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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157898
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両制御方法、及び、表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20241031BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241031BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241031BHJP
   H10K 59/50 20230101ALI20241031BHJP
   H10K 59/90 20230101ALI20241031BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241031BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241031BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20241031BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20241031BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60R11/02 C
H10K50/10
H10K59/10
H10K59/50
H10K59/90
G09F9/30 308Z
G09F9/30 349C
G09G5/00 510A
G09G5/10 B
G09G5/37 320
G09G5/00 510V
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072554
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】西尾 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮道 敏広
【テーマコード(参考)】
2H088
3D020
3K107
5C094
5C182
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088MA20
3D020BA04
3D020BC11
3D020BE03
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC41
3K107EE21
3K107FF06
3K107FF15
5C094DA03
5C094DA20
5C094HA05
5C182AA02
5C182AA03
5C182AA22
5C182AB25
5C182AB31
5C182AC43
5C182BA01
5C182BA25
5C182BA45
5C182BB04
5C182BB15
5C182CA01
5C182CB44
(57)【要約】
【課題】透明ディスプレイに表示された画像の光が運転者の運転に影響を及ぼすことを防止する。
【解決手段】車両の後席と前席との間に配置された表示装置は、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域を有する透明ディスプレイと、少なくとも第1表示領域に対応するとともに少なくとも前席側に配置され光透過率が可変である可変光透過率シートと、を備え、第1表示領域内に第2形状の第2表示領域を備える映像を出力する場合、可変光透過率シートにおいて、第1光透過率である第3形状の遮光領域と、遮光領域以外であって第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域とを備え、遮光領域の少なくとも一部が第2表示領域と重なる設定をする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に連結された第1車輪と、
前記車体に連結された第2車輪と、
前記車体に連結された第3車輪と、
前記車体に連結された第4車輪と、を少なくとも備え、
前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪、及び前記第4車輪を使って、所定の向きに走行可能な車両であって、
前記車体は、
前記所定の向きに沿って配置された床面部と天井面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って左側面に配置された左側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って右側面に配置された右側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて前部に配置された前面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて後部に配置された後面部と、
前記床面部において、前記後面部より前記前面部側に配置された少なくとも一つの前席と、
前記床面部において、前記前面部より前記後面部側に配置された少なくとも一つの後席と、
前記後席と前記前席の間に配置され、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域を有する透明ディスプレイと、を備え、
前記透明ディスプレイが、少なくとも前記第1表示領域に対応するとともに、少なくとも前席側に配置され、光透過率が可変である可変光透過率シートを備える、
前記車両における車両制御方法であって、
前記第1表示領域内に、第2形状の第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、第1光透過率である第3形状の遮光領域と、前記遮光領域以外であって、前記第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域を備え、前記遮光領域の少なくとも一部が前記第2表示領域と重なる設定をする、
車両制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記車両の前記前面部は、前記前席より前記所定の向きに車外を視認できるガラスを備える、
車両制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記透明ディスプレイは、少なくとも自発光ディスプレイを備え、
前記可変光透過率シートは、少なくとも液晶シャッターを備える、
車両制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記第1表示領域内に、前記第2形状の前記第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域と、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域を備え、前記第2表示領域の全体は前記遮光領域と重なる設定をする、
車両制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御方法であって、
前記第2表示領域の前記第2形状は、少なくとも第1辺を備え、
前記遮光領域の前記第3形状は、少なくとも第2辺を備え、
前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺は、前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺と対応して配置され、
前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺と、前記透過領域の間にある、
車両制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の車両制御方法であって、
