(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015794
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】傘保持具
(51)【国際特許分類】
B60R 7/12 20060101AFI20240130BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B60R7/12
B60J5/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118099
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清谷 勇亮
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐希
(72)【発明者】
【氏名】大泉 真悠子
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠季
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA12
3D022CB05
3D022CC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スライドドアを備える車両に乗降するユーザがスライドドアを開けてドア開口部の後方側で作業を行うときに、ユーザが雨に濡れるのを防止できる傘保持具を提供することである。
【解決手段】傘保持具1は、車両のドア開口部の上縁にスライドドアの上部を摺動可能に支持する上部ステーに備えられる設置部11と、スライドドアが開いて上部ステーがドア開口部の上縁端部に位置する状態にある場合に、傘のシャフトを支持する支持部12と、を備え、設置部は、支持部を上部ステーに設置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口部の上縁にスライドドアの上部を摺動可能に支持する上部ステーに備えられる設置部と、
前記スライドドアが開いて前記上部ステーが前記ドア開口部の上縁端部に位置する状態にある場合に、傘のシャフトを支持する支持部と、を備え、
前記設置部は、前記支持部を前記上部ステーに設置する傘保持具。
【請求項2】
前記設置部は、前記上部ステーの上に位置し、
前記支持部は、
前記シャフトを挿入するためのスリットを有する板状部材であって、
前記車両の前後方向に沿って移動する前記スライドドアの移動方向において、前記設置部よりも前方に位置し、
前記支持部の後端部が、前記移動方向への弾性力を備えているばねを介して前記設置部に接続され、
前記スライドドアが開状態にある場合に、前記支持部が前記ばねによって付勢されて前記スリットが前記上部ステーよりも前方に突出する請求項1に記載の傘保持具。
【請求項3】
前記支持部は、
前記シャフトを挿入するためのスリットを有する板状部材であって、
前記スライドドアに対向するスライドドア側側面を有し、
前記スリットは、
前記スライドドア側側面に形成され、
前記スライドドアの移動方向と車幅方向に沿った平面において、前記スライドドア側側面に位置する前記スリットの開口部から、前記車幅方向に対して前記車両の前方側に向かって斜め方向に延在する請求項1又は2に記載の傘保持具。
【請求項4】
前記支持部は、前記シャフトを挿入するためのスリットを有する板状部材であって、
前記スリットは、前記スリットの奥側に位置する奥側端部を有し、
前記奥側端部の周縁の前記板状部材は、ゴム材料により構成されている請求項1又は2に記載の傘保持具。
【請求項5】
前記傘の握り部と前記スライドドアの内側側面とを固定する固定具を備え、
前記固定具は、前記握り部の先端に装着可能な装着部と、前記内側側面に吸着する磁石を有する固定部とを備える請求項1又は2に記載の傘保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雨傘の握り部を挟み込む支持部を有する本体に、自動車ドアガラス上端に嵌め込む逆U字形のバネ板を連結して、ドアガラス上端車内側に嵌め込み、広げた雨傘の握り部を支持部に挿入させて、自動車のドアガラスに雨傘を保持する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、後部座席にスライドドアを備える車両にユーザが乗車する際には、後部座席のドアを開けて、後部座席のチャイルドシートに子供を着座させるなど、後部座席のドア開口部の後方側で時間のかかる作業を行うことがある。