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2024-157936手術支援システム、操作装置および手術支援システムの制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157936
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】手術支援システム、操作装置および手術支援システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072614
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】谷 英紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 剛史
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AB01
4C130BA01
(57)【要約】
【課題】直線操作時の操作部の操作の安定性を向上させることが可能な手術支援システムを提供する。
【解決手段】手術支援システム500は、手術器具1を支持するためのロボットアーム50を含む手術支援ロボット100と、操作者の操作を受け付けるように構成され、操作者の操作を補助するためのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを有する操作部110を含み、手術支援ロボット100を操作するための遠隔操作装置200と、互いに直交する3軸の直交座標系CAにおいて、操作部110の操作方向とは逆方向の力PWAを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する操作制御部340と、を備える。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置と、
操作者の操作を受け付けるように構成され、前記操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部を含み、前記手術装置を操作するための操作装置と、
互いに直交する3軸の直交座標系において、前記操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、前記駆動部を制御する制御装置と、を備える、手術支援システム。
【請求項2】
前記操作者の前記力のレベルの変更操作を受け付ける第1受付部をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1受付部により受け付けた前記力のレベルの変更操作に基づいて、前記力のレベルを変更する、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記操作部の操作速度に基づいて、前記駆動部の動作パラメータを決定し、決定した前記動作パラメータに基づいて、前記力を働かせるように、前記駆動部を制御する、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記操作部の操作速度の絶対値が第1しきい値以下である場合、前記操作部の操作速度の絶対値が大きくなるに従って前記動作パラメータの絶対値を大きくし、前記操作部の操作速度の絶対値が前記第1しきい値よりも大きい場合、前記動作パラメータの絶対値を最大値で一定にする、請求項3に記載の手術支援システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記操作部の操作の減速時および/または加速時に、前記直交座標系において、制動力を働かせるように、前記駆動部を制御する、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項6】
前記操作者の前記制動力のレベルの変更操作を受け付ける第2受付部をさらに備え、
前記制御装置は、前記第2受付部により受け付けた前記制動力のレベルの変更操作に基づいて、前記制動力のレベルを変更する、請求項5に記載の手術支援システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記操作部の操作の減速時および/または加速時に、前記駆動部の制動パラメータを決定し、決定した前記制動パラメータに基づいて、前記制動力を働かせるように、前記駆動部を制御する、請求項5に記載の手術支援システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記操作部の操作の減速時に、前記制動パラメータを一定にする、請求項7に記載の手術支援システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記操作部の操作の加速時に、前記操作部の操作速度の絶対値が第2しきい値以下である場合、前記制動パラメータを最大値で一定にし、前記操作部の操作速度の絶対値が前記第2しきい値よりも大きくかつ第3しきい値以下である場合、前記操作部の操作速度が大きくなるに従って前記制動パラメータを小さくし、前記操作部の操作速度の絶対値が前記第3しきい値よりも大きい場合、前記制動パラメータをゼロにする、請求項7に記載の手術支援システム。
【請求項10】
前記操作部は、複数の回転軸部を含み、
前記駆動部は、前記複数の回転軸部の各々に対応するように複数設けられ、
前記制御装置は、前記複数の回転軸部のうち前記操作部の固定端側の3つの回転軸部の駆動部において、前記力を働かせる制御を行う、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項11】
前記操作部は、複数の回転軸部と、前記操作者がグリップするグリップ部とを含み、
前記駆動部は、前記複数の回転軸部の各々に対応するように複数設けられ、
前記制御装置は、前記複数の回転軸部のうち前記グリップ部を振り上げる動作に対応する回転軸部の駆動部において、前記操作部の動き出しの際の動き出し補助力を働かせる制御を行う、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項12】
前記操作部の操作の入力と、前記入力に基づく前記ロボットアームへの出力との間の遅延を補償する遅延補償部をさらに備える、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項13】
医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置を操作するための操作装置であって、
操作者の操作を受け付けるように構成され、前記操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部と、
互いに直交する3軸の直交座標系において、前記操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、前記駆動部を制御する制御部と、を備える、操作装置。
【請求項14】
医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置と、操作者の操作を受け付けるように構成され、前記操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部を含み、前記手術装置を操作するための操作装置と、を備える手術支援システムの制御方法であって、
前記操作部の操作を受け付けることと、
互いに直交する3軸の直交座標系において、前記操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、前記駆動部を制御することと、を備える、手術支援システムの制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、手術支援システム、操作装置および手術支援システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術支援システムが知られている。たとえば、特許文献1には、操作者の操作を受け付ける操作部を含むマスタ制御装置と、医療器具を支持し、操作部が受け付けた操作量に基づいて制御されるスレーブとしての多関節ロボットアームとを備える手術支援システムが開示されている。
【0003】
特許文献1では、マスタ制御装置の操作部は、複数のリンクを含む多関節アームにより構成されている。多関節アームは、L字状に屈曲された状態で上方から吊り下げられている。また、多関節アームには、モータが設けられている。これにより、操作者が手によって操作部を支えなくても、重力に抗するようにモータのトルクを発生させることによって、多関節アームのL字状に屈曲された状態が維持される。
【0004】
また、特許文献1では、モータとマスタ制御装置との間に設けられる歯車などの摩擦力を補償するように、操作者の操作部の操作速度に応じてモータが力を発生する。これにより、操作部の操作感が軽くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0243110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された手術支援システムのように、多関節アームのモータに力を発生させることにより操作部の操作感を軽くした場合、操作部の操作感の軽さに起因して直線操作時に操作部がふらつきやすい場合がある。このため、直線操作時の操作部の操作の安定性を向上させることが望まれている。
【0007】
この開示は、直線操作時の操作部の操作の安定性を向上させることが可能な手術支援システム、操作装置および手術支援システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の局面による手術支援システムは、医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置と、操作者の操作を受け付けるように構成され、操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部を含み、手術装置を操作するための操作装置と、互いに直交する3軸の直交座標系において、操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、駆動部を制御する制御装置と、を備える。
【0009】
本開示の第1の局面による手術支援システムでは、互いに直交する3軸の直交座標系において、操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、駆動部を制御する制御装置を設ける。これにより、操作部の操作感を重くすることができるので、操作部の操作感の軽さに起因して直線操作時に操作部がふらつくことを抑制することができる。その結果、直線操作時の操作部の操作の安定性を向上させることができる。
【0010】
本開示の第2の局面による操作装置は、医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置を操作するための操作装置であって、操作者の操作を受け付けるように構成され、操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部と、互いに直交する3軸の直交座標系において、操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、駆動部を制御する制御部と、を備える。
【0011】
本開示の第2の局面による操作装置は、上記のように、互いに直交する3軸の直交座標系において、操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、駆動部を制御する制御部を設ける。これにより、操作部の操作感を重くすることができるので、操作部の操作感の軽さに起因して直線操作時に操作部がふらつくことを抑制することができる。その結果、直線操作時の操作部の操作の安定性を向上させることが可能な操作装置を提供できる。
【0012】
本開示の第3の局面による手術支援システムの制御方法は、医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置と、操作者の操作を受け付けるように構成され、操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部を含み、手術装置を操作するための操作装置と、を備える手術支援システムの制御方法であって、操作部の操作を受け付けることと、互いに直交する3軸の直交座標系において、操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、駆動部を制御することと、を備える。
