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特開2024-157935トレイ及びトレイを用いた被処理物の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157935
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】トレイ及びトレイを用いた被処理物の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/02 20060101AFI20241031BHJP
   B65G 60/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D21/02 301
B65G60/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072613
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594166487
【氏名又は名称】東洋機器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】櫛部 光央
(72)【発明者】
【氏名】松川 泰三
(72)【発明者】
【氏名】藏本 武彦
(72)【発明者】
【氏名】竹中 雄三
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA01
3E006CA01
3E006CA05
3E006DA03
3E006DB04
3E006DB05
3E006EA05
(57)【要約】
【課題】効率的にバッチ処理を行うためのトレイを提供する。
【解決手段】本発明によれば、段積み可能なトレイ1であって、ベース部材2と、スペーサ4とを備え、ベース部材2は、他のベース部材2の上下に段積み可能とされ、スペーサ4は、ベース部材2の上下に段積み可能とされており、ベース部材2のみを用いることで第1の高さH1を有する浅底トレイ1Sとして使用可能とされるとともに、ベース部材2上にスペーサ4を段積みすることで第1の高さH1よりも高い第2の高さH2を有する深底トレイ1Dとしても使用可能とされる、トレイ1が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段積み可能なトレイであって、
ベース部材と、スペーサとを備え、
前記ベース部材は、他のベース部材の上下に段積み可能とされ、
前記スペーサは、前記ベース部材の上下に段積み可能とされており、
前記ベース部材のみを用いることで第1の高さを有する浅底トレイとして使用可能とされるとともに、前記ベース部材上に前記スペーサを段積みすることで前記第1の高さよりも高い第2の高さを有する深底トレイとしても使用可能とされる、トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレイであって、
前記スペーサは、下側係合部と、上側係合部とを備え、
前記下側係合部は、前記ベース部材の上部と係合して当該ベース部材との間の水平方向の相対移動を規制するよう構成され、
前記上側係合部は、前記ベース部材の下部と係合して当該ベース部材との間の水平方向の相対移動を規制するよう構成されている、トレイ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のトレイであって、
前記ベース部材は、底板と外枠とを備え、
前記スペーサは、前記ベース部材の前記外枠に対応する枠型の本体部を備える、トレイ。
【請求項4】
被処理物の処理方法であって、
請求項1又は請求項2に記載のトレイを深底トレイとして使用する運用において、深底トレイ群準備工程と、空トレイアンスタッキング工程と、ローディング工程と、実トレイスタッキング工程と、処理工程と、実トレイアンスタッキング工程と、アンローディング工程と、を順次実行し、
前記深底トレイ群準備工程では、前記ベース部材と前記スペーサとを交互に段積みして空トレイ群を準備し、
前記空トレイアンスタッキング工程では、前記空トレイ群を1つずつの空トレイに段ばらしし、
前記ローディング工程では、前記空トレイに前記被処理物を載置して実トレイとし、
前記実トレイスタッキング工程では、前記トレイを積み重ねて実トレイ群とし、
前記処理工程では、前記実トレイ群の状態で前記被処理物の処理を行い、
前記実トレイアンスタッキング工程では、前記実トレイ群を1つずつの前記実トレイに段ばらしし、
