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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157912
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】注入管および注入材注入方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
E02D3/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072575
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 真一
(72)【発明者】
【氏名】根岸 昌範
(72)【発明者】
【氏名】高畑 陽
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AA04
2D040AB01
2D040AC02
2D040AC03
2D040AC05
2D040CA01
2D040CA02
2D040CB03
2D040CD09
2D040DA01
2D040DA12
2D040DA13
(57)【要約】
【課題】地盤内に複数種類の注入材を同時に注入することを可能とした注入管およびこの注入管を利用した注入材注入方法を提案する。
【解決手段】中空の管体2と、管体2の内部に設けられた仕切り板3とを備える注入管1である。管体2には、複数の注入孔22が形成されている。また、仕切り板3は、管体2の軸方向に沿って管体2の内空を分割している。この注入管1を利用した注入材注入方法では、複数種類の注入材を、仕切り板3で分割された異なる空間にそれぞれ供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の管体と、
前記管体の内部に設けられた仕切り板と、を備える注入管であって、
前記管体には、複数の孔またはスリットが形成されており、
前記仕切り板は、前記管体の軸方向に沿って前記管体の内空を分割していることを特徴とする、注入管。
【請求項2】
前記管体は、複数の管構成部材を軸方向に連結することにより形成されており、
前記管構成部材は、一般部と、前記一般部の一端に形成されたオス継手部と、前記一般部の他端に形成されたメス継手部とを有し、
前記オス継手部は、前記一般部の外径よりも小さい外径であり、
前記メス継手部は、前記一般部の外径と同じ外径で、かつ、前記オス継手部の外径と同等の内径を有し、前記オス継手部と嵌合可能であることを特徴とする、請求項1に記載の注入管。
【請求項3】
前記管構成部材の内部には、前記仕切り板を構成する分割板が形成されており、当該分割板の一端には凹部が形成されているとともに、前記分割板の他端には前記凹部と嵌合可能な凸部が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の注入管。
【請求項4】
前記オス継手部の外面および前記メス継手部の内面のいずれか一方に複数の突起が形成されているとともに、他方に前記突起を嵌め込むことが可能な穴または溝が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の注入管。
【請求項5】
前記注入管の先端に、底キャップが取り付けられており、
前記底キャップは、円筒と円錐を組み合わせた形状を有し、
前記底キャップの内部には、当該底キャップの内空を分割する分割板が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の注入管。
【請求項6】
地盤にボーリング孔を形成する工程と、
前記ボーリング孔内に請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の注入管を挿入する工程と、
前記ボーリング孔の内壁と前記注入管の外面との隙間に間詰材を充填する工程と、
前記注入管内に複数種類の注入材を供給する工程と、を備える注入材注入方法であって、
前記複数種類の注入材を、前記仕切り板で分割された異なる空間にそれぞれ供給することを特徴とする、注入材注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入管および地盤内への注入材注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良や汚染地下水の浄化等を目的として、地盤中に注入材を供給する場合がある。地盤改良を目的とする場合には、セメントミルク等の懸濁物や水ガラス系の溶液等が用いられる。また、汚染地下水の浄化を目的とする場合には、固形浄化材の懸濁物や液系浄化材が用いられ、汚染地下水の面的浄化や待ち受けバリアの構築により、汚染地下水の拡散防止が行われる。
汚染地下水の浄化を目的として地盤中に注入材を供給する方法としては、浸透注入工法が用いられる。浸透注入工法の中でも、比較的簡易な方法として、対象地盤に注入井戸を設置し、ストレーナ位置から注入材を自然浸透により注入する方法が用いられる。自然浸透による注入方法は、簡易的な注入設備を用いることから、比較的低コストで施工可能である。
なお、地盤に注入材を注入する工法として、複数種類の注入材を個別に地盤内に注入し、地盤中において注入材同士を反応させる場合がある。例えば特許文献1には、2種類の溶液を2本の注入管により個別に地盤内に注入し、地盤内において反応させる注入方法が開示されている。
