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特開2024-157859断熱シートが施された建物および断熱シートが施された建物の製造方法
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  • 特開-断熱シートが施された建物および断熱シートが施された建物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157859
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】断熱シートが施された建物および断熱シートが施された建物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20241031BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20241031BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20241031BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04B1/80 100A
E04B1/76 500F
E04B1/76 500Z
E04B9/00 B
E04B2/56 645C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072482
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000133984
【氏名又は名称】BXテンパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】石田 和成
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA06
2E001FA14
2E001GA24
2E001HB04
2E001HF11
2E001LA00
2E002MA34
(57)【要約】
【課題】本発明は、施工コストや時間を大幅に短縮することを課題とする。
【解決手段】本発明は、建物1と断熱シート2と磁石3を備え、建物1は、天井または壁面の室内側に、鋼材(13・12)を有し、断熱シート2は、潰すまたは削ることで厚さを薄くできる材料で形成されており、厚さを薄くされた取付部23が形成されており、磁石3は、取付部23に取付けられて、断熱シート2が鋼材(13・12)に固定されていることを特徴とする建物とすることで、課題を解決することができた。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物と断熱シートと磁石を備え、
建物は、天井または壁面の室内側に、鋼材を有し、
断熱シートは、
潰すまたは削ることで厚さを薄くできる材料で形成されており、
厚さを薄くされた取付部が形成されており、
磁石は、取付部に取付けられて、断熱シートが鋼材に固定されていることを特徴とする建物。
【請求項2】
磁石の上に、接着シートが貼られている請求項1記載の建物。
【請求項3】
鋼材は、梁、垂木または屋根材である請求項1記載の建物。
【請求項4】
建物は、天井または壁面の室内側に、鋼材を有し、
(工程1) 鋼材に対して断熱シートを位置決めする工程、
(工程2) 断熱シートは、潰すまたは削ることで厚さを薄くできる材料で形成されており、厚さを薄くすることで取付部を形成する工程、
(工程3) 取付部に磁石を取付け、断熱シートを鋼材に固定する工程、
を含む、建物の製造方法。
【請求項5】
さらに、
(工程4) 取付けた磁石の上に、接着シートを貼る工程
を備えた、建物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の断熱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物は、燃料費の上昇により、断熱性能の向上が求められている。既設の建物は、さらに断熱性を向上するため、断熱材を取り付ける施工が施されるようになってきた。特に、倉庫や工場などの建物は、寒暖の差が大きいことから、断熱材を取り付ける工事が求められている。
【0003】
これまで、特許文献1のように簡易的な断熱施工方法として、断熱シートを壁や天井に取り付けることが行われている。
特許文献1の断熱シートは、周囲に鳩目(ハトメ)が取り付けられており、鳩目(ハトメ)を周囲に形成したものであった。断熱シートは、建物側の何らかの部材にフックが取り付けられており、当該フックに断熱シートを引掛けることで施工が短時間で完了する。
