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2024-157976カーテンウォールにおける連結構造およびカーテンウォール
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  • -カーテンウォールにおける連結構造およびカーテンウォール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157976
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】カーテンウォールにおける連結構造およびカーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072692
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
(72)【発明者】
【氏名】宮本 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】青野 真典
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NC03
2E002PA01
2E002SA02
(57)【要約】
【課題】専用形状の枠材を用いずにカーテンウォールユニットの間に室内外方向の段差を形成できるカーテンウォールにおける連結構造およびカーテンウォールを提供すること。
【解決手段】カーテンウォールにおける連結構造30は、第一カーテンウォールユニットの第一枠材としての縦枠13が室内側の位置に配置され且つ第二カーテンウォールユニットの第二枠材としての縦枠13が室外側の位置に配置されるカーテンウォール1において各縦枠13の間に構成される連結構造30であって、第一枠材としての縦枠13に対して対向配置される端枠部31と、第二枠材としての縦枠13に対して対向配置される端枠部41と、端枠部31,41を連続する中間連結部51とで構成されることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一カーテンウォールユニットの第一枠材が室内側の位置に配置され且つ第二カーテンウォールユニットの第二枠材が室外側の位置に配置されるカーテンウォールにおいて前記第一枠材および前記第二枠材の間に構成される連結構造であって、
前記第一枠材に対して対向配置される第一端枠部と、
前記第二枠材に対して対向配置される第二端枠部と、
前記第一端枠部および前記第二端枠部を連続する中間連結部とで構成される
ことを特徴とするカーテンウォールにおける連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載のカーテンウォールにおける連結構造において、
前記中間連結部は、前記第二端枠部に対して、第一接合部と前記第一接合部の位置よりも室外側の位置に配置される第二接合部とで接合されると共に、前記第一接合部と前記第二接合部との間に当該第二端枠部に当接する当接部が構成される
ことを特徴とするカーテンウォールにおける連結構造。
【請求項3】
請求項2に記載のカーテンウォールにおける連結構造において、
前記第二端枠部には、その室内部分に前記第一接合部が接合されると共にその室外部分に前記第二接合部が接合され、
少なくとも前記当接部は、前記第二端枠部を室外側から覆って配置される
ことを特徴とするカーテンウォールにおける連結構造。
【請求項4】
請求項3に記載のカーテンウォールにおける連結構造において、
前記中間連結部は、前記第二接合部と前記当接部との間に見付け部を有し、
前記見付け部は、前記第二端枠部および前記第二接合部を室外側から覆って配置される
ことを特徴とするカーテンウォールにおける連結構造。
【請求項5】
請求項1に記載のカーテンウォールにおける連結構造において、
前記中間連結部は、前記第一端枠部および前記第二端枠部のうち少なくとも一方と一部材で構成される
ことを特徴とするカーテンウォールにおける連結構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカーテンウォールにおける連結構造が構成されることを特徴とするカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカーテンウォールユニットによって建物の外壁面を凹凸形状に形成するカーテンウォールにおける連結構造およびカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物に凹凸形状の壁面を形成するカーテンウォールが知られている(特許文献1参照)。