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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157894
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20220101AFI20241031BHJP
   F24H 9/20 20220101ALI20241031BHJP
【FI】
F24H3/04 301
F24H9/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072541
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】上村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠介
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕明
(72)【発明者】
【氏名】有坂 拓真
【テーマコード(参考)】
3L028
【Fターム(参考)】
3L028AA01
3L028AC05
(57)【要約】
【課題】空気中の埃の基板部への付着を抑制することができる暖房装置を提供する。
【解決手段】筐体3と、筐体3の内部に収容した熱源部10と、表示操作部6と、表示操作部6の基板部7と、室内の空気を取り込んで熱源部10で発生した熱を室内へ排出する対流ファン17と、熱源部10で発生した熱を対流ファン17によって筐体の外へ送風する主送風経路部14と、室内の空気を取り込んで対流ファン17によって筐体3の外へ送風する副送風経路部9と、副送風経路部9に連通し基板部7を収納する基板室8と、を備え、基板室8内の空気の対流を促進させる空気対流促進手段を備えた。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に収容した熱源部と、
表示操作部と、
前記表示操作部の基板部と、
室内の空気を取り込んで前記熱源部で発生した熱を室内へ排出する対流ファンと、
前記熱源部で発生した熱を前記対流ファンによって前記筐体の外へ送風する主送風経路部と、
室内の空気を取り込んで前記対流ファンによって前記筐体の外へ送風する副送風経路部と、
前記副送風経路部に連通し前記基板部を収納する基板室と、
を備え、
前記基板室内の空気の対流を促進させる空気対流促進手段を備えた
ことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記対流ファンからの空気を前記副送風経路部に流入する風路入口と、
前記副送風経路部から前記筐体の外に送風する風路出口と、
を備え、
前記空気対流促進手段は、
前記風路入口から流入した空気のうち前記基板室へ向かう空気の一部を前記風路出口へ向かうように
前記副送風経路部における前記基板室より上流側に備えた衝立板である
ことを特徴とする請求項1に記載した暖房装置。
【請求項3】
前記基板室と前記副送風経路部とを前記副送風経路部の上流側で区画する第1区画板と、
前記基板室と前記副送風経路部とを前記副送風経路部の下流側で区画する第2区画板と、
を備え、
前記第1区画板と前記第2区画板との間に開口して設けられ、前記基板室と前記副送風経路部とを連通する基板室入口を備え、
前記空気対流促進手段は、
前記基板室入口が前記副送風経路部の上流側を向いて開口している構成である
ことを特徴とする請求項1に記載した暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房装置に関し、特に操作部などの基板部と、暖房用の熱源と、温風を送風するための対流ファンを備えた暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の暖房装置では、機器の正面の上方、あるいは機器の天面に操作部を備え、バーナ部が発生する熱を対流ファンで送風して、室内の暖房を行うものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、本体前面に温風を吹き出す吹き出し口と、本体上面に運転スイッチ等の表示操作部が設けられており、本体内部には、バーナ部と、このバーナ部の発する熱を室内の空気と熱交換する熱交換器と、この熱交換器に室内の空気を送風する対流ファンとが備えられ、熱交換器の上方に本体上面の表示操作部へ熱を遮断する遮熱板が取り付けられており、対流ファンからの送風の一部は、遮熱板の上方を流通して基板部に送風するようになっていて、表示操作部の基板部が燃焼部の発する熱で高温にならないように冷却するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6148157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、送風空気は、室内に浮遊する塵や埃を吸い込んで、温風空気として送風するものであり、表示操作部の基板を冷却する空気についても塵や埃が含まれているため、この塵や埃が基板部に付着する可能性があった。基板部に埃が付着すると暖房装置の誤動作につながる懸念があった。
