(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157910
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装材及び包装材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20241031BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072573
(22)【出願日】2023-04-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木島 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 進
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA35
3E086BB21
3E086CA01
3E086DA08
4F100AA23A
4F100AA25A
4F100AA37C
4F100AB10A
4F100AK42A
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4F100JL11
4F100JL12E
4F100JN02C
4F100YY00C
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、基材密着性、外観、遮光性、及び熱間ラミネート強度に優れた包装材を提供する。
【解決手段】基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層、及びシーラントをこの順に有する包装材であって、前記白色印刷層が、白色顔料を含み、前記遮光印刷層が、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の顔料を含み、前記白色印刷層及び前記遮光印刷層が、ウレタン樹脂を含み、前記ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、包装材。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層、及びシーラントをこの順に有する包装材であって、
前記白色印刷層が、白色顔料を含み、
前記遮光印刷層が、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の顔料を含み、
前記白色印刷層及び前記遮光印刷層が、ウレタン樹脂を含み、
前記ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、
前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、包装材。
【請求項2】
二塩基酸が、セバシン酸を含む、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
白色印刷層及び/又は遮光印刷層が、イソシアネート系硬化剤由来の硬化物を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項4】
基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層、及びシーラントをこの順に有する包装材の製造方法であって、
白色インキをグラビア印刷又はフレキソ印刷することで白色印刷層を形成する工程、
及び、遮光インキを前記白色印刷層上にグラビア印刷又はフレキソ印刷することで遮光印刷層を形成する工程を含み、
前記遮光インキは、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記白色インキ及び前記遮光インキが、ウレタン樹脂を含み、
前記ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、
前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、包装材の製造方法。
【請求項5】
遮光インキの印刷による塗布量が0.5g/m2以上5g/m2未満である、請求項4に記載の包装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材及び包装材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材は、光による内容物の劣化を防ぐ目的で、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、乳白フィルム、黒色フィルム等の光を遮断する材料を構成中に使用する場合がある。しかしながら、アルミ箔及びアルミ蒸着フィルムの利用には製造時のCO2排出量が多く、環境への負荷が大きいこと、包装材のリサイクルが難しいことが課題であり、また、乳白フィルム及び黒色フィルムの利用には包装材の意匠性が損なわれるといった課題がある。そのため、近年では酸化チタン、カーボンブラック、又はアルミニウム粒子を含む遮光インキを使用した印刷層により包装材に遮光性を付与するケースが増えてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には白インキ層とグレーインキ層とからなる印刷層を含む包装材が開示されており、アルミレスで良好な遮光性、白色性及びラミネート強度を有するとされているが、イソシアネート化合物なしでは基材密着性に問題がある。また、特許文献2では、白色ベタ層を二回重ね、アルミニウムペーストからなる銀インキを用いた隠蔽層を含む包装材が開示されており、良好な遮光性及び隠蔽性を有するとあるが、押し出しラミネートやレトルト処理等の熱がかかる工程において、従来のウレタン樹脂を用いたインキでは、基材密着性やラミネート強度が低下する懸念がある。
また、カーボンブラックやアルミニウム粒子、酸化鉄等の遮光性を保持する顔料は、一般にインキ中で分散しづらく、均一な分散状態の形成・保持が困難であり、印刷適性、特に重ね印刷時のインキ転移性(トラッピング性)が不良となるため、包装材の外観が不良となる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6864774号公報
【特許文献2】特開2022-082716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、基材密着性、外観、遮光性、及び熱間ラミネート強度に優れた包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を鑑みて、鋭意検討を行った結果、以下に記載の包装材を使用することで上記課題を解決できることを見出し、本願発明を成すに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の[1]~[5]に関する。
【0008】
[1]基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層、及びシーラントをこの順に有する包装材であって、
前記白色印刷層が、白色顔料を含み、
前記遮光印刷層が、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の顔料を含み、
前記白色印刷層及び前記遮光印刷層が、ウレタン樹脂を含み、
前記ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、
前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、包装材。
【0009】
[2]二塩基酸が、セバシン酸を含む、[1]に記載の包装材。
【0010】
[3]白色印刷層及び/又は遮光印刷層が、イソシアネート系硬化剤由来の硬化物を含む、請求項[1]又は[2]に記載の包装材。
【0011】
[4]基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層、及びシーラントをこの順に有する包装材の製造方法であって、
白色インキをグラビア印刷又はフレキソ印刷することで白色印刷層を形成する工程、
及び、遮光インキを前記白色印刷層上にグラビア印刷又はフレキソ印刷することで遮光印刷層を形成する工程を含み、
前記遮光インキは、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記白色インキ及び前記遮光インキが、ウレタン樹脂を含み、
前記ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、
前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、包装材の製造方法。
【0012】
[5]遮光インキの印刷による塗布量が0.5g/m2以上5g/m2未満である、[4]に記載の包装材の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、基材密着性、外観、遮光性、及び熱間ラミネート強度に優れた包装材を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0015】
以下、本発明の包装材について詳細に説明する。