しかしながら、従来技術は、スイングドアを開けた状態でドアガラスに嵌め込んで傘を保持するものであり、スライドドアのドア開口部の後方側の位置で傘を保持するものではないため、ユーザが上記のような作業を行う際に雨に濡れるのを防止できないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、スライドドアを備える車両に乗降するユーザがスライドドアを開けてドア開口部の後方側で作業を行うときに、ユーザが雨に濡れるのを防止できる傘保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、傘保持具であって、車両のドア開口部の上縁にスライドドアの上部を摺動可能に支持する上部ステーに備えられる設置部と、スライドドアが開いて上部ステーがドア開口部の上縁端部に位置する状態にある場合に、傘のシャフトを支持する支持部と、を備え、設置部は、支持部を上部ステーに設置することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スライドドアを備える車両に乗降するユーザがスライドドアを開けてドア開口部の後方側で作業を行う際に、ユーザが雨に濡れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る傘保持具が適用される車両の側面の外観を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る傘保持具が適用された車両の車体とスライドドアとの接続部分を示す斜視図である。
【
図3】スライドドアが開状態である場合の本実施形態に係る傘保持具を示す平面図である。
【
図4】スライドドアが閉状態である場合の本実施形態に係る傘保持具を示す平面図である。
【
図5】本実施形態に係る傘保持具の支持部を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る固定具を傘の先端部に装着する一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る傘保持具を用いて傘を車両に保持する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を用いて、本実施形態に係る傘保持具を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る傘保持具が適用される車両の側面の外観を示す図である。
図1で示されるように、車両2は、後部座席のドア開口部5にスライドドア3を備える。スライドドア3は、車両2の前後方向に摺動可能に接続されている。ドア開口部5の上縁における車両2の車体とスライドドア3との接続部分では、スライドドア3の上部ステー31が、ドア開口部5の上縁に位置する上部スライドレール21に摺動可能に接続している。
図1で示されるように、上部ステー31は、スライドドア3が開状態である場合に、ドア開口部5の後方側の上縁端部51に位置する。また、上部ステー31は、スライドドア3が閉状態である場合には、ドア開口部5の前方側の上縁端部52に位置する。
【0011】
次に、
図2を用いて、本実施形態に係る傘保持具が車両に適用される一例を説明する。
図2は、傘保持具1が適用された車両2の車体とスライドドアとの接続部分を示す斜視図である。
図2では、
図1の上縁端部51における、車両2の車体とスライドドア3との接続部分が示されている。
図2で示されるように、スライドドア3の移動方向(車両2の前後方向)をX軸とし、車両2の車幅方向をY軸とする。X軸及びY軸は、傘保持具1の天面に沿った方向である。Y軸は、XY平面において、X軸に対して垂直方向である。また、XY平面に対して垂直方向をZ軸とする。
図2では、図面の左下が車両2の前方側で、図面の右上が車両2の後方側である。すなわち、スライドドア3は、開状態の場合には、車両2の後方側(X軸の正方向)に移動し、閉状態の場合には、車両2の前方側(X軸の負方向)に移動する。また、
図2では、図面の右下が車両2の車外側で、図面の左上が車両2の車内側である。すなわち、Y軸の正方向は、車両2の車外側から車内側への方向で、Y軸の負方向は、車両2の車内側から車外側への方向である。
【0012】
車両2は、後部座席のドア開口部5を開閉するスライドドア3を備える。
図2では、スライドドア3は開状態である。すなわち、スライドドア3が開いて、後部座席のドア開口部5の後方側に位置している。スライドドア3は、上部ステー31を介して車両2に接続されている。なお、本実施形態では、スライドドアが後部座席のドア開口部に備えられていることを前提として説明するが、これに限らず、スライドドアが運転席や助手席などの前部座席のドア開口部に備えられる場合に適用されてもよい。
【0013】
