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  • 特開-半導体製造テープ用基材フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157921
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】半導体製造テープ用基材フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072591
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石本 享之
(72)【発明者】
【氏名】津守 千亜希
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA18
5F063EE02
5F063EE04
5F063EE05
5F063EE08
(57)【要約】
【課題】帯電防止性と剛性と応力緩和性に優れた半導体製造テープ用基材フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】
半導体製造テープ用基材フィルム1は、機能層2と、機能層2の少なくとも一方側に設けられた表面層3とを有し、機能層2は、1-ブテンのホモポリマーと、ペンテンのコポリマーと、オレフィン系エラストマーとを含み、表面層3は帯電防止剤を含む。機能層2の全体に対するオレフィン系エラストマーの含有量が0質量%超50質量%未満であり、表面層3の全体に対する帯電防止剤の含有量が0質量%超40質量%未満である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能層と、該機能層の少なくとも一方側に設けられた表面層とを有する半導体製造テープ用基材フィルムであって、
前記機能層は、1-ブテンのホモポリマーと、ペンテンのコポリマーと、オレフィン系エラストマーとを含み、
前記表面層は帯電防止剤を含み、
前記機能層の全体に対する前記オレフィン系エラストマーの含有量が0質量%超50質量%未満であり、
前記表面層の全体に対する前記帯電防止剤の含有量が0質量%超40質量%未満である
ことを特徴とする半導体製造テープ用基材フィルム。
【請求項2】
前記帯電防止剤が、プロピレン系樹脂と多価アルコールとのブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造テープ用基材フィルム。
【請求項3】
前記帯電防止剤が、ポリプロピレンとポリエチレングリコールとのブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体製造テープ用基材フィルム。
【請求項4】
前記オレフィン系エラストマーが、プロピレン系エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造テープ用基材フィルム。
【請求項5】
前記表面層は、密度が0.93g/cm以下である低密度ポリエチレンを少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体製造テープ用基材フィルム。
【請求項6】
前記表面層が、1-ブテンのホモポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体製造テープ用基材フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造テープ用基材フィルム(以下、単に「基材フィルム」という場合がある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップ等の半導体デバイスの製造方法としては、例えば、略円板形状の半導体ウエハ上に回路が形成されたウエハ回路を、ウエハ用の半導体製造テープ(ダイシングテープ)上でダイシングにより分割し、個々の半導体デバイスを得る方法が広く用いられている。そして、ダイシング後は、例えば、ダイシングテープを引き延ばして半導体デバイス間に隙間を形成した(すなわち、エキスパンド)後、各半導体デバイスがロボット等でピックアップされる。
【0003】
また、ウエハ用の半導体製造テープとして、上述のダイシングテープの粘着層上に接着層が積層されたダイシング・ダイアタッチフィルム(DDAF)が使用されており、ダイシング・ダイアタッチフィルム上でウエハ回路をダイシングにより分割後、ダイシング・ダイアタッチフィルムを引き延ばして半導体デバイス間に隙間を形成し、その後、粘着層を光硬化させて、接着層が接着された状態で半導体デバイスが粘着層から剥離されてピックアップされる。
【0004】
ここで、従来、半導体製造テープ用基材フィルムとして、塩化ビニル系の基材フィルムが使用されてきたが、環境負荷の低減、及び塩化物イオンや可塑剤がウエハへ移動することを回避するとの観点から、近年、塩化ビニル系の基材フィルムの代わりに、ポリオレフィン系の基材フィルムが使用されている。
【0005】
