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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157911
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】乾燥装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241031BHJP
   F26B 13/10 20060101ALI20241031BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 401
F26B13/10 A
B41J2/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072574
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】村島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】床次 実
(72)【発明者】
【氏名】上田 博之
【テーマコード(参考)】
2C056
3L113
【Fターム(参考)】
2C056EA25
2C056EB49
2C056EB58
2C056EC12
2C056EC14
2C056EC35
2C056EC37
2C056HA29
2C056HA40
2C056HA46
3L113AA08
3L113AB06
3L113AC10
3L113AC31
3L113AC35
3L113BA30
3L113CB06
3L113DA24
(57)【要約】
【課題】水系インクの沸騰による画質の低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】乾燥装置は、シートが搬送される搬送路と、搬送路に対向する赤外線ヒーターと、赤外線ヒーターを昇降させる昇降機構60と、を備える。また、乾燥装置は、赤外線ヒーターを備えた加熱ユニット50をシートの搬送方向の複数箇所に備え、昇降機構60は、搬送方向における少なくとも最上流側の加熱ユニット50に設けられている。また、昇降機構60は、搬送方向における最上流側の加熱ユニット50を含む互いに隣り合った複数の加熱ユニット50に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬送される搬送路と、
前記搬送路に対向する赤外線ヒーターと、
前記赤外線ヒーターを昇降させる昇降機構と、を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記赤外線ヒーターを備えた加熱ユニットを前記シートの搬送方向の複数箇所に備え、
前記昇降機構は、前記搬送方向における少なくとも最上流側の前記加熱ユニットに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記昇降機構は、前記搬送方向における最上流側の前記加熱ユニットを含む互いに隣り合った複数の前記加熱ユニットに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記シートにインクを吐出するインクジェット記録装置と、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乾燥装置と、
前記インクジェット記録装置が前記シートに吐出するインクの色と単位面積当たりのインクの量との少なくとも一方に応じて前記昇降機構を制御する制御部と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記インクジェット記録装置が前記シートに吐出する単位面積当たりの黒インクの量に応じて前記昇降機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに吐出されたインクを乾燥させる乾燥装置及び乾燥装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式で画像を形成する場合、画像の乱れ、シートの変形や貼り付き等を防ぐため、シートに吐出されたインクを迅速に乾燥させる必要がある。インクを乾燥させる手段として、搬送されるシートを赤外線ヒーターによって加熱する乾燥装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-54503号公報
【特許文献2】特開2014-46522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水系インクを赤外線ヒーターで乾燥させる場合、急激に加熱すると水分が沸騰し、画像がざらざらになるおそれがある。特に、赤外線を吸収しやすい黒のインクで画像形成された場合や、黒以外のインクも用いる場合であっても画像の密度が高い場合は、乾燥装置の給紙口付近で急激に温度が上昇し、画像がざらざらになる可能性が高くなる。一方、比較的長い時間をかけて同じ熱量を与えると、画像がざらざらになることを防ぐことができることがわかっている。しかし、赤外線ヒーターの場合、電力を減らすとピーク波長が変化して加熱効率が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、水系インクの沸騰による画質の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る乾燥装置は、シートが搬送される搬送路と、
前記搬送路に対向する赤外線ヒーターと、前記赤外線ヒーターを昇降させる昇降機構と、を備える。
【0007】
