(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157934
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20241031BHJP
B25B 23/18 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
B25B23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072612
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 崇陽
【テーマコード(参考)】
3C038
3C064
【Fターム(参考)】
3C038DA06
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA04
3C064AA05
3C064AA06
3C064AA08
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC03
3C064BA13
3C064BA14
3C064BB52
3C064BB83
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA29
3C064CA53
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB11
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB62
3C064CB73
3C064CB83
(57)【要約】
【課題】電動工具の作業の対象物に対する光の照射条件を変更すること。
【解決手段】電動工具は、モータと、モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備える。トリガスイッチの引き量に連動してライトが移動する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、
前記減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、
前記モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、
前記工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備え、
前記トリガスイッチの引き量に連動して前記ライトが移動する、
電動工具。
【請求項2】
前記ライトの移動により、対象物への光の照射範囲が変化する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記ライトの前方に配置され、光を透過する光透過部を有するカバーを備え、
前記ライトは、前記カバーに対して前後方向に移動する、
請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記トリガスイッチが後方に引かれると、前記ライトは、後方に移動する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項5】
前記光透過部は、前記ライトから射出された光が透過する凸レンズを含む、
請求項3に記載の電動工具。
【請求項6】
前記ライトの前方に配置され、光を透過する光透過部を有するカバーを備え、
前記ライトは、前記カバーに対して傾斜方向に移動する、
請求項2に記載の電動工具。
【請求項7】
前記トリガスイッチが後方に引かれると、前記ライトは、斜め下方を向くように傾斜する、
請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記トリガスイッチと前記ライトとを連結する連結部材を備える、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項9】
前記ライトは、基板と、前記基板の前面に搭載される発光素子と、を含み、
前記連結部材は、前記トリガスイッチと前記基板とを連結する、
請求項8に記載の電動工具。
【請求項10】
モータと、
前記モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、
前記減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、
前記モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、
前記工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備え、
前記トリガスイッチの引き量に連動して対象物への光度が変化する、
電動工具。
【請求項11】
前記トリガスイッチが後方に引かれると、前記光度が低下する、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
前記トリガスイッチの引き量に連動して前記光度を変化させるコントローラを備える、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項13】
モータと、
前記モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、
前記減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、
前記モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、
前記工具保持部の前方に光を照射するライトと、
前記ライトの前方に配置され、光を透過する光透過部を有するカバーと、を備え、
前記トリガスイッチの引き量に連動して前記カバーが移動する、
電動工具。
【請求項14】
前記カバーの移動により、対象物への光の照射範囲が変化する、
請求項13に記載の電動工具。
【請求項15】
前記トリガスイッチが後方に引かれると、前記カバーは、前方に移動する、
請求項13に記載の電動工具。
【請求項16】
前記光透過部は、前記ライトから射出された光が透過する凸レンズを含む、
請求項14に記載の電動工具。
【請求項17】
前記トリガスイッチと前記カバーとを連結する連結部材を備える、
請求項13に記載の電動工具。
【請求項18】
モータと、
前記モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、
前記減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、
前記モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、
前記工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備え、
前記トリガスイッチの引き量に連動して対象物への光の照射範囲が変化する、
電動工具。
【請求項19】
前記照射範囲の大きさが変化する、
請求項18に記載の電動工具。
【請求項20】
前記照射範囲の位置が変化する、
請求項18に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような電動工具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インパクトドライバ又はスクリュードライバのようなねじ締め用の電動工具を用いてねじ締め作業を実施する場合、作業者は、電動工具の先端部に装着されたドライバビットをねじの駆動部に挿入した後、電動工具のトリガスイッチを引き操作してドライバビットを回転させる。電動工具に設けられているライトで対象物に光を照射しながら作業を実施する場合、例えばドライバビットをねじの駆動部に挿入するまでの期間と、ドライバビットを回転させる期間とで、光の照射条件を変更したいというニーズがある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、電動工具の作業の対象物に対する光の照射条件を変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動工具を開示する。電動工具は、モータと、モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備えてもよい。トリガスイッチの引き量に連動してライトが移動してもよい。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、電動工具の作業の対象物に対する光の照射条件を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電動工具を示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る電動工具を示す側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る電動工具を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る電動工具の上部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るライトユニットを示す前方からの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るライトユニットを示す前方からの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るライトユニットを示す後方からの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るカバーを示す前方からの斜視図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るカバーを前方から見た図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るカバーを後方から見た図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るカバーを示す縦断面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るカバーを示す横断面図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係るライトユニットを示す前方からの分解斜視図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係るライトユニットを示す後方からの分解斜視図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係るライトユニットを示す前方からの分解斜視図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係るライトユニットを示す後方からの分解斜視図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態に係るカバーを示す縦断面図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態に係るカバーを示す横断面図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【
図24】
図24は、第3実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【
