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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157906
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A63F5/04 602A
A63F5/04 605B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072569
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 功太郎
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 将吾
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純也
(72)【発明者】
【氏名】西澤 暢
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CA02
2C182CB04
2C182CB10
2C182CD34
(57)【要約】
【課題】遊技を適切に進行する。
【解決手段】遊技価値の貸出を行う特定ユニットと接続可能な遊技機は、遊技の用に供することができる遊技価値の総数である遊技価値数(遊技メダル数)を遊技の進行に応じて更新する制御手段と、遊技価値数を表示する価値表示手段と、精算操作を受け付ける精算操作手段と、計数操作を受け付ける計数操作手段と、を備え、制御手段は、精算操作手段がONになった場合、遊技価値数を増加させる精算処理を実行可能であり、計数操作手段がONになった場合、遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、精算操作手段のONが維持されている状況下で計数操作手段がONになった場合であっても、計数処理を実行可能である。
【選択図】図64
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技価値の貸出を行う特定ユニットと接続可能な遊技機であって、
遊技の用に供することができる前記遊技価値の総数である遊技価値数を遊技の進行に応じて更新する制御手段と、
前記遊技価値数を表示する価値表示手段と、
精算操作を受け付ける精算操作手段と、
計数操作を受け付ける計数操作手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記精算操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を増加させる精算処理を実行可能であり、
前記計数操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、
前記精算操作手段のONが維持されている状況下で前記計数操作手段がONになった場合であっても、前記計数処理を実行可能である、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンの遊技性を維持しつつ、実物のメダルの介在なしに遊技を進行することができるスマートパチスロが検討されている(例えば、特許文献1)。また、パチンコ機を封入循環式にして遊技者が遊技球に触れることなく遊技を進行することができるスマートパチンコが検討されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-134014号公報
【特許文献2】特開2020-156551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスマートパチスロやスマートパチンコでは、遊技機の外部に、遊技球やメダル等の遊技媒体を流通させるための経路を設ける必要がなくなり、スマートパチスロにおいては、物理的な遊技媒体自体が不要となる。このように、スマートパチスロでは、遊技媒体自体が使用されず、スマートパチンコにおいては非磁性の遊技球を用いることで、金属製の遊技媒体を使用することを前提とするゴト行為を防止することが可能となる。また、遊技機内に遊技媒体の投入や払い出しを行う機構を設ける必要がなくなるので、設計コストや製造コストを削減することができる。さらに、遊技者への遊技媒体の貸し出しや、獲得した遊技媒体の計数等を一元管理することで、不正防止や射幸性を抑制することが可能となる。
【0005】
一方、物理的な遊技媒体の代わりに、電子的な遊技媒体(遊技価値)や非磁性の遊技媒体を利用するための構成に対し、電子的な遊技媒体を管理しつつ、遊技を適切に進行する新たな仕組みが必要となる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、遊技を適切に進行することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、遊技価値の貸出を行う特定ユニットと接続可能な遊技機は、遊技の用に供することができる前記遊技価値の総数である遊技価値数を遊技の進行に応じて更新する制御手段と、前記遊技価値数を表示する価値表示手段と、精算操作を受け付ける精算操作手段と、計数操作を受け付ける計数操作手段と、を備え、前記制御手段は、前記精算操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を増加させる精算処理を実行可能であり、前記計数操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、前記精算操作手段のONが維持されている状況下で前記計数操作手段がONになった場合であっても、前記計数処理を実行可能である。
上記課題を解決するために、遊技価値の貸出を行う特定ユニットと接続可能な遊技機は、遊技の用に供することができる前記遊技価値の総数である遊技価値数を遊技の進行に応じて更新する制御手段と、前記遊技価値数を表示する価値表示手段と、計数操作を受け付ける計数操作手段と、精算操作を受け付ける精算操作手段と、を備え、前記制御手段は、前記計数操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、前記精算操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を増加させる精算処理を実行可能であり、前記計数操作手段のONが維持されている状況下で前記精算操作手段がONになった場合であっても、前記精算処理を実行可能である。
上記課題を解決するために、遊技価値の貸出を行う特定ユニットと接続可能な遊技機は、遊技の用に供することができる前記遊技価値の総数である遊技価値数を遊技の進行に応じて更新する制御手段と、前記遊技価値数を表示する価値表示手段と、投入操作を受け付ける投入操作手段と、を備え、前記遊技価値数を増加させる貸出処理が実行されることがあり、前記制御手段は、前記投入操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を減少させる投入処理を実行可能であり、前記貸出処理が実行されている状況下で前記投入操作手段がONになった場合であっても、前記投入処理を実行可能である。
上記課題を解決するために、遊技価値の貸出を行う特定ユニットと接続可能な遊技機は、遊技の用に供することができる前記遊技価値の総数である遊技価値数を遊技の進行に応じて更新する制御手段と、前記遊技価値数を表示する価値表示手段と、投入操作を受け付ける投入操作手段と、計数操作を受け付ける計数操作手段と、を備え、前記制御手段は、前記投入操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を減少させる投入処理を実行可能であり、前記計数操作手段がONになった場合、前記遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、前記投入操作手段のONが維持されている状況下で前記計数操作手段がONになった場合であっても、前記計数処理を実行可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技を適切に進行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】スマートパチスロの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
図2】スマートパチスロおよび専用ユニットの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図3】スマートパチスロおよび専用ユニットの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
図4】遊技メダル数表示装置の機械的構成を説明するための外観図である。
図5】主制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
図6】メダル数制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
図7】メダル数制御基板のタイマ割込み処理を示したフローチャートである。
図8】他の基板構成を説明するための説明図である。
図9】ケースの封入態様を説明するための説明図である。
図10】スマートパチスロの各機能を実行するCPUおよび領域を説明するための説明図である。
図11】遊技機情報通知のフォーマットを説明するための説明図である。
図12】遊技機情報通知のフォーマットを説明するための説明図である。
図13】遊技機情報通知のフォーマットを説明するための説明図である。
図14】遊技機情報通知のフォーマットを説明するための説明図である。
図15】計数通知のフォーマットを説明するための説明図である。
図16】貸出受領結果応答のフォーマットを説明するための説明図である。
図17】貸出通知のフォーマットを説明するための説明図である。
図18】遊技機情報通知、計数通知、貸出通知、貸出受領結果応答の通知タイミングを示したタイミングチャートである。
図19】遊技機情報通知の送信タイミングを説明するための説明図である。
図20】メダルCPUにおける計数スイッチ監視処理の流れを示したフローチャートである。
図21】メダルCPUにおける計数処理の流れを示したフローチャートである。
図22】メダルCPUにおける計数スイッチ監視処理の変形例の流れを示したフローチャートである。
図23】メダルCPUにおける計数処理の変形例の流れを示したフローチャートである。
図24】計数処理を説明するためのタイミングチャートである。
図25】遊技メダル数の表示態様を説明するためのタイミングチャートである。
図26】メダルCPUにおける計数スイッチ処理の流れを示したフローチャートである。
図27】計数メダル数の設定を説明するタイムチャートである。
図28】複数回の信号をすべて有効に処理する変形例にかかる計数スイッチ処理の流れを示したフローチャートである。
図29】複数回の信号をすべて有効に処理する変形例にかかる計数メダル数の設定を説明するタイムチャートである。
図30】遊技音と計数音とが重複するときの動作を説明する図である。
図31】演出制御手段が実行する計数音処理を説明するフローチャートである。
図32】主制御基板で管理されるエラーを説明するための説明図である。
図33】メダル数制御基板で管理されるエラーを説明するための説明図である。
図34】演出制御手段が実行する音量制御処理の流れを説明するフローチャートである。
図35】メダルCPUにおけるコマンド受信処理の流れを示したフローチャートである。
図36】メダルCPUにおけるメーカコード確認処理の流れを示したフローチャートである。
図37】メダルCPUにおけるコマンド受信処理の流れを示したフローチャートである。
図38】メダルCPUにおけるコマンド受信処理の流れを示したフローチャートである。
図39】不正防止信号の出力処理の流れを示したフローチャートである。
図40】不正防止信号の出力処理の流れを示したフローチャートである。
図41】コマンド監視処理の流れを示したフローチャートである。
図42】コマンド監視処理の流れを示したフローチャートである。
図43】コマンド監視処理の流れを示したフローチャートである。
図44】電源投入時の通信仕様を示したフローチャートである。
図45】操作時の通信仕様を示したフローチャートである。
図46】遊技終了時の通信仕様を示したフローチャートである。
図47】メダルCPUにおけるベット処理の流れを示したフローチャートである。
図48】ベット処理の実際の計算例を示した説明図である。
図49】メインCPUとメダルCPUとの通信態様を説明したタイミングチャートである。
図50】メインCPUとメダルCPUとの通信態様を説明したタイミングチャートである。
図51】設定変更中信号の更新処理を示したフローチャートである。
図52】設定確認中信号の更新処理を示したフローチャートである。
図53】メインCPUとメダルCPUとの通信処理の比較例を示した説明図である。
図54】コマンドの1バイト送信の概念を示したフローチャートとコマンドを示した図である。
図55】メインCPUとメダルCPUとの通信処理を示した説明図である。
図56】メインCPUとサブCPUとの通信処理を説明するための説明図である。
図57】メインCPUとサブCPUとの他の通信処理を説明するための説明図である。
図58】通信処理を説明するためのフローチャートである。
図59】電子化メダルの表示態様を説明するための説明図である。
図60】電子化メダルの表示態様を説明するための説明図である。
図61】主制御基板の初期化処理を示したフローチャートである。
図62】メダル数制御基板の初期化処理を示したフローチャートである。
図63】ベットスイッチとの重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。
図64】精算スイッチとの重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。
図65】計数スイッチとの重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。
図66】貸出スイッチとの重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。
図67】3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。
図68】3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの他の転送態様を示した説明図である。
図69】3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの他の転送態様を示した説明図である。
図70】3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの他の転送態様を示した説明図である。
図71】遊技機情報表示を説明するための説明図である。
図72】遊技機情報表示およびのめり込み防止表示を説明するための説明図である。
図73】遊技機情報表示、のめり込み防止表示、および、示唆表示を説明するための説明図である。
図74】示唆表示を説明するための説明図である。
図75】所持数警告報知およびエラー報知の表示態様を示した説明図である。
図76】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図77】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図78】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図79】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図80】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図81】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図82】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図83】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図84】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図85】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図86】報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。
図87】スマートパチスロの試射試験を説明するための説明図である。
図88】スロットマシンの動作を説明するための説明図である。
図89】スマートパチスロの動作を説明するための説明図である。
図90】実施例に係る遊技機の背面図である。
図91】実施例に係る遊技機のカバー部材が取り外された状態の背面図である。
図92】実施例に係る遊技機の副制御基板用の基板ケースを示す平面図である。
図93】実施例に係る遊技機のカバー部材を示す平面図である。
図94】実施例に係る遊技機の枠制御基板用の基板ケースを示す斜視図である。
図95】実施例に係る遊技機の枠制御基板用の基板ケースの天面側部材が取り外された状態を示す斜視図である。
図96図95のX-X断面を示す断面図である。
図97】電界コンデンサの天面部を示す斜視図である。
図98】変形例に係る遊技機の枠制御基板用の基板ケースの構成を示す断面図である。
図99】第1状態の球戻り防止機構を示す部分拡大図である。
図100】第2状態の球戻り防止機構を示す部分拡大図である。
図101】第3状態の球戻り防止機構を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
(第1実施形態:スマートパチスロ100)
スマートパチスロ100は、スロットマシンの遊技性を維持しつつ、実物のメダルの介在なしに遊技を進行することができる。なお、スロットマシンは、従来から存在する一般的な遊技機であり、実物のメダルを介在させて遊技を進行する点でスマートパチスロ100と異なる。スマートパチスロ100では、実物のメダルの代わりに、遊技に供する電子的な遊技価値として電子化メダルが用いられる。
【0012】
(スマートパチスロ100の機械的構成)
図1の外観図に示すように、遊技機としてのスマートパチスロ100は、筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられている。筐体102内の図柄表示窓108に対応する位置には、3つのリール110(左リール110a、中リール110b、右リール110c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cの外周面には、例えば20に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されている。遊技者は、図柄表示窓108を通じて、上段、中段、下段に位置する、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する合計9個の図柄を視認することができる。
【0013】
前面下扉106の上部には操作部設置台111が形成され、操作部設置台111には、計数スイッチ112、遊技メダル数表示装置114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、精算スイッチ121、演出スイッチ122、メインセグメント表示部130等が設けられている。
【0014】
計数スイッチ112は、押圧スイッチで構成され、スマートパチスロ100で電子的に保持された、遊技の用に供することができる電子化メダルの一部または全部を後述する専用ユニット350に転送する操作を検出する。計数スイッチ112の操作には、500msec未満の短押しと500msec以上の長押しが準備されている。計数スイッチ112の短押しでは、操作毎に電子化メダルが1枚計数され、長押しでは、500msec以降における、300msec毎の計数通知を行うタイミングで電子化メダルが50枚ずつ計数される。かかるスマートパチスロ100で電子的に保持された、遊技の用に供することが可能な電子化メダルの総数である遊技価値数を「遊技メダル数」と称し、遊技メダル数を保持する記憶部を「メダル保持部」と称する場合がある。
【0015】
遊技メダル数表示装置114は、メダル保持部に保持された電子化メダルの総数、すなわち遊技メダル数を表示する。ただし、遊技メダル数にはベットした電子化メダルは含まれない。したがって、遊技メダル数表示装置114には、遊技者が獲得した電子化メダルから、ベットした電子化メダルの数を減算した数が表示される。なお、遊技メダル数の表示は、遊技者が視認できる位置に配された5桁または6桁の7セグメントの表示器等で以下のように表される。すなわち、その数値範囲は、1営業日における最大差枚数を勘案して0~16382(16368枚+1遊技での最大払出枚数(15枚)-最小投入枚数(1枚))で表され、有意な数値の上位の桁が0となる場合、その数値を空白(消灯)とする。ここで、その数値が、所定の警告値、例えば、15000以上となると、遊技者に計数を促す所持数警告報知を実行し、電子化メダルの貸出処理を制限するとともに、試験用計数信号を約3500msecの間出力する。なお、警告値は15000に限らず、様々な値を設定することができる。ただし、所持数警告報知が実行されても、遊技者は遊技を引き続き継続可能である。したがって、遊技メダル数は増加する場合がある。そして、その数値が、所定の保持上限値、例えば、16369以上となった場合、エラー報知(メダルオーバーエラー報知)を実行し、遊技の進行を制限する。具体的には、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、精算スイッチ121の受付を禁止する。なお、その数値が16369以上となった場合の代わりに、その数値が16369以上となりそうな場合に、遊技者により計数が実行されるまで電子化メダルの払出を禁止するとしてもよい。例えば、その数値が、16369から、1遊技で取得可能な最大差枚数である12枚(最大払出枚数(例えば15枚)-規定数(例えば3枚))を減算した16357以上となった場合に遊技を停止させるとしてもよい。また、遊技メダル数表示装置114は、スマートパチスロ100で保持される遊技メダル数が更新されてから概ね300msec以内に、更新された遊技メダル数を反映して表示する。なお、保持上限値は16369に限らず、様々な値を設定することができる。
【0016】
ベットスイッチ116は、メダル保持部に保持された遊技メダル数のうち、所定数の電子化メダルを投入(ベット)する。なお、ベットスイッチ116には、1遊技で必要とされる規定数の電子化メダルを投入(ベット)するマックスベットスイッチ、規定数の範囲内で1枚分の電子化メダルを追加的に投入する1ベットスイッチが含まれる。
【0017】
スタートスイッチ118は、例えば傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。ストップスイッチ120(ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120c)は、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応して設けられており、遊技者の停止操作を検出する。精算スイッチ121は、ベットスイッチ116の1回の操作によりベットされた電子化メダルの全てをメダル保持部に返却する(遊技メダル数に加算する)操作を検出する。演出スイッチ122は、例えば、押圧スイッチと上下左右に配置された十字スイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。メインセグメント表示部130は、並置された2つの7セグメントで構成され、例えば、エラーの種別を示すエラーコードが表示される。
【0018】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部124が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ126が設けられる。また、前面下扉106の左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ128が設けられている。
【0019】
スマートパチスロ100では、遊技が開始可能となり、規定数の電子化メダルがベットされると、有効ラインが有効化するとともに、スタートスイッチ118に対する操作が有効となる。ここで、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてメダル保持部に保持されている遊技メダル数の一部を投入する場合と、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、有効ラインは、当選役の入賞を判定するためのラインである。
【0020】
そして、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、遊技が開始され、当選種別抽選等の各処理が実行されるとともに、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御される。その後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cをそれぞれ停止する。そして、当選種別抽選の抽選結果および有効ラインに表示された図柄の組み合わせによって、電子化メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合には当選役に対応する数の電子化メダルがメダル保持部へ払い出されて(遊技メダル数に加算されて)遊技が終了する。電子化メダルの払い出しを受け得る当選種別に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合には左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって、遊技が終了する。
【0021】
なお、本実施形態において、上記1遊技は、ベットスイッチ116の操作を通じたメダル保持部に保持された遊技メダル数の一部の電子化メダルの投入、または、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づく電子化メダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御されるとともに当選種別抽選が実行され、当選種別抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ120a、120b、120cに対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cがそれぞれ停止制御され、電子化メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合、その電子化メダルの払い出しが実行されるまでの遊技を言う。また、電子化メダルの払い出しを受け得る当選種別に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記の電子化メダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ118の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
【0022】
(スマートパチスロ100の電気的構成)
図2は、スマートパチスロ100および専用ユニット350の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図2に示すように、スマートパチスロ100と専用ユニット350とは遊技球等貸出装置接続端子板206を介して電気的に接続されている。スマートパチスロ100には、遊技の進行を制御する主制御基板200(主制御部)と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板202(副制御部)と、メダル保持部に保持される電子化メダルの数(遊技メダル数)を制御するメダル数制御基板204とを含む制御基板が設けられている。なお、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。また、専用ユニット350には、スマートパチスロ100に対し電子化メダルを送受信する専用ユニット制御基板360が設けられている。
【0023】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スマートパチスロ100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
【0024】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314、コマンド送受信手段316等の機能部を有する。
【0025】
主制御基板200では、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118およびストップスイッチ120a、120b、120c、精算スイッチ121から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
【0026】
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するための電子化メダルをベットする。当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。
【0027】
リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。
【0028】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
【0029】
判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることを単に入賞と言う場合がある。払出制御手段310は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数(価値量)だけ電子化メダルをメダル保持部に払い出す。
【0030】
遊技状態制御手段312は、当選種別抽選の結果や判定手段308の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。また、演出状態制御手段314は、当選種別抽選の結果、判定手段308の判定結果、遊技状態の遷移情報を参照し、複数種類の演出状態のいずれかに演出状態を移行させる。遊技状態には、非内部遊技状態、非内部遊技状態においてボーナス役に当選することで移行される内部中遊技状態、内部中遊技状態においてボーナス役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されることで移行されるボーナス遊技状態が含まれる。また、演出状態には、特定役(正解役)と他の当選役(不正解役)とが重複した当選種別に当選した際に、特定役の入賞を補助する補助演出を実行しない非AT(アシストタイム)演出状態と、補助演出を実行するAT演出状態とが含まれる。なお、特定役は、その当選役が入賞したことによる電子化メダルの払い出しのみならず、その当選役が入賞することで得られる全ての遊技利益を含めて他の当選役より有利な当選役を言う。
【0031】
コマンド送受信手段316は、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。また、コマンド送受信手段316は、ベット手段302、払出制御手段310等の動作に伴う、電子化メダルの転送に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドをメダル数制御基板204に順次送信し、そのコマンドに対する返信をメダル数制御基板204から受信する。
【0032】
また、主制御基板200には、乱数発生器(乱数生成手段)200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定回数分計数すると計数値をリセットする(数列を変更して初期値を定める)ことで、所定の数値範囲内で計数値をループさせる。主制御基板200では、所定の時点において乱数発生器200dから計数値を抽出することで乱数値を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数値(以下、当選種別抽選乱数と言う)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選種別抽選手段304が当選種別を決定するために用いられる。
【0033】
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器(乱数生成手段)202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数値(以下、演出抽選乱数と言う)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0034】
また、副制御基板202では、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
【0035】
初期化手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。
【0036】
演出制御手段334は、演出スイッチ122から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ126の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部124に表示される画像データや、演出用ランプ126等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ128から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。なお、演出には、補助演出も含まれる。
【0037】
(メダル数制御基板204)
また、メダル数制御基板204は、主制御基板200と接続され、中央処理装置であるメダルCPU204a、プログラム等が格納されたメダルROM204b、ワークエリアとして機能するメダルRAM204c等を含む各種半導体集積回路を有し、遊技に供する電子化メダルを管理する。また、メダル数制御基板204には、7セグメントで構成され、例えば、エラーの種別を示すエラーコードが表示されるメダルセグメント表示部204dが設けられる。なお、メダルRAM204cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。また、メダル数制御基板204は、遊技球等貸出装置接続端子板206を通じて専用ユニット350と接続される。ここで、遊技球等貸出装置接続端子板206は、スマートパチスロ100と専用ユニット350とを接続するための接続端子板であり、電子化メダルの貸し出しに係る信号の受信、電子化メダルの貸出受領結果の送信、電子化メダルの計数に係る信号の送信、スマートパチスロ100の各情報の送信を行う。
【0038】
また、メダル数制御基板204では、メダルCPU204aが、メダルROM204bに格納されたプログラムに基づき、メダルRAM204cと協働することで機能する、初期化手段340、コマンド送受信手342、メダル数更新手段344等の機能部を有する。初期化手段340は、メダル数制御基板204における初期化処理を実行する。コマンド送受信手段342は、主制御基板200、専用ユニット制御基板360等、他の制御基板からのコマンドや通知を受信するとともに、そのコマンドに対する返信処理を行う。メダル数更新手段344は、主制御基板200から受信したコマンド、または、後述する専用ユニット350から受信した通知に応じ、主として、メダル保持部に保持された遊技メダル数の更新(加算、減算)を行う。
【0039】
(専用ユニット350)
専用ユニット350は、スマートパチスロ100の近傍に設置され、遊技者に電子化メダルを貸し出したり、遊技者が獲得した電子化メダルを計数することができる。専用ユニット350には、専用ユニット制御基板360が設けられる。専用ユニット制御基板360には、現金投入部362、カード挿入部364、貸出スイッチ366、返却スイッチ368、遊技スイッチ370、度数表示装置372、獲得メダル数表示装置374が接続される。
【0040】
現金投入部362は、現金を投入する投入口として機能する。カード挿入部364は、電子化メダルを蓄積可能なカード媒体の挿入および引出を可能とする。貸出スイッチ366は、押圧スイッチで構成され、専用ユニット350で保持する現金の度数に対応する電子化メダルをスマートパチスロ100に転送する操作を検出する。返却スイッチ368は、押圧スイッチで構成され、専用ユニット350で保持する電子化メダルをカード媒体に転送し、そのカード媒体を、カード挿入部364を通じて専用ユニット350から引き出す操作を検出する。遊技スイッチ370は、押圧スイッチで構成され、専用ユニット350で保持する電子化メダルをスマートパチスロ100に転送する操作を検出する。度数表示装置372は、専用ユニット350で保持する度数、すなわち、現金投入部から投入された現金に相当する度数を表示する。獲得メダル数表示装置374は、専用ユニット350で保持する電子化メダルの総数である獲得メダル数を表示する。
【0041】
図3は、スマートパチスロ100および専用ユニット350の概略的な機械的構成を説明するための外観図である。ここでは、図3を参照しつつ、スマートパチスロ100において遊技を開始する流れと、遊技を終了する流れを説明する。
【0042】
遊技者は、スマートパチスロ100において遊技を試みる場合、まず、図3に示す専用ユニット350の現金投入部362に現金を投入する。そうすると、専用ユニット350の度数表示装置372に、投入した現金に相当する度数(例えば、千円の投入に対し「10」)が表示される。遊技者が、貸出スイッチ366を操作すると、専用ユニット350で保持する度数に対応する電子化メダル(例えば「50」)がスマートパチスロ100に一度に転送される。そうすると、スマートパチスロ100の遊技メダル数表示装置114に転送された電子化メダルの枚数(例えば「50」)が表示される。このように、専用ユニット制御基板360からスマートパチスロ100のメダル数制御基板204に電子化メダルが貸し出される処理を貸出処理と言う場合がある。具体的に、スマートパチスロ100は、専用ユニット350から後述する貸出通知を受信した場合に、貸出通知が正常であれば、電子化メダルの転送を受け、貸出受領結果応答において「正常」と通知する。一方、貸出通知のうち電文長とコマンドの値は正常だが、その他の情報が異常である場合、スマートパチスロ100は、後述する貸出受領結果応答において「異常」と通知する。また、貸出通知を正常に受信していない、または、貸出通知の電文長とコマンドの値が異常な場合、スマートパチスロ100は、エラー表示を行うことなく、当該受信電文を破棄して、少なくとも電文長とコマンドとが正常な貸出通知を受信できるまで待機する。なお、貸出処理ができない場合、すなわち、後述する遊技機情報通知が異常である、後述する計数通知の計数メダル数(専用ユニット350に一度に転送する電子化メダルの数)が「1」以上である、遊技メダル数表示装置114に表示された遊技メダル数が15000枚以上である、受信した貸出通知のチェックサムが異常である、受信した貸出通知の貸出通番が連続していない、受信した貸出通知の貸出メダル数が「51」以上である、または、後述するメダルCPU204aから専用ユニット350へ送信する遊技機情報通知において、ホールコン・不正監視情報以外を通知している場合、スマートパチスロ100は、貸出受領結果応答において「異常」を通知する。
【0043】
続いて、遊技者が、ベットスイッチ116を操作すると、電子化メダルがベットされる。このとき、遊技メダル数表示装置114には、ベットされた電子化メダルの枚数(例えば「3」)が減算された値(例えば「47」)が表示される。こうして遊技者は、遊技を開始することが可能となる。このように、メダル数制御基板204から電子化メダルが投入(ベット)される処理を投入処理と言う場合がある。仮に、遊技の結果、払出枚数が11枚となる小役が入賞した場合、払い出された電子化メダルの枚数(例えば「11」)がペイアウト表示として液晶表示部124の一部分に表示されるとともに、遊技メダル数表示装置114には、払い出された電子化メダルの枚数が加算された値(例えば「58」)が表示される。このように、遊技の結果、電子化メダルがメダル数制御基板204に払い出される処理を払出処理と言う場合がある。
【0044】
なお、遊技者が、ベットスイッチ116を操作して電子化メダルがベットされた後であり、スタートスイッチ118が操作される(遊技開始)前に、精算スイッチ121が操作されると、ベットされた電子化メダルの枚数(例えば「3」)が遊技メダル数表示装置114に加算され(例えば「50」となり)、ベット状態が解除される。このように、投入されていた電子化メダルが精算されてメダル数制御基板204に加算される処理を精算処理と言う場合がある。なお、後述するように、精算処理と投入処理は、操作は異なるものの、操作に対応する処理自体は同じである。したがって、以下において、投入処理を用いて説明している箇所を、負の電子化メダルを投入するという解釈で精算処理に置き換えて適用することも可能である。
【0045】
遊技者は、遊技を終了すると、計数スイッチ112を操作し、メダル保持部に保持された遊技メダル数を専用ユニット350に転送する。そうすると、専用ユニット350の獲得メダル数表示装置374に、メダル保持部に保持されていた遊技メダル数が表示されるとともに、遊技メダル数表示装置114には「0」が表示される。このように、スマートパチスロ100のメダル数制御基板204から専用ユニット制御基板360に電子化メダルが転送されて計数される処理を計数処理と言う場合がある。続いて、遊技者が、返却スイッチ368を操作すると、専用ユニット350で保持する電子化メダルがカードに転送され、そのカードがカード挿入部364を通じて専用ユニット350から引き出される。こうして、遊技者は、獲得した電子化メダルをカード媒体に蓄積できる。
【0046】
遊技者は、再度、遊技を試みる場合、現金の代わりに、電子化メダルが蓄積されたカード媒体をカード挿入部364に挿入し、カード媒体に蓄積された電子化メダルで遊技することができる。そうすると、カード媒体に蓄積された電子化メダルが専用ユニット350に転送され、獲得メダル数表示装置374には、カード媒体に蓄積されていた電子化メダルの総数が表示される。遊技者は、貸出スイッチ366の代わりに、遊技スイッチ370を操作することで、専用ユニット350で保持する電子化メダルをスマートパチスロ100に転送することができる。
【0047】
なお、貸出スイッチ366や計数スイッチ112が操作されると、メダルCPU204aは、電子化メダルの貸出処理や計数処理を実行するとともに、メインCPU200aにその旨のコマンドを送信し、当該コマンドを受信したメインCPU200aは、サブCPU202aにその旨のコマンドを送信する。そして、サブCPU202aは、貸出処理や計数処理における、実際に電子化メダルが貸し出されるまたは計数されるのに伴って、電子化メダルの移動を表す所定の音をスピーカ128から出力する。なお、計数処理において、サブCPU202aは、計数スイッチ112の短押しおよび長押しのいずれにおいても所定の音をスピーカ128から出力するとしてもよいし、計数スイッチ112の短押しおよび長押しのいずれか一方においてのみ所定の音をスピーカ128から出力するとしてもよい。また、計数処理における計数スイッチ112の操作完了(例えば、押下離し)時に、サブCPU202aは、計数が完了したことを示す所定の音声を出力したり、計数処理の完了後に、カード挿入部364からのカードの引き出し忘れを防止する所定の音声を出力するとしてもよい。こうして、遊技者は、貸出処理や計数処理が適切に実行されていることを聴覚的に確認することができる。また、サブCPU202aは、スピーカ128に限らず、液晶表示部124、演出用ランプ126といった各デバイスを通じて、貸出処理や計数処理が実行されていることを報知してもよい。なお、ここでは、制御の主体としてCPU(中央処理装置)を例に挙げて説明しているが、MPU(Micro Processor Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等、演算可能な様々な演算素子を適用することができる。
【0048】
このようなスマートパチスロ100では、実物のメダルが不要となるので、疑似的にメダルを投入したり、不正に持ち込んだメダルを使用するゴト行為を防止することが可能となる。また、遊技機内に遊技媒体の投入や払い出しを行う機構を設ける必要がなくなるので、設計コストや製造コストを削減することができる。さらに、遊技者への遊技媒体の貸し出しや、獲得した遊技媒体の計数等を一元管理することで、不正防止が可能となる。また、データを一元管理することで、射幸性を抑制し、ひいては、依存症対策を強化することが可能となる。
【0049】
図4は、遊技メダル数表示装置114の機械的構成を説明するための外観図である。図4では、矢印F方向がスマートパチスロ100の前面方向を示し、矢印B方向がスマートパチスロ100の背面方向を示す。遊技メダル数表示装置114は遊技メダル数を表示する。
【0050】
図4に示すように、遊技メダル数表示装置114は、計数スイッチ112とともにハウジング113に収容される。ハウジング113は、図1に示すスマートパチスロ100の操作部設置台111のうち右上部に配置される。すなわち、遊技メダル数表示装置114は、実物のメダルを用いて遊技が進行するスロットマシンにおいてメダル投入口が配置されている位置と対応する位置に設けられる。これにより、スマートパチスロ100を導入することにより不要となるメダル投入口のスペースを有効利用できる。また、遊技メダル数表示装置114は、遊技メダル数を表示しているので、メダルの追加に用いられるメダル投入口と、メダル(電子化メダル)を扱う点で利用用途が共通し、遊技者は遊技メダル数表示装置114の存在に違和感を覚えることがない。
【0051】
また、遊技メダル数表示装置114は、7つの発光素子を有する7セグメントLEDである集合発光体L1~L5を含む。集合発光体L1~L5それぞれは、0~9のいずれかの数字を表示可能であり、セグメントを発光させることによって、遊技メダル数を表示する。なお、7セグメントLEDには数値の右下にドット「DP」が準備されているが、ここでは、ドットを発光しない、もしくは、発光できないようにLEDに信号線が接続されていない。これは、ドットを発光することで、遊技者が、それを小数点と誤認識してしまう可能性があるからである。
【0052】
図4に示すように、集合発光体L1~L5は、スマートパチスロ100の左右方向に並んで設けられている。したがって、図4の例において、集合発光体L1~L5は、最大5桁の数字を表示可能である。ただし、集合発光体L1~L5の数は5つに限らず、6つ(6桁)以上であってもよい。
【0053】
集合発光体L1~L5は、ハウジング113に収容されている。ここで、集合発光体L1~L5により発せられる光は、ハウジング113の前面を透過して外部まで届く。これにより、遊技者は、ハウジング113を通して、集合発光体L1~L5により表示される遊技メダル数を視認できる。一方、ハウジング113内の部材の外観はハウジング113により遮られ、外部から視認されないようになっている。したがって、集合発光体L1~L5が5つの電気素子に分かれていることを遊技者に意識させることなく、遊技者に、遊技メダル数を一体的に視認させることができる。
【0054】
以下、主制御基板200およびメダル数制御基板204における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0055】
(主制御基板200のメイン処理)
図5は、主制御基板200のメイン処理(メインループ処理)を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120a、120b、120c)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
【0056】
(ステップS100)
電源スイッチを介してスマートパチスロ100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。また、初期化手段300は、設定変更を行うこともできる。なお、設定変更は、有利度合を段階的(例えば6段階)に示した設定値を変更することである。なお、設定変更には、同一の設定値への打ち直し(現在の設定値を、現在の設定値と同一の設定値に変更(上書き、維持)する処理)も含まれる。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持させている。したがって、不意の電断(電源切断)が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、リール110の回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール110が回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0057】
(ステップS200)
続いて、遊技者によるベットスイッチ116の操作を通じ、ベット手段302が電子化メダルをベットする。また、コマンド送受信手段316は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。また、コマンド送受信手段316は、投入要求枚数を示す伝達情報を含む遊技メダル投入コマンドをメダル数制御基板204に送信する。
【0058】
(ステップS300)
次に、当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ118の操作待ち状態に移行する。ここで、当選種別抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数から、スタートスイッチ118が操作された時点における1の当選種別抽選乱数を取得する。そして、当選種別抽選手段304は、当選種別抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選種別抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選種別抽選乱数が、決定した当選種別抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選種別または不当選を抽選結果として決定する。また、遊技状態制御手段312は、当選種別抽選において当選役「RBB」が決定されると、遊技状態を非内部遊技状態からRBB内部中遊技状態に移行させる。また、コマンド送受信手段316は、スタートスイッチ118の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選種別抽選の抽選結果(当選種別または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選種別コマンドを生成し、生成された当選種別コマンドを副制御基板202に送信する。
【0059】
(ステップS400)
スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ152を駆動して左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転を開始し、左リール110a、中リール110b、右リール110cの全てが定常回転となったところで、ステップS500に処理を移行する。
【0060】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を受け付けると、その操作に対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cのいずれかを停止制御する。また、コマンド送受信手段316は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ120a、120b、120cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
【0061】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、当選役の入賞を判定するためのラインである有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するか(入賞した当選役)を判定し、その図柄組み合わせに応じて、有利区間中であり、小役が入賞していれば純増枚数カウンタを更新する。ここで、有利区間は、指示機能に係る性能を有する遊技区間、すなわち、補助演出(指示機能)を実行する遊技区間等を含む、遊技者にとって有利な遊技区間である。また、有利区間と異なり、補助演出を実行できない遊技区間を非有利区間と言う。なお、有利区間は、主制御基板200で補助演出の作動に係る抽選等を行った結果、補助演出が作動した場合には、主制御基板200において指示の内容が識別できるよう報知手段に表示したときに限り、指示の内容を示す情報を、副制御基板202等の周辺基板に送信してもよい遊技区間である。また、遊技状態制御手段312は、RBB内部中遊技状態において、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせであれば、遊技状態をRBB内部中遊技状態からRBB作動中遊技状態に移行させる。また、コマンド送受信手段316は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合における電子化メダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。
【0062】
(ステップS700)
また、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせ(リール110の停止態様)に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応する電子化メダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、コマンド送受信手段316は、電子化メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。また、コマンド送受信手段316は、払出枚数を示す伝達情報を含む払い出し終了コマンドをメダル数制御基板204に送信する。
【0063】
(ステップS800)
遊技状態制御手段312は、RBB作動中遊技状態において電子化メダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をRBB作動中遊技状態から非内部遊技状態に移行させる。また、演出状態制御手段314は、演出状態の変更や、有利区間と非有利区間との変更を行う。また、コマンド送受信手段316は、遊技状態または演出状態が変更された場合、変更された遊技状態または演出状態等を含む遊技移行コマンドを生成し、生成された遊技移行コマンドを副制御基板202に送信する。このように、遊技移行処理S800が終了することで、当該1遊技が終了する。
【0064】
ステップS200からステップS800までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS800までを繰り返すこととなる。
【0065】
図6は、メダル数制御基板204のメイン処理(メインループ処理)を示したフローチャートである。ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0066】
(ステップS900)
電源スイッチを介してスマートパチスロ100の電源が投入され、メダル数制御基板204が通電状態になると、初期化手段340は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。メダルCPU204aは、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメダルRAM204cに保持させている。したがって、不意の電断(電源切断)が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、メダル保持部に遊技メダル数が保持された状態で不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に電子化メダルが保持された状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メダルRAM204cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0067】
(ステップS910)
初期化処理が終了すると、メダルCPU204aは、メダル保持部の遊技メダル数の更新イベントが発生したか否か判定し、遊技メダル数の更新イベントが発生すると、その更新イベントに応じて遊技メダル数を更新する更新処理を実行する。まず、コマンド送受信手段342は、メインCPU200aから電子化メダルの投入要求または精算要求があったか否か判定し、電子化メダルの投入要求または精算要求があれば、ステップS912に処理を移行し、電子化メダルの投入要求または精算要求がなければ、ステップS920に処理を移行する。
【0068】
(ステップS912)
メインCPU200aから電子化メダルの投入要求があると、メダル数更新手段344は、電子化メダルの投入に応じて遊技メダル数を減算する投入処理を実行し、メインCPU200aから電子化メダルの精算要求があると、投入されていた電子化メダルを遊技メダル数に加算する精算処理を実行する。
【0069】
(ステップS920)
次に、コマンド送受信手段342は、メインCPU200aから電子化メダルの払い出し要求があったか否か判定し、電子化メダルの払い出し要求があれば、ステップS922に処理を移行し、電子化メダルの払い出し要求がなければ、ステップS930に処理を移行する。
【0070】
(ステップS922)
メインCPU200aから電子化メダルの払い出し要求があると、メダル数更新手段344は、払い出された電子化メダルを遊技メダル数に加算する払出処理を実行する。
【0071】
(ステップS930)
続いて、コマンド送受信手段342は、専用ユニット350から電子化メダルの貸し出し要求があったか否か判定し、電子化メダルの貸し出し要求があれば、ステップS932に処理を移行し、電子化メダルの貸し出し要求がなければ、ステップS940に処理を移行する。
【0072】
(ステップS932)
メインCPU200aから電子化メダルの貸し出し要求があると、メダル数更新手段344は、貸し出された電子化メダルを遊技メダル数に加算する貸出処理を実行する。
【0073】
(ステップS940)
次に、コマンド送受信手段342は、遊技者によって計数スイッチ112が操作されたか否か判定し、計数スイッチ112が操作されていれば、ステップS942に処理を移行し、計数スイッチ112が操作されていなければ、ステップS950に処理を移行する。
【0074】
(ステップS942)
遊技者によって計数スイッチ112が操作されると、メダル数更新手段344は、専用ユニット350に計数通知を行うとともに、計数された電子化メダルを遊技メダル数から減算する計数処理を実行する。
【0075】
(ステップS950)
メダルCPU204aは、メダル数制御基板204自体、または、主制御基板200および専用ユニット350にエラーが生じているか否かを監視し、エラーが生じていれば、エラーの影響が及ぶ機能を制限するエラー監視処理を実行し、ステップS910からの処理(メイン処理)を繰り返す。
【0076】
このように、メダル数制御基板204のメイン処理では、遊技メダル数の更新イベントが発生した場合に、その更新イベントに応じて遊技メダル数の更新処理が実行され、遊技メダル数の更新イベントが発生しないと、エラー監視処理等のみが行われる。
【0077】
なお、上述した遊技メダル数の更新処理(投入処理、精算処理、払出処理、貸出処理、計数処理)のうち、主制御基板200を対象とする投入処理、精算処理、払出処理は、それぞれの処理に対応する操作が同時に受け付けられることがないので、その処理も同時に実行されることはない。また、専用ユニット350を対象とする貸出処理、計数処理は、通信タイミングが異なるので同時に実行されることはない。したがって、遊技メダル数の更新イベントが重なったとしても、投入処理、精算処理、払出処理のいずれかと、貸出処理、計数処理のいずれかが重なるだけで、メイン処理自体が長時間化することはない。
【0078】
図7は、メダル数制御基板204のタイマ割込み処理を示したフローチャートである。ここで、メダルCPU204aは、タイマ割込みのタイミング(例えば、1.49msec周期)に応じて、タイマ割込み処理を実行する。
【0079】
(S960)
タイマ割込みが生じると、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204で監視している各種信号を入力する入力処理を実行する。メダルCPU204aは、例えば、計数スイッチ112の状態(ON/OFF)や、後述するVL接続信号の状態(ON/OFF)を取得し、メダルRAM204cに保持する。
【0080】
(S970)
次に、メダルCPU204aは、タイマ割込み処理内で実行すべき、時間管理が必要な各種変数を演算する演算処理を実行する。メダルCPU204aは、例えば、各種タイマを割込周期分だけ更新する。
【0081】
(S980)
続いて、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204で監視している各種信号を出力する出力処理を実行して、当該タイマ割込み処理を完了する。メダルCPU204aは、例えば、ステップS970で更新されたタイマの結果に応じて、タイムアウトによるクリア信号を出力する。
【0082】
また、出力処理S980において、メダルCPU204aは、集合発光体L1~L5への点灯情報も出力している。具体的に、メダルCPU204aは、その時点の遊技メダル数を5桁で示し、タイマ割込みのタイミングで、そのうち任意の1桁の数値を、対応する集合発光体に表示する。なお、遊技メダル数の数値範囲は、1営業日における最大差枚数を勘案して0~16382で表され、有意な数値の上位の桁が0となる場合、その数値を空白(消灯)とする。例えば、遊技メダル数が1234であったとする。そうすると、集合発光体L1~L5に表示する5桁の数値は「01234」となるが、最上位の「0」は非表示となる。したがって、遊技メダル数表示装置114において、最上位の桁は非表示で、下位4桁は「1」「2」「3」「4」と表示されることとなる。
【0083】
(基板同士の関係性)
また、ここでは、図2のように、スマートパチスロ100において、主制御基板200とは別にメダル数制御基板204を設け、メダル数制御基板204が独立して動作する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、基板やCPUの構成を異ならせることができる。
【0084】
図8は、他の基板構成を説明するための説明図である。上述した実施形態では、図8(a)のように、主制御基板200に、遊技の進行を制御するメインCPU200a(第1制御部)が配され、メダル数制御基板204に、遊技に供する電子化メダルを管理するメダルCPU204a(第2制御部)が配され、主制御基板200とメダル数制御基板204とがハーネスを介して接続され、メダル数制御基板204と遊技球等貸出装置接続端子板206とがハーネスを介して接続されている。かかる遊技球等貸出装置接続端子板206は、専用ユニット350から電力(VL)の供給を受け、その電力をフォトカプラ等の絶縁素子の入力とし、専用ユニット350との接続状態を示すVL接続信号を生成してメダル数制御基板204に出力する。メダル数制御基板204は、VL接続信号のON/OFFによって、専用ユニット350から電力が供給されていること、換言すれば、専用ユニット350に電源が投入され、かつ、専用ユニット350と適切に接続されていることを判定することができる。かかる基板構成では、既存の主制御基板200の構成の改修や占有面積の増大を必要最低限に抑えることができるので、設計コストを削減することができる。
【0085】
なお、メダル数制御基板204は、必ずしも主制御基板200と別体である必要はなく、その機能さえ満たせば、主制御基板200と一体的に形成されてもよい。具体的に、図8(b)のように、主制御基板200に、遊技の進行を制御するメインCPU200a、および、遊技に供する電子化メダルを管理するメダルCPU204aのいずれもが配され、主制御基板200と遊技球等貸出装置接続端子板206とがハーネスを介して接続されていてもよい。ここでは、1枚の主制御基板200に、メインCPU200aとメダルCPU204aとを共に配することで、両者の情報交換に用いられるコネクタやハーネスを排除し、占有面積を縮小するとともに、情報伝達の信頼性の向上を図ることができる。
【0086】
また、図8(c)の例では、主制御基板200に配されたメインCPU200aが、メダルCPU204aの代わりに、遊技に供する電子化メダルを管理し、主制御基板200と遊技球等貸出装置接続端子板206とがハーネスを介して接続されている。ここでは、主制御基板200において、メインCPU200aが、遊技の進行を制御するとともに、電子化メダルを管理するので、メインCPU200aとメダルCPU204aとの情報交換を担う接続線が必要なくなり、占有面積をさらに縮小するとともに、情報伝達の信頼性の向上を図ることができる。
【0087】
ここで、少なくとも主制御基板200は、不正防止のため主基板ケースに封入しなければならない。これに加え、遊技に供する電子化メダルを管理する機能を備えるメダル数制御基板204が別体である場合、主制御基板200と共に主基板ケースに封入しなければならない。
【0088】
図9は、ケースの封入態様を説明するための説明図である。例えば、図8(a)に示すように、主制御基板200とメダル数制御基板204と遊技球等貸出装置接続端子板206とがそれぞれ別体に形成され、主制御基板200とメダル数制御基板204とが接続され、メダル数制御基板204と遊技球等貸出装置接続端子板206とが接続されている場合、図9(a)に示すように、主制御基板200、メダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206を全て1の主基板ケース200eに封入することが考えられる。ここでは、図9(a)のように、主制御基板200とメダル数制御基板204とを、ハーネスを介すことなくコネクタ同士を直接固定的に接続することで一体的に形成する例を挙げて説明しているが、両者を、ハーネスを介して接続してもよい。
【0089】
また、図8(b)および図8(c)に示すように、主制御基板200にメインCPU200aとメダルCPU204aとが配され、または、メインCPU200aが単独で配され、主制御基板200と遊技球等貸出装置接続端子板206とがハーネスを介して接続されている場合、主制御基板200と遊技球等貸出装置接続端子板206とが接続された状態で、図9(b)のように、主制御基板200を主基板ケース200eに、遊技球等貸出装置接続端子板206を接続端子板ケース206eに、それぞれ個別に封入してもよいし、図9(c)のように、主制御基板200と遊技球等貸出装置接続端子板206とを全て1の主基板ケース200eに封入することが考えられる。
【0090】
いずれにしても、ここでは、主制御基板200、メダル数制御基板204および遊技球等貸出装置接続端子板206を全てケースに封入する。また、この場合に、基板表面のみならず、基板裏面の確認も容易となる構造としなければならない。
【0091】
図8(a)および図8(b)に示した例では、スマートパチスロ100において、メインCPU200aとメダルCPU204aとがそれぞれ独立して動作し、メインCPU200aが遊技の進行を制御しつつ、メダルCPU204aが遊技に供する電子化メダルを管理する。
【0092】
図10は、スマートパチスロ100の各機能を実行するCPUおよび領域(使用領域または使用外領域)を説明するための説明図である。図10において、「◎」は、図8(a)および図8(b)のように、メインCPU200aとメダルCPU204aとの2つのCPUで機能を分担する場合の一般的な実行部を示し、「○」は、実行可能な実行部を示し、「×」は実行不能な実行部を示す。ここで、使用領域は、図5に示したような、遊技の進行を制御するための一部または全部の処理を実行するプログラムの命令コードおよびプログラムデータが格納される領域である。また、使用外領域は、使用領域に格納することが定められておらず、かつ、遊技の進行に影響を及ぼさない、遊技機用試験処理やセキュリティ関連処理のうち一部または全部の処理を実行するプログラムの命令コードおよびプログラムデータが格納される領域である。例えば、2つのCPUで機能を分担する場合、図10のNo.12に示すように、一般に、メダルCPU204aの使用領域において、遊技メダル数表示装置114を制御する機能や専用ユニット350との通信を制御する機能を担うが(図10中、「◎」で示す)、メインCPU200aの使用領域において、その一部または全部を負担することも可能である(図10中、「○」で示す)。
【0093】
(スマートパチスロと専用ユニットとの通信)
以上示したような機能部により、スマートパチスロ100と専用ユニット350とは、シリアル通信を介して様々な情報(電文)を交換することで互いの正常な動作を確保する。なお、シリアル通信は、非同期通信方式で全二重通信制御が行われ、例えば、通信速度が62500bpsであり、データの各バイトが、1ビットのスタートビット、8ビットのデータビット、1ビットのストップビットで表される。このとき、キャラクタ送信時間は0.16msec~3.9msecであり、3.9msec以内に次のスタートビットを受信できなかった場合、そのキャラクタを1電文とみなす。例えば、スマートパチスロ100(ここでは、例えば、メダル数制御基板204のメダルCPU204a)から専用ユニット350には、かかるシリアル通信を通じて、以下の遊技機情報通知、計数通知、貸出受領結果応答が行われる。
【0094】
図11図14は、遊技機情報通知のフォーマットを説明するための説明図である。図11に示すように、遊技機情報通知は、遊技機性能情報、遊技機設置情報、ホールコン・不正監視情報の3つの遊技機情報のうち1の遊技機情報を専用ユニット350に伝達するもので、電文長は18~57バイトの可変長となっている。具体的に、遊技機情報通知の電文の1バイト目には電文長(12h~39h)が示され、2バイト目にはコマンドの種別(ここでは遊技機情報通知)を示す「01h」が示される。3バイト目には、通番として00h~FFhのシーケンス番号が示される。かかる通番は、電源投入時に00hを通知し、通知の度に1だけインクリメントする。ただし、FFhの次の通知では00hではなく01hとする。
【0095】
4バイト目には、遊技機種類が示される。遊技機種類のビット7は管理媒体を示し、遊技球が「0」、遊技メダルが「1」で表され、ビット6~4は団体区分を示し、日工組が「0」、日電協が「1」で表され、ビット3~0は遊技機種類を示し、パチンコ遊技機が「1」、回胴式遊技機が「2」、アレンジボール遊技機が「3」、じゃん球遊技機が「4」で表される。5バイト目には、遊技機情報種別が示される。例えば、遊技機情報が遊技機性能情報であれば「00h」、遊技機情報が遊技機設置情報であれば「01h」、遊技機情報がホールコン・不正監視情報であれば「02h」となる。6バイト目からは、遊技機情報(遊技機性能情報、遊技機設置情報、ホールコン・不正監視情報のいずれか)が可変長で示される。
【0096】
例えば、遊技機情報種別が「00h」であれば、遊技機情報として遊技機性能情報が51バイトで表され、図12に示すように、総投入枚数、総払出枚数、MY(最大差枚数)、役物総払出枚数、連続役物総払出枚数、役物比率、連続役物比率、有利区間比率、指示込役物比率、役物等状態比率、遊技回数、予備、予約1、予約2が含まれる。遊技機性能情報は、専用ユニット350に転送された後、さらに遊技機情報センタ(図示せず)に送信される。ここで、MYは、電源がリセットされてからの、電子化メダルの投入枚数(投入メダル数)と払出枚数(払出メダル数)との差である差枚数を示す。また、MYとして、電源がリセットされてからの差枚数に代えて、または、加えて、差枚数が最も低いときを0とした場合の差枚数を採用することもできる。なお、かかる情報のうち、総投入枚数、総払出枚数、MY、役物総払出枚数、連続役物総払出枚数、遊技回数のバイトオーダはリトルエンディアンである。
【0097】
また、遊技機情報種別が「01h」であれば、遊技機情報として遊技機設置情報が40バイトで表され、図13に示すように、主制御チップID番号、主制御チップメーカコード、主制御チップ製品コード、メダル数制御チップID番号、メダル数制御チップメーカコード、メダル数制御チップ製品コードが含まれる。ここで、主制御チップID番号(9バイト)およびメダル数制御チップID番号(9バイト)は、上位4バイトが0で表され、続く4バイトがチップ個別ナンバーまたはチップコードで表され、最下位バイトが識別コード(LEM50A=「21h」、LES50A=「22h」、LEM7OA=「23h」、IDNAC8701=「41h」、IDNAC8702=「42h」、IDNAC8703=「43h」)で表される。ただし、メダルCPU204aを非搭載の場合、9バイトが全て0で表される。なお、主制御チップID番号、主制御チップメーカコード、主制御チップ製品コード、メダル数制御チップID番号、メダル数制御チップメーカコード、メダル数制御チップ製品コードのバイトオーダはビックエンディアンである。
【0098】
また、遊技機情報種別が「02h」であれば、遊技機情報としてホールコン・不正監視情報が12~16バイトで表され、図14に示すように、遊技メダル数、投入メダル数、払出メダル数、主制御状態1、主制御状態2、遊技機エラー状態、遊技機不正1、遊技機不正2、遊技機不正3、遊技情報数、種別情報1、カウント情報1、種別情報2、カウント情報2が含まれる。ここで、遊技メダル数、投入メダル数、払出メダル数の関係は、「遊技メダル数」=前回送信した「遊技メダル数」-「投入メダル数」+「払出メダル数」+前回送信した遊技メダル数の後に受信した「貸出メダル数」-前回送信した遊技メダル数の後に送信した「計数メダル数」となるので、かかる関係を満たさなければ、ホールコン・不正監視情報が異常であると判断することができる。また、遊技機不正1のビット0における設定変更中信号は、設定変更処理が行われている(設定キーがONしている状態で電源を投入した)ことを示し、遊技機不正1のビット1の設定確認中信号は、設定値の確認処理中であることを示し、遊技機不正1のビット2における不正検知信号1は、メインCPU200aにおいて通信エラーが発生していることを示し、遊技機不正1のビット3、4における不正検知信号2、不正検知信号3は、任意に定められる不正を検知したことを示す。また、遊技機不正2のビット0における設定ドアオープン信号は、設定変更処理において、管理者による設定変更操作を受け付ける設定変更装置に扉が設けられている場合、その設定変更装置に設けられた扉が開放された状態であることを示し、遊技機不正2のビット1におけるドアオープン信号は、前面下扉106が開放されている状態であることを示す。なお、設定変更装置に扉が設けられていない場合、設定ドアオープン信号は用いられず、設定ドアオープン信号のビット位置には予約信号として固定値「0」が設定される。また、不正検知信号2、不正検知信号3を用いない場合、かかるビット位置には予約信号として固定値「0」が設定される。また、遊技機不正1、遊技機不正2、遊技機不正3の他の信号も予約信号として固定値「0」が設定されてもよい。これらの信号はゴト対策のため、下限時間(例えば3秒間)以上の所定時間継続して出力しなければならない。また、これらの信号の出力中に電断(電源切断)等、信号の出力を中断する事象が生じた場合、所定時間を計時していた信号計時タイマをリセットして、再度、所定時間分、設定確認中信号を出力してもよいし、電断時の信号計時タイマの値を保存し、電源投入時(電断復帰時)に、保存している信号計時タイマの値から計時を再開し、設定確認中信号を出力するとしてもよい。この場合、電断前および電断復帰後における設定確認中信号を出力している総時間が所定時間となる。種別情報1とカウント情報1との組み合わせ、または、種別情報2とカウント情報2との組み合わせからなる遊技情報は、種別情報1、2によって、規定数(スタートスイッチ118の操作時)か払出枚数(遊技終了時)かが示され、カウント情報1、2によってその枚数が示される。なお、リプレイ時は、再遊技作動時の規定数を通知する。遊技情報数は、遊技情報の数を示し、遊技情報数が0の場合、種別情報1、カウント情報1、種別情報2、カウント情報2の4項目は送信されない。
【0099】
図15は、計数通知のフォーマットを説明するための説明図である。計数通知は、後述する計数累積メダル数を専用ユニット350に伝達するもので、電文長は7バイトの固定長となっている。具体的に、電文の1バイト目には電文長(07h)が示され、2バイト目にはコマンドの種別(ここでは計数通知)を示す「02h」が示される。3バイト目には、計数通番として00h~FFhのシーケンス番号が示される。かかる計数通番は、電源投入時に00hを通知し、通知の度に1だけインクリメントする。ただし、FFhの次の通知では00hではなく01hとする。4バイト目には、計数メダル数が示される。計数メダル数は、計数通知のタイミングで計数した電子化メダルの枚数である。5バイト目には、計数累積メダル数が示される。計数累積メダル数は、スマートパチスロ100の電源投入時に0000hにクリアされてから計数メダル数が累積された値であり、FFFFhの次の値は0000hとなる。7バイト目には、チェックサムが示される。
【0100】
図16は、貸出受領結果応答のフォーマットを説明するための説明図である。貸出受領結果応答は、専用ユニット350から貸出通知があった場合にその受領結果を応答するもので、電文長は5バイトの固定長となっている。具体的に、電文の1バイト目には電文長(05h)が示され、2バイト目にはコマンドの種別(ここでは貸出受領結果応答)を示す「03h」が示される。3バイト目には、貸出通番として00h~FFhのシーケンス番号が示される。かかる貸出通番は、電源投入時に00hを通知し、後述する貸出メダル数受領結果が正常であれば、専用ユニット350から受信した貸出通番をそのまま反映し、貸出メダル数受領結果が異常であれば、それ以前において、専用ユニット350から貸出メダル数受領結果を正常に受信したときの貸出通番を反映する。4バイト目には、貸出メダル数受領結果(正常=00h、異常=01h)が示される。5バイト目には、チェックサムが示される。
【0101】
また、専用ユニット350からスマートパチスロ100(ここでは、例えば、メダルCPU204a)には、以下の貸出通知が行われる。
【0102】
図17は、貸出通知のフォーマットを説明するための説明図である。貸出通知は、専用ユニット350が、スマートパチスロ100から計数通知を受信した場合に、貸出メダル数をスマートパチスロ100に伝達するもので、電文長は5バイトの固定長となっている。具体的に、電文の1バイト目には電文長(05h)が示され、2バイト目にはコマンドの種別(ここでは貸出通知)を示す「13h」が示される。3バイト目には、貸出通番として00h~FFhのシーケンス番号が示される。かかる貸出通番は、電源投入時に00hを通知し、通知の度に1だけインクリメントする。ただし、FFhの次の通知では00hではなく01hとする。4バイト目には、貸出メダル数が示される。貸出メダル数は、電子化メダルの貸出枚数を示す。なお、遊技機情報通知を受信していない場合、遊技機情報種別「02h:ホールコン・不正監視情報」以外で通知された場合、計数通知の計数メダル数が「1」以上で通知された場合は、貸出メダル数「0」が通知される。5バイト目には、チェックサムが示される。
【0103】
なお、スマートパチスロ100は、内部で特定の異常が生じた場合、専用ユニット350との通信を行わないとすることができる。例えば、特定の異常として、バックアップ異常、RAM(RWM)異常が生じた場合や、メーカコードが不一致であると、スマートパチスロ100のメダルCPU204aは、その起動処理を完了することなくメーカコード不一致エラー(動作停止エラー)を発し、専用ユニット350との通信開始を制限する。
【0104】
図18は、遊技機情報通知、計数通知、貸出通知、貸出受領結果応答の通知タイミングを示したタイミングチャートである。図18に示すように、スマートパチスロ100(ここでは、例えば、メダルCPU204aのコマンド送受信手段342)は、スマートパチスロ100の起動完了から300msec(300msec以上、310msec以内)周期で、遊技機情報通知を専用ユニット350に送信する。また、スマートパチスロ100は、遊技機情報通知開始から100msec(90msec以上、100msec以内)で計数通知を専用ユニット350に送信する。専用ユニット350は、計数通知の受信開始から170msec以内に貸出通知をスマートパチスロ100に送信する。スマートパチスロ100は、貸出通知の受信完了後、10msec以内に貸出受領結果応答を専用ユニット350に通知する。こうして、スマートパチスロ100が貸出受領結果応答を通知してから、次の遊技機情報通知を行うまでに20msec以上の時間を確保できる。
【0105】
図19は、遊技機情報通知の送信タイミングを説明するための説明図である。遊技機情報通知は、上記のように、300msec周期で専用ユニット350に通知される。遊技機情報通知には、遊技機情報として遊技機性能情報、遊技機設置情報、ホールコン・不正監視情報の3つがあり、図19のように、それぞれ通知タイミングと優先順位が異なる。例えば、遊技機設置情報は、スマートパチスロ100の起動が完了してから60sec経過後に通知され、それ以後は60sec周期で通知される。また、遊技機性能情報は、スマートパチスロ100の起動が完了してから180sec経過後に通知され、それ以後は180sec周期で通知される。ホールコン・不正監視情報は、スマートパチスロ100の起動が完了してから300msec周期で通知される。ただし、3つの通知は、その送信タイミングが重なる場合がある。送信タイミングが重なった場合、遊技機情報通知は、優先順位に従って順次通知される。例えば、180secにおいて、遊技機性能情報と、遊技機設置情報と、ホールコン・不正監視情報とが重なった場合、ホールコン・不正監視情報において主制御状態の更新がなく、かつ、遊技情報がなければ、まず、優先順位が高い遊技機設置情報が通知され、次の300msec後に遊技機性能情報が通知され、次の300msec後にホールコン・不正監視情報が通知される。また、60secにおいて、遊技機設置情報と、ホールコン・不正監視情報とが重なった場合、ホールコン・不正監視情報において主制御状態の更新がなく、かつ、遊技情報がなければ、まず、優先順位が高い遊技機設置情報が通知され、次の300msec後にホールコン・不正監視情報が通知される。ただし、ホールコン・不正監視情報において主制御状態の更新がある、または、遊技情報があれば、まず、優先順位が高いホールコン・不正監視情報が通知され、その後に、遊技機設置情報、遊技機性能情報が通知される。かかる構成により、スマートパチスロ100と専用ユニット350とは、遊技機情報通知(遊技機性能情報、遊技機設置情報、ホールコン・不正監視情報)、計数通知、貸出通知、貸出受領結果応答を、適切なタイミングかつ適切な優先度で確認し合うことができる。
