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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157918
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】回転掘削機の掘削土性状測定装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/093 20060101AFI20241031BHJP
   E21D 9/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E21D9/093 F
E21D9/06 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072588
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】串田 慎二
(72)【発明者】
【氏名】川野 健一
(72)【発明者】
【氏名】森 嘉一
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC04
2D054CA02
2D054FA01
2D054GA10
2D054GA52
2D054GA68
2D054GA69
2D054GA89
2D054GA93
(57)【要約】
【課題】回転掘削機のチャンバ内における土砂の性状を分布的に測定する。
【解決手段】シールド掘進機1の掘削土性状測定装置100は、チャンバ2aにおける土砂の性状を測定する土砂性状測定器10を備え、土砂性状測定器10は、カッタヘッド3の背面を形成する背面部材3dに設けられ、チャンバ2aにおける土砂に向けて放射線を出射する放射線出射部11と、放射線出射部11から出射された放射線を検出する放射線検出部12と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山の内壁を支持可能な筒状の胴体と、前記胴体の前方で回転駆動して前記地山を掘削するカッタヘッドと、前記カッタヘッドの後方に設けられ前記カッタヘッドにより掘削された土砂が滞留するチャンバを前記胴体内に区画する隔壁と、を備える回転掘削機の掘削土性状測定装置であって、
前記チャンバにおける前記土砂の性状を測定する土砂性状測定器を備え、
前記土砂性状測定器は、
前記カッタヘッドの背面を形成する背面部材に設けられ、前記チャンバにおける前記土砂に向けて放射線を出射する放射線出射部と、
前記放射線出射部から出射された放射線を検出する放射線検出部と、を有する、
回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項2】
前記カッタヘッドの回転位置を計測するカッタヘッド回転位置計測部を更に備える、
請求項1に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項3】
前記放射線検出部は、前記背面部材に設けられており、前記放射線出射部から出射され前記チャンバ内で散乱した放射線を検出する、
請求項1に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項4】
前記放射線出射部と前記放射線検出部との間に設けられ、放射線を遮蔽する遮蔽部を更に備える、
請求項3に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項5】
前記放射線検出部は、前記カッタヘッドの背面から前記チャンバ内に突出する突出部に設けられる、
請求項1に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項6】
前記放射線出射部及び前記放射線検出部の一方は、前記放射線出射部及び前記放射線検出部の他方を中心に複数に設けられる、
請求項1に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項7】
前記カッタヘッドに設けられ、前記背面部材に固着した土砂を除去する固着土砂除去部を更に備える、
請求項1に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項8】
前記隔壁の前面から前記チャンバ内に突出して設けられ、前記背面部材に固着した土砂を除去する固着土砂除去部を更に備える、
請求項1に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【請求項9】
前記隔壁に設けられ、前記背面部材に臨む開閉可能な開口を更に備える、