【0006】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、本体内に取り込んだ空気中の埃の基板部への付着を抑制できる暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、筐体と、前記筐体の内部に収容した熱源部と、表示操作部と、前記表示操作部の基板部と、室内の空気を取り込んで前記熱源部で発生した熱を室内へ排出する対流ファンと、前記熱源部で発生した熱を前記対流ファンによって前記筐体の外へ送風する主送風経路部と、室内の空気を取り込んで前記対流ファンによって前記筐体の外へ送風する副送風経路部と、前記副送風経路部に連通し前記基板部を収納する基板室と、を備え、前記基板室内の空気の対流を促進させる空気対流促進手段を備えたことを特徴とした。
【0008】
請求項2では、前記対流ファンからの空気を前記副送風経路部に流入する風路入口と、前記副送風経路部から前記筐体の外に送風する風路出口と、を備え、前記空気対流促進手段は、前記風路入口から流入した空気のうち前記基板室へ向かう空気の一部を前記風路出口へ向かうように前記副送風経路部における前記基板室より上流側に備えた衝立板であることを特徴とした。
【0009】
請求項3では、前記基板室と前記副送風経路部とを前記副送風経路部の上流側で区画する第1区画板と、前記基板室と前記副送風経路部とを前記副送風経路部の下流側で区画する第2区画板と、を備え、前記第1区画板と前記第2区画板との間に開口して設けられ、前記基板室と前記副送風経路部とを連通する基板室入口を備え、前記空気対流促進手段は、前記基板室入口が前記副送風経路の上流側を向いて開口している構成であることを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この本発明によれば、空気中の埃の基板部への付着を抑制できる暖房装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の暖房装置の斜視図
図2】本発明の第1の実施形態の暖房装置の一部の部品を外した状態の概略構成図
図3】本発明の第1の実施形態の暖房装置の断面斜視図
図4】本発明の第1の実施形態の暖房装置の要部拡大端面図
図5】本発明の第2の実施形態の暖房装置の要部拡大端面図
図6】従来技術の暖房装置の要部拡大端面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる第1の実施形態を図1から図4を参照して説明する。
【0013】
1は、第1の実施形態の暖房装置で、水平に載置された置台2、筐体3、筐体3の上方に位置する表示操作部6、熱源部であるバーナ部10、バーナ部10と連通した放熱器15、バーナ部10に燃油を供給する燃料供給部20、室内に温風を送風する対流ファン17を備えて構成されている。
表示操作部6は、操作部4と表示部5を備える。
表示操作部6の内側には基板部7が備わり、具体的には、操作部4の操作部基板7aと表示部5の表示部基板7bを備えるものである。
【0014】
バーナ部10は、アルミダイキャスト製の図示しない気化器と、この気化器と連接して気化した燃油を燃焼させるバーナ10aと、気化器とバーナ10aとを内蔵する有底角筒状のバーナケース10bを備える。
バーナ10aは、燃焼用ファン16からの燃焼用空気の供給と、燃料供給部20からの燃油の供給を受けて、燃油を燃焼させて燃焼ガスを生成する。
生成した燃焼ガスは、バーナ10aの上部に位置する燃焼室11を通過して、バーナ部10と連通した放熱器15と熱交換器15aを経て、図示しない排気筒から器具外へ排気される。
【0015】
放熱器15は、バーナ部10で発生した燃焼ガスによって加熱され、室内に輻射熱を放出するとともに、対流ファン17から送風される室内空気と熱交換して温風空気を発生するものである。
熱交換器15aは、放熱器15を経由した燃焼ガスを複数本の並列に並べたパイプに分岐して流通させて通過させ、対流ファン17から送風される室内空気と熱交換するものである。
【0016】