【0106】
(VL接続信号)
図8を用いて説明したように、遊技球等貸出装置接続端子板206は、専用ユニット350から電力の供給を受け、かかる電力をフォトカプラ等の絶縁素子の入力とし、専用ユニット350との接続状態を示すVL接続信号を生成してメダル数制御基板204のメダルCPU204aに出力している。なお、メダルCPU204aは、VL接続信号を受け取った旨のコマンドをメインCPU200aに送信してもよいし、送信しないとしてもよい。メダルCPU204aがVL接続信号を受け取った旨のコマンドをメインCPU200aに送信する場合、メインCPU200aは、当該コマンドがVL接続信号の受信を示しているか否かに応じて、主制御基板200のみ、メダル数制御基板204のみ、または、主制御基板200およびメダル数制御基板204の起動を制限(禁止)したり、遊技の進行を停止することができる。また、メダルCPU204aがVL接続信号を受け取った旨のコマンドをメインCPU200aに送信しない場合、メダルCPU204aは、個別に、メダル数制御基板204の起動を制限(禁止)したり、遊技の進行を停止することができる。
【0107】
ここで、VL接続信号がONであれば、スマートパチスロ100は、専用ユニット350と適切に接続され、かつ、専用ユニット350の電源がONしていると判断できるので、メインCPU200aや専用ユニット350を対象とした各処理を遂行することができる。一方、VL接続信号がOFFであれば、スマートパチスロ100は、専用ユニット350と適切に接続されていない(未接続)、または、専用ユニット350の電源がOFFしていると判断し、遊技の進行を制限する。具体的に、スマートパチスロ100は、VL接続信号がOFFであれば、遊技停止処理を実行する。かかる遊技停止処理では、主制御基板200のエラー状態として遊技を制限(電子化メダルのベット、精算スイッチ121の操作、スタートスイッチ118の操作に基づく遊技進行のための処理、および、計数処理を全て制限(禁止))している。このとき、VL接続信号がOFFであれば、メインCPU200aおよびメダルCPU204aを立ち上げないとしてもよい。
【0108】
ここで、計数処理は、遊技者の計数スイッチ112の操作に応じて、メダル保持部に保持された遊技メダル数の一部または全部を専用ユニット350に転送する処理を言う。具体的に、計数スイッチ112が受け付けられていない場合、メダル保持部の遊技メダル数が0枚の場合、VL接続信号がOFFの場合、および、計数不可状態の場合には、計数メダル数(計数価値数)として「0」が設定され、計数スイッチ112の短押しを受け付けた場合には、計数メダル数として「1」が設定される。計数スイッチ112の長押しを受け付けると、メダル保持部の遊技メダル数が50枚未満の場合、計数メダル数として全部の電子化メダル(遊技メダル数)が設定され、50枚以上の場合、計数メダル数として「50」が設定される。そして、計数累積メダル数に当該計数メダル数が加算されるとともに、計数通番が更新される。スマートパチスロ100は、計数通知の電文のデータ列を整数値の列とみなして和を求めるチェックサムを実行し、専用ユニット350に計数通知を行う。これと並行して、メダル保持部で保持された遊技メダル数から計数メダル数が減算される。
【0109】
ここで、遊技が可能な間に計数スイッチ112が操作された場合、必ず計数処理が実行される。「遊技が可能な間」とは、スマートパチスロ100と専用ユニット350とが接続され、かつ、共に電源がONされている状態(遊技者が電子化メダルを借り、スマートパチスロ100で遊技を行い、当該遊技の結果を計数する一連の動作が可能な状態)を示す。なお、スマートパチスロ100の電源はONされているが専用ユニット350の電源がONされていない場合、または、スマートパチスロ100と専用ユニット350とが未接続であった場合は、スマートパチスロ100が計数スイッチ112の操作を受け付けても当該計数メダル数が消失してしまうおそれがあるので、計数スイッチ112の操作を無効とし、その期間は「遊技が可能な間」に含めない。また、スマートパチスロ100が単体として遊技を進行しない(できない)状態となる、電源投入後の初期化処理中、設定変更中および設定確認中、ならびに、リセット等による復帰処理が必要なエラー状態中も、「遊技が可能な間」には含めない。かかる電源投入後の初期化処理中、設定変更中および設定確認中、ならびに、リセット等による復帰処理が必要なエラー状態中においては、計数処理を実行させるとしてもよいし、実行させないとしてもよい。
【0110】
このように、VL接続信号がONであれば、スマートパチスロ100では、遊技を進行するとともに、遊技が可能な間、計数処理を受け付ける。一方、VL接続信号がOFFであれば、スマートパチスロ100では、遊技停止処理を実行し、電子化メダルのベット、精算スイッチ121の操作、スタートスイッチ118の操作に基づく遊技進行のための処理、および、上述した計数処理を全て制限(禁止)する。これは、上述したように、VL接続信号がOFFということは、スマートパチスロ100が専用ユニット350と適切に接続されていない、または、専用ユニット350の電源がOFFしていると判断できるからである。
【0111】
図18を用いて説明したように、スマートパチスロ100(例えば、メダルCPU204a)は、計数メダル数の情報を含む計数通知を専用ユニット350に送信する。ここで、例えば、スマートパチスロ100と専用ユニット350とが適切に接続されていない(例えば、未接続)、または、専用ユニット350の電源がOFFしているなどのように、専用ユニット350において、計数通知を受け付ける準備が適切に完了していない場合に、スマートパチスロ100が計数スイッチ112の入力操作(例えば、押圧操作)を受け付けて当該計数通知を専用ユニット350に送信すると、当該入力操作に基づく計数メダル数が消失してしまうおそれがある。計数メダル数が消失すると、電子化メダルの総数が減少し、電子化メダルの不整合が生じる。本実施形態において、不整合とは、電子化メダルの意図しない消失や増量により、遊技メダル数と、専用ユニット350で保持する電子化メダルの総数である獲得メダル数とを合計した電子化メダルの総数が、計数スイッチ112の入力操作の前後で異なることを言う。例えば、計数スイッチ112により遊技メダル数の全数を計数した場合に、スマートパチスロ100に計数前に保持されていた遊技メダル数と、計数により専用ユニット350に転送された獲得メダル数とが異なった場合、不整合が生じたことになる。
【0112】
そこで、スマートパチスロ100(例えば、メダルCPU204a)は、計数通知を専用ユニット350に送る前に、専用ユニット350との接続状態を示すVL接続信号のON/OFFを確認することによって、専用ユニット350の接続有無を判定する。VL接続信号が、専用ユニット350が接続されていないことを示すOFFの場合、計数処理自体を制限するため、スマートパチスロ100は、計数メダル数を「0」に設定する。
【0113】
計数メダル数が「0」に設定されると、スマートパチスロ100は、遊技メダル数から計数メダル数「0」を減算して遊技メダル数を更新する。つまり、更新後の遊技メダル数は、実質的に更新前から変化しない。スマートパチスロ100は、更新後の遊技メダル数を遊技メダル数表示装置114に表示する。遊技メダル数が実質的に変化しないため、遊技メダル数表示装置114の表示も変化しない。
【0114】
また、スマートパチスロ100は、「0」に設定された計数メダル数の情報を含む計数通知を専用ユニット350に送信する。専用ユニット350が未接続であるとすると、専用ユニット350は当該計数通知を適切に受信できないため、獲得メダル数は変化しない。獲得メダル数が変化しないため、獲得メダル数表示装置374の表示も変化しない。
【0115】
このように、計数メダル数が「0」に設定されることで、スマートパチスロ100の遊技メダル数および専用ユニット350の獲得メダル数の両方が変化しないため、電子化メダルの総数も変化しない。このため、スマートパチスロ100では、計数処理が実行されることはなく、計数スイッチ112の入力操作に応じて電子化メダルが消失してしまうことを回避することができる。すなわち、スマートパチスロ100では、電子化メダルの不整合が生じることを回避することができる。
【0116】
図20は、メダルCPU204aにおける計数スイッチ監視処理の流れを示したフローチャートである。計数スイッチ監視処理は、計数スイッチ112が押圧操作されたときに実行される。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない処理は説明を省略する。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。
【0117】
図20に示すように、メダルCPU204aは、計数スイッチ112の押下を検出すると、具体的には、計数スイッチ112のONエッジを検出すると(S1におけるYES)、VL接続信号を取得し、VL接続信号がONであるか否かを判定する(S2)。VL接続信号がONである場合(S2におけるYES)、メダルCPU204aは、スマートパチスロ100が有する計時カウンタの計時を開始する(S3)。計時カウンタは、計数スイッチ112のONエッジの検出に応じて計時を開始し、当該ONエッジからOFFエッジまでを計時する。次に、メダルCPU204aは、計数スイッチ112のOFFエッジを検出したか否かを判定する(S4)。計数スイッチ112のOFFエッジが検出されていない場合(S4におけるNO)、メダルCPU204aは、計時カウンタの計時開始から所定時間(例えば、500msec)が経過したか否かを判定する(S5)。所定時間が経過していない場合(S5におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS4の処理に戻る。所定時間が経過した場合(S5におけるYES)、メダルCPU204aは、長押しフラグをONに設定して(S6)、ステップS4の処理に戻る。長押しフラグは、長押しを識別するためのフラグであり、ONの場合、長押しであることを示し、OFFの場合、長押しではない(すなわち、短押しである)ことを示す。
【0118】
計数スイッチのOFFエッジが検出された場合(S4におけるYES)、メダルCPU204aは、長押しフラグがOFFであるか否かを判定する(S7)。長押しフラグがOFFである場合(S7におけるYES)、メダルCPU204aは、計数メダル数を「1」に設定し、ステップS9の処理に進む。設定された計数メダル数は、所定のレジスタまたはRAMに記憶される。長押しフラグがONである場合(S7におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS9の処理に進む。ステップS9において、メダルCPU204aは、長押しフラグをクリアする(OFFにする)。メダルCPU204aは、計時カウンタをクリアし、計数スイッチ監視処理を終了する。
【0119】
計数スイッチ112のONエッジを検出していない場合(S1におけるNO)、何ら処理を実行することなく計数スイッチ監視処理を終了する。VL接続信号がOFFである場合(S2におけるNO)、メダルCPU204aは、計数メダル数を「0」に設定し(S11)、計数スイッチ監視処理を終了する。なお、計数メダル数「0」は、所定のレジスタまたはRAMに記憶される。すなわち、計数スイッチ112が押下されても、VL接続信号がOFFであれば、計数メダル数が「0」に設定されて、遊技者の電子化メダルの計数の操作を受け付けない、または、受け付けたとしても無効化する。
【0120】
図21は、メダルCPU204aにおける計数処理の流れを示したフローチャートである。計数処理は、遊技メダル数の計数の更新に関する処理であり、計数スイッチ112の押下に拘わらず、所定の周期(例えば、300ms)で繰り返される割込みタイミングに実行される。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない処理は説明を省略する。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。
【0121】
図21に示すように、メダルCPU204aは、所定の周期で繰り返される割込みタイミングとなると、VL接続信号を取得し、VL接続信号がONであるか否かを判定する(S21)。VL接続信号がONである場合(S21におけるYES)、メダルCPU204aは、ステップS23の処理に進む。VL接続信号がOFFである場合(S21におけるNO)、メダルCPU204aは、計数メダル数を「0」に設定し(S22)、ステップS23の処理に進む。なお、計数メダル数「0」は、所定のレジスタまたはRAMに記憶される。ステップS23において、メダルCPU204aは、現在の遊技メダル数をメダル保持部から取得する(S23)。
【0122】
次に、メダルCPU204aは、長押しフラグがONであるか否かを判定する(S24)。長押しフラグがONである場合(S24におけるYES)、メダルCPU204aは、ステップS23で取得した遊技メダル数が「50」以上であるか否かを判定する(S25)。遊技メダル数が「50」以上である場合(S25におけるYES)、メダルCPU204aは、計数メダル数を「50」に設定し(S26)、ステップS28の処理に進む。遊技メダル数が「50」未満である場合(S25におけるNO)、メダルCPU204aは、遊技メダル数を計数メダル数に設定し(S27)、ステップS28の処理に進む。ステップS26またはステップS27において設定された計数メダル数は、所定のレジスタまたはRAMに記憶される。また、長押しフラグがOFFである場合(S24におけるNO)、ステップS28の処理に進む。
【0123】
ステップS28において、メダルCPU204aは、計数メダル数が記憶されているレジスタまたはRAMから、記憶されている最新の計数メダル数を取得する(S28)。例えば、今回の計数処理の直前に、計数スイッチ監視処理(図20参照)が行われて、計数メダル数が「1」に設定されたとする。この場合、計数処理(図21参照)のステップS28において、メダルCPU204aは、所定のレジスタまたはRAMに記憶されている計数メダル数「1」を取得する。また、今回の計数処理のステップS26において計数メダル数が「50」に設定された場合、メダルCPU204aは、所定のレジスタまたはRAMに記憶されている計数メダル数「50」を取得する。また、今回の計数処理のステップS27において「50」未満の遊技メダル数が計数メダル数に設定された場合、メダルCPU204aは、所定のレジスタまたはRAMに記憶されている「50」未満の遊技メダル数を計数メダル数として取得する。また、計数スイッチ監視処理(図20参照)のステップS11、または、計数処理(図21参照)のステップS22において、計数メダル数が「0」に設定された場合、メダルCPU204aは、所定のレジスタまたはRAMに記憶されている計数メダル数「0」を取得する。
【0124】
次に、メダルCPU204aは、取得した遊技メダル数から、取得した計数メダル数を減算して、遊技メダル数を更新する(S29)。例えば、取得した計数メダル数が「1」の場合、取得した現在の遊技メダル数から「1」を減算したメダル数が、更新後の(減算後の)遊技メダル数となる。また、取得した計数メダル数が「50」の場合、取得した現在の遊技メダル数から「50」を減算したメダル数が、更新後の遊技メダル数となる。また、「50」未満の遊技メダル数を計数メダル数として取得した場合、取得した現在の遊技メダル数から、計数メダル数として「50」未満の遊技メダル数全てを減算して、更新後の遊技メダル数は「0」となる。また、取得した計数メダル数が「0」の場合、取得した現在の遊技メダル数から「0」を減算したメダル数が、更新後の遊技メダル数となる。つまり、計数メダル数が「0」の場合、遊技メダル数は、実質的に変化しない。
【0125】
次に、メダルCPU204aは、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示を、ステップS29で導出した遊技メダル数に更新する(S30)。次に、メダルCPU204aは、取得した計数メダル数の情報を含む計数通知を生成して専用ユニット350に送信する(S31)。次に、メダルCPU204aは、計数通知の完了に応じて計数メダル数をクリアし(S32)、計数処理を終了する。
【0126】
このように、メダルCPU204aは、VL接続信号のON/OFFを確認し、VL接続信号がOFFの場合、計数メダル数を「0」に設定する。このため、VL接続信号がOFFであれば、計数スイッチ112が押下操作されたとしても、更新後の遊技メダル数は、更新前の遊技メダル数から実質的に変化しない。また、VL接続信号がOFFであれば、専用ユニット350は計数通知を適切に受信できないため、獲得メダル数も変化しない。このため、仮に、専用ユニット350が計数通知を受け付ける準備が適切に完了していないにも拘わらず、計数通知が送信されたとしても、スマートパチスロ100では、電子化メダルが消失および増量せず、電子化メダルの不整合が生じることを回避することができる。
【0127】
また、メダルCPU204aは、図20で示すように、遊技メダル数を更新する直前、換言すると、計数通知を送信する直前に、計数メダル数を「0」に設定する。このため、スマートパチスロ100では、より確実に計数メダル数を「0」にすることができ、電子化メダルの不整合が生じることを、より確実に回避することができる。
【0128】
また、スマートパチスロ100は、計数スイッチ監視処理と計数処理との両方において、VL接続信号のON/OFFを判定し、VL接続信号がOFFであれば、計数メダル数を「0」に設定する。これにより、例えば、計数スイッチ監視処理におけるVL接続信号の判定処理、および、計数処理におけるVL接続信号の判定処理のうち、VL接続信号がOFFとなってから先に実行されたVL接続信号の判定処理のタイミングで、計数メダル数が「0」に設定されるため、計数メダル数を、早期に「0」に設定することができる。また、スマートパチスロ100は、計数スイッチ監視処理と計数処理との両方においてVL接続信号のON/OFFを判定するため、VL接続信号のON/OFFを判定する機会が2回あり、VL接続信号のON/OFFを判定する機会が1回の態様と比べ、より確実に、計数メダル数を「0」に設定することができる。
【0129】
また、スマートパチスロ100では、メダルCPU204aが計数スイッチ監視処理および計数処理を行う。メダル数制御基板204におけるROMまたはRAM(記憶部)が記憶可能な容量は、メインROM200bまたはメインRAM200c(記憶部)と比べて小さいが、処理負荷が少ないので、結果的に空き容量は大きい。このため、VL接続信号のON/OFFの判定およびVL接続信号がOFFのときに計数メダル数を「0」に設定する処理を、計数スイッチ監視処理および計数処理の両方で行うプログラムとしても、メダル数制御基板204における記憶可能な容量を圧迫することはない。
【0130】
なお、スマートパチスロ100は、計数スイッチ監視処理および計数処理のいずれか一方において、VL接続信号のON/OFFの判定を行い、他方において、VL接続信号のON/OFFの判定を省略してもよい。この場合、計数スイッチ監視処理においてVL接続信号のON/OFFの判定を省略し、計数処理においてVL接続信号のON/OFFの判定を行う態様がより好ましい。また、スマートパチスロ100では、遊技メダル数の更新や計数通知の前などにVL接続信号のON/OFFの判定が行われて、VL接続信号がOFFであれば計数メダル数が「0」に設定されればよく、計数スイッチ監視処理内や計数処理内においてVL接続信号のON/OFFを判定する態様に限らない。
【0131】
また、スマートパチスロ100の電源投入時に、スマートパチスロ100の立ち上がりより専用ユニット350の立ち上がりが遅い場合、これに伴ってVL接続信号がONとなるのが遅れ、エラーとなる場合がある。この場合、エラーの報知、特に、スピーカ128からの出力を一時的に低く設定することで、意図しないエラー報知の影響を低減することができる。
【0132】
また、スマートパチスロ100の電源投入時に、メインCPU200aは、所定の待機時間(例えば、10sec)待機し、サブCPU202aやメダル数制御基板204が立ち上がるのを待つとしてもよい。かかる待機時間は、CPUの立ち上がり時間(例えば、0~100msec)に、確実性を持たせた時間(例えば、5秒)を加えた時間としてもよい。
【0133】
また、上記では、図20図21を用い、遊技者の計数スイッチ112の操作に応じて、計数メダル数を設定し、専用ユニット350に転送する処理を例示した。具体的に、遊技者が、計数スイッチ112を操作し、その押下時間が500msec未満であれば、メダルCPU204aは、その押下操作を「短押し」と判断して、計数メダル数に「1」を設定し、押下時間が500msec以上であれば、メダルCPU204aは、その押下操作を「長押し」と判断して、計数メダル数に「50」を設定する。なお、「長押し」の状態で遊技メダル数が50に満たない場合、メダルCPU204aは、計数メダル数に全ての遊技メダル数を設定する。ここでは、その変形例として、「短押し」および「長押し」に「全計数」を追加する。例えば、遊技者が、計数スイッチ112を操作したまま、押下時間が4000msec(4sec)以上となると、計数スイッチ112の操作を止めたとしても(押下を解除しても)、メダルCPU204aは、その押下操作を「全計数」と判断して、全ての遊技メダル数が計数処理されるまで、計数メダル数に「50」を繰り返し設定する。なお、残りの遊技メダル数が50に満たない場合、メダルCPU204aは、「長押し」同様、計数メダル数に全ての遊技メダル数を設定する。こうして、遊技者は、計数処理を行う対象となる遊技メダル数が多い場合であっても、計数スイッチ112を操作し続けなくてよいので、計数処理の作業負担を軽減することができる。
【0134】
このように、計数スイッチ112の押下時間が4000msec以上であり、計数スイッチ112のOFFエッジを検出すると、「全計数」となって、計数スイッチ112を操作することなく、計数処理が自動的に行われる。しかし、遊技者は、「全計数」の状態において、計数処理を停止し、メダル保持部に遊技メダル数を残したい場合もある。この場合、遊技者は、改めて計数スイッチ112を操作することで「全計数」を停止することができる。具体的に、「全計数」の状態において、遊技者が、計数スイッチ112を操作すると、そのOFFエッジにおいて「全計数」が停止し、計数処理の継続が止まる。こうして、遊技者は、自動的に繰り返される計数処理を停止することが可能となる。
【0135】
図22は、メダルCPU204aにおける計数スイッチ監視処理の変形例の流れを示したフローチャートである。計数スイッチ監視処理は、所定の周期(例えば、1ms)で繰り返される割込みタイミングに実行される。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない処理は説明を省略する。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。
【0136】
図22および後述する図23の処理では、「短押し」、「長押し」、「全計数」を計数フラグで管理する。計数フラグは、その時点でどのような計数処理を行えばよいかを表しており、0は何ら計数処理を行わないことを示し、1は「短押し」を実行することを示し、2は「長押し」を実行することを示し、3および4は「全計数」を実行することを示す。計数フラグ3と4とは、いずれも「全計数」中であることを示すが、状態管理のために区別されている。
【0137】
例えば、遊技者が、計数スイッチ112を操作し、500msec未満で操作を止めると、そのOFFエッジで計数フラグが1(「短押し」)となり、計数メダル数「1」が計数されると、計数フラグが0に戻る。また、遊技者が、計数スイッチ112を操作し、500msec以上操作を続けると、計数フラグが2(「長押し」)となり、操作を止める、もしくは、遊技メダル数が全て計数されると、計数フラグが0に戻る。また、遊技者が、計数スイッチ112を操作し、4000msec以上操作を続けた後、操作を止めると、そのOFFエッジで計数フラグが3(「全計数」発動状態)となり、遊技メダル数が全て計数されると、計数フラグが0に戻る。また、計数フラグが3のとき、遊技者が、さらに、計数スイッチ112を操作すると、計数フラグが4(「全計数」停止待機状態)となり、操作を止めると、計数フラグが0に戻る。
【0138】
図22に示すように、計数スイッチ112の押下を検出すると(S1におけるYES)、メダルCPU204aは、スマートパチスロ100が有する計時カウンタで計時を行う(S2)。ここで、「計時を行う」は、計時が開始されていない場合、計時を開始し、計時が開始されている場合、計時を継続することを示す。次に、メダルCPU204aは、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、16msec)以上であるか判定する(S3)。ここでは、所定時間(例えば、16msec)が経過するまで計数スイッチ112の押下を無効とし、計数スイッチ112へのチャタリングを防止する。したがって、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、16msec)未満であれば(S3におけるNO)、メダルCPU204aは、当該計数スイッチ監視処理を終了する。計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、16msec)以上であれば(S3におけるYES)、メダルCPU204aは、計数フラグが3であるか否か、すなわち、全計数開始後の押下操作であるか否か判定する(S4)。計数フラグが3でなければ(S4におけるNO)、全計数開始前の操作なので、メダルCPU204aは、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、500msec)以上であるか否か判定する(S5)。計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、500msec)以上であれば(S5におけるYES)、「長押し」操作が行われたとして計数フラグに2を設定し(S6)、当該計数スイッチ監視処理を終了する。また、計時時間が所定時間(例えば、500msec)未満であれば(S5におけるNO)、「長押し」操作は行われていないとして、当該計数スイッチ監視処理を終了する。また、計数フラグが3であれば(S4におけるYES)、メダルCPU204aは、「全計数」の状態を発動状態から停止待機状態に移行させるために、計数フラグに4を設定し(S7)、当該計数スイッチ監視処理を終了する。
【0139】
ステップS1において、計数スイッチ112がOFFされると(S1におけるNO)、メダルCPU204aは、計数スイッチ112がONからOFFに変化したOFFエッジであるか否か判定する(S8)。計数スイッチ112のOFFエッジであると判定すると(S8におけるYES)、メダルCPU204aは、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、16msec)以上であるか判定する(S9)。ここでは、所定時間(例えば、16msec)が経過するまでの計数スイッチ112のOFFエッジを無効とし、計数スイッチ112へのチャタリングを防止する。したがって、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、16msec)未満であれば(S9におけるNO)、メダルCPU204aは、計時カウンタをクリア(計時カウンタに0を設定)して(S10)、当該計数スイッチ監視処理を終了する。計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、16msec)以上であれば(S9におけるYES)、メダルCPU204aは、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、4000msec)以上であるか判定する(S11)。計時時間が所定時間(例えば、4000msec)未満であれば(S11におけるNO)、「全計数」の条件を満たしていないので、メダルCPU204aは、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、500msec)未満であり、かつ、計数フラグが0であるか判定する(S12)。計時時間が所定時間(例えば、500msec)未満であり、かつ、計数フラグが0であれば(S12におけるYES)、メダルCPU204aは、押下操作が「短押し」であると判定し、計数フラグに1を設定し(S13)、計時カウンタをクリアして(S10)、当該計数スイッチ監視処理を終了する。計時時間が所定時間(例えば、500msec)以上である、または、計数フラグが0でなければ(S12におけるNO)、メダルCPU204aは、「長押し」または「全計数」が終了したと判定し、計数フラグに0を設定し(S14)、計時カウンタをクリアして(S10)、当該計数スイッチ監視処理を終了する。ここでは、ステップS12において、計数フラグが、「長押し」を示す2、または、「全計数」停止待機状態を示す4であると、メダルCPU204aは、計時時間に拘わらず、計数処理を終了させ、計数フラグが「短押し」を示す1となるのを防止する。
【0140】
ステップS11において、計時カウンタの計時時間が所定時間(例えば、4000msec)以上であると判定すると(S11におけるYES)、メダルCPU204aは、「全計数」の条件を満たしたとして、計数フラグに3を設定し(S15)、計時カウンタをクリアして(S10)、当該計数スイッチ監視処理を終了する。こうして、計数スイッチ112のOFFエッジに応じて「全計数」が開始される。なお、ステップS8において、計数スイッチ112のOFFエッジではないと判定すると(S8におけるNO)、メダルCPU204aは、何ら処理することなく、当該計数スイッチ監視処理を終了する。
【0141】
図23は、メダルCPU204aにおける計数処理の流れを示したフローチャートである。計数処理は、遊技メダル数の計数の更新に関する処理であり、計数スイッチ112の押下操作に拘わらず、所定の周期(例えば、300ms)で繰り返される割込みタイミングに実行される。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない処理は説明を省略する。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。
【0142】
図23に示すように、メダルCPU204aは、現在の遊技メダル数をメダル保持部から取得する(S21)。次に、メダルCPU204aは、計数フラグが2以上であるか否か、すなわち、現在の押下操作が「長押し」または「全計数」であるか否か判定する(S22)。計数フラグが2以上であれば(S22におけるYES)、メダルCPU204aは、ステップS21で取得した遊技メダル数が「50」を超えているか否かを判定する(S23)。遊技メダル数が「50」を超えていれば(S23におけるYES)、メダルCPU204aは、計数メダル数に「50」を設定し(S24)、ステップS31の処理に進む。遊技メダル数が「50」以下である場合(S23におけるNO)、メダルCPU204aは、残りの遊技メダル数を全て計数メダル数に設定し(S25)、「長押し」または「全計数」を終了するために、計数フラグに0を設定し(S26)、ステップS31の処理に進む。
【0143】
ステップS22において、計数フラグが2未満であると判定されると(S22におけるNO)、メダルCPU204aは、計数フラグが1であるか否か、すなわち、「短押し」であるか否か判定する(S27)。計数フラグが1であれば(S27におけるYES)、メダルCPU204aは、計数メダル数に「1」を設定し(S28)、「短押し」を終了するために、計数フラグに0を設定し(S29)、ステップS31の処理に進む。計数フラグが1でなければ(S27におけるNO)、メダルCPU204aは、計数メダル数に「0」を設定し(S30)、ステップS31の処理に進む。
【0144】
続いて、メダルCPU204aは、VL接続信号を取得し、VL接続信号がONであるか否かを判定する(S31)。VL接続信号がONである場合(S31におけるYES)、メダルCPU204aは、ステップS33の処理に進む。VL接続信号がOFFである場合(S31におけるNO)、メダルCPU204aは、計数メダル数に「0」を設定し(S32)、ステップS33の処理に進む。
【0145】
次に、メダルCPU204aは、ステップS21で取得した遊技メダル数から、計数メダル数を減算して、遊技メダル数を更新する(S33)。例えば、計数メダル数が「1」の場合、取得した現在の遊技メダル数から「1」を減算したメダル数が、更新後の(減算後の)遊技メダル数となる。また、計数メダル数が「50」の場合、取得した現在の遊技メダル数から「50」を減算したメダル数が、更新後の遊技メダル数となる。また、「50」未満の遊技メダル数を計数メダル数として設定した場合、取得した現在の遊技メダル数から、計数メダル数として「50」未満の遊技メダル数全てを減算して、更新後の遊技メダル数は「0」となる。
【0146】
次に、メダルCPU204aは、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示を、ステップS33で導出した遊技メダル数に更新する(S34)。メダルCPU204aは、計数メダル数の情報を含む計数通知を生成して専用ユニット350に送信する(S35)。次に、メダルCPU204aは、計数通知の完了に応じて計数メダル数をクリアし(S36)、当該計数処理を終了する。
【0147】
このように、押下操作として「短押し」および「長押し」に、「全計数」を追加することで、計数処理のバリエーションを増やすことができ、遊技者は、その時点の遊技メダル数に応じて、所望する計数処理を実行することができる。また、押下操作として「全計数」を選択することで、遊技者は、計数処理を行う遊技メダル数が多い場合であっても、計数スイッチ112を操作し続けなくてよいので、計数処理の作業負担を軽減することができる。さらに、「全計数」操作によって、計数処理が自動的に繰り返されたとしても、遊技者は、再度、計数スイッチ112を操作することで、その計数処理を途中で停止することが可能となる。
【0148】
なお、ここでは、「全計数」の開始条件として、計数スイッチ112の押下時間が4000msec以上であり、計数スイッチ112のOFFエッジを検出することを挙げたが、かかる場合に限らない。例えば、計数スイッチ112のOFFエッジを検出しなくても、計数スイッチ112の押下時間が4000msec以上となることで「全計数」を開始するとしてもよい。また、「全計数」の開始条件として、押下時間自体を計らなくても、大凡、4000msecの時間が経過すれば足り、例えば、計数スイッチ112を長押しすると、「50」単位の計数処理が13回実行されたタイミングで、押下時間が4100msec(500msec+300msec×12)となる。したがって、「全計数」の開始条件として、計数スイッチ112の押下時間が4000msec以上であることの代わりに、「50」単位の計数処理が13回以上実行されたことを採用してもよい。
【0149】
また、ここでは、「全計数」の停止条件の一つとして、「全計数」の状態において、遊技者が、計数スイッチ112を操作すると、そのOFFエッジにおいて「全計数」が停止する例を挙げた。しかし、かかる場合に限らず、遊技者が、計数スイッチ112を操作すると、そのONエッジにおいて「全計数」が停止するとしてもよい。かかる構成とするには、図22図23における「全計数」停止待機状態を示す計数フラグ=4の状態で「全計数」を継続せず、計数フラグ=0と等しい処理とすればよい。この場合も、ステップS12において、計数フラグが4であると、計時時間に拘わらず、計数フラグが「短押し」を示す1となるのを防止しているので、ONエッジによる「全計数」停止後のOFFエッジによって「短押し」操作に対応する処理が行われることはない。
【0150】
なお、「全計数」は計数スイッチ112の押下を解除できる点を除き、その機能は、「50」単位の計数処理を繰り返すという点で「長押し」と等しい。以下では、説明の便宜上、「長押し」と「全計数」とを区別することなく、「長押し」として説明する。しかし、「長押し」の説明において、「全計数」を適用できるのは言うまでもない。
【0151】
(計数処理)
上述したように、スマートパチスロ100のメダルCPU204aは、遊技者の計数スイッチ112の操作に応じて、メダル保持部に保持された遊技メダル数の少なくとも一部を専用ユニット350に転送する計数処理を行う。
【0152】
図24は、計数処理を説明するためのタイミングチャートである。ここで、メダルCPU204aは、遊技者が所望する計数態様(短押しや長押し)を把握するため、計数スイッチ112が連続的に操作された時間を計時している。例えば、図24(a)に示すように、計数スイッチ112の短押し、すなわち、500msec未満の操作を受け付けた場合には(時点a)、計数メダル数として「1」が設定される。図18に示したタイマ割込みによる300msec周期(所定の送信周期)が到来すると(時点b)、遊技メダル数から「1」が減算される。ここでは、遊技メダル数が「30」から「1」が減算されて「29」になったとする。なお、かかる計数メダル数および遊技メダル数は、メダルCPU204aがRAMに保持している変数である。そして、スマートパチスロ100は、計数通知を専用ユニット350に送信する。専用ユニット350は、計数通知を受信すると、計数通知で示された計数メダル数(ここでは「1」)を獲得メダル数(例えば「0」)に加算し、その加算結果(例えば「1」)を獲得メダル数表示装置374に表示する。
【0153】
また、例えば、図24(b)に示すように、遊技者が計数スイッチ112の操作を継続し、300msec周期が到来したときに(時点c)、計数スイッチ112の長押し、すなわち、500msec以上継続した操作を受け付けると、メダル保持部の遊技メダル数が50枚以上の場合、計数メダル数として「50」が設定され、50枚未満の場合、計数メダル数として全数が設定される。ここでは、仮に、遊技メダル数が「30」であり、長押しにより、その全数「30」が計数メダル数として設定されたとする。これに伴い、遊技メダル数「30」が全数減算され、遊技メダル数は「0」となる。そして、スマートパチスロ100は、計数通知を専用ユニット350に送信し、計数メダル数をクリア(「0」に設定)する。専用ユニット350は、計数通知を受信すると、計数通知で示された計数メダル数(ここでは「30」)を獲得メダル数(例えば「0」)に加算し、その加算結果(例えば「30」)を獲得メダル数表示装置374に表示する。
【0154】
なお、上述したように、遊技が可能な間に計数スイッチ112が操作された場合、必ず計数処理が実行される。したがって、遊技の進行中に遊技者が計数スイッチ112を操作すると、遊技の進行における電子化メダルの払い出しと、計数処理とが短時間に連続して実行される場合がある。例えば、図24(c)に示すように、遊技メダル数が「30」である場合に、遊技の進行に応じて、小役が入賞し、仮に、15枚の電子化メダルの払い出しがあったとする(時点d)。メダルCPU204aは、払出枚数が含まれる払い出し終了コマンドを受信し、遊技メダル数「30」に払出枚数「15」を加算して遊技メダル数を一度に「45」に更新する。このとき、並行して、遊技者が計数スイッチ112の操作を継続しており、300msec周期が到来したときに(時点e)、メダルCPU204aが、計数スイッチ112の長押し、すなわち、500msec以上継続した操作を受け付けると、計数メダル数として全部の電子化メダル(ここでは「45」)を設定する。これに伴い、遊技メダル数「45」が全数減算され、遊技メダル数は「0」となる。そして、スマートパチスロ100は、計数通知を専用ユニット350に送信し、計数メダル数をクリアする。専用ユニット350は、計数通知を受信すると、計数通知で示された計数メダル数(ここでは「45」)を獲得メダル数(例えば「0」)に加算し、その加算結果(例えば「45」)を獲得メダル数表示装置374に表示する。
【0155】
ここでは、小役の入賞と計数スイッチ112の操作とのタイミングによって、電子化メダルの払い出しが行われた直後に計数処理が実行されている。したがって、遊技メダル数は、その都度「30」→「45」→「0」と変化している。しかし、電子化メダルの払出処理および計数処理が、計数通知を送信する300msec周期内で連続して実行されると、計数通知では、その結果のみ通知されることとなる。したがって、遊技メダル数の「30」→「45」→「0」の推移に拘わらず、専用ユニット350は、獲得メダル数の「0」→「45」の変化のみ獲得メダル数表示装置374に表示することとなる。
【0156】
図24に示したように、メダルCPU204aは、遊技メダル数が変化したタイミング、すなわち、電子化メダルの払出処理や計数処理が実行されたタイミングに拘わらず、また、電子化メダルの払出処理による遊技メダル数の変化が遊技メダル数表示装置114に表示されるのを待つことなく、計数通知を送信する周期が到来したときに、計数スイッチ112が所定時間(例えば、500msec)以上連続して操作されていると、計数メダル数として遊技メダル数の一部または全部(ここでは、全部である「45」)を専用ユニット350に送信する。したがって、電子化メダルの払出処理と計数処理とが重なった場合においても、そのタイミングによっては、計数通知を送信する周期が到来し、長押しに伴って、遊技メダル数が「30」→「0」となり、計数メダル数として「30」を専用ユニット350に送信した後、電子化メダルの払出処理によって、遊技メダル数が「0」→「15」となり、再び、計数通知を送信する周期が到来し、長押しに伴って、遊技メダル数が「15」→「0」となり、計数メダル数として「15」を専用ユニット350に送信する場合もある。そうすると、獲得メダル数表示装置374の表示内容が「0」→「30」→「45」と変化する場合もあり、図24(c)に示したように、獲得メダル数表示装置374の表示内容が「0」→「45」と変化する場合も生じ得る。しかし、遊技者は、計数スイッチ112を長押しすることで、既に、遊技メダル数の計数を開始しているので、獲得メダル数表示装置374の表示内容が「0」であったのが、遊技メダル数と電子化メダルの払い出し分とを合わせて、最終的に「45」になっているのを確認できればよい。したがって、獲得メダル数表示装置374の遊技メダル数の変化態様の違いは遊技の進行に影響しない。
【0157】
ここでは、メダルCPU204aが、遊技メダル数の変化タイミングに拘わらず、計数通知を送信する周期が到来したときに計数スイッチ112が所定時間(例えば500msec)以上連続して操作されていると、遊技メダル数の一部または全部(ここでは、「45」)を専用ユニット350に送信する構成により、遊技者は、獲得メダル数表示装置374の表示更新を不要に待つことなく、最終的な獲得メダル数を早期に把握し、次の操作を迅速に開始できるので、スマートパチスロ100の操作性を向上することが可能となる。
【0158】
また、ここでは、メダルCPU204aは、遊技メダル数に拘わらず(遊技メダル数が「0」であっても)、計数スイッチ112の操作を常に受け付け、計数スイッチ112が連続的に操作された時間を計時している。
【0159】
例えば、仮に、遊技メダル数が「0」であった場合、計数処理の実行有無に拘わらず、計数通知では計数メダル数が「0」となる。したがって、遊技メダル数が「0」の場合、計数処理を実行しないとしたり、計数スイッチ112が連続的に操作された時間を計時しないといったことが考えられる。しかし、図24(c)で示したように、仮に、電子化メダルの払出処理が生じた場合、払出処理前の遊技メダル数が「0」であったとしても、その払い出された電子化メダル(遊技メダル数)について計数処理を実行できる。このとき、遊技メダル数が「0」以外の数となってから(払出処理が完了してから)、はじめて計数スイッチ112が連続的に操作された時間を計時するとなると、その分、計数処理が遅れ、操作性が悪くなる。
【0160】
ここでは、メダルCPU204aが、遊技メダル数に拘わらず、計数スイッチ112が連続的に操作された時間を計時する構成により、計数通知を送信する周期が到来したときには確実に長押しを判断することが可能となるので、遊技者は、最終的な獲得メダル数を早期に把握し、次の操作を迅速に開始でき、スマートパチスロ100の操作性を向上することが可能となる。また、メダルCPU204aが実行するプログラム上、遊技メダル数が「0」であるか否かといった判定(分岐)が不要になるので、処理負荷を軽減するとともに、メモリ容量を削減することが可能となる。
【0161】
なお、メダルCPU204aが、計数通知を送信する周期(例えば300msec)と、遊技メダル数表示装置114の表示を更新する周期(タイマ割込みによる所定の表示周期:例えば1msec)は独立して管理されている。したがって、上述した電子化メダルの払出処理や計数処理のタイミングと、遊技メダル数表示装置114の表示更新タイミングとの時間関係によっては、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示態様が異なることとなる。
【0162】
図25は、遊技メダル数の表示態様を説明するためのタイミングチャートである。ここでは、図24(c)に示したように、遊技の進行に応じて、小役が入賞し、仮に、15枚の電子化メダルの払い出しがあったとする。また、これと並行して、遊技者が計数スイッチ112の操作を継続し、300msec周期が到来したときに、メダルCPU204aが、計数スイッチ112の長押し、すなわち、500msec以上継続した操作を受け付けると、計数メダル数として全部の電子化メダル(ここでは「45」)を設定する。ここでは、遊技メダル数が、電子化メダルの払出処理によって「30」→「45」に変化し、計数処理によって「45」→「0」に変化している。また、専用ユニット350では、獲得メダル数が、計数処理によって「0」→「45」に変化している。
【0163】
例えば、図25(a)に示すように、電子化メダルの払出処理と計数処理との間に、遊技メダル数表示装置114の表示内容が更新(変更)されたとする。そうすると、メダルCPU204aは、遊技メダル数が、電子化メダルの払出処理によって「30」→「45」に変化したことに応じ、遊技メダル数表示装置114の表示を更新する周期が到来すると(時点f)、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示を「30」→「45」に変化させる。同様に、メダルCPU204aは、遊技メダル数が、計数処理によって「45」→「0」に変化したことに応じ、遊技メダル数表示装置114の表示を更新する周期が到来すると(時点g)、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示を「45」→「0」に変化させる。
【0164】
ここでは、電子化メダルの払出処理が実行された後、および、計数処理が実行された後に、それぞれ遊技メダル数表示装置114の表示内容が更新されている。したがって、遊技メダル数が「30」→「45」→「0」と変化するのに伴って、遊技メダル数表示装置114の表示も「30」→「45」→「0」と変化することとなる。この場合、遊技者は、遊技メダル数表示装置114を通じて、遊技メダル数が「30」→「45」→「0」と変化したことを把握することができる。
【0165】
また、例えば、図25(b)に示すように、遊技メダル数表示装置114の表示を更新する周期の間に、電子化メダルの払出処理と計数処理とがいずれも実行されたとする。そうすると、メダルCPU204aは、遊技メダル数が、電子化メダルの払出処理によって「30」→「45」に変化し、計数処理によって「45」→「0」に変化する。しかし、遊技メダル数表示装置114の表示を更新する周期が到来したときには(時点h)、既に遊技メダル数が「0」になっているので、メダルCPU204aは、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示を「30」→「0」に直接変化させる。
【0166】
ここでは、電子化メダルの払出処理および計数処理がいずれも実行された後に、遊技メダル数表示装置114の表示内容が更新されている。したがって、遊技メダル数が「30」から一旦増加して「45」となった後、減少して「0」と変化するのに対し、遊技メダル数表示装置114の表示は「30」から直ぐに減少して「0」と変化することとなる。この場合、遊技者は、遊技メダル数表示装置114を通じて、遊技メダル数が「30」→「0」と変化したことを把握する。
【0167】
ここで、遊技者に、遊技メダル数表示装置114を通じて、遊技メダル数が「30」→「45」→「0」といったように段階的に変化したことを把握させようとすると、メダルCPU204aは、遊技メダル数表示装置114の表示内容が更新されるのを待って計数処理を行わなければならなくなり、その分、計数処理が遅れてしまう。なお、遊技者に遊技メダル数表示装置114の表示の更新を認識させるためには、認識できる程度に表示時間を長くする必要が生じるので、その分、計数処理が遅れ、操作性が悪くなる。
【0168】
ここでは、図25に示したように、メダルCPU204aは、遊技メダル数の変化に応じて遊技メダル数表示装置114の表示内容が更新されたか否かに拘わらず、計数通知を送信する周期が到来すると、計数メダル数として遊技メダル数の一部または全部(ここでは、全部である「45」)を専用ユニット350に送信する。したがって、遊技メダル数が「30」→「45」→「0」と変化した場合に、図25(a)に示したように、遊技メダル数表示装置114の遊技メダル数が「30」→「45」→「0」と変化する場合もあれば、図25(b)に示したように、遊技メダル数表示装置114の遊技メダル数が「30」→「0」と変化する場合もある。しかし、遊技者は、計数スイッチ112を長押しすることで、既に、遊技メダル数の計数を開始しているので、遊技メダル数表示装置114の表示内容が「30」であったのが、最終的に、「0」になっているのを確認できればよい。また、遊技者は、獲得メダル数表示装置374の表示内容が「0」であったのが、遊技メダル数と電子化メダルの払い出し分とを合わせて、最終的に「45」になっているのを確認できればよい。したがって、遊技メダル数表示装置114の遊技メダル数の変化態様の違いは遊技の進行に影響しない。
【0169】
ここでは、メダルCPU204aが、遊技メダル数の変化タイミングに拘わらず、計数通知を送信する周期が到来したときに計数スイッチ112が所定時間(例えば500msec)以上連続して操作されていると、遊技メダル数の少なくとも一部(ここでは、「45」)を専用ユニット350に送信する構成により、遊技者は、遊技メダル数表示装置114の表示更新を不要に待つことなく、最終的な遊技メダル数を早期に把握し、次の操作を迅速に開始できるので、スマートパチスロ100の操作性を向上することが可能となる。
【0170】
なお、ここでは、図24図25を通じ、電子化メダルの払出処理や計数処理が連続して実行される例を挙げて説明したが、遊技メダル数の変化はかかる処理に限らず、電子化メダルの投入処理等、様々な処理を対象とすることができる。
【0171】
ところで、図18を用いて説明したように、スマートパチスロ100(例えば、メダルCPU204a)は、遊技機情報通知を所定の周期(例えば、300msec周期)で専用ユニット350に送信する。また、スマートパチスロ100は、遊技機情報通知を専用ユニット350に送信してから100msec経過後に計数通知を専用ユニット350に送信する。つまり、スマートパチスロ100は、計数メダル数の情報を含む計数通知を、遊技機情報通知と同様に、所定の周期(例えば、300msec周期)で専用ユニット350に送信する。
【0172】
また、計数スイッチ112は、遊技者による所定の入力操作(例えば、押圧操作)を受け付ける入力操作部である。スマートパチスロ100(例えば、メダルCPU204a)は、計数スイッチ112(入力操作部)から当該入力操作を示す信号を受信可能となっている。スマートパチスロ100は、計数スイッチ112から受信した信号に基づいて、後述するように計数メダル数を設定する。スマートパチスロ100は、上述の所定の周期(例えば、300msec)で、現在の遊技メダル数から、設定した計数メダル数を減算して、遊技メダル数を更新し、所定の周期とは異なる周期(例えば1msec)で、遊技メダル数表示装置114の表示を、当該更新後の遊技メダル数に随時更新する。
【0173】
遊技メダル数の更新が完了すると、例えば1msecですぐに遊技メダル数表示装置114の表示内容が更新されるため、ほぼ所定の周期(例えば300msec)で当該表示内容が更新されることになる。このことから、スマートパチスロ100は、遊技メダル数表示装置114における表示内容(すなわち、遊技メダル数表示装置114によって表示される遊技メダル数)の変更を、計数スイッチ112から受信した信号に基づいて、実質的に所定の周期(例えば300msec)で行うこととなる。
【0174】
また、スマートパチスロ100は、設定した計数メダル数の情報を含む計数通知を、上述の所定の周期(例えば、300msec)で専用ユニット350に送信する。つまり、スマートパチスロ100は、計数スイッチ112から受信した信号に基づく、計数通知の外部への出力を、所定の周期で行う。
【0175】
また、専用ユニット350は、受信した計数通知に基づいて、獲得メダル数を更新し、所定の周期とは異なる周期(例えば1msec)で、獲得メダル数表示装置374の表示を、当該更新後の獲得メダル数に随時更新する。専用ユニット350では、計数通知に基づいて獲得メダル数の更新が完了すると、例えば1msecですぐに獲得メダル数表示装置374の表示内容が更新されるため、ほぼ所定の周期(例えば300msec)で当該表示内容が更新されることになる。このことから、専用ユニット350は、獲得メダル数表示装置374における表示の更新を、スマートパチスロ100から受信した計数通知に基づいて、実質的に所定の周期(300msec)で行う。
【0176】
ここで、遊技者が、計数スイッチ112を素早く複数回連続押圧操作することがあり得る。このような場合、スマートパチスロ100は、所定の周期(例えば、300msec周期)のうち1周期中(例えば、300msec以内)に、押圧操作を示す信号を複数回受信する(入力される)ことがある。スマートパチスロ100では、このような複数回の押圧操作が1周期中に行われても、専用ユニット350における表示が適切に行われるようにする。
【0177】
具体的には、スマートパチスロ100(例えば、メダルCPU204a)は、1周期中に計数スイッチ112から信号を複数回受信した場合、複数回のうち1回分の信号のみを有効とする。より詳細には、スマートパチスロ100は、1周期中に計数スイッチ112から信号を複数回受信しても、計数スイッチ112の押圧操作に応じた計数メダル数を固定的に「1」に設定する。そして、スマートパチスロ100は、有効とされた1回分の信号に基づいて(より詳細には、計数メダル数「1」に基づいて)、遊技メダル数表示装置114における表示を更新し、信号(例えば、計数通知)を外部に出力する。
【0178】
図26は、メダルCPU204aにおける計数スイッチ処理の流れを示したフローチャートである。計数スイッチ処理は、計数スイッチ112が押圧操作されたときに実行される。計数スイッチ処理は、図20のステップS1がYESのときに行われるステップS3~ステップS10の処理に対応する。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない処理は説明を省略する。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。
【0179】
図26に示すように、メダルCPU204aは、計数スイッチ112の押圧を検出すると(具体的には、計数スイッチ112のONエッジを検出すると)、スマートパチスロ100が有する計時カウンタの計時を開始する(S3)。メダルCPU204aは、計数スイッチ112のOFFエッジを検出したか否かを判定する(S4)。計数スイッチ112のOFFエッジが検出されていない場合(S4におけるNO)、メダルCPU204aは、計時カウンタの計時開始から所定時間(例えば、500msec)が経過したか否かを判定する(S5)。所定時間が経過していない場合(S5におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS4の処理に戻る。所定時間が経過した場合(S5におけるYES)、メダルCPU204aは、長押しフラグをONに設定して(S6)、ステップS4の処理に戻る。
【0180】
計数スイッチのOFFエッジが検出された場合(S4におけるYES)、メダルCPU204aは、長押しフラグがOFFであるか否かを判定する(S7)。長押しフラグがOFFである場合(S7におけるYES)、メダルCPU204aは、計数メダル数を「1」に設定し、ステップS9の処理に進む。設定された計数メダル数は、所定のレジスタまたはRAMに記憶される。長押しフラグがONである場合(S7におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS9の処理に進む。ステップS9において、メダルCPU204aは、長押しフラグをクリアする(OFFにする)。メダルCPU204aは、計時カウンタをクリアし、計数スイッチ処理を終了する。ここで、ステップS8では、計数メダル数が「+1」されるのではなく、計数メダル数が「1」に設定される。
【0181】
図27は、計数メダル数の設定を説明するタイムチャートである。図27に示すように、例えば、時点aにおいて、遊技メダル数が「50」であり、計数メダル数「0」の情報を含む計数通知がスマートパチスロ100から専用ユニット350に送信され、獲得メダル数が「50」であるとする。そして、時点aから、1周期分の300msecが経過するまでに、計数スイッチ112の押圧操作が3回行われたとする。
【0182】
上述の計数スイッチ処理は、計数スイッチ112の押圧操作のONエッジで開始され、当該押圧操作におけるOFFエッジにおいて、短押しであれば、計数メダル数「1」が設定される。計数スイッチ112が短押しされる都度、計数メダル数「1」が繰り返し設定されるため、例えば、1周期中の3回目の短押しであっても、計数メダル数は、「3」に設定されず、「1」に設定される。
【0183】
時点aから1周期分の300msecが経過した時点bにおいて、図21を用いて上述したように、スマートパチスロ100は、現在の遊技メダル数「50」から、設定された計数メダル数「1」を減算して、遊技メダル数「49」を導出する。スマートパチスロ100は、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示を「50」から「49」に更新する。このように、1周期中に3回押圧操作がなされても、遊技メダル数表示装置114の表示更新の直前の数が、例えば、「50」の場合、「47」に表示更新されるのではなく、「49」に表示更新される。
【0184】
また、時点bにおいて、スマートパチスロ100は、計数メダル数「1」の情報を含む計数通知を専用ユニット350に送信する。専用ユニット350は、計数通知を受信すると、獲得メダル数「50」に、受信した計数メダル数「1」を加算して、獲得メダル数「51」を導出する。専用ユニット350は、獲得メダル数表示装置374における獲得メダル数の表示を「50」から「51」に更新する。このように、1周期中に3回押圧操作がなされても、獲得メダル数表示装置374の表示更新の直前の数が、例えば、「50」の場合、「53」に表示更新されるのではなく、「51」に表示更新される。
【0185】
すなわち、メダルCPU204aは、1周期中に複数回押圧操作がなされても、計数メダル数を「1」に設定することで、専用ユニット350の獲得メダル数表示装置374の表示を、所定の周期(例えば、300msec)ごとに1ずつ増加するように更新することができる。例えば、獲得メダル数表示装置374の表示内容が、「50」から「53」に飛んで変化するのではなく、「50」から「51」に変化するように、1ずつ連続して変化する。このため、スマートパチスロ100では、専用ユニット350の獲得メダル数表示装置374において獲得メダル数を適切に表示させることができ、遊技者に不信感を与えることを抑制することができる。
【0186】
なお、上記のスマートパチスロ100では、1周期中に、計数スイッチ112の信号(例えば、ONエッジ)を複数回受信した(入力された)場合に、複数回のうち1回分の信号のみを有効としていた。しかし、スマートパチスロ100は、1周期中に、計数スイッチ112の信号(例えば、ONエッジ)を複数回受信した場合、受信した複数回の信号をすべて有効に処理してもよい。
【0187】
図28は、複数回の信号をすべて有効に処理する変形例にかかる計数スイッチ処理の流れを示したフローチャートである。図28のフローチャートは、図26のフローチャートのステップS8をステップS18に変更した点において図26のフローチャートと異なり、他のステップについては、図26のフローチャートと同じである。
【0188】
図28で示すように、長押しフラグがOFFである場合(S7におけるYES)、スマートパチスロ100は、計数メダル数を「+1」(1だけインクリメント)する。
【0189】
図29は、複数回の信号をすべて有効に処理する変形例にかかる計数メダル数の設定を説明するタイムチャートである。図29で示すように、時点cから、1周期分の300msecが経過するまでに、計数スイッチ112の押圧操作が3回行われたとする。
【0190】
この変形例における計数スイッチ処理は、計数スイッチ112の押圧操作のONエッジで開始され、当該押圧操作におけるOFFエッジにおいて、短押しであれば、計数メダル数が「+1」される。このため、1周期中に計数スイッチ112が短押しされる都度、計数メダル数が「1」ずつ増加する。例えば、1周期中の2回目のOFFエッジでは、計数メダル数が「2」に設定され、1周期中の3回目のOFFエッジでは、計数メダル数が「3」に設定される。
【0191】
時点cから1周期分の300msecが経過した時点dにおいて、図21を用いて説明したように、スマートパチスロ100は、現在の遊技メダル数「50」から、設定された計数メダル数「3」を減算して、遊技メダル数「47」を導出する。スマートパチスロ100は、遊技メダル数表示装置114における遊技メダル数の表示を、「50」→「49」→「48」→「47」のように、「1」ずつ順に減少するように更新する。
【0192】
また、時点dにおいて、スマートパチスロ100は、1周期中に3回押圧操作されたことにより、計数メダル数「3」の情報を含む計数通知を専用ユニット350に送信する。専用ユニット350は、計数通知を受信すると、獲得メダル数「50」に、受信した計数メダル数「3」を加算して、獲得メダル数「53」を導出する。専用ユニット350は、獲得メダル数表示装置374における獲得メダル数の表示を「50」→「51」→「52」→「53」のように、「1」ずつ順に増加するように更新する。
【0193】
このように、複数回の信号をすべて有効に処理する変形例においても、専用ユニット350の獲得メダル数表示装置374において獲得メダル数を適切に表示させることができる。
【0194】
(計数音)
上述したように、スマートパチスロ100では、計数スイッチ112が操作され、計数処理が実行されたときに、計数スイッチ112が操作されたことを報知する(電子化メダルの移動を報知する)計数音がスピーカ128から出力される。同様に、スマートパチスロ100では、貸出スイッチ366が操作され、貸出処理が実行されたときに、貸出スイッチ366が操作されたことを報知する(電子化メダルの移動を報知する)貸出音がスピーカ128から出力される。なお、貸出処理は、遊技者の貸出スイッチ366の操作に応じて、電子化メダルの一部または全部を貸出するための情報を専用ユニット350からスマートパチスロ100に伝達することで電子化メダルを貸出する処理を言う。以下では、計数音や貸出音の出力について、計数音を例に挙げて説明する。
【0195】
図24等を用いて説明したように、メダルCPU204aは、計数スイッチ112が操作されていない場合、計数メダル数として「0」を設定し、計数スイッチ112が短押しされた場合、計数メダル数として「1」を設定し、計数スイッチ112が長押しされた場合、計数メダル数として「50」(遊技メダル数が50以下の場合全数)を設定する。そして、メダルCPU204aは、300msec周期で訪れる計数通知の送信タイミングが到来すると、設定した計数メダル数の情報を含む計数通知を専用ユニット350に送信する。
【0196】
メダルCPU204aは、計数スイッチ112が操作されたことを示す計数メダル数(「1」、「50」、または、「1」~「50」の任意の数)の情報を含む計数通知を専用ユニット350に送信するとき、その計数通知の送信とともに、計数処理が行われたことを示す信号(計数通知契機信号)を主制御基板200に送信する。主制御基板200のメインCPU200aは、計数通知契機信号をメダル数制御基板204から受信すると、計数音の出力を指示する計数音通知を副制御基板202に送信する。副制御基板202のサブCPU202aは、主制御基板200を通じて計数音通知を受信すると、スピーカ128を通じて計数音を出力する。これにより、計数スイッチ112の操作に応じて、計数処理が実行されている間、継続して計数音が出力される。
【0197】
なお、メダルCPU204aは、計数スイッチ112が操作されたことを示す計数メダル数の情報を含む計数通知の送信タイミングで計数通知契機信号を送信する態様に限らず、例えば、計数スイッチ112が操作されたことを示す計数メダル数が設定されてから、その設定された計数メダル数が反映された遊技メダル数が遊技メダル数表示装置114に表示されるタイミングで、計数通知契機信号を送信してもよい。
【0198】
スマートパチスロ100には、スピーカ128として、2つの上スピーカ、2つの下スピーカ、2つのツイータ、1つの低音スピーカの合計7つのスピーカが設けられてもよい。上スピーカは、例えば、前面上扉104における図柄表示窓108の左右にそれぞれ1つずつ設けられている。上スピーカは、前面上扉104の背面に設置され、前面上扉104における上スピーカの前面の位置には開口が設けられている。下スピーカは、例えば、前面下扉106における左右の位置にそれぞれ1つずつ設けられている。下スピーカは、前面下扉106の背面に設置され、前面下扉106における下スピーカの前面の位置には開口が設けられている。ツイータは、例えば、左の上スピーカの近傍に1つ設けられており、右の上スピーカの近傍に1つ設けられている。ツイータは、前面上扉104の背面に設置され、前面上扉104におけるツイータの前面の位置には開口が設けられている。低音スピーカは、例えば、筐体102内のリール110の近傍に設けられている。筐体102における低音スピーカの前面の位置には開口が設けられていない。上スピーカおよび下スピーカは、例えば、中音域の音を出力する。ツイータは、例えば、高音域の音を出力する。低音スピーカは、例えば、ウーファーであり、低音域または重低音域の音を出力する。計数音は、上スピーカ、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカのいずれからも出力され得る。
【0199】
ここで、遊技中では、演出音(例えば、BGMなど)、演出上のキャラクタの台詞(例えば、「ボーナス確定だよ」など)、SE(サウンドエフェクト)などの、遊技を効果的に盛り上げる各種の音が出力される。以下では、このような遊技に関する各種の音を総称して、遊技音と言う。遊技中に計数スイッチ112が操作されると、計数スイッチ112の操作に伴って、遊技中に、上記の遊技音に加え(重ねて)、計数音も併せて出力されることがある。
【0200】
図30は、遊技音と計数音とが重複するときの動作を説明する図である。図30(a)は、遊技音と計数音との重複が発生しておらず、遊技音および計数音のうち遊技音のみが出力される場合の、音量の一例を示す。図30(a)で示すように、遊技音は、各スピーカにおける設定可能な音量の最大値(100%)で、各スピーカから出力することができる。ここで、スピーカの音量が大きいほど、スピーカのボイスコイルに流れる電流が大きくなり、スピーカのボイスコイルに流れる電流が大きいほど、スピーカの温度が高くなる。遊技音と計数音との重複が発生していない場合、図30(b)で示すように、遊技音が出力されても、各スピーカの温度は、各スピーカの許容される温度の上限値(以下、許容温度上限値と言う)を超えない。なお、図30(b)では、各スピーカのうちの任意の1のスピーカの温度を例示している。
【0201】
図30(c)は、遊技音と計数音との重複が発生した場合の、音量の一例を示す。図30(c)では、遊技音が、各スピーカにおける設定可能な音量の最大値(100%)で出力されると共に、計数音が、各スピーカにおける設定可能な音量の最大値(100%)で出力される場合を示している。このように、遊技音および計数音が重複したときに、遊技音および計数音の両方を、最大音量(設定可能な音量の最大値)で出力すると、図30(d)で示すように、各スピーカの温度が、各スピーカの許容温度上限値を超えるおそれがある。そうすると、場合によっては、温度が許容温度上限値を超えたスピーカが損傷するおそれがある。なお、図30(d)では、各スピーカのうちの任意の1のスピーカの温度を例示している。
【0202】
そこで、図30(e)で示すように、遊技音と計数音との重複が発生した場合、遊技音の音量が最大音量に対して低下されるようにすると共に、計数音の音量が最大音量(設定可能な音量の最大値(100%))で出力されるようにする。例えば、上スピーカでは、遊技音の音量が最大音量に対して10%低下されて、遊技音が90%の音量で出力される。下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカでは、遊技音の音量が最大音量に対して50%低下されて、遊技音が50%の音量で出力される。
【0203】
そうすると、図30(f)で示すように、遊技音および計数音を重複して出力したとしても、各スピーカの温度が、各スピーカの許容温度上限値を超えることを抑制することができる。その結果、スピーカの損傷を防止することができる。また、遊技音の音量が最大音量に対して低下されるものの、遊技音が出力されるため、遊技者に遊技の進行に関する違和感を与えることを抑制することができ、遊技を適切に進行させることができる。
【0204】
また、図30(e)の例では、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカから出力される遊技音の音量の低下量が、上スピーカから出力される遊技音の音量の低下量よりも多くなっている。上スピーカは、中音域の音を遊技者の耳に近くで出力するため、遊技者は、上スピーカの音に敏感であり、上スピーカから出力される遊技音の音量の低下量が多いと、遊技者は音量の低下を感じ易く、遊技音の効果が低減されるおそれがある。一方、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカは、遊技者の耳から比較的離れているため、上スピーカと比べて、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカの音量の低下量を多くしても、遊技者は音量の低下を感じ難く、遊技音の効果の低減が抑制される。これらより、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカから出力される遊技音の音量の低下量を、上スピーカから出力される遊技音の音量の低下量より多くすることで、遊技音の効果の低減を抑制しつつ、スピーカの損傷を防止することができる。
【0205】
なお、上スピーカ、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカのうち、上スピーカ以外のスピーカから出力される遊技音の音量の低下量を、上スピーカから出力される遊技音の音量の低下量よりも多くする態様に限らず、例えば、スマートパチスロ100における複数の位置に配置される複数のスピーカのうち、特定のスピーカ以外のスピーカから出力される遊技音の音量の低下量を、特定のスピーカから出力される遊技音の音量の低下量よりも多くしてもよい。この態様によっても、スピーカの損傷を防止することができ、遊技を適切に進行することが可能である。
【0206】
また、上スピーカ、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカの全てのスピーカにおいて、遊技音の音量の低下量を、同程度にしてもよい。この態様によっても、スピーカの損傷を防止することができ、遊技を適切に進行させることが可能である。
【0207】
また、スマートパチスロ100では、スマートパチスロ100の各部に流れる電流を総合した電流値(以下、筐体102の総電流値と言う)が、筐体102として許容される電流の上限値(以下、許容電流上限値)を超えないようにする必要がある。遊技音と計数音とが重複して出力される場合、遊技音を出力するための電流に加え、計数音を出力するための電流も流れる。このため、遊技音と計数音との重複が発生した場合、各スピーカの温度が上昇すると共に、筐体102の総電流値が許容電流上限値を超えるおそれがある。
【0208】
上述のように、遊技音と計数音との重複が発生した場合に、遊技音の音量が最大音量に対して低下されるようにすると共に、計数音の音量が最大音量で出力されるようにすることで、筐体102の総電流値が許容電流上限値を超えることを抑制することもできる。その結果、筐体102の各部の損傷を防止することができる。また、遊技音の音量を低下することで、筐体102の総電流値を抑制することができるため、電源の小型化を図ることも可能となる。
【0209】
図30(e)では、上スピーカの音量を90%、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカの音量を50%にしていた。しかし、遊技音の音量の数値は一例であり、各スピーカの温度および筐体102の総電流値を考慮して、遊技音の音量を任意の数値に設定してもよい。
【0210】
図31は、演出制御手段334が実行する計数音処理を説明するフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。計数音処理は、計数音通知の受信に基づいて計数音を各スピーカから出力する処理である。
【0211】
演出制御手段334は、例えば、計数音通知を受信したかを、所定周期で判定する(S1)。計数音通知を受信した場合(S1におけるYES)、演出制御手段334は、遊技音の音量を低下する設定を行う(S2)。例えば、演出制御手段334は、演出音のトラック、台詞のトラック、SEのトラックなど、遊技音のトラックの音量設定値を、計数音通知を受信する直前(通常時)の音量設定値よりも小さな所定の音量値に設定する。これにより、各スピーカから出力される遊技音の音量が低下する。
【0212】
遊技音の音量を低下する設定の完了後、演出制御手段334は、計数音を示す音信号を各スピーカに出力する(S3)。これにより、各スピーカから計数音が出力される。演出制御手段334は、計数音通知を受信する都度、計数音の出力を行う。例えば、計数スイッチ112が長押しされている場合、長押しされている間、計数音が出力される。
【0213】
また、計数音通知を受信したかを所定周期で判定した結果、計数音通知を受信しなかった場合(S1におけるNO)、演出制御手段334は、計数音を出力しているかを判定する(S4)。計数音を出力していると判定した場合(S4におけるYES)、演出制御手段334は、計数音を示す音信号を各スピーカに出力することを停止する(S5)。これにより、各スピーカから出力されていた計数音の出力が停止される。例えば、計数スイッチ112の長押しが解除された場合、長押しが解除されたことに応じて計数音の出力が停止される。
【0214】
計数音の停止後、演出制御手段334は、遊技音の音量を、計数音通知を受信する直前(通常時)の音量に復帰する設定を行い(S4)、計数音処理を終了する。これにより、各スピーカから出力される遊技音の音量が通常の音量に復帰する。
【0215】
以上のように、遊技価値の貸出を行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能な遊技機の一例であるスマートパチスロ100は、遊技価値(例えば、電子化メダル)を管理する遊技価値制御手段(例えば、メダル数制御基板204)と、演出を制御する演出制御手段334と、を備える。演出制御手段334は、音声出力部(例えば、各スピーカ)を通じて遊技の進行に応じた遊技音を出力する。遊技価値制御手段(例えば、メダル数制御基板204)は、遊技価値を特定ユニットに転送する計数処理を行うことがある。遊技機の一例であるスマートパチスロ100では、計数処理が行われている間、計数処理が行われていることを報知する計数音が出力され、遊技音の音量が下がる。これにより、遊技を適切に進行させることが可能となるとともに、スピーカの温度に起因するスピーカの損傷や、筐体102の総電流値に起因する筐体102の損傷を防止することができる。
【0216】
なお、遊技音と貸出音とが重複する場合についても、遊技音と計数音とが重複する場合と同様にして、遊技音の音量を低下して遊技音を各スピーカから出力し、貸出音を各スピーカから出力してもよい。この場合についても、スマートパチスロ100における複数の位置に配置される複数のスピーカのうち、特定のスピーカ以外のスピーカから出力される遊技音の音量の低下量を、特定のスピーカから出力される遊技音の音量の低下量よりも多くしてもよいし、上スピーカ、下スピーカ、ツイータおよび低音スピーカの全てのスピーカにおいて、遊技音の音量の低下量を、同程度にしてもよい。これらの態様においても、遊技を適切に進行させることが可能となるとともに、スピーカの温度に起因するスピーカの損傷や、筐体102の総電流値に起因する筐体102の損傷を防止することができる。
【0217】
また、遊技音と計数音とが重複する場合の遊技音の音量の低下量と、遊技音と貸出音とが重複する場合の遊技音の音量の低下量とを、同程度にしてもよいし(低下量を異ならせないようにしてもよいし)、異ならせてもよい。
【0218】
例えば、遊技音と貸出音とが重複する場合の遊技音の音量の低下量(例えば、低下量25%)を、遊技音と計数音とが重複する場合の遊技音の音量の低下量(例えば、低下量50%)よりも少なくしてもよい。一般的に、計数スイッチ112が操作される頻度よりも貸出スイッチ366が操作される頻度の方が高いと想定される。このため、貸出音と重複するときの遊技音の音量の低下量を、計数音と重複するときの遊技音の音量の低下量よりも少なくすることで、遊技者に遊技の進行に関する違和感を与えることを抑制することができる。
【0219】
また、例えば、遊技音と計数音とが重複する場合の遊技音の音量の低下量(例えば、低下量25%)を、遊技音と貸出音とが重複する場合の遊技音の音量の低下量(例えば、低下量50%)よりも少なくしてもよい。遊技メダル数が比較的多い状態で計数スイッチ112が操作される場合では、比較的長時間の長押し操作や、比較的回数の多い短押し操作がされることがあり、瞬間的に計数スイッチ112の操作頻度が高くなったり操作時間が長くなったりすると想定される。このため、計数音と重複するときの遊技音の音量の低下量を、貸出音と重複するときの遊技音の音量の低下量よりも少なくすることで、遊技者に遊技の進行に関する違和感を与えることを抑制することができる。
【0220】
また、計数音と貸出音とが、同じ音であってもよいし、異なる音であってもよい。異なる音とは、例えば、音の種類(音そのもの)が異なるものであってもよいし、音の高さ(音程)が異なるものであってもよいし、音の長さが異なるものであってもよいし、音のリズムが異なるものであってもよいし、音のフレーズが異なるものであってもよい。計数音と貸出音とを異なる音とする場合、例えば、計数音を上昇フレーズ(上昇系フレーズ)とし、貸出音を下降フレーズ(下降系フレーズ)としてもよいし、計数音を下降フレーズ(下降系フレーズ)とし、貸出音を上昇フレーズ(上昇系フレーズ)としてもよい。上昇フレーズ(上昇系フレーズ)は、複数音で構成され、かつ、出音されるにつれて音程が上昇していく音群である。下降フレーズ(下降系フレーズ)は、複数音で構成され、かつ、出音されるにつれて音程が下降していく音群である。
【0221】
なお、貸出スイッチ366が操作された場合、基本的には、50枚単位で、電子化メダルが専用ユニット350からスマートパチスロ100に移動される。しかし、貸出スイッチ366が操作された場合、専用ユニット350に保持されている電子化メダルの全量が、専用ユニット350からスマートパチスロ100に移動されてもよい。
【0222】
また、遊技音と貸出音とが重複する場合、または、遊技音との重複の有無に拘わらず、貸出スイッチ366が操作されたとしても、貸出音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。専用ユニット350からスマートパチスロ100に送信される貸出通知は300msec周期で行われるため、貸出スイッチ366が操作されてから、スマートパチスロ100が貸出通知を受信するまでに、タイムラグが生じることがある。タイムラグが比較的長くなった場合に、貸出に関する違和感を遊技者に与えるおそれがある。貸出音を出力しないようにすることで、貸出に関する違和感を遊技者に与えることを回避することができる。同様に、遊技音と計数音とが重複する場合、または、遊技音との重複の有無に拘わらず、計数スイッチ112が操作されたとしても、計数音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。計数音を出力しないようにすることで、計数に関する違和感を遊技者に与えることを回避することができる。
【0223】
また、スマートパチスロ100では、遊技を進行する上で、ドア開放エラーなどの各種のエラーが発生した場合には、当該エラーの発生に伴ってエラー情報が液晶表示部124およびメインセグメント表示部130に表示されるとともに、エラー音がスピーカ128から出力される。かかるエラー音と計数音とが重複する場合がある。ここでは、先に、エラー音を出力するエラー種別を説明する。
【0224】
(エラー種別)
