(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157890
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】自動駐車システム、車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーション
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20241031BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04H6/42 C
E04H6/42 Z
E04H6/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072524
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 啓介
(72)【発明者】
【氏名】物延 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】國武 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】福田 祥也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 三樹矢
(57)【要約】
【課題】 自動運転車と機械式駐車設備の制御装置に自動駐車のための連携仕様を実装させる必要がない自動駐車システムを提供する。
【解決手段】 通信機器と車両側制御装置との間で車両側制御信号により通信して自動運転車を制御するための車両側アプリケーションと、当該通信機器と設備側制御装置の間で設備側制御信号により通信して機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションとを備え、車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとは、入出庫連携用制御信号により当該通信機器内でアプリケーション間通信を行い、車両側アプリケーションは、入出庫連携用制御信号を設備側アプリケーションに送信することに基づいて設備側アプリケーションに設備側制御装置を制御させ、設備側アプリケーションは、入出庫連携用制御信号を車両側アプリケーションに送信することに基づいて車両側アプリケーションに車両側制御装置を制御させ、自動運転車と機械式駐車設備とを連携動作させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器にインストールされるとともに前記通信機器と自動運転車の車両側制御装置との間で車両側制御信号により通信して前記自動運転車を制御するための車両側アプリケーションと、
前記通信機器にインストールされるとともに前記通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置との間で設備側制御信号により通信して前記機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションと、を備え、
前記車両側アプリケーションと前記設備側アプリケーションとは、入出庫連携用制御信号により、前記通信機器内でアプリケーション間通信を行うように構成され、
前記車両側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションに送信することに基づいて前記設備側アプリケーションに前記設備側制御装置を制御させ、および/または、
前記設備側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションに送信することに基づいて前記車両側アプリケーションに前記車両側制御装置を制御させることによって、
前記自動運転車と前記機械式駐車設備とが連携動作するように構成されている、
自動駐車システム。
【請求項2】
第1通信機器にインストールされるとともに前記第1通信機器と自動運転車の車両側制御装置との間で車両側制御信号により通信して前記自動運転車を制御するための車両側アプリケーションと、
第2通信機器にインストールされるとともに前記第2通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置との間で設備側制御信号により通信して前記機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションと、を備え、
前記車両側アプリケーションと前記設備側アプリケーションとは、前記第1通信機器と前記第2通信機器との間で送受信される入出庫連携用制御信号により、アプリケーション間通信を行うように構成され、
前記車両側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションに送信することに基づいて前記設備側アプリケーションに前記設備側制御装置を制御させ、および/または、
前記設備側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションに送信することに基づいて前記車両側アプリケーションに前記車両側制御装置を制御させることによって、
前記自動運転車と前記機械式駐車設備とが連携動作するように構成されている、
自動駐車システム。
【請求項3】
前記設備側アプリケーションは、前記車両側アプリケーションから受信した所定の一種類の前記入出庫連携用制御信号に基づいて、所定の複数種類の前記設備側制御信号を前記設備側制御装置に送信することにより、前記機械式駐車設備の複数種類の動作を1セットとする組み合わせ動作を行わせるようにした、
請求項1または2に記載の自動駐車システム。
【請求項4】
前記機械式駐車設備は、前記自動運転車を入出庫室と格納部との間で搬送する搬送装置と、前記入出庫室の入出庫口に設けられた入出庫扉を開閉させる扉開閉装置とを有し、
前記組み合わせ動作は、前記搬送装置の動作と、前記扉開閉装置の動作との組み合わせを含む、
請求項3に記載の自動駐車システム。
【請求項5】
前記機械式駐車設備は、入出庫室の入出庫口に設けられた入出庫扉を開閉させる扉開閉装置と、前記自動運転車を載置して方向転換させるターンテーブル装置を有し、
前記組み合わせ動作は、前記扉開閉装置の動作と、前記ターンテーブル装置の動作との組み合わせを含む、
請求項4に記載の自動駐車システム。
【請求項6】
前記通信機器は、ユーザが携帯可能であり、前記車両側アプリケーションおよび前記設備側アプリケーションの少なくとも一方を操作する操作部を有している
請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項7】
前記操作部から前記車両側アプリケーションまたは前記設備側アプリケーションのいずれか一方に指示することに基づいて、前記車両側アプリケーションまたは前記設備側アプリケーションのいずれか他方のバックグラウンド起動が行われる、
請求項6に記載の自動駐車システム。
【請求項8】
通信機器にインストールされるとともに、前記通信機器と自動運転車の車両側制御装置との間で車両側制御信号により通信して前記自動運転車を制御するための車両側アプリケーションであって、
機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションとの間で、複数の入出庫連携用制御信号により、アプリケーション間通信を行うように構成され、
車両側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションに送信することにより前記設備側アプリケーションに設備側制御装置を制御させ、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションから受信することにより前記機械式駐車設備の状態を把握するように構成されている、
車両側アプリケーション。
【請求項9】
通信機器にインストールされるとともに、前記通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置との間で設備側制御信号により通信して前記機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションであって、
自動運転車を制御するための車両側アプリケーションとの間で、複数の入出庫連携用制御信号により、アプリケーション間通信を行うように構成され、
設備側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションに送信することにより前記車両側アプリケーションに車両側制御装置を制御させ、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションから受信することにより前記自動運転車の状態を把握するように構成されている、
設備側アプリケーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、自動運転車と機械式駐車設備とを連携させて自動運転で入出庫させる自動駐車システムと、その自動駐車システムに使用される車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車(所定場所への駐車が自動運転で可能な車両)の開発が進められており、自動運転車の駐車が可能なパーキングシステムに関する文献も公開されている。例えば、自動運転車の車両側制御装置と機械式駐車設備の受入側制御装置との間で通信して自動運転車を入出庫させるものがある(例えば、特許文献1参照)。この文献のシステムでは、操作端末からの入庫または出庫のスタート指令が自動運転車の車両側制御装置と駐車設備の受入側制御装置とにそれぞれ出され、その後は車両側制御装置と受入側制御装置との間で直接やり取りしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献のシステムでは、自動運転車の車両側制御装置と機械式駐車設備の受入側制御装置との間で直接通信するため、自動運転車と機械式駐車設備のそれぞれを連携させる制御が必要となる。すなわち、上記システムでは、自動運転車と機械式駐車設備のそれぞれの制御装置は、車両固有の制御、駐車設備固有の制御に加え、連携のための制御を実行する必要がある。このため、上記システムでは、自動運転車のメーカと機械式駐車設備のメーカとが動作制御のための連携仕様を細かく調整する必要がある。その上、機械式駐車設備にはタワー式や多段式などさまざま形式があるため、すべての形式の動作制御のための連携仕様を車両側制御装置に実装させる必要がある。
【0005】
