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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157974
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両制御システム及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/04 20060101AFI20241031BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20241031BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241031BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20241031BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20241031BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241031BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
B60W10/00 120
H04N5/222
G03B15/00 V
G01C21/34
B60W10/04
B60W10/18
B60W50/14
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072687
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亜矢
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健良
(72)【発明者】
【氏名】小野 功一朗
(72)【発明者】
【氏名】岡本 進一
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5C122
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC16
2F129DD12
2F129DD34
2F129DD38
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE77
2F129FF02
2F129FF61
2F129GG17
2F129HH12
3D241AA71
3D241AE02
3D241BA55
3D241BA60
3D241BC01
3D241CE04
3D241DB01Z
3D241DC51Z
3D241DD11Z
5C122DA04
5C122EA01
5C122EA12
5C122EA47
5C122EA69
5C122FK34
5C122HA82
5C122HB01
5C122HB05
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】車両上の撮影希望者を車両外にいる撮影者がカメラで撮影する場合に、撮影希望者にとってより価値の高い写真の撮影を容易にすること。
【解決手段】ユーザ車両11を利用して移動可能なサービス利用者10が使用するユーザ端末12と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者20が使用する撮影者端末21との連携を制御可能な通信制御部30と、ユーザ車両11を制御可能なサービス専用アプリ13等の車両制御部とを備え、前記車両制御部は自車両が撮影者の撮影位置に近づいた時に、自車両を撮影者から見やすい走行状態に変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との連携を制御可能な通信制御部と、
前記撮影希望者と対応付けられた特定の車両を制御可能な車両制御部と、
を備え、
前記車両制御部は、少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい走行状態に変更するための指示を発生する走行状態変更機能を有する、
車両制御システム。
【請求項2】
前記走行状態変更機能は、自車両の状況、又は自車両周囲の状況に応じて、自車両のアクセル操作の制限、又はブレーキ操作により自車両の走行速度を自動的に抑制する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記走行状態変更機能は、少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい車線に変更する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記走行状態変更機能は、所定の条件を満たした時に、表示、及び音の出力の少なくとも一方を用いて、自車両の運転者に対し走行速度低減の運転操作を案内する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記走行状態変更機能は、自車両の前方に先行車両が存在する場合に、自車両と前記先行車両との車間距離を広げるための指示を発生する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項6】
車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との間で連携できるように通信経路を確保し、
自車両と前記撮影者の撮影位置との位置関係を把握し、