しかしながら、断熱シートは、取り付け部位に対応する大きさに切断し、その周囲に鳩目を形成する作業を要するため、断熱シートを準備するのに時間やコストがかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-168951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、施工コストや時間を大幅に短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の第1の態様は、以下の構成を具備するものである。
建物と断熱シートと磁石を備え、建物は、天井または壁面の室内側に、鋼材を有し、断熱シートは、潰すまたは削ることで厚さを薄くできる材料で形成されており、厚さを薄くされた取付部が形成されており、磁石は、取付部に取付けられて、断熱シートが鋼材に固定されていることを特徴とする建物。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、建物は、天井または壁面の室内側に、鋼材を有し、(工程1) 鋼材に対して断熱シートを位置決めする工程、(工程2) 断熱シートは、潰すまたは削ることで厚さを薄くできる材料で形成されており、厚さを薄くすることで取付部を形成する工程、(工程3) 取付部に磁石を取付け、断熱シートを鋼材に固定する工程、を含む、建物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、断熱シートの準備から施工までの総合的なコストと施工時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、建物1の一部の領域を斜め上方から観た斜視図である。図1は、説明のため所々屋根材11(折板)を取り除いて図示している。
図2図2は、図1に付したA-A間の断面図である。図2(A)は、磁石による断熱シートの固定の第1の態様を表し、図2(B)は、磁石による断熱シートの固定の第2の態様を表わす。
図3図3は、図1に付したB-B間の断面図である。
図4図4は、断熱シートの断面図である。
図5図5は、断熱シートの取付け態様を示す説明図である。
図6図6は、作業工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例)
実施例は、屋根材11に折板を使った倉庫などによくみられる建物1に関する例である。図1は、建物1の一部の領域を斜め上方から観た斜視図である。図1は、説明のため所々屋根材11(折板)を取り除いて図示している。図示してない桁(鋼材)と桁(鋼材)の間には、何本もの梁12(鋼材)が通されている。
【0011】
(梁)
梁12(鋼材)は、支柱17で支えられており、その上面にタイトフレーム15が取り付けられている。タイトフレーム15は、屋根材11(折板)を支える部材である。実施例の断熱シート2は、屋根材11から来る冷気や熱気を遮断するために設置されており、何枚もの断熱シート2が天井に隙間無く取り付けられている。
実施例は、露出する梁12(鋼材)を備えた建物1に関する例である。本発明の断熱シート2が適用される建物1は、構造は適宜でよく、実施例はその一例を示しているに過ぎない。
【0012】
(下地材)
下地材13(鋼材・H形鋼)は、その上に断熱シート2が載置され、断熱シート2を支えるものである。
下地材13(鋼材・H形鋼)は、複数の梁12(鋼材)の間を繋ぐように梁12(鋼材)と直交する方向に取り付けられている。実施例の下地材13(鋼材・H形鋼)は、梁12(鋼材)を支える建物1のH形鋼からなる構造材を利用している。建物1に、実施例のような断熱シート2を支える適当な構造材(下地材13)が無いときは、作業者が、下地材13(鋼材・H形鋼)になるような棒材を梁12(鋼材)に後付けすることができる。
後付けする下地材13(鋼材・H形鋼)は、梁12(鋼材)の上に設けられたタイトフレーム15の間を挿通するように取り付けられていてもよい。下地材13は、断熱シート2を支えさえすればよく、特段固定されている必要はないが、梁12(鋼材)などに固定されてもよいことは言うまでもない。下地材13の素材は、木材、鋼材、アルミ材など材質を問わない。しかし、後述するように磁石3で断熱シート2を下地材13に固定したい場合は、下地材13の素材は、鋼材など磁石3が吸着する素材が選択される。実施例は、下地材13の素材として鋼材・H形鋼を選択し、下地材13に磁石3を用いて断熱シート2を固定する態様である。
【0013】
(針金)
実施例は、針金18を複数の梁12(鋼材)間に張設する態様を含んでいる。針金18は、下地材13(鋼材・H形鋼)と同じく断熱シート2を支えるものであり、実施例は、針金18と下地材13(鋼材・H形鋼)が交互に並ぶ態様となっている。針金18は、タイトフレーム15に巻き付けて固定してもよいし、ビスなどの締結具で梁12(鋼材)などに固定してもよい。針金18は、水平に設置されないと、その上に載る断熱シート2が水平にならないため、できる限りテンションをかけて水平になるように張設される。