請求項1に記載の回転掘削機の掘削土性状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転掘削機の掘削土性状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルを掘進する回転掘削機では、地山を掘削するカッタヘッドの後方に隔壁が設けられ、カッタヘッドの背面と隔壁の前面とでチャンバが区画される。カッタヘッドを用いて掘削された土砂をチャンバ内で滞留させチャンバにおける土砂の圧力を作用させることにより、切羽面の土圧及び地下水圧で抑え切羽面を安定させている。チャンバにおける土砂の圧力は、チャンバにおける土砂の性状(例えば、密度及び含水量)により変化するため、チャンバにおける土砂の性状を計測することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された方法では、回転掘削機の隔壁にガンマ線密度計が取り付けられる。ガンマ線密度計からチャンバ内の土砂にガンマ線を出射することにより、チャンバ内の土砂の密度を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-69822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された方法では、ガンマ線密度計といった土砂性状測定器が隔壁に取り付けられているため、チャンバ内の限られた範囲にある土砂の性状を測定するだけである。そのため、チャンバにおける土砂全体の性状を把握することが困難であり、切羽を安定させることができなくなるおそれがある。このような理由から、チャンバにおける土砂の性状を分布的に測定することが求められている。
【0006】
本発明は、回転掘削機のチャンバ内における土砂の性状を分布的に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、地山の内壁を支持可能な筒状の胴体と、胴体の前方で回転駆動して地山を掘削するカッタヘッドと、カッタヘッドの後方に設けられカッタヘッドにより掘削された土砂が滞留するチャンバを胴体内に区画する隔壁と、を備える回転掘削機の掘削土性状測定装置であって、チャンバにおける土砂の性状を測定する土砂性状測定器を備え、土砂性状測定器は、カッタヘッドの背面を形成する背面部材に設けられ、チャンバにおける土砂に向けて放射線を出射する放射線出射部と、放射線出射部から出射された放射線を検出する放射線検出部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転掘削機のチャンバ内における土砂の性状を分布的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る掘削土性状測定装置を備える回転掘削機の概略図である。
図2図1に示すII部の拡大図である。
図3】本発明における第1実施形態の変形例に係る掘削土性状測定装置の概略図であり、図2に対応して示す。
図4】本発明における第1実施形態の別の変形例に係る掘削土性状測定装置の概略図であり、図2に対応して示す。
図5】第1実施形態の更に別の変形例に係る掘削土性状測定装置の概略図であり、図2に対応して示す。
図6図5に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る掘削土性状測定装置の概略図であり、図2に対応して示す。
図8】本発明の第3実施形態に係る掘削土性状測定装置の概略図であり、図2に対応して示す。
図9】本発明の第4実施形態に係る掘削土性状測定装置の概略図であり、カッタシャフトの内部から後方に掘削土性状測定装置を見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る回転掘削機の掘削土性状測定装置について、図面を参照
して説明する。
【0011】
<第1実施形態>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る掘削土性状測定装置100について説明する。掘削土性状測定装置100は、いわゆるシールド工法において用いられるシールド掘進機1に適用される。以下では、シールド掘進機1が進む方向である切羽側を「前方」とし、前方とは反対の方向である坑口側を「後方」として説明する。
【0012】
なお、掘削土性状測定装置100は、いわゆる推進工法において用いられる推進機にも適用可能である。つまり、掘削土性状測定装置100は、シールド掘進機及び推進機等の回転掘削機に適用可能である。
【0013】
図1は、シールド掘進機1の概略図である。図1に示すように、シールド掘進機1は、地山の内壁W1を支持可能な筒状の胴体2と、胴体2に装着されたカッタヘッド3と、カッタヘッド3の後方に設けられた隔壁4と、を備えている。胴体2の内部では、シールド掘進機1の前進に伴ってセグメントリング9が順次構築される。カッタヘッド3は、揺動カッターであってもよい。
【0014】
胴体2には、ジャッキ5が固定される。ジャッキ5は、セグメントリング9から反力を得て胴体2を前方に推進し、カッタヘッド3を地山に前方に押付ける。胴体2が推進されてセグメントリング9が胴体2から出ると、セグメントリング9の外周面と地山の内壁W1との間に裏込め材(図示省略)が充填される。
【0015】