そこで、本出願は、自動運転車と機械式駐車設備の制御装置に自動駐車のための連携仕様を実装させる必要がない自動駐車システム、車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の第1の態様に係る自動駐車システムは、通信機器にインストールされるとともに前記通信機器と自動運転車の車両側制御装置との間で車両側制御信号により通信して前記自動運転車を制御するための車両側アプリケーションと、前記通信機器にインストールされるとともに前記通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置との間で設備側制御信号により通信して前記機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションと、を備え、前記車両側アプリケーションと前記設備側アプリケーションとは、入出庫連携用制御信号により、前記通信機器内でアプリケーション間通信を行うように構成され、前記車両側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションに送信することに基づいて前記設備側アプリケーションに前記設備側制御装置を制御させ、および/または、前記設備側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションに送信することに基づいて前記車両側アプリケーションに前記車両側制御装置を制御させることによって、前記自動運転車と前記機械式駐車設備とが連携動作するように構成されている。この明細書および特許請求の範囲の書類中において、車両側制御装置と車両側アプリケーションとの通信、および設備側制御装置と設備側アプリケーションとの通信は、同一通信機器における直接的な通信および異なる通信機器における間接的な通信のいずれも含む。
【0007】
上記構成によれば、車両側アプリケーションの働きで生成される車両側制御信号により、通信機器と自動運転車の車両側制御装置とが通信される。また、設備側アプリケーションの働きで生成される設備側制御信号により、当該通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置とが通信される。通信機器内では、車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとが入出庫連携用制御信号によりアプリケーション間通信する。これにより、自動運転車と機械式駐車設備とが連係動作される。
【0008】
また、本出願の第2の態様に係る自動駐車システムは、第1通信機器にインストールされるとともに前記第1通信機器と自動運転車の車両側制御装置との間で車両側制御信号により通信して前記自動運転車を制御するための車両側アプリケーションと、第2通信機器にインストールされるとともに前記第2通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置との間で設備側制御信号により通信して前記機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションと、を備え、前記車両側アプリケーションと前記設備側アプリケーションとは、前記第1通信機器と前記第2通信機器との間で送受信される入出庫連携用制御信号により、アプリケーション間通信を行うように構成され、前記車両側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションに送信することに基づいて前記設備側アプリケーションに前記設備側制御装置を制御させ、および/または、前記設備側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションに送信することに基づいて前記車両側アプリケーションに前記車両側制御装置を制御させることによって、前記自動運転車と前記機械式駐車設備とが連携動作するように構成されている。
【0009】
上記構成によれば、車両側アプリケーションの働きで生成される車両側制御信号により、第1通信機器と自動運転車の車両側制御装置とが通信される。また、設備側アプリケーションの働きで生成される設備側制御信号により、第2通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置とが通信される。車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとは、前記第1通信機器と前記第2通信機器との間で送受信される入出庫連携用制御信号によりアプリケーション間通信する。これにより、自動運転車と機械式駐車設備とが連係動作される。
【0010】
上記第1の態様に係る自動駐車システムおよび第2の態様に係る自動駐車システムによれば、自動運転車と機械式駐車設備との連携に関わる動作制御(動作シーケンス)について、自動運転車と機械式駐車設備の個別の動作制御とは別のアプリケーションで行う構成とすることで、車両と機械式駐車設備のそれぞれの制御装置に対し、連携に直接関わる制御の実装を不要とする。よって、自動運転車の車両側制御装置と機械式駐車設備の設備側制御装置とが直接通信することなく、自動運転車を機械式駐車設備に入出庫させることができる。車両側制御装置は、エレベータ式、垂直循環式、水平循環式、地下式、平面往復式、多段式、縦横移動パズル式などの機械式駐車設備の種類や形態に応じた対応を不要にできる。また、設備側制御装置は、自動運転車の速度や操舵に関わる対応を不要にできる。これにより、自動運転車のメーカと機械式駐車設備のメーカとが、自動運転車に備わる車両側制御装置と機械式駐車設備に備わる設備側制御装置について、動作制御のための連携仕様を細かく調整する必要がない。これにより、自動運転車のメーカは機械式駐車設備の連携仕様を考慮することなく独自に自動運転車の既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。また、機械式駐車設備のメーカは自動運転車の連携仕様を考慮することなく独自に機械式駐車設備の既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。
【0011】
また、前記設備側アプリケーションは、前記車両側アプリケーションから受信した所定の一種類の前記入出庫連携用制御信号に基づいて、所定の複数種類の前記設備側制御信号を前記設備側制御装置に送信することにより、前記機械式駐車設備の複数種類の動作を1セットとする組み合わせ動作を行わせるようにしてもよい。
【0012】
このように構成すれば、設備側アプリケーションは、車両側アプリケーションからの一種類の入出庫連携用制御信号で機械式駐車設備に対して複数種類の動作を1セットとして組み合わせた動作を行わせることができる。よって、設備側アプリケーションは、車両側アプリケーションから多くの信号を受信することなく機械式駐車設備を動作制御できる。
【0013】
また、車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとの間で送受信される入出庫連携用制御信号について、自動運転車の種類や機械式駐車設備の種類に関係なく連携に必須のものに限定することで、自動運転車の改良や種類の増加、機械式駐車設備の改良や種類の増加を行う場合であっても、車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとの間の入出庫連携用制御信号を変更する必要がない。これにより、車両側アプリケーションは、エレベータ式、垂直循環式、水平循環式、地下式、平面往復式、多段式、縦横移動パズル式などの機械式駐車設備の種類や形態に応じた対応を不要にできる。これにより、車両側アプリケーションの開発会社と設備側アプリケーションの開発会社とが、車両側アプリケーションと設備側アプリケーションについて、動作制御のための連携仕様を細かく調整する必要がない。これにより、車両側アプリケーションの開発会社は、機械式駐車設備の連携仕様を考慮することなく独自に車両側アプリケーションの既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。また、設備側アプリケーションの開発会社は、自動運転車の連携仕様を考慮することなく独自に設備側アプリケーションの既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。
【0014】
また、前記機械式駐車設備は、前記自動運転車を入出庫室と格納部との間で搬送する搬送装置と、前記入出庫室の入出庫口に設けられた入出庫扉を開閉させる扉開閉装置とを有し、前記組み合わせ動作は、前記搬送装置の動作と、前記扉開閉装置の動作との組み合わせを含んでもよい。
【0015】
このように構成すれば、機械式駐車設備が搬送装置と入出庫扉を開閉させる扉開閉装置を有する構成のときに、設備側アプリケーションは、車両側アプリケーションからの一種類の信号で搬送装置の動作と扉開閉装置の動作とを組み合わせて動作させることができる。これにより、車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとの間におけるアプリケーション間通信の通信量を少なくしつつ、機械式駐車設備外のユーザ乗降位置と入出庫室内の車両停車位置との間で、自動運転車をスムーズに移動させることができる。
【0016】
また、前記機械式駐車設備は、入出庫室の入出庫口に設けられた入出庫扉を開閉させる扉開閉装置と、前記自動運転車を載置して方向転換させるターンテーブル装置を有し、前記組み合わせ動作は、前記扉開閉装置の動作と、前記ターンテーブル装置の動作との組み合わせを含んでいてもよい。
【0017】
このように構成すれば、機械式駐車設備が入出庫扉を開閉させる扉開閉装置と自動運転車を方向転換させるターンテーブル装置とを有する構成のときに、設備側アプリケーションは、車両側アプリケーションからの一種類の信号で扉開閉装置の動作とターンテーブル装置の動作とを組み合わせて動作させることができる。これにより、車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとの間におけるアプリケーション間通信の通信量を少なくしつつ、機械式駐車設備外のユーザ乗降位置と入出庫室内の車両停車位置との間で、自動運転車をスムーズに移動させることができる。
【0018】
また、前記通信機器は、ユーザが携帯可能であり、前記車両側アプリケーションおよび前記設備側アプリケーションの少なくとも一方を操作する操作部を有しているように構成されていてもよい。
【0019】
このように構成すれば、ユーザは、自動運転車および機械式駐車設備から離れた位置から通信機器の操作部を操作し、自動運転車に対して自動入出庫の指示を出すことができるので、利便性に優れる。
【0020】
