IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ビルシステムの特許一覧

特開2024-157884作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法
<>
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図1
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図2
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図3
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図4
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図5
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図6
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図7
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図8
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図9
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図10
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図11
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図12
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図13
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図14
  • 特開-作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157884
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20241031BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20241031BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20241031BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B66B5/00 G
G08B21/02
G08B25/04 K
G08B25/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072514
(22)【出願日】2023-04-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 純一
(72)【発明者】
【氏名】小平 法美
(72)【発明者】
【氏名】大西 友治
(72)【発明者】
【氏名】浅井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】横張 孝志
【テーマコード(参考)】
3F304
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3F304BA22
3F304EA02
3F304ED06
3F304ED07
3F304ED15
5C086AA22
5C086CA16
5C086CA21
5C086CA28
5C086CB20
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA14
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087AA44
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD18
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】危険状態となる前に注意喚起を行うことが可能な作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法を提供する。
【解決手段】作業者が携帯している作業者端末と、作業者端末と広域ネットワークで接続されたシステム管理サーバーとを備える作業者安全監視システムを構成する。作業者端末は、作業者に装着されたセンサーと、作業者端末を統括制御する制御処理部とを有する。制御処理部は、作業者に装着されたセンサーの測定値を用いた作業者の作業内容の推定と、推定した作業内容に応じた作業者の危険状態の検出を行うとともに、注意喚起を行い、作業者が安全性を確保したことを検知した場合には注意喚起を停止する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が携帯している作業者端末と、
前記作業者端末と広域ネットワークで接続されたシステム管理サーバーと、を備える作業者安全監視システムであって、
前記作業者端末は、前記作業者に装着されたセンサーと、前記作業者端末を統括制御する制御処理部とを有し、
前記制御処理部は、
前記作業者に装着された前記センサーの測定値を用いた前記作業者の作業内容の推定と、
推定した前記作業内容に応じた前記作業者の危険状態の検出を行うとともに、注意喚起を行い、
前記作業者が安全性を確保したことを検知した場合には、前記注意喚起を停止する
作業者安全監視システム。
【請求項2】
前記制御処理部は、前記作業者の行動に応じた前記センサーからの計測値に基づいて、前記作業者の行動の特徴量を検知し、前記作業内容を推定する
請求項1に記載の作業者安全監視システム。
【請求項3】
前記制御処理部は、前記センサーとして気圧センサーを有し、前記気圧センサーの計測値を基に、前記作業内容を推定する
請求項2に記載の作業者安全監視システム。
【請求項4】
前記作業者端末は、前記センサーとして前記気圧センサーと、加速度センサー、および、角速度センサーの少なくともいずれかとを有し、
前記制御処理部は、前記センサーの複数の出力値を組み合わせることによって前記作業者の行動の特徴量を検知し、前記作業内容を推定する
請求項3に記載の作業者安全監視システム。
【請求項5】
前記作業者端末が、前記作業者に装着されたウェアラブルデバイスと、前記ウェアラブルデバイスに通信可能に接続された携帯端末とから構成される
請求項1から4のいずれかに記載の作業者安全監視システム。
【請求項6】
前記広域ネットワークを介して前記システム管理サーバーと接続された管理者端末を備える
請求項1に記載の作業者安全監視システム。
【請求項7】
前記管理者端末は、前記システム管理サーバーへの前記作業者の情報の登録を受け付ける
