(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157971
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q10/0639
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072677
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】506201518
【氏名又は名称】ALL DIFFERENT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】眞▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 典子
(72)【発明者】
【氏名】青山 結
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 佳純
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】人が仕事を成し遂げる力としての「人の力」を表現すること。
【解決手段】サーバ10は、入力情報取得部11、「人の力」情報生成部12、可視化提示部13を備える。入力情報取得部11は、ユーザについて、内包する力の現在レベルを示すビジネス基礎力診断テストのテスト結果、行動する力の現在レベルを示すコンピテンシー・サーベイによる行動特性評価結果、実績・成果に関する企業内データ、業務属性、業界属性、性格傾向の中から1以上の情報を対象者入力情報として取得する。「人の力」情報生成部12は、対象者入力情報に基づいて、対象者の現時点の「人の力」を示す「人の力」情報をカテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体として生成する。可視化提示部13は、「人の力」情報をレーダーチャートに波形として提示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者について、内包する力の現在レベルを示す第1情報、行動する力の現在レベルを示す第2情報、及び、実績若しくは成果に関する定量的な第3情報、並びに、基本属性を示す第4情報、業界属性を示す第5情報、及び性格傾向を示す第6情報の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する入力情報取得手段と、
前記対象者入力情報に基づいて、前記対象者の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報を生成する「人の力」情報生成手段と、
前記「人の力」情報を可視化情報として提示する可視化提示手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記「人の力」情報は、複数のカテゴリの夫々に対して設定された1以上の要素の夫々の値から構成されており、
前記「人の力」情報生成手段は、前記対象者入力情報に基づいて、前記複数のカテゴリの夫々に対して設定された前記1以上の要素の夫々の前記値を演算することで、当該対象者についての前記「人の力」情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対象者についての前記「人の力」情報及び前記可視化情報のうち少なくとも1つを用いて、当該対象者の目標到達時点の「人の力」を基準とする、当該対象者の現時点の「人の力」の開発度を示す開発度情報を生成する開発度情報生成手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象者についての前記「人の力」情報及び前記可視化情報の少なくとも一部を用いた、当該対象者の目標到達時点の「人の力」と、当該対象者の現時点の「人の力」との比較に基づいて、前記対象者の適性を判定する適性判定手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象者の目標到達時点の「人の力」は、前記対象者により入力されたなりたい姿に基づいて演算される、
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の前記対象者の夫々についての前記「人の力」情報及び前記可視化情報のうち少なくとも1つを用いて、前記複数の対象者の中から、所定人材を1人以上選選定する選定手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
対象者について、内包する力の現在レベルを示す第1情報、行動する力の現在レベルを示す第2情報、及び、実績若しくは成果に関する定量的な第3情報、並びに、基本属性を示す第4情報、業界属性を示す第5情報、及び性格傾向を示す第6情報の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する入力情報取得ステップと、
前記対象者入力情報に基づいて、対象者の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報を生成する「人の力」情報生成ステップと、
前記「人の力」情報を可視化情報として提示する可視化提示ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
対象者について、内包する力の現在レベルを示す第1情報、行動する力の現在レベルを示す第2情報、及び、実績若しくは成果に関する定量的な第3情報、並びに、基本属性を示す第4情報、業界属性を示す第5情報、及び性格傾向を示す第6情報の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する入力情報取得ステップと、
前記対象者入力情報に基づいて、対象者の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報を生成する「人の力」情報生成ステップと、
前記「人の力」情報を可視化情報として提示する可視化提示ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザのスキルを診断し、その診断結果に基づく人材育成の支援を図る人材育成支援システムは存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、スキルとは、その人が訓練等で身に着けている技量を指す。しかし、このスキルという指標だけでは、その人が仕事を成し遂げる力、すなわち「人の力」というものは、計れず、それを表現する術もないのが現状である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、人が仕事を成し遂げる力としての「人の力」を表現することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態である情報処理装置は、
対象者について、内包する力の現在レベルを示す第1情報、行動する力の現在レベルを示す第2情報、及び、実績若しくは成果に関する定量的な第3情報、並びに、基本属性を示す第4情報、業界属性を示す第5情報、及び性格傾向を示す第6情報の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する入力情報取得手段と、
前記対象者入力情報に基づいて、対象者の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報をを生成する「人の力」情報生成手段と、
前記「人の力」情報を可視化情報として提示する可視化提示手段と、
を備える。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人が仕事を成し遂げる力としての「人の力」を表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムの全体構成を示している。
【
図2】
図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2のハードウェア構成を備えるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】ビジネススキルの評価指標と対応付けた個々のユーザのスキルの評価結果(スコア)の一例を示す図である。
【
図5】本発明に係る情報処理装置の一実施形態のサーバの処理の流れを示す工程図である。
【
図6】
図5のサーバの処理の流れの詳細動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図2、
図3のサーバにおける「人の力」の可視化処理を示す図である。
【
図8】
図7の可視化処理により提示されるユーザの現在の「人の力」の波形を示す図である。
【
図9】
図2、
図3のサーバによる開発度情報生成処理を示す図である。
【
図10】
図9の開発度情報生成処理の結果として提示される波形を示す図である。
【
図11】
図2、
図3のサーバによる開発度情報生成処理の演算内容を示す図である。
【
図12】小売販売員の力の開発度情報を生成するために入力情報から導出された評価指標のデータを示す図である。
【
図13】
図12の評価指標のデータに基づいて生成した開発度情報を可視化した例を示す図である。
【
図15】サーバにおいて、「人の力」の可視化数値の生成を経て適性判定をする流れを示す図である。
【
図16】適性判定の第1事例の「リーダー力」の評価指標データを示す図である。
【
図17】
図16の評価指標データより生成された「リーダー力」のレーダーチャートと適性判定結果を示す図である。