カッタヘッド3は、カッタシャフト6a及び減速機構6bを介してモータ6に連結されており、モータ6の駆動により胴体2の前方で回転駆動する。カッタヘッド3には、前方に突出するカッタビット3aが複数設けられている。具体的には、カッタヘッド3が地山に押付けられた状態で回転すると、地山がカッタビット3aにより前方に掘削される。地山の掘削により生じる土砂は、カッタヘッド3に設けられる不図示のカッタスリット等の開口を通じてカッタヘッド3の後方に導かれる。
【0016】
以下において、カッタヘッド3の回転中心軸に沿う方向を「軸方向」と称し、カッタヘッド3の回転中心軸周りの方向を「周方向」と称し、カッタヘッド3の回転中心軸を中心とする放射方向を「径方向」と称する。
【0017】
隔壁4は、チャンバ2aを胴体2の内部に区画する。カッタヘッド3により掘削された土砂は、チャンバ2a内で滞留する。チャンバ2a内を土砂で充満させてチャンバ2aに土砂の圧力を作用させることにより、切羽面の土圧及び地下水圧を抑え切羽面を安定させることができる。スクリュコンベア7は、チャンバ2a内の土砂を排出し、チャンバ内の土砂の量を調節する。
【0018】
カッタヘッド3には、土砂を不透水化及び塑性流動化させる添加剤を掘削する土砂に混合させるための注入孔3gが形成される。注入孔3gには、不図示の配管が接続されている。添加剤は、例えばベントナイトである。カッタヘッド3の背面には、チャンバ2aに突出する第1突出部3b及び第2突出部3cが設けられている。そのため、掘削された土砂に添加剤を混合すると、カッタヘッド3の回転駆動に伴って、チャンバ2a内で土砂と添加剤とが第1突出部3b及び第2突出部3cにより撹拌混錬される。その結果、チャンバ2aにおける土砂の不透水性及び塑性流動性が高くなり、シールド掘進機1を適用可能な地山の範囲を広げることができる。第1突出部3b及び第2突出部3cは、例えば、鋼板などで箱状に形成された筐体である。
【0019】
チャンバ2aにおける土砂により切羽面を安定させるためには、チャンバ2aにおける土砂の圧力が重要である。土砂の圧力は、土砂の性状(例えば、密度及び含水量)により変化するため、チャンバ2aにおける土砂の性状を測定することが求められる。掘削土性状測定装置100は、チャンバ2aにおける土砂の性状を測定するために用いられる。
【0020】
図2は、図1のII部の拡大図である。図2に示すように、掘削土性状測定装置100は、チャンバ2aにおける土砂の性状を測定する土砂性状測定器10を備える。土砂性状測定器10は、γ線や中性子線といった放射線を用いて土砂の密度及び含水量を測定するいわゆるラジオアイソトープ(RI)計器である。
【0021】
RI計器による密度及び含水量の測定原理について、簡単に説明する。RI計器は、例えばγ線源から土砂に向けてγ線を出射し、土砂の内部で散乱し土砂から抜け出てくるγ線を、γ線検出部を用いて検出する。γ線には、土砂の密度が高いほど土砂内で消滅しやすい性質がある。RI計器は、γ線源から土砂に向けて出射されたγ線の数と、γ線検出部を用いて検出されたγ線の数と、を比較することにより、土砂の密度を測定する。
【0022】
また、RI計器は、例えば中性子線源から土砂に向けて中性子線を出射し、土砂の内部で散乱し土砂から抜け出てくる熱中性子線を、熱中性子線検出部を用いて検出する。中性子線には、土砂の含水量が多いほど熱中性子線に変化しやすい性質がある。RI計器は、中性子線源から土砂に向けて出射された中性子線の数と、熱中性子線検出部を用いて検出された熱中性子線の数と、を比較することにより、土砂の含水量を測定する。
【0023】
図2に示すように、土砂性状測定器10は、チャンバ2a内の土砂に向けてγ線及び中性子線(放射線)を出射する放射線出射部11と、放射線出射部11から出射されたγ線及び中性子線(放射線)を検出する放射線検出部12と、を有している。そのため、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を測定することができる。
【0024】
カッタヘッド3は、中空に形成されており、カッタヘッド3の背面を形成する背面部材3dを備える。背面部材3dは、例えば鉄製である。放射線出射部11及び放射線検出部12は、背面部材3dに設けられる。放射線検出部12は、放射線出射部11から出射されチャンバ内で散乱した放射線を検出する。つまり、土砂性状測定器10は、散乱型RI計器である。
【0025】
放射線出射部11及び放射線検出部12は、背面部材3dに設けられるため、カッタヘッド3の回転駆動に伴って周方向に移動する。したがって、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を周方向に分布的に測定することができる。
【0026】
