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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157885
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】干し物製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/02 20060101AFI20241031BHJP
   A23N 12/08 20060101ALI20241031BHJP
   A23L 13/00 20160101ALN20241031BHJP
   A23B 4/03 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
A23B7/02
A23N12/08 Z
A23L13/00 E
A23B4/03 502A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072515
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】500132203
【氏名又は名称】前川鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】前川 真一
(72)【発明者】
【氏名】前川 斉之
【テーマコード(参考)】
4B042
4B061
4B169
【Fターム(参考)】
4B042AC06
4B042AD05
4B042AG12
4B042AG68
4B042AH01
4B042AP17
4B042AT05
4B061AA02
4B061AA03
4B061BA13
4B061CA25
4B061CA31
4B169BA05
(57)【要約】
【課題】低位置に於て、干し物素材を吊るす作業を行うことにより、手の届く高さよりも高い位置に容易に干し物素材を干すことができる干し物製造装置を提供する。
【解決手段】所定間隔をもって多数の干し物素材を順次吊下げるための無端環状ロープ2と、ロープ2を、傾斜面状乃至鉛直面状に張設するための張設基台枠24と、ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備える。張設基台枠24が、ロープ2を懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラ25を有する。ロープ駆動装置Zを、低位置に配設する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔(P)をもって多数の干し物素材(Y)を順次吊下げるための無端環状ロープ(2)と、該ロープ(2)を、傾斜面状乃至鉛直面状に張設するための張設基台枠(24)と、上記ロープ(2)を周回駆動させるロープ駆動装置(Z)とを、備え、
上記張設基台枠(24)が、上記ロープ(2)を懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラ(25)を有し、
上記ロープ駆動装置(Z)を、低位置に配設したことを特徴とする干し物製造装置。
【請求項2】
所定間隔(P)をもって多数の干し物素材(Y)を順次吊下げるための無端環状ロープ(2)と、該ロープ(2)を、角錐側面状又は角柱側面状に張設するための張設基台枠(26)と、上記ロープ(2)を周回駆動させるロープ駆動装置(Z)とを、備え、
上記張設基台枠(26)が、上記ロープ(2)を懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラ(27)を有し、
上記ロープ駆動装置(Z)を、低位置に配設したことを特徴とする干し物製造装置。
【請求項3】
上記ロープ駆動装置(Z)が、
上下縦長状の基台枠(3)を、備え、
上記基台枠(3)に、上記ロープ(2)が引寄せられて巻設される駆動ドラム(4)と、上記ロープ(2)が巻設されて繰出される従動ドラム(5)と、上記駆動ドラム(4)へ回転トルクを伝達する駆動モータ(7)とを、取着し、
さらに、地面から突出している木の幹、竹、電柱等の鉛直棒状体(T)に圧接する上下方向の凹溝面(9)を、上記基台枠(3)が具備する請求項1又は2記載の干し物製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干し物製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、干し柿や干しイカ等の干し物を製造するには、柿やするめいか等を線状体に多数吊るして、天日干しする干し物製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-105648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の干し物製造装置は、所定の狭い土地に於て多数の干し物素材を干す場合、手の届かない高い位置へ干し物素材を吊るすには、別途、所定の専用用具を必要としており、手の届かない高い位置へ干し物素材を干すのが困難だという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、低位置に於て、干し物素材を吊るす作業を行うことにより、手の届く高さよりも高い位置に容易に干し物素材を干すことができる干し物製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る干し物製造装置は、所定間隔をもって多数の干し物素材を順次吊下げるための無端環状ロープと、該ロープを、傾斜面状乃至鉛直面状に張設するための張設基台枠と、上記ロープを周回駆動させるロープ駆動装置とを、備え、上記張設基台枠が、上記ロープを懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラを有し、上記ロープ駆動装置を、低位置に配設したものである。