【0013】
本開示の第3の局面による手術支援システムの制御方法は、上記のように、互いに直交する3軸の直交座標系において、操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、駆動部を制御することを設ける。これにより、操作部の操作感を重くすることができるので、操作部の操作感の軽さに起因して直線操作時に操作部がふらつくことを抑制することができる。その結果、直線操作時の操作部の操作の安定性を向上させることが可能な手術支援システムの制御方法を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、直線操作時の操作部の操作の安定性を向上させることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による手術支援システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態による医療用台車の表示部を示す図である。
図3】一実施形態による医療用台車の構成を示す図である。
図4】一実施形態によるロボットアームの構成を示す図である。
図5】鉗子を示す図である。
図6】一実施形態によるアーム操作部の構成を示す斜視図である。
図7】ロボットアームの並進移動を説明するための図である。
図8】ロボットアームの回転移動を説明するための図である。
図9】内視鏡を示す図である。
図10】ピボット位置設定器具を示す図である。
図11】一実施形態による操作部を示す図である。
図12】一実施形態による右手用のリスト部を示す図である。
図13】一実施形態による左手用のリスト部を示す図である。
図14】一実施形態によるフットペダルを示す斜視図である。
図15】一実施形態による手術支援ロボットの制御ブロック図である。
図16】一実施形態によるロボットアームの制御ブロック図である。
図17】一実施形態によるポジショナおよび医療用台車の制御ブロック図である。
図18】一実施形態による操作部の制御ブロック図である。
図19】一実施形態による直交座標系において操作部に力を働かせることを説明するための図である。
図20】一実施形態による力のレベルの変更の際の受付部を示す図である。
図21】一実施形態による動作パラメータを示すグラフである。
図22】一実施形態による直交座標系において減速時に操作部に制動力を働かせることを説明するための図である。
図23】一実施形態による直交座標系において加速時に操作部に制動力を働かせることを説明するための図である。
図24】一実施形態による制動力のレベルの変更の際の受付部を示す図である。
図25】一実施形態による減速時の動作パラメータを示すグラフである。
図26】一実施形態による加速時の動作パラメータを示すグラフである。
図27】一実施形態による動き出し補助力を働かせることを説明するための図である。
図28】一実施形態による遅延の補償を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(手術支援システムの構成)
本実施形態による手術支援システム500の構成について説明する。手術支援システム500は、手術支援ロボット100と、遠隔操作装置200と、ビジョンユニット300と、画像処理ユニット400と、を備えている。手術支援ロボット100および遠隔操作装置200は、それぞれ、手術装置および操作装置の一例である。
【0017】
なお、本願明細書において、図4から図7に示すように、手術器具1の長手方向をZ方向とする。手術器具1の先端側をZ1側とし、手術器具1の基端側をZ2側とする。Z方向に直交する方向をX方向とする。X方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。Y方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とする。
【0018】
また、本願明細書において、図3に示すように、入力装置22の表示部22aを操作する操作者から見た左右方向をXa方向とする。右方向をXa1方向とし、左方向をXa2方向とする。入力装置22の表示部22aを操作する操作者から見た前後方向をYa方向とする。前方向をYa1方向とし、後方向をYa2方向とする。手術支援ロボット100が配置される床面に対して垂直な方向をZa方向とする。上方向をZa1方向とし、下方向をZa2方向とする。
【0019】
また、本願明細書において、遠隔操作装置200が配置される床面に垂直な方向をZb方向とし、Zb方向に直交し、操作部110を操作する操作者の前後方向をYb方向とし、Zb方向およびYb方向に直交する方向をXb方向とする。Zb方向において、上方向をZb1方向とし、下方向をZb2方向とする。Yb方向において、一方側をYb1方向とし、他方側をYb2方向とする。Xb方向において、一方側をXb1方向とし、他方側をXb2方向とする。
【0020】
図1に示すように、手術支援ロボット100は、手術室内に配置されている。遠隔操作装置200は、手術支援ロボット100から離間した位置に配置されている。遠隔操作装置200は、手術器具1に対する操作を受け付ける。具体的には、医師などの操作者は、手術支援ロボット100に所望の動作を行わせるための指令を遠隔操作装置200に入力する。遠隔操作装置200は、入力された指令を手術支援ロボット100に送信する。手術支援ロボット100は、受信した指令に基づいて動作する。手術支援ロボット100は、滅菌された滅菌野である手術室内に配置されている。
【0021】
(手術支援ロボットの構成)
図1に示すように、手術支援ロボット100は、医療用台車10と、台車ポジショナ操作部20と、ポジショナ30と、アームベース40と、複数のロボットアーム50と、各ロボットアーム50に設けられたアーム操作部60と、を備えている。
【0022】
図3に示すように、台車ポジショナ操作部20が、医療用台車10の後方に台車ポジショナ操作支持部21により支持されており、台車ポジショナ操作部20が操作されることで、医療用台車10またはポジショナ30が移動される。台車ポジショナ操作部20は、入力装置22と、操作ハンドル23を含む。入力装置22は、主に施術前に手術の準備を行うために、ポジショナ30、アームベース40、および、複数のロボットアーム50の移動や姿勢の変更の操作を受け付ける。台車ポジショナ操作部20は、操作ハンドル23、図15に示されるスタビライザ24および電動シリンダ25を含む。
【0023】
図3に示すように、台車ポジショナ操作部20の入力装置22は、表示部22aと、ジョイスティック22bと、イネーブルスイッチ22cと、エラーリセットボタン22dと、スピーカ22eと、を含む。表示部22aは、たとえば、液晶パネルである。図2に示すように、表示部22aには、複数のロボットアーム50に対応する番号が表示されている。また、表示部22aには、複数のロボットアーム50の各々に取り付けられている手術器具1の種類が表示される。表示部22aには、後述するピボット位置PPが設定されたことを示すチェックマークCMが表示される。
【0024】
図3に示すように、ジョイスティック22bは、台車ポジショナ操作部20の入力装置22の表示部22aの近傍に配置されている。表示部22aに表示される動作モードを選択し、ジョイスティック22bを操作することによりポジショナ30が3次元的に移動される。
【0025】
イネーブルスイッチ22cは、台車ポジショナ操作部20のジョイスティック22bの近傍に配置されている。イネーブルスイッチ22cは、ポジショナ30の移動を許可または不許可とする。そして、イネーブルスイッチ22cが押下されポジショナ30の移動が許可された状態でジョイスティック22bが操作されることにより、ポジショナ30が移動される。
【0026】
エラーリセットボタン22dは、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。スピーカ22eは一対配置されている。一対のスピーカ22eは、医療用台車10のうちのポジショナ30が配置される場所の近傍に配置されている。
【0027】
また、操作ハンドル23は、台車ポジショナ操作部20の表示部22aの近傍に配置されている。そして、操作ハンドル23は、看護師、技師などの操作者が把持するとともに回動されることにより医療用台車10の移動を操作するスロットル23aを有する。具体的には、操作ハンドル23は、入力装置22の下方に配置されている。そして、スロットル23aが、手前側から奥側に回動されることにより、医療用台車10が前進する。また、スロットル23aが、奥側から手前側に回動されることにより、医療用台車10が後進する。また、スロットル23aの回動量に応じて医療用台車10の速度が変更される。また、操作ハンドル23は、R方向で示される左右に回動可能に構成されており、操作ハンドル23の回動とともに医療用台車10が回動する。
【0028】
また、台車ポジショナ操作部20の操作ハンドル23に、医療用台車10の移動を許可または不許可とするイネーブルスイッチ23bが配置されている。そして、イネーブルスイッチ23bが押下され医療用台車10の移動が許可された状態で操作ハンドル23のスロットル23aが操作されることにより、医療用台車10が移動される。
【0029】
図1に示すように、ポジショナ30は、たとえば、7軸多関節ロボットからなる。ポジショナ30は、医療用台車10上に配置されている。ポジショナ30は、アームベース40の位置を調整する。ポジショナ30は、アームベース40の位置を3次元的に移動させる。
【0030】
ポジショナ30は、ベース部31と、ベース部31に連結された複数のリンク部32とを含む。複数のリンク部32同士は、関節33により連結されている。
【0031】
アームベース40は、ポジショナ30の先端に取り付けられている。複数のロボットアーム50は、各々のロボットアーム50の基端が、アームベース40に取り付けられている。複数のロボットアーム50は、折り畳まれた収納姿勢をとることが可能である。アームベース40と、複数のロボットアーム50とは、滅菌ドレープにより覆われて使用される。また、ロボットアーム50は、手術器具1を支持する。
【0032】
アームベース40には、図15に示される、ステータスインジケータ41およびアームステータスインジケータ42が配置されている。ステータスインジケータ41は、手術支援システム500の状態を表示する。アームステータスインジケータ42は、ロボットアーム50の状態を表示する。
【0033】
ロボットアーム50は、複数配置されている。具体的には、4つのロボットアーム50a、50b、50cおよび50dが配置されている。ロボットアーム50a、50b、50cおよび50dは、互いに同様の構成を有する。
【0034】
図4に示すように、ロボットアーム50は、アーム部51と、第1リンク部52と、第2リンク部53と、並進移動機構部54とを含む。ロボットアーム50は、関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6、JT7およびJT8を有する。関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7は、各々、の回転軸線としての、A1、A2、A3、A4、A5、A6およびA7軸線を有する。JT8は、直動軸線としてのA8軸線を有する。A1からA7までの軸線は、各々、アーム部51の関節JT1から関節JT7までの回転軸線である。また、A7軸線は、第1リンク部52の回転軸線である。A8軸線は、並進移動機構部54が、第2リンク部53を第1リンク部52に対してZ方向に沿って相対的に移動させる直動軸線である。アーム部51は、ベース部51a、および、リンク部51bを含む。
【0035】
アーム部51は、7軸多関節ロボットアームからなる。第1リンク部52は、アーム部51の先端に配置されている。第2リンク部53には、後述するアーム操作部60が取り付けられる。並進移動機構部54は、第1リンク部52と第2リンク部53との間に配置されている。第2リンク部53には、手術器具1を保持するホルダ55が配置されている。並進移動機構部54は、手術器具1が取り付けられたホルダ55を第1の位置と第2の位置の間で並進させる。第1の位置とは、A8軸線に沿った並進移動機構部54によるホルダ55の移動範囲のうちのZ2方向側の端部の位置である。第2の位置とは、A8軸線に沿った並進移動機構部54によるホルダ55の移動範囲のうちのZ1方向側の端部の位置である。
【0036】