【
図18】適性判定の第1事例の「リーダー力」の評価指標データを示す図である。
【
図19】
図18の評価指標データより生成された「リーダー力」のレーダーチャートと適性判定結果を示す図である。
【
図20】第1事例において、採用候補者X、Y、Zの「SEの力」として得られる可視化数値と求める基準(ゴールの数値)を示す図である。
【
図21】
図20の採用候補者X、Y、Zの可視化数値と開発度をまとめた図である。
【
図22】第2事例において、登用候補者P、Q、Rの「リーダーの力」として得られる可視化数値と求める基準(ゴールの数値)を示す図である。
【
図23】
図22の登用候補者Pの可視化数値と適性度度をまとめた表とレーダーチャートを示す図である。
【
図24】
図22の登用候補者Qの可視化数値と適性度度をまとめた表とレーダーチャートを示す図である。
【
図25】
図22の登用候補者Rの可視化数値と適性度度をまとめた表とレーダーチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システム1の全体構成を示している。
図1に示す情報処理システム1は、サーバ10と、n台(nは1以上の任意の整数値)のユーザ端末20-1乃至20-nとが、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されることによって構成されている。
なお、以下、ユーザ端末20-1乃至20-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ユーザ端末20」と呼ぶ。
【0010】
ユーザ端末20は、ユーザ毎に管理される情報処理装置であって、例えばタブレット端末やスマートフォン等で構成される。
サーバ10は、本サービス提供者により管理される。サーバ10は、ユーザ端末20-1乃至20-nの夫々の各動作を制御しつつ各種処理を実行する。
【0011】
本サービス提供者が提供するサービスには、研修サービス等も含まれており、一般の人がサービスを受ける際にはユーザとしての会員登録が必要である。
研修サービスは、企業からの申し込みにより社員をユーザとして講座に参加させて受講させたりオンライン研修等を行うと共に、研修の前後や研修中にビジネス基礎力診断テスト(以下単に「テスト」と称す)を実施するサービスである。
また、本サービス提供者は、人だけでなく、企業或いはその企業内の部署等についても、夫々に所属する社員夫々のテストの結果に基づいて、当該企業或いは当該部署等に対し成長の支援を行うとともに、今後の成長の最適解を提示し、社会の発展に貢献することができるようにする。
【0012】
具体的には、本実施形態では、サーバ10は、次のようにユーザ端末20と連携して動作する。
即ち、サーバ10は、先ず初めに、ユーザに対してテストを実施する。具体的にはサーバ10は、予めデータベースに記憶されている複数の問題のうち1以上からなるテストを、ユーザ端末20に送信し、これら1以上の問題の夫々に対してユーザが入力した解答を受信する。
【0013】
テストは、サービス提供者により実施される。当該テストの問題は、ユーザのビジネスにおける基礎的な力(ビジネス基礎力)を評価するためのものであり、サービス提供者により1以上のビジネスの評価対象のスキル毎及び夫々のスキルの1以上のテーマ毎に出題される。ビジネス基礎力とは、社会人として仕事を行う上で役に立つ技術又は能力をいう。
【0014】
ビジネス基礎力を評価するためのスキルとテーマとの関係について説明する。
スキルは、m個(mは1以上の任意の整数値)に定義され、さらに1以上のスキルの夫々にp個(pは、mとは独立した1以上の任意の整数値)のテーマが定義されている。
テストでは、当該テーマの夫々に関連する内容の問題が項目毎に出題される。
【0015】
ユーザ端末20は、サーバ10が送信したテストを受信する。そして、ユーザは、ユーザ端末20を操作して、当該テストを構成する複数の問題の夫々について解答を入力する。
ユーザ端末20は、ユーザが入力したテストの解答(各問題の解答の集合体)を、サーバ10に送信する。
【0016】
サーバ10は、ユーザ端末20-1乃至20-nの夫々からテストの解答が送信される毎に、当該回答を順次取得し採点を行う。また、サーバ10は、採点結果を前記項目毎に正規化し、これをスコアとしてユーザ毎に記憶し管理する。
【0017】
サーバ10は、ユーザ毎に管理しているスコアから、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件を設定し記憶する。
なお、所定の母集団は、特に限定されず、例えば、ユーザに関する各種属性情報のうち、所定の1以上の属性情報が一致するユーザからなる集団や、スコアが一定範囲内のユーザからなる集団等各種各様な集団を採用することができる。なおその前提として、サーバ10は、各ユーザ毎に、採点結果を示すスコアとともに、当該ユーザの各種属性情報(年齢、性別、業界、職種、役職、入社年度等)を対応付けて管理しているものとする。
この場合、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件としては、例えば、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、過去のスコアの値や範囲等を採用することができる。
【0018】
サーバ10は、所定のユーザのスコアと、当該所定のユーザが含まれる所定の母集団のスコアとを抽出し、両スコアを比較する。
具体的には、例えば当該所定のユーザのスコアと、当該所定のユーザが含まれる所定の母集団のスコアの平均値、最大値又は最小値とを比較することができる。
【0019】
また、サーバ10は、当該所定のユーザのスコアと当該所定のユーザが含まれる所定の母集団のスコアとをプロットしたグラフを、当該所定のユーザのユーザ端末20の画面に表示させる(
図3参照)。
【0020】
これにより、ユーザは、ユーザ端末20の画面に表示されたグラフの、各スキルの各テーマ夫々についての当該ユーザ自身のスコアの値と、当該ユーザが含まれる所定の母集団のスコアの値との分布から、当該ユーザの現在のスキルと、過去のスキルとを比べた成長の度合いや企業の教育効果を容易に視認することができる。
【0021】
図2は、
図1の情報処理システム1のうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0022】
サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、記憶部108と、通信部109と、ドライブ110と、を備えている。
【0023】
CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、又は、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0024】
CPU101、ROM102及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インターフェース105も接続されている。入出力インターフェース105には、出力部106、入力部107、記憶部108、通信部109及びドライブ110が接続されている。
【0025】
出力部106は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部107は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0026】
記憶部108は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部109は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(
図1の例ではユーザ端末20等)との間で通信を行う。
【0027】
ドライブ110には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア111が適宜装着される。ドライブ110によってリムーバブルメディア111から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
また、リムーバブルメディア111は、記憶部108に記憶されている各種データも、記憶部108と同様に記憶することができる。
【0028】
図3は、
図2のハードウェア構成を備えるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ10の記憶部108(
図2)の一領域には、DB60が設けられている。
DB60には、入力情報取得部11により取得されたユーザのさまざま情報が記憶されている。
具体的には、DB60には、ユーザがビジネス基礎力診断テストを受けた結果(テスト結果)、コンピテンシー・サーベイ(Competency Survey)による行動特性評価結果、企業内で保持しているユーザの企業内データ、並びに、ユーザに関する情報(ユーザの基本属性)、業界属性、及び性格傾向等がログとして記憶されている。
大別すると、テスト結果、行動特性評価結果、企業内データは、現在値の群に区分され、基本属性、業界属性、性格傾向等は、属性の群に区分される。
テスト結果は、ユーザが内包する力の現在レベルを示す第1情報である。テスト結果以外にも例えばユーザが現在までにサービス提供者が実施する研修を受講した実績等の過去ログもDB60に記憶されている。
行動特性評価結果は、ユーザが行動する力の現在レベルを示す第2情報である。
企業内データは、企業内でのユーザの仕事の実績や社内研修を受けた実績、若しくは仕事の成果等、企業内の実績、若しくは成果に関する定量的な第3情報である。