【0007】
また、所定間隔をもって多数の干し物素材を順次吊下げるための無端環状ロープと、該ロープを、角錐側面状又は角柱側面状に張設するための張設基台枠と、上記ロープを周回駆動させるロープ駆動装置とを、備え、上記張設基台枠が、上記ロープを懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラを有し、上記ロープ駆動装置を、低位置に配設したものである。
【0008】
また、上記ロープ駆動装置が、上下縦長状の基台枠を、備え、上記基台枠に、上記ロープが引寄せられて巻設される駆動ドラムと、上記ロープが巻設されて繰出される従動ドラムと、上記駆動ドラムへ回転トルクを伝達する駆動モータとを、取着し、さらに、地面から突出している木の幹、竹、電柱等の鉛直棒状体に圧接する上下方向の凹溝面を、上記基台枠が具備するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の干し物製造装置によれば、低位置に於て、干し物素材を吊るす作業を行うことにより、手の届く高さよりも高い位置に容易に干し物素材を干すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
図2】側面図である。
図3】ロープ駆動装置を示す正面図である。
図4】側面図である。
図5】平面図である。
図6】ガイドローラの取着位置を変更した状態を示す正面図である。
図7】要部拡大平面図である。
図8】要部拡大平面図である。
図9】他の実施の形態の要部拡大平面図である。
図10】使用例1を示す正面図である。
図11】要部拡大図である。
図12】使用例1を示す正面図である。
図13】使用例2の要部を示す正面図である。
図14】使用例3の要部を示す正面図である。
図15】第2の実施の形態の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1図2は、本発明の第1の実施の形態を示す。
本発明の干し物製造装置は、所定間隔P(図10図11参照)をもって多数の干し物素材Y(例えば、柿)を吊下げるための無端環状ロープ2と、ロープ2を、(2面の)傾斜面状に張設するための張設基台枠24と、ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備える。ロープ駆動装置Zを、低位置に配設する。なお、本発明に於て、「低位置」とは、地面からの高さが2m以下の位置をいうものとする。
【0012】
張設基台枠24は、底部に矩形に配設される4本の底部枠部材24Aと、上記矩形の頂点に下端が取着される4本の傾斜柱部材24Bと、上部に水平状に配設されて、端部に傾斜柱部材24Bが2本ずつ取着される上部枠部材24Cとを、有する。
【0013】
張設基台枠24の傾斜柱部材24Bが、ロープ2を懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラ25を有する。ガイドローラ25は、ロープ2をジグザグ状に張設可能とするように、傾斜して設ける。張設基台枠24に傾斜面状に張設した無端環状ロープ2を、ロープ駆動装置Zにて周回駆動させるように構成する。なお、所定間隔Pは、不均等であっても良い。
【0014】
図3図5に示すように、ロープ駆動装置Zは、上下縦長状の基台枠3を、備える。ロープ2が引寄せられて巻設される駆動ドラム4を、基台枠3の上半部に、配設する。ロープ2が巻設されて繰出される従動ドラム5を、基台枠3の下半部に、配設する。駆動ドラム4及び従動ドラム5は、各々、複数の外周凹溝14を有し、無端環状ロープ2をたすき掛け状(8の字状)として巻設する(図4参照)ように構成する。例えば、3回~7回巻設する。
【0015】
さらに、基台枠3の一側板6の下方部位に駆動モータ7を配設すると共に、一側板6の上方部位に減速機8を配設して、駆動モータ7の回転トルクを減速機8を介して、駆動ドラム4へ伝達するよう構成する。駆動モータ7が、携帯自在な小型発電機(図示省略)に対応可能なモータである。つまり、農家や一般家庭で広く使用されている 100V発生用の小型発電機で十分である。駆動モータ7の下部が、基台枠3の下端15よりも下方へ突出状態として、駆動モータ7が基台枠3の一側板6に、配設されている。
【0016】
基台枠3において、駆動ドラム4よりも上方部位に、無端環状ロープ2が懸架されるガイドローラ13が、設けられている。ガイドローラ13は、ボルト部材22まわりに回転自在に取着され、ボルト部材22及びカラー(円筒体)23の向きを変更して、軸心方向一端側(図3参照)と他端側(図6参照)に交換自在に取着することができる。
【0017】
図7図8に示すように、地面から突出している木の幹、竹、柱(例えば、電柱、農小屋の柱、フェンスの柱、杭)等の鉛直棒状体Tに圧接する上下方向の凹溝面9を、基台枠3が具備する。凹溝面9の横断面形状は、略V字型、略円弧型等である。基台枠3は、凹溝面9の両側端の各角部10に貫孔部11を有する。ベルト等の締付部材12を、貫孔部11に挿通させて、鉛直棒状体Tに巻設して、基台枠3の凹溝面9を、鉛直棒状体Tに圧接状態として、基台枠3を鉛直棒状体Tに固縛するように構成する。しかも、この貫孔部11近傍に、ベルト傷付き防止用の鉛直状丸棒16が固設される。なお、固縛の際、図示省略の荷締機を用いるのが好ましい。
【0018】
基台枠3の高さ寸法H(図3参照)を、前後幅寸法W(図5参照)の 1.6倍~3倍に設定する。高さ寸法Hが、前後幅寸法Wの 1.6倍未満の場合、駆動ドラム4と従動ドラム5が近接し過ぎて、適切にロープ2を懸架することができない。高さ寸法Hが、前後幅寸法Wの3倍を超える場合、駆動ドラム4と従動ドラム5との間隔が大きくなり過ぎ、上下の長さ寸法(高さ)が不必要に過大となり、設置・使用が困難である。
【0019】
図9は、本発明の他例を示し、鉛直状丸棒16を省略している。
【0020】
