(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157903
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ロータ、モータおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
H02K 1/278 20220101AFI20241031BHJP
【FI】
H02K1/278
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072563
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 亨
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA02
5H622PP10
(57)【要約】
【課題】コギングトルクを減少する。
【解決手段】ロータは、周方向に配置された複数のマグネットと、複数の磁極片と、を備える。前記周方向において、前記複数のマグネットのうち、隣接する2つのマグネットに接触する前記磁極片がある。前記磁極片の前記周方向に延在する側面は、径方向に延在する凹部を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に配置された複数のマグネットと、
複数の磁極片と、
を備え、
前記周方向において、前記複数のマグネットのうち、隣接する2つのマグネットに接触する前記磁極片があり、
前記磁極片の前記周方向に延在する側面は、径方向に延在する凹部を備える、
ロータ。
【請求項2】
前記径方向における前記凹部の長さは、前記径方向における前記磁極片の長さに対して1/3以上である、
請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
環状部と、当該環状部に連結部を介して連結した前記磁極片と、を備える、
請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記径方向において、前記環状部と前記磁極片との間に、第2マグネットが配置されている、
請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記径方向において、前記第2マグネットは、前記磁極片の内面に接触している、
請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
請求項1または2に記載のロータと、
前記ロータに固定されたシャフトと、
コイルおよび当該コイルが巻き回された磁性体を有するステータと、
を備える、
モータ。
【請求項7】
請求項6に記載のモータと、
当該モータを収容する筐体と、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、モータおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ロータの中には、出力軸(シャフト)を中心として、複数の永久磁石(マグネット)を放射状に配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のロータには、コギングトルクの減少に関して、さらなる改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コギングトルクを減少することができるロータ等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るロータは、周方向に配置された複数のマグネットと、複数の磁極片と、を備え、前記周方向において、前記複数のマグネットのうち、隣接する2つのマグネットに接触する前記磁極片があり、前記磁極片の前記周方向に延在する側面は、径方向に延在する凹部を備える。
【0007】
本発明に係るロータ等の一態様によれば、コギングトルクを減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るロータを用いたモータの縦断面図であって、
図2における矢視D-Dの縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すロータコアに用いる第1磁性体の平面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示すロータコアに用いる第2磁性体の平面図である。
【
図6】
図6は、ロータの一部、および、ステータの一部を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6と同一の部分を示す断面図であって、各部の磁力線を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第1変形例に係るロータを用いたモータの横断面図である。
【
図9】
図9は、
図9に示すロータが備えるロータコアの斜視図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態の第2変形例に係るロータが備えるロータコアの斜視図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の第3変形例に係るロータが備えるロータコアの斜視図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態の第4変形例に係るロータが備えるロータコアの斜視図である。
【
図17】
図17は、第1実施形態の第5変形例に係るロータが備えるロータコアの斜視図である。
【
図18】
図18は、第1実施形態の第6変形例に係るロータが備えるロータコアの斜視図である。
【
図19】
図19は、第1実施形態の第7変形例に係るロータが備えるロータコアの斜視図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態に係るロータを用いたモータの横断面図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態に係るロータを用いたモータの平面図である。
【
図26】
図26は、第3実施形態の第1変形例に係るロータを用いたモータの一部の平面図である。
【
図27】
図27は、
図26と同一の部分を示す断面図であって、各部の磁力線を示す平面図である。
【
図28】
図28は、第3実施形態の第2変形例に係るロータを用いたモータの平面図である。
【
図30】
図30は、
図28に示すモータの一部示す平面図であって、各部の磁力線を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態に係るロータ、モータ、および、電子機器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るロータ6を用いたモータ1の縦断面図であって、
図2における矢視D-Dの縦断面図である。
図2は、
図1の矢視B-Bにおける横断面図である。なお、
図2において、後述するティース51bの両側に位置する×は、ティース51bに巻き回されてコイル53を形成する巻線を省略して示したものである。
【0011】
以下の第1実施形態に係るロータ6を用いたモータ1の説明において、方向の理解を容易にするため、後述するシャフト4が延びる方向を軸方向Aと呼び、後述するステータ5に対するロータ6の移動方向を周方向Cと呼び、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト4の軸心4oを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと呼ぶ。また、周方向Cにおける一方の方向(例えば、反時計回り方向)が、ロータ6およびシャフト4の回転方向C1であり、周方向Cにおける他方の方向(例えば、時計回り方向)が逆回転方向C2である。
【0012】
第1実施形態に係るモータ1は、例えば、アクチュエータまたは移動体等の電子機器100に用いられる。より具体的に説明すると、電気自動車等の移動体の駆動装置、または、空気調和機(エア・コンディショナー)のコンプレッサー等の家庭で用いられる電子機器100に用いられる。もちろん、モータ1は、他の電子機器100に用いられる。
【0013】
このモータ1は、例えば、後述するようにインナーロータ型であり、軸方向Aから視た場合、ロータ6を基準とすると、ロータ6の径方向Rの外側にステータ5が位置する一方、ロータ6の径方向Rの内側にシャフト4が位置する。そのため、本実施形態に係るモータ1では、径方向Rにおける外側をステータ側R1と呼び、径方向Rにおける内側をステータ5とは反対側R2と呼ぶ。また、
図1から
図2において、径方向Rにおけるステータ側をR1で示し、径方向Rにおけるステータ5とは反対側をR2で示す。なお、説明を容易にするため、
図1ではシャフト4を実線で示し、
図2ではシャフト4を仮想線で示し、他の図面においてシャフト4を省略してある。
【0014】
第1実施形態に係るモータ1は、例えば電源からの電気エネルギーを、シャフト4の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。本実施形態に係るモータ1は、スポーク型のIPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)である。IPMモータはロータコア60の内部にマグネット64を埋め込んだものであり、埋込マグネット型モータとも呼ばれる。本実施形態に係るモータ1は、
図2に示すように、軸方向Aに対して直交する断面において、長方形のマグネット64における長手方向を径方向Rに沿ってそれぞれ配置し、かつ、ロータコア60の内部に複数のマグネット64を放射状に配置した、いわゆるスポーク型IPMモータである。