請求項6に記載の作業者安全監視システム。
【請求項8】
前記作業者端末は、前記作業者の操作によってセンサー解析アプリケーションが起動され、
前記制御処理部は、前記センサー解析アプリケーションを実行して前記作業者の前記作業内容を推定する
請求項1に記載の作業者安全監視システム。
【請求項9】
前記作業者端末がカメラを有し、
前記制御処理部は、前記カメラで撮影した画像を、前記システム管理サーバーへの送信処理によって、前記作業者の前記安全性の確保を検知する
請求項1に記載の作業者安全監視システム。
【請求項10】
作業者が携帯している作業者端末と、前記作業者端末と広域ネットワークで接続されたシステム管理サーバーとを用いる作業者安全監視方法であって、
前記作業者に装着されたセンサーの測定値を用いて記作業者の作業内容を推定し、
推定した前記作業内容に応じた前記作業者の危険状態の検出を行うとともに、注意喚起を行い、
前記作業者が安全性を確保したことを検知した場合には、前記注意喚起を停止する
作業者安全監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターのかご上等の高所での点検作業を実施する作業者は、転落の危険性がある場所での作業を行う場合、安全帯を装着し安全帯のフックをかご上等の決められた位置に設けられた留め具に取り付け固定し、作業者の安全を確保した上で作業を行う。しかし、安全帯フックの取り付けは作業者が自ら行う作業である。このため、万が一安全帯の着用やフックの取り付けを怠った場合、作業者の安全が脅かされる可能性がある。そこで、作業者がエレベーターのかご上に乗り込んだ際に、予め設置された乗り込み検出スイッチで作業者の危険状態を検出し、警報を発して作業者に安全帯の使用を促す技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、安全帯留め具装置に予め設置されたフック取付検出スイッチによって、フックの取り付けを検出した後に警報が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-322214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の技術は、作業者がエレベーターのかご上に乗り込んだことを検出し警報を発する技術であり、作業者がかご上に乗り込んだことを検出条件とする。このため、作業者がかご上に乗り込む行為も危険が伴う行為であるが、この行為に対して警報を発することについて対応できていない。すなわち、かご上に乗り込む作業自体が作業者にとって危険が及ぶ行為であるため、注意喚起を行う必要がある。
【0005】
上述した問題の解決のため、本発明においては、作業者に危険が及ぶ前に注意喚起を行うことが可能な作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法を提供する。
【0006】
また、本発明の上記の目的及びその他の目的と本発明の新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業者安全監視システムは、作業者が携帯している作業者端末と、作業者端末と広域ネットワークで接続されたシステム管理サーバーとを備える。作業者端末は、作業者に装着されたセンサーと、作業者端末を統括制御する制御処理部とを有する。制御処理部は、作業者に装着されたセンサーの測定値を用いた作業者の作業内容の推定と、推定した作業内容に応じた作業者の危険状態の検出行うとともに、注意喚起を行い注意喚起と、作業者が安全性を確保したことを検知した場合には、注意喚起を停止する。
【0008】
また、本発明の作業者安全監視方法は、作業者が携帯している作業者端末と、作業者端末と広域ネットワークで接続されたシステム管理サーバーとを用いる。そして、作業者に装着されたセンサーの測定値を用いて記作業者の作業内容を推定し、推定した作業内容に応じた作業者の危険状態の検出行うとともに、注意喚起を行い、作業者が安全性を確保したことを検知した場合には、注意喚起を停止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、危険状態となる前に注意喚起を行うことが可能な作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法を提供することができる。
【0010】
なお、上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】作業者安全監視システムの構成を示す図である。
図2】ウェアラブルデバイスの構成を示す図である。
図3】携帯端末の構成を示す図である。
図4】システム管理サーバーの構成を示す図である。
図5】管理者端末の構成を示す図である。
図6】携帯端末に表示されるフック監視アプリケーションの作業者画面の例である。
図7】管理者端末に表示されるフック監視アプリケーションの管理者画面の例である。
図8】管理者端末に表示されるフック監視アプリケーションの作業者設定画面である。
図9】管理者端末に表示されるフック監視アプリケーションの履歴画面である。
図10】システム管理サーバーの記憶部に格納される作業者データの作業者テーブルである。
図11】システム管理サーバーの記憶部に格納される作業履歴データの作業履歴テーブルである。
図12】作業者安全監視方法のフローチャートである。
図13】ハッチドア解錠判定の処理の詳細を示すフローチャートである。
図14】ハッチドア開、ドアストッパ取付判定の処理の詳細を示すフローチャートである。
図15】フック取付写真撮影判定の処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。また、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0013】
[作業者安全監視システム]
図1は、本実施形態における作業者安全監視システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、作業者安全監視システム1は、作業者端末100、システム管理サーバー130、および、管理者端末140を備える。作業者端末100、システム管理サーバー130、および、管理者端末140は、広域ネットワーク101を介して通信可能に接続されている。
【0014】
[作業者端末]
作業者端末100は、少なくとも作業者の体の一部に装着される構成と、広域ネットワーク101に接続可能な構成とを有する。本形態では、作業者端末100として、作業者に装着されるウェアラブルデバイス110と、ウェアラブルデバイス110とWiFiやBluetoothによる無線通信によって接続される携帯端末120とを有する構成を例示している。この構成では、ウェアラブルデバイス110は、作業者が作業中に手首等の体の一部に装着する端末である。また、携帯端末120は、広域ネットワーク101を介してシステム管理サーバー130と管理者端末140とに通信可能に接続される。なお、作業者端末100として、ウェアラブルデバイス110と携帯端末120とは無線通信を行う構成としているが、USBケーブルのような有線ケーブルで接続される構成であってもよい。