図25】
図25は、第4実施形態に係るライトユニットを示す前方からの分解斜視図である。
【
図26】
図26は、第4実施形態に係るライトユニットを示す後方からの分解斜視図である。
【
図27】
図27は、第4実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【
図28】
図28は、第4実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備えてもよい。トリガスイッチの引き量に連動してライトが移動してもよい。
【0010】
上記の構成では、トリガスイッチの引き量に連動してライトが移動するので、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、光の照射条件を変更することができる。作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を容易に変更することができる。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ライトの移動により、対象物への光の照射範囲が変化してもよい。
【0012】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の照射範囲を容易に変更することができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ライトの前方に配置され、光を透過する光透過部を有するカバーを備えてもよい。ライトは、カバーに対して前後方向に移動してもよい。
【0014】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の大きさを容易に変更することができる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、トリガスイッチが後方に引かれると、ライトは、後方に移動してもよい。
【0016】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチの引き量を調整することにより、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を調整することができる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光透過部は、ライトから射出された光が透過する凸レンズを含んでもよい。
【0018】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の大きさを容易に変更することができる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ライトの前方に配置され、光を透過する光透過部を有するカバーを備えてもよい。ライトは、カバーに対して傾斜方向に移動してもよい。
【0020】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の位置を容易に変更することができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、トリガスイッチが後方に引かれると、ライトは、斜め下方を向くように傾斜してもよい。
【0022】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の位置を容易に変更することができる。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、トリガスイッチとライトとを連結する連結部材を備えてもよい。
【0024】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトを移動させることができる。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ライトは、基板と、基板の前面に搭載される発光素子と、を含んでもよい。連結部材は、トリガスイッチと基板とを連結してもよい。
【0026】
上記の構成では、トリガスイッチに連動して基板が移動されることにより、発光素子が移動される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備えてもよい。トリガスイッチの引き量に連動して対象物への光度が変化してもよい。
【0028】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、対象物への光の光度を変化させることができる。作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさを容易に変更することができる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、トリガスイッチが後方に引かれると、光度が低下してもよい。
【0030】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、対象物への光の光度を低下させることができる。例えばドライバビットの回転中に、作業者が眩しさを感じることが抑制される。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、トリガスイッチの引き量に連動して光度を変化させるコントローラを備えてもよい。
【0032】
上記の構成では、トリガスイッチの引き量に基づいて、コントローラにより光の光度が調整される。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、工具保持部の前方に光を照射するライトと、ライトの前方に配置され、光を透過する光透過部を有するカバーと、を備えてもよい。トリガスイッチの引き量に連動して前記カバーが移動してもよい。
【0034】
上記の構成では、トリガスイッチの引き量に連動してカバーが移動するので、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、光の照射条件を変更することができる。作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を容易に変更することができる。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、カバーの移動により、対象物への光の照射範囲が変化してもよい。
【0036】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の照射範囲に容易に変更することができる。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、トリガスイッチが後方に引かれると、カバーは、前方に移動してもよい。
【0038】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチの引き量を調整することにより、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を調整することができる。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光透過部は、ライトから射出された光が透過する凸レンズを含んでもよい。
【0040】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の大きさを容易に変更することができる。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、トリガスイッチとカバーとを連結する連結部材を備えてもよい。
【0042】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、カバーを移動させることができる。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、モータの回転を減速し、出力する減速機構部と、減速機構部から減速させた出力で駆動する工具保持部と、モータの回転数を選択できるトリガスイッチと、工具保持部の前方に光を照射するライトと、を備えてもよい。トリガスイッチの引き量に連動して対象物への光の照射範囲が変化してもよい。
【0044】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、光の照射範囲を変化させることができる。作業者は、トリガスイッチを引き操作するだけで、ライトから対象物に照射される光の照射範囲を容易に変更することができる。
【0045】
1つ又はそれ以上の実施形態において、照射範囲の大きさが変化してもよい。
【0046】
上記の構成では、トリガスイッチを引き操作するだけで、光の照射範囲の大きさが変化するので、例えば、ドライバビットをねじの駆動部に挿入するまでの期間とドライバビットを回転させる期間とで、光の照射範囲の大きさを変更することができる。
【0047】
1つ又はそれ以上の実施形態において、照射範囲の位置が変化してもよい。
【0048】
上記の構成では、トリガスイッチを引き操作するだけで、光の照射範囲の位置が変化するので、例えば、ドライバビットをねじの駆動部に挿入するまでの期間とドライバビットを回転させる期間とで、光の照射範囲の位置を変更することができる。
【0049】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動工具の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0050】
[第1実施形態]
<電動工具>
図1は、本実施形態に係る電動工具1を示す前方からの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電動工具1を示す側面図である。
図3は、本実施形態に係る電動工具1を示す断面図である。
図4は、本実施形態に係る電動工具1の上部を示す断面図である。
【0051】
本実施形態において、電動工具1は、動力源として電動のモータ6を有する電動工具である。モータ6の回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。本実施形態において、回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。
【0052】
本実施形態において、電動工具1は、ねじ締め用の電動工具の一種であるインパクトドライバである。本実施形態において、電動工具1は、組立工場において使用される産業用の電動工具である。製品の組立工程において、電動工具1によるねじ締め作業が実施される。組立工場として、自動車の組立工場が例示される。製品として、自動車が例示される。
【0053】
電動工具1は、ハウジング2と、ハンマケース4と、ベアリングボックス5と、モータ6と、減速機構部7と、スピンドル8と、打撃機構部9と、アンビル10と、工具保持機構11と、ファン12と、バッテリ装着部13と、トリガスイッチ14と、スイッチ本体15と、正逆転切換レバー16と、コントローラ17と、ライトユニット18とを備える。
【0054】
ハウジング2は、合成樹脂製である。本実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
【0055】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、バッテリ保持部23と、ライト保持部24とを有する。
