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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157887
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20241031BHJP
   A47F 1/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A47F3/04 A
A47F1/12
A47F3/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072518
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優樹
(72)【発明者】
【氏名】末藤 和孝
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA01
3B110AA07
3B110BA02
3B110BA06
3B110CA10
3B110EA08
(57)【要約】
【課題】飲用に適した温度の飲料缶を効率的に取り出すことができるショーケースを提供する。
【解決手段】ショーケース10は、陳列棚12と、陳列棚12の上面に形成されたレーン14と、レーン14の両側部に沿って形成され、飲料缶Cを1列に整列させるガイド16と、取出口OL側の最前に載置された飲料缶Cに接触して温度を計測可能な温度センサ22と、を備え、取出口OL側の外部から視認できる位置に、第1及び第2のインジケータ24、26が配置され、飲料缶Cの温度が、設定した閾値に到達していない場合に第1のインジケータ24は飲料缶Cの温度調整中と、閾値に到達した場合に第2のインジケータ26は飲料缶Cの温度調整完了と表示するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料缶を収容して陳列するためのショーケースであって、
前記飲料缶を載置する陳列棚と、
前記陳列棚の上面に形成された1つ又は複数のレーンと、
前記レーンの両側部に沿って形成され、前記レーンに載置した前記飲料缶を1列に整列させるガイドと、
前記レーンにおいて取出口の側の最前に載置された前記飲料缶に接触して温度を計測可能に構成された温度センサと、を備え、
前記陳列棚の前記取出口の側において外部から視認できる位置に、前記飲料缶が温度調整中であることを表示すると共に、前記飲料缶の温度調整が完了していることを表示するインジケータが配置され、
前記温度センサで計測した前記飲料缶の温度が、設定した閾値に到達していない場合に前記インジケータは温度調整中であることを表示し、設定した前記閾値に到達した場合に前記インジケータは温度調整完了であることを表示するように構成されていることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記陳列棚は、前記取出口の側へ向けて傾斜し、
前記レーンは、載置した前記飲料缶が前記取出口へ向けて自重でスライドするように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記温度センサで計測した温度が設定した閾値に到達し、前記インジケータが温度調整完了であることを表示すると、前記閾値から設定した温度幅を超えて温度が変化するまでの間は、前記インジケータの表示を維持することを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項4】
前記レーンにおいて前記取出口の側の最前に載置された前記飲料缶に接触するタッチセンサをさらに備え、
前記飲料缶が前記タッチセンサに最初に接触してからの経過時間を計測可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項5】
前記温度センサで計測した温度が、設定した前記閾値に到達していない、又は、前記飲料缶が前記タッチセンサと最初に接触してからの前記経過時間が設定時間を経過していない場合に、前記インジケータは温度調整中であることを表示し、該温度が設定した前記閾値に到達し、かつ、前記経過時間が前記設定時間を経過した場合に前記インジケータは温度調整完了であることを表示するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のショーケース。
【請求項6】
前記レーンにおいて前記取出口とは反対側の補充口側に配置され、前記補充口側から補充された前記飲料缶が通過したことを検知するためのゲートセンサをさらに備え、
前記ゲートセンサを通過した前記飲料缶の数をカウントしてカウント番号を記録すると共に、前記飲料缶が前記ゲートセンサを通過してからの経過時間を、前記カウント番号に対応する前記飲料缶ごとに計測することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のショーケース。
【請求項7】
前記タッチセンサは、前記飲料缶が接触したことを検知した回数によって、前記陳列棚の最前に到達した前記飲料缶の本数をカウントすることを特徴とする請求項4に記載のショーケース。
【請求項8】
前記レーンにおいて前記取出口とは反対側の補充口側に配置され、前記補充口側から補充された前記飲料缶が通過したことを検知するためのゲートセンサをさらに備え、
前記ゲートセンサを通過した前記飲料缶の数をカウントしてカウント番号を記録すると共に、前記飲料缶が前記ゲートセンサを通過してからの経過時間を、前記カウント番号に対応する前記飲料缶ごとに計測し、
前記タッチセンサは、前記飲料缶が接触したことを検知した回数によって、前記陳列棚の最前に到達した前記飲料缶の本数をカウントし、
前記温度センサで計測した温度が設定した前記閾値に到達していない、又は、前記タッチセンサに接触している前記飲料缶が前記ゲートセンサを通過してからの前記経過時間が設定時間を経過していない場合に、前記インジケータは温度調整中であることを表示し、該温度が設定した前記閾値に到達し、かつ、前記経過時間が前記設定時間を経過した場合に前記インジケータは温度調整完了であることを表示するように構成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のショーケース。