複数のロボットアーム50の各々は、手術器具1を支持するために設けられている。複数のロボットアーム50の各々の先端には、手術器具1が取り付けられている。手術器具1は、たとえば、取り換え可能なインストゥルメント2、手術部位の画像を取り込むための図9に示される内視鏡3、および、ピボット位置PPを設定するための図10に示されるピボット位置設定器具4などを含む。インストゥルメント2は、被駆動ユニット2aと鉗子2bとシャフト2cとを含む。手術器具1は、医療器具の一例である。
【0037】
図1に示すように、複数のロボットアーム50のうちの一つの、たとえば、ロボットアーム50cの先端には内視鏡3が取り付けられ、残りの、たとえば、ロボットアーム50a、50bおよび50dの先端には、インストゥルメント2が取り付けられる。内視鏡3は、互いに隣り合うように配置されている4つのロボットアーム50のうちの、中央に配置される2つのロボットアーム50bおよび50cのうちのいずれかに取り付けられることが望ましい。
【0038】
(インストゥルメントの構成)
図5に示すように、インストゥルメント2の先端には、たとえば、鉗子2bが設けられている。インストゥルメント2の先端には、鉗子2b以外に、関節を有する器具として、ハサミ、グラスパー、ニードルホルダ、マイクロジセクター、ステーブルアプライヤー、タッカー、吸引洗浄ツール、スネアワイヤ、および、クリップアプライヤーなどが配置される。インストゥルメント2の先端には、関節を有しない器具として、切断刃、焼灼プローブ、洗浄器、カテーテル、および、吸引オリフィスなどが配置される。
【0039】
鉗子2bは、第1支持体2dと、第2支持体2eとを含む。第1支持体2dは、ジョー部材2fおよびジョー部材2gの基端側をA11軸線周りに回転可能に支持する。第2支持体2eは、第1支持体2dの基端側をA10軸線周りに回転可能に支持する。シャフト2cは、A9軸線周りに回動する。ジョー部材2fおよびジョー部材2gは、A11軸線周りに開閉する。
【0040】
(アーム操作部の構成)
図6に示すように、アーム操作部60は、ロボットアーム50に取り付けられており、ロボットアーム50を操作する。具体的には、アーム操作部60は、第2リンク部53に取り付けられている。
【0041】
アーム操作部60は、イネーブルスイッチ61と、ジョイスティック62と、リニアスイッチ63と、モード切替ボタン64と、モードインジケータ65と、ピボットボタン66と、アジャストメントボタン67と、を含む。
【0042】
イネーブルスイッチ61は、押下されることにより、ジョイスティック62およびリニアスイッチ63によるロボットアーム50の移動を許可または不許可とする。看護師、助手などの操作者によりアーム操作部60が把持された状態で、イネーブルスイッチ61が押下されることにより、ロボットアーム50による手術器具1の移動が許可される。
【0043】
ジョイスティック62は、ロボットアーム50による手術器具1の移動を操作するための操作具である。ジョイスティック62は、ロボットアーム50の移動方向および移動速度を操作する。ジョイスティック62が倒された方向および倒された角度に応じて、ロボットアーム50が移動される。
【0044】
リニアスイッチ63は、手術器具1の長手方向であるZ方向に手術器具1を移動させるためのスイッチである。リニアスイッチ63は、手術器具1を患者Pに挿入する方向に移動させるリニアスイッチ63aと、手術器具1を患者Pから離間する方向に移動させるリニアスイッチ63bとを含む。リニアスイッチ63aとリニアスイッチ63bとは、共に、押しボタンスイッチからなる。
【0045】
モード切替ボタン64は、手術器具1を並進移動させるモードと回転移動させるモードとを切り替えるための押しボタンスイッチである。図7に示すように、ロボットアーム50を並進移動させるモードでは、手術器具1の先端1aが、X-Y平面上において移動するように、ロボットアーム50が移動される。図8に示すように、ロボットアーム50を回転移動させるモードでは、ピボット位置PPが記憶部351に記憶されていない時は、手術器具1としてのインストゥルメント2の鉗子2bのA11軸線の中心を支点に回転移動し、ピボット位置PPが記憶部351に記憶されている時は、ピボット位置PPを支点として手術器具1が回転移動するように、ロボットアーム50が移動される。なお、手術器具1のシャフト1cがトロカールTに挿入された状態で、手術器具1が回転移動される。モード切替ボタン64は、アーム操作部60のZ方向側の面に配置されている。
【0046】
モードインジケータ65は、切り替えられたモードを表示する。モードインジケータ65の点灯は、回転移動モードを表し、消灯は、並進移動モードを表す。また、モードインジケータ65は、ピボット位置PPが設定されたことを表示するピボット位置インジケータを兼ねている。モードインジケータ65は、アーム操作部60のZ方向側の面に配置されている。
【0047】
ピボットボタン66は、ロボットアーム50に取り付けられた手術器具1の移動の支点となるピボット位置PPを設定するための押しボタンスイッチである。
【0048】
アジャストメントボタン67は、ロボットアーム50の位置を最適化するためのボタンである。内視鏡3が取り付けられたロボットアーム50に対するピボット位置PPの設定後、アジャストメントボタン67が押下されることにより、他のロボットアーム50およびアームベース40の位置が最適化される。アジャストメントボタン67は、イネーブルスイッチ61とは異なるボタンである。
【0049】
(遠隔操作装置)
図1に示すように、遠隔操作装置200は、たとえば、手術室の中または手術室の外に配置されている。遠隔操作装置200は、操作部110と、フットペダル120と、タッチパネル130と、モニタ140と、支持アーム150と、支持バー160と、エラーリセットボタン161と、を含む。操作部110は、医師などの操作者が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。
【0050】
(操作部)
図11に示すように、操作部110は、手術器具1を操作するためのハンドルである。また、操作部110は、手術器具1に対する操作者の操作を受け付ける。操作部110は、医師などの操作者から見て、左側に配置され、操作者の左手により操作される操作部110Lと、右側に配置され、操作者の右手により操作される操作部110Rと、を含んでいる。操作部110は、アーム部111とリスト部112とを含む。また、操作部110Rは、アーム部111Rとリスト部112Rとを含む。また、操作部110Lは、アーム部111Lとリスト部112Lとを含む。
【0051】
図11図12および図13に示すように、操作部110は、関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27を有する。関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27の回転軸線は、各々、A21、A22、A23、A24、A25、A26およびA27軸線である。関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27は、回転軸部の一例である。
【0052】
(アーム部)
アーム部111は、リンク部111aと、リンク部111bと、リンク部111cとを有する。リンク部111aの上端側は、鉛直方向に沿ったA21軸線回りに回動可能に遠隔操作装置200に取り付けられている。リンク部111bの上端側は、水平方向に沿ったA22軸線回りに回動可能にリンク部111aの下端側に取り付けられている。リンク部111cの一方端側は、水平方向に沿ったA23軸線回りに回動可能にリンク部111bの下端側に取り付けられている。リンク部111cの他方端側には、A24軸線回りに回動可能にリスト部112が取り付けられている。リンク部111aは、関節JT21により遠隔操作装置200に接続されている。リンク部111aとリンク部111bとは、関節JT22により接続されている。リンク部111bとリンク部111cとは、関節JT23により接続されている。アーム部111は、リスト部112を支持する。
【0053】
リスト部112は、図12に示す操作者の右手によって操作されるリスト部112Rと、図13に示す操作者の左手によって操作されるリスト部112Lとを含む。図12は操作部110Rの基準姿勢を表し、図13は操作部110Lの基準姿勢を表している。リスト部112Rの構成と、リスト部112Lの構成とは同様である。
【0054】
リスト部112は、リンク部112a、リンク部112b、リンク部112c、医師などの操作者がグリップして操作するグリップ部112dと、を含む。リンク部112aは、A24軸線周りに回動する。リンク部112bは、リンク部112aに対して、A25軸線周りに回動可能に取り付けられている。リンク部112cは、リンク部112bに対して、A26軸線周りに回動可能に取り付けられている。グリップ部112dは、リンク部112cに対して、A27軸線周りに回動可能に取り付けられている。リンク部112a、リンク部112bおよびリンク部112cは、各々、L字形状を有する。
【0055】
リスト部112は、操作者によって開閉される一対のグリップ部材112eを含む。グリップ部材112eは、細長いプレート状のレバー部材からなり、一対のグリップ部材112eは、それぞれの近位端がグリップ部112dの近位端に回転可能に接続されている。グリップ部材112eには、円筒状の指挿入部112fが配置されている。操作者は、一対の指挿入部112fに指を挿入してリスト部112を操作する。一対のグリップ部材112eは、それぞれの基端がグリップ部112dに接続されており、一対のグリップ部材112e間の角度を大きくしたり小さくしたりすることにより、ジョー部材2fとジョー部材2gとの開き角度が変更される。グリップ部材112eの一方に磁石が配置され、グリップ部112dにホールセンサが配置されている。操作者がグリップ部材112eを開閉すると、磁石とホールセンサとが角度検知センサとして機能し、ホールセンサは開き角度を出力する。なお、角度検知センサとして、グリップ部材112eにホールセンサを、グリップ部112dに磁石を配置しても良い。また、グリップ部材112eの両方に、角度検知センサとして磁石またはホールセンサを配置しても良い。
【0056】
操作部110の複数の回転軸線の交点は、ジンバル点GPと呼ばれる。具体的には、ジンバル点GPは、A24軸線と、A25軸線と、A26軸線と、A27軸線とが交差する点である。ジンバル点GPは、一対のグリップ部材112eが取り付けられるグリップ部112dに位置している。ジンバル点GPは、操作部110Lと操作部110Rとの各々に個別に存在する。操作部110Rのジンバル点をGPRとする。操作部110Lのジンバル点をGPLとする。
【0057】
基準姿勢において、操作部110のA24軸線とA26軸線とは、Zb方向に沿っている。A25軸線はXb方向に沿っている。A27軸線はYb方向に沿っている。図12に示すように、基準姿勢において、リスト部112Rのリンク部112aおよびリンク部112bは、Xb-Zb平面に沿うように、かつ、A27軸線に対してXb1側に配置されている。基準姿勢において、リンク部112cは、Yb-Zb平面に沿うように配置されている。基準姿勢において、グリップ部112dは、A27軸線に沿うように配置されている。
【0058】
基準姿勢において、リスト部112Lのリンク部112aおよびリンク部112bは、Xb-Zb平面に沿うように、かつ、A27軸線に対してXb2側に配置されている。基準姿勢において、リンク部112cは、Yb-Zb平面に沿うように配置されている。基準姿勢において、グリップ部112dは、A27軸線に沿うように配置されている。
【0059】
図1に示すように、モニタ140は、内視鏡3によって取り込まれた画像を表示するためのスコープ型表示装置である。また、モニタ140には、報知部141が配置されている。報知部141は、エラー音を報知する。支持アーム150は、モニタ140の高さを医師などの操作者の顔の高さに合わせるようにモニタ140を支持する。タッチパネル130は、支持バー160に配置されている。モニタ140近傍に設けられたセンサにより操作者の頭部を検知することにより手術支援ロボット100は遠隔操作装置200による操作が可能になる。操作者は、モニタ140により患部を視認しながら、操作部110およびフットペダル120を操作する。これにより、遠隔操作装置200に指令が入力される。遠隔操作装置200に入力された指令は、手術支援ロボット100に送信される。
【0060】
エラーリセットボタン161は、支持バー160に配置されている。エラーリセットボタン161は、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。