本発明の包装材は、基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層、及びシーラントをこの順に有する包装材であって、前記白色印刷層が、白色顔料を含み、前記遮光印刷層が、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記白色印刷層及び遮光印刷層が、ウレタン樹脂を含み、前記ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、包装材である。
白色印刷層及び遮光印刷層が、上記の構成要素を備えることで、インキ界面同士の親和性が向上して良好なトラッピング性が発現し、また良好な熱間ラミネート強度が発現すると考えられる。
【0016】
本明細書において、遮光性を有する「白色印刷層」及び「遮光印刷層」に対し、遮光性顔料を含まない印刷層を「その他のインキ層」と称呼する。また、白色印刷層、遮光印刷層、及び、その他のインキ層のことを「印刷層」と総称する。
【0017】
<包装材>
本発明の包装材は、基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層及びシーラントが、この順に外層側から積層されている構成を備えた包装材である。その積層構成は、具体的には、以下において外層側(左側)から順に以下のような積層構成を例示することができる。なお以下の構成表示においては、「/」は各層の境界を意味する。
(1)基材/白色印刷層/遮光印刷層/接着剤層/シーラント
(2)基材/白色印刷層/遮光印刷層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント
(3)基材/その他のインキ層/白色印刷層/遮光印刷層/接着剤層/シーラント
(4)基材/白色印刷層/その他のインキ層/遮光印刷層/接着剤層/シーラント
(5)基材/白色印刷層/遮光印刷層/その他のインキ層/接着剤層/シーラント
(6)基材/その他のインキ層/白色印刷層/遮光印刷層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント
(7)基材/白色印刷層/その他のインキ層/遮光印刷層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント
(8)基材/白色印刷層/遮光印刷層/その他のインキ層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント
なお、層構成は任意に選択することができるが、遮光印刷層を外側(基材側)から視認できるようにすることが好ましい。
【0018】
<白色印刷層、遮光印刷層>
本発明の包装材は、基材とシーラントとの間に、白色印刷層及び遮光印刷層を有する。白色印刷層及び遮光印刷層は、基材の全面に設けられていてもよいし、基材の面の一部に設けられていてもよい。また、上記に示すように更にインキ層を有していてもよい。また、本発明の包装材の白色印刷層及び遮光印刷層は、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含むウレタン樹脂を含む。さらに、本発明の包装材の白色印刷層は、白色顔料を含み、遮光印刷層は、ウレタン樹脂及びカーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の顔料を含む。
【0019】
(白色インキ)
白色印刷層は、白色インキの印刷により形成することができる。白色インキは、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の白色顔料、及びウレタン樹脂を有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。
白色顔料としては、着色力、遮蔽性、及び遮光性の観点から酸化チタンが好ましい。
【0020】
(遮光インキ)
遮光印刷層は、遮光インキの印刷により形成することができる。遮光インキは、遮光性顔料及びウレタン樹脂を有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。
遮光インキの印刷による塗布量は、十分な遮光性と基材密着性を両立できるようにする観点から、塗布直後で、0.5g/m2以上5g/m2未満であることが好ましく、より好ましくは0.6g/m2以上4.9g/m2以下、さらに好ましくは0.7g/m2以上4.5g/m2以下、又は4g/m2以下である。
【0021】
(遮光性顔料)
遮光印刷層は、遮光性顔料として、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。遮光性顔料は、一種単独で使用することも、二種以上を併用することも可能である。遮光印刷層中の遮光性顔料の含有量(すなわち、遮光インキ固形分総量中の遮光性顔料の含有量)は、遮光印刷層の総質量中(遮光インキの固形分総質量中)、20~65質量%であることが好ましく、より好ましくは35~63質量%、さらに好ましくは45~60質量%である。遮光印刷層中の遮光性顔料の含有量を20%以上とすることで、遮光性が良好となる。含有量を65%以下とすることで、ラミネート物性が良好となる。
【0022】
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、具体的にはC.I.ピグメントブラック7が好ましい。カーボンブラックの平均粒子径は、好ましくは20~120nmであり、より好ましくは23~100nmであり、更に好ましくは25~100nmである。カーボンブラックの平均粒子径が上記範囲であることにより、良好な顔料の分散性、及び鮮明な色相が得られる。ここで、上記平均粒子径は、カーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。
【0023】
(アルミニウム粒子)
アルミニウム粒子は、アルミニウム鱗片であることが好ましい。アルミニウム鱗片は、リーフィングタイプ、ノンリーフィングタイプいずれの金属鱗片でもよい。金属鱗片は、高級脂肪酸が当該金属表面に吸着しており、中でも炭素数C12~18の脂肪酸が当該金属表面に吸着したものが好ましく、炭素数C16~18の脂肪酸が当該金属表面に吸着したものがより好ましい。高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、エライジン酸、リノール酸及びリノレン酸等が好適に上げられる。特にステアリン酸、オレイン酸が好ましい。また、さらに樹脂により表面処理を施した金属鱗片を用いてもよい。
【0024】
(酸化鉄・酸化亜鉛)
遮光性顔料として、酸化亜鉛、及び/又は酸化鉄を用いることができる。酸化亜鉛の好ましい平均粒子径(一次粒子径)は0.01~1μmであり、0.01~0.7μmであるとより好ましい。酸化鉄の好ましい平均粒子径(一次粒子径)は0.01~1μmであり、0.1~0.7μmであるとより好ましい。
【0025】
(着色剤)
遮光印刷層は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては染料、顔料その他の着色剤が挙げられる。中でも顔料を含むことが好ましく、当該顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでも使用は可能である。無機顔料としては、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等が挙げられ、有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系等の顔料が挙げられる。また、カラーインデックスにおけるC.I.ピグメントナンバーで示される顔料を任意に使用可能である。
【0026】
(ウレタン樹脂)
白色印刷層及び遮光印刷層に含まれるウレタン樹脂は、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。白色印刷層に含まれるウレタン樹脂と、遮光印刷層に含まれるウレタン樹脂とは、同じであっても異なっていてもよいが、トラッピング性の観点から、各層のウレタン樹脂が同一の二塩基酸由来の構成単位を含むことが好ましい。また、熱間ラミネート強度の観点から、各層のウレタン樹脂がいずれもセバシン酸由来の構成単位を含むことがより好ましく、各層のウレタン樹脂を構成する二塩基酸において、セバシン酸由来の構成単位の比率が最も高いことが更に好ましい。
【0027】
ウレタン樹脂は、以下に限定されないが、例えば、ポリイソシアネートと、ポリオールとを反応させて得られたウレタンプレポリマーに、さらにポリアミン等の鎖伸長剤、及び必要に応じて反応停止剤を反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。当該ウレタン樹脂は、ウレタン結合のほかにウレア結合等を有していてもよい。
また、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を得るためには、上記ポリオールとして二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオールを使用する。
【0028】