前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺と所定の距離離れている、
車両制御方法。
【請求項7】
請求項4に記載の車両制御方法であって、
前記第2表示領域の前記第2形状は、第1の複数辺を備え、
前記遮光領域の前記第3形状は、第2の複数辺を備え、
前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれは、前記遮光領域の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれと対応して配置され、
前記遮光領域の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれは、前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれと、前記透過領域の間にある、
車両制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載の車両制御方法であって、
前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺と、前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺とは、水平方向に沿って配置された、
車両制御方法。
【請求項9】
請求項5に記載の車両制御方法であって、
前記第2表示領域の前記第2形状は、第1の四角形であり、
前記遮光領域の前記第3形状は、第2の四角形である、
車両制御方法。
【請求項10】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記車両は、制御部を備え、
制御部が、
前記第1表示領域内に、前記第2形状の前記第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域と、前記遮光領域以外であって、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域を備え、前記遮光領域の少なくとも一部が前記第2表示領域と重なる設定をする、
車両制御方法。
【請求項11】
車体に連結された第1車輪と、
前記車体に連結された第2車輪と、
前記車体に連結された第3車輪と、
前記車体に連結された第4車輪と、を少なくとも備え、
前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪、及び前記第4車輪を使って、所定の向きに走行可能な車両に搭載されるように設定された表示装置であって、
前記車体は、
前記所定の向きに沿って配置された床面部と天井面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って左側面に配置された左側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って右側面に配置された右側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて前部に配置された前面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて後部に配置された後面部と、
前記床面部において、前記後面部より前記前面部側に配置された少なくとも一つの前席と、
前記床面部において、前記前面部より前記後面部側に配置された少なくとも一つの後席と、
前記後席と前記前席の間に配置され、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域を有する透明ディスプレイと、を備え、
前記透明ディスプレイが、少なくとも前記第1表示領域に対応するとともに、少なくとも前席側に配置され、光透過率が可変である可変光透過率シートを備え、
前記第1表示領域内に、第2形状の第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、第1光透過率である第3形状の遮光領域と、前記遮光領域以外であって、前記第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域を備え、前記遮光領域の少なくとも一部が前記第2表示領域と重なる設定をする、
表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示装置であって、
前記車両の前記前面部は、前記前席より前記所定の向きに車外を視認できるガラスを備える、
表示装置。
【請求項13】
請求項11に記載の表示装置であって、
前記透明ディスプレイは、少なくとも自発光ディスプレイを備え、
前記可変光透過率シートは、少なくとも液晶シャッターを備える、
表示装置。
【請求項14】
請求項11に記載の表示装置であって、
前記第1表示領域内に、前記第2形状の前記第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域と、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域を備え、前記第2表示領域の全体は前記遮光領域と重なる設定をする、
表示装置。
【請求項15】
請求項14に記載の表示装置であって、
前記第2表示領域の前記第2形状は、少なくとも第1辺を備え
前記遮光領域の前記第3形状は、少なくとも第2辺を備え、
前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺は、前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺と対応して配置され、
前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺と、前記透過領域の間にある、
表示装置。
【請求項16】
請求項15に記載の表示装置であって、
前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺と所定の距離離れている、
表示装置。
【請求項17】
請求項14に記載の表示装置であって、
前記第2表示領域の前記第2形状は、第1の複数辺を備え、
前記遮光領域の前記第3形状は、第2の複数辺を備え、
前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれは、前記遮光領域の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれと対応して配置され、
前記遮光領域の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれは、前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれと、前記透過領域の間にある、
表示装置。
【請求項18】
請求項15に記載の表示装置であって、
前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺と、前記遮光領域の前記第3形状の前記第2辺とは、水平方向に沿って配置された、
表示装置。
【請求項19】
請求項15に記載の表示装置であって、
前記第2表示領域の前記第2形状は、第1の四角形であり、
前記遮光領域の前記第3形状は、第2の四角形である、
表示装置。
【請求項20】
請求項11に記載の表示装置であって、
前記車両は、制御部を備え、
制御部が、