【0061】
(フットペダル)
図14に示すように、フットペダル120は、手術器具1に関する機能を実行するように複数設けられている。また、複数のフットペダル120は、基台部121に配置されている。フットペダル120は、切替ペダル122と、クラッチペダル123と、カメラペダル124と、切開ペダル125と、凝固ペダル126と、足検知部127と、を含んでいる。切替ペダル122と、クラッチペダル123と、カメラペダル124と、切開ペダル125と、凝固ペダル126とは、操作者の足により操作される。また、切開ペダル125は、右側のロボットアーム50用の切開ペダル125Rと、左側のロボットアーム50用の切開ペダル125Lとを含む。また、凝固ペダル126は、右側のロボットアーム50用の凝固ペダル126Rと、左側のロボットアーム50用の凝固ペダル126Lとを含む。
【0062】
切替ペダル122は、操作部110で動作させるロボットアーム50を切り替える。クラッチペダル123は、ロボットアーム50と操作部110との操作接続を一時切断するクラッチ操作を実行する。クラッチペダル123が操作者によって踏み込まれている間、操作部110による操作が、ロボットアーム50に伝達されなくなる。また、カメラペダル124が操作者によって踏み込まれている間、操作部110によって、内視鏡3が取り付けられたロボットアーム50を操作することが可能になる。切開ペダル125または凝固ペダル126が操作者によって踏み込まれている間、電気手術装置が起動する。
【0063】
足検知部127は、フットペダル120を操作する操作者の足を検知する。足検知部127は、切替ペダル122、クラッチペダル123、カメラペダル124、切開ペダル125Lと凝固ペダル126Lおよび切開ペダル125Rと凝固ペダル126Rの各々について設けられ、各フットペダル120の上方に位置するホバー状態の足を検知する。足検知部127は、基台部121に配置されている。なお、カメラペダル124を含む。フットペダル120の機能は、本実施形態のような操作者が足で踏み込むペダルによるものに限定されず、たとえば、操作部110にハンドスイッチ等の入力装置を設けることにより、操作者の手での操作によるものとしてもよい。
【0064】
(ビジョンユニットおよび画像処理ユニット)
図1に示すように、ビジョンユニット300および画像処理ユニット400は、カート210に載置されている。画像処理ユニット400は、内視鏡3により撮影された画像を処理する。カート210には、表示部220が配置されている。表示部220には、内視鏡3により撮影された画像が表示される。ビジョンユニット300には、エラーリセットボタン230および報知部240が配置されている。エラーリセットボタン230は、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。報知部240は、エラー音を報知する。
【0065】
(制御系の構成)
図15に示すように、手術支援システム500は、第1制御装置310と、アーム制御部320と、ポジショナ制御部330と、操作制御部340と、第2制御装置350と、を備えている。また、手術支援システム500は、第1制御装置310に接続される記憶部311と、第2制御装置350に接続される記憶部351とを備えている。操作制御部340は、制御装置および制御部の一例である。
【0066】
第1制御装置310は、医療用台車10の内部においてアーム制御部320およびポジショナ制御部330と通信するように配置され、手術支援システム500の全体を制御する。具体的には、第1制御装置310は、アーム制御部320、ポジショナ制御部330、および、操作制御部340の各々と通信し、制御する。第1制御装置310と、アーム制御部320、ポジショナ制御部330、および、操作制御部340とは、LANなどによって接続されている。第1制御装置310は、医療用台車10の内部に配置されている。
【0067】
アーム制御部320は、複数のロボットアーム50ごとに配置されている。すなわち、医療用台車10の内部には、複数のロボットアーム50の数に対応した複数のアーム制御部320が配置されている。
【0068】
入力装置22は、第1制御装置310にLANなどによって接続されている。ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42、操作ハンドル23、スロットル23a、ジョイスティック22b、スタビライザ24および電動シリンダ25と、ポジショナ制御部330とは、配線360によって、互いの情報を共有可能な通信ネットワークによりシリアル通信接続されている。なお、図15では、1つの配線360に、ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42などの全てが接続されているように記載されているが、実際には、ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42、操作ハンドル23、スロットル23a、ジョイスティック22b、スタビライザ24および電動シリンダ25ごとに、配線360が配置されている。
【0069】
図16に示すように、アーム部51には、関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7の各々に対応するように、複数のサーボモータSM1と、エンコーダEN1と、減速機とが設けられている。エンコーダEN1は、サーボモータSM1の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM1の回転を減速させてトルクを増大させる。医療用台車10の内部には、サーボモータSM1を制御するためのサーボ制御部SC1がアーム制御部320に隣接して配置されている。また、サーボ制御部SC1には、サーボモータSM1の回転角を検出するためのエンコーダEN1が電気的に接続されている。
【0070】
第2リンク部53には、手術器具1の被駆動ユニット2aに配置された被駆動部材を回転させるためのサーボモータSM2と、エンコーダEN2と、減速機とが配置されている。エンコーダEN2は、サーボモータSM2の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM2の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車10には、手術器具1を駆動するサーボモータSM2を制御するためのサーボ制御部SC2が配置されている。サーボ制御部SC2には、サーボモータSM2の回転角を検出するためのエンコーダEN2が電気的に接続されている。なお、サーボモータSM2、エンコーダEN2およびサーボ制御部SC2は、各々複数配置されている。
【0071】
並進移動機構部54には、手術器具1を並進移動させるためのサーボモータSM3と、エンコーダEN3と、減速機とが設けられている。エンコーダEN3は、サーボモータSM3の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM3の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車10には、手術器具1を並進移動するサーボモータSM3を制御するためのサーボ制御部SC3が配置されている。サーボ制御部SC3には、サーボモータSM3の回転角を検出するためのエンコーダEN3が電気的に接続されている。
【0072】
第1制御装置310は、遠隔操作装置200が受け付けた操作に基づいてサーボモータSM1、SM2およびSM3の位置を指令する指令値を生成し、指令値に基づいてサーボモータSM1、SM2およびSM3を駆動する。そして、第1制御装置310は、指令値とセンサにより検出されたサーボモータSM1、SM2およびSM3の位置との差が許容範囲を超えた場合に偏差異常のエラーを検出する。
【0073】
図17に示すように、ポジショナ30には、ポジショナ30の複数の関節33に対応するように、複数のサーボモータSM4と、エンコーダEN4と、減速機とが設けられている。エンコーダEN4は、サーボモータSM4の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータSM4の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0074】
医療用台車10は、車輪を備えており、駆動輪としての前輪と、操作ハンドル23によって操舵される後輪とを有する。なお、後輪は、前輪よりも操作ハンドル23に近い側に配置されている。また、医療用台車10には、医療用台車10の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータSM5と、エンコーダEN5と、減速機と、ブレーキBRKとが配置されている。減速機は、サーボモータSM5の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。また、医療用台車10の操作ハンドル23には、図3に示すポテンショメータP1が配置されており、スロットル23aの捻りに応じてポテンショメータP1で検出した回転角に基づき、前輪のサーボモータSM5は駆動される。また、医療用台車10の後輪は、双輪形式であり、操作ハンドル23の左右の回動に基づき、後輪は操舵される。また、医療用台車10の操作ハンドル23には、図3に示すポテンショメータP2が回動軸に配置されており、医療用台車10の後輪には、サーボモータSM6とエンコーダEN6と減速機が配置されている。減速機は、サーボモータSM6の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。操作ハンドル23の左右の回動に応じてポテンショメータP2で検出した回転角に基づき、サーボモータSM6は駆動される。すなわち、操作ハンドル23の左右の回動による後輪の操舵は、サーボモータSM6によりパワーアシストされるように構成されている。
【0075】
医療用台車10は、前輪が駆動されることにより、前後方向に移動する。また、医療用台車10の操作ハンドル23が回動されることにより、後輪が操舵されて、医療用台車10が左右方向に回動する。
【0076】
図17に示すように、医療用台車10には、ポジショナ30を移動するサーボモータSM4を制御するためのサーボ制御部SC4が配置されている。また、サーボ制御部SC4には、サーボモータSM4の回転角を検出するためのエンコーダEN4が電気的に接続されている。また、医療用台車10には、医療用台車10の前輪を駆動するサーボモータSM5を制御するためのサーボ制御部SC5が配置されている。サーボ制御部SC5には、サーボモータSM5の回転角を検出するためのエンコーダEN5が電気的に接続されている。医療用台車10には、医療用台車10の後輪の操舵をパワーアシストするサーボモータSM6を制御するためのサーボ制御部SC6が配置されている。サーボ制御部SC6には、サーボモータSM6の回転角を検出するためのエンコーダEN6が電気的に接続されている。
【0077】
図16および図17に示すように、アーム部51の関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7と、ポジショナ30の関節33の各々には、ブレーキBRKが搭載されている。また、医療用台車10の前輪と、アームベース40および並進移動機構部54にもブレーキBRKが搭載されている。アーム制御部320からアーム部51の関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7と並進移動機構部54とに搭載された各ブレーキBRKへ制御信号が各々一方通行で送信される。制御信号は、ブレーキBRKをオンオフする信号である。ブレーキBRKをオンする信号は、ブレーキBRKが効いている状態を保持する信号を含む。ポジショナ制御部330から、ポジショナ30の関節33とアームベース40とに搭載された各ブレーキBRKへの制御信号についても同様である。アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とは、起動時に全てのブレーキBRKが解除され、重力に抗するようにサーボモータSMが駆動されることにより、ロボットアーム50の姿勢とアームベース40の姿勢とが維持される。手術支援システム500にエラーが発生した際には、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKがオンされる。手術支援システム500のエラーが解除されると、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKはオフされる。手術支援システム500のシャットダウン操作によって、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKはオンされる。また、医療用台車10の前輪は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車10のイネーブルスイッチ23bが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。また、ポジショナ30の各関節33は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車10のイネーブルスイッチ22cが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。