前記アンローディング工程では、前記実トレイの前記被処理物を取り出す、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記トレイを浅底トレイとして使用する運用において、浅底トレイ群準備工程と、前記空トレイアンスタッキング工程と、前記ローディング工程と、前記実トレイスタッキング工程と、前記処理工程と、前記実トレイアンスタッキング工程と、前記アンローディング工程と、を順次実行し、
前記浅底トレイ群準備工程では、前記ベース部材のみを段積みして空トレイ群を準備する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段積み可能なトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レトルト食品や医療用レトルト包装品等の被処理物の処理のため、被処理物を縦横に整列するよう載置(ローディング)した複数のトレイを段積み(スタッキング)してトレイ群として運搬し、トレイ群として熱処理を行った後に段ばらし(アンスタッキング)して取り出し(アンローディング)、後続のラインへと搬出するバッチ処理が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4884834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなバッチ処理に用いられるトレイは、段積みされるため、載置できる被処理物の高さに制限がある。この点、高さのある被処理物に合わせてトレイの高さを設定すると、高さの低い被処理物に対しては高さ方向に不要な空間ができ、処理量が減ってしまう。また、被処理物に合わせて高さの異なる複数種のトレイを準備するには、余計なコストがかかる上、使用しない種類のトレイを保管する場所も必要となる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、効率的にバッチ処理を行うためのトレイを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]段積み可能なトレイであって、ベース部材と、スペーサとを備え、前記ベース部材は、他のベース部材の上下に段積み可能とされ、前記スペーサは、前記ベース部材の上下に段積み可能とされており、前記ベース部材のみを用いることで第1の高さを有する浅底トレイとして使用可能とされるとともに、前記ベース部材上に前記スペーサを段積みすることで前記第1の高さよりも高い第2の高さを有する深底トレイとしても使用可能とされる、トレイ。
[2][1]に記載のトレイであって、前記スペーサは、下側係合部と、上側係合部とを備え、前記下側係合部は、前記ベース部材の上部と係合して当該ベース部材との間の水平方向の相対移動を規制するよう構成され、前記上側係合部は、前記ベース部材の下部と係合して当該ベース部材との間の水平方向の相対移動を規制するよう構成されている、トレイ。
[3][1]又は[2]に記載のトレイであって、前記ベース部材は、底板と外枠とを備え、前記スペーサは、前記ベース部材の前記外枠に対応する枠型の本体部を備える、トレイ。
[4]被処理物の処理方法であって、[1]~[3]のいずれかに記載のトレイを深底トレイとして使用する運用において、深底トレイ群準備工程と、空トレイアンスタッキング工程と、ローディング工程と、実トレイスタッキング工程と、処理工程と、実トレイアンスタッキング工程と、アンローディング工程と、を順次実行し、前記深底トレイ群準備工程では、前記ベース部材と前記スペーサとを交互に段積みして空トレイ群を準備し、前記空トレイアンスタッキング工程では、前記空トレイ群を1つずつの空トレイに段ばらしし、前記ローディング工程では、前記空トレイに前記被処理物を載置して実トレイとし、前記実トレイスタッキング工程では、前記トレイを積み重ねて実トレイ群とし、前記処理工程では、前記実トレイ群の状態で前記被処理物の処理を行い、前記実トレイアンスタッキング工程では、前記実トレイ群を1つずつの前記実トレイに段ばらしし、前記アンローディング工程では、前記実トレイの前記被処理物を取り出す、方法。
[5][4]に記載の方法であって、前記トレイを浅底トレイとして使用する運用において、浅底トレイ群準備工程と、前記空トレイアンスタッキング工程と、前記ローディング工程と、前記実トレイスタッキング工程と、前記処理工程と、前記実トレイアンスタッキング工程と、前記アンローディング工程と、を順次実行し、前記浅底トレイ群準備工程では、前記ベース部材のみを段積みして空トレイ群を準備する、方法。
【0007】