少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい走行状態に変更するための指示を発生する、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を利用するユーザの写真等を車両外の撮影者が撮影する場合に利用可能な車両制御システム及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、写真を撮ってもらいたいと望む者(写真希望者)と写真を撮影する者(撮影者)との仲介を行うサービスを実現するための技術を開示している。また、特許文献1の段落「0033」に記載されているように、サーバー1は、ロギングしているユーザー位置情報と撮影者位置情報を用いて、各写真希望者2の周辺に存在する撮影者5を抽出し、その撮影者5の情報を周辺撮影者情報としてユーザーデバイス3に発信でき、ユーザーデバイス3は周辺に存在する撮影者5の情報を表示することができる。また、写真希望者2はこの場所において写真が撮られる可能性があるかを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-16100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、旅行で様々な観光地などを訪れる観光客などの人々は、旅行の思い出を残すために、自分が映っている観光地での写真を含む日記を作成したいと希望する場合が多いと考えられる。また、観光地では交通が不便な場合が多いので、各々の観光客は現地でレンタカーの車両を借り、自分で車両を運転しながら観光地巡りをする機会も多いと考えられる。
【0005】
したがって、各観光客が各地で自分の映っている写真を撮影する場合には、観光客自身が車両を運転し走行している状態や、観光客自身が車両に乗降する状態や、自分の借りたレンタカーの近傍で観光客が見物している状態などのシーンが多くなると想定される。
【0006】
しかし、特に観光客自身が車両を運転している状態では、自分で自分自身の写真を撮ることはできない。そこで、例えば特許文献1の技術のようなサービスを利用して、撮影を希望する観光客が現地の撮影者に写真撮影して貰うことが考えられる。
【0007】
しかしながら、車両が走行している状況で車両外にいる任意の撮影者が車両上の運転者やその他の乗員を撮影する場合を想定すると、例えば以下のような課題がある。
(1)目的の撮影希望者(観光客)が搭乗している車両の走行速度が速すぎる状態でこの車両が車両外の撮影者の位置に接近した場合には、撮影するカメラと被写体の位置合わせ、画角調整、ピント合わせ、撮影タイミング調整などの失敗が生じやすく、観光客を綺麗に撮影できない可能性がある。
(2)同じ道路上を複数台の車両が連なって同じ方向に向かって走行している状態だと、撮影者は複数台の車両のうちどちらが撮影希望者が搭乗している目的の車両なのかを区別しにくい。
(3)撮影希望者が搭乗している目的の車両の前方に、他の車両(先行車両)が存在する場合は、目的の車両と共に先行車両が映った状態の写真が撮影される可能性が高くなる。ここで、先行車両が観光地と無関係の場合、撮影希望者にとって写真中の先行車両は不要なノイズとみなされるため、先行車両により写真の価値が低下する。
(4)撮影希望者が車両を運転している状態で車両外の撮影者が撮影する場合、撮影希望者が撮影者の存在位置や撮影位置等を事前に認識していないと、撮影希望者の顔の向きなどが撮影に適した状態でない状態で撮影される可能性が高くなる。その結果、撮影された写真の価値が低下する。
(5)撮影希望者が車両を運転している状態で車両外の撮影者が撮影する場合、撮影希望者が運転しながら周囲を見渡して撮影者を探す状態になりやすく、脇見運転により安全な運転状態を維持するのが困難になる。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両上の撮影希望者を車両外にいる撮影者がカメラで撮影する場合に、撮影希望者にとってより価値の高い写真の撮影を容易にするために役立つ車両制御システム及び車両制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との連携を制御可能な通信制御部と、
前記撮影希望者と対応付けられた特定の車両を制御可能な車両制御部と、
を備え、
前記車両制御部は、少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい走行状態に変更するための指示を発生する走行状態変更機能を有する、
車両制御システム。
【0010】
(2) 車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との間で連携できるように通信経路を確保し、
自車両と前記撮影者の撮影位置との位置関係を把握し、
少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい走行状態に変更するための指示を発生する、
車両制御方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両制御システム及び車両制御方法によれば、車両上の撮影希望者を車両外にいる撮影者がカメラで撮影する場合に、撮影希望者にとってより価値の高い写真の撮影が容易になる。すなわち、撮影希望者の乗車している車両が撮影者の撮影位置に近づいた時に当該車両を撮影者から見やすい位置に移動したり走行速度を低減するなど、撮影者から見やすい走行状態に変更することができるので、撮影者は撮影のタイミング、カメラと被写体の位置合わせ、画角調整、ピント合わせなどの適切な操作を容易に行うことができる。更に、車両の走行速度の低減により、写真撮影時の運転の安全性向上も期待できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の車両制御システムを含む撮影管理システムの構成の概要を示すブロック図である。