前記第1表示領域内に、前記第2形状の前記第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域と、前記遮光領域以外であって、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域を備え、前記遮光領域の少なくとも一部が前記第2表示領域と重なる設定をする、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御方法、及び、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用のヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display(HUD))装置が開示されており、HUD装置は、透明EL表示器と、透明EL表示器の背面側に配置された透過率を調整可能な調光板とを備え、制御ICは調光板の透過率やELの輝度を制御する構成を採る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-271830号公報
【特許文献2】特開2010-160309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような透明な表示器を、ダッシュボードではなく、運転者よりも後方の位置に設置した場合、透明な表示器に表示された画像の光が背面側から漏出して、運転者の運転に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、透明な表示器に表示された画像の光が運転者の運転に影響を及ぼすことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、
車体に連結された第1車輪と、
前記車体に連結された第2車輪と、
前記車体に連結された第3車輪と、
前記車体に連結された第4車輪と、を少なくとも備え、
前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪、及び前記第4車輪を使って、所定の向きに走行可能な車両であって、
前記車体は、
前記所定の向きに沿って配置された床面部と天井面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って左側面に配置された左側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って右側面に配置された右側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて前部に配置された前面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて後部に配置された後面部と、
前記床面部において、前記後面部より前記前面部側に配置された少なくとも一つの前席と、
前記床面部において、前記前面部より前記後面部側に配置された少なくとも一つの後席と、
前記後席と前記前席の間に配置され、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域を有する透明ディスプレイと、を備え、
前記透明ディスプレイが、少なくとも前記第1表示領域に対応するとともに、少なくとも前席側に配置され、光透過率が可変である可変光透過率シートを備える、
前記車両における車両制御方法であって、
前記第1表示領域内に、第2形状の第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、第1光透過率である第3形状の遮光領域と、前記遮光領域以外であって、前記第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域を備え、前記遮光領域の少なくとも一部が前記第2表示領域と重なる設定をする、
車両制御方法を提供する。
【0007】
本開示の一態様は、
車体に連結された第1車輪と、
前記車体に連結された第2車輪と、
前記車体に連結された第3車輪と、
前記車体に連結された第4車輪と、を少なくとも備え、
前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪、及び前記第4車輪を使って、所定の向きに走行可能な車両に搭載されるように設定された表示装置であって、
前記車体は、
前記所定の向きに沿って配置された床面部と天井面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って左側面に配置された左側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ前記所定の向きに沿って右側面に配置された右側面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて前部に配置された前面部と、
前記床面部と前記天井面部を繋ぎ、前記所定の向きについて後部に配置された後面部と、
前記床面部において、前記後面部より前記前面部側に配置された少なくとも一つの前席と、
前記床面部において、前記前面部より前記後面部側に配置された少なくとも一つの後席と、
前記後席と前記前席の間に配置され、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域を有する透明ディスプレイと、を備え、
前記透明ディスプレイが、少なくとも前記第1表示領域に対応するとともに、少なくとも前席側に配置され、光透過率が可変である可変光透過率シートを備え、
前記第1表示領域内に、第2形状の第2表示領域を備える映像を出力する場合、
前記可変光透過率シートにおいて、第1光透過率である第3形状の遮光領域と、前記遮光領域以外であって、前記第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域を備え、前記遮光領域の少なくとも一部が前記第2表示領域と重なる設定をする、
表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、透明な表示器に表示された画像の光が運転者の運転に影響を及ぼすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る車両の構成例を示し、上から車内を透視した平面図
図2】実施の形態1に係る車両の構成例を示し、横から車内を透視した側面図
図3A】従来の透明ディスプレイに映像を表示した場合の第1例を示す図
図3B】従来の透明ディスプレイに映像を表示した場合の第2例を示す図
図4】実施の形態1に係る表示装置の構成例を示す正面図
図5】実施の形態1に係る表示装置の構成例を示す側面図
図6】実施の形態1に係る表示装置の側面図であり、額縁距離の決定方法の一例を説明するための図
図7】実施の形態1に係る表示装置の正面図であり、遮光額縁の光透過率をグラデーションにする場合を説明するための図
図8】実施の形態1に係る車両が備える装置の一例を示すブロック図
図9】実施の形態1に係る車両及び表示装置の制御方法の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(実施の形態1)
<車両の構成>
図1は、実施の形態1に係る車両1の構成例を示し、上から車内を透視した平面図である。図2は、実施の形態1に係る車両1の構成例を示し、横から車内を透視した側面図である。次に、図1及び図2を参照して、車両1の構成について説明する。
【0012】
なお、説明の便宜上、図1及び図2に示すように、車両1の全長方向をY軸とし、車両1の幅方向をX軸とし、車両1の高さ方向をZ軸とする。また、説明の便宜上、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」、Y軸の正方向を「前」、Y軸の負方向を「後」、X軸の正方向を「右」、X軸の負方向を「左」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0013】
車両1は、車体2に連結された、第1車輪3Aと第2車輪3Bと第3車輪3Cと第4車輪3Dとを少なくとも備える。車両1は、第1車輪3A、第2車輪3B、第3車輪3C、及び第4車輪3Dを使って、所定の向き(例えばY軸の向き)に走行可能である。ただし、車両1は、4つの車輪を備える構成に限らず、2つ又は3つの車輪、あるいは、5つ以上の車輪を備える構成であってもよい。また、車両1は、自家用車、商用車、タクシー、トラック、又は、バス等であってもよい。
【0014】
車体2は、所定の向きに沿って配置された床面部11と天井面部12とを備える。