上部ステー31は、車両2の後部座席のドア開口部5の上縁にスライドドア3の上部を摺動可能に支持する。車両2のドア開口部5の上縁には、上部スライドレール21がX軸方向に延びるように設けられる。上部ステー31は、スライドドア3の内側側面の上部からY軸の正方向に向かって突設され、上部ステー31の先端には、スライドローラ32が備えられる。スライドローラ32は、上部スライドレール21に沿って移動可能に係合されている。スライドドア3は、スライドローラ32を介してX軸方向に摺動可能に支持される。すなわち、スライドドア3は、車両2の前後方向に沿って移動する。
【0014】
スライドドア3が開状態であるときには、スライドローラ32が上部スライドレール21の後端部210側に移動し、上部ステー31は、ドア開口部5の後方側の上縁端部に位置する。スライドドア3が閉状態であるときには、スライドローラ32が上部スライドレール21の前端部(図示しない)に移動し、上部ステー31は、ドア開口部5の前方側の上縁端部に位置する。
【0015】
上部ステー31は、板状部材により構成されている。上部ステー31は、第1主面31aと、これとは反対側の第2主面31bとを有している。第1主面31aと第2主面31bは、
図2のXY平面に沿った面である。第1主面31aが、上部ステー31の上側の面に相当し、第2主面31bが、上部ステー31の下側の面に相当する。
【0016】
本実施形態に係る傘保持具1は、上部ステー31の第1主面31aに設置される。傘保持具1は、X軸において、上部ステー31よりも前方の位置で傘を保持する。これにより、ユーザが車両2に乗降するときに、開いた状態の傘を車両2に固定させておくことができる。例えば、傘保持具1は、ユーザが後部座席のスライドドアを開けて、ドア開口部の後方側でチャイルドシートに子供を座らせるなどの作業を行う際に使用される。なお、傘保持具1は、上部ステー31の第2主面31bに設置することとしてもよい。
【0017】
傘保持具1は、設置部11と支持部12とを備える。設置部11は、上部ステー31に備えられる。設置部11は、支持部12を上部ステー31に設置するための部材であって、上部ステー31上において支持部12をX軸方向に移動可能に固定する。本実施形態では、設置部11は、上部ステー31上に固定され、その内部に支持部12をX軸方向に摺動可能に収納することで、支持部12を上部ステー31に設置する。支持部12は、X軸において、設置部11よりも前方に位置する。支持部12は、スライドドア3が開いて上部ステー31がドア開口部5の上縁端部に位置する状態にある場合に、傘のシャフトを支持する。支持部12は、傘のシャフトを挿入するためのスリット13を有する。
【0018】
設置部11は、上部ステー31の第1主面31a上に位置する。設置部11は、直方体状に形成される。設置部11は、上部ステー31と同様の材料、例えば、鉄、スチールによって形成される。設置部11は、上部ステー31の一部分として、上部ステー31と一体的に成形されることとしてもよいし、溶接によって上部ステー31に接合されることとしてもよい。
【0019】
設置部11は、第1主面11aと、これとは反対側の第2主面11bとを有する。第1主面11a及び第2主面11bは、
図2のXY平面に沿った面である。第2主面11bは、上部ステー31の第1主面31aと接する側の面である。また、設置部11の第1主面11aの各辺から第1主面11aに略直交する方向(Z軸方向)に延びる面を、設置部11を構成する側面とする。設置部11を構成する側面のうち、X軸において前方側に位置する側面を前方側面11cとする。設置部11の前方側面11cは、開口部を有する。支持部12は、設置部11の内部に収納され、スリット13を有する部分が前方側面11cの開口部から前方に突出している。設置部11の側面のZ軸における長さは、スライドドアが閉状態になって上部ステー31が上部スライドレール21の前端部211の格納部212に格納されるときにZ軸において設置部11が収まる長さである。たとえば、20~25mmである。
【0020】
次に、
図3及び
図4を用いて、傘保持具1について説明する。
図3は、スライドドアが開状態である場合の本実施形態に係る傘保持具を示す平面図である。
図4は、スライドドア3が閉状態である場合の本実施形態に係る傘保持具を示す平面図である。
図3及び4で示されるように、スライドドア3の移動方向(車両2の前後方向)をX軸とし、車両2の車幅方向をY軸とする。また、X軸及びY軸は、傘保持具1の天面に沿った方向である。Y軸は、XY平面において、X軸に対して垂直方向である。
図3及び4におけるX軸とY軸は、
図2におけるX軸とY軸に対応する。
図3及び4では、図面の下側が車両2の前方側で、図面の上側が車両2の後方側である。スライドドア3は、開状態の場合には、車両2の後方側(X軸の正方向)に移動し、閉状態の場合には、車両2の前方側(X軸の負方向)に移動する。また、