前記乾燥装置は、 前記赤外線ヒーターを備えた加熱ユニットを前記シートの搬送方向の複数箇所に備え、前記昇降機構は、前記搬送方向における少なくとも最上流側の前記加熱ユニットに設けられていてもよい。
【0008】
前記昇降機構は、前記搬送方向における最上流側の前記加熱ユニットを含む互いに隣り合った複数の前記加熱ユニットに設けられていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る画像形成システムは、前記シートにインクを吐出するインクジェット記録装置と、上記のいずれかの乾燥装置と、前記インクジェット記録装置が前記シートに吐出するインクの色と単位面積当たりのインクの量との少なくとも一方に応じて前記昇降機構を制御する制御部と、を備える。
【0010】
前記制御部は、前記インクジェット記録装置が前記シートに吐出する単位面積当たりの黒インクの量に応じて前記昇降機構を制御してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水系インクの沸騰による画質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成を模式的に示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の構成を模式的に示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る加熱ユニットを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る昇降機構を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る昇降機構を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る給紙口側の2つの加熱ユニットを上昇させた様子を示す正面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る昇降機構の制御の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る乾燥装置120及び画像形成システム100について説明する。
【0014】
最初に、画像形成システム100の全体の構成について説明する。図1は、画像形成システム100の外観を示す斜視図である。図2は、画像形成システム100の構成を模式的に示す正面図である。以下、図1、2における紙面手前側を画像形成システム100の正面側(前側)とし、左右の向きは、画像形成システム100を正面側から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0015】
画像形成システム100(図1参照)は、給紙装置110と、インクジェット記録装置1と、乾燥装置120と、後処理装置130と、を含む。給紙装置110は、数千枚のシートSを収容可能な大容量の給紙デッキを備え、インクジェット記録装置1にシートSを供給する。インクジェット記録装置1は、インクジェット方式でシートSに画像を形成する。乾燥装置120は、シートSに吐出されたインクを加熱して乾燥させる。後処理装置130は、シートSに穿孔、ステープル綴じ、折畳み等の後処理を施す。
【0016】
インクジェット記録装置1(図2参照)は、直方体状の本体ハウジング3を備える。本体ハウジング3内の下部には、普通紙、コート紙等の枚葉のシートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、シートSを吸着してY方向に搬送する搬送ユニット7が設けられている。搬送ユニット7の上方には、インクを吐出して画像を形成する作像ユニット6が設けられている。本体ハウジング3の右側壁部には、給紙口8が設けられている。本体ハウジング3の左側壁部には、排出口9が設けられている。
【0017】
本体ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から搬送ユニット7と作像ユニット6との間隙を経て排出口9に至る搬送路10が設けられている。搬送路10は、シートSを通過させる間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されている。搬送路10には、シートSを挟持して搬送する搬送ローラー17が設けられている。作像ユニット6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー18が設けられている。
【0018】
搬送ユニット7は、無端の搬送ベルト21と、支持板23と、吸引部24と、を備える。搬送ベルト21は、多数の通気孔(図示省略)を有し、駆動ローラー25と従動ローラー22に巻き掛けられている。支持板23は、多数の通気孔(図示省略)を有し、上面が搬送ベルト21の内面に接触している。吸引部24は、支持板23の通気孔と搬送ベルト21の通気孔を介して空気を吸引することでシートSを搬送ベルト21に吸着させる。モーターと減速ギアとを含む駆動部(図示省略)により駆動ローラー25が反時計回り方向に駆動されることで搬送ベルト21が反時計回り方向に回転し、搬送ベルト21に吸着されたシートSがY方向に搬送される。
【0019】
作像ユニット6は、ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11M(ヘッドユニット11と総称する)を備える。ヘッドユニット11は、1つ以上のインクジェットヘッド、例えば、千鳥に配置された3つのインクジェットヘッドを備える(図示省略)。ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11Mには、それぞれイエロー、ブラック、シアン、マゼンタのインクが充填されたインクコンテナ20が接続されている。