【0015】
モータ1は、例えば、
図1に示すように、筐体2と、軸受3と、シャフト4と、ステータ5と、ロータ6と、を備える。
【0016】
筐体2は、例えば、ステータ5およびロータ6等のモータ1を構成する部品を内部の空間2sに収容する。つまり、筐体2は、モータ1を収容する。筐体2は、例えば、ケース21とカバー22とによって構成される。軸受3は、シャフト4を筐体2に対して回転可能に支持する。
【0017】
シャフト4は、いわゆる回転軸であって、例えば、金属部材で軸方向Aに沿って延在する円柱状に形成される。シャフト4は、軸心4oを有し、かつ、軸心4oを中心に回転可能に筐体2に対して設けられる。シャフト4は、周方向Cに回転することで動力を外部に伝達する。シャフト4はロータ6に固定され、ロータ6が周方向Cに回転した場合には、ロータ6と共に周方向Cに回転する。
【0018】
ステータ5は、ロータ6を周方向Cへ回転させるための力を発生させる部分である。ステータ5は、ステータコア51と、インシュレータ52と、コイル53と、を備える。
【0019】
ステータコア51は、例えば、珪素鋼板、電磁鋼板、軟磁性鋼板等の板状の金属部材を軸方向Aへ積層することによって形成され、磁性を有する。つまり、ステータコア51は、磁性体であり、ステータ5は、磁性体であるステータコア51を有する。また、本実施形態に係るステータコア51は、本体51aと、ティース51bと、を有する。本体51aは、軸方向Aから視た場合、環状に形成される。ティース51bは、本体51aの内周面から、径方向Rにおける反対側R2へ突出するように形成される。本実施形態に係るステータ5は、例えば、18個のティース51bを備える。
【0020】
インシュレータ52は、例えば、絶縁製の樹脂等により形成されてステータコア51の表面に装着される。インシュレータ52は、ステータコア51と、コイル53とを絶縁する。
【0021】
コイル53は、インシュレータ52を介してティース51bに例えば巻線を巻き回して形成される。巻線は、導電性の芯線(不図示)と、芯線の周囲を被覆する絶縁性の被覆部(不図示)と、を有する。本実施形態に係るステータ5は、例えば、18個のコイル53を有する。
【0022】
ロータ6は、回転軸であるシャフト4の軸心4oを中心に回転可能に設けられる。また、本実施形態に係るモータ1は、シャフト4とロータ6とを一体として形成してある。
【0023】
ロータ6は、例えば、径方向Rにおいてステータ5の内側(シャフト4側)に配置される。つまり、このモータ1は、ステータ5の径方向Rの内側にロータ6が位置するインナーロータ型のブラシレスモータである。
【0024】
ロータ6は、
図2に示すように、ロータコア60と、複数のマグネット64と、を有する。次に、
図3を用いてロータ6が有するマグネット64について説明する。
図3は、ロータ6の一部を示す平面図である。
【0025】
マグネット64は、例えば、永久磁石によって構成される。本実施形態に係るロータ6は、複数の第1マグネット64aと、複数の第2マグネット64bと、を有する。第1マグネット64aは、例えば、周方向Cに沿って並べられる。第2マグネット64bは、例えば、周方向Cに沿って並べられる。第1マグネット64aと第2マグネット64bとは、周方向Cにおいて、交互に配置される。複数のマグネット64は、例えば、20個の第1マグネット64aと、20個の第2マグネット64bと、を含む。
【0026】
第1マグネット64aは、いわゆる主マグネットである。第2マグネット64bは、いわゆる副マグネットである。
【0027】
第1マグネット64aは、第2マグネット64bに対して径方向Rにおけるステータ側R1に配置され、間隙5sを介在させて、ステータ5のティース51bに対して径方向Rに対向する。
【0028】
第1マグネット64aは、軸方向Aから視た場合、径方向Rにおけるステータ側R1に位置する外面64aoと、径方向Rにおける反対側R2に位置する内面64aiと、周方向Cにおいて対向する一対の側面64as1、64as2と、を備える。
【0029】
外面64aoは、周方向Cにおいて相互に隣接する突出部622pにそれぞれ接触する。内面64aiは、環状部621の外周面621oに対して径方向Rにおいて対向する。
【0030】
一対の側面64as1、64as2のそれぞれは、周方向Cに沿って延在する。そして、一対の側面64as1、64as2のうち、一方の側面64as1、64as2は、磁極片622における一方の側面622f1と接触し、一対の側面64as1、64as2のうち、他方の側面64as1、64as2は、磁極片622における他方の側面622f2と接触する。つまり、第1マグネット64aは、周方向Cにおいて、相互に隣接する磁極片622において、一方の磁極片622における側面622f1と、他方の磁極片622における側面622f2との間に配置される。そして、周方向Cにおいて隣接する2つの磁極片622における側面622f1、622f2の間に第1マグネット64aがそれぞれ配置され、複数の第1マグネット64aは、軸方向Aから視た場合、ロータ6において放射状に配置される。
【0031】
また、第1マグネット64aの一対の側面64as1、64as2のうち、一方の側面64as1、64as2がN極であり、他方の側面64as1、64as2がS極である。
【0032】
また、本実施形態に係るロータ6において、周方向Cに隣接する2つの第1マグネット64aの側面64as1、64as2は、同極となるように配置され、2つのマグネット64に挟まれる磁極片622には、同一の磁極が印加される。つまり、1つの磁極片622が有する一対の側面622f1、622f2のうち、一方の側面622f1が接触する第1マグネット64aの側面64as1、64as2の磁極と、他方の側面622f2が接触する第1マグネット64aの側面64as1、64as2の磁極とが同じである。そのため、磁極片622には、第1マグネット64aのN極またはS極の一方の磁力が印加されて、径方向Rにおけるステータ側R1に磁力が放出される。その上、ロータ6において、周方向Cにおいて複数、配置される磁極片622から放出される磁極は、周方向Cにおいて、N極とS極とが交互に繰り返して配置されることとなる。
【0033】
例えば、
図3に示すように、符号622Nを付した磁極片に対しては、周方向Cに隣接する2つの第1マグネット64aの側面64as1、64as2は、N極となるように配置され、2つの第1マグネット64aに挟まれる磁極片622Nには、
図3中、矢印FN1で示されるN極の磁極が第1マグネット64aから印加され、この磁極片622Nの外周面622oからは、矢印FN2で示されるN極の磁力が径方向Rにおけるステータ側R1に放出される。
【0034】
そして、磁極片622Nに対して、周方向Cに隣接し、符号622Sを付した磁極片に関する磁極は、以下の通りである。磁極片622Sに対し、周方向Cに隣接する2つの第1マグネット64aの側面64as1、64as2は、S極となるように配置され、2つの第1マグネット64aに挟まれる磁極片622Sには、S極の磁極が印加される。
【0035】
第2マグネット64bは、第1マグネット64aに対して径方向Rにおける反対側R2に配置される。
【0036】
第2マグネット64bは、軸方向Aから視た場合、径方向Rにおけるステータ側R1に位置する外面64boと、径方向Rにおける反対側R2に位置する内面64biと、周方向Cにおいて対向する一対の側面64bs1、64bs2と、を備える。
【0037】
外面64boは、周方向Cにおいて磁極片622の内周面622iに接触する。内面64biは、周方向Cにおいて環状部621の外周面621oに接触する。
【0038】
一対の側面64bs1、64bs2のそれぞれは、径方向Rに沿って延在する。そして、一対の側面64bs1、64bs2のうち、一方の側面64bs1、64bs2は、第1間隙623s1を介在させて、第1磁性体61aの連結部623に対向し、他方の側面64bs1、64bs2は、第2間隙623s2を介在させて、第2磁性体61bの連結部623に対向する。また、複数の第2マグネット64bは、軸方向Aから視た場合、ロータ6において放射状に配置される。
【0039】
第2マグネット64bは、径方向Rにおいて、環状部621と磁極片622との間に配置される。より具体的に説明すると、第2マグネット64bは、径方向Rにおいて、環状部621の外周面621oと、磁極片622の内周面622iとの間に配置される。つまり、第2マグネット64bは、径方向Rにおいて、磁極片622の内周面622i(内面64bi)に接触している。
【0040】
また、第2マグネット64bの内面64biおよび外面64boのうち、一方がN極であり、他方がS極である。そして、本実施形態に係るロータ6において、第1マグネット64aが磁極片622に印加する磁極と、第2マグネット64bが磁極片622に印加する磁極とが、同一の極となるように、第2マグネット64bが配置される。
【0041】
例えば、
図3に示すように、符号622Nを付した磁極片に対し、第2マグネット64bの外面64boは、N極となるように配置され、この磁極片622Nには、第2マグネット64bの外面64boから、
図3中、矢印FN3で示されるN極の磁極が印加される。
【0042】
磁極片622Nに対して周方向Cに隣接し、符号622Sを付した磁極片に対し、第2マグネット64bの外面64boは、S極となるように配置され、この磁極片622Sには、第2マグネット64bの外面64boから、S極の磁極が印加される。
【0043】