図32は、主制御基板200で管理されるエラーを説明するための説明図である。図32に示すように、エラーコード「E7」で表される「バックアップエラー」は、主制御基板200のメインRAM(RWM)200cのバックアップに失敗した場合に生じ、設定変更を実行することで復帰させることができる。エラーコード「E8」で表される「ドア開放エラー」は、前面上扉104または前面下扉106の少なくとも一方が開放されていることを検知することで生じ、前面上扉104および前面下扉106のいずれも閉塞することで自動復帰する。エラーコード「EA」で表される「RWMエラー」は、主制御基板200のメインRAM(RWM)200cの読み書きが正常に行えない場合に生じ、設定変更を実行することで復帰させることができる。エラーコード「EC」で表される「設定値エラー」は、設定値が異常な値を示している場合に生じ、設定変更を実行することで復帰させることができる。エラーコード「EH」で表される「メダルオーバーエラー」は、遊技メダル数が、例えば、16369以上となった場合に生じ、計数処理を行うことにより遊技メダル数が16369未満となると自動復帰する。エラーコード「EL」で表される「貸出装置接続エラー」は、専用ユニット350の治具が接続されていない場合に生じ、治具を接続することで自動復帰する。エラーコード「EP」で表される「メダル数制御エラー」は、メダル数制御基板204との通信に異常が発生している場合に生じ、電源を再投入することで復帰させることができる。エラーコード「Ey」で表される「打ち止めエラー」は、差枚数カウンタが規定差枚数、例えば、19000以上となった場合に生じ、設定変更を実行することで復帰させることができる。なお、規定差枚数は19000に限らず、様々な値を設定することができる。このようなエラーコードはメインセグメント表示部130に表示される。メインセグメント表示部130には、通常何も表示されておらず(セグメントLEDは消灯しており)、上記のようなエラーが生じた場合のみ、そのエラーが解除されるまでエラーコードの表示が継続される。
【0225】
上記のようなエラーが生じた場合、演出制御手段334は、エラー情報として、例えば、「係員をお呼びください」等の文言を液晶表示部124に表示したり、警告音とともに「係員をお呼びください」等の音声をスピーカ128から出力することができる。なお、例えば、エラーコード「Ey」で表される「打ち止めエラー」については、「コンプリート機能作動中」等の文言を液晶表示部124に表示するが、エラー音を出力しないとしてもよい。
【0226】
図33は、メダル数制御基板204で管理されるエラーを説明するための説明図である。かかるエラーのエラーコードは、メダル数制御基板204上に配置されたメダルセグメント表示部204dに表示される。かかるメダルセグメント表示部204dは一つの7セグメントで構成されている。
【0227】
図33に示すように、エラーコード「7」で表される「バックアップエラー2」は、メダル数制御基板204のメダルRAM(RWM)204cのバックアップに失敗した場合に生じ、メダル数制御基板204上に設けられた不図示のエラー解除スイッチを押下しながら電源を再投入することで復帰させることができる。エラーコード「A」で表される「RWMエラー2」は、メダル数制御基板204のメダルRAM(RWM)204cの読み書きが正常に行えない場合に生じ、設定変更を実行することで復帰させることができる。エラーコード「L」で表される「貸出装置接続エラー2」は、専用ユニット350の治具が接続されていない場合に生じ、治具を接続することで自動復帰する。エラーコード「P」で表される「主制御通信エラー」は、主制御基板200との通信に異常が発生している場合に生じ、電源を再投入することで復帰させることができる。エラーコード「U」で表される「メーカコードエラー」は、メダル数制御基板204と主制御基板200とのメーカコードが一致しない場合に生じ、いずれかの基板を交換してメーカコードを一致させることで復帰させることができる。エラーコード「.」、すなわち、7セグメントのドット部で表される「遊技メダル数クリア報知」は、不図示の遊技メダル数クリアスイッチを押下しながら電源投入して遊技メダル数がクリアされた場合に生じ、メダル投入可能状態に移行した後、5秒経過すると自動復帰する。なお、かかる処理を遊技メダル数が0で行ったとしても、「遊技メダル数クリア報知」は行われる。エラーコード「全点滅」、すなわち、7セグメントのLEDが全て点滅している「起動準備中」は、主制御基板200との通信開始を待機している状態で生じ、主制御基板200から起動時コマンドを受信すると自動復帰する。なお、当該「起動準備中」が継続している場合、主制御基板200において何らかのエラーが発生していると判断することができる。
【0228】
ここで、メインCPU200aは、主制御基板200におけるエラーに加え、メダル数制御基板204におけるエラーも監視している。一方、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204におけるエラーは監視しているが、主制御基板200におけるエラーは監視していない。
【0229】
また、図32で示した主制御基板200で管理されるエラーと図33に示したメダル数制御基板204で管理されるエラーとは、以下の関係を有する。例えば、メダル数制御基板204においてエラーコード「L」で表される「貸出装置接続エラー2」が生じると、主制御基板200のメインCPU200aは、かかる「貸出装置接続エラー2」に応じて、主制御基板200においてもエラーコード「EL」で表される「貸出装置接続エラー」を発する。したがって、「貸出装置接続エラー2」と「貸出装置接続エラー」とは同一のエラーと考えることができる。また、メインCPU200aとメダルCPU204aとの間で通信が確立できない、もしくは、確立されていた通信が切断された場合、メインCPU200aは、主制御基板200においてエラーコード「EP」で表される「メダル数制御エラー」を発し、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204においてエラーコード「P」で表される「主制御通信エラー」を発する。したがって、主制御基板200の「貸出装置接続エラー」、「メダル数制御エラー」は、それぞれメダル数制御基板204の「貸出装置接続エラー2」、「主制御通信エラー」と同タイミングで生じることとなる。
【0230】
なお、上述したエラーが生じている間、遊技の進行が制限される。例えば、ドア開放エラーが生じている間は、遊技者は、遊技を進行することができない。ただし、エラーが生じている場合であっても、上述した貸出処理や計数処理は実行できる場合がある。
【0231】
例えば、メダル数制御基板204で管理されるエラーであるエラーコード「7」で表される「バックアップエラー2」(第2の事象)、エラーコード「A」で表される「RWMエラー2」(第2の事象)、エラーコード「L」で表される「貸出装置接続エラー2」(第2の事象)、エラーコード「U」で表される「メーカコードエラー」(第2の事象)、エラーコード「全点滅」で表される「起動準備中」(第2の事象)が生じた場合、図33に示したように、貸出処理および計数処理がいずれも制限される。ただし、エラーコード「.」で表される「遊技メダル数クリア報知」については、貸出処理や計数処理とは関係ないので、貸出処理および計数処理が可能となる。また、エラーコード「P」で表される「主制御通信エラー」は、エラーコード「L」で表される「貸出装置接続エラー2」が生じている間のみ貸出処理および計数処理がいずれも制限され、エラーコード「L」で表される「貸出装置接続エラー2」が生じていなければ、貸出処理および計数処理が可能となる。なお、ここでは、第2の事象として、主に、メダル数制御基板204で管理されるエラーを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、メダル数制御基板204と専用ユニット350との間で電子化メダルの移動(貸出処理、計数処理)が困難となったことを示すエラーであればよい。
【0232】
また、主制御基板200で管理されるエラー(第1の事象)が、メダル数制御基板204においてエラーが生じていない状態で、主制御基板200において単独で生じている場合、貸出処理および計数処理が可能となる。したがって、エラーコード「E8」で表される「ドア開放エラー」が生じていても、メダル数制御基板204には影響しないので、貸出処理および計数処理は可能となる。また、エラーコード「Ey」で表される「打ち止めエラー」が生じていても貸出処理および計数処理は可能となるので、遊技者は、計数処理を行って、遊技メダル数を16369未満とし、当該「打ち止めエラー」を自発的に解除することが可能となる。なお、ここでは、第1の事象として主制御基板200で管理されるエラーを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、メダル数制御基板204と専用ユニット350との間で電子化メダルの移動(貸出処理、計数処理)が可能な状態で生じる他のエラーであればよい。
【0233】
このように、遊技価値の貸し出しを行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能なスマートパチスロ100では、遊技の用に供することができる遊技価値(例えば、電子化メダル)の総数である遊技価値数(例えば、遊技メダル数)を保持するメダル保持部と、遊技価値を管理する制御部(例えば、メダルCPU204a、メインCPU200a)と、を備え、制御部は、特定ユニットからスマートパチスロ100に遊技価値を移動する貸出処理を実行する場合があり、スマートパチスロ100から特定ユニットに遊技価値を移動する計数処理を実行する場合があり、第1の事象(例えば、「ドア開放エラー」、「打ち止めエラー」)、および、第1の事象と異なる第2の事象(例えば、「バックアップエラー2」、「貸出装置接続エラー2」)が生じると遊技の進行が制限され(例えば、遊技の進行を停止し)、第1の事象が生じた場合、貸出処理および計数処理の少なくともいずれか一方を実行することができ、第2の事象が生じた場合、貸出処理および計数処理がいずれも制限される。これにより、エラーが生じた場合においても貸出処理および計数処理を適切に制御することができる。
【0234】
ここで、上記のようなエラーの発生に伴ってエラー音が出力されると、エラー音と計数音とが重複する場合が生じうる。エラー音と計数音とが重複する場合、エラー音の音量を低下することなく、エラー音と計数音との両方を各スピーカから出力してもよい。同様に、エラー音と貸出音とが重複する場合、エラー音の音量を低下することなく、エラー音と計数音との両方を各スピーカから出力してもよい。エラー音は、遊技音と比べて優先度が高いため、エラー音の音量を低下することなくエラー音を出力することで、エラーが発生していることをホールの店員などに認識させ易くすることができる。
【0235】
また、エラー音と計数音とが重複する場合、エラー音の音量を低下することなくエラー音を各スピーカから出力し、計数音の音量を低下して計数音を各スピーカから出力する、または、計数音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。同様に、エラー音と貸出音とが重複する場合、エラー音の音量を低下することなくエラー音を各スピーカから出力し、貸出音の音量を低下して貸出音を各スピーカから出力する、または、貸出音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。この態様によれば、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、エラーが発生していることをホールの店員などに認識させ易くすることができる。
【0236】
ここで、メインCPU200aは、電源がリセットされてからの電子化メダルの投入枚数(ベット枚数)と払出枚数との差である差枚数が第1規定差枚数(規定値)に到達したか否か管理し、第1規定差枚数に到達した場合、遊技の進行を制限する、所謂、コンプリート機能を作動させてもよい。このようなコンプリート機能が作動した場合、演出制御手段334は、コンプリート機能が作動していることを報知するコンプリート作動情報を液晶表示部124に表示するとともに、コンプリート機能が作動していることを報知するコンプリート作動音を各スピーカから出力する。また、メインCPU200aは、差枚数が、コンプリート機能が作動される第1規定差枚数より所定差枚数だけ少ない第2規定差枚数に到達したか否かを管理し、第2規定差枚数に到達した場合、コンプリート機能の作動が近づいている(第1規定差枚数に到達する可能性がある)ことを示唆するようにしてもよい。演出制御手段334は、コンプリート機能の作動が近づいていることを示唆するコンプリート作動示唆音を各スピーカから出力してもよい。以下、コンプリート作動音およびコンプリート作動示唆音を総称して、コンプリート機能音と言う。
【0237】
コンプリート機能音と計数音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下することなくコンプリート機能音を各スピーカから出力するとともに、計数音を各スピーカから出力するようにしてもよい。同様に、コンプリート機能音と貸出音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下することなくコンプリート機能音を各スピーカから出力するとともに、貸出音を各スピーカから出力するようにしてもよい。コンプリート機能音は、遊技音と比べて優先度が高いため、コンプリート機能音を低下することなくコンプリート機能音を出力することで、コンプリート機能の作動が近づいていること、または、コンプリート機能が作動していることを、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0238】
また、コンプリート機能音と計数音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下することなくコンプリート機能音を各スピーカから出力し、計数音の音量を低下して計数音を各スピーカから出力する、または、計数音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。同様に、コンプリート機能音と貸出音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下することなくコンプリート機能音を各スピーカから出力し、貸出音の音量を低下して貸出音を各スピーカから出力する、または、貸出音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。この態様によれば、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、コンプリート機能の作動が近づいていること、または、コンプリート機能が作動していることを、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0239】
また、コンプリート機能音と計数音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下してコンプリート機能音を各スピーカから出力する、または、コンプリート機能音を各スピーカから出力しないようにし、計数音を各スピーカから出力するようにしてもよい。同様に、コンプリート機能音と貸出音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下してコンプリート機能音を各スピーカから出力する、または、コンプリート機能音を各スピーカから出力しないようにし、貸出音を各スピーカから出力するようにしてもよい。この態様によれば、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、計数音または貸出音を、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0240】
また、遊技音とコンプリート機能音とが重複する場合、遊技音の音量を低下して遊技音を各スピーカから出力し、コンプリート機能音を各スピーカから出力してもよい。この態様によれば、遊技を適切に進行または制限することが可能となるとともに、スピーカの温度に起因するスピーカの損傷や、筐体102の総電流値に起因する筐体102の損傷を防止することができる。
【0241】
また、遊技音とコンプリート機能音とが重複する場合、遊技音の音量を低下せずに遊技音を各スピーカから出力し、コンプリート機能音を各スピーカから出力してもよい。この態様によれば、遊技を適切に進行または制限することが可能となる。
【0242】
また、遊技音とコンプリート機能音とが重複する場合、遊技音の音量を低下せずに遊技音を各スピーカから出力し、コンプリート機能音の音量を低下してコンプリート機能音を各スピーカから出力する、または、コンプリート機能音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。この態様によれば、遊技を適切に進行または制限することが可能となるとともに、スピーカの温度に起因するスピーカの損傷や、筐体102の総電流値に起因する筐体102の損傷を防止することができる。
【0243】
メダルCPU204aは、遊技メダル数(遊技価値の所持数)が所定数以下となったかを管理し、遊技メダル数が所定数以下となった場合、遊技メダル数が少なくなったことを報知してもよい。この場合、演出制御手段334は、遊技メダル数が少なくなったことを報知する所持数警告報知を行う。具体的に、演出制御手段334は、所持数警告情報を液晶表示部124に表示するとともに、所持数警告音を各スピーカから出力する。
【0244】
計数音と所持数警告音とが重複する場合、所持数警告音の音量を低下せずに所持数警告音を各スピーカから出力し、計数音を各スピーカから出力してもよい。同様に、貸出音と所持数警告音とが重複する場合、所持数警告音の音量を低下せずに所持数警告音を各スピーカから出力し、貸出音を各スピーカから出力してもよい。この態様によれば、所持数警告音と計数音、または、所持数警告音と貸出音を、遊技者に認識させ易くすることができる。
【0245】
計数音と所持数警告音とが重複する場合、所持数警告音の音量を低下して所持数警告音を各スピーカから出力する、または、所持数警告音を各スピーカから出力しないようにし、計数音を各スピーカから出力してもよい。同様に、貸出音と所持数警告音とが重複する場合、所持数警告音の音量を低下して所持数警告音を各スピーカから出力する、または、所持数警告音を各スピーカから出力しないようにし、貸出音を各スピーカから出力してもよい。この態様によれば、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、計数音または貸出音を、遊技者に認識させ易くすることができる。
【0246】
計数音と所持数警告音とが重複する場合、所持数警告音を各スピーカから出力し、計数音の音量を低下して計数音を各スピーカから出力する、または、計数音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。同様に、貸出音と所持数警告音とが重複する場合、所持数警告音を各スピーカから出力し、貸出音の音量を低下して貸出音を各スピーカから出力する、または、貸出音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。この態様によれば、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、所持数警告音を、遊技者に認識させ易くすることができる。
【0247】
エラー音と所持数警告音とが重複する場合、エラー音の音量を低下せずにエラー音を各スピーカから出力し、所持数警告音の音量を低下せずに所持数警告音を各スピーカに出力してもよい。この態様によれば、エラー音と所持数警告音の両方を、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0248】
エラー音と所持数警告音とが重複する場合、エラー音の音量を低下せずにエラー音を各スピーカから出力し、所持数警告音の音量を低下して所持数警告音を各スピーカに出力する、または、所持数警告音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。エラーの内容によっては、所持数警告音よりもエラー音の方が、優先度が高くなることがあり得るため、そのような場合、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、優先度が高いエラー音を、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0249】
エラー音と所持数警告音とが重複する場合、所持数警告音の音量を低下せずに所持数警告音を各スピーカに出力し、エラー音の音量を低下してエラー音を各スピーカから出力する、または、エラー音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。エラーの内容によっては、エラー音よりも所持数警告音の方が、優先度が高くなることがあり得るため、そのような場合、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、優先度が高い所持数警告音を、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0250】
コンプリート機能音と所持数警告音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下せずにコンプリート機能音を各スピーカから出力し、所持数警告音の音量を低下せずに所持数警告音を各スピーカに出力してもよい。この態様によれば、コンプリート機能音と所持数警告音の両方を、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0251】
コンプリート機能音と所持数警告音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下せずにコンプリート機能音を各スピーカから出力し、所持数警告音の音量を低下して所持数警告音を各スピーカから出力する、または、所持数警告音を各スピーカから出力しないようにしてもよい。この態様によれば、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、コンプリート機能音を、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0252】
コンプリート機能音と所持数警告音とが重複する場合、コンプリート機能音の音量を低下してコンプリート機能音を各スピーカから出力する、または、コンプリート機能音を各スピーカから出力しないようにし、所持数警告音の音量を低下せずに所持数警告音を各スピーカから出力してもよい。この態様によれば、各スピーカの温度や筐体102の総電流値が上限値を超えることを抑制しつつ、所持数警告音を、遊技者等に認識させ易くすることができる。
【0253】
(計数音の音量)
上述のように、遊技状態には、ボーナス遊技状態が含まれる。ボーナス遊技状態は、他の遊技状態よりも遊技者に有利な有利状態である。また、演出状態にはAT演出状態が含まれる。AT演出状態は、他の演出状態よりも遊技者に有利な有利状態である。なお、有利状態は、ボーナス遊技状態およびAT演出状態に限らず、リプレイ役の当選確率が高く設定されたRT遊技状態、AT演出状態とRT遊技状態が同時に進行されるART遊技状態、チャンスゾーン(CZ)等、遊技者に有利な任意な状態であってもよい。
【0254】
演出制御手段334は、遊技の進行に応じて遊技音などの各種の音を出力する。このように、演出制御手段334は、遊技の進行に応じた音の出力を制御する音制御手段としても機能する。
【0255】
演出制御手段334(音制御手段)は、遊技者に有利な有利状態であるときに、スピーカなどの音声出力部を通じて、BGMやキャラクタの音声といった所定音を、第1の音量で出力する。ここで所定音には、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120等の操作に応じたシステム音も含む。第1の音量は、制限がかけられていない通常の音量を示す。また、第1の音量は、スマートパチスロ100におけるメニュー画面を通じて調整することができる。
【0256】
ここで、有利状態であるときに、遊技進行上の操作が所定時間行われないと(遊技進行上の操作が行われない時間が所定時間以上継続されると)、遊技機としてのスマートパチスロ100が音量調整状態となることがある。音量調整状態は、所定音の音量を、第1の音量よりも小さい第2の音量に制限する状態を示す。第2の音量は、音量ゼロ、すなわち、消音を含んでもよい。消音の場合、所定音が音声出力部から出力されないようになる。
【0257】
上述のように、メダル数制御基板204は、遊技価値(例えば、電子化メダル)を管理する遊技価値制御手段である。メダル数制御基板204は、遊技価値を特定ユニット(例えば、専用ユニット350)に転送する計数処理を行うことがある。また、メダル数制御基板204は、遊技価値が特定ユニット(例えば、専用ユニット350)から転送される貸出処理を行うことがある。計数処理および貸出処理は、上記のように、任意のタイミングで行うことが可能であるため、例えば、有利状態中に行われることもあり、さらに、有利状態中における上述の音量調整状態のときにも行われることもある。
【0258】
演出制御手段334は、有利状態であるときに、計数処理の実行に応じ、音声出力部を通じて、計数処理が行われていることを報知する計数音を、第3の音量で出力する。第3の音量は、上記の所定音の第1の音量および第2の音量とは関係ない。ただし、第3の音量は、第1の音量より大きくてもよく、第1の音量と同じ音量であってもよく、第1の音量未満ではあるが第2の音量より大きいとしてもよい。なお、計数音、貸出音、精算音は、電子化メダルを転送する転送音に含まれ、遊技音と区別される。
【0259】
上述のように、有利状態であるときに音量調整状態に移行した場合、演出制御手段334は、所定音の音量を、第1の音量から第2の音量に制限する。しかし、演出制御手段334は、有利状態であるときに音量調整状態に移行したとしても、計数音を、第3の音量で出力する。つまり、計数音に関しては、音量の制限が行われない。
【0260】
メダルCPU204aは、遊技者による計数スイッチ112の操作に従って計数通知の送信を行うとともに、計数処理が行われたことを示す信号(計数通知契機信号)を主制御基板200に送信する。メインCPU200aは、計数通知契機信号を受信すると、計数音の出力を指示する計数音通知を副制御基板202に送信する。サブCPU202aは、主制御基板200を通じて計数音通知を受信することができる。演出制御手段334は、計数音通知を受信すると、計数音を、第3の音量で音声出力部を通じて出力する。
【0261】
また、上述のように、演出音のトラック、キャラクタの音声のトラック、SE(サウンドエフェクト)のトラックなど、遊技音の種類ごとに異なるトラックが割り当てられている。さらに、計数音および貸出音には、遊技音のトラックとは別に転送音のトラックが割り当てられている。なお、計数音および貸出音は、同じトラックが割り当てられてもよいし、異なるトラックが割り当てられてもよい。また、精算スイッチ121の操作に応じた精算処理が行われていることを報知する精算音についても、遊技音とは異なるトラックが割り当てられもよい。
【0262】
演出制御手段334は、音量調整状態に移行すると、所定音のトラック(計数音のトラック以外のトラック)の音量を、第1の音量から第2の音量に制限する。この際、計数音のトラックの音量は、第3の音量が維持される。計数音のトラックの音量が第3の音量に維持されるため、音量調整状態のときに計数処理が行われても、演出制御手段334は、計数音を、第3の音量で出力することができる。
【0263】
これにより、遊技機の一例であるスマートパチスロ100では、計数処理が行われていることを遊技者やホール店員等が認識し易くなり、遊技を適切に進行させることができる。
【0264】
また、演出制御手段334は、有利状態であるときに、貸出処理の実行に応じ、音声出力部を通じて、貸出処理が行われていることを報知する貸出音を、第3の音量で出力する。演出制御手段334は、有利状態であるときに音量調整状態に移行したとしても、貸出音を、第3の音量で出力する。つまり、貸出音に関しては、音量の制限が行われない。
【0265】
メダルCPU204aは、専用ユニット350から送信される貸出通知の受信に応じて、貸出処理が行われたことを示す信号(貸出通知契機信号)を主制御基板200に送信する。メインCPU200aは、貸出通知契機信号をメダル数制御基板204から受信すると、貸出音の出力を指示する貸出音通知を副制御基板202に送信する。サブCPU202aは、主制御基板200を通じて貸出音通知を受信することができる。演出制御手段334は、貸出音通知を受信すると、貸出音を、第3の音量で音声出力部を通じて出力する。
【0266】
演出制御手段334は、音量調整状態に移行すると、所定音のトラック(計数音のトラック以外のトラック)の音量を、第1の音量から第2の音量に制限する。この際、貸出音のトラックの音量は、第3の音量が維持される。貸出音のトラックの音量が第3の音量に維持されるため、音量調整状態のときに貸出処理が行われても、演出制御手段334は、貸出音を、第3の音量で出力することができる。
【0267】
これにより、遊技機の一例であるスマートパチスロ100では、貸出処理が行われていることを遊技者やホール店員等が認識し易くなり、遊技を適切に進行させることができる。
【0268】
図34は、演出制御手段334が実行する音量制御処理の流れを説明するフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。音量制御処理は、音声出力部から出力される音の音量を制御する処理である。図34では、説明の便宜のため、計数音に関して説明し、貸出音については、計数音の説明と同様であるため説明を省略する。
【0269】
演出制御手段334は、有利状態であるかを、所定周期で判定する(S1)。有利状態ではない場合(S1におけるNO)、演出制御手段334は、音量制御処理を終了する。
【0270】
有利状態である場合(S1におけるYES)、演出制御手段334は、遊技進行上の操作が行われていない時間が所定時間経過したかを判定する(S2)。所定時間経過していない場合(S2におけるNO)、演出制御手段334は、所定音の音量を第1の音量とする(S3)。そして、演出制御手段334は、所定音を示す音信号を音声出力部に出力する(S4)。これにより、所定音が、第1の音量で音声出力部から出力される。
【0271】
所定時間が経過している場合(S2におけるYES)、演出制御手段334は、所定音の音量を第2の音量に制限し(S5)、音量調整状態となる。そして、演出制御手段334は、所定音を示す音信号を音声出力部に出力する(S4)。これにより、所定音が、第2の音量で音声出力部から出力される。
【0272】
所定音の音信号の出力の後、演出制御手段334は、計数音通知を受信したかを判定する(S10)。計数音通知を受信した場合(S10におけるYES)、演出制御手段334は、計数音の音信号を所定時間だけ音声出力部に出力し(S11)、音量制御処理を終了する。これにより、音量調整状態であるか否かに拘わらず、計数音が、第3の音量で音声出力部から出力される。
【0273】
計数音通知を受信していない場合(S10におけるNO)、演出制御手段334は、計数音を出力しているかを判定する(S13)。計数音を出力していないと判定した場合(S12におけるNO)、演出制御手段334は、音量制御処理を終了する。
【0274】
計数音を出力していると判定した場合(S12におけるYES)、演出制御手段334は、計数音を示す音信号を音声出力部から出力することを停止し(S13)、音量制御処理を終了する。これにより、音声出力部から出力されていた計数音の出力が停止される。例えば、計数スイッチ112の長押しが解除された場合、長押しが解除されたことに応じて計数音の出力が停止される。
【0275】
このように、計数処理や貸出処理については音量を制限することなく第3の音量を維持する構成により、計数処理や貸出処理が行われていることを遊技者やホール店員等が認識し易くなり、遊技を適切に進行させることができる。
【0276】
(メインCPUとメダルCPUとの通信)
上記では、スマートパチスロ100と専用ユニット350との通信について述べた。ただし、具体的には、上述したメダルCPU204aと専用ユニット350とのシリアル通信と並行して、スマートパチスロ100内部において、メインCPU200aとメダルCPU204aとがシリアル通信しており、メダルCPU204aは、メインCPU200aとのコマンドの送受信により情報を取得し、その情報に基づいて、上述した専用ユニット350に情報を通知している。なお、シリアル通信は、例えば、通信速度が125000bpsであり、データの各バイトが、1ビットのスタートビット、8ビットのデータビット、1ビットのストップビットで表される。ここでは、メダルCPU204aと専用ユニット350との通知の前段となる、メインCPU200aとメダルCPU204aとの関係を説明し、両者間の通信を詳述する。
【0277】
(RAMでの保持内容)
ここでは、図8(a)および図8(b)を用いて、メインCPU200aとメダルCPU204aとをそれぞれ別体で設け、それぞれのCPUが独立してROMおよびRAMを有し、独立したプログラムに基づいて処理を行う例を挙げて説明した。ただし、例えば、総投入枚数、総払出枚数、MY(最大MY)、役物総払出枚数、連続役物総払出枚数、遊技回数といった情報は、共通して、電源のONで累積が開始され、電断後の復電でリセットされるまで蓄積が維持される情報である。ここで、メインCPU200aが情報の一部を管理し、メダルCPU204aが他の情報を独立して管理するとした場合、以下の問題が生じる。すなわち、仮に、メインCPU200aとメダルCPU204aのうちいずれか一方の電源がOFFされ、他方の電源がONのままとなると、例えば、総投入枚数と総払出枚数とはリセットされた状態からカウントされているのに、役物総払出枚数、連続役物総払出枚数がリセットされずに累積された状態でカウントされるといった事象が生じるおそれがある。したがって、総投入枚数、総払出枚数、MY(最大MY)、役物総払出枚数、連続役物総払出枚数、遊技回数といった累積を伴う情報は、一方のCPUで管理することとする。例えば、ここでは、メインCPU200aが、かかる情報を全て管理する。かかる構成により、情報の不整合を回避することができ、遊技を適切に進行することが可能となる。
【0278】
(エラーの優先順位)
メインCPU200aは、電子化メダルのベット時、払出処理、精算処理、計数処理において、電子化メダルの投入枚数、払出枚数、総投入枚数、総払出枚数等を参照し、その関係に不整合がないことを確認し、不整合があれば、エラーを報知する場合がある。また、メインCPU200aは、電子化メダルのベット時に投入枚数が1以上3以下であること、および、電子化メダルの払出処理において払出枚数が0以上15以下であることを確認し、その範囲に入っていなければ、エラーを報知するとしてもよい。かかる処理は、使用領域で行ってもよいし、使用外領域で行ってもよい。なお、上記に加え、メインCPU200aは、遊技状態に対応する規定数を確認するとしてもよい。
【0279】
ここで、メインCPU200aにおけるエラーに加えて、メダルCPU204aにおいても独自のエラー判定処理を行うように設定したとする。かかる設定では、メインCPU200aとメダルCPU204aにおいて同タイミングでエラーが生じた場合、メインCPU200aで生じたエラーを優先して、スピーカ128等のデバイスで報知するとしてもよい。なお、メインCPU200aとメダルCPU204aにおいて同タイミングで生じ得る特定エラー(例えば、バックアップのエラー、RAMの読み書きが異常であることを示すエラーなどの重大な問題を有すると判定されるエラー)を設定しておき、メインCPU200aとメダルCPU204aにおいて同タイミングでエラーが生じた場合、その特定エラーをデバイスで報知するとしてもよい。また、メダルCPU204aにおいて同タイミングで複数のエラーが生じた場合、最も新たに生じたエラーを優先して、遊技メダル数表示装置114等のデバイスで報知するとしてもよい。また、かかる場合に限らず、複数のエラーに対し予め優先順位を設定しておき、メダルCPU204aにおいて同タイミングで複数のエラーが生じた場合、設定された優先順位に基づいてエラーを報知するとしてもよい。このようにエラーを報知する優先順位を予め定めることで、エラーの緊急度や優先順位に応じ、迅速かつ効果的な対応を行うことが可能となる。例えば、複数のエラーが生じた場合、優先順位が高い1のエラーが報知される。ここで、エラーの原因を取り除き、エラーの解除操作を行うと、その時点の1のエラー報知が削除され、次に優先順位が高いエラーが順次報知される。すなわち、1の解除操作に応じて1のエラー報知が削除されることとなる。また、このような1の解除操作に応じて1のエラー報知が削除されるように制御する場合のみならず、1の解除操作に応じて、エラーの原因が取り除かれた複数のエラー報知が同時に削除されるように制御することもできる。その場合、エラーの解除操作を行うと、エラーの原因が取り除かれた複数のエラー報知が削除され、エラーの原因が取り除かれていないエラーのうち最も優先順位の高いエラーが報知される。なお、メダル数制御基板204において、別途、7セグメント等の個別デバイスを設置しておき、メダルCPU204aにおいてエラーが生じた場合、遊技メダル数表示装置114の代わりに、または、加えて当該個別デバイスで報知してもよい。
【0280】
(RAM異常)
また、エラーのうちRAM異常に対する処理は、メインCPU200aにおいては、使用外領域において行うとし、メダルCPU204aにおいては、使用領域で行うとする。これは、メインCPU200aにおいては、使用領域の容量に余裕がなく、メダルCPU204aにおいては、使用領域の容量に余裕があるからである。かかる構成により、メインROM200bにおけるメモリ容量の増加を抑制しつつ、遊技を適切に進行することが可能となる。
【0281】
(コマンド送受信)
メインCPU200aは、メダルCPU204aに対し、所定のコマンドを送信する。例えば、メインCPU200aは、ベットスイッチ116の操作時に、識別情報、投入要求枚数を示す伝達情報、チェックサムで構成される遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信するとしてもよい。また、メインCPU200aは、スタートスイッチの操作時に、識別情報、投入要求枚数を示す伝達情報、チェックサムで構成されるスタートレバー押下コマンドをメダルCPU204aに送信するとしてもよい。また、メインCPU200aは、払出終了時に、識別情報、払出枚数を示す伝達情報、チェックサムで構成される払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信するとしてもよい。また、メインCPU200aは、1遊技の終了時に、識別情報、役比関連の伝達情報、チェックサムで構成される1遊技終了コマンドをメダルCPU204aに送信するとしてもよい。また、メインCPU200aは、起動時に、識別情報、起動時に必要な伝達情報、役比関連の伝達情報、チェックサムで構成される起動時コマンドをメダルCPU204aに送信するとしてもよい。また、メインCPU200aは、内部状態の変更時、エラーの発生時、または、エラーの解除時に、識別情報、チェックサムで構成される状態移行時コマンドをメダルCPU204aに送信するとしてもよい。上述したコマンドの長さは任意に設定できる。なお、メインCPU200aは、役比関連の伝達情報(電子化メダル(遊技価値)の使用に係る情報および電子化メダル(遊技価値)の獲得に係る情報)、すなわち、図12に示した総投入枚数、総払出枚数、MY(最大差枚数)、役物総払出枚数、連続役物総払出枚数、役物比率、連続役物比率、有利区間比率、指示込役物比率、役物等状態比率、遊技回数を計算し、メダルCPU204aに送信する。メダルCPU204aは、メインCPU200aから受信したコマンドから役比関連の伝達情報の一部を抽出してメダル数制御基板204のRAMに記憶する。メインCPU200aは、役比関連の伝達情報の計算を使用領域で行ってもよいし、使用外領域で行ってもよい。また、メダルCPU204aは、役比関連の伝達情報をRAMの使用領域に保持してもよいし、使用外領域に保持してもよい。また、メダルCPU204aは、役比関連の伝達情報のRAMへの転送を使用領域で行ってもよいし、使用外領域で行ってもよい。
【0282】
なお、上記の遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、起動時コマンド、状態移行時コマンドのうち、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、起動時コマンドについて、メインCPU200aは、メインループ内でメダルCPU204aに送信し、状態移行時コマンドについて、メインCPU200aは、タイマ割込み(例えば、1.49msec周期)内でメダルCPU204aに送信する。
【0283】
また、メダルCPU204aは、メインCPU200aから受信したコマンドに基づいてエラーを判断することができる。例えば、メダルCPU204aは、遊技メダル投入コマンド、払い出し終了コマンド、および、1遊技終了コマンドにおいて、電子化メダルの投入枚数や払出枚数を抽出し、電子化メダルの総投入枚数や総払出枚数との関係に不整合がないことを確認する。また、メダルCPU204aは、スタートレバー押下コマンドの受信時において電子化メダルの投入枚数が0でないことを確認する。また、メダルCPU204aは、遊技メダル投入コマンドにおいて、遊技状態に対応する電子化メダルの規定数に不整合がないことを確認してもよい。また、メインCPU200aは、シリアル通信以外のI/Oにおいて、払い出し終了コマンドを送信する旨を示す1ビットの確認信号を制御し、メダルCPU204aは、確認信号が払い出し終了コマンドを送信する旨を示していなかったら、受信したコマンドが払い出し終了コマンドであるか否かに拘わらず、そのコマンドを破棄するとしてもよい。
【0284】
ここで、メインCPU200aがメダルCPU204aへ送信するコマンドを、仮に、可変長にしたとする。そうすると、メダルCPU204aは、コマンドの受信開始時には、コマンドの長さが不明なため、コマンドの受信状態を何時まで維持すべきか、また、どのタイミングでコマンドの解析に入るべきかが明確ではなくなる。このようにコマンドを可変長にした場合、識別情報において、そのコマンドが、どのようなコマンドであり、何バイトのコマンドの長さであるかを示すことで、メダルCPU204aが、コマンドを容易に把握できるようにすることができる。
【0285】
また、例えば、識別情報において情報が割り当てられていないビットが存在する場合、そのビットに、メダルCPU204aで必要な情報である「再遊技状態」に割り当てることもできる。こうして、送信データの空き領域の有効活用を図り、再遊技状態という1バイトのコマンドを生成、送信する別途のプログラムを生成しなくて済む。
【0286】
また、メダルCPU204aは、メインCPU200aに対し、所定のコマンドを送信する。例えば、メダルCPU204aは、メインCPU200aから上記のコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、起動時コマンド)を受信すると、識別情報、投入可能枚数および遊技メダル数を示す伝達情報、チェックサムで構成される返信コマンドをメインCPU200aに送信するとしてもよい。メインCPU200aは、メダルCPU204aから受信した返信コマンドのチェックサムを確認することでエラーを判断することができる。なお、メダルCPU204aは、1遊技終了コマンドおよび状態移行時コマンドに対しては返信コマンドを送信しない。
【0287】
ここで、仮に、返信コマンドの識別情報の所定のビットに、メインCPU200aから送信されたコマンドをメダルCPU204aが正常に受信したことを示す「ACK」を対応付けたとする。かかる「ACK」は他のビットと独立して処理される。例えば、メインCPU200aは、識別情報の所定のビットが1であれば、その他のビットの内容に拘わらず、遊技の次の処理に移行することができる。また、メインCPU200aは、所定のビット以外のビットが成立していれば、遊技を進行しつつ、その成立したビットに対応する処理を行う。かかる構成により、識別情報の領域を有効利用し、情報の転送効率を高めることができる。
【0288】
また、このような、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信は、常時実行するとしてもよいし、所定の制限を設けてもよい。例えば、メインCPU200aとメダルCPU204aとの双方向通信を、スタートスイッチ118の操作による当選種別抽選やAT抽選の完了を契機として開始し、1遊技の終了に伴って制限するとしてもよい。本実施形態においては、スタートスイッチ118が操作されると、乱数発生器200dから乱数が取得(ラッチ)され、当選種別抽選乱数として当選種別抽選に用いられたり、AT抽選に用いられたりする。ここでは、スタートスイッチ118の操作による当選種別抽選やAT抽選が完了するまで、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信を行わず、スタートスイッチ118の操作による当選種別抽選やAT抽選の完了を契機として通信を開始することで、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信が乱数のラッチタイミングに影響を及ぼすおそれがなくなり、適切に乱数を取得することが可能となる。
【0289】
なお、図8(a)、図8(b)のように、メインCPU200aとメダルCPU204aとが別体で設けられている場合、両者は、上記のシリアル通信によるコマンドによって情報を伝達する。一方、図8(c)のように、メインCPU200aが、メダルCPU204aの代わりに、遊技に供する電子化メダルを管理する場合、メインRAM200cに共通する内部変数として情報を保持することとなる。
【0290】
(コマンド管理)
上述したように、メインCPU200aからメダルCPU204aに、情報として複数種類のコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、起動時コマンド、状態移行時コマンド)が送信される。また、メダルCPU204aからメインCPU200aに返信コマンドが送信される。メインCPU200aは、その返信コマンドを正常に受信し、その内容が「ACK」を示していれば、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信が正常に完了したとして次の処理に移行することができる。
【0291】
しかし、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信は必ずしも正常に完了するとは限らない。例えば、メインCPU200aが正常にコマンドを送信したものの、何らかの理由により、メダルCPU204aがコマンドを正常に受信できない場合がある。また、メダルCPU204aは、メインCPU200aからのコマンドを正常に受信し、そのコマンドに対する返信コマンドを正常に送信したものの、何らかの理由により、メインCPU200aが返信コマンドを正常に受信できない場合がある。ただし、いずれの場合においても、メインCPU200aは、メダルCPU204aがコマンドを正常に受信したか否かを判断することができない。したがって、処理を進めるため、メインCPU200aは、直前に送信したコマンドをメダルCPU204aに再送することとなる。
【0292】
ここでは、払い出し終了コマンドの送信が正常に完了しない場合を例示する。前者、すなわち、メインCPU200aが正常にコマンドを送信したが、メダルCPU204aがコマンドを正常に受信できない場合、メダルCPU204aは、払い出し終了コマンド自体を有効に処理していないので、メインCPU200aが払い出し終了コマンドを再送したとしても、メダルCPU204aが、再送された払い出し終了コマンドを正常に受信できれば、問題は生じない。
【0293】
しかし、後者、すなわち、メダルCPU204aが、メインCPU200aからのコマンドを正常に受信し、そのコマンドに対する返信コマンドを正常に送信したが、メインCPU200aが返信コマンドを正常に受信できない場合、メダルCPU204aは、払い出し終了コマンドを有効に処理している可能性が高い。例えば、メダルCPU204aが、払い出し終了コマンドを正常に受信し、払い出し終了コマンドに含まれる払出枚数を遊技メダル数に加算したとする。メダルCPU204aは、返信コマンドを正常に送信するが、メインCPU200aが返信コマンドを正常に受信したか否かを把握できない。そして、メインCPU200aが、返信コマンドを正常に受信できず、払い出し終了コマンドを再送し、メダルCPU204aが、その払い出し終了コマンドを正常に受信すると、払い出し終了コマンドに含まれる払出枚数を、さらに遊技メダル数に加算するおそれがある。そうすると、電子化メダルの払い出し契機1回に対し、その払出枚数が複数回繰り返し遊技メダル数に加算されることになり、遊技者は、遊技利益を不当に得ることになる。また、主制御基板200とメダル数制御基板204との間のハーネスを操作し、払い出し終了コマンドを不正に複数回送信した場合も、上記と同じように、払出枚数が複数回繰り返し遊技メダル数に加算される事象が生じ得る。
【0294】
そこで、本実施形態では、メインCPU200aからメダルCPU204aに送信されたコマンドを適切に1回だけ有効とする。具体的に、メダルCPU204aは、メインCPU200a(外部)から同一種類のコマンドを連続して受信すると、2回目以降に受信した同一種類のコマンドを無効とし、そのコマンドに対する処理を行わない。ここで、コマンドは、上述した遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、起動時コマンド、状態移行時コマンドを言い、例えば、払い出し終了コマンドの後に、他のコマンドを受信することなく、払い出し終了コマンドを受信した場合、同一種類のコマンドを連続して受信したこととなる。なお、メインCPU200aから同一種類のコマンドを2回以上連続して受信した場合に、必ずしも2回目以降の同一種類のコマンドを無効とするとは限らない。例えば、1ベットスイッチの操作が2回以上連続して行われた場合等、コマンドの連続受信を許容する所定の状況下において所定の同一種類のコマンドが2回以上連続して受信された場合、メダルCPU204aは、2回目以降の同一種類のコマンドも有効に処理するとしてもよい。
【0295】
また、メダルCPU204aは、メインCPU200aから所定のコマンドを受信すると、その所定のコマンドと異なる特定のコマンドを受信するまで、最初に受信した所定のコマンドの後に受信した所定のコマンドを無効とするとしてもよい。例えば、メダルCPU204aが、一旦、メインCPU200aから払い出し終了コマンドを受信すると、特定のコマンド、例えば、スタートレバー押下コマンドを受信するまで、後に受信した払い出し終了コマンドを無効とする。このとき、最初に受信した所定のコマンドの後に受信した所定のコマンドが有効となるのは、あくまで、特定のコマンドを受信した場合であり、所定のコマンドを最初に受信してから次に受信するまでに、特定のコマンド以外のコマンドや情報を受信したとしても、後に受信した払い出し終了コマンドを無効とする。例えば、一旦、メインCPU200aから所定のコマンドとして払い出し終了コマンドを受信すると、特定のコマンドとしてスタートレバー押下コマンドを受信するまでは、他の遊技メダル投入コマンド、1遊技終了コマンド、起動時コマンド、状態移行時コマンドを受信したとしても、後に受信した払い出し終了コマンドを無効とする。
【0296】
なお、ここでは、メダルCPU204aが、メインCPU200aから所定のコマンドを受信すると、特定のコマンドを受信することを条件に、最初に受信した所定のコマンドの後に受信した所定のコマンドを有効に処理する例を挙げて説明するが、特定のコマンドに限らず、所定のコマンド以外の何らかのコマンドや任意の情報を受信することを条件に、メダルCPU204aは、最初に受信した所定のコマンドの後に受信した所定のコマンドを有効に処理するとしてもよい。
【0297】
図35図38は、メダルCPU204aにおけるコマンド受信処理の流れを示したフローチャートである。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない、例えば、具体的なコマンドの生成処理等は省略する。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。また、ここでは、フラグとして1バイトのバッファ(投入要求バッファ、IN信号確認バッファ、払出確認バッファ、主受信コマンドエラーバッファ)を用い、「0h」と「FFh」の2値を切り換えている。ここで、フラグとしてビット値ではなくバイト値を用いているのは、ビット値の場合、バイト値を読み出した後、さらにビット自体を判定する処理を実行しなくてはならず、判定するための総コマンドサイズが却って長くなるからである。なお、フラグとして用いられる上記の各バッファは、バックアップされており、電断時においても初期化されない。
【0298】
図35に示すように、メダルCPU204aは、メインCPU200aから正常にコマンドを受信すると、その受信したコマンド(受信コマンド)が起動時コマンドであるか否か判定する(S1)。その結果、受信コマンドが起動時コマンドであれば(S1におけるYES)、メダルCPU204aは、遊技機設置情報を受信する遊技機設置情報受信処理を行い(S2)、主制御チップメーカコードを確認するメーカコード確認処理を行って(S3)、当該コマンド受信処理を終了する。かかるメーカコード確認処理は後程詳述する。また、受信コマンドが起動時コマンドでなければ(S1におけるNO)、メダルCPU204aは、受信コマンドが払い出し終了コマンドであるか否か判定する(S4)。その結果、受信コマンドが払い出し終了コマンドであれば(S4におけるYES)、メダルCPU204aは、払出枚数設定処理(S5)を実行し、当該コマンド受信処理を終了する。かかる払出枚数設定処理は後程詳述する。
【0299】
また、受信コマンドが払い出し終了コマンドでなければ(S4におけるNO)、メダルCPU204aは、受信コマンドが1遊技終了コマンドであるか否か判定する(S6)。その結果、受信コマンドが1遊技終了コマンドであれば(S6におけるYES)、メダルCPU204aは、遊技機性能情報を設定する遊技機性能情報設定処理を行い(S7)、当該コマンド受信処理を終了する。また、受信コマンドが1遊技終了コマンドでなければ(S6におけるNO)、メダルCPU204aは、受信コマンドが状態移行時コマンドであるか否か判定する(S8)。その結果、受信コマンドが状態移行時コマンドであれば(S8におけるYES)、メダルCPU204aは、主制御状態を受信する主制御状態受信処理(S9)を実行し、当該コマンド受信処理を終了する。
【0300】
また、受信コマンドが状態移行時コマンドでなければ(S8におけるNO)、メダルCPU204aは、電子化メダルの投入要求枚数を更新する投入要求枚数更新処理(S10)を実行し、受信コマンドがスタートレバー押下コマンドであるか否か判定する(S11)。その結果、受信コマンドがスタートレバー押下コマンドであれば(S11におけるYES)、メダルCPU204aは、遊技開始処理(S12)を実行し、当該コマンド受信処理を終了する。かかる遊技開始処理は後程詳述する。また、受信コマンドがスタートレバー押下コマンドでなければ(S11におけるNO)、メダルCPU204aは、当該コマンド受信処理を終了する。
【0301】
かかる図35のフローチャートでは、複数種類のコマンドのいずれを受信したかに応じて、排他的かつ独立して処理が実行されている。例えば、受信コマンドが払い出し終了コマンドであれば、払出枚数設定処理(S5)は行われるが、遊技開始処理(S12)が行われることはなく、受信コマンドがスタートレバー押下コマンドであれば、遊技開始処理(S12)は行われるが、払出枚数設定処理(S5)が行われることはない。本実施形態においては、払い出し終了コマンドの受信に応じて実行される払出枚数設定処理(S5)と、スタートレバー押下コマンドの受信に応じて実行される遊技開始処理(S12)とを独立して管理し、払出確認バッファおよびIN信号確認バッファを切り換えることで、メダルCPU204aが受信したコマンドを適切に管理する。
【0302】
(メーカコード確認処理)
メダルCPU204aは、電源投入に伴い通信許可フラグをリセット(OFF)する。ここで、通信許可フラグは、メダルCPU204aと専用ユニット350との通信可否を制御するためのフラグである。かかる通信許可フラグがONしていると(有効だと)、メダルCPU204aは、専用ユニット350との通信が可能となり、通信許可フラグがOFFしていると(無効だと)、メダルCPU204aは、専用ユニット350との通信を実行(開始)しない。
【0303】
図36に示すメーカコード確認処理(S3)において、メダルCPU204aは、メインCPU200aから受信した起動時コマンド(情報)からメーカコード(識別子)を抽出(取得)し(S3-1)、メダル数制御基板204のメダルROM204bに予め保持されている、当該メダル数制御基板204のメーカコード(特定識別子)と比較し、一致するか否か判定する(S3-2)。ここで、メーカコードは、スマートパチスロ100を製作したメーカを一意に特定可能な識別子である。したがって、主制御基板200とメダル数制御基板204とが同一のメーカの基板であれば、メーカコードは一致し、主制御基板200とメダル数制御基板204とがそれぞれ異なるメーカの基板であれば、メーカコードが異なることとなる。
【0304】
メーカコードを比較した結果、両者が一致すれば(S3-2におけるYES)、メダルCPU204aは、通信許可フラグをONし(S3-3)、当該メーカコード確認処理を終了する。一方、両者が不一致であれば(S3-2におけるNO)、メダルCPU204aは、通信許可フラグをOFFし(既にOFFしている場合はOFFを維持し)(S3-4)、メダルCPU204aが管理するメーカコード不一致エラーを設定して(S3-5)、当該メーカコード確認処理を終了する。この場合、通信許可フラグはOFFとなるので、メダルCPU204aは、専用ユニット350との通信を実行できず、その結果、遊技の進行が制限されることとなる。なお、エラーカウンタについては後程詳述する。
【0305】
そして、メダルCPU204aは、図18で示した、専用ユニット350へ通知(遊技機情報通知、計数通知、貸出受領結果応答)を送信するタイミングにおいて、毎回、通信許可フラグを確認し、通信許可フラグがONしていれば、通知を送信することができる。
【0306】
また、メダルCPU204aは、専用ユニット350から貸出通知を受信した場合、そのタイミングが適切であり、かつ、通信許可フラグがONしてれば、貸出通知に対して処理を実行する。また、タイミングが適切ではない、または、通信許可フラグがOFFしていれば、メダルCPU204aは、貸出通知を受信するものの、貸出通知を無視(破棄)し、貸出通知に対する処理を実行しない。ここで、適切なタイミングは、図18で示したような、メダルCPU204aが計数通知を送信してから約170msec後、または、遊技機情報通知を送信してから約270msec後である。
【0307】
このように、メダルCPU204a(第2制御部)は、メインCPU200a(第1制御部)との通信を確立した後、メインCPU200aから起動時コマンド(情報)を受信し、起動時コマンドからメーカコード(識別子)を取得する。そして、メダルCPU204aは、メーカコードが予め定められたメーカコード(特定識別子)と等しいと判断すると、専用ユニット350との通信を可能にする。かかる構成により、メダルCPU204aとメインCPU200aとの接続関係が正しく、通信が適切に行われている場合に、メダルCPU204aは専用ユニット350と通信を行うことができる。したがって、メダルCPU204aとメインCPU200aとの通信が適切に行われていない状態で、メダルCPU204aと専用ユニット350との通信が開始されることがないので、メダルCPU204a、メインCPU200a、専用ユニット350間の処理を適切に行うことが可能となる。
【0308】
なお、ここでは、メダルCPU204aとメインCPU200aとの通信が適切に行われていることを、スマートパチスロ100の電源投入時における起動時コマンドによって確認している。起動時コマンドは、メインCPU200aがメダルCPU204aに送信するコマンド(起動時コマンド、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、状態移行時コマンド)のうち、最も早期に送信される。したがって、メダルCPU204aとメインCPU200aとの通信を、他のコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、状態移行時コマンド)に先立って早期に確認し、メダルCPU204aと専用ユニット350との通信を早期に開始することができる。
【0309】
なお、メダルCPU204aとメインCPU200aとの通信が適切に行われていることを確認する情報は、起動時コマンドに限らず、他のコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、状態移行時コマンド)であってもよい。こうして、いずれかのコマンドによって、メダルCPU204aとメインCPU200aとの通信が適切に行われていることを確認することが可能となる。
【0310】
また、ここでは、メダルCPU204aとメインCPU200aとの通信が適切に行われていることを、起動時コマンドに含まれるメーカコードによって確認している。しかし、かかる場合に限らず、メインCPU200aとメダルCPU204aとの接続関係(主制御基板200とメダル数制御基板204との接続関係)を特定できる識別子であれば足り、例えば、起動時コマンドに含まれる起動時に必要な伝達情報である遊技機情報やチップID、または、他のコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、状態移行時コマンド)に含まれる任意の識別子を用いることもできる。
【0311】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、メインCPU200a(第1制御部)からメダルCPU204a(第2制御部)にコマンドを送信する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、スマートパチスロ100内の他の基板同士等、第1制御部や第2制御部として、独立した様々なCPU同士のシリアル通信に適用することができる。
【0312】
図37に示す払出枚数設定処理(S5)において、メダルCPU204aは、投入要求バッファに0hを設定し(S5-1)、IN信号確認バッファに0hを設定する(S5-2)。ここでは、IN信号確認バッファに0hを設定することで、後述する遊技開始処理(S12)において受信するスタートレバー押下コマンドの無効化を解除している。続いて、メダルCPU204aは、払出確認バッファが0hであるか否か判定する(S5-3)。その結果、払出確認バッファが0hでなければ(S5-3におけるNO)、払い出し終了コマンドの受信が1回目ではないこととなるので、メダルCPU204aは、当該払出枚数設定処理を終了する。一方、払出確認バッファが0hであれば(S5-3におけるYES)、払い出し終了コマンドの受信が1回目ということになるので、メダルCPU204aは、払出確認バッファにFFhを設定して(S5-4)、2回目以降の払い出し終了コマンドを無効化する。次に、メダルCPU204aは、払出枚数が16枚以上であるか否か判定する(S5-5)。その結果、払出枚数が16枚以上であれば(S5-5におけるYES)、主受信コマンドエラーバッファにFFhを設定して(S5-6)、当該払出枚数設定処理を終了する。
【0313】
一方、払出枚数が15枚以下であれば(S5-5におけるNO)、メダルCPU204aは、再遊技が作動しているか否か判定する(S5-7)。その結果、再遊技が作動していなければ(S5-7におけるNO)、メダルCPU204aは、払出枚数が0枚であるか否か判定する(S5-8)。その結果、払出枚数が0であれば(S5-8におけるYES)、メダルCPU204aは、当該払出枚数設定処理を終了する。一方、払出枚数が0でなければ(S5-8におけるNO)、メダルCPU204aは、遊技メダル数に払出枚数を加算して遊技メダル数を更新し(S5-9)、払出枚数を払出メダル数に設定する(S5-10)。こうして、遊技メダル数が適切に更新される。払出枚数が払出メダル数に設定されると(S5-10)、もしくは、再遊技が作動していれば(S5-7におけるYES)、メダルCPU204aは、遊技情報を設定する遊技情報設定処理を行って(S5-11)、当該払出枚数設定処理を終了する。
【0314】
図38に示す遊技開始処理(S12)において、メダルCPU204aは、IN信号確認バッファが0hであるか否か判定する(S12-1)。その結果、IN信号確認バッファが0hでなければ(S12-1におけるNO)、スタートレバー押下コマンドの受信が1回目ではないこととなるので、メダルCPU204aは、当該遊技開始処理を終了する。一方、IN信号確認バッファが0hであれば(S12-1におけるYES)、スタートレバー押下コマンドの受信が1回目ということになるので、メダルCPU204aは、IN信号確認バッファにFFhを設定して(S12-2)、2回目以降のスタートレバー押下コマンドを無効化し、遊技情報を設定する遊技情報設定処理を行い(S12-3)、払出確認バッファに0hを設定して(S12-4)、当該遊技開始処理を終了する。ここでは、払出確認バッファに0hを設定することで、払出枚数設定処理(S5)において受信する払い出し終了コマンドの無効化を解除している。なお、上記では、ステップS12-4を、S12-1においてYES判定された場合に実行することとしているが、ステップS12-1より前段で実行されるとしてもよい。
【0315】
ここでは、メダルCPU204aが、メインCPU200aから同一種類である払い出し終了コマンドを連続して受信すると、2回目以降に受信した払い出し終了コマンドを無効としている。具体的に、メダルCPU204aは、図37のステップS5-3において払出確認バッファが0hであれば、払い出し終了コマンドの1回目の受信と判断し、払出確認バッファをFFhに切り換え、払出枚数に対するステップS5-6以降の処理を正常に実行する。その後、次に払い出し終了コマンドを受信したとしても、ステップS5-3において払出確認バッファが0hではない(FFhである)と判定されるので、払出枚数に対するステップS5-6以降の処理が行われることはない(払い出し終了コマンドが無効化される)。
【0316】
また、メダルCPU204aは、このように受信した払い出し終了コマンドを無効とする状況下において、メインCPU200aからスタートレバー押下コマンドを受信すると、払い出し終了コマンドの無効化を解除する。具体的に、メダルCPU204aは、図37のステップS5-3において払出確認バッファが0hであれば、払出確認バッファをFFhに切り換え、それ以降に受信した払い出し終了コマンドを無効化している。しかし、その後に、スタートレバー押下コマンドを受信すると、図38のステップS12-4において払出確認バッファが0hにリセットされる。したがって、次に払い出し終了コマンドが受信された場合、図37のステップS5-3において払出確認バッファが0h、すなわち、払い出し終了コマンドが1回目の受信と判断され、払出枚数に対するステップS5-4以降の処理が正常に実行されることとなる。
【0317】
また、メダルCPU204aは、メインCPU200aから同一種類であるスタートレバー押下コマンドを連続して受信すると、2回目以降に受信したスタートレバー押下コマンドを無効としている。具体的に、メダルCPU204aは、図38のステップS12-1においてIN信号確認バッファが0hであれば、スタートレバー押下コマンドの1回目の受信と判断し、IN信号確認バッファをFFhに切り換え、ステップS12-3の遊技情報設定処理を正常に実行する。その後、次にスタートレバー押下コマンドを受信したとしても、ステップS12-1においてIN信号確認バッファが0hではない(FFhである)と判定されるので、ステップS12-3の遊技情報設定処理が行われることはない(スタートレバー押下コマンドが無効化される)。
【0318】
また、メダルCPU204aは、このように受信したスタートレバー押下コマンドを無効とする状況下において、その後に、メインCPU200aから払い出し終了コマンドを受信すると、スタートレバー押下コマンドの無効化を解除する。具体的に、メダルCPU204aは、図38のステップS12-1においてIN信号確認バッファが0hであれば、IN信号確認バッファをFFhに切り換え、それ以降に受信したスタートレバー押下コマンドを無効化している。しかし、払い出し終了コマンドを受信すると、図37のステップS5-2においてIN信号確認バッファが0hにリセットされる。したがって、次にスタートレバー押下コマンドが受信された場合、図38のステップS12-1においてIN信号確認バッファが0h、すなわち、スタートレバー押下コマンドが1回目の受信と判断され、ステップS12-3の遊技情報設定処理が正常に実行されることとなる。
【0319】
このように、コマンドが複数回連続して受信された場合において、2回目以降に受信した同一種類コマンドを無効化する構成により、そのコマンドに応じて、本来1回しか実行すべきでない処理を複数回実行することがなくなり、適切に遊技が進行される。また、主制御基板200とメダル数制御基板204との間に不正な基板が取り付けられ、この不正な基板によりコマンドが不正に複数回送信されたとしても、そのコマンドが無効化されるので、遊技利益が不当に獲得されることはない。
【0320】
なお、ここでは、払い出し終了コマンドが複数回連続して受信された場合に2回目以降の受信を無効化するため払出確認バッファを切り換え、また、スタートレバー押下コマンドが複数回連続して受信された場合に2回目以降の受信を無効化するためIN信号確認バッファを切り換えている。払い出し終了コマンドとスタートレバー押下コマンドとは排他的に処理されるため、本来、バッファは1つあれば足りる。しかし、1つのバッファの2値をそれぞれ払い出し終了コマンドの許容とスタートレバー押下コマンドの許容とに割り当てると、1のバッファが、払い出し終了コマンドかスタートレバー押下コマンドのいずれか一方を許容し、他を許容しない状態となっているときに、仮に、メダルCPU204aにおいてバックアップ異常が生じたり、主制御基板200において設定変更が生じると、許容されるべき他方のコマンドが許容されず、遊技が進行しないおそれがある。そこで、ここでは、払い出し終了コマンドとスタートレバー押下コマンドとにそれぞれバッファ(払出確認バッファ、IN信号確認バッファ)を設け、バックアップ異常や設定変更等の所定の初期化条件を満たした場合、いずれのバッファも0hを設定することで、いずれのコマンドも許容する状態に遷移させる。かかる構成により、メダルCPU204aにおいてバックアップ異常が生じたり、主制御基板200において設定変更が生じた場合であっても、遊技を適切に進行させることが可能となる。
【0321】
なお、1のバッファ、例えば、コマンド確認バッファが、払い出し終了コマンドおよびスタートレバー押下コマンドのいずれも許容する状態を別途設けることで、本実施形態を1のバッファで実施することもできる。例えば、払い出し終了コマンドおよびスタートレバー押下コマンドのいずれも許容する状態を0h、払い出し終了コマンドのみを許容し、スタートレバー押下コマンドは許容しない状態を1h、スタートレバー押下コマンドのみを許容し、払い出し終了コマンドは許容しない状態を2hと設定する。そして、メダルCPU204aは、払い出し終了コマンドを受信すると、払い出し終了コマンドが複数回連続して受信された場合に2回目以降の受信を無効化するため、コマンド確認バッファを2hに切り換え、また、スタートレバー押下コマンドを受信すると、スタートレバー押下コマンドが複数回連続して受信された場合に2回目以降の受信を無効化するため、コマンド確認バッファを1hに切り換える。そして、バックアップ異常や設定変更等の所定の初期化条件を満たした場合、コマンド確認バッファを0hに設定することで、いずれのコマンドも許容する状態に遷移させる。
【0322】
なお、ここでは、メインCPU200aとメダルCPU204aとで送受信する情報の例としてコマンドを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、データ、信号等、様々な内容を含むことができる。
【0323】
(不正防止信号)
図36を参照して説明したように、メダル数制御基板204において通信許可フラグがONすると、メダルCPU204aは、専用ユニット350と通信を確立し、通知(遊技機情報通知、計数通知、貸出受領結果応答)を送信することが可能となる。そして、遊技の進行において、異常が検知されると、メダルCPU204aは、所定信号や特定信号を専用ユニット350に送信する。ここでは、専用ユニット350に送信する所定信号および特定信号として、共通して、不正を防止するための信号(不正防止信号)を例に挙げる。具体的に、メダルCPU204aは、図14に示した遊技機情報通知のホールコン・不正監視情報における「遊技機不正1」、「遊技機不正2」、「遊技機不正3」を通じて不正防止信号を専用ユニット350に伝達する。ただし、所定信号と特定信号とは、共通する信号である必要はなく、また、いずれも不正防止信号に限らず、メダルCPU204aから専用ユニット350に送信される様々な信号を適用することができる。専用ユニット350は、かかる不正防止信号を受信すると、ホールコンピュータに伝達する。
【0324】
例えば、設定値の確認処理が行われた場合、遊技機不正1のビット1における、不正防止信号としての設定確認中信号が出力される。また、スマートパチスロ100において異常を検知すると、遊技機不正1のビット2~4における不正防止信号としての不正検知信号1、不正検知信号2、不正検知信号3が出力される。また、前面下扉106が開放されると、遊技機不正2のビット1における不正防止信号としてのドアオープン信号が出力される。かかる不正防止信号は、少なくとも3秒間は継続して出力しなければならない。ここでは、メダルCPU204aが、専用ユニット350に対し、不正防止信号を5秒間継続して出力する例を挙げて説明する。
【0325】
仮に、不正防止信号の出力中に電断(電源切断)等、不正防止信号の出力を中断する事象が生じた場合、5秒間を計時していた信号計時タイマをリセットし、電断復帰後等、中断事象が解消された後、再度、不正防止信号を5秒間出力することが考えられる。この場合、不正防止信号を出力している総時間が5秒以上となり、専用ユニット350では、確実に不正防止信号を認識することが可能となる。ここで、信号計時タイマは、ダウンカウンタで構成され、不正防止信号の出力を維持するのに必要な所定時間(ここでは5秒)を計時するのに用いられる。
【0326】
しかし、スマートパチスロ100に異常が生じたタイミングによっては、不正防止信号を出力する時間を十分確保できない場合がある。例えば、前面下扉106が開放された状態で、電源が投入されたとする。そうすると、メダルCPU204aは、遊技機不正2のビット1における、不正防止信号としてのドアオープン信号を、電源投入直後から5秒間継続して出力しようと試みる。しかしながら、上記のように、メダルCPU204aは、メインCPU200aとの通信を確立した後、メインCPU200aから起動時コマンドを受信し、起動時コマンドにおけるメーカコードが正しいことを確認して、初めて、専用ユニット350に遊技機情報通知を送信できる。すなわち、前面下扉106が開放された状態で、電源の投入直後から5秒の計時を開始したとしても、起動時コマンドにおけるメーカコードが正しいことを確認するまでは、不正防止信号が専用ユニット350に出力されない。そうすると、不正防止信号の出力開始が遅れ、不正防止信号の出力に十分な時間が確保されず、専用ユニット350では、確実に不正防止信号を認識することが困難になる。
【0327】
また、メダル数制御基板204は、電源を投入後、例えば、1秒程度で正常に動作を開始することが可能であるが、主制御基板200は、主制御基板200自体の初期化処理および副制御基板202の初期化処理に必要な情報の送信等を行うので、主制御基板200自体が正常に機能開始するのに時間を要する。そして、メインCPU200aは、正常な機能を開始した後に、メダルCPU204aに起動時コマンドを送信する。そうすると、メダルCPU204aが、起動時コマンドにおけるメーカコードが正しいことを確認するまで5秒以上(例えば、10秒)を要するおそれがある。この場合、メダルCPU204aは、前面下扉106が開放された状態で、電源の投入直後に信号計時タイマで5秒間計時している間に不正防止信号を出力することができず、専用ユニット350では、不正防止信号を認識することができなくなる。
【0328】
そこで、本実施形態では、通信許可フラグがONされていることを条件に不正防止信号の送信を開始する。
【0329】
図39は、不正防止信号の出力処理の流れを示したフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。ここでは、前面下扉106が開放された状態で、電源が投入されたとする。
【0330】
電源投入後、前面下扉106が開放された状態であることを、ドアスイッチ(前面下扉106の開放を検知するスイッチ)を通じて認識すると、メダルCPU204aは、不正防止信号として、遊技機不正2のビット1におけるドアオープン信号を設定する(S1)。ただし、この段階では、通信許可フラグがOFFしているので、不正防止信号が専用ユニット350に出力されることはない。また、メダルCPU204aは、信号計時タイマに5秒に対応するカウント値を設定する(S2)。ただし、この段階では、信号計時タイマの進行(計時)が制限されている(カウントダウンが行われない)。なお、ドアスイッチが前面下扉106の開放を検知すると、その旨の信号をメインCPU200aおよびメダルCPU204aの双方が取得してもよいし、いずれか一方が取得してもよい。したがって、メダルCPU204aは、メインCPU200aを通じて間接的に前面下扉106が開放された状態であることを認識するとしてもよいし、直接、ドアスイッチからの信号を通じて前面下扉106が開放された状態であることを認識してもよい。
【0331】
そして、メダルCPU204aは、通信許可フラグがONしているか否か、すなわち、メインCPU200aとの通信を確立した後、メインCPU200aから起動時コマンドを受信し、起動時コマンドにおけるメーカコードが正しいと判定したか否かを判定する(S3)。その結果、通信許可フラグがOFFとなっている間(S3におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS3の処理を繰り返す。例えば、電源が投入された場合、主制御基板200は、主制御基板200自体の初期化処理および副制御基板202の初期化処理に必要な情報の送信等を行った後、メダルCPU204aに起動時コマンド(メーカコード)を送信する。したがって、かかる間、通信許可フラグはOFFを維持し、不正防止信号は出力されない。
【0332】
一方、通信許可フラグがONすると(S3におけるYES)、メダルCPU204aは、専用ユニット350との通信を確立し、遊技機情報通知を送信することで、不正防止信号(ドアオープン信号)の出力を開始する(S4)。また、メダルCPU204aは、不正防止信号の出力に伴い、信号計時タイマの進行を開始する(S5)。こうして、信号計時タイマが計時している間、不正防止信号の設定が維持され、不正防止信号の出力が継続する。なお、ここでは、メダルCPU204aが、予め、不正防止信号として、遊技機不正2のビット1におけるドアオープン信号を設定するとともに、信号計時タイマにカウント値を設定しておき、設定通信許可フラグがONすると、すなわち、信号計時タイマの進行開始条件が満たされると、信号計時タイマの進行を開始させて、不正防止信号を出力させる例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、メダルCPU204aは、前面下扉106が開放された状態であることを認識すると、ドアが開放されている旨のドア開放フラグを設定しておき、信号計時タイマの進行開始条件が満たされると、そのタイミングで、ドア開放フラグが設定されていることを条件に、不正防止信号として、遊技機不正2のビット1におけるドアオープン信号を設定するとともに、信号計時タイマにカウント値を設定し、信号計時タイマの進行を開始させて、不正防止信号を出力させるとしてもよい。
【0333】
続いて、メダルCPU204aは、信号計時タイマが5秒を計時完了したか否か判定する(S6)。その結果、5秒に到達していなければ(S6におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS6の処理を繰り返す。一方、5秒を計時完了していれば(S6におけるYES)、メダルCPU204aは、不正防止信号、例えば、遊技機不正2のビット1におけるドアオープン信号をリセットする(S7)。こうして、不正防止信号の出力が終了する。このような不正防止信号の出力処理を、メダル数制御基板204の使用領域内で行ってもよいし、当該処理がセキュリティ関連処理なので、使用外領域で行うとしてもよい。このように不正防止信号の出力処理を使用外領域で行うことで、使用領域を有効活用することが可能となる。
【0334】
このように、不正防止信号が生成され、メダルCPU204aがメインCPU200aと通信を開始し、メインCPU200aと通信開始してから(通信許可フラグをONしてから)信号計時タイマで所定時間計時し、所定時間計時している間、専用ユニット350に不正防止信号を送信する構成により、専用ユニット350が既に立ち上がってさえいれば、専用ユニット350は、不正防止信号を出力継続時間分、確実に受信することが可能となる。こうして、スマートパチスロ100における不正を確実に防止することができる。
【0335】
なお、不正防止信号の出力中に電断が生じた場合、メダルCPU204aは、所定時間(例えば5秒間)を計時していた信号計時タイマをリセットして、再度、通信許可フラグがONしたのを確認後、所定時間、専用ユニット350に不正防止信号を出力してもよい。また、電断が生じた場合に、信号計時タイマのカウント値を保存することが可能であれば、メダルCPU204aは、電断時の信号計時タイマのカウント値を保存し、電源投入時(電断復帰時)に、通信許可フラグがONしたのを確認後、保存された信号計時タイマのカウント値から計時を再開し、専用ユニット350に不正防止信号を出力するとしてもよい。
【0336】