また、前記操作部から前記車両側アプリケーションまたは前記設備側アプリケーションのいずれか一方に指示することに基づいて、前記車両側アプリケーションまたは前記設備側アプリケーションのいずれか他方のバックグラウンド起動が行われてもよい。
【0021】
このように構成すれば、ユーザが車両側アプリケーションと設備側アプリケーションとのいずれか一方で指示することで、他方のアプリケーションがバックグラウンド実行される。これにより、ユーザは一方のアプリケーションを操作することで、自動運転車の入庫または出庫の操作ができる。ユーザは他方のアプリケーションを意識する必要がないので、利便性に優れる。
【0022】
一方、本出願の一態様に係る車両側アプリケーションは、通信機器にインストールされるとともに、前記通信機器と自動運転車の車両側制御装置との間で車両側制御信号により通信して前記自動運転車を制御するための車両側アプリケーションであって、機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションとの間で、複数の入出庫連携用制御信号により、アプリケーション間通信を行うように構成され、車両側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションに送信することにより前記設備側アプリケーションに設備側制御装置を制御させ、前記入出庫連携用制御信号を前記設備側アプリケーションから受信することにより前記機械式駐車設備の状態を把握するように構成されている。
【0023】
この構成により、車両側アプリケーションは、入出庫連携用制御信号を設備側アプリケーションに送信して、設備側アプリケーションに設備側制御装置を制御させ、入出庫連携用制御信号を設備側アプリケーションから受信することで機械式駐車設備の状態を把握することができる。自動運転車と機械式駐車設備との連携に関わる動作制御(動作シーケンス)について、自動運転車と機械式駐車設備の個別の動作制御とは別のアプリケーションで行う構成とすることで、車両側制御装置は、連携に直接関わる制御の実装を不要にできる。これにより、車両側制御装置は、エレベータ式、垂直循環式、水平循環式、地下式、平面往復式、多段式、縦横移動パズル式などの機械式駐車設備の種類や形態に応じた対応を不要にできる。自動運転車のメーカは機械式駐車設備の連携仕様を考慮することなく独自に自動運転車の既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。
【0024】
一方、本出願の一態様に係る設備側アプリケーションは、通信機器にインストールされるとともに、前記通信機器と機械式駐車設備の設備側制御装置との間で設備側制御信号により通信して前記機械式駐車設備を制御するための設備側アプリケーションであって、自動運転車を制御するための車両側アプリケーションとの間で、複数の入出庫連携用制御信号により、アプリケーション間通信を行うように構成され、設備側アプリケーションは、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションに送信することにより前記車両側アプリケーションに車両側制御装置を制御させ、前記入出庫連携用制御信号を前記車両側アプリケーションから受信することにより前記自動運転車の状態を把握するように構成されている。
【0025】
この構成により、設備側アプリケーションは、入出庫連携用制御信号を車両側アプリケーションに送信して、車両側アプリケーションに車両側制御装置を制御させ、入出庫連携用制御信号を車両側アプリケーションから受信することで自動運転車の状態を把握することができる。自動運転車と機械式駐車設備との連携に関わる動作制御(動作シーケンス)について、自動運転車と機械式駐車設備の個別の動作制御とは別のアプリケーションで行う構成とすることで、設備側制御装置は、連携に直接関わる制御の実装を不要にできる。これにより、設備側制御装置は、自動運転車の速度や操舵に関わる対応を不要にできる。これにより、機械式駐車設備のメーカは自動運転車の連携仕様を考慮することなく独自に機械式駐車設備の既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本出願によれば、自動運転車と機械式駐車設備の制御装置に自動駐車のための連携仕様を実装させることなく自動運転車を適切に機械式駐車設備に対して入出庫させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本出願の第1実施形態に係る第1自動駐車システムを示す構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す第1自動駐車システムにおける構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本出願の第2実施形態に係る第2自動駐車システムにおける構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(A)乃至(F)は、
図1に示す第1自動駐車システムにおける通信機器の操作画面例を示す図面である。
【
図5】
図5は、機械式駐車設備の一例を示す平面配置図である。
【
図6】
図6は、複数の駐車装置が備えられた機械式駐車設備の一例を示す平面配置図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す第1自動駐車システムにおける入庫シーケンスの一例を示す図面である。
【
図8】
図8は、
図7に示す入庫シーケンスに続く入庫シーケンスの一例を示す図面である。
【
図9】
図9は、
図1に示す第1自動駐車システムにおける出庫シーケンスの一例を示す図面である。
【
図10】
図10は、
図9に示す出庫シーケンスに続く出庫シーケンスの一例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本出願の一実施形態に係る自動駐車システム1、2を図面に基づいて説明する。この実施形態の自動駐車システム1、2は、地図サーバ30を備えた例を説明する。また、この実施形態の機械式駐車設備70は、エレベータ式の機械式駐車設備70を例に説明する。また、この実施形態の第1通信機器10、50Aは、主にユーザが携帯可能な携帯端末を例に説明する。第1通信機器10、50Aは、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどの端末を利用できる。
【0029】
<第1自動駐車システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る第1自動駐車システム1を示す構成図である。
図2は、
図1に示す第1自動駐車システム1における構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この実施形態の第1自動駐車システム1は、自動運転車60、第1通信機器10、地図サーバ30および機械式駐車設備70を備えており、それぞれはネットワーク40を介して通信可能となっている。ネットワーク40は、インターネット、移動体通信、有線LAN、無線LANなどの有線通信網や無線通信網を含む。第1通信機器10は、ネットワーク40を介して自動運転車60または機械式駐車設備70もしくは地図サーバ30と通信可能となっている。自動運転車60と機械式駐車設備70は、直接的な通信はしない。エレベータ式の機械式駐車設備70は、地上階が入出庫室75となっており、入出庫室75の前方には入出庫口76が備えられ、入出庫口76には入出庫扉77が備えられている。入出庫室75の上方には、鉛直方向の左右位置に複数の格納部82が備えられている。この実施形態では、入出庫口76の前方に、ターンテーブル装置78が備えられている。また、機械式駐車設備70は、入出庫室75と格納部82との間でパレット80を搬送する搬送装置81(
図5参照)を備えている。
【0030】
図2に示すように、第1自動駐車システム1の第1通信機器10は、記憶部11と、無線通信機能のI/Oインターフェースを有する通信部12と、タッチパネル13と、制御部14とを備えている。記憶部11は、例えば揮発性メモリおよび不揮発性メモリから構成されている。記憶部11には、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とがインストールされている。この第1自動駐車システム1の第1通信機器10は、1つの第1通信機器10に車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とがインストールされている例である。車両側アプリケーション111および設備側アプリケーション112は、プログラミングされた内容およびユーザからタッチパネル13を介して入力される内容に従って、制御部14に各種制御を実行させる。制御部14は、例えばCPUを有する。なお、本実施形態では、車両側アプリケーション111または設備側アプリケーション112が主体となって行う制御と、車両側アプリケーション111または設備側アプリケーション112の実行に基づき制御部14が主体となって行う制御とを同一視して考えるものとする。
【0031】
車両側アプリケーション111および設備側アプリケーション112は、通信部12によりネットワーク40を介して外部の機器と信号の送受信を行う。自動運転車60は、車両側制御装置61を備えており、車両側制御装置61は、車両制御部62と無線通信機能のI/Oインターフェースを有する通信部63とを備えている。車両側制御装置61は、通信部63によりネットワーク40を介して外部の機器と信号の送受信を行う。機械式駐車設備70は、設備側制御装置71を備えており、設備側制御装置71は設備制御部72と無線通信機能のI/Oインターフェースを有する通信部73とを備えている。設備側制御装置71は、機械式駐車設備70の各可動部を独立制御(自動運転車60と独立して制御)可能に設けられている。具体的には、設備側制御装置71は、入出庫扉77、搬送装置8、ターンテーブル装置78等の動作制御を行う。設備側制御装置71は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)から構成される。また、設備側制御装置71は、通信部73を介して外部の機器と信号の送受信を行う。車両側制御装置61および設備側制御装置71は、CPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリなども有している。
【0032】