【0056】
モータ収容部21は、筒状部21Aと、筒状部21Aの後端部の開口を覆うリヤ部21Bとを含む。モータ収容部21は、少なくともモータ6を収容する。本実施形態において、モータ収容部21は、ファン12を収容する。モータ収容部21は、ベアリングボックス5を収容する。モータ収容部21は、及びハンマケース4の後部を収容する。
【0057】
グリップ部22は、モータ収容部21から下方に突出する。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、グリップ部22の外形の寸法は、モータ収容部21の外形の寸法よりも小さい。トリガスイッチ14は、グリップ部22の上部に設けられる。グリップ部22は、作業者に握られる。
【0058】
バッテリ保持部23は、グリップ部22の下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、バッテリ保持部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0059】
ライト保持部24は、ライトユニット18を保持する。ライト保持部24は、グリップ部22の上端部から前方に突出する。上下方向において、ライト保持部24は、トリガスイッチ14とハンマケース4との間に配置される。ライト保持部24の前端部は、トリガスイッチ14よりも前方に配置される。
【0060】
モータ収容部21は、吸気口19及び排気口20を有する。吸気口19は、排気口20よりも前方に設けられる。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0061】
ハンマケース4は、モータ収容部21の前部に接続される。ハンマケース4は、ねじ4Sによりモータ収容部21に固定される。ハンマケース4は、ベアリングボックス5を介して減速機構部7の少なくとも一部を収容する。ハンマケース4は、スピンドル8及び打撃機構部9を収容する。ハンマケース4は、アンビル10の少なくとも一部を収容する。ハンマケース4は、金属製である。本実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、筒状である。
【0062】
ハンマケース4は、後側筒部4Aと、前側筒部4Bと、環状部4Cとを含む。前側筒部4Bは、後側筒部4Aよりも前方に配置される。後側筒部4Aの外径は、前側筒部4Bの外径よりも大きい。後側筒部4Aの内径は、前側筒部4Bの内径よりも大きい。環状部4Cは、後側筒部4Aの前端部と前側筒部4Bの後端部とを繋ぐように配置される。
【0063】
ベアリングボックス5は、後側筒部4Aの後部に固定される。減速機構部7の少なくとも一部は、ベアリングボックス5の内側に配置される。ベアリングボックス5の外周部にねじ山が形成される。後側筒部4Aの後部の内周部にねじ溝が形成される。ベアリングボックス5のねじ山と後側筒部4Aのねじ溝とが結合されることにより、ベアリングボックス5とハンマケース4とが固定される。ベアリングボックス5は、モータ収容部21及びハンマケース4のそれぞれに固定される。
【0064】
モータ6は、電動工具1の動力源である。モータ6は、回転力を発生する。モータ6は、電動モータである。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、モータ収容部21に支持される。ロータ27の少なくとも一部は、ステータ26の内側に配置される。ロータ27は、ステータ26に対して回転する。ロータ27は、前後方向に延伸する回転軸AXを中心に回転する。
【0065】
ステータ26は、ステータコア28と、前インシュレータ29と、後インシュレータ30と、コイル31とを有する。
【0066】
ステータコア28は、ロータ27よりも径方向外側に配置される。ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。
【0067】
前インシュレータ29は、ステータコア28の前部に設けられる。後インシュレータ30は、ステータコア28の後部に設けられる。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0068】
コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される。コイル31は、複数配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28のティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。複数のコイル31は、ヒュージング端子38を介して接続される。
【0069】
ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ロータコア32と、ロータシャフト33と、ロータ磁石34と、センサ磁石35とを有する。
【0070】
ロータコア32及びロータシャフト33のそれぞれは、鋼製である。ロータコア32は、ロータシャフト33の周囲に配置される。ロータシャフト33は、ロータコア32に固定される。ロータシャフト33の前部は、ロータコア32の前端面から前方に突出する。ロータシャフト33の後部は、ロータコア32の後端面から後方に突出する。
【0071】
ロータ磁石34は、ロータコア32に固定される。ロータ磁石34は、円筒状である。ロータ磁石34は、ロータコア32の周囲に配置される。
【0072】
センサ磁石35は、ロータコア32に固定される。センサ磁石35は、円環状である。センサ磁石35は、ロータコア32の前端面及びロータ磁石34の前端面に配置される。
【0073】
前インシュレータ29にセンサ基板37が取り付けられる。センサ基板37は、ねじ29Sにより前インシュレータ29に固定される。センサ基板37は、円環状の回路基板と、回路基板に支持される磁気センサとを有する。センサ基板37の少なくとも一部は、センサ磁石35に対向する。磁気センサは、センサ磁石35の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。
【0074】
ロータシャフト33の後部は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39の前部は、ロータベアリング40に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、モータ収容部21のリヤ部21Bに保持される。ロータベアリング40は、ベアリングボックス5に保持される。
【0075】
ロータシャフト33の前端部にピニオンギヤ41が固定される。ピニオンギヤ41は、減速機構部7の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト33は、ピニオンギヤ41を介して減速機構部7に連結される。
【0076】
減速機構部7は、モータ6の回転を減速し、出力する。減速機構部7は、モータ6の回転力をスピンドル8及びアンビル10に伝達する。減速機構部7は、ベアリングボックス5に収容される。減速機構部7は、複数のギヤを有する。減速機構部7は、モータ6よりも前方に配置される。減速機構部7は、ロータシャフト33とスピンドル8とを連結する。減速機構部7のギヤは、ロータ27により駆動される。減速機構部7は、ロータ27の回転をスピンドル8に伝達する。減速機構部7は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構部7は、遊星歯車機構を含む。
【0077】
減速機構部7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。ピニオンギヤ41、プラネタリギヤ42、及びインターナルギヤ43のそれぞれは、ベアリングボックス5に収容される。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。スピンドル8は、プラネタリギヤ42により回転される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス5に固定される。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス5に対して常に回転不可能である。
【0078】
モータ6の駆動によりロータシャフト33が回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピン42Pを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0079】
スピンドル8は、モータ6の回転力により回転する。スピンドル8は、モータ6の少なくとも一部よりも前方に配置される。スピンドル8は、ステータ26よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、ロータ27よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構部7の前方に配置される。スピンドル8は、ロータ27により回転される。スピンドル8は、減速機構部7により伝達されたロータ27の回転力により回転する。
【0080】
スピンドル8は、フランジ部8Aと、フランジ部8Aから前方に突出するスピンドルシャフト部8Bとを有する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してフランジ部8Aに回転可能に支持される。スピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。
【0081】
スピンドル8は、スピンドルベアリング44に回転可能に支持される。スピンドルベアリング44は、ベアリングボックス5に保持される。
【0082】
打撃機構部9は、モータ6により駆動される。モータ6の回転力は、減速機構部7及びスピンドル8を介して打撃機構部9に伝達される。打撃機構部9は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、アンビル10を回転方向に打撃する。打撃機構部9は、ハンマ47と、ボール48と、コイルスプリング49とを有する。ハンマ47を含む打撃機構部9は、ハンマケース4に収容される。
【0083】
ハンマ47は、減速機構部7よりも前方に配置される。ハンマ47は、後側筒部4Aに収容される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bの周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bに保持される。ボール48は、スピンドルシャフト部8Bとハンマ47との間に配置される。コイルスプリング49は、フランジ部8A及びハンマ47のそれぞれに支持される。
【0084】
ハンマ47は、モータ6により回転される。モータ6の回転力は、減速機構部7及びスピンドル8を介してハンマ47に伝達される。ハンマ47は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、スピンドル8と一緒に回転可能である。ハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
【0085】