【0015】
車体2は、床面部11と天井面部12を繋ぎ所定の向きに沿って左側面に配置された左側面部13と、床面部11と天井面部12を繋ぎ所定の向きに沿って右側面に配置された右側面部14とを備える。
【0016】
車体2は、床面部11と天井面部12を繋ぎ所定の向きについて前部15に配置された前面部16と、床面部11と天井面部12を繋ぎ所定の向きについて後部17に配置された後面部18とを備える。
【0017】
車体2は、床面部11において、後面部18より前面部16側に配置された少なくとも一つの前席21と、床面部11において、前面部16より後面部18側に配置された少なくとも一つの後席22とを備える。
【0018】
車両1の前面部16は、前席21より所定の向きに車外を視認できるガラスのフロントウィンドウ4を備える。
【0019】
車体2は、後席22と前席21の間に配置された表示装置100を備える。後席22の乗員は、表示装置100に表示された映像200を見ることができる。映像200は、静止画又は動画のいずれであってもよい。なお、表示装置100は、後席22と前席21の間とは異なる位置に配置されてもよい。例えば、表示装置100は、左側面部13又は右側面部14に沿って配置されてよい。例えば、表示装置100は、2つの後席22の間に配置されてもよい。例えば、車両1が3列シートを備える場合、表示装置100は、2列目の後席22と、3列目の後席(図示しない)との間に配置されてもよい。表示装置100の詳細については後述する。
【0020】
次に、図3A及び図3Bを参照して、後席22と前席21の間に配置された表示装置が透明ディスプレイであり、当該透明ディスプレイに映像を表示した場合の課題について説明する。図3Aは、従来の透明ディスプレイに映像200を表示した場合の第1例を示す図である。図3Bは、従来の透明ディスプレイに映像200を表示した場合の第2例を示す図である。
【0021】
透明ディスプレイは、自発光ディスプレイを備える。自発光ディスプレイの例として、有機Electro-Luminescence(EL)ディスプレイ、又は、Light Emitting Diode(LED)ディスプレイ等が挙げられる。
【0022】
透明ディスプレイに映像200を表示した場合、映像200の光が、後席22の方だけでなく、前席21の方にも照射される。前席21の方に照射された映像200の光は、図3A又は図3Bに示すように、フロントウィンドウ4に反射し、前席21の運転者の視界に到達する可能性がある。これは、運転者の運転に影響を及ぼす可能性があるため、防止されることが求められる。
【0023】
そこで、本実施の形態は、透明ディスプレイに表示された映像200の光が、運転者の運転に影響を及ぼすことを防止できる車両制御方法及び表示装置100を提供する。以下、詳細に説明する。
【0024】
<表示装置>
図4は、実施の形態1に係る表示装置100の構成例を示す正面図である。図5は、実施の形態1に係る表示装置100の構成例を示す側面図である。図5(a)は、遮光領域130を設定しない場合の例を示す。図5(b)は、第2表示領域120と重複する遮光領域130を設定した場合の例を示す。図5(c)は、第2表示領域120よりも大きい遮光領域130を設定した場合の例を示す。
【0025】
図5に示すように、表示装置100は、後席22から前席21の方向に(Y軸の正方向に)、第1保護カバー101と、透明ディスプレイ102と、可変光透過率シート103と、第2保護カバー104とを順に備える。つまり、透明ディスプレイ102は後席22側に配置され、可変光透過率シート103は前席21側に配置される。以下、透明ディスプレイ102の後席22側の面を表面、前席21側の面を裏面と称する場合がある。
【0026】
第1保護カバー101及び第2保護カバー104は、例えばガラス等の透明な部材で構成される。
【0027】
透明ディスプレイ102は、自発光ディスプレイを備えてよい。自発光ディスプレイの例として、有機ELディスプレイ、又は、LEDディスプレイ等が挙げられる。
【0028】
透明ディスプレイは、図4に示すように、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域110を有する。第1形状は四角形であってよい。ただし、第1形状は四角形に限られず、どのような形状であってもよい。可変光透過率シート103は、第1表示領域110に対応するように備えられる。
【0029】
可変光透過率シート103は、少なくとも液晶シャッターを備え、任意の領域の液晶シャッターの開閉を調節することにより、任意の領域の光透過率を変化させることができる。
【0030】
可変光透過率シート103には、第1光透過率である第3形状の遮光領域130と、第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域140とが設定されてよい。つまり、遮光領域130は光をあまり透過させず、透過領域140は光を十分に透過させる。例えば、第1光透過率は10%以下であり、第2光透過率は50%以上であってよい。
【0031】
透明ディスプレイ102の第1表示領域110内には、第2形状の第2表示領域120を備える映像200が出力されてよい。この場合、可変光透過率シート103は、図5(b)に示すように、遮光領域130が第2表示領域120と重なるように設定されてもよい。あるいは、可変光透過率シート103は、図4及び図5(c)に示すように、遮光領域130の一部が第2表示領域120と重なるように(つまり遮光領域130が第2表示領域120よりも大きくなるように)設定されてもよい。
【0032】
以下、透明ディスプレイ102を表面から見た場合に、第2表示領域120と重ならない遮光領域130の部分(つまり第2表示領域120からはみ出している遮光領域130の部分)を、遮光額縁135と称する場合がある。
【0033】
このように遮光額縁135を設定することにより、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、図5(b)、図5(c)に示すように、第2表示領域120に出力された映像200の光(以下、映像光201と称する)のうち、裏面から(つまりY方向に)出力される映像光201は、遮光領域130によって遮光される。さらに、図5(c)に示すように、第2表示領域120に出力された映像200の光(以下、映像光201と称する)のうち、第1保護カバー101に反射した光(以下、映像反射光202と称する)が、遮光額縁135によって遮光される。よって、映像反射光202が、フロントウィンドウ4に反射して前席21の運転者の視界に入り、運転に影響を及ぼしてしまうことを、防止できる。
【0034】
加えて、透明ディスプレイ102に透過領域140を設定することにより、後席22の乗員は、透過領域140越しに車外を見ることができる。これにより、後席22の乗員は、視界の解放感を得られると共に、車酔いが抑制され得る。
【0035】
次に、第2表示領域120及び遮光領域130についてより詳細に説明する。
【0036】
図4に示すように、第2表示領域120の第2形状は、例えば四角形であり、4つの辺121A、121B、121C、121Dを備える。辺121A、121Cは、水平方向に沿って配置され、辺121B、121Dは、垂直方向に沿って配置されてよい。ただし、第2形状は四角形に限られず、どのような形状であってもよい。
【0037】
遮光領域130の第3形状は、例えば四角形であり、4つの辺131A、131B、131C、131Dを備える。辺131A、131Cは、水平方向に沿って配置され、辺131B、131Dは、垂直方向に沿って配置されてよい。ただし、第3形状は四角形に限られず、どのような形状であってもよい。
【0038】
第2表示領域120の第2形状の辺121A、121B、121C、121Dは、それぞれ、遮光領域130の第3形状の辺131A、131B、131C、131Dと対応して配置される。そして、遮光領域130の第3形状の辺131A、131B、131C、131Dは、それぞれ、第2表示領域120の第2形状の辺121A、121B、121C、121Dと透過領域140との間に位置してよい。