ウレタン樹脂の含有率は、白色インキ100質量%中、5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがなお好ましい。また、白色印刷層100質量%中、5~90質量%であることが好ましく、10~80質量%であることがなお好ましい。ウレタン樹脂の含有率がこの範囲にあることで、基材密着性が良好になる。
【0029】
ウレタン樹脂の含有率は、遮光インキ100質量%中、5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがなお好ましい。また、遮光印刷層100質量%中、10~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがなお好ましい。ウレタン樹脂の含有率がこの範囲にあることで、基材密着性が良好になる。
【0030】
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートとしてはジイソシアネートを含むことが好ましい。当該ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート及び2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、反応の制御が簡単で、得られるウレタン樹脂の性能のバランスが良好である観点から、脂環族又は芳香脂肪族ジイソシアネートが好ましく、特に、イソホロンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが好ましい。ジイソシアネートは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
(ポリオール)
ポリオールとしては、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオールを必須成分とする。その他に、上記二塩基酸を含まないポリエステルポリオールや、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールのほか、ポリオレフィンポリオール等の併用も可能である。ウレタン樹脂総質量中の当該ポリエステルポリオール由来の構成単位の含有率は、50質量%以上(主成分)であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、上記二塩基酸が、セバシン酸であると特に好ましい。
【0032】
ポリオールの数平均分子量は、500~10,000であることが好ましい。ここでポリオールの数平均分子量は水酸基価から算出されるものであり、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って測定した値である。ポリオールの数平均分子量が10,000以下であると、インキのプラスチック基材に対する耐ブロッキング性に優れる。また、ポリオールの数平均分子量が500以上であると、ウレタン樹脂被膜の柔軟性に優れ、インキのプラスチックフィルムへの密着性に優れる。以上の理由より、より好ましいポリオールの数平均分子量は1,000~5,000である。
【0033】
ポリオールは、ジオールであることが好ましい。なお、ジオールとは1分子中に水酸基を2個有する化合物をいう。上記ジオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネート、ポリブタジエングリコール等のポリオールが挙げられる。ジオールは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオールを必須成分とするが、その他のポリエステルポリオールを併用することも可能である。
【0035】
ポリエステルポリオールに用いられるジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が好適に挙げられる。また、ジオールは、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール等の直鎖状ジオールと、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等の分岐状ジオールを併用して使用することが好ましい。直鎖状ジオールは結晶性を付与し、分岐状ジオールは柔軟性を付与するので、そのバランスによりインキとプラスチック基材との密着性や、インキ組成物の溶剤への溶解性が向上する。
【0036】
ポリエステルポリオールに用いられる二塩基酸としては、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことを必須とするが、その他に、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシル二塩基酸、水添ダイマー酸等も好適に挙げられる。二塩基酸の全質量中、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を5質量%以上含むことが好ましく、10質量%含むことがなお好ましく、20質量%含むことが更に好ましい。中でも二塩基酸は、少なくともセバシン酸を含むことが好ましい。
【0037】
さらにポリエステルポリオールの原料としてヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、及び/又はカルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
【0038】
遮光印刷層に用いられる場合、二塩基酸総質量中のセバシン酸の構成単位量は、20質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、40質量%以上含むことがさらに好ましい。
白色印刷層に用いられる場合、二塩基酸総質量中のセバシン酸の構成単位量は、20質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、60質量%以上含むことがさらに好ましい。
【0039】
(鎖伸長剤)
鎖伸長剤は、ポリアミンであることが好ましい。当該ポリアミンとしては、以下に限定されないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等のジアミンが好適に挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
鎖延長剤としては、アミノ酸も使用することができる。アミノ酸とは、アミノ基と酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物をいい、グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等が好適に挙げられる。なお、ウレタン樹脂の合成過程において、当該酸性基はイソシアネート基と未反応である確率が高いため、ウレタン樹脂において当該酸性基が残存し、酸価を保持させることができるものである。
【0041】
(反応停止剤)
反応停止剤は、ウレタン化工程のみで生成できるウレタン樹脂の場合、モノアルコール又はモノアミンの使用が好ましく、ウレタン化工程に加えてウレア化反応工程を行って生成するウレタン樹脂の場合はモノアミンを使用することが好ましい。
モノアルコールとしては置換もしくは未置換のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、等が好適に挙げられる。
モノアミンとしては置換もしくは未置換のモノアミンが好ましく、n-ブチルアミン、n-ジブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等が好適に挙げられる。反応停止剤としては、前記鎖伸長剤として挙げた化合物も利用でき、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの製造において、ポリイソシアネートのNCOとポリオールのOHのモル当量比(ポリイソシアネートのNCOのモル当量/ポリオール化合物のOHのモル当量)は、1.3~3であることが好ましく、1.5~2であることがより好ましい。
【0043】
ウレタン樹脂は、水酸基及び/又はアミノ基等の活性水素基を有することが好ましい。後述のイソシアネート系硬化剤との反応サイトを得るためである。水酸基を有する場合の水酸基価は、0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、1~20mgKOH/gであることがより好ましく、2~15mgKOH/gであることが更に好ましい。アミノ基を有する場合のアミン価は、0.1~15mgKOH/gであることが好ましく、1~12mgKOH/gであることがなお好ましい。一方で、ウレタン樹脂の酸価は5mgKOH/g以下であることが好ましく、3mgKOH/g以下であることがなお好ましい。酸基は後述のイソシアネート系硬化剤とは難反応性であるためである。
【0044】
ウレタン樹脂の質量平均分子量は、5,000~100,000であることが好ましく、7,000~90,000であることがなお好ましく、10,000~80,000であることが更に好ましい。ウレタン樹脂が上記の質量平均分子量を有することで、後述の硬化剤との架橋により印刷層を強固な皮膜とし、十分な熱間ラミネート強度が得られる。