【0015】
また、ウェアラブルデバイス110が、携帯端末120と同等の機能を有する場合、作業者端末100は、携帯端末120を構成に含めず、ウェアラブルデバイス110のみの構成としてもよい。
あるいは、作業者端末100は、アームバンドのような装着ベルトを用いて、携帯端末120を作業者に装着する構成でもよい。この場合、作業者端末100は、ウェアラブルデバイス110を構成に含めず、携帯端末120のみの構成としてもよい。
【0016】
また、作業者は、体のどこに作業者端末100を装着してもよい。複数個所に装着してもよい。例えば、手首と足首に装着することもできる。この場合には、手首に装着した端末と、足首に装着した端末とからの複数の測定値を取得することで、より正確に作業者の動作を検知することができる。例えば、2以上のセンサー間の距離を検出することにより、作業者の動作内容を検知してもよい。
少なくとも、作業者の手首に装着することにより、より正確性の高いセンシングが可能となる。
【0017】
(ウェアラブルデバイス)
ウェアラブルデバイス110は、作業者に装着可能な構成の一例である。また、ウェアラブルデバイス110は、作業者の動作を検出するためのセンサーを有する。ウェアラブルデバイス110としては、例えば、各種のセンサーを内蔵したスマートウォッチが挙げられ、作業者の手首に装着される構成とすることができる。
【0018】
図2に、ウェアラブルデバイス110の構成の一例を示す。図2に示すウェアラブルデバイス110は、気圧センサー111、通信処理部112、制御処理部113、および、記憶部114を備える。
【0019】
制御処理部113は、CPU等の演算プロセッサ等を有し、ウェアラブルデバイス110で行われる各種の処理を統括制御する。
通信処理部112は、無線通信等による携帯端末120との相互通信処理を実行する。
気圧センサー111は、大気の圧力を検知し、気圧の変化から高度を求めるセンサーである。気圧センサー111による測定値は、制御処理部113の処理により、記憶部114のセンサー測定値1141に格納される。また、気圧センサー111による測定値は、測定される毎に制御処理部113にて収集され、通信処理部112を介して携帯端末120に送信される。
【0020】
また、作業者端末100は、作業者の動作を検出するセンサーとして、上記ウェアラブルデバイス110に搭載された気圧センサー111だけでなく、他のセンサーを有していてもよい。例えば、作業者端末100は、作業者が装着するでデバイスに加速度センサーや、角速度センサー等を有していてもよい。作業者端末100としては、上記ウェアラブルデバイス110に、気圧センサー111とともに加速度センサーや、角速度センサー等のセンサーを搭載することが好ましい。ウェアラブルデバイス110が加速度センサーや角速度センサーを搭載することにより、装着位置(例えば腕)の振りの速さの検出や、回転速度の検出が可能となる。
【0021】
(携帯端末)
携帯端末120は、作業者が作業中に携帯する端末であり、広域ネットワーク101に接続可能な構成の一例である。携帯端末120としては、例えば、スマートフォンが挙げられる。
図3に、携帯端末120の構成の一例を示す。図2に示す携帯端末120は、画面表示部121、制御処理部122、通知処理部123、通信処理部124、画面入力部125、音声出力部126、カメラ127、および、記憶部128を備える。
【0022】
記憶部128は、気圧センサ―111の測定値を解析、判定するためのセンサー解析アプリケーション1281、および、カメラで撮影した写真を記憶するための写真ファイル1282を有する。センサー解析アプリケーション1281は、制御処理部122により実行され、ウェアラブルデバイス110から取得した測定値から、安全監視の対象となる作業者の動作を解析する。
【0023】
制御処理部122は、CPU等の演算プロセッサ等を有し、携帯端末120で行われる各種の処理を統括制御する。また、制御処理部122は、センサー解析アプリケーション1281の実行や、各処理部の制御を行う。
画面表示部121は、制御処理部122が実行したセンサー解析アプリケーション1281の情報を表示する。さらに、制御処理部122が実行した、後述するシステム管理サーバー130のフック監視アプリケーション1341の情報を表示する。
通知処理部123は、通信処理部124を介した通知データの送受信処理を実行する。
通信処理部124は、無線通信等による携帯端末120との相互通信処理や、広域ネットワーク101への接続や各種データの送受信処理を実行する。
画面入力部125は、携帯端末120の画面を操作するためのタッチパネル等で構成され、作業者の入力操作を受け付ける。また、画面表示したフック監視アプリケーション1341の画面において、作業者によるテキスト入力やボタン操作等に対する処理も画面入力部125が実行する。
【0024】
音声出力部126は、携帯端末120に搭載された音声出力装置であり、例えば、スマートフォンのスピーカーである。音声出力部126による音声出力は携帯端末120のスピーカーから直接出力してもよく、携帯端末120に有線・無線接続された外部のスピーカー等の機器から出力させてもよい。また、音声出力部126は、フック監視アプリケーション1341のプログラムによって出力される注意音声の出力を行う。さらに、音声出力部126は、Eメールソフトやチャットツールのメッセージ受信の通知音の出力を行う。
カメラ127は、携帯端末120に搭載された撮像装置であり、例えば、スマートフォンのカメラである。
【0025】
なお、携帯端末120において、センサー解析アプリケーション1281、および、写真ファイル1282は記憶部128を構成するストレージに格納する構成とするが、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリによって一時的に保存される構成でもよい。その場合、システム管理サーバー130にセンサー解析アプリケーション1281を配置し、携帯端末120は、センサー解析アプリケーション1281を実行する際にシステム管理サーバー130からセンサー解析アプリケーション1281を読み出してもよい。
【0026】
[システム管理サーバー]
システム管理サーバー130は、作業者安全監視システム1の管理を担当する構成である。システム管理サーバー130は、例えば、自社やデータセンターのサーバ機器や、クラウドサービス等を用いることができる。
図4に、システム管理サーバー130の構成の一例を示す。図4に示すように、システム管理サーバー130は、制御処理部131、通知処理部132、通信処理部133、および、記憶部134を備える。
【0027】
記憶部134は、作業者による留め具への安全帯フックの取付けを監視するフック監視アプリケーション1341を有する。また、記憶部134は、フック監視アプリケーション1341によって登録される作業者データ1342、作業履歴データ1343、および写真ファイル1344を有する。