【0039】
遮光領域130の第3形状の辺131Aは、第2表示領域120の第2形状の辺121Aと所定の額縁距離132Aだけ離れてよい。遮光領域130の第3形状の辺131Bは、第2表示領域120の第2形状の辺121Bと所定の額縁距離132Bだけ離れてよい。遮光領域130の第3形状の辺131Cは、第2表示領域120の第2形状の辺121Cと所定の額縁距離132Cだけ離れてよい。遮光領域130の第3形状の辺131Dは、第2表示領域120の第2形状の辺121Dと所定の額縁距離132Dだけ離れてよい。
【0040】
額縁距離132Aと額縁距離132Bと額縁距離132Cと額縁距離132Dとは、少なくとも2つが共通の値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。
【0041】
また、額縁距離132Aと額縁距離132Bと額縁距離132Cと額縁距離132Dとのうちの少なくとも1つはゼロであってもよい。例えば、額縁距離132Aと額縁距離132Bと額縁距離132Cと額縁距離132Dとをいずれもゼロとした場合、図5(b)に示すように、第2表示領域120と遮光領域130とは重なるように設定される。
【0042】
図6は、実施の形態1に係る表示装置100の側面図であり、額縁距離132Aの決定方法の一例を説明するための図である。なお、額縁距離132B、132C、132Dにもこの説明は適用される。
【0043】
透明ディスプレイ102の厚みをTo、第1保護カバー101の厚みをTcとする。第2表示領域120の辺121Aから見て、第2表示領域120の映像200から出力された映像光201の映像反射光202が到達することを回避したい対象(以下、回避対象と称する)との角度をθとする。回避対象の例として、フロントウィンドウ4が挙げられる。上述したように、フロントウィンドウ4に映像反射光202が到達すると、その映像反射光202がフロントウィンドウ4に反射して、運転者の視界に入る可能性があるためである。ただし、回避対象は、フロントウィンドウ4に限られず、フロントドアウィンドウ、又は、ルームミラー等であってもよい。
【0044】
この場合、額縁距離132Aは、以下の式1のように決定されてよい。
【0045】
額縁距離132A≧(2Tc+To)×tanθ ・・・(式1)
【0046】
これにより、映像反射光202は、額縁距離132Aの遮光額縁135に遮光されるので、回避対象に到達しない。よって、映像反射光202が、運転者の視界に入ることを防止できる。
【0047】
なお、角度θの大きい映像反射光202ほど光量は小さくなるので、θの最小値は、運転に影響を及ぼさないくらい十分に映像反射光202の光量が小さくなる場合の値であってよい。
【0048】
図7は、実施の形態1に係る表示装置100の正面図であり、左右の遮光額縁135の光透過率をグラデーションにする場合を説明するための図である。
【0049】
遮光額縁135の光透過率は、一定である必要はなく、例えば図7に示すように、左右の遮光額縁135(つまり額縁距離132Bと額縁距離132Dに対応する遮光額縁135)は、下方に向かうにつれて光透過率が高くなるように設定されてよい。
【0050】
このように、遮光額縁135の少なくとも一部の光透過率をグラデーションにすることにより、遮光領域130によって後席22の乗員の視界の解放感が損なわれてしまうことを、抑制できる。
【0051】
さらに、図7に示すように、第2表示領域120の下方には遮光額縁135が設定されなくてもよい。つまり、額縁距離132Cはゼロに設定されてもよい。第2表示領域120の辺121C付近から出力した映像光201の映像反射光202は、第2表示領域120の位置によっては、前席21等に遮られ、回避対象に到達しない場合があるためである。
【0052】
このように、第2表示領域120の辺121A、121B、121C、121Dの少なくとも1つに対して遮光額縁135を設定しないことにより、遮光領域130によって後席22の乗員の視界の解放感が損なわれてしまうことを、抑制できる。
【0053】
<システム構成>
図8は、実施の形態1に係る車両が備える装置の一例を示すブロック図である。
【0054】
図8に示すように、車両1は、IVI装置301、周辺光センサ302、前照灯スイッチ303、灯火制御装置304、映像制御装置305、遮光制御装置306、及び、表示装置100を備える。表示装置100は、上述したように、少なくとも、透明ディスプレイ102、及び、可変光透過率シート103を備える。
【0055】
IVI装置301、周辺光センサ302、前照灯スイッチ303、灯火制御装置304、映像制御装置305、遮光制御装置306は、車載ネットワーク307を介して、互いに情報を送受信できる。車載ネットワーク307の例として、Controller Area Network(CAN)、Local Interconnect Network(LIN)、及び、FlexRay等が挙げられる。
【0056】
IVI装置301は、車両1に関する情報の提供と、娯楽の提供とを実現する装置である。IVIは、In-Vehicle Infotainmentの略である。例えば、IVI装置301は、経路案内及び/又は道路交通情報の表示等を行う。例えば、IVI装置301は、カーオーディオ、車載DVD、TVチューナ、ラジオ、VOD等の音楽及び映像の出力を行う。IVI装置301は、制御部、又は、Electronic Control Unit(ECU)と読み替えられてもよい。また、IVI装置301は、プロセッサ及びメモリを備えてもよい。
【0057】
周辺光センサ302は、車両1の周辺の明るさを検出するセンサである。
【0058】
灯火制御装置304は、車両1が搭載する前照灯8の点灯及び消灯を制御する装置である。例えば、灯火制御装置304は、周辺光センサ302の検出結果から、車両1の周辺が比較的暗いと判定した場合(例えば検出された光量が所定の閾値未満であると判定した場合)、前照灯8を点灯する制御を行い、車両1の周辺が比較的明るいと判定した場合(例えば検出された光量が所定の閾値以上であると判定した場合)、前照灯8を消灯する制御を行う。これにより、前照灯8は、車両1の周辺に明るさに応じて自動的に点灯及び消灯する。
【0059】
前照灯スイッチ303は、前照灯8を点灯及び消灯させるためのスイッチである。運転者は、前照灯スイッチ303を操作して、前照灯8を点灯又は消灯させることができる。
【0060】
映像制御装置305は、上述したように、透明ディスプレイ102の第2表示領域120に第2形状の映像200を表示させる。映像200は、静止画又は動画のいずれであってもよい。映像200のソースは、IVI装置301から提供されてもよい。
【0061】
遮光制御装置306は、可変光透過率シート103の任意の領域を任意の光透過率に制御する。例えば、遮光制御装置306は、可変光透過率シート103に対して、上述したように、第2表示領域120に重なるように又は第2表示領域120からはみ出るように、第1光透過率で第3形状の遮光領域130を設定する。
【0062】
なお、映像制御装置305及び遮光制御装置306の上記制御は、IVI装置301からの指示によって実行されてよい。
【0063】
<フローチャート>
図9は、実施の形態1に係る車両1及び表示装置100の制御方法の一例を示すフローチャートである。次に、図9を参照して、車両1及び上述した表示装置100の制御方法について説明する。
【0064】
IVI装置301は、透明ディスプレイ102に映像200を出力するか否かを判定する(S101)。例えば、後席22の乗員が映像200の表示を指示した場合、あるいは、後席22の乗員に知らせたい情報が発生した場合、IVI装置301は、透明ディスプレイ102に映像200を出力すると判定する。
【0065】
透明ディスプレイ102に映像200を出力しないと判定した場合(S101:NO)、処理はステップS101に戻る。
【0066】