基本属性は、ユーザの社会人歴、業務履歴、業務経験等であり第4情報である。基本属性は、この他、例えばユーザの氏名、年齢、性別、職種等を含む。
業界属性は、第5情報である。性格傾向は、第6情報である。
ユーザに関する情報は、例えば企業等で就労する従業員が、自身のスキル向上のために、サービス提供者が開催する講座や研修等を受講するための情報であり、ユーザに関する情報には、ユーザが属する企業や業種等のユーザの属性情報が含まれる。
【0029】
具体的には、DB60には、会社等の企業において研修サービスを受講させる従業員の氏名、年齢、性別、職種等の基本属性、社内における現在や現在に至るまでの所属部署(部門等)、役職、企業の業種、受講する講座や研修に関する情報(講座名や講座番号、研修名や研修番号、受講日、受講履歴)、サービス提供者がユーザの夫々に対して行ったアンケート(質問)とその回答の組等が、ユーザ個人を識別する情報(ユーザID又はユーザ番号等)に対応して記憶されている。
【0030】
ユーザの属性は、現在と理想(なりたい姿)の基本属性(年齢、性別、職種等の主属性)とその他の追加属性(役職、業種等の副属性)とに分けられて、DB60に記憶されている。
基本属性は、ユーザであればすべて登録される。追加属性は、ユーザからの積極的な入力により任意で登録される。なお、ユーザの属性とスコアを、ユーザに関する情報と呼ぶ場合がある。
【0031】
ここで、本サービス提供者が提供するサービスのうちの1つの研修サービスについて簡単に説明する。ユーザは、研修テーマの中から受講する研修を選択して受講することができる。研修としては、複数の講座が記憶されている。講座とは例えば研修プログラムを実施する研修会や講習会等であり、複数の講座に複数のユーザが参加することが可能である。複数の講座夫々には1つ以上の評価要素が対応している。
1つ以上の評価要素は、特に限定されないが、以下においては、テーマ又はサブテーマが採用されているものとして説明する。即ち、以下の例では、1つの講座に1以上(主に1つ)のテーマ又はサブテーマが対応付けられているものとする。
テーマは、ビジネスの技能要素の夫々をネーミングした主題であり、講座名と対応付けされる。サブテーマは、テーマの中に含まれる小テーマをいい、小テーマだけの講座も設定される。研修についても同様である。
【0032】
ここで、
図4を参照してビジネス基礎力診断テストによるユーザのスキルの評価について説明する。
図4は、ビジネススキルの評価指標と対応付けたユーザのスキルの評価結果(スコア)の一例を示す図である。
ビジネス基礎力を評価する指標は、例えば
図4に示すグラフに示されるように、「ビジネス知識」(Business knowledge)、「プランニング&コントロール」(Planning & Control)、「シンキング」(Thinking)、「コミュニケーション」(Communication)等の4つのスキルに定義(カテゴリ分け)される。4つに定義(カテゴリ分け)された夫々のスキルには、スキル項目が設定されている。スキル項目は、夫々のスキルの評価要素の1つである。各スキルには、スキル項目毎に研修(講座)が設定される。
【0033】
例えば「ビジネス知識」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、時事問題、法務・人事・労務、財務・経理、マーケティング、経営等がある。図示しないが、法務・人事・労務というスキル項目には、人事・労務、コンプライアンス等のサブ項目が含まれる。
【0034】
「プランニング&コントロール」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、目的及び目標、計画、業務管理、振り返り・評価、改善等がある。図示しないが、目的及び目標というスキル項目には、目的思考というサブ項目が含まれる。また、計画というスキル項目には、アクションプラン立案というサブ項目が含まれる。
【0035】
「シンキング」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、数的処理、思考法活用、情報収集、課題設定、解決策立案等がある。図示しないが、思考法活用というテーマには、要素分解力というサブテーマが含まれる。
【0036】
「コミュニケーション」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、ネゴシエーション、文書伝達、口頭伝達、傾聴、ビジネスマナー等がある。図示しないが、文書伝達というスキル項目には、スライド作成力というサブ項目が含まれる。
【0037】
ここでビジネススキルを評価するためのスキルのカテゴライズの仕方(分け方)について説明する。
スキルは、人材育成において成長するために必要なスキルを体系化して大きく4つに分けられる。
人が成果を出すためには、計画性・実行力「プランニング&コントロール」が必要となる。この計画性・実行力を上げるためには意思や判断等の考え方「シンキング」、人間関係を構築するコミュニケーション力「コミュニケーション」、前提となる知識「ビジネス知識」が同時に必要である。
このように4つのカテゴリのスキルと、夫々のカテゴリをさらに細分した5つのスキル項目とに分けてビジネス基礎力を評価した評価結果を提示することで、ユーザの持っているスキルの特長が見え易くなる。評価結果を提示とは、例えばレーダーチャート等にテスト結果の数値を項目毎にプロットして波形としてユーザに提示することである。
【0038】
ビジネス基礎力は、個々のスキル項目の単位、又は複数のテーマで1つ設定される講座の単位で、ユーザが研修を受講することにより、ユーザのビジネススキルの向上が図られる。
ユーザが研修を受講するにあたり、受講前と受講中及び受講後等にビジネス基礎力診断テストが実施される。
【0039】
DB60には、サービス提供者が実施するテストに関する情報が記憶されている。テストに関する情報は、例えばテストの問題、解答、個々のユーザのテスト結果(スキル項目毎の得点)やその総合的評価であるビジネス基礎力診断結果(カテゴリ毎及び項目毎のスコア)が記憶されている。この他、ユーザへのアンケートと、アンケートに対する回答、研修利用企業数、受講人数、階層教育に着手している企業数、研修テーマ別・階層別の受講人数、教育導入までの意思決定にかかるリードタイム、サービス利用者ID登録数等を含む人材育成ログ情報等もDB60に記憶されている。
スコアは、テストの項目毎の得点を、例えば5段階等で評価した数値(“1”から“5”)であり、1スキル項目毎に合計した数値も記憶されている。1カテゴリ5つのスキル項目とした場合に1カテゴリ25点満点とし、この場合の個々のスキル項目のスコアを合計した値等で、ユーザのカテゴリ毎の評価が示される。
【0040】
DB60には、ユーザが属する企業の情報(企業規模(人数)、組織構成(階層等)、部署、部門の配置等)が、ユーザIDに紐付けられて記憶されている。ユーザIDは、ユーザがこのサーバ10へログインするときの識別情報でありパスワードとペアで管理されている。
また、DB60には、企業における従業員(ユーザ)夫々の情報(例えば従業員の氏名、年齢、入社年月日、在職年数、組織上の職位、役職等)が社員番号等の従業員の個人特定情報とユーザIDに紐づけて記憶されている。
なお、上記で示した1年前や数年前等の過去ログは一例であり、3年前であってもよく過去の実績であれば足りる。
DB60には、ユーザの過去の実績情報が記憶されている。実績情報は、例えばユーザ毎のテストの結果と、そのときのユーザの属性と、受検日とを対応付けた情報である。
この他、DB60には、講座や研修を受講する企業の業績情報(例えば経済情報誌等で公開されている範囲の情報)が同業他社で比較可能に記憶されている。
ユーザは、ユーザが勤務する企業等の所定団体に属しており、ユーザのスコア及び属性は、企業により作成される情報(人事評価等)により示される。
このように、現在スコア及び現在属性、並びに目標スコア及び目標属性として、ユーザが勤務する企業の人事評価(所属等=属性、評価=スキル(スコア))をレコメンド材料の1つに採用することで、客観的な評価を考慮してユーザの「人の力」を計ることができる。
【0041】
サーバ10のCPU101(
図2参照)においては、「人の力」情報の可視化処理を実行する際に、
図3に示すように、入力情報取得部11と、「人の力」情報生成部12と、可視化提示部13と、開発度情報生成部14と、適性判定部15と、人材選定部16と、が機能する。
【0042】
ここで、ビジネス基礎力診断テストのテスト結果の評価、コンピテンシー・サーベイによる行動特性評価、「人の力」の評価について説明する。
ビジネス基礎力診断テストのテスト結果から導出される評価は、その人が内包する力、つまり人が身に着けた知識やスキル等の能力値が評価基準になる。
例えば「ビジネス知識」、「プランニング&コントロール」、「シンキング」、「コミュニケーション」等の4つのスキルにカテゴリ分け(定義)され、カテゴリの夫々に5つの項目(
図4参照)が設定されている。
【0043】
また、コンピテンシー・サーベイによる行動特性評価は、実務に必要な行動を重要した評価であり、行動する力が評価される。行動特性評価は、能力値の評価よりも評価項目に具体性があることが特徴であり、より明確な人物像を基準とした人材育成に有効である。
評価項目は、自社に合わせた評価項目が設定される。
例えば達成・行動、援助・対人支援、インパクト・対人影響力、管理領域、知的領域、個人の効果性等の6つのカテゴリに区分され、カテゴリの夫々にいくつかのコンピテンシー項目が設定されている。