【請求項9】
前記レーンの下面にはファンが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項10】
前記ファンは、前記レーンの下面側の全面に長手方向に沿って複数台取り付けられており、
前記ファンは、上向きに送風する第1のファンと、下向きに送風する第2のファンとを有する、ことを特徴とする請求項9に記載のショーケース。
【請求項11】
前記ファンは、前記レーンの下面側の全面に長手方向に沿って複数台取り付けられて、上向きに送風するように構成されており、
前記陳列棚の側部には、上下方向に沿って延在する衝立が配置されている、ことを特徴とする請求項9に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、飲料缶を収容して陳列するショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、温度管理をした缶入り飲料を販売するための手段として、例えば、透明ガラス張りの冷蔵又は温蔵ショーケース内の陳列棚に飲料缶を整列して配置することが一般的に知られている。購入者は、ショーケースの前扉を開けて商品を取り出し、購入することができる。特許文献1には、開放機枠内に前方を低く傾斜させた加熱ボードを設置し、加熱ボード上に傾斜方向に沿って並列して複数枚配置した電熱仕切板の間に飲料缶を配置することができる飲料缶陳列装置が開示されている。また、特許文献2には、冷蔵庫内の飲料缶の中の1つをセットして缶の表面温度を測定すると共に温度表示をする装置が開示されている。この装置によれば、冷蔵庫に複数本の飲料缶を同時に入庫した場合であっても温度測定をした1つが全ての飲料缶の温度を代表するため冷蔵庫内の飲料缶の温度管理ができるとされている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の装置によれば、開放機枠内に配置された飲料缶は加熱されているものの、飲料缶に収容された飲料の温度が飲み頃、すなわち飲用に適した温度になるように温度管理されているわけではない。さらに、ユーザは、飲料缶に収容されている飲料が飲み頃か否かを視覚的に判別することができないため、飲料缶を直接触ることによって判断するしかない。また、特許文献2に記載の装置によれば、冷蔵庫では飲料缶や食品等が随時出し入れされるのが一般的であり、ユーザが温度を知りたいと考える飲料缶が装置にセットされていない場合には、その飲料缶が飲用に適した温度になっているか判断することができない。さらに、既にセットされている飲料缶に替えて当該飲料缶を装置にセットしようとするとユーザの工数が増加すると共に当該飲料缶の温度を測定するための待機時間が生じるといった作業効率の低下が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-46561
【特許文献2】特開2017-75895
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を考慮して、飲用に適した温度の飲料缶を効率的に取り出すことができるショーケースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、飲料缶を収容して陳列するためのショーケースであって、飲料缶を載置する陳列棚と、陳列棚の上面に形成された1つ又は複数のレーンと、レーンの両側部に沿って形成され、レーンに載置した飲料缶を1列に整列させるガイドと、レーンにおいて取出口の側の最前に載置された飲料缶に接触して温度を計測可能に構成された温度センサと、を備え、陳列棚の取出口の側において外部から視認できる位置に、飲料缶が温度調整中であることを表示すると共に、飲料缶の温度調整が完了していることを表示するインジケータが配置され、温度センサで計測した飲料缶の温度が、設定した閾値に到達していない場合にインジケータは温度調整中であることを表示し、設定した閾値に到達した場合にインジケータは温度調整完了であることを表示するように構成されていることを特徴とするショーケースである。
【0007】
さらに、本開示の他の態様として、陳列棚は、取出口の側へ向けて傾斜してもよく、レーンは、載置した飲料缶が取出口へ向けて自重でスライドするように構成されてもよい。
【0008】
また、本開示の他の態様として、温度センサで計測した温度が設定した閾値に到達し、インジケータが温度調整完了であることを表示すると、閾値から設定した温度幅を超えて温度が変化するまでの間は、インジケータの表示を維持してもよい。
【0009】
さらに、本開示の他の態様として、レーンにおいて取出口の側の最前に載置された飲料缶に接触するタッチセンサをさらに備え、飲料缶がタッチセンサに最初に接触してからの経過時間を計測可能に構成されてもよい。
【0010】
また、本開示の他の態様として、温度センサで計測した温度が、設定した閾値に到達していない、又は、飲料缶がタッチセンサと最初に接触してからの経過時間が設定時間を経過していない場合に、インジケータは温度調整中であることを表示し、該温度が設定した閾値に到達し、かつ、経過時間が設定時間を経過した場合にインジケータは温度調整完了であることを表示してもよい。
【0011】
さらに、本開示の別の形態として、レーンにおいて取出口とは反対側の補充口側に配置され、補充口側から補充された飲料缶が通過したことを検知するためのゲートセンサをさらに備え、ゲートセンサを通過した飲料缶の数をカウントしてカウント番号を記録すると共に、飲料缶がゲートセンサを通過してからの経過時間を、カウント番号に対応する飲料缶ごとに計測してもよい。
【0012】
また、本開示の他の態様として、タッチセンサは、飲料缶が接触したことを検知した回数によって、陳列棚の最前に到達した飲料缶の本数をカウントしてもよい。
【0013】