また、ここでは、メダルCPU204aが、前面下扉106が開放された状態であることを認識すると、遊技機不正2のビット1における、不正防止信号としてのドアオープン信号を設定する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、設定変更処理において、管理者による設定変更操作を受け付ける設定変更装置に扉が設けられている場合、メダルCPU204aは、その設定変更装置に設けられた扉が開放された状態であることを認識し、遊技機不正2のビット0における、不正防止信号としての設定ドアオープン信号を出力するとしてもよい。その場合、上記のように、メダルCPU204aは、通信許可フラグがONし、メダルCPU204aと専用ユニット350との通信が確立された後、信号計時タイマを進行させるとしてもよい。また、ここでは、前面下扉106にドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、前面下扉106が開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、前面上扉104にドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、前面上扉104が開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識するとしてもよいし、前面上扉104および前面下扉106のいずれにもドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、前面上扉104および前面下扉106のいずれもが開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識するとしてもよい。この場合、上述した前面下扉106同様、ドアスイッチが前面上扉104の開放を検知すると、その旨の信号をメインCPU200aおよびメダルCPU204aの双方が取得してもよいし、いずれか一方が取得してもよい。したがって、メダルCPU204aは、前面下扉106同様、メインCPU200aを通じて間接的に前面上扉104が開放された状態であることを認識するとしてもよいし、直接、ドアスイッチからの信号を通じて前面上扉104が開放された状態であることを認識してもよい。また、筐体102に前面上扉104や前面下扉106以外の扉、例えば、プロジェクターを有する扉が設けられている場合、そのような扉にドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、扉が開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識するとしてもよい。
【0337】
また、ここでは、メダルCPU204aが、通信許可フラグがONした後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、メダルCPU204aの代わりにメインCPU200aに信号計時タイマを設け、メインCPU200aが、起動時コマンドを送信可能となった以後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保するとしてもよい。具体的に、メインCPU200aは、起動時コマンドが送信可能となると、または、起動時コマンドをメダルCPU204aに送信すると、不正防止信号(ドアオープン信号)の出力を開始するとともに、信号計時タイマの進行を開始する。また、メインCPU200aは、信号計時タイマが5秒を計時完了したことに応じて、不正防止信号の出力を終了する。このとき、図39で示した不正防止信号の出力処理を、主制御基板200の使用領域内で行ってもよいし、当該処理がセキュリティ関連処理なので、使用外領域で行うとしてもよい。このように不正防止信号の出力処理を使用外領域で行うことで、使用領域を有効活用することが可能となる。
【0338】
また、ここでは、メダルCPU204aは、通信許可フラグがONした後、信号計時タイマを進行させる例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、通信許可フラグのONに加え、後述するメダル投入可能状態を確認後、または、VL接続信号がONされているのを確認後に信号計時タイマを進行させるとしてもよい。かかる構成により、メダルCPU204aは、メインCPU200aおよび専用ユニット350との通信を正常に確立した後、不正防止信号の出力継続時間を確実に確保することが可能となる。こうして、管理者は、不正を確実に防止することができる。
【0339】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、メダルCPU204aが、異常の検知に応じて不正防止信号を生成し、メインCPU200aと通信を開始してから所定時間計時し、所定時間計時している間、専用ユニット350に不正防止信号を継続して送信する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、スマートパチンコの枠CPUが、異常の検知に応じて不正防止信号を生成し、メインCPUと通信を開始してから所定時間計時し、所定時間計時している間、専用ユニットに不正防止信号を継続して送信するとしてもよい。また、ここでは、スマートパチスロ100において、メダルCPU204aの代わりに、メインCPU200aが起動時コマンドを送信可能となった以後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保する例を挙げて説明したが、スマートパチンコにおいても、枠CPUの代わりにメインCPUが、起動時コマンドを送信可能となった以後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保することができる。なお、このような不正防止信号の出力処理を、スマートパチンコの主制御基板の使用領域内で行ってもよいし、使用外領域で行うとしてもよい。
【0340】
上記では、図14に示した遊技機情報通知のホールコン・不正監視情報における「遊技機不正1」、「遊技機不正2」、「遊技機不正3」を通じ、設定確認中信号、不正検知信号1、不正検知信号2、不正検知信号3、ドアオープン信号等の不正防止信号を専用ユニット350に出力する例を挙げて説明した。しかし、不正防止信号は、かかる場合に限らず、図14に示すように、例えば、設定変更中信号や遊技メダル数クリア検知を含む。
【0341】
設定変更中信号は、遊技機情報通知のホールコン・不正監視情報における「遊技機不正1」のビット0に配され、設定変更処理(所定条件下)の実行中に出力される信号である。かかる設定変更中信号が専用ユニット350に出力される場合、合わせてセキュリティ信号も専用ユニット350に出力される。
【0342】
遊技メダル数クリア検知は、遊技機情報通知のホールコン・不正監視情報における「遊技機不正2」のビット3に配され、スマートパチスロ100で保持される遊技メダル数を0にクリアした場合(所定条件下)に出力される信号である。例えば、ホールの営業終了時もしくは次の日の営業開始時において、スマートパチスロ100に遊技メダル数として電子化メダルが残っている場合(遊技者が無意識に残してしまった場合および意図して残した場合を含む)、ホールの店員は、営業開始時に遊技メダル数が0となるように、遊技メダル数をクリアする。このように遊技メダル数クリア検知が生じたことはホールコンピュータに記憶されており、管理者は、遊技メダル数のクリアの有無、および、クリア時間を事後的に確認することができる。また、遊技メダル数のクリアを行ったこと、または、行っていないことの証明に遊技メダル数クリア検知の出力履歴を利用することが可能となる。
【0343】
専用ユニット350では、設定変更中信号や遊技メダル数クリア検知を受け付けると、ホールコンピュータに伝達する。ホールコンピュータでは、設定変更中信号や遊技メダル数クリア検知を受け、その出力が継続されている間、設定変更中信号や遊技メダル数クリア検知を受け付けた旨の報知が行われ、例えば、データランプが点灯される。設定変更中信号は、データランプの点灯時間を確保するため、設定変更が既に終了していた場合であっても、スマートパチスロ100の電源投入後、通常の1遊技が終了するまで出力され続け、その間、データランプは点灯し続ける。また、遊技メダル数クリア検知も、データランプを点灯する仕様となっている場合、データランプの点灯時間を確保するため、スマートパチスロ100において通常の1遊技が終了するまで出力され続け、その間、データランプは点灯し続ける。しかし、この場合、設定変更中信号や遊技メダル数クリア検知の出力を停止するために、ホールの店員は、スマートパチスロ100を1遊技実行しなければならず、多数のスマートパチスロ100を短時間で遊技可能な状態とするための作業負担を強いられる。
【0344】
そこで、ここでは、設定変更中信号や遊技メダル数クリア検知の出力の継続時間を、1遊技が終了するまでとせず、設定確認中信号、不正検知信号1、不正検知信号2、不正検知信号3、ドアオープン信号等同様、所定時間に制限する。
【0345】
ただし、設定確認中信号、不正検知信号1、不正検知信号2、不正検知信号3、ドアオープン信号等の不正防止信号については、メダルCPU204aは、通信許可フラグがONした後、5秒の計時を開始していたが、設定変更中信号、遊技メダル数クリア検知については、通信許可フラグがONしたことに加え、遊技が可能となっていること、すなわち、メダル投入可能状態となっていることを条件に5秒の計時を開始する。メダル投入可能状態は、電子化メダルのベットが可能な状態を示し、専用ユニット350との接続状態を示すVL接続信号がONであり、かつ、他にエラーがないことを条件に移行される。したがって、メダルCPU204aは、メダル投入可能状態(遊技可能状態)を通じて、VL接続信号がONしていることを間接的に把握することが可能となる。また、メダル投入可能状態は、メインCPU200aで管理され、メダルCPU204aは、メインCPU200aから送信されるコマンドを通じてメダル投入可能状態を参照できる。なお、メダル投入可能状態をメダルCPU204aで管理してもよい。ここでは、メダルCPU204aが、通信許可フラグがONしており、かつ、メダル投入可能状態であることを把握することで、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信が正常に確立されたことを確認するのみならず、メダルCPU204aと専用ユニット350との通信が正常に確立されたことを確認することが可能となる。
【0346】
図40は、不正防止信号の出力処理の流れを示したフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。ここでは、遊技メダル数をクリアした状態で、電源が投入されたとする。
【0347】
電源投入後、メダルCPU204aは、所定条件下、すなわち、遊技メダル数をクリアした状態であることを認識すると、不正防止信号として、遊技機不正2のビット3における遊技メダル数クリア検知を設定する(S1)。ただし、この段階では、通信許可フラグがOFFしているので、不正防止信号が専用ユニット350に出力されることはない。また、メダルCPU204aは、信号計時タイマに5秒に対応するカウント値を設定する(S2)。ただし、この段階では、信号計時タイマの進行(計時)が制限されている(カウントダウンが行われない)。
【0348】
そして、メダルCPU204aは、通信許可フラグがONしており、かつ、メダル投入可能状態となっているか否かを判定する(S3)。その結果、通信許可フラグがOFFしている、または、メダル投入可能状態となっていない間(S3におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS3の処理を繰り返す。例えば、電源が投入された場合、主制御基板200は、主制御基板200自体の初期化処理および副制御基板202の初期化処理に必要な情報の送信等を行った後、メダルCPU204aに起動時コマンド(メーカコード)を送信する。また、電源が投入された直後はVL接続信号がOFFしているので、メダル投入可能状態とはならない。したがって、かかる間、不正防止信号は出力されない。
【0349】
一方、通信許可フラグがONしており、かつ、メダル投入可能状態となれば(S3におけるYES)、メダルCPU204aは、専用ユニット350との通信を確立し、遊技機情報通知を送信することで、不正防止信号の出力を開始する(S4)。また、メダルCPU204aは、不正防止信号の出力に伴い、信号計時タイマの進行を開始する(S5)。こうして、信号計時タイマが計時している間、不正防止信号の設定が維持され、不正防止信号の出力が継続する。なお、ここでは、メダルCPU204aが、予め、不正防止信号として、遊技機不正2のビット3における遊技メダル数クリア検知を設定するとともに、信号計時タイマにカウント値を設定しておき、通信許可フラグがONしており、かつ、メダル投入可能状態となれば、すなわち、信号計時タイマの進行開始条件が満たされると、信号計時タイマの進行を開始させて、不正防止信号を出力させる例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、メダルCPU204aは、遊技メダル数をクリアした状態であることを認識すると、遊技メダル数がクリアされている旨のメダル数クリアフラグを設定しておき、信号計時タイマの進行開始条件が満たされると、そのタイミングで、メダル数クリアフラグが設定されていることを条件に、不正防止信号として、遊技機不正2のビット3における遊技メダル数クリア検知を設定するとともに、信号計時タイマにカウント値を設定し、信号計時タイマの進行を開始させて、不正防止信号を出力させるとしてもよい。
【0350】
続いて、メダルCPU204aは、信号計時タイマが5秒を計時したか否か判定する(S6)。その結果、まだ5秒に到達していなければ(S6におけるNO)、メダルCPU204aは、ステップS6の処理を繰り返す。一方、5秒を計時していれば(S6におけるYES)、メダルCPU204aは、遊技機不正2のビット3における不正防止信号としての遊技メダル数クリア検知をリセットする(S7)。こうして、不正防止信号の出力が終了する。このような不正防止信号の出力処理を、メダル数制御基板204の使用領域内で行ってもよいし、当該処理がセキュリティ関連処理なので、使用外領域で行うとしてもよい。このように不正防止信号の出力処理を使用外領域で行うことで、使用領域を有効活用することが可能となる。
【0351】
このように、不正防止信号が生成され、メダルCPU204aがメインCPU200aと通信を開始し、かつ、専用ユニット350との接続(メダル投入可能状態であること)を確認してから信号計時タイマで所定時間計時し、所定時間計時している間、専用ユニット350に不正防止信号を送信する構成により、メダルCPU204aは、メインCPU200aおよび専用ユニット350との通信を正常に確立した後、不正防止信号の出力継続時間を確実に確保することが可能となる。こうして、スマートパチスロ100における不正を確実に防止することができる。
【0352】
また、不正防止信号の出力の継続時間を5秒に制限することで、ホールの店員は、設定変更中信号や遊技メダル数クリア検知の出力を停止するために、スマートパチスロ100を1遊技実行する必要がなくなる。したがって、多数のスマートパチスロ100を短時間で遊技可能とするための管理者の負担を削減することが可能となる。
【0353】
なお、不正防止信号の出力中に、前面下扉106が開放されて(エラーが生じて)メダル投入可能状態ではなくなった場合、メダルCPU204aは、所定時間(例えば5秒間)を計時していた信号計時タイマをリセットして、再度、通信許可フラグのONおよびメダル投入可能状態を確認後、所定時間、設定確認中信号を出力してもよい。また、メダルCPU204aは、メダル投入可能状態ではなくなったタイミングでの信号計時タイマのカウント値を保存し、電源投入時(電断復帰時)に、通信許可フラグのONおよびメダル投入可能状態を確認後、保存している信号計時タイマのカウント値から計時を再開し、不正防止信号を出力するとしてもよい。こうして、不正防止信号の出力継続時間として、少なくとも所定時間を確保することが可能となる。また、ここでは、前面下扉106にドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、前面下扉106が開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、前面上扉104にドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、前面上扉104が開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識するとしてもよいし、前面上扉104および前面下扉106のいずれにもドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、前面上扉104および前面下扉106のいずれもが開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識するとしてもよい。また、筐体102に前面上扉104や前面下扉106以外の扉、例えば、プロジェクターを有する扉が設けられている場合、そのような扉にドアスイッチが設けられ、メダルCPU204aが、扉が開放された状態であることを、ドアスイッチを通じて認識するとしてもよい。
【0354】
また、不正防止信号の出力中に電断(電源切断)が生じた場合、メダルCPU204aは、所定時間(例えば5秒間)を計時していた信号計時タイマをリセットして、再度、通信許可フラグがONしたのを確認後、所定時間、専用ユニット350に不正防止信号を出力してもよい。また、電断の場合に、信号計時タイマの値が保存可能であれば、メダルCPU204aは、電断時の信号計時タイマのカウント値を保存し、電源投入時(電断復帰時)に、通信許可フラグがONしたのを確認後、保存された信号計時タイマのカウント値から計時を再開し、専用ユニット350に不正防止信号を出力するとしてもよい。
【0355】
また、ここでは、メダルCPU204aが、専用ユニット350との接続を確認するため、遊技が可能となっている状態であるメダル投入可能状態を確認する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、メダルCPU204aは、VL接続信号がONになることを条件として設定される様々な情報や、VL接続信号自体を確認することで専用ユニット350との接続を確認してもよい。
【0356】
また、ここでは、メダルCPU204aが、通信許可フラグがONおよびメダル投入可能状態を確認後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、メダルCPU204aの代わりにメインCPU200aに信号計時タイマを設け、メインCPU200aが、起動時コマンドを送信可能となり、かつ、メダル投入可能状態となった後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保するとしてもよい。具体的に、メインCPU200aは、起動時コマンドが送信可能となり、または、起動時コマンドをメダルCPU204aに送信し、かつ、メダル投入可能状態となると、不正防止信号(ドアオープン信号)の出力を開始するとともに、信号計時タイマの進行を開始する。また、メインCPU200aは、信号計時タイマが5秒を計時完了したことに応じて、不正防止信号の出力を終了する。このとき、図40で示した不正防止信号の出力処理を、主制御基板200の使用領域内で行ってもよいし、当該処理がセキュリティ関連処理なので、使用外領域で行うとしてもよい。このように不正防止信号の出力処理を使用外領域で行うことで、使用領域を有効活用することが可能となる。
【0357】
また、ここでは、メダルCPU204aは、通信許可フラグのONおよびメダル投入可能状態を確認後に信号計時タイマを進行させる例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、メダル投入可能状態を確認することなく、通信許可フラグがONしたことで信号計時タイマを進行させるとしてもよい。
【0358】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、メダルCPU204aが、異常の検知に応じて不正防止信号を生成し、メインCPU200aと通信を開始し、かつ、専用ユニット350との接続を確認してから所定時間計時し、所定時間計時している間、専用ユニット350に不正防止信号を継続して送信する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、スマートパチンコの枠CPUが、異常の検知に応じて不正防止信号を生成し、メインCPUと通信を開始し、かつ、専用ユニットとの接続を確認してから所定時間計時し、所定時間計時している間、専用ユニットに不正防止信号を継続して送信するとしてもよい。また、ここでは、スマートパチスロ100において、メダルCPU204aの代わりに、メインCPU200aが起動時コマンドを送信可能となり、かつ、メダル投入可能状態となった後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保する例を挙げて説明したが、スマートパチンコにおいても、枠CPUの代わりにメインCPUが、起動時コマンドを送信可能となり、かつ、メダル投入可能状態となった後に信号計時タイマを進行させることで不正防止信号の出力継続時間を確保することができる。なお、このような不正防止信号の出力処理を、スマートパチンコの主制御基板の使用領域内で行ってもよいし、使用外領域で行うとしてもよい。
【0359】
(コマンドの不正監視)
メインCPU200aからメダルCPU204aに送信される、複数種類のコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、起動時コマンド、状態移行時コマンド)のうち一部のコマンドは、その送信順(メダルCPU204aが受信すべき順)が定まっている。
【0360】
例えば、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドは、1遊技における遊技者の操作に応じて順次送信される。具体的に、1遊技の開始に際し、遊技者によりベットスイッチ116が操作されると、メインCPU200aは遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信する。次に、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、メインCPU200aはスタートレバー押下コマンドをメダルCPU204aに送信する。続いて、回転制御されたリール110a、110b、110cが、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて停止し、入賞判定が行われると、メインCPU200aは払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信する。そして、役比関連のデータが更新されると、メインCPU200aは1遊技終了コマンドをメダルCPU204aに送信する。こうして、1遊技が完了する。
【0361】
ただし、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてメダル保持部に保持されている遊技メダル数の一部の電子化メダルを投入する場合と、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルを自動投入する場合がある。リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルが自動投入された場合、メインCPU200aは、遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信しない。そうすると、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドのうち、遊技メダル投入コマンドに関しては、1遊技の間でメインCPU200aから必ず送信されるとは限らない。したがって、メインCPU200aの送信順が定まっているコマンドは、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドとなる。なお、払い出し終了コマンドは払出枚数が0の場合でも送信される。
【0362】
ここでは、コマンドの不正監視として、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドを対象とし、コマンドの受信順が予め定められた受信順であるか否かを判定する。具体的に、メダルCPU204aは、3つのコマンド(制限された複数のコマンド)のいずかを受信すると、その受信したコマンドが本来受信すべきコマンドか否か判定し、本来受信すべきコマンドと異なっている場合、エラーカウンタを1だけインクリメントする。メダルCPU204aは、このように、不正のおそれがある場合にエラーカウンタを計数し、所定の値(例えば、10)に到達したら、通信エラーとし、スピーカ128等のデバイスで、当該通信エラーを報知する。ただし、電源投入後の所定期間は、初期化処理で通信エラーが生じ易いので、エラーカウンタの更新を禁止し、意図しないエラー報知を回避している。
【0363】
ここでは、コマンドの受信順が本来の受信順と異なっている場合に、エラーカウンタを1だけインクリメントする例を挙げて説明した。しかし、エラーカウンタをインクリメントする対象はかかる場合に限らない。例えば、コマンドの受信順が本来の受信順と異なっている場合に加え、投入枚数の整合性がない場合、払出枚数の整合性がない場合、ベットが実行されていない状態で、リール110が回転していることを示すコマンドを受信した場合、スタートレバー押下コマンド受信後に、遊技メダル投入コマンドを受信した場合、スタートレバー押下コマンド受信後に、スタートレバー押下コマンドを再度受信した場合、コマンドにおけるチェックサムが異常であった場合に、エラーカウンタを1だけインクリメントする。ここで、投入枚数は、1遊技終了コマンドの役比関連の伝達情報に含まれる総投入枚数を用い、前回の遊技において受信した総投入枚数を保持しておき、前回の総投入枚数に今回の投入枚数を加算した結果が、今回の総投入枚数と等しい場合に整合性ありとし、異なる場合に整合性なしとしている。同様に、払出枚数は、1遊技終了コマンドの役比関連の伝達情報に含まれる総払出枚数を用い、前回の遊技において受信した総払出枚数を保持しておき、前回の総払出枚数に今回の払出枚数を加算した結果が、今回の総払出枚数と等しい場合に整合性ありとし、異なる場合に整合性なしとしている。また、スタートレバー押下コマンド受信後に、遊技メダル投入コマンドを受信した場合、および、スタートレバー押下コマンド受信後に、スタートレバー押下コマンドを再度受信した場合について、スタートレバー押下コマンドを受信すると、例えば、フラグを立てる等によりその旨の情報を保持しておき、払い出し終了コマンドを受信すると、スタートレバー押下コマンドを受信した旨の情報をクリアしている。なお、コマンドの受信順が本来の受信順と異なっている場合、投入枚数の整合性がない場合、払出枚数の整合性がない場合、ベットが実行されていない状態でリール110が回転していることを示すコマンドを受信した場合、スタートレバー押下コマンド受信後に、遊技メダル投入コマンドを受信した場合、スタートレバー押下コマンド受信後に、スタートレバー押下コマンドを再度受信した場合には、エラーカウンタはインクリメントするものの、受信したコマンドは有効とし、そのコマンドに対応する処理を行う。一方、コマンドにおけるチェックサムが異常であった場合には、エラーカウンタをインクリメントするとともに、受信したコマンドを無効として破棄する。また、エラーカウンタが所定の値に到達して通信エラーとなり、その通信エラーが報知された場合、通信エラーを解除するには、電源を再投入してエラーカウンタをクリアしなければならない。なお、エラーカウンタをインクリメントする対象として、投入枚数が所定範囲(例えば、1~3)外の場合、払出枚数が所定範囲(例えば、0~15)外の場合を加えてもよい。また、ここでは、スタートレバー押下コマンド受信後に、遊技メダル投入コマンドを受信した場合、および、スタートレバー押下コマンド受信後に、スタートレバー押下コマンドを再度受信した場合、エラーカウンタをインクリメントする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、スタートレバー押下コマンド受信後に、遊技メダル投入コマンドを受信した場合、メダルCPU204aは、当該遊技メダル投入コマンドに対する処理を行わないとし、スタートレバー押下コマンド受信後に、スタートレバー押下コマンドを再度受信した場合、メダルCPU204aは、再度受信したスタートレバー押下コマンドに対する処理を行わないとしてもよい。
【0364】
図41図43は、コマンド監視処理の流れを示したフローチャートである。コマンド監視処理は、メダルCPU204aがメインCPU200aから何らかのコマンドを受信したときに実行される。なお、図41では、スタートレバー押下コマンドを受信した場合を示し、図42では、払い出し終了コマンドを受信した場合を示し、図43では、1遊技終了コマンドを受信した場合を示す。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない処理は説明を省略する。かかる図におけるステップSの数値は、各図の説明においてのみ用いることとする。
【0365】
図41に示すように、メインCPU200aからコマンドを受信すると、メダルCPU204aは、受信したコマンドがスタートレバー押下コマンドであるか否か判定する(S1)。その結果、受信したコマンドがスタートレバー押下コマンドでなければ(S1におけるNO)、メダルCPU204aは、当該スタートレバー押下コマンドに関するコマンド監視処理を終了し、スタートレバー押下コマンドであれば(S1におけるYES)、メダルCPU204aは、次回コマンド(変数)に保持された識別子がスタートレバー押下コマンドを示す識別子であるか否か判定する(S2)。ここで、次回コマンドは、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドに関して次に受信すべきコマンドの識別子を保持するための変数(メモリ領域)である。その結果、次回コマンドに保持された識別子がスタートレバー押下コマンドを示す識別子でなければ、すなわち、払い出し終了コマンドを示す識別子、または、1遊技終了コマンドを示す識別子であれば(S2におけるNO)、メダルCPU204aは、コマンドの受信順が本来の受信順と異なっているとして、エラーカウンタを1だけインクリメントする(S3)。次回コマンドに保持された識別子がスタートレバー押下コマンドを示す識別子であれば(S2におけるYES)、メダルCPU204aは、当該エラーカウンタのインクリメントを行わない。そして、メダルCPU204aは、スタートレバー押下コマンドの次に受信すべきコマンドとして払い出し終了コマンドを示す識別子を次回コマンドに設定する(S4)。ここでは、受信したスタートレバー押下コマンドが本来受信すべきコマンドであるか否かに拘わらず、スタートレバー押下コマンドの次に受信すべきコマンドとして払い出し終了コマンドを設定している。
【0366】
このように、ここでは、スタートレバー押下コマンドの受信時に、次回コマンドに保持された識別子がスタートレバー押下コマンドを示す識別子であるか否かを判定している。また、次回コマンドにスタートレバー押下コマンドを示す識別子を設定するのは、後述するように、1遊技終了コマンドの受信時である。換言すれば、メダルCPU204aは、スタートレバー押下コマンドの受信時に、制限された、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドのうちで前回受信したコマンドが1遊技終了コマンドであるか否かを判定していることになる。
【0367】
図42に示すように、メインCPU200aからコマンドを受信すると、メダルCPU204aは、受信したコマンドが払い出し終了コマンドであるか否か判定する(S1)。その結果、受信したコマンドが払い出し終了コマンドでなければ(S1におけるNO)、メダルCPU204aは、当該払い出し終了コマンドに関するコマンド監視処理を終了し、払い出し終了コマンドであれば(S1におけるYES)、メダルCPU204aは、次回コマンドに保持された識別子が払い出し終了コマンドを示す識別子であるか否か判定する(S2)。その結果、次回コマンドに保持された識別子が払い出し終了コマンドを示す識別子でなければ、すなわち、1遊技終了コマンドを示す識別子、または、スタートレバー押下コマンドを示す識別子であれば(S2におけるNO)、メダルCPU204aは、コマンドの受信順が本来の受信順と異なっているとして、エラーカウンタを1だけインクリメントする(S3)。次回コマンドに保持された識別子が払い出し終了コマンドを示す識別子であれば(S2におけるYES)、メダルCPU204aは、当該エラーカウンタのインクリメントを行わない。そして、メダルCPU204aは、払い出し終了コマンドの次に受信すべきコマンドとして1遊技終了コマンドを示す識別子を次回コマンドに設定する(S4)。ここでは、受信した払い出し終了コマンドが本来受信すべきコマンドであるか否かに拘わらず、払い出し終了コマンドの次に受信すべきコマンドとして1遊技終了コマンドを設定している。
【0368】
図43に示すように、メインCPU200aからコマンドを受信すると、メダルCPU204aは、受信したコマンドが1遊技終了コマンドであるか否か判定する(S1)。その結果、受信したコマンドが1遊技終了コマンドでなければ(S1におけるNO)、メダルCPU204aは、当該1遊技終了コマンドに関するコマンド監視処理を終了し、1遊技終了コマンドであれば(S1におけるYES)、メダルCPU204aは、次回コマンドに保持された識別子が1遊技終了コマンドを示す識別子であるか否か判定する(S2)。その結果、次回コマンドに保持された識別子が1遊技終了コマンドを示す識別子でなければ、すなわち、スタートレバー押下コマンドを示す識別子、または、払い出し終了コマンドを示す識別子であれば(S2におけるNO)、メダルCPU204aは、コマンドの受信順が本来の受信順と異なっているとして、エラーカウンタを1だけインクリメントする(S3)。次回コマンドに保持された識別子が1遊技終了コマンドを示す識別子であれば(S2におけるYES)、メダルCPU204aは、当該エラーカウンタのインクリメントを行わない。そして、メダルCPU204aは、1遊技終了コマンドの次に受信すべきコマンドとしてスタートレバー押下コマンドを示す識別子を次回コマンドに設定する(S4)。ここでは、受信した1遊技終了コマンドが本来受信すべきコマンドであるか否かに拘わらず、1遊技終了コマンドの次に受信すべきコマンドとしてスタートレバー押下コマンドを設定している。
【0369】
このように、ここでは、メダルCPU204aが、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドのうちの所定のコマンドを受信した場合に、次回コマンドに保持された識別子が、受信したコマンドを示す識別子と等しいか否かを判定している。換言すれば、メダルCPU204aが、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドのうちの所定のコマンドを受信した場合に、前回受信したコマンドが、それぞれ、1遊技終了コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンドであるか否かを判定していることになる。
【0370】
上記のように、1遊技の開始時に、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルが自動投入された場合、メインCPU200aは遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信しない。そうすると、コマンドの受信順は、「払い出し終了コマンド」→「1遊技終了コマンド」→「スタートレバー押下コマンド」となり、コマンドの受信順が守られる。しかし、1遊技の開始時に遊技者がベットスイッチ116を操作した場合、メダルCPU204aは、「1遊技終了コマンド」と「スタートレバー押下コマンド」との間に、「遊技メダル投入コマンド」を受信することになり、コマンドの受信順が異なると判断してしまうおそれがある。
【0371】
ここでは、図41図43を用いて説明したように、受信順を監視する対象をスタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドに限定している。例えば、1遊技の開始時に遊技者がベットスイッチ116を操作したことによって、メダルCPU204aが「1遊技終了コマンド」→「遊技メダル投入コマンド」→「スタートレバー押下コマンド」の順でコマンドを受信したとする。この場合、メダルCPU204aは、1遊技終了コマンドを受信したことで、図43のように、1遊技終了コマンドの次に受信すべきコマンドとしてスタートレバー押下コマンドを示す識別子を次回コマンドに設定する。次に、メダルCPU204aは、遊技メダル投入コマンドを受信するが、受信した遊技メダル投入コマンドがスタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドではないので、次回コマンドの判定および更新は行わない。続いて、メダルCPU204aは、スタートレバー押下コマンドを受信したことで、図41のように、次回コマンドに保持された識別子がスタートレバー押下コマンドを示す識別子であるか否か判定する。次回コマンドには、スタートレバー押下コマンドを示す識別子が保持されているので、エラーカウンタが更新されることはない。したがって、メダルCPU204aが「1遊技終了コマンド」と「スタートレバー押下コマンド」との間に、「遊技メダル投入コマンド」を受信したとしても問題は生じない。
【0372】
また、上述したように、メインCPU200aは、メインループ内において、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド、起動時コマンドをメダルCPU204aに送信し、タイマ割込み内で状態移行時コマンドをメダルCPU204aに送信する。そうすると、上記の3つのスタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの間に、メダルCPU204aは、タイマ割込みのタイミングで状態移行時コマンドを受信することになり、コマンドの受信順が異なると判断してしまうおそれがある。
【0373】
かかる場合においても、当該コマンド監視処理は、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドしか対象としていないので、仮に、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの間に状態移行時コマンドを受信したとしても、メインCPU200aは、コマンド監視処理自体を実行しない。このように、メダルCPU204aは、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンド以外のコマンドはコマンド監視処理の対象外として、その3つのコマンドの受信順のみを判定している。したがって、メダルCPU204aがスタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの間に、タイマ割込みのタイミングで状態移行時コマンドを受信したとしてもエラーカウンタが更新されることはない。
【0374】
かかるコマンド監視処理により、主制御基板200とメダル数制御基板204との間に不正な基板を挿入する等、不正行為によって、コマンドを改竄した場合においても、エラーとして適切に特定することが可能となる。
【0375】
なお、ここでは、メダルCPU204aが、第2コマンドとして、それぞれ、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドを受信した場合に、次回コマンドに保持された識別子が、それぞれ、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドを示す識別子であるか否か、すなわち、前回受信したコマンドが、第1コマンドとして、それぞれ、1遊技終了コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンドであるか否かを判定する例を挙げて説明した。しかしながら、判定対象となるコマンドはかかる場合に限らず、受信順が予め定められているコマンドが少なくとも2つあれば足り、メダルCPU204aは、第1コマンドと第2コマンドとが予め定められた受信順で受信されているか否かを判定すればよい。このとき、メダルCPU204aは、第2コマンドを受信した場合に、複数に制限されたコマンドのうちで受信したコマンドが第1コマンドであることを判定するとしてもよい。
【0376】
また、メダルCPU204aは、上記のコマンド監視処理に加え、メインCPU200aからメダルCPU204aへのコマンド送信が安定的に行われているか否かを確認するため、タイムアウトを管理している。具体的に、メインCPU200aは、タイマ割込みのタイミング(例えば、1.49msec周期)で送信確認コマンドを送信する。送信確認コマンドは、識別子やチェックサムを有さない、例えば、1と0とがビット単位で交互に並ぶ1バイトの固定値「AAh」で構成されたコマンドである。メダルCPU204aは、かかる送信確認コマンドを定期的に受信することで、コマンド送信が安定的に行われていることを確認し、所定のタイムアウト(例えば、100msec)の間、本来受信すべき送信確認コマンドを受信できなかった場合、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンド等の各コマンドの受信時に用いられるメダルRAM204cの情報、例えば、ポインタ等をクリアする。ここでは、送信確認コマンドの送受信頻度が高いので、ノイズ等による影響を考慮してメダルRAM204cの情報をクリアするに留めているが、所定のタイムアウトの間、本来受信すべき送信確認コマンドを受信できなかった場合、エラーカウンタを1だけインクリメントするとしてもよい。
【0377】
ただし、コマンドによっては1のコマンドの送信完了がタイマ割込み周期(例えば、1.49msec)より長い場合がある。例えば、1遊技終了コマンドや起動時コマンドは1のコマンドを送信完了するまでに4msec以上費やす。この場合、1遊技終了コマンドや起動時コマンドと、送信確認コマンドとが衝突するおそれがある。
【0378】
ここでは、後述するように、メインCPU200aが各コマンドを、一旦、シリアル送信用の送信FIFO380に保持させている。送信FIFO380からは送信可能タイミング(例えば、80μsec間隔)でしかデータを送信しないが、メインCPU200aは、各コマンドを送信FIFO380に一度に設定することができる。また、メインCPU200aは、1遊技終了コマンドや起動時コマンドを送信FIFO380に設定する間、タイマ割込みを禁止している。このような構成により、メインCPU200aが、1遊技終了コマンドや起動時コマンドを送信FIFO380に設定するタイミングと、送信確認コマンドを送信FIFO380に設定するタイミングとは重ならない。したがって、1遊技終了コマンドや起動時コマンドと送信確認コマンドとが衝突することはない。
【0379】
ただし、1遊技終了コマンドや起動時コマンドが設定された後に送信確認コマンドが設定された場合、送信FIFO380から送信確認コマンドが出力されるのは、1遊技終了コマンドや起動時コマンドの後となる。そうすると、送信FIFO380の設定タイミングによっては、送信確認コマンドが送信FIFO380内において1遊技終了コマンドや起動時コマンドの後で重なり、2以上の送信確認コマンドが連続して出力されることになる。この場合、メダルCPU204aは、送信確認コマンドを連続して受信する。しかし、かかる場合であっても、送信確認コマンドの受信間隔は、平均してタイマ割込み周期となるので、エラーカウンタが更新されることはない。
【0380】
かかる送信確認コマンドによるタイムアウトの管理により、主制御基板200とメダル数制御基板204との間に不正な基板を挿入したり、何らかの手段によって不正なコマンドを入力させる等、不正行為によってコマンドを改竄した場合においても、エラーとして適切に特定することが可能となる。
【0381】
なお、ここでは、メダルCPU204aが送信確認コマンドによってタイムアウトを管理しているが、かかる場合に限らず、メインCPU200aおよびメダルCPU204aのいずれもが送信確認コマンドを定期的に出力し、メインCPU200aも送信確認コマンドによってタイムアウトを管理(相互管理)するとしてもよい。
【0382】
また、メインCPU200aからメダルCPU204aへのコマンド送信が安定的に行われているか否かを確認する手段は、送信確認コマンドによるタイムアウトの管理に限らず、例えば、接続確認信号としてコマンド許可信号を設け、メインCPU200aおよびメダルCPU204aのいずれか一方がコマンド許可信号をOFFにすることによりコマンドの送信を禁止している間に、他方がコマンドを送信したことをもって、各コマンドの受信時に用いられるメダルRAM204cの情報、例えば、ポインタ等をクリアするとしてもよい。また、メインCPU200aおよびメダルCPU204aのいずれか一方がコマンド許可信号をOFFにすることによりコマンドの送信を禁止している間に、他方がコマンドを送信すると、送信確認コマンド同様、エラーカウンタを更新するとしてもよい。
【0383】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、第1制御部としてのメインCPU200aから第2制御部としてのメダルCPU204aにコマンドを送信する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、例えば、スマートパチスロ100内の他の基板同士でコマンドを送受信する場合等、第1制御部や第2制御部として、独立した様々なCPU同士のシリアル通信に適用することができる。
【0384】
また、ここでは、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルが自動投入された場合、メインCPU200aは、遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信しないことを前提に、メインCPU200aの送信順が定まっているコマンドとして、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドを挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルが自動投入された場合においても、メインCPU200aは、遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信するとしてもよい。そうすると、メインCPU200aの送信順が定まっているコマンドは、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの4つのコマンドとなる。この場合、メインCPU200aは、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの4つのコマンドのいずれかを受信すると、その受信したコマンドが本来受信すべきコマンドか否か判定し、本来受信すべきコマンドと異なっている場合、エラーカウンタを1だけインクリメントすることとなる。
【0385】
さらに、ここでは、払い出し終了コマンドが、払出枚数が0の場合でも送信されることを前提に、メインCPU200aの送信順が定まっているコマンドとして、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドを挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、払出枚数が0の場合において、メインCPU200aは、払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信しないとしてもよい。そうすると、メインCPU200aの送信順が定まっているコマンドは、スタートレバー押下コマンド、1遊技終了コマンドの2つのコマンドとなる。この場合、メインCPU200aは、スタートレバー押下コマンド、1遊技終了コマンドの2つのコマンドのいずれかを受信すると、その受信したコマンドが本来受信すべきコマンドか否か判定し、本来受信すべきコマンドと異なっている場合、エラーカウンタを1だけインクリメントすることとなる。また、メインCPU200aは、払出枚数が0の場合において払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信せず、かつ、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルが自動投入された場合において、遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信することもできる。そうすると、メインCPU200aの送信順が定まっているコマンドは、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドとなる。この場合、メインCPU200aは、遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、1遊技終了コマンドの3つのコマンドのいずれかを受信すると、その受信したコマンドが本来受信すべきコマンドか否か判定し、本来受信すべきコマンドと異なっている場合、エラーカウンタを1だけインクリメントすることとなる。
【0386】
(VL接続信号による接続確認)
上述したように、スマートパチスロ100と専用ユニット350との接続確認において、VL接続信号がONであれば、スマートパチスロ100では、遊技を進行するとともに、遊技が可能な間、計数処理を受け付ける。一方、VL接続信号がOFFであれば、スマートパチスロ100では、遊技停止処理を実行し、電子化メダルのベット、精算スイッチ121の操作、スタートスイッチ118の操作に基づく遊技進行のための処理、および、上述した計数処理を全て制限(禁止)する。これは、VL接続信号がOFFということは、スマートパチスロ100が専用ユニット350と適切に接続されていない、または、専用ユニット350の電源がOFFしていると判断できるからである。
【0387】
しかし、VL接続信号がONであっても、すなわち、スマートパチスロ100と専用ユニット350とが適切に接続されており、かつ、専用ユニット350の電源がONと認識できる場合であっても、直ちに計数処理を実行しない方がよい場合がある。例えば、VL接続信号がONの状態で、主制御基板200とメダル数制御基板204との通信が確立されていなかったり、一旦、確立されたが、その後、通信接続が切断されている場合である。この場合も、計数処理を正常に実行できないので、スマートパチスロ100が計数スイッチ112の操作を受け付けて、専用ユニット350に情報を送信したとしても、当該計数メダル数が消失してしまうおそれがある。そこで、本実施形態の変形例では、VL接続信号のみならず、主制御基板200とメダル数制御基板204との通信の確立状態も判断し、遊技停止処理を実行するか否か判断し、通信が確立されていなければ、遊技停止処理を行い、遊技の進行を制限する。なお、ここでは、VL接続信号がONの状態で、主制御基板200とメダル数制御基板204との通信が確立されていない場合、および、一旦、確立されたが、その後、通信接続が切断されている場合のいずれにおいても、遊技停止処理を行う例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、VL接続信号がONの状態で、主制御基板200とメダル数制御基板204との通信が確立されていなかった場合に遊技停止処理を行うが、一旦、確立されたが、その後、通信接続が切断されている場合には遊技停止処理のうち、電子化メダルのベット、精算スイッチ121の操作、スタートスイッチ118の操作に基づく遊技進行のための処理の制限のみ行い、計数処理は可能な状態を維持してもよい。
【0388】
図44は、電源投入時の通信仕様を示したフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。例えば、スマートパチスロ100の電源投入時において、主制御基板200のメインCPU200aは、メダル数制御基板204のメダルCPU204aと、所定のコマンド(起動時コマンド、返信コマンド)を送受信し、通信の確立状態を判断する。
【0389】
まず、メインCPU200aは、自己のレジスタを設定し(S1)、前回の電断時のバックアップを確認して(S2)、信号の待ち状態に移行する。かかる待ち状態において、メインCPU200aは、所定時間後に電断が生じることを示す電断予告信号がOFFであり、かつ、メダル数制御基板204から受信したコマンド許可信号がONであることを確認し(S3)、電断予告信号がONである、または、コマンド許可信号がOFFであれば(S3におけるNO)、待ち状態を維持する。
【0390】
これと並行して、メダルCPU204aは、自己のレジスタを設定し(S4)、前回の電断時のバックアップを確認し(S5)、起動時の初期設定処理を実行して(S6)、起動時コマンドの待ち状態に移行する。かかる起動時コマンド待ち状態において、メダルCPU204aは、起動時コマンドを受信したか確認し(S7)、受信した場合(S7におけるYES)、その起動時コマンドは正常であるか確認し(S8)、起動時コマンドを受信していない場合(S7におけるNO)、または、起動時コマンドが異常であれば(S8におけるNO)、起動時コマンドの待ち状態を維持する。なお、起動時コマンドおよび返信コマンドは、スタートビット、コマンドの種別を示す1バイト(8ビット)の情報、ストップビット、パリティビットのシリアル信号で構成されている。したがって、メダルCPU204aは、コマンドの種別が起動時コマンドを示しており、かつ、パリティビットが正常な場合に、起動時コマンドが正常であると判断する。
【0391】
メインCPU200aは、電断予告信号がOFFであり、かつ、コマンド許可信号がONであれば(S3におけるYES)、起動時コマンドをメダルCPU204aに送信する(S9)。そして、メインCPU200aは、通信タイマを設定して(S10)、返信コマンドの待ち状態に移行する。かかる返信コマンド待ち状態において、メインCPU200aは、返信コマンドを受信したか確認し(S11)、受信した場合(S11におけるYES)、その返信コマンドが正常であるか確認し(S12)、返信コマンドを受信していない場合(S11におけるNO)、または、返信コマンドが異常であれば(S12におけるNO)、返信コマンドの待ち状態を維持する。なお、メインCPU200aは、コマンドの種別が返信コマンドを示しており、かつ、パリティビットが正常な場合に、返信コマンドが正常であると判断する。
【0392】
メインCPU200aが起動時コマンドを送信すると(S9)、メダルCPU204aは、起動時コマンドを受信する(S7におけるYES)。メダルCPU204aは、その起動時コマンドが正常であると判断すると(S8におけるYES)、信号の待ち状態に移行する。かかる待ち状態において、メダルCPU204aは、主制御基板200から受信したコマンド許可信号がONであることを確認し(S13)、コマンド許可信号がOFFであれば(S13におけるNO)、待ち状態を維持する。一方、コマンド許可信号がONであれば(S13におけるYES)、メダルCPU204aは、返信コマンドをメインCPU200aに送信し(S14)、専用ユニット350との通信を開始して、計数可能状態に移行する。
【0393】
メダルCPU204aが返信コマンドを送信すると(S14)、メインCPU200aは、返信コマンドを受信する(S11におけるYES)。メインCPU200aは、その返信コマンドが正常であると判断すると(S12におけるYES)、設定変更処理または電断復帰処理に移行する。なお、ここでは、メインCPU200aが、返信コマンドを受信し、その返信コマンドが正常であると判断した場合に設定変更処理または電断復帰処理に移行する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、メインCPU200aは、起動時コマンドを送信した(S9)後、返信コマンドを待つこと無く、設定変更処理または電断復帰処理に移行し、設定変更処理または電断復帰処理が終了した後、返信コマンドの受信状態を確認し、返信コマンドが受信されていない、もしくは、返信コマンドは受信されたが正常でなければ、エラー状態に移行するとしてもよい。
【0394】
なお、返信コマンドの待ち状態では、ステップS10で設定された通信タイマが計時され、所定の時間が経過するとタイムアウトして、エラー状態に移行し、遊技メダル数表示装置114に、その内容を表示するとともに、通信処理を終了する。かかる通信処理は、電源を再投入しない限り復帰しないように設定されている。メインCPU200aは、このようなタイムアウトを通じ、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信が確立されていない、もしくは、確立されたが、その後、通信接続が切断されていると判断して、遊技停止処理を行い、遊技の進行を制限する。
【0395】
図45は、操作時の通信仕様を示したフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。例えば、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、スタートスイッチ118等が操作されると、主制御基板200のメインCPU200aは、メダル数制御基板204のメダルCPU204aと、コマンド(スタートレバー押下コマンド、返信コマンド)を送受信し、通信の確立状態を判断する。
【0396】
例えば、スタートスイッチ118が操作されると、メインCPU200aは、信号の待ち状態に移行する。かかる待ち状態において、メインCPU200aは、電断予告信号がOFFであり、かつ、コマンド許可信号がONであることを確認し(S1)、電断予告信号がONである、または、コマンド許可信号がOFFであれば(S1におけるNO)、待ち状態を維持する。
【0397】
一方、電断予告信号がOFFであり、かつ、コマンド許可信号がONであれば(S1におけるYES)、メインCPU200aは、スタートレバー押下コマンドをメダルCPU204aに送信し(S2)、通信タイマを設定する(S3)。
【0398】
メインCPU200aがスタートレバー押下コマンドを送信すると(S2)、メダルCPU204aは、受信したスタートレバー押下コマンドが正常か判断し(S4)、正常でなければ(S4におけるNO)、当該操作時の処理は実行しない。一方、受信したスタートレバー押下コマンドが正常であれば(S4におけるYES)、メダルCPU204aは、主制御基板200から受信したコマンド許可信号がONとなるまで待ち状態に移行する。かかる待ち状態において、メダルCPU204aは、コマンド許可信号がONであることを確認し(S5)、コマンド許可信号がOFFであれば(S5におけるNO)、待ち状態を維持する。一方、コマンド許可信号がONであれば(S5におけるYES)、メダルCPU204aは、返信コマンドをメインCPU200aに送信し(S6)、当該操作時の処理を終了する。
【0399】
メインCPU200aは、返信コマンドを受信すると、その返信コマンドが正常であるか確認し(S7)、正常であれば(S7におけるYES)、遊技の進行が許可されているか確認し(S8)、返信コマンドが異常の場合(S7におけるNO)、および、遊技の進行が許可されていない場合(S8におけるNO)、返信コマンドの待ち状態を維持する。ここで、返信コマンドが正常であり(S7におけるYES)、遊技の進行が許可されていれば(S8におけるYES)、メインCPU200aは、遊技を進行する。
【0400】
なお、電源投入時の通信仕様同様、返信コマンドの待ち状態では、ステップS3で設定された通信タイマが計時され、所定の時間が経過するとタイムアウトして、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、スタートスイッチ118等の操作情報が破棄される(無効となる)。このように操作を無効とすることで、遊技を進行させない設定としている。
【0401】
図46は、遊技終了時の通信仕様を示したフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。例えば、リール110が全て停止し、入賞判定が終了すると、主制御基板200のメインCPU200aは、メダル数制御基板204のメダルCPU204aと、コマンド(払い出し終了コマンド、返信コマンド)を送受信し、通信の確立状態を判断する。
【0402】
リール110が全て停止し、入賞判定が終了すると、メインCPU200aは、信号の待ち状態に移行する。かかる待ち状態において、メインCPU200aは、電断予告信号がOFFであり、かつ、コマンド許可信号がONであることを確認し(S1)、電断予告信号がONである、または、コマンド許可信号がOFFであれば(S1におけるNO)、待ち状態を維持する。
【0403】
一方、電断予告信号がOFFであり、かつ、コマンド許可信号がONであれば(S1におけるYES)、メインCPU200aは、払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信し(S2)、通信タイマを設定する(S3)。
【0404】
メインCPU200aが払い出し終了コマンドを送信すると(S2)、メダルCPU204aは、受信した払い出し終了コマンドが正常か判断し(S4)、正常でなければ(S4におけるNO)、当該遊技終了時の処理は実行しない。一方、受信した払い出し終了コマンドが正常であれば(S4におけるYES)、メダルCPU204aは、主制御基板200から受信したコマンド許可信号がONとなるまで待ち状態に移行する。かかる待ち状態において、メダルCPU204aは、コマンド許可信号がONであることを確認し(S5)、コマンド許可信号がOFFであれば(S5におけるNO)、待ち状態を維持する。一方、コマンド許可信号がONであれば(S5におけるYES)、メダルCPU204aは、返信コマンドをメインCPU200aに送信し(S6)、当該遊技終了時の処理を終了する。
【0405】
メインCPU200aは、返信コマンドを受信すると、その返信コマンドが正常であるか確認し(S7)、返信コマンドが異常の場合(S7におけるNO)、返信コマンドの待ち状態を維持する。ここで、返信コマンドが正常であれば(S7におけるYES)、メインRAM200cの更新処理が実行され、遊技が進行する。
【0406】
なお、電源投入時の通信仕様同様、返信コマンドの待ち状態では、ステップS3で設定された通信タイマが計時され、所定の時間が経過するとタイムアウトして、メインRAM200cの更新は行われない。なお、ここで、タイムアウトが生じなくても、図45を用いて説明したように、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、スタートスイッチ118等の操作情報が破棄される(無効となる)ので、いずれにしても遊技は進行しない。
【0407】
ここでは、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信の確立状態も判断し、通信が確立されていなければ遊技停止処理を実行する構成により、遊技メダル数や計数メダル数の不整合を防ぐことができ、適切に計数処理を遂行することが可能となる。
【0408】
(ベット処理)
上述したように、遊技者は、ベットスイッチ116を操作することによって、メダルCPU204aが管理するメダル保持部に保持された電子化メダル(遊技メダル数)のうち任意の枚数の電子化メダルを、メインCPU200aが管理するベットスイッチ116を通じてベットすることができる。また、遊技者は、精算スイッチ121を操作することでベットされた電子化メダルを精算してメダル保持部に戻すことができる。
【0409】
このとき、メインCPU200aからメダルCPU204aには、遊技メダル投入コマンド、または、スタートレバー押下コマンドを通じて投入要求枚数が送信される。投入要求枚数は、1遊技において遊技者がベットを所望する電子化メダルの総数を示す。例えば、遊技者がベットスイッチ116を操作すると、投入要求枚数は、1遊技で必要とされる規定数、例えば、3枚となる。また、遊技者が1ベットスイッチを操作すると、規定数を上限に、操作の度に投入要求枚数が1枚ずつ加算される。例えば、遊技者が1ベットスイッチを操作する毎に、投入要求枚数は「0」→「1」→「2」→「3」と変化し、それ以降、1ベットスイッチを操作しても、投入要求枚数「3」を維持する。メインCPU200aは、ベットスイッチ116または1ベットスイッチが操作される度に、投入要求枚数が変化したか否かに拘わらず、投入要求枚数を含む遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信する。
【0410】
そして、メダルCPU204aからメインCPU200aには、返信コマンドを通じて投入可能枚数および遊技メダル数が送信される。投入可能枚数は、1遊技においてメダル保持部からベット可能な電子化メダルの総数を示す。また、返信コマンドで示される遊技メダル数は、投入可能枚数がベットされた場合(ベットされた後)の残りの遊技メダル数(更新後の遊技メダル数)となっている。メインCPU200aは、メダルCPU204aから受信した投入可能枚数分の電子化メダルをベットするとともに、遊技メダル数を更新する。
【0411】
なお、ここでは、メインCPU200aが、メダルCPU204aから返信コマンドを通じて投入可能枚数および遊技メダル数を受信するのを待って、投入可能枚数分の電子化メダルをベットする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、メインCPU200aは、ベットスイッチ116または1ベットスイッチの操作に応じて、予め電子化メダルのベットを実行し、メダルCPU204aからの返信コマンドにより、整合をとる仕様を採用してもよい。例えば、メインCPU200aは、メインCPU200aにおいて既にベットが完了している電子化メダルの総数である投入メダル数(投入価値数)、投入要求枚数、および、遊技メダル数の情報をメインRAM200cに保持しているので、ベット可能な投入可能枚数を把握することができる。したがって、メインCPU200aは、ベットスイッチ116または1ベットスイッチの操作に応じて、投入可能枚数分の電子化メダルをベットし、投入要求枚数を含む遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信する。これに対し、メダルCPU204aは、投入可能枚数および遊技メダル数が示される返信コマンドをメインCPU200aに送信する。そして、メインCPU200aは、受信した投入可能枚数と、ベットされている電子化メダルの数とが同じであることを確認して(異なっていれば、後述するように遊技メダル投入コマンドを再送したり、エラーとする)、ベット処理を終了する。かかる構成を採用することで、メインCPU200aは、ベットスイッチ116または1ベットスイッチの操作に応じて、即座に、電子化メダルのベットを行い、例えば、スタートスイッチ118の操作を有効化することで、遊技の進行が遅延するのを回避することが可能となる。
【0412】
このように、メインCPU200aは、メダルCPU204aに、ベットすべき投入要求枚数を送信し、メダルCPU204aは、ベット可能な投入可能枚数を返信する。したがって、基本的に、投入可能枚数と投入要求枚数とは等しくなるはずである。
【0413】
しかし、ベットスイッチ116や1ベットスイッチは、その操作回数が制限されていないので、1遊技が開始される前に複数回操作することができる。ここで、単純に、投入可能枚数=投入要求枚数としてしまうと、ベットスイッチ116や1ベットスイッチの操作の度に、投入要求枚数がメダルCPU204aに送信され、毎回、投入要求枚数が遊技メダル数から減算されるとともに、規定数を超えて電子化メダルがベットされてしまう。また、単純に、精算処理において投入要求枚数を遊技メダル数に加算するとしてしまうと、精算スイッチ121の操作の度に投入要求枚数がメダルCPU204aに送信され、毎回、投入要求枚数が遊技メダル数に加算されてしまう。さらに、遊技メダル数が投入可能枚数に満たない場合においても、単純に、投入可能枚数=投入要求枚数とすると、ベットにより遊技メダル数が負となるおそれが生じる。
【0414】
そこで、メダルCPU204aでは、電子化メダルの数を適切に管理する。具体的に、ここでは、メインCPU200aのみならず、メダルCPU204aにおいても、投入メダル数を情報として、RAMに保持し、その投入メダル数が両CPUで等しくなるように制御する。そして、メダルCPU204aは、投入メダル数に基づいて投入可能枚数を導出する。例えば、既に電子化メダルがベットされていることを想定し、メダルCPU204aは、投入要求枚数から、投入メダル数を減算して投入可能枚数を導出する。また、このように導出された投入可能枚数が遊技メダル数より多い場合、導出された投入可能枚数を送信すると遊技メダル数が負となってしまうので、負とならないように、遊技メダル数の全数を投入可能枚数とする。
【0415】
図47は、メダルCPU204aにおけるベット処理の流れを示したフローチャートである。ここでは、本実施形態に関係する処理を説明し、本実施形態に関係しない、例えば、具体的なコマンドの生成処理等は省略する。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。ここで、メダルCPU204aは、メダルCPU204aに属するRAMにおいて、遊技メダル数のみならず、投入メダル数も保持している。
【0416】
メインCPU200aから正常にコマンドを受信し、そのコマンドが投入要求枚数を含むコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド)であれば、図47に示すように、メダルCPU204aは、投入要求枚数が0以上、かつ、3以下であるか否か判定する(S1)。その結果、投入要求枚数が0未満、または、4以上であれば(S1におけるNO)、投入要求枚数が許容範囲にないことを示すエラーコマンドをメインCPU200aに送信する等のエラー処理を行い(S2)、当該ベット処理を終了する。なお、ここでは、投入要求枚数の許容範囲を判定しているが、かかる場合に限らず、VL接続信号がONになっていること等、様々な許容条件を満たした場合にのみステップS3に移行でき、許容条件を満たさない場合、エラーコマンドをメインCPU200aに送信する等のエラー処理を行うとしてもよい。また、本実施形態では、投入要求枚数が0枚であった場合、精算処理を行うこととしているが、他の実施形態として、精算処理では投入要求枚数を0枚とする仕様を採用していない場合に、投入要求枚数が0枚であれば、エラーコマンドをメインCPU200aに送信する等のエラー処理を行うとしてもよい。
【0417】
一方、投入要求枚数が0以上、かつ、3以下であれば(S1におけるYES)、メダルCPU204aは、投入メダル数から投入要求枚数を減算し、増減枚数とする(S3)。ここで、投入メダル数は0~3の値をとり、投入要求枚数は0~3の値をとるので、増減枚数は-3~3のいずれかとなる。このとき、増減枚数が負の値であれば、メダルCPU204aからメインCPU200aへの電子化メダルのベットを示し、増減枚数が正の値であれば、メインCPU200aからメダルCPU204aへの電子化メダルの精算を示す。したがって、例えば、投入要求枚数が0枚であれば、投入メダル数の全数が精算の対象となる。
【0418】
続いて、メダルCPU204aは、遊技メダル数に増減枚数を加算し、その結果を加算結果とする(S4)。かかる加算結果は、遊技メダル数が負になることを制限しない場合における更新後の遊技メダル数である。
【0419】
次に、メダルCPU204aは、加算結果が負の値であるか否か判定する(S5)。その結果、加算結果が負の値であれば(S5におけるYES)、メダルCPU204aは、投入メダル数に現在の遊技メダル数を加算して投入可能枚数を導出する(S6)。加算結果が負であるということは、現在の遊技メダル数を全てベットしたとしても投入要求枚数に満たないということである。したがって、ここでは、可能な限り多くの電子化メダルをベットするため、現在の遊技メダル数の全数を投入メダル数に加算して投入可能枚数としている。そして、メダルCPU204aは、全数をベットした残り、すなわち0枚を更新後の遊技メダル数に設定する(S7)。
【0420】
一方、加算結果が負の値でなければ(S5におけるNO)、メダルCPU204aは、投入要求枚数をそのまま投入可能枚数とし(S8)、加算結果を更新後の遊技メダル数とする(S9)。ここでは、遊技メダル数が投入要求枚数に足りているので、投入可能枚数=投入要求枚数となり、加算結果をそのまま更新後の遊技メダル数とすることが可能となる。
【0421】
続いて、メダルCPU204aは、メダルCPU204aで管理している投入メダル数を、投入可能枚数に更新し(S10)、更新後の投入可能枚数および更新後の遊技メダル数を返信コマンドに設定し(S11)、当該ベット処理を終了する。こうして、返信コマンドがメインCPU200aに送信されることになる。
【0422】
メインCPU200aは、返信コマンドを通じて投入可能枚数を取得し、1遊技を開始することが可能となる。ただし、1遊技の開始条件が最大規定数のベットとなっている仕様において、メインCPU200aは、投入メダル数および遊技メダル数の情報を、メインRAM200cに保持しているので、遊技メダル数を全数ベットしても投入可能枚数が最大規定数に満たないか否か把握でき、最大規定数に満たない場合、1遊技の開始を制限するとしてもよい。例えば、メインCPU200aにおいて、投入可能枚数が最大規定数に満たないことが把握されると、投入要求枚数を含むコマンドをメダルCPU204aに送信しないとしたり、送信したとしても、メダルCPU204aが返信コマンドの代わりにエラーコマンドを送信したりすることができる(所謂「最適マックスベット」制御)。こうして、最大規定数に満たない枚数の電子化メダルがベットされている状態で遊技が進行されるのを回避することが可能となる。例えば、規定数として2枚と3枚が許容され、いずれの枚数を投入しても1遊技が可能な場合であっても、投入可能枚数が最大規定数である3枚に満たない場合(例えば、2枚しか投入されていない場合)には、遊技の進行を制限することができる。したがって、遊技メダル数が0の場合、メインCPU200aが、投入要求枚数を含むコマンドをメダルCPU204aに送信しないという仕様が可能となる。
【0423】
図48は、ベット処理の実際の計算例を示した説明図である。例えば、図48(a)に示すように、メダルCPU204aのRAMで保持されている遊技メダル数が「10」であり、投入メダル数が「0」であった場合に、メインCPU200aから、投入要求枚数を含むコマンドを受信し、その投入要求枚数が「3」であったとする。メダルCPU204aは、投入メダル数「0」から投入要求枚数「3」を減算し、増減枚数「-3」を導出し、遊技メダル数「10」に増減枚数「-3」を加算し、加算結果「7」を導出する。加算結果「7」は負の値ではないので、投入可能枚数は、投入要求枚数と等しい「3」となり、更新後の遊技メダル数は、加算結果と等しい「7」となり、投入メダル数は、投入可能枚数「3」となる。かかる投入可能枚数「3」と更新後の遊技メダル数「7」は返信コマンドに設定され、更新後の投入メダル数「3」はメダルCPU204aのRAMで保持される。
【0424】
また、図48(b)に示すように、メダルCPU204aのRAMで保持されている遊技メダル数が「1」であり、投入メダル数が「1」であった場合に、メインCPU200aから、投入要求枚数を含むコマンドを受信し、その投入要求枚数が「3」であったとする。メダルCPU204aは、投入メダル数「1」から投入要求枚数「3」を減算し、増減枚数「-2」を導出し、遊技メダル数「1」に増減枚数「-2」を加算し、加算結果「-1」を導出する。加算結果「-1」は負の値なので、投入可能枚数は、投入メダル数「1」に現在の遊技メダル数「1」を加算した「2」となり、更新後の遊技メダル数は、「0」となり、投入メダル数は、投入可能枚数と等しい「2」となる。かかる投入可能枚数「2」と更新後の遊技メダル数「0」は返信コマンドに設定され、更新後の投入メダル数「2」はメダルCPU204aのRAMで保持される。
【0425】
また、図48(c)に示すように、メダルCPU204aのRAMで保持されている遊技メダル数が「3」であり、投入メダル数が「3」であった場合に、メインCPU200aから、投入要求枚数を含むコマンドを受信し、その投入要求枚数が「0」であったとする。かかる事象は、精算スイッチ121が操作された場合に生じ得る。メダルCPU204aは、投入メダル数「3」から投入要求枚数「0」を減算し、増減枚数「3」を導出し、遊技メダル数「3」に増減枚数「3」を加算し、加算結果「6」を導出する。加算結果「6」は負の値ではないので、投入可能枚数は、投入要求枚数と等しい「0」となり、更新後の遊技メダル数は、加算結果と等しい「6」となり、投入メダル数は、投入可能枚数「0」となる。かかる投入可能枚数「0」と更新後の遊技メダル数「6」は返信コマンドに設定され、更新後の投入メダル数「0」はメダルCPU204aのRAMで保持される。
【0426】
また、図48(d)に示すように、メダルCPU204aのRAMで保持されている遊技メダル数が「2」であり、投入メダル数が「3」であった場合に、メインCPU200aから、投入要求枚数を含むコマンドを受信し、その投入要求枚数が「3」であったとする。かかる事象は、例えば、ベットスイッチ116を複数回操作した場合に生じ得る。また、メインCPU200aが投入要求枚数を含むコマンドをメダルCPU204aに送信し、メダルCPU204aは正常に受信したものの、何らかの理由により、メインCPU200aがメダルCPU204aからの返信コマンドを正常に受信できなかった場合に、メインCPU200aが投入要求枚数を含むコマンドをメダルCPU204aに再送信した場合にも生じ得る。メダルCPU204aは、投入メダル数「3」から投入要求枚数「3」を減算し、増減枚数「0」を導出し、遊技メダル数「2」に増減枚数「0」を加算し、加算結果「2」を導出する。加算結果「2」は負の値ではないので、投入可能枚数は、投入要求枚数と等しい「3」となり、更新後の遊技メダル数は、加算結果と等しい「2」となり、投入メダル数は、投入可能枚数「3」となる。かかる投入可能枚数「3」と更新後の遊技メダル数「2」は返信コマンドに設定され、更新後の投入メダル数「3」はメダルCPU204aのRAMで保持される。
【0427】
また、図48(e)に示すように、メダルCPU204aのRAMで保持されている遊技メダル数が「3」であり、投入メダル数が「0」であった場合に、メインCPU200aから、投入要求枚数を含むコマンドを受信し、その投入要求枚数が「0」であったとする。かかる事象は、例えば、精算スイッチ121を複数回操作した場合に生じ得る。また、メインCPU200aが投入要求枚数を含むコマンドをメダルCPU204aに送信し、メダルCPU204aは正常に受信したものの、何らかの理由により、メインCPU200aがメダルCPU204aからの返信コマンドを正常に受信できなかった場合に、メインCPU200aが投入要求枚数を含むコマンドをメダルCPU204aに再送信した場合にも生じ得る。メダルCPU204aは、投入メダル数「0」から投入要求枚数「0」を減算し、増減枚数「0」を導出し、遊技メダル数「3」に増減枚数「0」を加算し、加算結果「3」を導出する。加算結果「3」は負の値ではないので、投入可能枚数は、投入要求枚数と等しい「0」となり、更新後の遊技メダル数は、加算結果と等しい「3」となり、投入メダル数は、投入可能枚数「0」となる。かかる投入可能枚数「0」と更新後の遊技メダル数「3」は返信コマンドに設定され、更新後の投入メダル数「0」はメダルCPU204aのRAMで保持される。
【0428】
このように、メインCPU200aおよびメダルCPU204aのいずれにおいても、投入メダル数を情報として、それぞれのRAMで保持し、かつ、両CPUで投入メダル数が等しくなるよう制御する構成により、メダルCPU204aは、本来、メインCPU200aにおいてのみ管理される投入メダル数を把握することが可能となる。したがって、メダルCPU204aで管理している遊技メダル数、投入メダル数、および、メインCPU200aから取得した投入要求枚数に基づき、「投入メダル数-投入要求枚数」や「遊技メダル数+増減枚数」等の計算を通じて、投入可能枚数、更新後の遊技メダル数、更新後の投入メダル数を適切に導出することが可能となる。
【0429】
こうして、例えば、ベットスイッチ116や1ベットスイッチが複数回操作されたとしても、メダルCPU204aは、投入メダル数に基づいて適切に投入要求枚数を導出し、必要な電子化メダルの枚数だけ遊技メダル数から減算している。したがって、ベット処理において、規定数を超えて電子化メダルがベットされることはなく、精算処理において、不要に遊技メダル数に電子化メダルが加算されることもない。また、メダルCPU204aは、遊技メダル数が投入可能枚数に満たない場合、メダル保持部に保持している遊技メダル数を上限にベットさせるため、ベットにより遊技メダル数が負となることもない。
【0430】
なお、主制御基板200において設定変更が生じると、メインCPU200aのRAMとメダルCPU204aのRAMとで保持される投入メダル数および遊技メダル数のいずれもが0にクリアされる。具体的に、設定変更が生じると、メインCPU200aは、自己のRAMが保持する投入メダル数および遊技メダル数を0にクリアする。そして、メインCPU200aは、メダルCPU204aを介して、専用ユニット350に設定変更を実行した旨のコマンドを伝達する。このとき、メダルCPU204aは、かかる設定変更を実行した旨のコマンドを受信すると、投入メダル数を0にクリアする。また、メダル保持部に保持された遊技メダル数は「遊技メダル数クリアスイッチ」の操作時以外の契機ではクリアされないので、メダルCPU204aは、起動時コマンドに対する返信コマンドにおいて、現在の遊技メダル数をメインCPU200aに送信し、メインCPU200aは、受信した遊技メダル数によって自己のRAMが保持する遊技メダル数を更新する。こうすることで、メインCPU200aとメダルCPU204a間で、投入メダル数および遊技メダル数の同一性を担保することができる。また、メダルCPU204aにおいてバックアップ異常が生じた場合、メダルCPU204aに属するRAMが0にクリアされる。この場合でも、メインCPU200aは、起動時に、メインCPU200aのメインRAM200cで保持されている投入メダル数を、起動時コマンドを通じてメダルCPU204aに送信することで、投入メダルの同一性を担保することができる。
【0431】
なお、上記の構成に代えて、または、加えて、メダルCPU204aは、投入メダル数、遊技メダル数、投入要求枚数、投入可能枚数等の各種計算値をコマンドとして所定周期で定期的にメインCPU200aに送信するとしてもよい。
【0432】
(リール回転後の処理)
上記のように、メダルCPU204aは、メインCPU200aから投入要求枚数を含むコマンドを受信し、その投入要求枚数が「3」であると、投入メダル数「0」から投入要求枚数「3」を減算した増減枚数「-3」を導出し、その時点の遊技メダル数に増減枚数「-3」を加算し、加算結果を導出する。加算結果が負の値でなければ、投入可能枚数は、投入要求枚数と等しい「3」となり、更新後の遊技メダル数は、加算結果がそのまま用いられ、投入メダル数は、投入可能枚数と等しい「3」となる。かかる投入可能枚数「3」と、更新後の遊技メダル数は返信コマンドに設定され、更新後の投入メダル数「3」はメダルCPU204aのRAMで保持される。
【0433】
仮に、投入メダル数が「3」となった後、遊技が開始される前に遊技者のベットスイッチ116の操作に応じ、メインCPU200aが、「3」と異なる投入要求枚数を含むコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド)をメダルCPU204aに送信すると、メダルCPU204aでは、投入要求枚数に応じて投入メダル数が変化する。例えば、遊技メダル投入コマンドによる投入要求枚数が「2」であると、投入可能枚数は、投入要求枚数と等しい「2」となり、更新後の遊技メダル数には「1」が追加され、投入メダル数は、投入可能枚数「2」となる。かかる投入可能枚数「2」と更新後の遊技メダル数は返信コマンドに設定され、更新後の投入メダル数「2」はメダルCPU204aのRAMで保持される。