周方向Cにおいて、第2マグネット64bの一対の側面64bs1、64bs2のうち、一方の側面64bs1と、第1磁性体61aの連結部623と、の間には、第1間隙623s1が形成される。そして、上記した第1間隙623s1には、空気が存在する。そして、空気は、非磁性体であって、空気の透磁率は、ロータコア60を形成する磁性材料の透磁率よりも小さい。つまり、第1間隙623s1に存在する空気は、周方向Cにおいて、第2マグネット64bの側面64bs1から第1マグネット64aへ向かう磁束を抑制する、フラックスバリアとして機能する。
【0044】
そのため、第1間隙623s1が存在する部分では、第2マグネット64bの側面64bs1から第1マグネット64aへ向かう磁束が非磁性体である空気によって抑制される。その結果、第1間隙623s1が存在する部分においては、第2マグネット64bの側面64bs1から第1マグネット64aへ向かう磁束が、非磁性体である第1間隙623s1によって抑制される。
【0045】
周方向Cにおいて、第2マグネット64bの一対の側面64bs1、64bs2のうち、他方の側面64bs1と、第2磁性体61bの連結部623と、の間には、第2間隙623s2が形成される。第2間隙623s2は、上記の第1間隙623s1と同様、フラックスバリアとして機能する。
【0046】
次に、
図3、
図4、
図5を用いてロータコア60について説明する。
図4は、
図2に示すロータコア60に用いる第1磁性体61aの平面図である。
図5は、
図2に示すロータコア60に用いる第2磁性体61bの平面図である。
【0047】
ロータコア60は、鉄等の磁性材料を用いて板状に形成された磁性体61を、複数、軸方向Aに積層することによって形成される。また、ロータコア60は、マグネット64とティース51bとの間の磁束の通路として機能し、かつ、マグネット64を構成する第1マグネット64aと第2マグネット64bとの間の磁束の通路として機能する。本実施形態に係る磁性体61は、複数の第1磁性体61aと、複数の第2磁性体61bとを備える。第1磁性体61aおよび第2磁性体61bは、磁性材料によって軸方向Aの厚さが薄い板状(又はシート状)にそれぞれ形成してある。
【0048】
次に、第1磁性体61aおよび第2磁性体61bについて説明する。第1磁性体61aおよび第2磁性体61bは、同一の形状に形成され、かつ、軸方向Aにおいて表裏を反対にして1枚ずつ交互に積層される。そこで、説明の重複を避けるため、以下には、第1磁性体61aの構成について説明し、第2磁性体61bの構成の説明を省略するが、第2磁性体61bの構成において、第1磁性体61aの構成と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図4に示す第1磁性体61aは、径方向Rの一方側に設けられた環状部621と、径方向Rの他方側に設けられた磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623と、を有する。より具体的に説明すると、本実施形態に係る第1磁性体61aは、径方向Rにおけるステータ側R1に磁極片622が設けられ、径方向Rにおける反対側R2に環状部621が設けられる。
【0050】
第1磁性体61aは、例えば、1つの環状部621を有する。また、第1磁性体61aに設けられる磁極片622の個数は、例えば、マグネット64の個数と同一である。また、本実施形態に係る連結部623の個数は、磁極片622の個数と同一である。さらに、本実施形態に係る第1磁性体61aは、1つの環状部621と、複数の磁極片622と、複数の連結部623と、を有する。
【0051】
環状部621は、軸方向Aから視た場合、円環状に形成される。より具体的に説明すると、環状部621は、径方向Rにおいて一方側に位置する外周面621oと、他方側に位置する内周面621iと、を有し、周方向Cにおいて連続するように形成される。より具体的に説明すると、本実施形態に係る環状部621は、径方向Rにおけるステータ側R1に位置する外周面621oと、径方向Rにおける反対側R2に位置する内周面621iと、を有する。内周面621iは、シャフト4が挿入される孔部4Hを形成する。
【0052】
磁極片622のそれぞれは、径方向Rにおいて、一方側に位置する外周面622oと、他方側に位置する内周面622iと、を備える。より具体的に説明すると、本実施形態に係る磁極片622は、径方向Rにおけるステータ側R1に位置する外周面622oと、径方向Rにおける反対側R2に位置する内周面622iと、を有する。その上、磁極片622のそれぞれは、周方向Cにおいて対向する一対の側面622f1、622f2を有する。複数の磁極片622は、径方向Rにおいて、連結部623を介して環状部621の外側に放射状に配置される。このような構成を有する磁極片622は、周方向Cにおいて、複数の第1マグネット64aのうち、隣接する2つの第1マグネット64aに接触する。
【0053】
磁極片622の周方向Cに延在する内周面622iは、径方向Rにおいて、環状部621の外周面621oに対向する。
【0054】
磁極片622の周方向Cに延在する外周面622oは、径方向Rにおけるステータ側R1から視た場合には側面であり、径方向Rに延在する凹部622cを有する。
【0055】
凹部622cは、例えば、径方向Rに沿って直線状に延在する。さらに、凹部622cは、例えば、周方向Cにおいて、磁極片622の周方向Cにおける中央に配置される。また、磁極片622の径方向Rの長さは、622Lであり、磁極片622に形成される凹部622cの径方向Rの長さは、622cLである。そして、磁極片622の径方向Rの長さ622Lと、凹部622cの径方向Rの長さ622cLとには、以下の関係が成立する。
622cL>622L×(1/3)
【0056】
側面622f1、622f2のそれぞれは、径方向Rにおいて延在し、外周面622oと内周面622iとを繋げる。さらに、側面622f1、622f2のそれぞれは、径方向Rにおけるステータ側R1の端部に、径方向Rにおいて突出する突出部622pを備える。周方向Cにおいて対向する2つの側面622f1、622f2の突出部622pのそれぞれは、互いに近接するように側面622f1、622f2から突出する。言い換えると、側面622f1から突出する突出部622pは、周方向Cにおいて、隣接する側面622f2の突出部622pに向かって突出している。また、周方向Cにおいて、隣接する2つの突出部622pの間には、所定の間隙SPが形成される。
【0057】
連結部623は、環状部621の外周面621oから径方向Rにおけるステータ側R1へ向けて傾斜するように突出する。言い方を変えると、連結部623は、環状部621の外周面621oから逆回転方向C2側へ向けて傾斜するように突出する。つまり、連結部623は、径方向Rおよび周方向Cにおいて、傾斜する態様で延在する。別の言い方をすると、連結部623は、磁極片622の内周面622iから周方向Cにおいて回転方向C1側であって、径方向Rにおける反対側R2へ向けて傾斜するように突出する。つまり、第1磁性体61aは、環状部621と、当該環状部621に連結部623を介して連結した磁極片622と、を備える。
【0058】
第2磁性体61bは、第1磁性体61aと同様の環状部621と、磁極片622と、を有する。また、第2磁性体61bは、軸方向Aにおいて、第1磁性体61aと表裏反対であるため、連結部623の突出する方向が異なる。
【0059】
より具体的に説明すると、
図5に示す第2磁性体61bの連結部623は、環状部621の外周面621oから径方向Rにおけるステータ側R1へ向けて傾斜するように突出する。言い方を変えると、連結部623は、環状部621の外周面621oから回転方向C1側へ向けて傾斜するように突出する。つまり、連結部623は、径方向Rおよび周方向Cにおいて、傾斜する態様で延在する。別の言い方をすると、連結部623は、磁極片622の内周面622iから周方向Cにおいて逆回転方向C2側であって、径方向Rにおける反対側R2へ向けて傾斜するように突出する。つまり、第2磁性体61bは、環状部621と、当該環状部621に連結部623を介して連結した磁極片622と、を備える。
【0060】
そして、上述したように、第1磁性体61aおよび第2磁性体61bは、軸方向Aにおいて表裏を反対にして1枚ずつ交互に積層される。また、本実施形態に係るロータコア60において、第1磁性体61aの枚数と、第2磁性体61bの枚数は、同じである。したがって、ロータコア60において、軸方向Aにおける一方側には第1磁性体61aが配置され、軸方向Aにおける他方側には第2磁性体61bが配置される。つまり、第1磁性体61aは、1層目、3層目を含む奇数層に配置される。一方、第2磁性体61bは、2層目、4層目を含む偶数層に配置される。
【0061】
そして、第1磁性体61aにおける複数の環状部621と、第2磁性体61bにおける複数の環状部621とによって、
図3に示すロータコア60の環状部621が形成される。つまり、ロータコア60は、第1磁性体61aおよび第2磁性体61bの環状部621と同様の環状部621を有する。
【0062】
また、第1磁性体61aにおける複数の磁極片622と、第2磁性体61bにおける複数の磁極片622とによって、
図3に示すロータコア60の磁極片622が形成される。つまり、ロータコア60は、磁性体61の磁極片622と同様の磁極片622を有する。このようなロータコア60の磁極片622は、周方向Cにおいて、複数の第1マグネット64aのうち、隣接する2つの第1マグネット64aに接触する。
【0063】
そして、ロータコア60の磁極片622に形成される凹部622cは、軸方向Aに延在する。より具体的に説明すると、凹部622cは、軸方向Aに沿って直線状に延在し、軸方向Aにおける一方の端に配置される第1磁性体61aから、軸方向Aにおける他方の端に配置される第2磁性体61bまで、軸方向Aに沿って直線状に延在する。
【0064】
さらに、第1磁性体61aにおける複数の連結部623と、第2磁性体61bにおける複数の連結部623とによって、