さらに、本開示の別の形態として、レーンにおいて取出口とは反対側の補充口側に配置され、補充口側から補充された飲料缶が通過したことを検知するためのゲートセンサをさらに備えてもよく、ゲートセンサを通過した飲料缶の数をカウントしてカウント番号を記録すると共に、飲料缶がゲートセンサを通過してからの経過時間を、カウント番号に対応する飲料缶ごとに計測してもよく、タッチセンサは、飲料缶が接触したことを検知した回数によって、陳列棚の最前に到達した飲料缶の本数をカウントし、温度センサで計測した温度が、設定した閾値に到達していない、又は、タッチセンサに接触している飲料缶がゲートセンサを通過してからの経過時間が設定時間を経過していない場合に、インジケータは温度調整中であることを表示し、該温度が設定した閾値に到達し、かつ、経過時間が設定時間を経過した場合にインジケータは温度調整完了であることを表示してもよい。
【0014】
また、本開示の別の形態として、レーンの下面にはファンが取り付けられてもよい。
【0015】
さらに、本開示の他の態様として、ファンは、レーンの下面側の全面に長手方向に沿って複数台取り付けられてもよく、ファンは、上向きに送風する第1のファンと、下向きに送風する第2のファンとを有してもよい。
【0016】
また、本開示の別の形態として、ファンは、レーンの下面側の全面に長手方向に沿って複数台取り付けられて、上向きに送風するように構成されており、陳列棚の側部には、上下方向に沿って延在する衝立が配置されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一形態に係るショーケースによれば、陳列棚には、レーン及びレーンの両側部に沿ったガイドが形成されている。このため、レーンに載置した飲料缶を1列に整列させることができる。このため、ユーザは、レーンに最先に収容され、後続の飲料缶よりも比較的長い時間温度調整された飲用に適した温度の飲料缶を取り出すことができる。
【0018】
また、本開示の一形態に係るショーケースによれば、取出口の側の最前に載置された飲料缶に接触して温度を計測可能に構成された温度センサを備える。さらに、陳列棚の取出口の側において外部から視認できる位置に、飲料缶が温度調整中であることを表示すると共に、飲料缶の温度調整が完了していることを表示するインジケータが配置されている。インジケータは、温度センサで計測した飲料缶の温度が設定した閾値に到達していない場合に、温度調整中であることを表示することができると共に、設定した閾値に到達した場合に温度調整完了であることを表示することができる。このため、ユーザは、レーンの最前の飲料缶が飲み頃に到達したことを視覚的に判断することができ、誤って飲み頃に到達していない飲料缶を取り出すことを防止又は抑制することができる。これによって、飲用に適した温度の飲料缶を効率的に取り出すことができる。
【0019】
さらに、本開示の他の態様として、飲料缶に収容された飲料が飲み頃に到達しているかどうかの判断を飲料缶の温度だけでなく、飲料缶がタッチセンサと最初に接触してからの経過時間によっても判定することができる。このため、ユーザは、飲料缶が飲み頃に到達したことをより確実に判断することができ、誤って飲み頃に到達していない飲料缶を取り出すことを防止又は抑制することができる。これによって、飲用に適した温度の飲料缶を効率的に取り出すことができる。
【0020】
また、本開示の他の態様として、飲料缶に収容された飲料が飲み頃に到達しているかどうかを飲料缶の温度だけではなく、タッチセンサに接触している飲料缶がゲートセンサを通過してからの経過時間と設定時間との比較によっても判定することができる。このため、ユーザは、レーンの最前の飲料缶が飲み頃に到達したことをより確実に判断することができ、誤って飲み頃に到達していない飲料缶を取り出すことを防止又は抑制することができる。また、最前の飲料缶を取り出した後の後続の飲料缶についても、カウント番号に対応する飲料缶ごとに計測する経過時間と設定時間との比較によって飲み頃を判断することができる。これによって、飲用に適した温度の飲料缶を効率的に取り出すことができる。
【0021】
さらに、本開示の他の態様として、ショーケースは、レーンの下面側の全面に長手方向に沿って複数台取り付けられて、上向きに送風する第1のファンと、下向きに送風する第2のファンとを有する。このため、ショーケース内の温度調整のための冷風又は温風は飲料缶の間を通ってショーケース内の上方側まで回り込む。上方側まで回り込んだ冷風又は温風は飲料缶の間を通ってショーケース内の下方側まで送られる。このため、ショーケース内の飲料缶の間に冷風又は温風をまんべんなく流すことができるため、温度調整の効率を向上させて、温度調整を速く行うことができる。
【0022】
また、本開示の他の態様として、ファンは、レーンの下面側の全面に長手方向に沿って複数台取り付けられて、上向きに送風するように構成されており、陳列棚の側部には、上下方向に沿って延在する衝立が配置されている。このため、陳列棚に載置されている飲料缶に冷却風を集中的に送風することができると共に、ショーケースの外側から伝達される熱を衝立で吸収し、衝立の内側にある飲料缶に伝達されることを防止又は抑制することができる。これによって、温度調整の効率を向上させて、温度調整を速く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る陳列棚を上方側から見た斜視図を示す。
図2図2は、図1の陳列棚を下方側から見た斜視図を示す。
図3図3は、本実施形態に係る温度調整のフローチャートを示す。
図4図4は、第1変形例に係る陳列棚を上方側から見た斜視図を示す。
図5図5は、第1変形例に係る温度調整のフローチャートを示す。
図6図6は、第2変形例に係る陳列棚を上方側から見た斜視図を示す。
図7図7は、第2変形例に係る温度調整のフローチャートを示す。
図8図8は、第3変形例に係る陳列棚を下方側から見た斜視図を示す。
図9図9は、第3変形例に係るショーケースの正面図を示す。
図10図10は、第4変形例に係るショーケースの正面図を示す。
図11図11は、第5変形例に係るショーケースの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るショーケースを説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺を変更して説明する場合がある。
【0025】
なお、以下の説明では、一例として、個人用又は販売用に飲料缶を収容して陳列するためのショーケースは冷蔵ショーケースであるとして説明するが、これに限らず、個人用又は販売用に飲料缶を収容して陳列するための温蔵ショーケースとしても使用されてもよい。
【0026】