透明ディスプレイ102に映像200を出力すると判定した場合(S101:YES)、IVI装置301は、透明ディスプレイ102に対する第2表示領域120の位置及びサイズを決定する(S102)。第2表示領域120の位置及びサイズは、乗員が着座している後席22の位置、及び/又は、映像200の第2形状のサイズ等に基づいて決定されてよい。
【0067】
IVI装置301は、表示する映像200が前席21の運転者に対して遮光が必要であるか否かを判定する(S103)。例えば、表示する映像200が後席22の乗員に向けて文字情報を一時的に表示するものである場合、IVI装置301は、前席21の運転者に対して遮光が必要でないと判定してよい。一時的な文字情報の表示による映像反射光202は、運転者に対してまぶしくて運転しにくいと感じさせる可能性が低いためである。例えば、表示する映像200が後席22の乗員が鑑賞するための動画像である場合、IVI装置301は、前席21の運転者に対して遮光が必要であると判定してよい。動画像の表示による映像反射光202は、運転者に対してまぶしくて運転しにくいと感じさせる可能性が高いためである。なお、ステップS103の判定処理は省略され、処理はステップS104に進んでもよい。
【0068】
表示する映像200が前席21の運転者に対して遮光が必要でないと判定した場合(S103:NO)、IVI装置301は、処理を後述するステップS108に進める。
【0069】
表示する映像200が前席21の運転者に対して遮光が必要であると判定した場合(S103:YES)、IVI装置301は、処理を次のステップS104に進める。
【0070】
IVI装置301は、車両1の周辺が遮光額縁135の付加が必要な暗さであるか否かを判定する(S104)。例えば、周辺光センサ302の検出結果から灯火制御装置304が前照灯8を点灯すると判定した暗さである場合、あるいは、運転者によって前照灯スイッチ303がオンに操作された場合、IVI装置301は、車両1の周辺が遮光額縁135の付加が必要な暗さであると判定してよい。車両1の周辺が比較的暗い場合、映像反射光202は、運転者に対してまぶしくて運転しにくいと感じさせる可能性が高いためである。例えば、周辺光センサ302の検出結果から灯火制御装置304が前照灯8を消灯すると判定した明るさである場合、あるいは、運転者によって前照灯スイッチ303がオフに操作された場合、IVI装置301は、車両1の周辺が遮光額縁135の付加が不要な明るさであると判定してよい。車両1の周辺が比較的明るい場合、映像反射光202は、運転者に対してまぶしくて運転しにくいと感じさせる可能性が低いためである。なお、ステップS104の判定処理は省略され、処理はステップS105に進んでもよい。
【0071】
車両1の周辺が遮光額縁135の付加が必要な暗さであると判定した場合(S104:YES)、IVI装置301は、第2表示領域120の周りに遮光額縁135が付加されるように遮光領域130の位置及びサイズを決定する(S105)。そして、処理はステップS107に進む。
【0072】
車両1の周辺が遮光額縁135の付加が不要な明るさであると判定した場合(S104:NO)、IVI装置301は、第2表示領域120に重なるように遮光領域130の位置及びサイズを決定する(S106)。そして、処理はステップS107に進む。
【0073】
IVI装置301は、ステップS105又はS106にて決定した遮光領域130を可変光透過率シート103に設定するよう、遮光制御装置306に指示する(S107)。遮光制御装置306は、この指示を受けて、可変光透過率シート103に遮光領域130を設定する。
【0074】
IVI装置301は、ステップS102にて決定した第2表示領域120に映像200を出力するよう、映像制御装置305に指示する(S108)。映像制御装置305は、この指示を受けて、透明ディスプレイ102の第2表示領域に映像200を出力する。
【0075】
IVI装置301は、透明ディスプレイ102への映像200の出力を継続するか否かを判定する(S109)。例えば、IVI装置301は、後席22の乗員から映像200の再生終了指示を受けた場合、あるいは、映像200の再生が完了した場合、映像200の出力を継続しないと判定する。例えば、IVI装置301は、映像200の再生が完了していない場合、映像200の出力を継続すると判定する。
【0076】
映像200の出力を継続すると判定した場合(S109:YES)、IVI装置301は、処理をステップS102に戻す。これを繰り返し、ステップS108で第2表示領域120に映像200を出力するよう、映像制御装置305に指示することで、映像200の再生は継続される。
【0077】
映像200の出力を継続しないと判定した場合(S109:NO)、IVI装置301は、映像200の出力の終了を映像制御装置305に指示し、遮光領域130の設定終了を遮光制御装置306に指示する(S110)。映像制御装置305は、この指示を受けて、透明ディスプレイ102における第2表示領域120の映像200の出力を終了する。遮光制御装置306は、この指示を受けて、可変光透過率シート103の遮光領域130の設定を終了する。すなわち、遮光制御装置306は、可変光透過率シート103の遮光領域130であった部分を透過領域140に設定する。そして、本処理は終了する。
【0078】
以上の処理では、透明ディスプレイ102に表示する映像200の特徴に基づいて、遮光額縁135を設定するか否かを判定している。これにより、常に遮光額縁135を設定する場合と比較して、透過領域140が設定される範囲が広くなり、透過領域140が設定される期間が長くなるので、遮光領域130によって後席22の乗員の視界の解放感が損なわれてしまうことを、抑制できる。
【0079】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態1の記載により、下記の技術が開示される。
【0080】
<技術1>
車両1は、車体2に連結された第1車輪3Aと、前記車体2に連結された第2車輪3Bと、前記車体2に連結された第3車輪3Cと、前記車体2に連結された第4車輪3Dと、を少なくとも備え、前記第1車輪3A、前記第2車輪3B、前記第3車輪3C、及び前記第4車輪3Dを使って、所定の向きに走行可能である。
前記車体2は、前記所定の向きに沿って配置された床面部11と天井面部12と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ前記所定の向きに沿って左側面に配置された左側面部13と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ前記所定の向きに沿って右側面に配置された右側面部14と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ、前記所定の向きについて前部15に配置された前面部16と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ、前記所定の向きについて後部17に配置された後面部18と、前記床面部11において、前記後面部18より前記前面部16側に配置された少なくとも一つの前席21と、前記床面部11において、前記前面部16より前記後面部18側に配置された少なくとも一つの後席22と、前記後席22と前記前席21の間に配置され、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域110を有する透明ディスプレイ102と、を備える。
前記透明ディスプレイ102が、少なくとも前記第1表示領域110に対応するとともに、少なくとも前席21側に配置され、光透過率が可変である可変光透過率シート103を備える。
前記車両1における車両制御方法は、前記第1表示領域110内に、第2形状の第2表示領域120を備える映像200を出力する場合、前記可変光透過率シート103において、第1光透過率である第3形状の遮光領域130と、前記遮光領域130以外であって、前記第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域140を備え、前記遮光領域130の少なくとも一部が前記第2表示領域120と重なる設定をする。