図2図2は、サービス利用者と撮影者との位置関係の例を示す平面図である。
図3図3は、車両制御システムにおける主要部の機能構成例を示すブロック図である。
図4図4は、車両制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図5図5は、変形例における車両制御システムの動作を示すフローチャートである。
図6図6は、サービス利用者側の画面表示例-1を示す平面図である。
図7図7は、サービス利用者側の画面表示例-2を示す平面図である。
図8図8は、サービス利用者側の画面表示例-3を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0015】
本発明の車両制御システムを含む撮影管理システム100の構成の概要を図1に示す。
図1に示した撮影管理システム100は、サービス利用者10が使用するユーザ端末12と、撮影者20が使用する撮影者端末21と、管理サービスの主要な機能を提供するクラウド30とを備えている。
【0016】
図1に示した例では、サービス利用者10は観光地で観光する観光者であり、観光地の各地を移動するための手段としてユーザ車両11を使用する。このユーザ車両11は例えばレンタカーであり、それぞれの車両を区別可能なバーコード11aが車体の外表面に付加されている。バーコード11aの情報は、カメラ等を利用して光学的に読み取ることができる。
また、撮影者20は観光地の各地に居住している一般の地域住民や、その場所にたまたま居合わせたプロカメラマンなどである。
【0017】
ユーザ端末12は、例えばスマートフォンであり、一般的なスマートフォンと同様に各種の通信機能、カメラ、ディスプレイ、各種入力装置、GPS(Global Positioning System)受信機、制御ユニット(CPU)、記憶装置などを搭載している。
【0018】
また、クラウド30の機能を利用するためのサービス専用アプリ13が、ユーザ端末12に予め組み込んである。このサービス専用アプリ13は、位置情報送信、写真アップ、撮影要望、写真閲覧/評価、アルバムリクエストなどの機能を有している。
【0019】
例えば、サービス利用者10はユーザ車両11を利用して移動しているときに、自分自身の写真を任意の撮影者20に撮影して貰うためのサービス要求を、ユーザ端末12及びサービス専用アプリ13を利用してクラウド30に送信することができる。
【0020】
撮影者20が使用する撮影者端末21は、例えばスマートフォンであり、一般的なスマートフォンと同様に各種の通信機能、カメラ、ディスプレイ、各種入力装置、GPS受信機、制御ユニット、記憶装置などを搭載している。
【0021】
また、クラウド30の機能を撮影者20が利用するための撮影専用アプリ22が、撮影者端末21に予め組み込んである。この撮影専用アプリ22は、位置情報送信機能、写真の撮影機能、撮影した写真のクラウド保存機能、バーコード認識機能、マーキング/AR(拡張現実)表示機能などを有している。
【0022】
一方、クラウド30は例えば所定のデータセンターに設置されたサーバ装置上に組み込まれたアプリケーションソフトウェア(アプリ)により構成されている。また、このサーバ装置は公衆通信回線40を経由してユーザ端末12および撮影者端末21とそれぞれ通信するための機能を有している。また、本実施形態のクラウド30はマッチング処理部31、写真データ保存部32、及びアルバム作成処理部33を備えている。
【0023】
マッチング処理部31は、撮影して貰うことを希望するサービス利用者10と、事前に登録した各地の撮影者20との間で写真撮影のための円滑なマッチングを実現するために必要な処理機能を有している。写真データ保存部32は、撮影者20が撮影した写真等のデータを保存することができる。アルバム作成処理部33は、写真のアルバムを作成するための処理を実施する。
【0024】
<サービス利用者と撮影者との位置関係>
サービス利用者10と撮影者20との位置関係の例を図2に示す。
サービス利用者10は、例えば図2に示すようにレンタカーなどのユーザ車両11を利用して、道路50上をA地点からZ地点まで観光しながら移動する。移動する途中の道路50上の各地点において、サービス利用者10は思い出となる写真の撮影を要望する可能性がある。
【0025】
また、観光地などでは各地に地域住民などが撮影者20として存在している可能性がある。また、各撮影者20が所持している撮影者端末21は、スマートフォンのように写真を撮影するカメラの機能や、GPSにより撮影者の現在位置を把握する機能や、クラウド30と通信する機能などを有している。
【0026】
サービス利用者10が写真撮影を希望する場合、サービス利用者10がユーザ端末12のサービス専用アプリ13を操作することで、写真撮影のリクエストを自車両の位置情報と共にクラウド30に送信することができる。
【0027】
クラウド30のマッチング処理部31は、各地点に存在する撮影者20の現在位置をそれぞれ把握しているので、写真撮影のリクエストを送信したサービス利用者10のユーザ車両11の現在位置、各撮影者20の現在位置、道路地図の情報などを利用して、それぞれのサービス利用者10と特定の撮影者20とをマッチングさせることができる。
【0028】
例えば、クラウド30のマッチング処理部31が特定のサービス利用者10のユーザ車両11について室内照明、ヘッドライトなどの点灯を自動制御することで、撮影者20は撮影すべきユーザ車両11を目視により確認しやすい状態になる。
【0029】
また、図1に示すように撮影者20は撮影者端末21のカメラでユーザ車両11上のバーコード11aを読み取り、バーコード11aの情報を撮影者端末21からクラウド30に送信することができる。
【0030】