地図サーバ30は、地図データ311を保存する記憶部31と通信部32と制御部34とを有している。通信部32は、無線通信機能のI/Oインターフェースを有する。記憶部31は、例えば揮発性メモリおよび不揮発性メモリから構成されている。制御部34は、例えばCPUを有する。地図サーバ30は、通信部32により外部の機器と信号の送受信を行う。上記通信部12、32、63、73は、例えば4G、5Gなどの移動体通信や、Wi-Fiなどの無線LANの利用により、ネットワーク40を介した機器間の通信を行うことができる。
【0033】
第1通信機器10の内部では、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112との間で入出庫連携用制御信号15によって信号の送受信が行われる。車両側アプリケーション111は、通信部12によりネットワーク40を介して車両側制御装置61と車両側制御信号の送受信を行う。設備側アプリケーション112は、通信部12によりネットワーク40を介して設備側制御装置71と設備側制御信号の送受信を行う。
【0034】
すなわち、第1通信機器10は、自動運転車60の車両側制御装置61と車両側制御信号により通信して自動運転車60を制御するための車両側アプリケーション111を有する。また、第1通信機器10は、機械式駐車設備70の設備側制御装置71と設備側制御信号により通信して機械式駐車設備70を制御するための設備側アプリケーション112を有する。そして、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とは、車両側制御信号および設備側制御信号とは別の入出庫連携用制御信号15により、第1通信機器10内でアプリケーション間通信(プロセス間通信)を行うようになっている。
【0035】
このように、第1通信機器10における車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112との間の制御信号(動作シーケンス)を、車両側制御装置61および設備側制御装置71の動作制御用とは別の制御信号である入出庫連携用制御信号15で行う構成としている。これにより、自動運転車60の車両側制御装置61および機械式駐車設備70の設備側制御装置71は、入出庫に関する連携に直接関わる制御の実装を不要としている。
【0036】
このように構成することで、ユーザから第1通信機器10のタッチパネル13に入力される指示は、自動運転車60と機械式駐車設備70の互いの状況に左右されず、単独で実施できる指示にできる。この指示は、例えば、自動運転車60に対しては「入庫開始」の指示や「出庫開始」の指示といった単純な指示である。また、入出庫連携用制御信号15は、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に対し要求する一つに基づいて、例えば、搬送装置81の動作と扉開閉装置79の動作とを組み合わせた複数の動作を1セットとして行わせる信号でもよい。このような入出庫連携用制御信号15は、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112との間のアプリケーション間通信を必要最低限にできる。
【0037】
しかも、車両側制御装置61と設備側制御装置71とが直接の通信を行う必要がないので、車両側制御装置61は機械式駐車設備70の形式に応じた対応を不要にできる。また、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とは、2種類に分けて共通の入出庫連携用制御信号15でアプリケーション間通信を行わせるので、自動運転車60と機械式駐車設備70の連携に関わる制約を軽減できる。例えば、機械式駐車設備70の形式が増えても、設備側アプリケーション112を更新するだけで、自動駐車を実現できる。
【0038】
すなわち、設備側制御装置71は設備側アプリケーション112との通信のみであるため、機械式駐車設備70の動作制御の変更は、設備側アプリケーション112のみの修正で完結することができる(車両側アプリケーション111の修正の必要がない)。また、機械式駐車設備70の複数種類の可動部の動作について、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に送信する設備側制御信号の数や送信手順を自由に決定することができるので、種々の構造の機械式駐車設備70に容易に対応できる。
【0039】
また、一つの第1通信機器10の記憶部11に車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112の両方をインストールすることにより、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112との間の通信を遅延なく確実に行うことができる。また、車両側アプリケーション111および設備側アプリケーション112のバージョンアップの更新作業を一括して容易に行うことができる。
【0040】
また、第1通信機器10を携帯可能なスマートフォンまたはタブレットとすることで、ユーザは、自動運転車60および機械式駐車設備70から離れた位置から第1通信機器10を操作し、自動運転車60の自動入出庫の指示を出すことができ、利便性に優れる。
【0041】
また、第1通信機器10の記憶部11にインストールされている設備側アプリケーション112は、車両側アプリケーション111からの指示に基づいて、バックグラウンド実行が行われるのが好ましい。バックグラウンド実行は、例えば、車両側アプリケーション111で自動運転車60の入庫を指示することで、バックグラウンドで設備側アプリケーション112が機械式駐車設備70の入庫準備を実行することなどを含む。また、バックグラウンド実行は、設備側アプリケーション112で自動運転車60の出庫を指示することで、車両側アプリケーション111が自動運転車60を始動して所定の位置まで自動運転で出庫させることなどを含む。
【0042】
このようにすれば、第1通信機器10のタッチパネル13へのユーザの入力に基づいてユーザが車両側アプリケーション111に指示することで、設備側アプリケーション112がバックグラウンドで機械式駐車設備70の設備側制御装置71と通信する。すなわち、ユーザが一方のアプリケーションから入出庫に関する指示をすることで、自動運転車60と機械式駐車設備70とを連携動作させるように自動運転車60の車両側制御装置61に対して入出庫に関する制御を行わせることができる。
【0043】
よって、ユーザは、設備側アプリケーション112(または車両側アプリケーション111)を意識することなく車両側アプリケーション111(または設備側アプリケーション112)のみの操作に基づいて、自動運転車60の自動入庫または自動出庫を行うことができる。これにより、自動運転車60の入出庫の制御のためには2種類のアプリケーションが必要にもかかわらず、ユーザは、一方のアプリケーションで自動運転車60の自動入庫または自動出庫の操作を容易にできる。
【0044】
また、機械式駐車設備70は、種々の形式があるため、種々の形式の機械式駐車設備70に対応した設備側アプリケーション112が必要になる場合がある。このように、種々の機械式駐車設備70に対応して設備側アプリケーション112が複数ある場合であっても、ユーザは、機械式駐車設備70と設備側アプリケーション112との対応関係を意識することなく適切なアプリケーション起動させるようにできる。これにより、ユーザの操作性を犠牲にすることなく、自動運転車60の機械式駐車設備に対する自動入出庫動作を適切に行わせることができる。
【0045】
<走行経路のネットワーク上の保存>
この実施形態の第1自動駐車システム1では、地図サーバ30のデータ記憶部31に、複数の機械式駐車設備70への走行経路を含む地図データ311が保存されている。地図データ311は、例えば、地図情報、一方通行などの情報、を含む。第1自動駐車システム1では、車両側アプリケーション111が、機械式駐車設備70への自動運転車60の入庫時に、その機械式駐車設備70に対応した構内走行経路を地図サーバ30から設備側アプリケーション112を介して取得して自動運転車60を走行させることができる。なお、地図サーバ30が地図データ311を車両側制御装置61に直接送信することによって、自動運転車60が走行するようにしてもよい。
【0046】
<第2自動駐車システムの構成>
図3は、第2実施形態に係る第2自動駐車システム2における構成を示すブロック図である。第2自動駐車システム2は、第1通信機器50Aに車両側アプリケーション511Aのみがインストールされた例である。第1通信機器50Aは、記憶部51Aと、無線通信機能を有する通信部52Aと、タッチパネル53Aと、制御部54Aとを備えている。記憶部51Aには、車両側アプリケーション511Aがインストールされている。
【0047】
第2自動駐車システム2は、機械式駐車設備70を管理するための第2通信機器50Bを備えている。第2通信機器50Bは、管理サーバとしての機能を有する。第2通信機器50Bは、記憶部51Bと、無線通信機能を有する通信部52Bと、制御部54Bとを備えている。記憶部51Bには、設備側アプリケーション511Bがインストールされている。この実施形態は、例えば、複数の機械式駐車設備70を管理する第2通信機器50Bが備えられている例であり、車両側アプリケーション511Aと設備側アプリケーション511Bとが異なるハードウエアにインストールされている例である。この実施形態では、管理サーバとしての第2通信機器50Bは、機械式駐車設備70の敷地外の別の場所に設けられている。第2自動駐車システム2は、第1自動駐車システム1と異なる構成のみを説明し、同一の構成は、その説明を省略する。なお、本実施形態では、車両側アプリケーション511Aまたは設備側アプリケーション511Bが主体となって行う制御と、車両側アプリケーション511Aまたは設備側アプリケーション511Bの実行に基づき制御部54A、54Bが主体となって行う制御とを同一視して考えるものとする。
【0048】
第1通信機器50Aの車両側アプリケーション511Aと、第2通信機器50Bの設備側アプリケーション511Bとは、第1通信機器50Aの通信部52Aおよび第2通信機器50Bの通信部52Bによりネットワーク40を介して入出庫連携用制御信号15で送受信を行う。車両側アプリケーション511Aは、通信部52Aによりネットワーク40を介して車両側制御装置61と車両側制御信号で送受信を行う。設備側アプリケーション511Bは、通信部52Bによりネットワーク40を介して設備側制御装置71と設備側制御信号で送受信を行う。また、車両側アプリケーション511Aは、ネットワーク40および設備側アプリケーション511Bを介して地図サーバ30から走行経路の地図データ311を取得することができる。なお、第2自動駐車システム2において、地図サーバ30が地図データ311を車両側制御装置61に直接送信することによって、自動運転車60が走行するようにしてもよい。