これにより、第2表示領域120の映像200の光は遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0081】
<技術2>
技術1に記載の車両制御方法において、前記車両1の前記前面部16は、前記前席21より前記所定の向きに車外を視認できるガラス(例えばフロントウィンドウ4)を備える。
技術1と技術2によれば、第2表示領域120の映像200の光が例えばフロントウィンドウ4に反射して運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0082】
<技術3>
技術1又は技術2に記載の車両制御方法において、前記透明ディスプレイ102は、少なくとも自発光ディスプレイを備え、前記可変光透過率シート103は、少なくとも液晶シャッターを備える。
この場合、自発光により透明ディスプレイ102に映像200が表示され、液晶シャッターの開閉を制御することにより、遮光領域130の設定が実現される。
【0083】
<技術4>
技術1から技術3のいずれか1項に記載の車両制御方法において、前記第1表示領域110内に、前記第2形状の前記第2表示領域120を備える映像200を出力する場合、前記可変光透過率シート103において、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域130と、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域140を備え、前記第2表示領域120の全体は前記遮光領域130と重なる設定をする。
これにより、第2表示領域120の映像200の光は遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。加えて、透過領域140を備えることにより、後席22の乗員の視界の解放感を得ることができる。
【0084】
<技術5>
技術1から技術4のいずれか1項に記載の車両制御方法において、前記第2表示領域120の前記第2形状は、少なくとも第1辺(例えば辺121A、121B、121C、121D)を備え、前記遮光領域130の前記第3形状は、少なくとも第2辺(例えば辺131A、131B、131C、131D)を備え、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1辺は、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺と対応して配置され、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1辺と、前記透過領域140の間にある。
これにより、第2表示領域120から少なくとも一部がはみ出した遮光領域130が設定され、第2表示領域120の映像200の光は当該遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0085】
<技術6>
技術5に記載の車両制御方法において、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1辺と所定の距離(例えば額縁距離132A、132B、132C、132D)離れている。
これにより、第2表示領域120よりも大きい遮光領域130が設定され、第2表示領域120の映像200の光は当該遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0086】
<技術7>
技術1から技術6のいずれか1項に記載の車両制御方法において、前記第2表示領域120の前記第2形状は、第1の複数辺(例えば辺121A、121B、121C、121D)を備え、前記遮光領域130の前記第3形状は、第2の複数辺(例えば辺131A、131B、131C、131D)を備え、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれは、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれと対応して配置され、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれは、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれと、前記透過領域140の間にある。
これにより、第2表示領域120よりも大きい遮光領域130が設定され、第2表示領域120の映像200の光は当該遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0087】
<技術8>
技術5から技術7のいずれか1項に記載の車両制御方法において、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1辺と、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺とは、水平方向に沿って配置される。
この場合、第2表示領域120の第2形状の第1辺と、遮光領域130の第3形状の第2辺とは水平方向となる。
【0088】
<技術9>
技術5から技術8のいずれか1項に記載の車両制御方法において、前記第2表示領域120の前記第2形状は、第1の四角形であり、前記遮光領域130の前記第3形状は、第2の四角形である。
この場合、第2表示領域120の第2形状と、遮光領域130の第3形状とは、四角形となる。
【0089】
<技術10>
技術1から技術9のいずれか1項に記載の車両制御方法において、前記車両1は、制御部(例えばIVI装置301)を備え、制御部が、前記第1表示領域110内に、前記第2形状の前記第2表示領域120を備える映像200を出力する場合、前記可変光透過率シート103において、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域130と、前記遮光領域130以外であって、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域140を備え、前記遮光領域130の少なくとも一部が前記第2表示領域120と重なる設定をする。
これにより、第2表示領域120の映像200の光は遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0090】
<技術11>
表示装置100は、車体2に連結された第1車輪3Aと、前記車体2に連結された第2車輪3Bと、前記車体2に連結された第3車輪3Cと、前記車体2に連結された第4車輪3Dと、を少なくとも備え、前記第1車輪3A、前記第2車輪3B、前記第3車輪3C、及び前記第4車輪3Dを使って、所定の向きに走行可能な車両1に搭載されるように設定される。
前記車体2は、前記所定の向きに沿って配置された床面部11と天井面部12と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ前記所定の向きに沿って左側面に配置された左側面部13と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ前記所定の向きに沿って右側面に配置された右側面部14と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ、前記所定の向きについて前部15に配置された前面部16と、前記床面部11と前記天井面部12を繋ぎ、前記所定の向きについて後部17に配置された後面部18と、前記床面部11において、前記後面部18より前記前面部16側に配置された少なくとも一つの前席21と、前記床面部11において、前記前面部16より前記後面部18側に配置された少なくとも一つの後席22と、前記後席22と前記前席21の間に配置され、第1形状の映像が出力可能な第1表示領域110を有する透明ディスプレイ102を含む表示装置100とを備える。前記透明ディスプレイ102は、少なくとも前記第1表示領域110に対応するとともに、少なくとも前席21側に配置され、光透過率が可変である可変光透過率シート103を備える。