なお、本発明の質量平均分子量と、後述する分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、HLC-8220(東ソー株社製)カラムとしてPLgel、5μm、MIXED-D(PolymerLaboratories社製)TSKgelSuperAWシリーズ(東ソー株社製)等を使用することができる。展開溶媒としてテトラヒドロフラン、1,2,4-トリクロルベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミド(0.01N-臭化リチウム添加)等を使用することができ、流速0.5~1.5ミリリットル/分であることが好ましい。検出はRI検出器等が使用でき、試料注入濃度は0.5~1.5ミリグラム/ミリリットル、注入量は0.1~1.0マイクロリットル等の条件下で測定可能である。質量平均分子量は、ポリスチレン換算値として求めることができる。
【0045】
(ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn))
ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、4~12であることが好ましく、4.5~10であることがなお好ましく、5~8であることがさらに好ましい。Mwとは質量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。ウレタン樹脂の分子量分布が上記範囲である場合、凝集力及び密着力が強化されて、基材密着性及び熱間ラミネート強度が良好になる。なお、Mw、Mn及びMw/Mnは、上述した通りゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により求めることができる。
【0046】
ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲とするためには、ウレタン樹脂合成においてウレタン合成原料の選定や固形分質量比率、合成反応におけるポリイソシアネート等の反応性原料の滴下速度、撹拌速度及び攪拌羽の形状、反応温度を適切に設定する方法がある。
【0047】
更に鎖延長反応を行う場合には、特にポリアミンとウレタンプレポリマーを反応させる際の滴下速度や温度範囲制御をも一定幅とすることが分子量分布を所定範囲とすることに効果的である。反応温度制御は重要であり、ウレタンプレポリマーの合成においては50~130℃の間にて制御することが好ましく、ポリアミンとウレタンプレポリマーを反応させる際では10~50℃の範囲に制御することが好ましい。
また、反応原料の仕込み比率を適切な比率に設定することも分子量分布を所定範囲とすることに効果的である。当該仕込み比率とは、例えばポリオール及びヒドロキシ酸の水酸基、更にポリイソシアネートのイソシアネート基の比率である、NCO/OH比率が挙げられ、ポリアミンのアミノ基と、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基との比率である、アミノ基/NCO比率等が挙げられる。また、分子量分布を制御するためには、過剰な重合反応を防止する目的で、上述の反応停止剤を用いることが好ましい。
【0048】
(イソシアネート系硬化剤)
本発明の包装材において、熱間ラミネート強度及び基材密着性をさらに向上させるため、白色印刷層及び/又は遮光印刷層は、イソシアネート系硬化剤由来の硬化物を含むことが好ましい。すなわち、白色印刷層を形成する白色インキ、及び/又は遮光印刷層を形成する遮光インキが、イソシアネート系硬化剤を含むことが好ましい。インキ中のウレタン樹脂が、水酸基、アミノ基その他の活性水素基を有する場合は当該活性水素基と架橋して、ウレタン樹脂が当該活性水素基を有しない場合はイソシアネート系硬化剤のみで自己架橋することで、ラミネート強度が向上する。
【0049】
従来包装材において用いられてきたイソシアネート系硬化剤の質量平均分子量は500未満の小さいものであり、低分子化合物である場合が殆どであった。しかしながらこの場合、単に包装材に使用するなら問題ないものの、パール顔料や金属鱗片等を顔料成分として含む場合には凝集力が不足して特性を満足するものではなかった。また、低分子化合物では基材やインキ層、接着剤層にマイグレーションしてしまう等の懸念点があった。
【0050】
従って、本発明において、イソシアネート系硬化剤の質量平均分子量は、500~8000であることが好ましく、600~6000であることがより好ましく、700~4000であることがさらに好ましい。また、イソシアネート系硬化剤の分子量分布(Mw/Mn)は、2~5であることが好ましく、2.2~4.5であることがなお好ましく、2.5~4であることが更に好ましい。質量平均分子量、及び、Mw/Mnが上記範囲である場合、上記ウレタン樹脂との作用で凝集力及び密着力が強化されて、基材密着性や熱間ラミネート強度が向上すると考えられる。
【0051】
イソシアネート系硬化剤としては、アダクト型ポリイソシアネート(アダクト体)、ビウレット型ポリイソシアネート(ビウレット体)、イソシアヌレート型ポリイソシアネート(イソシアヌレート体)等を含むポリイソシアネートが好適であり、アダクト体、ビウレット体及びイソシアヌレート体は例えば、トリメチロールプロパンその他のポリオールとジイソシアネートとの反応から得られるアダクト体、ジイソシアネートが二量化してビウレット結合で繋がれたビウレット体、ジイソシアネートの環状三量化反応から得られるイソシアヌレート体等が挙げられる。当該ジイソシアネートとしては上記したジイソシアネートを任意に選択して使用してもよく、中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)等が好適に挙げられる。アダクト型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、イソシアヌレート型ポリイソシアネートは併用してもよく、更にその他のポリイソシアネートと併用してもよい。
【0052】
イソシアネート系硬化剤の質量平均分子量及び分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲とするためには、イソシアネート系硬化剤合成において、ジイソシアネート、ポリオール等の選定や固形分質量比率、合成反応におけるポリイソシアネート等の反応性原料の滴下速度、撹拌速度及び攪拌羽の形状更に反応温度を適切に設定することが効果的である。なお、ポリアミンとポリイソシアネートを反応させる際の滴下速度や温度範囲制御をも一定幅とすることが分子量分布を所定範囲とすることに効果的である。また、反応原料の仕込み比率を適切な比率に設定することも、分子量分布を所定範囲とすることに効果的である。当該仕込み比率とは、例えばポリオールとポリイソシアネートのイソシアネート基の比率である、NCO/OH比率が挙げられ、ポリアミンのアミノ基と、ポリイソシアネートのイソシアネート基との比率である、アミノ基/NCO比率等が挙げられる。反応温度制御は重要であり、ポリオールとポリイソシアネートを用いた合成においては50~130℃の間にて制御することが好ましく、ポリアミンとポリイソシアネートを反応させる際では10~50℃の範囲に制御することが好ましい。また、反応中の固形分を40~80質量%とすることが好ましい。反応溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピルその他のエステル系有機溶剤を使用することが好ましい。
【0053】
また、ウレタン樹脂とイソシアネート系硬化剤との質量比(ウレタン樹脂:イソシアネート系硬化剤)は、99:1~60:40であることが好ましく、98:2~65:35であることが好ましく、95:5~70:30であることがなお好ましい。ウレタン樹脂のほかに後述の併用樹脂を使用する場合は、ウレタン樹脂と併用樹脂との合計量と、イソシアネート系硬化剤と、の質量比(樹脂合計量:イソシアネート系硬化剤)は、99:1~60:40であることが好ましく、95:5~70:30であることがなお好ましい。当該範囲であると、インキの架橋及び基材密着の効果が特に良好となり、基材密着性及びラミネート強度が向上する。
【0054】
<併用樹脂>
白色印刷層及び/又は遮光印刷層は、ウレタン樹脂とともに併用樹脂を含むことも好ましい。併用樹脂としては例えば、ポリエチレン系樹脂や塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロースやエチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂等が挙げられる。
中でも塩化ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂及びロジン系樹脂から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、塩化ビニル共重合樹脂であることがなお好ましい。
【0055】
上記塩化ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合樹脂等が好ましい。塩化ビニル共重合樹脂の質量平均分子量は、5,000~100,000のものが好ましく、5,000~50,000が更に好ましい。塩化ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、70~95質量%であることが好ましい。また、塩化ビニル共重合樹脂のガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。また、塩化ビニル共重合樹脂は、水酸基を有することが好ましく、水酸基価は10~200mgKOH/gであることが好ましい。イソシアネート系硬化剤との反応性が向上するためであり、当該水酸基は、ビニルアルコール単位由来の水酸基又は水酸基を有するアクリルモノマーに由来することが好ましい。