例えば達成・行動のカテゴリには、例えば達成思考・秩序・品質・正確性への関心・イニシアチブ・情報収集等のコンピテンシー項目が設定されている。援助・対人支援のカテゴリには、対人理解・顧客支援志向等のコンピテンシー項目が設定されている。インパクト・対人影響力のカテゴリには、インパクト・影響力・組織感覚・関係構築等のコンピテンシー項目が設定されている。管理領域のカテゴリには、他者育成・指導・チームワークと協力・チームリーダーシップ等のコンピテンシー項目が設定されている。知的領域のカテゴリには、分析的志向・概念的志向・技術的・専門職的・管理的専門性等のコンピテンシー項目が設定されている。個人の効果性のカテゴリには、自己管理・自信・柔軟性・組織コミットメント等のコンピテンシー項目が設定されている。
【0044】
「人の力」は、ビジネスの場面における成し遂げる力として定義される。
評価項目としては、例えば
図12の示すように、立ち居振る舞い、顧客対応力、パーソナル等の3つのカテゴリに区分され、カテゴリの夫々にいくつかの項目(要素)が設定されている。
例えば立ち居振る舞いのカテゴリには、例えば身だしなみ、表情・態度、言葉、挨拶等の項目(要素)が設定される。顧客対応力のカテゴリには、例えば観察、傾聴、質問、提案等の項目(要素)が設定される。パーソナルのカテゴリには、財務、商品・業界知識、情報収集、健康等の(要素)が設定される。
なお、上述したカテゴリや項目(要素)等は、実施のための一例であり、その人が内包する力、行動する力、成し遂げる力という夫々の指標の上で、変更可能である。
【0045】
入力情報取得部11は、ユーザについて、内包する力の現在レベルを示すビジネス基礎力診断テストのテスト結果(第1情報)、行動する力の現在レベルを示すコンピテンシー・サーベイによる行動特性評価結果(第2情報)、実績・成果に関する企業内データ(第3情報)、業務属性(第4情報)、業界属性(第5情報)、性格傾向(性格に関する属性第6情報)の中から1以上の情報を対象者入力情報として取得する。
具体的には、入力情報取得部11は、ユーザに対してビジネス基礎力診断テストを実施した結果のスコアを、カテゴリ別及び項目別に集計し、テスト結果としてDB60に記憶する。また、入力情報取得部11は、コンピテンシー・サーベイによるユーザへのアンケート調査の結果を取得し、それを行動特性評価結果としてDB60に記憶する。
さらに、入力情報取得部11は、企業独自にユーザに対して行った人事考課、仕事の実績、成果等のデータを企業内データとして取得し、DB60に記憶する。
また、入力情報取得部11は、ユーザからの情報入力により、業務属性、業界属性、性格傾向等を取得し、DB60に記憶する。なお、上記情報は、入力情報取得部11からDB60に記憶する他、「人の力」情報生成部12へ出力してもよい。
【0046】
「人の力」情報生成部12は、対象者入力情報に基づいて、対象者の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報を(カテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体)を生成する。
具体的には、「人の力」情報生成部12は、DB60に記憶されている上記6種類の情報(対象者入力情報)のうち少なくとも1以上を読み出し、当該対象者入力情報に基づいて、複数のカテゴリの夫々に対して設定された1以上の要素の夫々の値を演算することで、当該ユーザについての「人の力」情報を生成する。「人の力」情報は、カテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体であり、具体的には、
図12に示す表の可視化数値が該当する。可視化数値は、例えば1乃至5の範囲で数値化される。
対象者入力情報は、DB60から読み出す以外に、入力情報取得部11から直接入力されることもある。
「人の力」生成部12における「人の力」情報の生成は、AIモデルにより実行される。
AIモデルにより実行される「人の力」情報の生成には、入力情報取得部11により取得された6種類の情報のうち、1以上が利用される。AIモデルの他、予め設定されたアルゴリズムに基づいて「人の力」情報を生成してもよい。
【0047】
可視化提示部13は、「人の力」情報(カテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体)を可視化情報として提示する。
具体的には、
図12に示す表の「可視化数値」を、
図13に示すレーダーチャートに波形221として提示したものが可視化情報である。レーダーチャートは、中心から複数の円が等間隔で描かれ、さらに当該中心から各要素の軸を放射状に伸ばして描かれた円グラフであり、軸には中心から近い順に1、2、…5等が割り振られている。
波形222は、
図12に示す表の「求める基準」の数値を、
図13のレーダーチャートにプロットし、プロットした各点間を波形221とは異なる線で結んだもの、又は線で囲まれた領域を色付けしたものである。
ユーザは、これら2つの波形221、222を見比べるだけで、ユーザの「人の力」のどの要素が企業が「求める基準」を満たしているか、不足しているかといったことが一目で判る。
【0048】
なお、可視化提示部13は、ユーザの「人の力」情報を提示するだけなく、DB60に予め記憶されている所定の抽出条件によって抽出された可視化情報をレーダーチャートに波形として提示することができる。
例えば、ビジネス基礎力診断テストの評価結果(
図4参照)、コンピテンシー・サーベイによる行動特性評価結果等の可視化情報をレーダーチャートに波形として提示することができる。
ビジネス基礎力診断テストの評価結果では、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、又は所定のユーザ本人の過去のスコアのうち、任意の数(1も含む)の任意の組合せを所定の抽出条件とした母集団を抽出し、母集団のスコアを示す波形とユーザ本人のスコアの波形とを同時にレーダーチャートに提示することができる。行動特性評価結果についても同様にレーダーチャートに波形として提示できる。
【0049】
開発度情報生成部14は、ユーザについての「人の力」情報及び可視化情報の少なくとも一部を用いて、ユーザの目標(ゴール)到達時点の「人の力」を基準とする、当該ユーザの現時点の「人の力」の開発度を示す開発度情報を生成する。
開発度とは、目指すべき姿(ゴール)に対するユーザの現在の位置、到達度合を言う。目標(ゴール)に対して自分が現在何%の位置にいるかを示す指標であり、例えば開発度が100%の場合、求める姿(基準)で必要とされている力を保有している状態と言える。
具体的には、開発度情報生成部14は、
図12に示す表の可視化数値に要素毎に重み付けや一定の基準を満たさいないと加算されない要素係数を乗じて算出する。
【0050】
適性判定部15は、ユーザについての「人の力」情報(例えば
図16の可視化数値)及び可視化情報(例えば
図14の波形201等)の少なくとも1つを用いた、ユーザの目標到達時点の「人の力」と、当該ユーザの現時点の「人の力」との比較に基づいて、ユーザの適性度(適性)を判定する。
ここで、適性度(適性)とは、目指すべき姿(ゴール)に対し、ユーザにどの程度適性があるかを表す。
具体的には、適性判定部15は、
図14の例に示すように、2つの波形201、202のパターンの類似性と類似率を算出し、相関性のある要素毎に重み付けや一定の基準を満たさないと加算されない要素係数を乗じて算出する。適性判定部15は、このようにして算出した結果が一定の基準値を満たさない場合は適性なしと判定、一定の基準値を満たした場合は適性ありと判定する。なお、単に適性の有無を判定するだけに限らず、例えばAランク、Bランク、B+ランク、Cランク等というようにランクで分けてもよい。
【0051】
人材選定部16は、複数のユーザの夫々についての「人の力」に関する情報(可視化数値(数値)及び可視化情報(波形や領域等の図形)の少なくとも一部)を用いて、複数のユーザの中から、所定人材を1人以上選定する。
【0052】
なお、人材選定に用いる情報は、「人の力」に関する情報(可視化数値や可視化情報)だけでなく、「人の力」に関する情報と、開発度情報生成部14により生成されたカテゴリ毎や要素毎の開発度とを併用したり、また「人の力」に関する情報と、適性判定部15により判定される、求める姿に対する適性(ランク等)とを併用してもよい。
具体的には、例えば
図21のように、ユーザX、Y、Z等の採用候補者が複数存在し、「SEの力」という評価基準でカテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体を作成し、社内には採用するポジションが異なる複数の部署(A部署、B部署、C部署)が存在する場合に、人材選定部16は、可視化数値と開発度を基に、夫々の部署が欲しいポジションの人材を選定する処理を行う。この結果、例えばユーザXはA部署、ユーザYはB部署、ユーザZはC部署等に選定される。
また、例えば
図22のように、ユーザP、Q、R等の採用候補者が複数存在し、「リーダーの力」という評価基準でカテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体を作成し、採用候補者の中から1人を選抜する場合に、人材選定部16は、可視化数値と適性度(類似性、類似率、適性判定ランク等)を基に、リーダーとして最も適性がある人材を次期リーダーとして選定(選抜)する処理を行う。この結果、例えばユーザRが選定(選抜)される。
【0053】
ここで、
図5乃至
図6を参照してサーバの動作を説明する。
図5は、本発明に係る情報処理装置の一実施形態のサーバの処理の流れを示す工程図である。
図6は、
図5のサーバの処理の流れの詳細動作を示すフローチャートである。
【0054】