フック監視アプリケーション1341は、携帯端末120や管理者端末140から読み出されて実行される。フック監視アプリケーション1341は、携帯端末120から読み出され、フック監視アプリケーション1341は携帯端末120に作業者用の画面を表示する。また、フック監視アプリケーション1341は、管理者端末140から読み出され、管理者端末140の管理者用の画面を表示する。フック監視アプリケーション1341によって表示される、作業者用の画面、および、管理者用の画面の詳細については後述する。
【0028】
制御処理部131は、CPU等の演算プロセッサ等を有し、システム管理サーバー130で行われる各種の処理を統括制御する。また、制御処理部131は、システム管理サーバー130のサーバ機能やフック監視アプリケーション1341の読み出し等の各種処理の制御を実行する。
通知処理部132は、信処理部133を介した通知データの送受信処理を実行する。
通信処理部133は、広域ネットワーク101への接続や各種データの送受信処理を実行する。
【0029】
(センサー解析アプリケーション)
センサー解析アプリケーション1281は、作業者端末100に格納され、作業者が作業者端末100を操作することで起動される。本形態では、センサー解析アプリケーション1281が、携帯端末120の記憶部128に格納されている例を示しているが、ウェアラブルデバイス110に格納されていてもよい。
センサー解析アプリケーション1281は、作業者端末100、特にウェアラブルデバイス110に搭載されたセンサー(気圧センサー111等)の測定値を取得する。そして、取得した測定値から特徴量を検出し、安全監視の対象となる作業者の動作を解析する。
例えば、センサー解析アプリケーション1281は、予め記憶部128に登録されている作業内容に紐づけられた行動の特徴量のデータベースと対比することにより、作業者の作業内容を推定する。例えば、気圧センサー111の測定値の変化を特徴量とする作業者の腕の上げ下げの検出、変化した測定値の継続時間を特徴量とする作業者の状態の検出等により、作業者の作業内容を推定する。作業者端末100が複数のセンサーを有する場合には、各センサーの測定値を基に特徴量を検出し、予め記憶部128に登録されている作業内容に紐づけられた特徴量のデータベースから、作業者の作業内容を推定する。
そして、センサー解析アプリケーション1281は、推定した作業内容から、作業者に作業者に危険が及ぶかどうか(危険状態の発生)を検出する。例えば、予め記憶部128に、作業内容ごとに危険状態の発生の有無を登録したデータテーブルを用意する。そして、センサーの測定値を基に推定した作業内容を上記データテーブルと対比することによって、作業内容に応じた作業者の危険状態を検出する。
【0030】
[管理者用端末]
管理者端末140は、管理者が作業者の作業状況を確認するための端末である。管理者端末140としては、例えば、PC(personal computer)やスマートフォンを用いることができる。
図5に、管理者端末140の構成の一例を示す。図5に示すように、管理者端末140は、画面表示部141、制御処理部142、通信処理部143、画面入力部144、通知処理部145、および、記憶部146を備える。
【0031】
画面表示部141は、制御処理部142が実行したシステム管理サーバー130のフック監視アプリケーション1341の情報を表示する。
制御処理部142は、CPU等の演算プロセッサ等を有し、管理者端末140で行われる各種の処理を統括制御する。
通信処理部143は、広域ネットワーク101への接続や各種データの送受信処理を実行する。
画面入力部144は、管理者端末140の画面を操作するためのマウスやタッチパネル等で構成され、管理者による入力を受け付ける。また、画面表示したフック監視アプリケーション1341の画面において、管理者によるテキスト入力やボタン操作等に対する処理も画面入力部144が実行する。
通知処理部145は、通信処理部143を介した通知データの送受信処理を実行する。
記憶部146は、読み出したフック監視アプリケーション1341の画面情報のキャッシュや、フック監視アプリケーション1341の画面操作によって表示される写真ファイルを保存する。
【0032】
[作業者安全監視方法]
次に、上述の作業者安全監視システムを用いた、作業者安全監視方法について図6図15を用いて説明する。
以下の説明では、作業者安全監視方法の全体の処理フローの説明に先駆けて、作業者安全監視に用いられる、システム管理サーバー130に格納されたフック監視アプリケーション1341について説明する。図6図9にフック監視アプリケーション1341を用いる際の各端末に表示する作業者用の画面、および、管理者用の画面の例を示し、システム管理サーバー130への各種データの登録方法について説明する。また、図10図11にシステム管理サーバーに格納するデータテーブルの例を示す。そして、図12図15に作業者安全監視方法の各種処理のフローチャートを示す。
【0033】
(フック監視アプリケーションの作業者画面)
図6に、作業者端末100の画面表示部121に表示される作業者用の画面の例を示す。図6は、フック監視アプリケーション1341によって、作業者端末100(携帯端末12)に表示される画面である。
作業者端末100において、システム管理サーバー130の記憶部134に格納されたフック監視アプリケーション1341が起動されると、携帯端末120の画面表示部121に、図6に示すフック監視アプリ作業者画面200が作業者用の画面として表示される。
【0034】
図6に示すように、フック監視アプリ作業者画面200は、作業者名202、使用安全帯No選択203、安全帯フック写真撮影204、シャッターボタン205、撮影した写真206、送信ボタン207、および、キャンセルボタン201によって構成される。なお、図6に示すフック監視アプリ作業者画面200は、作業者安全監視システム1における作業者用の画面の一例であり、上記全ての要素を有してなくてもよく、また、他の要素を含んで構成されていてもよい。
【0035】
キャンセルボタン201は、フック監視アプリケーション1341を用いた作業を中止するためのボタンである。ハッチドア解錠したものの、かご位置が正しい位置に停止していなかった場合等では、作業者は、一度ハッチドアを施錠する場合がある。このような場合、作業者はキャンセルボタン201をタップすることによって、フック監視アプリケーション1341の実行を停止し、フック監視アプリ作業者画面200の操作を中断する。
【0036】
作業者名202は、作業者端末100の所有者の名前、すなわち、ウェアラブルデバイス110の装着者、携帯端末120の所持者の名前を表示する。本形態では、作業者名202に表示する名前は、管理者が登録する方法を取っているが、社内業務システムと連携し社内業務システムアカウントに登録された氏名を用いてもよい。例えば、Microsoft365(登録商標)サービスと連携しMicrosoft(登録商標)のアカウントのユーザ名を用いてもよい。
【0037】