【0056】
白色印刷層、遮光印刷層それぞれにおいて、ウレタン樹脂と、併用樹脂と、の質量比(ウレタン樹脂:併用樹脂)は95:5~30:70であることが好ましく、90:10~40:60であることがより好ましい。インキの基材への密着性、被膜物性、ラミネート強度等が良好となるためである。
【0057】
(液状媒体)
白色印刷層を形成する白色インキ、及び遮光印刷層を形成する遮光インキは、有機溶剤、水その他の液状媒体を含んでよい。限定されるものではないが、有機溶剤であればトルエンその他の芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトンその他のケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピルその他のエステル系有機溶剤、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノールその他のアルコール系有機溶剤等が好適に挙げられる。水を含んでもよく、有機溶剤を主たる液状媒体とする場合、水の含有率はインキ中10質量%以下であることが好ましい。
【0058】
(添加剤)
白色印刷層を形成する白色インキ、及び遮光印刷層を形成する遮光インキには、さらに、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
【0059】
(その他のインキ層)
本発明において、その他のインキ層とは、上記遮光性顔料を有さない印刷インキから形成された印刷層をいう。その他のインキ層は基材と白色印刷層との間に位置してもよく、白色印刷層と遮光印刷層との間に位置してもよく、また、遮光印刷層と接着剤層との間に位置してもよい。その他のインキ層は、包装材の意匠性を高める観点等から、色インキから形成される、色インキ層であることも好ましい。
【0060】
印刷インキとしては、従来からあるスクリーンインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェットインキ、オフセットインキその他が好適に挙げられ、例えば、特開2005-298618号公報、特開2006-299136号公報、特開2009-249388号公報、特開2013-127038号公報、特開2017-19991号公報、特開2006-131844号公報、特開2013-40248号公報、特開2007-231148号公報、特開2006-257302号公報等に記載されている印刷インキを好適に使用することができる。ただしこれらに限定されない。中でも、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェットインキの使用が好ましく、グラビアインキ及び/又はフレキソインキの使用がなお好ましい。
【0061】
<基材>
基材は、包装材の外層側の基材として役割を担うものであり、印刷層を外観から視認できるように、光透過性を有する材料で構成されることが好ましい。
基材はプラスチックフィルムであることが好ましく、具体的には、ポリエチレン(PE)系やポリプロピレン(PP)系等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。基材は、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、上記のうちの2種以上の樹脂フィルムが積層された複合フィルムであってもよい。またシリカ、アルミナ等の金属酸化物が蒸着された形態であってもよい。
【0062】
基材の厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途に応じて適宜設定することができるが、通常、5~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは10~30μmである。
【0063】
基材は、JISK7361-1:1997に準じて測定される全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、基材は、JISK7136:2000のヘイズが1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
【0064】
<白色印刷層、遮光印刷層の形成>
白色印刷層及び遮光印刷層は、上記白色インキ及び遮光インキを用いて、上記基材上に、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等の印刷法により好適に形成することができる。中でもグラビア印刷又はフレキソ印刷であることがなお好ましい。
【0065】
<グラビア印刷>
(グラビア版)
グラビア版は金属製の円筒状のものであり、彫刻、腐蝕、又はレーザーにて凹部が各色用に作製される。彫刻及びレーザーの使用に制限は無く、柄に合わせて任意に設定が可能である。線数としては100線~300線のものが適宜使用され、線数の大きいものほど目の細かい印刷が可能である。印刷層の厚みは、0.1μm~100μmが好ましい。
(グラビア印刷機)
グラビア印刷機における一つの印刷ユニットは、上記グラビア版及びドクターブレードを備えている。印刷ユニットは多数あり、有機溶剤系印刷インキ及び絵柄インキに対応する印刷ユニットを設定でき、各ユニットはオーブン乾燥ユニットを有する。印刷は輪転により行われ、巻取印刷方式である。版の種類やドクターブレードの種類は適宜選択され、仕様に応じたものが選定できる。
【0066】
<フレキソ印刷>
(フレキソ版)
フレキソ印刷に使用される版としてはUV光源による紫外線硬化を利用する感光性樹脂版又はダイレクトレーザー彫刻方式を使用するエラストマー素材版が挙げられる。フレキソ版の画像部の形成方法に関わらず、版のスクリーニング線数は、75lpi以上のものが使用される。版を貼るスリーブやクッションテープについては任意のものを使用することができる。
(フレキソ印刷機)
フレキソ印刷機としてはCI型多色フレキソ印刷機、ユニット型多色フレキソ印刷機等があり、インキ供給方式についてはチャンバー方式、2ロール方式が挙げることが出来、適宜の印刷機を使用することができる。
【0067】
<ラミネート加工>
本発明の包装材は、例えば、基材にインキを印刷して得られる印刷物の印刷層上に、接着剤層を設け、シーラント又は中間基材層と貼り合わせる(ラミネート加工する)ことで得ることができる。ラミネート加工の代表例として、エクストルージョンラミネート、ドライラミネート、ノンソルラミネート法等が好適に挙げられる。エクストルージョンラミネートとは、印刷物の印刷層上に接着助剤としてアンカーコート剤を塗布し、そこへ溶融ポリエチレン樹脂、溶融ポリプロピレン樹脂等を押し出して同時にシーラントと貼り合わせて積層する方法である。ドライラミネート法、ノンソルラミネート法とは、接着剤を印刷物の印刷層上に塗布・乾燥し、シーラントと熱圧着して積層する方法である。なおドライラミネート法とノンソルラミネート法の違いは、有機溶剤その他の揮発性媒体を含有するか否かの違いである。
【0068】
<接着剤層>
接着剤層は、エクストルージョンラミネート加工時には、アンカーコート剤からなるアンカーコート剤層であることが好ましく、ドライラミネート、又は、ノンソルラミネート加工時には、反応性ウレタン系接着剤層であることが好ましい。
【0069】
(アンカーコート剤層)
エクストルージョンラミネート加工時に用いられる接着剤としてのアンカーコート剤は、例えば、溶剤溶解性又は水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、イミン系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂又はアルキルチタネート等から選択され、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、アンカーコート剤層には、用いる樹脂に応じて、硬化剤や触媒、安定剤、開始剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
【0070】
アンカーコート剤層は、通常、5nm~5μm程度の厚さにすることができる。このような厚さを有するアンカーコート剤層は、内部応力が抑制された均一な膜厚で、印刷層の表面に形成することができる。より好ましいアンカーコート剤層の膜厚は、10nm~1μmである。
アンカーコート剤層の塗布性、接着性を改良するために、アンカーコート剤層形成に先立って、印刷層の表面に、コロナ処理等が施されていてもよい。
【0071】
(反応性ウレタン系接着剤層)
ドライラミネート、又はノンソルラミネート加工時に用いられる接着剤層は、ポリオール主剤と、イソシアネート化合物である硬化剤との反応性ウレタン系接着剤からなる反応性ウレタン系接着剤層であることが好ましく、中でも、無溶剤型(ノンソル)ウレタン系接着剤層又は有機溶剤を含むドライラミネート型ウレタン系接着剤層であることが好ましい。
【0072】
(ポリオール主剤)