【0078】
図18に示すように、操作部110の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27には、各々、サーボモータSM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7fおよびSM7gが配置されている。各サーボモータを制御するためのサーボ制御部SC7a、SC7b、SC7c、SC7d、SC7e、SC7fおよびSC7gが配置されている。各サーボ制御部には、各サーボモータの回転角を検出するためのエンコーダEN7a、EN7b、EN7c、EN7d、EN7e、EN7fおよびEN7gが電気的に接続されている。なお、各サーボモータ、各サーボ制御部、および、各エンコーダは、操作部110Lと、操作部110Rとに各々設けられている。サーボモータSM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7fおよびSM7gは、操作者の操作を補助するために設けられている。サーボモータSM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7fおよびSM7gは、駆動部の一例である。
【0079】
操作制御部340は、操作部110の姿勢に応じて、各サーボモータの回転軸線に発生する重力トルクを打ち消すようなトルクを発生するように、各サーボモータを制御する。これにより、操作者は、比較的小さい力で操作部110を操作することが可能になる。
【0080】
図15に示すように、第1制御装置310は、アーム操作部60に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム50を制御する。たとえば、第1制御装置310は、アーム操作部60のジョイスティック62に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム50を制御する。具体的には、アーム制御部320は、ジョイスティック62から入力された入力信号を第1制御装置310に出力する。第1制御装置310は、受け取った入力信号と、エンコーダEN1により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部320を介して、位置指令をサーボ制御部SC1に出力する。サーボ制御部SC1は、アーム制御部320から入力された位置指令と、エンコーダEN1により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータSM1に出力する。これにより、ジョイスティック62に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム50が移動される。
【0081】
第1制御装置310は、アーム操作部60のリニアスイッチ63からの入力信号に基づいてロボットアーム50を制御する。具体的には、アーム制御部320は、リニアスイッチ63から入力された入力信号を第1制御装置310に出力する。第1制御装置310は受け取った入力信号と、エンコーダEN1またはEN3により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部320を介して、位置指令をサーボ制御部SC1またはSC3に出力する。サーボ制御部SC1またはSC3は、アーム制御部320から入力された位置指令と、エンコーダEN1またはEN3により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータSM1またはSM3に出力する。これにより、リニアスイッチ63に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム50が移動される。
【0082】
ポジショナ制御部330は、医療用台車10に配置されている。ポジショナ制御部330は、ポジショナ30および医療用台車10を制御する。ポジショナ30には、ポジショナ30の複数の関節33に対応するように、サーボモータSM4と、エンコーダEN4と、減速機とが配置されている。ポジショナ30のサーボモータSM4を制御するサーボ制御部SC4は、医療用台車10に配置されている。医療用台車10には、医療用台車10の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータSM5およびSM6と、エンコーダEN5およびEN6と、減速機と、サーボ制御部SC5およびSC6と、ブレーキBRKとが配置されている。
【0083】
操作制御部340は、遠隔操作装置200の本体に配置されている。操作制御部340は、操作部110を制御する。操作制御部340は、図15に示すように、左手用の操作部110Lと右手用の操作部110Rとの各々に対応するように配置されている。操作部110には、操作部110の複数の関節JT21からJT27までに対応するように、サーボモータSMと、エンコーダENと、減速機とが配置されている。操作部110のサーボモータSMを制御するサーボ制御部SCは、操作制御部340に隣接して遠隔操作装置200の本体に配置されている。
【0084】
図15に示すように、ビジョンユニット300と、画像処理ユニット400とは、LANなどにより、第1制御装置310に接続されている。表示部220は、ビジョンユニット300に接続されている。
【0085】
図19に示すように、操作部110には、互いに直交する3軸の直交座標系CAが設定されている。直交座標系CAの3軸は、Xb方向、Yb方向およびZb方向を含んでいる。また、直交座標系CAは、基準姿勢の場合のグリップ部112dの位置に原点を有している。なお、図19では、便宜上、操作部110Rを図示しているが、操作部110Lも同様である。
【0086】
ここで、本実施形態では、操作制御部340は、直交座標系CAにおいて、操作部110の操作方向とは逆方向の力PWAを働かせるように、サーボモータを制御する。具体的には、操作制御部340は、直交座標系CAにおいて、操作部110の操作方向とは逆方向の力PWAを働かせるように、複数のサーボモータSM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7fおよびSM7gの少なくとも1つを制御する。より具体的には、操作制御部340は、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27のうち操作部110の固定端側の3つの関節JT21、JT22およびJT23のサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cにおいて、力PWAを働かせる制御を行う。すなわち、操作制御部340は、ロボットアーム50によって手術器具1を移動させる関節JT21、JT22およびJT23のサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cにおいて、力PWAを働かせる制御を行う。なお、図19では、操作部110の操作方向がXb方向の正方向であり、力PWAがXb方向の負方向に働く例を示している。操作部110の固定端側とは、リンク部111a側を意味する。
【0087】
操作制御部340は、複数のエンコーダEN7a、EN7b、EN7c、EN7d、EN7e、EN7fおよびEN7gの少なくとも1つの回転角の検出結果に基づいて、直交座標系CAにおける操作部110の操作方向を取得する。そして、操作制御部340は、取得した操作部110の操作方向とは逆方向の力PWAを働かせるような電流指令値を生成し、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cに出力する。そして、電流指令値に基づいてサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cが駆動されると、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの駆動により発生した力の合成結果として、力PWAが働く。
【0088】
また、本実施形態では、手術支援システム500は、図20に示すように、操作者の力PWAのレベルの変更操作を受け付ける受付部130aを備えている。力PWAのレベルは、複数のレベルを含んでいる。受付部130aは、複数のレベルに対応するレベル選択部130b1、130b2、130b3および130b4を含んでいる。レベル選択部130b1、130b2、130b3および130b4は、それぞれ、軽いレベル、少し軽いレベル、少し重いレベル、および、重いレベルに対応している。操作制御部340は、受付部130aにより受け付けた力PWAのレベルの変更操作に基づいて、力PWAのレベルを変更する。なお、受付部130aは、第1受付部および第2受付部の一例である。
【0089】
また、受付部130aは、力PWAのレベルと、後述する制動力PWBのレベルとのうち、レベルを変更する対象を選択するためのレベル変更対象選択部130cを含んでいる。レベル選択部130b1、130b2、130b3および130b4は、レベル変更対象選択部130cにより選択された対象に対するレベルの変更を受け付ける。たとえば、レベル変更対象選択部130cの“動作時”のボタンが押下されると、レベル選択部130b1、130b2、130b3および130b4は、力PWAのレベルの変更を受け付ける。また、たとえば、レベル変更対象選択部130cの“停止時”のボタンが押下されると、レベル選択部130b1、130b2、130b3および130b4は、制動力PWBのレベルの変更を受け付ける。
【0090】
受付部130aは、たとえば、遠隔操作装置200のタッチパネル130に表示される。レベル選択部130b1、130b2、130b3および130b4と、レベル変更対象選択部130cとは、タッチボタンである。
【0091】
また、本実施形態では、図21に示すように、操作制御部340は、操作部110の操作速度Vに基づいて、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの動作パラメータPAを決定し、決定した動作パラメータPAに基づいて、力PWAを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。
【0092】
具体的には、操作制御部340は、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1以下である場合、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って動作パラメータPAの絶対値を大きくし、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1よりも大きい場合、動作パラメータPAの絶対値を最大値で一定にする。すなわち、操作部110の操作速度Vの絶対値がゼロから第1しきい値TH1までは、操作部110の操作速度Vの絶対値が増加するに従って動作パラメータPAの絶対値がゼロから動作パラメータPAの絶対値の最大値まで線形的に増加する。また、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1よりも大きくなった後は、動作パラメータPAの絶対値が最大値で一定になる。
【0093】
図21において、実線は、レベル選択部130b1が押下された場合の動作パラメータPAを表している。また、点線は、レベル選択部130b2が押下された場合の動作パラメータPAを表している。また、一点鎖線は、レベル選択部130b3が押下された場合の動作パラメータPAを表している。また、二点鎖線は、レベル選択部130b4が押下された場合の動作パラメータPAを表している。選択された力PWAのレベルが高いほど、動作パラメータPAの傾き、および、動作パラメータPAの絶対値の最大値が大きい。
