(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157886
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両試験用アクセルペダル操作装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20241031BHJP
F16M 11/04 20060101ALI20241031BHJP
F16M 11/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01M17/007 Z
F16M11/04 L
F16M11/08 Z
G01M17/007 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072517
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】竹村 保人
(72)【発明者】
【氏名】出口 良宏
(57)【要約】
【課題】シャシダイナモメータに搭載した車両のアクセルペダルを所定の開度に保持するためのアクセルペダル操作装置において、異常事態発生時の安全性を確保する。
【解決手段】アクセルペダル操作装置は、車両の床とハンドル18とに突っ張る棒状の本体1と、本体1に取り付いてハンドル18を挟持する姿勢保持部2と、本体1に取りついてアクセルペダル24を押すアクセルペダル操作部3とを備えている。アクセルペダル操作部3は、アクセルペダル24を押す押動体21と、押動体21を前進状態に保持する電磁石23と、押動体21を後退方向に付勢するばね26とを備えている。異常自体が発生すると、電磁石23への通電が解除されて押動体21が後退し、アクセルペダル24は原位置に復帰する。アクセルペダル操作部3の位置はアジャストロッド30によって微調整できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が車体内部のうちアクセルペダルの近くに当接して他端が車内設備の近傍に位置するようにして配置される棒状の本体と、
前記本体の他端寄り部位に取り付けられて前記車内設備に固定されることによって前記本体を移動不能に保持する姿勢保持部と、
前記本体の一端近くに取り付けられて前記アクセルペダルを所定の開度に保持するアクセルペダル操作部と、を備えて、
前記アクセルペダル操作部は、前記アクセルペダルに向けて前後動するように前記本体に取り付けられた押動体と、前記押動体を前進状態に保持する遠隔操作式の保持体と、を有しており、外部からの危険信号によって前記保持体による押動体の保持が解除され前記押動体によるアクセルペダルの押さえも解除される、
車両試験用アクセルペダル操作装置。
【請求項2】
前記姿勢保持部は、手動操作式のロック手段により、前記本体にスライド自在な状態と固定状態とに切り替えられるように取り付けられている一方、
前記アクセルペダル操作部は、ねじ式のアジャスタロッドによって前記本体の長手方向に移動調節自在になっている、
請求項1に記載した車両試験用アクセルペダル操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、シャシダイナモメータを使用して車両の性能試験を行うに際して使用するアクセルペダル操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の燃費などの性能試験はシャシダイナモメータを使用して行われているが、評価試験に先立って、準備のために車両の暖機(エンジンの暖気)とシャシダイナモメータとの暖機運転が必要であり、この暖機運転においては、運転者が搭乗して、アクセルペダルを所定の開度(時速60km相当の開度)に踏み続けていた。しかし、暖機運転は20~30分行われるため、人手によって暖機運転を行うのは面倒である。
【0003】
他方、特許文献1には、アクセルペダルやブレーキペダルの操作を行う試験運転用ロボットが開示されており、このロボットは、後端がシートレールに固定された水平状のペダル操作治具と、ペダル操作治具の浮き上がりを防止するためにハンドルに対して突っ張った浮き上がり防止機構とを備えており、ペダル操作治具に、ワイヤーの引っ張りによってアクセルペダルやブレーキペダルを押動する部材が設けられている。
【0004】