ボール48は、鉄鋼のような金属製である。ボール48は、スピンドルシャフト部8Bとハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝を有する。スピンドル溝は、スピンドルシャフト部8Bの外周面の一部に設けられる。ハンマ47は、ボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝を有する。ハンマ溝は、ハンマ47の内面の一部に設けられる。ボール48は、スピンドル溝とハンマ溝との間に配置される。ボール48は、スピンドル溝の内側及びハンマ溝の内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝及びハンマ溝により規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0086】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。コイルスプリング49は、フランジ部8Aとハンマ47との間に配置される。ハンマ47の後面にリング状のハンマ凹部が設けられる。ハンマ凹部は、ハンマ47の後面から前方に窪む。ハンマ凹部の内側にワッシャ45が設けられる。コイルスプリング49の後端部は、支持プレート25を介してフランジ部8Aに支持される。コイルスプリング49の前端部は、ハンマ凹部の内側に配置され、ワッシャ45に支持される。
【0087】
アンビル10は、減速機構部7から減速させた出力で駆動する工具保持部である。アンビル10は、モータ6の回転力により回転する電動工具1の出力部である。アンビル10の少なくとも一部は、ハンマ47よりも前方に配置される。アンビル10は、先端工具の一種であるドライバビットが挿入される工具孔10Aを有する。工具孔10Aは、アンビル10の前端部に設けられる。ドライバビットは、アンビル10に装着される。また、アンビル10の後端部に凹部10Bが設けられる。スピンドルシャフト部8Bの前端部に凸部が設けられる。スピンドルシャフト部8Bの前端部の凸部は、アンビル10の後端部に設けられた凹部10Bに挿入される。
【0088】
アンビル10は、ロッド状のアンビルシャフト部10Cと、アンビル突起部10Dとを有する。工具孔10Aは、アンビルシャフト部10Cの前端部に設けられる。ドライバビットは、アンビルシャフト部10Cに装着される。アンビル突起部10Dは、アンビル10の後端部に設けられる。アンビル突起部10Dは、アンビルシャフト部10Cの後端部から径方向外側に突出する。
【0089】
アンビル10は、アンビルベアリング46に回転可能に支持される。アンビル10の回転軸とハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルベアリング46は、前側筒部4Bの内側に配置される。アンビルベアリング46は、ハンマケース4の前側筒部4Bに保持される。アンビルベアリング46は、アンビルシャフト部10Cを支持する。本実施形態において、アンビルベアリング46は、前後方向に2つ配置される。
【0090】
ハンマ47の少なくとも一部は、アンビル突起部10Dに接触可能である。ハンマ47の前部に前方に突出するハンマ突起部が設けられる。ハンマ47のハンマ突起部とアンビル突起部10Dとが接触可能である。ハンマ47とアンビル突起部10Dとが接触している状態で、モータ6が駆動することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
【0091】
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えばねじ締め作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ボール48がスピンドル溝及びハンマ溝のそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ボール48から力を受け、ボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ47とアンビル突起部10Dとの接触が解除される。
【0092】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ47は、回転しながらアンビル突起部10Dに接触する。これにより、アンビル突起部10Dは、ハンマ47により回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
【0093】
工具保持機構11は、アンビル10の前部の周囲に配置される。工具保持機構11は、工具孔10Aに挿入されたドライバビットを保持する。
【0094】
ファン12は、モータ6の回転力により回転する。ファン12は、モータ6のステータ26よりも後方に配置される。ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12は、ロータシャフト33の後部に固定される。ファン12は、ロータベアリング39とステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータ27の回転により回転する。ロータシャフト33が回転することにより、ファン12は、ロータシャフト33と一緒に回転する。ファン12が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン12が回転することにより、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0095】
バッテリ装着部13は、バッテリ保持部23の下部に配置される。バッテリ装着部13は、バッテリパック100に接続される。バッテリパック100は、バッテリ装着部13に装着される。バッテリパック100は、バッテリ装着部13に着脱可能である。バッテリパック100は、電動工具1の電源として機能する。バッテリパック100は、二次電池を含む。本実施形態において、バッテリパック100は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部13に装着されることにより、バッテリパック100は、電動工具1に電力を供給することができる。モータ6及びライトユニット18のそれぞれは、バッテリパック100から供給される電力に基づいて駆動する。
【0096】
トリガスイッチ14は、グリップ部22に設けられる。トリガスイッチ14は、グリップ部22の上部の前部から前方に突出する。トリガスイッチ14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガスイッチ14は、後方に引き操作される。トリガスイッチ14が後方に引き操作されることにより、モータ6が駆動する。トリガスイッチ14は、モータ6の回転数を選択できる。トリガスイッチ14の引き操作が解除されることにより、モータ6が停止する。
【0097】
スイッチ本体15は、トリガスイッチ14に接続される。スイッチ本体15は、トリガスイッチ14の後方に配置される。スイッチ本体15は、グリップ部22の内部に配置される。トリガスイッチ14が引き操作されると、スイッチ本体15は、コントローラ17に操作信号を送信する。コントローラ17は、スイッチ本体15からの操作信号に基づいて、モータ6を駆動する。コントローラ17は、トリガスイッチ14の引き量に基づいて、モータ6の回転数を制御する。
【0098】
正逆転切換レバー16は、グリップ部22の上部に設けられる。正逆転切換レバー16は、作業者に操作される。正逆転切換レバー16が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。
【0099】
コントローラ17は、少なくともモータ6及びライトユニット18を制御する制御信号を出力する。コントローラ17は、バッテリ保持部23に収容される。コントローラ17は、電動工具1の作業内容に基づいて、モータ6の制御モードを切り換える。モータ6の制御モードとは、モータ6の制御方法又は制御パターンをいう。コントローラ17は、複数の電子部品が実装された回路基板を含む。回路基板に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、トランジスタ、及び抵抗器が例示される。
【0100】
<ライトユニット>
ライトユニット18は、対象物を照明するための光を射出する。ライトユニット18は、アンビル10及びアンビル10の周辺に光を照射する。ライトユニット18は、アンビル10の前方を照明する。ライトユニット18は、アンビル10に装着されたドライバビット及びドライバビットの周辺を照明する。
【0101】
ライトユニット18は、ハウジング2のライト保持部24に保持される。上下方向において、ライト保持部24は、ハンマケース4とトリガスイッチ14との間に配置される。ライトユニット18は、ハンマケース4の下方に配置される。本実施形態において、ライトユニット18は、後側筒部4Aの直下に配置される。ライトユニット18は、トリガスイッチ14の上方に配置される。本実施形態において、ライトユニット18は、トリガスイッチ14の直上に配置される。
【0102】
図5は、本実施形態に係るライトユニット18を示す前方からの分解斜視図である。
図6は、本実施形態に係るライトユニット18を示す前方からの分解斜視図である。
図7は、本実施形態に係るライトユニット18を示す後方からの分解斜視図である。
【0103】
ライト保持部24は、ライトユニット18の少なくとも一部を収容する収容孔3を有する。ライトユニット18は、収容孔3の内側に配置される。収容孔3は、ハンマケース4の後側筒部4Aの直下に設けられる。収容孔3は、トリガスイッチ14の直上に設けられる。収容孔3は、ライト保持部24の前端部から後方に窪むように形成される。
【0104】
ライトユニット18は、ライト50と、カバー60と、連結部材70とを有する。
【0105】
ライト50は、アンビル10の前方に光を照射する。ライト50は、収容孔3の内側に配置される。ライト50は、収容孔3の内側において移動可能である。本実施形態において、ライト50は、収容孔3の内側において前後方向に移動可能である。ライト50は、実質的に回転軸AXと平行に移動する。ライト50は、基板51と、基板51の前面に搭載される発光素子52と、を含む。
【0106】
基板51は、プリント配線板(PWB:Printed Wiring Board)を含む。基板51に導体配線が設けられる。発光素子52は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。発光素子52は、SMD(Surface Mount Device)チップでもよいし、COB(Chip On Board)チップでもよい。以下の説明において、発光素子52を適宜、チップLED52、と称する。チップLED52は、基板51の表面(前面)に実装される。チップLED52は、光を前方に射出する。
【0107】
基板51とコントローラ17とは、不図示のリード線を介して接続される。バッテリパック100からの電流は、コントローラ17、リード線、及び基板51を介してチップLED52に供給される。チップLED52は、バッテリパック100から供給された電流に基づいて発光する。
【0108】
図8は、本実施形態に係るカバー60を示す前方からの斜視図である。
図9は、本実施形態に係るカバー60を前方から見た図である。
図10は、本実施形態に係るカバー60を後方から見た図である。
図11は、本実施形態に係るカバー60を示す縦断面図である。
図12は、本実施形態に係るカバー60を示す横断面図である。
図13及び
図14のそれぞれは、本実施形態に係るライトユニット18を示す断面図である。
【0109】
カバー60は、ライト50の前方に配置される。カバー60は、ハウジング2のライト保持部24の少なくとも一部に固定される。カバー60は、収容孔3の前部に配置される。カバー60は、収容孔3の内面に固定される。ライト保持部24とカバー60との相対位置は、変化しない。