この説明は、下地材13のバリエーションを説明するものであり、針金18でも建物1に備わっている構造材でも、さらに後付けの下地材13(鋼材・H形鋼)でも、とにかく断熱シート2を支えることができるのなら、下地材13(鋼材・H形鋼)の選択は適宜であることを述べるものである。針金18を含め、説明した下地材13(鋼材・H形鋼)は例示に過ぎない。下地材13(鋼材・H形鋼)を必要とせず断熱シート2を設置できるのであれば、下地材13(鋼材・H形鋼)は不要である。
また、下地材13に磁石3を使って断熱シート2を貼り付けない場合は、下地材13の素材は、鋼材に限られず、木などの磁石3が吸着しない材料であってもよい。
【0014】
(断熱シートの配置)
図1に図示されているように、断熱シート2は、梁12(鋼材)に対して平行に複数枚並べて取り付けられている。梁12(鋼材)の上はタイトフレーム15があるため、断熱シート2を梁12(鋼材)の上に設けることはできないが、梁12(鋼材)と梁12(鋼材)の間は、隙間無く複数枚の断熱シート2が張設されている。
さらに、変形例として、梁12(鋼材)の下面を覆うように、別の断熱材や断熱シート2を取り付ける態様を加えることができる。
【0015】
断熱シート2は、下地材13(鋼材・H形鋼)や針金18の上に載置されている。断熱シート2の横ずれを防ぐため、断熱シート2の梁12(鋼材)側の端部は、テープなどで梁12(鋼材)に貼り付けられていてもよいし、後述する磁石3により梁12(鋼材)に固定されてもよい。
【0016】
(磁石による固定位置)
図2は、図1に付したA-A間の断面図である。図2(A)は、磁石3による断熱シート2の固定の第1の態様を表しており、針金18は実際の寸法より強調して図示されている。タイトフレーム15を載せた梁12(鋼材)は説明のため図示していない。下地材13(鋼材・H形鋼)は、建物1に元々存在していた構造材であり、図から観て分かるようにH形鋼である。断熱シート2は、中間部にある下地材13(鋼材・H形鋼)と針金18の上に載せられている。針金18や下地材13(鋼材・H形鋼)の間隔は、断熱シート2が垂れ下がらず、ほぼ水平に取り付けることができる感覚になっている。断熱シート2の端部は、固定されなければならない。図2(A)は、端部にある下地材13(鋼材・H形鋼)のフランジ裏側132に磁石3で固定される態様を表している。実施例は、下地材13(鋼材・H形鋼)に断熱シート2を固定する態様であるが、建物1の端部に桁などの断熱シート2を固定するのに適した構造材(鋼材)がある場合は、桁などの構造材(鋼材)に断熱シート2を固定することができる。桁などの建物1の構造材(鋼材)を断熱シート2に固定することは、下地材13(鋼材・H形鋼))を別途取り付ける手間とコストを省けるため、好ましい態様である。
【0017】
図2(B)は、磁石3による断熱シート2の固定の第2の態様を表わす。第2の態様の断熱シート2は、端部にある下地材13(鋼材・H形鋼)のフランジ表側133で磁石3により固定されている。図示はしないが、断熱シート2は、端部にある下地材13(鋼材・H形鋼)のウエブ131に磁石3で固定されてもよい。
【0018】
(鋼材)
実施例は、断熱シート2を磁石3で固定する部材として、下地材13(鋼材・H形鋼)を使う態様である。変形例として、断熱シート2を固定する鋼材は、桁(鋼材)や梁12(鋼材)であってもよい。実施例は、一例に過ぎない。
【0019】
(壁・天井・部屋への適用)
実施例は、屋根材11(折板)の下に断熱シート2を展開する態様であった。変形例として、壁や天井に断熱シート2を展開してもよい。建物1の壁に断熱シート2を展開する場合、支柱17(鋼材)に断熱シート2が磁石3で固定される。支柱17が鋼材でない場合は、下地材13(鋼材)が壁や支柱17に取付けられ、断熱シート2が展開される。
建物1が小さな部屋に分けられている場合は、断熱シート2は、部屋の天井や壁に設置することも可能である。断熱シート2は、建物1であれば、どこにでも設置可能である。
【0020】
(断熱シートの鋼材への取付け位置)
断熱シート2は、下地材13(鋼材・H形鋼)のどこに取り付けられるかは、作業効率などを考慮して決められる。端部にある下地材13(鋼材・H形鋼)は、フランジ表側133に手が届かないことがある。そのような場合、下地材13(鋼材・H形鋼)のフランジ裏側132やウエブ131に取り付ける態様が採用される。
【0021】
(隣接する断熱シート間のオーバーラップ部)