放射線出射部11及び放射線検出部12を設ける場所を第1突出部3b又は第2突出部3cとすることも考えられるが、第1突出部3b又は第2突出部3cは、チャンバ2a内で土砂と添加剤とを効率よく撹拌混錬できるようにカッタシャフト6a(図1参照)からの位置が定められている。そのため、放射線出射部11及び放射線検出部12を第1突出部3b又は第2突出部3cに設けた形態とすると、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を測定する箇所が限定される。
【0027】
本実施形態では、放射線出射部11及び放射線検出部12を設ける場所が背面部材3dであるため、カッタシャフト6aから径方向に所望の位置に放射線出射部11及び放射線検出部12を設けることができる。したがって、所望の位置での土砂の密度及び含水量を分布的に測定することができる。
【0028】
背面部材3dは、チャンバ2aとは反対側から形成されたザグリ穴3eを有しており、放射線出射部11及び放射線検出部12は、ザグリ穴3eに設けられる。そのため、チャンバ2aと放射線出射部11及び放射線検出部12との間の背面部材3dの厚みを薄くすることができ、放射線出射部11からチャンバ2aに向かう放射線及びチャンバ2a内から放射線検出部12に向かう放射線が背面部材3dを透過しやすくなる。したがって、土砂性状測定器10の測定精度を高めることができる。
【0029】
また、ザグリ穴3eはチャンバ2aとは反対側から背面部材3dに形成されている。そのため、ザグリ穴3eから放射線出射部11が脱落したとしても、放射線出射部11は、カッタヘッド3内にとどまる。したがって、放射線出射部11の紛失を防止することができ、放射線出射部11の管理が容易になる。
【0030】
掘削土性状測定装置100は、放射線を遮蔽する遮蔽部30を備えている。遮蔽部30は、例えば鉛から形成されるが、これに限られず、放射線の透過率が背面部材3dの素材よりも小さい素材から形成されていればよい。遮蔽部30は、放射線出射部11と前記放射線検出部12との間に設けられている。そのため、チャンバ2a内を通らずに放射線出射部11から放射線検出部12に直線的に向かう放射線が遮られる。したがって、放射線出射部11から出射されチャンバ2a内で散乱した放射線を、放射線検出部12を用いてより正確に検出することができ、土砂性状測定器10の測定精度を高めることができる。
【0031】
図1に示すように、掘削土性状測定装置100は、カッタヘッド3の回転位置を計測するカッタヘッド回転位置計測部20を備える。そのため、カッタヘッド3の回転位置は、土砂性状測定器10による土砂の密度及び含水量の測定と合わせてカッタヘッド回転位置計測部20により測定される。カッタヘッド回転位置計測部20により計測された回転位置は、土砂性状測定器10により測定された密度及び含水量と共に、例えば胴体2の内部に設けられた不図示のモニタに表示される。したがって、作業者は、モニタを確認することにより、土砂の密度及び含水量が測定されたカッタヘッド3の回転位置を把握することができる。これにより、シールド掘進機1の掘進速度、カッタヘッド3の回転速度、スクリュコンベア7の回転速度及び添加剤の量といった、トンネルT1の掘進に必要な条件を適切に決定することができる。
【0032】
カッタヘッド回転位置計測部20は、例えば、ロータリエンコーダである。
【0033】
土砂性状測定器10により測定された密度及び含水量の情報、並びにカッタヘッド回転位置計測部20により計測された回転位置の情報は、無線によりモニタに送られてもよいし、有線によりモニタに送られてもよい。密度及び含水量の情報を有線によりモニタに送る場合には、不図示の信号線をカッタヘッド3の内部及びカッタシャフト6aの内部に通すと共に周知の回転コネクタ(例えばスリップリング)をカッタシャフト6aに設け、信号線及び回転コネクタを介して土砂性状測定器10とモニタとを電気的に接続すればよい。
【0034】
ところで、チャンバ2a内の土砂は、背面部材3dに固着することがある。固着した土砂は、カッタヘッド3の回転駆動に伴って、周方向に移動することなる。放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍で土砂が固着すると、土砂性状測定器10は、固着した土砂の密度及び含水量を測定し続けることになり、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を分布的に測定することができない。
【0035】
そこで、掘削土性状測定装置100は、図2に示すように、背面部材3dに固着した土砂を除去する洗浄ノズル(固着土砂除去部)40を備える。洗浄ノズル40は、作業員の操作により作動して液体を噴出し、土砂を除去する。
【0036】
洗浄ノズル40は、カッタヘッド3に設けられる。そのため、洗浄ノズル40は、カッタヘッド3の回転駆動に伴って放射線出射部11及び放射線検出部12と共に周方向に移動する。したがって、カッタヘッド3の回転位置に関わらず、放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍で固着した土砂を洗浄ノズル40の作動により除去することができ、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を分布的により正確に測定することができる。
