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特開2024-157985電子機器、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157985
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電子機器、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072718
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】福井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】永元 亮太
(72)【発明者】
【氏名】原田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山室 隼都
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA06
5H181AA07
5H181AA26
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC17
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181KK01
5H181KK03
5H181KK04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】設定される駐車位置が所望の駐車位置であるか否かを把握させる。
【解決手段】電子機器10は制御部18を有する。制御部18は移動体の周辺マップと枠とを含む第1の画像を表示部14に表示させる。制御部18は周辺マップにおける枠の位置を特定する操作入力に基づいて参照停止位置を決定する。制御部18は停止完了までの走行経路と停止完了時の停止位置及び参照停止位置のずれとを含む第2の画像を表示部14に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させ、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定し、
前記移動体の停止完了までの走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させる制御部を備える
電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
特定の移動体の周辺状況、入力部への操作入力、及び前記移動体の走行経路を取得する取得部を、更に備え、
前記制御部は、
前記周辺状況、前記操作入力、及び前記走行経路に基づいて、参照経路を記憶部に格納し、
前記走行経路を参照経路として前記記憶部に格納する
電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記周辺状況は、前記移動体の周辺の画像を含み、
前記制御部は、前記周辺の画像を前記第2の画像に含める
電子機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子機器において、
前記制御部は、前記枠を重畳させた前記周辺マップと、該周辺マップにおける該枠の位置及び向きを変更させる第1のボタンと、前記周辺マップに重畳した前記枠の位置を前記参照停止位置に決定する第2のボタンとを含む前記第1の画像を生成する
電子機器。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の電子機器において、
前記制御部は、前記走行経路の保存を決定する操作入力に基づいて、該走行経路を格納する
電子機器。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の電子機器において、
前記制御部は、前記走行経路の保存を決定する第3のボタンを前記第2の画像に含める
電子機器。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の電子機器において、
前記制御部は、
前記移動体の回転半径を、最小回転半径以上の第1の半径に設定する第1の設定を行い、
前記第1の半径による第1の回転経路を算出する第1の算出を行い、
前記第1の回転経路及び前記参照経路が交差する場合、交差する第1の交点における該移動体の方向と該第1の交点の位置とに基づいて、前記第1の交点を経由して前記移動体が前記参照経路に進行可能であるか否かを判別する第1の判別を行い、
前記参照経路に進行可能になるまで、前記第1の半径を増加させる前記第1の設定、前記第1の算出、及び前記第1の判別を繰返し、
前記参照経路に進行可能である場合、前記第1の回転経路及び前記参照経路を含む自動停止経路を生成する
電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、
前記制御部は、前記第1の交点において前記第1の回転経路から連続し、且つ一定の回転半径で進行して前記参照経路に到達する第1の到達点における前記移動体の方向が該第1の到達点における前記参照経路の方向と一致する第2の回転経路の第2の半径を算出し、前記第2の半径が前記最小回転半径以上であるかに基づいて、前記第1の判別を行う