そして、特許文献1のロボットと同様の装置を使用して、アクセルペダルの暖機運転時にアクセルペダルを所定の開度に保持することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、シャシダイナモメータを使用して車両の評価試験を行うに当たって、試験を続行できない様々な事態が発生することが想定される。例えば、シャシダイナモメータに制御上等のトラブルが発生して、ローラの抵抗が無くなってしまうことが想定される。或いは、地震や停電などの外的要因によってシャシダイナモメータの電源が切れてしまうことが想定される。或いは、車両自体のトラブルとして、スロットルバルブやインジェクタの制御不良による出力の異常変動が想定される。
【0007】
このような異常が発生した場合は、即座に暖機運転を停止すると共にエンジンを停止する必要があるが、特許文献1のロボットは、外的要因によるトラブルの発生は想定しておらず、トラブルが発生してもアクセルペダルは押され続けた状態になる可能性があり、すると、例えば、シャシダイナモメータのローラが空回り状態になって、車両が暴走状態になってしまうおそれがある。すなわち、特許文献1のロボットをそのまま適用しただけでは、評価試験の安全性を確保し難い。
【0008】
従って、特許文献1では、トラブルが発生したときに素早く対応できるように、作業員が見守っている必要があるため、試験コストが嵩むことになる。また、停電によって試験室の照明が落ちてしまった場合など、トラブルの種類によっては、作業員が即座に対応できない場合もある。
【0009】
本願発明はこのような現状を背景になされものであり、外的容易によるトラブルに対する対応性に優れたアクセルペダル操作装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明のアクセルペダル操作装置は、
「一端が車体内部のうちアクセルペダルの近くに当接して他端が車内設備の近傍に位置するようにして配置される棒状の本体と、
前記本体の他端寄り部位に取り付けられて前記車内設備に固定されることによって前記本体を移動不能に保持する姿勢保持部と、
前記本体の一端近くに取り付けられて前記アクセルペダルを所定の開度に保持するアクセルペダル操作部と、を備えている」
という基本構成である。
【0011】
そして、上記基本構成に加えて、
「前記アクセルペダル操作部は、前記アクセルペダルに向けて前後動するように前記本体に取り付けられた押動体と、前記押動体を前進状態に保持する遠隔操作式の保持体と、を有しており、外部からの危険信号によって前記保持体による押動体の保持が解除され前記押動体によるアクセルペダルの押さえも解除される」
という特徴を備えている。
【0012】
本願発明は、様々に展開できる。その例として請求項2では、
「前記姿勢保持部は、手動操作式のロック手段により、前記本体にスライド自在な状態と固定状態とに切り替えられるように取り付けられている一方、
前記アクセルペダル操作部は、ねじ式のアジャスタロッドによって前記本体の長手方向に移動調節自在になっている」
という構成になっている。
【0013】
アクセルペダルは押動体による押さえが解除されるとばねで原位置に戻るが、原位置に確実かつ迅速に戻すために、押動体はばねによって後退位置に付勢しておくのが好ましい。また、アクセルペダルを前進位置に維持する保持体は、例えば電磁ソレノイドで駆動されるレバーなども使用できるが、電磁石を使用すると構造が簡単でかつ作動も簡単になる。押動体は本体に直接取り付けることも可能であるが、ブラケットを介して取り付けるのが好適である。
【0014】
本体として棒材やパイプ、型鋼などの部材を使用できるが、蟻溝を備えた押し出し材を使用すると、市販品を利用して部材を簡単に固定できる。姿勢保持部の取り付け対象である車内設備としては座席やシートレールなども使用できるが、突っ張りの確実性や汎用性の点からハンドルが好適である。なお、本願発明において、姿勢保持部を車内設備に固定するとは、本体が軸方向に移動しないように保持するという意味であって、必ずしもクランプされている必要はなく、ずれ不能に当接された状態も含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、本体は車内設備とフロアとの間に突っ張って移動不能に保持されており、その状態で押動体がアクセルペダルに当たっているため、アクセルペダルを所定の踏み込み量に正確に保持できる。従って、シャシダイナモメータを使用した評価試験における暖機運転などを、能率よくかつプログラムとおりに行うことができる。従って、評価試験の品質向上に貢献できる。