特許文献1の注入方法では、複数の注入管を配管する必要があるため、施工に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-299758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、地盤内に複数種類の注入材を同時に注入することを可能とした注入管およびこの注入管を利用した注入材注入方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の注入管は、中空の管体と、前記管体の内部に設けられた仕切り板とを備えるものであって、前記管体には複数の孔またはスリットが形成されており、前記仕切り板は前記管体の軸方向に沿って前記管体の内空を分割している。
かかる注入管によれば、注入管の内部が仕切り板により分割されているため、1本の注入管内に複数の流路が並設されることになる。すなわち、本発明によれば、1本の注入管により、複数種類の注入材を地盤内に注入できる。そのため、注入材の種類に応じて複数の注入管を配管する従来の注入方法に比べて、簡易に施工することができる。また、注入管内の一の流路に通じる孔またはスリットと他の流路に通じる孔またはスリットとの相対位置関係が一定となるため、複数の注入材を注入する場合であっても、各注入材の流出方向を管理しやすい。また、注入材同士が反応して固形物等を生成する場合においても、注入孔(注入管)内で固形分が生成されることはない。また、一つの流路を備える注入管を用いて複数種類の注入材を注入する場合には、注入材の種類を切り替える手段や切り替えのタイミングを制御するタイマー等が必要になるが、本発明によれば、このような手段を必要としない。
【0006】
なお、前記管体は、複数の管構成部材を軸方向に連結することにより形成してもよい。この場合、前記管構成部材は、所定の外径および所定の内径を有した一般部と、前記一般部の一端に形成されたオス継手部(前記一般部の外径よりも小さい外径を有する部位)と、前記一般部の他端に形成されたメス継手部(前記一般部の外径と同じ外径でかつ前記オス継手部の外径と同等の内径を有し前記オス継手部と嵌合可能な部位)とを有したものを使用するとよい。また、前記管構成部材の内部には、前記仕切り板を構成する分割板が形成されており、当該分割板の一端には凹部が形成されており、前記分割板の他端には前記凹部と嵌合可能な凸部が形成されていることが望ましい。さらに、前記オス継手部の外面または前記メス継手部の内面のいずれか一方に複数の突起が形成されており、他方に前記突起を嵌め込むことが可能な穴または溝が形成されていることが望ましい。
かかる注入管によれば、オス継手部とメス継手部とを嵌合することで管構成部材同士を連結できるので、所望の長さの管体を容易に形成できる。なお、管構成部材同士の接合部には、Oリング等の止水材を設けてもよい。同様に、分割板同士の接合部に止水材を設けてもよい。なお、注入管の先端には、円筒と円錐を組み合わせた形状を有し、内部に内空を分割する分割板が形成された底キャップを取り付けるのが望ましい。
【0007】
前記注入管を利用した注入材注入方法は、地盤にボーリング孔を形成する工程と、前記ボーリング孔内に注入管を挿入する工程と、前記ボーリング孔の内壁と前記注入管の外面との隙間に間詰材を充填する工程と、前記注入管内に複数種類の注入材を供給する工程とを備えている。このとき、複数種類の注入材は、仕切り板で分割された異なる空間にそれぞれ供給する。
本発明の注入材注入方法によれば、内部が仕切り板により分割された注入管を利用するため、1本の注入管により、地盤内に複数種類の注入材を注入できる。また、複数の注入管を配管する従来の注入方法に比べて、簡易に施工することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の注入管および注入材注入方法によれば、複数種類の注入材を地盤内に同時に注入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】地盤への注入材供給状況を示す模式図である。
図2】注入管を示す斜視図である。
図3】管構成部材を示す図であって、(a)は有孔管、(b)は無孔管である。
図4】管構成部材を示す図であって、(a)は軸方向の断面図、(b)は横断方向の断面図である。
図5】管構成部材同士の継手部を示す図であって、(a)は分解側面図、(b)は断面図である。
図6】注入管の下端部を示す図であって、(a)は断面図、(b)は分解側面図である。
図7】注入材注入方法の手順を示すフロチャートである。
図8】注入材注入方法の各工程を示す断面図であって、(a)は削孔工程、(b)は配管工程、(c)は間詰工程である。
図9】地盤への注入材供給状況を示す断面図である。
図10】蓋材を示す断面図である。
図11】注入管の配置の例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側断面図である。
図12】仕切り板の他の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、地盤中に薬液などの注入材を供給(注入)する場合について説明する。図1に注入材の注入状況を示す。本実施形態の注入材注入方法は、図1に示すように、地盤には注入管1が配管されており、注入材タンクT内の注入材iは、注入管1を介して地盤に浸透させる。