図1はショーケース10(図9参照)の陳列棚12の斜視図を示す。本実施形態に係るショーケース10は、図9に示すように、庫内体積が収容する飲料缶Cの寸法に対応してコンパクトになるように構成されている。具体的には、ショーケース10は、飲料缶Cを収容したときに、余剰の空間を生じさせないように構成されている。この点において、多様な収容物を冷蔵するために庫内体積が広く形成され、通常の収容時に余剰の空間を有する冷蔵庫とは異なる。図1に示すように、陳列棚12は、ショーケース10内において1段又は上下方向に沿って複数段配置され(図9では2段)、上面に飲料缶Cを載置するように構成されている。また、陳列棚12は、ショーケース10の前扉を開けて飲料缶Cを取り出すための取出口OL側へ向けて飲料缶Cを自重でスライドさせるために、取出口OL側が飲料缶Cを補充するための補充口RP側よりも低くなるように傾斜してショーケース10内に配置されている。陳列棚12の上面には、補充口RP側から取出口OL側へ向けたショーケース10の前後方向に沿って直線状に延在するレーン14が形成されている。ここでは、飲料缶Cの寸法、すなわち、飲料缶Cの外径に合わせて設定された幅を有する4つのレーン14が形成されている。また、レーン14の両側部には、ショーケース10の前後方向、すなわち、レーン14の長手方向に沿ってガイド16が形成されている。このため、レーン14に載置した飲料缶Cを長手方向に沿って1列に整列させることができる。なお、ここでは、陳列棚12には、4つのレーン14が形成されているとして説明するが、これに限らず、ショーケース及び飲料缶の大きさ、用途に応じて4つよりも少数又は多数のレーンが形成されてもよい。
【0027】
レーン14には、幅方向に延在する軸が両側のガイド16に回転可能に支持されたローラ18がレーン14の長手方向に沿って複数個配置されている。このため、レーン14上、すなわち、ローラ18上に配置した飲料缶Cを、ローラ18の回転によって転がり接触させながらレーン14の長手方向に沿って円滑に移動することができる。
【0028】
レーン14の取出口OL側の端部には上下方向に延在する板状のストッパ20が立設している。レーン14をスライドする飲料缶Cのうち取出口OLに最も近いレーン14の最前の飲料缶Cは、ストッパ20に接触し、係止するように構成されている。飲料缶Cが接触するストッパ20の下方側には温度センサ22が配置されており、温度センサ22に接触、すなわち、密着した飲料缶Cの側面の温度を計測するように構成されている。なお、温度センサ22は、ストッパ20に配置されて飲料缶Cの側面の温度を計測するものとして以下に説明するが、これに限らず、温度センサは、例えば、レーンの最前に載置された飲料缶の底面に接触する位置に配置されて、最前の飲料缶の温度を測定してもよい。
【0029】
図2には、陳列棚12を下方側から見た斜視図を示す。陳列棚12の取出口OL側の外面には準備中、すなわち、温度調整中であることを示す第1のインジケータ24、及び、飲料缶が飲み頃、すなわち、温度調整が完了していることを示す第2のインジケータ26が設けられている。ここでは、第1のインジケータ24は、温度センサ22で計測した温度が設定した閾値、すなわち、飲み頃温度よりも高い温度である場合に準備中であることを表示するための、例えば、赤色を点灯するライトである。また、第2のインジケータ26は、温度センサ22で計測した温度が設定した閾値、すなわち、飲み頃温度以下の温度になった場合に飲み頃であることを表示するための、例えば、青色を点灯するライトである。
【0030】
なお、ここでは、第1のインジケータ24及び第2のインジケータ26は、赤色及び青色を点灯するライトとして説明するが、これに限らず、例えば、計測した温度に対応したマーク(例えば、〇印、×印等の表示)やメッセージ(例えば、「飲み頃です」、「準備中です」、「準備できました」等の表示)を表示可能な液晶パネル又はディスプレーとされてもよい。
【0031】
陳列棚12は、温度センサ22と電気的に接続された制御部50を備える。制御部50は、温度センサ22で検知した飲料缶Cの温度を記録するように構成されている。また、制御部50は、ユーザが予め飲み頃の温度を入力して設定することができると共に、温度センサ22で検知した温度を設定した飲み頃温度と比較するように構成されている。さらに、制御部50は、第1のインジケータ24及び第2のインジケータ26と電気的に接続されている。このため、制御部50は、温度センサ22で計測した温度と飲み頃温度とを比較して、温度センサ22で計測した温度が飲み頃温度よりも高い場合は、第1のインジケータ24を点灯させることができる。また、制御部50は、温度センサ22で計測した温度が飲み頃温度以下となる場合は、第1のインジケータ24を消灯させ、第2のインジケータ26を点灯させることができる。
【0032】
ショーケース10は、内部の冷凍機がON/OFF運転する場合や除霜運転する場合には、ショーケース10内の温度が多少変動する。このような場合に、温度センサ22が検知する温度も変動するため、温度変化によって飲み頃表示と準備中表示が頻繁に切り替わりうる。これを防止するために、制御部50に設定した飲み頃温度に温度変動幅を持たせることができる。これによって、例えば、飲み頃温度に到達した後に、一時的に温度センサ22の温度が上昇したとしても、温度変動幅を超えない範囲であれば、飲み頃表示を持続させることができる。なお、このような温度変動幅は、機械の初期設定時に設定された一定値に限らず、ユーザがショーケースの使用状況に応じて制御部の設定を変更できるものでもよい。
【0033】
続いて、図3に示す温度調整のフローチャートの説明を通じて、本実施形態に係るショーケース10の作用及び効果について、以下に説明する。
【0034】
ユーザは、ステップS100において、補充口RP側からレーン14に飲料缶Cを補充する(スタート)。なお、ここでは、陳列棚12は複数のレーン14を有するが、各レーン14の飲料缶Cは同じ態様で温度調整されるため、以下の説明では、1つのレーン14とこれに載置された飲料缶Cについて説明する。飲料缶Cは、レーン14上を取出口OL側へ向けてスライドし、ストッパ20に対して係止するため、レーン14上の最前の位置で静止する。次に、ステップS102へ移行し、制御部50は、温度センサ22を作動し、飲料缶Cの側面の温度を計測させる。
【0035】