【0016】
そして、シャシダイナモメータ装置のトラブルや、建物自体のトラブル、或いは車両自体のトラブルなどで車両の運転を続行すると危険な状態になる異常事態が発生した場合は、保持体による押動体の保持が解除されて押動体が自動的に後退することにより、アクセルペダルは原位置に戻って低速状態に移行する。従って、事故を防止して安全性を確保できる。また、作業員の監視は不要であるため、無人化してマンパワーを有効活用できる。更に、例えば停電のように作業員が対応できない事態が発生しても、押動体の後退は行われるため、安全性を確実化できる。
【0017】
特に、保持体として電磁石を使用すると、通電の遮断によって押動体が後退するため、停電などで検査システム自体がダウンしてもアクセルペダルを原位置に戻すことができる利点がある。保持体を作動させて押動体を後退させることに加えて、エンジンの運転を停止することも可能である。
【0018】
車両は様々の種類があるが、請求項2のように姿勢保持部を調節式に構成すると、種類や大きさが異なる様々な車両に1種類のアクセルペダル操作装置で対応できる。アクセルペダルは運転者が足で踏むものであるため、車種が異なっても位置は殆ど違いはない一方、ハンドルも運転者が操作するものであって運転者との相対位置はさほど違いはないため、姿勢保持部の固定対象をハンドルに設定すると、汎用性を更に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】ハンドルに固定した状態の部分斜視図である。
【
図3】アクセルペダルを押した状態の部分斜視図である。
【
図4】(A)は
図1のIVA-IVA視断面図、(B)は(A)のB-B視断面図、(C)は
図1の IVC-IVC視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1).実施形態の構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1の全体図に示すように、本実施形態は角形で棒状の本体1を備えており、本体1の上端寄り(他端寄り)部位に姿勢保持部2を装着して、本体1の下寄り(一端寄り)部位にアクセルペダル操作部3を装着し、本体1の中途高さ部位にアクセルペダル操作部3の高さを微調整するための中間ブラケット4を装着している。
【0021】
図4(A)に示すように、本体1は、四角形で各面に蟻溝5が形成された押し出し材を使用しており、
図1のとおり、本体1の上端には樹脂製のキャップ6を装着して、下端にはゴム等の弾性体よりなる床当たり7を装着している。本体1の蟻溝5は台形の空間部を有しており、本体1の中心に中心穴が空いている。本体1は、アルミ材の押し出し加工品を使用している。
【0022】
図2に示すように、姿勢保持部2は、本体1に第1上レバー8で固定される上ブラケット9と、上ブラケット9に第2上レバー10で固定される上下一対の挟持体11とを有している。
図2に示すように、第1上レバー8の二股状基部8aに、第1クランプボルト12のヘッド部12aがピン13で回転自在に連結されている。第1クランプボルト12は、本体1の蟻溝5の内部に挿入された上部ロックナット14にねじ込まれている。上部ロックナット14は、蟻溝5の内部とほぼ同じ平面視形状をしており、蟻溝5の空洞部に上下動自在で横向き抜け不能に保持されている。
【0023】
第1上レバー8の二股状基部8aは、平面視でピン13の軸心からの距離が徐々に相違する周面カムになっており、
図2や
図4(A)に上ブラケット9と略平行な姿勢のとき、回動軸心からの距離が最も大きくなって、カラー(ザガネ)12bを介して上ブラケット9に突っ張るようになっている。従って、第1上レバー8が第1クランプボルト12の軸心方向に向いた姿勢では、第1上レバー8の二股状基部8aは上ブラケット9には突っ張っておらずに、上ブラケット9は自由に上下動させることができる。
【0024】
上ブラケット9の高さ位置の調節方法としては、第1上レバー8を第1クランプボルト12と略同心状の姿勢にして当該第1上レバー8を上下動させて、それから第1上レバー8を倒し回動させてクランプするか、或いは、第1上レバー8を寝かせた状態で第1クランプボルト12の軸心回りに回動させることにより、クランプ状態とクランプ解除状態とを選択して、クランプ解除状態で上下動させるかしたらよい。後者の場合は、蝶ボルトと同様の使用方法になる。