【0049】
第2自動駐車システム2によれば、第1通信機器50Aのタッチパネル53Aへの入力によりユーザが車両側アプリケーション511Aに指示することで、車両側アプリケーション511Aが設備側アプリケーション511Bと入出庫連携用制御信号15により送受信を行う。そして、設備側アプリケーション511Bは、機械式駐車設備70の設備側制御装置71と設備側制御信号により送受信を行って入出庫に関する動作を制御する。第2自動駐車システム2は、車両側アプリケーション511Aと設備側アプリケーション511Bとが異なるハードウエアにインストールされている以外は第1自動駐車システム1と同様であるため、その他の説明は省略する。
【0050】
第2自動駐車システム2によっても、車両側アプリケーション511Aが携帯可能な第1通信機器50Aにインストールされている。このため、ユーザは、自動運転車60および機械式駐車設備70から離れた位置から第1通信機器50Aを操作し、自動運転車60の自動入出庫の指示を出すことができ、利便性に優れる。
【0051】
<通信機器の画面例>
図4(A)乃至(F)は、
図1に示す第1自動駐車システム1における第1通信機器10のタッチパネル13に表示される操作画面例を示す図面である。これらの図は、動作途中までの画面を示している。この例は、ユーザが予め自動運転車60の登録と、利用する機械式駐車設備70の登録とを行っている例を説明する。また、この例は、第1通信機器10において車両側アプリケーション111を実行することにより操作画面上に表示された各種操作ボタンをユーザが操作することに基づいて、設備側アプリケーション112がバックグラウンド起動されて実行される例である。
【0052】
図4(A)に示すように、ユーザがタッチパネル13を操作して車両側アプリケーション111を起動すると、タッチパネル13上に、「入出庫」を選択する画面13aが表示される。ユーザがこの画面13aで「入出庫」のボタンを押すと、
図4(B)に示すように登録車一覧の画面13bが表示される。この例では、ユーザが画面13bで「車両A」を選択した状態で「決定」のボタンを押す。次に、
図4(C)に示すように、駐車設備一覧の画面13cが表示される。この例では、ユーザが画面13cで「駐車設備A」を選択した状態で「決定」のボタンを押す。次に、
図4(D)に示すように、「入庫」か「出庫」を選択する画面13dが表示される。この例では、ユーザが画面13dで「入庫」のボタンを押すと、
図4(E)に示すように「入庫開始」の画面13eが表示され、「車両A」の「駐車設備A」に対する自動入庫であることが表示される。次に、ユーザがこの画面13eで「入庫開始」のボタンを押すと、この実施形態では、
図4(F)に示すように、自動入庫中の動作と、「中止」のボタンが画面13fに表示される。これらの画面は一例である。
【0053】
<機械式駐車設備の例>
図5は、機械式駐車設備70の一例を示す平面配置図である。この例の機械式駐車設備70は、敷地85内を進行する自動運転車60の進行方向に対して、機械式駐車設備70の入出庫口76が直交する方向に設けられている。このため、入出庫扉77の前方には、自動運転車60の向きを変更するターンテーブル装置78が設けられている。この例の場合、ターンテーブル装置78の四角で示す停車位置がプリポジション83となっている。
ユーザは、自動運転車60を敷地85の乗降位置86まで運転し、乗降位置86で降りる。自動運転車60は、乗降位置86から自動運転でターンテーブル装置78のプリポジション83へと自動走行で進んで停車する。その後、ターンテーブル装置78が回転し、自動運転車60が入出庫扉77の方向に向けられる。自動運転車60は、入出庫扉77が扉開閉装置79で開放された後、パレット80の所定位置まで進んで駐車する。自動運転車60の駐車完了後は、入出庫扉77が閉鎖され、パレット80は搬送装置81によって所定の格納部82に搬送されて格納される。
【0054】
図6は、複数の駐車設備が備えられた機械式駐車設備70の一例を示す平面配置図である。この例の機械式駐車設備70は、エレベータ式の機械式駐車設備70が3基備えられた例である。複数の機械式駐車設備70は、駐車設備群という。各機械式駐車設備70は、入出庫扉77の前方に四角で示す停車位置がプリポジション83である。この実施形態の駐車設備群では、駐車設備群の敷地85の入口部分にゲートバー84が備えられている。自動運転車60は、ゲートバー84の手前で一時停車する。この実施形態では、この停車位置が乗降位置86となっている。自動運転車60は、ゲートバー84が開放された後に各機械式駐車設備70の前方に設定されたプリポジション83のいずれかへと自動運転で進んで停車する。各機械式駐車設備70のプリポジション83に停車した自動運転車60は、入出庫扉77が扉開閉装置79で開放された後、パレット80の所定位置まで進んで駐車する。自動運転車60の駐車完了後は、入出庫扉77が閉鎖され、パレット80は搬送装置81によって所定の格納部82に搬送されて格納される。
【0055】
図5および
図6に示す実施形態の機械式駐車設備70は、一般道などの領域ではユーザが運転を行い、敷地85内に設けられた乗降位置86でユーザは乗り降りし、自動運転車60は乗降位置から機械式駐車設備70に自動駐車する例である。
【0056】
<入出庫シーケンスの説明>
以下の説明は、上記第1自動駐車システム1による自動運転車60の入出庫シーケンスの一例である。以下の説明では、
図5に示すようにターンテーブル装置78が備えられた機械式駐車設備70の例と、
図6に示すように複数基の機械式駐車設備70が備えられた例とにおける入出庫を説明する。いずれの機械式駐車設備70もエレベータ式であり、自動運転車60をパレット80に駐車し、そのパレット80を格納する格納部82を有する。また、パレット80を配置する入出庫室75を有し、入出庫室75の入出庫口76に入出庫扉77が備えられている。
【0057】
図示するシーケンスは、自動運転車60の車両側制御装置61を「車」、車両側アプリケーション111を「車アプリ」、設備側アプリケーション112を「設備アプリ」、機械式駐車設備70の設備側制御装置71を「設備」と示す。また、自動運転車60の車両側制御装置61と車両側アプリケーション111との間の各シーケンス、および設備側制御装置71と設備側アプリケーション112との間の各シーケンスは、それぞれ詳細な制御を別枠で示している。また、第1通信機器10のタッチパネル13に表示される操作画面において、車両側アプリケーション111はユーザから見えるフロントエンド、設備側アプリケーション112はユーザからは見えないバックエンドで動作する例である。また、ユーザが敷地内に設けられた乗降位置86で乗り降りし、乗降位置86と機械式駐車設備70との間を自動運転車60が自動運転で入出庫する例である。
【0058】
また、以下の説明における入出庫シーケンスは一例である。車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112との間で送受信される入出庫連携用制御信号15は、一種類の信号で車両側アプリケーション111または設備側アプリケーション112に複数の動作を1セットとして実行させることにより、通信を必要最低限にしている。なお、入出庫連携用制御信号15は、設備側制御装置71に個々の動作を順次行わせるような信号でもよい。「動作完了要求」、「動作指示完了応答」は、入出庫連携用制御信号15である。入出庫連携用制御信号15による機械式駐車設備70の複数の動作などは、機械式駐車設備70の種類などに応じて異なり、以下の例に限定されるものではない。
【0059】
<入庫シーケンス>
図7は、
図1に示す第1自動駐車システム1における入庫シーケンスの一例を示す図面である。
図8は、
図7に示す入庫シーケンスに続く入庫シーケンスの一例を示す図面である。
図7と
図8は、連続したシーケンスであるが、紙面の大きさから別々に記載している。
【0060】
第1自動駐車システム1は、第1通信機器10に導入されている車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とが入出庫連携用制御信号15で連携し、自動入庫を行うシステムである。なお、以下に説明する入庫シーケンスの前に、上記
図4(B)、(C)に示すように、ユーザが車両側アプリケーション111の操作画面13b、13cで、自動運転車60と機械式駐車設備70を選択してもよい。この実施形態の入庫シーケンスとしては、ユーザが車両側アプリケーション111の操作画面13eで「入庫開始」を押して「入庫」を指示し(
図4(E))、入庫シーケンスが開始された後を説明する。
【0061】
図7に示すように、この例では、入庫を開始すると、「プリポジション移動シーケンス」が実行される。プリポジション移動シーケンス90は、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に「動作指示要求」の信号が送信される。この「動作指示要求」の信号は、入出庫連携用制御信号15の一つであり、設備側アプリケーション112に受入準備を要求する信号である。設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71との間で設備側制御信号により「設備側プリポジション移動シーケンス」を実行する。
図5に示すターンテーブル装置78を有する構成の場合の「設備側プリポジション移動シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「パレット呼び出し要求」を送信する。設備側制御装置71は、パレット80の呼び出しが完了すると「パレット呼び出し完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0062】
設備側アプリケーション112は、「設備側プリポジション移動シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に「動作指示完了応答」を送信する。「動作指示完了応答」の信号は、入出庫連携用制御信号15の一つであり、車両側アプリケーション111に受入準備が完了したことを伝える信号である。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側プリポジション移動シーケンス」が完了したことを把握する。
【0063】
一方、
