号について、そのパルス幅を、図5の設定画面の「オフセット」の「ON」の設定値により指示されたパルス幅に変化させる。
これにより、被操縦体2の動作が前進から後進に切り替わった場合に対応して、D2からD5のモードのうち、上記「オフセット」の「ON」の設定値により指示されたモードをジャイロユニット5側に指示することができる。また、切替通知信号のパルス幅の変化により、ジャイロユニット5側に制御方向の切り換えタイミングを指示することができる。
【0089】
送信機側制御部31は、上記ステップS106の処理を実行したことに応じて、処理をステップS110に進めて、ステップS104で開始したタイムカウントを停止すると共に、カウント値をリセットする処理を行って、ステップS101に戻る。
【0090】
また、先のステップS102において、スロットルの操作位置が「切替位置」の「OFF」の設定値以上に上昇したと判定した場合は、ステップS107に進んでタイムカウントをスタートした後、ステップS108でディレイ時間が経過するまで待機する。ここで言うディレイ時間としても、図5の設定画面の「ディレイ」における「ストップ」で指定されたディレイ時間である。
【0091】
ステップS108において、ディレイ時間が経過したと判定した場合、送信機側制御部31はステップS109に進み、特定チャンネルの送信信号のパルス幅を「オフセット」の「OFF」の設定値に応じたパルス幅に変化させる。つまり本例では、CH12により送信する切替通知信号について、そのパルス幅を、図5の設定画面における「オフセット」の「OFF」の設定値により指示されたパルス幅に変化させる。具体的には、D1に対応したパルス幅である。
これにより、被操縦体2の動作が後進から前進に切り替わった場合に対応して、ジャイロセンサ52ごとの姿勢制御の制御方向を、前進時に対応した方向(順方向)に切り替える指示をジャイロユニット5側に行うことができる。また、この場合も、切替通知信号のパルス幅の変化により、ジャイロユニット5側に制御方向の切り換えタイミングを指示することができる。
【0092】
送信機側制御部31は、ステップS109の処理を実行したことに応じて、処理を上述したステップS110に進める。すなわち、ステップS107で開始したタイムカウントを停止すると共に、カウント値をリセットする処理を行う。
前述したようにステップS110の処理を実行したことに応じて、送信機側制御部31はステップS101に戻る。
【0093】
また、送信機側制御部31は、ステップS103で処理終了と判定した場合は、図12に示す一連の処理を終える。
【0094】
続いて、図13を参照し、ジャイロユニット5側の処理を説明する。
図13において、ジャイロ制御部51はステップS201で、特定チャンネルの受信信号のパルス幅が変化したか否かを判定する。具体的に本例では、CH12の受信信号のパルス幅が変化したか否かを判定する。
【0095】
ステップS201において、特定チャンネルの受信信号のパルス幅が変化していないと判定した場合、ジャイロ制御部51はステップS202に進み、処理終了であるか否かを判定する。すなわち、例えば電源断等、図13に示す処理を終了すべきものとして予め定められた条件が成立したか否かを判定する。
【0096】
ステップS202で処理終了ではないと判定した場合、ジャイロ制御部51はステップS201に戻る。
これによりジャイロ制御部51は、特定チャンネルの受信信号のパルス幅が変化するとの条件、処理終了条件の何れかが成立するまで待機するようにされる。
【0097】
ステップS201において、特定チャンネルの受信信号のパルス幅が変化したと判定した場合、ジャイロ制御部51はステップS203に進み、前進→後進に応じたパルス幅変化か否かを判定する。具体的に本例では、前述したD1に対応したパルス幅から別のパルス幅に変化したか否かを判定する。
【0098】
ステップS203において、前進→後進に応じたパルス幅変化であると判定した場合、ジャイロ制御部51はステップS204に進み、パルス幅が示すモードの事前設定に従ってジャイロごとの制御方向を制御する。具体的には、特定チャンネルの受信信号のパルス幅に基づき、D2からD5のモードのうち何れのモードが指示されているか否かを判定し、判定したモードに対して、先の図11の設定画面で事前設定されたジャイロセンサ52ごとの制御方向を参照し、該参照したジャイロセンサ52ごとの制御方向が設定されるように、各入力切替部54のスイッチ56を制御する。
ジャイロ制御部51は、ステップS204の処理を実行したことに応じてステップS201に戻る。
【0099】