図3に示すロータコア60の連結部623が形成される。つまり、ロータコア60の連結部623は、複数の第1磁性体61aの連結部623と、複数の第2磁性体61bの連結部623と、によって形成される、換言すれば、ロータコア60は、例えば、1つの環状部621と、複数の磁極片622と、複数の連結部623と、を有する。また、ロータコア60は、環状部621と、当該環状部621に連結部623を介して連結した磁極片622と、を備える。
【0065】
また、
図3に示すように、ロータコア60は、第1磁性体61aの連結部623と、第2磁性体61bの連結部623と、環状部621の外周面621oと、磁極片622の内周面622iとによって形成される孔部600Hを有する。この孔部600Hには、第2マグネット64bが挿入される。
【0066】
本実施形態に係るロータ6の周方向Cにおいて、第1磁性体61aの連結部623と、第2マグネット64bの側面64bs1との間には、第1間隙623s1が形成される。また、本実施形態に係るロータ6の周方向Cにおいて、第2磁性体61bの連結部623と、第2マグネット64bの側面64bs2との間には、第2間隙623s2が形成される。
【0067】
図6は、ロータ6の一部、および、ステータ5の一部を示す断面図である。
図7は、
図6と同一の部分を示す断面図であって、各部の磁力線を示す平面図である。なお、
図6において、後述するティース51bの両側に位置する×は、ティース51bに巻き回されてコイル53を形成する巻線を省略して示したものである。
【0068】
図6中、符号622Sを付した磁極片において、凹部622cに対する回転方向C1側に位置する磁極片622sの一部S1は、径方向Rにおいて、符号51bNを付したティースと対向する。
【0069】
また、磁極片622Sに対して接触し、かつ、この磁極片622Sに対して回転方向C1側に位置する第1マグネット64aには、符号64a0を付す。この第1マグネット64a0は、径方向Rにおいて、ティース51bnと対向する。それらのため、
図7に示すように、磁極片622Sの一部S1、および、ティース51bnには、多数の磁力線が形成され、これらの部分の磁力は大きい。
【0070】
一方、
図6中、符号622Nを付し、周方向Cにおいて、第1マグネット64a0の回転方向C1側に位置する磁極片において、この磁極片622Nの一部N1を通過する磁力線は、第1マグネット64a0から磁極片622Nに向かった後、磁極片622Nから突出部622pへ向かっている。なお、以下では、このような磁力線が通過している磁極片622Nの一部N1とティース51bnとの位置関係を非対向状態とし称呼して説明する。
【0071】
その上、
図6中、符号51bsを付し、ティース51bNに対して回転方向C1側に位置するティースは、径方向Rにおいて、磁極片622Nの一部N1に対して非対向状態である。
【0072】
しかも、第1マグネット64a0とティース51bNとの間には、凹部622cが位置し、この凹部622cには空気が存在する。そして、空気は、非磁性体であって、空気の透磁率は、ロータコア60を形成する磁性材料の透磁率よりも小さい。このため、第1マグネット64a0とティース51bSとの間に位置する磁極片622Nの一部N1を通過する磁力は、凹部622cによって、上記した磁極片622Sの一部S1と比較して、磁力線の数が少ない(磁力性の数が少ない部分を
図7において〇で示す)。つまり、磁極片622Nの一部N1の磁力は、磁極片622Sの一部S1の磁力より弱い。また、図示省略するが、磁極片622Sの一部S1に対して、逆回転方向C2側の磁極片622でも同様である。
【0073】
したがって、このロータ6では、径方向Rにおいて、ティース51bと対向する磁極片622の一部の磁力が大きく、その磁力と比べて、ティース51bと非対向状態の磁極片622の一部の磁力が小さい。その結果、ロータ6は、回転方向C1側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができ、かつ、逆回転方向C2側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができるため、コギングトルクを抑制することができる。
【0074】
以上に説明したように、本実施形態に係るロータ6は、周方向Cに配置された複数のマグネット64と、複数の磁極片622と、を備え、周方向Cにおいて、複数のマグネット64のうち、隣接する2つのマグネット64に接触する磁極片622があり、磁極片622の周方向Cに延在する外周面(側面)622oは、径方向Rに延在する凹部622cを備える。そのため、本実施形態に係るロータ6は、コギングトルクを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態に係るロータ6において、径方向Rにおける凹部622cの長さ622cLは、径方向Rにおける磁極片622の長さ622Lに対して1/3以上である。
【0076】
また、本実施形態に係るロータ6は、環状部621と、当該環状部621に連結部623を介して連結した磁極片622と、を備える。
【0077】
また、本実施形態に係るロータ6は、径方向Rにおいて、環状部621と磁極片622との間に、第2マグネット64bが配置されている。そのため、第2マグネット64bによって、ロータ6の磁極片622から、当該磁極片622と径方向Rにおいて対向するティース51bへ向かう磁力を大きくすることができる。
【0078】
また、本実施形態に係るロータ6の径方向Rにおいて、第2マグネット64bは、磁極片622の内周面(内面)622iに接触している。そのため、第2マグネット64bによって、ロータ6の磁極片622から、当該磁極片622と径方向Rにおいて対向するティース51bへ向かう磁力を大きくすることができる。
【0079】
また、本実施形態に係るモータ1は、上記の構成を有するロータ6と、ロータ6に固定されたシャフト4と、コイル53および当該コイル53が巻き回された磁性体61(ステータコア51)を有するステータ5と、を備える。
【0080】
また、本実施形態に係る電子機器100は、上記の構成を有するモータ1と、当該モータ1を収容する筐体2と、を備える。
【0081】
また、本実施形態に係るロータコア60の連結部623は、複数の第1磁性体61aの連結部623と、複数の第2磁性体61bの連結部623とによって形成される。そして、第1磁性体61aおよび第2磁性体61bのそれぞれにおいて、環状部621と磁極片622との間に1つの連結部623が設けられる。そのため、連結部623の数をできるだけ減少させることによって、連結部623を介して磁極片622から環状部621へ漏れる磁束(以下、「無効磁束」と称呼する)を減少させることができる。
【0082】
なお、上述した実施形態には、インナーロータ型のモータ1について説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1はそれに限られない。例えば、モータ1は、軸方向Aから視た場合、ロータ6の径方向Rの内側にステータ5が位置するアウターロータ型のモータに適用することができる。
【0083】
[第1実施形態の第1変形例]
次に、第1実施形態の第1変形例に係るロータ6A等について、
図8~
図11を用いて説明する。
図8は、第1実施形態の第1変形例に係るロータ6Aを用いたモータ1Aの横断面図である。
図9は、
図9に示すロータ6Aが備えるロータコア60Aの斜視図である。
図10は、
図9に示すロータコア60Aの分解斜視図である。
図11は、
図8の一部の拡大平面図である。なお、
図8において、ティース51bの両側に位置する×は、ティース51bに巻き回されてコイル53を形成する巻線を省略して示したものである。
【0084】
第1実施形態の第1変形例に係るロータ6Aに形成される孔部600HAと、その孔部600HAに挿入される第2マグネット64bとの関係は、第1実施形態に係るロータ6に形成される孔部600HAと、その孔部600HAに挿入される第2マグネット64bとの関係と異なる。そのため、第1実施形態の第1変形例に係るロータ6Aの構成に関して、第1実施形態に係るロータ6の構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
本実施形態に係るモータ1Aは、
図8に示すように、筐体2と、不図示の軸受と、シャフト4と、ステータ5と、ロータ6Aと、を備える。ロータ6Aは、ロータコア60Aと、複数のマグネット64と、を有する。
【0086】
ロータコア60Aは、複数の第1磁性体61aと、複数の第2磁性体61bとを、軸方向Aに積層することによって形成される。
【0087】
第1磁性体61aは、環状部621と、磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623と、を有する。
【0088】
ロータコア60Aの周方向Cに延在する外周面622oは、径方向Rにおけるステータ側R1から視た場合には側面であり、径方向Rに延在する凹部622cを有する。
【0089】
第2磁性体61bは、第1磁性体61aと同様の環状部621と、磁極片622と、を有する。
【0090】
また、
図11に示すように、ロータコア60Aは、第1磁性体61aの連結部623と、第2磁性体61bの連結部623と、環状部621の外周面621oと、磁極片622の内周面622iとによって形成される孔部600HAを有する。この孔部600HAには、第2マグネット64bが挿入される。
【0091】
本変形例に係るロータ6Aにおいて、孔部600HAの内周面と、第2マグネット64bの外周面とは間隙が設けられずに、孔部600HAの内周面の全周と、第2マグネット64bの外周面の全周とが接触する。
【0092】