このカーテンウォールでは、2つのカーテンウォールユニットの一方の縦枠(枠材)を、2つのカーテンウォールユニットの他方の縦枠に対して室外側に対向配置されている。具体的には、2つカーテンウォールユニットの各縦枠のそれぞれは、左右方向に対して傾斜した傾斜部を有しており、当該傾斜部同士が室内外方向に対向配置されており、各縦枠に設けられたタイト材同士が室内外方向に当接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-55496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のカーテンウォールでは、カーテンウォールユニットの縦枠同士を室内外方向に対向配置して、隣接する2つのカーテンウォールユニットの間で室内外方向の段差を形成するので、カーテンウォールユニットの縦枠を専用形状に形成しなければ、隣接する2つのカーテンウォールユニットの間に室内外方向の段差を形成し難く、例えば室内外方向の段差を大きく設定することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、専用形状の枠材を用いずにカーテンウォールユニットの間に室内外方向の段差を形成できるカーテンウォールにおける連結構造およびカーテンウォールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカーテンウォールにおける連結構造は、第一カーテンウォールユニットの第一枠材が室内側の位置に配置され且つ第二カーテンウォールユニットの第二枠材が室外側の位置に配置されるカーテンウォールにおいて前記第一枠材および前記第二枠材の間に構成される連結構造であって、前記第一枠材に対して対向配置される第一端枠部と、前記第二枠材に対して対向配置される第二端枠部と、前記第一端枠部および前記第二端枠部を連続する中間連結部とで構成されることを特徴とする。
本発明のカーテンウォールは、前述した本発明のカーテンウォール連結構造が構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、専用形状の枠材を用いずにカーテンウォールユニットの間に室内外方向の段差を形成できるカーテンウォールにおける連結構造およびカーテンウォールを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るカーテンウォールを示す外観姿図。
図2】前記実施形態に係るカーテンウォールを示す縦断面図。
図3】前記実施形態に係るカーテンウォールを示す横断面図。
図4】前記実施形態に係るカーテンウォールの連結構造を示す横断面図。
図5】前記実施形態に係るカーテンウォールの連結構造の変形例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3において、本実施形態に係るカーテンウォール1は、建物の躯体2に設置されて凹凸形状の外壁面(ファザード面)を構成するものであり、上下左右に並設された複数のカーテンウォールユニットを備えている。躯体2は、梁4と、梁4で支持される床スラブ5とを備えている。床スラブ5の下部には天井6が設置されている。床スラブ5には、カーテンウォールユニット10が連結されている。ここで、躯体2の壁面は、床スラブ5の室外端面をつないで形成されるフラット状の仮想面である。躯体2の鉄骨で構成した場合は、床スラブに代えて横鉄骨や縦鉄骨を躯体2として用いることも可能である。
以下の説明において、カーテンウォール1の左右方向をX軸方向とし、カーテンウォール1の上下方向をY軸方向とし、カーテンウォール1の室内外方向(見込み方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
複数のカーテンウォールユニット10は、図3に示すように左右同じ向きに配置されてZ軸方向に凹凸形状の外壁面を構成している。
カーテンウォールユニット10は、予めユニットとして組み立てられ、その後に躯体2に設置されるものである。カーテンウォールユニット10は、アルミ押出形材で形成された上枠11、下枠12、無目7および左右の縦枠13を枠組みしてなる枠体内にガラスパネル等の面材14を配置して構成されている。下枠12、無目7および左右の縦枠13は窓部を区画しており、上枠11、無目7および左右の縦枠13はスパンドレル部を区画している。枠体のうち少なくとも左右の縦枠13は共通形材で構成されている。複数のカーテンウォールユニット10のうちのカーテンウォールユニット10A(第一カーテンウォールユニット)は室内側に配置されており、複数のカーテンウォールユニット10のうちのカーテンウォールユニット10B(第二カーテンウォールユニット)は室外側に配置されており、カーテンウォールユニット10A,10Bの間には、Z軸方向の段差20を形成する連結構造30が構成されている。なお、カーテンウォール1は、複数組のカーテンウォールユニット10A,10Bおよび連結構造30を備えているが、説明の便宜上、図3および図4に示す一組のカーテンウォールユニット10A,10Bおよび連結構造30について説明する。