【0025】
第2上レバー10の固定構造も第1上レバー8と同様であり、第2上レバー10の二股状基部10aが締め込み第2クランプボルト15のヘッド部15aにピン16で連結されていて、第2クランプボルト15は、上ブラケット9の他端部と上下挟持体11とに上から貫通して、下端に摘み状のナット17をねじ込んでいる。挟持体11には、ハンドル18を上下から掴む曲がり部11aが形成されている。第2クランプボルト15にもカラー15bが被嵌している。
【0026】
挟持体11をハンドル18に脱着するに当たっては上下の挟持体11の間隔を大きく空けなければならないので、ナット17を回転操作することによって、挟持体11の間隔を大まかに調節して、第2上レバー10を第2クランプボルト15と略同心状の姿勢にしてナット17を下の挟持体11に当ててから、第2上レバー10を寝かせる方向に回動させることにより、上下の挟持体11でハンドル18を上下からクランプすることになる。
【0027】
図4(B)では、クランプ状態で上下挟持体11が上ブラケット9に全体的に密着した状態に表示しているが、実際のクランプ状態では、上下挟持体11はその基端が上ブラケット9に当接し、基端を除いた部位と上ブラケット9との間には隙間があいている。
【0028】
図3に明示するように、アクセルペダル操作部3は、本体1に上下動自在に装着された下ブラケット19と、下ブラケット19の先端部にスリーブ20を介して上下動自在に保持されたロッド状の押動体21と、押動体21の上端に固定されて本体1の側を向いた板状の磁性体22と、請求項に記載した保持体の一例として磁性体22の下方位置に配置された電磁石23とを備えており、電磁石23はスペーサ23aを介して下ブラケット19の上面に固定されている。電磁石23の電源ケーブルは図示を省略している。押動体21の下端には、アクセルペダル24に当接する当接子25を設けている。
【0029】
押動体21のうちスリーブ20と磁性体22との間の部位に、押動体21を上向きに付勢するばね26が嵌め込まれている。電磁石23に通電した状態で押動体21を押し下げると、磁性体22が電磁石23に磁着した状態が保持されて、電磁石23の通電を解除すると、押動体21はばね26によって上昇動(後退)する。
【0030】
下ブラケット19は、本体1の側面に広い面積で重なる安定板部19aを設けている一方、
図4(C)に示すように、本体1の蟻溝5に、
図4(A)に表示した上部ロックナット14と同じ形状の下部ロックナット14aがスライド自在に配置されて、下部ロックナット14aが下ブラケット19の安定板部19aにスペーサ(図示せず)を介して固定されている。スペーサは蟻溝5の開口部の深さよりも僅かに大きい寸法に設計されている。従って、下ブラケット19は、ガタツキを生じることなく本体1に上下動自在に保持されている。
【0031】
中間ブラケット4は上ブラケット9とほぼ同じ形態であり、第1上レバー8と同じ構造の中間レバー27を取り付けている。従って、中間レバー27には、第1クランプボルト12と同一種類の中間クランプボルト28が連結されて、中間クランプボルト28は、上部ロックナット14と同じ形状の中間部ロックナット(図示せず)にねじ込まれている。そして、中間ブラケット4に、上端に摘み29を設けて下部をねじ部に形成したアジャストロッド30が回転自在で上下動不能に保持されて、アジャストロッド30の下部が下ブラケット19にねじ込まれている。従って、中間ブラケット4を本体1に固定した状態でアジャストロッド30を回転操作すると、アクセルペダル操作部3の高さを微調整できる。
【0032】
(2).まとめ
本実施形態では、本体1はハンドル18とフロアとの間に突っ張っているため、押動体21によってアクセルペダル24を安定的に押さえることができる。従って、例えば暖機運転を、所定の出力で正確に実行できる。
【0033】
また、姿勢保持部2もアクセルペダル操作部3も高さを調節できるため、1種類の装置で様々な車種に対応できる。特に、実施形態のように姿勢保持部2をハンドル18に固定すると、ハンドル18の高さは車種が異なってもたいして相違することはなく、また、円形の基本形態は共通しているため、汎用性が高い。
【0034】