なお、本実施形態には、ロータコア60Aの孔部600HAに第2マグネット64bを挿入する例を説明した。しかし、本実施形態に係るロータ6Aは、それに限られない。例えば、孔部600HAには、第2マグネット64bを挿入せずに、孔部600HAの内部に存在する空気によって、第1マグネット64aに対するフラックスバリアとして機能させてもよい。つまり、本実施形態に係るロータ6Aは、開放された孔部600HAと、第1マグネット64aと、を有するロータコア60Aを有する。
【0093】
[第1実施形態の第2変形例]
次に、第1実施形態の第2変形例に係るロータ6B等について、
図12~
図13を用いて説明する。
図12は、第1実施形態の第2変形例に係るロータ6Bが備えるロータコア60Bの斜視図である。
図13は、
図12に示すロータコア60Bの分解斜視図である。
【0094】
第1実施形態の第2変形例に係るロータ6Bの第1磁性体61aBにおける磁極片622Bの形状、および、第2磁性体61bBにおける磁極片622Bの形状は、第1実施形態に係るロータ6の第1磁性体61aにおける磁極片622の形状、および、第2磁性体61bにおける磁極片622の形状と異なる。そのため、第1実施形態の第2変形例に係るロータ6Bにおいて、複数の第1磁性体61aBの磁極片622Bと複数の第2磁性体61bBの磁極片622Bとによって形成されるロータコア60Bの磁極片622Bの形状は、第1実施形態に係るロータ6において、複数の第1磁性体61aの磁極片622と複数の第2磁性体61bの磁極片622とによって形成されるロータコア60の磁極片622の形状と異なる。そのため、第1実施形態の第2変形例に係るロータ6Bの構成に関して、第1実施形態に係るロータ6の構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
ロータコア60Bは、鉄等の磁性材料を用いて板状に形成された磁性体61Bを、複数、軸方向Aに積層することによって形成される。本実施形態に係る磁性体61Bは、複数の第1磁性体61aBと、複数の第2磁性体61bBとを備える。
【0096】
第1磁性体61aは、環状部621と、磁極片622Bと、連結部623と、を有する。
【0097】
複数の磁極片622Bは、周方向Cにおいて隣接する2つの磁極片622Bの間において、これら2つの磁極片622Bを繋ぐ部分(以下、「架橋部622d」を称呼する)を有する。また、架橋部622dが設けられた磁極片622Bに対して周方向Cに隣接する磁極片622Bには、突出部622pが設けられる。つまり、複数の磁極片622Bにおいて周方向Cに隣接する2つの磁極片622Bには、架橋部622dと突出部622pが交互に配置される。
【0098】
第2磁性体61bは、第1磁性体61aと同様の環状部621Bと、磁極片622Bと、を有する。また、第1磁性体61aBにおける複数の磁極片622Bと、第2磁性体61bBにおける複数の磁極片622Bとによって、
図12に示すロータコア60Bの磁極片622が形成される。本実施形態に係るロータコア60Bでは、
図12に示すように、第1磁性体61aBにおける架橋部622dの周方向Cの位置と、第2磁性体61bBにおける架橋部622dの周方向Cの位置と、が相互にずれるように配置される。
【0099】
そのため、本変形例に係るロータコア60Bは、架橋部622dによって略円筒状に形成されるため、ロータコア60Bの強度を向上することができる。
【0100】
[第1実施形態の第3変形例]
次に、第1実施形態の第3変形例に係るロータ6C等について、
図14、
図15を用いて説明する。
図14は、第1実施形態の第3変形例に係るロータ6Cが備えるロータコア60Cの斜視図である。
図15は、
図14に示すロータコア60Cの分解斜視図である。
【0101】
第1実施形態の第3変形例に係るロータ6Cの第1磁性体61aCにおける連結部623Cの形状、および、第2磁性体61bCにおける連結部623Cの形状は、第1実施形態に係るロータ6の第1磁性体61aにおける連結部623Cの形状、および、第2磁性体61bにおける連結部623Cの形状と異なる。そのため、第1実施形態の第3変形例に係るロータ6Cにおいて、複数の第1磁性体61aCの連結部623Cと複数の第2磁性体61bCの連結部623Cとによって形成されるロータコア60Cの連結部623Cの形状は、第1実施形態に係るロータ6において、複数の第1磁性体61aの磁極片622と複数の第2磁性体61bの磁極片622とによって形成されるロータコア60の磁極片622の形状と異なる。そのため、第1実施形態の第3変形例に係るロータ6Cの構成に関して、第1実施形態に係るロータ6の構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
本実施形態に係る磁性体61Cは、複数の第1磁性体61aCと、複数の第2磁性体61bCとを備える。
【0103】
第1磁性体61aCは、環状部621と、磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623Cと、を有する。
【0104】
連結部623Cは、径方向Rに沿って延在する第1部分6231と、周方向Cに沿って延在する第2部分6232と、第1部分6231と第2部分6232とをつなぐ屈曲した部分6233と、を備え、軸方向Aから視た場合、屈曲した形状に形成される。
【0105】
連結部623Cの一方の端部(第1部分6231側の端部)は、環状部621の外周面621oに繋がり、連結部623Cの他方の端部(第2部分6232側の端部)は、磁極片622の内周面622iに繋がり、第1部分6231の端部と第2部分6232の端部とが屈曲した部分6233を介して繋がる。そして、第2部分6232は、周方向Cにおける回転方向C1に、連結部623Cの一方側の端部から他方側の端部に向かって延びている。
【0106】
第2磁性体61bCは、環状部621と、磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623Cと、を有する。
【0107】
連結部623Cは、径方向Rに沿って延在する第1部分6231と、周方向Cに沿って延在する第2部分6232と、第1部分6231と第2部分6232とをつなぐ屈曲した部分6233と、を備え、軸方向Aから視た場合、屈曲した形状に形成される。
【0108】
連結部623Cの一方の端部(第1部分6231側の端部)は、環状部621の外周面621oに繋がり、連結部623Cの他方の端部(第2部分6232側の端部)は、磁極片622の内周面622iに繋がり、第1部分6231の端部と第2部分6232の端部とが屈曲した部分6233を介して繋がる。そして、第2部分6232は、周方向Cにおける逆回転方向C2に、連結部623Cの一方側の端部から他方側の端部に向かって延びている。
【0109】
そして、第1磁性体61aCにおける複数の連結部623Cと、第2磁性体61bCにおける複数の連結部623Cとによって、
図14に示すロータコア60Cの連結部623Cが形成される。本変形例に係るロータコア60Cでは、連結部623Cが、径方向Rに沿って延在する第1部分6231と、周方向Cに沿って延在する第2部分6232とに、よって形成される。そのため、径方向Rに対して傾斜する方向へ延在する連結部と比べて、連結部623Cの延在する長さを長くすることができる。そのため、連結部623Cを介して磁極片622から環状部621へ漏れる無効磁束を減少させることができる。
【0110】
[第1実施形態の第4変形例]
次に、第1実施形態の第4変形例に係るロータ6D等について、
図16を用いて説明する。
図16は、第1実施形態の第4変形例に係るロータ6Dが備えるロータコア60Dの斜視図である。
【0111】
第1実施形態の第4変形例に係るロータ6Dの第1磁性体61aDにおける連結部623Dの形状、および、第2磁性体61bDにおける連結部623Dの形状は、第1実施形態に係るロータ6の第1磁性体61aにおける連結部623Dの形状、および、第2磁性体61bにおける連結部623Dの形状と異なる。そのため、第1実施形態の第4変形例に係るロータ6Dにおいて、複数の第1磁性体61aDの連結部623Dと複数の第2磁性体61bDの連結部623Dとによって形成されるロータコア60Dの連結部623Dの形状は、第1実施形態に係るロータ6において、複数の第1磁性体61aの磁極片622と複数の第2磁性体61bの磁極片622とによって形成されるロータコア60の磁極片622の形状と異なる。そのため、第1実施形態の第4変形例に係るロータ6Dの構成に関して、第1実施形態に係るロータ6の構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
本実施形態に係る磁性体61Cは、第1磁性体61aDと、第1磁性体61aDに対して所定の角度だけ回転させた配置した第2磁性体61bDとが、軸方向Aにおいて、交互に配列されている。第1磁性体61aDと第2磁性体61bDとは、同一形状である。
【0113】
第1磁性体61aDは、環状部621と、磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623Dと、を有する。
【0114】
連結部623Dは、第1部分623aと、第2部分623bと、を備え、軸方向Aから視た場合、T字状に形成される。
【0115】
第1部分623aは、径方向Rに沿って延在している。また、連結部623Dの一方の端(第1部分623a側の端部)は、環状部621の外周面621oに繋がる。
【0116】
第2部分623bは、周方向Cに沿って延在している。第2部分623bは、隣接し合う2つの磁極片622の内周面622iに繋がる2つの端部と、2つの端部の間にある中間部と、を備える。また、第2部分623bの中間部は、第1部分623aの他方の端部繋がる。