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車装置群を備えた構成の場合の「設備側プリポジション移動シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「ゲートバー開要求」を送信する。設備側制御装置71は、ゲートバー84の開放が完了すると設備側アプリケーション112に「ゲートバー開完了応答」を送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「パレット呼び出し要求」を送信する。設備側制御装置71は、パレット80の呼び出しが完了すると「パレット呼び出し完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0064】
設備側アプリケーション112は、「設備側プリポジション移動シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に「動作指示完了応答」を送信する。「動作指示完了応答」の信号は、入出庫連携用制御信号15の一つであり、車両側アプリケーション111に受入準備が完了したことを伝える信号である。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側プリポジション移動シーケンス」が完了したことを把握する。
【0065】
一方、「プリポジション移動シーケンス」は、車両側アプリケーション111と車両側制御装置61との間で車両側制御信号により「車両側プリポジション移動シーケンス」を実行する。車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61に「プリポジション移動要求」を送信する。車両側制御装置61は、自動運転車60をプリポジションまで自動運転で移動させる。車両側制御装置61は、自動運転車60がプリポジション83まで移動すると、車両側アプリケーション111に「プリポジション移動完了応答」を送信する。
【0066】
「プリポジション移動シーケンス」が完了した時点では、自動運転車60はプリポジション83に到着して停車した状態で、機械式駐車設備70はパレット80が所定位置に配置された状態となっている。
【0067】
次に、「入庫準備開始シーケンス」が実行される。入庫準備開始シーケンス91は、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に「動作指示要求」を送信する。「動作指示要求」の信号は、入出庫連携用制御信号15の一つであって入庫準備開始要求の信号である。設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71との間で設備側制御信号により「設備側入庫準備開始シーケンス」を実行する。
図5に示すターンテーブル装置78を有する構成の場合の「設備側入庫準備開始シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「ターンテーブル回転要求」を送信する。設備側制御装置71は、ターンテーブル装置78で自動運転車60を90°回転させ、回転が完了すると「ターンテーブル回転完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉開要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79で入出庫扉77を開放させ、開放が完了すると「入出庫扉開完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0068】
設備側アプリケーション112は、「設備側入庫準備開始シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に入出庫連携用制御信号15の一つである「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側入庫準備開始シーケンス」が完了したことを把握する。
【0069】
この「入庫準備開始シーケンス」では、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に送信する入出庫連携用制御信号15により、機械式駐車設備70は、扉開閉装置79による入出庫扉77の開放動作とターンテーブル装置78の回転との組み合わせ動作を1セットとして実行する。このような入出庫連携用制御信号15は、車両側アプリケーション111との設備側アプリケーション112との間のアプリケーション間通信を少なくしつつ、ユーザの乗降位置と機械式駐車設備70の入出庫室75との間で自動運転車60をスムーズに移動させる。
【0070】
一方、
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車装置群を備えた構成の場合の「設備側入庫準備開始シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「ゲートバー閉要求」を送信する。設備側制御装置71は、ゲートバー84の閉鎖が完了すると設備側アプリケーション112に「ゲートバー閉完了応答」を送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉開要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79で入出庫扉77を開放させ、開放が完了すると「入出庫扉開完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0071】
設備側アプリケーション112は、「設備側入庫準備開始シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に入出庫連携用制御信号15の一つである「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側入庫準備開始シーケンス」が完了したことを把握する。
【0072】
「入庫準備開始シーケンス」が完了した時点では、自動運転車60はプリポジション83において入庫する準備ができており、機械式駐車設備70は入出庫扉77が開放されて入庫待ちの状態となっている。
【0073】
次に、「入庫中シーケンス」が実行される。入庫中シーケンス92は、設備側アプリケーション112から車両側アプリケーション111に「入庫準備開始シーケンス」の「動作指示完了応答」が送信されたことで行われる。車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61との間で車両側制御信号により「車両側入庫中シーケンス」を実行する。車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61に「入庫要求」を送信する。車両側制御装置61は、自動運転車60を自動運転で入出庫扉77を通ってパレット80の所定位置に駐車させる。車両側制御装置61は、自動運転車60の入庫が完了すると、車両側アプリケーション111に「入庫完了応答」を送信する。
【0074】
また、設備側制御装置71は、パレット80に入庫する自動運転車60の入庫中に駐車位置を監視している。設備側制御装置71は、自動運転車60がパレット80の所定駐車範囲内に駐車したことを検知して、設備側アプリケーション112に「入庫位置確認完了通知」を送信する。設備側アプリケーション112は、車両側アプリケーション111に入出庫連携用制御信号15の一つである「入庫位置確認完了通知」の信号を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「入庫位置確認完了通知」を受信することにより、自動運転車60がパレット80に駐車完了したことを把握する。これにより、自動運転車60の自動運転による駐車完了が確定する。
【0075】
次に、「入庫動作完了シーケンス」が実行される。入庫動作完了シーケンス93は、車両側アプリケーション111と車両側制御装置61との間で車両側制御信号により「車両側入庫動作完了シーケンス」を実行する。車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61に「エンジン停止要求」を送信する。車両側制御装置61は、自動運転車60のエンジンを停止し、車両側アプリケーション111に「エンジン停止完了応答」を送信する。また、車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61に「ドアロック要求」を送信する。車両側制御装置61は、自動運転車60のドアロックをして、車両側アプリケーション111に「ドアロック完了応答」を送信する。
【0076】
車両側アプリケーション111は、エンジン停止とドアロック完了により、設備側アプリケーション112に「動作指示要求」を送信する。設備側アプリケーション112は、車両側アプリケーション111から「動作指示要求」を受信することにより、自動運転車60の「車両側入庫動作完了シーケンス」が完了したことを把握する。「動作指示要求」は、入出庫連携用制御信号15の一つである入庫動作完了要求であり、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71との間で設備側制御信号により「設備側入庫動作完了シーケンス」を実行する。
【0077】
図5に示すターンテーブル装置78を有する構成の場合の「設備側入庫動作完了シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「無人確認要求」を送信する。設備側制御装置71は、入出庫室75内の無人を確認し、無人確認が完了すると「無人確認完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉閉要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79により入出庫扉77を閉鎖させ、閉鎖が完了すると「入出庫扉閉完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「パレット格納要求」を送信する。設備側制御装置71は、搬送装置81でパレット80を格納部82に搬送し、格納が完了すると「パレット格納完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0078】
設備側アプリケーション112は、パレット80の格納が完了すると、入出庫連携用制御信号15の一つである「動作指示完了応答」を車両側アプリケーション111に送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側入庫動作完了シーケンス」が完了したことを把握する。これにより、自動運転車60の入庫シーケンスが完了する。
【0079】
一方、