【0434】
しかし、メインCPU200aは、投入要求枚数を含むコマンドに応じて常に投入要求枚数の変更を許容するとは限らない。遊技が開始されると、すなわち、メダルCPU204aがスタートレバー押下コマンドを正常に受信すると、メダルCPU204aは、自己が管理する遊技の進行状態を、リール110a、110b、110cが回転している「リール回転中」に移行する。そして、遊技が終了すると、すなわち、メダルCPU204aが払い出し終了コマンドを正常に受信すると、メダルCPU204aは、進行状態を、電子化メダルのベットを待受する「メダル待受中」に移行する。このように、メダルCPU204aでは、バックアップ異常時を除き、スタートレバー押下コマンドと払い出し終了コマンドとが交互に受信されることで、コマンドが正常に推移していると判断し、進行状態を、「リール回転中」および「メダル待受中」のいずれか一方に切り換える。ここで、進行状態が「メダル待受中」であれば、メダルCPU204aは、遊技者のベットスイッチ116の操作に応じた投入要求枚数の変更を許容するが、「リール回転中」であれば、既にベットする投入要求枚数が確定しているので、投入要求枚数の変更を許容しないようにしている。
【0435】
したがって、メダルCPU204aは、「メダル待受中」における遊技者のベットスイッチ116の操作に応じた投入要求枚数の変更を受け付け、返信コマンドに変更後の投入可能枚数と遊技メダル数とを設定して、メインCPU200aに返信する。一方、メダルCPU204aは、「リール回転中」における遊技者のベットスイッチ116の操作に応じた投入要求枚数の変更は受け付けず、返信コマンドに、スタートレバー押下コマンド受信時の投入可能枚数と遊技メダル数とを設定して、メインCPU200aに返信する。このように、「リール回転中」においては、メダルCPU204aは、投入要求枚数を含むコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド)を受信したとしても、投入可能枚数や遊技メダル数に反映することなく、スタートレバー押下コマンドを受け付けたときの投入可能枚数と遊技メダル数とを維持する仕様としている。したがって、例えば、スタートレバー押下コマンドを受け付けたときに投入メダル数が「2」であれば、メダルCPU204aは、「リール回転中」に、投入要求枚数「3」を含むコマンドや投入要求枚数「1」を含むコマンドを受信しても、投入可能枚数「2」を含む返信コマンドをメインCPU200aに返信することとなる。
【0436】
ただし、メダルCPU204aが、ノイズ等の影響により、メインCPU200aから送信されたコマンドを本来のコマンドと異なるコマンドとして認識した場合、遊技が進行しなくなるおそれがある。
【0437】
図49は、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信態様を説明したタイミングチャートである。図49では、図面下側に向かって時間が経過している。例えば、投入メダル数が「2」の遊技の終了時に、メインCPU200aが、図49(a)のように、払出枚数「7」を含む払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信したとする。このとき、メダルCPU204aは、受信した払出枚数「7」を含む払い出し終了コマンドを、遊技メダル投入コマンドと誤認識したとする。そうすると、メダルCPU204aは、「リール回転中」の遊技メダル投入コマンドの反映を行わず、既に設定されている投入可能枚数「2」を含む返信コマンドをメインCPU200aに返信する。ここでは、払い出し終了コマンドを受け付けていないので、進行状態は「リール回転中」のままである。
【0438】
そして、メインCPU200aは、図49(b)のように、次の遊技における遊技者のベットスイッチ116の操作に応じ、例えば、投入要求枚数「3」を含む遊技メダル投入コマンドをメダルCPU204aに送信する。ここでは、ボーナス遊技状態の終了に応じて、投入要求枚数「2」が投入要求枚数「3」に変わっている。しかし、進行状態が「リール回転中」なので、メダルCPU204aは、「リール回転中」の投入要求枚数「3」を含むコマンドの反映を行わず、やはり、既に設定されている投入可能枚数「2」を含む返信コマンドをメインCPU200aに返信することとなる。メインCPU200aは、投入要求枚数「3」を含む遊技メダル投入コマンドに対し、メダルCPU204aから、投入可能枚数「2」を含む返信コマンドを受信しているので、投入要求枚数「3」と投入可能枚数「2」とが一致していないと判定する。そうすると、遊技を継続するために必要な規定数を満たさず、遊技者のベットスイッチ116の操作を完了できないので、メインCPU200aは、次の遊技を開始できない。このように、メインCPU200aが、投入要求枚数「3」を含むコマンドをいくら送信しても、「リール回転中」と認識しているメダルCPU204aは、かかるコマンドを反映することなく、投入可能枚数「2」を含む返信コマンドをメインCPU200aに返信し続ける。なお、メインCPU200aは、投入要求枚数「3」と投入可能枚数「2」とが一致していないので、遊技は進行しないが、正しく返信コマンドを受信しているので、エラーも生じない。こうして、遊技が進行しない状態が継続することとなる。このような状況に陥ると、電源を再投入して遊技の制限を解除せざるを得なくなる。
【0439】
なお、ここでは、払い出し終了コマンドを、投入要求枚数を含む遊技メダル投入コマンドと誤認識した例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、払い出し終了コマンドを、投入要求枚数を含むスタートレバー押下コマンドと誤認識した場合も同様の事象が生じ得る。
【0440】
そこで、本実施形態において、メダルCPU204aは、「リール回転中」であっても、すなわち、遊技が可能な全てのタイミングにおいて、投入要求枚数を含むコマンドを正常に受け付け、投入可能枚数や遊技メダル数に反映する。
【0441】
図50は、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信態様を説明したタイミングチャートである。図50では、図面下側に向かって時間が経過している。例えば、図50(a)のように、投入メダル数が「2」の遊技の終了時に、メインCPU200aが、払出枚数「7」を含む払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信したとする。このとき、メダルCPU204aは、受信した払出枚数「7」を含む払い出し終了コマンドを、投入要求枚数「3」を含む遊技メダル投入コマンドと誤認識したとする。ここでは、進行状態は「リール回転中」であるが、メダルCPU204aは、遊技メダル投入コマンドを無視することなく、「リール回転中」の投入要求枚数「3」を含むコマンドを正常に受け付け、投入可能枚数「3」を含む返信コマンドをメインCPU200aに返信する。
【0442】
そして、メインCPU200aは、図50(b)のように、次の遊技における遊技者のベットスイッチ116の操作に応じ、例えば、投入要求枚数「3」を含む遊技メダル投入コマンドを送信する。ここでは、ボーナス遊技状態の終了に応じて、投入要求枚数「2」が投入要求枚数「3」に変わっている。このとき、進行状態は「リール回転中」であるが、メダルCPU204aは、遊技メダル投入コマンドを無視することなく、「リール回転中」の投入要求枚数「3」を含むコマンドを正常に受け付け、投入可能枚数「3」を含む返信コマンドをメインCPU200aに返信する。したがって、メインCPU200aは、投入要求枚数「3」を含む遊技メダル投入コマンドに対し、メダルCPU204aから、投入可能枚数「3」を含む返信コマンドを受信することとなる。そうすると、投入要求枚数「3」と投入可能枚数「3」とが一致し、規定数を満たすので、遊技者のベットスイッチ116の操作を完了することができる。かかる遊技の終了時に、メインCPU200aが、図50(c)のように、払出枚数「7」を含む払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信したとする。メダルCPU204aは、受信した払出枚数「7」を含む払い出し終了コマンドを正常に受信し、遊技メダル数に加算するとともに、「メダル待受中」に移行する。
【0443】
図50の処理において、メインCPU200aは、電子化メダルの払出枚数が「7」となる2遊技を実行したと認識しているが、メダルCPU204aは、図50(c)で示す払出枚数「7」を含む払い出し終了コマンドを反映した1遊技を実行したと認識することとなる。すなわち、メインCPU200aが認識している2遊技のうち、1遊技が実行されなかったこととなってしまうが、遊技の進行が制限されることはない。
【0444】
ただし、かかる構成を利用して不正行為が行われるおそれがある。例えば、メインCPU200aが、遊技者のベットスイッチ116の操作に応じ、投入要求枚数を含むコマンドを送信すると、メダルCPU204aでは、遊技メダル数から投入要求枚数が減算される。そして、リール110a、110b、110cが回転開始した後、遊技者による精算スイッチ121の操作に応じ、メダルCPU204aが、投入要求枚数「0」を含むコマンドを受信すると、減算された投入要求枚数分が遊技メダル数に加算され、遊技者は、電子化メダルを消費することなく、遊技結果に応じた遊技利益を得ることができる。
【0445】
そこで、図50で説明したように、「リール回転中」に投入要求枚数「3」を含むコマンドを受け付けた場合、メダルCPU204aは、そのコマンドを受け付ける一方で、上述したエラーカウンタを1だけインクリメントする。メダルCPU204aは、このように、不正のおそれがある場合にエラーカウンタを計数し、所定の値(例えば、10)に到達したら、通信エラーとし、スピーカ128等のデバイスで、当該通信エラーを報知する。かかる構成により、所定回数以上の不正を防止することが可能となる。
【0446】
なお、ここでは、遊技者のベットスイッチ116の操作に応じ、メインCPU200aが、投入要求枚数を含む遊技メダル投入コマンドを送信する例を挙げて説明したが、遊技者の精算スイッチ121の操作に応じても、メインCPU200aは、投入要求枚数を含む遊技メダル投入コマンドを送信する。したがって、メダルCPU204aは、遊技者がベットスイッチ116を操作したか精算スイッチ121を操作したかに拘わらず、図47で説明したベット処理を実行する。また、メダルCPU204aは、「リール回転中」であっても、投入要求枚数を含むコマンドを正常に受け付け、投入可能枚数を含む返信コマンドをメインCPU200aに返信する。
【0447】
(設定変更・設定確認)
上述したように、本実施形態では、設定値設定手段によって設定変更が行われる。設定変更を試みる場合、まず、スマートパチスロ100の電源がOFFされる。そして、設定ドアキー(図示せず)に所定の操作キーが挿入されてOFFの位置からONの位置へ回転された状態で電源スイッチ(図示せず)を介して電源が投入されると設定変更モードに移行して、設定変更が可能な状態となり、設定変更中ステータスがONとなる。ここで、設定変更中ステータスは設定変更が実行されている間ONであり、それ以外はOFFとなる。なお、設定変更モードの開始時にメインRAM200cが異常であれば、メインRAM200cの変数を全てクリアし、メインRAM200cが正常であれば、メインRAM200cの設定変更領域のみクリアする。なお、メインCPU200aが設定変更中ステータスを専用ユニット350に伝達する際、メダルCPU204aは、設定変更中ステータスを取得できるが、かかる設定変更中ステータスに応じ、メダルCPU204aが管理する遊技メダル数をクリアすることはない。設定変更が可能な状態において設定変更スイッチが押下されると、その度に設定値が1ずつ加算され、1→2→3→4→5→6→1→…といったように1から6の数値を昇順に繰り返す。ここでは、6段階の設定値のうちのいずれかの設定値に更新され、スタートスイッチ118が操作されると、設定値が確定する。そして、設定ドアキーを元の位置(OFFの位置)に戻すことで設定変更モードが終了して遊技が可能となる。なお、設定変更中ステータスは、設定変更モード終了後、1遊技終了時にOFFされる。
【0448】
また、設定変更モードにおいて、メインCPU200aは、設定変更中ステータスを専用ユニット350に伝達すべく、設定変更中信号を生成している。設定変更中信号は、設定変更中ステータスのON/OFFを表し、図14に示した遊技機情報通知におけるホールコン・不正監視情報(遊技機情報)の遊技機不正1におけるビット0に設定されており、図19に示したように、300msec周期で専用ユニット350に通知される。
【0449】
ここで、図8(a)および図8(b)で示したようにCPUを独立して2つ(メインCPU200aおよびメダルCPU204a)設置した場合において、メインCPU200aで設定変更中ステータスを管理すると仮定する。そうすると、メインCPU200aは、設定ドアキーに所定の操作キーが挿入されてOFFの位置からONの位置へ回転された状態で電源スイッチを介して電源が投入されると設定変更中ステータスがONであることを示すため、設定変更中信号をONにして、メダルCPU204aを通じ、遊技機情報通知を専用ユニット350に送信する。一方、メインCPU200aは、設定ドアキーを元の位置(OFFの位置)に戻した後、さらに1遊技が終了した後に、設定変更中ステータスがOFFになったことを示すため、設定変更中信号をOFFにして、メダルCPU204aを通じ、遊技機情報通知を専用ユニット350に送信する。換言すれば、設定変更中信号は1遊技の終了時までON状態を維持しなければならない。かかる処理をメインCPU200aで実現しようとすると、設定変更中信号を設定する処理のみならず、1遊技の終了を待って設定変更中信号をOFFにする処理を実行するプログラムが必要となり、使用領域の特に制御領域が圧迫されるおそれがある。そこで、ここでは、設定変更中信号を設定する処理および1遊技の終了を待って設定変更中信号をOFFにする処理を、メインCPU200aではなく、メダルCPU204aで実現する。
【0450】
図51は、設定変更中信号の更新処理を示したフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。所定の操作キーがONの状態で電源スイッチがONされることで、メインCPU200aは、設定値を変更する設定変更処理を実行する(S1)。そして、設定変更を含む初期化処理が完了すると、遊技者によるベットスイッチ116の操作に応じて、メインCPU200aは、電子化メダルをベットするベット処理を実行する(S2)。続いて、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、メインCPU200aは、抽選処理を実行する(S3)。そして、メインCPU200aは、リール110a、110b、110cの回転を開始してリール回転処理を実行する(S4)。続いて、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ120a、120b、120cに対応するリール110a、110b、110cを停止制御するリール停止処理を実行する(S5)。リール110a、110b、110cが停止すると、メインCPU200aは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが、いずれかの当選役に対応するか否か判定する判定処理を実行し(S6)、その判定結果に基づき、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行する(S7)。このように、ステップS2からステップS7までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS2からステップS7までを繰り返すこととなる。
【0451】
また、メインCPU200aは、設定変更処理(S1)の開始時に、設定変更が開始したことを示す状態移行時コマンド(第1コマンド)をメダルCPU204aに送信する。メダルCPU204aは、かかる状態移行時コマンドを受信すると、図14に示したホールコン・不正監視情報の遊技機不正1におけるビット0を1に設定することで、設定変更中信号をONする(S11)。また、メインCPU200aは、払出処理(S7)において、メダルの払い出しが終了すると、払い出し終了コマンド(第2コマンド)をメダルCPU204aに送信する。メダルCPU204aは、かかる払い出し終了コマンドを受信すると、ホールコン・不正監視情報の遊技機不正1におけるビット0を0に設定することで、設定変更中信号をOFFする(S12)。このように、設定値の変更の開始時に設定変更中信号をONして専用ユニット350に送信し、設定値の変更を完了した後、1遊技の終了に応じ設定変更中信号をOFFして専用ユニット350に送信する機能部を設定変更中信号更新部と称する場合がある。なお、第1コマンドは、状態移行時コマンドに限らず、設定値の変更の開始時に、その旨が特定されさえすれば、任意のコマンドとすることができ、第2コマンドは、払い出し終了コマンドに限らず、遊技が完了する度に、その旨が特定されさえすれば、任意のコマンドとすることができる。
【0452】
このように、メインCPU200aの代わりに、メダルCPU204aにおいて、設定変更中信号を設定する処理を実現することで、メインROM200bのプログラムの増加を抑制できる。したがって、使用領域の特に制御領域が圧迫されることがない。なお、メダルCPU204aのROMは、メモリ容量に余裕(2.5Kバイト)があるので、プログラムをメダルCPU204aで実現しても問題ない。
【0453】
なお、ここでは、メインCPU200aが、毎遊技、払出処理(S7)において払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信し、メダルCPU204aが、かかる払い出し終了コマンドに応じて設定変更中信号をOFFしている(S12)。かかる構成では、メダルCPU204aが繰り返し設定変更中信号をOFFすることとなる。しかし、設定変更中信号はOFFのまま変わらず、一旦、OFFとなった設定変更中信号は、300msec周期で、適切に専用ユニット350に通知される。したがって、メダルCPU204aが繰り返し設定変更中信号をOFFすることは問題ない。ここでは、払い出し終了コマンドをメダルCPU204aに送信する場合に、メインCPU200aにおいて、設定変更処理が終了した最初の遊技であるという条件を判断する必要がなくなるので、設定変更処理が終了した最初の遊技という条件を判断するプログラムが不要となり、より、メインROM200bのプログラムの増加を抑制することができる。
【0454】
なお、ここでは、メインCPU200aが、払出処理(S7)において、メダルCPU204aにコマンドを送信する例を挙げて説明したが、1遊技が終了してさえすれば、リール停止処理(S5)や判定処理(S6)においてコマンドを送信してもよい。
【0455】
また、スマートパチスロ100では、設定変更の他に、設定されている設定値を設定確認によって確認することができる。設定確認を試みる場合、まず、設定ドアキーに所定の操作キーが挿入されてOFFの位置からONの位置へ回転される。そうすると設定確認モードに移行して、設定値の確認が可能な状態となり、設定確認中ステータスがONされる。ここで、設定確認中ステータスは、設定確認が実行されている間ONであり、それ以外はOFFとなる。なお、設定確認中ステータス中に、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、スタートスイッチ118の操作を無効としてもよい。そして、設定値が表示されるとともにステータスタイマの計時を開始する。ここで、ステータスタイマは、設定確認中ステータスを維持する時間を計時するタイマである。そして、操作キーを元の位置(OFFの位置)に戻すことで設定確認モードが終了して遊技が可能となる。なお、設定確認中ステータスは、設定ドアキーがOFFであり、かつ、ステータスタイマが5秒以上経過するとOFFされる。
【0456】
また、設定確認モードにおいて、メインCPU200aは、設定確認中ステータスを専用ユニット350に伝達すべく、設定確認中信号を生成している。設定確認中信号は、設定確認中ステータスのON/OFFを表し、図14に示すように、遊技機情報通知におけるホールコン・不正監視情報(遊技機情報)の遊技機不正1におけるビット1に設定されており、図19に示したように、300msec周期で専用ユニット350に通知される。
【0457】
ここで、図8(a)および図8(b)で示したようにCPUを独立して2つ(メインCPU200aおよびメダルCPU204a)設置した場合において、メインCPU200aで設定確認中ステータスを管理すると、設定確認中信号を設定する処理のみならず、ステータスタイマで5秒を計時する処理を実行するプログラムが必要となり、使用領域の特に制御領域が圧迫されるおそれがある。そこで、設定変更モード同様、設定確認中信号を設定する処理およびステータスタイマで5秒を計時する処理を、メインCPU200aではなく、メダルCPU204aで実現する。
【0458】
図52は、設定確認中信号の更新処理を示したフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。図52に示す一連の処理を通じて1遊技が実行されている途中、前回の遊技の払出処理(S1)が終了し、電子化メダルのベット待ち状態において、所定の操作キーがONされることで、メインCPU200aは、設定値を確認する設定確認処理を開始する(S2)。そして、設定確認が完了すると、所定の操作キーがOFFされて、メインCPU200aは、設定確認処理を終了する(S3)。こうして、メインCPU200aは、ベット処理(S4)が可能となる。
【0459】
また、メインCPU200aは、設定確認処理の開始時(S2)に、設定確認の開始に応じて状態移行時コマンド(第3コマンド)をメダルCPU204aに送信する。メダルCPU204aは、かかる状態移行時コマンドを受信すると、図14に示したホールコン・不正監視情報の遊技機不正1におけるビット1を1に設定することで、設定確認中信号をONする(S11)。また、メインCPU200aは、設定確認処理の終了時(S3)に、状態移行時コマンド(第4コマンド)をメダルCPU204aに送信する。メダルCPU204aは、かかる状態移行時コマンドを受信すると、ステータスタイマに5秒を設定し、計時を開始する(S12)。そして、メダルCPU204aは、ステータスタイマが5秒経過したか否か判定し(S13)、5秒経過するまで(S13におけるNO)待機し、5秒経過すると(S13におけるYES)、ホールコン・不正監視情報の遊技機不正1におけるビット1を0に設定することで、設定確認中信号をOFFする(S14)。このように、設定値の確認の開始時に設定確認中信号をONして専用ユニット350に送信し、設定値の確認を完了した後、所定時間経過するのを待ち設定確認中信号をOFFして専用ユニット350に送信する機能部を設定確認中信号更新部と称する場合がある。なお、第3コマンドは、上記に限らず、設定値の確認の開始時に、その旨が特定されさえすれば、任意のコマンドとすることができ、第4コマンドは、上記に限らず、設定値の確認の完了時に、その旨が特定されさえすれば、任意のコマンドとすることができる。
【0460】
このように、メインCPU200aの代わりに、メダルCPU204aにおいて、設定確認中信号を設定する処理およびステータスタイマで5秒を計時する処理を実現することで、メインROM200bのプログラムの増加を抑制できるので、使用領域の特に制御領域が圧迫されることがない。
【0461】
なお、上述したように、設定確認中信号は、設定確認モードに滞在していることを示しており、ゴト対策として少なくとも3秒間は出力しなければならない。しかし、設定確認中信号を含む遊技機情報通知は、300msec周期でしか専用ユニット350に送信されない。そうすると、例えば、メダルCPU204aが、遊技機情報通知が送信された直後に、状態移行時コマンドを受信した場合、設定確認中信号のONからOFFの間の時間が300msec程度削減されるおそれがある。ここでは、ステータスタイマでの待機時間を5秒とすることで、遊技機情報通知の送信タイミングに拘わらず、設定確認中信号のONからOFFの間の時間を3秒以上とすることができる。また、5秒の計時開始を、設定確認の開始を示すコマンドの受信時とせず、設定確認の終了を示すコマンドの受信時としているので、5秒に、さらに、設定確認の開始を示すコマンドから設定確認の終了を示すコマンドまでの間の時間が加算されるので、設定確認中信号のONからOFFの間の時間を確実に3秒以上とすることができる。
【0462】
(リプレイ役の入賞)
また、ここでは、設定変更中信号や設定確認中信号をメインCPU200aではなく、メダルCPU204aにおいて生成することで、メインCPU200aの処理負荷およびメインROM200bのメモリ容量を削減した。しかし、かかる場合に限らず、メインCPU200aからメダルCPU204aへの様々な情報を最小限に留め、専用ユニット350への通知を要する情報はメダルCPU204aで生成してもよい。かかる構成によっても、メインCPU200aの負担を軽減することができる。例えば、スマートパチスロ100は、300msec毎に、図14で示した、遊技機情報通知におけるホールコン・不正監視情報と、遊技情報とを専用ユニット350に送信しなければならず、その遊技情報として、スタートスイッチ118操作時や遊技終了時には、投入メダル数や払出メダル数を送信しなければならない。ここで、例えば、遊技結果がリプレイ役の入賞の場合、メインCPU200aは、再遊技フラグと払出枚数「0」という情報のみをメダルCPU204aに送信し、メダルCPU204aは、専用ユニット350に必要な各情報、例えば、スタートスイッチ118操作時には、投入メダル数として再遊技作動時の規定数(その遊技でベットした規定数)を生成し、遊技終了時には、払出メダル数として規定数を生成し、専用ユニット350に通知する。かかる構成により、メインCPU200aの処理負荷およびメインROM200bのメモリ容量を削減することができる。
【0463】
また、このとき、メインCPU200aがメダルCPU204aへ送信する再遊技フラグを、1バイトのコマンドではなく、識別情報の所定のビット「再遊技状態」(1ビット)に割り当てることで、再遊技状態という1バイトのコマンドを準備する必要がなくなり、コマンドの集約化を図るとともに、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0464】
(メインCPU200aからメダルCPU204aへのデータ送信制御)
図8(a)および図8(b)で示したようにCPUを独立して2つ(メインCPU200aおよびメダルCPU204a)設置した場合、メインCPU200aとメダルCPU204aとの間でシリアル通信が実行される。例えば、メインCPU200aは、メダルCPU204aにシリアル通信を通じて所定のコマンドを送信する。そして、メダルCPU204aは、専用ユニット350に、図11図19に示したような遊技機情報通知を送信する。
【0465】
図53は、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信処理の比較例を示した説明図である。ここでは、メインCPU200aからメダルCPU204aにチェックサムを含む5バイト(固定長)のコマンドを送信する例を挙げて説明する。
【0466】
図53に示すように、主制御基板200には、シリアル送信用の送信FIFO380が設けられている。送信FIFO380は、64バイトのメモリ容量を有し、最先で入力された1バイトのデータを保持し、送信可能タイミング(例えば、80μsec間隔)においてその1バイトのデータを最先に出力するバッファ機能を有する。また、メインCPU200aに対応するメインRAM200cには、4バイトのコマンド(データ)を保持する送信候補バッファ382が設けられている。
【0467】
メインCPU200aでは、メダルCPU204aに送信するコマンド(チェックサムを除く4バイト)が生じると、まず、送信候補バッファ382に既にコマンドが保持されているか否か判定する。ここで、コマンドが保持されていれば、メインCPU200aは、送信候補バッファ382が空くのを待つ。そして、コマンドが保持されていなければ、図53(a)のように、メインCPU200aは、送信候補バッファ382に、クロスハッチングで示した4バイトのコマンドを保持させる。続いて、メインCPU200aは、送信候補バッファ382にコマンドが保持されたことに応じて、送信FIFO380に10バイトの空きがあるか否か判定する。ここで、10バイトの空きとは、送信FIFO380の64バイトのバッファに保持されているデータが54(64-10)以下であり、少なくとも10バイト分のデータを保持できる状態を言う。なお、ここで、10バイトの空きを判定しているのは、チェックサムを含む5バイトのコマンドを2つ連続して送信する場合があるからである。ここで、送信FIFO380に10バイトの空きがなければ、メインCPU200aは、送信FIFO380が10バイト分空くのを待つ。そして、送信FIFO380に10バイトの空きがあれば、図53(b)のように、メインCPU200aは、送信FIFO380にコマンドを保持させる。
【0468】
また、メインCPU200aは、図53(c)に示すように、送信FIFO380にコマンドを保持させる際に、送信候補バッファ382に保持された4バイトのコマンドのチェックサムを計算し、4バイトのコマンドに加えて、送信FIFO380に、黒の塗りつぶしで示したチェックサムも保持させる。こうして、送信FIFO380に5バイトのコマンドが設定される。そして、送信FIFO380は、図53(d)に示すように、80μsec間隔で5バイトのコマンドをメダルCPU204aに送信する。
【0469】
図53では、コマンドが固定長の比較例を説明したが、コマンドが可変長の場合もある。例えば、メインCPU200aは、例えば、3バイト~80バイトの可変長のコマンドをメダルCPU204aに送信する。このように、コマンドが可変長であると、以下の問題が生じる。例えば、3バイトのコマンドであれば、4バイトの送信候補バッファ382や、64バイトの送信FIFO380に一度に保持させることができるが、80バイトのコマンドはいずれにも一度に保持させることができない。そこで、送信するコマンドを複数に区分し、少ないバイト数(例えば1バイト)単位でコマンドを送信する。また、ここでは、送信候補バッファ382の構成を削除し、チェックサムの生成処理を変更する。
【0470】
図54は、コマンドの1バイト送信の概念を示したフローチャートとコマンドを示した図である。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。
【0471】
図54(a)に示すように、メインCPU200aは、まず、送信FIFO380の情報を取得する(S1)。具体的に、図54(b)の1行目のコマンド「PUSH AF」によって、AFレジスタの値がスタック領域に退避され、3行目のコマンド「IN A,(@S0ST__)」によって、Uレジスタの値をアドレスの上位1バイトとし、アドレス「@S0ST__」を下位1バイトとし、そのアドレスで示される乗算結果レジスタの値をAレジスタに読み出す。こうして、「@S0ST__」から送信FIFO380の情報が取得される。続いて、図54(a)に示すように、メインCPU200aは、送信FIFO380に1バイト以上の空きがあるか否か判定し(S2)、送信FIFO380に1バイト以上の空きが生じるまで(S2におけるNO)、ステップS1の処理を繰り返す。具体的に、図54(b)の4行目のコマンド「JBIT Z,6,A,MCD_SND01」によって、Aレジスタのビット6が0であれば、すなわち、送信FIFO380に1バイト以上の空きがなければ、2行目の指標「MCD_SND01」からの処理を繰り返し、ビット6が0でなければ、次の5行目のコマンドを実行する。
【0472】
続いて、図54(a)に示すように、送信FIFO380に1バイト以上の空きがあれば(S2におけるYES)、メインCPU200aは、送信FIFO380に1バイト分のデータを送信する(S3)。具体的に、図54(b)の5行目のコマンド「POP AF」によってスタック領域に退避されていたデータがAFレジスタに復帰される。6行目のコマンド「OUT (@S0DT__),A」によって、Uレジスタの値をアドレスの上位1バイトとし、アドレス「@S0DT__」を下位1バイトとし、そのアドレスで示される送信FIFO380に復帰されたAレジスタの値を出力する。続いて、図54(a)に示すように、1バイト分のチェックサムを更新する(S4)。具体的に図54(b)の7行目のコマンド「ADD A,E」によって、Aレジスタの値に、チェックサムを保持するEレジスタの値を加算し、8行目のコマンド「LD E,A」によって、加算結果(Aレジスタの値)をEレジスタに戻し、9行目のコマンド「RET」によって、1段上のルーチンに戻る。
【0473】
図55は、メインCPU200aとメダルCPU204aとの通信処理を示した説明図である。ここでは、メインCPU200aからメダルCPU204aに可変長のコマンドのうち80バイトのコマンドを送信する例を挙げて説明する。
【0474】
図55に示すように、メインCPU200aには、シリアル送信用の送信FIFO380が設けられている。送信FIFO380は、図53同様、64バイトのメモリ容量を有し、最先で入力された1バイトのデータを保持し、送信可能タイミング(例えば、80μsec間隔)においてその1バイトのデータを最先に出力するバッファ機能を有する。また、メインCPU200aに属する(対応する)メインRAM200cには、1バイトのチェックサムを保持するチェックサムバッファ384が設けられている。
【0475】
メインCPU200aでは、メダルCPU204aに送信するコマンド(チェックサムを除く76バイト)が生じると、チェックサムバッファ384をクリアし(0に設定し)、送信FIFO380に1バイトの空きがあるか否か判定する。ここで、送信FIFO380に1バイトの空きがなければ、メインCPU200aは、送信FIFO380が1バイト分空くのを待つ。そして、送信FIFO380に1バイトの空きがあれば、図55(a)のように、メインCPU200aは、送信FIFO380にコマンドの先頭に位置する1バイトのデータを保持させる。
【0476】
また、メインCPU200aは、送信FIFO380に1バイトのデータを保持させる際に、チェックサムバッファ384のデータと、当該1バイトのデータとのチェックサムを計算し、黒の塗りつぶしで示したチェックサム(計算結果)をチェックサムバッファ384に上書きする。こうして、1バイトのデータを送信する毎にチェックサムが更新される。
【0477】
そして、図55(b)のように、メインCPU200aは、送信FIFO380に1バイトの空きがあれば、送信FIFO380に、コマンドを1バイトずつ保持させ、送信FIFO380は、80μsec間隔で1バイトずつコマンドをメダルCPU204aに送信する。このように、メインCPU200aは、送信FIFO380に1バイト以上の空きがあれば、1バイトずつ区分されたコマンドを、送信FIFO380に順次保持させる。ただし、上述したように送信するコマンドは、送信FIFO380の容量よりバイト数が大きいので、図55(c)のように、送信FIFO380において空きがない状態が生じ得る。この場合、メインCPU200aは、送信FIFO380が1バイト分空くのを待つこととなる。
【0478】
メインCPU200aは、コマンドを全て送信FIFO380に保持させると、図55(d)のように、チェックサムバッファ384に保持されたチェックサムを送信FIFO380に保持させる。こうして、送信FIFO380に80バイトのコマンドが設定される。そして、送信FIFO380は、80μsec間隔で80バイトのコマンドをメダルCPU204aに送信する。
【0479】
このように、コマンドを区分して送信FIFO380に保持させる構成により、コマンドの長さに拘わらず、仮に、コマンドの長さが送信FIFO380の容量より大きかったとしても、メインCPU200aは、メダルCPU204aに、適切にコマンドを送信することが可能となる。
【0480】
また、コマンドのバイト数に拘わらず、例えば、コマンドが3バイトであっても、メインCPU200aが画一的にコマンドを区分して送信FIFO380に保持させる構成により、プログラムを単純化することができ、メインROM200bのプログラムの増加を抑制できる。したがって、使用領域の特に制御領域が圧迫されることがない。また、図53の構成と異なり、送信候補バッファ382を削減しているので、メインRAM200cの容量も確保することができる。
【0481】
さらに、ここでは、メインCPU200aが、送信FIFO380に1バイトのデータを保持させる度に、画一的にチェックサムを更新しているので、コマンドの送信完了時点でチェックサムの計算が完了している。したがって、複数のデータのチェックサムを一度に計算する別途のプログラムが不要となり、使用領域の特に制御領域が圧迫されることがないのみならず、その処理時間を削減することが可能となる。
【0482】
なお、ここでは、メインCPU200aが、コマンドを1バイトずつ区分して送信FIFO380に保持させる例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、2バイトずつ区分するといったように、コマンドの最大長さ未満の所定のバイト単位で区分することができる。ここで、区分する単位がコマンドの長さの公約数とならない場合、メインCPU200aは、区分した長さでコマンドを繰り返し送信し、最後の送信で余りのデータを送信する。例えば、コマンドの長さが80バイトであり、バイト単位が5バイトであれば、メインCPU200aは、コマンドを5バイトずつ区分して繰り返し(16回)送信FIFO380に保持させる。
【0483】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、メインCPU200a(第1制御部)からメダルCPU204a(第2制御部)にコマンドを送信する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、スマートパチスロ100内の他の基板同士や、スマートパチスロにおけるメインCPU200aからメダルCPU204aにコマンドを送信する場合等、第1制御部や第2制御部として、独立した様々なCPU同士のシリアル通信に適用することができる。
【0484】
また、ここでは、送信FIFO380の容量が64バイトの例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、任意の容量を適用できる。本実施形態は、特に、送信FIFO380の容量よりコマンドが長い場合に効果が高い。また、ここでは、Z80系CPUをベースとするエルイーテック(LETech)社が販売するマイクロプロセッサのLEM50Aを採用しており、その送信FIFO380の容量が64バイトであるが、その他の例えばLC701Aであっても、送信FIFO380の容量が64バイトで動作するモードがあり、例えば、LEM50AのプログラムをLC701Aに流用する場合にそのモードが選定されることが考えられる。この場合であっても、本実施形態の効果が得られるのは言うまでもない。
【0485】
なお、上述した実施形態では、主制御基板200にシリアル送信用の送信FIFO380を設け、メインCPU200aからメダルCPU204aへの通信処理に送信FIFO380を用いる例を挙げて説明した。これと並行して、メダル数制御基板204においても、シリアル送信用の送信FIFO(図示せず)が設けられており、メダルCPU204aからメインCPU200aへの通信処理に送信FIFOが用いられている。かかるメダル数制御基板204に設けられたシリアル送信用の送信FIFOは、16バイトのメモリ容量を有し、最先で入力された1バイトのデータを保持し、送信可能タイミング(例えば、80μsec間隔)においてその1バイトのデータを最先に出力するバッファ機能を有する。
【0486】
上述したように、メダルCPU204aは、メインCPU200aから所定のコマンド(遊技メダル投入コマンド、スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、起動時コマンド)を受信すると、識別情報、投入可能枚数および遊技メダル数を示す伝達情報、チェックサムで構成される、例えば、5バイト長の返信コマンドをメインCPU200aに送信する。このような返信コマンドの送信の頻度が高くなると、メモリ容量が16バイトしかない送信FIFOで送信データを保持できない場合が生じ得る。
【0487】
そこで、メダルCPU204aは、返信コマンドを送信する際に、送信間隔を空けて送信FIFOに送信する。例えば、メダルCPU204aは、前回、返信コマンドを送信してから、4msec以上経過してから(4msec待機して)、次の返信コマンドの送信を行う。このとき、メインCPU200aは、1.49msec周期で受信処理を実行し、FIFOトリガレベルを参照して、返信コマンドのバイト分(ここでは5バイト)全ての受信の完了を待って、その返信コマンドの解析処理を実行する。かかる構成により、メダル数制御基板204に設けられたシリアル送信用の送信FIFOに送信データが蓄積され、送信データを保持できない状態を回避することが可能となる。
【0488】
また、返信コマンドにおいて、貸出処理や計数処理を契機とする情報をビット単位で独立して管理することで、仮に、貸出処理と計数処理とが同時に実行されたとしても、その情報を1の返信コマンドに同時かつ独立して記述できるので、返信コマンドの送信頻度を低減することができる。
【0489】
また、上記のように、ここでは、メインCPU200aがメダルCPU204aへ送信するコマンドを可変長としたとする。そうすると、コマンドを送信開始してから、送信完了するまでの時間が異なることとなる。ここで、仮に、電断が生じた場合、その電断処理でコマンドの送信が完了しない場合が生じ得る。コマンドには、送信が完了しなくとも、他の処理により補完できるものもあれば、送信完了を必須とするものもある。例えば、1遊技終了コマンドは、コマンドの送信が完了せず、そのコマンドが伝達されなくとも、復電時(起動時)に再送されるため問題は生じない。したがって、コマンドの送信完了を待つことなく、電断処理を例えば即座に開始することができる。かかる構成により、不要なコマンドの送信を回避でき、割込禁止時間の増加を抑制することが可能となる。
【0490】
一方、払い出し終了コマンドでは、払出枚数を示す伝達情報が送信される。払出枚数は、その送信を複数回行うべきではない。これは、遊技終了時に払出枚数を送信した後、さらに復電時(起動時)に再送されると、複数回払い出されたこととなり、払出枚数が多く(2倍)なってしまうからである。また、払出枚数は、遊技者の利益に直接関係する重要度の高い情報なので、確実にメダルCPU204aへ伝達する必要がある。そこで、メインCPU200aがメダルCPU204aへ送信する複数のコマンドのうち、払い出し終了コマンドのように、重要度の高いコマンドについては、電断予告信号の検出から電断処理開始までの間に確実にメダルCPU204aへコマンドを送信する。すなわち、コマンドの送信が完了してから電断処理を開始する。なお、電断処理が開始されるまでの短時間にコマンドの送信を完了しなければならないので、重要度の高いコマンドのバイト数を短く(例えば10バイトと)する。かかる構成により、メインCPU200aは、重要度の高いコマンドを確実にメダルCPU204aへ送信し、遊技を適切に進行することが可能となる。
【0491】
また、上記のように、ここでは、メインCPU200aがメダルCPU204aへ送信するコマンドを可変長としたとする。そうすると、コマンドの送信順やその内容によっては、送信開始してから、送信完了するまでの時間が異なることとなる。例えば、比較的長い(例えば、60バイトの)1遊技終了コマンドが送信された直後に電断予告信号が生じると、コマンドの送信が完了することなく、電断が生じるおそれがある。また、電源を投入すると、メインCPU200aは、1遊技終了コマンド以上に長い(例えば、80バイトの)起動時コマンドをメダルCPU204aへ送信し、電断が生じる前の状態から処理を再開する。ここで、1遊技が終了すると、役比関連のデータが更新され、起動時コマンドの後に、1遊技終了コマンドが送信される。そうすると、未だ、送信FIFO380に起動時コマンドが残っている可能性が高いので、さらに1遊技終了コマンドの送信が待たされる。このような1遊技終了コマンドが送信された直後に電断予告信号が生じると、さらに、コマンドの送信完了が遅延し、コマンドの送信完了を待たずに電断が生じるおそれがある。
【0492】
ただし、上述したように、1遊技終了コマンドがメダルCPU204aに伝達されなくとも、復電時(起動時)に再送されるため問題は生じない。なお、復電時(起動時)は、送信FIFO380にデータが保持されていないので、電断が生じない限り、起動時コマンドは適切にメダルCPU204aに伝達される。
【0493】
そこで、1遊技終了コマンドのように、コマンドに「役比関連の伝達情報」を含む場合、電断予告信号を検出したら、コマンドの送信完了を待つことなく、即座に電断処理を開始する。例えば、メインCPU200aは、図54(a)のステップS2において、送信FIFO380に1バイト以上の空きがある場合、ステップS3において、送信FIFO380に1バイトのデータを送信する前に、コマンドに「役比関連の伝達情報」が含まれ、かつ、電断予告信号が検出されたか否かを判定する。そして、電断予告信号が検出されると、メインCPU200aは、以降のステップS3、S4を行うことなく、すなわち、1バイトのデータを送信することなく(チェックサムを含む1遊技終了コマンドの送信をキャンセルして)、当該処理を終了し、電断処理に移行する。かかる構成により、不要なコマンドの送信を回避でき、割込禁止時間の増加を抑制することが可能となる。
【0494】
一方、コマンドに「役比関連の伝達情報」が含まれていない、または、電断予告信号が検知されていなければ、メインCPU200aは、ステップS3、S4を実行する。かかる構成により、重要度の低い1遊技終了コマンドの送信中に電断予告信号が検出された場合、早急にコマンドの送信をキャンセルし、適切に電断処理を実行することが可能となる。
【0495】
また、仮に、電源を投入し、起動時コマンドが送信され、電断が生じる前の状態から処理が再開し、直後に、1遊技終了コマンドが送信され、その直後に電断予告信号が検出された場合を仮定する。この場合、電源投入時には送信FIFO380にデータが保持されていないので、起動時コマンドのうち、前半64バイト分は直ぐに送信FIFO380に保持される。その後、1遊技終了コマンドを送信する際には、起動時コマンドの後半部分が送信FIFO380にまだ残っている。したがって、コマンドが送信完了するまで長時間を要する。しかし、上記の電断予告信号が検出されたか否か判定する構成により、送信FIFO380に空きが生じたときには、1遊技終了コマンドの送信がキャンセルされるので、適切に電断処理を実行することが可能となる。
【0496】
なお、「役比関連の伝達情報」は、1遊技終了コマンドのみならず、起動時コマンドにも含まれている。したがって、起動時コマンドを送信する際に電断予告信号が検出されると、それ以降のデータを送信することなく(チェックサムを含む起動時コマンドの送信をキャンセルして)、当該処理を終了し、電断処理に移行することとなる。
【0497】
ただし、起動時コマンドのうち「起動時に必要な伝達情報」の送信は停止せず、送信が完了するまで電断処理を行わない。これは以下の理由による。すなわち、「起動時に必要な伝達情報」は、遊技機情報、チップID、メーカコード等を含み、電断予告信号の確認も複数箇所に分けて記載する必要があり、処理負荷およびメモリ容量の増大を招くおそれがある。また、上述したように、起動時には送信FIFO380にはデータが保持されていないので、「起動時に必要な伝達情報」までは、短時間で送信FIFO380に保持させることができ、かつ、送信完了までに長時間を要さないからである。
【0498】
ここでは、1遊技終了コマンド、および、起動時コマンドについて、コマンドに「役比関連の伝達情報」が含まれており、かつ、電断予告信号が検知されていれば、それ以降のデータを送信することなく、即座に電断処理に移行する例を挙げて説明した。その他のコマンド(スタートレバー押下コマンド、払い出し終了コマンド、状態移行時コマンド)については、図54(a)の処理をそのまま実行してもよいし、図54(a)のステップS1の前、すなわち送信開始時に、電断予告信号が検知されているか否か判定し、検出されていれば、ステップS1~S4を全て行うことなく、すなわち、それ以降のデータを送信することなく、即座に電断処理に移行するとしてもよい。かかる構成により、全てのコマンドについて適切に電断処理に移行することとなる。
【0499】
(メインCPU200aからサブCPU202aへのデータ送信制御)
上記では、メインCPU200aからメダルCPU204aへのデータ送信制御を説明した。ここでは、メインCPU200aからサブCPU202aへのデータ送信制御を説明する。
【0500】
メインCPU200aとサブCPU202aとの間ではシリアル通信が実行されている。例えば、メインCPU200aは、サブCPU202aに、シリアル通信を通じて所定のコマンドを送信する。ただし、上述したように、不正防止等の観点から、その通信方向は、メインCPU200aからサブCPU202aへの一方向のみに制限される。
【0501】
図56は、メインCPU200aとサブCPU202aとの通信処理を説明するための説明図である。ここでは、メインCPU200aからサブCPU202aに、ヘッダおよびチェックサムを含む5バイト(固定長)のコマンドを送信する例を挙げて説明する。
【0502】
図56に示すように、主制御基板200には、シリアル通信用の送信FIFO390(FIFO)が設けられている。送信FIFO390は、128バイト(送信FIFO390で蓄積可能な上限バイト数)のメモリ容量を有している。送信FIFO390は、128バイトを上限として複数バイトのデータを保持することができ、送信可能タイミング(例えば、80μsec間隔)において、最先で入力された1バイトのデータを最先に出力する。なお、ここでは、上限バイト数が128バイトの例を挙げて説明するが、かかる場合に限らず、送信FIFO390の仕様に応じて任意に設定することができる。
【0503】
メインCPU200aにおいてサブCPU202aに送信すべきコマンドが生成されると、メインCPU200a(第1制御部)は、そのコマンドを送信FIFO390(FIFO)に送信する。こうして、図56(a)に示すように、送信FIFO390にコマンドがデータとして蓄積される。そして、図56(b)に示すように、送信FIFO390は、サブCPU202a(第2制御部)に対し、蓄積されたコマンドをシリアルデータとして等間隔に送信する。かかる送信FIFO390を設ける構成により、メインCPU200aは、シリアルデータの通信プロトコルを考慮することなく、任意のタイミングでコマンドを送信することが可能となる。
【0504】
しかし、メインCPU200aが、コマンドの生成に応じて無作為に送信するとなると、送信FIFO390から送信されるデータより送信FIFO390が受信するデータの方が多くなり、送信FIFO390にコマンドが蓄積されて、図56(c)のように、送信FIFO390がコマンドを受信できなくなるおそれがある。例えば、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、図5を用いて説明したように、当選種別抽選手段304が当選種別抽選、複数のAT抽選、複数のチャンスゾーン(CZ)抽選等、複数種類の抽選を行い、また、リール制御手段306がステッピングモータ152を駆動して左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転させる。したがって、メインCPU200aは、複数のコマンドを短期間に一度にサブCPU202aに送信することになる。例えば、スタートスイッチ118の操作契機において、メインCPU200aは、スタートスイッチ118が操作された旨のコマンド、および、当選種別抽選、複数のAT抽選の結果、複数のチャンスゾーン抽選の結果等、複数種類の抽選結果を示すコマンドを一度にサブCPU202aに送信し、その直後のリール110a、110b、110cの回転開始契機において、メインCPU200aは、リール110a、110b、110cが回転開始された旨のコマンドをサブCPU202aに送信する。そうすると、メインCPU200aからコマンドが送信されているのに、送信FIFO390がコマンドを蓄積することができず、生成されたコマンドがサブCPU202aに伝達されなくなってしまう。
【0505】
そこで、メインCPU200aは、送信FIFO390にコマンドが所定の蓄積上限値(トリガレベル)以上蓄積されたら、コマンドの送信を一時的に制限する。
【0506】
図57は、メインCPU200aとサブCPU202aとの他の通信処理を説明するための説明図である。ここでは、送信FIFO390の蓄積上限値を64バイトとする。図57(a)のように、メインCPU200aは、送信FIFO390に蓄積されたデータが蓄積上限値に到達するまで、コマンドを送信FIFO390に送信することが可能である。
【0507】
このとき、送信FIFO390から送信されるデータより送信FIFO390が受信するデータの方が多くなり、送信FIFO390にコマンドが蓄積されて、データが蓄積上限値以上となったとする。例えば、送信FIFO390に63バイトのデータが蓄積された状態で、送信FIFO390が新たに5バイトのコマンドを受信し、送信FIFO390に蓄積されたデータが64バイト以上(ここでは68バイト)になったとする。そうすると、図57(b)のように、メインCPU200aは、コマンドの送信を制限し(送信を止め)、コマンドの送信を待機する。
【0508】
メインCPU200aがコマンドの送信を制限したことで、送信FIFO390からデータが送信される度に送信FIFO390のデータが少なくなる。そして、送信FIFO390中のデータが減数して蓄積上限値未満となると、図57(c)のように、メインCPU200aは、コマンドの送信を再開する。
【0509】
メインCPU200aは、コマンドの送信をタイマ割込処理ではなく、図5を用いて説明したメイン処理で行っている。したがって、このようにコマンドの送信を制限しても、タイマ割込処理は正常に機能し、遊技の進行には影響が生じない。
【0510】
図58は、通信処理を説明するためのフローチャートである。かかる図におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。ここでは、送信FIFO390に対して蓄積上限値(例えば、64バイト)を設定できる。メインCPU200aは、送信FIFO390において蓄積されたデータが蓄積上限値以上となったか否かを把握することができる。
【0511】
図58に示すように、メインCPU200aにおいて送信すべきコマンドが生成されると、当該通信処理が開始され、メインCPU200aは、送信FIFO390の情報を取得する(S1)。メインCPU200aは、取得した情報、例えば、送信FIFO390内部のトリガレベルフラグに基づいて、送信FIFO390に蓄積されたデータが蓄積上限値以上となっているか否か判定する(S2)。ここでは、送信FIFO390に蓄積されたデータが蓄積上限値以上であれば、トリガレベルフラグが0となり、送信FIFO390に蓄積されたデータが蓄積上限値未満であれば、トリガレベルフラグは1となる。その結果、蓄積されたデータが蓄積上限値以上となっていれば、すなわち、トリガレベルが0であれば(S2におけるYES)、メインCPU200aは、送信FIFO390へのデータの送信を制限するために、ステップS1からの処理を繰り返す。蓄積されたデータが蓄積上限値未満であれば、すなわち、トリガレベルが1であれば(S2におけるNO)、メインCPU200aは、送信FIFO390へデータを送信する(S3)。
【0512】
このように、送信FIFO390に蓄積されたデータが蓄積上限値以上となると、メインCPU200aがコマンドの送信を制限する構成により、メインCPU200aは、サブCPU202aに、適切にコマンドを送信することが可能となる。
【0513】
なお、蓄積上限値は、以下のように設定することができる。例えば、メインCPU200aは、送信FIFO390で蓄積可能な上限バイト数(例えば、128バイト)からコマンドのバイト数(例えば、5バイト)を減算して1を加算した値(例えば、124バイト)以下の値を蓄積上限値として設定する。ここで1を加算しているのは、送信FIFO390における蓄積上限値を、コマンドの受信を許容しない値としているからである。例えば、上記の例では、送信FIFO390に蓄積されたデータが、124バイト以上であれば、さらに5バイトのコマンドを受信してしまうと上限バイト数を超えてしまう。一方、送信FIFO390に蓄積されたデータが、124バイト未満の123バイトであれば、さらに5バイトのコマンドを受信することが可能である。したがって、蓄積上限値の範囲は124バイト以下となる。ここで、メインCPU200aは、図5における初期化処理S100において、送信FIFO390に、蓄積上限値として数値「64」を設定する。
【0514】
また、コマンドの長さが可変な場合、複数種類のコマンドのうち、その長さが最大となるコマンドを対象とする。すなわち、メインCPU200aは、送信FIFO390で蓄積可能な上限バイト数(例えば、128バイト)からコマンドのバイト数の最大値(例えば、10バイト)を減算して1を加算した値(例えば、119バイト)以下の値を蓄積上限値(例えば、64バイト)として設定する。ここでは、蓄積上限値として2の累乗である64を採用しているが、上限バイト数からコマンドのバイト数の最大値を減算して1を加算した値以下であれば、任意に選択することが可能である。
【0515】
また、蓄積上限値を、2の乗数(2、4、6、…)としてもよいし、2の累乗(2、4、8、16、32、64)としてもよい。いずれにしても蓄積上限値として上限バイト数は採用しない。
【0516】
本実施形態においては、送信FIFO390で蓄積可能な上限バイト数が128バイトであり、コマンドのバイト数が全て5バイトなので、上限バイト数は、コマンドのバイト数で割り切れない。そうすると、上記のように、送信FIFO390で蓄積可能な上限バイト数(例えば、128バイト)からコマンドのバイト数の最大値(例えば、5バイト)を減算して1を加算した値(例えば、124バイト)以下の任意の値を蓄積上限値として設定するのが効率的である。また、ここでは、コマンドのバイト数が全て5バイトである例を挙げて説明したが、かかるバイト数に限らず、全て3バイト等、コマンドのバイト数は任意に設定することができる。また、ここでは、コマンドのバイト数を1種類(5バイト)だけ挙げて説明したが、これに限らず、2バイトと3バイト、3バイトと5バイト、5バイトと2バイト等、異なるコマンド同士でバイト数が異なるとしてもよい。
【0517】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、メインCPU200a(第1制御部)からサブCPU202a(第2制御部)にコマンドを送信する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、スマートパチスロ100内の他の基板同士や、スマートパチスロ100におけるメインCPU200aからメダルCPU204aにコマンドを送信する場合等、第1制御部や第2制御部として、独立した様々なCPU同士のシリアル通信に適用することができる。
【0518】
また、ここでは、送信FIFO390の容量が128バイトの例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、送信FIFO390の仕様に応じて任意の容量を適用できる。また、ここでは、Z80系CPUをベースとするエルイーテック(LETech)社が販売するマイクロプロセッサのLC701Aを採用しており、その送信FIFO390の容量が128バイトであるが、マイクロプロセッサのLEM50Aのように、その送信FIFO390の容量が64バイトであれば、上限バイト数を64とすることができる。また、例えばLC701Aであっても、送信FIFO390の容量を64バイトに制限するモードにして上限バイト数を64とすることも可能性である。
【0519】
(電子化メダルの表示)
図3を用いて説明したように、遊技者は、専用ユニット350の度数表示装置372および獲得メダル数表示装置374、ならびに、スマートパチスロ100の遊技メダル数表示装置114および液晶表示部124を通じて、遊技者の有する電子化メダルの数を視認することができる。
【0520】
図59図60は、電子化メダルの表示態様を説明するための説明図である。遊技者は、遊技を試みる場合、専用ユニット350の現金投入部362に現金を投入し、図59(a)のように、専用ユニット350の度数表示装置372を通じて、投入した現金に対応する度数「10」を視認することができる。次に、遊技者が、専用ユニット350の貸出スイッチ366を操作することで、度数表示装置372に表示された度数に対応する電子化メダルがスマートパチスロ100に転送され、遊技者は、図59(b)のように、度数表示装置372を通じて、度数が転送された分だけ減数されて「0」となったこと、および、スマートパチスロ100の遊技メダル数表示装置114を通じて、電子化メダルが転送された分だけ増数され「50」となったことを視認することができる。なお、説明の便宜上、図59では、遊技メダル数表示装置114に表示された数値を破線で囲んで右上に示している。
【0521】
続いて、遊技者が、ベットスイッチ116を操作すると、電子化メダルがベットされ、図59(c)のように、遊技メダル数表示装置114を通じて、ベットされた電子化メダルの枚数(例えば「3」)が減算されて「47」となったことを視認することができる。ここで、遊技者がスタートスイッチ118およびストップスイッチ120を操作し、払出枚数が11枚となる小役が入賞すると、払出制御手段310は、その遊技結果に基づいて電子化メダルを11枚払い出し、遊技者は、図59(d)のように、液晶表示部124の右上に破線で示したペイアウト表示領域(表示手段)を通じて、電子化メダルの枚数(例えば「11」)が払い出されたこと、および、遊技メダル数表示装置114を通じて、払い出された電子化メダルの枚数が加算されて「58」になったことを視認することができる。ここで、払い出された電子化メダルの枚数を特定可能な表示をペイアウト表示と言う。ペイアウト表示は、次の遊技が開始されるまで維持され、次の遊技において電子化メダルがベットされるとクリアされる。なお、ペイアウト表示のクリアは、表示されている払い出された電子化メダルの枚数が削除されること、または、表示されている払い出された電子化メダルの枚数に代えて「0」が表示されることを言う。
【0522】
ここで、遊技者が、遊技を終了するため、計数スイッチ112を操作すると、図59(e)のように、遊技メダル数表示装置114を通じて、メダル保持部に保持された遊技メダル数が専用ユニット350に転送されて「0」となったこと、および、専用ユニット350の獲得メダル数表示装置374を通じて、電子化メダルが転送された分だけ増数され「58」となったことを視認することができる。そして、遊技者が、返却スイッチ368を操作すると、図59(f)のように、専用ユニット350で保持する電子化メダルがカードに転送され、獲得メダル数表示装置374を通じて、専用ユニット350に保持された電子化メダルが「0」となったことを視認することができる。
【0523】
ここで、液晶表示部124の一部におけるペイアウト表示に着目する。なお、ここでは、ペイアウト表示の例として、サブCPU202a(表示制御手段)が、副制御基板202で管理された液晶表示部124の一部のペイアウト表示領域(表示手段)に払い出された電子化メダルの枚数を表示する例を挙げて説明する。しかし、かかる場合に限らず、メインCPU200a(表示制御手段)が、主制御基板200で管理され、数字を表すことができる7つのセグメントを有するメイン払出表示部(表示手段)に払い出された電子化メダルの枚数を表示したり、サブCPU202a(表示制御手段)が、副制御基板202で管理され、7つのセグメントを有するサブ払出表示部(表示手段)に払い出された電子化メダルの枚数を表示してもよい。また、ペイアウト表示は、液晶表示部124のペイアウト表示領域、メイン払出表示部、サブ払出表示部のいずれか1で行う場合に限らず、選択された2つで行ったり、全てで行うとしてもよい。
【0524】
図59(d)を用いて説明したように、払出枚数が11枚となる小役が入賞すると、払出制御手段310は、その遊技結果に基づいて電子化メダルを11枚払い出し、サブCPU202aは、液晶表示部124のペイアウト表示領域に、払い出された電子化メダルの枚数(例えば「11」)を表示する。かかるタイミングにおいて、遊技者が次の遊技を開始することなく、計数スイッチ112を操作して計数処理を行うと、図59(e)、図59(f)のように、液晶表示部124のペイアウト表示領域には、ペイアウト表示が維持される。仮に、この状態でスマートパチスロ100の電源を切断し、その後、電源を再投入したとしても、特別な処理を行わない限り、ペイアウト表示が維持されたままとなってしまう。したがって、電源を再投入した後も、液晶表示部124のペイアウト表示領域には、払い出された電子化メダルの枚数が表示された状態となる。
【0525】
ここで、当該スマートパチスロ100において設定変更が実行された場合においては、ペイアウト表示がクリアされるとする。そうすると、図59(f)の状態で、設定変更が実行されることなく電源のリセットが行われると、ペイアウト表示が維持されるので、電源の再投入後も液晶表示部124のペイアウト表示領域に払い出された電子化メダルの枚数「11」が維持される。一方、図59(f)の状態で、電源が切断され、設定変更が実行された後に電源が再投入されると、ペイアウト表示がクリアされているので、液晶表示部124のペイアウト表示領域には払い出された電子化メダルの枚数表示が残らないこととなる。したがって、前日の遊技終了時に電子化メダルの払い出しがあったスマートパチスロ100を把握している遊技者は、次の日において、液晶表示部124のペイアウト表示領域に、払い出された電子化メダルの枚数表示が維持されているか否かによって、設定変更が実行されたか否かを把握することが可能となる。また、遊技者は、こうした確認を行うために、ペイアウト表示を残そうと考え、例えば、前日の遊技終了時に意図的に電子化メダルが払い出された状態で計数処理を行うこともできる。
【0526】
ここで、スマートパチスロ100と異なり、実物のメダルを介在させて遊技を進行するスロットマシンでは、メダルの払い出しが実行されると、少なくともメダルがクレジットに電子的に貯留される状態となるので、その状態で遊技を終了する場合、遊技者は、クレジットされたメダルの返却(精算)処理を行うこととなる。また、メダルがクレジットに電子的に貯留された状態で遊技を終了したものの、遊技を行っていた当該遊技者が返却処理を行わなかった場合でも、遊技場の閉店時あるいは開店時に、ホールの店員がクレジットされたメダルの返却処理を行う。かかるスロットマシンでは、クレジットの返却処理(スロットマシンにおける精算スイッチの操作)においてペイアウト表示をクリアしている。したがって、遊技者が、遊技の終了時に、クレジットの返却処理を実行することで、ペイアウト表示はクリアされ、上記の設定変更の有無が把握される問題は生じない。一方、当該スマートパチスロ100においては、払い出された電子化メダルがメダル保持部に直接保持されるので、電子化メダルの払い出しが実行された後に、返却処理に相当する精算スイッチ121の操作を要さない。したがって、精算スイッチ121の操作に応じてペイアウト表示をクリアするようにしても、精算スイッチ121自体が操作されないので、ペイアウト表示がクリアされないこととなる。なお、ここでは、スロットマシンにおいてクレジットの返却処理によりペイアウト表示をクリアする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、クレジットの返却処理を行うことなく精算スイッチを操作することでペイアウト表示をクリアするとしてもよい。また、クレジットの返却処理によりペイアウト表示をクリアしないとしてもよい。また、ここでは、スマートパチスロ100において、電子化メダルの払い出しが実行された後に精算スイッチ121の操作を要さない例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、電子化メダルの払い出しが実行された後、精算スイッチ121の操作によりペイアウト表示をクリアするとしてもよい。
【0527】
ここで、スマートパチスロ100において、電子化メダルの払い出しが実行された後、遊技者が遊技を終了する際には、計数スイッチ112を操作して計数処理が行われる。したがって、計数処理に応じてペイアウト表示をクリアすることができる。
【0528】
ただし、計数処理によってペイアウト表示をクリアしたとしても、以下のように、払い出された電子化メダルの枚数表示の維持を完全には防止できない。例えば、計数処理は、1枚単位で実行することも可能なので、1枚の計数処理に応じてペイアウト表示をクリアするとなると、まだ、メダル保持部に遊技メダル数が残っている状態(遊技メダル数表示装置114における電子化メダルの枚数が「0」ではない状態)、すなわち、遊技を終了していない状態でペイアウト表示がクリアされるので遊技者は違和感を覚える。また、仮に、50枚の計数処理ではペイアウト表示をクリアするが、1枚の計数処理ではペイアウト表示をクリアしないとすると、1枚の計数処理を繰り返すことでペイアウト表示のクリアを回避できるので、やはりペイアウト表示が残ることとなる。ただし、計数処理を行った際にメダル保持部の遊技メダル数が「0」であることを確認してペイアウト表示をクリアするとすれば、遊技者が違和感を覚えることもない。しかし、計数処理は、1枚単位、50枚単位、50枚以下の遊技メダル数全数単位で計数されるので、遊技メダル数が「0」であることの判定が煩雑となり、その場合、メモリ容量および処理負荷が増加することとなる。
【0529】
また、以下の理由により、計数スイッチ112の操作によってはペイアウト表示をクリアしないとしている。上述したように、計数処理に用いられる計数スイッチ112は、メダル数制御基板204に接続されており、遊技者による計数スイッチ112への操作は、メダルCPU204aが受け付ける。したがって、計数処理を、主制御基板200が管理する表示装置のペイアウト表示に反映しようとすると、メダル数制御基板204のメダルCPU204aから主制御基板200のメインCPU200aに計数処理が行われた旨の情報を伝達しなければならない。なお、仮に、図8(b)のように、主制御基板200にメインCPU200aとメダルCPU204aとが併設されている場合であっても、やはり、計数処理が行われた旨の情報伝達は必要である。また、計数処理を、副制御基板202が管理する液晶表示部124等のペイアウト表示に反映しようとすると、まず、メダル数制御基板204のメダルCPU204aから主制御基板200のメインCPU200aに計数処理が行われた旨の情報を伝達し、さらに、主制御基板200のメインCPU200aから副制御基板202のサブCPU202aに計数処理が行われた旨の情報を伝達しなければならない。したがって、計数処理をペイアウト表示に反映するために複雑な処理を要することになり、主制御基板200や副制御基板202におけるプログラムやデータのメモリ容量を圧迫することになる。
【0530】
また、上述したように、メダルCPU204aは、遊技が可能な間(エラー中等の限られた状態以外)、常に計数スイッチ112の操作を受け付けなければならない。したがって、メダルCPU204aは電子化メダルの払い出し中でも計数スイッチ112の操作に応じて計数処理を実行しなければならない。この場合にペイアウト表示が以下のように変化するおそれがある。例えば、ペイアウト表示が1ずつカウントアップする仕様において、電子化メダルが3枚払い出された場合、ペイアウト表示は0→1→2と変化する。しかし、2枚目が払い出されたタイミングで計数スイッチ112が操作され、計数処理をペイアウト表示に反映すると、ペイアウト表示が2から一旦0となって、残りの1枚の払い出しによって0→1と変化する。そうすると、遊技者は、払い出された電子化メダルの数(ここでは「3」)を正確に把握することが難しい。ここで、最後の1枚の払い出しにおいて、ペイアウト表示0→1の変化を0→3に補正して3枚のペイアウト表示を行うことも考えられる。しかし、そのためには、最終的な払出枚数を強制的に表示する煩雑な処理が必要となり、主制御基板200や副制御基板202におけるプログラムやデータのメモリ容量を圧迫することになりかねない。また、ペイアウト表示として払出枚数が、カウントアップではなく、一度に表示される仕様においても、計数スイッチ112が長押しされている最中に電子化メダルの払い出しが行われた場合、払出枚数「3」が短時間(一瞬)だけ表示されて直ぐに消失するか、表示の更新周期によっては、払出枚数「3」が全く表示されないこととなる。この場合においても、遊技者は、払い出された電子化メダルの数を正確に把握することが難しい。
【0531】
したがって、計数スイッチ112を操作して計数処理を行っても、図59(e)、図59(f)のように、液晶表示部124のペイアウト表示領域には、ペイアウト表示が維持されることとなる。
【0532】
そこで、本実施形態において、メインCPU200aおよびサブCPU202aは、電源切断および電源投入のいずれか一方または双方に応じてペイアウト表示をクリアする。例えば、メインCPU200aは、電源投入後の図5における初期化処理S100において設定変更が行われた場合、ペイアウト表示をクリアすることを前提に、電源投入後の図5における初期化処理S100において、設定変更が行われなかったとしても、ペイアウト表示をクリアする。また、図60(a)に示すように、液晶表示部124のペイアウト表示領域に払い出された電子化メダルの枚数「11」が維持された状態で、電源が切断されたとしても、サブCPU202aは、電源の投入時にペイアウト表示をクリアする。こうして、図60(b)に示すように、液晶表示部124のペイアウト表示領域には「0」が表示される。なお、ここでは、メインCPU200aおよびサブCPU202aのいずれもが、電源切断および電源投入のいずれかにおいてペイアウト表示をクリアする例を挙げて説明したが、メインCPU200aまたはサブCPU202aのいずれか一方が、電源切断および電源投入のいずれかにおいてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。
【0533】
かかる構成により、精算スイッチ121の操作有無や計数スイッチ112の操作有無に拘わらず、電源のリセットによってペイアウト表示が確実にクリアされるので、ペイアウト表示が残ることがない。したがって、遊技者は、払い出された電子化メダルの枚数表示が維持されているか否かによって、設定変更が実行されたか否かを把握することができない。
【0534】
また、メインCPU200aまたはサブCPU202aは、遊技者による遊技開始のための所定の操作、すなわち、ベットスイッチ116の操作、または、スタートスイッチ118の操作に応じてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。かかる構成により、遊技者が次の遊技を開始することによってペイアウト表示が確実にクリアされるので、ペイアウト表示が残ることがない。遊技者は、遊技開始のための所定の操作によって、前回の遊技結果を次の遊技に残すことなく、新たな表示で次の遊技を進行することができる。
【0535】
また、メインCPU200aまたはサブCPU202aは、精算スイッチ121の操作に応じてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。また、電源のリセットによってはペイアウト表示がクリアされず、ベットされた状態でのスタートスイッチ118の操作に応じてペイアウト表示をクリアする仕様において、ベットされた状態での精算スイッチ121の操作に応じてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。かかる構成により、例えば、ホールの店員が、ベットされている電子化メダルを精算スイッチ121で返却する処理を行うことによってペイアウト表示を確実にクリアすることができるので、ペイアウト表示が残ることがない。
【0536】
また、実物のメダルを介在させて遊技を進行するスロットマシンにおける精算スイッチの操作に応じてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。スロットマシンでは、払い出されたメダルがクレジットに貯留される場合がある。ここでは、例えば、ホールの店員が、クレジットに貯留されているメダルを精算スイッチで返却する処理を行うことによってペイアウト表示を確実にクリアすることができるので、ペイアウト表示が残ることがない。また、メインCPU200aまたはサブCPU202aは、有利区間の終了に応じてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。
【0537】
また、スマートパチスロ100またはスロットマシンにおいては、遊技が所定時間行われないと、演出制御手段334は、待機演出(デモ演出)を実行し、液晶表示部124に待機画面(デモ画面)を表示する場合がある。また、スマートパチスロ100またはスロットマシンにおいては、電源投入後に、遊技を進行する画面に移行せず、直接、待機演出(デモ演出)を実行し、液晶表示部124に待機画面(デモ画面)を表示する場合がある。かかる待機演出は、遊技を開始すること、すなわち、ベットが実行されていない状態でベットスイッチ116を操作するか、ベットが実行されている状態でスタートスイッチ118を操作することで終了し、遊技を進行する演出が開始する。かかる待機演出中、内部的にペイアウト表示がされているか否かに拘わらず、サブCPU202aは、待機画面によってペイアウト表示を視認させないようにしている。したがって、仮に、電源投入時においてはペイアウト表示をクリアしていなかったとしても、遊技者は、ペイアウト表示を視認できないので、設定変更が実行されたか否かを把握することができない。そして、メインCPU200aまたはサブCPU202aは、待機演出後のベットスイッチ116の操作またはスタートスイッチ118の操作に応じてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。かかる構成により、精算スイッチ121の操作有無や計数スイッチ112の操作有無に拘わらず、遊技者が遊技を開始することによってペイアウト表示が確実にクリアされるので、電源の投入後にペイアウト表示が残ることがない。したがって、遊技者は、払い出された電子化メダルの枚数表示が維持されているか否かによって、設定変更が実行されたか否かを把握することができない。
【0538】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、例えば、メインCPU200aが、電源切断および電源投入のいずれか一方または双方に応じてペイアウト表示をクリアする例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、実物のメダルを介在させて遊技を進行するスロットマシンにおいて、例えば、メインCPU200aが、電源切断および電源投入のいずれか一方または双方に応じてペイアウト表示をクリアするとしてもよい。
【0539】
また、ここでは、例えば、メインCPU200aが、電源切断および電源投入のいずれか一方または双方に応じてペイアウト表示をクリアする例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、メインCPU200aが、ペイアウト表示からの時間を計時し、計時した時間が所定時間(例えば、30秒)に到達するとペイアウト表示をクリアするとしてもよい。ここで、計時の開始時点は、ペイアウト表示の表示開始タイミングでもよいし、ペイアウト表示の表示終了タイミングでもよい。したがって、例えば、ペイアウト表示が1ずつカウントアップする仕様において、最初のペイアウト表示から計時を開始してもよいし、最後のペイアウト表示から計時を開始してもよい。なお、メインCPU200aが、ペイアウト表示からの時間を計時し、計時した時間が所定時間に到達するとペイアウト表示をクリアする構成を採用している場合、メインCPU200aは、電源切断および電源投入のいずれか一方または双方に応じてペイアウト表示をクリアしてもよいし、しなくてもよい。メインCPU200aが、電源切断および電源投入のいずれか一方または双方に応じてペイアウト表示をクリアしない仕様を採用している場合において、ペイアウト表示からの経過時間の計時の途中で電源が切断された場合、それまで計時していた時間を保持し、電源の再投入時から、計時を再開してもよいし、電源の再投入時に最初から計時してもよい。
【0540】
ところで、上述したように、遊技メダル数表示装置114は、メダル保持部に保持された電子化メダルの総数、すなわち、遊技メダル数を表示する。遊技者は、遊技メダル数表示装置114を通じて、遊技に用いることが可能な遊技メダル数を把握することができる。
【0541】
ここで、何らかの事情により、スマートパチスロ100の電源が切断されたとする。この場合、図6の初期化処理S900で説明したように、電源を再投入することで、電断前の状態に復帰させることができる。したがって、遊技メダル数表示装置114には、電源が切断される直前の遊技メダル数が再度表示される。
【0542】
しかし、スマートパチスロ100は、主制御基板200、副制御基板202、メダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、および、各基板に接続された様々な装置で構成され、それら全てが有効に機能しないと遊技を進行することはできない。また、同様に、スマートパチスロ100は、専用ユニット350との通信を適切に確立しなければ遊技を進行することができない。例えば、主制御基板200は、初期化処理において、副制御基板202の起動が完了するまでの10.5秒の間、メダル数制御基板204との通信の開始を待機する。
【0543】
このように、スマートパチスロ100の全ての機能が有効になり、遊技者が遊技可能となるまでには比較的長時間を要する。ここで、スマートパチスロ100の全ての機能が有効になってから、はじめて、遊技メダル数表示装置114に電源が切断される直前の遊技メダル数が表示されるとなると、遊技者は、遊技に用いることが可能な遊技メダル数を直ぐに確認することができない。また、不意な電断時においても、このように遊技メダル数の表示が遅れると、遊技者は、獲得した遊技メダル数が有効に保持されているか不安を覚えることとなる。
【0544】
そこで、本実施形態では、スマートパチスロ100の全ての機能が有効になる前に、遊技メダル数表示装置114の表示を電断前の状態に復帰させる。以下、その具体例を示す。
【0545】
メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の電源が安定し、主制御基板200との通信を確立して、主制御基板200からコマンド、例えば、起動時コマンドを適切に受信すると、上述したように、遊技機設置情報受信処理およびメーカコード確認処理を行って、遊技の進行に応じてメダル数の制御を開始する。メダルCPU204aは、このように、主制御基板200からコマンドを受信した後、遊技メダル数表示装置114の表示を再開するとともに、メダル保持部の遊技メダル数の更新を再開することができる。
【0546】
本実施形態において、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の電源が安定した後、主制御基板200からコマンドを受信する前段階において、コマンドの受信を待つことなく、遊技メダル数表示装置114の表示を再開し、電源が切断される直前の遊技メダル数を表示する。なお、この段階では、メダルCPU204aは、メダル保持部における遊技メダル数の更新は行わない。そして、メダルCPU204aは、主制御基板200からコマンドを受信した後、メダル保持部の遊技メダル数の更新を再開する。
【0547】
メダルCPU204aは、主制御基板200の起動条件に依存することなく、独立して遊技メダル数を管理することができる。したがって、このように、主制御基板200の機能が有効になるまでに、メダルCPU204aが、主制御基板200から独立して遊技メダル数表示装置114の表示を再開し、電源が切断される直前の遊技メダル数を表示したとしても、主制御基板200には影響を及ぼさない。
【0548】
かかる構成により、遊技者は、スマートパチスロ100の電源が切断された場合であっても、電源投入直後に、遊技メダル数表示装置114を通じて電源が切断される直前の遊技メダル数が保持されていることを確認することが可能となる。したがって、遊技者は、獲得した遊技メダル数が有効に保持されていることに安心感を得ることができる。また、仮に、主制御基板200や専用ユニット350において、何らかの不具合により機能が停止していたり、通信ができない場合であっても、遊技者は、電源が切断される直前の遊技メダル数を確認することが可能となる。
【0549】
なお、図7を用いて説明したように、遊技メダル数表示装置114への遊技メダル数の表示はタイマ割込み処理で周期的に行われている。したがって、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の電源が安定し、かつ、タイマ割込み処理が開始された後に、遊技メダル数表示装置114に遊技メダル数を表示することとなる。
【0550】
また、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の電源が安定すると、VL接続信号の状態(ON/OFF)を取得する。メダルCPU204aは、VL接続信号がON状態であれば、すなわち、専用ユニット350に電源が投入され、かつ、メダル数制御基板204と専用ユニット350とが適切に接続されていると判定すると、遊技メダル数表示装置114の表示を再開するとともに、メダル保持部の遊技メダル数の更新を再開することができる。
【0551】
本実施形態において、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の電源が安定した後、VL接続信号の状態を取得する前段階に、VL接続信号がON状態となるのを待つことなく、遊技メダル数表示装置114の表示を再開し、電源が切断される直前の遊技メダル数を表示する。この段階では、メダルCPU204aは、メダル保持部における遊技メダル数の更新は行わない。そして、メダルCPU204aは、VL接続信号がON状態となった後、メダル保持部の遊技メダル数の更新を再開する。
【0552】
メダルCPU204aは、専用ユニット350の起動条件に依存することなく、独立してメダル保持部の遊技メダル数を管理することができる。したがって、このように、専用ユニット350との通信を確立するまでに、メダルCPU204aが、専用ユニット350から独立して遊技メダル数表示装置114の表示を再開し、電源が切断される直前の遊技メダル数を表示したとしても、専用ユニット350には影響を及ぼさない。
【0553】
かかる構成により、遊技者は、専用ユニット350の電源が切断された場合であっても、電源投入直後に、遊技メダル数表示装置114を通じて、電源が切断される直前の遊技メダル数が保持されていることを確認することが可能となる。したがって、遊技者は、獲得した遊技メダル数が有効に保持されていることに安心感を得ることができる。また、仮に、主制御基板200や専用ユニット350において、何らかの不具合により機能が停止していたり、通信ができない場合であっても、遊技者は、電源が切断される直前の遊技メダル数を確認することが可能となる。
【0554】
このように、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の電源が安定した後、主制御基板200や専用ユニット350との通信を確立する前に、遊技メダル数表示装置114の表示を再開し、電源が切断される直前の遊技メダル数を表示する。しかし、遊技メダル数表示装置114自体が有効に機能していない状態で遊技メダル数の表示を開始すると、誤った数値が表示されたり、表示はされているが数値として認識できないおそれがある。
【0555】
そこで、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の電源が安定した後、遊技メダル数表示装置114の動作確認処理を実行し、その後、遊技メダル数表示装置114に電源が切断される直前の遊技メダル数を表示する。ここで、動作確認処理は、図4を用いて説明した7セグメントLEDである集合発光体L1~L5が適切に発光(動作)するか否かを確認(視認)する処理である。具体的に、メダルCPU204aは、集合発光体L1~L5の全てのセグメントを3秒間点滅させる。ここでは、集合発光体L1~L5の発光態様を「点滅」とすることで、ホールの店員は、セグメントそれぞれについて、点灯状態と消灯状態とが適切に切り換えられていることを確認することができる。こうして、メダルCPU204aは、動作確認処理の実行完了後、例えば、電源を投入してから3.5秒後に遊技メダル数表示装置114に電源が切断される直前の遊技メダル数を表示することとなる。
【0556】
以下、電源投入後のメインCPU200aとメダルCPU204aとの関係を示すため、主制御基板200のメイン処理とメダル数制御基板204のメイン処理、特に、主制御基板200の初期化処理S100とメダル数制御基板204の初期化処理S900を説明する。
【0557】
図61は、主制御基板200の初期化処理S100を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について説明し、本実施形態の特徴と無関係の処理については説明を省略する。
【0558】
(ステップS101)
メインCPU200aの機能部である初期化手段300は、まず、メインCPU200aに内蔵している専用レジスタの設定を行う。初期化手段300は、例えば、コマンド送受信手段316等が用いるシリアル通信の通信規格、タイマ割込みの時間等を設定する。
【0559】
(ステップS102)
続いて、初期化手段300は、副制御基板202の起動が完了する起動時間(例えば、10.5秒)が経過したか否か判定する。その結果、起動時間が経過していなければ、ステップS102の処理を繰り返し、起動時間が経過していれば、ステップS103の処理に移行する。こうして、主制御基板200は、副制御基板202の起動が完了するまで待機することとなる。
【0560】
(ステップS103)
起動時間が経過すると、初期化手段300は、メインRAM200cのチェックサムを確認する。具体的に、初期化手段300は、電断時に書き込まれたバックアップフラグを読み出し、そのバックアップフラグが正常な所定の値(例えば55h)であるか否か判定する。バックアップフラグが正常な所定の値であれば、初期化手段300は、チェックサムの対象となるメインRAM200cの領域全てに対して、チェックサムを実行する。初期化手段300は、かかるチェックサムの結果と、電断時に書き込まれたチェックサムの結果とが一致しているか否か、すなわち、対象となるメインRAM200cの領域のデータが正常に保持されているか否か判定する。その結果、チェックサムの結果が一致していれば、初期化手段300はRAMエラーフラグをOFFする。一方、チェックサムの結果が一致していない、または、バックアップフラグが正常な所定の値ではない場合、初期化手段300はRAMエラーフラグをONする。
【0561】
(ステップS104)
次に、初期化手段300は、設定キーがONしているか否か判定する。その結果、設定キーがONしていれば、ステップS105に処理を移行し、設定キーがOFFであれば、ステップS108に処理を移行する。
【0562】
(ステップS105)
設定キーがONであると判定されれば、設定値が変更されるとして、初期化手段300は、メインRAM200cの内容をクリアする。
【0563】
(ステップS106)
続いて、初期化手段300は、メダル数制御基板204と通信を行う準備ができたことを伝達するため、メダルCPU204aに起動時コマンドを送信する。
【0564】
(ステップS107)
次に、初期化手段300は、上述した設定変更モードを実行し、設定変更スイッチの押下操作に応じて設定値を1ずつ加算し、また、スタートスイッチ118の操作に応じて、その時点の設定値を、それ以降の設定値として保持する。そして、設定キーがOFFにされると、初期化手段300は、図5のステップS200からステップS800までの通常のメインループ処理に移行する。
【0565】
(ステップS108)
上記ステップS104において、設定キーがOFFであると判定されれば、初期化手段300は、RAMエラーフラグがONであるか否か判定する。その結果、RAMエラーフラグがONでなければ(OFFであれば)、ステップS109に処理を移行し、RAMエラーフラグがONであれば、ステップS111に処理を移行する。
【0566】
(ステップS109)
RAMエラーフラグがOFFであると判定されれば、設定値が変更されることなく電源が投入されたとして、初期化手段300は、メダル数制御基板204と通信を行う準備ができたことを伝達するため、メダルCPU204aに起動時コマンドを送信する。
【0567】
(ステップS110)
続いて、初期化手段300は、電源復帰に関する所定の処理を行い、電源断が生じる前の状態(元の状態)に復帰し、その元の状態から処理を再開する。
【0568】
(ステップS111)
上記ステップS108において、RAMエラーフラグがONであると判定されれば、初期化手段300は、メインRAM200cを正常に利用可能か否か判定するため、メインRAM200cの内容をクリアする。
【0569】
(ステップS112)
続いて、初期化手段300は、メダル数制御基板204と通信を行う準備ができたことを伝達するため、メダルCPU204aに起動時コマンドを送信する。
【0570】
(ステップS113)
次に、初期化手段300は、クリアしたメインRAM200cが異常であるか否か判定する。その結果、メインRAM200cが異常であれば、ステップS114に処理を移行し、メインRAM200cが異常でなければ、ステップS115に処理を移行する。
【0571】
(ステップS114)
メインRAM200cが異常であると判定されれば、初期化手段300は、例えば、メインセグメント表示部130にエラーコード「EA」を表示するように指令する。なお、エラーコード「EA」は、上記のように、メインRAM200cの読み書きが正常に行えないRAM異常を検出した場合に生じるエラーを示す。
【0572】
(ステップS115)
上記ステップS113において、メインRAM200cが異常ではないと判定されれば、初期化手段300は、例えば、メインセグメント表示部130にエラーコード「E7」を表示するように指令する。なお、エラーコード「E7」は、上記のように、電源スイッチ148の投入時においてRAMのバックアップ異常を検出した場合に生じるバックアップエラーを示す。
【0573】
(ステップS116)
続いて、初期化手段300は、スマートパチスロ100の動作の進行を停止するエラーストップ処理を実行する。このようにエラーストップ処理が実行されると、再度、電源を切断し、設定変更モードに移行させない限り、図5のステップS200からステップS800までの通常のメインループ処理に移行することはない。
【0574】
図61で示したように、メインCPU200aは、少なくとも副制御基板202の起動が完了するまで10.5秒の間待機した後、起動時コマンドをメダルCPU204aに送信する。ここで、メダルCPU204aが起動時コマンドの受信を待って遊技メダル数表示装置114に遊技メダル数を表示するとなると、遊技者は、遊技に用いることが可能な遊技メダル数を直ぐに確認できない。そこで、メダルCPU204aは、起動時コマンドの受信を待つことなく、以下のように動作する。
【0575】
図62は、メダル数制御基板204の初期化処理S900を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について説明し、本実施形態の特徴と無関係の処理については説明を省略する。
【0576】
(ステップS900-1)
メダルCPU204aは、まず、メダルCPU204aに内蔵している専用レジスタの設定を行う。メダルCPU204aは、例えば、メダル数制御基板204で用いられるシリアル通信の通信規格、タイマ割込みの時間等を設定する。
【0577】
(ステップS900-2)
続いて、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の起動が完了する起動時間(例えば、0.5秒)が経過したか否か判定する。その結果、起動時間が経過していなければ、ステップS900-2の処理を繰り返し、起動時間が経過していれば、ステップS900-3の処理に移行する。
【0578】
(ステップS900-3)
起動時間が経過すると、メダルCPU204aは、メダルRAM204cのチェックサムを確認する。具体的に、メダルCPU204aは、電断時に書き込まれたバックアップフラグを読み出し、そのバックアップフラグが正常な所定の値(例えば55h)であるか否か判定する。バックアップフラグが正常な所定の値であれば、メダルCPU204aは、チェックサムの対象となるメダルRAM204cの領域全てに対して、チェックサムを実行する。かかるチェックサムの結果と、電断時に書き込まれたチェックサムの結果とが一致しているか否か、すなわち、対象となるメダルRAM204cの領域のデータが正常に保持されているか否か判定する。その結果、チェックサムの結果が一致していれば、RAMエラーフラグをOFFする。一方、チェックサムの結果が一致していない、または、バックアップフラグが正常な所定の値ではない場合、RAMエラーフラグをONする。
【0579】
(ステップS900-4)
次に、メダルCPU204aは、不図示の遊技メダル数クリアスイッチが操作されているか否か判定する。その結果、遊技メダル数クリアスイッチが操作されていれば、ステップS900-5に処理を移行し、遊技メダル数クリアスイッチが操作されていなければ、ステップS900-8に処理を移行する。
【0580】
(ステップS900-5)
遊技メダル数クリアスイッチが操作されていると判定されれば、初期化手段300は、メダル保持部に保持された遊技メダル数をクリアする(0にする)。
【0581】
(ステップS900-6)
続いて、メダルCPU204aは、3秒間に亘り集合発光体L1~L5が適切に発光(動作)するか否かを確認する動作確認処理を行う。
【0582】
(ステップS900-7)
次に、メダルCPU204aは、遊技メダル数表示装置114に現在の遊技メダル数、すなわち0を表示する。そして、メダルCPU204aは、図6のステップS910からステップS950までの通常のメインループ処理に移行する。
【0583】
(ステップS900-8)
上記ステップS900-4において遊技メダル数クリアスイッチが操作されていないと判定されば、メダルCPU204aは、RAMエラーフラグがONであるか否か判定する。その結果、RAMエラーフラグがONでなければ(OFFであれば)、ステップS900-9に処理を移行し、RAMエラーフラグがONであれば、ステップS900-12に処理を移行する。
【0584】
(ステップS900-9)
RAMエラーフラグがOFFであると判定されれば、正常に電源が投入されたとして、メダルCPU204aは、3秒間に亘り集合発光体L1~L5が適切に発光(動作)するか否かを確認する動作確認処理を行う。
【0585】
(ステップS900-10)
続いて、メダルCPU204aは、遊技メダル数表示装置114に電源が切断される直前の遊技メダル数を表示する。
【0586】
(ステップS900-11)
次に、メダルCPU204aは、主制御基板200との通信を確立して、主制御基板200からのコマンドの受信待ち状態に移行する。ここでは、遊技メダル数表示装置114が有効に機能していない状態での遊技メダル数の更新を回避するため、動作確認処理S900-9の実行後にコマンド受信待ち状態に移行することとしている。
【0587】
(ステップS900-12)
上記ステップS900-8において、RAMエラーフラグがONであると判定されれば、メダルCPU204aは、メダルRAM204cを正常に利用可能か否か判定するため、メダルRAM204cの内容をクリアする。
【0588】
(ステップS900-13)
続いて、メダルCPU204aは、3秒間に亘り集合発光体L1~L5が適切に発光(動作)するか否かを確認する動作確認処理を行う。
【0589】
(ステップS900-14)
次に、メダルCPU204aは、遊技メダル数表示装置114に現在の遊技メダル数、すなわち0を表示する。
【0590】
(ステップS900-15)
続いて、メダルCPU204aは、クリアしたメダルRAM204cが異常であるか否か判定する。その結果、メダルRAM204cが異常であれば、ステップS900-16に処理を移行し、メダルRAM204cが異常でなければ、ステップS900-17に処理を移行する。
【0591】
(ステップS900-16)
メダルRAM204cが異常であると判定されれば、メダルCPU204aは、メダルセグメント表示部204dにエラーコード「A」を表示する。なお、エラーコード「A」は、上記のように、メダルRAM204cの読み書きが正常に行えないRAM異常を検出した場合に生じるエラーを示す。
【0592】
(ステップS900-17)
上記ステップS900-15において、メダルRAM204cが異常ではないと判定されれば、メダルCPU204aは、例えば、メダルセグメント表示部204dにエラーコード「7」を表示するように指令する。なお、エラーコード「7」は、上記のように、電源スイッチ148の投入時においてRAMのバックアップ異常を検出した場合に生じるバックアップエラーを示す。
【0593】
(ステップS900-18)
次に、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204の動作の進行を停止するエラーストップ処理を実行する。このようにエラーストップ処理が実行されると、再度、電源を切断しない限り、図6のステップS910からステップS950までの通常のメインループ処理に移行することはない。
【0594】
ここでは、メダルCPU204aが、メダル数制御基板204の電源が安定した後、主制御基板200からコマンドを受信する前段階において、コマンドの受信を待つことなく、まず、遊技メダル数表示装置114の表示を再開し、電源が切断される直前の遊技メダル数を表示する。かかる構成により、遊技者は、遊技メダル数表示装置114を通じて、電源投入直後に、電源が切断される直前の遊技メダル数が保持されていることを確認することが可能となる。また、仮に、主制御基板200や専用ユニット350において、何らかの不具合により機能が停止していたり、通信ができない場合であっても、遊技者は、電源が切断される直前の遊技メダル数を確認することが可能となる。
【0595】
このように、遊技価値(例えば、電子化メダル)の貸し出しを行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能なスマートパチスロ100は、遊技の進行を制御する第1制御部(例えば、メインCPU200a)と、第1制御部および特定ユニットと通信可能であり、遊技価値を管理する第2制御部(例えば、メダルCPU204a)と、遊技価値を表示する表示手段(例えば、遊技メダル数表示装置114)と、を備え、第1制御部の電源が投入されてから、その機能が有効になるまでの時間(例えば、10.5秒)は、第2制御部の電源が投入されてから、その機能が有効になるまでの時間(例えば、3.5秒)より長く、第2制御部は、第1制御部からコマンドを受信する前に遊技価値を表示手段に表示する。
【0596】
ここで、第2制御部は、第1制御部からコマンドを受信する前に遊技価値を表示手段に表示する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、第2制御部の電源が安定しさえすれば、第1制御部の機能が有効となる前や、第1制御部との通信を確立する前に遊技価値を表示手段に表示することもできる。
【0597】
また、遊技価値(例えば、電子化メダル)の貸し出しを行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能なスマートパチスロ100は、遊技の進行を制御する第1制御部(例えば、メインCPU200a)と、第1制御部および特定ユニットと通信可能であり、遊技価値を管理する第2制御部(例えば、メダルCPU204a)と、遊技価値を表示する表示手段と、を備え、特定ユニットの電源が投入されてから、その機能が有効になるまでの時間は、第2制御部の電源が投入されてから、その機能が有効になるまでの時間より長く、第2制御部は、特定ユニットのVL接続信号がON状態となる前に遊技価値を表示手段に表示する。
【0598】
ここで、第2制御部は、特定ユニットのVL接続信号がON状態となる前に遊技価値を表示手段に表示する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、第2制御部の電源が安定しさえすれば、特定ユニットの機能が有効となる前や、特定ユニットとの通信を確立する前に遊技価値を表示手段に表示することもできる。
【0599】
(スイッチの操作)
図2および図3を用いて説明したように、遊技者の意思により電子化メダルを転送可能なスイッチとして、スマートパチスロ100には、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112が設けられ、また、専用ユニット350には、貸出スイッチ366が設けられている。このようなベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112、貸出スイッチ366は、例えば、モーメンタリ動作を行う押しボタンスイッチ(プッシュスイッチ)で構成され、可動部に押圧をかけている間、ON状態となり、押圧を解除するとOFF状態となる。ここでは、スイッチの可動部に押圧をかけてON状態とすることを、単に「操作」すると言う場合がある。また、可動部に連続的に押圧をかけてON状態を維持することを、「操作を維持」すると言う場合がある。また、各スイッチの操作に応じて電子化メダルの管理先が変更されることを「転送」すると言う場合がある。
【0600】
遊技者が、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112、貸出スイッチ366を単独で操作すると、以下のように動作する。例えば、遊技者がベットスイッチ116を操作すると、1遊技の開始条件として、メダル数制御基板204のメダル保持部から遊技メダル数の一部の電子化メダルが投入(ベット)される投入処理が実行される。なお、ベットスイッチ116には、上記のように、1遊技で必要とされる規定数の電子化メダルを投入(ベット)するマックスベットスイッチ、規定数の範囲内で1枚分の電子化メダルを追加的に投入する1ベットスイッチが含まれる。以下では、ベットスイッチ116としてマックスベットスイッチを例に挙げて説明するが、1ベットスイッチに置き換え可能なことは言うまでもない。また、遊技者がベットスイッチ116を操作した場合、厳密には、OFF状態からON状態へのONエッジ(変化点)を有効な操作と判断し、ONエッジに対して1度のみ投入処理が行われる。したがって、ベットスイッチ116を操作し続けたとしても、ベットスイッチ116をOFF状態にしない限り、改めて投入処理が行われることはない。
【0601】
また、遊技者が精算スイッチ121を操作すると、投入されていた電子化メダルが精算されてメダル数制御基板204のメダル保持部に加算される精算処理が実行される。なお、遊技者が精算スイッチ121を操作した場合、厳密には、OFF状態からON状態へのONエッジ(変化点)を有効な操作と判断し、ONエッジに対して1度のみ精算処理が行われる。したがって、精算スイッチ121を操作し続けたとしても、精算スイッチ121をOFF状態にしない限り、改めて精算処理が行われることはない。
【0602】
また、遊技者が計数スイッチ112を操作すると、スマートパチスロ100のメダル数制御基板204のメダル保持部から専用ユニット制御基板360に電子化メダルが転送されて計数される計数処理が実行される。なお、ここでは、遊技者が計数スイッチ112を操作開始(OFF状態からON状態へ変化)してから、その操作を維持している(ON状態を継続している)時間に応じて、計数される電子化メダルの数が異なる。例えば、遊技者が計数スイッチ112を短押し(500msec未満の操作)すると、操作毎に電子化メダルが1枚計数される。また、遊技者が計数スイッチ112を長押し(500msec以上の操作)すると、300msec毎の計数通知を行うタイミングで電子化メダルが50枚ずつ計数される。したがって、例えば、遊技メダル数1000枚を長押しで計数すると約6秒間(300msec×(1000/50))を要することがわかる。
【0603】
また、遊技者が貸出スイッチ366を操作すると、専用ユニット制御基板360からスマートパチスロ100のメダル数制御基板204に電子化メダルが貸し出される貸出処理が実行される。なお、ここでは、遊技者が貸出スイッチ366を操作開始(OFF状態からON状態へ変化)してから、その操作を維持している(ON状態を継続している)時間に応じて貸し出される電子化メダルの数が異なる。例えば、遊技者が貸出スイッチ366を短押し(2.5sec未満の操作)すると、電子化メダルが50枚だけ貸し出される。また、遊技者が貸出スイッチ366を長押し(2.5sec以上の操作)すると、操作開始のタイミングおよび2.5sec毎の貸出通知を行うタイミングで電子化メダルが50枚ずつ貸し出される。なお、以下では、遊技者が貸出スイッチ366を長押しすることで、専用ユニット350から2.5sec毎に貸出通知が送信される例を挙げて説明するが、かかる場合に限らず、遊技者の貸出スイッチ366の操作時間に拘わらず、ONエッジに応じて1度のみ貸出通知が送信されるとしてもよい。
【0604】
このようなベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112、貸出スイッチ366は、それぞれ取付位置を異にしており、それぞれを独立して操作することができる。したがって、遊技者は、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112、貸出スイッチ366のうち任意の複数のスイッチを同時に操作することができる。このように、複数のスイッチが同時に操作された場合の対応としては、いずれの処理も有効に機能させない、いずれか1の処理のみ有効に機能させる、または、いずれの処理も有効に機能させるといったように、様々な処理が考えられる。ここで、遊技者が複数のスイッチを同時に操作したということは、遊技者は、それらのスイッチ全てを有効に機能させ、電子化メダルの転送に係る複数の処理を同時に行うことを望んでいると考えることができる。また、遊技者のみならず、ホールの店員、スマートパチスロ100の開発者、スマートパチスロ100のバグ検証者等、スマートパチスロ100の取り扱いに関連する者も、複数のスイッチを連動させることで電子化メダルの転送を迅速に行うことを望んでいる。ここでは、いずれの処理も有効に機能させることによって、スイッチ操作に関する利便性の向上を図る。
【0605】
ここで、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112、貸出スイッチ366のうち、1のスイッチのON状態が維持されているとき、他のスイッチもON状態することで、複数のスイッチが重複してON状態となることを「重複操作」すると言う場合がある。なお、重複操作には、複数のスイッチが同タイミングに押圧開始され、いずれもON状態となる場合も含む。ここでは、複数のスイッチが重複操作された場合に、いずれのスイッチも有効に操作されたものと判定し、スイッチそれぞれに対応する処理を実行する。
【0606】
図63は、ベットスイッチ116との重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。ここでは、ベットスイッチ116が先にON状態となり、その後、精算スイッチ121、計数スイッチ112、貸出スイッチ366のいずれかがON状態となった場合を示している。なお、説明の便宜上、以下の説明において、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は、現金の度数を貸出後の電子化メダルの数で表している。
【0607】
図63(a)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が10であったとする。図63(a)に示すように、ベットスイッチ116が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3加算されて「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「7」となる。続いて、ベットスイッチ116の操作が維持された状態で、精算スイッチ121が操作されると、その操作は有効と判断され、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3減算されて「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「10」となる。
【0608】
上記のように、ベットスイッチ116はONエッジの検出時にしか投入処理が実行されない。換言すれば、ベットスイッチ116は、ON状態を維持していても、ONエッジ以外のタイミングではベットスイッチ116としての機能を果たさない。したがって、ONエッジ後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態に変化したとしても、電子化メダルは転送されない。例えば、図63(a)では、ベットスイッチ116の操作が維持された状態で、精算スイッチ121のONエッジに応じて電子化メダルが精算されている。このとき、仮に、ベットスイッチ116が有効と判断されるとすると、再び投入処理が実行されることとなる。この場合、ベットスイッチ116および精算スイッチ121が重複操作されている間、投入処理と精算処理とが交互に繰り返されることとなる。ここでは、ベットスイッチ116がON状態を維持している間、他のスイッチを有効と判断する一方で、ONエッジ以外のタイミングではベットスイッチ116自体を有効と判断しない。こうして、投入処理と精算処理とを繰り返す煩雑な動作を防止することができる。
【0609】
なお、ベットスイッチ116と精算スイッチ121の操作が完全に同時に開始された場合、すなわち、同一のメインループ内でベットスイッチ116のONエッジと精算スイッチ121のONエッジの両方を検出した場合は、精算処理>ベット処理の優先順位で処理が実行される。すなわち、ベットスイッチ116と精算スイッチ121とが同時に操作された場合に、既にベットされている電子化メダルがあれば、精算処理が優先して行われ、ベットスイッチ116は操作されなかったものとして投入処理は行われない。一方、ベットスイッチ116と精算スイッチ121とが同時に操作された場合に、未だ電子化メダルがベットされていなければ(0であれば)、精算処理を行うことができないので、投入処理が有効に行われる。
【0610】
図63(b)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が100であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図63(b)に示すように、ベットスイッチ116が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3加算されて「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「97」となる。続いて、ベットスイッチ116の操作が維持された状態で、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ここでは、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「47」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が47減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が47加算されて「97」となる。
【0611】
上記のように、ベットスイッチ116は、ONエッジの検出時にしか処理が実行されないので、その後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、電子化メダルの転送は実行されない。また、計数処理が実行された結果、遊技メダル数が「0」となると、300msec毎に計数スイッチ112の操作が有効と判断されたとしても、図63(b)のように、計数処理は行われない。したがって、遊技メダル数が「0」となった後、計数スイッチ112のON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、そのタイミングに拘わらず、計数処理は行われず、遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化しない。
【0612】
図63(c)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が100であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は100(度数=10)であったとする。図63(c)に示すように、ベットスイッチ116が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3加算されて「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「97」となる。続いて、ベットスイッチ116の操作が維持された状態で、貸出スイッチ366が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて電子化メダルが貸し出される。ここでは、遊技者が貸出スイッチ366を操作開始した時点(ONエッジ)で、遊技メダル数が50加算されて「147」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「50」(度数=5)となる。その後、遊技者が貸出スイッチ366の操作を開始してから2.5sec経過した時点で、遊技メダル数が50加算されて「197」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「0」(度数=0)となる。
【0613】
上記のように、ベットスイッチ116はONエッジの検出時にしか投入処理が実行されない。ここで、仮に、遊技メダル数が「0」の状態でベットスイッチ116を操作したとする。しかし、遊技メダル数が「0」なので電子化メダルがベットされることはない。その後、ベットスイッチ116の操作が維持された状態で、貸出スイッチ366が操作され、遊技メダル数が0以外になったとする。このとき、仮に、ベットスイッチ116が有効と判断されるとすると、再び投入処理が実行され、遊技者が意図しないタイミングで電子化メダルがベットされることとなる。ここでは、ベットスイッチ116がON状態を維持している間、他のスイッチを有効と判断する一方で、ONエッジ以外のタイミングではベットスイッチ116自体を有効と判断しない。こうして、意図しない電子化メダルのベットを防止することができる。
【0614】
また、貸出処理が実行された結果、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が「0」になると、2.5sec毎に貸出スイッチ366の操作が有効と判断されたとしても、図63(c)のように、貸出処理は行われない。したがって、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が「0」となった後、貸出スイッチ366のON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、そのタイミングに拘わらず、貸出処理は行われず、遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化しない。
【0615】
図64は、精算スイッチ121との重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。ここでは、精算スイッチ121が先にON状態となり、その後、ベットスイッチ116、計数スイッチ112、貸出スイッチ366のいずれかがON状態となった場合を示している。
【0616】
図64(a)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は3であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が10であったとする。図64(a)に示すように、精算スイッチ121が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルが3減算されて「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「13」となる。続いて、精算スイッチ121の操作が維持された状態で、ベットスイッチ116が操作されると、その操作は有効と判断され、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3加算されて「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「10」となる。
【0617】
上記のように、精算スイッチ121はONエッジの検出時にしか処理が実行されない。換言すれば、精算スイッチ121は、ON状態を維持していても、ONエッジ以外のタイミングでは精算スイッチ121としての機能を果たさない。したがって、ONエッジ後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態に変化したとしても、電子化メダルは転送されない。例えば、図64(a)では、精算スイッチ121の操作が維持された状態で、ベットスイッチ116のONエッジに応じて電子化メダルがベットされている。このとき、仮に、精算スイッチ121が有効と判断されるとすると、再び精算処理が実行されることとなる。この場合、精算スイッチ121およびベットスイッチ116が重複操作されている間、精算処理と投入処理とが交互に繰り返されることとなる。ここでは、精算スイッチ121がON状態を維持している間、他のスイッチを有効と判断する一方で、ONエッジ以外のタイミングでは精算スイッチ121自体を有効と判断しない。こうして、精算処理と投入処理とを繰り返す煩雑な動作を防止することができる。
【0618】
図64(b)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は3であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が50であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図64(b)に示すように、精算スイッチ121が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルが3減算されて「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「53」となる。続いて、精算スイッチ121の操作が維持された状態で、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ここでは、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「3」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が3減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が3加算されて「53」となる。
【0619】
上記のように、精算スイッチ121は、ONエッジの検出時にしか処理が実行されないので、その後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、電子化メダルの転送は実行されない。また、計数処理が実行された結果、遊技メダル数が「0」となると、300msec毎に計数スイッチ112の操作が有効と判断されたとしても、図64(b)のように、計数処理は行われない。したがって、遊技メダル数が「0」となった後、計数スイッチ112のON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、そのタイミングに拘わらず、計数処理は行われず、遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化しない。
【0620】
図64(c)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は3であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が50であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は100(度数=10)であったとする。図64(c)に示すように、精算スイッチ121が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルが3減算されて「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「53」となる。続いて、精算スイッチ121の操作が維持された状態で、貸出スイッチ366が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて電子化メダルが貸し出される。ここでは、遊技者が貸出スイッチ366を操作開始した時点(ONエッジ)で、遊技メダル数が50加算されて「103」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「50」(度数=5)となる。その後、遊技者が貸出スイッチ366の操作を開始してから2.5sec経過した時点で、遊技メダル数が50加算されて「153」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「0」(度数=0)となる。
【0621】
上記のように、精算スイッチ121は、ONエッジの検出時にしか処理が実行されないので、その後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、電子化メダルの転送は実行されない。また、貸出処理が実行された結果、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が「0」になると、2.5sec毎に貸出スイッチ366の操作が有効と判断されたとしても、図64(c)のように、貸出処理は行われない。したがって、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が「0」となった後、貸出スイッチ366のON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、そのタイミングに拘わらず、貸出処理は行われず、遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化しない。
【0622】
図65は、計数スイッチ112との重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。ここでは、計数スイッチ112が先にON状態となり、その後、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、貸出スイッチ366のいずれかがON状態となった場合を示している。
【0623】
図65(a)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が100であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図65(a)に示すように、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ただし、遊技者が計数スイッチ112を長押ししている場合、計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過するまで遊技メダル数は変化しない。計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過するまでに、計数スイッチ112の操作が維持された状態で、ベットスイッチ116が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3加算されて「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「97」となる。続いて、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「47」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が47減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が47加算されて「97」となる。
【0624】
上記のように、計数スイッチ112が操作されると、計数スイッチ112の操作を開始してからの時間に応じて遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化する。また、計数処理が実行された結果、遊技メダル数が「0」となってしまうと電子化メダルのベットはできなくなる。したがって、ベットスイッチ116が操作開始されるタイミングによって投入処理が実行されるか否か決まる。例えば、図65(a)のように、まだ、遊技メダル数が残っている状態でベットスイッチ116が操作開始されると、投入処理が実行されることとなる。
【0625】
図65(b)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は3であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が50であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図65(b)に示すように、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ただし、遊技者が計数スイッチ112を長押ししている場合、計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過するまで遊技メダル数は変化しない。計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過するまでに、計数スイッチ112の操作が維持された状態で、精算スイッチ121が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルが3減算されて「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「53」となる。続いて、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「3」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が3減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が3加算されて「53」となる。
【0626】
計数スイッチ112が操作され、遊技メダル数が「0」となると、300msec毎に計数スイッチ112の操作が有効と判断されたとしても、図65(b)のように、計数処理は行われない。したがって、計数処理が実行された結果、遊技メダル数が「0」となった後、計数スイッチ112のON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、そのタイミングに拘わらず、計数処理は行われず、遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化しない。
【0627】
図65(c)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が100であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図65(c)に示すように、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ただし、遊技者が計数スイッチ112を長押ししている場合、計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過するまで遊技メダル数は変化しない。この間に、計数スイッチ112の操作が維持された状態で、貸出スイッチ366が操作されると、以下のように動作する。
【0628】
上述したように、スマートパチスロ100では、遊技が可能な間に計数スイッチ112が操作された場合、必ず計数処理を実行しなければならない。したがって、計数スイッチ112と貸出スイッチ366とが重複操作されると、計数スイッチ112を有効と判断し、貸出処理より計数処理を優先して実行する。
【0629】
具体的に、図11図18を用いて説明したように、メダルCPU204aのコマンド送受信手段342は、スマートパチスロ100の起動完了から300msec周期で、遊技機情報通知を専用ユニット350に送信する。また、コマンド送受信手段342は、その300msec周期において、計数通知を専用ユニット350に送信する。その後、専用ユニット350は、貸出通知をスマートパチスロ100に送信する。コマンド送受信手段342は、貸出通知の受信完了後、貸出受領結果応答を専用ユニット350に通知する。ここで、計数スイッチ112と貸出スイッチ366とが重複操作されると、コマンド送受信手段342は、計数メダル数を含む計数通知を専用ユニット350に送信し、専用ユニット350は、貸出メダル数を含む貸出通知をスマートパチスロ100に送信する。ここで、コマンド送受信手段342は、貸出受領結果応答において専用ユニット350に貸出メダル数受領結果「正常」と返信するところ、計数処理が行われていた場合には貸出メダル数受領結果「異常」と返信する。専用ユニット350は、貸出メダル数受領結果「異常」を含む貸出受領結果応答を受信することで、貸出通知における貸出メダル数を無効化し、その貸出処理は行われなかったものとして処理する。こうして、計数処理が優先して実行される一方で貸出処理が制限される。コマンド送受信手段342は、長押しにより計数処理が開始されると、メダル数更新手段344による計数処理を継続し、300msec周期で連続して計数通知を専用ユニット350に送信する。したがって、コマンド送受信手段342は、計数処理が完了するまで、貸出通知に対し、貸出メダル数受領結果「異常」を継続して応答することなる。そうすると、貸出処理は、計数処理が完了するまで、すなわち、遊技メダル数が「0」となるまで開始されない。
【0630】
したがって、図65(c)のように、計数スイッチ112の操作が維持された状態で、貸出スイッチ366が操作されたとしても、計数処理が優先して実行される。遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点Aで、遊技メダル数が50減算されて「50」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点Bで、遊技メダル数が50減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「100」となる。
【0631】
ここでは、計数処理が実行されている間、貸出処理の実行が制限されるが、このように、計数処理が完了し、遊技メダル数が「0」となると、貸出処理が可能となる。具体的に、遊技メダル数が0となった次の300msec周期の時点Cにおいて、コマンド送受信手段342は、計数処理の完了に応じ、貸出通知に対して貸出メダル数受領結果「正常」を応答する。そうすると、メダルCPU204aおよび専用ユニット350において、貸出通知に含まれる貸出メダル数が有効となり、遊技メダル数が50加算されて「50」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「50」となる。しかし、貸出処理が実行されることで遊技メダル数が0ではなくなると、また、計数スイッチ112が有効と判断され、計数処理が優先的に実行される。したがって、次の300msec周期の時点Dにおいて、メダル数更新手段344は、計数処理を実行し、遊技メダル数が50減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「100」となる。
【0632】
上述したように、計数処理が300msec周期で実行可能であるのに対し、貸出処理は2.5sec周期でしか実行できない。したがって、計数スイッチ112と貸出スイッチ366とが重複操作されている状態では、図65(c)に示すように、2.5sec周期の時点Eにおいて貸出処理が実行され、遊技メダル数が0と異なることで、300msec後の時点Fにおいて計数処理が行われるという2段階処理が繰り返されることとなる。
【0633】
なお、計数スイッチ112と貸出スイッチ366とが重複操作されている状態から、計数スイッチ112がOFF状態となると、貸出スイッチ366が有効と判断され、専用ユニット350に保持されている電子化メダルが0となるまで貸出処理が実行される。また、計数スイッチ112と貸出スイッチ366とが重複操作されている状態から、貸出スイッチ366がOFF状態となると、計数スイッチ112が有効と判断され、遊技メダル数が0となるまで計数処理が実行される。
【0634】
図66は、貸出スイッチ366との重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。ここでは、貸出スイッチ366が先にON状態となり、その後、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112のいずれかがON状態となった場合を示している。
【0635】
図66(a)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が100であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は100(度数=10)であったとする。図66(a)に示すように、貸出スイッチ366が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて電子化メダルが貸し出される。ここでは、遊技者が貸出スイッチ366を操作開始した時点(ONエッジ)で、遊技メダル数が50加算されて「150」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「50」(度数=5)となる。このように貸出スイッチ366の操作が維持されている状態(貸出通知が周期的に受信されている状態)において、貸出スイッチ366の操作を開始してから2.5sec経過するまでに、ベットスイッチ116が操作されると、その操作は有効と判断され、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「147」となる。続いて、遊技者が貸出スイッチ366の操作を開始してから2.5sec経過した時点で、遊技メダル数が50加算されて「197」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「0」(度数=0)となる。
【0636】
上記のように、専用ユニット350で保持される電子化メダルが「0」となると、2.5sec毎に貸出スイッチ366の操作が有効と判断されたとしても、図66(a)のように、貸出処理は行われない。したがって、貸出処理が実行された結果、専用ユニット350で保持される電子化メダルが「0」となった後、貸出スイッチ366のON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、そのタイミングに拘わらず、貸出処理は行われず、遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化しない。
【0637】
図66(b)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は3であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が50であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は100(度数=10)であったとする。図66(b)に示すように、貸出スイッチ366が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて電子化メダルが貸し出される。ここでは、遊技者が貸出スイッチ366を操作開始した時点(ONエッジ)で、遊技メダル数が50加算されて「100」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「50」(度数=5)となる。このように貸出スイッチ366の操作が維持されている状態(貸出通知が周期的に受信されている状態)において、貸出スイッチ366の操作を開始してから2.5sec経過するまでに、精算スイッチ121が操作されると、その操作は有効と判断され、ベットされていた電子化メダルの枚数が3減算され「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「103」となる。続いて、遊技者が貸出スイッチ366の操作を開始してから2.5sec経過した時点で、遊技メダル数が50加算されて「153」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「0」(度数=0)となる。
【0638】
貸出スイッチ366が操作され、専用ユニット350で保持されている電子化メダルが「0」となると、2.5sec毎に貸出スイッチ366の操作が有効と判断されたとしても、図66(b)のように、貸出処理は行われない。したがって、貸出処理が実行された結果、専用ユニット350で保持されている電子化メダルが「0」となった後、貸出スイッチ366のON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、そのタイミングに拘わらず、貸出処理は行われず、遊技メダル数および専用ユニット350に保持された電子化メダルの数は変化しない。
【0639】
図66(c)では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が50であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は50(度数=5)であったとする。図66(c)に示すように、貸出スイッチ366が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて電子化メダルが貸し出される。ここでは、遊技者が貸出スイッチ366を操作開始した時点(ONエッジ)で、遊技メダル数が50加算されて「100」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「0」となる。
【0640】
貸出スイッチ366の操作が維持されている状態(貸出通知が周期的に受信されている状態)において、貸出スイッチ366の操作を開始してから2.5sec経過するまでに、計数スイッチ112が操作されると、図65(c)を用いて説明したように、貸出処理より計数処理が優先して実行される。具体的に、図66(c)のように、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点Aで、遊技メダル数が50減算されて「50」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点Bで、遊技メダル数が50減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「100」となる。
【0641】
このように、計数処理が完了し、遊技メダル数が「0」となると、貸出処理が可能となる。具体的に、遊技メダル数が0となった次の300msec周期の時点Cにおいて、コマンド送受信手段342は、計数処理の完了に応じ、貸出通知に対して貸出メダル数受領結果「正常」を応答する。そうすると、メダルCPU204aおよび専用ユニット350において、貸出通知に含まれる貸出メダル数が有効となり、遊技メダル数が50加算されて「50」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「50」となる。しかし、貸出処理が実行されることで遊技メダル数が0ではなくなると、また、貸出処理より計数処理が優先的に実行される。したがって、次の300msec周期の時点Dにおいて、メダル数更新手段344は、計数処理を実行し、遊技メダル数が50減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「100」となる。
【0642】
上述したように、計数処理が300msec周期で実行可能であるのに対し、貸出処理は2.5sec周期でしか実行できない。したがって、計数スイッチ112と貸出スイッチ366とが重複操作されている状態では、図66(c)に示すように、2.5sec周期の時点Eにおいて貸出処理が実行され、遊技メダル数が0と異なることで、300msec後の時点Fにおいて計数処理が行われるという2段階処理が繰り返されることとなる。
【0643】
なお、図65同様、貸出スイッチ366と計数スイッチ112とが重複操作されている状態から、計数スイッチ112がOFF状態となると、貸出スイッチ366が有効と判断され、専用ユニット350に保持されている電子化メダルが0となるまで貸出処理が実行される。また、貸出スイッチ366と計数スイッチ112とが重複操作されている状態から、貸出スイッチ366がOFF状態となると、計数スイッチ112が有効と判断され、遊技メダル数が0となるまで計数処理が実行される。
【0644】
上記では、2つのスイッチが重複操作された場合に、いずれのスイッチも有効に操作されたものと判断し、スイッチそれぞれに対応する処理を実行する例を挙げて説明した。しかし、本実施形態では、かかる場合に限らず、3つや4つのスイッチが重複操作された場合もいずれのスイッチも有効に操作されたものと判断し、スイッチそれぞれに対応する処理を実行する。以下、3つのスイッチが重複操作される例を挙げる。
【0645】
図67は、3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの転送態様を示した説明図である。ここでは、ベットスイッチ116、精算スイッチ121、計数スイッチ112がその順でON状態となった場合を示している。
【0646】
図67では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が100であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図67に示すように、ベットスイッチ116が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「97」となる。続いて、ベットスイッチ116の操作が維持された状態で、精算スイッチ121が操作されると、その操作は有効と判断され、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3減算されて「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「100」となる。続いて、ベットスイッチ116および精算スイッチ121の操作が維持された状態で、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ここでは、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「50」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「100」となる。
【0647】
上記のように、ベットスイッチ116および精算スイッチ121はONエッジの検出時にしか処理が実行されないので、その後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、電子化メダルの転送は実行されない。また、計数処理が実行された結果、遊技メダル数が「0」となると、計数スイッチ112のON状態が維持され、300msec毎に計数スイッチ112の操作が有効と判断されたとしても、電子化メダルの転送は実行されない。
【0648】
図68は、3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの他の転送態様を示した説明図である。ここでは、精算スイッチ121、ベットスイッチ116、計数スイッチ112がその順でON状態となった場合を示している。
【0649】
図68では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は3であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が97であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図68に示すように、精算スイッチ121が操作されると、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルが3減算されて「0」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3加算されて「100」となる。続いて、精算スイッチ121の操作が維持された状態で、ベットスイッチ116が操作されると、その操作は有効と判断され、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は3加算されて「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「97」となる。続いて、ベットスイッチ116および精算スイッチ121の操作が維持された状態で、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ここでは、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「47」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が47減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が47加算されて「97」となる。
【0650】
上記のように、精算スイッチ121およびベットスイッチ116はONエッジの検出時にしか処理が実行されないので、その後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、電子化メダルの転送は実行されない。また、遊技メダル数が「0」となると、計数スイッチ112のON状態が維持され、300msec毎に計数スイッチ112の操作が有効と判断されたとしても、電子化メダルの転送は実行されない。
【0651】
図69は、3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの他の転送態様を示した説明図である。ここでは、計数スイッチ112、ベットスイッチ116、精算スイッチ121がその順でON状態となった場合を示している。
【0652】
図69では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が100であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は0であったとする。図69に示すように、計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ただし、遊技者が計数スイッチ112を長押ししている場合、計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過するまで遊技メダル数は変化しない。計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過するまでに、計数スイッチ112の操作が維持された状態で、ベットスイッチ116が操作されると、その操作は有効と判断され、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「97」となる。続いて、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「47」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が47減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が47加算されて「97」となる。
【0653】
ここで、計数スイッチ112およびベットスイッチ116の操作が維持された状態で、精算スイッチ121が操作されると、ベットされた電子化メダルの枚数は3減算されて「0」となり、遊技メダル数が3加算されて「3」となる。そして、300msec周期が到来すると、遊技メダル数が0ではないので、計数スイッチ112が有効と判断され、遊技メダル数が3減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が3加算されて「100」となる。
【0654】
上記のように、ベットスイッチ116はONエッジの検出時にしか処理が実行されないので、その後、ON状態が維持されていても、また、OFF状態になったとしても、電子化メダルの転送は実行されない。
【0655】
図70は、3つのスイッチの重複操作における電子化メダルの他の転送態様を示した説明図である。ここでは、貸出スイッチ366、ベットスイッチ116、計数スイッチ112がその順でON状態となった場合を示している。
【0656】
図70では、ベットされた電子化メダルの数(ベット数)は0であり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が50であり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数(専用メダル数)は50(度数=5)であったとする。図70に示すように、貸出スイッチ366が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて電子化メダルが貸し出される。ここでは、遊技者が貸出スイッチ366を操作開始した時点(ONエッジ)で、遊技メダル数が50加算されて「100」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50減算されて「0」となる。続いて貸出スイッチ366の操作が維持された状態で、ベットスイッチ116が操作されると、その操作は有効と判断され、ONエッジの検出に応じてベットされた電子化メダルの枚数は「3」となり、メダル保持部に保持された遊技メダル数が3減算されて「97」となる。貸出スイッチ366およびベットスイッチ116の操作が維持された状態で計数スイッチ112が操作されると、その操作は有効と判断され、操作開始から操作を維持している時間に応じて遊技メダル数が計数される。ここでは、遊技者が計数スイッチ112の操作を開始してから500msec経過した時点で、遊技メダル数が50減算されて「47」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が50加算されて「50」となる。また、さらに、300msec経過した時点で、遊技メダル数が47減算されて「0」となり、専用ユニット350に保持された電子化メダルの数が47加算されて「97」となる。
【0657】
このように、貸出スイッチ366と計数スイッチ112とが重複操作されていると、計数処理が実行されている間、貸出処理の実行が制限されるが、計数処理が完了し、遊技メダル数が「0」となると、貸出処理が可能となる。したがって、計数スイッチ112と貸出スイッチ366とが重複操作されている状態では、図70に示すように、2.5sec周期において貸出処理が実行され、遊技メダル数が0と異なることで、300msec後において計数処理が行われるという2段階処理が繰り返されることとなる。
【0658】
なお、貸出スイッチ366と計数スイッチ112とが重複操作されている状態から、計数スイッチ112がOFF状態となると、貸出スイッチ366が有効と判断され、専用ユニット350に保持されている電子化メダルが0となるまで貸出処理が実行される。また、貸出スイッチ366と計数スイッチ112とが重複操作されている状態から、貸出スイッチ366がOFF状態となると、計数スイッチ112が有効と判断され、遊技メダル数が0となるまで計数処理が実行される。
【0659】
上記の構成により、複数のスイッチを重複操作しても、先に操作されたスイッチおよび後に操作されたスイッチのいずれも有効と判断され、スイッチそれぞれに対応する処理が実行される。したがって、遊技者は、それらのスイッチに対応する、電子化メダルの転送に係る複数の処理を並行し、迅速に遊技を進行することが可能となる。また、遊技者のみならず、ホールの店員、スマートパチスロ100の開発者、スマートパチスロ100のバグ検証者等、スマートパチスロ100の取り扱いに関連する者も、電子化メダルの転送を迅速に行うことができる。こうして、スマートパチスロ100の利便性の向上を図ることが可能となる。
【0660】
このように、遊技価値(例えば、電子化メダル)の貸出を行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能な遊技機では、遊技の用に供することができる遊技価値の総数である遊技価値数(例えば、遊技メダル数)を遊技の進行に応じて更新する制御手段(例えば、メインCPU200aおよびメダルCPU204a)と、遊技価値数を表示する価値表示手段(例えば、遊技メダル数表示装置114)と、精算操作(例えば、遊技者による精算処理を行おうとする操作)を受け付ける精算操作手段(例えば、精算スイッチ121)と、計数操作(例えば、遊技者による計数処理を行おうとする操作)を受け付ける計数操作手段(例えば、計数スイッチ112)と、を備え、制御手段は、精算操作手段がONになった場合、遊技価値数を増加させる精算処理を実行可能であり、計数操作手段がONになった場合、遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、精算操作手段のONが維持されている状況下で計数操作手段がONになった場合であっても、計数処理を実行可能である。
【0661】
また、遊技価値(例えば、電子化メダル)の貸出を行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能な遊技機では、遊技の用に供することができる遊技価値の総数である遊技価値数(例えば、遊技メダル数)を遊技の進行に応じて更新する制御手段(例えば、メインCPU200aおよびメダルCPU204a)と、遊技価値数を表示する価値表示手段(例えば、遊技メダル数表示装置114)と、計数操作(例えば、遊技者による計数処理を行おうとする操作)を受け付ける計数操作手段(例えば、計数スイッチ112)と、精算操作(例えば、遊技者による精算処理を行おうとする操作)を受け付ける精算操作手段(例えば、精算スイッチ121)と、を備え、制御手段は、計数操作手段がONになった場合、遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、精算操作手段がONになった場合、遊技価値数を増加させる精算処理を実行可能であり、計数操作手段のONが維持されている状況下で精算操作手段がONになった場合であっても、精算処理を実行可能である。
【0662】
また、遊技価値(例えば、電子化メダル)の貸出を行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能な遊技機では、遊技の用に供することができる遊技価値の総数である遊技価値数(例えば、遊技メダル数)を遊技の進行に応じて更新する制御手段(例えば、メインCPU200aおよびメダルCPU204a)と、遊技価値数を表示する価値表示手段(例えば、遊技メダル数表示装置114)と、投入操作(例えば、遊技者によるベットを行おうとする操作)を受け付ける投入操作手段(例えば、ベットスイッチ116)と、を備え、遊技価値数を増加させる貸出処理が実行されることがあり、制御手段は、投入操作手段がONになった場合、遊技価値数を減少させる投入処理を実行可能であり、貸出処理が実行されている状況下で投入操作手段がONになった場合であっても、投入処理を実行可能である。
【0663】
また、遊技価値(例えば、電子化メダル)の貸出を行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能な遊技機では、遊技の用に供することができる遊技価値の総数である遊技価値数(例えば、遊技メダル数)を遊技の進行に応じて更新する制御手段(例えば、メインCPU200aおよびメダルCPU204a)と、遊技価値数を表示する価値表示手段(例えば、遊技メダル数表示装置114)と、投入操作(例えば、遊技者によるベットを行おうとする操作)を受け付ける投入操作手段(例えば、ベットスイッチ116)と、計数操作(例えば、遊技者による計数処理を行おうとする操作)を受け付ける計数操作手段(例えば、計数スイッチ112)と、を備え、制御手段は、投入操作手段がONになった場合、遊技価値数を減少させる投入処理を実行可能であり、計数操作手段がONになった場合、遊技価値数を減少させる計数処理を実行可能であり、投入操作手段のONが維持されている状況下で計数操作手段がONになった場合であっても、計数処理を実行可能である。
【0664】
(液晶表示部124における演出表示)
上述したように、スマートパチスロ100、スロットマシン、スマートパチンコ、および、パチンコ機において遊技が所定時間(例えば、60秒)行われないと(遊技者がスマートパチスロ100等に対して所定の操作を入力せずに所定時間が経過した場合)、演出制御手段334は、待機演出(デモ演出)を実行し、液晶表示部124に待機画面(デモ画面)を表示する。待機画面は、遊技の休止を表すため、背景を黒、白もしくはブランクにする場合がある。また、待機演出は、進行中の演出に代えて、遊技の開始を促したり、スマートパチスロ100のデモンストレーションを行うこともある。
【0665】
また、演出制御手段334は、待機演出を実行している間に、スマートパチスロ100やスマートパチンコに関する情報を示す遊技機情報表示を液晶表示部124に表示する場合がある。
【0666】
図71は、遊技機情報表示を説明するための説明図である。演出制御手段334は、図71(a)のように、待機演出として、液晶表示部124の略中央、かつ、黒の背景の前面に遊技機情報表示400を表示する。ここで、遊技機情報表示400は、当該遊技機がスマートパチスロ100またはスマートパチンコであること(遊技上の利益が電子的に計数される仕様の遊技機であること)を示す遊技機種別表示402、および、スマートパチスロ100やスマートパチンコで遊技を行う上での注意喚起を示した注意喚起表示404を含む。図71(a)では、遊技機種別表示402として「スマスロ」が2行に分けられた文字列および「SMART PACHISLOT」の文字列が、例えば、紫色で表示され、当該遊技機がスマートパチスロ100であることが示されている。なお、スマートパチンコの場合、遊技機種別表示402には、「スマパチ」の文字列が表示され、当該遊技機がスマートパチンコであることが示されることとなる。なお、図71(a)では、遊技機種別表示402を、薄い色(ここでは白)の背景に濃い色(ここでは紫)の文字列で表しているが、濃い色(例えば紫)の背景に薄い色(ここでは白)の文字列で表してもよい。なお、文字や線に用いられている色、例えば、紫は、単色であることを示しているが、かかる場合に限らず、白抜き、縁取り、ハッチング等を構成する他の色も混在し、他の色より、その色(ここでは紫)の占有する割合が比較的大きいことで総合的に視認される色であってもよい。
【0667】
また、図71(a)では、注意喚起表示404として、スマートパチスロ100において、計数処理の実行を促したり、カードの取り忘れを防止したりするため、「計数(メダル精算)忘れ及びカードの取り忘れや盗難にはご注意ください。」といった文字列が、例えば紫色で示されている。なお、スマートパチンコの場合、精算スイッチ121の操作がないので、注意喚起表示404は、「計数忘れ及びカードの取り忘れや盗難にはご注意ください。」となる。注意喚起表示404は文字列の長さから左右方向に長尺な(横長の)長方形状となる。ここでは、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とが、遊技機種別表示402の左右方向の中央と注意喚起表示404の左右方向の中央とが一致するように(中央揃い)配置されている。また、ここでは、遊技機情報表示400として、遊技機種別表示402および注意喚起表示404のいずれも表示する例を挙げて説明しているが、いずれか一方のみを表示するとしてもよい。
【0668】
なお、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との位置関係は、図71(a)のような位置関係に限らず、任意の規則性に基づいて様々な位置関係とすることができる。例えば、図71(a)では、遊技機種別表示402が注意喚起表示404より上に位置しているが、注意喚起表示404が遊技機種別表示402より上に位置するとしてもよい。