【0110】
カバー60は、前部60Aと、上部60Bと、下部60Cと、左部60Dと、右部60Eとを有する。
【0111】
前部60Aは、収容孔3の前端部の開口に配置される。前部60Aは、ハウジング2の外部空間に面する。前部60Aは、ライト50のチップLED52から射出された光を透過する光透過部60Fを有する。光透過部60Fは、前部60Aの中央部に配置される。光透過部60Fは、チップLED52からの光が入射する入射面60Gと、光透過部60Fを透過した光が射出される射出面60Hとを有する。入射面60Gは、実質的に後方を向く。入射面60Gは、チップLED52に対向する。射出面60Hは、実質的に前方を向く。射出面60Hは、ハウジング2の外部空間に面する。
【0112】
光透過部60Fは、ライト50から射出された光が透過する凸レンズを含む。光透過部60Fの中央部の厚みは、光透過部60Fの縁部の厚みよりも厚い。入射面60Gは、入射面60Gの中央部が後方に向かって膨らむ曲面状である。射出面60Hは、射出面60Hの中央部が前方に向かって膨らむ曲面状である。
【0113】
上部60Bは、前部60Aの上端部から後方へ延びるように設けられる。収容孔3の内面は、下方を向く上支持面を含む。上部60Bは、収容孔3の上支持面に支持される。上部60Bは、段差部60Jを有する。前部60Aのうち、段差部60Jよりも後側の部分は、前側の部分よりも高い位置に配置される。段差部60Jは、収容孔3の上支持面に設けられた段差部に掛けられる。
【0114】
下部60Cは、前部60Aの下端部から後方へ延びるように設けられる。収容孔3の内面は、上方を向く下支持面を含む。下部60Cは、収容孔3の下支持面に支持される。下部60Cの後端部にフック部60Kが設けられる。フック部60Kは、下部60Cの後端部から下方に突出する。フック部60Kは、収容孔3の底面に設けられた凹部に挿入される。前後方向において、上部60Bの寸法は、下部60Cの寸法よりも長い。
【0115】
左部60Dは、前部60Aの左端部から後方へ延びるように設けられる。収容孔3の内面は、右方を向く左支持面を含む。左部60Dは、収容孔3の左支持面に支持される。
【0116】
右部60Eは、前部60Aの右端部から後方へ延びるように設けられる。収容孔3の内面は、左方を向く右支持面を含む。右部60Eは、収容孔3の右支持面に支持される。
【0117】
連結部材70は、トリガスイッチ14とライト50とを連結する。本実施形態において、連結部材70は、トリガスイッチ14と基板51とを連結する。ライト保持部24は、収容孔3の内面(下支持面)とライト保持部24の下面とを貫通する接続孔36を有する。トリガスイッチ14は、ライト保持部24の下面に対向するように、ライト保持部24の直下に配置される。接続孔36は、トリガスイッチ14の上部が対向するライト保持部24の下面と、ライト50が配置されている収容孔3の内側とを接続するように形成される。連結部材70は、トリガスイッチ14の上部から接続孔36を介してライト50に向かって延びるように配置される。連結部材70の少なくとも一部は、接続孔36に配置される。
【0118】
連結部材70は、基板51を支持する第1連結部70Aと、トリガスイッチ14の上部に連結される第2連結部70Bとを有する。第1連結部70Aは、連結部材70の上部に設けられる。第1連結部70Aは、基板51の下部が挿入される凹部を含む。第2連結部70Bは、連結部材70の下部に設けられる。トリガスイッチ14の上部に凹部14Aが設けられる。第2連結部70Bは、トリガスイッチ14の凹部14Aに挿入される。
【0119】
トリガスイッチ14が引き操作されると、トリガスイッチ14の引き量に連動して、ライト50が移動する。ライト50は、カバー60に対して前後方向に移動する。
【0120】
トリガスイッチ14が後方に引き操作されると、ライト50は、トリガスイッチ14と一緒に後方に移動する。ライト50は、トリガスイッチ14の引き量と同じ距離だけ後方に移動する。
【0121】
トリガスイッチ14が後方に引き操作された場合、トリガスイッチ14と一緒に連結部材70が後方に移動する。連結部材70は、接続孔36にガイドされながら後方に移動する。連結部材70が後方に移動すると、ライト50の基板51が後方に移動する。基板51は、上部60B、左部60D、及び右部60Eにガイドされながら後方に移動する。
【0122】
カバー60は、ハウジング2のライト保持部24に固定されている。ライト50が前後方向に移動すると、チップLED52と光透過部60Fとの前後方向の距離が変化する。ライト50が後方に移動すると、チップLED52と光透過部60Fとの前後方向の距離が長くなる。
【0123】
ライト50が前後方向に移動すると、アンビル10の前方に存在する対象物への光の照射条件が変化する。
図14に示すように、ライト50が後方に移動した場合、チップLED52から射出された光の一部が収容孔3の内面に当たったり光透過部60F以外のカバー60の部位に当たったりする。その結果、対象物に照射される光の明るさ(光度)が低くなったり、照射範囲が小さくなったりする。すなわち、ライト50が後方に移動した場合、チップLED52から射出された光の一部が対象物に到達しなくなり、その結果、対象物に照射される光の明るさ(光度)が低くなったり、照射範囲が小さくなったりする。
【0124】
また、本実施形態において、チップLED52から射出された光は、凸レンズを含む光透過部60Fを透過した後、対象物に照射される。ライト50が後方に移動した場合、すなわち、チップLED52と光透過部60Fとの距離が長くなった場合、光透過部60Fのレンズ作用により、対象物における光の照射範囲が小さくなる。
【0125】
一方、
図13に示すように、ライト50が前方に移動した場合、対象物に照射される光の明るさ(光度)が高くなったり、照射範囲が大きくなったりする。
【0126】
<使用方法>
次に、本実施形態に係る電動工具1の使用方法について説明する。以下の説明においては、トリガスイッチ14が引き操作されていないときのトリガスイッチ14の操作量(引き量)を0%とし、トリガスイッチ14の可動範囲においてトリガスイッチ14が最も後方に引き操作されたときのトリガスイッチ14の操作量(引き量)を100%とする。
図13は、トリガスイッチ14の引き量が0%である状態を示す。
図14は、トリガスイッチ14の引き量が100%である状態を示す。
【0127】
本実施形態において、トリガスイッチ14が例えば1%以上30%以下の所定量だけ引き操作されると、モータ6は起動しないものの、ライト50が点灯する。例えば、トリガスイッチ14が20%だけ引き操作されると、モータ6は起動しないものの、ライト50が点灯する。トリガスイッチ14が20%だけ引き操作された場合、ライト50の後方への移動量は、僅かである。そのため、対象物に照射される光の明るさ(光度)は高く、照射範囲は大きい。
【0128】
ねじ締め作業を実施する場合、作業者は、トリガスイッチ14を20%だけ引き操作した状態で、電動工具1の先端部に装着されたドライバビットをねじの駆動部に挿入する。トリガスイッチ14が20%だけ引き操作された状態においては、ライトユニット18から射出される光の明るさ(光度)は高く、照射範囲は大きい。すなわち、電動工具1の先端部に装着されたドライバビットをねじの駆動部に挿入する場合、ねじ及びねじ締め作業の対象物は、明るく且つ大きい照射範囲の光で照明される。そのため、作業者は、ドライバビットをねじの駆動部に円滑に挿入することができる。
【0129】
ドライバビットをねじの駆動部に挿入した後、作業者は、ねじを対象物に締め付けるために、トリガスイッチ14を100%引き操作する。トリガスイッチ14が100%引き操作されることにより、ライト50の点灯が維持された状態で、モータ6が駆動し、ドライバビットが回転する。ドライバビットが回転することにより、ねじが対象物に締め付けられる。トリガスイッチ14が100%引き操作された場合、ライト50が後方に移動するので、対象物に照射される光の明るさ(光度)は低く、照射範囲は小さくなる。作業者は、眩しさを感じることなく、ねじを締め付けることができる。
【0130】
電動工具1が自動車の組立に使用される場合、ねじ締め作業の対象物は、金属製である場合が多い。金属製の対象物に高い光度の光が大きい照射範囲で照射されると、対象物で反射する光により、作業者が眩しさを感じる。
【0131】
本実施形態においては、例えばドライバビットをねじの駆動部に挿入するまでの期間においては、作業者は、トリガスイッチ14を僅かに引くことにより、ドライバビットが回転していない状態で、ねじ及び対象物に高い光度の光を大きい照射範囲で照射することができる。そのため、作業者は、ドライバビットをねじの駆動部に円滑に挿入することができる。
【0132】
ドライバビットがねじの駆動部に挿入された後、ドライバビットを回転させる期間においては、作業者は、トリガスイッチ14を大きく引くことにより、ドライバビットを回転させて、ねじを対象物に締め付けることができる。ねじを締め付けている期間においては、ねじ及び対象物に低い光度の光が小さい照射範囲で照射されるので、作業者は、眩しさを感じること無く、ドライバビットを回転させて、ねじを対象物に締め付けることができる。
【0133】
なお、本実施形態において、コントローラ17は、トリガスイッチ14の引き量に連動して、対象物への光度を変化させてもよい。コントローラ17は、トリガスイッチ14の後方への引き量が100%になった場合、チップLED52に供給される電流を低下させることによって、光度を低くしてもよい。チップLED52に供給される電流がPWM(Pulse Width Modulation)制御される場合、コントローラ17は、パルス幅のデュ-ティ・サイクルを変えることによって、光度を低くしてもよい。
【0134】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動工具1は、モータ6と、モータ6の回転を減速し、出力する減速機構部7と、減速機構部7から減速させた出力で駆動する工具保持部であるアンビル10と、モータ6の回転数を選択できるトリガスイッチ14と、アンビル10の前方に光を照射するライト50と、を備えてもよい。トリガスイッチ14の引き量に連動してライト50が移動してもよい。
【0135】
上記の構成では、トリガスイッチ14の引き量に連動してライト50が移動するので、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、光の照射条件を変更することができる。作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を容易に変更することができる。
【0136】
本実施形態において、ライト50の移動により、対象物への光の照射範囲が変化してもよい。
【0137】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の照射範囲を容易に変更することができる。
【0138】
本実施形態において、電動工具1は、ライト50の前方に配置され、光を透過する光透過部60Fを有するカバー60を備えてもよい。ライト50は、カバー60に対して前後方向に移動してもよい。
【0139】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の大きさを容易に変更することができる。
【0140】
本実施形態において、トリガスイッチ14が後方に引かれると、ライト50は、後方に移動してもよい。