使用安全帯No選択203には、作業者に割り振られている使用安全帯Noが表示される。作業者安全監視システム1は、管理者によって作業者ごとに使用安全帯Noが割り振られ、作業者ごとに紐づけられたNoが設定されている。なお、複数の作業者が安全帯を共有して使用する場合には、作業者への安全帯の貸し出し操作によって作業者に安全帯Noを割り振ってもよい。
【0038】
安全帯フック写真撮影204は、携帯端末120のカメラ127で撮像された画像が表示される領域である。携帯端末120は、画面表示部121にフック監視アプリ作業者画面200が表示された際に、カメラ127が自動的に起動する。そして、カメラ127は撮像している画像が安全帯フック写真撮影204の(カメラ撮像表示)エリアに表示される。
作業者は、後の作業で(カメラ撮像表示)エリアに留め具に掛けた安全帯フックを映し写真を撮影する。ここで、写真撮影はシャッターボタン205をタップすることで撮影する。
撮影された画像は、撮影した写真206の(撮影した写真表示)エリアに表示される。また、撮影された写真は、携帯端末120の記憶部128の写真ファイル1282に格納される。
【0039】
送信ボタン207は、(撮影した写真表示)エリアに表示されている画像のデータをシステム管理サーバー130に送信させる際に、作業者が操作するボタンである。作業者が送信ボタン207のボタンをタップすることで、携帯端末120は、(撮影した写真表示)エリアに表示されている写真に対応する、写真ファイル1282に格納された画像データをシステム管理サーバー130に送信する。
【0040】
(フック監視アプリケーションの作業者データの登録)
次に、作業者安全監視システム1への作業者データの登録について図7~9を用いて説明する。図7~9は、フック監視アプリケーション1341によって管理者端末140の画面表示部141に表示される、管理者用の画面である。
図7は、管理者端末140の画面表示部141に表示される管理者用の画面の例である。図7に示す管理者画面210は、管理者端末140からシステム管理サーバー130の記憶部134に格納されたフック監視アプリケーション1341を起動することで、管理者端末140の画面表示部141に表示される。
【0041】
図7に示す管理者画面210は、チェックボックス211、安全帯使用状況212、作業者情報213、閉じるボタン214、画面更新ボタン215、作業者設定ボタン216、および、履歴表示ボタン217を備える。なお、図7に示す管理者画面210は、作業者安全監視システム1における管理者用の画面の一例であり、上記全ての要素を有してなくてもよく、また、他の要素を含んで構成されていてもよい。
フック監視アプリケーション1341は、システム管理サーバー130の記憶部134に格納された作業者データ1342内のデータテーブルを読み出して、管理者端末14に管理者画面210を表示する。図7に示す管理者画面210では、作業者情報213の一例として、安全帯No、顔写真、氏名、電話番号、および、メールアドレスを表示している。
【0042】
安全帯使用状況212は、作業者による安全帯の使用状況を確認するための項目である。安全帯使用状況212は、作業者が後述するフック監視アプリケーション1341を使用し、安全帯のフックを留め具に掛けた情報をシステム管理サーバー130に送信した後に、「使用中」として表示される。また、安全帯の使用が確認されていない場合には、図中「-」として表示される。また、安全帯の使用が確認されていない場合には、安全帯使用状況212の色を変更する等により、管理者が認識しやすいように表示してもよい。
【0043】
図7に示す管理者画面210において、管理者が管理者画面210の任意の行のチェックボックス211を選択し、作業者設定ボタン216をクリックすると、図8に示す作業者設定画面220が表示される。
図8に示す作業者設定画面220は、安全帯No221、作業者名テキストボックス222、電話番号テキストボックス223、メールアドレス224、および、顔写真ファイル225によって構成される。さらに、業者設定画面220は、ファイル選択ボタン226、キャンセルボタン227、削除ボタン228、および、登録ボタン229によって構成される。作業者設定画面220において、作業者名テキストボックス222、電話番号テキストボックス223、および、メールアドレス224は、各項目ごとに管理者が入力可能なテキストボックスを有する。なお、図8に示す作業者設定画面220は、作業者安全監視システム1における管理者の画面の一例であり、上記全ての要素を有してなくてもよく、また、他の要素を含んで構成されていてもよい。
【0044】
管理者画面210のチェックボックス211にチェックした安全帯212の作業者の情報が、システム管理サーバー130内の作業者データ1342に既に登録済みの場合、図8に示す作業者設定画面220には、登録済みの情報が各項目に表示される。作業者データ1342に安全帯212の作業者の一部の情報のみが登録されている場合には、登録済みの項目にのみ登録済みの情報が表示され、登録されていない項目は空の状態で表示される。
また、管理者画面210のチェックボックス211にチェックした安全帯212の作業者の情報が、作業者安全監視システム1に未登録の場合、図8に示す作業者設定画面220は、全ての項目が空の状態で表示される。
【0045】
管理者は、図8に示す作業者設定画面220において、作業者名テキストボックス222、電話番号テキストボックス223、および、メールアドレス224の各項目のテキストボックスに情報を入力する。さらに、管理者は、ファイル選択ボタン226をクリックし、任意の顔写真ファイルを選択する。そして、管理者は、登録ボタン229をクリックすることによって作業者情報を登録する。また、すでに登録済みの作業者情報を削除する場合、削除ボタン228をクリックすることによって、チェックボックス211にチェックした安全帯212の作業者の情報を削除できる。
【0046】
(作業者履歴)
図7に示す管理者画面210において、管理者が、履歴表示ボタン217をクリックすると、図9に示す履歴画面230が表示される。履歴画面230は、作業者がフック監視アプリケーション1341を用いた操作の履歴が登録されている。
フック監視アプリケーション1341は、システム管理サーバー130の記憶部134に格納された作業履歴データ1343内のデータテーブルを読み出す。そして、管理者端末14に、履歴画面230を表示する。図9に示す履歴画面230は、日付231、安全帯232、操作233、ファイル234、作業者235、電話番号236、メールアドレス237、戻るボタン238、および、画面更新ボタン239によって構成されている。これらのうち、日付231、安全帯232、操作233、ファイル234、作業者235、電話番号236、および、メールアドレス237は、作業履歴データ1343内のデータテーブルから読み出された情報が表示される。
【0047】
(データテーブル)
次に、システム管理サーバー130の記憶部134に格納される作業者データ1342、および、作業履歴データ1343について説明する。
図10に、作業者データ1342の作業者テーブル300を示す。また、図11に、作業履歴データ1343の作業履歴テーブル310を示す。
【0048】