【0011】
カーテンウォールユニット10Aの左側の縦枠13(第一枠材)は、図4に示すように、Z軸方向に沿った縦枠見込み片部15と、縦枠見込み片部15の室外端部に形成された面材保持部16と、縦枠見込み片部15の室内端部に連続する室内見付け片部17と、縦枠見込み片部15から外周側に突出した一対の装着片部18,19とを有しており、室内側の装着片部18には、気密材21(ウインドバリア)が装着されており、装着片部18に対して室外側に位置する装着片部19には、二つのヒレ部を有した水密材22(レインバリア)が装着されている。面材保持部16は、面材14を室内側から受ける受け部161と、面材を室外側から押える押縁162が係合する係合部163を有すると共に押縁162と協働して面材14の縁部を保持する溝部を構成している。押縁162には、一つのヒレ部を有した水密材23が装着されている。なお、装着片部18と室内見付け片部17とはZ軸方向に沿った連続部で連続されており、この連続部には、L字部材24が取り付けられている。L字部材24は、縦枠13と後述する端枠部31との間を目隠ししている。
カーテンウォールユニット10Bの右側の縦枠13(第二枠材)は、前述した第一枠材としての縦枠13と共通形材で同様に構成されているので、各構成については同符号を適宜付してその詳細な説明を省略する。
ここで、第一枠材である縦枠13は室内側の位置に配置されており、この位置に対して、第二枠材である縦枠13は室外側の位置に配置されている。なお、第二枠材である縦枠13にはL字部材24は取り付けられていない。
【0012】
連結構造30は、カーテンウォールユニット10Aの左側の縦枠13に対してX軸方向に対向配置される端枠部31(第一端枠部)と、カーテンウォールユニット10Bの右側の縦枠13に対してX軸方向に対向配置される端枠部41(第二端枠部)と、端枠部31,41を連続する中間連結部51とを有している。
【0013】
端枠部31は、アルミ押出形材で形成されており、Z軸方向に沿った見込み片部32と、見込み片部32の室外端部に連続して縦枠13側に向かってX軸方向に延出した室外見付け片部33と、見込み片部32の室内端部に連続して縦枠13側に向かってX軸方向に延出した室内見付け片部34と、見込み片部32から縦枠13側に向かってX軸方向に突出した一対の装着片部35,36とを有しており、室内側の装着片部35には、気密材37(ウインドバリア)が装着されており、装着片部35に対して室外側に位置する装着片部36には、二つのヒレ部を有した水密材38(レインバリア)が装着されている。室外見付け片部33は、縦枠13の押縁162の見付け面に対してX軸方向に沿って配置されており、室内見付け片部34は、縦枠13の室内見付け片部17に対してX軸方向に沿って配置されている。室外見付け片部33の縦枠13側に位置する端部には、Z軸方向に沿っていると共に前述した押縁162に対してX軸方向に対向配置された対向片部391が連続しており、対向片部391の室内端部にはX軸方向に沿った連続片部392が連続しており、連続片部392は見込み片部32に連続している。また、室内見付け片部34および装着片部35はZ軸方向に沿った連続部で連続されている。これにより、端枠部31の室外部分には、見込み片部32、室外見付け片部33、対向片部391および連続片部392によって中空部311が形成され、端枠部31の室内部分には、見込み片部32、室内見付け片部34、装着片部35および連続部によって中空部312が形成されている。
ここで、端枠部31における気密材37は縦枠13における気密材21に圧接しており、水密材38の二つのヒレ部が水密材22の二つのヒレ部に重なり合って当接しており、対向片部391に水密材23のヒレ部が当接することで、端枠部31と縦枠13との間に第一空間61(等圧空間)と、第一空間61よりも室外側の第二空間62とを形成する。これにより、端枠部31と縦枠13との間には、室外側の空間と室内側の空間とを同圧とする等圧構造60が構成されている。
【0014】