温度センサ22が温度を計測すると、ステップ104へ移行し、計測された温度とユーザが予め設定した飲み頃温度とを比較する。温度センサ22で計測した温度が飲み頃温度よりも高い場合は、準備中であることを表示するためにステップ108へ移行し、第1のインジケータ24を赤色に点灯させる。次に、ステップS110へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS102へ移行し、経過時間が飲み頃時間を経過するまでの間は、ステップS104から経過時間が飲み頃時間を経過していない場合のサイクルを繰り返す。一方、制御部50は、飲料缶Cが冷却されて、温度センサ22で計測した温度が飲み頃温度以下になると、ステップ106へ移行し、飲み頃であることを表示するために第1のインジケータ24を消灯させ、第2のインジケータ26を青色に点灯させる。飲み頃温度以下となった最前の飲料缶Cがショーケース10から取り出されると、ステップ110へ移行し、次の飲料缶Cがスライドして来ない、すなわち、飲料缶Cが温度センサ22に接触しない場合は、ステップ112へ移行して、制御部50の作動を終了する。
【0036】
本実施形態に係るショーケース10によれば、陳列棚12には、レーン14及びレーン14の両側部に沿ったガイド16が形成されている。このため、レーン14に載置した飲料缶Cを1列に整列させることができる。また、レーン14は、載置した飲料缶Cが取出口OLへ向けて自重でスライドするように構成されている。このため、ユーザは、レーン14に最先に収容され、後続の飲料缶Cよりも比較的長い時間温度調整された飲用に適した温度の飲料缶Cを取り出すことができる。なお、飲用に適した温度に調節することはここでは広義の意味を有する。すなわち、ユーザ(消費者)がショーケース10から取り出した直後の飲料缶Cの温度が丁度飲用に適した温度になる場合だけでなく、ショーケース10から取り出して所定の時間が経過した後に丁度飲用に適した温度になるように温度調整する場合も含む。具体的には、消費者が、販売店舗等において飲料缶Cを購入した直後ではなく、飲料缶Cの販売場所から移動した後に飲用を行う場合の温度調整も含む。例えば、消費者が、新幹線の駅構内において飲料缶Cを購入し、乗車後に座席で飲用する場合には、飲料缶Cの購入から座席に着席するまでに所定の時間が生じる。本実施形態に係るショーケース10によれば、購入後の持ち運び等によって生じる飲料の経時的な温度変化を考慮してショーケース10の温度調整及びインジケータ24、26による表示を行うことによって、ユーザは、飲料缶Cを購入後に所定の時間経過した場合でも、飲用に適した温度の飲料を飲むことができる。
【0037】
また、本実施形態に係るショーケース10によれば、レーン14をスライドし、取出口OLの側の最前に載置された飲料缶Cに接触して温度を計測可能に構成された温度センサ22を備える。さらに、陳列棚12の取出口OLの側において外部から視認できる位置に、第1のインジケータ24、及び、第2のインジケータ26が配置されている。温度センサ22で計測した飲料缶Cの温度が飲み頃温度よりも温度が高い場合には、温度調整中、すなわち準備中であることを表示するために第1のインジケータ24を赤色に点灯させることができる。また、飲み頃温度以下になった場合には、飲み頃であることを表示するために第2のインジケータ26を青色に点灯させることができる。このため、ユーザは、レーン14の最前の飲料缶Cが飲み頃に到達したことを視覚的に判断することができ、誤って飲み頃に到達していない飲料缶Cを取り出すことを防止又は抑制することができる。これによって、飲用に適した温度の飲料缶Cを効率的に取り出すことができる。さらに、飲み頃であることをインジケータ24、26で表示することによって、例えば、店舗等を訪れたユーザ(消費者)に飲料缶Cの購買意欲を促進することができる。
【0038】
以上の説明の通り、本実施形態に係る陳列棚12を有するショーケース10によれば、飲用に適した温度の飲料缶Cを効率的に取り出すことができる。
【0039】
(第1変形例)
以下、本実施形態に係るショーケース10の第1変形例について説明する。本実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図4には、第1変形例に係る陳列棚12を上方側から見た斜視図を示す。レーン14の取出口OL側の端部に立設するストッパ20には、温度センサ22の下方側にタッチセンサ28が取り付けられている。このため、レーン14の取出口OL側の最前部へとスライドした飲料缶Cはタッチセンサ28に接触し、タッチセンサ28は飲料缶Cが接触したことを検知することができる。これによって、取出口OL側の最前部における飲料缶Cの有無を確認したうえで、飲料缶Cの側面の温度を計測することができる。なお、ここでは、タッチセンサ28は、ストッパ20に取り付けられているとして説明するが、これに限らず、取出口側の最前部において飲料缶の有無を検知できればよく、取出口側の最前の飲料缶に接触する位置であれば、例えば、ガイドの飲料缶と対向する側面上に取り付けられてもよい。
【0041】
制御部50は、タッチセンサ28と電気的に接続されている。また、制御部50は、タッチセンサ28と連動するタイマー50aを備える。このため、タッチセンサ28に飲料缶Cが接触したときからタイマー50aを作動し、タイマー50aは、この時点から飲料缶Cがタッチセンサ28に接触を続けている経過時間を計測することができる。また、制御部50は、飲料缶Cに収容された飲料が飲み頃になるまでに必要とされる時間を設定時間としての飲み頃時間として予め設定可能に構成されている。このため、制御部50は、タイマー50aで計測する経過時間が飲み頃時間に到達したかどうかを判定することができる。
【0042】
続いて、図5に示す温度調整のフローチャートの説明を通じて、第1変形例に係るショーケース10の作用及び効果について、以下に説明する。
【0043】
ユーザは、ステップS200において、補充口RP側からレーン14に飲料缶Cを補充する(スタート)。飲料缶Cがレーン14に補充されると、ステップS202へ移行して、制御部50は、タイマー50aをゼロリセットする。次に、ステップS204へ移行して、制御部50は、タイマー50aの経過時間がゼロ(0時間)であるかどうかを判定し、ゼロの場合はステップS206へ移行し、ゼロでない場合、すなわち、経過時間の計測を開始している場合はステップS208へ移行する。