また、ジャイロ制御部51は、ステップS203で前進→後進に応じたパルス幅変化ではないと判定した場合には、ステップS205に進んで、前進時の設定に従ってジャイロごとの制御方向を制御する。すなわち本例では、ジャイロセンサ52ごとの制御方向が全て順方向となるように各入力切替部54のスイッチ56を制御する。
ジャイロ制御部51は、ステップS205の処理を実行したことに応じてステップS201に戻る。
【0100】
また、ジャイロ制御部51は、ステップS202で処理終了であると判定した場合は、図13に示す一連の処理を終える。
【0101】
[1-6.第一実施形態の別例]
ここで、上記では、D2からD5のモードを利用して、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせを複数の組み合わせのうちか選択可能とする例を挙げたが、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせについて、このように複数組のうちからの選択を可能とすることは必須ではない。
【0102】
例えば、プログラムミキシング機能で用意されるDG1のチャンネルを用いることで、複数組からの選択を行わない手法を実現することができる。
プログラムミキシング機能では、前述した「スレーブ」(図5参照)のチャンネルとしてDG1のチャンネルを指定した場合には、D1とD5の2モード間での切り替えとなる。このため、後進時におけるジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせは、D5としての1組が自動的に選択されるものとなる。
【0103】
この場合における具体的な事前設定の手法を図14から図17を参照して説明しておく。
図14は、先の図4と同様に送信機3におけるチャンネルの割り当て設定を行うための設定画面例を示している。この場合は、図示のようにDG1のチャンネルを「GYRO.REV」のチャンネルとして設定する。
ここで、図示による説明は省略するが、DG1のチャンネルを指定した場合においても、先の図5から図7に示したものと同様の設定画面において、「スレーブ」や「ディレイ」の設定、「スイッチ」(主たる操作子)の設定、及び「切替位置」(プログラムミキシングをON/OFFする操作位置)の設定を行う。この場合も、前述した不感帯を設けるのであれば、ON位置とOFF位置は「0」以外の値を設定する。
【0104】
図15から図17は、ジャイロユニット5側の設定画面の例である。
図15に示すように、この場合、ジャイロユニット5側のチャンネル割り当て設定としても、DG1を「GYRO.REV」に設定する。
【0105】
また、図16に示すように、この場合はDG1のチャンネルを指定するため、後進時(つまりプログラムミキシングON時)のパルス幅には、D5のパルス幅が自動的に選択される。
【0106】
この場合、ジャイロセンサ52ごとの制御方向の組み合わせについては、図17に示すように、D5に対してのみ行っておく。
【0107】
DG1のチャンネルを用いる場合、送信機側制御部31は、先の図12に示した処理のステップS106において、特定チャンネルの送信信号のパルス幅をD5に対応するパルス幅に変化させる処理を行う。他の処理については、図12で説明したものと同様の処理を行えばよい。
【0108】
また、DG1のチャンネルを用いる場合、ジャイロ制御部51側では、先の図13で説明した処理と同様の処理を行えばよい。
【0109】
<2.第二実施形態>
続いて、第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、前述した制御方向の切り替えタイミングのディレイを、ジャイロユニット側で行うものである。
【0110】
図18は、第二実施形態としてのジャイロユニット5Aの構成例についての説明図であり、先の図3と同様、図2に示した受信機4とサーボモータ8-a、8-e、8-rを併せて示している。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0111】
ジャイロユニット5Aは、ジャイロユニット5と比較して、ジャイロ制御部51に代えてジャイロ制御部51Aを有する点が異なる。ジャイロ制御部51Aは、制御方向の切り替えタイミングについてのディレイ機能を有する点がジャイロ制御部51と異なる。
【0112】
図19は、ジャイロ制御部51Aが行う処理のフローチャートである。
先の図13に示した処理との相違点は、ステップS201で特定チャンネルの受信信のパルス幅が変化したと判定した場合に、ステップS301の待機処理を経て、ステップS203の処理に移行する点である。