【0037】
洗浄ノズル40に代えて、作業員の操作により作動してカッタヘッド3の背面から出没し土砂を除去する洗浄棒を固着土砂除去部としてもよい。
【0038】
洗浄ノズル40の作動時には、放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍には、洗浄ノズル40から噴出された液体が存在する。そのため、土砂性状測定器10は、洗浄ノズル40から噴出された液体を含む土砂の密度及び含水量を測定することになる。このような理由から、洗浄ノズル40の作動時に土砂性状測定器10による測定を停止するか、土砂性状測定器10により分布的に測定された密度及び含水量から、洗浄ノズル40の作動時に測定された密度及び含水量を除外してチャンバ2a内における土砂の密度及び含水量とすることが好ましい。
【0039】
同様に、洗浄ノズル40に代えて洗浄棒を固着土砂除去部とした場合において、洗浄棒の突出作動時には、放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍には、洗浄棒が存在する。そのため、土砂性状測定器10は、土砂の密度及び含水量を測定することができない。このような理由から、洗浄棒の突出作動時に土砂性状測定器10による測定を停止するか、土砂性状測定器10により分布的に測定された密度及び含水量から、洗浄棒の突出作動時に測定された密度及び含水量を除外してチャンバ2a内における土砂の密度及び含水量とすることが好ましい。
【0040】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0041】
掘削土性状測定装置100では、放射線出射部11及び放射線検出部12は、カッタヘッド3の背面を形成する背面部材3dに設けられる。そのため、放射線出射部11及び放射線検出部12は、カッタヘッド3の回転駆動に伴って周方向に移動する。したがって、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を周方向に分布的に測定することができる。また、カッタシャフト6aから径方向に所望の位置に放射線出射部11及び放射線検出部12を設けることができるため、所望の位置での土砂の密度及び含水量を分布的に測定することができる。
【0042】
掘削土性状測定装置100は、カッタヘッド3の回転位置を計測するカッタヘッド回転位置計測部20を備える。そのため、カッタヘッド3の回転位置は、土砂性状測定器10による土砂の密度及び含水量の測定と合わせてカッタヘッド回転位置計測部20により測定される。したがって、土砂の密度及び含水量が測定されたカッタヘッド3の回転位置を把握することができ、シールド掘進機1の掘進速度、カッタヘッド3の回転速度、スクリュコンベア7の回転速度及び添加剤の量といった、トンネルT1の掘進に必要な条件を適切に決定することができる。
【0043】
掘削土性状測定装置100は、放射線出射部11と放射線検出部12との間に設けられ、放射線を遮蔽する遮蔽部30を更に備える。そのため、チャンバ2a内を通らずに放射線出射部11から放射線検出部12に直線的に向かう放射線が遮られる。したがって、放射線出射部11から出射されチャンバ2a内で散乱した放射線を、放射線検出部12を用いてより正確に検出することができ、土砂性状測定器10の測定精度を高めることができる。
【0044】
掘削土性状測定装置100では、洗浄ノズル40は、カッタヘッド3に設けられる。そのため、洗浄ノズル40は、カッタヘッド3の回転駆動に伴って放射線出射部11と放射線検出部12と共に周方向に移動する。したがって、カッタヘッド3の回転位置に関わらず、洗浄ノズル40の作動により放射線出射部11と放射線検出部12の近傍で固着した土砂を除去することができ、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を分布的により正確に測定することができる。
【0045】
図3は、第1実施形態の変形例に係る掘削土性状測定装置101の概略図であり、図2に対応して示す。図3に示すように、掘削土性状測定装置101では、放射線検出部12は、第1突出部3bに設けられている。この形態であっても、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を周方向に分布的に測定することができる。
【0046】
掘削土性状測定装置101では、放射線出射部11と放射線検出部12との間を土砂が流動する。そのため、放射線出射部11から出射された放射線は、直線的にチャンバ内を透過して放射線検出部12に到達する。したがって、土砂性状測定器10として、透過型RI計器を用いることができる。そして、放射線出射部11から放射線検出部12に直線的に向かう放射線を遮る必要がないため、掘削土性状測定装置100における遮蔽部30(図2参照)が不要となる。
【0047】