電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器において、
前記参照経路として、前記参照経路上の複数の経路点それぞれの位置と、それぞれにおける該参照経路の方向との組合せが、前記記憶部に格納され、
前記制御部は、
前記参照経路において前記第1の交点よりも前記参照停止位置側の前記経路点を注目点として認定する第1の認定、及び前記第1の交点及び前記注目点の距離と前記第1の交点における前記移動体の方向と前記注目点における前記参照経路の方向とに基づく第2の算出を行うことにより前記第2の半径を算出し、
前記第2の半径が前記最小回転半径未満である場合、前記注目点に認定した経路点よりも前記参照経路において該経路点よりも前記参照停止位置側の前記経路点を注目点として認定する前記第1の認定、及び前記第2の算出を、前記第2の半径が該最小回転半径以上になるまで繰返し、
前記注目点として認定され得るすべての経路点に対して算出される第2の半径が前記最小回転半径未満である場合、前記第1の半径による前記参照経路への進行が不可能であると判別する
電子機器。
【請求項10】
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させ、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定し、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させる、
情報処理方法。
【請求項11】
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させるステップと、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定するステップと、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させるステップと、を含む動作をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器、情報処理方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の移動体の駐車を支援することが検討されている。例えば、運転者の手動操作による駐車位置までの移動経路を当該駐車位置ととともに事前に記憶し、自動運転時に記憶済みの移動経路とセンサにより認識する周囲の情報に基づいて当該駐車位置に駐車させることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-530867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の駐車支援では、駐車位置が運転者の手動操作による実際の駐車位置であるため、自動運転等のために設定される駐車位置が所望の駐車位置であるか把握できなかった。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、設定される駐車位置が所望の駐車位置であるかを把握させる電子機器、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による電子機器は、
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させ、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定し、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させる制御部を備える。
【0007】
第2の観点による情報処理方法は、
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させ、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定し、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させる。
【0008】
第3の観点によるプログラムは、
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させるステップと、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定するステップと、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させるステップと、を含む動作をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本開示によれば、設定される駐車位置が所望の駐車位置であるかを把握し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る電子機器を含む車両の構成を示すブロック図である。
図2図1の表示部に表示される第1の画像を例示する図である。
図3図1の表示部に表示される第2の画像を例示する図である。
図4】経路点を含む参照経路を例示する図である。
図5】第1の交点を説明するための参照経路及び第1の回転経路を例示する図である。