端枠部41は、アルミ押出形材で形成されており、第一見込み片部42Aと、第一見込み片部42Aに対して第二枠材としての縦枠13側の位置に配置される第二見込み片部42Bと、第一見込み片部42Aおよび第二見込み片部42Bの室外端部に連続し且つ第二見込み片部42Bよりも縦枠13側に向かって延出したX軸方向に沿った室外見付け片部43と、第一見込み片部42Aおよび第二見込み片部42Bの室内端部に連続し且つ第二見込み片部42Bよりも縦枠13側に向かって延出したX軸方向に沿った室内見付け片部44と、第二見込み片部42Bから縦枠13側に向かってX軸方向に突出した一対の装着片部45,46とを有しており、室内側の装着片部45には、気密材47(ウインドバリア)が装着されており、装着片部45に対して室外側に位置する装着片部46には、二つのヒレ部を有した水密材48(レインバリア)が装着されている。第一見込み片部42Aは、その室外端部が室内端部よりも縦枠13側に寄って配置されるようにZ軸方向に対して傾斜している。第一見込み片部42Aおよび第二見込み片部42Bは、縦枠13よりもZ軸方向に短尺に形成されており、室内見付け片部44は、縦枠13の室内見付け片部17に対してX軸方向に沿って配置されている。このため、室外見付け片部43は、縦枠13の押縁162の見付け面よりも室内側に位置に配置されており、本実施形態では縦枠13の受け部161に対してX軸方向に沿って配置されている。室外見付け片部43および装着片部46は、Z軸方向に沿った連続部で連続されており、室内見付け片部44および装着片部45はZ軸方向に沿った他の連続部で連続されている。このため、端枠部41の室外部分には、第二見込み片部42B、室外見付け片部43、装着片部46および連続部によって中空部411が形成されており、端枠部41の室内部分には、第二見込み片部42B、室内見付け片部44、装着片部45および連続部によって中空部412が形成されている。
また、室外見付け片部43には、中空部411に対する前方位置からZ軸方向へ突出した第二被接合部431が形成されており、第一見込み片部42Aおよび室内見付け片部44が連続する連続部分には、第一見込み片部42Aに沿うようにZ軸方向に対して傾斜して室内側に延出した第一被接合部421が形成されている。第二被接合部431には、後述する第二接合部52がネジ止めされており、第一被接合部421には、後述する第一接合部53に設けられスタッドボルト531が挿通され且つこのスタッドボルト531にナット532が螺合されている。
ここで、端枠部41における気密材47は縦枠13における気密材21に圧接しており、水密材48の二つヒレ部が水密材22の二つのヒレ部に重なり合って当接しており、後述する中間連結部51の対向片部57に水密材23のヒレ部が当接することで、端枠部41と縦枠13との間に第一空間71(等圧空間)と、第一空間71よりも室外側の第二空間72とを形成する。これにより、端枠部41と縦枠13との間には、室外側の空間と室内側の空間とを同圧とする等圧構造70が構成されている。
なお、端枠部31の見込み片部32の室内側部分と、縦枠13の室内見付け片部17には、断面略L状のカバー材80が取り付けられており、このカバー材80によって連結構造30の室内側への露呈を抑えている。
【0015】
中間連結部51は、第一見込み片部42Aに沿うようにZ軸方向に対して傾斜したパネル材としてのアルミパネルの室外縦縁部および室内縦縁部を折曲して形成されており、端枠部41に接合される第一接合部53および第二接合部52と、端枠部31に接合される第三接合部54とを有しており、第一接合部53および第二接合部52の間において端枠部41の第一見込み片部42Aに沿って当接する当接部55と、当接部55の室外縁部に連続するX軸方向に沿った見付け部56と、見付け部56の縦枠13側の縁部から室内側に延びて押縁162とX軸方向に対向配置される対向片部57とを有している。見付け部56は、中間連結部51において第二接合部52および当接部55の間に配置されている。なお、符号85は断熱材の断面である。
【0016】
第一接合部53は、第二接合部52の位置よりも室内側の位置に配置されており、中間連結部51の内面512に溶接によって立設された軸部としてのスタッドボルト531およびこれに螺合するナット532によって構成されている。このように構成された第一接合部53は、中間連結部51の外面511側に露呈することがない。
【0017】
第二接合部52は、第一接合部53の位置よりも室外側の位置に配置されたZ軸方向に沿った取付片で形成されており、この取付片に連続するX軸方向に沿った連続部521によって対向片部57と連続している。第二接合部52は、縦枠13の室外部分に形成された第二被接合部431にネジ止めされており、室外見付け片部43と連続部521との間に構成される溝部には、シール材81およびバックアップ材82が設けられている。この第二接合部52とシール材81およびバックアップ材82とは、見付け部56の位置に対してZ軸方向における室内側の位置に配置されており、このため、室外側に露呈し難い配置となっている。