クラウド30のマッチング処理部31は、事前にユーザ車両11のバーコード11aの情報を把握しているので、この情報と撮影者20が送信したバーコード11aの情報とを比較することで、撮影者20がカメラを向けている被写体の車両が、サービス利用者10のユーザ車両11と一致するか否かを識別できる。
【0031】
撮影者端末21上の撮影専用アプリ22は、マッチング処理部31から送信された情報に基づき、撮影者端末21のディスプレイ内で撮影対象のユーザ車両11に対してマーキングの情報を付加し、被写体のユーザ車両11の映像とマーキングの情報とを重畳した状態でAR表示を実行する。このAR表示により、撮影者20は撮影対象の車両を間違えることなくサービス利用者10を容易に撮影できる。
【0032】
なお、ユーザ端末12および撮影者端末21は通常はそれぞれが公衆通信回線40を利用してクラウド30にアクセスし、クラウド30を経由して通信する状態になる。一方、ユーザ端末12と撮影者端末21との距離が接近した場合には、クラウド30で中継せずにダイレクト通信42を行うこともできる。
【0033】
一方、撮影者20が走行中のユーザ車両11およびサービス利用者10を実際に撮影する場合には、様々な要因により綺麗な写真を撮影できない場合がある。例えば、ユーザ車両11の走行速度が速すぎる状態で撮影すると、撮影のタイミング、位置合わせ、ピント合わせ、光量調整などの失敗が生じやすくなる。更に、撮影対象のユーザ車両11の前方を他の先行車両が走行している場合に、ユーザ車両11と先行車両との車間距離が近いと、先行車両がユーザ車両11と被さった状態で同時に撮影される可能性が高く、撮影される写真の品質が低下する。
【0034】
そこで、本実施形態の撮影管理システム100は、クラウド30とユーザ車両11とが連携して適切な撮影環境を実現するための車両制御システムを搭載している。例えば、ユーザ車両11が撮影する場所に近づいた時に、ユーザ車両11の走行速度が早くならないように、アクセル操作を制限したり、自動ブレーキ操作を実施する。あるいは、ユーザ車両11の運転者がそのような運転をするように表示や音声などで案内を実施する。また、ユーザ車両11と先行車両との車間距離が近い場合には、車間距離を大きくするように制御する。詳細については後述する。
【0035】
<システム主要部の機能構成>
実施形態の車両制御システムにおける主要部の機能構成例を図3に示す。
図3に示した車両制御システムは、ユーザ端末12上の機能として、撮影部12a、自車位置測定部12b、表示部12c、及び音出力部12dを備えている。また、サービス専用アプリ13は情報制御部13aを有している。また、ADAS制御部11b、車外監視センサ11c、照明制御部11d、及び照明部11eがユーザ車両11側に備わっている。
【0036】
なお、撮影部12a、自車位置測定部12b、表示部12c、音出力部12d、及び情報制御部13aのそれぞれについては、ユーザ車両11側に装備されている機能を利用することもできる。
【0037】
撮影部12aは、外向きのカメラであり、ユーザ車両11の車室内から車外の進行方向前方の道路などを被写体として撮影できる状態で配置される。自車位置測定部12bは、例えばGPSを利用して測位したユーザ車両11の現在位置を表す緯度/経度の情報を例えば定期的に出力できる。
【0038】
表示部12cは、サービス専用アプリ13の出力する映像信号をサービス利用者10に見えるようにほぼリアルタイムの映像として表示することができる。具体的には、後述するように道路地図や撮影者20が存在する位置などを含む画面が表示部12cに表示される。
【0039】
音出力部12dは、サービス専用アプリ13の出力する音声信号をスピーカで音声や音として出力できる。具体的には、例えば特定の撮影者20の撮影位置にユーザ車両11が近づいたことを表す音声ガイダンスなどを、サービス利用者10に聞こえるように出力することができる。
【0040】
サービス専用アプリ13は、各撮影者20の現在位置の情報をクラウド30の位置情報処理部31aから通信処理部41を経由して取得できる。また、サービス専用アプリ13は自車両の現在位置の情報を自車位置測定部12bから取得できる。また、サービス専用アプリ13は道路地図の情報をクラウド30の地図情報処理部31bから取得できる。また、サービス専用アプリ13は自車両の運転者などが視ている前方の風景と同等の映像を撮影部12aから取得できる。また、サービス専用アプリ13は、サービス利用者10の位置情報を含む利用者情報を、クラウド30の利用者情報処理部31cに送信できる。
【0041】
サービス専用アプリ13の情報制御部13aは、自車位置測定部12bから取得した最新の自車位置と、位置情報処理部31aから取得した撮影者20の位置情報とを比較して両者の距離およびその変化を監視する。また、情報制御部13aは、撮影部12aの映像から自車両の前方の先行車両を検知した場合は、自車両と先行車両との車間距離の大小を把握する。
【0042】
また、情報制御部13aは距離の監視状態に応じて、必要な画面の映像信号を生成したり、音声ガイダンスの音声信号を生成したり、車間距離を拡げるための車間リクエストの信号を生成する。情報制御部13aが生成した映像信号、音声信号、及び車間リクエストの信号は、それぞれ表示部12c、音出力部12d、及びADAS制御部11bに入力される。
【0043】
また、情報制御部13aは、自車位置と撮影者20との距離とそれぞれの位置とに基づいて、所定の条件を満たす場合に車両制御信号を生成する。この車両制御信号は、ユーザ車両11側の照明部11eの照明オンオフを制御するために照明制御部11dに入力される。
【0044】