【0094】
動作パラメータPAは、たとえば、粘性摩擦力である。粘性摩擦力に対応する力PWAが働くように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cが制御される。
【0095】
操作制御部340は、複数のエンコーダEN7a、EN7b、EN7c、EN7d、EN7e、EN7fおよびEN7gの少なくとも1つの回転角の検出結果に基づいて、直交座標系CAにおける操作部110の操作速度Vを取得する。そして、操作制御部340は、取得した操作部110の操作速度Vと、選択された力PWAのレベルとに基づいて、動作パラメータPAを決定する。たとえば、操作制御部340は、図21に示されるグラフに対応するような、操作部110の操作速度Vと、力PWAのレベルと、動作パラメータPAとを対応付けたテーブルなどの対応情報に基づいて、動作パラメータPAを決定する。
【0096】
また、本実施形態では、図22および図23に示すように、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時および/または加速時に、直交座標系CAにおいて、制動力PWBを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。具体的には、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時に、直交座標系CAにおいて、操作部110に働く慣性力PWCの方向とは逆方向の制動力PWBを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。また、操作部110の操作の加速時に、直交座標系CAにおいて、操作部110に働く慣性力PWCと同じ方向の制動力PWBを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。なお、図22では、減速時に、操作部110に働く慣性力PWCの方向がXb方向の正方向であり、制動力PWBXb方向の負方向に働く例を示している。また、図23では、加速時に、操作部110に働く慣性力PWCの方向がXb方向の負方向であり、制動力PWBがXb方向の負方向に働く例を示している。
【0097】
操作制御部340は、複数のエンコーダEN7a、EN7b、EN7c、EN7d、EN7e、EN7fおよびEN7gの少なくとも1つの回転角の検出結果に基づいて、直交座標系CAにおける操作部110の加速度を取得する。そして、操作制御部340は、取得した操作部110の加速度に基づいて、操作部110の操作の減速時であるかまたは加速時であるかを判断する。そして、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時である場合、操作部110に働く慣性力PWCの方向とは逆方向の制動力PWBを働かせるような電流指令値を生成し、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cに出力する。また、操作制御部340は、操作部110の操作の加速時である場合、操作部110に働く慣性力PWCの方向と同じ方向の制動力PWBを働かせるような電流指令値を生成し、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cに出力する。そして、電流指令値に基づいてサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cが駆動されると、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの駆動により発生した力の合成結果として、制動力PWBが働く。
【0098】
また、本実施形態では、図24に示すように、受付部130aは、操作者の制動力PWBのレベルの変更操作を受け付ける。操作制御部340は、受付部130aにより受け付けた制動力のレベルの変更操作に基づいて、制動力PWBのレベルを変更する。
【0099】
また、本実施形態では、図25および図26に示すように、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時および/または加速時に、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの制動パラメータPBを決定し、決定した制動パラメータPBに基づいて、制動力PWBを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。
【0100】
具体的には、図25に示すように、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時に、制動パラメータPBを一定にする。すなわち、操作部110の操作の減速時には、操作部110の操作速度Vにかかわらず、制動パラメータPBが一定値になる。
【0101】
図25において、実線は、レベル選択部130b1が押下された場合の減速時の制動パラメータPBを表している。また、点線は、レベル選択部130b2が押下された場合の減速時の制動パラメータPBを表している。また、一点鎖線は、レベル選択部130b3が押下された場合の減速時の制動パラメータPBを表している。また、二点鎖線は、レベル選択部130b4が押下された場合の減速時の制動パラメータPBを表している。選択された制動力PWBのレベルが高いほど、制動パラメータPBの値が大きい。
【0102】
また、図26に示すように、操作制御部340は、操作部110の操作の加速時に、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2以下である場合、制動パラメータPBを最大値で一定にし、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2よりも大きくかつ第3しきい値TH3以下である場合、操作部110の操作速度Vが大きくなるに従って制動パラメータPBを小さくし、操作部110の操作速度Vの絶対値が第3しきい値TH3よりも大きい場合、制動パラメータPBをゼロにする。すなわち、操作部110の操作速度Vの絶対値がゼロから第2しきい値TH2までは、制動パラメータPBが最大値で一定になる。また、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2から第3しきい値TH3までは、操作部110の操作速度Vの絶対値が増加するに従って制動パラメータPBが最大値からゼロまで線形的に減少する。また、操作部110の操作速度Vの絶対値が第3しきい値TH3よりも大きくなった後は、制動パラメータPBがゼロで一定になる。
【0103】
図26において、実線は、レベル選択部130b1が押下された場合の加速時の制動パラメータPBを表している。また、点線は、レベル選択部130b2が押下された場合の加速時の制動パラメータPBを表している。また、一点鎖線は、レベル選択部130b3が押下された場合の加速時の制動パラメータPBを表している。また、二点鎖線は、レベル選択部130b4が押下された場合の加速時の制動パラメータPBを表している。選択された制動力PWBのレベルが高いほど、制動パラメータPBの傾き、および、制動パラメータPBの最大値が大きい。
【0104】
制動パラメータPBは、たとえば、慣性摩擦係数である。慣性摩擦係数に加速度を乗算した慣性摩擦力に対応する制動力PWBが働くように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cが制御される。
【0105】
操作制御部340は、複数のエンコーダEN7a、EN7b、EN7c、EN7d、EN7e、EN7fおよびEN7gの少なくとも1つの回転角の検出結果に基づいて、直交座標系CAにおける操作部110の操作速度Vを取得する。そして、操作制御部340は、取得した操作部110の操作速度Vと、選択された制動力PWBのレベルとに基づいて、制動パラメータPBを決定する。たとえば、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時に、図25に示されるグラフに対応するような、操作部110の操作速度Vと、力PWAのレベルと、動作パラメータPAとを対応付けたテーブルなどの対応情報に基づいて、制動パラメータPBを決定する。また、たとえば、操作制御部340は、操作部110の操作の加速時に、図26に示されるグラフに対応するような、操作部110の操作速度Vと、力PWAのレベルと、動作パラメータPAとを対応付けたテーブルなどの対応情報に基づいて、制動パラメータPBを決定する。
【0106】
また、本実施形態では、図27に示すように、操作制御部340は、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27のうちグリップ部112dを振り上げる動作に対応する関節JT25のサーボモータSM7eにおいて、操作部110の動き出しの際の動き出し補助力PWDを働かせる制御を行う。具体的には、操作制御部340は、関節JT25の軸線A5周りの方向に動き出し補助力PWDを働かせるように、サーボモータSM7eを制御する。操作制御部340は、たとえば、操作部110の加速度が大きくなるに従って動き出し補助力PWDが大きくなるように、サーボモータSM7eを制御する。なお、動き出し補助力PWDとは、操作部110の操作が加速される動き出しの初期に、操作部110の操作を軽くするように補助する力を意味する。
【0107】
また、本実施形態では、図28に示すように、手術支援システム500は、操作部110の操作の入力と、入力に基づくロボットアーム50への出力との間の遅延を補償する遅延補償部370を備えている。遅延補償部370は、遅延を予測して補償するスミス補償を行うための遅延補償フィルタである。遅延補償部370は、手振れ補正のためのノッチフィルタなどのフィルタ371とサーボモータSM1、SM2またはSM3との間の信号SI1に基づいて、遅延を予測するとともに、予測した遅延を補償するための信号SI2を出力する。遅延補償部370は、遅延補償モデルを含んでいる。遅延補償モデルは、信号SI1が入力されると、信号SI1に対応する信号SI2を出力する。また、遅延補償部370は、手術支援ロボット100に設けられている。
【0108】
まず、遠隔操作装置200の操作部110の位置を表す信号SI3が手術支援ロボット100の第1制御装置310に入力される。第1制御装置310は、遅延補償部370からの信号SI2に基づいて、信号SI3を補正する。これにより、遅延が補償された信号SI4が得られる。そして、第1制御装置310は、ロボットアーム50の位置に対応するように、信号SI4に対して逆変換処理を行う。これにより、操作部110の位置をロボットアーム50の位置に変換した信号SI5が得られる。そして、第1制御装置310は、信号SI5をフィルタ371に出力する。フィルタ371では、手振れに対応する周波数帯を減衰する処理が行われる。この際、フィルタ371の処理に起因して遅延が発生する。そして、第1制御装置310は、フィルタ371の処理が行われて得られた信号SI1を、サーボモータSM1、SM2またはSM3と、遅延補償部370とに出力する。
【0109】
遅延補償部370の遅延の補償が有効なタイミングとしては、手術器具1側の予測速度が、操作部110側の速度よりも大きくなった場合が挙げられる。手術器具1は、操作部110に追従するように遅れて動くため、手術器具1側の予測速度が、操作部110側の速度よりも大きくなるのは、基本的には減速時となる。減速時には、遅延を補償しない場合、遅延に起因して、手術器具1が所望の位置に位置決めできずに、手術器具1の行き過ぎが発生する。遅延を補償することにより、手術器具1の行き過ぎを抑制することが可能である。
【0110】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、上記のように、互いに直交する3軸の直交座標系CAにおいて、操作部110の操作方向とは逆方向の力PWAを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する操作制御部340を設ける。これにより、操作部110の操作感を重くすることができるので、操作部110の操作感の軽さに起因して直線操作時に操作部110がふらつくことを抑制することができる。その結果、直線操作時の操作部110の操作の安定性を向上させることができる。
【0111】