また、ICチップの薄膜化等により、ICチップを作製する際に静電気が発生しやすくなっており、当該静電気に起因して、ICチップにおけるウエハ回路が損傷する等の不都合を防止するために、ダイシングテープや基材フィルムに帯電防止性を付与することが求められている。
【0006】
より具体的には、例えば、エチレン系樹脂と、プロピレン系樹脂と、プロピレンと多価アルコールとのブロック共重合体とを含む樹脂組成物から形成されたダイシングテープ用基材フィルムが提案されている。そして、プロピレンと多価アルコールとのブロック共重合体により、帯電防止性を有するポリオレフィン系の基材フィルムを得ることができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2022/064949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載の基材フィルムは、帯電防止性を有するポリオレフィン系の基材フィルムではあるが、剛性および応力緩和性が不十分であるため、帯電防止性を有しつつ、塩化ビニル系の基材フィルムに代替することが可能な物性を有するポリオレフィン系の基材フィルムを得ることが困難であるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、帯電防止性と剛性と応力緩和性に優れた半導体製造テープ用基材フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の半導体製造テープ用基材フィルムは、機能層と、機能層の少なくとも一方側に設けられた表面層とを有し、機能層は、1-ブテンのホモポリマーと、ペンテンのコポリマーと、オレフィン系エラストマーとを含み、表面層は帯電防止剤を含み、機能層の全体に対するオレフィン系エラストマーの含有量が0質量%超50質量%未満であり、表面層の全体に対する帯電防止剤の含有量が0質量%超40質量%未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、帯電防止性と剛性と応力緩和性に優れた半導体製造テープ用基材フィルムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る半導体製造テープ用基材フィルムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の半導体製造テープ用基材フィルムについて具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して適用することができる。
【0014】
本発明の基材フィルムは、機能層(中間層)と、機能層の少なくとも一方側に設けられた表面層との積層体により構成された基材フィルムである。
【0015】
この多層構造を有する基材フィルムとしては、例えば、図1に示すように、機能層2と、機能層2の両面に積層された表面層3との積層体により構成され、表面層/機能層/表面層の順に積層された3層構造を有する基材フィルム1が挙げられる。
【0016】
機能層としては、1-ブテンのホモポリマーと、ペンテンのコポリマーと、オレフィン系エラストマーとを含有するものが挙げられる。
【0017】
<1-ブテンのホモポリマー>
本発明においては、ポリブテンとして、1-ブテンを単独で重合したホモポリマーが使用される。この1-ブテンのホモポリマーは、高分子量であって嵩高い側鎖を有しており、この嵩高い側鎖による強い分子間力により、結晶性高分子であるにも関わらず、非晶性の場合と同様に、基材フィルムの均一伸長性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明で使用する1-ブテンのホモポリマーは、重量平均分子量(Mw)が約50万~150万のものを使用することができる。
【0019】
なお、上記「重量平均分子量」とは、JIS K 7252-1:2016に準拠して算出されるものを言う。
【0020】
そして、本発明で使用する1-ブテンのホモポリマーは高分子量であるため、表面粘着性が低く、また、非晶性ポリオレフィンに比し、剛性が高いため、基材フィルムの製造工程において、基材の巻き出し、及び粘着剤の塗工を含むテープ化が可能な高い剛性を有する基材フィルムを提供することができる。
【0021】
以上より、基材フィルムを形成する樹脂として、1-ブテンのホモポリマーを使用することにより、基材フィルムの均一伸長性と剛性を向上させることができる。
【0022】
なお、均一伸長性と剛性を向上させるとの観点から、機能層2の全体に対する1-ブテンのホモポリマーの含有量は、機能層100質量%のうち、20質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0023】
<ペンテンのコポリマー>
本発明の基材フィルム1においては、エキスパンド後に半導体製造テープの寸法保持が可能な応力緩和性を向上させるとの観点から、機能層2が、ポリペンテンとしてペンテンのコポリマーを含有している。そして、このようなペンテンのコポリマーを使用することにより、基材フィルム1の応力緩和性が向上するため、グリップリングによる半導体製造テープの保持や、各半導体デバイス(半導体チップ)間の間隔を保持することが可能になる。