【0117】
そして、第1磁性体61aDおよび第2磁性体61bDについて、第1磁性体61aDの連結部623Dと、第2磁性体61bDの連結部623Dとが周方向Cにおいて異なる位置に配置されている。
【0118】
また、第1磁性体61aDにおける複数の連結部623Dと、第2磁性体61bDにおける複数の連結部623Dとによって、
図16に示すロータコア60Dの連結部623Dが形成される。
【0119】
本変形例に係るロータコア60Dでは、第1部分623aは、2つの磁極片622に繋がる連結部623Dの途中に設けられる。そのため、1つの磁極片622に繋がる連結部と比べて、磁束に対する抵抗を増加することができる。そのため、連結部623Dを介して磁極片622から環状部621へ漏れる無効磁束を減少させることができる。
【0120】
[第1実施形態の第5変形例]
次に、第1実施形態の第5変形例に係るロータ6E等について、
図17を用いて説明する。
図17は、第1実施形態の第5変形例に係るロータ6Eが備えるロータコア60Eの斜視図である。
【0121】
第1実施形態の第5変形例に係るロータ6Eの第1磁性体61aEにおける連結部623Eの形状、および、第2磁性体61bEにおける連結部623Eの形状は、第1実施形態に係るロータ6の第1磁性体61aにおける連結部623Eの形状、および、第2磁性体61bにおける連結部623Eの形状と異なる。そのため、第1実施形態の第5変形例に係るロータ6Eにおいて、複数の第1磁性体61aEの連結部623Eと複数の第2磁性体61bEの連結部623Eとによって形成されるロータコア60Eの連結部623Eの形状は、第1実施形態に係るロータ6において、複数の第1磁性体61aの磁極片622と複数の第2磁性体61bの磁極片622とによって形成されるロータコア60の磁極片622の形状と異なる。そのため、第1実施形態の第5変形例に係るロータ6Eの構成に関して、第1実施形態に係るロータ6の構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0122】
本実施形態に係る磁性体61Cは、第1磁性体61aEと、第1磁性体61aEに対して所定の角度だけ回転させた配置した第2磁性体61bEとが、軸方向Aにおいて、交互に配列されている。第1磁性体61aEと第2磁性体61bEとは、同一形状である。
【0123】
第1磁性体61aEは、環状部621と、磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623Eと、を有する。
【0124】
連結部623Eは、径方向Rに対して傾斜するように延在する。また、本実施形態に係る第1磁性体61aEは、軸方向Aから視た場合、2つの連結部623Eが2つに分岐した形状(V字状)となるように配置される。
【0125】
そして、第1磁性体61aEおよび第2磁性体61bEについて、第1磁性体61aEの連結部623Eと、第2磁性体61bEの連結部623Eとが、周方向Cで異なる位置に配置されている。
【0126】
[第1実施形態の第6変形例]
次に、第1実施形態の第6変形例に係るロータ6F等について、
図18を用いて説明する。
図18は、第1実施形態の第6変形例に係るロータ6Fが備えるロータコア60Fの斜視図である。
【0127】
第1実施形態の第6変形例に係るロータ6Fの第1磁性体61aFにおける連結部623Fの形状は、第5変形例に係る連結部623Dの形状と同一である。また、第6変形例に係るロータ6Fの第2磁性体61bFにおける連結部623Fの形状は、第5変形例に係る連結部623Dの形状と同一である。
【0128】
さらに第6変形例に係るロータ6Fの第1磁性体61aFにおける磁極片622Fの形状は、第2変形例に係る磁極片622Bの形状と同一である。また、第6変形例に係るロータ6Fの第2磁性体61bFにおける磁極片622Fの形状は、第2変形例に係る磁極片622Bの形状と同一である。それらのため、第1実施形態の第6変形例に係るロータ6Fの構成に関して、上述したロータ6、6B、6Dの構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
複数の磁極片622Fは、周方向Cにおいて隣接する2つの磁極片622Fの間において、これら2つの磁極片622Fを繋ぐ架橋部622dを有する。また、架橋部622dが設けられた磁極片622Fに対して周方向Cに隣接する磁極片622Fには、突出部622pが設けられる。つまり、複数の磁極片622Fにおいて周方向Cに隣接する2つの磁極片622Fには、架橋部622dと突出部622pが交互に配置される。
【0130】
架橋部622dは、径方向Rにおいて、環状部621の外周面621oに対向している。また、周方向Cにおいて、環状部621の外周面621oの一部が、環状部621と隣接する2つの磁極片622Fとを連結する2つの連結部623Fの間にあり、これら隣接する2つの磁極片622Fは架橋部622dに連結している。
【0131】
そして、第1磁性体61aFおよび第2磁性体61bFについて、第1磁性体61aFの連結部623Fと、第2磁性体61bFの連結部623Fとが、周方向Cで異なる位置に配置されている。
【0132】
そのため、本変形例に係るロータコア60Eは、架橋部622dによって略円筒状に形成されるため、ロータコア60Eの強度を向上することができる。
【0133】
[第1実施形態の第7変形例]
次に、第1実施形態の第7変形例に係るロータ6G等について、
図19を用いて説明する。
図19は、第1実施形態の第7変形例に係るロータ6Gが備えるロータコア60Gの斜視図である。
【0134】
第1実施形態の第7変形例に係るロータ6Gの第1磁性体61aGにおける連結部623Gの形状は、第5変形例に係る連結部623Dの形状と同一である。また、第7変形例に係るロータ6Fの第2磁性体61bFにおける連結部623Gの形状は、第5変形例に係る連結部623Dの形状と同一である。
【0135】
さらに第7変形例に係るロータ6Gの第1磁性体61aGにおける磁極片622Gの形状は、第2変形例に係る磁極片622Bの形状と同一である。また、第7変形例に係るロータ6Gの第2磁性体61bGにおける磁極片622Gの形状は、第2変形例に係る磁極片622Bの形状と同一である。それらのため、第1実施形態の第7変形例に係るロータ6Gの構成に関して、上述したロータ6、6B、6Dの構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0136】
複数の磁極片622Gは、周方向Cにおいて隣接する2つの磁極片622Gの間において、これら2つの磁極片622Gを繋ぐ架橋部622dを有する。また、架橋部622dが設けられた磁極片622Gに対して周方向Cに隣接する磁極片622Gには、突出部622pが設けられる。つまり、複数の磁極片622Gにおいて周方向Cに隣接する2つの磁極片622Gには、架橋部622dと突出部622pが交互に配置される。
【0137】
架橋部622dは、2つの分岐した形状を有する連結部623Gに対して、径方向Rにおいて、対向した状態となるように配置される。
【0138】
そして、第1磁性体61aGおよび第2磁性体61bGについて、第1磁性体61aGの連結部623Gと、第2磁性体61bGの連結部623Gとが、周方向Cにおいて、異なる位置に配置されている。
【0139】
そのため、本変形例に係るロータコア60Gは、架橋部622dによって略円筒状に形成されるため、ロータコア60Gの強度を向上することができる。
【0140】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るロータ6Hを用いたモータ1Hについて、
図20、
図21を用いて説明する。
図20は、第2実施形態に係るロータ6Hを用いたモータ1Hの横断面図である。
図21は、
図20に示すロータ6Hの一部拡大断面図である。なお、
図20において、ティース51bの両側に位置する×は、ティース51bに巻き回されてコイル53を形成する巻線を省略して示したものである。
【0141】
第2実施形態に係るロータ6Hの磁性体61Hの構成は、第1実施形態に係るロータ6の磁性体61の構成と異なる。そのため、第2実施形態に係るロータ6Hの構成に関して、第1実施形態に係るロータ6の構成と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0142】
本実施形態に係るモータ1Hは、
図20に示すように、筐体2と、不図示の軸受と、シャフト4と、ステータ5と、ロータ6Hと、を備える。ロータ6Hは、ロータコア60HAと、複数のマグネット64と、を有する。
【0143】
ロータコア60HAは、同一形状の磁性体61を、軸方向Aに積層することによって形成される。
【0144】
磁性体61は、環状部621と、磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623Hと、を有する。
【0145】
連結部623は、環状部621の外周面321oから径方向Rに沿って延在する第1部分231と、第1部分231の先端から二股に分岐して異なる2つの磁極片622における内周面622iに繋がる第2部分232aおよび第3部分232bと、を備える。このような構成を有する連結部623は、軸方向Aから視た場合にはY字状である。
【0146】
そして、上述したように、複数の磁性体61は、軸方向Aにおいて積層される。そのため、磁性体61における各部によって、
図21に示すロータコア60Hの各部が形成される。
【0147】
また、
図21に示すように、ロータコア60Hは、周方向Cにおいて隣接する2つの連結部623Hと、環状部621の外周面621oと、磁極片622の内周面622iとによって形成される孔部600HHを有する。この孔部600HHには、第2マグネット64bが挿入される。