図4は、第1実施形態の別の変形例に係る掘削土性状測定装置102の概略図であり、図2に対応して示す。図4に示すように、掘削土性状測定装置102では、放射線出射部11と放射線検出部12は、一体化されており、背面部材3dのザグリ穴3eに設けられている。この形態であっても、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を周方向に分布的に測定することができる。
【0048】
図5は、第1実施形態の更に別の変形例に係る掘削土性状測定装置103の概略図であり、図2に対応して示す。図6は、図5に示すVI-VI線に沿う断面図である。なお、図6では、背面部材3dの断面の図示を省略している。図5及び図6に示すように、掘削土性状測定装置103では、放射線検出部12は、放射線出射部11を中心に複数設けられる。そのため、放射線出射部11から出射された放射線は、複数の放射線検出部12により検出される。したがって、検出される放射線の総量を増加させることができ、土砂性状測定器10の測定精度をより高めることができる。
【0049】
掘削土性状測定装置103では、遮蔽部30は、放射線出射部11と、各放射線検出部12と、の間に設けられる。そのため、チャンバ2a内を通らずに放射線出射部11から放射線検出部12に直線的に向かう放射線が遮られる。したがって、放射線出射部11から出射されチャンバ2a内で散乱した放射線を、放射線検出部12を用いてより正確に検出することができ、土砂性状測定器10の測定精度をより高めることができる。
【0050】
なお、図6に示される例では、放射線検出部12は8個設けられているが、これに限定されない。放射線検出部12は2個以上であればよい。
【0051】
図示を省略するが、放射線出射部11が放射線検出部12を中心に複数設けられていてもよい。この場合、放射線検出部12は、複数の放射線出射部11から出射された放射線を検出する。したがって、検出される放射線の総量を増加させることができ、土砂性状測定器10の測定精度をより高めることができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る掘削土性状測定装置200について、図7を参照して説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。また、掘削土性状測定装置200を適用可能なシールド掘進機1の概略図は、図1に示されるシールド掘進機1の概略図と略同じであるため、図示を省略する。
【0053】
図7は、掘削土性状測定装置200の概略図であり、図2に対応して示す。図7に示すように、掘削土性状測定装置200は、隔壁4の前面からチャンバ2a内に突出して設けられる隔壁側突出部(固着土砂除去部)240を備えている。
【0054】
隔壁側突出部240は、カッタヘッド3の回転駆動に伴って放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍を通過する。そのため、放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍で固着した土砂は、隔壁側突出部240により除去される。したがって、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を分布的により正確に測定することができる。
【0055】
隔壁側突出部240が放射線出射部11と放射線検出部12との間を通過するときには、土砂性状測定器10は、土砂の密度及び含水量を測定することができない。そのため、隔壁側突出部240が放射線出射部11と放射線検出部12との間を通過するタイミングで土砂性状測定器10による測定を停止するか、土砂性状測定器10により分布的に測定された密度及び含水量から、隔壁側突出部240が放射線出射部11と放射線検出部12との間を通過したタイミングで測定された密度及び含水量を除外することが好ましい。隔壁側突出部240が放射線出射部11と放射線検出部12との間を通過するタイミングは、カッタヘッド回転位置計測部20(図1)により計測される回転位置から把握可能である。
【0056】
隔壁側突出部240は、隔壁4の前面から出没可能に設けられていてもよい。この場合には、放射線出射部11と放射線検出部12との間で土砂が固着したときだけ隔壁側突出部240を隔壁4の前面から突出させることができる。したがって、放射線出射部11と放射線検出部12との間で土砂が固着していない状態で隔壁側突出部240が放射線出射部11と放射線検出部12との間を通過するのを防ぐことができ、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量の分布をより正確に測定することができる。
【0057】
図示を省略するが、掘削土性状測定装置200において、洗浄ノズル40(図2参照)又は洗浄棒をカッタヘッド3に設け、隔壁側突出部240と洗浄ノズル40又は洗浄棒とを併用してもよい。