サーバ10では、
図5のステップS11において、入力情報取得部11は、ユーザについて、内包する力(テスト結果)、行動する力(行動特性評価結果)、企業内データ等の現在値と、その人の基本属性、業界属性、性格傾向等の属性のうち、1以上の情報を取得する。なお、ユーザが、自身のなりたい姿(業種、職種、役割、部署、ポジション等の目標)を有している場合、その情報も入力情報として取得する。
【0055】
続いて、ステップS12において、「人の力」情報生成部12は、入力情報取得部11により入力された1以上の情報に基づいて、「人の力」情報を生成する。
その後、ステップS13において、可視化提示部13は、「人の力」情報生成部12により生成された「人の力」情報を可視化情報(例えば
図7、
図8の波形201等)として可視化する。
【0056】
サーバ10の動作を詳細に説明すると、
図6に示すように、ステップS21において、入力情報取得部11は、ユーザについて、内包する力の現在レベルを示すビジネス基礎力診断テストのテスト結果、行動する力の現在レベルを示すコンピテンシー・サーベイによる行動特性評価結果、及び、実績若しくは成果に関する定量的な企業内データ、並びに、社会人歴、業務履歴、業務経験等の業務属性、業界属性を示す業界属性情報、及び性格傾向を示す性格属性の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する。
具体的には、「人の力」をどのような目的でカテゴリ分け(例えばSEの力、リーダーの力等)するかによるが、例えばテスト結果と基本属性とを取得したり、又はテスト結果と行動特性評価結果と基本属性と性格情報を取得したりする。
【0057】
次に、ステップS22において、「人の力」情報生成部12は、対象者入力情報に基づいて、対象者の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報をカテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体として生成する。
ステップS23において、可視化提示部13は、「人の力」情報を、
図7に示すレーダーチャート200(特性分布図)に波形201(特性)として提示する。
【0058】
このようなサーバ10の動作によれば、ユーザについての複数の評価指標(「内包する力」、「行動する力」等)の現在値と、属性(基本属性、業務属性、性格傾向等)とを組み合わせた対象者入力情報に基づいて、「人の力」情報を生成し、その「人の力」情報を要素単位に可視化するので、ユーザ自身が持つ仕事を成し遂げる力を認知することができる。
【0059】
次に、
図7、
図8を参照してサーバにおける「人の力」の可視化処理について説明する。
図7は、
図2、
図3のサーバにおける「人の力」の可視化処理を示す図である。
図8は、
図7の可視化処理により提示されるユーザの現在の「人の力」の波形を示す図である。
この場合、
図7に示すように、入力情報取得部11によりINPUT(現在値)と、INPUT(属性情報)と、なりたい姿と、が入力される。
INPUT(現在値)は、例えばテスト結果、行動力評価結果、企業内データ等があり、その中から、例えばテスト結果が入力される。
また、他のINPUT(属性情報)として、例えば基本属性、業務属性、性格傾向等があり、この中から、例えば基本属性が入力される。
さらに、ユーザがなりたい姿として、例えば業種がIT業、職種がSE等が入力されたものとする。
【0060】
「人の力」情報生成部12は、n個以上のINPUT(現在値)及びINPUT(属性)(この例ではテスト結果のみ)と、なりたい姿(この例ではIT業、SE)とを入力として、n個以上の選択肢からDB60から、なりたい姿に対応する評価指標を可視化するためのn個のカテゴリ61(例えばカテゴリ1乃至カテゴリ4等)と、n個の要素62(例えば要素1-1、1-2…、2-1、2-2…、3-1、3-2…、4-1、4-2…等)を導出する。
この際、INPUT(現在値)のテスト結果は、カテゴリ61と要素62へ換算される。
即ち、「人の力」情報生成部12は、上記テスト結果、基本属性、なりたい姿等の対象者入力情報に基づいて、なりたい姿に該当する評価指標データの集合体、つまりカテゴリ61毎の各要素62の夫々の値(可視化数値)をDB60から導出する。
なお、なりたい姿に対する評価指標データ(例えば「SEの力」に対応するカテゴリと要素の項目等と求める基準の値)は、なりたい姿における「人の力」の傾向を過去データから割り出してDB60に記憶されているものとする。
なりたい姿の入力がない場合は、予めDB60に用意されている、企業でのユーザが目指すべき姿(ゴール)の評価指標データが導出される。
なお、「人の力」の傾向を示すデータが蓄積されると、カテゴリや要素、求める基準等が定期的に見直されるものとする。
INPUT(現在値)は、絶対値を出力し、INPUT(属性)は、絶対値を補正するための情報として用いるものとする。なお、入力がINPUT(属性)のみでも可視化数値を導出することも可能である。
【0061】
そして、可視化提示部13は、導出された要素62の夫々の値(可視化数値)を、レーダーチャートにプロットして、プロットされた点を結んで、
図8に示すように、ユーザの現在の「SEの力」を示す波形201を提示する。
【0062】
次に、
図9、
図10を参照してサーバによる開発度情報生成処理について説明する。
図9は、
図2、
図3のサーバによる開発度情報生成処理を示す図である。
図10は、
図9の開発度情報生成処理の結果として提示される波形を示す図である。
この場合、サーバの開発度情報生成部14は、「人の力」情報生成部12により生成された、「人の力」の可視化数値を基に開発度を導出する。
開発度情報生成部14は、
図9に示すように、「人の力」情報生成部12により生成された「人の力」の可視化数値の要素毎にユーザの現在の値とゴールとを導出する。
具体的には、開発度情報生成部14は、INPUT(現在値)と、INPUT(属性)からユーザが持つ「人の力」の可視化数値と、ユーザが求める姿の可視化数値(適性値)とを導出し、求める姿の可視化数値に対するユーザの「人の力」の可視化数値の割合を算出する。なお、互いの可視化数値の差分を算出してもよい。
【0063】
そして、開発度情報生成部14は、導出したユーザの「人の力」の可視化数値と、ユーザが求める姿の可視化数値(適性値)とを可視化提示部13に出力することで、可視化提示部13により、
図10に示すような波形211、212がユーザ端末20に提示される。波形211は、導出したユーザの「人の力」の可視化数値を可視化したものであり、波形212は、ユーザが求める姿の可視化数値(適性値)を可視化したものである。
【0064】
例えばINPUT(属性)として入力された情報が、例えば[役割]が「リーダーの開発度」であり、[職種]が「営業力の開発度」等である場合、ユーザが、この開発度の計算結果を見ることで、リーダーという自分が求める姿(適性値)に対して、自身の「人の力」のどの要素がどのくらい足りていて、どの要素がどのくらい足りていないのかを、開発度という形で把握することができる。
【0065】
次に、
図11を参照して「人の力」の開発度情報生成処理の演算内容について説明する。
図11は、
図2、
図3のサーバによる開発度情報生成処理の演算内容を示す図である。
上述したように、「人の力」情報生成部12により生成された「人の力」の可視化数値が、開発度情報生成部14に入力されると、開発度情報生成部14は、n個以上のINPUT(現在値)及びINPUT(属性)と、なりたい姿とを含むn個以上の選択肢に基づいて、なりたい姿に求める基準、最低基準、要素係数・カテゴリ係数をDB60から導出する。これらなりたい姿に求める基準、最低基準、要素係数・カテゴリ係数は、なりたい姿における「人の力」の傾向を過去データから割り出しておき、予めDB60に記憶されているものとする。
【0066】
そして、開発度情報生成部14は、「人の力」の可視化数値に、要素毎に重み付けや一定の基準を満たしていないと加算されない要素係数を乗じた数値を要素毎に導出する。
【0067】
具体的に、例えば
図11に示すように、カテゴリ1の要素(要素1-1、1-2、1-3、1-4等)について、求める基準と、最低基準と、要素係数をDB60から読み出したところ、表213のような開発度算出元となるデータが導出されたものとする。この他、表214のようにカテゴリ毎のカテゴリ係数が導出された。なお、なりたい姿における「人の力」の傾向は、過去データから割り出し、事前にDB60に記憶されているものとする。開発度のデータがある程度蓄積されると、定期的に開発度情報生成処理のロジックは見直される。
導出された要素の「人の力」が最低基準に満たない場合は、その要素においての係数は0となる。なお、最低基準は、全ての要素に設定されているとは限らない。
【0068】
次に、
図12、
図13を参照してサーバによる開発度情報生成処理の具体的な事例を説明する。
図12は、小売販売員の力の開発度情報を生成するために入力情報から導出された評価指標のデータを示す図である。
図13は、
図12の評価指標のデータに基づいて生成した開発度情報を可視化した例を示す図である。
【0069】
図12に示すように、「小売販売員の力」の評価指標として、カテゴリは、立ち居振る舞い、顧客対応力、パーソナルの3つに区分される。
立ち居振る舞いのカテゴリには、身だしなみ、表情・態度、言葉、挨拶等の要素が設定されている。顧客対応力のカテゴリには、観察、傾聴、質問、提案等の要素が設定されている。パーソナルのカテゴリには、財務、商品・業界知識、情報収集、健康等の要素が設定されている。