ポリオール主剤に使用されるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールが好適に挙げられる。中でもポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオールがより好ましく、ポリエステルポリオール、ひまし油ポリオールがさらに好ましい。
【0073】
なお、ポリオール主剤に用いられるポリオールとは、2つ以上の末端水酸基を含有する樹脂を意味し、イソシアネート化合物との反応に由来するウレタン結合を有するものも好適である。
【0074】
ポリオール主剤の質量平均分子量は2000~100000であることが好ましく、10000~80000であることがなお好ましく、20000~50000であることが更に好ましい。ポリオール主剤の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5~20.0であることが好ましく、2.0~15.0であることが更に好ましい。接着剤塗工時のレベリング性と各層間の密着性が良化するためである。
【0075】
接着剤層中、ポリオール主剤の含有率は70~95質量%であることが好ましく、80~90質量%であることがより好ましい。
【0076】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、ジオールと二塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオールであることが好ましい。
【0077】
(ジオール)
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が好適に挙げられる。ポリエステルポリオールは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。また、環状エステル(ラクトン等)を開環反応させて得られるジオールであってもよい。
【0078】
上記ジオールは、分岐状ジオール及び直鎖状ジオールの双方を含むことが好ましい。ここで、直鎖状ジオールとは、原子数2以上であるジオールであり、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコールその他のジオールをいう。また、分岐状ジオールとは、アルキレングリコールの炭化水素基の少なくとも1つの水素原子が水素原子以外で置換されたジオールをいう。
【0079】
直鎖状ジオールは結晶性を付与し、分岐状ジオールは柔軟性を付与するので、そのバランスにより、2液硬化後のウレタン接着剤被膜が強靭となり高いラミネート強度かつ耐熱性が得られる。
【0080】
上記分岐状ジオールとしては、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(以下、BEPGとも記載する)と、2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下、MPOとも記載する)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPDとも記載する)、ネオペンチルグリコール(NPGとも記載する)、1,2-プロピレングリコール(以下、PGとも記載する)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、NPG、PGから選ばれる少なくとも一種の分岐状ジオールが特に好ましい。
【0081】
直鎖状ジオールとしては、アルキレングリコールであることが好ましく、かかる化合物としては、エチレングリコール(EGとも記載する)、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール(1,3-PDとも記載する)、1,4-ブタンジオール(1,4-BDとも記載)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下の直鎖状ジオールが好ましく、EG、1,3-PD、1,4-BD、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、等が好ましい。さらに物性の観点からは、EGが特に好ましい。
【0082】
なお、分岐状ジオール単位と直鎖状ジオール単位はそれぞれをひとつのポリエステルポリオール中に存在させてもよいし、分岐状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールと、直鎖状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールを混合物原料としてもよい。およそ同一の効果が得られる。
【0083】
(二塩基酸)
二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシル二塩基酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が好適に挙げられる。中でもアジピン酸、コハク酸、セバシン酸がより好ましく、セバシン酸がさらに好ましい。
【0084】
セバシン酸の含有率は、二塩基酸総量中、10~70質量%であることが好ましく、20~60質量%であることがなお好ましい。
【0085】
二塩基酸は、更に、イソフタル酸等の芳香酸系二塩基酸を含むことが好ましい。芳香酸系二塩基酸の含有率は、二塩基酸総量中、25~90質量%であることが好ましく、40~80質量%であることがなお好ましい。
【0086】
さらにポリエステルポリオールの原料としてヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
【0087】
また、ポリエステルポリオールの水酸基の一部が無水トリメリット酸及び/又はトリメリット酸エステル無水物由来の構成単位を含む形態も好ましい。これらは無水トリメリット酸及び/又はトリメリット酸エステル無水物でエステル化変性されている部分酸変性ポリオール等が好適である。部分酸変性により、優れた接着強度、耐熱水性、耐酸性、耐油性を示し、レトルト後の積み重ね時における不本意による折り曲げが原因の外観劣化がなく、さらに包装袋の内容物として酸性度の高い食品や油性食品を充填した場合においても、接着強度の低下を抑制できるため、経時での強度維持に寄与する。
【0088】
また、ポリエステルポリオールはポリイソシアネートとの反応物であってもよく、この場合、末端に水酸基を有する形態になる。ポリイソシアネートとしては、「ウレタン樹脂」の説明で述べたポリイソシアネートが好ましく用いられる。
【0089】
(ひまし油ポリオール)
ひまし油ポリオールとしては、特に制限されず、公知のひまし油、ひまし油誘導体、リシノレイン酸及びリシノレイン酸ポリオール等を使用でき、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0090】
ひまし油誘導体としては、例えば、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ひまし油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、ひまし油脂肪酸縮合物、ひまし油のエチレンオキサイド5~50モル付加体、リシノレイン酸ポリオール、及びひまし油系ポリオールが挙げられる。
【0091】
中でも、ポリオールの製造品質安定性の観点から、ひまし油ポリオールの酸価は、好ましくは0.1~5.0mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは0.1~2.0mgKOH/gの範囲であり、さらに好ましくは0.1~1.0mgKOH/gの範囲である。ひまし油ポリオールの含有率は、各種耐性の観点から、ポリオールの全質量を基準として、3~80質量%であることが好ましい。
【0092】
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリアルキレングリコール;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル;が好適に挙げられる。接着剤塗工時の粘度影響による塗工性の観点から、中でも好ましくはポリプロピレングリコール由来の構成単位を含むポリエーテルポリオールである。ポリエーテルグリコールの数平均分子量は400~10000であることが好ましく、400~5000であることがなお好ましい。
【0093】
なお、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、シュークローズ等の低分子量ポリオール開始剤に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を付加重合した付加重合体をポリエーテルポリオールとして用いてもよい。
該付加重合体としては、例えば、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体が挙げられる。
【0094】
(イソシアネート化合物)
反応性ウレタン系接着剤において、硬化剤として用いるイソシアネート化合物としては、ジイソシアネートあるいはジイソシアネートとポリオールとの反応物であるウレタンプレポリマー等が好ましく、かかるジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種公知のジイソシアネートを使用することができる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が代表例として挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0095】