【0024】
このペンテンのコポリマーとしては、特に限定はされないが、室温付近にガラス転移温度を有しており、応力緩和性に優れ、かつコポリマー成分であるα-オレフィンにより柔軟性が良好である4-メチル-1-ペンテンとα-オレフィンの共重合体が好ましい。例えば、4-メチル-1-ペンテンとポリプロピレンの共重合体である三井化学社製の商品名「アブソートマー(登録商標)EP-1013」や三井化学社製の商品名「アブソートマー(登録商標)EP-1001」等が挙げられる。
【0025】
なお、4-メチル-1-ペンテンとポリプロピレンの共重合体を使用する場合、柔軟性と応力緩和性を向上させるとの観点から、4-メチル-1-ペンテンとポリプロピレンの共重合体の全体に対するポリプロピレンの含有量は、4-メチル-1-ペンテンとポリプロピレンの共重合体100モル%のうち、10モル%以上30モル%以下が好ましい。
【0026】
また、応力緩和性を向上させるとの観点から、機能層2の全体に対するペンテンのコポリマーの含有量は、機能層100質量%のうち、10質量%以上50質量%未満であることが好ましい。なお、ペンテンのコポリマーの含有量が50質量%以上の場合は、均一伸長性に寄与する1-ブテンのホモポリマーの含有量が減少するため、均一伸長性が低下する場合がある。
【0027】
また、機能層2の全体に対するペンテンのコポリマーの含有量は、機能層100質量%のうち、10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
【0028】
<オレフィン系エラストマー>
また、本発明の基材フィルム1においては、機能層2が、オレフィン系エラストマーを含有している。オレフィン系エラストマーは、JIS K 6200におけるエラストマーの用語の定義に準ずるオレフィン系材料で構成される。より具体的には、非晶性もしくは低結晶性のα-オレフィンの共重合体で構成される材料がオレフィン系エラストマーに該当し、ポリエチレンが主体となるものをエチレン系エラストマー、ポリプロピレンが主体となるものをプロピレン系エラストマーという。例えば、エチレン系エラストマーとしては、三井化学社製の商品名「タフマー(登録商標)」が該当し、プロピレン系エラストマーとしては、エクソンモービル社製の商品名「ビスタマックス(登録商標)」が該当する。
【0029】
なお、プロピレン系エラストマーを使用する場合は、柔軟性を向上させるとの観点から、プロピレン系エラストマーの全体に対するポリエチレンの含有量は、プロピレン系エラストマー100%のうち、9%以上30%以下である。
【0030】
そして、このようなオレフィン系エラストマーを使用することにより、結晶化度が低下し、降伏点の発生を抑制することができるため、基材フィルムの均一伸長性を向上させることができる。
【0031】
また、均一伸長性を向上させるとの観点から、機能層2の全体に対するオレフィン系エラストマーの含有量は、機能層100質量%のうち、0質量%超50質量%未満である。オレフィン系エラストマーの含有量が50質量%以上場合は、結晶化度が低いオレフィン系エラストマー成分が過剰となるため、剛性が低下して、基材の巻き出し、及び粘着剤の塗工を含むテープ化が困難になる場合がある。
【0032】
なお、機能層2の全体に対するオレフィン系エラストマーの含有量は、機能層100質量%のうち、10質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0033】
また、均一伸長性をより一層向上させるとの観点から、オレフィン系エラストマーの密度は、0.850~0.900g/cmであることが好ましく、0.860~0.890g/cmであることがより好ましい。
【0034】
次に、本発明の基材フィルム1における表面層3について説明する。表面層3としては、帯電防止剤を含有するとともに、上述の1-ブテンのホモポリマーや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を含有するものが挙げられる。
【0035】
そして、1-ブテンのホモポリマーは、高分子量であるにも関わらず、汎用の押出機で成形が可能であり、高分子量成分によりフィルムの表面粘着性が低いため、表面層において使用した場合、基材フィルムを搬送する際の搬送ロールへの粘着を抑制することができるとともに、基材フィルムの巻き取りを行う際のブロッキング、及び基材フィルムを成形する際のドローレゾナンスを抑制することができ、基材フィルムの加工安定性を向上させることができる。
【0036】
また、表面粘着性を抑制するとの観点から、表面層3(すなわち、機能層2の両面に積層された表面層3の各々)の全体に対する1-ブテンのホモポリマーの含有量は、表面層100質量%のうち、0質量%超30質量%以下であることが好ましい。
【0037】