図10に示す作業者テーブル300は、レコードNo301、安全帯No302、状態303、作業者304、顔写真305、電話番号306、メールアドレス307によって構成される。図10に示す作業者テーブル300は、上述の図8に示す作業者設定画面220を用いて登録された作業者データが記録されている。
【0049】
携帯端末120の制御処理部122は、上述の図7に示す管理者画面210を画面表示部121に表示する際に、図10に示す作業者テーブル300を読み込む。そして、管理者画面210の安全帯使用状況212に、作業者テーブル300の状態303の情報をセットして表示する。同様に、管理者画面210の作業者情報213には、作業者テーブル300の顔写真305、作業者304、電話番号306、および、メールアドレス307の情報をセットして表示する。
【0050】
図11に示す作業履歴テーブル310は、レコードNo311、日時312、安全帯No313、操作314、ファイル315、作業者316、電話番号317、メールアドレス318によって構成される。ファイル315には、作業者がフック監視アプリ作業者画面200を用いて撮影したフック取付写真の画像データを、エンコードした文字列が登録される。図11に示す作業履歴テーブル310には、図6に示すフック監視アプリ作業者画面200を用いた作業者による管理者への送信操作によって、携帯端末120からシステム管理サーバー130に送信されたデータが日時と共に記録される。
【0051】
携帯端末120の制御処理部122は、上述の図9に示す履歴画面230を画面表示部121に表示する際に、作業履歴テーブル310を読み込む。そして、履歴画面230の日付231に、作業履歴テーブル310の日時312の情報をセットして表示する。さらに、履歴画面230の安全帯232には作業履歴テーブル310の安全帯No313、操作233には操作314、ファイル234にはファイル315、作業者235には作業者316、電話番号236には電話番号317、メールアドレス237にはメールアドレス318の情報をセットして表示する。なお、図9に示す履歴画面230のファイル234は、図11に示す作業履歴テーブル310のファイル315の文字列をデコードした画像ファイルのリンクとして表示し、クリックで画像の参照が可能とする。
【0052】
[作業者安全監視方法;フローチャート]
次に、上述の構成の作業者安全監視システムを用いた、作業者安全監視方法について説明する。図12に、作業者安全監視方法の全体のフローチャートを用いて説明する。なお、図12に示すフローチャートは、作業者がかご上作業を行う前までの処理を示している。
【0053】
まず、作業者は、作業を行うエレベーターのハッチドア前に移動した後、ウェアラブルデバイス110、および、携帯端末120を操作し、センサー解析アプリケーション1281を起動する(ステップS101)。
起動されたセンサー解析アプリケーション1281は、ウェアラブルデバイス110の気圧センサー111の測定値を受信し、受信した測定値を基準高さとして携帯端末120のセンサー解析アプリケーション1281内に登録する(ステップS102)。ここで、センサー解析アプリケーションの起動は、携帯端末120を画面操作で起動してもよいし、携帯端末120の音声コントロールを使用して、作業者の発声によって起動してもよい。
【0054】
次に、センサー解析アプリケーション1281は、登録された測定値から特徴量を検出して作業者の作業内容を推定することで、作業者がハッチドアの解錠動作を行ったかを判定する(ステップS103)。ハッチドア解錠判定の処理の詳細を、図13に示すフローチャートを用いて説明する。
【0055】
まず、携帯端末120のセンサー解析アプリケーション1281が、ウェアラブルデバイス110から受信した気圧センサー111の測定値が、予め設定した閾値Aの高さを超えたかを判定する(ステップS1031)。例えば、エレベーターのかご上作業を行う場合、作業者は、外部開放キーを手に取りハッチドア上部に差し込んで、ハッチドア上部にあるスイッチを押すことでハッチドアを解錠を行う。この際、作業者は、腕を高くあげるという動作を行う。この動作を行うと、腕先に装着されたウェアラブルデバイス110も高くあげられるため、気圧センサーの値は高度が高くなる方向に変化する。このため、センサー解析アプリケーション1281は、ウェアラブルデバイス110から受信した気圧センサー111の測定値の変化を特徴量とし、気圧センサー111の測定値が予め設定した閾値Aの高さを超えたかを判定する。この判定処理により、センサー解析アプリケーション1281は、作業者が腕をあげる動作を行ったかどうかを判定することができる。
なお、特徴量の判定基準となる閾値Aは、作業者安全監視システムにおいて任意の値を設定可能とする。また、閾値Aは、作業者安全監視システム内の値としてもよいし、作業者ごとに身長を設定し、身長ごとに+αの補正を行った値としてもよい。また、本実施形態では、気圧センサー111の測定値のみを特徴量として使用し、作業者の特徴的な行動を検出しているが、加速度センサーによる腕の振りの速さや、角速度センサーによる腕の回転速度等の複数の測定値を用いて作業者の行動の特徴量を検出してもよい。
【0056】
閾値Aの高さを超えた場合(ステップS1031のYES)、センサー解析アプリケーション1281は、閾値Aの高さを超えた状態が一定時間以上継続したかで解錠操作をしたか判定する(ステップS1032)。上述のハッチドアの解錠操作を行った場合、作業者は少なくとも数秒は腕を上げた状態になる。このため、ステップS1032では、腕を挙げている時間を特徴量として作業者の状態を判定することにより、ただ腕を上げて下げただけではなく、解錠操作を行ったかどうかを検出することができる。
なお、判定基準となる一定時間は、作業者安全監視システム内で設定可能としてもよいし、管理者等によって変更可能であってもよい。
閾値Aの高さを超えた状態が一定時間以上継続した場合(ステップS1032のYES)、上述のステップS103のハッチドア解錠判定の条件が満たされたと判定される。
【0057】
閾値Aの高さを超えなかった場合(ステップS1031のNO)、または、閾値Aの高さを超えた状態が一定時間以上継続しなかった場合(ステップS1032のNO)、上述のステップS103のハッチドア解錠判定の条件が満たされないと判定される。ハッチドア解錠判定の条件が満たされなかった場合(ステップS103のNO)、センサー解析アプリケーション1281は、再度測定値の検出に戻る。そして、センサー解析アプリケーション1281は、ステップS103のハッチドア解錠判定を一から実行する。
【0058】
次に、ハッチドア解錠判定の条件が満たされた場合(ステップS103のYES)、センサー解析アプリケーション1281は、システム管理サーバー130に通信し、フック監視アプリケーション1341の起動要求を実行する(ステップS104)。フック監視アプリケーション1341の起動が実行されると、携帯端末120の端末画面に、上述の図6に示すフック監視アプリ作業者画面200が表示される。作業者は携帯端末120に表示されたフック監視アプリ作業者画面200に沿って携帯端末120の操作を行う。