夫々の要素について、可視化数値、求める基準、最低基準、カテゴリ係数、要素係数、要素毎の開発値、要素毎の開発度、カテゴリ毎の開発度、「小売販売員の力」の開発度等が導出されている。
【0070】
この場合、開発度情報生成部14は、求める基準に対する可視化数値の割合を計算することで、要素毎の開発度を求める。
要素毎の開発度に、要素係数を乗じ、カテゴリ毎に要素の平均値を計算することで、カテゴリ毎の開発度が算出される。
カテゴリ毎の開発度に、カテゴリ係数を乗じて算出された各カテゴリの開発度の平均値を計算することで、「小売販売員の力」の開発度が導出される。この例では、「小売販売員の力」の開発度は、79.1%となる。
【0071】
このように生成された開発度情報が可視化提示部13に出力されることで、
図13に示すようなレーダーチャートやバーグラフがユーザ端末20に提示される。
レーダーチャートには、ユーザの「小売販売員の力」の開発度を示す波形221と、求める基準の波形222とが異なる線や色で描かれており、小売販売員としてユーザに求められる開発力のうち、挨拶、質問、情報収集、営業、健康等の要素の開発力が基準を満たしているものの、身だしなみ、提案、財務、商品・業界知識、観察、傾聴、表情・態度等の要素の開発力が基準に達していないことが判る。特に身だしなみの要素については、最低値以下であり、今後の開発力向上が必須であることが判る。
バーグラフには、各要素の開発度の数値(割合)と、数値に応じた伸び(長さ)でバーが示されており、要素単位はもとより、カテゴリ単位での開発力の高低がよく分る。
【0072】
次に、
図14乃至
図18を参照してサーバによる適性判定処理(適性判定機能)らについて説明する。
図14は、適性判定の仕組みを示す図である。
【0073】
適性判定とは、目指すべき姿(ゴール)に対し、ユーザに適性があるかないかを表すものを言い、タイプ診断とも言える。適性判定の結果は、ランク(Sランク、Aランク、Bランク、判定不能等)でアウトプットされる。Sランクから始まりN段階(N個)のランク又は判定不能として適性が判定され、Sランクとしての判定が最も適性がある状態と言える。
【0074】
適性判定機能は、適性判定部15が、ユーザについての「人の力」情報(
図16の可視化数値)及び可視化情報(例えば
図14の波形201のパターン等)の少なくとも一部を用いた、ユーザの目標到達時点の「人の力」と、当該ユーザの現時点の「人の力」との比較に基づいて、ユーザの適性度合いを判定する機能である。
具体的に、「人の力」情報(可視化数値)を用いて判定を行う場合、適性判定部15は、「人の力」情報生成部12により生成された「人の力」の可視化数値と、理想のタイプの可視化数値との類似性と相関性を判定することで、ユーザに理想とするタイプの適性があるか否かを判定する機能である。
なお、上記可視化数値で判定する以外に、例えば
図14のように、ユーザの可視化数値をレーダーチャートにプロットした波形201(自分(ユーザ自身)の現在の波形)と、予め設定されていた求める基準の可視化数値をレーダーチャートにプロットした波形202(理想のタイプの波形)との類似性と相関性を判定することで、適性があるか否かを判定してもよい。これら「人の力」情報と可視化情報とを共に使用して適性を判定してもよい。
【0075】
例えば波形で判定する場合、適性判定部15は、ユーザ波形201と基準波形202との波形全体の類似性を一致率(適合度)で判定する。
また、可視化数値で判定する場合、適性判定部15は、ユーザの可視化数値と理想のタイプの可視化数値との相関性で判定する。この場合、相関関係のある要素が高いか低い場合、係数を乗じる。
なお、複数の特定要素において基準値(最低基準)に満たない場合は、適性度の判定が不能という判定結果を出力する場合がある。
【0076】
この適性判定機能は、例えば役割として、ユーザのリーダー力についての適性判定を行う場合や、職種として、ユーザに営業力があるか否かの適性判定を行う場合に用いられる。つまりこの適性判定機能は、ユーザが求める姿に適性があるか否かを判定する用途、求める姿に適性があるユーザを発掘する用途等に用いることができる。
【0077】
ここで、
図15を参照して、サーバにおいて、「人の力」情報の生成を経て適性判定するまでの流れを説明する。
図15は、サーバにおいて、「人の力」の可視化数値の生成を経て適性判定をする流れを示す図である。
「人の力」情報生成部12は、
図15に示すように、n個以上のINPUT(現在値)、INPUT(属性)、及びなりたい姿が入力されると、なりたい姿に対応する、評価指標データ(「人の力」のカテゴリ及び要素の各項目)をDB60から読み出し、「人の力」の可視化数値を生成し、DB60に記憶する。
可視化提示部13は、判定対象の評価指標データに含まれるカテゴリ、要素毎の可視化数値をDB60から読み出し、当該可視化数値を可視化情報に置換してレーダーチャートに波形として提示する。
ここで、レーダーチャートは、類似性判定のためのもの(向かって左)と、相関性判定のもの(向かって右)があり、指定したものを提示する。両方を提示してもよい。
【0078】
類似性により適性判定を行う場合、適性判定部15は、DB60から読み出された可視化数値と、なりたい姿に求められる可視化数値との類似性と類似率を計算する。
また、相関性により適性判定を行う場合、適性判定部15は、DB60から読み出された可視化数値と、なりたい姿に求められる可視化数値のうち、要素毎に相関性のある数値に対して予め設定されている重み付けや相関係数を乗じて相関性の数値を計算する。この例では、コーチング力、メンバー育成、PDCA等の要素に相関性があるものとする。
【0079】
ここで、
図16、
図17を参照して、適性判定の第1事例(基準を適合し判定結果が得られる例)を説明する。
図16は、適性判定の第1事例の「リーダー力」の評価指標データを示す図である。
図17は、
図16の評価指標データより生成された「リーダー力」のレーダーチャートと適性判定結果を示す図である。
【0080】
この場合、
図16に示すような「リーダー力」の評価指標データが得られたものとする。
具体的には、
図16に示すように、カテゴリは、業務スキル、コミュニケーション、他者マネージメント、セルフマネージメント等が設定されている。業務スキルのカテゴリには、PDCA、タスク管理、メンバー管理、要素分割力等の要素が設定されている。コミュニケーションのカテゴリには、プレゼンテーション、文書作成、交渉力、調整力等の要素が設定されている。他者マネージメントのカテゴリには、コーチング力、ティーチング力、コンプライアンス、労務管理等の要素が設定されている。セルフマネージメントのカテゴリには、情意・態度、感情コントロール、キャリアデザイン、心身の健康等の要素が設定されている。
夫々の要素には、可視化数値、求める基準、相関(A)、相関(B)、最低基準等の数値が設定されている。
可視化数値は、「人の力」情報生成部12により生成された数値である。
求める基準は、ユーザがなりたい姿に求められる基準であり、なりたい姿における「人の力」の傾向を過去データから割り出し設定されている。また、過去データがある程度蓄積されると定期的に見直しが実施される。この求める基準とユーザの可視化数値との比較により適性が判定される。
最低基準は、ユーザがなりたい姿として最低条件を定めた数値であり、求める基準と同様に「人の力」の傾向を過去データから割り出し設定されている。また、過去データがある程度蓄積されると定期的に見直しが実施される。最低基準に満たない場合は、その要素においての係数は0とされる。なお、最低基準は全ての要素に設定されているとは限らない。
相関係数は、可視化で数値化されたものに乗じる係数である。
類似パターンは、レーダーチャートの求める基準の波形に対して、ユーザの波形が似た波形であることが望ましい。
類似率は、求める基準と、ユーザの波形との一致率である。
相関係数は、なりたい姿毎に、重要要素が一定基準を満たすと加点要素としてとらえる、もしくは一定基準を下回っていると減点要素としてとらえる係数である。
【0081】
適性判定部15は、
図16の評価指標データを可視化提示部13に出力することで、レーダーチャートがユーザ端末20に提示される。
具体的には、
図16の評価指標データの可視化数値を、
図17に示すレーダーチャートにプロットした波形201(ユーザの可視化数値の波形)と、予め設定されていた求める基準の可視化数値をレーダーチャートにプロットした波形203(適性度波形)とがユーザ端末20に提示される。
また、適性判定部15は、上記「リーダー力」の評価指標データに基づいて、類似性はB、類似率はAと判定し、さらに相関係数は1.2、最低基準を満たしている点を踏まえ、「リーダー力」について、ユーザの適性を判定した判定結果を「B+」と決定する。
この判定結果の「B
+」は、「S」、「A」に次いで良い結果であるため、ユーザは「リーダー力」に適性があると言える。
【0082】
次に、
図18、
図19を参照して、適性判定の第2事例(基準を満たさず判定結果が得られない例)を説明する。
図18は、適性判定の第1事例の「リーダー力」の評価指標データを示す図である。
図19は、
図18の評価指標データより生成された「リーダー力」のレーダーチャートと適性判定結果を示す図である。
【0083】
この場合、
図18に示すような「リーダー力」の評価指標データが得られたものとする。具体的なカテゴリと要素の項目は
図16と同じでありその説明省略する。
【0084】
適性判定部15は、
図18の評価指標データを可視化提示部13に出力することで、レーダーチャートがユーザ端末20に提示される。
具体的には、
図19に示すレーダーチャートにプロットした波形201(ユーザの可視化数値の波形)と、予め設定されていた求める基準の可視化数値をレーダーチャートにプロットした波形203(適性度波形)とがユーザ端末20に提示される。