また、ポリプロピレンとしては、例えば、ポリプロピレンのホモポリマーやコポリマーが挙げられる。このうち、ポリプロピレンのホモポリマーは、プロピレンを単独で重合したホモポリプロピレンであり、このポリプロピレンのホモポリマーは、立体規則性が高く、融点に寄与する結晶化度が大きいため、耐熱性に優れている。また、結晶化度が大きいため、剛性が大きいが、後述の直鎖状低密度ポリエチレンと混合することで、基材フィルムのエキスパンド性に寄与する柔軟性を得ることができる。
【0038】
<低密度ポリエチレン>
表面層3は、ポリオレフィン系樹脂のうち、密度が0.930g/cm以下である低密度ポリエチレン(LDPE)を含んでいることが好ましい。密度が0.930g/cm以下の場合は、結晶化度の過度な上昇を抑制して柔軟性が向上するため、基材フィルムの等方性を向上させることができる。なお、密度が0.930g/cmよりも大きい場合は、結晶化度が過度に上昇するため、等方性が低下する場合があり、また、剛性が大きくなり過ぎるため、半導体デバイスのピックアップ性が低下し、半導体デバイスが破損する場合がある。
【0039】
また、加工安定性を向上させるとの観点から、低密度ポリエチレンの密度は、0.860g/cm以上であることが好ましく、0.880g/cm以上であることがより好ましい。
【0040】
すなわち、密度が0.860g/cm以上0.93g/cm以下である低密度ポリエチレンは、表面粘着性が低いため、表面層において使用した場合、基材フィルムを搬送する際の搬送ロールへの粘着を抑制することができるとともに、基材フィルムの巻き取りを行う際のブロッキングを抑制することができ、基材フィルムの加工安定性を向上させることができる。
【0041】
また、表面粘着性を抑制するとの観点から、表面層3(すなわち、機能層2の両面に積層された表面層3の各々)における1-ブテンのホモポリマーの含有量と、低密度ポリエチレンの含有量の割合は、1-ブテンのホモポリマー:低密度ポリエチレン=0:100~30:70であることが好ましい。
【0042】
また、低密度ポリエチレンのうち、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、高密度ポリエチレンの直鎖構造に側鎖分岐を有しているため、高密度ポリエチレンと比較して、結晶化度が高くなり過ぎず、柔軟性に優れている。
【0043】
なお、強度の点から、メタロセン系触媒またはチグラー触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンを使用してもよい。
【0044】
また、直鎖状低密度ポリエチレンのメルトマスフローレート(MFR)は、0.5~7.5g/10分であることが好ましく、1.0~6.0g/10分がより好ましく、2.0~5.0g/10分がさらに好ましい。メルトマスフローレート(MFR)が0.5g/10分以上の場合は、分子量が大き過ぎず、柔軟性と加工性を向上させることができるためであり、7.5g/10分以下の場合は、分子量が小さ過ぎず、加工安定性を向上させることができるためである。
【0045】
なお、上記のメルトマスフローレートは、JIS K7210:1999の規定に準拠して測定することで得られる。
【0046】
以上より、基材フィルムを形成する樹脂として、密度が0.93g/cm以下である低密度ポリエチレンを使用することにより、基材フィルムの柔軟性と等方性を向上させることができる。
【0047】
なお、表面粘着性を抑制するとの観点から、表面層3(すなわち、機能層2の両面に積層された各表面層3)の全体に対する低密度ポリエチレンの含有量は、表面層100質量%のうち、40質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
【0048】
<帯電防止剤>
本発明の基材フィルム1においては、基材フィルム1に帯電防止性を付与するとの観点から、表面層3が帯電防止剤を含有している。
【0049】
この帯電防止剤としては、例えば、プロピレン系樹脂と多価アルコールとのブロック共重合体、低分子量の界面活性剤、カーボンブラック等のフィラー等が挙げられる。なお、これらの帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
また、このうち、半永久的な帯電防止性を付与するとの観点から、帯電防止剤として、高分子型の帯電防止剤であるプロピレン系樹脂と多価アルコールとのブロック共重合体を使用することが好ましい。
【0051】
プロピレン系樹脂と多価アルコールとのブロック共重合体は、プロピレンに由来する構成単位を含有するプロピレン重合体のセグメントと、多価アルコールに由来する構成単位を含有する多価アルコール重合体のセグメントとを有するブロック共重合体である。
【0052】
このプロピレン系樹脂と多価アルコールとのブロック共重合体は、多価アルコールのポリエーテルの連続相(ソフトセグメント相)が帯電防止性の発現に寄与するとともに、プロピレン系樹脂のハードセグメント相が表面層を形成する樹脂への分散性の向上と当該樹脂における強度の発現に寄与する構造を有している。