このステップS301の待機処理が設けられることで、切替通知信号のパルス幅(信号態様)が変化したタイミングに対し、姿勢制御の制御方向の切り替えタイミングがディレイされる。
【0113】
ステップS301の待機処理としては、例えば、ジャイロ制御部51が予め設定されたディレイ時間分待機する処理とすることが考えられる。この場合のディレイ時間は、ユーザ操作に基づき可変的に設定されるものとしてもよいし、固定値が用いられてもよい。
【0114】
或いは、この場合のディレイについては、被操縦体2の前進と後進の切り替わりを推定する推定部を設けて、該推定部の推定結果に基づいて行うこともできる。
【0115】
図20は、このように推定部の推定結果に基づいてディレイを行う第二実施形態の別例としてのジャイロユニット5Bの構成例の説明図である。
ジャイロユニット5Bは、ジャイロユニット5と比較して、推定部60を有する点、及びジャイロ制御部51に代えてジャイロ制御部51Bを有する点が異なる。
【0116】
推定部60は、被操縦体2の前進と後進の切り替わりを推定する。
推定部60の具体例としては、被操縦体2に搭載される加速度センサ(不図示)の検出信号に基づいて被操縦体2の前進と後進の切り替わりを推定する構成を挙げることができる。
具体的に、この場合の加速度センサとしては、被操縦体2の前後方向に作用する加速度を検出可能に被操縦体2に搭載しておく。推定部60は、該加速度センサにより検出される前後方向の加速度に基づいて被操縦体2の前進と後進の切り替わりを推定する。
なお、加速度センサは、推定部60の外部に設けてもよいし、推定部60に内蔵されてもよい。
【0117】
また、推定部60としては、推進用モータ7の駆動電流又は駆動電圧の検出結果に基づいて被操縦体2の前進と後進の切り替わりを推定するように構成することが考えられる。
具体的に、この場合の推定部60は、推進用モータ7の駆動電流又は駆動電圧の値を検出し、該駆動電流又は駆動電圧の値が所定の閾値以下となった状態が一定時間以上となったら、前進と後進の切り替わりであると推定する。
【0118】
ジャイロ制御部51Bは、特定チャンネルの受信信号(切替通知信号)のパルス幅が変化したと判定した場合に、推定部60により前進と後進の切り替わりが推定されたか否かを判定し、推定部60により前進と後進の切り替わりが推定されたことに応じて、制御方向の切り換え制御を行う。
これにより、前進操作と後進操作の切り替わりタイミングに対して、制御方向の切り換えタイミングをディレイさせることができる。具体的にこの場合は、被操縦体2の動作が実際に前進から後進、又は後進から前進に切り替わったと推定されてから、制御方向の切り換えを行うことができる。
【0119】
なお、第二実施形態のようにジャイロユニット側でディレイを行う場合において、第一実施形態のように送信機3側でディレイを行うか否かは任意である。送信機3側でディレオを行わない場合には、前述した「ディレイ」の項目の「スタート」を「0.0秒」とすればよい。さらに、ジャイロユニット側で付与するディレイをスロットル操作位置の極性変化タイミングからのディレイとしたい場合には、前述した「切替位置」の設定において、ON位置とOFF位置の設定値を共に「0」とすればよい。
【0120】
<3.変形例>
なお、実施形態としては上記により説明した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例としての構成を採り得る。
例えば、第二実施形態では、ディレイをジャイロユニット5A(又は5B)側で行う例を説明したが、前述した制御方向切り替えに係る不感帯をジャイロユニット5A側の処理で実現することも考えられる。
【0121】
ジャイロユニット5A側の処理で不感帯を実現する場合には、ジャイロ制御部51Aにスロットル信号が入力されるようにしておく。
その上で、ジャイロ制御部51Aに、図21のフローチャートに示す処理を実行させる。なお、この場合は、送信機3側でディレイ処理を行わないことを前提とする。
【0122】
図21に示すように、この場合は、ステップS203で前進→後進に応じたパルス幅変化であると判定した場合に、ステップS401で、後進側のスロットル操作量が所定時間以内に所定量以上に上昇したか否かを判定する。このステップS401で後進側のスロットル操作量が所定時間以内に所定量以上に上昇したと判定した場合に、ステップS204の処理に移行する。これにより、前進操作から後進操作への切り替わりの際の不感帯が実現される。