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車設備群を備えた構成の場合の「設備側入庫動作完了シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「無人確認要求」を送信する。設備側制御装置71は、入出庫室75内の無人を確認し、無人確認が完了すると「無人確認完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉閉要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79により入出庫扉77を閉鎖させ、閉鎖が完了すると「入出庫扉閉完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「パレット格納要求」を送信する。設備側制御装置71は、搬送装置81でパレット80を格納部82に搬送し、格納が完了すると「パレット格納完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0080】
設備側アプリケーション112は、パレット80の格納が完了すると、入出庫連携用制御信号15の一つである「動作指示完了応答」を車両側アプリケーション111に送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側入庫動作完了シーケンス」が完了したことを把握する。これにより、自動運転車60の入庫シーケンスが完了する。
【0081】
<出庫シーケンス>
図9は、
図1に示す第1自動駐車システム1における出庫シーケンスの一例を示す図面である。
図10は、
図9に示す出庫シーケンスに続く出庫シーケンスの一例を示す図面である。
図9と
図10は、連続したシーケンスであるが、紙面の大きさから別々に記載している。
【0082】
第1自動駐車システム1は、第1通信機器10に設けられている車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とが入出庫連携用制御信号15で連携し、自動出庫を行うシステムである。なお、以下に説明する出庫シーケンスの前に、上記
図4(B)、(C)に示したように、ユーザが車両側アプリケーション111の操作画面13b、13cで、自動運転車60と機械式駐車設備70を選択してもよい。この実施形態の出庫シーケンスとしては、ユーザが車両側アプリケーション111の操作画面13dで「出庫」を選択し(
図4(D))、次の画面で「出庫開始」を押して「出庫」を指示し、出庫シーケンスが開始された後を説明する。
【0083】
図9に示すように、この例では、出庫を開始すると、「出庫準備開始シーケンス」が実行される。出庫準備開始シーケンス95は、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に「動作指示要求」の信号を送信する。「動作指示要求」の信号は、入出庫連携用制御信号15の一つであり、設備側アプリケーション112に出庫準備を要求する信号である。設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71との間で設備側制御信号により「設備側出庫準備開始シーケンス」を実行する。
図5に示すターンテーブル装置78を有する構成の場合の「設備側出庫準備開始シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「パレット呼び出し要求」を送信する。設備側制御装置71は、パレット80の呼び出しが完了すると「パレット呼び出し完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉開要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79で入出庫扉77を開放させ、開放が完了すると「入出庫扉開完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0084】
設備側アプリケーション112は、「設備側出庫準備開始シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に入出庫連携用制御信号15の一つである「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側出庫準備開始シーケンス」が完了したことを把握する。
【0085】
この「出庫準備開始シーケンス」では、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に送信する入出庫連携用制御信号15により、機械式駐車設備70は、搬送装置81によるパレット80の搬送動作と、扉開閉装置79による入出庫扉77の開放動作との組み合わせ動作を1セットとして実行する。これにより、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とのアプリケーション間通信を少なくできる。
【0086】
一方、
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車設備群を備えた構成の場合の「設備側出庫準備開始シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「パレット呼び出し要求」を送信する。設備側制御装置71は、パレット80の呼び出しが完了すると「パレット呼び出し完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉開要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79で入出庫扉77を開放させ、開放が完了すると「入出庫扉開完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0087】
設備側アプリケーション112は、「設備側出庫準備開始シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に入出庫連携用制御信号15の一つである「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側出庫準備開始シーケンス」が完了したことを把握する。
【0088】
「出庫準備開始シーケンス」が完了した時点では、自動運転車60を駐車したパレット80が入出庫室75に配置され、入出庫扉77が開放された状態となっている。
【0089】
次に、「出庫中シーケンス」が実行される。出庫中シーケンス96は、車両側アプリケーション111と車両側制御装置61との間で車両側制御信号により「車両側出庫中シーケンス」を実行する。車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61に「エンジン始動要求」を送信する。車両側制御装置61は、自動運転車60のエンジンを始動し、車両側アプリケーション111に「エンジン始動完了応答」を送信する。また、車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61に「出庫要求」を送信する。車両側制御装置61は、自動運転車60を自動運転でプリポジションまで移動させ、プリポジション83までの移動が完了すると、車両側アプリケーション111に「出庫完了応答」を送信する。
【0090】
次に、「出庫動作完了シーケンス」が実行される。出庫動作完了シーケンス97は、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に「動作指示要求」を送信する。設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71との間で設備側制御信号により「設備側出庫動作完了シーケンス」を実行する。
図5に示すターンテーブル装置78を有する構成の場合の「設備側出庫動作完了シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「無人確認要求」を送信する。設備側制御装置71は、入出庫室75内の無人を確認し、確認が完了すると「無人確認完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。その後、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉閉要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79で入出庫扉77を閉鎖し、閉鎖が完了すると「入出庫扉閉完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。また、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「ターンテーブル回転要求」を送信する。設備側制御装置71は、ターンテーブル装置78で自動運転車60を90°回転させ、回転が完了すると「ターンテーブル回転完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0091】
一方、
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車装置群を備えた構成の場合の「設備側出庫動作完了シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「無人確認要求」を送信する。設備側制御装置71は、入出庫室75内の無人を確認し、確認が完了すると「無人確認完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。その後、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「入出庫扉閉要求」を送信する。設備側制御装置71は、扉開閉装置79で入出庫扉77を閉鎖し、閉鎖が完了すると「入出庫扉閉完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。その後、設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「ゲートバー開要求」を送信する。設備側制御装置71は、ゲートバー84を開放し、開放が完了すると設備側アプリケーション112に「ゲートバー開完了応答」を送信する。
【0092】
設備側アプリケーション112は、「設備側出庫動作完了シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側出庫動作完了シーケンス」が完了したことを把握する。
【0093】