【0053】
プロピレン重合体のセグメントは、プロピレンを単独で重合したホモポリプロピレンの重合体のセグメントや、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体のセグメントを挙げることができる。
【0054】
また、多価アルコールの重合体セグメントを構成する多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(トリメチレングリコール)、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。
【0055】
また、プロピレン系樹脂と多価アルコールとのブロック共重合体としては、例えば、ペレスタット230(三洋化成社製、プロピレン重合体のセグメントとポリエチレングリコールのセグメントとを有するブロック共重合体)や、ペレクトロンPVL(三洋化成社製、プロピレン重合体のセグメントとポリエチレングリコールのセグメントを有するブロック共重合体)等の市販品を使用することができる。
【0056】
また、帯電防止性と剛性を向上させるとの観点から、本発明の基材フィルム1においては、表面層3(すなわち、機能層2の両面に積層された表面層3の各々)の全体に対する帯電防止剤の含有量は、表面層100質量%のうち、0質量%超40質量%未満である。なお、帯電防止剤の含有量は、表面層100質量%のうち、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
【0057】
以上より、本発明の基材フィルム1は、表面層3において帯電防止剤を含有しているため、静電気に起因して、ICチップにおけるウエハ回路が損傷する等の不都合を防止することができる。従って、ウエハの生産性を向上することが可能になる。
【0058】
<基材フィルム>
本発明の基材フィルム1においては、基材フィルムの機械軸(長手)方向(以下、「MD」という。)及び、これと直交する方向(以下、「TD」という。)における応力(20%伸長時)が6.5MPa以上20MPa以下であることが好ましく、7.5MPa以上15MPa以下であることがより好ましく、8MPa以上13MPa以下であることがさらに好ましい。応力が20MPaよりも大きい場合は、剛性が大きくなり過ぎるため、半導体デバイスのピックアップ性が低下し、半導体デバイスが破損する場合があり、応力が6.5MPa未満の場合は、剛性が低くなるため、基材フィルムの製造工程において、基材の巻き出しが困難になるとともに、粘着剤の塗工を含むテープ化が困難になる場合がある。
【0059】
すなわち、MD、及びTDにおける応力(20%伸長時)が6.5MPa以上20MPa以下の場合、基材フィルムの製造工程において、基材の巻き出し、及び粘着剤の塗工を含むテープ化が可能な剛性に優れた基材フィルムを提供することができる。
【0060】
また、従来のポリオレフィンを含有する基材フィルムの場合、基材フィルムを20%伸長させた時点ではネッキングは発生せず、均一にエキスパンドできるが、基材フィルムを40%伸長させた時点からネッキングが発生し始め、均一なエキスパンドが困難となる問題があった。
【0061】
そのため、本発明の基材フィルム1においては、基材フィルムの均一伸長性を向上させるとの観点から、MD、及びTDにおいて、応力(20%伸長時)に対する応力(40%伸長時)の比(すなわち、基材フィルムの伸び率)が、0.95以上2以下であることが好ましい。基材フィルムの伸び率が2よりも大きい場合は、過剰な応力増大に伴い、エキスパンドリングの保持が困難になる場合があり、基材フィルムの伸び率が0.95未満の場合は、ネッキングが発生して、均一なエキスパンドが困難になる場合がある。
【0062】
すなわち、基材フィルムの伸び率が、0.95以上2以下であれば、ネッキングが発生せず、均一なエキスパンドが可能になる。
【0063】
なお、基材フィルムの伸び率が1.05以上1.8以下であることがより好ましく、ネッキングが発生せず、均一なエキスパンドを確実に可能にするとの観点から、基材フィルムの伸び率が1.1以上1.7以下であることがさらに好ましい。
【0064】
また、本発明の基材フィルム1においては、基材フィルムの均一伸長性をより一層向上させるとの観点から、MD、及びTDにおいて、応力(40%伸長時)に対する応力(5%伸長時)の比が、1.05未満であることが好ましい。応力(40%伸長時)に対する応力(5%伸長時)の比が1.05未満であれば、後述の降伏点(引張速度が300mm/分の条件下で、伸長割合が0%から100%まで伸長する間の降伏点)の発生を抑制することができるため、ネッキングの発生を抑制して、均一なエキスパンドが可能になる。
【0065】
なお、応力(40%伸長時)に対する応力(5%伸長時)の比が、0.40以上1.05未満であることがより好ましく、ネッキングの発生を防止して、均一なエキスパンドを確実に可能にするとの観点から、応力(40%伸長時)に対する応力(5%伸長時)の比が、0.50以上0.90未満であることがさらに好ましい。