【0148】
本実施形態に係るロータ6Hの周方向Cにおいて、孔部600HHの内周面と、第2マグネット64bの一方の側面64bs1との間には第1間隙623s1が形成され、孔部600HHの内周面と、第2マグネット64bの他方の側面64bs2との間には第2間隙623s2が形成される。第1間隙623s1および第2間隙623s2に存在する空気は、上述したフラックスバリアとして機能する。
【0149】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るロータ6Iを用いたモータ1Iについて、
図22、
図23、
図24を用いて説明する。
図22は、第3実施形態に係るロータ6Iを用いたモータ1Iの平面図である。
図23は、
図22に示すモータ1Iの斜視図である。
図24は、
図22に示すロータ6Iおよびステータ5の一部を示す拡大平面図である。なお、
図22、
図23、
図24において、ティース51bの両側に位置する×は、ティース51bに巻き回されてコイル53を形成する巻線を省略して示したものである。
【0150】
第3実施形態に係るロータ6Iのマグネット64Iの構成等は、第1実施形態に係るロータ6のマグネット64の構成等と異なる。そのため、第3実施形態に係るロータ6Iのマグネット64I等の構成に関して、第1実施形態に係るロータ6のマグネット64の構成等と異なる部分について、以下に説明し、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態係るモータ1Iは、ロータコア60Iの表面(外周面)に、磁束の向きが異なる複数のマグネット64Iが配置された、いわゆるハルバッハ配列のモータである。
【0151】
本実施形態に係るモータ1Iは、
図22に示すように、不図示の筐体と、不図示の軸受と、シャフト4と、ステータ5と、ロータ6Iと、を備える。
【0152】
ロータ6Iは、
図22、
図23に示すように、ロータコア60Iと、複数のマグネット64Iと、を有する。次に、ロータ6が有するマグネット64Iについて説明する。
【0153】
マグネット64は、例えば、永久磁石によって構成される。本実施形態に係るロータ6Iは、複数の第1マグネット64aIと、複数の第2マグネット64bIと、複数の第3マグネット64cIとを有する。第1マグネット64aIは、例えば、周方向Cに沿って並べられる。第2マグネット64bIは、例えば、周方向Cに沿って並べられる。第3マグネット64cIは、例えば、周方向Cに沿って並べられる。複数のマグネット64Iは、例えば、20個の第1マグネット64aIと、20個の第2マグネット64bIと、複数の第3マグネット64cIと、を含む。
【0154】
第1マグネット64aIは、いわゆる主マグネットである。第2マグネット64bおよび第3マグネット64cは、いわゆる副マグネットである。本実施形態に係るロータコア60Iにおいて、第1マグネット64aの周方向Cの一方に第2マグネット64bが配置され、第1マグネット64aの周方向Cの他方に第3マグネット64cが配置される。
【0155】
図24に示す第1マグネット64aIは、軸方向Aから視た場合、径方向Rにおけるステータ側R1に位置する外面64aoと、径方向Rにおける反対側R2に位置する内面64aiと、周方向Cにおいて対向する一対の側面64as1、64as2と、を備える。第1マグネット64aIにおいて、外面64aoおよび内面64aiのいずれか一方はN極であり、他方はS極である。
【0156】
第2マグネット64bIは、軸方向Aから視た場合、径方向Rにおけるステータ側R1に位置する外面64boと、径方向Rにおける反対側R2に位置する内面64biと、周方向Cにおいて対向する一対の側面64bs1、64bs2と、を備える。第2マグネット64bIにおいて、外面64boおよび内面64biのいずれか一方はN極であり、他方はS極である。
【0157】
第3マグネット64cIは、軸方向Aから視た場合、径方向Rにおけるステータ側R1に位置する外面64coと、径方向Rにおける反対側R2に位置する内面64ciと、周方向Cにおいて対向する一対の側面64cs1、64cs2と、を備える。第3マグネット64cIにおいて、外面64coおよび内面64ciのいずれか一方はN極であり、他方はS極である。
【0158】
周方向Cにおいて接触する第2マグネット64bIと第3マグネット64cとは、いずれか一方の外面64bo、64coがN極である場合、他方の外面64bo、64coはS極である。そして、径方向Rにおいて、ティース51bと磁極片622とが対向する状態において、第1マグネット64aI、第2マグネット64bI、および、第3マグネット64cIによって発生する磁力の向きは、例えば、
図24に示す矢印のようになる。
【0159】
ロータコア60IAは、同一形状の磁性体61を、軸方向Aに積層することによって形成される。
【0160】
磁性体61は、環状部621と、磁極片622と、環状部621および磁極片622を連結する連結部623Iと、を有する。
【0161】
磁極片622の周方向Cに延在する外周面622oは、径方向Rにおけるステータ側R1から視た場合には側面であり、径方向Rに延在する凹部622cを有する。
【0162】
連結部623Iは、1つの磁極片622に対して2つ設けられ、第1マグネット62aIの周方向Cの両側にそれぞれ配置される。
【0163】
そして、複数の磁性体61は、軸方向Aにおいて積層される。そのため、磁性体61における複数の各部によって、
図21に示すロータコア60Iの各部が形成される。
【0164】
次に、本実施形態に係るロータコア60Iの凹部622cの作用・効果について、
図25を用いて説明する。
図25は、
図22に示すロータ6Iの一部、および、ステータ5の一部を示す断面図である。
【0165】
図25中、符号622Sを付した磁極片において、凹部622cに対する回転方向C1側に位置する磁極片622Sの一部S1は、径方向Rにおいて、符号51bNを付したティースと対向する。
【0166】
また、磁極片622Sに対して接触し、かつ、この磁極片622Sに対して回転方向C1側に位置する第2マグネットには、符号64b0Iを付す。この第2マグネット64b0Iは、径方向Rにおいて、ティース51bnと対向する。それらのため、磁極片622Sの一部S1、および、ティース51bnには、多数の磁力線が形成され、これらの部分の磁力は大きい。
【0167】
一方、
図25中、磁極片622Sにおいて、凹部622cに対する逆回転方向C2側に位置する磁極片622Sの一部S2は、隣り合う2つのティース51bの間にあるコイル53に対向しており、ティース51bnに対して非対向状態である。
【0168】
その上、磁極片622Sの一部S2は、ティース51bnに対して逆回転方向C2側に位置し、隣り合う2つのティース51bの間にあるコイル53に対向しており、符号51bSを付したティースに対して非対向状態である。
【0169】
しかも、第2マグネット64b0Iとティース51bSとの間には、凹部622cが位置し、凹部622cには空気が存在する。そして、空気は、非磁性体であって、空気の透磁率は、ロータコア60を形成する磁性材料の透磁率よりも小さい。
【0170】
このため、第2マグネット64b0Iとティース51bSとの間に位置する磁極片622Sの一部S2に発生する磁力は、凹部622cによって、上記した磁極片622Sの一部S1と比較して、磁力線の数が少ない。つまり、磁極片622Sの一部S2の磁力は、磁極片622Sの一部S1の磁力より弱い。
【0171】
同様の理由により、第2マグネット64b0Iに対して、逆回転方向C2側に位置する第3マグネット64cIとティース51bNとによって発生する磁極片622Sの一部S2の磁力は、磁極片622Sの一部S1の磁力より弱い。したがって、このロータ6Iでは、径方向Rにおいて、ティース51bと対向する磁極片622の一部の磁力が大きく、その磁力と比べて、ティース51bと非対向状態の磁極片622の一部との磁力が小さい。その結果、ロータ6Iは、回転方向C1側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができ、かつ、逆回転方向C2側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができるため、コギングトルクを抑制することができる。
【0172】
以上に説明したように、本実施形態に係るロータ6Iは、周方向Cに配置された複数のマグネット64Iと、複数の磁極片622と、を備え、周方向Cにおいて、複数のマグネット64Iのうち、隣接する2つのマグネット64Iに接触する磁極片622があり、磁極片622の周方向Cに延在する外周面(側面)622oは、径方向Rに延在する凹部622cを備える。そのため、本実施形態に係るロータ6Iは、コギングトルクを抑制することができる。
【0173】
[第3実施形態の第1変形例]
次に、第3実施形態の第1変形例に係るロータ6Jについて、
図26を用いて説明する。
図26は、第3実施形態の第1変形例に係るロータ6Jを用いたモータ1Jの一部の平面図である。
【0174】
第3実施形態の第1変形例に係るロータ6Jにおいて、軸方向Aから視た場合、第2マグネット64bJの径方向Rにおける反対側R2には、第1間隙64bhが形成される。第1間隙64bhは、周方向Cにおいて、第1マグネット64aの側面64as1に対向する。
【0175】
この第1間隙64bhには空気が存在する。そのため、第1間隙64bhに存在する空気は、周方向Cにおいて、第1マグネット64aJの側面64as1から第2マグネット64bJへ向かう磁束を抑制する、フラックスバリアとして機能する。
【0176】