一方、ユーザ車両11に備わっているADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)制御部11bは、LiDARや車外を撮影するカメラなどで構成される車外監視センサ11cを利用してユーザ車両11の状況を把握し、様々な運転支援を行うことができる。具体的には、ADAS制御部11bは車両の状況に応じてブレーキ操作、アクセル操作、ステアリング操作などを自動的に実施したり、運転者が適切な運転操作を行うように音声や表示などで運転支援の案内を提示することができる。
【0045】
本実施形態では、ユーザ車両11やそれを運転しているサービス利用者10等を撮影対象として車外の撮影者20が写真撮影する場合に、サービス専用アプリ13が車間リクエストの信号をADAS制御部11bに入力することができる。これにより、写真撮影の場合は通常の運転状況と比べてより車間距離が大きくなるように、ADAS制御部11bはアクセル操作を自動的に抑制したり、車速を低減するように自動的にブレーキをかけることができる。
【0046】
照明制御部11dは、ユーザ車両11の照明部11eに備わっている室内照明デバイスの点灯オンオフを制御できる。本実施形態では、サービス専用アプリ13の生成した車両制御信号が有線又は無線の通信経路を介して照明制御部11dに入力される。また、車外監視センサ11cからの情報が有線又は無線の通信経路を介してサービス専用アプリ13に入力される。したがって、サービス専用アプリ13はユーザ車両11の室内照明などを必要に応じて制御できる。
【0047】
一方、クラウド30の位置情報処理部31aは、撮影専用アプリ22を起動している各撮影者20の撮影者端末21からその位置情報を取得し、サービス利用者10と特定の撮影者20とをマッチングするための処理を行うことができる。
【0048】
クラウド30の地図情報処理部31bは、ユーザ車両11が走行する可能性のある地域の道路地図を含むデータベースを事前に保持している。マッチング処理部31は、ユーザ車両11が走行している地点や各撮影者20が存在する地点を含む領域の道路地図のデータや、各撮影者20の位置情報をユーザ端末12のサービス専用アプリ13に送信することができる。また、マッチング処理部31はユーザ車両11の現在位置などサービス利用者10側の情報を必要に応じて撮影者端末21の撮影専用アプリ22に送信することができる。
【0049】
<車両制御システムの動作>
撮影管理システム100に含まれる車両制御システムの動作例を図4に示す。図4に示した車両制御システムの動作について以下に説明する。
【0050】
サービス利用者10がサービス専用アプリ13で写真撮影のリクエストを発生すると、クラウド30が図4に示す制御を実行する。そして、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、撮影者20およびユーザ車両11の最新の位置情報をS11-S12の間で繰り返し取得して両者の距離を常時監視する。
【0051】
サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、最新の距離の大きさに応じて処理の内容を切り替える。図4に示した例では、距離が1000mを超えている場合はS13からS14の処理に進む。
【0052】
この場合は、サービス専用アプリ13は表示部12cの画面上に、マッチングした撮影者20の位置をアイコンのマークで示すようにマッピングした比較的広域の道路地図を表示する(S14)。これにより、例えば図6に示すような画面が表示される。この画面の内容を視認することで、ユーザ車両11に搭乗しているサービス利用者10は、自車両と撮影者20とのおおよその位置関係を把握できる。
【0053】
距離が1000m以下になると、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、S13からS15の処理に進み、自車両(ユーザ車両11)における安全装置作動の有無を識別する。
【0054】
例えば、運転者の顔などをカメラで撮影して運転者の挙動をモニタリングするシステムがユーザ車両11に搭載されている場合には、これを安全装置として利用する。すなわち、運転者であるサービス利用者10の顔向き及び視線の移動頻度から運転者が頻繁に周囲を確認していると判断した場合、S15で図4の動作を終了して安全運転のための車両制御を行う。具体的には、安全運転のための加速の抑制制御や、パワーステアリング制御(重くする)を実施する。但し、運転者がアクセルを踏む/ハンドルを強く切る動作を検知した場合は、運転者が車両制御のキャンセルを意図しているとみなしてこの車両制御を解除する。また、自車両周囲の道路交通状況から危険な状況が予想される場合にも、安全装置を作動させて写真撮影のための制御を中止する。
【0055】
距離が1000m以下で、安全装置作動なしの場合は、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31が更に距離の範囲に応じて処理の内容を切り替える。例えば、距離が500mを超えている場合はS16からS17の処理に進み、距離が0mを超え500m以下の範囲の場合はS20からS21の処理に進む。また、自車両が撮影者20の位置を通り過ぎた場合はS20からS36の処理に進む。
【0056】
距離が500m~1000mの範囲の場合、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、撮影者20の位置をマッピングした地図画面の縮尺を拡大した状態に切り替えて表示する(S17)。これにより、例えば図7に示すような画面が表示される。
【0057】
更に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、例えば「近くに撮影ポイントがあります」のような音声ガイダンスを音出力部12dから出力し、撮影者20の位置が近いことをサービス利用者10に通知する(S18)。
【0058】