図3は、図1に付したB-B間の断面図である。3枚の断熱シート2が、タイトフレーム15が取付けられた梁12(鋼材)と梁12(鋼材)の間に取付けられている。断熱シート2は、梁12(鋼材)と平行に延びている。隣接する断熱シート2同士は、オーバーラップ部26ができるように重ねられており、断熱シート2と断熱シート2の間に断熱性を損ねる隙間が空かないように配慮されている。必要に応じ、断熱シート2と断熱シート2の間に隙間が空かないようにテープなどで固定することは好ましい態様である。
【0022】
(断熱シート)
図4は、断熱シート2の断面図である。実施例の断熱シート2は、アルミ蒸着膜などから成る熱線反射層21があり、熱線反射層21を裏打ちする発泡断熱層22で構成される積層体である。
【0023】
発泡断熱層22は、潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる材料で形成されている。図4で図示された取付部23は、潰すまたは削ることで厚さ24が薄くなった領域である。
押圧は、何で潰すまたは削ってもよいが、取付部23に磁石3が取りつけられるため、磁石3と同様の形状と大きさの治具で押圧して潰すことできれいに厚さ24を薄くすることができる。また、取付部23は、押圧して潰した部分が元に戻らないように、例えば、治具の押圧面の下にヒータを設けた治具などを使って形成されてもよい。したがって、本発明でいう、潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる材料は、加熱と押圧により潰されて厚さ24を薄くできる材料であってもよく、その手段を問わない。
【0024】
熱線反射層21は、断熱シート2の断熱効果を高める作用をするが、発泡断熱層22で十分断熱性を確保できるのであれば、無くてもよい。
また、断熱シート2は、その一部に潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる材料が用いられていればよく、断熱シート2の全体が当該特性を備えている必要はない。また、実施例は、潰すまたは削ることで厚さ24を薄くできる特性を備えた材料として発泡断熱層22を使った例であるが、発泡していない断熱層であっても、当該特性を備えていれば本発明に適用できることは言うまでもない。
【0025】
(磁石による固定)
図5は、断熱シート2の取付け態様を示す説明図である。タイトフレーム15を支える梁12(鋼材)は、説明のため図示していない。前述のように取付部23は、潰したり削ったりすることで断熱シート2の厚さ24を減じられた領域である。取付部23は、断熱シート2の厚さ24が減じられているため、磁石3の効きが良好であり、しっかりと断熱シート2を固定するのに適している。
【0026】
(作業工程)
図6は、作業工程を説明する説明図である。作業者は、(工程1) 鋼材に対して断熱シートを位置決めする工程を行い、断熱シート2を、下地材13(鋼材・H形鋼)のフランジ裏側132に位置決めするように当てる。そして、作業者は、磁石3を取り付けるようとする位置を決める。
作業者は、断熱シート2の前記磁石3を取り付けようとする位置に対して、(工程2)厚さ24を薄くすることで取付部23を形成する工程を行う。この工程により、断熱シート2は押圧されて潰され、厚さ24の薄くなった取付部23が断熱シート2上に形成される。
次いで、作業者は、(工程3)取付部23に磁石3を取付け、断熱シート2を鋼材に固定する工程を行う。この工程で、作業者は、取付部23に磁石3を取付け、フランジ裏側132に断熱シート2を設置する。
その後、作業者は、(工程4) 取付けた磁石3の上に、接着シート25を貼る工程を行ってもよい。作業者は、念のため磁石3が脱落しないように取付部23に取り付けられた磁石3の上に接着シート25を貼り付ける。
【0027】
(オーバーラップ部の処理)
オーバーラップ部26は、2枚の断熱シート2が重なる領域である。オーバーラップ部26を構成する断熱シート2は、それぞれの取付部23が重なるように取付部23が形成される。そして、重ね合わせた取付部23に磁石3が取付けられる。このように、2枚の断熱シート2は、オーバーラップ部26で、1つの磁石3で固定される。
【0028】
以上、本発明に係る実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の実施例や変形例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 建物
11 屋根材(折板)
12 梁(鋼材)
13 下地材(鋼材・H形鋼)
131 ウエブ
132 フランジ裏側
133 フランジ表側
15 タイトフレーム
17 支柱
18 針金
2 断熱シート
21 熱線反射層
22 発泡断熱層
23 取付部
24 厚さ
25 接着シート
26 オーバーラップ部
3 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6