(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157872
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】液状浄化材の供給方法、及び、浄化システム
(51)【国際特許分類】
C02F 3/00 20230101AFI20241031BHJP
B09C 1/10 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C02F3/00 D ZAB
B09C1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072496
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 陽
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅子
【テーマコード(参考)】
4D004
4D027
【Fターム(参考)】
4D004AA01
4D004AA41
4D004AB01
4D004CA20
4D004CC15
4D027CA00
(57)【要約】
【課題】カビの発生を抑制できる液状浄化材の供給方法、及び、浄化システムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る液状浄化材の供給方法は、汚染された環境に対して供給槽から液状浄化材を供給する供給方法であって、前記液状浄化材は、酵母エキスを含有し、前記供給槽内の前記液状浄化材の上面に、厚さ5mm以上の油層を形成することを特徴とする。また、本発明に係る液状浄化材の供給方法は、前記油層の厚さが10mm以上であるのが好ましい。また、本発明に係る液状浄化材の供給方法は、前記酵母エキスがビール酵母エキスであるのが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された環境に対して供給槽から液状浄化材を供給する供給方法であって、
前記液状浄化材は、酵母エキスを含有し、
前記供給槽内の前記液状浄化材の上面に、厚さ5mm以上の油層を形成することを特徴とする液状浄化材の供給方法。
【請求項2】
前記油層の厚さは10mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の液状浄化材の供給方法。
【請求項3】
前記酵母エキスは、ビール酵母エキスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液状浄化材の供給方法。
【請求項4】
汚染された環境に対して液状浄化材を供給する浄化システムであって、
前記液状浄化材を貯留する供給槽と、
前記供給槽に貯留されている前記液状浄化材を前記環境に供給する供給管と、を備え、
前記液状浄化材は、酵母エキスを含有し、
前記供給槽に貯留されている前記液状浄化材の上面に、厚さ5mm以上の油層が形成されていることを特徴とする浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状浄化材の供給方法、及び、浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機塩素化合物や硝酸性窒素などの汚染物質によって汚染された環境を浄化する技術として、バイオレメディエーションが挙げられる。
このバイオレメディエーションは、液状の浄化材(液状浄化材)を浄化対象となる環境に供給することで微生物を活性化させ、この微生物によって当該環境に存在する汚染物質を分解除去する技術である。
そして、バイオレメディエーションは、比較的容易かつ低コストで実施できる浄化技術であるため、これまでにも様々な関連技術が報告されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、バイオレメディエーションで使用する液状浄化材を気体透過性膜に通過させて溶存水素濃度を上昇させることを特徴とした浄化方法が報告されている。
また、非特許文献1では、列状に配置された複数の注入管を介して、液状浄化材を浄化対象となる環境に供給することによって、汚染物質の拡散を防止できるバイオバリアを設ける技術が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】根岸昌範、高畑陽「汚染地下水拡散防止技術の変遷と現状」大成建設技術センター報第54号(2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や非特許文献1に報告されているようなバイオレメディエーションで使用される液状浄化材は、微生物を短期間で活性化させるために、アミノ酸、糖類、有機酸といった様々な有機物を含有しており、特に、微生物にとって栄養価の高い酵母エキスが用いられる場合が多い。本発明者らは、浄化期間を短縮できる「ビール酵母エキス」(特許第5841001号公報)を開発し、「ビール酵母エキス」などの酵母エキスを含有する液状浄化材について鋭意検討したところ、屋外などに設置された供給槽に液状浄化材を長期的に保管すると、液状浄化材の上面(液面)に大量のカビが発生することを確認した。そして、本発明者らは、このカビが衛生上の問題を招くだけでなく、カビが塊状となり、液状浄化材を浄化対象となる環境に供給する際に配管などで詰まりを引き起こしてしまうことを確認した。