【0066】
また、本発明の基材フィルム1においては、応力緩和率が25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることがさらに好ましい。応力緩和率が25%未満の場合は、応力の吸収性能に乏しいため、半導体製造テープの寸法保持が困難になる場合がある。
【0067】
すなわち、応力緩和率が25%以上の場合、半導体製造テープの寸法保持が可能となり、応力緩和性に優れた半導体製造テープ用基材フィルムを提供することができる。
【0068】
なお、ここでいう「応力緩和率」は、後述の実施例において記載した方法で求めることができる。
【0069】
また、エキスパンド時における基材フィルムの等方性により、弛みの発生を抑制するとの観点から、TDにおける応力(20%伸長時)に対するMDにおける応力(20%伸長時)の比(すなわち、20%伸長時における基材フィルムの応力比)が、0.8以上1.3以下であることが好ましく、0.85以上1.15以下がより好ましく、0.9以上1.1以下であることがさらに好ましい。
【0070】
また、本発明の基材フィルム1においては、表面抵抗率が1.00×1013Ω/□以下であることが好ましく、1.00×1011Ω/□以下であることがより好ましく、1.00×1010Ω/□以下であることがさらに好ましい。表面抵抗率が1.00×1013Ω/□よりも大きいの場合は、ウエハのダイシングを行う際に、基材フィルムが帯びる静電気により、ICチップにおけるウエハ回路に損傷を与える場合がある。
【0071】
すなわち、表面抵抗率が1.00×1013Ω/□以下の場合、静電気に起因して、ICチップにおけるウエハ回路が損傷するという不都合を防止することができる。
【0072】
なお、ここでいう「表面抵抗率」は、JIS K6911:2006の規定に準拠して測定することで得られ、後述の実施例において記載した方法で求めることができる。
【0073】
本発明の基材フィルム1の厚みは、50~300μmが好ましく、80~150μmがより好ましい。基材フィルムの厚みが50μm以上であれば、ハンドリング性が向上し、厚みが300μm以下であれば、柔軟性(エキスパンド性)を向上させることができる。なお、ウエハ用の基材フィルムの場合は、基材フィルムの厚みが50~150μmが好ましく、70~110μmがより好ましい。
【0074】
また、例えば、表面層/機能層/表面層の順に積層された3層構造を有する基材フィルムの場合、表面層の厚みは特に限定されないが、2~60μmが好ましく、4~40μmがより好ましい。また、機能層の厚みは特に限定されないが、40~120μmが好ましく、50~80μmがより好ましい。
【0075】
また、例えば、表面層/機能層/表面層の順に積層された3層構造を有する基材フィルムの場合、加工性と低コストの観点から、基材フィルム全体に対する機能層の比率は40~95%が好ましく、50~90%がより好ましい。
【0076】
<製造方法>
例えば、図1に示す、表面層/機能層/表面層の順に積層された3層構造を有する基材フィルム1を製造する場合、まず、表面層形成用の樹脂材料と、機能層形成用の樹脂材料とを用意する。
【0077】
次に、Tダイを備える三種三層用の共押出機を用い、表面層形成用の樹脂材料および機能層形成用の樹脂材料を所定の温度で同時に押し出して成形することにより、機能層2と、当該機能層2の両面に積層された表面層3との積層体により構成された本発明の多層構造を有する基材フィルム1が製造される。なお、公知のカレンダー法やインフレーション法により、本発明の基材フィルムを製造してもよい。
【0078】
<他の形態>
本発明の基材フィルム1には、各種添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、半導体製造テープに通常用いられる公知の添加剤を用いることができ、例えば、架橋助剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、着色剤、結晶核剤、加工助剤等が挙げられる。なお、これらの添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
また、架橋助剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ、基材フィルムが架橋助剤を含有する場合、基材フィルム中の架橋助剤の含有量は、基材フィルムを形成する樹脂100質量部に対して、0.05~5質量部が好ましく、1~3質量部がより好ましい。
【0080】
また、表面層/機能層/表面層の順に積層された3層構造を有する基材フィルムを例に挙げて説明したが、本発明の多層構造を有する基材フィルムは、上述の機能層が設けられていればよく、3層構造に限定されず、例えば、表面層/機能層/機能層/機能層/表面層の順に積層された5層構造を有する基材フィルムであってもよい。
【実施例0081】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0082】