ここで、適性判定部15は、上記
図18の「リーダー力」の評価指標データのうち、メンバー管理の要素の数値が“1”であり、最低基準の数値の“2”を満たしていないため、「リーダー力」について、ユーザの適性判定結果を「判定不能」と決定する。
【0085】
このようにサーバ10の適性判定機能によれば、ユーザについての「人の力」の可視化数値(
図16、
図18等)及び
図15、
図17、
図19の波形201のうち少なくとも1つを用いて、ユーザがなりたい姿に対するユーザの現在の「人の力」の適性度合いを判定することができる。
【0086】
以下、
図20乃至
図25を参照してサーバによる人材選定処理(アサイン・マッチ機能)の具体的な事例を説明する。まず、
図20乃至
図23を参照して人材選定処理(アサイン・マッチ機能)の第1事例(開発度を用いてSEを採用する事例)を説明する。
図20は、第1事例において、採用候補者X、Y、Zの「SEの力」として得られる可視化数値と求める基準(ゴールの数値)を示す図である。
図21は、
図20の採用候補者X、Y、Zの可視化数値と開発度をまとめた図である。
【0087】
第1事例は、未経験の採用候補者の中からSEとして即戦力となる人物を採用したいという複数の部署からの要望により、採用者を選定するものである。
この場合、事前の処理で「人の力」情報生成部12により採用候補者X、Y、Zの夫々の「SEの力」の可視化数値(
図20参照)が得られたものとする。
また、事前の処理で開発度情報生成部14により採用候補者X、Y、Zの夫々の開発度(
図21参照)が得られたものとする。
さらに、各部署の要望する人材の情報は、以下のとおりであり、予めDB60に記憶されている。
A部署は、特に周囲とのコミュニケーションや折衝を必要とされるポジションの人材を求めている。
B部署は、コミュニケーションや交渉等のスキルはあまり必要なく、とにかくSEとしての業務スキルを重視するポジションの人材を求めている。
C部署は、コミュニケーションも業務スキルもどれも必要なポジションの人材を求めている。
人材選定部16は、人材選定処理の際に、上記各部署の要望する人材の情報をDB60から読み出し人材の選定条件の一部とする。
【0088】
具体的には、
図20に示すように、カテゴリは、シンキング、業務知識、コミュニケーション、業務・マネージメント等の要素が設定されている。シンキングのカテゴリには、批判的思想、倫理的思考、課題整理、分析、目的志向等の要素が設定されている。業務知識のカテゴリには、マーケティング、コスト管理・経営、プログラミング、顧客理解、業界知識等の要素が設定されている。コミュニケーションのカテゴリには、交渉、ヒアリング、ファシリテーション、ドキュメンテーション、報連相等の要素が設定されている。業務・マネージメントのカテゴリには、計画・段取り、タスクマネジメント、タイムマネジメント、品質マネジメント、メンバーマネジメント等の要素が設定されている。
ゴールの各要素には、求める基準の数値が設定されている。採用候補者X、Y、Zの各要素には、可視化数値等が設定されている。可視化数値は、「人の力」情報生成部12により生成された数値である。
【0089】
この第1事例の場合、採用候補者X、Y、Zの夫々の「人の力」情報生成処理の結果得られた「SEの力」の可視化数値(
図20の情報)と、開発度情報生成処理により得られた採用候補者X、Y、Zの夫々の開発度情報の可視化数値(
図21の情報)とに基づいてA部署乃至C部署に最適な人材を選定し採用するものとする。
【0090】
人材選定部16は、採用候補者X、Y、Zの可視化数値と開発度情報生成結果を基に、最適な人物を選定する。
採用候補者X、Y、Zは3名とも全体の開発度としては約90%で大きな違いがないが、カテゴリや要素毎に見ると、以下の特徴がある。
採用候補者Xは、コミュニケーションカテゴリの要素の得点が高く、人とのコミュニケーションや交渉などの能力が高い。
採用候補者Yは、業務知識カテゴリの要素の得点が高く、SE業務に直結する業務遂行に関連する得点が高い。
採用候補者Zは、すべてのカテゴリにおいて突出した個所はないが、特別に得点が低い項目もない。
【0091】
これらの結果により、例えば以下のような基準で採用する人を選定することができる。
特に周囲とのコミュニケーションや折衝を必要とされるポジションの人材を求めるA部署には採用候補者Xが選定される。
コミュニケーションや交渉等のスキルはあまり必要なく、とにかくSEとしての業務スキルを重視するポジションの人材を求めるB部署には採用候補者Yが選定される。
コミュニケーションも業務スキルもどれも必要なポジションの人材を求めるC部署には、採用候補者Zが選定される。
【0092】
次に、
図22乃至
図25を参照して人材選定処理(アサイン・マッチ機能)の第2事例(適性度を用いて次期リーダーを登用する事例)を説明する。
図22は、第2事例において、登用候補者P、Q、Rの「リーダーの力」として得られる可視化数値と求める基準(ゴールの数値)を示す図である。
図23は、
図22の登用候補者Pの可視化数値と適性度度をまとめた表とレーダーチャートを示す図である。
図24は、
図22の登用候補者Qの可視化数値と適性度度をまとめた表とレーダーチャートを示す図である。
図25は、
図22の登用候補者Rの可視化数値と適性度度をまとめた表とレーダーチャートを示す図である。
【0093】
第2事例の場合、登用候補者P、Q、Rの中から次期リーダーとしての適性がある人物を選定したい。
人材選定部16は、
図23乃至
図25に示す適性度の表の登用候補者P、Q、Rの可視化の結果(可視化数値、求める基準、最低基準、相関(A)、相関(B)、類似性、類似率、相関係数等)に基づいて、リーダーとして最も適性がある人物を次期リーダーとしてアサインすべく、以下の内容を踏まえて、登用候補者P、Q、R夫々の適性判定処理を実行しその結果を提示する。
例えば「リーダーの力」として必要とされる各要素の合計点数はP46点、Q47点、R40点である。また、リーダーに必要な最低基準及び相関は表のとおりである。
求める基準と各自の可視化数値との比較においては、類似性は登用候補者Rが最も良い結果となり、類似率では登用候補者Pと登用候補者Rが同様に良い結果となった。
これらの結果から、最終的な適性判定としては、登用候補者RがB+となり、最も適性があることと判定し、次期リーダーとして登用候補者Rをアサインすることができる。
【0094】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0095】
例えば、
図2に示したハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0096】
また、
図3に示したサーバ10の機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を情報処理装置が実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図3の例に限定されない。
【0097】
また、機能ブロック及びデータベースは、1台のサーバに配置する例を説明したが、配置場所は、
図3に限定されず、複数の情報処理装置に分散して配置してもよく任意でよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、別々のハードウェアに備えてもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0098】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、情報処理装置のCPU等のコンピュータにネットワークや記録媒体から読み込まれる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムを読み込むことで、各種の機能を実行することが可能な情報処理装置、例えばサーバ等の他、汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータ等に実装されていてもよい。
【0099】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0100】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0101】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0102】
例えば、上述の実施形態では、ユーザは、本サービスの会員として登録された、例えば会社(組織、団体等)の社員(従業員や役員等)や一般人等、人であれば足りる。
【0103】
上述の実施形態では、「人の力」情報を生成する元ともなる入力情報について、例えばサービス提供者が実施するテストのテスト結果(スコア)(第1情報)と、コンピテンシー・サーベイの結果(行動特性評価結果)(第2情報)と、企業内データ(第3情報)と、基本属性(第4情報)と、業界属性(第5情報)と、性格傾向(第6情報)等の6種類の情報としたが、これら以外の外部スコアや属性、データ等を採用し、上記第1乃至第6情報と組み合わせて使用してもよい。
【0104】
上記実施形態では、ビジネス基礎力に関するスキルの評価を行うためのカテゴリとして、例えばビジネス知識、計画及びコントロール、コミュニケーション、並びにシンキング等の4つのカテゴリにビジネススキルを分けたが、これは例示に過ぎない。
即ち、ビジネス基礎力に関する任意のm個(mは1以上の整数値)夫々のカテゴリのスキルを採用することができる。この場合、各スキル毎に設定される1以上のスキル項目(要素)も、上述の実施形態の例に特に限定されず、任意のp個(pは、mとは独立した1以上の整数値)のスキル項目(要素)を採用することができる。