【0007】
このような観点から、本発明は、カビの発生を抑制できる液状浄化材の供給方法、及び、浄化システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
本発明に係る液状浄化材の供給方法は、汚染された環境に対して供給槽から液状浄化材を供給する供給方法であって、前記液状浄化材は、酵母エキスを含有し、前記供給槽内の前記液状浄化材の上面に、厚さ5mm以上の油層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、油層が保護層の役割を果たして、液状浄化材が大気と直接触れることを防げるため、カビの発生を抑制することができる。
また、本発明に係る液状浄化材の供給方法は、前記油層の厚さが10mm以上であるのが好ましい。
本発明によれば、カビの発生をより確実に抑制することができる。
また、本発明に係る液状浄化材の供給方法は、前記酵母エキスがビール酵母エキスであるのが好ましい。
本発明によれば、汚染物質を分解する微生物を短期間で活性化することができる。
【0009】
本発明に係る浄化システムは、汚染された環境に対して液状浄化材を供給する浄化システムであって、前記液状浄化材を貯留する供給槽と、前記供給槽に貯留されている前記液状浄化材を前記環境に供給する供給管と、を備え、前記液状浄化材は、酵母エキスを含有し、前記供給槽に貯留されている前記液状浄化材の上面に、厚さ5mm以上の油層が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、油層が保護層の役割を果たすため、液状浄化材が大気に晒されようとも、カビの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液状浄化材の供給方法によれば、保管されている液状浄化材のカビの発生を抑制することができる。
本発明に係る浄化システムによれば、供給槽に貯留されている液状浄化材のカビの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る浄化システムの全体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る液状浄化材の供給方法、及び、浄化システムを実施するための形態(実施形態)について、図を参照して説明する。
最初に、保管対象である液状浄化材について説明する。
[保管対象である液状浄化材]
保管対象である液状浄化材は、バイオレメディエーションにおいて浄化対象となる環境に供給する液状の浄化材であって、酵母エキスを含有する。
酵母エキスとは、酵母に含まれる成分を抽出したものであって、汚染物質を分解する微生物の活性化に寄与するものの、カビの発生を誘発(言い換えると、本発明の課題を明確化)させる。そして、酵母エキスは、例えば、ビール酵母エキス、パン酵母エキス、トルラ酵母エキス、乳酵母などを挙げることができるが、これらの中でもビール酵母エキスが好ましい。ビール酵母エキスは、汚染物質を分解する微生物を短期間で活性化するだけでなく、嫌気的雰囲気を形成し、更には、電子供与体として、脱塩素細菌や脱窒素細菌の活性を高める役割をも果たす。そして、ビール酵母エキスは、本発明者らが開発した特許第5841001号の「ビール酵母を放線菌産生酵素類および担子菌産生酵素類で酵素処理して得られるビール酵母の酵素分解物」を使用すればよい。
なお、液状浄化材は、酵母エキス(ビール酵母エキス)のほかにも、一般的なバイオレメディエーション用の浄化材に使用されている物質、例えば、アミノ酸、有機酸、糖類、ビタミン類、pH調整剤などを含有してもよい。
【0013】
次に、本実施形態に係る液状浄化材の供給方法について説明する。
[液状浄化材の供給方法]
液状浄化材は、供給槽などの容器に保管されている際、液状浄化材の上面(液面)が大気に触れてしまう。そして、このような状態で液状浄化材を長期間保存していると、液状浄化材の上面にカビが大量に発生してしまう。
本実施形態に係る液状浄化材の供給方法は、供給槽内の液状浄化材の上面に油層を形成する、という手段を備える。油層が液状浄化材の保護層としての役割を果たすことによって、液状浄化材が大気と直接接触することがなくなるため、カビの発生を抑制することができる。また、液状浄化材の補充や使用によって、供給槽内に保管されている液状浄化材の上面が上下に変位したとしても、油層も追従して常に上面に位置するため、液状浄化材を大気に触れさせることなく、カビの発生し難い状態を保つことができる。加えて、油は基本的に常温で劣化し難いため、油層は長期的に保護層の役割を果たすことができる。
【0014】
(油層)
液状浄化材の上面に形成させる油層の厚さは、5mm以上であり、10mm以上が好ましい。油層の厚さが所定値以上であることによって、カビの発生をより確実に抑制することができる。
油層を構成する油は、保管対象である液状浄化材よりも比重の小さい油である必要がある。油の比重が液状浄化材よりも小さいことによって、油層を液状浄化材の上側に適切に形成させることができる。また、油層が形成された状態の液状浄化材に対して、上方から液状浄化材を補充したとしても、補充した液状浄化材が即座に油層の下側に移動し、2層(上層:油層、下層:液状浄化材)の状態を保つことができる。