作業者によるフック監視アプリ作業者画面200に沿った携帯端末120の操作、および、この操作によるフック監視アプリケーション1341の処理について説明する。
携帯端末120のカメラ127は、フック監視アプリ作業者画面200が表示されたタイミングで自動起動する。そして、フック監視アプリケーション1341は、カメラ127による撮像画像を安全帯フック写真撮影204の(カメラ撮像表示)エリアに表示する。作業者は、後の作業で、(カメラ撮像表示)エリアに表示された撮像画像を見ながら、留め具に掛けた安全帯フックを映した写真を撮影する。ここで、写真撮影は作業者がシャッターボタン205をタップすることで行う。また、シャッターボタン205のタップによって写真が撮影されると、フック監視アプリケーション1341は、撮影した写真を、撮影した写真206の(撮影した写真表示)エリアに表示する。作業者は安全帯フックが画角におさまっていることを確認する。
【0059】
次に、フック監視アプリケーション1341は、携帯端末120にフック監視アプリ作業者画面200が表示されたタイミングで、携帯端末120の音声出力部126から安全帯フック注意音声を出力(ON)する(ステップS105)。例えば、フック監視アプリケーション1341のプログラム中に音声ファイルを組み込み、フック監視アプリ作業者画面200の表示と同時に音声ファイルを音声出力部126からループ再生する。出力する音声は、フック監視アプリケーション1341が起動されている間は出力し続け、フック監視アプリがバックグラウンドに常駐しているときも出力する。このように作業者安全監視システム1では、作業者の危険状態を検出した際に、フック監視アプリケーション1341によって注意音声を出力することにより、作業者に対して注意喚起を行う。
【0060】
次に、フック監視アプリケーション1341は、ハッチドア開、ドアストッパ取付判定を行う(ステップS106)。ハッチドア開、ドアストッパ取付判定の処理の詳細を、図14に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、センサー解析アプリケーション1281は、携帯端末120のウェアラブルデバイス110から受信した気圧センサー111の測定値が予め設定した閾値B以上下がったかを判定する(ステップS1061)。例えば、エレベーターのかご上作業を行う場合、作業者は、ハッチドアの解錠後、ハッチドアを開放する。さらに、作業者は、ドアの開放状態を保つために、ハッチドア下部のレール部分にドアストッパを取り付けてハッチドアを固定する。この際、作業者は、腕を低く下げるという動作を行う。この動作を行うと、腕先に装着されたウェアラブルデバイス110も低く下げられるため、気圧センサーの値は高度が低くなる方向に変化する。このため、センサー解析アプリケーション1281は、ウェアラブルデバイス110から受信した気圧センサー111の測定値の変化を特徴量とし、気圧センサー111の測定値が予め設定した閾値B以上下がったかを判定する。この判定処理により、センサー解析アプリケーション1281は、作業者が腕を低く下げるという動作を行ったかどうかを判定することができる。
なお、閾値Bは閾値Aと同様、作業者安全監視システムにおいて任意の値を設定可能とする。また、閾値Aは、作業者安全監視システム内の値としてもよいし、作業者ごとに身長を設定し、身長ごとに+αの補正を行った値としてもよい。また、本実施形態では、気圧センサー111の測定値のみを特徴量として使用し、作業者の特徴的な行動を検出しているが、加速度センサーによる腕の振りの速さや、角速度センサーによる腕の回転速度等の複数の測定値を用いて行動の特徴量を検出してもよい。
【0061】
閾値B以上下がった場合(ステップS1061のYES)、センサー解析アプリケーション1281は、閾値B以上下がった状態が一定時間以上継続したかどうかを判定する(S1062)。ドアストッパ取付操作を行う場合、少なくとも数秒は腕を下げた状態になる。このため、閾値B以上下がった状態が一定時間以上継続したかどうかを判定することで、ドアストッパ取付操作をしたかどうかを検出することができる。なお、判定基準となる一定時間は、作業者安全監視システム内で設定可能としてもよいし、管理者等によって変更可能であってもよい。
閾値B以上下がった状態一定時間以上継続した場合(ステップS1062のYES)、上述のステップS106のドアストッパ取付判定の条件が満たされたと判定される。
【0062】
閾値B以上下がらなかった場合(ステップS1061のNO)、または、閾値B以上下がった状態一定時間以上継続しなかった場合(ステップS1062のNO)、上述のステップS106のドアストッパ取付判定の条件が満たされないと判定される。
ドアストッパ取付判定の条件が満たされなかった場合(ステップS106のNO)、センサー解析アプリケーション1281は、フック監視アプリケーション1341を停止する(ステップS107)。例えば、センサー解析アプリケーション1281は、システム管理サーバー130に通信し、フック監視アプリケーション1341の停止要求を実行する。ドアストッパ取付判定の条件が満たされない場合としては、例えば、ハッチドアオープンしてもかご上作業せず、かご戸開閉装置の点検のみ行う場合等が想定される。フック監視アプリケーション1341を停止後、センサー解析アプリケーション1281は、再度測定値の検出に戻り、ステップS103のハッチドア解錠判定を一から実行する。
【0063】
ドアストッパ取付判定の条件が満たされた場合(ステップS106のYES)、フック監視アプリケーション1341は、フック取付写真撮影判定を行う(ステップS108)。フック取付写真撮影判定の処理の詳細を、図15に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、作業者が、留め具にフックを掛けたかどうかを判定する(ステップS1081)。ステップS1081の判定は、作業者安全監視システム1による判定ではなく、作業者自身による動作を行ったかどうかの判定である。作業者は、かご上に乗り込む前に、かご上の留め具に安全帯のフックを掛ける。そして、作業者は、フックを掛けたかどうかを確認することで、留め具にフックを掛けたかどうかを判定することができる。
【0064】
留め具にフックを掛けた場合(ステップS1081のYES)、フック監視アプリケーション1341は、作業者が掛け状態のフックを写真撮影したか判定する(ステップS1082)。この処理では、作業者が、フック監視アプリケーション1341の作業者画面200において、写真撮影のシャッターボタン205の操作し、留め具に掛けた状態の安全帯のフックを写真撮影する。
作業者によるシャッターボタン205の操作で写真撮影が行われた場合(ステップS1082のYES)、上述のステップS108のフック取付写真撮影判定の条件が満たされたと判定される。
【0065】