【0141】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14の引き量を調整することにより、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を調整することができる。
【0142】
本実施形態において、光透過部60Fは、ライト50から射出された光が透過する凸レンズを含んでもよい。
【0143】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の大きさを容易に変更することができる。
【0144】
本実施形態において、電動工具1は、トリガスイッチ14とライト50とを連結する連結部材70を備えてもよい。
【0145】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50を移動させることができる。
【0146】
本実施形態において、ライト50は、基板51と、基板51の前面に搭載される発光素子であるチップLED52と、を含んでもよい。連結部材70は、トリガスイッチ14と基板51とを連結してもよい。
【0147】
上記の構成では、トリガスイッチ14に連動して基板51が移動されることにより、チップLED52が移動される。
【0148】
本実施形態において、電動工具1は、モータ6と、モータ6の回転を減速し、出力する減速機構部7と、減速機構部7から減速させた出力で駆動する工具保持部であるアンビル10と、モータ6の回転数を選択できるトリガスイッチ14と、アンビル10の前方に光を照射するライト50と、を備えてもよい。トリガスイッチ14の引き量に連動して対象物への光度が変化してもよい。
【0149】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、対象物への光の光度を変化させることができる。作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさを容易に変更することができる。
【0150】
本実施形態において、トリガスイッチ14が後方に引かれると、光度が低下してもよい。
【0151】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、対象物への光の光度を低下させることができる。例えばドライバビットの回転中に、作業者が眩しさを感じることが抑制される。
【0152】
本実施形態において、電動工具1は、トリガスイッチ14の引き量に連動して光度を変化させるコントローラ17を備えてもよい。
【0153】
上記の構成では、トリガスイッチ14の引き量に基づいて、コントローラ17により光の光度が調整される。
【0154】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0155】
<ライトユニット>
図15は、本実施形態に係るライトユニット18を示す前方からの分解斜視図である。
図16は、本実施形態に係るライトユニット18を示す後方からの分解斜視図である。
図17は、本実施形態に係るライトユニット18を示す断面図である。
図18は、本実施形態に係るライトユニット18を示す断面図である。
【0156】
上述の第1実施形態においては、ライト保持部24にカバー60が固定され、トリガスイッチ14の引き量に連動してライト50が前後方向に移動することとした。本実施形態においては、ライト保持部24にライト50が固定され、トリガスイッチ14の引き量に連動してカバー60が前後方向に移動する例について説明する。
【0157】
図17は、トリガスイッチ14の引き量が0%である状態を示す。
図18は、トリガスイッチ14の引き量が100%である状態を示す。本実施形態においては、トリガスイッチ14が後方に引かれると、カバー60は、前方に移動する。トリガスイッチ14が後方に引かれると、チップLED52と光透過部60Fとの距離が長くなる。
【0158】
上述の第1実施形態と同様、カバー60は、ライト50の前方に配置される。カバー60の光透過部60Fは、ライト50から射出された光が透過する凸レンズを含む。
【0159】
ライト50は、固定部材71に支持される。固定部材71は、収容孔3の内側に配置される。固定部材71は、ライト保持部24に固定される。固定部材71は、凹部71Aを有する。ライト50の基板51の下部は、固定部材71の凹部71Aに挿入される。
【0160】
本実施形態において、ライトユニット18は、トリガスイッチ14とカバー60とを連結する連結部材72を有する。連結部材72の少なくとも一部は、接続孔36に配置される。連結部材72の上部は、収容孔3の内側において、カバー60に接続される。連結部材72の下部は、ライト保持部24の下方において、トリガスイッチ14に接続される。
【0161】
本実施形態において、カバー60は、2本のピン部60Lを有する。一方のピン部60Lは、左部60Dの内面(左支持面)から右方に突出する。他方のピン部60Lは、右部60Eの内面(右支持面)から左方に突出する。連結部材72は、ピン部60Lが配置される凹部72Aを有する。
【0162】
連結部材72は、2本のピン部72Bを有する。ピン部72Bは、凹部72Aよりも下方に配置される。ピン部72Bは、連結部材72の下端部よりも上方に配置される。一方のピン部72Bは、連結部材72の左面から左方に突出する。他方のピン部72Bは、連結部材72の右面から右方に突出する。ピン部72Bは、ライト保持部24の少なくとも一部に回動可能に支持される。連結部材72は、ピン部72Bを通り左右方向に延びる回動軸を中心に回動可能にライト保持部24に支持される。
【0163】
連結部材72の下部は、トリガスイッチ14の凹部14Aの内側に配置される。
【0164】
トリガスイッチ14が引き操作されると、トリガスイッチ14の引き量に連動して、カバー60が移動する。カバー60は、ライト50に対して前後方向に移動する。
【0165】
図18に示すように、トリガスイッチ14が後方に引き操作された場合、連結部材72の下部が凹部14Aの前壁部に接触した状態で、後方に移動する。連結部材72は、ピン部72Bを介してライト保持部24に回動可能に支持されているので、連結部材72の下部が後方に移動すると、凹部72Aを含む連結部材72の上部が前方に移動するように、連結部材72が回動する。凹部72Aの内側にピン部60Lが配置されているので、凹部72Aが前方に移動することにより、カバー60が前方に移動する。カバー60は、収容孔3の内面にガイドされながら前方に移動する。
【0166】
ライト50は、固定部材71を介してハウジング2のライト保持部24に固定されている。カバー60が前後方向に移動すると、チップLED52と光透過部60Fとの前後方向の距離が変化する。カバー60が前方に移動すると、チップLED52と光透過部60Fとの前後方向の距離が長くなる。
【0167】
カバー60が前後方向に移動すると、アンビル10の前方に存在する対象物への光の照射条件が変化する。
図18に示すように、カバー60が前方に移動した場合、チップLED52から射出された光の一部が収容孔3の内面に当たったり光透過部60F以外のカバー60の部位に当たったりする。その結果、対象物に照射される光の明るさ(光度)が低くなったり、照射範囲が小さくなったりする。すなわち、カバー60が前方に移動した場合、チップLED52から射出された光の一部が対象物に到達しなくなり、その結果、対象物に照射される光の明るさ(光度)が低くなったり、照射範囲が小さくなったりする。
【0168】
また、本実施形態において、チップLED52から射出された光は、凸レンズを含む光透過部60Fを透過した後、対象物に照射される。カバー60が前方に移動した場合、すなわち、チップLED52と光透過部60Fとの距離が長くなった場合、光透過部60Fのレンズ作用により、対象物における光の照射範囲が小さくなる。
【0169】
一方、
図17に示すように、カバー60が後方に移動した場合、対象物に照射される光の明るさ(光度)が高くなったり、照射範囲が大きくなったりする。
【0170】
<使用方法>
ねじ締め作業を実施する場合、作業者は、トリガスイッチ14を20%だけ引き操作した状態で、電動工具1の先端部に装着されたドライバビットをねじの駆動部に挿入する。トリガスイッチ14が20%だけ引き操作された状態においては、ライトユニット18から射出される光の明るさ(光度)は高く、照射範囲は大きい。そのため、作業者は、ドライバビットをねじの駆動部に円滑に挿入することができる。
【0171】
ドライバビットをねじの駆動部に挿入した後、作業者は、ねじを対象物に締め付けるために、トリガスイッチ14を100%引き操作する。トリガスイッチ14が100%引き操作されることにより、ライト50の点灯が維持された状態で、モータ6が駆動し、ドライバビットが回転する。ドライバビットが回転することにより、ねじが対象物に締め付けられる。トリガスイッチ14が100%引き操作された場合、カバー60が前方に移動するので、対象物に照射される光の明るさ(光度)は低く、照射範囲は小さくなる。作業者は、眩しさを感じることなく、ねじを締め付けることができる。
【0172】
なお、本実施形態において、コントローラ17は、トリガスイッチ14の引き量に連動して、対象物への光度を変化させてもよい。コントローラ17は、トリガスイッチ14の後方への引き量が100%になった場合、チップLED52に供給される電流を低下させることによって、光度を低くしてもよい。チップLED52に供給される電流がPWM(Pulse Width Modulation)制御される場合、コントローラ17は、パルス幅のデュ-ティ・サイクルを変えることによって、光度を低くしてもよい。
【0173】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動工具1は、モータ6と、モータ6の回転を減速し、出力する減速機構部7と、減速機構部7から減速させた出力で駆動する工具保持部であるアンビル10と、モータ6の回転数を選択できるトリガスイッチ14と、アンビル10の前方に光を照射するライト50と、ライト50の前方に配置され、光を透過する光透過部60Fを有するカバー61と、を備えてもよい。トリガスイッチ14の引き量に連動してカバー60が移動してもよい。
【0174】
上記の構成では、トリガスイッチ14の引き量に連動してカバー60が移動するので、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、光の照射条件を変更することができる。作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を容易に変更することができる。
【0175】
本実施形態において、カバー60の移動により、対象物への光の照射範囲が変化してもよい。
【0176】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の照射範囲に容易に変更することができる。
【0177】
本実施形態において、トリガスイッチ14が後方に引かれると、カバー60は、前方に移動してもよい。
【0178】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14の引き量を調整することにより、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲を調整することができる。
【0179】
本実施形態において、光透過部60Fは、ライト50から射出された光が透過する凸レンズを含んでもよい。
【0180】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の大きさを容易に変更することができる。
【0181】