油層を構成する油は、生分解性の油であるのが好ましい。生分解性の油を使用することによって、誤って液状浄化材と一緒に油が環境に供給されてしまったり、エマルション化することにより少量の油が環境に供給されてしまったりしても、当該環境に存在する微生物によって油が分解されるため、環境の汚染や浄化の阻害を招くことはない。
油層を構成する油は、比重と生分解性の観点に基づくと、大豆油、オリーブ油、なたね油、ごま油、あまに油、パーム油、サラダ油、コーン油、こめ油、ひまわり油などの植物油が好ましい。
【0015】
次に、本実施形態に係る浄化システムについて説明する。
[浄化システム]
図1は、本実施形態に係る浄化システムの全体の模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る浄化システムSは、供給槽1と、供給管2と、ポンプ3と、注入管4と、を備える。
以下、本実施形態に係る浄化システムSの各構成について詳細に説明する。
【0016】
(供給槽)
供給槽1は、液状浄化材Tを貯留する槽である。
そして、供給槽1は、上部に蓋1aを備えており、この蓋1aを開けて液状浄化材Tや油Lを内部に供給したり補充したりすることができる。また、供給槽1は、下部の側壁に供給管2の上流端部が接続しており、この供給管2を介して外部に液状浄化材Tが流出することとなる。そして、供給槽1の内部の液状浄化材Tの上面には、油層Lが形成されている。
なお、供給槽1のサイズや形状は特に限定されず、必要となる液状浄化材Tの量などに応じて適宜設定すればよい。
【0017】
(供給管)
供給管2は、供給槽1と浄化対象となる環境(本実施形態では帯水層12)に設置された注入管4内とを繋ぐ管である。
そして、供給管2は、上流端部が供給槽1に接続され、下流端部が帯水層12(浄化対象となる環境)の深度に配置される。帯水層12は、例えば、不飽和土層11と不透水層13との間に存在している。液状浄化材Tは、供給管2の下流端部から注入管4を介して帯水層12に供給される。
なお、供給管2は、下流側で分岐し、複数の下流端部から複数箇所に供給できるような構成になっていてもよい。
【0018】
(ポンプ)
ポンプ3は、供給管2内の液状浄化材Tを供給槽1から帯水層12へと送液する機器である。
なお、ポンプ3は必要に応じて複数設置してもよいが、液状浄化材Tを自然流下で送液する場合などは、ポンプ3は設置しなくともよい。
(注入管)
注入管4は、供給管2から供給される液状浄化材Tを帯水層12に注入するための管であり、井戸管とも呼ばれる。そして、注入管4は、少なくとも帯水層12の深度(地下水Wが存在する深度)に位置する部分が、ストレーナーなどの流体を通過させる構造になっている。
なお、非特許文献1に記載されているバイオバリアを設ける場合などは、注入管4は複数設置してもよい。
【0019】
次に、浄化対象となる環境(汚染された環境)について説明する。
[浄化対象となる環境]
浄化対象となる環境とは、汚染物質(有機塩素化合物、硝酸性窒素など)を含む地盤や水環境であれば特に限定されない。地盤としては、帯水層12のほか、地下水面より上の不飽和土層、表層土、粘性土層、汚泥、底泥などが挙げられ、水環境としては、工業廃水や家庭排水の処理槽、河川、ため池、湖などが挙げられる。
【0020】
浄化対象となる環境に含まれる汚染物質は特に限定されないが、有機塩素化合物や硝酸性窒素(亜硝酸性窒素も含む)が挙げられる。
なお、有機塩素化合物としては、テトラクロロエチレン(PCE)、トリクロロエチレン(TCE)、cis-1,2-ジクロロエチレン(cis-1,2-DCE)、trans-1,2-ジクロロエチレン(trans-1,2-DCE)、1,1-ジクロロエチレン(1,1-DCE)、クロロエチレン(VC)などのエチレン系の揮発性有機塩素化合物や、1,1,1―トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエタンなどのエタン系の揮発性有機塩素化合物、四塩化炭素、及び、ジクロロメタンなどのメタン系の揮発性有機塩素化合物が挙げられる。
【0021】
浄化対象となる環境に存在する微生物は、汚染物質に応じて、有機塩素化合物の分解能を有する微生物や硝酸性窒素の分解能を有する微生物などが挙げられる。
なお、有機塩素化合物の分解能を有する微生物としては、デスルフォバクテリウム(Desulfobacterium)属、デスルフォモニル(Desulfomonile)属、デスルフィトバクテリウム(Desulfitobacterium)属、デスルフォビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルフォバクター(Desulfobacter)属、デスルフォコッカス(Desulfococcus)属、デハロスピリルム(Dehalospirillum)属、デハロバクター(Dehalobacter)属、デハロバクテリウム(Dehalobacterium)属、デハロコッコイデス(Dehalococcoides)属、メタノサルシナ(Methanosarcina)属、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属、メタノロブス(Methanolobus)属、メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)属、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、クロストリジウム(Clostridium)属等の嫌気性微生物が挙げられる。