表示装置100は、前記第1表示領域110内に、第2形状の第2表示領域120を備える映像200を出力する場合、前記可変光透過率シート103において、第1光透過率である第3形状の遮光領域130と、前記遮光領域130以外であって、前記第1光透過率より大きい第2光透過率の第4形状の透過領域140を備え、前記遮光領域130の少なくとも一部が前記第2表示領域120と重なる設定をする。
これにより、第2表示領域120の映像200の光は遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0091】
<技術12>
技術11に記載の表示装置100において、前記車両1の前記前面部16は、前記前席21より前記所定の向きに車外を視認できるガラス(例えばフロントウィンドウ4)を備える。
技術11と技術12によれば、第2表示領域120の映像200の光が例えばフロントウィンドウ4に反射して運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0092】
<技術13>
技術11又は技術12に記載の表示装置100において、前記透明ディスプレイ102は、少なくとも自発光ディスプレイを備え、前記可変光透過率シート103は、少なくとも液晶シャッターを備える。
この場合、自発光により透明ディスプレイ102に映像200が表示され、液晶シャッターの開閉を制御することにより、遮光領域130の設定が実現される。
【0093】
<技術14>
技術11から技術13のいずれか1項に記載の表示装置100において、前記第1表示領域110内に、前記第2形状の前記第2表示領域120を備える映像200を出力する場合、前記可変光透過率シート103において、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域130と、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域140を備え、前記第2表示領域120の全体は前記遮光領域130と重なる設定をする。
これにより、第2表示領域120の映像200の光は遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。加えて、透過領域140を備えることにより、後席22の乗員の視界の解放感を得ることができる。
【0094】
<技術15>
技術1から技術14のいずれか1項に記載の表示装置100において、前記第2表示領域120の前記第2形状は、少なくとも第1辺(例えば辺121A、121B、121C、121D)を備え、前記遮光領域130の前記第3形状は、少なくとも第2辺(例えば辺131A、131B、131C、131D)を備え、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1辺は、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺と対応して配置され、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域の前記第2形状の前記第1辺と、前記透過領域140の間にある。
これにより、第2表示領域120から少なくとも一部がはみ出した遮光領域130が設定され、第2表示領域120の映像200の光は当該遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0095】
<技術16>
技術15に記載の表示装置100において、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺は、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1辺と所定の距離(例えば額縁距離132A、132B、132C、132D)離れている。
これにより、第2表示領域120よりも大きい遮光領域130が設定され、第2表示領域120の映像200の光は当該遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0096】
<技術17>
技術11から技術14のいずれか1項に記載の表示装置100において、前記第2表示領域120の前記第2形状は、第1の複数辺(例えば辺121A、121B、121C、121D)を備え、前記遮光領域130の前記第3形状は、第2の複数辺(例えば辺131A、131B、131C、131D)を備え、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれは、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれと対応して配置され、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2の複数辺のそれぞれは、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1の複数辺のそれぞれと、前記透過領域140の間にある。
これにより、第2表示領域120よりも大きい遮光領域130が設定され、第2表示領域120の映像200の光は当該遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0097】
<技術18>
技術15から技術17のいずれか1項に記載の表示装置100において、前記第2表示領域120の前記第2形状の前記第1辺と、前記遮光領域130の前記第3形状の前記第2辺とは、水平方向に沿って配置される。
この場合、第2表示領域120の第2形状の第1辺と、遮光領域130の第3形状の第2辺とは水平方向となる。
【0098】
<技術19>
技術15から技術18のいずれか1項に記載の表示装置100において、前記第2表示領域120の前記第2形状は、第1の四角形であり、前記遮光領域130の前記第3形状は、第2の四角形である。
この場合、第2表示領域120の第2形状と、遮光領域130の第3形状とは、四角形となる。
【0099】
<技術20>
技術11から技術19のいずれか1項に記載の表示装置100において、前記車両1は、制御部(例えばIVI装置301)を備え、制御部が、前記第1表示領域110内に、前記第2形状の前記第2表示領域120を備える映像200を出力する場合、前記可変光透過率シート103において、前記第1光透過率である前記第3形状の前記遮光領域130と、前記遮光領域130以外であって、前記第2光透過率の前記第4形状の前記透過領域140を備え、前記遮光領域130の少なくとも一部が前記第2表示領域120と重なる設定をする。
これにより、第2表示領域120の映像200の光は遮光領域130によって遮光されるので、映像200の光が運転者の視界に入って運転に影響を及ぼすことを、防止できる。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示の技術は、映像を表示可能な透明ディスプレイに対して利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 車両
2 車体
3A 第1車輪
3B 第2車輪
3C 第3車輪
3D 第4車輪
4 フロントウィンドウ
8 前照灯
11 床面部
12 天井面部
13 左側面部
14 右側面部
15 前部
16 前面部
17 後部
18 後面部
21 前席
22 後席
100 表示装置
101 第1保護カバー
102 透明ディスプレイ
103 可変光透過率シート
104 第2保護カバー
110 第1表示領域
120 第2表示領域
121A、121B、121C、121D 辺
130 遮光領域
131A、131B、131C、131D 辺
132A、132B、132C、132D 額縁距離
135 遮光額縁
140 透過領域
200 映像
201 映像光
202 映像反射光
301 IVI装置
302 周辺光センサ
303 前照灯スイッチ
304 灯火制御装置
305 映像制御装置
306 遮光制御装置
307 車載ネットワーク
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9