図6】参照経路及び第1の回転経路と第2の回転経路との関係を説明するための図である。
図7】第2の半径を算出するために第2の回転経路の回転角度、第1の交点、及び注目点の関係を示す図である。
図8】第1の回転経路が参照経路に交差しない状態を説明するための図である。
図9図1の制御部が実行する学習処理を説明するためのフローチャートである。
図10図1の制御部が実行する経路生成処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した電子機器の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
本開示の一実施形態に係る電子機器は、特定の移動体11に関する情報を処理してよい。電子機器10は、図1に示すように、例えば、移動体11に搭載されてよい。電子機器10は、移動体11に搭載されなくてよい。以下の説明においては、電子機器10は移動体11に搭載される。
【0013】
移動体11は、例えば車両、航空機等を含んでよい。車両は、例えば自動車、産業車両、鉄道車両、生活車両、および滑走路を走行する固定翼機等を含んでよい。自動車は、例えば乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含んでよい。産業車両は、例えば農業および建設向けの産業車両等を含んでよい。産業車両は、例えばフォークリフトおよびゴルフカート等を含んでよい。農業向けの産業車両は、例えばトラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機等を含んでよい。建設向けの産業車両は、例えばブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラ等を含んでよい。車両の分類は、上述した例に限られない。例えば、自動車は、道路を走行可能な産業車両を含んでよい。複数の分類に同じ車両が含まれてよい。航空機は、例えば固定翼機および回転翼機等を含んでよい。
【0014】
移動体11は、電子機器10、センサ部12、入力部13、表示部14、記憶部15、及び運転制御用ECU(Electronic Control Unit)16を備えてよい。電子機器10、センサ部12、入力部13、表示部14、記憶部15、及び運転制御用ECU16は、互いに有線及び又は無線のネットワークにより情報の送受信可能なように接続されてよい。
【0015】
センサ部12は、搭載される移動体11の周辺状況を検出してよい。周辺状況は、例えば、周辺の画像、周辺の物体の距離値等である。センサ部12は、周辺状況を検出するセンサとして、車載カメラ、測距センサ等を含んでよい。又、センサ部12は、周辺に対する移動体11の状況を検出してよい。移動体11の状況は、例えば、移動体11の位置、移動体11の方位等である。センサ部12は、移動体11の状況を検出するセンサとして、方位センサ、位置検出センサを含んでよい。
【0016】
車載カメラは、当該車載カメラを搭載する移動体11の周辺の画像を生成する。車載カメラは、単眼カメラ又はステレオカメラであってよく、可視光、近赤外光、遠赤外光を撮像可能であってよい。センサ部12が車載カメラを含む構成において、複数の車載カメラが移動体11から異なる方向を向くように搭載されてよい。複数の車載カメラにより移動体11の四方の光景が撮像されてよい。
【0017】
測距センサは、方向別に位置する物体の位置を検出する。測距センサは、ミリ波、近赤外光、音波等の投射波を放射してよい。測距センサは、投射波の放射時点から当該投射波が照射された物体による反射波を受信する時点までの時間に基づいて、当該物体における反射点までの距離値を計測してよい。測距装置は、例えば、ミリ波レーダ、LiDAR、超音波ソナー等である。又は、測距センサは、単一カメラ、ステレオカメラ、そのほか複数台のカメラを利用したシステムを用いた車載カメラからの情報に基づいて距離値を検出してよい。車載カメラを利用したシステムによる測距センサは、車載カメラから得られる画像の収差を用いた距離測定、車載カメラから得られる画像と距離との関係によるAI技術を用いた距離測定、車載カメラから得られる画像に対する三角測量技術を用いた距離測定等を行ってよい。又、本開示の距離測定では、車載カメラを利用した距離測定、並びにミリ波レーダ、LiDAR、及び超音波ソナー等による距離測定とが任意に組合わせられてよい。センサ部12が複数の測距センサを含む構成において、複数の測距センサが移動体11から異なる方向を向くように搭載されてよい。複数の測距センサにより移動体11の四方の物体に対して距離測定が行われてよい。
【0018】
方位センサは、地磁気の変化に基づいて移動体11の前進方向の向く車両方位を検出してよい。方位センサは、例えば、磁気センサである。
【0019】
位置検出センサは、移動体11の位置を検出してよい。位置検出センサは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の測位センサである。GNSSには、GPS(Global Positioning System)が含まれてよい。
【0020】