40は、平面視でコの字状を有し、置台2の上に載置固定されたバーナ取付台である。
19は、バーナ取付台40の上部に架け渡すように設置して筐体3内を上段と下段に分割するようにして固定した遮熱板である。
バーナ取付台40は、上下端および左右端に曲げ部40aを有してバーナ取付台40自体の剛性を高めるとともに、曲げ部40aによって置台2と取付部材41および遮熱板19とそれぞれ螺子などで固定されるものである。
また、遮熱板19がバーナ取付台40の上に架け渡されて固定されていることで、バーナ取付台40の剛性を高めるとともに、遮熱板19の上側に位置する高温の放熱器15の輻射熱が遮熱板19より下側へ伝わるのを緩和するものである。
【0017】
バーナケース10bは、バーナケース10bの上端の周囲に外側へ広がるバーリング部(図示しない)を備え、遮熱板19の中央に前記バーリング部を係止させて取り付けられている。
【0018】
50は、対流ファン17から送風される空気をバーナ部10の下部に空気を送るための風向板である。
風向板50は、左右端と後端をコの字状のバーナ取付台40の内側に接するように収まり、左右端で置台2とバーナ取付台40とともに螺子で共締めされて固定されており、バーナ取付台40の剛性向上に貢献している。
【0019】
18は、熱交換器15aの上方に配置され、筐体3の上部に配置される表示操作部6および基板部7への放熱器15および熱交換器15aからの放熱を緩和するための遮熱板カバーである。
14は、遮熱板カバー18より下方に配置され、対流ファン17からの送風空気が放熱器15および熱交換器15aと熱交換して筐体3の正面へ送風させる主送風経路部である。
14aは、対流ファン17からの送風空気が放熱器15および熱交換器15aと熱交換して器具外に排出される吹出口である。
【0020】
9は、上面を筐体3の内側面で、下面を遮熱板カバー18の上面で囲まれ、遮熱板カバー18より上方に配置されて対流ファン17からの送風空気が筐体3内の空間を通過したのち筐体3の正面から排出させる副送風経路部である。
9aは、対流ファン17からの送風空気を副送風経路部9に流入する風路入口である。
9bは、副送風経路部9から筐体3の外に送風する風路出口である。
対流ファン17によって吸い込まれた空気は、風路入口9aと主送風経路部14の入口に分配して送風するようになっている。
【0021】
8は、筐体3の上方に配置され、操作部基板7aと表示部基板7bを収容する基板室である。
基板室8の天面には、操作部4および操作部基板7aが下方から嵌め込んで図示しない螺子などによって係止して固定されている。
基板室8の正面側の側面には、表示部5および表示部基板7bが筐体3の内側から図示しない螺子などによって係止して固定されている。
【0022】
基板室8は副送風経路部9と連通しており、対流ファン17の送風空気を送風して対流させることにより基板室8内の基板部7が高温になるのを回避するようにしている。
【0023】
しかしながら、図6の従来技術では、基板室8が副送風経路部9と連通していて、対流ファン17の送風空気が基板室8内の基板部7に直接当たるようになっているため、基板部7に送風空気に含まれる室内の埃や塵埃が付着し、暖房装置1の誤作動につながる懸念があった。
【0024】
本発明では、基板部7への埃付着を抑制しつつ、基板部7が高温になるのを回避できるよう、基板室8内の空気の対流を促進させる空気対流促進手段を備えた。
具体的には、空気対流促進手段は、風路入口9aから流入した空気のうち基板室8へ向かう空気の一部を風路出口9bへ向かうように副送風経路部9における基板室8より上流側に備えた衝立板8aである。
【0025】
衝立板8aは、基板部7よりも空気の流れで上流側の位置、すなわち、基板室8と副送風経路部9の天面内側の境界部で、副送風経路部9の上流側の天面内側から垂下して設けてあり、基板部7に送風空気が直接当たらないようにしたものである。また、衝立板8aは、基板室8内に空気が旋回して対流するのに十分な空間を確保した位置に配置している。
【0026】
次に、第1の実施形態における作用について説明する。
【0027】
操作部4により暖房運転を開始すると、バーナ部10に燃油が供給され、着火温度まで加熱された気化器により燃油が燃焼を開始すると対流ファン17が駆動を開始する。
バーナ部10で生じた燃焼ガスは、燃焼室11から放熱器15と熱交換器15aを経由して排気筒より器具外へ排気される。
対流ファン17の駆動により、室内から吸い込んだ空気は、主送風経路部14と副送風経路部9に送風される。
主送風経路部14に送風されて流入した空気は、熱交換器15aおよび放熱器15と熱交換して、器具正面の吹出口14aより送風され室内に送風される。