図示のようにステップS401で後進側のスロットル操作量が所定時間以内に所定量以上に上昇しなかったと判定した場合、ジャイロ制御部51AはステップS201に戻る。
【0123】
また、この場合は、ステップS203で前進→後進に応じたパルス幅変化ではないと判定した場合に、ステップS402で、前進側のスロットル操作量が所定時間以内に所定量以上に上昇したか否かを判定する。このステップS402で前進側のスロットル操作量が所定時間以内に所定量以上に上昇したと判定した場合に、ステップS205の処理に移行する。これにより、後進操作から前進操作への切り替わりの際の不感帯が実現される。
ステップS402で前進側のスロットル操作量が所定時間以内に所定量以上に上昇しなかったと判定した場合、ジャイロ制御部51AはステップS201に戻る。
【0124】
なお、ステップS401やS402における「所定量」は、ユーザ操作に基づき可変的に設定されるものとしてもよいし、固定値を用いるものとしてもよい。
【0125】
ここで、これまでの説明では、推進用モータ7の回転方向の反転により前進と後進が切り替わるように構成された被操縦体2を前提としたが、本発明は、可変ピッチプロペラを採用した被操縦体2にも適用に適用することができる。
可変ピッチプロペラとは、羽根の角度(ピッチ)を自在に変えることができるスクリュープロペラを意味する。ピッチを変えることにより推進用モータ7の回転方向に拘わらず任意の前後方向の推進力を得ることができる。
この場合には、推進用モータ7の回転方向ではなく、前後進切り替えのピッチ変化に応じて姿勢制御の制御方向を切り替えればよい。
【0126】
また、これまでの説明では、プログラムミキシング機能を利用する例、換言すれば、切替通知信号として、スロットル信号とは別の信号を用いる例を挙げたが、ジャイロユニット5(又は5A、5B)にスロットル信号が入力されるようにし、ジャイロ制御部51(又は51A、51B)がスロットル信号に基づいて前進/後進の切り換えタイミングを判定する手法を採ることも考えられる。
この場合には、制御方向の切り換え制御にあたり、プログラムミキシング機能の利用は不要である。
【0127】
また、これまでの説明では、本発明を適用する被操縦体2が模型飛行機とされた例を挙げたが、本発明は、模型ヘリコプターやドローン(drone)等の他の飛行体としての被操縦体2にも適用可能である。
また、本発明は、例えば模型車両や各種ロボット等、飛行体以外の被操縦体2に対しても適用することが可能である。
【0128】
<4.実施形態のまとめ>
以上で説明してきたように実施形態としてのジャイロユニット(同5、5A、5B)は、外部より受信される操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体(同2)に搭載されるジャイロユニットであって、ジャイロセンサ(同8-a,8-e,8-r)と、操縦信号とジャイロセンサの検出信号とに基づき、被操縦体の姿勢制御のための演算を行う演算部(同53)と、被操縦体の前進時と後進時とで姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御を行う制御部(ジャイロ制御部51,51A,51B)と、を備えたものである。
上記構成によるジャイロユニットを用いることで、前進時と後進時の双方で姿勢制御機能を利用可能となる。
従って、被操縦体の後進を伴う操縦を行う場合における操縦容易性の向上を図ることができる。
【0129】
また、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、操縦信号を送信する送信機(同3)が、信号送信チャンネルとして複数のチャンネルを有すると共に、複数のチャンネルのうち予め定められた特定チャンネルにより被操縦体の前進/後進の切り替え操作に係る信号である切替通知信号を送信し、制御部は、特定チャンネルの送信信号に基づいて制御方向の切り替え制御を行っている。
これにより、操縦システムの通信フォーマットで定められた既存の送信チャンネルを有効利用して前進時/後進時の姿勢制御方向の切り替え制御を実現することができる。
【0130】
さらに、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、検出信号の非反転信号を演算部に入力する非反転入力状態と、検出信号の反転信号を演算部に入力する反転入力状態との切り替えが可能に構成された入力切替部(同54-a,54-e,54-r)を備え、制御部は、制御方向の切り替え制御として、入力切替部の制御を行っている。