本発明によれば、ベース部材を浅底トレイとして使用するとともに、同じベース部材にスペーサを段積みして深底トレイとしても使用することで、高さの異なる複数種のトレイを別途準備することなく、効率的にバッチ処理を行うことが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るトレイ1の斜視図である。
図2図1のトレイ1の分解斜視図である。
図3図3Aは、図1のトレイ1を浅底トレイ1Sとして使用する場合の側面図であり、図3Bは、同トレイ1を深底トレイ1Dとして使用する場合の側面図である。
図4図1のトレイ1を用いて被処理物を処理するシステムSYSを示す概略図である。
図5図3Aの浅底トレイ1Sを用いて被処理物を処理する工程を示すフローチャートである。
図6図3Aの浅底トレイ1Sを段積みした状態を示す図である。
図7図7A図7Eは、アンスタッカ101aにより浅底トレイ1S(空トレイET)を段ばらしする様子を示す説明図である。
図8図8A図8Dは、アンスタッカ101aにより浅底トレイ1S(空トレイET)を段ばらしする様子を示す他の説明図である。
図9図9A図9Dは、スタッカ101cにより浅底トレイ1S(実トレイAT)を段積みする様子を示す説明図である。
図10図3Bの深底トレイ1Dを用いて被処理物を処理する工程を示すフローチャートである。
図11図3Bの深底トレイ1Dを段積みした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
1.トレイ1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係るトレイ1を示す斜視図である。本実施形態のトレイ1は、レトルト食品や医療用レトルト包装品等の複数の被処理物を縦横に整列させて載置(ローディング)し、段積み(スタッキング)して殺菌装置100(図4参照)に搬入し、殺菌処理するために用いられる。
【0011】
本実施形態のトレイ1は、図1及び図2の分解斜視図に示すように、ベース部材2と、スペーサ4とから構成される。ベース部材2及びスペーサ4は、例えばアルミやステンレス等の金属製とされるが、殺菌処理時の高温に耐え得る樹脂製であっても良い。
【0012】
ベース部材2は、具体的には、図2に示すように、底板20と、外枠30とを備える。底板20は、矩形(図示例では、正方形)且つ薄板状に形成される。底板20には、殺菌処理中に蒸気や熱水を流通させるため、多数の孔20hが設けられている。本実施形態のトレイ1は、底板20上に被処理物を載置するよう構成される。
【0013】
外枠30は、対向する1対の第1側壁31と、対向する1対の第2側壁32の4つの側壁から構成される。外枠30は、被処理物の脱落を防止するとともに、トレイ1(浅底トレイ1S又は深底トレイ1D)を段積みするために設けられる。
【0014】
第1側壁31は、底板20の一辺に沿って延びるよう形成される。第1側壁31にも、殺菌処理中に蒸気や熱水を流通させるため、多数の孔31hが設けられている。第1側壁31の上部には、他のベース部材2又はスペーサ4を支持する水平な支持面31sが形成されている。支持面31sには、平面視における略中央の位置に、他のベース部材2又はスペーサ4と係合するための上側係合部としての凸部31pが設けられている。また、第1側壁31の下部には、他のベース部材2又はスペーサ4に支持される被支持面31tが形成されている。被支持面31tには、図3Aに示すように、支持面31sの凸部31pと対応する平面視における略中央の位置に、他のベース部材2又はスペーサ4と係合するための下側係合部としての凹部31cが設けられている。
【0015】
第2側壁32は、底板20の他の一辺に沿って延びるよう形成される。第2側壁32は、図3A及び図7Aにも示すように、横断面形状が外側に開口する略コの字状となっており、後述するアンスタッカ101a,102a及びスタッカ101c,102cの支持爪104,105が挿入される被支持部32sとなっている。第2側壁32の高さは、第1側壁31の高さより低くなっており、上部にベース部材2又はスペーサ4を段積みした際には、上方のベース部材2の第2側壁32又はスペーサ4の第2側壁42との間に隙間が形成されるようになっている。これにより、当該隙間から蒸気や熱水を流通させることが可能となっている。
【0016】
本実施形態のベース部材2は、上記のような構成により、他のベース部材2の上下に段積み可能とされている。ここで、2つのベース部材2が段積みされる際には、上側のベース部材2の被支持面31tが下側のベース部材2の支持面31sに支持されることで上下方向の移動が規制される。また、この際、上側のベース部材2の凹部31cに下側のベース部材2の凸部31pが挿入されることで、水平方向の移動が規制されるようになっている。なお、本発明において、「段積み可能」とは、単に複数の部材を積み重ねることができる状態というだけではなく、各部材が水平状態を維持した状態で段積みできる状態を示すこととする。