入力部13は、ユーザの操作入力を検出する1つ以上のインターフェースを含んでよい。入力部13は、例えば、物理キー、静電容量キー、及び表示部14と一体的に設けられたタッチスクリーンを含んでよい。入力部13は、音声入力、ジェスチャー入力などその他適宜な操作入力インターフェースを含んでよい。
【0021】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence panel)、又は無機ELディスプレイ(Inorga
nic Electro-Luminescence panel)等の任意の表示デバイスを含んでよい。
【0022】
記憶部15は、1つ以上のメモリを含む。本実施形態において「メモリ」は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部15に含まれる各メモリは、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、またはキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部15は、移動体11の動作に用いられる任意の情報を記憶してよい。記憶部15は、システムプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶してもよい。
【0023】
記憶部15は、例えば、実世界におけるランドマークの位置を記憶してよい。記憶部15はランドマークの緯度及び経度を位置として記憶してよい。記憶部15は、例えば、実世界における路上又は駐車場等に引かれた白線等の描画物の位置を記憶してよい。記憶部15は、描画物の緯度及び経度、又は近傍のランドマークを基準とした相対位置を位置として記憶してよい。描画物等の位置の情報は、ユーザ入力により記憶部15に記憶されてもよい。描画物等の位置の情報は、外部ネットワークに接続されたサーバ等からネットワークを介して電子機器10が取得して、記憶部15に記憶させてもよい。
【0024】
運転制御用ECU16は、センサ部12から取得する周辺状況に基づいて、制御情報を生成してよい。制御情報は、移動体11の速度、制動、舵角を制御するための情報である。運転制御用ECU16は、生成する制御情報を、エンジン又はモーターを制御する原動機ECU、ブレーキを制御する制動ECU、舵角を制御するステアリングECU等に出力してよい。又、運転制御用ECU16は、移動体11を駐車する場合に、後述するように、電子機器10から自動駐車経路を情報として取得してよい。運転制御用ECU17は、情報として取得する自動駐車経路に基づいて、駐車のための制御情報を生成してよい。なお、本開示において、移動体11が自動車である構成において移動がとまることを駐車と記載しているが、移動体が自動車以外の構成においては移動体の移動がとまることは停止であってよい。したがって、自動駐車経路は、自動停止経路であってよい。
【0025】
電子機器10は、以下に説明するように、参照経路の作成において、電子機器10に対して特定の移動体11の運転による走行経路を参照経路として記憶部15に格納する。又、電子機器10は、自動駐車の実行において、参照経路に基づいて自動駐車経路を生成して、運転制御用ECU16に付与してよい。電子機器10は、例えば、参照経路作成のための専用のECUである。又は、電子機器10は、前述の運転制御用ECU16と一体化されていてよい。又は、電子機器10は、上述の入力部13、表示部14、及び記憶部15を内蔵する、タブレット、スマホ等の携帯端末であってよい。
【0026】
電子機器10は、取得部17及び制御部18を含んで構成される。
【0027】
取得部17は、外部機器から情報及び指令を取得する。取得部17は、例えば、通信インターフェースであって、有線または無線を介して、外部機器との通信を行う。取得部17は、例えば、センサ部12から特定の移動体11の周辺状況を情報として取得する。又、取得部17は、例えば、入力部13への操作入力を情報又は指令として取得する。又、取得部17は、センサ部12又は運転制御用ECU16から、特定の移動体11の走行経路を情報として取得する。走行経路の情報は、走行経路の軌跡を示す式であってよく、走行経路を構成する複数の地点それぞれにおける移動体11の位置及び方向の組合せであってよい。取得部17は、記憶部15から描画物等の位置を情報として取得してよい。
【0028】
制御部18は、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくともいずれかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサ16は、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部18は、電子機器10の各構成要素の動作を制御する。
【0029】
制御部18は、以下に説明するように、学習モードにおいて、取得部17において取得する周辺状況、操作入力、及び走行経路に基づいて、自動駐車において用いられる参照経路を決定する。又、制御部18は、参照経路を記憶部15に格納する。又、制御部18は、以下に説明するように、自動駐車モードにおいて、自動駐車経路を情報として生成してよい。制御部18は、自動駐車経路を運転制御用ECU16に情報として付与してよい。
【0030】