【0018】
当接部55は、端枠部41の第一見込み片部42Aを室外側から覆って配置されており、見付け部56は、縦枠13の押縁162の見付け面に対してX軸方向に沿って配置されていると共に端枠部41の室外見付け片部43および第二接合部52を室外側から覆って配置されている。また、当接部55のうち室外見付け片部43よりもZ軸方向において室外側に位置する室外部分と、見付け部56と、対向片部57とは、端枠部41よりも室外側の位置において縦枠13に対してX軸方向に対向する枠構造を構成している。
【0019】
第三接合部54は、第一接合部53よりも室内側の位置であって中間連結部51の室内縁部に形成されている。第三接合部54は、Z軸方向に沿った取付片で形成されており、X軸方向に沿った連続部541によって中間連結部51の傾斜部分に連続している。第三接合部54は、端枠部31の見込み片部32の室外側部分にネジ止めされた連結具542にネジ止めされることで、当該端枠部31に接合されている。室外見付け片部33と連続部541との間に構成される溝部には、シール材81およびバックアップ材82が設けられている。
【0020】
以上のカーテンウォールにおける連結構造30は、概ね次のようにして組み立てられる。
まず、工場において第一接合部53および第二接合部52で中間連結部51を端枠部41に接合すると共に当接部55を第一見込み片部42Aに当接させて一体構造とする。
次に、現場において設置された端枠部31に対して、第三接合部54で中間連結部51を接合し、三部材で一体構造の連結体とする。そして、端枠部31,41は、所定位置に設置されるカーテンウォールユニット10A,10Bの各縦枠13にX軸方向に対向配置され、各縦枠13との間に等圧構造60,70を構成する。
このようにして、連結構造30を構成し、カーテンウォールユニット10A,10Bの縦枠13の間にZ軸方向の段差20を形成する。
【0021】
[変形例]
前記実施形態では、第三接合部54は、Z軸方向に沿った取付片で形成され且つ連結具542を介して縦枠13に接合されているが、この構成に限られない。例えば図5に示すように、連続部541からZ軸方向に沿って室内側に延びていると共に見込み片部32に重なり合わされる取付片部91で第三接合部54を構成し、更に、取付片部91の室内端部からX軸方向に折曲された取付片部92で構成した第四接合部58を有していてもよい。この場合、見込み片部32にはZ軸方向に突出した第四被接合部151が形成され、第三接合部54を構成する取付片部91は第三被接合部としての見込み片部32に直接にネジ止めされ、第四接合部58を構成する取付片部92は第四被接合部151にネジ止めされていてもよい。このように互いに直交する二方向で中間連結部51を端枠部31に対して直接に接合するので、中間連結部51と端枠部31との接合強度を向上でき、これらを一体構造のものとして扱い得る。
【0022】
前記実施形態では、中間連結部51において第一接合部53と第二接合部52との間に当接部55が構成されているが、中間連結部51を端枠部41に対して十分な強度で接合できる場合には、当接部55を構成せずに第一接合部53と第二接合部52との間の部分が端枠部41から離間して配置される中間連結部を構成してもよい。
前記実施形態では、当接部55が端枠部41を室外側から覆って配置されているが、これに限らず、端枠部41を覆わない構成としてもよい。また、見付け部56も端枠部41や第二接合部52を室外側から覆わない構成としてもよい。
前記実施形態では、第一接合部53は、中間連結部51の内面512に設けられる軸部としてのスタッドボルト531およびナット532で構成されているが、これに限らず、中間連結部51を貫通するネジなどの接合具を備えて構成されていてもよい。
前記実施形態では、中間連結部51は、端枠部31,41のそれぞれに対して別部材で構成されているが、これに限らず、例えば、中間連結部51を端枠部31,41のうち一方と一部材で構成してもよく、また、中間連結部51を端枠部31,41の双方と一部材で構成してもよい。
前記実施形態では、縦枠13と端枠部31,41との間には等圧構造60,70が構成されているが、これに限らず、等圧構造60,70の構成を省略してもよい。
【0023】
[発明のまとめ]
(1)本発明のカーテンウォールにおける連結構造は、第一カーテンウォールユニットの第一枠材が室内側の位置に配置され且つ第二カーテンウォールユニットの第二枠材が室外側の位置に配置されるカーテンウォールにおいて前記第一枠材および前記第二枠材の間に構成される連結構造であって、前記第一枠材に対して対向配置される第一端枠部と、前記第二枠材に対して対向配置される第二端枠部と、前記第一端枠部および前記第二端枠部を連続する中間連結部とで構成されることを特徴とする。