【0058】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る掘削土性状測定装置300について、図8を参照して説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。また、掘削土性状測定装置300を適用可能なシールド掘進機1の概略図は、図1に示されるシールド掘進機1の概略図と略同じであるため、図示を省略する。
【0059】
図8は、掘削土性状測定装置300の概略図であり、図2に対応して示す。図8に示すように、掘削土性状測定装置300は、隔壁4に設けられた開閉可能な開口4bを備えている。
【0060】
開口4bは、背面部材3dに臨む。より具体的には、開口4bは、カッタヘッド3の回転駆動に伴って放射線出射部11及び放射線検出部12が設けられた領域に臨む。そのため、作業者は、開口4bから放射線出射部11及び放射線検出部12に向けて不図示の治具を挿入することができる。したがって、放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍で固着した土砂を、治具を用いて除去することができ、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を分布的により正確に測定することができる。
【0061】
放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍で固着した土砂を除去する際には、まず、開口4bが放射線出射部11と放射線検出部12とが設けられた領域に臨む回転位置で、カッタヘッド3を停止する。この回転位置は、カッタヘッド回転位置計測部20(図1)により計測される回転位置から把握可能である。次に、開口4bを開け、治具を開口4bからチャンバ2a内に不図示の治具を挿入し、放射線出射部11及び放射線検出部12の近傍で固着した土砂を除去する。次に、治具を開口4bから抜くと共に開口4bを閉じる。その後、カッタヘッド3を回転駆動して、シールド掘進機1(図1)によるトンネルT1の掘進を再開する。
【0062】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る掘削土性状測定装置400について、図9を参照して説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。また、掘削土性状測定装置400を適用可能なシールド掘進機1の概略図は、図1に示されるシールド掘進機1の概略図と略同じであるため、図示を省略する。
【0063】
図9は、掘削土性状測定装置400の概略図であり、カッタヘッド3の内部から後方に掘削土性状測定装置400を見た断面図である。図9において、地山の掘削により生じる土砂をカッタヘッド3の後方に導くためにカッタヘッド3に設けられるカッタスリット3fが描かれている。
【0064】
図9に示すように、カッタスリット3fは、カッタシャフト6aを中心に放射状に延びて形成されている。放射線出射部11及び放射線検出部12は、カッタスリット3fを挟んで向かい合わせて設けられている。この形態であっても、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を周方向に分布的に測定することができる。
【0065】
掘削土性状測定装置400では、放射線出射部11と放射線検出部12との間を土砂が流動する。そのため、放射線出射部11から出射された放射線は、直線的にカッタスリット3fを透過して放射線検出部12に到達する。したがって、土砂性状測定器10として、透過型RI計器を用いることができる。そして、放射線出射部11から放射線検出部12に直線的に向かう放射線を遮る必要がないため、掘削土性状測定装置100における遮蔽部30(図2参照)が不要となる。
【0066】
本実施形態では、地山の掘削により生じる土砂がカッタスリット3fを通じて放射線出射部11と放射線検出部12との間に導かれる。そのため、放射線出射部11と放射線検出部12との間で土砂が固着することを防止することができ、また、放射線出射部11と放射線検出部12との間で固着した土砂を、カッタスリット3fを通じて導かれる土砂で除去することができる。したがって、チャンバ2aにおける土砂の密度及び含水量を分布的により正確に測定することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0068】
100,101,102,103,200,300,400・・・掘削土性状測定装置
1・・・シールド掘進機(回転掘削機)
2・・・胴体
3・・・カッタヘッド
3b・・・第1突出部
3c・・・第2突出部
3d・・・背面部材
4・・・隔壁
4b・・・開口
10・・・土砂性状測定器
11・・・放射線出射部
12・・・放射線検出部
20・・・カッタヘッド回転位置計測部
30・・・遮蔽部
40・・・洗浄ノズル(固着土砂除去部)
240・・・隔壁側突出部(固着土砂除去部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9