制御部18は、学習用の駐車を開始する操作入力を入力部13が検出する時に、動作モードを学習モードに切替える。制御部18は、学習モードにおいて、周辺状況に基づいて、特定の移動体11の周辺マップを取得する。制御部18は、周辺マップに対する特定の移動体11の位置及び方向を取得する。周辺マップは、特定の移動体11を鉛直上方から見た周辺の状況を示す図であってよい。
【0031】
周辺マップは、例えば、移動体11の周辺の建造物、構造物等の三次元座標により形成される情報に基づいてよい。当該周辺マップは、路面に相当する三次元座標の領域を、走行可能な領域として示してよい。制御部18は、周辺の建造物等の三次元座標を、測距センサから取得する複数の物点の距離に基づいて算出してよい。制御部18は、周辺の建造物等の三次元座標に基づいて周辺マップを作成することにより、周辺マップを取得してよい。
【0032】
三次元座標に基づく周辺マップを取得する構成において、制御部18は、特定の移動体11の方向及び位置を、周辺マップにおける建造物等の三次元座標に基づいて算出することにより取得してよい。
【0033】
周辺マップは、例えば、周辺を上面視した画像を含んでよい。制御部18は、周辺を上面視した画像を、車載カメラから取得する画像の視点変換を行うことにより生成してよい。制御部18は、周辺を上面視した画像を用いて周辺マップ作成することにより、周辺マップを取得してよい。
【0034】
画像を用いた周辺マップを取得する構成において、制御部18は、特定の移動体11の方向及び位置を、画像解析により算出した画像に含まれる建造物等の物体の距離に基づいて算出することにより取得してよい。
【0035】
周辺マップを三次元座標及び画像の適用の有無にかかわらず、制御部18は、特定の移動体11の方向及び位置を、それぞれ方位センサ及び位置検出センサから取得してよい。
【0036】
制御部18は、移動体11の位置及び方向、並びに建造物等の三次元座標を、記憶部15に記憶されている描画物の位置、及び必用に応じてランドマークの位置と比較することにより、周辺マップに描画物の位置を含めてよい。
【0037】
図2に示すように、制御部18は、周辺マップmpと枠fmとを含む第1の画像im1を生成してよい。枠fmは、周辺マップmpに縮尺した特定の移動体11を内包する大きさである。枠fmは、例えば、特定の移動体11の全長及び全幅に余裕幅を足した長さの矩形である。制御部18は、第1の画像im1において、枠fmを周辺マップmp上に重畳させてよい。
【0038】
制御部18は、更に第1のボタンbt1及び第2のボタンbt2を含むように、第1の画像im1を生成してよい。第1のボタンbt1は、入力部13がタッチスクリーンである構成において、周辺マップmp内で枠fmを動かす操作入力を検出するボタンである。第1のボタンbt1は、枠fmの位置を変更させる移動ボタンbm、及び枠fmの向きを変更させる回転ボタンbrを含んでよい。第2のボタンbt2は、周辺マップmpに重畳した枠fmの位置を、参照駐車位置に決定させる操作入力を検出するボタンである。参照駐車位置は、学習モードにおいて特定の移動体11を駐車させる予定位置である。
【0039】
制御部18は、生成した第1の画像im1を表示部14に表示させる。制御部18は、周辺マップmpにおける枠fmの位置を特定する操作入力に基づいて、枠fmを特定の移動体11の参照駐車位置に決定する。例えば、制御部18は、上述のように、入力部13がタッチスクリーンである構成においては、第2のボタンbt2の表示領域への接触である操作入力を検出することにより、枠fmを重畳させている周辺マップmp上における位置及び向きを、参照駐車位置に決定する。
【0040】
制御部18は、参照駐車位置の決定後、特定の移動体11が駐車完了するまでの当該移動体11の走行経路を、取得部17を介して取得してよい。制御部18は、運転制御用ECUから走行経路そのものを取得してよい。制御部18は、センサ部12から取得する特定の移動体11の移動中の位置及び方向の複数の組合せを走行経路として取得してよい。走行経路は、位置及び方向の複数の組合せであってよく、軌跡を示す式であってよい。
【0041】
学習モードでは、特定の移動体11の運転者の操縦による駐車のための運転が学習されることが想定されている。それゆえ、取得される走行経路は、特定の移動体11への手動入力に基づく走行における経路である。制御部18は、走行経路に組合わせて、移動体11の制御情報を取得してよい。制御情報は、例えば、速度制御、舵角制御等である。走行経路に組合わせて制御情報を取得するとは、走行経路上の各地点における制御情報を当該各地点に組合せることを意味する。
【0042】
制御部18は、特定の移動体11が駐車完了した後に、図3に示すように、駐車完了時の駐車位置と参照駐車位置とのずれmsaと、走行経路rtとを含む第2の画像im2を生成してよい。駐車位置と参照駐車位置とのずれmsaは、特定の移動体11の前後方向のずれ、幅方向のずれ、及び方向のずれを含んでよい。前後方向及び左右方向のずれの算出に用いる駐車位置は、例えば、特定の移動体11の後輪軸の中心位置である。前後方向及び左右方向のずれの算出に用いる参照駐車位置は、例えば、枠fm内に当該移動体11が理想状態で停車している状況における当該移動体11の後輪軸の中心位置である。理想状態で停車している状況とは、例えば、移動体11の前端から枠fmの前端までの間隔と移動体11の後端から枠fmの後端までの間隔とが等しく、且つ移動体11の左端から枠fmの左端までの間隔と移動体11の右端から枠fmの右端までの間隔とが等しい状態である。方向のずれは、移動体11の向きと枠fmの前後方向との間の角度により示されてよい。