基材フィルムの作製に使用した材料を以下に示す。
(1)LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン、融点:121℃、密度:0.922g/cm、MFR:1.6g/10分
(2)1-Bu:1-ブテンのホモポリマー、融点:128℃、密度:0.920g/cm、MFR:0.5g/10分
(3)帯電防止剤1:プロピレン重合体のセグメントとポリエチレングリコールのセグメントを有するブロック共重合体、融点:135℃、密度:1.1g/cm、MFR:15.0g/10分
(4)帯電防止剤2:プロピレン重合体のセグメントとポリエチレングリコールのセグメントを有するブロック共重合体、融点:163℃、密度:1.1g/cm、MFR:12.0g/10分
(5)帯電防止剤3:プロピレン重合体のセグメントとポリエチレングリコールのセグメントを有するブロック共重合体、融点:150℃、密度:1.1g/cm、MFR:8.0g/10分、(三洋化成社製、商品名:ペレクトロンPVH)
(6)PPエラストマー:プロピレン系エラストマー、密度:0.862g/cm、MFR:3.0g/10分(230℃)、ポリエチレン含有率:16%(エクソンモービル社製、商品名:ビスタマックス(登録商標) 6102FL)
(7)ペンテンのコポリマー:4-メチル-1-ペンテンとポリプロピレンの共重合体、融点:130℃、密度:0.838g/cm、MFR:10.0g/10分、4-メチル-1-ペンテン含有率85mol%、ポリプロピレン含有率15mol%
(8)EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体、融点:100℃、密度:0.925g/cm、MFR:2.5g/10分(東ソー社製、商品名:ウルトラセン515)
【0083】
(実施例1)
<基材フィルムの作製>
まず、表1に示す各材料をブレンドして、表1に示す組成(質量部)を有する表面層形成用の樹脂材料と機能層形成用の樹脂材料を用意した。
【0084】
次に、Tダイを備える三種三層用の共押出機を用い、表面層形成用の樹脂材料および機能層形成用の樹脂材料を、ダイス温度が180~230℃、チルロール温度が30℃の条件で同時に押出して成形することにより、表1に示す厚みを有するとともに、表面層/機能層/表面層の順に積層された3層構造を有する基材フィルムを得た。
【0085】
<降伏点の有無の評価>
作製した基材フィルムを用いて、JIS K7161-2:2014に準拠して、測定用のサンプルを得た。次に、得られた測定用サンプルを、つかみ具間が40mmとなるように引張試験機(島津製作所社製,商品名:AG-5000A)にセットし、JIS K7161-2:2014に準拠して、温度が23℃、相対湿度が40%の環境下において、300mm/分の引張速度で引張試験を行った。
【0086】
そして、MD及びTDのS-Sカーブ(応力-歪曲線)において、伸長割合が0%から100%まで伸長する間に降伏点が確認されなかったもの(ネッキングが発生せず、均一なエキスパンドが確実に可能なもの)を◎、伸長割合が0%から100%まで伸長する間に殆ど降伏点が確認されなかったもの(ネッキングの発生を抑制して、ほぼ均一なエキスパンドが可能なもの)を〇、及び降伏点が確認されたもの(ネッキングが発生し、均一なエキスパンドが不可能なもの)を×とした。以上の結果を表1に示す。
【0087】
<MD、及びTDにおける応力の測定>
作製した基材フィルムを用いて、JIS K7161-2:2014に準拠して、測定用のサンプルを得た。次に、得られた測定用サンプルを、つかみ具間が40mmとなるように引張試験機(島津製作所社製,商品名:AG-5000A)にセットし、JIS K7161-2:2014に準拠して、温度が23℃、相対湿度が40%の環境下において、引張速度300mm/分にて引張試験を行った。
【0088】
そして、基材フィルムのMD、及びTDにおける、20%伸長時の応力(20%応力)を測定するとともに、TDにおける応力(20%伸長時)に対するMDにおける応力(20%伸長時)の比(すなわち、20%伸長時における基材フィルムの応力比)を算出した。以上の結果を表1に示す。
【0089】
また、同様に、基材フィルムのMD、及びTDにおける、40%伸長時の応力(40%応力)を測定するとともに、MDにおける、応力(20%伸長時)に対する応力(40%伸長時)の比(すなわち、MDにおける基材フィルムの伸び率)と、TDにおける、応力(20%伸長時)に対する応力(40%伸長時)の比(すなわち、TDにおける基材フィルムの伸び率)を算出した。以上の結果を表1に示す。
【0090】
また、同様に、基材フィルムのMD、及びTDにおける、5%伸長時の応力(5%応力)を測定するとともに、MDにおける、応力(40%伸長時)に対する応力(5%伸長時)の比と、TDにおける、応力(40%伸長時)に対する応力(5%伸長時)の比を算出した。以上の結果を表1に示す。
【0091】
<応力緩和率の算出>