また、ロータ6Jにおいて、軸方向Aから視た場合、第3マグネット64cJの径方向Rにおける反対側R2には、第2間隙64chが形成される。第2間隙64chは、周方向Cにおいて、第1マグネット64aJの側面64as2に隣接する。
【0177】
この第2間隙64chには空気が存在する。そのため、第2間隙64chに存在する空気は、周方向Cにおいて、第1マグネット64aJの側面64as2から第3マグネット64cJへ向かう磁束を抑制する、フラックスバリアとして機能する。
【0178】
図27は、
図26と同一の部分を示す断面図であって、各部の磁力線を示す平面図である。
【0179】
図27中、符号622Sを付した磁極片において、凹部622cに対する回転方向C1側に位置する磁極片622Sの一部S1は、径方向Rにおいて、符号51bNを付したティースと対向する。
【0180】
また、磁極片622Sに対して接触し、かつ、この磁極片622Sに対して回転方向C1側に位置する第2マグネットには、符号64b0Iを付す。この第2マグネット64b0Iは、径方向Rにおいて、ティース51bnと対向する。
【0181】
それらのため、磁極片622Sの一部S1、および、ティース51bnには、多数の磁力線が形成され、これらの部分の磁力は大きい。
【0182】
一方、
図27中、磁極片622Sにおいて、凹部622cに対する逆回転方向C2側に位置する磁極片622Sの一部S2は、ティース51bnに対して非対向状態である。
【0183】
その上、磁極片622Sの一部S2は、ティース51bnに対して逆回転方向C2側に位置し、符号51bSを付したティースに対して非対向状態である。
【0184】
しかも、第2マグネット64b0Iとティース51bSとの間には、凹部622cが位置し、凹部622cには空気が存在する。そして、空気は、非磁性体であって、空気の透磁率は、ロータコア60を形成する磁性材料の透磁率よりも小さい。
【0185】
このため、第2マグネット64b0Iとティース51bSとの間に位置する磁極片622Sの一部S2に発生する磁力は、凹部622cによって、上記した磁極片622Sの一部S1と比較して、磁力線の数が少ない(磁力性の数が少ない部分を
図27において〇で示す)。つまり、磁極片622Sの一部S2の磁力は、磁極片622Sの一部S1の磁力より弱い。
【0186】
同様の理由により、第2マグネット64b0Iに対して、逆回転方向C2側に位置する第3マグネット64c0Iとティース51bNとによって発生する磁極片622Sの一部S2の磁力は、磁極片622Sの一部S1の磁力より弱い。したがって、このロータ6Jでは、径方向Rにおいて、ティース51bと対向する磁極片622の一部の磁力が大きく、その磁力と比べて、ティース51bと非対向状態の磁極片622の一部との磁力が小さい。その結果、ロータ6Jは、回転方向C1側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができ、かつ、逆回転方向C2側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができるため、コギングトルクを抑制することができる。
【0187】
以上に説明したように、本変形例に係るロータ6Jは、周方向Cに配置された複数のマグネット64Jと、複数の磁極片622と、を備え、周方向Cにおいて、複数のマグネット64Jのうち、隣接する2つのマグネット64Jに接触する磁極片622があり、磁極片622の周方向Cに延在する外周面(側面)622oは、径方向Rに延在する凹部622cを備える。そのため、本実施形態に係るロータ6Jは、コギングトルクを抑制することができる。
【0188】
[第3実施形態の第2変形例]
次に、第3実施形態の第2変形例に係るロータ6K等について、
図28、
図29、
図30を用いて説明する。
図28は、第3実施形態の第2変形例に係るロータ6Kを用いたモータ1Kの平面図である。
図29は、
図28に示すモータ1Kの一部を示す平面図である。
図30は、
図29と同一の部分を示す平面図であって、各部の磁力線を示す平面図である。なお、
図28、
図29において、ティース51bの両側に位置する×は、ティース51bに巻き回されてコイル53を形成する巻線を省略して示したものである。
【0189】
第3実施形態の第2変形例に係るモータ1Kは、軸方向Aから視た場合、ロータ6Kを基準とすると、当該ロータ6Kの径方向Rの内側にステータ5Kが位置する。つまり、第3実施形態の第2変形例に係るモータ1Kは、アウターロータ型のブラシレスモータである。また、当該ロータ6Kの径方向Rの内側に不図示のシャフトが位置する。そこで、本変形例に係るモータ1Kでは、径方向Rにおける内側をステータ側R11と呼び、径方向Rにおける外側を反対側R12と呼び、
図28~
図30において、径方向Rにおけるステータ側をR11で示し、径方向Rにおける反対側をR12で示す。
【0190】
本変形例に係るロータコア60Kは、径方向Rにおける反対側R12に環状部621Kが設けられ、径方向Rにおけるステータ側R11に磁極片622Kが設けられる。
【0191】
そして、本変形例に係るロータ6Kのロータコア60の環状部621Kにおける内周面(側面)621iには、凹部622cKが形成される。より具体的に説明すると、凹部622cKは、環状部621Kに形成される。そして、凹部622cKは、第1マグネット64aKの径方向Rの内側(つまり径方向Rにおけるステータ側R11)に位置する。また、凹部622cKは、第1マグネット64aKの周方向Cにおいて隣接する第2マグネット64bKと第3マグネット64cKとの間(例えば、これらのマグネット64の中央)に位置する。
【0192】
図30中、符号622Sを付した磁極片において、凹部622cKに対する回転方向C1側に位置する磁極片622Sの一部S1は、径方向Rにおいて、符号51bNを付したティースと対向する。
【0193】
また、磁極片622Sに接触し、かつ、この磁極片622Sに対して回転方向C1側に位置する第2マグネットには、符号64b01を付す。この第2マグネット64b01には、径方向Rにおいて、ティース51bNと対向する。
【0194】
それらのため、磁極片622Sの一部S1、および、ティース51bnには、多数の磁力線が形成され、これらの部分の磁力は大きい。
【0195】
一方、
図30中、磁極片622Sの一部S1において、凹部622cKに対する逆回転方向C2側に位置する磁極片622Sの一部S2は、ティース51bNに対して非対向状態である。
【0196】
その上、磁極片622Sの一部S2は、ティース51bNの逆回転方向C2側に位置し、符号51bSを付したティースに対して非対向状態である。
【0197】
しかも、第2マグネット64b01に対して逆回転方向C2側に位置し、符号64aKを付した第1マグネットと、ティース51bNとの間には、凹部622cKが位置し、凹部622cKには空気が存在する。そして、空気は、非磁性体であって、空気の透磁率は、ロータコア60Kを形成する磁性材料の透磁率よりも小さい。
【0198】
このため、磁極片622Sの一部S2に発生する磁力は、凹部622cによって、上記した磁極片622Sの一部S1と比較して、磁力線の数が少ない(磁力性の数が少ない部分を
図30において〇で示す)。つまり、磁極片622Sの一部S2の磁力は、磁極片622Sの一部S1の磁力より弱い。
【0199】
同様の理由により、第2マグネット64b0Iに対して、回転方向C1側に位置する第3マグネット64c1Iとティース51bS2とによって発生する磁極片622Nの一部N2の磁力は、磁極片622Sの一部S1の磁力より弱い。したがって、このロータ6Kでは、径方向Rにおいて、ティース51bと対向する磁極片622の一部の磁力が大きく、その磁力と比べて、ティース51bと非対向状態の磁極片622の一部との磁力が小さい。その結果、ロータ6Kは、回転方向C1側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができ、かつ、逆回転方向C2側の非対向状態のティース51bに引っ張られることを抑制することができるため、コギングトルクを抑制することができる。
【0200】
以上に説明したように、本変形例に係るロータ6Kは、周方向Cに配置された複数のマグネット64Kと、複数の磁極片622Kと、を備え、周方向Cにおいて、複数のマグネット64Kのうち、隣接する2つのマグネット64Kに接触する磁極片622Kがあり、磁極片622Kの周方向Cに延在する外周面(側面)622oは、径方向Rに延在する凹部622cKを備える。そのため、本変形例に係るロータ6Kは、コギングトルクを抑制することができる。
【0201】
以上、ロータ6、6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6I、6J、6K等の実施形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。上述した各実施形態および変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0202】
1、1A、1H、1I、1J、1K モータ、 2 筐体、 4 シャフト、 5 ステータ、 53 コイル、 6、6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6I、6J、6K ロータ、 621、621B、621K 環状部、 622、622B、622F、622G、622K 磁極片、 622c、622cK 凹部、 622cL 凹部の長さ、 622i 内周面(内面)、 622L 磁極片の長さ、 622o 外周面(側面)、 64、64I、64J、64K マグネット、 64a、64aI、64aJ、64aK 第1マグネット、 64b、64bI、64bJ、64bK 第2マグネット、 100 電子機器、 C 周方向、 R 径方向