本実施形態において、電動工具1は、トリガスイッチ14とカバー60とを連結する連結部材72を備えてもよい。
【0182】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、カバー60を移動させることができる。
【0183】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0184】
<ライトユニット>
図19は、本実施形態に係るライトユニット18を示す前方からの分解斜視図である。
図20は、本実施形態に係るライトユニット18を示す後方からの分解斜視図である。
図21は、本実施形態に係るカバー61を示す縦断面図である。
図22は、本実施形態に係るカバー61を示す横断面図である。
図23は、本実施形態に係るライトユニット18を示す断面図である。
図24は、本実施形態に係るライトユニット18を示す断面図である。
【0185】
本実施形態において、ライト保持部24にライト50及びカバー61が固定され、ライト50とカバー61との間にピンホール部材80が配置される。トリガスイッチ14の引き量に連動してピンホール部材80が前後方向に移動する。ピンホール部材80は、ライト50のチップLED52から射出された光が通過するピンホール80Bを有する。ピンホール80Bは、ライト50よりも前方に配置される。カバー61の光透過部61Fは、ピンホール80Bよりも前方に配置される。ライト50のチップLED52から射出された光の少なくとも一部は、ピンホール80Bを通過した後、光透過部61Fを透過して、ライトユニット18の前方に照射される。
【0186】
図23は、トリガスイッチ14の引き量が0%である状態を示す。
図24は、トリガスイッチ14の引き量が100%である状態を示す。本実施形態においては、トリガスイッチ14が後方に引かれると、ピンホール80Bは、前方に移動する。トリガスイッチ14が後方に引かれると、チップLED52とピンホール80Bとの距離が長くなり、ピンホール80Bと光透過部61Fとの距離が短くなる。
【0187】
カバー61は、前部61Aと、上部61Bと、左部61Dと、右部61Eとを有する。
【0188】
前部61Aは、収容孔3の前端部の開口に配置される。前部61Aは、ハウジング2の外部空間に面する。前部61Aは、ライト50のチップLED52から射出され、ピンホール80Bを通過した光を透過する光透過部61Fを有する。光透過部61Fは、チップLED52からの光が入射する入射面61Gと、光透過部61Fを透過した光が射出される射出面61Hとを有する。入射面61Gは、実質的に後方を向く。入射面61Gは、チップLED52に対向する。射出面61Hは、実質的に前方を向く。射出面61Hは、ハウジング2の外部空間に面する。
【0189】
本実施形態において、入射面61Gと射出面61Hとは、実質的に平行である。光透過部61Fの中央部の厚みと光透過部61Fの縁部の厚みとは、実質的に等しい。光透過部61Fの厚みは、実質的に均一である。入射面61Gは、入射面61Gの中央部が前方に向かって窪む曲面状である。射出面61Hは、射出面61Hの中央部が前方に向かって膨らむ曲面状である。入射面61G及び射出面61Hのそれぞれは、下方に向かって後方に傾斜する。
【0190】
上部61Bは、前部61Aの上端部から後方へ延びるように設けられる。左部61Dは、前部61Aの左端部から後方へ延びるように設けられる。右部61Eは、前部61Aの右端部から後方へ延びるように設けられる。上部61Bは、段差部61Jを有する。前部61Aのうち、段差部61Jよりも後側の部分は、前側の部分よりも高い位置に配置される。段差部61Jは、収容孔3の上支持面に設けられた段差部に掛けられる。
【0191】
ピンホール部材80は、前板部80Aと、左ロッド部80Cと、右ロッド部80Dとを有する。ピンホール80Bは、前板部80Aの中央部に設けられる。左ロッド部80Cは、前板部80Aの左端部の下部から後方へ延びるように設けられる。右ロッド部80Dは、前板部80Aの右端部の下部から後方へ延びるように設けられる。
【0192】
本実施形態において、ピンホール部材80は、2本のピン部80Eを有する。一方のピン部80Eは、左ロッド部80Cの右面から右方に突出する。他方のピン部80Eは、右ロッド部80Dの左面から左方に突出する。
【0193】
本実施形態において、連結部材72は、トリガスイッチ14とピンホール部材80とを連結する。連結部材72の少なくとも一部は、接続孔36に配置される。連結部材72の上部は、収容孔3の内側において、ピンホール部材80に接続される。連結部材72の上部に、ピン部80Eが配置される凹部72Aが設けられる。連結部材72の下部は、ライト保持部24の下方において、トリガスイッチ14に接続される。連結部材72の下部は、トリガスイッチ14の凹部14Aの内側に配置される。
【0194】
連結部材72は、2本のピン部72Bを有する。ピン部72Bは、凹部72Aよりも下方に配置される。ピン部72Bは、連結部材72の下端部よりも上方に配置される。一方のピン部72Bは、連結部材72の左面から左方に突出する。他方のピン部72Bは、連結部材72の右面から右方に突出する。ピン部72Bは、ライト保持部24の少なくとも一部に回動可能に支持される。連結部材72は、ピン部72Bを通り左右方向に延びる回動軸を中心に回動可能にライト保持部24に支持される。
【0195】
トリガスイッチ14が引き操作されると、トリガスイッチ14の引き量に連動して、ピンホール部材80が移動する。ピンホール部材80は、ライト50及びカバー61に対して前後方向に移動する。
【0196】
図24に示すように、トリガスイッチ14が後方に引き操作された場合、連結部材72の下部が凹部14Aの前壁部に接触した状態で、後方に移動する。連結部材72は、ピン部72Bを介してライト保持部24に回動可能に支持されているので、連結部材72の下部が後方に移動すると、凹部72Aを含む連結部材72の上部が前方に移動するように、連結部材72が回動する。凹部72Aの内側にピン部80Eが配置されているので、凹部72Aが前方に移動することにより、ピンホール部材80が前方に移動する。
【0197】
ライト50及びカバー61のそれぞれは、ハウジング2のライト保持部24に固定されている。ピンホール部材80が前後方向に移動すると、チップLED52とピンホール80Bとの前後方向の距離が変化し、ピンホール80Bと光透過部61Fとの前後方向の距離が変化する。ピンホール80Bが前方に移動すると、チップLED52とピンホール80Bとの前後方向の距離が長くなり、ピンホール80Bと光透過部60Fとの前後方向の距離が短くなる。
【0198】
ピンホール80Bが前後方向に移動すると、アンビル10の前方に存在する対象物への光の照射条件が変化する。
図24に示すように、ピンホール80Bが前方に移動した場合、チップLED52から射出された光の一部が対象物に到達しなくなり、その結果、対象物に照射される光の明るさ(光度)が低くなったり、照射範囲が小さくなったりする。
【0199】
また、本実施形態において、チップLED52から射出された光は、光透過部61Fを透過した後、対象物に照射される。ピンホール80Bが前方に移動した場合、すなわち、ピンホール80Bと光透過部61Fとの距離が短くなった場合、光透過部61Fの作用により、対象物における光の照射範囲が小さくなる。
【0200】
一方、
図23に示すように、ピンホール80Bが後方に移動した場合、対象物に照射される光の明るさ(光度)が高くなったり、照射範囲が大きくなったりする。
【0201】
<使用方法>
ねじ締め作業を実施する場合、作業者は、トリガスイッチ14を20%だけ引き操作した状態で、電動工具1の先端部に装着されたドライバビットをねじの駆動部に挿入する。トリガスイッチ14が20%だけ引き操作された状態においては、ライトユニット18から射出される光の明るさ(光度)は高く、照射範囲は大きい。そのため、作業者は、ドライバビットをねじの駆動部に円滑に挿入することができる。
【0202】
ドライバビットをねじの駆動部に挿入した後、作業者は、ねじを対象物に締め付けるために、トリガスイッチ14を100%引き操作する。トリガスイッチ14が100%引き操作されることにより、ライト50の点灯が維持された状態で、モータ6が駆動し、ドライバビットが回転する。ドライバビットが回転することにより、ねじが対象物に締め付けられる。トリガスイッチ14が100%引き操作された場合、ピンホール80Bが前方に移動するので、対象物に照射される光の明るさ(光度)は低く、照射範囲は小さくなる。作業者は、眩しさを感じることなく、ねじを締め付けることができる。
【0203】
なお、本実施形態において、コントローラ17は、トリガスイッチ14の引き量に連動して、対象物への光度を変化させてもよい。コントローラ17は、トリガスイッチ14の後方への引き量が100%になった場合、チップLED52に供給される電流を低下させることによって、光度を低くしてもよい。チップLED52に供給される電流がPWM(Pulse Width Modulation)制御される場合、コントローラ17は、パルス幅のデュ-ティ・サイクルを変えることによって、光度を低くしてもよい。
【0204】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動工具1は、モータ6と、モータ6の回転を減速し、出力する減速機構部7と、減速機構部7から減速させた出力で駆動する工具保持部であるアンビル10と、モータ6の回転数を選択できるトリガスイッチ14と、アンビル10の前方に光を照射するライト50と、ピンホール部材80と、を備えてもよい。トリガスイッチ14の引き量に連動して対象物への光の照射範囲が変化してもよい。
【0205】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、光の照射範囲を変化させることができる。作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の照射範囲を容易に変更することができる。
【0206】
本実施形態において、照射範囲の大きさが変化してもよい。
【0207】
上記の構成では、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、光の照射範囲の大きさが変化するので、例えば、ドライバビットをねじの駆動部に挿入するまでの期間とドライバビットを回転させる期間とで、光の照射範囲の大きさを変更することができる。
【0208】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0209】
<ライトユニット>
図25は、本実施形態に係るライトユニット18を示す前方からの分解斜視図である。
図26は、本実施形態に係るライトユニット18を示す後方からの分解斜視図である。
図27は、本実施形態に係るライトユニット18を示す断面図である。
図28は、本実施形態に係るライトユニット18を示す断面図である。
【0210】
上述の実施形態と同様、カバー61は、ライト50の前方に配置される。カバー61は、光透過部61Fを有する。
【0211】
本実施形態においては、ライト保持部24にカバー61が固定され、トリガスイッチ14が後方に引き操作されると、ライト50がカバー61に対して傾斜方向に移動する例について説明する。ライト50が傾斜すると、対象物における光の照射範囲の位置が変化する。
【0212】
図27は、トリガスイッチ14の引き量が0%である状態を示す。
図28は、トリガスイッチ14の引き量が100%である状態を示す。本実施形態においては、トリガスイッチ14が後方に引かれると、ライト50は、斜め下方を向くように傾斜する。ライト50が斜め下方を向くように傾斜すると、対象物における光の照射範囲の位置が下方にシフトする。