また、硝酸性窒素の分解能を有する微生物としては、パラコックス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)、アルカリゲネス・デニトリフィカンス(Alcaligenes denitrificans)、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)、シュードモナス・エールジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)等が挙げられる。
これらの微生物は、浄化対象となる環境に予め存在すればよいが、当該環境に対して別途添加してもよい。よって、本発明におけるバイオレメディエーションは、主としてバイオスティミュレーションを意味するが、バイオオーグメンテーションの態様をも含む。
【実施例0022】
[事前試験:密閉条件、及び、開放条件でのカビの発生の確認]
(事前試験:液状浄化材)
液状浄化材として、ビール酵母エキスを含有する浄化材(有機物含有量:約20%)を水で2倍、3倍、4倍、5倍、10倍希釈した5種類と、比較として乳酸ナトリウム溶液(60%)を水で2倍、3倍、4倍、5倍、10倍希釈した5種類とを準備した。
なお、ビール酵母エキスは、「ビール酵母を放線菌産生酵素類および担子菌産生酵素類で酵素処理して得られるビール酵母の酵素分解物」であって、詳細には、特許第5841001号の段落0035~0037に記載の方法で製造した「汚染浄化用ビール酵母エキス」を使用した。
【0023】
(事前試験:試験内容)
密閉条件での液状浄化材におけるカビの発生状況を確認するため、滅菌処理を行っていない70mL広口ガラスバイアル瓶に各液状浄化材を40mL注入後、ブチルゴム栓で密閉し、約25℃の室内で28日間放置した。
また、開放条件での液状浄化材におけるカビの発生状況を確認するため、滅菌処理を行っていない500mLビーカーに各液状浄化材を250mL注入して、わずかな隙間が生じるようにシャーレで蓋をし、約25℃の室内で28日間放置した。
そして、放置後、各液状浄化材におけるカビの発生状況を目視により確認した。
なお、目視によってカビが観測されなかった場合を「×」と評価し、目視によってカビが観測された場合を「○」と評価した。
事前試験の結果を以下の表1に示す。
【0024】
【0025】
(事前試験:結果の検討)
表1の結果によると、乳酸ナトリウムを含有する液状浄化材を使用したサンプル1-1~1-5は、密閉条件、開放条件のいずれであろうとカビの発生は確認できなかった。一方、酵母エキスを含有する液状浄化材を使用したサンプル1-6~1-10は、開放条件においてカビの発生が確認できた。この結果から、液状浄化材に酵母エキスを含有させる場合において、本発明の課題(カビの発生)が明確化することがわかった。
また、表1の結果によると、酵母エキスを含有する液状浄化材を使用したサンプル1-6~1-10は、密閉条件であればカビの発生は確認できなかったが、開放条件においてカビの発生が確認できた。この結果から、本実施形態に係る浄化システムのように、供給槽の内部が開放条件となることが一般的であると考えることから、実際の現場において酵母エキスを含有する液状浄化材を使用する場合は、カビの発生を抑制する必要があることがわかった。
【0026】
[本試験:油層によるカビの発生の抑制]
(本試験:液状浄化材)
液状浄化材として、ビール酵母エキスを含有した浄化材(有機物含有量:約20%)を水で5倍希釈したものを準備した。
なお、ビール酵母エキスは、事前試験で使用したものと同じであった。
【0027】
(本試験:試験内容)
液状浄化材の上面に油層を形成させることによるカビの発生状況を確認するため、100mLビーカーに前記した液状浄化材を50mL注入し、次に大豆油を油層の厚さが0mm、5mm、10mm、15mm、20mmになるように添加し、そのまま蓋をせずに、約25℃の室内で28日間放置した。
そして、放置後、各ビーカーの液状浄化材におけるカビの発生状況を目視により確認した。
なお、目視によってカビが観測されなかった場合を「×」と評価し、目視によってカビがわずかに観測された場合を「△」と評価し、目視によってカビが観測された場合を「○」と評価した。
本試験の結果を以下の表2に示す。
【0028】
【0029】
(本試験:結果の検討)
表2の結果のとおり、油層の厚さが0mmのサンプル2-1では多くのカビの発生が確認でき、油層の厚さが5mmのサンプル2-2ではわずかなカビの発生が確認できた。一方、油層の厚さが10mm以上のサンプル2-3~2-5ではカビの発生は確認できなかった。
この結果から、開放条件であろうと、液状浄化材の上面に5mm以上の厚さの油層を形成させることでカビの発生をある程度抑制できることがわかった。また、液状浄化材の上面に形成させる油層の厚さが10mm以上となると、より確実にカビの発生を抑制できることがわかった。