接着剤層中、イソシアネート化合物の含有率は、5~30質量%であることが好ましく、10~20質量%であることがより好ましい。
【0096】
イソシアネート化合物は硬化剤として機能し、ポリオールが有する水酸基との反応性を有する基を含んでいれば、限定されず使用可能である。
【0097】
イソシアネート化合物としては、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを好適に使用できる。さらに黄変防止、及び密着性向上のための柔軟性付与の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類の使用が好ましく、レトルト耐性との両立からはトリメチロールプロパン等のアダクト体やイソシアヌレート体、ビュレット体等の3官能以上のポリイソシアネート化合物として用いる場合が好ましい。
【0098】
ポリオール主剤とイソシアネート化合物において、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基とポリオール主剤として用いられるポリオール由来の水酸基との比率NCO/OHは、1.0~8.0であることが好ましく、1.5~5.0であることがなお好ましい。
【0099】
<シーラント>
シーラントは、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護する役割を担う。
包装材を袋状とするために、シーラントは最内層がヒートシール性を有していることが好ましい。シーラントを構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。シーラントは、単層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。なお、シーラントは、ヒートシールの際の収縮を抑制するために、上記樹脂からなる無延伸のフィルムであることが好ましい。
【0100】
シーラントの厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途、並びに被包装物の種類及び性質等に応じて適宜設定されるが、通常、10~200μmであることが好ましい。また、パウチ(特にレトルトパウチ)の場合、シーラントの厚みは、20~150μm、さらには30~100μmであることが好ましい。
【0101】
<中間基材層>
本発明の包装材は、遮光印刷層とシーラントとの間に中間基材層を有していてもよい。
中間基材層は、包装材の強度の向上や加工適性の向上を目的として必要に応じて設けられる層である。中間基材層の構成材料としては、例えば、プラスチックフィルム状の基材等が挙げられる。当該基材としては、上述した基材層に用いる基材と同様のものを用いることができる。
【0102】
<包装材の製造方法>
本発明の包装材の製造方法は、基材、白色印刷層、遮光印刷層、接着剤層、及びシーラントをこの順に有する包装材の製造方法であって、白色インキをグラビア印刷又はフレキソ印刷することで白色印刷層を形成する工程、及び、遮光インキを白色印刷層上にグラビア印刷又はフレキソ印刷することで遮光印刷層を形成する工程を含み、前記遮光インキは、カーボンブラック、アルミニウム粒子、酸化鉄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記白色インキ及び遮光インキが、ウレタン樹脂を含み、前記ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、包装材の製造方法である。
【0103】
十分な遮光性と基材密着性を両立できるようにする観点から、上記製造方法において、遮光インキの印刷による塗布量は0.5g/m2以上5g/m2未満であることが好ましく、より好ましくは0.6g/m2以上4.9g/m2以下、さらに好ましくは0.7g/m2以上4.5g/m2以下又は4g/m2以下である。
【0104】
更に必要に応じて、基材、白色印刷層、又は遮光印刷層いずれかの上にその他のインキ層を任意に形成し、意匠性を向上させてもよい。接着剤層は、当該印刷層上に塗布して形成される場合もあれば、シーラントに塗布されて形成される場合もある。
【0105】
本発明の包装材の製造方法の好適な態様は、例えば、接着剤を上記印刷層上に塗布形成して、その後シーラントを貼り合わせる態様である。なお、包装材が、更に中間基材層を有する場合には、印刷層と当該中間基材層とを一旦接着剤により貼り合わせておき、更に中間基材層とシーラントとを貼り合わせる工程を含む態様が好ましい。なお、構成は任意であり特段限定されない。
【0106】
このようにして得られた包装材は、所定のサイズにカットされて、シーラント同士を互いに合わせた形で縁部分をヒートシールして袋状にすることで、包装袋とすることができる。ヒートシールの温度は50~250℃であることが好ましく、80~180℃であることがなお好ましい。ヒートシール圧力は1~5kg/cm2等の条件が好ましい。なお、1枚の包装材を折り曲げて縁をヒートシールしてもよいし、2枚以上の包装材をヒートシールしてもよい。また、包装材からなる包装袋は、中身を包装した後、すべての開口部をヒートシールしたものであってもよい。
【実施例0107】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、以下の実施態様は本発明の一例であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
【0108】
<アミン価の測定方法>
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数であり、JISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。
試料を0.5~2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式1)によりアミン価を求めた。
(式1)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S[mgKOH/g]
【0109】
(質量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mn)
質量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
【0110】
<水酸基価の測定方法>
JISK0070に記載の方法に従って求めた。
【0111】
<酸価の測定方法>
JISK0070に記載の方法に従って求めた。
【0112】
[合成例1-1](ポリエステルポリオールA1の合成)
攪拌機、温度計、分水器及び窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、1,3-プロパンジオール(以下1,3-PDとも略す)26部、ネオペンチルグリコール(以下NPGとも略す)26部、セバシン酸48部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより数平均分子量2000、水酸基価56.1mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/gのポリエステルポリオ-ル(A1)を得た。
【0113】
[合成例1-2~1-7](ポリエステルポリオールA2~A7の合成)
表1に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、合成例1-1と同様の方法で、ポリエステルポリオールA2~A7を得た。
【0114】
[比較合成例1-8](ポリエステルポリオールA8の合成)
表1に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、合成例1-1と同様の方法で、ポリエステルポリオールA8を得た。
【0115】
【0116】
[合成例2-1](ポリエステル系ウレタン樹脂B1の合成)
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ポリエステルポリオ-ルA1を23.6部、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも略す)4.68部、酢酸エチル7.5部、2-エチルヘキサン酸スズ0.003部を仕込み、窒素気流下に120℃で6時間反応させ、酢酸プロピル7.5部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下IPDAとも略す)1.60部、ジブチルアミン(以下DBAとも略す)0.12部、酢酸エチル34部及びイソプロピルアルコール(以下IPAとも略す)21部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、質量平均分子量70000、アミン価4mgKOH/g、分子量分布(Mw/Mn)5.5のポリエステル系ウレタン樹脂B1溶液を得た。
【0117】
[合成例2-2~2-7](ポリエステル系ウレタン樹脂B2~B7の合成)