図2に注入管を示す。注入管1は、図2に示すように、中空の管体2と、管体2の内部に設けられた仕切り板3とを備えている。注入管1(管体2)の内空は、仕切り板3によって、全長にわたって2つの空間(流路11,12)分割されている。
【0011】
管体2は、複数の管構成部材21,21,…を軸方向に連結することにより形成されている。図3に管構成部材21を示す。地盤の所定の位置(例えば、図1に示す帯水層G2)に配設される管構成部材21には、図3(a)に示すように、有孔管21aを使用する。有孔管21aには、内外方向に貫通する複数の孔またはスリット(注入孔22)が形成されている。一方、それ以外の層(図1の不飽和層G1または不透水層G3)に配設される管構成部材21には、図3(b)に示すように、注入孔22が形成されていない無孔管21bを使用する。すなわち、注入管1には、地盤中の注入材の注入対象領域(例えば、帯水層)に対応して、注入孔22が形成されている。
【0012】
図4に管構成部材21を示す。図4(a)に示すように、管構成部材21は、一般部23と、一般部23の一端に形成されたオス継手部24と、一般部23の他端に形成されたメス継手部25とを有している。
オス継手部24は、一般部23の一端に形成された段差部分で、一般部23の外径よりも小さい外径を有している。一方、メス継手部25は、一般部23の外径と同じ外径で、かつ、オス継手部24の外径と同等の内径(本実施形態では一般部23と同じ内径)を有していて、他の管構成部材21のオス継手部24と嵌合可能である。オス継手部24の長さは限定されるものではないが、例えば、50mm程度とする。
【0013】
図5にオス継手部24とメス継手部25の詳細を示す。図5(a)に示すように、オス継手部24の外面には、複数の突起26,26,…が周方向に所定の間隔をあけて形成されている。一方、メス継手部25には、オス継手部24の突起26の位置に応じて、突起26を嵌め込むことが可能な穴(凹部)27が形成されている。オス継手部24をメス継手部25に挿入すると、図5(b)に示すように、突起26と穴27とが嵌合し、メス継手部25からオス継手部24の抜け出し難くなる。
【0014】
管構成部材21の内部は、図4(a)および(b)に示すように、分割板31によって二分割されている。分割板31は、当該管構成部材21に連結される他の管構成部材21の分割板31と連結されることで、仕切り板3を構成する(図5(b)参照)。これにより、仕切り板3は、管体の軸方向に沿って管体の全長にわたって内空を分割している。
図4(a)に示すように、分割板31のオス継手部24側の端部には凹部32が形成されているとともに、分割板31の他端(メス継手部25側の端部)には凹部32と嵌合可能な凸部33が形成されている。凹部32および凸部33は、分割板31の全幅(図4(b)における左右方向の幅)にわたって形成されている。
【0015】
図4(a)に示すように、凸部33は、管構成部材21(メス継手部25)の端面(図4(a)における右端面)よりも突出している。凸部33は、断面視三角形状を呈していて、先端に向かうに従って幅(厚み)が小さくなる形状を有している。凹部32は、凸部33の断面形状に応じて、奥に向かうに従って溝幅が小さくなる断面V字状を呈している。すなわち、凹部32は、凸部33と嵌合可能な形状を有している。凹部32の開口端(図4(a)における左端)は、管構成部材21の端面(図4(a)における左端)よりも内側に配置されている。そのため、図5(b)に示すように、管構成部材21同士を連結すると、一方の管構成部材21のメス継手部25の先端から突出した分割板31の凸部33が、他方の管構成部材21の内部において、凹部32と当接(嵌合)する。その結果、軸方向に連結された管構成部材21の内部に形成された分割板31同士は、凹部32と凸部33との嵌合により連結されて、連続した仕切り板3が形成される。
【0016】
図6に注入管1の先端部(下端部)を示す。図6(a)および(b)に示すように、注入管の先端には、底キャップ6が固定されている。本実施形態の底キャップ6は、円筒部分61と円錐部分62を組み合わせた形状を有している。円筒部分61の内空は、底キャップ6に接続する管構成部材21のオス継手部24の外径と同等の内径を有している。また、円筒部分61には、図6(b)に示すように、底キャップ6に接続する管構成部材21のオス継手部24の複数の突起26と係合する複数の穴63が形成されている。オス継手部24を円筒部分61に挿入すると、図6(a)に示すように、突起26と穴63とが嵌合し、オス継手部24が円筒部分61から抜け出し難くなる。
【0017】
また、図6(a)に示すように、底キャップ6の内部には、当該底キャップ6の内空を分割する分割板34が形成されている。分割板34の下端は、底キャップ6(円錐部分62)の内面に固定されている。また、分割板34の上端には、凸部33が形成されていて、底キャップ6に接合する管構成部材21の凹部32(図4(a)参照)と連結可能に構成されている。すなわち、注入管1の内部は、底キャップ6の内部に至るまで連続する仕切り板3によって全長にわたって二分割されている。
【0018】
注入管1を利用した注入材注入方法は、以下の手順により行う。図7に注入材注入方法の手順を示す。図7に示すように、注入材注入方法は、削孔工程S11と、配管工程S12と、間詰工程S13と、注入工程S14とを備えている。図8に注入材注入方法の施工状況を示す。
削孔工程S11では、図8(a)に示すように、ボーリングマシンMを利用して、地盤にボーリング孔4を形成する。ボーリング孔4の削孔に伴い、孔壁が崩れないように、ボーリング孔4にケーシング41を挿入する。