【0669】
また、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との表示タイミングは、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とを同時に表示開始してもよいし、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とを同時に表示終了してもよい。例えば、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とは、背景が白もしくはブランクの状態で、同一の色(色合い:ここでは紫)で表され、同時に表示開始され、途中で表示が変化することなく、3秒後に同時に表示終了する。ここでは、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とが少なくとも同時に表示される期間がある。
【0670】
また、図71(b)のように、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とを左右方向に並置してもよい。このとき、遊技機種別表示402が注意喚起表示404より左に位置してもよいし、右に位置するとしてもよい。ここで、遊技機種別表示402の上端と注意喚起表示404の上端との高さ位置を等しくしたり、遊技機種別表示402の下端と注意喚起表示404の下端との高さ位置を等しくすることもできる。また、図71(b)のように、遊技機種別表示402の高さと注意喚起表示404の高さを等しくし、両者の上端および下端の高さ位置を等しくすることもできる。かかる構成により、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との配置に規則性が生じ、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0671】
また、図71(a)では、注意喚起表示404を、薄い色(ここでは白)の背景に濃い色(ここでは紫)の文字列で表しているが、濃い色(例えば紫)の背景に薄い色(ここでは白)の文字列で表してもよい。なお、ここでは、注意喚起表示404を遊技機種別表示402と同じ色(ここでは紫)で表している。こうして、遊技者は、注意喚起表示404と遊技機種別表示402とを一体的に視認でき、注意喚起表示404が遊技機種別表示402に関する表示であることを容易に把握することができる。また、遊技機種別表示402および注意喚起表示404は、それぞれ、色、形状、大きさ、文字のフォント、背景の図形等、任意に設定することができる。
【0672】
また、図71(c)のように、遊技機種別表示402を注意喚起表示404に重複して表示してもよい。こうして、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0673】
ところで、近年、スマートパチスロ100、スロットマシン、スマートパチンコ、および、パチンコ機への依存(のめり込み)を防止し、安心して楽しめる娯楽であることを明示するために、のめり込み防止表示(のめり込み防止対策の表示)を行うことがある。例えば、演出制御手段334は、待機演出を実行している間に、のめり込み防止表示を液晶表示部124に表示する。なお、例えば、スマートパチスロ100、スロットマシンにおいて、演出制御手段334は、払出枚数が50枚を超える、所謂、終了画面を有するボーナス遊技状態の終了時や、一連の増加区間(遊技の特性上、メダルの増加が期待できる連続的な区間)において得られたメダルの獲得枚数が300枚を超える、終了画面を有するRT遊技状態、AT演出状態、および、ART遊技状態の少なくともいずれかの終了時に、のめり込み防止表示を液晶表示部124に表示する場合もある。なお、待機演出の実行中、終了画面を有するボーナス遊技状態、終了画面を有するRT遊技状態、AT演出状態、および、ART遊技状態の少なくともいずれかの終了時に、のめり込み防止表示に加え、上記の遊技機情報表示400を表示してもよい。
【0674】
図72は、遊技機情報表示およびのめり込み防止表示を説明するための説明図である。ここで、演出制御手段334が、待機演出を実行している間に、遊技機情報表示400およびのめり込み防止表示410を液晶表示部124に表示する例を挙げている。ここでは、のめり込み防止表示410として、図72(a)に示すように、「のめり込みに注意しましょう。」や「パチスロは適度に楽しむ遊びです。」と文字列が表示されている。なお、スマートパチンコの場合、のめり込み防止表示410として「パチンコは適度に楽しむ遊びです。」と文字列が表示されることとなる。のめり込み防止表示410は文字列の長さから左右方向に長尺な(横長の)長方形状となる。具体的に、のめり込み防止表示410は、7インチ以上であるDインチの液晶表示部124について、その高さHを(10×2×D-5)/9以上とし、その幅Wを、高さHに基づいて標語の縦横比を維持する長さとする。また、図72(a)では、のめり込み防止表示410のうち「のめり込みに注意しましょう。」を、濃い色(例えば赤)の背景に薄い色(ここでは白)の文字列で表しているが、薄い色(ここでは白)の背景に濃い色(ここでは赤)の文字列で表してもよい。また、のめり込み防止表示410のうち「パチスロは適度に楽しむ遊びです。」を薄い色(ここでは白)の背景に濃い色(ここでは赤)の文字列で表しているが、濃い色(例えば赤)の背景に薄い色(ここでは白)の文字列で表してもよい。なお、ここでは、のめり込み防止表示410の色(ここでは赤)を、遊技機種別表示402の色(ここでは紫)および注意喚起表示404の色(ここでは紫)と異ならせている。また、ここでは、のめり込み防止表示410の色(ここでは赤)の彩度を、遊技機種別表示402の色(ここでは紫)および注意喚起表示404の色(ここでは紫)の彩度より高くしている。また、のめり込み防止表示410の文字のフォント、大きさを、遊技機種別表示402および注意喚起表示404の文字のフォント、大きさと異ならせてもよい。こうして、遊技者は、のめり込み防止表示410を、遊技機種別表示402や注意喚起表示404より優先して認識することとなる。また、のめり込み防止表示410は、それぞれ、色、形状、大きさ、文字のフォント、背景の図形等、任意に適用することができ、少なくとも3秒以上継続して表示されれば足りる。
【0675】
ここで、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とは、任意の規則性に基づいて様々な位置関係で配置される。図72(a)では、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とが、遊技機種別表示402の左右方向の中央と注意喚起表示404の左右方向の中央とのめり込み防止表示410の左右方向の中央とが一致するように(中央揃い)配置されている。また、注意喚起表示404の左端とのめり込み防止表示410の左端との左右位置を等しくしたり、注意喚起表示404の右端とのめり込み防止表示410の右端との左右位置を等しくすることもできる。また、図72(a)のように、注意喚起表示404の左右幅とのめり込み防止表示410の左右幅を等しくし、両者の左端および右端の左右位置を等しくすることもできる。かかる構成により、遊技機情報表示400とのめり込み防止表示410との配置に規則性が生じ、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0676】
なお、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410との上下の位置関係は、例えば、図72(a)のように、上から遊技機種別表示402→注意喚起表示404→のめり込み防止表示410の順で配置している。このように、注意喚起表示404を、のめり込み防止表示410より遊技機種別表示402の近くに配置し、かつ、注意喚起表示404を遊技機種別表示402と同じ色(ここでは紫)で表すことで、遊技者は、注意喚起表示404と遊技機種別表示402とを一体的に視認することができる。また、遊技者は、表示を上から順に読む傾向があることから、遊技機種別表示402および注意喚起表示404を、のめり込み防止表示410よりも上側に表示することで、スマートパチスロ100特有の注意事項を遊技者に認識されやすいようにすることができる。ただし、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410との上下の位置関係は、任意に定めることができ、上から遊技機種別表示402→のめり込み防止表示410→注意喚起表示404と配置してもよいし、上から注意喚起表示404→遊技機種別表示402→のめり込み防止表示410と配置してもよいし、上から注意喚起表示404→のめり込み防止表示410→遊技機種別表示402と配置してもよいし、上からのめり込み防止表示410→遊技機種別表示402→注意喚起表示404と配置してもよいし、上からのめり込み防止表示410→注意喚起表示404→遊技機種別表示402と配置してもよい。
【0677】
また、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410との表示タイミングは、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とを同時に表示開始してもよいし、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とを同時に表示終了してもよい。例えば、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とは、背景が白もしくはブランクの状態で、同時に表示開始され、途中で表示が変化することなく、3秒後に同時に表示終了する。ここでは、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とが少なくとも同時に表示される期間がある。
【0678】
また、図72(b)のように、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とを左右方向に並置してもよい。このとき、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410とが、遊技機種別表示402の上下方向の中央と注意喚起表示404の上下方向の中央とのめり込み防止表示410の上下方向の中央とが一致するように(中央揃い)配置されている。また、遊技機種別表示402の上端と注意喚起表示404の上端とのめり込み防止表示410の上端との上下位置を等しくしたり、遊技機種別表示402の下端と注意喚起表示404の下端とのめり込み防止表示410の下端との上下位置を等しくすることもできる。また、図72(b)のように、遊技機種別表示402の高さと注意喚起表示404の高さとのめり込み防止表示410の高さとを等しくし、3表示の上端および下端の上下位置を等しくすることもできる。かかる構成により、遊技機情報表示400とのめり込み防止表示410との配置に規則性が生じ、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0679】
また、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410との左右の位置関係は、図72(b)のように、左から遊技機種別表示402→注意喚起表示404→のめり込み防止表示410の順で配置している。このように、注意喚起表示404を、のめり込み防止表示410より遊技機種別表示402の近くに配置し、かつ、注意喚起表示404を遊技機種別表示402と同じ色(ここでは紫)で表すことで、遊技者は、注意喚起表示404と遊技機種別表示402とを一体的に視認することができる。ただし、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410との左右の位置関係は、任意に定めることができ、左から遊技機種別表示402→のめり込み防止表示410→注意喚起表示404と配置してもよいし、左から注意喚起表示404→遊技機種別表示402→のめり込み防止表示410と配置してもよいし、左から注意喚起表示404→のめり込み防止表示410→遊技機種別表示402と配置してもよいし、左からのめり込み防止表示410→遊技機種別表示402→注意喚起表示404と配置してもよいし、左からのめり込み防止表示410→注意喚起表示404→遊技機種別表示402と配置してもよい。
【0680】
また、図72(c)のように、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とを組み合わせて左右方向に並置するとともに、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせと、のめり込み防止表示410とを上下方向に並置してもよい。このとき、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせと、のめり込み防止表示410とが、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせの左右方向の中央と、のめり込み防止表示410の左右方向の中央とが一致するように(中央揃い)配置されている。また、図72(c)のように、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせの高さとのめり込み防止表示410の高さとを等しくすることもできる。かかる構成により、遊技機情報表示400とのめり込み防止表示410との配置に規則性が生じ、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0681】
なお、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせと、のめり込み防止表示410とを独立して遊技者に認識させるため、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせと、のめり込み防止表示410とを時間を異にして液晶表示部124に表示してもよい。例えば、のめり込み防止表示410→遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせの順で切り換えて表示したり、遊技機種別表示402と注意喚起表示404との組み合わせ→のめり込み防止表示410の順で切り換えて表示してもよい。
【0682】
また、図72(d)のように、遊技機種別表示402を注意喚起表示404と一体化して表示してもよい。この場合、図72(a)、図72(b)、および、図72(c)の説明において、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とを注意喚起表示404に置き換えて適用できる。こうして、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0683】
このように、スマートパチスロ100では、表示手段(例えば、液晶表示部124)と、画像表示に関する制御を行う演出制御手段334と、を備え、演出制御手段334は、所定の状況(例えば、待機画面中)で、第1画像表示(例えば、遊技機種別表示402)と、第2画像表示(例えば、注意喚起表示404)と、第3画像表示(例えば、のめり込み防止表示410)と、を画像表示手段に表示させることが可能であり、第1画像表示は、遊技機が、遊技上の利益が電子的に計数される仕様の特定遊技機(例えば、スマートパチスロ100)であることを報知する表示であり、第2画像表示は、特定遊技機に関する注意喚起表示であり、第3画像表示は、のめり込みに対する注意喚起表示であり、第1画像表示と第2画像表示は、色が同じ(例えば、紫色)ようになっている。
【0684】
また、第1画像表示(例えば、遊技機種別表示402)および第2画像表示(例えば、注意喚起表示404)の色(例えば、紫色)は、第3画像表示(例えば、のめり込み防止表示410)の色(例えば、赤色)と異なっているとしてもよい。
【0685】
また、第1画像表示(例えば、遊技機種別表示402)、第2画像表示(例えば、注意喚起表示404)および第3画像表示(例えば、のめり込み防止表示410)は、背景が白色となっている状況で、同じ期間の間、表示されるとしてもよい。
【0686】
また、第2画像表示(例えば、注意喚起表示404)は、第3画像表示(例えば、のめり込み防止表示410)よりも第1画像表示(例えば、遊技機種別表示402)の近くに表示されるとしてもよい。
【0687】
ところで、上述したように、差枚数(遊技価値の使用に係る値と、遊技価値の獲得に係る値とに基づいて算出される値)が規定差枚数(第1規定値)に到達すると、コンプリート機能が作動し、遊技の進行が制限される。しかし、遊技者は、電源がリセットされてからの差枚数を正確に把握することができないので、コンプリート機能が作動するまでに獲得できる差枚数を正確に把握することができない。仮に、遊技者が、コンプリート機能が作動する直前で遊技を止め、他の遊技者が、そのスマートパチスロ100やスロットマシンで遊技を開始したとする。このとき、他の遊技者は、コンプリート機能が作動するまでに獲得できる差枚数を把握することができないので、少ない払出枚数を獲得しただけでコンプリート機能が作動するおそれがある。そうすると、遊技者は、唐突なコンプリート機能の作動により、不信感を抱くおそれがある。
【0688】
そこで、演出制御手段334は、差枚数を取得し、差枚数が、所定の示唆差枚数(第2規定値)に到達すると、液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ126等を通じて、コンプリート機能の作動が近づいている(規定差枚数に到達する可能性がある)ことを事前に示唆する示唆表示を表示する。このように、差枚数が所定の示唆差枚数に到達すると、示唆表示を表示する構成により、遊技者は、コンプリート機能が作動する可能性があることを事前に把握することができる。また、遊技者が、コンプリート機能が作動する直前で遊技を止め、他の遊技者が、スマートパチスロ100やスロットマシンで遊技の開始を試みたとしても、他の遊技者は、示唆表示によってコンプリート機能が作動するまでに獲得できる差枚数を把握することができる。
【0689】
図73は、遊技機情報表示、のめり込み防止表示、および、示唆表示を説明するための説明図である。ここでは、演出制御手段334が、待機演出を実行している間に、遊技機情報表示400、のめり込み防止表示410、示唆表示420を液晶表示部124に表示する例を挙げている。ここで、示唆表示420は、遊技者がコンプリート機能の作動が近づいていることを把握できる文字、数字、記号を含む。例えば、演出制御手段334は、図73(a)のように、液晶表示部124に文字列「コンプリート機能作動まで0116枚」を表示する。示唆表示420では、文字列が枠で囲まれ、例えば、枠を赤色に枠内を黒色のベタパターンで表すことで白色の文字列を強調している。また、示唆表示420は、それぞれ、色、形状、大きさ、文字のフォント、背景の図形等、任意に設定することができる。
【0690】
また、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420との表示タイミングは、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420とを同時に表示開始してもよいし、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420とを同時に表示終了してもよい。ここでは、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420とが少なくとも同時に表示される期間があるとしてもよい。しかし、かかる場合に限らず、遊技機情報表示400やのめり込み防止表示410と、示唆表示420とを異なるフレームで排他的に表示してもよい。この場合、遊技機情報表示400やのめり込み防止表示410が表示されているタイミングでは示唆表示420が表示されておらず、示唆表示420が表示されるタイミングでは、遊技機情報表示400やのめり込み防止表示410が表示されない。このとき、遊技機情報表示400やのめり込み防止表示410が表示される位置と、示唆表示420が表示される位置とは一部または全部が重なっているとしてもよい。
【0691】
また、文字列中には、コンプリート機能が作動するまでの差枚数、すなわち、規定差枚数と差枚数との差(以下、到達差枚数と言う)が4桁の数値で示される。例えば、規定差枚数が19000枚であり、差枚数が18884枚であれば、図73(a)のように、文字列中には、その差に相当する「0116枚」が表示されることとなる。そして、差枚数が更新されると、それに応じて、かかる文字列(数値)も更新されることとなる。なお、ここでは、到達差枚数の大小に拘わらず4桁の数値で表す例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、到達差枚数の桁数と表示する桁数とを等しくし(最上位の桁が「0」の場合、その桁を表示しなく)てもよい。また、到達差枚数を10や100単位で変化させるとしてもよい。
【0692】
また、演出制御手段334は、示唆表示420の透明度を変化させることができる。ここで、透明度は、画像が透き通ることで、下位(背後)のレイヤの画像(色)を透過させる度合いを0~100%で表したものであり、透明度が高い程、下位のレイヤの画像を視認し易くなる。具体的に、演出制御手段334は、任意のタイミングで、示唆表示420を透明度0%で表示し、その後、透明度を徐々に上げ、示唆表示420を透明度90%で表示し、その後、透明度を徐々に下げる。ここでは、透明度の最小値を0%とし、最大値を90%としたが、かかる数値に限らず、任意に設定できるのは言うまでもない。例えば、透明度の最小値を0%として下位のレイヤの画像を全く透過させず、また、最大値を100%として示唆表示420を全く表示しないとしてもよい。演出制御手段334は、このような透明度の上下を周期的(例えば、2秒周期)に繰り返す。したがって、遊技者は、液晶表示部124において、示唆表示420が点滅しているように見える。このような点滅動作により、示唆表示420が強調され、コンプリート機能の作動が近づいていることを遊技者に報知することが可能となる。また、示唆表示420の透明度が高い状態において、遊技者は、示唆表示420より下位のレイヤの画像、例えば、背景画像を視認(把握)することが可能となる。
【0693】
なお、ここでは、示唆表示420として、コンプリート機能が作動するまでの差枚数を報知する文字列(例えば、「コンプリート機能作動まで0116枚」)を液晶表示部124に表示する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、示唆表示420としては、コンプリート機能の作動が近づいていることを遊技者が把握できれば足り、例えば、演出制御手段334は、示唆表示420として、文字列「コンプリート機能の作動が近づいています」と液晶表示部124に表示してもよい。この場合も、演出制御手段334は、任意のタイミングで、示唆表示420を透明度0%で表示し、その後、透明度を徐々に上げ、示唆表示420を透明度90%で表示し、その後、透明度を徐々に下げる処理を周期的に繰り返す。
【0694】
このように、差枚数が所定の差枚数に到達すると、示唆表示420を表示する構成により、遊技者は、コンプリート機能が作動する可能性があることを事前に把握することができる。また、遊技者が、コンプリート機能が作動する直前で遊技を止め、他の遊技者が、そのスマートパチスロ100で遊技の開始を試みたとしても、他の遊技者は、示唆表示420によってコンプリート機能が作動するまでに獲得できる差枚数を把握することができる。したがって、唐突なコンプリート機能の作動による遊技者の不信感を払拭することが可能となる。また、遊技者は、示唆表示420を通じて、コンプリート機能が作動するまでに獲得できる差枚数を正確に把握することができるので、差枚数を把握した上で、そのスマートパチスロ100で遊技を開始するか否か判断することが可能となる。
【0695】
遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420とは、任意の規則性に基づいて様々な位置関係で配置される。図73(a)では、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420とが、遊技機種別表示402の左右方向の中央と注意喚起表示404の左右方向の中央とのめり込み防止表示410の左右方向の中央と示唆表示420の左右方向の中央が一致するように(中央揃い)配置されている。また、注意喚起表示404の左端とのめり込み防止表示410の左端と示唆表示420の左端との左右位置を等しくしたり、注意喚起表示404の右端とのめり込み防止表示410の右端と示唆表示420の右端との左右位置を等しくすることもできる。また、図73(a)のように、注意喚起表示404の左右幅とのめり込み防止表示410の左右幅と示唆表示420の左右幅を等しくし、3表示の左端および右端の左右位置を等しくすることもできる。かかる構成により、遊技機情報表示400とのめり込み防止表示410と示唆表示420との配置に規則性が生じ、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0696】
なお、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420との上下の位置関係は、任意に定めることができる。例えば、図73(a)のように、上から遊技機種別表示402→注意喚起表示404→のめり込み防止表示410→示唆表示420と配置してもよいし、その他の23通りの順のいずれかの順に配置してもよい。
【0697】
また、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420とを左右方向に並置してもよい。このとき、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とのめり込み防止表示410と示唆表示420とが、遊技機種別表示402の上下方向の中央と注意喚起表示404の上下方向の中央とのめり込み防止表示410の上下方向の中央と示唆表示420との上下方向の中央が一致するように(中央揃い)配置されている。また、遊技機種別表示402の上端と注意喚起表示404の上端とのめり込み防止表示410の上端と示唆表示420との上端の上下位置を等しくしたり、遊技機種別表示402の下端と注意喚起表示404の下端とのめり込み防止表示410の下端と示唆表示420との下端の上下位置を等しくすることもできる。また、遊技機種別表示402の高さと注意喚起表示404の高さとのめり込み防止表示410の高さと示唆表示420の高さとを等しくし、4表示の上端および下端の上下位置を等しくすることもできる。かかる構成により、遊技機情報表示400とのめり込み防止表示410と示唆表示420との配置に規則性が生じ、遊技者は、それらを一体的に認識することが可能となる。
【0698】
また、図73(b)のように、遊技機種別表示402を注意喚起表示404に重複して表示してもよい。この場合、図73(a)の説明において、遊技機種別表示402と注意喚起表示404とを注意喚起表示404に置き換えて適用できる。
【0699】
なお、遊技機種別表示402、注意喚起表示404、のめり込み防止表示410、示唆表示420は、それぞれ同一のレイヤに配されてもよいし、異なるレイヤに配されてもよい。異なるレイヤに配された場合、それぞれの表示の一部、例えば、枠のみが重なってもよい。かかるレイヤの優先順位は、例えば、遊技機種別表示402→注意喚起表示404→のめり込み防止表示410→示唆表示420の順としてもよいし、その他の23通りの順のいずれかの順としてもよい。
【0700】
なお、示唆表示420は、上述した、待機演出の実行中、終了画面を有するボーナス遊技状態、終了画面を有するRT遊技状態、AT演出状態、および、ART遊技状態の少なくともいずれかの終了時の他、通常の遊技中に表示され得る。
【0701】
図74は、示唆表示を説明するための説明図である。例えば、演出状態が通常演出状態の場合、演出制御手段334は、通常演出状態であることを示すステージ演出を行う。ステージ演出は、複数種類存在し、遊技の進行に応じて様々なタイミングで切り換わる。遊技者は、ステージ演出を通じて遊技の進行状態を把握することができる。ここでは、ステージ演出として、図74のように、Aステージの背景画像(例えば、街)、および、ステージ名報知画像「ステージA」が液晶表示部124に表示されている。演出制御手段334は、差枚数が所定の示唆差枚数に到達すると、ステージ演出の背景画像が表示されるレイヤより上位のレイヤに示唆表示420を表示する示唆演出を実行する。
【0702】
また、演出制御手段334は、遊技状態や演出状態の切り替え、例えば、ステージ演出の切り替えに拘わらず、示唆表示420を液晶表示部124に常時表示するとしてもよい。ただし、エラーが生じた場合、演出制御手段334は、示唆表示420より優先してエラー表示を行う。
【0703】
演出制御手段334は、示唆表示420の表示領域を、他の画像、例えば、図74におけるステージ名報知画像(例えば「ステージA」)の表示領域との重複を避け、他の画像の視認性を阻害しない(重複しない)位置に表示する。示唆表示420を重複させない対象となる画像は、文字、数字、記号等により、遊技者に報知する情報が含まれた画像である。ここで、遊技者に報知する情報が含まれた画像としては、上述した遊技機種別表示402、注意喚起表示404、のめり込み防止表示410も含まれる。ここでも、演出制御手段334は、遊技機種別表示402、注意喚起表示404、のめり込み防止表示410のいずれか1または複数、または全部と、示唆表示420とを、図73(a)のように上下方向に規則的に配置したり、左右方向に規則的に配置することができる。
【0704】
また、遊技者に報知する情報が含まれた画像としては、ステージ名報知画像の他、獲得したメダルの枚数を示す画像、遊技状態を示す画像、演出状態を示す画像、カウンタの値を示す画像、ボタン演出を促す画像、補助演出、警告画像、スマートパチスロ100の機種名を示すロゴ画像、スマートパチスロ100のメーカを示すロゴ画像、遊技記録を保存できるサービス(例えば、打WIN)の利用を促す画像等がある。ここで、ボタン演出は、遊技者に演出スイッチ122の操作を促す演出である。また、警告画像は、遊技の進行上の注意喚起を行う画像であり、例えば、ストップスイッチ120の操作が有効になった後、所定時間停止操作を行わなかった場合に報知される回転警告エラー画像等が含まれる。
【0705】
かかる示唆表示420の表示領域を、遊技者に報知する情報が含まれた画像の表示領域と重複させない(視認性を阻害しない)位置に表示させる構成により、遊技者に報知する情報の視認性を高めることができる。また、示唆表示420の表示領域が、遊技者に報知する情報が含まれた画像の表示領域と重複してしまい、遊技者に情報を把握し難くしているのではないかという不信感を抱かせてしまうこともない。
【0706】
(液晶表示部124を通じた報知)
また、上記では、遊技メダル数が警告値以上となることで警告が必要となったときの所持数警告報知、遊技進行上のエラーが生じたときのエラー報知等が重複した場合における、所持数警告音、エラー音等の音の出力態様を説明した。ここでは、所持数警告報知、エラー報知等が重複した場合の液晶表示部124やメインセグメント表示部130の表示態様について説明する。
【0707】
図75は、所持数警告報知およびエラー報知の表示態様を示した説明図である。ここでは、電子化メダルの増加に関連する報知およびエラーを挙げて説明する。上述したように、遊技メダル数が、所定の警告値、例えば、15000以上となると、電子化メダルの貸出処理が制限され、試験用計数信号が約3500msecの間出力される。ただし、遊技者は遊技を引き続き継続することができる。また、演出制御手段334は、遊技者に計数を促す所持数警告報知を実行し、所持数警告音を各スピーカ128から出力するとともに、図75(a)に示したような所持数警告情報430を液晶表示部124に表示する。所持数警告情報430は、例えば、「CREDITが15,000枚以上になりました。」、「計数を行ってください。」等の文言や、計数スイッチ112の操作を促す図形である。ただし、所持数警告情報430は、かかる場合に限らず、その情報によって、遊技者に遊技メダル数が多くなっていることを認識させ、計数を促すことができれば足りる。なお、所持数警告報知はエラーではないため、図75(a)のように、所持数警告報知の実行によってはメインセグメント表示部130には何ら表示されない(消灯している)。
【0708】
また、遊技メダル数が、所定の保持上限値、例えば、16369以上となると、メダルオーバーエラーが生じたとして遊技の進行を制限する。したがって、この場合、遊技者は遊技を引き続き継続することができない。ただし、遊技者は、電子化メダルの計数処理を行うことで当該メダルオーバーエラーを解除し、遊技を引き続き継続することができる。また、スマートパチスロ100で保持できる遊技メダル数が上限値に達したことを報知するエラー報知(メダルオーバーエラー報知)が実行される。具体的に、演出制御手段334は、エラー音をスピーカ128から出力するとともに、図75(b)に示したような、メダルオーバーエラー情報432を液晶表示部124に表示し、メインCPU200aは、図75(b)に示したようなエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。かかるエラー音は、「係員をお呼びください」という音声が所定時間(例えば30秒間)だけ繰り返されるとともに、異常を示す周期性のある音が、エラーが解除されるまで繰り返されるものである。なお、メダルオーバーエラー報知における異常を示す周期性のある音の音量は、他のエラー報知における異常を示す周期性のある音の音量より小さい。これは、メダルオーバーエラーは、不正行為のみならず、遊技者が単に計数処理の操作を知らないだけでも生じうるので、音量によって遊技者へ与える重圧を小さくしたものである。メダルオーバーエラー情報432は、液晶表示部124に表示された「メダルオーバーエラー」、「CREDITが16,369枚以上になりました。」、「計数を行ってください。」等の文言や、遊技の進行が停止していることを示す図形である。また、演出制御手段334は、液晶表示部124において、メダルオーバーエラー情報432の背景を単色で表示する等、情報を有さない画像を表示してもよい。ただし、メダルオーバーエラー情報432は、かかる場合に限らず、その情報によって、遊技者に遊技メダル数が多くなっていることを認識させ、計数を促すことができれば足りる。ホールの店員は、メダルオーバーエラー報知を受けて、遊技者に計数処理によるメダルオーバーエラーの解除を促すことができる。
【0709】
また、電源がリセットされてからの電子化メダルの差枚数が第1規定差枚数、例えば、19000以上となると、打ち止めエラーが生じたとして、コンプリート機能が作動し、遊技の進行が制限される。なお、打ち止めエラー(コンプリート機能)は電子化メダルを計数処理しても解除できない。また、コンプリート機能が作動したことを報知するエラー報知(コンプリート機能作動報知)が実行される。具体的に、演出制御手段334は、コンプリート作動音を各スピーカ128から出力するとともに、図75(c)に示したようなコンプリート作動情報434を液晶表示部124に表示し、メインCPU200aは、図75(c)に示したようなエラーコード「Ey」をメインセグメント表示部130に表示する。かかるエラー音は、「係員をお呼びください」という音声が所定時間(例えば30秒間)だけ繰り返されるものである。なお、コンプリート機能作動報知においては、異常を示す周期性のある音を出力しない。これは、コンプリート機能作動報知が遊技の終了(打ち止め)を示し、メダルオーバーエラー報知のように、ホールの店員の補助を必要としないからである。コンプリート作動情報434は、「コンプリート機能作動中」、「1日に払出可能な上限に達しました。」、「本日は遊技終了です。」等の文言や、遊技の進行が停止していることを示す図形である。また、演出制御手段334は、液晶表示部124において、コンプリート作動情報434の背景を単色で表示する等、情報を有さない画像を表示してもよい。ただし、コンプリート作動情報434は、かかる場合に限らず、その情報によって、遊技者に、コンプリート機能が作動して遊技が終了したことを把握させることができれば足りる。
【0710】
ここでは、まず、上記の所持数警告報知と、コンプリート機能の作動によるエラー報知とが重複した場合の表示態様を説明する。上述したように、打ち止めエラーが生じてコンプリート機能が作動すると遊技の進行が制限されるので、電子化メダルの払い出しは行われない。したがって、コンプリート機能作動中は、本来、遊技メダル数は増加しないはずである。しかし、コンプリート機能作動中であっても電子化メダルの計数が可能であるとともに、電子化メダルの貸し出しも可能となっている。そうすると、コンプリート機能作動中であっても、遊技者が貸出スイッチ366を操作することで電子化メダルの貸出処理が実行され、遊技メダル数が増加することとなる。そして、貸出処理で貸し出された電子化メダルによっては遊技メダル数が15000以上となり、所持数警告報知が実行される。なお、所持数警告報知が実行されると、電子化メダルの貸出処理が制限されるので、それ以上遊技メダル数が増加することはない。したがって所持数警告報知が実行された後にメダルオーバーエラーになることはない。
【0711】
このように、コンプリート機能作動中に所持数警告報知が実行されたとき、仮に、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示された後に、所持数警告情報430が液晶表示部124に表示されたことでコンプリート作動情報434が削除されるとなると、以下の問題が生じうる。すなわち、遊技者は、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示された後に、意図的に、所持数警告情報430を液晶表示部124に表示させることでコンプリート作動情報434を削除することが可能となる。そうすると、ホールの店員がコンプリート機能の作動を目視で確認できなくなってしまい、不正行為の容易性が高まることとなる。また、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示された後に、所持数警告情報430が液晶表示部124に表示されたことでコンプリート作動情報434が削除されると、遊技者は、コンプリート機能の作動が解除されたと誤認してしまうおそれがある。そこで、所持数警告報知とコンプリート機能の作動とが重複した場合、演出制御手段334は、所持数警告情報430よりコンプリート作動情報434を優先して液晶表示部124に表示する。
【0712】
かかる構成により、コンプリート機能が作動した後は、所持数警告情報430の液晶表示部124への表示を制限することができる。そうすると、遊技者が、意図的にコンプリート機能の作動を隠すことができず、また、コンプリート機能の作動が解除されたと誤認することもなくなる。
【0713】
ここで、演出制御手段334は、以下のようにして、所持数警告情報430よりコンプリート作動情報434を優先して液晶表示部124に表示する。演出制御手段334は、不図示のVDP(Video Display Processor)を通じて画像を液晶表示部124に表示する。
【0714】
VDPは、画像コマンドによって特定される画像データを画像ROMから画像RAM(VRAM)に読み出し、画像データを、順次、液晶表示部124に出力する。なお、画像RAMは、複数の異なるレイヤを有し、各レイヤに異なる画像データを保持させることができる。そして、VDPは、複数のレイヤに保持された画像データを重畳し、その重畳した画像データを液晶表示部124に出力する。また、各レイヤには優先順位が設けられており、優先順位が高いレイヤの画像と優先順位が低いレイヤの画像とが重なる場合、優先順位が高いレイヤの画像が、優先順位が低いレイヤの画像より遊技者側に重畳され、遊技者に視認されることとなる。ここでは、所持数警告情報430を割り当てるレイヤより優先順位が高いレイヤにコンプリート作動情報434を割り当てる。こうして、演出制御手段334は、所持数警告情報430よりコンプリート作動情報434を優先して液晶表示部124に表示することができる。
【0715】
図76は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、電源がリセットされてからの電子化メダルの差枚数が19000以上となり、コンプリート機能が作動したとする。そうすると、図76(a)のように、演出制御手段334は、第2レイヤに、エラー情報としてのコンプリート作動情報434を割り当てる。こうして、液晶表示部124にはコンプリート作動情報434が表示される。なお、ここでは、第1レイヤ、第2レイヤ、第3レイヤを挙げ、第1レイヤ>第2レイヤ>第3レイヤの順に優先順位が高いとする。また、第1レイヤと第2レイヤとは、主としてエラー情報を配置するレイヤである。
【0716】
このように、コンプリート機能が作動すると遊技の進行が制限されるので、電子化メダルの払い出しは行われない。しかし、コンプリート機能作動中であっても電子化メダルの貸し出しは可能となっている。ここで、遊技者が貸出スイッチ366を操作することで電子化メダルの貸出処理が実行され、遊技メダル数が15000以上となり、所持数警告報知が実行されたとする。そうすると、図76(a)のように、演出制御手段334は、第3レイヤに所持数警告情報430を割り当てる。しかし、図76(a)の例では、既に第2レイヤにコンプリート作動情報434が割り当てられているので、第3レイヤに割り当てられた所持数警告情報430はコンプリート作動情報434に遮られる。こうして、液晶表示部124には、所持数警告情報430が表示されることなく、コンプリート作動情報434が表示され続ける。
【0717】
このように、所持数警告報知が実行されると、電子化メダルの貸出処理が制限されるが、計数処理は制限されない。したがって、遊技者は、計数スイッチ112を操作して計数処理を行うことができる。ここで、計数処理が実行されると、遊技メダル数が15000未満となり、所持数警告報知が解除される。そうすると、図76(a)のように、演出制御手段334は、第3レイヤに割り当てた所持数警告情報430を削除する。しかし、図76(a)の例では、既に第2レイヤにコンプリート作動情報434が割り当てられているので、第3レイヤに割り当てられた所持数警告情報430の削除に拘わらず、液晶表示部124にはコンプリート作動情報434が表示され続ける。なお、コンプリート作動情報434は、打ち止めエラーが解除されるまで、すなわち、設定変更を実行するまで維持される。
【0718】
また、他の例として、遊技の結果、まず、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が15000以上となり、所持数警告報知が実行されたとする。そうすると、図76(b)のように、演出制御手段334は、第3レイヤに所持数警告情報430を割り当てる。こうして、液晶表示部124には所持数警告情報430表示される。
【0719】
所持数警告報知が実行されると、電子化メダルの貸出処理が制限されるが、遊技者は、遊技をそのまま継続できる。ここで、電源がリセットされてからの電子化メダルの差枚数が19000以上となり、コンプリート機能が作動したとする。そうすると、図76(b)のように、演出制御手段334は、第2レイヤに、エラー情報としてのコンプリート作動情報434を割り当てる。図76(b)の例では、第3レイヤに所持数警告情報430が割り当てられているが、第2レイヤにコンプリート作動情報434が割り当てられたことで、所持数警告情報430はコンプリート作動情報434に遮られる。こうして、液晶表示部124では、所持数警告情報430が非表示となり、コンプリート作動情報434が表示される。
【0720】
このように、所持数警告報知が実行されると、電子化メダルの貸出処理が制限されるが、計数処理は制限されない。したがって、遊技者は、計数スイッチ112を操作して計数処理を行うことができる。ここで、計数処理が実行されると、遊技メダル数が15000未満となり、所持数警告報知が解除される。そうすると、図76(b)のように、演出制御手段334は、第3レイヤに割り当てた所持数警告情報430を削除する。しかし、図76(b)の例では、既に第2レイヤにコンプリート作動情報434が割り当てられているので、第3レイヤに割り当てられた所持数警告情報430の削除に拘わらず、液晶表示部124にはコンプリート作動情報434が表示され続ける。
【0721】
このように、スマートパチスロ100では、遊技の進行に応じて値(例えば、遊技メダル数)を更新するカウンタ部(例えば、メダル数制御基板204、メダル保持部)と、表示部(例えば、液晶表示部124)と、表示部に情報を表示可能な制御手段(例えば、演出制御手段334)と、を備え、カウンタ部の値が所定の値(例えば、15000)以上となると第1の処理(例えば 、所持数警告報知)が実行され、第1の処理が生じる条件と異なる条件を満たす(例えば、差枚数が19000以上となる)と第2の処理(例えば、コンプリート機能作動報知)が実行され、制御手段は、第2の処理が実行されていないときに、第1の処理が実行されると、表示部に第1情報(例えば、所持数警告情報430)を表示し、第1の処理が実行されていないときに、第2の処理が実行されると、表示部に第2情報(コンプリート作動情報434)を表示し、第1の処理が実行されていても、第2の処理が実行されると、表示部に第1情報を表示せず、第2情報を表示する。これにより、第1の処理と第2の処理とが重複した場合であっても、液晶表示部124に適切な情報を表示することが可能となる。
【0722】
なお、ここでは、第1情報として、所持数警告情報430を挙げ、第2情報として、コンプリート作動情報434を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、第1情報として、様々な情報を適用することができ、また、第2情報として、図32に示したエラーが生じたときに液晶表示部124に表示されるエラー情報等、様々な情報を適用することができる。例えば、演出制御手段334は、所持数警告報知が実行されていても、貸出装置接続エラーが生じ、エラー報知(貸出装置接続エラー報知)が実行されると、液晶表示部124に貸出装置接続エラーを示す第2情報(例えば、後述する貸出装置接続エラー情報436)を表示する。
【0723】
また、ここでは、第1の処理(例えば、所持数警告報知)が実行されている場合に、第2の処理(例えば、エラー報知)が実行されると、第1情報を割り当てたレイヤより高いレイヤに第2情報を割り当てることで、第2情報を表示部に表示する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、第1情報より第2情報を優先して表示すれば足り、第1情報に切り替えて第2情報を表示するとしても、第1情報を削除して第2情報を表示するとしてもよい。また、第1情報および第2情報は画面全体または一部であれば足り、例えば、第1情報の一部に第2情報が重なることで、第2情報全体が表示されるとしてもよい。
【0724】
上記では、警告報知とエラーとが重複した場合の表示態様を説明した。一方、警告報知とエラーとに限らず、異なる複数のエラーが同契機(同タイミング)に重複して生じる場合もある。以下、このように、エラーが重複した場合の表示態様を説明する。
【0725】
ここでは、まず、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動(打ち止めエラー)とが重複した場合の表示態様を説明する。メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動とは、いずれもエラーに属するので、いずれかが生じた場合、共通して遊技の進行が制限される。ただし、異なる複数のエラーが重複した場合であっても、液晶表示部124にはいずれか一方の第2情報しか表示できない。したがって、演出制御手段334は、エラー、または、エラー報知に優先順位を設定し、異なる複数のエラー(エラー報知)が重複した場合、優先順位の高いエラーを液晶表示部124に表示する。
【0726】
上述したように、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、コンプリート機能が作動すると遊技の進行が制限されるので、その後、電子化メダルの払い出しは行われない。したがって、遊技メダル数はそれ以上増加することはなく、その後にメダルオーバーエラーが生じることはない。また、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となると、メダルオーバーエラーが生じたとして遊技の進行が制限されるので、その後、電子化メダルの払い出しは行われない。したがって、遊技メダル数はそれ以上増加することはなく、その後にコンプリート機能が作動することはない。ただし、遊技メダル数が16369に到達する直前であり、かつ、電源がリセットされてからの電子化メダルの差枚数が19000に到達する直前である場合、払い出された電子化メダルの値によっては、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動とが重複し得る。例えば、遊技メダル数が16367であり、電源がリセットされてからの電子化メダルの差枚数が18999である場合に、小役の入賞により電子化メダルが2以上増加すると、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動とが同契機に生じる。
【0727】
このように、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動とが同契機で生じた場合、液晶表示部124には、メダルオーバーエラー情報432とコンプリート作動情報434のいずれか一方しか表示できない。ここで、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示されたことで、メダルオーバーエラー情報432が表示されないとなると、以下の問題が生じうる。すなわち、メダルオーバーエラーは、遊技者によって解除可能なエラーであるにも拘わらず、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示されていると、遊技者は、メダルオーバーエラーが生じていることを把握することができず、メダルオーバーエラーを自分で解除できなくなる。また、遊技者が、メダルオーバーエラーを自己で解除可能なことを知らない場合もある。この場合、ホールの店員がメダルオーバーエラーに応じ、遊技者に計数処理によるメダルオーバーエラーの解除を促すことができる。しかし、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示されていると、ホールの店員が、メダルオーバーエラーが生じているのを把握することができず、遊技者に計数処理によるメダルオーバーエラーの解除を促すこともできない。なお、上述したように、メダルオーバーエラー報知では、異常を示す周期性のある音が、エラーが解除されるまで繰り返し出力されるが、コンプリート機能作動報知では、異常を示す周期性のある音が出力されない。したがって、メダルオーバーエラー報知が制限されると、メダルオーバーエラーのエラー音も出力されないので、ホールの店員は、エラー音によってもメダルオーバーエラーが生じていることを把握することができない。また、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示されていると、ホールの店員が、メダルオーバーエラーが生じているのを目視で確認できなくなってしまい、不正行為の容易性が高まることとなる。そこで、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動(打ち止めエラー)とが重複した場合、演出制御手段334は、コンプリート作動情報434よりメダルオーバーエラー情報432を優先して液晶表示部124に表示する。
【0728】
かかる構成により、コンプリート機能作動中であっても、メダルオーバーエラーが生じた場合には、メダルオーバーエラーが継続している間、液晶表示部124において、メダルオーバーエラー情報432を適切に表示することができる。
【0729】
ここで、演出制御手段334は、コンプリート作動情報434を割り当てるレイヤより優先順位が高いレイヤにメダルオーバーエラー情報432を割り当てることで、コンプリート作動情報434よりメダルオーバーエラー情報432を優先して液晶表示部124に表示する。
【0730】
図77は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、電源がリセットされてからの電子化メダルの差枚数が19000以上となり、コンプリート機能が作動し、それと同時に、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。そうすると、図77のように、演出制御手段334は、第2レイヤにコンプリート作動情報434を割り当てるとともに、第1レイヤにメダルオーバーエラー情報432を割り当てる。ここで、第2レイヤに割り当てられたコンプリート作動情報434は、第1レイヤに割り当てられたメダルオーバーエラー情報432に遮られる。こうして、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示される。なお、同様に、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動(打ち止めエラー)とが重複した場合、メインセグメント表示部130には、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。
【0731】
このように、メダルオーバーエラーとなると遊技の進行が制限されるが、計数処理は制限されない。したがって、表示されたメダルオーバーエラー情報432を視認した遊技者は、計数スイッチ112を操作して計数処理を行うことができる。なお、メダルオーバーエラーが生じると、エラー音がスピーカ128から出力される。したがって、かかるエラー音によって遊技者にメダルオーバーエラーの解除を促すことができる。また、仮に、遊技者がメダルオーバーエラーを自己で解除可能なことを知らない場合であっても、メダルオーバーエラー情報432の表示およびエラー音の出力に応じ、ホールの店員が、遊技者に計数処理によるメダルオーバーエラーの解除を促すことができる。こうして、遊技者により、計数処理が実行されると、図77のように、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーが解除され、エラー音が停止する。ここで、演出制御手段334は、第1レイヤに割り当てたメダルオーバーエラー情報432を削除する。そうすると、図77の例では、第2レイヤに割り当てられたコンプリート作動情報434を遮るものがなくなるので、液晶表示部124にはコンプリート作動情報434が表示される。また、メインセグメント表示部130には、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」の代わりに打ち止めエラーを示すエラーコード「Ey」が表示される。なお、コンプリート機能の作動は、遊技の終了(打ち止め)を示すので、メダルオーバーエラー報知のように、ホールの店員の補助は必要ない。
【0732】
次に、メダルオーバーエラー以外のエラーとコンプリート機能の作動(打ち止めエラー)とが同契機に重複した場合の表示態様を説明する。ここでは、メダルオーバーエラー以外のエラーの一例として、貸出装置接続エラーを挙げて説明する。
【0733】
貸出装置接続エラーとコンプリート機能の作動とが同契機に重複して生じた場合、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動とが同契機に重複して生じた場合同様、液晶表示部124には、貸出装置接続エラー情報436とコンプリート作動情報434のいずれか一方しか表示できない。ここで、コンプリート作動情報434が液晶表示部124に表示されることで、貸出装置接続エラー情報436が表示されないとすると、以下の問題が生じうる。例えば、貸出装置接続エラーが生じた場合に、貸出装置接続エラー情報436が表示されないとなると、ホールの店員が、貸出装置接続エラーが生じているのを把握することができず、エラーを解除することができなくなる。また、ホールの店員が、貸出装置接続エラーが生じているのを目視で確認できなくなってしまい、不正行為の容易性が高まることとなる。そこで、貸出装置接続エラーとコンプリート機能の作動とが重複した場合、メダルオーバーエラー同様、演出制御手段334は、コンプリート作動情報434より貸出装置接続エラー情報436を優先して液晶表示部124に表示する。
【0734】
かかる構成により、コンプリート機能作動中であっても、貸出装置接続エラーが生じた場合には、エラーが継続している間、液晶表示部124およびメインセグメント表示部130において、貸出装置接続エラー情報436を適切に表示することができる。
【0735】
図78は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、電源がリセットされてからの電子化メダルの差枚数が19000以上となり、コンプリート機能が作動したとする。また、小役が入賞したタイミングで、専用ユニット350との接続が切断され、貸出装置接続エラーが生じたとする。そうすると、図78のように、演出制御手段334は、第2レイヤにコンプリート作動情報434を割り当てるとともに、第1レイヤに貸出装置接続エラー情報436を割り当てる。ここで、第2レイヤに割り当てられたコンプリート作動情報434は、第1レイヤに割り当てられた貸出装置接続エラー情報436に遮られる。こうして、液晶表示部124には貸出装置接続エラー情報436が表示される。また、メインセグメント表示部130には、貸出装置接続エラーを示すエラーコード「EL」が表示される。
【0736】
貸出装置接続エラーは、ホールの店員がメダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続を確認し、接続態様を正常化することで解除することができる。ここで、ホールの店員が、接続態様を正常な状態に戻し、貸出装置接続エラーを解除すると、図78のように、演出制御手段334は、第1レイヤに割り当てた貸出装置接続エラー情報436を削除する。そうすると、図78の例では、第2レイヤに割り当てられたコンプリート作動情報434を遮るものがなくなるので、液晶表示部124にはコンプリート作動情報434が表示される。また、メインセグメント表示部130には、貸出装置接続エラーを示すエラーコード「EL」の代わりに打ち止めエラーを示すエラーコード「Ey」が表示される。
【0737】
以上、説明した構成により、エラーが重複して生じた場合であっても、液晶表示部124の表示を適切に行うことが可能となる。また、エラーが重複した場合であっても、ホールの店員に伝達する必要性が高いエラーについてのエラー情報が表示され、エラー音がスピーカ128から出力されるので、ホールの店員は、そのようなエラーに早期に対応することが可能となる。
【0738】
なお、ここでは、レイヤとして第1レイヤ、第2レイヤ、第3レイヤを例に挙げて説明したが、その数や優先順位の関係はかかる場合に限らず、レイヤは4以上あってもよい。
【0739】
また、ここでは、メダルオーバーエラー情報432や貸出装置接続エラー情報436と、コンプリート作動情報434とを異なるレイヤに割り当てて、その優先順位によって液晶表示部124に表示する情報を制御する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、同一のレイヤに割り当てる情報を切り換えて液晶表示部124に表示する情報を制御してもよい。例えば、いずれもエラーに属する、メダルオーバーエラーとコンプリート機能の作動(打ち止めエラー)とが重複した場合、1のレイヤ(エラーレイヤ)に、メダルオーバーエラー情報432を優先して割り当て、コンプリート機能は作動しているが、メダルオーバーエラーが生じていない場合、同レイヤにコンプリート作動情報434を優先して割り当てるとしてもよい。
【0740】
このように、遊技価値(例えば、電子化メダル)の貸し出しを行う特定ユニット(例えば、専用ユニット350)と接続可能なスマートパチスロ100では、表示部(例えば、液晶表示部124、メインセグメント表示部130)と、表示部に情報を表示可能な制御手段(演出制御手段334、メインCPU200a)と、を備え、第1の事態(例えば、メダルオーバーエラー、貸出装置接続エラー)、および、第1の事態と異なる第2の事態(例えば、打ち止めエラー)のいずれか一方または双方が生じると遊技の進行が制限され、制御手段は、第2の事態が生じていないときに、第1の事態が生じると、表示部に第1の事態が生じたことを示す情報(例えば、メダルオーバーエラー情報432、エラーコード「EH」、貸出装置接続エラー情報436、エラーコード「EL」)を表示し、第1の事態が生じていないときに、第2の事態が生じると、表示部に第2の事態が生じたことを示す情報(例えば、コンプリート作動情報434、エラーコード「Ey」)を表示し、同契機(例えば、小役入賞時)において、第1の事態および第2の事態が生じると、表示部に第1の事態が生じたことを示す情報を表示する。
【0741】
なお、ここでは、第1の事態として、メダルオーバーエラー、貸出装置接続エラーを挙げ、第1の事態が生じたことを示す情報として、メダルオーバーエラー情報432、貸出装置接続エラー情報436を挙げたが、かかる場合に限らず、第2の事態より優先度(報知必要性)が高い事態(事象)であれば足り、例えば、第1の事態として、図32に示した、ドア開放エラー、メダル数制御エラーを適用し、第1の事態が生じたことを示す情報として、それぞれのエラーを示す情報を適用してもよい。また、ここでは、第2の事態として、打ち止めエラー(コンプリート機能の作動)を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、第1の事態より優先度(報知必要性)が低い事態(事象)であれば足りる。
【0742】
また、ここでは、同契機として、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたタイミングを例に挙げて説明したが、かかる場合に限らず、同契機として、同一の遊技中、同遊技結果が出たタイミング、同操作タイミング等を適用してもよい。例えば、同契機として、小役の入賞に代えて、ストップスイッチ120の第3停止を適用してもよい。
【0743】
上記では、異なる複数のエラーが重複した場合、例えば、メダルオーバーエラーと打ち止めエラーとが重複して生じた場合に、メダルオーバーエラー情報432を優先して液晶表示部124に表示し、エラーコード「EH」を優先してメインセグメント表示部130に表示する例、および、貸出装置接続エラーと打ち止めエラーとが重複して生じた場合に、貸出装置接続エラー情報436を優先して液晶表示部124に表示し、エラーコード「EL」を優先してメインセグメント表示部130に表示する例を挙げて説明した。しかし、異なる複数のエラーが重複した場合の表示態様はかかる場合に限らない。
【0744】
例えば、メダルオーバーエラーと打ち止めエラーとが重複して生じた場合、予め定められた優先順位に従ってエラー報知が行われるが、メダルオーバーエラーとドア開放エラーとが重複して生じた場合、先に生じたエラーのエラー報知が後に生じたエラーのエラー報知より優先して行われる。このとき、後に生じたエラーは、そのエラーが解除されるまでフラグ等により内部で保持される。そして、先に生じたエラーが解除されることで、はじめて後に生じたエラーのエラー報知が行われる。なお、仮に、先に生じたエラーのエラー報知が継続している間に、後に生じたエラーが解除されたとしても、先に生じたエラーが解除され、先に生じたエラーのエラー報知が終了した後に、後に生じたエラーのエラー報知が短時間(例えば、500msec)行われる。こうして、ホールの店員は、エラーが生じている間に生じた他のエラーについて、そのエラーが生じていた事実を確実に把握することができる。
【0745】
図79は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。そうすると、演出制御手段334は、第1レイヤにメダルオーバーエラー情報432を割り当てる。こうして、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示される。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。
【0746】
続いて、メダルオーバーエラー中に、前面上扉104または前面下扉106の少なくとも一方が開放され、ドア開放エラーが生じたとする。そうすると、メダルオーバーエラーとドア開放エラーとが重複して生じていることになる。この場合、先に生じたエラーであるメダルオーバーエラーに基づいて、優先してエラー報知が行われ、後に生じたドア開放エラーはフラグ等により内部的に保持される。したがって、引き続き、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。
【0747】
上記のように、メダルオーバーエラーとなると遊技の進行が制限されるが、計数処理は制限されない。したがって、表示されたメダルオーバーエラー情報432を視認した遊技者は、計数スイッチ112を操作して計数処理を行うことができる。遊技者により、計数処理が実行されると、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーとドア開放エラーのうちメダルオーバーエラーが解除される。こうして、残ったドア開放エラーに基づいて、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432の代わりにドア開放エラー情報438が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」の代わりにドア開放エラーを示すエラーコード「E8」が表示される。
【0748】
そして、前面上扉104および前面下扉106のいずれもが閉塞されると、ドア開放エラーが解除され、液晶表示部124およびメインセグメント表示部130にはエラー報知がされていない状態となる。
【0749】
このように、本実施形態では、エラーが生じ、そのエラーのエラー報知中に、他の1のエラーが重複して生じた場合、先に生じたエラーの解除後に、後に生じた他のエラーのエラー報知が行われる。かかる構成により、エラー処理に関するプログラムの容量を削減することが可能となる。
【0750】
なお、エラーが生じ、そのエラーのエラー報知中に、さらに複数の異なるエラーが重複して生じた場合(3以上のエラーが重複した場合)、その後に生じた複数の異なるエラーのエラー報知の優先順位は、生じた順に拘わらず、予め定められた優先順位に従うことになる。したがって、先に生じたエラーの解除後には、複数の異なるエラーのうち優先順位が高いエラーのエラー報知が実行される。
【0751】
しかし、上記のように複数のエラーが重複した場合に、先に生じたエラーのエラー報知が優先して行われ、先に生じたエラーが解除されるまでは後に生じたエラーのエラー報知が行われないとすると、エラーをスムーズに解除できない場合が生じ得る。ここでは、メダルオーバーエラーと貸出装置接続エラーとが重複して生じた場合を例に挙げて説明する。
【0752】
図80は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。そうすると、演出制御手段334は、第1レイヤにメダルオーバーエラー情報432を割り当てる。こうして、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示される。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。
【0753】
続いて、メダルオーバーエラー中に、メダル数制御基板204と専用ユニット350との接続が切断され、貸出装置接続エラーが生じたとする。具体的に、メダル数制御基板204において、メダルCPU204aは、VL接続信号がOFFされたことを検知すると、貸出装置接続エラー2が生じたと判断する。主制御基板200のメインCPU200aは、メダル数制御基板204において貸出装置接続エラー2が生じたことに基づいて、貸出装置接続エラーが生じたと判断する。そうすると、主制御基板200では、メダルオーバーエラーと貸出装置接続エラーとが重複して生じていることになる。この場合も、先に生じたエラーのエラー報知が優先して行われる。したがって、引き続き、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。
【0754】
上記のように、メダルオーバーエラーとなると遊技の進行が制限されるが、計数処理は制限されない。したがって、表示されたメダルオーバーエラー情報432を視認した遊技者は、計数スイッチ112を操作して計数処理の実行を試みる。しかし、メダルオーバーエラーと重複して貸出装置接続エラーが生じ、メダル数制御基板204と専用ユニット350とが通信を正常に行うことができないとなると、計数処理も実行不能となり、計数スイッチ112が有効に機能しない(計数スイッチ112を操作しても計数処理が行われない)。なお、ここでは、遊技者が計数スイッチ112を実際に操作することで計数スイッチ112が有効に機能しているか否か判断する例を挙げて説明したが、計数スイッチ112が有効に機能していることを示すランプが設けられている場合、遊技者は、かかるランプを参照して計数スイッチ112が有効に機能しているか否かを把握することができる。
【0755】
本来、貸出装置接続エラーが生じると、まず、貸出装置接続エラーであることを把握したホールの店員が、メダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続を確認し、接続態様を正常化しなければならない。そして、接続態様を正常化することで貸出装置接続エラーが解除され、計数処理が可能となる。
【0756】
しかしながら、本実施形態では、異なる複数のエラーが重複した場合に先に生じたエラーのエラー報知が優先して行われる構成により、図80に示すように、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示されており、貸出装置接続エラーが生じていることは外部から把握できない。遊技者やホールの店員は、表示されたメダルオーバーエラー情報432を視認し、計数スイッチ112を操作して計数処理を試みたとしても、貸出装置接続エラーにより計数処理ができず、計数処理ができない理由(貸出装置接続エラーが生じていること)も把握しようがない。したがって、遊技者およびホールの店員は、エラーを解除することができない。
【0757】
そこで、本実施形態では、主制御基板200のエラー報知とは独立させて、メダル数制御基板204上においてもエラー報知を行う。ここでは、メダル数制御基板204において、エラーの種別を示すエラーコードが表示されるメダルセグメント表示部204dを設けている。
【0758】
図81は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。そうすると、演出制御手段334は、第1レイヤにメダルオーバーエラー情報432を割り当てる。こうして、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示される。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。
【0759】
ここで、メインCPU200aは、主制御基板200におけるエラーに加え、メダル数制御基板204におけるエラーも監視している。一方、メダルCPU204aは、メダル数制御基板204におけるエラーは監視しているが、主制御基板200におけるエラーを把握する必要がないので、主制御基板200におけるエラーは監視していない。したがって、主制御基板200においてメダルオーバーエラーが生じたとしても、メダルCPU204aは、メダルセグメント表示部204dに何らエラーコードを表示しない。
【0760】
続いて、メダルオーバーエラー中に、メダル数制御基板204と専用ユニット350との接続が切断され、貸出装置接続エラーが生じたとする。具体的に、メダル数制御基板204において、メダルCPU204aは、VL接続信号がOFFされたことを検知すると、貸出装置接続エラー2が生じたと判断する。主制御基板200のメインCPU200aは、メダル数制御基板204において貸出装置接続エラー2が生じたことに基づいて、貸出装置接続エラーが生じたと判断する。そうすると、主制御基板200では、メダルオーバーエラーと貸出装置接続エラーとが重複して生じていることになる。この場合、先に生じたエラーのエラー報知が優先して行われる。したがって、引き続き、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。ただし、メダルCPU204aは、主制御基板200におけるエラーは監視しておらず、メダル数制御基板204におけるエラーのみを監視している。したがって、メダルCPU204aは、メダルオーバーエラーに対しては何ら応答しないが、専用ユニット350との接続が切断されたことに応じて貸出装置接続エラー2が生じたと判断し、貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」をメダルセグメント表示部204dに表示する。
【0761】
なお、メダルCPU204aは、VL接続信号がOFFされている時間が所定時間(例えば、150msec)継続していることをもって貸出装置接続エラー2が生じたと判断するので、VL接続信号がOFFされた所定時間後において、メダルセグメント表示部204dに貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」が示されることとなる。メダルCPU204aは、かかる貸出装置接続エラー2に基づいて、計数処理および貸出処理を自己完結的に制限する。
【0762】
本実施形態では、異なる複数のエラーが重複した場合に、先に生じたエラーのエラー報知が優先して行われるので、遊技者やホールの店員は、表示されたメダルオーバーエラー情報432を視認し、計数スイッチ112を操作して計数処理を試みたとしても、貸出装置接続エラーにより計数処理ができず、計数処理ができない理由(貸出装置接続エラーが生じていること)も把握しようがない。したがって、遊技者およびホールの店員は、エラーを解除することができないように思われる。
【0763】
しかし、ここでは、計数処理ができないことに基づいて、ホールの店員は、前面上扉104または前面下扉106を開放することで、メダル数制御基板204に設けられたメダルセグメント表示部204dを視認することができる。なお、このとき、前面上扉104または前面下扉106の開放に応じて、メインCPU200aでは、メダルオーバーエラーおよび貸出装置接続エラーに加えて、ドア開放エラーも生じていることになる。メインCPU200aでは、メダルオーバーエラー、貸出装置接続エラー、および、ドア開放エラーが重複して生じていることを内部的に保持している。ここで、メダルCPU204aは、ドア開放エラーに対しても何ら応答しないので、引き続き、貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」をメダルセグメント表示部204dに表示する。
【0764】
したがって、ホールの店員は、液晶表示部124およびメインセグメント表示部130からはメダルオーバーエラーが生じていることしか把握できないが、筐体102内のメダルセグメント表示部204dによって、貸出装置接続エラー2が生じていることを把握することができる。ここで、ホールの店員がメダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続を確認し、貸出装置接続エラー2の解除操作を通じて接続態様を正常化すると、メダル数制御基板204における貸出装置接続エラー2は解除され、メダルセグメント表示部204dの表示が削除される。また、同時に主制御基板200における貸出装置接続エラーも解除される。こうして計数処理が可能となる。
【0765】
そして、前面上扉104または前面下扉106が開放された状態で、計数処理が実行されると、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーも解除されることとなる。そうすると、残ったドア開放エラーに基づいて、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432の代わりに、ドア開放エラー情報438が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」の代わりにドア開放エラーを示すエラーコード「E8」が表示される。
【0766】
そして、前面上扉104および前面下扉106のいずれもが閉塞されると、ドア開放エラーが解除され、液晶表示部124およびメインセグメント表示部130もエラー報知がされていない状態となる。
【0767】
このように、メダル数制御基板204におけるエラーを、主制御基板200におけるエラーとは独立させて管理し、メインセグメント表示部130とは異なるメダルセグメント表示部204dに表示することで、ホールの店員は、液晶表示部124、メインセグメント表示部130では表示されていない、メダル数制御基板204におけるエラーを把握することができる。したがって、例えば、メダルオーバーエラーと貸出装置接続エラーとが重複して生じ、計数処理不能によりメダルオーバーエラーを解除できない状態であっても、ホールの店員は、メダルセグメント表示部204dを通じて貸出装置接続エラー2を把握し、メダルオーバーエラーおよび貸出装置接続エラーを解除することが可能となる。
【0768】
このように、スマートパチスロ100では、遊技の進行を制御する第1制御手段(例えば、メインCPU200a)と、第1制御手段に対応する第1表示部(例えば、液晶表示部124、メインセグメント表示部130)と、第1制御手段と通信可能な第2制御手段(例えば、メダルCPU204a)と、第2制御手段に対応する第2表示部(例えば、メダルセグメント表示部204d)と、を備え、第1の事象(例えば、メダルオーバーエラー)、および、第1の事象と異なる第2の事象(例えば、貸出装置接続エラー(貸出装置接続エラー2))のいずれか一方または双方が生じると遊技の進行が制限され、第1の事象が生じると、第1制御手段は、第1の事象が生じたこと(例えば、メダルオーバーエラー情報432、エラーコード「EH」)を第1表示部に表示し、第2制御手段は、第1の事象が生じたことを第2表示部に表示せず、第2の事象が生じると、第1制御手段は、第2の事象が生じたこと(例えば、貸出装置接続エラー情報436、エラーコード「EL」)を第1表示部に表示し、第2制御手段は、第2の事象が生じたこと(例えば、エラーコード「L」)を第2表示部に表示し、第1の事象が生じた後に、第1の事象と重複して第2の事象が生じると、第1制御手段は、第1の事象が生じたことを第1表示部に表示し、第2制御手段は、第2の事象が生じたことを第2表示部に表示する。
【0769】
なお、ここでは、第1表示部として、副制御基板202に接続された液晶表示部124、および、主制御基板200に接続されたメインセグメント表示部130を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、第1制御手段(例えば、メインCPU200a)の指示に従って第1の事象が生じたことを表示できれば(対応していれば)足り、例えば、他の基板(副制御基板202)を介して第1の事象が生じたことを表示するとしてもよい。また、第2表示部として、メダル数制御基板204に接続されたメダルセグメント表示部204dを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、第2制御手段(例えば、メダルCPU204a)の指示に従って第2の事象が生じたことを表示できれば足り、例えば、他の基板(遊技球等貸出装置接続端子板206)を介して第2の事象が生じたことを表示するとしてもよい。
【0770】
また、ここでは、第1制御手段としてメインCPU200aを挙げ、第2制御手段としてメダルCPU204aを挙げて説明したが、様々な制御手段を適用することができ、例えば、第1制御手段としてメインCPU200aを適用するとともに、第2制御手段としてサブCPU202aを適用するとしてもよい。
【0771】
図81の例では、メダルオーバーエラー中に、貸出装置接続エラーが生じた場合の動作について説明した。具体的に、メダルオーバーエラー中に、貸出装置接続エラーが生じた場合であっても、先に生じたメダルオーバーエラーに基づいて液晶表示部124には引き続きメダルオーバーエラー情報432が表示される。一方、メダルCPU204aは、専用ユニット350との接続が切断されたことに応じて貸出装置接続エラー2が生じたと判断し、貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」をメダルセグメント表示部204dに表示する。したがって、ホールの店員は、メダルオーバーエラーを解除するため計数処理を試み、計数処理ができなかった場合、前面上扉104または前面下扉106を開放してメダルセグメント表示部204dを通じて貸出装置接続エラー2が生じていることを把握できる。こうして、ホールの店員は、メダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続を確認し、貸出装置接続エラー2の解除操作を通じて接続態様を正常化すると、メダル数制御基板204における貸出装置接続エラー2を解除することができる。貸出装置接続エラー2が解除されると、遊技者は、計数処理を実行することでメダルオーバーエラーを解除することができる。
【0772】
ここでは、メダルオーバーエラー中に貸出装置接続エラーが生じた場合に、ホールの店員は、前面上扉104または前面下扉106を開放し、メダルセグメント表示部204dを通じて貸出装置接続エラーを目視している。したがって、ホールの店員は、貸出装置接続エラーの発生を確実に把握することができる。
【0773】
しかし、貸出装置接続エラーは、前面上扉104または前面下扉106を開放してメダルセグメント表示部204dを目視しなくても解除することが可能な場合がある。例えば、専用ユニット350を直接リセットしたり、リモートコントローラを通じてリセットすることでも貸出装置接続エラーを解除できる。
【0774】
図82は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。そうすると、演出制御手段334は、第1レイヤにメダルオーバーエラー情報432を割り当てる。こうして、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示される。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。
【0775】