【0017】
スペーサ4は、ベース部材2の外枠30に対応する枠型の本体部40から構成される。本実施形態において、本体部40は、ベース部材2の外枠30と同一の形状、すなわち、ベース部材2から底板20を除いたものと同一の形状となっている。
【0018】
具体的には、本体部40は、対向する1対の第1側壁41と、対向する1対の第2側壁42の4つの側壁から構成される。本体部40は、被処理物の脱落を防止するとともに、トレイ1(深底トレイ1D)を段積みするために構成される。
【0019】
第1側壁41には、ベース部材2の第1側壁31と同様、多数の孔41hが設けられている。また、第1側壁41の上部には、ベース部材2又はスペーサ4を支持する水平な支持面41sが形成され、支持面41sには、平面視における略中央の位置に、ベース部材2又はスペーサ4と係合するための上側係合部としての凸部41pが設けられている。また、第1側壁41の下部には、ベース部材2又はスペーサ4に支持される被支持面41tが形成されている。被支持面41tには、図3Bに示すように、支持面41sの凸部41pと対応する平面視における略中央の位置に、ベース部材2又はスペーサ4と係合するための下側係合部としての凹部41cが設けられている。
【0020】
第2側壁42は、ベース部材2の第2側壁32と同様、横断面形状が外側に開口する略コの字状となっており、後述するアンスタッカ101a,102a及びスタッカ101c,102cの支持爪104,105が挿入される被支持部42sとなっている。第2側壁42の高さは、第1側壁41の高さより低くなっており、上部にベース部材2をスタッキングした際には、上方のベース部材2の第2側壁32との間に隙間が形成されるようになっている。これにより、当該隙間から蒸気や熱水を流通させることが可能となっている。
【0021】
本実施形態のスペーサ4は、上記のような構成により、ベース部材2の上下に段積み可能とされている。ここで、ベース部材2の上側にスペーサ4が段積みされる際には、スペーサ4の被支持面41tがベース部材2の支持面31sに支持されることで上下方向の移動が規制される。また、この際、スペーサ4の凹部41cにベース部材2の凸部31pが挿入されることでこれらの間の水平方向の相対移動が規制されるようになっている。一方、スペーサ4の上側にベース部材2が段積みされる際には、ベース部材2の被支持面31tがスペーサ4の支持面41sに支持されることで上下方向の移動が規制される。また、この際、ベース部材2の凹部31cにスペーサ4の凸部41pが挿入されることでこれらの間の水平方向の相対移動が規制されるようになっている。なお、スペーサ4は、ベース部材2との段積みと同様にして、他のスペーサ4とも段積み可能となっている。
【0022】
本実施形態のトレイ1は、上記のような構成により、ベース部材2のみを用いることで、図3Aに示すような第1の高さH1を有する浅底トレイ1Sとして使用可能とされる。また、トレイ1は、ベース部材2にスペーサ4を段積みすることで、図3Bに示すような上記第1の高さH1よりも高い第2の高さH2を有する深底トレイ1Dとしても使用可能となっている。
【0023】
2.トレイ1を用いた被処理物の殺菌処理方法
次に、上記トレイ1を用いた被処理物の殺菌処理方法の例について説明する。本実施形態における被処理物の殺菌処理方法は、図4に示すようなシステムSYSによって実現される。本実施形態のシステムSYSは、殺菌装置100と、ローディングユニット101と、アンローディングユニット102とを備える。ここで、本実施形態のトレイ1は、被処理物の高さに応じて、浅底トレイ1Sとして使用する運用と、深底トレイ1Dとして使用する運用とに用いることができる。以下では、まず図4図8を用いてトレイ1を浅底トレイ1Sとして使用する運用について説明し、その後、図10図11を用いてトレイ1を深底トレイ1Dとして使用する運用について説明する。
【0024】
<浅底トレイ1Sとしての運用>
トレイ1を浅底トレイ1Sとして使用する運用では、図5のフローチャートに示すように、浅底トレイ群準備工程S1と、空トレイアンスタッキング工程S2と、ローディング工程S3と、実トレイスタッキング工程S4と、処理工程S5と、実トレイアンスタッキング工程S6と、アンローディング工程S7と、空トレイスタッキング工程S8とを順次実行する。
【0025】