本発明のカーテンウォールにおける連結構造によれば、第一枠材や第二枠材を汎用形状の枠材で構成しても、中間連結部で連続される第一端枠部および第二端枠部を第一枠材および第二枠材に対して対向配置することで、第一カーテンウォールユニットおよび第二カーテンウォールユニットの間に連結構造を構成でき、これにより、専用形状の枠材を用いずにカーテンウォールユニットの間に室内外方向の段差を形成でき、例えば室内外方向の段差を容易に大きく設定し得て、建造物に凹凸形状の壁面を形成することができる。
(2)本発明のカーテンウォールにおける連結構造では、前記中間連結部は、前記第二端枠部に対して、第一接合部と前記第一接合部の位置よりも室外側の位置に配置される第二接合部とで接合されると共に、前記第一接合部と前記第二接合部との間に当該第二端枠部に当接する当接部が構成されてもよい。
このような構成によれば、中間連結部が、第二端枠部に対して、第一接合部および第二接合部で接合されると共に、第一接合部および第二接合部の間で当接部を当接させるので、例えば中間連結部と第二端枠部との接合部のみが接合する構成と比べて、中間連結部の第二端枠部に対する接合強度を向上できる。
(3)本発明のカーテンウォールにおける連結構造では、前記第二端枠部には、その室内部分に前記第一接合部が接合されると共にその室外部分に前記第二接合部が接合され、少なくとも前記当接部は、前記第二端枠部を室外側から覆って配置されてもよい。
このような構成によれば、前述したように中間連結部の第二端枠部に対する接合強度を向上しつつ、少なくとも当接部が室外側から第二端枠部を覆うことで当該第二端枠部の露呈を抑制できて外観意匠を向上し得る。
また、第二接合部が第二端枠部の室外部分に接合されることで、この接合部分が室内外を貫通することがなくなるので、第二接合部まわりをシールする必要をなくし得る。
(4)本発明のカーテンウォールにおける連結構造では、前記中間連結部は、前記第二接合部と前記当接部との間に見付け部を有し、前記見付け部は、前記第二端枠部および前記第二接合部を室外側から覆って配置されてもよい。
このような構成によれば、中間連結部の当接部だけでなく見付け部でも第二端枠部を覆うことで、当該第二端枠部の露呈を更に抑制でき、また、中間連結部の見付け部が第二接合部をも室外側から覆って配置されることで、第二接合部の露呈も抑制できて、外観意匠を向上し得る。
(5)本発明のカーテンウォールにおける連結構造では、前記中間連結部は、前記第一端枠部および前記第二端枠部のうち少なくとも一方と一部材で構成されてもよい。
このような構成によれば、第一端枠部、第二端枠部および中間連結部を二部材または一部材で構成にすることで、例えばこれらを三部材で構成する場合に比べて、部材数を削減する分、施工性の向上を図り得ると共に、部材同士の継ぎ目が露呈し得る箇所を減らすことで外観意匠を向上し得る。
(6)本発明のカーテンウォールは、前述した本発明のカーテンウォール連結構造が構成されることを特徴とする。
本発明のカーテンウォールによれば、前述したカーテンウォールにおける連結構造の作用効果と同様の作用効果を発揮できるカーテンウォールを構成することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…カーテンウォール、10(10A,10B)…カーテンウォールユニット、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、14…面材、15…縦枠見込み片部、151…第四被接合部、16…面材保持部、161…受け部、162…押縁、163…係合部、17…室内見付け片部、18,19,35,36,45,46…装着片部、2…躯体、20…段差、21,37,47…気密材、22,23,38,48…水密材、24…L字部材、30…連結構造、31,41…端枠部、311,312,411,412…中空部、312…中空部、32…見込み片部、33,43…室外見付け片部、34,44…室内見付け片部、391…対向片部、392…連続片部、4…梁、421…第一被接合部、42A…第一見込み片部、42B…第二見込み片部、431…第二被接合部、5…床スラブ、51…中間連結部、511…外面、512…内面、52…第二接合部、521,541…連続部、53…第一接合部、531…スタッドボルト、532…ナット、54…第三接合部、542…連結具、55…当接部、56…見付け部、57…対向片部、58…第四接合部、6…天井、60…等圧構造、61…第一空間、62…第二空間、7…無目、70…等圧構造、71…第一空間、72…第二空間、80…カバー材、81…シール材、82…バックアップ材、91,92…取付片部。
図1
図2
図3
図4
図5