図3及び4では、図面の右が車両2の車外側で、図面の左が車両2の車内側である。すなわち、Y軸の正方向は、車両2の車外側から車内側への方向で、Y軸の負方向は、車両2の車内側から車外側への方向である。
【0021】
設置部11は、上部ステー31の第1主面31a上に備えられる。設置部11には、収納部113が設けられている。収納部113は、前方側面11cに開口部を有し、前方側面11cから設置部11の内部に向かって直方体状に形成された空洞部分である。収納部113の内壁は、底面114と、4つの側面とによって構成される。底面114は、矩形に形成される。底面114は、前方側面11cとX軸について対向する面である。また、底面114の4つの辺から底面114に略直交する方向(X軸方向)に延びる面を、収納部113を構成する側面とする。収納部113を構成する4つの側面のうち、側面113aと113bは、Y軸についてお互いに対向する側面である。側面113aは、スライドドア3側に位置する側面であり、側面113bは、車両2の車体側に位置する側面である。
【0022】
支持部12は、支持部12の後端部が、X軸方向への弾性力を備えているばね15を介して設置部11に接続されている。ばね15は、X軸において車両2の前方側(
図3中の矢印Aの方向)に向かって支持部12を付勢するばねであって、例えば、圧縮コイルばねである。ばね15は、設置部11の収納部113に設けられ、一端が底面114と接続し、他端が支持部12の後方側面12dに接続している。支持部12の一部は、設置部11の収納部113内に、X軸方向に摺動可能に収納されている。スライドドア3が開状態にある場合に、すなわち、
図3で示されるように、上部ステー31が、上部スライドレール21の後端部210に位置する場合には、支持部12がばね15によって付勢されて、X軸においてスリット13が上部ステー31よりも前方に突出する。
【0023】
また、
図4に示されるように、上部スライドレール21の前端部211は、スライドドア3が閉状態になったときに上部ステー31を車体の内側に引き込むために車両内方に湾曲している。ドア開口部5の前方側の上縁端部には、上部スライドレール21の前端部211が車両内方に湾曲することで生じた格納部212がある。格納部212は、スライドドア3が閉状態になったときに上部ステー31を格納するための空間である。そして、上部ステー31が格納部212に格納されたときには、前方側面12cが格納部212の前方側の側壁213に当接することで、ばね15に前方から力が加わってばね15が縮み、支持部12は、X軸において車両2の後方側(
図4中の矢印Bの方向)に移動し、設置部11の収納部113内に収納される。本実施形態では、スライドドアが閉状態である場合には、傘保持具1が上部ステー31と一緒に格納部212に格納されるため、傘保持具1の取り外しが不要となる。また、傘保持具1が格納されることで傘保持具1を取り付けたままで走行することができるため、乗員の邪魔になることがなく、見栄えが悪くなることもない。
【0024】
また、設置部11の収納部113の側面113a及び113bには凸型のガイドレールが形成され、支持部12のスライドドア側側面12e及び車体側側面12fには凹型のガイド溝が形成されていることとしてもよい。ガイドレール及びガイド溝それぞれは側面に対してX軸方向に延びるように形成されている。支持部12は、ガイド溝がガイドレールに係合することでX軸方向に摺動可能に支持されている。
【0025】
次に、
図5を用いて、支持部12を説明する。
図5は、本実施形態に係る傘保持具の支持部を示す斜視図である。
図5において、X軸、Y軸及びZ軸は、
図1におけるX軸、Y軸及びZ軸に対応する。すなわち、
図5では、スライドドア3の移動方向(車両2の前後方向)をX軸とし、車両2の車幅方向をY軸とする。X軸及びY軸は、支持部12の天面(第1主面12a)に沿った方向である。Y軸は、XY平面において、X軸に対して垂直方向である。また、XY平面に対して垂直方向をZ軸とする。
【0026】
支持部12は、板状部材によって構成されている。支持部12は、直方体状に形成される。支持部12は、第1主面12aと、これとは反対側の第2主面12bとを有している。第1主面12aと第2主面12bは、XY平面に沿った面である。第1主面12aが、支持部12の上側の面に相当し、第2主面12bが、支持部12の下側の面に相当する。また、支持部12の第1主面12aの各辺から第1主面12aに略直交する方向(Z軸方向)に延びる面を、支持部12を構成する側面とする。支持部12を構成する側面のうち、X軸において前方側に位置する側面を前方側面12c、X軸において後方側に位置する側面を後方側面12dとする。また、