続いて、メダルオーバーエラー中に、メダル数制御基板204と専用ユニット350との接続が切断され、貸出装置接続エラーが生じたとする。主制御基板200のメインCPU200aは、メダル数制御基板204において貸出装置接続エラー2が生じたことに基づいて、貸出装置接続エラーが生じたと判断する。そうすると、主制御基板200では、メダルオーバーエラーと貸出装置接続エラーとが重複して生じていることになる。この場合、先に生じたエラーのエラー報知が優先して行われる。したがって、引き続き、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。一方、メダルCPU204aは、メダルオーバーエラーに対しては何ら応答しないが、専用ユニット350との接続が切断されたことに応じて貸出装置接続エラー2が生じたと判断し、貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」をメダルセグメント表示部204dに表示する。
【0776】
このように、異なる複数のエラーが重複した場合、液晶表示部124やメインセグメント表示部130には、先に生じたエラーのエラー報知が優先して行われるので、遊技者やホールの店員は、表示されたメダルオーバーエラー情報432を視認し、計数スイッチ112を操作して計数処理を試みることとなる。しかし、重複して貸出装置接続エラーも生じているため、計数処理を試みたとしても計数処理ができない。遊技者やホールの店員は、計数処理ができない理由(貸出装置接続エラーが生じていること)を、スマートパチスロ100の外観上、把握する術がない。
【0777】
しかし、メダルオーバーエラーのエラー報知中に計数処理ができなかった場合、ホールの店員は、貸出装置接続エラーが生じているのではと、その原因を予想できる場合がある。そうすると、ホールの店員は、前面上扉104または前面下扉106を開放することなく、専用ユニット350を直接リセットするか、または、リモートコントローラを通じて専用ユニット350をリセットすることで貸出装置接続エラーの解除を試みることができる。これによって、メダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続態様が正常化し、貸出装置接続エラーが解除されたとする。こうして計数処理が可能となる。
【0778】
そして、ホールの店員または遊技者により、再度、計数処理が実行されると、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーも解除されることとなる。そうすると、メダルオーバーエラーに基づく遊技の進行制限も解除され、遊技者は、遊技の進行を再開することが可能となる。
【0779】
しかし、この場合、メダルオーバーエラーが解除されるまでの間、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され続け、また、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示され続けているので、ホールの店員は、スマートパチスロ100の外観上、途中生じた貸出装置接続エラーの有無について把握することができない。
【0780】
また、仮に、第三者がメダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続のいずれかに不正行為を行おうとした場合も同様に、ホールの店員は、スマートパチスロ100の外観上、貸出装置接続エラーの有無について把握することができない。
【0781】
例えば、図82の例において、第三者が、意図的に遊技メダル数を16369以上とし、メダルオーバーエラーを生じさせたとする。そうすると、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。ここで、第三者が不正に、遊技球等貸出装置接続端子板206と専用ユニット350との接続を断つと、貸出装置接続エラーが生じる。しかし、図82のように、液晶表示部124およびメインセグメント表示部130では、メダルオーバーエラーの報知が継続し、貸出装置接続エラーの報知は行われない。このとき、メダルセグメント表示部204dには、貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」が表示されているが、その表示位置は筐体102内であり、スマートパチスロ100の外観上表されることがないので、ホールの店員は、貸出装置接続エラーが生じたことを把握することができない。そして、専用ユニット350をリセットする等、何らかの手段によって貸出装置接続エラーを解除する操作を行い、その後、計数処理を実行すると、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーも解除することができる。こうして、第三者は、外部に知られることなく不正行為を実行することが可能となる。
【0782】
そこで、ここでは、エラーの報知中に他のエラーが生じ、後に生じたエラーに対し先に解除操作を行った場合であっても、先に生じたエラーの報知終了後に後に生じたエラーを報知する。
【0783】
図83は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。メインCPU200aは、メダルオーバーエラー情報432を液晶表示部124に表示する。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。
【0784】
続いて、メダルオーバーエラー中に、メダル数制御基板204と専用ユニット350との接続が切断され、貸出装置接続エラーが生じたとする。しかし、主制御基板200のメインCPU200aは、先に生じたエラーのエラー報知を優先するので、引き続き、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。
【0785】
かかるメダルオーバーエラーに応じて、計数処理ができなかった場合、ホールの店員は、貸出装置接続エラーが生じていることを予想できる場合がある。したがって、ホールの店員は、前面上扉104または前面下扉106を開放することなく、専用ユニット350を直接リセットするか、または、リモートコントローラを通じて専用ユニット350をリセットすることで貸出装置接続エラーの解除を試みる。これによって、メダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続態様が正常化し、貸出装置接続エラーが解除されたとする。こうして計数処理が可能となる。
【0786】
そして、ホールの店員または遊技者により、再度、計数処理が実行されると、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーも解除されることとなる。そうすると、メダルオーバーエラーに基づく遊技の進行制限も解除され、遊技者は、遊技の進行を再開することが可能となる。
【0787】
ここで、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、液晶表示部124からメダルオーバーエラー情報432を削除するとともに、貸出装置接続エラーが生じていたことに基づいて、液晶表示部124に貸出装置接続エラー情報436を表示する。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、メインセグメント表示部130からメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」を削除するとともに、貸出装置接続エラーが生じていたことに基づいて、メインセグメント表示部130に貸出装置接続エラーを示すエラーコード「EL」を表示する。メインCPU200aは、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」を所定時間(例えば、655msec)表示すると、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」を削除する。その後、遊技者は、遊技を進行することが可能となる。
【0788】
ここでは、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じ、後に生じた貸出装置接続エラーが先に解除操作された場合であっても、先に生じたメダルオーバーエラーの報知終了後に、後に生じた貸出装置接続エラーを報知する。このようなエラーの後報知は、第三者が、不正に貸出装置接続エラーを解除した場合であっても行われる。したがって、ホールの店員は、メダルオーバーエラーの報知中に、貸出装置接続エラーが発生および解除操作された場合であっても、貸出装置接続エラーが生じたことを適切に把握することが可能となる。
【0789】
また、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じた場合でも、即座に貸出装置接続エラーを報知せず、メダルオーバーエラーが解除されるまでその報知を継続する構成により、ホールの店員は、最先のエラーを確実に把握でき、最先のエラーの解除に注力できる。また、このような構成により、プログラムを単純化でき、メモリの容量を削減することが可能となる。
【0790】
また、上記のようなエラーの後報知は、図81で説明したような、ホールの店員が、前面上扉104または前面下扉106を開放して貸出装置接続エラーを解除する場合にも適用できる。以下、ホールの店員が、前面上扉104または前面下扉106を開放し貸出装置接続エラー解除後、計数処理を行ってから前面上扉104または前面下扉106を閉塞する例と、貸出装置接続エラー解除後、前面上扉104または前面下扉106を閉塞してから計数処理を行う例を挙げて説明する。
【0791】
図84は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。メインCPU200aは、メダルオーバーエラー情報432を液晶表示部124に表示する。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。
【0792】
続いて、メダルオーバーエラー中に、メダル数制御基板204と専用ユニット350との接続が切断され、貸出装置接続エラーが生じたとする。しかし、主制御基板200のメインCPU200aは、先に生じたエラーのエラー報知を優先するので、引き続き、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。
【0793】
かかるメダルオーバーエラーに応じて、計数処理ができなかった場合、ホールの店員は、前面上扉104または前面下扉106を開放することで、メダル数制御基板204に設けられたメダルセグメント表示部204dを視認することができる。なお、このとき、前面上扉104または前面下扉106の開放に応じて、メインCPU200aでは、メダルオーバーエラーおよび貸出装置接続エラーに加えて、ドア開放エラーも生じていることになる。メインCPU200aでは、メダルオーバーエラー、貸出装置接続エラー、および、ドア開放エラーが重複して生じていることを内部的に保持している。ここで、メダルCPU204aは、ドア開放エラーに対して何ら応答することなく、引き続き、貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」をメダルセグメント表示部204dに表示する。
【0794】
したがって、ホールの店員は、筐体102内のメダルセグメント表示部204dによって、貸出装置接続エラー2が生じていることを把握することができる。ここで、ホールの店員がメダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続を確認し、貸出装置接続エラー2の解除操作を通じて接続態様を正常化すると、メダル数制御基板204における貸出装置接続エラー2は解除され、メダルセグメント表示部204dの表示が削除される。また、同時に主制御基板200における貸出装置接続エラーも解除される。こうして計数処理が可能となる。
【0795】
そして、前面上扉104または前面下扉106が開放された状態で、ホールの店員または遊技者により、再度、計数処理が実行されると、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーも解除されることとなる。そうすると、メダルオーバーエラーに基づく遊技の進行制限も解除される。
【0796】
ここで、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、液晶表示部124からメダルオーバーエラー情報432を削除するとともに、貸出装置接続エラーが生じていたことに基づいて、液晶表示部124に貸出装置接続エラー情報436を表示する。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、メインセグメント表示部130からメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」を削除するとともに、貸出装置接続エラーが生じていたことに基づいて、メインセグメント表示部130に貸出装置接続エラーを示すエラーコード「EL」を表示する。メインCPU200aは、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」を所定時間(例えば、655msec)表示する。
【0797】
そして、メインCPU200aは、所定時間の経過に応じて、貸出装置接続エラー情報436を削除するとともに、残ったドア開放エラーに基づいて、液晶表示部124にドア開放エラー情報438表示する。また、メインCPU200aは、所定時間の経過に応じて、メインセグメント表示部130から貸出装置接続エラーを示すエラーコード「EL」を削除するとともに、残ったドア開放エラーに基づいて、メインセグメント表示部130にドア開放エラーを示すエラーコード「E8」を表示する。
【0798】
ここで、前面上扉104および前面下扉106のいずれもが閉塞されると、ドア開放エラーが解除され、液晶表示部124およびメインセグメント表示部130もエラー報知がされていない状態となる。こうして、遊技者は、遊技の進行を再開することが可能となる。
【0799】
ここでも、図83同様、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じ、後に生じた貸出装置接続エラーが先に解除操作された場合であっても、先に生じたメダルオーバーエラーの報知終了後に、後に生じた貸出装置接続エラーを報知することができる。したがって、ホールの店員は、メダルオーバーエラーの報知中に、貸出装置接続エラーが発生および解除操作された場合であっても、貸出装置接続エラーが生じていたことを適切に把握することが可能となる。
【0800】
また、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じた場合でも、即座に貸出装置接続エラーを報知せず、メダルオーバーエラーが解除されるまでその報知を継続する構成により、ホールの店員は、最先のエラーを確実に把握でき、最先のエラーの解除に注力できる。また、このような構成により、プログラムを単純化でき、メモリの容量を削減することが可能となる。
【0801】
ここでは、先に生じたメダルオーバーエラーの報知終了後に、前面上扉104または前面下扉106が開放された状態で、後に生じた貸出装置接続エラーを報知している。かかる構成により、貸出装置接続エラーが生じたことを早期に報知することが可能となる。しかし、かかる場合に限らず、先に生じたメダルオーバーエラーの報知終了後、かつ、前面上扉104および前面下扉106が閉塞され、ドア開放エラーの報知終了後に、貸出装置接続エラーを報知するとしてもよい。かかる構成により、前面上扉104および前面下扉106が閉塞され、ホールの店員は、液晶表示部124およびメインセグメント表示部130を正面視できるので、貸出装置接続エラーが生じたことを確実に把握することが可能となる。また、メダルオーバーエラーやドア開放エラーに限らず、図32において説明したエラー全てが解除された後に貸出装置接続エラーが報知されるとしてもよい。
【0802】
図85は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。ここでは、小役の入賞により、ベットした以上の電子化メダルの払い出しを受けたことで、遊技メダル数が16369以上となり、メダルオーバーエラーとなったとする。メインCPU200aは、メダルオーバーエラー情報432を液晶表示部124に表示する。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」をメインセグメント表示部130に表示する。
【0803】
続いて、メダルオーバーエラー中に、メダル数制御基板204と専用ユニット350との接続が切断され、貸出装置接続エラーが生じたとする。しかし、主制御基板200のメインCPU200aは、先に生じたエラーのエラー報知を優先するので、引き続き、液晶表示部124にはメダルオーバーエラー情報432が表示され、メインセグメント表示部130にはメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」が表示される。
【0804】
かかるメダルオーバーエラーに応じて、計数処理ができなかった場合、ホールの店員は、前面上扉104または前面下扉106を開放することで、メダル数制御基板204に設けられたメダルセグメント表示部204dを視認することができる。なお、このとき、前面上扉104または前面下扉106の開放に応じて、メインCPU200aでは、メダルオーバーエラーおよび貸出装置接続エラーに加えて、ドア開放エラーも生じていることになる。メインCPU200aでは、メダルオーバーエラー、貸出装置接続エラー、および、ドア開放エラーが重複して生じていることを内部的に保持している。ここで、メダルCPU204aは、ドア開放エラーに対して何ら応答することなく、引き続き、貸出装置接続エラー2を示すエラーコード「L」をメダルセグメント表示部204dに表示する。
【0805】
したがって、ホールの店員は、筐体102内のメダルセグメント表示部204dによって、貸出装置接続エラー2が生じていることを把握することができる。ここで、ホールの店員がメダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続を確認し、貸出装置接続エラー2の解除操作を通じて接続態様を正常化すると、メダル数制御基板204における貸出装置接続エラー2は解除され、メダルセグメント表示部204dの表示が削除される。また、同時に主制御基板200における貸出装置接続エラーも解除される。こうして計数処理が可能となる。
【0806】
そして、ホールの店員が、前面上扉104および前面下扉106のいずれも閉塞すると、ドア開放エラーが解除され、メダルオーバーエラーのみが残った状態となる。続いて、ホールの店員または遊技者により、再度、計数処理が実行されると、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーも解除されることとなる。そうすると、メダルオーバーエラーに基づく遊技の進行制限も解除される。
【0807】
ここで、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、液晶表示部124からメダルオーバーエラー情報432を削除するとともに、貸出装置接続エラーが生じていたことに基づいて、液晶表示部124に貸出装置接続エラー情報436を表示する。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、メインセグメント表示部130からメダルオーバーエラーを示すエラーコード「EH」を削除するとともに、貸出装置接続エラーが生じていたことに基づいて、メインセグメント表示部130に貸出装置接続エラーを示すエラーコード「EL」を表示する。メインCPU200aは、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」を所定時間(例えば、655msec)表示すると、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」を削除する。その後、遊技者は、遊技を進行することが可能となる。
【0808】
ここでも、図84同様、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じ、後に生じた貸出装置接続エラーが先に解除操作された場合であっても、先に生じたメダルオーバーエラーの報知終了後に、後に生じた貸出装置接続エラーを報知することができる。したがって、ホールの店員は、メダルオーバーエラーの報知中に、貸出装置接続エラーが発生および解除操作された場合であっても、貸出装置接続エラーが生じていたことを適切に把握することが可能となる。
【0809】
また、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じた場合でも、即座に貸出装置接続エラーを報知せず、メダルオーバーエラーが解除されるまでその報知を継続する構成により、ホールの店員は、最先のエラーを確実に把握でき、最先のエラーの解除に注力できる。また、このような構成により、プログラムを単純化でき、メモリの容量を削減することが可能となる。
【0810】
なお、図85の例では、メダルオーバーエラーの報知中に、貸出装置接続エラーのみならず、ドア開放エラーも発生および解除されている。しかし、ドア開放エラーは、前面上扉104または前面下扉106の開放を伴うので、液晶表示部124に報知されなくとも、ホールの店員によって容易に目視できる。したがって、ここでは、メダルオーバーエラーの報知終了後に、貸出装置接続エラーについてのみ後報知する。ただし、メダルオーバーエラーの報知終了後に、貸出装置接続エラーおよびドア開放エラーを、その順に報知してもよい。
【0811】
なお、上述したように、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの報知終了後、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」を所定時間(例えば、655msec)表示する。これは、貸出装置接続エラーの報知開始条件として、メダルオーバーエラーの解除を含めれば足りる。また、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じてカウンタの計数を開始し、所定時間後に貸出装置接続エラーの報知を終了すればよい。
【0812】
ただし、かかる場合に限らず、以下のように、貸出装置接続エラーの解除条件自体を調整することでも、貸出装置接続エラーの後報知を実現することができる。
【0813】
図86は、報知による表示態様の変化を示したタイミングチャートである。図86の動作は、図83の動作と実質的に等しいので、ここでは、重複する説明を省略し、所定時間の表示について詳述する。
【0814】
上述したように、ホールの店員は、前面上扉104または前面下扉106を開放し、メダル数制御基板204、遊技球等貸出装置接続端子板206、専用ユニット350の接続を正常化したり、前面上扉104または前面下扉106を開放することなく、専用ユニット350を直接リセットしたり、リモートコントローラを通じてリセットすることで(解除操作することで)、貸出装置接続エラーを解除することができる。例えば、図86では、専用ユニット350の接続を正常化することで貸出装置接続エラーが生じている状態が解消される。
【0815】
しかし、メインCPU200aは、かかる操作によって貸出装置接続エラーの原因が解消されても、直ちに、貸出装置接続エラーを解除しない。例えば、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、タイマのカウントを開始し、所定時間、VL接続信号がON状態を継続するか否か判定する。そして、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーが解除されてから所定時間、VL接続信号のON状態が継続していると判定すると、はじめて、貸出装置接続エラーを解除する。そうすると、図86に破線で示したように、貸出装置接続エラーを解除する操作を行ってから、メダルオーバーエラーが解除されて所定時間経過するまで、貸出装置接続エラーが延長される。
【0816】
メインCPU200aは、メダルオーバーエラーと貸出装置接続エラーとが重複して生じている場合、先に生じたエラーであるメダルオーバーエラーを優先して報知し、後に生じた貸出装置接続エラーはフラグ等により内部的に保持する。そして、遊技メダル数が16369未満となり、メダルオーバーエラーが解除されると、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーに代えて、保持していた貸出装置接続エラーを報知する。こうして、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」を所定時間(例えば、655msec)表示することが可能となる。
【0817】
上記のように、ここでは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、貸出装置接続エラー情報436およびエラーコード「EL」が所定時間表示される。しかし、ホールの店員が、所定時間の間に必ずしもエラー報知を確認できるとは限らない。そこで、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じ、後に生じた貸出装置接続エラーが先に解除操作された場合であっても、先に生じたメダルオーバーエラーの報知終了後に、後に生じた貸出装置接続エラーを履歴として記憶する。
【0818】
具体的に、主制御基板200におけるメインCPU200aは、メダルオーバーエラーが生じたことに応じ、当該メダルオーバーエラーが生じた旨のコマンドを副制御基板202に送信する。副制御基板202のサブCPU202aは、メインCPU200aから受信したコマンドに基づいて、メダルオーバーエラー情報432を液晶表示部124に表示するとともに、メダルオーバーエラーが生じたことをエラー履歴情報としてサブRAM202cに記憶する。続いて、メインCPU200aは、メダルオーバーエラーの解除に応じて、貸出装置接続エラーが生じた旨のコマンドを副制御基板202に送信する。サブCPU202aは、メインCPU200aから受信したコマンドに基づいて、貸出装置接続エラー情報436を所定時間(例えば、655msec)表示するとともに、貸出装置接続エラーが生じたことをエラー履歴情報としてサブRAM202cに記憶する。こうして、メダルオーバーエラーの報知中に、他のエラーである貸出装置接続エラーが生じ、後に生じた貸出装置接続エラーが先に解除操作された場合であっても、貸出装置接続エラーが生じていたことを事後的に把握することができ、セキュリティの向上を図ることが可能となる。
【0819】
なお、ここでは、メインCPU200aから受信したコマンドに基づいて、副制御基板202のサブCPU202aが、エラーが生じたことをエラー履歴情報として記憶する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、エラーが生じた時刻やエラーを解除した時刻を対応付けて記憶するとしてもよい。
【0820】
このように、スマートパチスロ100は、遊技の進行を制御する制御手段(例えば、メインCPU200a)と、表示手段(例えば、液晶表示部124、メインセグメント表示部130)と、を備え、制御手段は、第1の事象(例えば、メダルオーバーエラー)、および、第1の事象と異なる第2の事象(例えば、貸出装置接続エラー)のいずれか一方または双方が生じると遊技の進行を制限し、第1の事象が生じると、第1の事象が生じている第1状態であること(例えば、メダルオーバーエラー情報432、エラーコード「EH」)を表示手段に表示し、第1状態において、第1の事象と重複して第2の事象が生じたとしても、第2の事象が生じている第2状態であること(例えば、貸出装置接続エラー情報436、エラーコード「EL」)を表示手段に表示せず、第1状態において、第2の事象の解除操作が行われた後、第1の事象が解除されると、第2の事象の解除操作が再度行われなくとも、遊技を進行する。
【0821】
なお、ここでは、第1の事象としてメダルオーバーエラーを挙げ、第2の事象として貸出装置接続エラーを挙げて説明したが、第2の事象は、かかる場合に限らず、図32におけるドア開放エラー、メダル数制御エラーを採用することもできる。また、第1の事象と第2の事象との組み合わせは、メダルオーバーエラーと貸出装置接続エラーとに限らず、ドア開放エラー、貸出装置接続エラー、メダル数制御エラーのいずれかを第1の事象とし、その他のいずれかを第2の事象とすることができる。なお、第1の事象が図32における打ち止めエラーであった場合、第1の事象が生じている状態であるか否かに拘わらず、後から生じた第2の事象である、例えば、ドア開放エラー、貸出装置接続エラー、メダル数制御エラーが優先して報知される。また、ここでは、メダルオーバーエラーをエラーの一部として示しているが、遊技メダル数が16369枚以上となって大きな遊技利益を得たという点で、単なる事象と考えることができ、その報知は、エラー報知ではなく、注意喚起と解釈することもできる。
【0822】
また、ここでは、制御手段としてメインCPU200aを挙げて説明したが、様々な制御手段を適用することができる。
【0823】
また、ここでは、スマートパチスロ100を挙げて、報知による表示態様の変化を説明したが、かかる場合に限らず、パチスロ、パチンコ機、スマートパチンコにも適用できることは言うまでもない。
【0824】
(メインCPUと試験機との通信)
スマートパチスロ100においても、実物のメダルによって遊技を進行するスロットマシン同様、公安委員会の指定試験機関である保安通信協会(保通協)および、一般社団法人GLI Japanの型式試験が行われる。回胴式遊技機用試験機の接続仕様書(第七版)には、指定試験機関で使用する試験機を用いて適切に試験を行うために必要な仕様が記載されている。以下に、その概略を説明する。
【0825】
図87は、スマートパチスロ100の試射試験を説明するための説明図である。試射試験においては、図87に示すようにスマートパチスロ100と試射試験機500とを、各信号を統一するための第1インターフェースボード502および第2インターフェースボード504を介して接続する。
【0826】
まず、試射試験機500は、第1インターフェースボード502のコネクタCN3を介して、スマートパチスロ100に所定の信号を出力する。ここで出力される所定の信号は、例えば、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120等が操作された旨の疑似信号である。なお、実際には、これらのスイッチは操作されていないので、スイッチ毎に設けられたセンサが検出信号を出力することはないが、疑似的に操作されたものとして疑似信号が出力される。
【0827】
また、かかる信号に対して、主制御基板200は、第1インターフェースボード502のコネクタCN1、CN2を介して、試射試験機500に所定の信号を出力する。ここで出力される所定の信号は、演出用ランプ126の状態、各種センサの状態、ステッピングモータ152の位置等を示す信号である。また、AT演出状態等による補助演出を採用している場合、主制御基板200は、第2インターフェースボード504のコネクタCN4を介して、試射試験機500に所定の信号を出力する。ここで出力される所定の信号は、最大の出玉率を得ることができる遊技方法に係る信号等である。ここでは、このような信号が、主として離散信号、すなわち、1(HIGH)または0(LOW)の2値で表される。
【0828】
そして、図87のような構成を前提に、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、ベットスイッチ116等の入力に対する遊技制御処理(当選種別抽選、リール制御、ベット等)の作動状況が正常であるか、また、各種ランプが正常に表示されているか等が試験される。また、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、遊技制御処理の作動の各種タイミング、例えば、スタートスイッチ118が操作されてから、最初にストップスイッチ120が有効になり、それに対応する演出用ランプ126の点灯消灯状態を管理するランプ信号がONとなるタイミング等、信号がON/OFFする条件が満たされてから信号が変化しているか、または、そのタイミングが適切な時間範囲に含まれているかが試験される。
【0829】
また、出玉性能に係る(出玉率の上下限を確認する)試験としては、例えば、(1)短時間出玉率(任意の500遊技の区間における出玉率が300%未満であること)、(2)中時間出玉率(任意の6000遊技の区間における出玉率が150%未満であること)、(3)長時間出玉率(任意の17500遊技の区間における出玉率が120%未満であり、55%を超えること)、(4)役物比率(スロットマシンから払い出された遊技メダルのうち、役物(SB、CB、MB、RB、BB)の作動で獲得した出玉が70%以下であること)、(5)連続役物比率(遊技機から払い出された遊技メダルのうち、連続役物(RBもしくはBB)の作動で獲得した出玉が60%以下であること)等が挙げられる。また、その試験方法としては、(A)シミュレーション試験(毎遊技で獲得できる最大の枚数を獲得する試験)、(B)試射試験1(遊技者が遊技する遊技方法と同じ遊技方法で遊技する試験)、(C)試射試験2(出玉率が最低となる遊技方法で遊技)等が挙げられる。なお、役物比率や連続役物比率は、遊技数が規定遊技数である17500遊技以上となって有効となる。したがって、遊技数が規定遊技数以上となって、初めて役物比率や連続役物比率の情報を、例えば、70(46H)や60(3CH)と表し、遊技数が規定遊技数に達していない間は無効値としてFFHが用いられる。
【0830】
ここでは、比較例として、スロットマシンと試射試験機500とを接続した場合を説明し、その後、スマートパチスロ100と試射試験機500とを接続した場合を説明する。
【0831】
図88は、スロットマシンの動作を説明するための説明図である。例えば、スロットマシンと試射試験機500とを接続した場合において、試射試験機500からスロットマシンにベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120の疑似信号が順次入力されると、かかる疑似信号に応じ、スロットマシンのリール制御手段306は、リール110a、110b、110cを停止制御する。このような疑似信号により、スロットマシンにおいて、遊技が繰り返されるオート遊技が実行される。ここでは、仮に、オート遊技の1遊技において、有効ラインA上に払出枚数15枚の小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合を説明する。
【0832】
リール制御手段306により、図88の時点aにおいて、全てのリール110a、110b、110cが停止すると、判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定し、払出制御手段310は、当選役(ここでは小役)に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたことに基づいて、小役に対応する数(ここでは15枚)だけメダルを払い出す。ここでは、小役の払出枚数に応じて、1枚ずつ等間隔でメダルが払い出される。そして、メダルの払い出しが完了すると、払出制御手段310は、次の1遊技の開始、すなわち、ベットスイッチ116によるベットを許可する。
【0833】
このとき、スロットマシンから試射試験機500へは、メダルの15枚の払い出しに基づいて、デューティ50%の15回のパルスからなる払い出しカウント信号(第1信号)が送信され(外部に出力され)、178.8msec後の払い出しカウント信号の終了を示す時点bにおいて投入要求ランプ信号(第2信号)がONとなる(外部に出力される)。試射試験機500は、かかる払い出しカウント信号によって、メダルの払出枚数が適切に行われたか判定し、また、投入要求ランプ信号のONにより、次の遊技が可能となったこと(次のオート遊技を開始できること)を把握する。ここで、第1信号は、払い出しカウント信号に限らず、電子化メダルの数をパルスの数として試射試験機500に伝達できれば足りる。また、第2信号は、投入要求ランプ信号に限らず、第1信号の出力の完了、例えば、パルス数が電子化メダルの数分出力されたことを試射試験機500に伝達できれば足りる。
【0834】
ところで、スロットマシンとスマートパチスロ100とは遊技の進行処理が実質的に等しい。したがって、試射試験機500と送受信する信号も実質的に等しくなる。しかし、スロットマシンとスマートパチスロ100とで、その動作が異なる場合もある。例えば、スロットマシンでは実際のメダルを払い出すため、その払い出しに時間を要するが、スマートパチスロ100ではメダルの介在なしに遊技が進行するので、払出制御手段310はメダルの払い出しを行わない。したがって、図88で示したような払出制御手段310による実際のメダルの払い出しも生じない。スロットマシンにおいては、払出制御手段310が、メダルの払い出し中に次遊技の開始を制限し、払い出しが完了してから次遊技の開始を許可していた。しかし、スマートパチスロ100では、実際のメダルの払い出しを要さず、電子化メダルの払い出しは瞬時に終了する。そうすると、全てのリール110a、110b、110cが停止しさえすれば、その直後に次遊技も開始可能となる。
【0835】
しかし、上記のように、スロットマシンとスマートパチスロ100とは遊技の進行処理が実質的に等しいことから、試射試験機500と送受信する信号は実質的に等しくしている。そうすると、スマートパチスロ100において、実際のメダルの払い出しを伴わない場合においても払い出しカウント信号や投入要求ランプ信号を出力する必要がある。したがって、スマートパチスロ100においても、試射試験機500へ、メダルの15枚の払い出しに基づいて、15回のパルスからなる払い出しカウント信号を送信し、178.8msec後に、払い出しの終了に応じて投入要求ランプ信号をONとし、投入要求ランプ信号に同期させて、スマートパチスロ100における次遊技の開始を可能とすることが考えられる。
【0836】
しかしながら、スマートパチスロ100では、全てのリール110a、110b、110cの停止後、電子化メダルの払い出しが瞬時に完了するので、遊技者は、電子化メダルの払い出しが完了した後、払い出しカウント信号の出力が完了するのを待って次遊技を開始することとなる。そうすると、遊技者が、次遊技の開始が制限されている間にベットスイッチ116を操作してしまい、操作が有効に受け付けられず、操作性の向上が図れない状況が生じうる。また、電子化メダルの払い出しが終了し、次遊技を開始できるのに、払い出しカウント信号のために待ち時間を設けるのは遊技の進行を徒に遅らせることにもなる。
【0837】
そこで、スマートパチスロ100本体の遊技の進行と試射試験機500への信号送信とを独立して動作させ、遊技を適切に進行させる。
【0838】
図89は、スマートパチスロ100の動作を説明するための説明図である。例えば、スマートパチスロ100と試射試験機500とを接続した場合において、試射試験機500からスマートパチスロ100にベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120の疑似信号が順次入力されると、かかる疑似信号に応じ、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cを停止制御する。このような疑似信号により、スロットマシンにおいて、遊技が繰り返されるオート遊技が実行される。ここでも、図88同様、有効ラインA上に払出枚数15枚の小役に対応する図柄組み合わせが表示されたとする。
【0839】
リール制御手段306により、時点aにおいて、全てのリール110a、110b、110cが停止すると、判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定し、払出制御手段310は、当選役(ここでは小役)に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたことに基づいて、小役に対応する数(ここでは15枚)だけ電子化メダルを一度に払い出す。このように、メダルの払い出しが瞬時に完了すると、払出制御手段310は、次の1遊技の開始を許可する。こうすることで、遊技者は、電子化メダルの払い出し直後に、次遊技を開始することが可能となる。
【0840】
このとき、スマートパチスロ100から試射試験機500へは、メダルの15枚の払い出しに基づき、電子化メダルの払い出しとは独立して、15回のパルスからなる払い出しカウント信号(第1信号)が送信され(外部に出力され)、178.8msec後の払い出しカウント信号の終了を示す時点bにおいて投入要求ランプ信号(第2信号)がONとなる(外部に出力される)。試射試験機500は、かかる払い出しカウント信号によって、メダルの払出が適切に行われたか判定し、また、投入要求ランプ信号のONにより、次の遊技が可能となったことを把握する。
【0841】
ここでは、スマートパチスロ100本体の遊技の進行と試射試験機500への信号送信とを独立して動作させ、電子化メダルの払い出し完了直後に次遊技を開始可能とすることで、電子化メダルの払い出しが完了した直後にベットスイッチ116の受け付けが可能となるので、遊技者は、ベットスイッチ116の受け付けが制限されることもなく、操作性の向上を図ることができる。また、電子化メダルの払い出しが終了して直ぐに、次遊技を開始できるので、適切に遊技を進行することが可能となる。
【0842】
(第2実施形態:スマートパチンコ)
ところで、パチンコ機を封入循環式にして遊技者が遊技球に触れることなく遊技を進行することができるスマートパチンコも検討されている。スマートパチンコでは、スマートパチスロ100における、メダル数制御基板204、計数スイッチ112、遊技メダル数表示装置114それぞれと同機能を有する枠制御基板、計数スイッチ、遊技球数表示装置を適用することで、スマートパチスロ100同様、スマートパチンコと専用ユニットとで遊技球を流通させることなく、遊技を進行することが可能となる。遊技球数表示装置は、遊技に供することが可能な電子化遊技球の総数である遊技球数を表示する表示装置である。なお、遊技球数は、遊技に供することが可能な遊技価値の総数である遊技価値数の一例に相当する。
【0843】
当該スマートパチンコのメインCPU(第1制御部)は、始動口に遊技球が入球したことを示す始動口入球コマンド、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われ、その結果を示す抽選結果コマンド、特別図柄の変動開始コマンド、特別図柄の変動終了コマンド、抽選結果に応じた大当たり遊技もしくは小当たり遊技における賞球を払い出す払出コマンド、大当たり遊技もしくは小当たり遊技が終了したことを示す遊技終了コマンド等の複数のコマンドのうち少なくとも2つのコマンドを所定の送信順で送信する。そして、スマートパチンコの枠CPU(第2制御部)はコマンドの受信順が本来の受信順と異なっている場合に、エラーカウンタを更新するとしてもよい。
【0844】
また、ここでは、スマートパチスロ100において、メインCPU200a(第1制御部)からメダルCPU204a(第2制御部)にコマンドを送信する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、スマートパチスロ100内の他の基板同士や、スマートパチンコにおけるメインCPUから枠制御基板のCPUにコマンドを送信する場合等、第1制御部や第2制御部として、独立した様々なCPU同士のシリアル通信に適用することができる。
【0845】
なお、スマートパチスロ100においては、計数スイッチ112、遊技メダル数表示装置114をそれぞれ操作部設置台111に設ける例を挙げて説明したが、スマートパチンコでは、計数スイッチ、遊技球数表示装置を、上皿(図示せず)の、例えば、十字キー(演出スイッチ)近傍に設けるとしてもよい。
【0846】
また、図30図31を参照して説明した、計数音等の各スピーカから出力される音に関する各種の態様については、スマートパチスロ100に限らず、スマートパチンコにも適用することができる。その際、スマートパチスロ100とスマートパチンコとにおいて、複数の音が重複するときの対応の仕方を異ならせてもよい。例えば、スマートパチスロ100では、計数音と重複するときの遊技音の音量の低下量と、貸出音と重複するときの遊技音の音量の低下量とを、同程度とし、スマートパチンコでは、計数音と重複するときの遊技音の音量の低下量と、貸出音と重複するときの遊技音の音量の低下量とを、異ならせてもよい。スマートパチスロ100では、特定のスピーカ以外のスピーカから出力される遊技音の音量の低下量を、特定のスピーカから出力される遊技音の音量の低下量よりも多くし、スマートパチンコでは、遊技音の音量の低下量をスピーカによって異ならせないようにしてもよい。エラー音と計数音(貸出音)とが重複する場合、スマートパチスロ100では、エラー音および計数音(貸出音)の両方とも音量を低下せずに、エラー音および計数音(貸出音)を各スピーカから出力し、スマートパチンコでは、エラー音の音量を低下せずにエラー音を各スピーカから出力し、計数音(貸出音)を各スピーカから出力しないようにしてもよい。コンプリート機能音と計数音(貸出音)とが重複する場合、スマートパチスロ100では、コンプリート機能音と計数音(貸出音)との両方とも音量を低下せずに、コンプリート機能音および計数音(貸出音)を各スピーカから出力し、スマートパチンコでは、コンプリート機能音と計数音(貸出音)とのいずれか一方のみを各スピーカから出力し、他方を各スピーカから出力しないようにしてもよい。
【0847】
また、図34を参照して説明した計数音の音量および貸出音の音量に関しては、スマートパチスロ100に限らず、スマートパチンコにも適用することができる。
【0848】
また、ここでは、スマートパチンコについて説明したが、上述した実施形態は、外部に、遊技球等の遊技媒体を流通させるための経路が設けられたパチンコ機にも適用できる。以下、パチンコ機としての遊技機600を挙げて他の観点の実施例を説明する。
【0849】
実施例に係る遊技機600には、各種の基板が設けられている。遊技機600に設けられる基板としては、例えば、主制御基板、払出制御基板、副制御基板および枠制御基板が挙げられる。主制御基板は、遊技の基本動作を制御する。払出制御基板は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。副制御基板は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。枠制御基板は、遊技に供することが可能な遊技球の数を管理する。以下では、主に基板に関連する各種の工夫について説明する。
【0850】
まず、基板ケース内へのネジの混入を抑制しつつ、基板の放熱性を確保することを可能とするための工夫について、図90図93を参照して説明する。
【0851】
図90は、実施例に係る遊技機600の背面図である。図91は、実施例に係る遊技機600のカバー部材620が取り外された状態の背面図である。
【0852】
図90および図91に示すように、遊技機600の背面側には、副制御基板CB1用の基板ケース610と、カバー部材620とが設けられている。基板ケース610は、副制御基板CB1を収容する。副制御基板CB1は、上述したように、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する基板である。なお、基板ケース610は、基板を収容する基板ケースの一例であり、副制御基板CB1以外の基板を収容する基板ケースであってもよい。
【0853】
基板ケース610は、例えば、樹脂材料によって形成されている。基板ケース610は、中空の略直方体形状を有する。基板ケース610内の副制御基板CB1は、遊技機600の前後方向に直交する平面上に延在するように配置されている。ゆえに、基板ケース610の厚み方向は、遊技機600の前後方向と略一致する。
【0854】
基板ケース610には、複数の第1貫通孔611が形成されている。基板ケース610の内部と外部とは、第1貫通孔611によって連通している。それにより、基板ケース610内の副制御基板CB1から発せられた熱が第1貫通孔611を介して外部に放熱される。このように、第1貫通孔611は、放熱孔として機能する。
【0855】
カバー部材620は、基板ケース610を覆う。カバー部材620は、例えば、樹脂材料または金属材料によって形成されている。カバー部材620は、略平板形状を有する。カバー部材620は、遊技機600の前後方向に直交する平面上に延在するように配置されている。カバー部材620は、基板ケース610に対して遊技機600の後方向に所定間隔を空けて配置される。このように、カバー部材620は、基板ケース610を遊技機600の背面側から覆う。
【0856】
カバー部材620には、複数の第2貫通孔621が形成されている。遊技機600のうちカバー部材620より内側の空間と遊技機600の外部の空間とは、第2貫通孔621によって連通している。それにより、遊技機600の内部で発せられた熱が第2貫通孔621を介して遊技機600の外部に放熱される。このように、第2貫通孔621は、放熱孔として機能する。
【0857】
図92は、遊技機600の副制御基板CB1用の基板ケース610を示す平面図である。具体的には、図92は、基板ケース610を遊技機600の背面側から見た図である。図92に示すように、基板ケース610は、天面部612と、側面部613とを有する。天面部612は、基板ケース610のうち、副制御基板CB1における電子部品の実装面と対向する部分である。天面部612は、遊技機600の前後方向に直交する平面上に延在するように配置されている。側面部613は、天面部612の縁部から基板ケース610の厚み方向に延在している部分である。
【0858】
基板ケース610には、第1貫通孔611として、天面部612に形成される丸孔である複数の第1貫通孔611aと、天面部612の縁部から側面部613に跨って形成される長孔である複数の第1貫通孔611bとが形成されている。
【0859】
第1貫通孔611aは、天面部612において、遊技機600の左右方向および上下方向に間隔を空けて格子状に配置されている。図92の例では、格子状に配置された複数の第1貫通孔611aのグループG1が上下方向に間隔を空けて2つ存在する。ただし、第1貫通孔611aの配置は、図92の例に限定されない。例えば、格子状に配置された複数の第1貫通孔611aのグループG1の数が1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、例えば、第1貫通孔611aは、格子状に配置されていなくてもよい。
【0860】
第1貫通孔611bは、各側面部613において、等間隔に複数配置されている。例えば、上側の側面部613および下側の側面部613では、複数の第1貫通孔611bが左右方向に間隔を空けて配置されている。右側の側面部613および左側の側面部613では、複数の第1貫通孔611bが上下方向に間隔を空けて配置されている。各第1貫通孔611bの長手方向は、遊技機600の前後方向と略一致する。ただし、第1貫通孔611bの配置は、図92の例に限定されない。例えば、第1貫通孔611bは、一部の天面部612の縁部や一部の側面部613に設けられなくてもよい。また、各側面部613において、第1貫通孔611bが不間隔に配置されていてもよい。
【0861】
ここで、第1貫通孔611には、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジのうちのいずれの種類のネジも通過不可能である。遊技機600では、複数種類のネジが使用されている。遊技機600で使用されるネジのうち、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジは、落下して第1貫通孔611に侵入する可能性がある。つまり、第1貫通孔611には、第1貫通孔611に侵入する可能性があるいずれの種類のネジも通過不可能となっている。なお、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジは、例えば、複数の第1貫通孔611のうち最も下側に位置する第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジを意味する。
【0862】
具体的には、第1貫通孔611の寸法は、第1貫通孔611に侵入する可能性があるネジのうち最も小さいネジ(以下、最小ネジとも呼ぶ)の寸法に基づいて設定されている。例えば、丸孔である第1貫通孔611aの直径D1は、最小ネジのネジ頭の直径よりも小さくなっている。それにより、第1貫通孔611aには、第1貫通孔611aに侵入する可能性があるいずれの種類のネジも通過不可能となる。また、例えば、長孔である第1貫通孔611bの幅D2(つまり、長手方向に直交する方向の長さ)は、最小ネジのネジ頭の直径よりも小さくなっている。それにより、第1貫通孔611bには、第1貫通孔611bに侵入する可能性があるいずれの種類のネジも通過不可能となる。
【0863】
なお、複数の第1貫通孔611aの直径D1は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、複数の第1貫通孔611bの幅D2は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、第1貫通孔611bの長手方向は、遊技機600の前後方向と異なっていてもよい。また、複数の第1貫通孔611bの長手方向は、互いに一致していてもよく、異なっていてもよい。また、図92の例では、丸孔である第1貫通孔611aが天面部612に形成され、長孔である第1貫通孔611bが天面部612の縁部から側面部613に跨って形成されるが、基板ケース610のどの位置にどの形状の第1貫通孔611が形成されるかは適宜変更され得る。
【0864】
図93は、遊技機600のカバー部材620を示す平面図である。具体的には、図93は、カバー部材620を遊技機600の背面側から見た図である。図93に示すように、カバー部材620は、被覆部622を有する。被覆部622は、カバー部材620のうち、基板ケース610と対向し基板ケース610を覆う部分である。被覆部622は、遊技機600の前後方向に直交する平面上に延在するように配置されている。
【0865】
第2貫通孔621は、被覆部622に形成される長孔である。各第2貫通孔621の長手方向は、遊技機600の上下方向と略一致する。第2貫通孔621は、被覆部622において、遊技機600の左右方向に等間隔に配置されている。図93の例では、左右方向に等間隔に配置された複数の第2貫通孔621のグループG2が上下方向に間隔を空けて3つ存在する。ただし、第2貫通孔621の配置は、図93の例に限定されない。例えば、左右方向に等間隔に配置された複数の第2貫通孔621のグループG2の数が1つまたは2つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、例えば、複数の第2貫通孔621が遊技機600の左右方向に不間隔に配置されていてもよい。
【0866】
ここで、第2貫通孔621には、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジのうちの少なくとも1種類のネジが通過可能である。上述したように、遊技機600で使用されるネジのうち、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジは、落下して第1貫通孔611に侵入する可能性がある。つまり、第2貫通孔621には、第1貫通孔611に侵入する可能性があるネジのうちの少なくとも1種類のネジが通過可能となっている。
【0867】
例えば、長孔である第2貫通孔621の幅D3(つまり、長手方向に直交する方向の長さ)は、最小ネジのネジ頭の直径よりも大きくなっている。それにより、第2貫通孔621には、第1貫通孔611bに侵入する可能性があるネジのうち少なくとも最小ネジが通過可能となる。ただし、第2貫通孔621には、最小ネジに加えて、最小ネジよりも大きな他の種類のネジが通過可能となっていてもよい。
【0868】
なお、複数の第2貫通孔621の幅D3は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、第2貫通孔621の長手方向は、遊技機600の上下方向と異なっていてもよい。また、複数の第2貫通孔621の長手方向は、互いに一致していてもよく、異なっていてもよい。また、図93の例では、長孔である第2貫通孔621が被覆部622に形成されるが、カバー部材620のどの位置にどの形状の第2貫通孔621が形成されるかは適宜変更され得る。
【0869】
なお、カバー部材620の第2貫通孔621には、遊技球は通過不可能である。例えば、図93の例では、長孔である第2貫通孔621の幅D3は、遊技球の直径よりも小さくなっている。それにより、第2貫通孔621には、遊技球が通過不可能となる。ゆえに、遊技機600のうちカバー部材620より内側の空間に、第2貫通孔621を介して外部から遊技球が侵入することが抑制される。よって、遊技機600の故障が抑制される。なお、カバー部材620の第2貫通孔621に遊技球が通過不可能となっているので、第2貫通孔621よりも小さい基板ケース610の第1貫通孔611にも、遊技球は通過不可能である。
【0870】
以上説明したように、遊技機600では、基板ケース610の第1貫通孔611には、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジのうちのいずれの種類のネジも通過不可能であり、カバー部材620の第2貫通孔621には、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジのうちの少なくとも1種類のネジが通過可能である。それにより、第1貫通孔611bに侵入する可能性があるネジが、第2貫通孔621を通過する可能性はあるものの、第1貫通孔611を通過して基板ケース610内に侵入することが抑制される。また、第2貫通孔621をできるだけ大きくすることができるので、基板ケース610内の副制御基板CB1から発せられた熱が、第1貫通孔611および第2貫通孔621を介して遊技機600の外部に放熱され易くなる。ゆえに、基板ケース(上記の例では、基板ケース610)内へのネジの混入を抑制しつつ、基板(上記の例では、副制御基板CB1)の放熱性を確保することが可能となる。
【0871】
また、図90図93に示す例では、少なくとも1つの第1貫通孔611の一部と、少なくとも1つの第2貫通孔621の一部とは対向している。つまり、少なくとも部分的に互いに対向している第1貫通孔611および第2貫通孔621のペアが少なくとも1つ以上存在する。具体的には、基板ケース610において格子状に配置された複数の第1貫通孔611aのグループG1のうち上側のグループG1は、カバー部材620において左右方向に等間隔に配置された複数の第2貫通孔621のグループG2のうち上側のグループG2と、遊技機600の前後方向に対向している。また、基板ケース610において格子状に配置された複数の第1貫通孔611aのグループG1のうち下側のグループG1は、カバー部材620において左右方向に等間隔に配置された複数の第2貫通孔621のグループG2のうち中央側のグループG2と、遊技機600の前後方向に対向している。
【0872】
上記のように、少なくとも1つの第1貫通孔611の一部と、少なくとも1つの第2貫通孔621の一部とが対向していることによって、基板ケース610内の副制御基板CB1から発せられた熱が、第1貫通孔611および第2貫通孔621を介して遊技機600の外部により放熱され易くなる。ゆえに、基板(上記の例では、副制御基板CB1)の放熱性を向上させることができる。
【0873】
なお、上述したように、基板ケース610は、基板を収容する基板ケースの一例であり、副制御基板CB1以外の基板を収容する基板ケースであってもよい。つまり、基板ケース内へのネジの混入を抑制しつつ、基板の放熱性を確保することを可能とするための上述した工夫を、副制御基板CB1以外の基板(例えば、払出制御基板または枠制御基板)を収容する基板ケースに対して適用してもよい。その場合においても、上記と同様の効果が奏される。また、図90図93に示す上記の例では、カバー部材620は、基板ケース610の全体を覆っている。ただし、カバー部材620は、基板ケース610の少なくとも一部を覆っていればよい。つまり、カバー部材620は、基板ケース610の一部のみを覆っていてもよい。
【0874】
このように、遊技機600は、基板(例えば、副制御基板CB1)を収容し、第1貫通孔611が形成されている基板ケース610と、基板ケース610の少なくとも一部を覆い、第2貫通孔621が形成されているカバー部材620と、を備え、第1貫通孔611には、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジのうちのいずれの種類のネジも通過不可能であり、第2貫通孔621には、第1貫通孔611よりも上方に設けられるネジのうちの少なくとも1種類のネジが通過可能である。また、少なくとも1つの第1貫通孔611の一部と、少なくとも1つの第2貫通孔621の一部とは対向している。
【0875】
続いて、防爆弁が開放されたことを認識し易くすることを可能とするための工夫について、図94図98を参照して説明する。
【0876】
図94は、実施例に係る遊技機600の枠制御基板CB2用の基板ケース630を示す斜視図である。図95は、実施例に係る遊技機600の枠制御基板CB2用の基板ケース630の天面側部材632が取り外された状態を示す斜視図である。
【0877】
図94および図95に示すように、実施例に係る遊技機600には、枠制御基板CB2用の基板ケース630が設けられている。基板ケース630は、枠制御基板CB2を収容する。枠制御基板CB2は、上述したように、遊技に供することが可能な遊技球の数を管理する基板である。なお、枠制御基板CB2は、天面に防爆弁が形成されている所定の電子部品の一例に相当する電界コンデンサ640が設けられている基板の一例であり、基板ケース630は、電界コンデンサ640が設けられている基板を収容する基板ケースの一例である。基板ケース630は、枠制御基板CB2以外の基板を収容する基板ケースであってもよい。
【0878】
基板ケース630は、例えば、透過性を有する樹脂材料によって形成されている。基板ケース630は、中空の略直方体形状を有する。基板ケース630は、底面側部材631と、天面側部材632とを有する。底面側部材631は、枠制御基板CB2における電子部品の非実装面と対向し、当該非実装面を覆う。天面側部材632は、枠制御基板CB2における電子部品の実装面F1と対向し、当該実装面F1を覆う。なお、図95中の枠制御基板CB2における手前側の面が実装面F1であり、図示されていない奥側の面が非実装面である。
【0879】
枠制御基板CB2の実装面F1には種々の電子部品が実装されている。そのような電子部品に、電界コンデンサ640が含まれている。電界コンデンサ640は、アルミニウムやタンタル等の酸化被膜を誘電体として用いたコンデンサであり、例えば、略円柱形状を有する。なお、図95の例では、3つの電界コンデンサ640が示されているが、枠制御基板CB2に設けられる電界コンデンサ640の数は、3つ以外であってもよい。また、電界コンデンサ640の配置は、図95の例に限定されない。
【0880】
図96は、図95のX-X断面を示す断面図である。具体的には、図96は、1つの電界コンデンサ640の中心軸を通る断面を示す。また、図95では、基板ケース630の天面側部材632が図示されていないが、図96では、基板ケース630の天面側部材632も図示されている。
【0881】
図96に示すように、電界コンデンサ640は、枠制御基板CB2の実装面F1から当該実装面F1に直交する方向に延在する。電界コンデンサ640の天面部641は、電界コンデンサ640の先端側の面状の部分である。つまり、電界コンデンサ640の天面部641は、電界コンデンサ640のうち枠制御基板CB2から遠い側の端部である。基板ケース630の天面部632aは、天面側部材632のうち枠制御基板CB2の実装面F1と対向し、枠制御基板CB2に略平行な略平板形状の部分である。基板ケース630の天面部632aは、電界コンデンサ640の天面部641と対向し、当該天面部641に略平行である。
【0882】
図97は、電界コンデンサ640の天面部641を示す斜視図である。図97に示すように、電界コンデンサ640の天面部641には、防爆弁642が形成されている。このように、電界コンデンサ640は、天面部641に防爆弁642が形成されている所定の電子部品の一例に相当する。図97の例は、天面部641に、防爆弁642-1、防爆弁642-2、防爆弁642-3および防爆弁642-4の4つの防爆弁642が形成されている。
【0883】
防爆弁642は、電界コンデンサ640の異常時に安全性を確保するために設けられる。具体的には、電界コンデンサ640の天面部641は、薄肉部となっている。電界コンデンサ640は、電極や誘電体等のコンデンサ素子を金属ケースで覆うことによって形成される。薄肉部は、このようにコンデンサ素子を覆う金属ケースのうち肉厚が薄くなっている部分を意味する。そして、薄肉部である天面部641のうち切込み線によって区画され、変形可能となっている部分が防爆弁642に相当する。
【0884】
図97の例では、直線状の切込み線N1および切込み線N2が天面部641に形成されている。切込み線N1および切込み線N2は互いに直交し、切込み線N1および切込み線N2の交点P1は、天面部641の中心に位置する。それにより、切込み線N1および切込み線N2によって、円形状の天面部641が、四分円形状である防爆弁642-1、防爆弁642-2、防爆弁642-3および防爆弁642-4に区画される。なお、天面部641に形成される切込み線の形状は、図97の例に限定されない。つまり、防爆弁642の形状は、図97の例に限定されない。また、防爆弁642の数も、図97の例に限定されない。また、防爆弁642が複数形成される場合において、形状または寸法が互いに異なる防爆弁642が存在していてもよい。
【0885】
防爆弁642は、電界コンデンサ640内の圧力が過度に上昇した際に開放される。防爆弁642が開放すると、防爆弁642は、天面部641の外周部641aを基端として折れ曲がるように変形する。例えば、図97の例では、各防爆弁642は、天面部641の外周部641aで電界コンデンサ640と繋がった状態で、切込み線N1、N2側の部分が図97中の上側に反るように変形する。それにより、電界コンデンサ640内の圧力の上昇が止まり、安全性が確保される。
【0886】
ここで、図96では、電界コンデンサ640の天面部641の直径D4と、電界コンデンサ640の天面部641と基板ケース630の天面部632aとの離隔距離D5とが示されている。遊技機600では、離隔距離D5が、天面部641の直径D4に基づいて適切に設定されていることによって、防爆弁642が開放されたことを認識し易くすることが可能となっている。
【0887】
具体的には、遊技機600では、離隔距離D5は、距離D4/2(つまり、直径D4の半分)より長くなっている。距離D4/2は、防爆弁642が開放した場合に防爆弁642のうち基板ケース630の天面部632aに最も近づく部分と、天面部641との距離(具体的には、電界コンデンサ640の軸方向での距離)である防爆弁開放時高さに相当する。図97の例では、防爆弁642が開放した場合に防爆弁642のうち基板ケース630の天面部632aに最も近づく部分は、防爆弁642のうち交点P1の近傍の部分である。
【0888】
ここで、交点P1は、天面部641の中心に位置しており、防爆弁642のうち交点P1の近傍の部分は、防爆弁642のうち天面部641の外周部641aから最も遠い部分である。そして、上述したように、防爆弁642が開放すると、防爆弁642は、天面部641の外周部641aを基端として折れ曲がるように変形する。ゆえに、防爆弁開放時高さ(図97の例では、距離D4/2)は、天面部641の外周部641aから天面部641の中心までの距離(つまり、天面部641の半径)に相当する。
【0889】
以上説明したように、遊技機600では、電界コンデンサ640の天面部641と基板ケース630の天面部632aとの離隔距離D5は、天面部641の外周部641aから中心までの距離より長い。それにより、防爆弁642が開放した場合に、防爆弁642が基板ケース630の天面部632aに当たり、完全には開放しきらない状況が抑制される。ゆえに、電界コンデンサ640内の圧力が過度に上昇した際に、防爆弁642が完全には開放しきることができるので、防爆弁642が開放されたことを認識し易くすることが可能となる。なお、上述したように、基板ケース630は透過性を有するので、基板ケース630の外部から防爆弁642を直接的に視認することができるようになっている。
【0890】
また、遊技機600では、基板ケース630の天面部632aのうち、電界コンデンサ640の天面部641と対向する部分には、防爆弁642の視認性を阻害する阻害部が設けられていない。例えば、後述する変形例に係る遊技機600Aのように、基板ケース630の天面部632aのうち、電界コンデンサ640の天面部641と対向する部分に、貫通孔(後述する図98の貫通孔632bを参照)が放熱孔として設けられる場合がある。この場合、当該貫通孔は、防爆弁642の視認性を阻害する阻害部に相当し得る。一方、図97の例では、基板ケース630の天面部632aのうち、電界コンデンサ640の天面部641と対向する部分には、このような貫通孔等の阻害部が設けられていない。それにより、防爆弁642が開放されたことをより認識し易くするできる。なお、阻害部としては、貫通孔以外に、例えば、凹凸部や透過性を有しない非透過部等が挙げられる。
【0891】
また、遊技機600では、離隔距離D5は、電界コンデンサ640の天面部641の直径D4よりも短い。それにより、基板ケース630を小型化することができる。なお、離隔距離D5は、電界コンデンサ640の天面部641の直径D4と略一致していてもよく、直径D4よりも長くてもよい。
【0892】
ただし、離隔距離D5は、直径D4より短いか否かによらず、基板ケース630に収容される防爆弁642が完全に開放しきることが実現されるような長さとなっている。例えば、基板ケース630に収容される電界コンデンサ640が複数存在する場合、いずれの電界コンデンサ640の防爆弁642が開放しても、防爆弁642が基板ケース630の天面部632aに当たらないように、離隔距離D5が設定されている。
【0893】
なお、電界コンデンサ640は、基板ケース630内に収容され、基板ケース630の外部から触れられないようになっている電子部品のうち、最も高い(つまり、枠制御基板CB2と基板ケース630の天面部632aとの対向方向の長さが最も長い)電子部品である。ゆえに、電界コンデンサ640の天面部641の直径D4に基づいて離隔距離D5を設定すれば、いずれの電子部品も適切に収容されるような十分な広さの空間が基板ケース630内に確保される。
【0894】
図98は、変形例に係る遊技機600Aの枠制御基板CB2用の基板ケース630の構成を示す断面図である。具体的には、図98は、変形例に係る遊技機600Aにおける図96と対応する断面を示す。
【0895】
遊技機600Aでは、上述した遊技機600と比較して、基板ケース630の天面部632aのうち、電界コンデンサ640の天面部641と対向する部分に貫通孔632bが設けられている点が異なる。基板ケース630の内部と外部とは、貫通孔632bによって連通している。それにより、基板ケース630内の枠制御基板CB2から発せられた熱が貫通孔632bを介して外部に放熱される。このように、貫通孔632bは、放熱孔として機能する。
【0896】
上述したように、遊技機600Aでは、複数種類のネジが使用されている。遊技機600Aで使用されるネジは、落下して基板ケース630の貫通孔632bに挿入される可能性がある。図98では、基板ケース630の貫通孔632bにネジ650が挿入されている様子が示されている。ネジ650のネジ部651の直径は、貫通孔632bの直径より小さい。ゆえに、ネジ650のネジ部651が貫通孔632bに挿入される可能性がある。つまり、図98中のネジ650は、遊技機600Aで使用されているネジのうち貫通孔632bに挿入可能なネジに相当する。なお、ネジ部651は、ネジ650のうちネジ頭以外の部分であり、ネジ頭の直径よりも小さな直径を有し、外周部に雄ねじが形成されている部分である。
【0897】
ここで、遊技機600Aでは、電界コンデンサ640の天面部641と基板ケース630の天面部632aとの離隔距離D5が、ネジ650のネジ部651の長さよりも長い。具体的には、ネジ650は、遊技機600Aで使用されており貫通孔632bに挿入可能なネジのうちネジ部651の長さが最も長いネジである。離隔距離D5は、このようなネジ650のネジ部651の長さよりも長い。それにより、仮に基板ケース630の貫通孔632bにネジ650が挿入されてしまった場合であっても、ネジ650のネジ部651は電界コンデンサ640の天面部641には届かないので、天面部641に形成された防爆弁642の開放が妨げられることが抑制される。
【0898】
なお、遊技機600Aで使用されているネジが貫通孔632bを通過して基板ケース630内に侵入することを抑制するために、貫通孔632bの直径は、遊技機600Aで使用されているネジのうちいずれの種類のネジのネジ頭の直径よりも小さいことが好ましい。
【0899】
なお、上述したように、基板ケース630は、電界コンデンサ640が設けられている基板を収容する基板ケースの一例であり、枠制御基板CB2以外の基板を収容する基板ケースであってもよい。つまり、防爆弁642が開放されたことを認識し易くすることを可能とするための上述した工夫を、枠制御基板CB2以外の基板(例えば、主制御基板、払出制御基板または副制御基板)を収容する基板ケースに対して適用してもよい。その場合においても、上記と同様の効果が奏される。
【0900】
このように、遊技機600は、所定の電子部品(例えば、電界コンデンサ640)が設けられている基板(例えば、枠制御基板CB2)と、基板を収容する基板ケース630と、を備え、電子部品の天面部641には、防爆弁642が形成されており、電子部品の天面部641と基板ケースの天面部632aとの離隔距離D5は、電子部品の天面部641の外周部641aから中心までの距離(D4/2)より長い。
【0901】
上記では、基板ケース内へのネジの混入を抑制しつつ、基板の放熱性を確保することを可能とするための工夫と、防爆弁642が開放されたことを認識し易くすることを可能とするための工夫と、遊技球PBの球つまりを抑制することを可能とするための工夫とをそれぞれ説明した。ただし、遊技機600、600Aにおいて、上記の複数種類の工夫のうち、全種類の工夫が施されてもよく、一部の工夫のみが施されてもよい。
【0902】
続いて、遊技球の球つまりを抑制することを可能とするための工夫について、図99図101を参照して説明する。図99図101は、遊技機600を正面側から見た場合における部分拡大図である。
【0903】
図99図101に示すように、遊技機600には、球戻り防止機構700が設けられる。球戻り防止機構700は、遊技領域660に発射された遊技球PBが不図示の発射機構に向かって戻ることを防止するための機構である。以下、レール670aを内レール670aとも呼び、レール670bを外レール670bとも呼ぶ。
【0904】
内レール670aと外レール670bとの間には、案内領域R11が形成される。案内領域R11では、不図示の発射機構により発射された遊技球PBが遊技領域660に案内される。球戻り防止機構700は、遊技球PBが遊技領域660から案内領域R11に戻ることを防止する。球戻り防止機構700は、変位可能な変位部材702を有する。
【0905】
変位部材702は、外レール670bと対向する側面部702aと、側面部702aの先端側の先端部702bとを有する。変位部材702は、第1状態と、第2状態と、第3状態とに変位可能である。以下では、変位部材702の第1状態、第2状態および第3状態を、球戻り防止機構700の第1状態、第2状態および第3状態とも呼ぶ。図99は、第1状態の球戻り防止機構700を示す部分拡大図である。図100は、第2状態の球戻り防止機構700を示す部分拡大図である。図101は、第3状態の球戻り防止機構700を示す部分拡大図である。
【0906】
例えば、変位部材702は、図99図101に示すように、当該変位部材702の下端を中心に回動可能である。無負荷時において、変位部材702は付勢部材により付勢されることによって図99に示す第1状態に維持される。例えば、第1状態では、変位部材702は、付勢部材により付勢され、不図示のストッパに押し付けられることによって、図99の姿勢に保持されている。変位部材702は、付勢部材により図99中の反時計回りに付勢されている。不図示の発射機構により発射された遊技球PBは、付勢部材による付勢力に抗して、変位部材702を押し動かして遊技領域660まで移動できる。
【0907】
図99に示すように、第1状態では、変位部材702の先端部702bから外レール670bまでの距離である特定距離D11が、遊技球PBの直径よりも短くなっている。ゆえに、第1状態では、遊技領域660から案内領域R11に戻ろうとする遊技球PBは、変位部材702により遮られ、案内領域R11に進入できない。具体的には、第1状態において、変位部材702の側面部702aと外レール670bとの成す角は鋭角になっている。ゆえに、変位部材702に遊技領域660側から衝突した遊技球PBは、外レール670bから遠ざかる方向に弾かれ、遊技領域660側に適切に戻される。第1状態は、後述するように、特定距離D11が、第2状態よりも短い状態である。
【0908】
図100に示すように、第2状態では、特定距離D11が、遊技球PBの直径と同程度、または、遊技球PBの直径よりも長くなっている。第2状態は、不図示の発射機構により発射された遊技球PBが変位部材702を押し動かし、変位部材702を超えて移動した状態である。第2状態では、案内領域R11から遊技領域660に遊技球PBが案内される。第2状態は、特定距離D11が、第1状態よりも長い状態である。なお、遊技球PBが変位部材702を超えて案内領域R11から遊技領域660に移動した後において、球戻り防止機構700は、第2状態から第1状態に戻る。それにより、遊技領域660から案内領域R11に遊技球PBが戻ることが抑制される。
【0909】
図101に示す第1遊技球PB1は、案内領域R11から遊技領域660に案内される遊技球PBである。図101に示す第2遊技球PB2は、遊技領域660から案内領域R11に戻ろうとする遊技球PBである。図101に示すように、第3状態は、第1遊技球PB1よりも先に発射された第2遊技球PB2が変位部材702まで戻ったタイミングと、第1遊技球PB1が変位部材702に到達するタイミングとが一致し、第1遊技球PB1と第2遊技球PB2とが衝突している状態である。第3状態では、第1遊技球PB1は、変位部材702の側面部702a、外レール670b、および、第2遊技球PB2と接している。また、第2遊技球PB2は、変位部材702の先端部702b、外レール670b、および、第1遊技球PB1と接している。それにより、特定距離D11が、第1状態より長く第2状態より短く、かつ、第2遊技球PB2の最下点P11から外レール670bまでの距離D12より短くなっている。
【0910】
上記のように、球戻り防止機構700が第3状態となることによって、第1遊技球PB1と第2遊技球PB2との衝突後に、第2遊技球PB2が、案内領域R11に戻ろうとしても、変位部材702の先端部702bに遊技領域660側から接触することになる。そのため、変位部材702は、遊技領域660側から案内領域R11側に向かう接触力を付与されて反時計回りに回動する可能性が高くなる。したがって、変位部材702は、第2遊技球PB2が案内領域R11に戻ることを困難とすることができる。その結果、図101のように第1遊技球PB1と第2遊技球PB2との衝突時でも、第2遊技球PB2が案内領域R11に戻ることを抑制できる。つまり、遊技球PBが2球連続して案内領域R11に戻ることを抑制でき、案内領域R11や発射装置内で遊技球PBが球つまりを起こすことを抑制することができる。
【0911】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0912】
例えば、スマートパチスロ100から専用ユニット350に送信するセキュリティ関連の信号は、3秒以上継続して出力することとなっている。ここで、スマートパチスロ100がセキュリティ関連の信号の出力中に電源断した場合、スマートパチスロ100は、電源復帰後に、セキュリティ関連の信号を再度出力してもよいし、出力しなくてもよい。仮に、セキュリティ関連の信号を再度出力する場合、スマートパチスロ100は、電源復帰後に、改めてセキュリティ関連の信号を3秒以上継続して出力するとしてもよい。
【0913】
また、上述した実施形態においては、メインCPU200aが前面上扉104または前面下扉106が開放されているときに「1」が立つドア開放エラー検出フラグを取得し、ドア開放エラーを判断する例を挙げて説明した。スマートパチスロでは、メインCPU200aのみならず、メダルCPU204aもドア開放エラーを管理する。具体的に、前面上扉104または前面下扉106が開放されているときに出力されるドア開放信号を、メインCPU200aおよびメダルCPU204aの両方に電気信号(ハードウェア)として入力させ、メインCPU200aは、サブCPU202aを通じてドア開放エラーを報知し、これと並行して、メダルCPU204aは、専用ユニット350やホールコンピュータ(図示せず)を通じてドア開放エラーを報知する。かかる構成により、メインCPU200aおよびメダルCPU204aのうち一方のCPUに不具合が生じたとしても、他方のCPUが正常である限り、ドア開放エラーを報知できるので、セキュリティ性を担保することが可能となる。なお、ドア開放エラーは、払い出しおよび貸し出しに係る不正監視処理ではないと定義し、使用外領域で処理を行っている。
【0914】
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とメダル数制御基板204が、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の一部の機能部を副制御基板202やメダル数制御基板204に配しても、副制御基板202の一部の機能部を主制御基板200やメダル数制御基板204に配してもよく、メダル数制御基板204の一部の機能部を主制御基板200や副制御基板202に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。また、主制御基板200の機能部(例えば、メインCPU200a)、副制御基板202の機能部(例えば、サブCPU202a)、メダル数制御基板204の機能部(例えば、メダルCPU204a)から選択された1または複数の機能部を全て合わせて、単に「制御手段」と言う場合もある。
【0915】
また、上述した主制御基板200、副制御基板202、メダル数制御基板204が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0916】
100 スマートパチスロ(遊技機)
124 液晶表示部(表示手段)
200 主制御基板
200a メインCPU
204 メダル数制御基板
204a メダルCPU
334 演出制御手段
350 専用ユニット
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