更に、ユーザ車両11に搭乗しているサービス利用者10が写真に写りやすくするためにサービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、ユーザ車両11の車内照明を自動的に制御する(S19)。すなわち、サービス専用アプリ13が車両制御信号を照明制御部11dに出力し、照明部11eの照明デバイスを点灯するように制御する。
【0059】
通常はユーザ車両11の室内は車外と比べて照度が低いため室内の情景は写真に映りにくいが、ユーザ車両11の室内照明を点灯することでサービス利用者10が明るく写真に写る状態で撮影することができる。
【0060】
距離が0m~500mの範囲の場合、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、撮影部12aが撮影したリアルタイムの車外映像と、撮影者20の位置を示すアイコンとを重畳した状態の画像を表示部12cの画面に出力する(S21)。これにより、例えば図8に示すような画面が表示される。
【0061】
更に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、例えば「撮影します」のような音声ガイダンスを音出力部12dから出力し、撮影者20がまもなく撮影を実行する予定であることをサービス利用者10に通知する(S22)。
【0062】
サービス専用アプリ13は、例えば撮影部12aが撮影した車外映像の内容を画像処理することで、自車両の前方に存在する他の車両を先行車両として検出したり、自車両と先行車両との車間距離を把握できる。同様に、ADAS制御部11bも車外監視センサ11cが検出した情報に基づいて先行車両を検出したり、自車両と先行車両との車間距離を把握できる。
【0063】
距離が0m~1000mの範囲の場合、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、例えば撮影部12aが撮影した車外映像の内容を画像処理することで、自車両が走行している道路は、片側に複数の車線があるか判定し(S23)、車線が複数ある場合には、自車両が最左の車線を走行しているか判定する(S24)。自車両が最左以外の車線を走行している場合には、最左車線への車線変更リクエストの信号をADAS制御部11bに与えて車両を自動的に制御する(S25)。更に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、例えば「撮影のため、左の車線に移動します」のような音声ガイダンスを音出力部12dにより出力する(S26)。なお、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、道路の片側が一車線であったり、自車両が最左の車線を走行している場合には、S27の処理に進む。
【0064】
次に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、先行車両の有無をS27で識別し、先行車両が存在する場合はS28の処理に進む。そして、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、自車両の走行速度と先行車両の情報をS28で取得し、必要な車間距離をS29で計算する。
【0065】
更に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、車間リクエストの信号をADAS制御部11bに与えて車両を自動的に制御する(S30)。すなわち、自車両の現在の車速を基準にして、撮影者20の写真撮影時に撮影者端末21のカメラの被写体として先行車両が映りこまず、しかも先行車両とユーザ車両11との間に安全な車間距離を開けるように自動でアクセルやブレーキを制御して自車両の速度を制御する。
【0066】
また、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、例えば「撮影のため車間距離を広くします」のような音声ガイダンスの信号を音出力部12dに与える(S31)。これにより、運転者又はその他の乗員として自車両に搭乗しているサービス利用者10は、自車両が撮影のためにこれから車間距離を自動調整する予定であることを知ることができる。
【0067】
一方、ユーザ車両11に搭載されている運転者モニタリングシステム(図示せず)は、車室内のカメラで撮影した運転者(ドライバー)の顔などの画像に基づいて、運転者の運転状態を表す情報を取得する(S32)。更に、運転者モニタリングシステムは運転者の運転状態について脇見運転などの異常の有無を把握する(S33)。
【0068】
運転者モニタリングシステムが運転者の脇見運転などの挙動を検知した場合には、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31はS34からS35の処理に進む。そして、運転の安全性を確保するためにADAS制御部11bに対して制御信号を出力する。具体的には、ユーザ車両11の走行速度の最高速度を例えば20km/h以下に制限するように指示する。
【0069】
一方、距離が0m未満になると、すなわち自車両が撮影者20の位置を通り過ぎた場合には、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、表示部12cの画面上に撮影者20の位置をアイコンのマークで示すようにマッピングした比較的広域の道路地図を表示する(S36)。
【0070】