これにより、姿勢制御にPID制御を適用した場合であっても、前進/後進の切り替えに応じた適切な姿勢制御信号が得られるように図られる。
従って、前進時及び後進時の姿勢制御の精度向上を図ることができる。
【0131】
さらにまた、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、ジャイロセンサとして、角速度の検出対象軸が異なる複数のジャイロセンサを備えており、ジャイロセンサごとに後進時の制御方向を個別に設定可能とされている。
例えば、飛行体としての被操縦体を用いた飛行演技等、被操縦体を用いた演技の種別や、操縦者の好み等によっては、後進時における制御方向について、全てのジャイロ(検出対象軸)の制御方向を前進時とは逆方向にしたい場合や、一部のジャイロについては制御方向を前進時と同じとしたい等といったことが要請されることが考えられる。
上記構成によれば、後進時におけるジャイロごとの制御方向について、そのような様々なニーズに応えることが可能となり、使い勝手の向上を図ることができる。
【0132】
また、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、後進時におけるジャイロセンサごとの制御方向の組み合わせを、事前設定された複数の組み合わせのうちから選択可能に構成されている。
これにより、後進時におけるジャイロごとの制御方向の設定を変更したい場合において、操縦者等のユーザは、事前設定された制御方向の組み合わせのうちから任意の組み合わせを選択すれば済む。
従って、後進時におけるジャイロごとの制御方向の設定変更に要するユーザの操作負担軽減を図ることができる。
【0133】
さらに、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、操縦信号を送信する送信機が、信号送信チャンネルとして複数のチャンネルを有すると共に、ユーザ操作に基づき、複数のチャンネルのうち予め定められた特定チャンネルにより組み合わせを指示する信号を送信し、制御部は、特定チャンネルの送信信号に基づいて組み合わせを選択している。
上記構成によれば、制御部は、送信機から特定チャンネルで無線送信される指示信号に基づいて後進時におけるジャイロごとの制御方向の組み合わせを選択することが可能となる。
従って、ジャイロユニットにジャイロごとの制御方向の組み合わせを選択するための操作子を設けたり、ジャイロユニットと送信機を有線接続したりする必要をなくすことができる。また、飛行体としての被操縦体が飛行中の状態等、被操縦体の動作中においても後進時におけるジャイロごとの制御方向の設定を変更可能とすることができる。
【0134】
さらにまた、実施形態としてのジャイロユニット(同5A)においては、送信機が送信する切替通知信号は、前進操作と後進操作の切り替えに応じて信号態様が変化する信号とされ、制御部(同51A)は、前進操作と後進操作の切り替えに応じて切替通知信号の信号態様が変化したタイミングに対し、制御方向の切り替えタイミングをディレイさせている。
上記のディレイにより、被操縦体の動作が前進から後進、又は後進から前進に切り替わるよりも前に制御方向の切り替えが行われてしまうことの防止を図ることが可能となる。
従って、前進と後進の切り替わりの際に逆方向の姿勢制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能となり、姿勢制御の安定性向上を図ることができる。
【0135】
また、実施形態としてのジャイロユニット(同5B)においては、被操縦体の前進と後進の切り替わりを推定する推定部(同60)を備え、制御部(同51B)は、推定部の推定結果に基づいて制御方向の切り替えタイミングをディレイさせている。
これにより、被操縦体の動作が実際に前進から後進、又は後進から前進に切り替わったか否かの推定結果に基づいて制御方向の切り替えタイミングをディレイさせることが可能となる。
従って、前進と後進の切り替わり際に逆方向の姿勢制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能となり、姿勢制御の安定性向上を図ることができる。
【0136】
さらに、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、推定部は、被操縦体に搭載される加速度センサの検出信号に基づいて被操縦体の前進と後進の切り替わりを推定している。
加速度センサにより、被操縦体の前進と後進の切り替わりを適切に推定することができる。
【0137】