まず、浅底トレイ群準備工程S1では、図6に示すような、保持車付きの運搬台車103上にベース部材2のみを段積みした空トレイ群ETGを複数セット準備する。ここで、空トレイ群ETGの準備は、人力で行ってもよく、適宜のスタッカを用いて自動で行っても良い。次に、空トレイアンスタッキング工程S2では、図4に示すように、空トレイ群ETGをローディングユニット101に順次搬送し、アンスタッカ101aにより空トレイ群ETGを1つずつの空トレイET(つまり、被処理物を載置していない浅底トレイ1S)に段ばらし(アンスタッキング)する。
【0026】
ここで、空トレイアンスタッキング工程S2では、図7A図7Bに示すように、アンスタッカ101aの支持爪104が最下段から2番目の浅底トレイ1S(ベース部材2)の被支持部32sに挿入される。そして、図7B図7C及び図8A図8Bに示すように、アンスタッカ101aによって最下段の浅底トレイ1Sを残して残りの浅底トレイ1Sが第1の高さH1以上持ち上げられる。その状態で、図7C図7D及び図8B図8Cに示すように、最下段の浅底トレイ1S(空トレイET)が取り出され、図7D図7E及び図8C図8Dに示すように、残りの浅底トレイ1Sが運搬台車103に戻される。この手順を繰り返すことで、アンスタッカ101aにより空トレイ群ETGが1つずつの空トレイETに分離(段ばらし)されることになる。
【0027】
次に、ローディング工程S3では、段ばらしされた空トレイETをローディングユニット101のローダ101bに搬送し、パウチに充填された被処理物を縦横に整列するよう載置(ローディング)する。そして、実トレイスタッキング工程S4において、被処理物が載置された実トレイATをスタッカ101cにより運搬台車103上に段積みして実トレイ群ATGとする。
【0028】
ここで、実トレイスタッキング工程S4では、図9Aに示すように、空トレイアンスタッキング工程S2とは逆に、スタッカ101cの支持爪105が最下段の浅底トレイ1S(ベース部材2)の被支持部32sに挿入される。そして、図9A図9Bに示すように、スタッカ101cによってすでに段積みされた浅底トレイ1S(実トレイ群ATG)が持ち上げられる。その状態で、図9B図9Cに示すように、最下段の浅底トレイ1Sの下方に新たな浅底トレイ1S(実トレイAT)が挿入され、図9C図9Dに示すように、(実トレイ群ATG)が新たな浅底トレイ1S上に積み重ねられる。この手順を繰り返すことで、スタッカ101cにより実トレイATが段積みされて運搬台車103上に実トレイ群ATGが構成されることになる。
【0029】
次に、処理工程S5では、図4に示すように、段積みされた実トレイ群ATGを殺菌装置100に搬送し、実トレイ群ATGの状態で殺菌装置100内に収容して被処理物の殺菌処理を実行する。
【0030】
次に、実トレイアンスタッキング工程S6では、殺菌処理後の実トレイ群ATGをアンローディングユニット102に順次搬送し、アンスタッカ102aにより実トレイ群ATGを1つずつの殺菌処理後の実トレイAT(被処理物が載置された浅底トレイ1S)に段ばらしする。なお、アンスタッカ102aによる段ばらしの手順は、空トレイアンスタッキング工程S2におけるアンスタッカ101aによる手順と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0031】
次に、アンローディング工程S7では、段ばらしされた殺菌処理後の実トレイATをアンローディングユニット102のアンローダ102bに搬送し、殺菌処理後の被処理物を取り出す(アンロードする)。取り出された殺菌処理後の被処理物は、後続のライン(説明省略)に搬送される。
【0032】
そして、次の空トレイスタッキング工程S8において、被処理物が取り出され空になった空トレイETをスタッカ102cにより運搬台車103上に段積みして空トレイ群ETGとする。なお、スタッカ102cによる段積みの手順は、実トレイスタッキング工程S4におけるスタッカ101cによる手順と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0033】
そして、図4に示すように、このようにして段積みされた空トレイ群ETGを再度ローディングユニット101に搬送し、空トレイアンスタッキング工程S2に進む。このように、本実施形態の被処理物の殺菌処理方法では、空トレイアンスタッキング工程S2~空トレイスタッキング工程S8のバッチ処理を繰り返すことで、同じ浅底トレイ1Sを繰り返し用いた被処理物の殺菌処理が実現される。
【0034】
なお、トレイ1を浅底トレイ1Sとして使用する運用においては、使用しないスペーサ4はスペーサ4のみでスタッキングしておくことで、スペースを取ることなく保管することが可能となっている。
【0035】
<深底トレイ1Dとしての運用>