また、直交座標系CAではなく、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの各々において個別に操作部110の操作感を重くする制御を行うことも考えられるが、この場合、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの力のバランスが悪い場合があり、直線操作時に操作部110がふらつく場合がある。これに対して、直交座標系CAにおいて、操作部110の操作方向とは逆方向の力PWAを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御することにより、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの力のバランスが悪くなることを抑制することができる。これによっても、直線操作時に操作部110がふらつくことを抑制することができるので、直線操作時の操作部110の操作の安定性を向上させることができる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、手術支援システム500は、操作者の力PWAのレベルの変更操作を受け付ける受付部130aを備え、操作制御部340は、受付部130aにより受け付けた力PWAのレベルの変更操作に基づいて、力PWAのレベルを変更する。これにより、操作者に応じて力PWAのレベルを変更することができるので、操作者に応じた適切な力PWAを働かせることができる。その結果、直線操作時に操作部110がふらつくことを効果的に抑制することができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、操作制御部340は、操作部110の操作速度Vに基づいて、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの動作パラメータPAを決定し、決定した動作パラメータPAに基づいて、力PWAを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。これにより、操作部110の操作速度Vに基づいて決定した動作パラメータPAに基づいて、適切に力PWAを働かせることができる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、操作制御部340は、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1以下である場合、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って動作パラメータPAの絶対値を大きくし、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1よりも大きい場合、動作パラメータPAの絶対値を最大値で一定にする。これにより、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1以下である場合、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って動作パラメータPAの絶対値を大きくすることにより、操作速度Vがゼロ付近で力PWAの方向の切替に起因する操作の違和感を抑制することができる。また、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1よりも大きい場合、動作パラメータPAの絶対値を最大値で一定にすることにより、直線操作時に操作部110がふらつくことを容易に抑制することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時および/または加速時に、直交座標系CAにおいて、制動力PWBを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。これにより、操作部110の操作の減速時に制動力PWBが働くことにより、操作部110を急停止させようとした場合の慣性に起因する操作部110の行き過ぎを抑制することができる。また、操作部110の操作の加速時に制動力PWBが働くことにより、操作部110を急停止させた場合の反動などに起因する操作部110の移動を抑制することができる。これらにより、操作部110を適切な位置に停止させることができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、手術支援システム500は、操作者の制動力PWBのレベルの変更操作を受け付ける受付部130aを備え、操作制御部340は、受付部130aにより受け付けた制動力PWBのレベルの変更操作に基づいて、制動力PWBのレベルを変更する。これにより、操作者に応じて制動力PWBのレベルを変更することができるので、操作者に応じた適切な制動力PWBを働かせることができる。その結果、操作部110を効果的に適切な位置に停止させることができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時および/または加速時に、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cの制動パラメータPBを決定し、決定した制動パラメータPBに基づいて、制動力PWBを働かせるように、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御する。これにより、制動パラメータPBに基づいて、適切に制動力PWBを働かせることができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、操作制御部340は、操作部110の操作の減速時に、制動パラメータPBを一定にする。これにより、操作部110の操作の減速時に、一定の制動力PWBを働かせることができるので、操作部110を急停止させようとした場合の操作部110の慣性に起因する行き過ぎを容易に抑制することができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、操作制御部340は、操作部110の操作の加速時に、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2以下である場合、制動パラメータPBを最大値で一定にし、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2よりも大きくかつ第3しきい値TH3以下である場合、操作部110の操作速度Vが大きくなるに従って制動パラメータPBを小さくし、操作部110の操作速度Vの絶対値が第3しきい値TH3よりも大きい場合、制動パラメータPBをゼロにする。これにより、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2以下である場合、制動パラメータPBを最大値で一定にすることにより、低速時において、操作部110を急停止させた場合の反動などに起因する操作部110の移動を容易に抑制することができる。また、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2よりも大きくかつ第3しきい値TH3以下である場合、操作部110の操作速度Vが大きくなるに従って制動パラメータPBを小さくすることにより、制動パラメータPBを滑らかに変化させることができるので、制動パラメータPBの変化による操作の違和感を抑制することができる。また、操作部110の操作速度Vの絶対値が第3しきい値TH3よりも大きい場合、制動パラメータPBをゼロにすることにより、高速時において、操作部110の操作感を軽くすることができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、操作部110は、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27を含み、サーボモータは、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27の各々に対応するように複数設けられ、操作制御部340は、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27のうち操作部110の固定端側の3つの関節JT21、JT22およびJT23のサーボモータSM77a、SM77bおよびSM77cにおいて、力PWAを働かせる制御を行う。これにより、手術器具1を移動させる関節JT21、JT22およびJT23に対応するサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cにおいて、力PWAを働かせることができるので、ロボットアーム50によって手術器具1を移動させる場合に、直線操作時の操作部110の操作の安定性を向上させることができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、操作部110は、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27と、操作者がグリップするグリップ部112dとを含み、サーボモータは、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27の各々に対応するように複数設けられ、操作制御部340は、複数の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27のうちグリップ部112dを振り上げる動作に対応する関節JT25のサーボモータSM7eにおいて、操作部110の動き出しの際の動き出し補助力PWDを働かせる制御を行う。これにより、操作者がグリップ部112dを振り上げる動作を行う場合に、動き出し補助力PWDを働かせることができるので、操作者は、グリップ部112dを振り上げる動作を容易に行うことができる。
【0122】
また、本実施形態では、上記のように、手術支援システム500は、操作部110の操作の入力と、入力に基づくロボットアーム50への出力との間の遅延を補償する遅延補償部370を備える。これにより、遅延に起因する、操作部110の操作対象である手術器具1の行き過ぎを抑制することができるので、手術器具1を適切な位置に停止させることができる。
【0123】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更または変形例が含まれる。
【0124】
たとえば、上記実施形態では、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1の絶対値以下である場合、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って動作パラメータPAの絶対値が大きくなる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、第1しきい値TH1を設けずに、動作パラメータPAの絶対値が常に一定であってもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、操作部110の操作速度Vの絶対値が第1しきい値TH1の絶対値よりも大きい場合、動作パラメータPAの絶対値が最大値で一定である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、第1しきい値TH1を設けずに、常に、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って動作パラメータPAの絶対値が大きくなってもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、操作部110の操作の減速時に、制動パラメータPBの絶対値が一定である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作部110の操作の減速時に、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って制動パラメータPBの絶対値が大きくなってもよい。また、動作パラメータPAと同様に、しきい値を設けてもよい。