【0044】
ステップS206へ移行すると、制御部50は、タッチセンサ28が作動している(ONになっている)かどうか、すなわち、補充された飲料缶Cがレーン14上をスライドし、タッチセンサ28に接触しているかどうかを判定する。タッチセンサ28がONになっていない場合は、ステップS220へ移行し、制御部50は、準備中であることを表示するために第1のインジケータ24を赤色に点灯させる。第1のインジケータ24を点灯させると、ステップS222へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS204へ移行し、タッチセンサ28がONになるまでの間は、ステップS206からタッチセンサ28がONになっていない場合のサイクルを繰り返す。
【0045】
一方、ステップS206において、タッチセンサ28がONになっている場合、すなわち、飲料缶Cがタッチセンサ28に接触した場合には、ステップS218へ移行し、制御部50は、タッチセンサ28が作動を開始するのと連動してタイマー50aを作動させ、ステップS222へ移行する。ここで、ショーケース10の温度調整システムは作動しているため、ステップS204へ移行し、このとき、タイマー50aは既に経過時間の計測を開始しているため、ステップS208へ移行する。ステップS208へ移行して、経過時間が飲み頃時間より短い場合、すなわち、経過時間が飲み頃時間を経過していない場合は、ステップS220へ移行し、制御部50は、準備中であることを表示するために第1のインジケータ24を赤色に点灯させる。第1のインジケータ24を点灯させると、ステップS222へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS204へ移行し、経過時間が飲み頃時間を経過するまでの間は、ステップS208から経過時間が飲み頃時間を経過していない場合のサイクルを繰り返す。
【0046】
経過時間が飲み頃時間を経過すると、ステップS210へ移行し、制御部50は、タッチセンサ28がONになっているかどうかを判定する。タッチセンサ28がONになっていない場合は、ステップS220へ移行し、タッチセンサ28がONになるまでの間は、ステップS206の場合と同様に、ステップS210からタッチセンサ28がONになっていない場合のサイクルを繰り返す。一方、タッチセンサ28がONになっている場合、すなわち、飲料缶Cがタッチセンサ28に接触している場合には、ステップS212へ移行し、制御部50は、温度センサ22を作動して飲料缶Cの温度を計測する。
【0047】
飲料缶Cの温度が飲み頃温度に到達していない場合、すなわち、飲み頃温度よりも高い場合は、ステップS220へ移行し、制御部50は、準備中であることを表示するために第1のインジケータ24を赤色に点灯させる。第1のインジケータ24を点灯させると、ステップS222へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS204へ移行し、飲料缶Cの温度が飲み頃温度まで冷却されるまでの間は、ステップS214から飲料缶Cの温度が飲み頃温度よりも高い場合のサイクルを繰り返す。
【0048】
飲料缶Cの温度が飲み頃温度まで冷却されると、ステップS216へ移行し、制御部50は、温度調整が完了して飲み頃であることを表示するために第2のインジケータ26を青色に点灯させる。第2のインジケータ26を点灯させると、ステップS222へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS204へ移行し、システムが稼働している間は、ステップS204からのサイクルを繰り返す。一方、システムの作動を終了すると、ステップS224へ移行して終了する。
【0049】
制御部50は、最前の飲料缶Cが取出口OLから取り出されてタッチセンサ28に接触しなくなると、タッチセンサ28をリセットするように構成されている。また、制御部50は、タッチセンサ28のリセットと連動して、タイマー50aをゼロリセットすると共に、準備中であることを表示するために第1のインジケータ24を赤色に点灯させるように構成されている。このため、最前の飲料缶Cが取出口OLから取り出されると、制御部50は、ステップS202へ移行して、ストッパ20まで新たにスライドしてくる飲料缶Cについての温度調整を開始する。
【0050】
第1変形例に係るショーケース10によれば、レーン14の最前の飲料缶Cに収容された飲料が飲み頃になっているかどうかの判断を飲料缶Cの温度だけでなく、飲料缶Cを陳列棚12に補充してから温度調整に必要とされる飲み頃時間によっても判定することができる。このため、ユーザは、レーン14の最前の飲料缶Cが飲み頃に到達したことをより確実に判断することができ、誤って飲み頃に到達していない飲料缶Cを取り出すことを防止又は抑制することができる。これによって、飲用に適した温度の飲料缶Cを効率的に取り出すことができる。
【0051】
(第2変形例)
以下、本実施形態に係るショーケース10の第2変形例について説明する。本実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】
図6には、第2変形例に係る陳列棚12を上方側から見た斜視図を示す。レーン14の取出口OL側の端部に立設するストッパ20の上方側には温度センサ22、下方側にはタッチセンサ28が取り付けられている。温度センサ22及びタッチセンサ28は、制御部50と電気的に接続されている。このため、制御部50は、取出口OL側の最前部における飲料缶Cの有無を確認したうえで、飲料缶Cの側面の温度を計測することができる。さらに、ガイド16の補充口RP側には、飲料缶Cがレーン14の補充口RP側を通過したことを検知できるゲートセンサ30が配置されている。制御部50は、補充された飲料缶Cがゲートセンサ30を通過したときに発信される信号を受信するように構成されている。また、制御部50は、レーン14に補充された飲料缶ごとに経過時間を計測するタイマー50aを有する。これによって、制御部50は、ゲートセンサ30を通過する飲料缶Cの数を計数すると共に、計数した数をカウント番号として各飲料缶Cにナンバリングし、同時に各飲料缶Cに対応するタイマー50aをゼロリセットするように構成されている。このため、カウント番号を通じて、各飲料缶Cとタイマー50aで計測する経過時間を関連付けることができる。また、タッチセンサ28は、飲料缶Cに接触したことを検知した回数をカウントできるように構成されている。これによって、陳列棚12の最前に到達した飲料缶Cの本数をカウントすることができる。