次に、トレイ1を深底トレイ1Dとして使用する運用では、図10のフローチャートに示すように、深底トレイ群準備工程SS1と、空トレイアンスタッキング工程S2と、ローディング工程S3と、実トレイスタッキング工程S4と、処理工程S5と、実トレイアンスタッキング工程S6と、アンローディング工程S7と、空トレイスタッキング工程S8とを順次実行する。
【0036】
ここで、トレイ1を深底トレイ1Dとして使用する運用は、上述した浅底トレイ1Sとして使用する運用と比較すると、浅底トレイ群準備工程S1に代えて深底トレイ群準備工程SS1を実行する点のみが異なっている。具体的には、深底トレイ群準備工程SS1では、図11に示すように、保持車付きの運搬台車103上にベース部材2とスペーサ4とを交互に段積みした空トレイ群ETG'を複数セット準備する。ここで、空トレイ群ETG'の準備は、人力で行ってもよく、適宜のスタッカを用いて自動で行っても良い。スタッカにより自動で空トレイ群ETG'を構成する場合は、ベース部材2の第2側壁32に設けられた被支持部32s又はスペーサ4に設けられた被支持部42sにスタッカの支持爪を挿入して持ち上げ、その下にベース部材2とスペーサ4とを交互に差し込むことで実行することが好適である。
【0037】
この空トレイ群ETG'をローディングユニット101に順次搬送し、空トレイアンスタッキング工程S2~空トレイスタッキング工程S8のバッチ処理を繰り返すことで、同じ深底トレイ1Dを繰り返し用いた被処理物の殺菌処理が実現される。
【0038】
なお、トレイ1を深底トレイ1Dとして使用する運用では、空トレイアンスタッキング工程S2、実トレイスタッキング工程S4、実トレイアンスタッキング工程S6、空トレイスタッキング工程S8の各工程において、深底トレイ1D(各トレイ群)は、ローディングユニット101のアンスタッカ101a及びスタッカ101c、アンローディングユニット102のアンスタッカ102a及び102cにより、深底トレイ1Dに対応する第2の高さH2以上持ち上げられることになる。
【0039】
3.作用効果
本実施形態に係るトレイ1は、ベース部材2とスペーサ4とから構成され、ベース部材2のみを用いて第1の高さH1を有する浅底トレイ1Sとして使用可能とされるとともに、ベース部材2にスペーサ4を段積みして第2の高さH2を有する深底トレイ1Dとしても使用可能とされている。これにより、高さの異なる被処理物に対しても、高さの異なる複数種のトレイを別途準備することなく、効率的にバッチ処理を行うことが可能となっている。
【0040】
本実施形態のトレイ1では、ベース部材2が支持面31sの凸部31pと被支持面31tの凹部31cとを備え、スペーサ4が支持面41sの凸部41pと被支持面41tの凹部41cとを備えている。これにより、ベース部材2同士の段積み、ベース部材2とスペーサ4の段積み及びスペーサ4同士の段積みの際に、凸部31p,41pと凹部31c,41cを係合させることで、それぞれの場合において水平方向の相対移動を防止することが可能となっている。
【0041】
本実施形態のトレイ1は、スペーサ4の本体部40がベース部材2の外枠30と同一の構成となっている。これにより、スペーサ4を別途製造する場合と比較して製造コストを抑制することが可能となっている。
【0042】
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0043】
上記実施形態において、ベース部材2の外枠30及びスペーサ4の本体部40はそれぞれ1対の第1側壁31,41と1対の第2側壁32,42を備えて構成されていた。しかしながら、ベース部材2の外枠30及びスペーサ4の本体部40は、他のベース部材2又はスペーサ4を段積み可能な構成であれば、このような構成に限定されない。例えば、ベース部材2の外枠30及びスペーサ4の本体部40は、それぞれ第2側壁32,42を片側のみ備えていてもよい。この場合であっても、1対の第1側壁31,41が支持面31s,41s及び被支持面31t,41tを備えていることで、好適に段積みをすることが可能である。
【0044】
上記実施形態において、スペーサ4の本体部40はベース部材2の外枠30と同一の構成となっていた。しかしながら、スペーサ4の本体部40の形状をベース部材2の外枠30と異ならせても良い。例えば、スペーサ4の本体部40の高さをベース部材2の外枠30の高さよりも高くしたり、低くしたりすることも好適である。また、スペーサ4の本体部40とベース部材2の外枠30とで材質を異ならせることも可能である。加えて、本体部40の一部の構成が、ベース部材2の底板20上に配置されても良い。例えば、第2側壁42の代わりに、1対の第1側壁41の中央部分を結ぶ梁により1対の第1側壁41を連結するようにしても良い。