【0020】
制御部2は、演算部と記憶部とを備える(図示省略)。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0021】
本体ハウジング3の上部には、表示操作部19が設けられている。表示操作部19は、表示パネルと、表示パネルに積層されたタッチパネルと、キーパッドと、を備える(図示省略)。制御部2は、インクジェット記録装置1の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてインクジェット記録装置1の各部を制御する。
【0022】
インクジェット記録装置1の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。表示操作部19や外部のコンピューター等からインクジェット記録装置1に画像形成ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー18がシートSの斜行を補正する。レジストローラー18が所定のタイミングで搬送ユニット7にシートSを送り出すと、搬送ユニット7が搬送ベルト21にシートSを吸着してY方向に搬送する。制御部2がシートSの搬送と同期させてラスター形式の画像データを駆動回路に供給すると、駆動回路が画素に応じた吐出信号を加圧素子に供給してノズルからインクが吐出され、シートSに画像が形成される。画像が形成されたシートSは、排出口9から排出される。
【0023】
[乾燥装置]
次に、乾燥装置120について詳細に説明する。図3は、乾燥装置120の構成を模式的に示す正面図である。図4は、加熱ユニット50を示す斜視図である。図5、6は、昇降機構60を示す斜視図である。図7は、給紙口32側の2つの加熱ユニット50を上昇させた様子を示す正面図である。
【0024】
本実施形態に係る乾燥装置120は、シートSが搬送される搬送路34と、搬送路34に対向する赤外線ヒーター52と、赤外線ヒーター52を昇降させる昇降機構60と、を備える。具体的には、以下のとおりである。
【0025】
乾燥装置120(図3参照)は、直方体状の本体ハウジング31を備えている。本体ハウジング31の中央よりもやや上方に搬送ユニット40が設けられ、搬送ユニット40の上方に、搬送方向Yに沿って4つの加熱ユニット50が設けられている。本体ハウジング31は、右側壁部に給紙口32を、左側壁部に排出口33を備え、給紙口32から搬送ユニット40と加熱ユニット50との間隙を経て排出口33に至る搬送路34が設けられている。搬送路34の搬送ユニット40よりも搬送方向Y下流側の区間には、搬送ローラー対35が設けられている。
【0026】
加熱ユニット50の上方には、搬送ユニット40よりも搬送方向Y下流側で搬送路34から分岐し、スイッチバックを有する反転搬送路34Rが設けられている。本体ハウジング31には、給紙口32の上方に、反転排出口37が設けられている。インクジェット記録装置1の本体ハウジング3には、排出口9の上方に、反転給紙口29が設けられている。作像ユニット6の上方には、レジストローラー18よりも搬送方向Y上流側で搬送路10に合流する反転搬送路10Rが設けられている。両面印刷を行う場合には、反転搬送路34Rと反転搬送路10Rを経由することでシートSの表裏が反転される。
【0027】
[加熱ユニット]
加熱ユニット50(図4参照)は、直方体状のハウジング51を備える。ハウジング51の下部には、直方体の下面全体に相当する大きさの開口部51Aが設けられている。ハウジング51の内部には、搬送方向Yに交差する幅方向X(前後方向)を長手方向とする複数(この例では、6本)の棒状の赤外線ヒーター52が設けられている。赤外線ヒーター52は、例えば、ガラス管に炭素繊維の発熱体を封入したカーボンヒーターである。発熱体は、赤外線を放射する。反射板53(図3参照、図4では省略)は、前後方向に対して垂直な断面が放物線を描く凹面を有する。反射板53は、凹面を下方に向けて、赤外線ヒーター52の上方に設けられている。
【0028】
[搬送ユニット]
搬送ユニット40(図3参照)は、無端の搬送ベルト41と、支持板43と、吸引部44と、を備える。搬送ベルト41は、多数の通気孔(図示省略)を有し、駆動ローラー45と従動ローラー42に巻き掛けられている。駆動ローラー45、従動ローラー42、支持板43、吸引部44は、フレーム46によって支持されている。支持板43は、多数の通気孔(図示省略)を有し、上面が搬送ベルト41の内面に接触している。吸引部44は、支持板43の通気孔と搬送ベルト41の通気孔を介して空気を吸引することでシートSを搬送ベルト41に吸着させる。モーターと減速ギアとを含む駆動部(図示省略)により駆動ローラー45が反時計回り方向に駆動されることで搬送ベルト41が反時計回り方向に回転し、搬送ベルト41に吸着されたシートSがY方向に搬送される。搬送ベルト41の上面(加熱ユニット50に対向する面)は、搬送路34の一部である。搬送路34に沿う複数箇所に、シートSの詰まりを検知するセンサー36が設けられている。
【0029】
[昇降機構]
昇降機構60は、各加熱ユニット50の前後両端部に設けられている。昇降機構60は、例えば、上下方向を軸方向とするボールねじ61とモーター62とを備える。モーター62は駆動プーリー63を備え、ボールねじ61は従動プーリー64を備え、駆動プーリー63と従動プーリー64とに無端ベルト65が巻き掛けられている。モーター62が発生した駆動力によりボールねじ61が回転することで、加熱ユニット50が昇降する。昇降機構60は、制御部2によって制御される。
【0030】