すなわち、操作部110の操作速度Vの絶対値がしきい値以下の場合、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って制動パラメータPBの絶対値が大きくなり、操作部110の操作速度Vの絶対値がしきい値よりも大きい場合、制動パラメータPBの絶対値が一定であってもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、操作部110の操作の加速時に、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2の絶対値以下である場合、制動パラメータPBの絶対値が最大値で一定である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作部110の操作の加速時に、操作部110の操作速度Vの絶対値が第2しきい値TH2の絶対値以下である場合、操作部110の操作速度Vの絶対値が大きくなるに従って制動パラメータPBの絶対値が大きくなってもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、操作部110の操作の加速時に、操作部110の操作速度Vの絶対値が第3しきい値TH3の絶対値よりも大きい場合、制動パラメータPBをゼロにする例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作部110の操作の加速時に、操作部110の操作速度Vの絶対値が第3しきい値TH3の絶対値よりも大きい場合、制動パラメータPBをゼロ以外にしてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、受付部130aが、遠隔操作装置200に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、受付部130aが、遠隔操作装置200以外に配置されていてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、受付部130aが、タッチパネルからなる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、受付部130aが、キーボード、トラックボール、マウス、レバー、ダイヤル、ジョイスティック、フットスイッチ、押しボタンスイッチ、および/または、それらの組み合わせであってもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、受付部130aが、操作者の力PWAのレベルの変更操作を受け付けるとともに、操作者の制動力PWBの変更操作を受け付ける例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作者の力PWAのレベルの変更操作を受け付ける第1受付部と、操作者の制動力PWBの変更操作を受け付ける第2受付部とが、互いに独立して設けられてもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、受付部130aが設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、受付部130aが設けられていなくてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cにおいて、力PWAを働かせる制御が行われる例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、力PWAを適切に働かせることが可能であれば、いずれのサーボモータが制御されてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、操作制御部340が、力PWAおよび制動力PWBを働かせる制御を行う例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、操作制御部340以外が、力PWAおよび制動力PWBを働かせる制御を行ってもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、グリップ部112dを振り上げる動作に対応する関節JT25のサーボモータSM7eにおいて、操作部110の動き出しの際の動き出し補助力PWDが働く例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、グリップ部112dを振り上げる動作に対応する関節JT25のサーボモータSM7eにおいて、操作部110の動き出しの際の動き出し補助力PWDが働かなくてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、遅延補償部370が設けられる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、遅延補償部370が設けられなくてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、ロボットアーム50が4つ設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボットアーム50の数は、少なくとも1つ以上設けられていれば他の任意の数であってもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、アーム部51およびポジショナ30が7軸多関節ロボットから構成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アーム部51およびポジショナ30が7軸多関節ロボット以外の軸構成の多関節ロボットなどから構成されていてもよい。7軸多関節ロボット以外の軸構成とは、例えば、6軸や8軸である。
【0139】
また、上記実施形態では、手術支援ロボット100が、医療用台車10と、ポジショナ30と、アームベース40とを備えている例を示したが、本開示はこれに限らない。たとえば、医療用台車10と、ポジショナ30と、アームベース40は必ずしも必要なく、手術支援ロボット100が、ロボットアーム50だけで構成されてもよい。
【0140】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0141】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0142】
(項目1)
医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置と、
操作者の操作を受け付けるように構成され、前記操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部を含み、前記手術装置を操作するための操作装置と、
互いに直交する3軸の直交座標系において、前記操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、前記駆動部を制御する制御装置と、を備える、手術支援システム。
【0143】
(項目2)
前記操作者の前記力のレベルの変更操作を受け付ける第1受付部をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1受付部により受け付けた前記力のレベルの変更操作に基づいて、前記力のレベルを変更する、項目1に記載の手術支援システム。
【0144】
(項目3)
前記制御装置は、前記操作部の操作速度に基づいて、前記駆動部の動作パラメータを決定し、決定した前記動作パラメータに基づいて、前記力を働かせるように、前記駆動部を制御する、項目1または2に記載の手術支援システム。
【0145】
(項目4)
前記制御装置は、前記操作部の操作速度の絶対値が第1しきい値以下である場合、前記操作部の操作速度の絶対値が大きくなるに従って前記動作パラメータの絶対値を大きくし、前記操作部の操作速度の絶対値が前記第1しきい値よりも大きい場合、前記動作パラメータの絶対値を最大値で一定にする、項目3に記載の手術支援システム。
【0146】
(項目5)
前記制御装置は、前記操作部の操作の減速時および/または加速時に、前記直交座標系において、制動力を働かせるように、前記駆動部を制御する、項目1から項目4のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【0147】
(項目6)
前記操作者の前記制動力のレベルの変更操作を受け付ける第2受付部をさらに備え、
前記制御装置は、前記第2受付部により受け付けた前記制動力のレベルの変更操作に基づいて、前記制動力のレベルを変更する、項目5に記載の手術支援システム。
【0148】
(項目7)
前記制御装置は、前記操作部の操作の減速時および/または加速時に、前記駆動部の制動パラメータを決定し、決定した前記制動パラメータに基づいて、前記制動力を働かせるように、前記駆動部を制御する、項目5または6に記載の手術支援システム。
【0149】
(項目8)
前記制御装置は、前記操作部の操作の減速時に、前記制動パラメータを一定にする、項目7に記載の手術支援システム。
【0150】
(項目9)
前記制御装置は、前記操作部の操作の加速時に、前記操作部の操作速度の絶対値が第2しきい値以下である場合、前記制動パラメータを最大値で一定にし、前記操作部の操作速度の絶対値が前記第2しきい値よりも大きくかつ第3しきい値以下である場合、前記操作部の操作速度が大きくなるに従って前記制動パラメータを小さくし、前記操作部の操作速度の絶対値が前記第3しきい値よりも大きい場合、前記制動パラメータをゼロにする、項目7または8に記載の手術支援システム。
【0151】
(項目10)
前記操作部は、複数の回転軸部を含み、
前記駆動部は、前記複数の回転軸部の各々に対応するように複数設けられ、
前記制御装置は、前記複数の回転軸部のうち前記操作部の固定端側の3つの回転軸部の駆動部において、前記力を働かせる制御を行う、項目1から項目9のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【0152】
(項目11)
前記操作部は、複数の回転軸部と、前記操作者がグリップするグリップ部とを含み、
前記駆動部は、前記複数の回転軸部の各々に対応するように複数設けられ、
前記制御装置は、前記複数の回転軸部のうち前記グリップ部を振り上げる動作に対応する回転軸部の駆動部において、前記操作部の動き出しの際の動き出し補助力を働かせる制御を行う、項目1から項目10のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【0153】
(項目12)
前記操作部の操作の入力と、前記入力に基づく前記ロボットアームへの出力との間の遅延を補償する遅延補償部をさらに備える、項目1から項目12のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【0154】
(項目13)
医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置を操作するための操作装置であって、
操作者の操作を受け付けるように構成され、前記操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部と、
互いに直交する3軸の直交座標系において、前記操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、前記駆動部を制御する制御部と、を備える、操作装置。
【0155】
(項目14)
医療器具を支持するためのロボットアームを含む手術装置と、操作者の操作を受け付けるように構成され、前記操作者の操作を補助するための駆動部を有する操作部を含み、前記手術装置を操作するための操作装置と、を備える手術支援システムの制御方法であって、
前記操作部の操作を受け付けることと、
互いに直交する3軸の直交座標系において、前記操作部の操作方向とは逆方向の力を働かせるように、前記駆動部を制御することと、を備える、手術支援システムの制御方法。
【符号の説明】
【0156】
1 手術器具(医療器具)
50 ロボットアーム
100 手術支援ロボット(手術装置)
110 操作部
112d グリップ部
130a 受付部(第1受付部、第2受付部)
200 遠隔操作装置(操作装置)
340 操作制御部(制御装置)
370 遅延補償部
500 手術支援システム
CA 直交座標系
JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26、JT27 関節(回転軸部)
PA 動作パラメータ
PB 制動パラメータ
PWA 力
PWB 制動力
PWD 動き出し補助力
SM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7f、SM7g サーボモータ(駆動部)
TH1 第1しきい値
TH2 第2しきい値
TH3 第3しきい値
V 操作速度
図1
図2
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