留め具にフックが掛けられていない場合(ステップS1081のNO)、または、写真撮影が行われていない場合(ステップS1082のNO)、上述のステップS108のフック取付写真撮影判定の条件が満たされないと判定される。フック取付写真撮影判定の条件が満たされなかった場合(ステップS108のNO)、フック監視アプリケーション1341は、フック取付写真撮影判定に戻る。そして、フック監視アプリケーション1341は、ステップS108のフック取付写真撮影判定を一から実行する。
【0066】
フック取付写真撮影判定の条件が満たされた場合(ステップS108のYES)、作業者は、作業者画面200の送信ボタン207のボタンをタップし、撮影したフックの写真(画像データ)を管理者に送信する(ステップS109)。この処理では、フック監視アプリケーション1341が、写真撮影のシャッターボタン205操作によって写真撮影された際に、作業者画面200の送信ボタン207のボタンを活性化させ、送信ボタン207のボタンをタップできるようにする。そして、作業者が、作業者画面200の送信ボタン207のボタンをタップすることにより、撮影された画像データ等を含むデータを管理者(システム管理サーバー130)に送信する。この操作により、作業者のフック使用およびフック取付写真がシステム管理サーバー130に送信され、管理者に通知、送信される。
また、システム管理サーバー130は、携帯端末120から送信されたデータを、記憶部134に格納する。そして、記憶部134において、作業履歴データ1343の作業履歴テーブル310に、送信されたデータのレコードNo311、日時312、安全帯No313、操作314、ファイル315、作業者316、電話番号317、および、メールアドレス318等を登録する。管理者は、管理者端末140を用いて、フック監視アプリケーション1341にアクセスすることで、履歴画面230から作業者の作業履歴を確認することができる。
【0067】
次に、フック監視アプリケーション1341は、画像データが送信されたタイミングで、携帯端末120の音声出力部126から出力されている安全帯フック注意音声を停止(OFF)する(ステップS110)。このように作業者安全監視システム1は、作業者の安全性の確保を検知した際に、フック監視アプリケーション1341によって注意音声を停止し、作業者に対して注意喚起を停止しする。
【0068】
なお、フック監視アプリケーション1341は、作業者端末100で起動されてから画像データが送信されるまで、携帯端末120の音声出力部126から安全帯フック注意音声の出力を継続している。また、本形態では、ステップS109で撮影した画像データを送信した後にステップS110で注意音声を停止しているが、ステップS110の注意音声の停止処理は、ステップS108の後に行ってもよい。例えば、ステップS108でフック取付写真撮影判定の条件が満たされた場合、すなわち、作業者がシャッターボタン205の操作をして留め具に掛けた状態の安全帯のフックを写真撮影する処理によって、ステップS110の注意音声の停止処理を行ってもよい。
【0069】
また、画像データがシステム管理サーバー130に送信されたタイミングで、フック監視アプリケーション1341が、停止処理を実行する(ステップS111)。続けて、ステップS112のセンサー解析アプリケーション1281が、停止処理を実行する(ステップS112)。
フック監視アプリケーション1341、および、センサー解析アプリケーション1281の停止後、本フローチャートによる処理を終了する。
【0070】
以上の本形態の作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法によれば、ウェアラブルデバイス110等の作業者端末100を用いて作業者の動作を検知し、作業内容を推定することで危険状態を検知し、作業者に危険が及ぶ前に注意喚起を行う。このため、物理センサー等の機器を設備に設置する必要がなく、よりシンプルな構成で安全を確保するためのシステムを構成することができる。
また、本形態の作業者安全監視システムは、かご上に乗り込んだ状態を電圧マットのような物理スイッチや、留め具への安全帯フックの使用を検出するための物理スイッチを設置することなく、作業者の安全確保が可能となる。さらに、本形態の作業者安全監視方法は、かご上に物理センサー等によって乗り込んだことを検出してアラートを出すような、従来の構成では注意喚起することができなかった、作業者に危険が及ぶ前の注意喚起が可能となる。
さらに、本形態の作業者安全監視システム、および、作業者安全監視方法は、ウェアラブルデバイスを用いて作業者の特徴的な行動を検知することで、多様なモーションへの適用が容易に可能となる。
【0071】
なお、上述の実施形態ではエレベーターのかご上作業を用いて作業者安全監視システム、および、作業者安全監視システムを説明しているが、作業者安全監視システム、および、作業者安全監視システムの適用範囲はエレベーターに限られない。エレベーターのかご上作業以外であっても、上述の様に作業者が安全帯を用いて安全確保を行う作業であれば、同様に適用することができる。この際、作業者の作業内容を推定するための測定値の処理は、作業内容に応じて種々変更することで、各種の作業において作業者の安全確保が可能となる。
【0072】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 作業員安全監視システム、100 作業者端末、101 広域ネットワーク、110 ウェアラブルデバイス、111 気圧センサー、112,124,133,143,123,132,145 通信処理部、113,122,131,142 制御処理部、114,128,134,146 記憶部、120 携帯端末、121,141 画面表示部、125,144 画面入力部、126 音声出力部、127 カメラ、130 システム管理サーバー、140 管理者端末、200 フック監視アプリ作業者画面、201 キャンセル、202 作業者名、203 使用安全帯No選択、204 安全帯フック写真撮影、205 シャッター、206 写真、207 送信、210 管理者画面、211 チェックボックス、212 安全帯使用状況、213 作業者情報、214 閉じるボタン、215 画面更新ボタン、216 作業者設定ボタン、217 履歴表示ボタン、220 作業者設定画面、221,302,313 安全帯No、222 作業者名テキストボックス、223 電話番号テキストボックス、224,237,307,318 メールアドレス、225 顔写真ファイル、226 ファイル選択ボタン、227 キャンセルボタン、228 削除ボタン、229 登録ボタン、230 履歴画面、231 日付、232 安全帯、233,314 操作、234,315 ファイル、235,304,316 作業者、236,306,317 電話番号、300 作業者テーブル、301,311 レコードNo、303 状態、305 顔写真、310 作業履歴テーブル、312 日時、1141 センサー測定値、1281 センサー解析アプリケーション、1282,1344 写真ファイル、1341 フック監視アプリケーション、1342 作業者データ、1343 作業履歴データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15