図3で示されるように、支持部12を構成する側面のうち、Y軸においてスライドドア3に対向する側の側面をスライドドア側側面12e、Y軸において車両2の車体と対向する側の側面を車体側側面12fとする。
【0027】
スリット13は、スライドドア側側面12eに形成される。スリット13は、スライドドア側側面12eから内部に向かって切り欠きを入れることで形成された隙間部分である。スリット13は、開口部131と奥側端部132とを有する。開口部131は、スライドドア側側面12eに位置する。奥側端部132は、支持部12の内側に位置し、スリット13の奥側の端部である。ユーザは、傘のシャフトの軸方向がZ軸方向に沿うようシャフトを立てた状態で開口部131から傘のシャフトを挿入し、奥側端部132まで傘のシャフトを移動させる。
【0028】
スリット13は、X軸とY軸に沿ったXY平面において、スリット13の開口部131から、Y軸に対して車両2の前方側に向かって斜め方向に延在する。すなわち、
図3で示されるように、平面視において、第1主面12aには、スライドドア側側面12eから、Y軸に対して車両2の前方側に向かって斜め方向に切り欠きが入れられてスリット13が形成されている。これにより、スリット13に挿入された傘のシャフトがスリット13から脱落しにくくなる。また、平面視において、第1主面12aには、スリット13の奥側端部132において円形状に切り欠きが入れられている。なお、本実施形態では、スリット13が、XY平面において、Y軸に対して斜め方向に延在するように形成されることに限らず、XY平面において、Y軸に対して平行に延在することとしてもよい。また、スリット13は、スライドドア側側面12eに形成されることに限らず、前方側面12cに形成され、XY平面において、車両2の後方側に向かって延在することとしてもよい。
【0029】
また、支持部12は、スリット13によって切り欠けられることで形成される3つの側面を有する。3つの側面は、奥側側面13aと、第1スリット側面13bと、第2スリット側面13cとから構成される。奥側側面13aは、スリット13の奥側に位置する側面である。奥側端部132では、第1主面12aがスリット13によって円形に切り欠けられている。奥側側面13aは、第1主面12aに形成されたスリット13の奥側端部132の円周がなす側面である。すなわち、奥側側面13aは、第1主面12aの当該円周から第1主面12aに略直交する方向(Z軸方向)に延びる面である。
【0030】
第1スリット側面13b及び第2スリット側面13cは、スリット13の開口部131から奥側端部132に向かって延びる側面であって、X軸について互いに対向する。第1スリット側面13b及び第2スリット側面13cのうち、第1スリット側面13bは、スライドドア3側からY軸の正方向に見たときに、向かって右側に位置する側面である。第2スリット側面13cは、スライドドア3側からY軸の正方向に見たときに、向かって左側に位置する側面である。第1スリット側面13b及び第2スリット側面13cは、それぞれスライドドア側側面12eと接する辺と奥側側面13aと接する辺とをそれぞれ有する。また、スリット13の幅は、一般的な傘のシャフトの径よりも大きい。すなわち、第1スリット側面13bと第2スリット側面13cとの間の長さが、一般的な傘のシャフトの径よりも大きい。
【0031】
また、支持部12において、奥側端部132の周縁の板状部材は、ゴム材料により構成されている。スリット13によって円形に切り欠けられた第1主面12aの円周周縁部132aは、ゴム材料により構成されている。また、奥側側面13aも、ゴム材料により構成されている。これにより、ゴム材料が滑り止めとなって、スリット13に挿入された傘のシャフトの脱落を防止することができる。また、本実施形態では、前方側面12cにゴム材料が設置されることとしてもよい。
【0032】
次に、
図6及び7を用いて、固定具について説明する。
図6は、固定具を傘の先端部に装着する一例を示す図である。
図6で示されるように、固定具14は、傘16の握り部161とスライドドア3の内側側面とを固定する。固定具14は、握り部161の先端部162に装着可能な装着部141と、スライドドア3の内側側面に吸着する磁石を有する固定部142とを備える。固定部142は、球体状に形成されている。固定部142は、球体内部に磁石143を有することとしてもよいし、固定部142自体が磁石により構成されることとしてもよい。装着部141は、固定部142の表面から内部に向かって円柱状に形成された空洞部分である。装着部141は、底面141aと側面141bとによって構成される。底面141aは、円形に形成され、その直径が一般的な傘の先端部に篏合可能な大きさである。側面141bは、底面141aの円周から底面141aに略直交する方向に延びる面である。