表2に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、合成例2-1と同様の操作で、ポリエステル系ウレタン樹脂B2~B7を得た。
【0118】
[比較合成例2-8](ポリエステル系ウレタン樹脂B8の合成)
表2に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、合成例2-1と同様の方法で、ポリエステル系ウレタン樹脂B8を得た。
【0119】
【0120】
[白色インキ調製例3-1](インキC1の調製)
酸化チタン35部、ウレタン樹脂B1溶液10部、混合溶剤(酢酸n-プロピル/IPA=70/30(質量比))20部を撹拌混合しサンドミルで分散した後、ウレタン樹脂B1溶液20部、混合溶剤(酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=70/30(質量比))15部を攪拌混合し、白色インキC1を得た。
【0121】
[白色インキ調製例3-2~3-8](インキC2~C8の調製)
表3に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、白色インキ調製例3-1と同様の方法で、白色インキC2~C8を得た。
・塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂溶液(水酸基価140mgKOH/g、質量平均分子量50000の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、固形分30%溶液)
【0122】
[比較調製例3-9~3-10](インキC9~C10の調製)
表3に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、白色インキ調製例3-1と同様の方法で、白色インキC9~C10を得た。
・ポリエーテル系ウレタン樹脂(質量平均分子量70000、固形分30%溶液)
【0123】
【0124】
[遮光インキ調製例4-1](インキD1の調製)
カーボンブラック10部、ウレタン樹脂B1溶液10部、混合溶剤(酢酸n-プロピル/IPA=70/30(質量比))20部を撹拌混合しサンドミルで分散した後、ウレタン樹脂B1溶液20部、混合溶剤(酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=70/30(質量比))40部を攪拌混合し、遮光インキD1を得た。
【0125】
[遮光インキ調製例4-2~4-11](インキD2~D11の調製)
表4に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、遮光インキ調製例4-1と同様の方法で、遮光インキD2~D11を得た。
・塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂溶液(水酸基価140mgKOH/g、質量平均分子量50000の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂固形分30%溶液)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛粒子(平均粒子径200nm、一次粒子径25nm、吸油量24ml/100g)
・酸化鉄:酸化鉄(III)粒子(平均粒子径200nm)
【0126】
[比較調製例4-12~4-13](インキD12~D13の調製)
表4に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、遮光インキ調製例4-1と同様の方法で、遮光インキD12~D13を得た。
・ポリエーテル系ウレタン樹脂(質量平均分子量70000、固形分30%溶液)
【0127】
【0128】
[実施例1](包装材E1の作製)
厚み12μmのプラスチックフィルムG1(ポリエチレンテレフタレートフィルム東洋紡社製E5100)の内面処理層に、白色インキC1、遮光インキD1をグラビア印刷して乾燥し、白色印刷層及び遮光印刷層を合わせて乾燥膜厚1.5μmの印刷層を有する印刷物を得た。なお、印刷は版深100%のベタ版に加え、トラッピング性評価のため、版深0~100%のグラデーション版でも行った。この印刷物を用いて、基材密着性、及び、外観の評価を行った。
【0129】
次いで、ポリオール樹脂H1(TM-250HV、東洋モートン社製)を8部、及びイソシアネート化合物I1(CAT-RT86-60、東洋モートン社製)を1部配合したものに、酢酸エチルを加えて不揮発分30%に調整したラミネート接着剤溶液を、前記印刷層上に塗布し、乾燥させ、ラミネート機により中間基材層J1(延伸ナイロン(Ny)、厚み15μm)と貼り合わせた。次いで、上記中間基材層の表面に、前記ラミネート接着剤溶液を塗布し、乾燥させ、ラミネート機によりシーラントK1(CPP、無延伸ポリプロピレンフィルム、厚み60μm、表面コロナ放電処理)と貼り合せ、40℃で1日間保温し、包装材E1を作成した。
実施例1の包装材E1は、外層側から、基材、白色印刷層、遮光印刷層、第一の接着剤層、中間基材層、第二の接着剤層及びシーラントをこの順で有している。
【0130】
[実施例2~23](包装材E2~23の作製)
表5に記載の原材料及び配合比率としたインキを使用した以外は実施例1と同様の方法にて実施例2~23の印刷物、及び包装材E2~23を得た。実施例15、16及び17においては、イソシアネート硬化剤(TLA-100、旭化成社製イソシアヌレート型、固形分70質量%)を、インキとイソシアネート硬化剤との質量比がインキ/イソシアネート硬化剤=100/1となるようにインキと混合し、印刷を行った。
【0131】
[比較例1~5](包装材F1~5の作製)
表6に記載の原材料及び配合比率としたインキを使用した以外は実施例1と同様の方法にて比較例1~5の印刷物、及び包装材F1~5を得た。
【0132】
(測定及び評価)
実施例及び比較例の印刷物及び包装材に関して、下記の測定及び評価を行った。結果を表5及び表6に示す。
【0133】
(遮光性)
実施例及び比較例で得られた包装材について、島津製作所社製UV3600紫外可視近赤外分光光度計を用いて、380~780nm領域の最大透過率を測定することで可視領域の遮光性を評価した。
<評価基準>
5(優):最大透過率が1.0%未満
4(良):最大透過率が1.0%以上、2.0%未満
3(可):最大透過率が2.0%以上、3.0%未満
2(不可):最大透過率が3.0%以上、4.0%未満
1(劣):最大透過率が4.0%以上
なお、3~5は実用上問題がない範囲である。
【0134】
(基材密着性)
実施例及び比較例で得られた印刷物について、印刷から3時間後に、印刷面に幅12mmの粘着テープ(ニチバン社製セロハンテープ)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷面の外観の状態を目視判定した。なお、判定基準は以下の通りとした。
<評価基準>
5(優):印刷面のインキ被膜が全く剥離しない
4(良):インキ被膜の剥離面積が1%以上5%未満
3(可):インキ被膜の剥離面積が5%以上20%未満
2(不可):インキ被膜の剥離面積が20%以上50%未満
1(劣):インキ被膜の剥離面積が50%以上
なお、3~5は実用上問題がない範囲である。
【0135】
(外観(トラッピング性))
実施例及び比較例で得られた印刷物の白インキ層/遮光インキ層の重ね部分について、キーエンス社製マイクロスコープ(VHX-5000)を用いて外観(トラッピング性)の評価を行った。なお、評価はグラデーション版印刷物で行った。
なお、比較例4及び5については、上記重ね部分がないため、評価対象外である。
<評価基準>
5(優):印刷ムラが版深70%未満で発生する
4(良):印刷ムラが版深70%以上、80%未満で発生する
3(可):印刷ムラが版深80%以上、90%未満で発生する
2(不可):印刷ムラが版深90%以上、100%未満で発生する
1(劣):重ねの遮光インキがすべて網点となり、全く濡れ広がっていない
なお、3~5は実用上問題がない範囲である。
【0136】
(熱間ラミネート強度)
実施例及び比較例で得られた包装材を15mm幅に切り出し、印刷層と基材面との間で剥離させた後、60℃の環境下にて、インテスコ社製201万能引張り試験機にて剥離強度(ラミネート強度)を測定した。
<評価基準>
5(優):引張強度が1.0N/15mm以上である
4(良):引張強度が0.6N/15mm以上、1.0N/15mm未満である
3(可):引張強度が0.4N/15mm以上、0.6N/15mm未満である
2(不可):引張強度が0.2N/15mm以上、0.4N/15mm未満である
1(劣):引張強度が0.2N/15mm未満である
なお、3~5は実用上問題がない範囲である。
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
以上の結果より、本発明の包装材を用いれば、本願課題を達成できた。なお、白色印刷層又は遮光印刷層を有しない場合は遮光性又は熱間ラミネート強度に劣り、白色印刷層及び遮光印刷層が、セバシン酸、コハク酸、又はダイマー酸系のポリエステルポリオール由来の構成単位を含むウレタン樹脂を含まない場合は、基材密着性、外観、又は熱間ラミネート強度のいずれか一つ以上に劣る結果であった。