また、ハンドル18に固定すると、着脱の作業は身体をかがめることなく自然な姿勢で行えるため、着脱の作業も容易である。押動体21によるアクセルペダル24の押し込み量の微調節手段としては、当接子25をねじ式に構成することも可能であるが、この場合は、作業者は身体をかがめて当接子25の回転作業をしなければならないため作業者の負担が大きいのに対して、実施形態のように中間ブラケット4に微調整用のアジャストロッド30を設けると、作業者は普通の姿勢でアジャストロッド30を回転操作できるため、微調整の作業を負担なく行える。
【0035】
更に、上ブラケット9及び中間ブラケット4のクランプ・クランプ解除やハンドル18のクランプ・クランプ解除に回動式(カム式)のレバー8,27を使用すると、それらクランプ・クランプ解除をワンタッチ的に行えるため、アクセルペダル操作装置の取り付け・取り外しの作業を迅速に行える。
【0036】
さて、図示していないが、車両はシャシダイナモメータのローラ上に搭載されており、ローラに所定の負荷を掛けた状態で車輪を回転させることにより、燃費等の性能試験が実施される。シャシダイナモメータの制御装置(図示せず)には、異常を検知するための各種のセンサが結線されている。例えば、建物系の異常を検知するセンサとして、地震センサ、衝撃検知センサ、火災センサ(火災報知機)、許可を受けていない人の侵入を検知するセンサ、などが結線されている。
【0037】
シャシダイナモメータ設備の異常を検知するセンサとしては、車台の異常振動や衝撃を検知するセンサ、ローラの抵抗を検知するセンサ、電源の異常を検知するセンサ、車両の連結状態を検知するセンサなどが結線されている。車両自体の異常を検知するセンサとして、車体の水平度を検知する傾斜センサ、回転センサ、スロットルバルブの開度センサや、冷却水温度センサなどのエンジンの制御系のセンサが結線されている。
【0038】
そして、建物やシャシダイナモメータ設備、或いは車両に何らかの異常が発生して、運転継続が危険な状態に至った場合は、電磁石23への通電が遮断されて押動体21の保持か解除される。すると、押動体21がばね26によって後退してアクセルペダル24に対する押さえが解除されるため、アクセルペダル24は原位置に戻って安全が確保される。停電によって制御システム自体がダウンしても、電磁石23は磁力を無くして押動体21は後退する。
【0039】
このように、何らかの異常が発生したらアクセルペダル24は原位置に戻るため、例えば暖機運転において作業員が監視している必要はなくて、無人での運転を実現できる。従って、マンパワーを有効活用できる。また、停電によって室内の照明が落ちると監視員の対応自体が困難になることがあるが、本実施形態では、停電下でもアクセルペダル24が原位置に戻るため、安全の確実性に優れていると云える。異常事態の内容に応じて、エンジンの運転が停止するように設定することも可能である。
【0040】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、本体は、角形鋼管や丸形鋼管等のパイプ、或いは型鋼などの様々な形状のものを使用できる。姿勢保持部としては、例えばハンドルに固定する場合、必ずしも上下から挟持する必要はなく、U形の係止体を下方からハンドルに嵌め込んで、係止体を下方からハンドルに突っ張らせるといったことも可能である。
【0041】
保持体として電磁石を使用する場合、ブラケット等に固定された固定電磁石と、押動体に固定された可動電磁石とを使用することも可能である。また、保持体として電磁石を使用する場合、リング状の電磁石を使用して、電磁石とロッド状押動体とを同心に配置することも可能である。
【0042】
更に、押動体は実施形態では軸方向に移動するロッドタイプを採用したが、回動式(レバー式)の押動体も採用できる。更に、押動体を本体にスライド自在に装着することも可能である。保持体としては、電磁シリンダや電磁ソレノイドも利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明は、アクセルペダル操作装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 本体
2 姿勢保持部
3 アクセルペダル操作部
4 中間ブラケット
5 本体の蟻溝
8 第1上レバー
9 上ブラケット
10 第2上レバー
11 挟持体
12,15 クランプボルト
14 上ロックナット
17 ナット
18 車内設備の一例としてのハンドル
19 下ブラケット
21 押動体
22 磁性体
23 保持体の一例としての電磁石
24 アクセルペダル
26 戻し用のばね
27 中間レバー
28 中間クランプボルト
30 アジャストロッド