【0213】
ライトユニット18は、トリガスイッチ14とライト50とを連結する連結部材73を有する。連結部材73の少なくとも一部は、接続孔36に配置される。連結部材72の上部は、収容孔3の内側において、ライト50に接続される。連結部材72の上部に、ライト50の基板51の下部が配置される凹部73Aが設けられる。連結部材73の下部は、ライト保持部24の下方において、トリガスイッチ14に接続される。連結部材73の下部は、トリガスイッチ14の凹部14Aの内側に配置される。
【0214】
連結部材73は、2本のピン部73Bを有する。ピン部73Bは、凹部73Aよりも下方に配置される。ピン部73Bは、連結部材73の下端部よりも上方に配置される。一方のピン部73Bは、連結部材73の左面から左方に突出する。他方のピン部73Bは、連結部材73の右面から右方に突出する。ピン部73Bは、ライト保持部24の少なくとも一部に回動可能に支持される。連結部材73は、ピン部73Bを通り左右方向に延びる回動軸を中心に回動可能にライト保持部24に支持される。
【0215】
トリガスイッチ14が引き操作されると、トリガスイッチ14の引き量に連動して、ライト50が移動する。ライト50は、カバー61に対して傾斜方向に移動する。
【0216】
図28に示すように、トリガスイッチ14が後方に引き操作された場合、連結部材73の下部が凹部14Aの前壁部に接触した状態で、後方に移動する。連結部材73は、ピン部73Bを介してライト保持部24に回動可能に支持されているので、連結部材73の下部が後方に移動すると、凹部73Aを含む連結部材73の上部が前方且つ下方に移動するように、連結部材72が回動する。凹部73Aにライト50が保持されているので、凹部73Aが前方且つ下方に移動することにより、ライト50が斜め下方を向くように傾斜する。
【0217】
カバー61は、ハウジング2のライト保持部24に固定されている。ライト50が傾斜方向に移動すると、アンビル10の前方に存在する対象物への光の照射条件が変化する。
図28に示すように、ライト50が斜め下方を向くように傾斜した場合、対象物における光の照射範囲が下方へシフトする。また、ライト50が斜め下方を向くように傾斜した場合、チップLED52から射出された光の一部が対象物に到達しなくなり、その結果、対象物に照射される光の明るさ(光度)が低くなる。
【0218】
一方、
図27に示すように、ライト50が前方を向くように回動された場合、対象物に照射される光の明るさ(光度)が高くなったり、照射範囲が大きくなったりする。
【0219】
<使用方法>
ねじ締め作業を実施する場合、作業者は、トリガスイッチ14を20%だけ引き操作した状態で、電動工具1の先端部に装着されたドライバビットをねじの駆動部に挿入する。トリガスイッチ14が20%だけ引き操作された状態においては、ライトユニット18から射出される光の明るさ(光度)は高く、照射範囲の中心とドライバビットとの距離は短い。そのため、作業者は、ドライバビットをねじの駆動部に円滑に挿入することができる。
【0220】
ドライバビットをねじの駆動部に挿入した後、作業者は、ねじを対象物に締め付けるために、トリガスイッチ14を100%引き操作する。トリガスイッチ14が100%引き操作されることにより、ライト50の点灯が維持された状態で、モータ6が駆動し、ドライバビットが回転する。ドライバビットが回転することにより、ねじが対象物に締め付けられる。トリガスイッチ14が100%引き操作された場合、ライト50が斜め下方を向くので、対象物に照射される光の明るさ(光度)は低く、照射範囲の中心とドライバビットとの距離は長くなる。作業者は、眩しさを感じることなく、ねじを締め付けることができる。
【0221】
なお、本実施形態において、コントローラ17は、トリガスイッチ14の引き量に連動して、対象物への光度を変化させてもよい。コントローラ17は、トリガスイッチ14の後方への引き量が100%になった場合、チップLED52に供給される電流を低下させることによって、光度を低くしてもよい。チップLED52に供給される電流がPWM(Pulse Width Modulation)制御される場合、コントローラ17は、パルス幅のデュ-ティ・サイクルを変えることによって、光度を低くしてもよい。
【0222】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動工具1は、ライト50の前方に配置され、光を透過する光透過部61Fを有するカバー61を備えてもよい。ライト50は、カバー61に対して傾斜方向に移動してもよい。
【0223】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の位置を容易に変更することができる。
【0224】
本実施形態において、トリガスイッチ14が後方に引かれると、ライト50は、斜め下方を向くように傾斜してもよい。
【0225】
上記の構成では、作業者は、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、ライト50から対象物に照射される光の明るさ又は照射範囲の位置を容易に変更することができる。
【0226】
本実施形態において、照射範囲の位置が変化してもよい。
【0227】
上記の構成では、トリガスイッチ14を引き操作するだけで、光の照射範囲の位置が変化するので、例えば、ドライバビットをねじの駆動部に挿入するまでの期間とドライバビットを回転させる期間とで、光の照射範囲の位置を変更することができる。
【0228】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、ライトユニット18は、チップLED52を複数有してもよい。トリガスイッチ14の後方への引き量に連動して、点灯させるチップLED52を切り換えてもよい。トリガスイッチ14の後方への引き量が小さい場合、点灯させるチップLED52の数が多くなり、トリガスイッチ14の後方への引き量が大きい場合、点灯させるチップLED52の数が少なくなってもよい。点灯させるチップLED52の数を多くすることにより、対象物への光度が高くなり、照射範囲が大きくなる。点灯させるチップLED52の数を少なくすることにより、対象物への光度が低くなり、照射範囲が小さくなる。
【0229】
上述の実施形態において、トリガスイッチ14の後方への引き量に連動して、透過率が相互に異なる複数のカバーを切り換えてもよい。トリガスイッチ14の後方への引き量が小さい場合、透過率が高いカバーがチップLED52の前方に配置され、トリガスイッチ14の後方への引き量が大きい場合、透過率が低いカバーがチップLED52の前方に配置されてもよい。透過率が低いカバーがチップLED52の前方に配置されることにより、対象物への光度が低くなる。
【0230】
上述の実施形態において、トリガスイッチ14の後方への引き量が大きいほど、対象物への光度が高くなってもよい。例えば、コントローラ17は、トリガスイッチ14の後方への引き量が大きいほど、チップLED52に供給される電流を増加させることによって、光度を高くしてもよい。チップLED52に供給される電流がPWM(Pulse Width Modulation)制御される場合、コントローラ17は、パルス幅のデュ-ティ・サイクルを変えることによって、光度を高くしてもよい。トリガスイッチ14の後方への引き量が大きいほど、ライト50と光透過部60Fとの距離が短くなるように、ライト50とカバー60との相対位置が変化してもよい。
【0231】
上述の実施形態において、トリガスイッチ14の後方への引き量が大きいほど、対象物における光の照射範囲が大きくなってもよい。トリガスイッチ14の後方への引き量が大きいほど、ライト50と光透過部60Fとの距離が短くなるように、ライト50とカバー60との相対位置が変化してもよい。
【0232】
上述の実施形態において、トリガスイッチ14の引き操作に連動して、ライトやカバーが移動することで、光度が機械的に調整されることとした。チップLED52に供給される電流がPWM(Pulse Width Modulation)制御される場合、コントローラ17は、トリガスイッチ14の引き操作に連動して、パルス幅のデュ-ティ・サイクルを変えることによって、光度を調整してもよい。すなわち、ライトやカバーが移動することなく、コントローラ17からの制御指令に基づいて、光度が調整されてもよい。例えばトリガスイッチ14の引き量を検出するセンサが設けられている場合、コントローラ17は、センサの検出信号に基づいて、光度を調整するための制御指令を出力してもよい。
【0233】
上述の実施形態においては、電動工具1がインパクトドライバであることとした。電動工具1は、ドライバドリル、スクリュードライバ、及びアングルインパクトドライバの少なくとも一つでもよい。また、電動工具1は、ねじ締めを実施する電動工具に限定されない。電動工具1は、マルノコ、レシプロソー、グラインダ、ハンマドリル、チェンソー、草刈機、及びヘッジトリマの少なくとも一つでもよい。なお、ハンマドリル及びレシプロソーにおいて、先端工具を着脱可能に保持して駆動する出力部は、先端工具を往復移動させることとなる。
【0234】
上述の実施形態において、電動工具1の電源は、バッテリパック100でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0235】
1…電動工具、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、3…収容孔、4…ハンマケース、4A…後側筒部、4B…前側筒部、4C…環状部、4S…ねじ、5…ベアリングボックス、6…モータ、7…減速機構部、8…スピンドル、8A…フランジ部、8B…スピンドルシャフト部、9…打撃機構部、10…アンビル(工具保持部)、10A…工具孔、10B…凹部、10C…アンビルシャフト部、10D…アンビル突起部、11…工具保持機構、12…ファン、13…バッテリ装着部、14…トリガスイッチ、14A…凹部、15…スイッチ本体、16…正逆転切換レバー、17…コントローラ、18…ライトユニット、19…吸気口、20…排気口、21…モータ収容部、21A…筒状部、21B…リヤ部、22…グリップ部、23…バッテリ保持部、24…ライト保持部、25…支持プレート、26…ステータ、27…ロータ、28…ステータコア、29…前インシュレータ、29S…ねじ、30…後インシュレータ、31…コイル、32…ロータコア、33…ロータシャフト、34…ロータ磁石、35…センサ磁石、36…接続孔、37…センサ基板、38…ヒュージング端子、39…ロータベアリング、40…ロータベアリング、41…ピニオンギヤ、42…プラネタリギヤ、42P…ピン、43…インターナルギヤ、44…スピンドルベアリング、45…ワッシャ、46…アンビルベアリング、47…ハンマ、48…ボール、49…コイルスプリング、50…ライト、51…基板、52…チップLED(発光素子)、60…カバー、60A…前部、60B…上部、60C…下部、60D…左部、60E…右部、60F…光透過部、60G…入射面、60H…射出面、60J…段差部、60K…フック部、60L…ピン部、61…カバー、61A…前部、61B…上部、61D…左部、61E…右部、61F…光透過部、61G…入射面、61H…射出面、61J…段差部、70…連結部材、70A…第1連結部、70B…第2連結部、71…固定部材、71A…凹部、72…連結部材、72A…凹部、72B…ピン部、73…連結部材、73A…凹部、73B…ピン部、80…ピンホール部材、80A…前板部、80B…ピンホール、80C…左ロッド部、80D…右ロッド部、80E…ピン部、100…バッテリパック、AX…回転軸。