また、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、照明制御部11dに対して車両制御信号を出力して照明部11eの室内照明を消灯するように自動的に制御する(S37)。更に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、ADAS制御部11bに対して車間リクエストの信号を出力し、自車両と先行車両との車間距離の基準値が通常運転時の設定値に戻るように制御する(S38)。更に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31はADAS制御部11bに対して速度変更の指示を出力し、自車両の最高速度の基準値が通常運転時の設定値に戻るように制御する(S39)。
【0071】
<動作の変形例>
変形例における車両制御システムの動作を図5に示す。図5に示した動作においては、各ステップS30A、S31Aの処理が変更されている。なお、図4の動作と同一の処理については同一のステップ番号が付与されている。図5中の変更箇所について以下に説明する。
【0072】
ユーザ車両11の前方に先行車両が存在する場合には、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、撮影のために自車両と先行車両との間の車間距離を拡げる必要があることを、表示部12cの画面表示によりユーザ車両11の運転者に通知する(S30A)。
【0073】
更に、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、例えば「撮影のため、車間距離を広くして下さい」のような音声ガイダンスを音出力部12dにより出力し車間距離を拡げる運転操作が必要なことを運転者に通知する(S31A)。
【0074】
なお、図5の変形例においては、図4に示したステップS23~S26を省略しているが、S23およびS24の処理を実行し、自車両が最左の車線を走行していないと判断した場合には、「撮影のため、左の車線に移動して下さい」のような音声ガイダンスを行うようにしてもよい。
【0075】
<画面表示例-1>
サービス利用者側の画面表示例-1を図6に示す。
サービス利用者10が撮影管理システム100のクラウド30に対して写真撮影要望を送信した後で、ユーザ車両11の位置と、各撮影者20の位置との距離が1kmより大きい時には、例えば図4に示すS14の処理で表示部12cに図6のような表示画面60が表示される。
【0076】
図6に示した表示画面60の中には、比較的広域の道路地図61と、ユーザ車両11の走行予定経路62と、走行予定経路の近傍に存在する各撮影者20の位置を表す撮影者マーク(カメラのアイコン)63A、63Bとが重ねて表示されている。
【0077】
表示画面60に表示する道路地図61の情報については、クラウド30が利用可能な道路地図のデータベースと、ユーザ車両11の現在位置とに基づいて特定できる。また、各撮影者20の位置情報は、クラウド30と撮影専用アプリ22との間の通信により取得できる。
したがって、ユーザ車両11を運転しているサービス利用者10は、自車両と各撮影者20とのおおよその位置関係を図6のような表示画面60により容易に把握できる。
【0078】
<画面表示例-2>
サービス利用者側の画面表示例-2を図7に示す。
ユーザ車両11の位置と、各撮影者20の位置との距離が500~1000mの範囲内の場合は、例えば図4に示すS17の処理で表示部12cに図7のような表示画面60Aが表示される。
【0079】
図7に示した表示画面60Aの中には、地図の縮尺を拡大した状態の狭域の道路地図61と、ユーザ車両11の走行予定経路62と、走行予定経路の近傍に存在する撮影者20の位置を表す撮影者マーク63Aとが重ねて表示されている。
したがって、ユーザ車両11を運転しているサービス利用者10は、自車両と各撮影者20との位置関係を図7のような表示画面60Aにより容易に把握できる。
【0080】
<画面表示例-3>
サービス利用者側の画面表示例-3を図8に示す。
ユーザ車両11の位置と、各撮影者20の位置との距離が0~500mの範囲内の場合は、例えば図4に示すS21の処理で表示部12cに図8のような表示画面60Bが表示される。
【0081】
図8に示した表示画面60Bの中には、撮影部12aが撮影したリアルタイムの車外映像66と、撮影者20の位置を表す撮影者マーク63A、64、撮影予告マーク65とが重ねて表示されている。
【0082】
したがって、ユーザ車両11を運転しているサービス利用者10は、撮影するカメラが存在する位置や方向を図8のような表示画面60Bにより容易に把握できる。更に、まもなく撮影のタイミングになることも把握できる。
【0083】
以上のように、本実施形態の撮影管理システム100を利用することで、ユーザ車両11に搭乗して移動しているサービス利用者10は、写真撮影の要望をクラウド30に送信できる。クラウド30は適切な撮影者20とサービス利用者10とのマッチングを行うので、撮影者20のカメラによりサービス利用者10及びユーザ車両11を走行中に撮影できる。
【0084】
しかも、ユーザ車両11が撮影ポイント周辺に達した際に自車の車両状況または周囲の車両状況に応じて、自車の速度を低減する指示や最左の車線に車線変更する指示を出す車両制御システムを有しているので、適切な写真撮影が容易になる。また、ユーザ車両11に搭載されているADAS制御部11bやドライバモニタリングシステムと連携することで、運転中の安全の確保が容易になる。
【0085】
特に、ユーザ車両11の前方に他の先行車両が存在する場合には、撮影管理システム100がユーザ車両11と先行車両との車間距離を拡げるように指示を出すので、撮影する写真の中に先行車両が映り込むのを避けることができ、品質の高い写真の撮影が容易になる。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0087】