次に、「乗車位置移動シーケンス」が実行される。乗車位置移動シーケンス98は、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に「動作指示要求」を送信する。設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71との間で設備側制御信号により「設備側乗車位置移動シーケンス」を実行する。
図5に示すターンテーブル装置78を有する構成の場合の「設備側乗車位置移動シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「パレット格納要求」を送信する。設備側制御装置71は、パレット80を搬送装置81で格納部82へ搬送し、所定の格納部82への格納が完了すると「パレット格納完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0094】
設備側アプリケーション112は、「設備側乗車位置移動シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側乗車位置移動シーケンス」が完了したことを把握する。
図5に示すターンテーブル装置78を有する機械式駐車設備70の場合、この「設備側乗車位置移動シーケンス」で機械式駐車設備70の出庫シーケンスは完了となる。
【0095】
また、
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車装置群を備えた構成の場合の「設備側乗車位置移動シーケンス」は、設備側アプリケーション112から設備側制御装置71に「パレット格納要求」を送信する。設備側制御装置71は、パレット80を格納部82へ搬送し、所定の格納部82への格納が完了すると「パレット格納完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0096】
設備側アプリケーション112は、「設備側乗車位置移動シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「設備側乗車位置移動シーケンス」が完了したことを把握する。
【0097】
一方、乗車位置移動シーケンス98は、車両側アプリケーション111と車両側制御装置61との間で車両側制御信号により「車両側乗車位置移動シーケンス」を実行する。車両側アプリケーション111は、車両側制御装置61に「乗車位置移動要求」を送信する。車両側制御装置61は、自動運転車60を自動運転でプリポジション83から乗降位置86まで移動させる。車両側制御装置61は、自動運転車60の乗降位置86への移動が完了すると、車両側アプリケーション111に「乗車位置移動完了応答」を送信する。
【0098】
次に、
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車設備群を備えた構成の場合は、車両側アプリケーション111から設備側アプリケーション112に「動作指示要求」が出され、「乗車位置移動完了後シーケンス」を実行する。乗車位置移動完了後シーケンス99は、設備側アプリケーション112と設備側制御装置71との間で設備側制御信号により「設備側乗車位置移動完了後シーケンス」を実行する。設備側アプリケーション112は、設備側制御装置71に「ゲートバー閉要求」を送信する。設備側制御装置71は、ゲートバー84を閉鎖し、閉鎖が完了すると「ゲートバー閉完了応答」を設備側アプリケーション112に送信する。
【0099】
設備側アプリケーション112は、「設備側乗車位置移動完了後シーケンス」が完了すると、車両側アプリケーション111に「動作指示完了応答」を送信する。車両側アプリケーション111は、設備側アプリケーション112から「動作指示完了応答」を受信することにより、機械式駐車設備70の「乗車位置移動完了後シーケンス」が完了したことを把握する。
図6に示す複数の機械式駐車設備70を有する駐車設備群を備えた構成の場合は、この「乗車位置移動完了後シーケンス」で機械式駐車設備70の出庫シーケンスは完了となる。
【0100】
<その他の変形例>
機械式駐車設備70は、上記した実施形態における形式に限定されない。機械式駐車設備70は、例えば、水平循環式、平面往復式、縦横移動パズル式、垂直循環式、地下式、多段式などの機械式駐車設備であってもよく、上記した実施形態に限定されない。
【0101】
また、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とは、上記した実施形態以外の通信機器にインストールされていてもよく、その構成は上記した実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態の第1自動駐車システム1および第2自動駐車システム2では、第1通信機器10、50Aが、ユーザが携帯可能なスマートフォンやタブレットなどにより構成されていた。本発明はこれに限らない。例えば、車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーションが一つの通信機器にインストールされる場合、当該通信機器が、商業施設や集合住宅のエントランスに設置される入出庫予約盤であってもよい。また、例えば、車両側アプリケーションのみが一つの通信機器にインストールされる場合、当該通信機器が、車載ナビゲーションシステムであってもよい。
【0102】
また、上記した実施形態のうち、第1自動駐車システム1では、第1通信機器10は、携帯可能なスマートフォンまたはタブレットなどで構成されていた。第1通信機器10は、記憶部11とタッチパネル13とを備えていた。記憶部11には、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112とがインストールされていた。ユーザは、第1通信機器10においてタッチパネル13の操作画面上に表示された各種操作ボタンを操作することに基づいて、車両側アプリケーション111および設備側アプリケーション112を操作していた。すなわち、第1自動駐車システム1では、車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーションを保存する機器と、車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーションを操作するための機器とが、同一の機器で構成されていた。本発明はこれに限らず、車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーションを保存する機器と、車両側アプリケーションおよび設備側アプリケーションを操作するための機器とが、別々の機器で構成されていてもよい。
【0103】
また、上記した実施形態のうち第2自動駐車システム2では、第2通信機器50Bが記憶部51Bを備え、この記憶部51Bには、設備側アプリケーション511Bがインストールされていた。第2通信機器50Bは、機械式駐車設備70の敷地外の別の場所に設けられていた。本発明はこれに限らず、設備側アプリケーションがインストールされる第2通信機器と、設備制御部を備える機械式駐車設備とを同じ敷地内に設けてもよい。この場合、同じ敷地内であっても、自動運転車と機械式駐車設備とを連携させるための動作シーケンスが保存される場所(領域)と、出庫扉、搬送装置、ターンテーブル装置等の各可動部を独立制御可能にするための制御内容が保存される場所(領域)とを別々にすればよい。
【0104】
さらに、上記した実施形態は一例を示しており、設備側アプリケーション112が操作画面を備えたフロントエンドで、車両側アプリケーション111がユーザからは見えないバックエンドで動作するように構成することもできる。本出願は、要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本出願は上記した実施形態に限定されない。
【0105】
<総括>
以上のように、上記自動駐車システム1、2によれば、車両側アプリケーション111、511Aと設備側アプリケーション112、511Bとが入出庫連携用制御信号15で通信する。そして、車両側アプリケーション111、511Aが車両側制御装置61と車両側制御信号で通信し、設備側アプリケーション112、511Bが設備側制御装置71と設備側制御信号で通信する。よって、自動運転車60の車両側制御装置61と機械式駐車設備70の設備側制御装置71とに自動駐車のための連携仕様を実装させることなく、自動運転車60の機械式駐車設備70に対する入出庫の自動化を実現することが可能となる。
【0106】
また、自動駐車のためのアプリケーションを、車両側アプリケーション111と設備側アプリケーション112との2種類に分け、共通の入出庫連携用制御信号15によりアプリケーション間通信を行わせることで、自動運転車60のメーカと機械式駐車設備70のメーカとが、車両側制御装置61と設備側制御装置71について、動作制御のための連携仕様を細かく調整する必要がない。これにより、自動運転車60のメーカは機械式駐車設備70の連携仕様を考慮することなく独自に自動運転車60の既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。また、機械式駐車設備70のメーカは自動運転車60の連携仕様を考慮することなく独自に機械式駐車設備70の既存製品改良や新規製品開発を行うことができる。例えば、機械式駐車設備の形態が増えれば、設備側アプリケーション112を更新するだけで、自動駐車を実現できる。
【符号の説明】
【0107】
1 第1自動駐車システム
2 第2自動駐車システム
10 第1通信機器
11 記憶部
111 車両側アプリケーション
112 設備側アプリケーション
12 通信部
13 タッチパネル
13a 画面
13b 画面
13c 画面
13d 画面
13e 画面
13f 画面
14 制御部
15 入出庫連携用制御信号
30 地図サーバ
31 記憶部
311 地図データ
32 通信部
34 制御部
40 ネットワーク
50A 第1通信機器
50B 第2通信機器
51A 記憶部
51B 記憶部
511A 車両側アプリケーション
511B 設備側アプリケーション
52A 通信部
52B 通信部
53A タッチパネル
54A 制御部
54B 制御部
60 自動運転車
61 車両側制御装置
70 機械式駐車設備
71 設備側制御装置
75 入出庫室
76 入出庫口
77 入出庫扉
78 ターンテーブル装置
79 扉開閉装置
80 パレット
81 搬送装置
82 格納部
83 プリポジション
84 ゲートバー
85 敷地
86 乗降位置
90 プリポジション移動シーケンス
91 入庫準備開始シーケンス
92 入庫中シーケンス
93 入庫動作完了シーケンス
95 出庫準備開始シーケンス
96 出庫中シーケンス
97 出庫動作完了シーケンス
98 乗車位置移動シーケンス
99 乗車位置移動完了後シーケンス