【0053】
続いて、図7に示す温度調整のフローチャートの説明を通じて、第2変形例に係るショーケース10の作用及び効果について、以下に説明する。
【0054】
ユーザは、ステップS300において、補充口RP側からレーン14に飲料缶Cを補充する(スタート)。ショーケース10の温度調整システムを起動した直後である場合は、ステップS302において、制御部50は、補充した飲料缶Cの数である補充缶No.及び最前にある飲料缶Cの補充缶No.である最前缶No.をゼロリセットする。次に、ステップS304へ移行し、制御部50は、補充された飲料缶Cがゲートセンサ30を通過することによって発信される信号を受信すると、ステップS306へ移行して1缶ごとに補充缶No.をインクリメント、すなわち、増加させる。さらに、制御部50は、ステップS308へ移行して補充缶No.に対応したタイマー50aの経過時間をゼロリセットすると共に、ステップS310へ移行し、この補充缶No.に対応したタイマー50aを作動させる。
【0055】
タイマー50aを作動させるとステップS312へ移行し、制御部50は、タッチセンサ28が停止状態から作動状態になっている(OFFからONに移行されている)かどうか、すなわち、補充された飲料缶Cがレーン14上をスライドし、タッチセンサ28に接触しているかどうかを判定する。最前の飲料缶Cが取出口OLから取り出された場合も、タッチセンサ28は、いったんリセットされるため、後続の飲料缶Cがタッチセンサ28に接触した場合も、タッチセンサ28は、リセットされた状態から作動状態へと、すなわち、OFFからONへと作動する。タッチセンサ28がOFFからONに移行されていない場合は、ステップS316へ移行し、制御部50は、タッチセンサ28が作動状態(ON)になっているかどうかを判定し、ONになっていない場合は、ステップS324へ移行する。制御部50は、ステップS324へ移行すると、準備中であることを表示するために第1のインジケータ24を赤色に点灯させる。第1のインジケータ24を点灯させると、ステップS326へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS304へ移行し、タッチセンサ28がOFFからONに移行されるまでの間は、ステップS316からタッチセンサ28がOFFからONに移行されていない場合のサイクルを繰り返す。
【0056】
一方、ステップS312において、タッチセンサ28がOFFからONに移行されている場合には、ステップS314へ移行し、制御部50は、最前にある飲料缶Cの補充缶No.と最前缶No.とが一致するように、最前缶No.をインクリメント、すなわち、増加させる。次に、ステップS316へ移行し、タッチセンサ28がONになっている、すなわち、飲料缶Cがタッチセンサ28に接触している場合には、ステップS318へ移行し、制御部50は、温度センサ22を作動して飲料缶Cの温度を計測する。
【0057】
制御部50は、ステップS320へ移行し、最前にある飲料缶Cの最前缶No.(補充缶No.)に対応するタイマー50aの経過時間と飲み頃時間とを比較すると共に、飲料缶Cの温度と飲み頃温度とを比較する。ここで、タイマー50aの経過時間が飲み頃時間を経過していない場合、又は、飲料缶Cの温度が飲み頃温度よりも高い場合は、ステップS324へ移行し、制御部50は、準備中であることを表示するために第1のインジケータ24を赤色に点灯させる。第1のインジケータ24を点灯させると、ステップS326へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS304へ移行し、タイマー50aの経過時間が飲み頃時間を経過し、かつ、飲料缶Cの温度が飲み頃温度に冷却されるまでの間は、ステップS316から第1のインジケータ24を赤色に点灯させるサイクルを繰り返す。
【0058】
最前にある飲料缶Cの最前缶No.(補充缶No.)に対応するタイマー50aの経過時間が飲み頃時間を経過し、かつ、飲料缶Cの温度が飲み頃温度まで冷却されると、ステップS322へ移行し、制御部50は、温度調整が完了して飲み頃であることを表示するために第2のインジケータ26を青色に点灯させる。第2のインジケータ26を点灯させると、ステップS326へ移行するが、ショーケース10の温度調整システムは作動を終了していないため、ステップS304へ移行し、システムが稼働している間は、ステップS304からのサイクルを繰り返す。一方、システムの作動を終了すると、ステップS224へ移行して終了する。
【0059】
第2変形例に係るショーケース10によれば、レーン14の最前の飲料缶Cに収容された飲料が飲み頃になっているかどうかを飲料缶Cの温度だけではなく、タッチセンサ28に接触している飲料缶Cがゲートセンサ30を通過してからの経過時間と飲み頃時間との比較によっても判定することができる。このため、ユーザは、レーン14の最前の飲料缶Cが飲み頃に到達したことをより確実に判断することができ、誤って飲み頃に到達していない飲料缶Cを取り出すことを防止又は抑制することができる。また、最前の飲料缶Cを取り出した後の後続の飲料缶Cについても、補充缶No.に対応するタイマー50aを用いた経過時間と飲み頃時間との比較によって飲み頃を判定することができる。これによって、飲用に適した温度の飲料缶Cを効率的に取り出すことができる。
【0060】
(第3変形例)
以下、本実施形態に係るショーケース10の第3変形例について説明する。本実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
図8には、第3変形例に係る陳列棚12を下方側から見た斜視図を示す。陳列棚12の底面側にはファン32a、32bが取り付けられている。制御部50は、ファン32a、32bと電気的に接続されており、ファン32a、32bを作動して回転させることができる。ファン32a、32bを回転させることによって、レーン14の隙間やローラ18の間を通って上方側へ向けてファン32a、32bからの風を通すことができる。