次に、本発明の干し物製造装置の使用方法について説明する。図10図12は使用方法の一例(使用例1)を示す。図10に示すように、ロープ駆動装置Z近傍の低位置に於て、多数の干し物素材Y(図10の例では、柿)を、所定間隔Pをもって無端環状ロープ2に吊下げて、ロープ駆動装置Zにてロープ2を繰出して(周回駆動させて)、干し物素材Yを下方から上方へ移動させる。(図10に於て図示省略したが、)図11に示すように、ロープ2に、所定間隔Pをもって多数の物品吊下部1を配設して、物品吊下部1に(順次、又は、1個飛び乃至数個飛びに)干し物素材Yを吊下げる。さらにロープ駆動装置Zにてロープ2を周回駆動させると、図12に示すように、最初に干した干し物素材Yから順次、干し物素材Yが上方から下方へ移動する。図12に示すように、干し物素材Yを2面の傾斜面状に張設されたロープ2に吊下げて、所定期間乾燥させる。ロープ2が立体的に張設されているので、干し物素材Yが相互に干渉することを防止できる。なお、干し物素材Yの乾燥後、干し物をロープ2から取外すには、ロープ駆動装置Zにてロープ2を順次引寄せて、低位置にて干し物を順次取外すことができる。
【0021】
図13は、本発明の他の使用例(使用例2)を示す。すなわち、干し物素材Yがイカである。その他の構成は、(図10図12に示した)使用例1と同様である。
図14は、本発明のさらに他の使用例(使用例3)を示す。編籠28の中に干し物素材Yとしての小魚を収納して、編籠28を、ロープ2の物品吊下部1に吊下げる。その他の構成は、使用例1と同様である。
【0022】
図15は、本発明の第2の実施の形態の使用状態を示す。所定間隔Pをもって多数の干し物素材Yを吊下げるための無端環状ロープ2と、ロープ2を、角錐側面状又は角柱側面状に張設するための張設基台枠26と、ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備える。
【0023】
張設基台枠26は、底部に多角形に配設される(上記多角形に対応する)所定複数本の底部枠部材26Aと、上記多角形の頂点に下端が取着される所定複数本の柱部材26Bと、上部に多角形に配設されて、該多角形の頂点に柱部材26Bの上端が取着される所定複数本の上部枠部材26Cとを、有する。図15の実施例では、上記多角形は、四角形である。
なお、上記多角形を、三角形、六角形等とするも良い。
【0024】
張設基台枠26の柱部材26Bが、ロープ2を懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラ27を有する。ロープ2を、張設基台枠26に角柱側面状又は角錐側面状に張設し、ロープ2をロープ駆動装置Zにて周回駆動させるように構成する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0025】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、ロープ駆動装置Zを、張設基台枠24又は張設基台枠26に取着して使用するも良い。即ち、鉛直棒状体Tとして、張設基台枠24又は張設基台枠26を用いても良い。また、張設基台枠24が、ロープ2を、1面の傾斜面状又は鉛直面状に張設するためのものであっても良い。また、物品吊下部1を省略するも良い。即ち、干し物素材Yの吊紐30(図11,図13図14図15参照)を、ロープ2に縛付けるも、自由である。また、干し物素材Yは、柿、イカ、小魚以外であっても良く、例えば、大根等の野菜、サバ等の大きな魚等であっても良い。
【0026】
以上のように、本発明は、所定間隔Pをもって多数の干し物素材Yを順次吊下げるための無端環状ロープ2と、該ロープ2を、傾斜面状乃至鉛直面状に張設するための張設基台枠24と、上記ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備え、上記張設基台枠24が、上記ロープ2を懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラ25を有し、上記ロープ駆動装置Zを、低位置に配設したので、低位置に於て、干し物素材Yを吊るす作業を行うことにより、手の届く高さよりも高い位置に干し物素材Yを容易に干すことができる。
【0027】
また、所定間隔Pをもって多数の干し物素材Yを順次吊下げるための無端環状ロープ2と、該ロープ2を、角錐側面状又は角柱側面状に張設するための張設基台枠26と、上記ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備え、上記張設基台枠26が、上記ロープ2を懸架しつつ方向転換するための複数のガイドローラ27を有し、上記ロープ駆動装置Zを、低位置に配設したので、低位置に於て、干し物素材Yを吊るす作業を行うことにより、手の届く高さよりも高い位置に干し物素材Yを容易に干すことができる。
【0028】
また、上記ロープ駆動装置Zが、上下縦長状の基台枠3を、備え、上記基台枠3に、上記ロープ2が引寄せられて巻設される駆動ドラム4と、上記ロープ2が巻設されて繰出される従動ドラム5と、上記駆動ドラム4へ回転トルクを伝達する駆動モータ7とを、取着し、さらに、地面から突出している木の幹、竹、電柱等の鉛直棒状体Tに圧接する上下方向の凹溝面9を、上記基台枠3が具備するので、ロープ駆動装置Zの設置面積が極めて小さくて済み、移動・設置・使用が容易である。また、鉛直棒状体Tさえあれば、設置・使用が可能である。また、鉛直棒状体Tに対して凹溝面9が強力に圧接することによって、ロープ駆動装置Z全体が振れないように、強固に固定できる。
【符号の説明】
【0029】
2 (無端環状)ロープ
3 基台枠
4 駆動ドラム
5 従動ドラム
7 駆動モータ
9 凹溝面
24 張設基台枠
25 ガイドローラ
26 張設基台枠
27 ガイドローラ
P 所定間隔
T 鉛直棒状体
Y 干し物素材
Z ロープ駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15