図8は、昇降機構60の制御の流れ図である。初期状態においては、赤外線ヒーター52は、最も低い初期高さに位置している。最初に、制御部2は、インクジェット記録装置1で画像形成が開始されたか否かを判定する(ステップS01)。画像形成が開始されていないと判定した場合には(ステップS01:NO)、制御部2は、ステップS01の判定を繰り返し、画像形成が開始されたと判定した場合には(ステップS01:YES)、制御部2は、赤外線ヒーター52を点灯させる(ステップS02)。
【0031】
次に、制御部2は、最初のページの単位面積当たりのインクの量が所定値以上であるか否かをビットマップデータに基づいて判定する(ステップS03)。ここで、単位面積とは、1ページ全体でもよく、1ページを複数に等分割した各領域でもよい。インクの量とは、全ての色のインクの合計量である。インクの量が所定値以上であると判定した場合には(ステップS03:YES)、制御部2は、昇降機構60を制御して、初期高さよりも高い第1高さまで、最上流側から2つの赤外線ヒーター52を上昇させる(ステップS04)。
【0032】
一方、インクの量が所定値未満であると判定した場合には(ステップS03:NO)、制御部2は、単位面積当たりの黒インクの量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS05)。黒インクの量が所定値以上であると判定した場合には(ステップS05:YES)、制御部2は、昇降機構60を制御して、第1高さよりも高い第2高さまで、最上流側から2つの赤外線ヒーター52を上昇させる(ステップS06)。
【0033】
一方、黒インクの量が所定値未満であると判定した場合には(ステップS05:NO)、制御部2は、搬送ユニット40によりシートSを搬送してインクを乾燥させる(ステップS07)。次に、制御部2は、次のページが有るか否かをビットマップデータに基づいて判定する(ステップS08)。次のページが有ると判定した場合には(ステップS08:YES)、制御部2は、ステップS03以降の処理を繰り返し、次のページが無いと判定した場合には(ステップS08:NO)、制御部2は、ステップS01以降の処理を繰り返す。
【0034】
以上説明した本実施形態に係る乾燥装置120によれば、シートSが搬送される搬送路34と、搬送路34に対向する赤外線ヒーター52と、赤外線ヒーター52を昇降させる昇降機構60と、を備える。この構成によれば、昇降機構60により赤外線ヒーター52を上昇させることで水系インクに与える熱量を減少させることができるから、水系インクの沸騰による画質の乱れを抑制することができる。また、電力を減少させることで熱量を減少させる場合、赤外線のピーク波長が変化して加熱効率が低下するが、本実施形態によれば、ピーク波長が変化しないから、加熱効率を高く保つことができる。
【0035】
また、本実施形態に係る乾燥装置120によれば、赤外線ヒーター52を備えた加熱ユニット50をシートSの搬送方向Yの複数箇所に備え、昇降機構60は、搬送方向Yにおける少なくとも最上流側の加熱ユニット50に設けられている。水系インクの沸騰は搬送方向Yにおける上流側ほど発生しやすい。本実施形態によれば、少なくとも最上流側の加熱ユニット50を上昇させることで、水系インクの沸騰を抑制する効果を高めることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る乾燥装置120によれば、昇降機構60は、搬送方向Yにおける最上流側の加熱ユニット50を含む互いに隣り合った複数の加熱ユニット50に設けられている。複数の加熱ユニット50は、互いに間隔を空けて隣り合って配置されていてもよい。この構成によれば、最上流側の加熱ユニット50を含む互いに隣り合った複数の加熱ユニット50を上昇させることで、水系インクの沸騰を抑制する効果をさらに高めることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る画像形成システム100によれば、シートSにインクを吐出するインクジェット記録装置1と、上記のいずれかの乾燥装置120と、インクジェット記録装置1がシートSに吐出するインクの色と単位面積当たりのインクの量との少なくとも一方に応じて昇降機構60を制御する制御部2と、を備える。水系インクの沸騰のしやすさは、インクの色と単位面積当たりのインクの量との間に相関関係を有する。本実施形態によれば、水系インクの沸騰のしやすさに応じて昇降機構60を制御することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る画像形成システム100によれば、制御部2は、インクジェット記録装置1がシートSに吐出する単位面積当たりの黒インクの量に応じて昇降機構60を制御する。黒インクは赤外線を吸収しやすいため、他の色のインクよりも沸騰しやすい。本実施形態によれば、水系インクの沸騰を抑制する効果を高めることができる。
【0039】
上記実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0040】
図8に示された制御の内容は一例に過ぎず、他の手法によって搬送方向Y上流側における熱量を抑制してもよい。例えば、ステップS04において最上流側の赤外線ヒーター52のみを第2高さまで上昇させ、ステップS06において最上流側から2つの赤外線ヒーター52を第2高さまで上昇させてもよい。
【0041】
上記実施形態では、ボールねじ61を備えた昇降機構60が示されたが、昇降機構60は、ラックアンドピニオンを備えたもの、カムを備えたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
100 画像形成システム
1 インクジェット記録装置
2 制御部
120 乾燥装置
34 搬送路
52 赤外線ヒーター
60 昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8