【0045】
上記実施形態では、ベース部材2の1対の第1側壁31が支持面31sの凸部31pと被支持面31tの凹部31cとを1つずつ備え、スペーサ4の1対の第1側壁41が支持面41sの凸部41pと被支持面41tの凹部41cとを1つずつ備えていた。しかしながら、凸部31p,41pと凹部31c,41cの数はこれに限定されず、1つの第1側壁31,41が複数の凸部31p,41pと複数の凹部31c,41cを備えていても良い。また、1対の第2側壁32,42が凸部(上側係合部)及び凹部(下側係合部)を備えるようにしても良い。加えて、ベース部材2やスペーサ4が他のベース部材2又はスペーサ4と係合するための上側係合部及び下側係合部は、凸部31p,41pや凹部31c,41cにより構成しなくても良く、水平方向の相対移動を規制できれば、任意の係合機構を用いることが可能である。
【0046】
上記実施形態においては、アンスタッカ101a,102a及びスタッカ101c,102cの支持爪104,105を挿入するため、ベース部材2が被支持部32sを備え、スペーサ4が被支持部42sを備えていた。しかしながら、支持爪104,105に支持されるための被支持部32s,42sは必須ではない。例えば、アンスタッカ101a,102a及びスタッカ101c,102cにおいて、支持爪104,105がベース部材2の底板20や被支持面31t及びスペーサ4の被支持面41tを支持するようにすることも可能である。
【0047】
上記実施形態において、底板20は矩形に形成されていたが、底板20を矩形とすることは必須ではない。ただし、この場合であっても、スペーサ4の本体部40とベース部材2の外枠30とは対応する形状とすることが好適である。
【0048】
上記実施形態において、被処理物の殺菌処理方法を実現するシステムSYSは、図4に示すように、殺菌装置100、ローディングユニット101、アンローディングユニット102間の各トレイ群ETG,ATG,ATG'の移動を保持車付きの運搬台車103により行う半自動のシステムとして説明した。しかしながら、これらの移動を適宜の搬送装置によって全自動で行う構成とすることも可能である。
【0049】
上記実施形態において、トレイ1は被処理物の殺菌処理のために用いられるものであったが、本発明に係るトレイ1は、殺菌処理以外の処理、例えば冷却処理や加熱処理等に用いることも可能である。
【0050】
(付記)
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0051】
(付記1)
段積み可能なトレイであって、
ベース部材と、スペーサとを備え、
前記スペーサは、下側係合部と、上側係合部とを備え、
前記下側係合部は、前記ベース部材の上部と係合して当該ベース部材との間の水平方向の相対移動を規制するよう構成され、
前記上側係合部は、前記ベース部材の下部と係合して当該ベース部材との間の水平方向の相対移動を規制するよう構成されている、トレイ。
【0052】
(付記2)
上記の付記1に記載のトレイであって、
前記ベース部材は、底板と外枠とを備え、
前記スペーサは、前記ベース部材の前記外枠に対応する枠型の本体部を備える、トレイ。
【符号の説明】
【0053】
1 :トレイ
1D :深底トレイ
1S :浅底トレイ
2 :ベース部材
4 :スペーサ
20 :底板
20h :孔
30 :外枠
31 :第1側壁
31c :凹部
31h :孔
31p :凸部
31s :支持面
31t :被支持面
32 :第2側壁
32s :被支持部
40 :本体部
41 :第1側壁
41c :凹部(下側係合部)
41h :孔
41p :凸部(上側係合部)
41s :支持面
41t :被支持面
42 :第2側壁
42s :被支持部
100 :殺菌装置
101 :ローディングユニット
101a :アンスタッカ
101b :ローダ
101c :スタッカ
102 :アンローディングユニット
102a :アンスタッカ
102b :アンローダ
102c :スタッカ
103 :運搬台車
104 :支持爪
105 :支持爪
AT :実トレイ
ATG :実トレイ群
ET :空トレイ
ETG :空トレイ群
ETG' :空トレイ群
H1 :第1の高さ
H2 :第2の高さ
S1 :浅底トレイ群準備工程
S2 :空トレイアンスタッキング工程
S3 :ローディング工程
S4 :実トレイスタッキング工程
S5 :処理工程
S6 :実トレイアンスタッキング工程
S7 :アンローディング工程
S8 :空トレイスタッキング工程
SS1 :深底トレイ群準備工程
SYS :システム
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