【0028】
図4の矢印に示したように、対流ファン17から副送風経路部9に送風され風路入口9aから流入した空気は、主に副送風経路部9の天面内側に沿った流れと副送風経路部9の下面内側に沿った流れに別れる。
副送風経路部9の下面内側に沿った流れは、下面である遮熱板カバー18の上面に沿って流れ、風路出口9bから器具の外に排出される。
副送風経路部9の天面内側に沿った流れは、天面である筐体3の内側面に沿って流れ、副送風経路部9と基板室8の境界の天面内側から垂下した衝立板8aに突き当たって下方に下り、一部は副送風経路部9の下面内側に沿った流れに合流して風路出口9bから器具の外に排出される。
また、一部は、衝立板8aに付き合ったあと、基板室8内に侵入して基板室8内の旋回流の対流を形成する。
【0029】
この衝立板8aは、副送風経路部9と基板室8との境界から垂下して設けてあり、基板室8内に空気の対流が形成され持続されるのに十分な空間を基板室8に確保しているものであり、十分な空間の確保により基板室8内の空気の対流がさらに促進されるようになっている。
また、衝立板8aの下端は基板室8の内側に向けて屈曲させて端面処理されている。
【0030】
暖房運転が開始されると、表示部5には運転が開始されたことを報知する表示灯が点灯する。
また、操作部4に備えた火力設定スイッチによって火力の上げ下げが行えるものである。
【0031】
これによって、基板室8を単に空気が通過していくものではなく、基板室8内の空気を確実に対流させ、基板部7に直接吹き付ける空気は最小限に留めつつ、基板部7の温度上昇を抑制することができ、送風空気中に混入した埃の基板部7への付着を抑制できるものである。
【0032】
次に、第2の実施形態を図5を参照して説明する。
【0033】
第1の実施形態と第2の実施形態との違いは基板室8と副送風経路部9の構成であり、その他の構成は共通である。
第2の実施形態は、基板室8と副送風経路部9とを副送風経路部9の上流側で区画する第1区画板8bと、
基板室8と副送風経路部9とを副送風経路部9の下流側で区画する第2区画板8cとを備える。
さらに、第1区画板8bと第2区画板8cとの間には、基板室8と副送風経路部9とを連通する開口した状態の基板室入口8dが備わる。
【0034】
本発明では、基板部7への埃付着を抑制しつつ、基板部7が高温になるのを回避できるよう、基板室8内の空気の対流を促進させる空気対流促進手段を備えた。
具体的には、空気対流促進手段は、基板室入口8dが副送風経路部9の上流側を向いて開口している構成である。
【0035】
次に、第2の実施形態における作用について説明する。
【0036】
操作部4により暖房運転を開始すると、バーナ部10に燃油が供給され、着火温度まで加熱された気化器により燃油が燃焼を開始すると対流ファン17が駆動を開始する。
【0037】
図5の矢印に示したように、対流ファン17から副送風経路部9に送風され風路入口9aから流入した空気は、副送風経路部9に沿って流れる。
このうち、副送風経路部9の下面内側の近くの空気の流れは、下面である遮熱板カバー18の上面に沿って流れ、風路出口9bから器具の外に排出される。
他方、副送風経路部9の天面内側の近くの空気の流れは、天面である筐体3の内側面に沿って流れる。
そして、基板室入口8dが副送風経路部9の上流側を向いて開口している構成であるので、副送風経路部9の天面内側の近くの空気の流れは基板室入口8dから基板室8に流入し、基板室8内に旋回流の対流を形成する。
【0038】
基板室8内に空気の対流が形成され持続されるのに十分な空間を基板室8に確保しているものであり、十分な空間の確保により基板室8内の空気の対流がさらに促進されるようになっている。
【0039】
これによって、基板室8を単に空気が通過していくものではなく、基板室8内の空気を確実に対流させ、基板部7に直接吹き付ける空気は最小限に留めつつ、基板部7の温度上昇を抑制することができ、送風空気中に混入した埃の基板部7への付着を抑制できるものである。
【0040】
なお、熱源部は燃油を燃焼させるバーナ部10で説明したが、電気ヒータによる熱源であってもよい。
【0041】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 :暖房装置
3 :筐体
6 :表示操作部
7 :基板部
8 :基板室
8a :衝立板
8b :第1区画板
8c :第2区画板
8d :基板室入口
9 :副送風経路部
9a :風路入口
9b :風路出口
10 :熱源部(バーナ部)
14 :主送風経路部
17 :対流ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6