さらにまた、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、推定部は、被操縦体の推進用モータの駆動電流又は駆動電圧の検出結果に基づいて被操縦体の前進と後進の切り替わりを推定している。
前進と後進の切り替わり時には、推進用モータの駆動電流又は駆動電圧の値が一旦「0」を経由する。
従って、推進用モータの駆動電流又は駆動電圧の検出結果に基づき、被操縦体の前進と後進の切り替わりを適切に推定することができる。
【0138】
また、実施形態としてのジャイロユニットにおいては、制御部は、被操縦体の前進と後進の切り替え操作が行われた場合において、切り替え後の進行方向の推力の操作量が所定操作量を超えるまでは制御方向の切り替え制御を行わない(図21等参照)。
これにより、被操縦体の動作が前進から後進、又は後進から前進に切り替わるよりも前に制御方向の切り替えが行われてしまうことの防止を図ることが可能となる。
従って、前進と後進の切り替わり際に逆方向の姿勢制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能となり、姿勢制御の安定性向上を図ることができる。
【0139】
実施形態としての操縦システムは、操縦信号に基づき操縦が行われる被操縦体(同2)に対して操縦信号を送信する送信機(同3)と、被操縦体に搭載されるジャイロユニット(同5,5A,5B)とを備えて構成される操縦システムであって、送信機は、信号送信を行う送信部(同34)を備え、ジャイロユニットは、ジャイロセンサ(同52-a,52-e,52-r)と、ジャイロセンサの検出信号に基づき、被操縦体の姿勢制御のための演算を行う演算部(同53)と、被操縦体の前進時と後進時とで姿勢制御の制御方向が切り替えられるように制御を行うジャイロ側制御部(ジャイロ制御部51,51A,51B)と、を備えるものである。
上記構成によるジャイロユニットを用いることで、前進時と後進時の双方で姿勢制御機能を利用可能となる。
従って、被操縦体の後進を伴う操縦を行う場合における操縦容易性の向上を図ることができる。
【0140】
また、実施形態としての操縦システムにおいては、送信機は、被操縦体についての前進と後進の切り替え操作タイミングに対してディレイさせたタイミングで制御方向の切り替えを指示する信号を送信部により送信させる送信機側制御部(同31)を備えている。
上記のディレイにより、被操縦体の動作が前進から後進、又は後進から前進に切り替わるよりも前に制御方向の切り替えが行われてしまうことの防止を図ることが可能となる。
従って、前進と後進の切り替わり際に逆方向の姿勢制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能となり、姿勢制御の安定性向上を図ることができる。
【0141】
さらに、実施形態としての操縦システムにおいては、送信機は、被操縦体の前進と後進の切り替え操作に基づいてジャイロユニットに対する制御方向の切り替え指示を行う送信機側制御部(同31)を備え、送信機側制御部は、前進と後進の切り替え操作に関して、切り替え後の進行方向の推力の操作量が所定操作量を超えるまでは制御方向の切り替え指示を行わない。
これにより、被操縦体の動作が前進から後進、又は後進から前進に切り替わるよりも前に制御方向の切り替えが行われてしまうことの防止を図ることが可能となる。
従って、前進と後進の切り替わり際に逆方向の姿勢制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能となり、姿勢制御の安定性向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0142】
1 操縦システム
2 被操縦体
21 胴体部
22 主翼
23 水平尾翼
24 垂直尾翼
25 プロペラ
26 エルロン
27 エレベータ
28 ラダー
3 送信機
3a アンテナ
31 送信機側制御部
32 操作部
33 表示部
33a 表示画面
34 送信部
35 通信部
4 受信機
5,5A,5B ジャイロユニット
6 ESC(スピードコントローラ)
7 推進用モータ
8,8-a,8-e,8-r サーボモータ
20 送信機
20a アンテナ
21 操縦側制御部
22 操作部
23 表示部
24 操縦側通信部
50 通信部
51,51A,51B ジャイロ制御部
52,52-a,52-e,52-r ジャイロセンサ
53 演算部
54,54-a,54-e,54-r 入力切替部
55 反転回路
56 スイッチ(SW)
60 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21