作製した基材フィルムを用いて、1号ダンベル形状(幅10mm、長さ120mm)を有する測定用のサンプルを得た。次に、得られた測定用サンプルを、つかみ具間が80mmとなるように引張試験機(島津製作所社製,商品名:AG-5000A)にセットし、温度が23℃、相対湿度が40%の環境下において、引張速度300mm/分にて、サンプルをMD(またはTD)に25%伸長させた。
【0092】
そして、25%伸長させた際の応力(初期応力S)を計測するとともに、そのまま試験片の伸長を60秒間保持し、60秒後の応力(緩和後応力S)を計測した。そして、下記式(1)を用いて、上述の初期応力Sと緩和後応力Sの差から、基材フィルムのMD、及びTDにおける応力緩和率[%]を算出した。以上の結果を表1に示す。
【0093】
[数1]
応力緩和率[%]=[(初期応力S-緩和後応力S)/初期応力S]×100 (1)
【0094】
<表面抵抗率の測定>
JIS K6911:2006の規定に準拠して、作製した基材フィルムの表面抵抗率を測定した。より具体的には、まず、作製した基材フィルムを用いて、A4サイズ(幅210mm、長さ297mm)の測定用のサンプルを得た。次に、高抵抗率計(日東精工アナリテック社製、商品名:ハイレスタUX)を用いて、得られた測定用サンプルの表面抵抗率を測定した。なお、サンプルにプローブを押し当てた状態で、1000Vの印加電圧を加え、10秒間保った際の表面抵抗率を測定した。以上の結果を表1に示す。
【0095】
(実施例2~9、比較例2~4)
樹脂成分の組成を、表1、表2に示す組成(質量部)に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表1、表2に示す厚みを有するとともに、表面層/機能層/表面層の順に積層された3層構造を有する基材フィルムを作製した。
【0096】
そして、上述の実施例1と同様にして、降伏点の有無の評価、MD、及びTDにおける応力の測定、応力緩和率の算出、及び表面抵抗率の測定を行った。以上の結果を表1、表2に示す。
【0097】
(比較例1)
まず、表2に示す各材料をブレンドして、表2に示す組成(質量部)を有する表面層形成用の樹脂材料を用意した。
【0098】
次に、Tダイを備える三種三層用の共押出機を用い、表面層形成用の樹脂材料を、ダイス温度が180~230℃、チルロール温度が30℃の条件で押出して成形することにより、表2に示す厚みを有するとともに、表面層のみからなる単層構造を有する基材フィルムを得た。
【0099】
そして、上述の実施例1と同様にして、降伏点の有無の評価、MD、及びTDにおける応力の測定、応力緩和率の算出、及び表面抵抗率の測定を行った。以上の結果を表1、表2に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
表1に示すように、機能層が、1-ブテンのホモポリマーと、ペンテンのコポリマーと、オレフィン系エラストマーとを含み、機能層の全体に対するオレフィン系エラストマーの含有量が0質量%超50質量%未満(20質量%以上30質量%以下)である実施例1~9の基材フィルムにおいては、MD、及びTDにおける応力(20%伸長時)が6.5MPa以上20MPa以下であるため、剛性に優れていることが分かる。また、応力緩和率が25%以上であるため、応力緩和性に優れていることが分かる。
【0103】
また、表1に示すように、表面層が、帯電防止層を含み、表面層の全体に対する帯電防止剤の含有量が0質量%超40質量%未満(5質量%以上25質量%以下)である実施例1~9の基材フィルムにおいては、表面抵抗率が1.00×1013Ω/□以下であるため、帯電防止性に優れていることが分かる。
【0104】
一方、表2に示すように、比較例1の基材フィルムにおいては、機能層に、1-ブテンのホモポリマーと、ペンテンのコポリマーと、オレフィン系エラストマーが含まれていないため、MD、及びTDにおける応力(20%伸長時)が6.5MPa未満となり、剛性に乏しいことが分かる。また、応力緩和率が25%未満であるため、応力緩和性に乏しいことが分かる。
【0105】
また、表2に示すように、比較例2の基材フィルムにおいては、表面層の全体に対する帯電防止剤の含有量が40質量%であり、軟質の帯電防止剤の含有量が過大となるため、TDにおける応力(20%伸長時)が6.5MPa未満となり、剛性に乏しいことが分かる。
【0106】
また、表2に示すように、比較例3の基材フィルムにおいては、機能層の全体に対するオレフィン系エラストマーの含有量が50質量%であるため、MD、及びTDにおける応力(20%伸長時)が6.5MPa未満となり、剛性に乏しいことが分かる。
【0107】
また、表2に示すように、比較例4の基材フィルムにおいては、表面層に帯電防止剤が含まれていないため、表面抵抗率が1.00×1013Ω/□よりも大きくなり、帯電防止性に乏しいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本発明は、半導体製造テープ用基材フィルムに適している。
【符号の説明】
【0109】
1 基材フィルム
2 機能層
3 表面層
図1