例えば、上述した実施形態では、サービス専用アプリ13又はマッチング処理部31は、自車両が最左以外の車線を走行している場合に、最左車線への車線変更リクエストの信号をADAS制御部11bに与えるようになっているが、車両が右側通行になっている国では、最右車線への車線変更リクエストを行うようにする。
【0088】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車両制御システム及び車両制御方法の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者(サービス利用者10)が使用する第1の通信端末(ユーザ端末12)と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末(撮影者端末21)との連携を制御可能な通信制御部(クラウド30)と、
前記撮影希望者と対応付けられた特定の車両(ユーザ車両11)を制御可能な車両制御部(サービス専用アプリ13)と、
を備え、
前記車両制御部は、少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい走行状態に変更するための指示を発生する走行状態変更機能(情報制御部13a、S23~S35)を有する、
車両制御システム(撮影管理システム100)。
【0089】
上記[1]の構成の車両制御システムによれば、撮影者が撮影対象の車両を撮影するときには、車両の走行速度が抑制されたり車線が変更され車両が撮影者から見やすい位置に移動された状態になるので、撮影者は撮影タイミングの調整、カメラの位置合わせ、ピント合わせなどの適切な操作を容易に行うことができる。これにより、品質の高い写真の撮影が容易になる。また、車両速度の抑制を行えば写真撮影の時にも安全な運転状態を維持できる。
【0090】
[2] 前記走行状態変更機能は、自車両の状況、又は自車両周囲の状況に応じて、自車両のアクセル操作の制限、又はブレーキ操作により自車両の走行速度を自動的に抑制する(S30、S35)、
上記[1]に記載の車両制御システム。
【0091】
上記[2]の構成の車両制御システムによれば、撮影の際に車両側が自動的に速度を制御するので、運転者は撮影のために特別な運転操作を行う必要がなくなる。そのため、撮影希望者が運転者の場合でも、撮影希望者は撮影位置で顔の向きや視線を撮影者のカメラ位置に合わせることが容易になる。
【0092】
[3] 前記走行状態変更機能は、少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい車線に変更する(S25)、
上記[1]または[2]に記載の車両制御システム。
【0093】
上記[3]の構成の車両制御システムによれば、撮影の際に車両側が自動的に走行する車線を変更するので、運転者は撮影のために特別な運転操作を行う必要がなくなる。そのため、撮影希望者が運転者の場合でも、撮影希望者は撮影位置で顔の向きや視線を撮影者のカメラ位置に合わせることが容易になる。
【0094】
[4] 前記走行状態変更機能は、所定の条件を満たした時に、表示、及び音の出力の少なくとも一方を用いて、自車両の運転者に対し走行速度低減の運転操作を案内する(S30A)、
上記[1]に記載の車両制御システム。
【0095】
上記[4]の構成の車両制御システムによれば、運転者はシステムの案内に従って走行速度を低減するように運転操作するだけで、自車両を撮影に適した走行状態に調整することができる。これにより、品質の高い写真の撮影が容易になる。
【0096】
[5] 前記走行状態変更機能は、自車両の前方に先行車両が存在する場合に、自車両と前記先行車両との車間距離を広げるための指示を発生する(S27~S30)、
上記[1]に記載の車両制御システム。
【0097】
上記[5]の構成の車両制御システムによれば、撮影者が撮影希望者の車両を撮影するときに、撮影希望者の車両と共に先行車両が写真に写り込むのを防止できる。これにより、品質の高い写真の撮影が容易になる。
【0098】
[6] 車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との間で連携できるように通信経路を確保し(クラウド30の動作)、
自車両と前記撮影者の撮影位置との位置関係を把握し(S11)、
少なくとも自車両が前記撮影者の撮影位置に近づいたときに、自車両を撮影者から見やすい走行状態に変更するための指示を発生する(S25、S30、S35)、
車両制御方法。
【0099】
上記[6]の手順の車両制御方法によれば、撮影者が撮影対象の車両を撮影するときには、車両の走行速度が抑制されたり車線が変更され車両が撮影者から見やすい位置に移動された状態になるので、撮影者は撮影タイミングの調整、カメラの位置合わせ、ピント合わせなどの適切な操作を容易に行うことができる。これにより、品質の高い写真の撮影が容易になる。また、車両速度の抑制を行えば写真撮影の時にも安全な運転状態を維持できる。
【符号の説明】
【0100】
10 サービス利用者
11 ユーザ車両
11a バーコード
11b ADAS制御部
11c 車外監視センサ
11d 照明制御部
11e 照明部
12 ユーザ端末
12a 撮影部
12b 自車位置測定部
12c 表示部
12d 音出力部
13 サービス専用アプリ
13a 情報制御部
20 撮影者
21 撮影者端末
22 撮影専用アプリ
30 クラウド
31 マッチング処理部
31a 位置情報処理部
31b 地図情報処理部
31c 利用者情報処理部
32 写真データ保存部
33 アルバム作成処理部
40 公衆通信回線
41 通信処理部
42 ダイレクト通信
60,60A,60B 表示画面
61 道路地図
62 走行予定経路
63A,63B 撮影者マーク
64 撮影者マーク
65 撮影予告マーク
100 撮影管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8