【0019】
配管工程S12では、図8(b)に示すように、ケーシング41(ボーリング孔4)内に注入管1を挿入する。注入管1の配管作業は、管構成部材21を軸方向に連結しながら、ケーシング41内に挿入する。このとき、管構成部材21同士の接合部および分割板31同士の接合部に止水材(例えばOリング)を設けてもよい。注入管1は、帯水層G2(注入対象領域)の位置に応じて注入孔が形成された有孔管21aを配管し、それ以外の領域(不飽和層G1や不透水層G3)には注入孔が形成されていない無孔管21bを配管する。図9に地盤に設置された注入管1を示す。注入管1は、図9に示すように、仕切り板3が地下水の流向と平行になるように配管する。図10に注入管1の頭部を示す。配管後の注入管1の頭部には、図10に示すように、蓋材5を設置し、雨水や異物などが注入管1に浸入することを防止する。蓋材5の形状寸法は、注入管の密閉性が確保できるものであれば限定されない。
【0020】
間詰工程S13では、図8(c)に示すように、帯水層G2の位置に対応して、注入管1の外面とボーリング孔4の内壁との隙間に間詰材42(例えば珪砂や砂利等)を充填するとともに、ケーシング41を引き抜く。また、帯水層G2とその地表面側に積層された不飽和層G1との境界をシール材43により止水し、不飽和層G1に対応する注入管1とボーリング孔4との隙間には固化材(グラウトやモルタル等)44を充填する。
【0021】
注入工程S14では、注入管1を利用して地盤(帯水層G2)に注入材iを注入する。注入材iは、タンクTから注入管1に供給し、自然浸透により地盤(帯水層G2)に注入する(図1参照)。より具体的には、注入管1内の仕切り板3により分割された各空間(流路11,12)に、それぞれ異なる注入材ia,ibを供給し、2種類の注入材ia,ibを同時に地盤に注入する。図9に示すように、注入管1から注入された2種類の注入材ia,ibは、上流から流れてきた地下水Wとともに流下し、注入管1の下流側において混合される。
【0022】
以上のとおり、本実施形態の注入管1は、内部が仕切り板3により分割されている。すなわち、1本の注入管1内に複数の流路11,12が並設されているため、1本の注入管1により、複数種類の注入材iを地盤内に注入できる。そのため、注入材iの種類に応じて複数の注入管1を配管する従来の注入方法に比べて、簡易に施工することができる。
また、注入管1内の一の流路11に通じる注入孔22と他の流路12に通じる注入孔22との相対位置関係が一定となるため、複数種類の注入材iを注入する場合であっても、各注入材iの流出方向を管理しやすい。
また、注入材同士が反応して固形物等を生成する場合においても、注入孔(注入管)内で固形分が生成されることはない。
また、注入材iの種類を切り替える手段や切り替えのタイミングを制御するタイマー等を必要とせずに異なる種類の注入材iを地盤に注入できる。
また、オス継手部24とメス継手部25とを嵌合することで管構成部材21同士を連結できるので、所望の長さの管体2を容易に形成できる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、注入管1は、地盤に対して複数本配設してもよい。この場合には、図11に示すように、地下水Wの流下方向に対して直交する方向に複数の注入管1を並設するのが望ましい。こうすることで、注入管1から浸透した注入材iが隣り合う他の注入管1から浸透した注入材iと混合されながら流下するようになる。
【0024】
また、前記各実施形態では、注入管1が仕切り板3によって二分割されている場合について説明したが、注入管1内の分割数は限定されるものではなく、例えば、図12に示すように、注入管1内に十字状に仕切り板3を配設して四分割にしてもよい。
注入管1は、必ずしも管構成部材21を連結することにより形成する必要はなく、予め所定の長さを有した1本の管体であってもよい。
また、注入管1を構成する材料は限定されるものではないが、配管時や地中における土圧および水圧に対して十分な強度を有したものを使用することが好ましい。
【0025】
蓋材5および底キャップ6は、必要に応じて設置すればよい。
底キャップ6の形状は、前記実施形態で示した形状に限定されるものではない。また、底キャップ6の固定方法も限定されるものではなく、例えば、溶着してもよい。
また、底キャップ6に代えて、注入管1の下端に底板が一体に形成されていてもよい。
【0026】
前記実施形態では、オス継手部24の外面に突起26が形成されていて、メス継手部25の内面に突起26と嵌合可能な穴27が形成されている場合について説明したが、メス継手部25の内面に突起26が形成されていて、オス継手部の外面に穴が形成されていてもよい。
また、突起26の係合する受部の形状は穴限定されるものではなく、例えば溝であってもよい。
さらに、オス継手部24の外面とメス継手部25の内面にそれぞれネジ加工を施し、オス継手部24とメス継手部25とを螺合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 注入管
2 管体
21 管構成部材
22 注入孔
23 一般部
24 オス継手部
25 メス継手部
3 仕切り板
31 分割板
4 ボーリング孔
5 蓋材
6 底キャップ
i 注入材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12