【0062】
図9には、ファン32が作動して回転しているときのショーケース10の正面図を示す。ショーケース10内には、飲料缶Cの4列のレーン14を有する陳列棚12a、12bが上下2段に配置されている。また、各陳列棚12a、12bの高さ寸法は、各段の陳列棚12a、12bに載置する飲料缶Cの高さ寸法に近づけて設定されている、すなわち、ショーケース10の陳列棚12a、12bを配置した各段の高さ寸法は、各段に載置する飲料缶Cの高さ寸法とほぼ同一になるように構成されている。このため、飲料缶Cと各段の天井との間は、余剰の空間となる隙間が小さくなっている。さらに、ショーケース10内の幅方向の一方の端部の下方側には、ショーケース10内部の冷凍機(図示省略)から送られてくる冷却風CAの吹出口34が形成されており、幅方向の他方の端部の下方側には吸気口36が形成されている。上下の陳列棚12aと12bの吹出口34側の第1のファン32aは上方側へ向けて送風し(図9中DV)、上下の陳列棚12aと12bの吸気口36側の第2のファン32bは下方側へ向けて送風するように構成されている(図9中DV)。
【0063】
ファン32がない場合には吹出口34から吹き出す冷却風CAはショーケース10内の下方側を通って吸気口36にダイレクトに流れる。一方、第3変形例に係るショーケース10によれば、吹出口34側の第1のファン32が上向きに送風(図9中DV)するため冷却風CAは飲料缶Cの間を通ってショーケース10内の上方側まで回り込む。さらに、吸気口36側の第2のファン32が下向きに送風(図9中DV)するため冷却風CAは飲料缶Cの間を通ってショーケース10内の下方側まで送られて、吸気口36から吸い込まれる。また、ショーケース10の陳列棚12a、12bを配置した各段の高さ寸法は、各段に載置する飲料缶Cの高さ寸法とほぼ同一になるように構成されており、飲料缶Cの上面と陳列棚12a、12bの各段の天井部分との間の隙間が小さくなるように形成されている。このため、ショーケース10内の飲料缶Cの間に冷却風CAをまんべんなく流すことができるため、冷却効率を向上させることができる。また、送風による温度調節を効率的に行うことによって、短時間で飲料を飲用に適した温度に調整可能であるため、例えば、販売場所の面積が限られるような狭小な場所であっても、本実施形態に係るショーケース10を用いることによってより多くの飲料を提供することができる。
【0064】
(第4変形例)
以下、本実施形態に係るショーケース10の第4変形例について説明する。本実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
図10には、ファン32a、32bが作動して回転しているときのショーケース10の正面図を示す。下段の陳列棚12aの幅方向の一方の端部には、ショーケース10の側壁に隣接して上下方向に延在する衝立38が配置されている。ファン32a、32bは全て上向きに送風するように設定されている。吹出口34から吹き出す冷却風CAはファン32a、32bに吸い込まれ、衝立38よりもショーケース10の庫内の内側において飲料缶Cの間を通って陳列棚12bの上方側まで送風される(図10中DV)。吸気口36は、ショーケース10の側壁と衝立38との間に配置されており、陳列棚12bの上方側まで送風された冷却風CAは、ショーケース10の側壁と衝立38との間を通って吸気口36に吸い込まれる。
【0066】
冷却風CAは飲料缶Cと熱伝達するだけでなく、ショーケース11の側壁とも熱伝達する。このため、外気に接している側壁を通じて外部からの熱侵入が生じるため、飲料缶Cの冷却にも影響が生じる。一方、第4変形例に係るショーケース10によれば、衝立38を配置することによって、ショーケース10の側壁から侵入する熱が飲料缶Cに伝わることを防止又は抑制することができる。このため、ショーケース11の冷却効率を向上させて冷却速度を速くすることができる。
【0067】
(第5変形例)
以下、本実施形態に係るショーケース10の第5変形例について説明する。本実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0068】
図11には、ファン32a、32bが作動して回転しているときのショーケース10の正面図を示す。下段の陳列棚12aの幅方向の一方の端部には、ショーケース10の側壁に隣接して上下方向に延在する衝立38aが配置されている。また、上段の陳列棚12bの幅方向の他方の端部には、ショーケース10の側壁に隣接して上下方向に延在する衝立38bが配置されている。ファン32a、32bは全て上向きに送風するように設定されている(図11中DV)。吹出口34から吹き出す冷却風CAはファン32a、32bに吸い込まれ、上段側の衝立38bよりもショーケース10の庫内の内側において飲料缶Cの間を通って陳列棚12bの上方側まで送風される。吸気口36は、ショーケース10の側壁と下段側の衝立38aとの間に配置されており、陳列棚12bの上方側まで送風された冷却風CAは、ショーケース10の側壁と下段側の衝立38aとの間を通って吸気口に吸い込まれる。
【0069】
第5変形例に係るショーケース10によれば、上段の陳列棚12b及び下段の陳列棚12aにそれぞれ衝立38a、38bを配置することによって、ショーケース10の側壁から侵入する熱が飲料缶Cに伝わることを防止又は抑制することができる。このため、ショーケース11の冷却効率を向上させて冷却速度を速くすることができる。
【0070】
以上、ショーケース10の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解できると考えられる。
【符号の説明】
【0071】
10 ショーケース
12 陳列棚
12a 陳列棚
12b 陳列棚
14 レーン
16 ガイド
20 ストッパ
22 温度センサ
24 第1のインジケータ(インジケータ)
26 第2のインジケータ(インジケータ)
28 タッチセンサ
30 ゲートセンサ
32 ファン(第1のファン、第2のファン)
38 衝立
38a 衝立
38b 衝立
C 飲料缶
OL 取出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11