【0033】
図7は、本実施形態に係る傘保持具を用いて傘を車両に保持する一例を示す図である。
図7では、傘16のシャフト163が傘保持具1の支持部12に挿入された状態で支持されている。また、傘16の握り部161の先端部162に固定具14が装着されている。また、固定具14は、磁石によってスライドドア3の内側側面33に吸着している。これにより、傘16の握り部161がスライドドア3の内側側面33に固定されている。本実施形態では、支持部12と固定具14とによって傘を2か所で固定して、傘を地面に対して垂直に保持する。
【0034】
また、固定具14は、磁石により傘をスライドドア3の内側側面33に固定することに限らず、例えば、クリップ形状の固定具14がスライドドア3の内側側面33に備えられることとしてもよい。また、傘自体に磁石が内蔵されていることしてもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態では、傘保持具は、車両のドア開口部の上縁にスライドドアの上部を摺動可能に支持する上部ステーに備えられる設置部と、スライドドアが開いて上部ステーがドア開口部の上縁端部に位置する状態にある場合に、傘のシャフトを支持する支持部と、を備え、設置部は、支持部を上部ステーに設置する。これにより、後部座席にスライドドアを備える車両に乗降するユーザがスライドドアを開けてドア開口部の後方側で作業を行う際に、ユーザが雨に濡れるのを防止できる。
【0036】
また、本実施形態では、設置部は、上部ステーの上に位置し、支持部は、シャフトを挿入するためのスリットを有する板状部材であって、車両の前後方向に沿って移動するスライドドアの移動方向において、設置部よりも前方に位置し、支持部の後端部が、移動方向への弾性力を備えているばねを介して設置部に接続され、スライドドアが開状態にある場合に、支持部がばねによって付勢されてスリットが上部ステーよりも前方に突出する。これにより、上部ステーよりも前方の位置で傘を保持することができる。
【0037】
また、本実施形態では、支持部は、シャフトを挿入するためのスリットを有する板状部材であって、スライドドアに対向するスライドドア側側面を有し、スリットは、スライドドア側側面に形成され、スライドドアの移動方向と車幅方向に沿った平面において、スライドドア側側面に位置するスリットの開口部から、車幅方向に対して車両の前方側に向かって斜め方向に延在する。これにより、スリットに挿入された傘のシャフトがスリットから脱落することを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態では、支持部は、シャフトを挿入するためのスリットを有する板状部材であって、スリットは、スリットの奥側に位置する奥側端部を有し、奥側端部の周縁の板状部材は、ゴム材料により構成されている。これにより、ゴムが滑り止めとなって、スリットに挿入された傘のシャフトがスリットから脱落することを防止することができる。
【0039】
また、本実施形態では、傘の握り部とスライドドアの内側側面とを固定する固定具を備え、固定具は、握り部の先端に装着可能な装着部と、内側側面に吸着する磁石を有する固定部とを備える。これにより、傘のシャフト及び握り部を保持することができる。
【0040】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0041】
本実施形態では、スライドドアが開状態である場合に、ばねによって、スリットを有する支持部がX軸において上部ステーの前方に突出することとしているが、スライドドアの開閉状態に応じて、支持部がX軸方向において前後に摺動可能であれば、これに限らない。例えば、スライドドアが開状態になって、上部ステーがドア開口部の後方側に移動した場合に、傘保持具の後端部がドア開口部の後方側に位置する係止に当接することで、支持部がX軸方向において上部ステーの前方に突出することとしてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、支持部12及び固定具14の2か所で傘を保持することとしているが、これに限らない。例えば、固定具14がなく、支持部12のみで傘を保持することとしてもよい。また、この場合には、例えば、支持部12は、クリップなどの、傘のシャフトを左右から挟む機構を備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…傘保持具
11…設置部
12…支持部
12a…第1主面
12b…第2主面
12c…前方側面
12d…後方側面
12e…スライドドア側側面
12f…車体側側面
13…スリット
13a…奥側側面
13b…第1スリット側面
13c…第2スリット側面
14…固定具
15…ばね