【0105】
上記実施形態では、企業に所属する1以上の対象者の夫々についてのビジネス基礎力を示す情報として、例えばビジネススキルを評価する1以上のスキルにおける項目毎のビジネス基礎力診断テストの得点を正規化したスコア(1~5段階評価の数値)を取得したが、この例以外であってもよい。
例えば企業の他、団体やコミュニティであってもよく、組織であれば足りる。ユーザの他、例えば社員や所員、署員等であってもよく、対象者であれば足りる。
また、ビジネス基礎力を示す情報として、各カテゴリのスキル項目毎にテストを実施し正規化したスコアを取得したが、この他、例えばテストの得点そのものを取得してもよく、ビジネス基礎力を示す情報であれば足りる。
【0106】
上記実施形態では、対象者であるユーザの現時点での「人の力」情報を生成する「人の力」情報生成部12の動作をAIモデルが行うものとして説明したが、例えばカテゴリ毎の各スキル項目(要素)の夫々の値の集合体をデータセットとし、自社に合わせた多数のデータセットを学習用データとして用いて、機械学習を行うことで、自社のビジネス、業界や市場の変化に合わせるようにAIモデルを生成又は更新してもよい。
また、AIモデルに限らず、例えば対象者入力情報に基づいて、対象者の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報を(カテゴリ毎の各要素の夫々の値の集合体)として生成するルールベースのロジックを用いてもよい。
【0107】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)は、
対象者(例えばユーザ等)について、内包する力の現在レベルを示す第1情報(例えばビジネス基礎力診断テストのテスト結果)、行動する力の現在レベルを示す第2情報(例えばコンピテンシー・サーベイ等の行動特性評価結果)、及び、実績若しくは成果に関する定量的な第3情報(例えば企業が保持しているユーザの企業内データ)、並びに、基本属性(社会人歴、業務履歴、業務経験等)を示す第4情報、業界属性を示す第5情報、及び性格傾向を示す第6情報の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する入力情報取得手段(例えば
図3の入力情報取得部11等)と、
前記対象者入力情報に基づいて、前記対象者(例えばユーザ等)の所定時点(現時点)の「人の力」を示す「人の力」情報(例えば
図7のカテゴリ61毎の各要素62の夫々の可視化数値の集合体)を生成する「人の力」情報生成手段(例えば
図3の「人の力」情報生成部12等)と、
「人の力」情報を、可視化情報(例えば
図7、
図8の波形201等)として提示する可視化提示手段(例えば
図3の可視化提示部13等)と、
を備える。
これにより、人が仕事を成し遂げる力としての「人の力」を表現することができる。
【0108】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記「人の力」情報は、複数のカテゴリの夫々に対して設定された1以上の要素の夫々の値から構成されており、
前記「人の力」情報生成手段は、前記対象者入力情報に基づいて、前記複数のカテゴリの夫々に対して設定された前記1以上の要素の夫々の前記値を演算することで、当該対象者(例えばユーザ等)についての前記「人の力」情報を生成する。
このように、複数のカテゴリと、夫々のカテゴリに設定された要素の単位で「人の力」を数値化することで、対象者(例えばユーザ等)は、要素単位に成し遂げる力があるか否かを把握することができる。
【0109】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記対象者(例えばユーザ等)についての前記「人の力」情報及び前記可視化情報の少なくとも一部を用いて、当該対象者(例えばユーザ等)の目標(ゴール)到達時点の「人の力」を基準とする、当該対象者(例えばユーザ等)の現時点の「人の力」の開発度を示す開発度情報を生成する開発度情報生成手段(例えば
図3の開発度情報生成部14等)
を備える。
これにより、対象者(例えばユーザ等)の現時点の「人の力」の開発度(例えば目標(ゴール)に対して何%の位置にいるか等)が分かるので、今後の努力目標を計画する等といった計画を立てることができる。
【0110】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記対象者(例えばユーザ等)についての前記「人の力」情報(例えば
図16の可視化数値)及び前記可視化情報(例えば
図14の波形201のパターン等)のうち少なくとも1つ(一部)を用いた、当該対象者(例えばユーザ等)の目標到達時点の「人の力」と、当該対象者の現時点の「人の力」との比較に基づいて、前記対象者(例えばユーザ等)の適性度合いを判定する適性度合判定手段(例えば
図3の適性判定部15等)、
を備える。
このように、「人の力」情報及び可視化情報のうち少なくとも1つ(一部)を用いて対象者(例えばユーザ等)の適性度合いを判定することで、対象者(例えばユーザ等)が目指すゴールに適性があるか否か、又は、これから対象者に与える仕事や部署、ポジション等が対象者に適するか否かを事前に判断することができる。
【0111】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記対象者(例えばユーザ等)の目標到達時点の「人の力」は、前記対象者(例えばユーザ等)により入力されたなりたい姿に基づいて演算される。
これにより、なりたい姿に基づいて目標(ゴール)到達時点の波形が提示されるので、自身の可視化された波形との差分が明確に判り、なりたい姿の目標(ゴール)に向けて新たな行動を起こすことができるようになる。
【0112】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
複数の前記対象者(例えばユーザ等)の夫々についての前記「人の力」情報及び前記可視化情報(例えば
図21の可視化数値等)のうち少なくとも1つ(一部)を用いて、前記複数の対象者例えば
図21のユーザX、Y、Z等)の中から、所定人材(ユーザXはA部署、ユーザYはB部署、ユーザZはC部署等)を1人以上選定する選定手段(例えば
図3の人材選定部16等)、
を備える。
これにより、複数の対象者の中から、所望のポジションに適する人材を適材適所に採用することができる。
【0113】
本発明が適用される情報処理装置が実行する情報処理方法は、
対象者(例えばユーザ等)について、内包する力の現在レベルを示す第1情報(例えばビジネス基礎力診断テストのテスト結果)、行動する力の現在レベルを示す第2情報(例えば行動特性測定結果)、及び、実績若しくは成果に関する定量的な第3情報(例えば企業が保持しているユーザの企業内データ)、並びに、基本属性(社会人歴、業務履歴、業務経験等)を示す第4情報、業界属性を示す第5情報、及び性格傾向を示す第6情報の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する対象者入力情報取得ステップ(例えば
図6のステップS21等)と、
前記対象者入力情報に基づいて、前記対象者(例えばユーザ等)の所定時点の「人の力」を示す「人の力」情報(例えば
図7のカテゴリ61毎の各要素62の夫々の可視化数値の集合体)を生成する「人の力」情報生成ステップ(例えば
図6のステップS22等)と、
「人の力」情報を可視化情報(例えば
図7、
図8の波形201等)として提示する可視化提示ステップ(例えば
図6のステップS23等)と、
を含む。
これにより、人が仕事を成し遂げる力としての「人の力」を表現することができる。
【0114】
本発明が適用されるプログラムは、
対象者(例えばユーザ等)について、内包する力の現在レベルを示す第1情報(例えばビジネス基礎力診断テストのテスト結果)、行動する力の現在レベルを示す第2情報(例えば行動特性測定結果)、及び、実績若しくは成果に関する定量的な第3情報(例えば企業が保持しているユーザの企業内データ)、並びに、基本属性(社会人歴、業務履歴、業務経験等)を示す第4情報、業界属性を示す第5情報、及び性格傾向を示す第6情報の中から、1以上の情報を対象者入力情報として取得する対象者入力情報取得ステップ(例えば
図6のステップS21等)と、
前記対象者入力情報に基づいて、前記対象者(例えばユーザ等)の所定時点(現時点等)の「人の力」を示す「人の力」情報(例えば
図7のカテゴリ61毎の各要素62の夫々の可視化数値の集合体)を生成する「人の力」情報生成ステップ(例えば
図6のステップS22等)と、
「人の力」情報を可視化情報(例えば
図7、
図8の波形201等)として提示する可視化提示ステップ(例えば
図6のステップS23等)と、
を含む制御処理をコンピュータに実行させる。
これにより、人が仕事を成し遂げる力としての「人の力」を表現することができる。
【符号の説明】
【0115】
1・・・情報処理システム、10・・・サーバ、20、20-1、20-n・・・ユーザ端末、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・バス、105・・・入出力インターフェース、106・・・出力部、107・・・入力部、108・・・記憶部、109・・・通信部、110・・・ドライブ、111・・・リムーバブルメディア、11・・・入力情報取得部、12・・・「人の力」情報生成部、13・・・可視化提示部、14・・・開発度情報生成部、15・・・適性判定部、16・・・人材選定部、60・・・DB、NW・・・ネットワーク