【0043】
制御部18は、更に周辺の画像ima及び第3のボタンbt3を含むように、第2の画像im2を生成してよい。周辺の画像imaは、駐車位置における特定の移動体11の周辺を鉛直上方から見た画像であってよい。第3のボタンbt3は、取得した走行経路rtの保存を決定する操作入力を検出するボタンである。
【0044】
制御部18は、更に、第4のボタンbt4を含むように、第2の画像im2を生成してよい。第4のボタンbt4は、取得した走行経路rtの破棄を決定する操作入力を検出するボタンである。
【0045】
制御部18は、生成した第2の画像im2を表示部14に表示させる。制御部18は、表示した走行経路rtを参照経路として記憶部15に格納する。制御部18は、走行経路rtの保存を決定する操作入力に基づいて、走行経路rtを記憶部15に格納してよい。より具体的には、制御部18は、上述のように、入力部13がタッチスクリーンである構成においては、第3のボタンbt3の表示領域への接触である操作入力を検出することにより、第2の画像im2に含まれる走行経路rtを、記憶部15に格納する。制御部18は、参照経路とともに、参照駐車位置又は駐車完了時の駐車位置を記憶部15に格納してよい。
【0046】
制御部18が取得する走行経路rtが学習モードにおける特定の移動体11の移動中の位置及び方向の複数の組合せである構成において、制御部18は複数の経路点を参照経路として記憶部15に格納してよい。図4に示すように、経路点rpは、参照経路rrtとして格納される走行経路rtにおいて取得された位置が示す地点である。したがって、制御部18は、参照経路rrtとして、複数の経路点rpそれぞれにおける位置と、当該位置における方向、言換えると参照経路rrtの方向との組合せを記憶部15に格納してよい。
【0047】
制御部18は、自動駐車を開始する操作入力を入力部13が検出する時に、動作モードを自動駐車モードに切替える。特定の移動体11では、参照駐車位置rpp近傍において、自動駐車モードを実行可能である。特定の移動体11では、参照駐車位置rpp近傍において、自動駐車を開始する操作入力が検出されることが想定されている。
【0048】
制御部18は、自動駐車モードにおいて、周辺状況に基づいて、特定の移動体11の周辺マップmpを取得してよい。制御部18は、周辺マップmpに対する特定の移動体11の位置及び方向を取得してよい。制御部18は、更に、記憶部15から特定の移動体11に対する参照駐車位置rpp及び参照経路rrtを読出してよい。
【0049】
制御部18は、特定の移動体11が自動駐車の開始時点で参照経路rrt上に位置するか否かを判別してよい。制御部18は、参照経路rrt上に位置する場合、後述するように、参照経路rrtに進行可能であるか否かの判別を行ってよい。制御部18は、参照経路rrt上に位置しない場合、以下に説明するように、参照経路rrtに到達する中継経路を算出してよい。
【0050】
制御部18は、中継経路の探索のために、第1の設定を行ってよい。第1の設定において、特定の移動体11の回転半径は、最小回転半径以上の第1の半径に設定される。第1の半径の初期値は、例えば、移動体11の最小回転半径である。制御部18は、第1の算出を行ってよい。第1の算出において、図5に示すように、第1の半径による、特定の移動体11の回転経路が第1の回転経路rt1として算出される。
【0051】
制御部18は、第1の回転経路rt1が参照経路rrtと交差するか否かを判別する。制御部18は、第1の回転経路rt1が参照経路rrtと交差する場合、第1の回転経路rt1及び参照経路rrtが交差する交点を第1の交点is1に認定してよい。制御部18は、第1の交点is1における特定の移動体11の方向と第1の交点is1の位置とに基づいて、第1の判別を行ってよい。第1の判別において、特定の移動体11が第1の交点is1を経由して参照経路rrtに進行可能であるか否かが判別される。
【0052】
具体的には、制御部18は、以下に説明する第2の回転経路の第2の半径を算出し、第2の半径が特定の移動体11の最小回転半径以上であるか否かに基づいて、第1の判別を行ってよい。制御部18は、第2の半径が当該最小回転半径未満である場合、特定の移動体11が第1の交点is1を経由して参照経路rrtに進行不可能であると判断してよい。
【0053】
図6に示すように、第2の回転経路rt2は、第1の交点is1において第1の回転経路rt1と連続する。第2の回転経路rt2及び第1の回転経路rt1が連続するとは、経路が切替わる点、即ち第1の交点is1において、特定の移動体11の向きが一致することを意味してよい。第2の回転経路rt2は、一定の回転半径で進行する経路であってよい。第2の回転経路rt2が第1の交点is1から進行して参照経路rrtに再び到達する第1の到達点ap1において、特定の移動体11の方向が第1の到達点ap1における参照経路rrtの方向と一致する。
【0054】
第2の半径の算出について、以下に更に具体的に説明する。前述のように、一例として、それぞれが位置及び方向の組合せを含む複数の経路点rpが参照経路rrtとして記憶部15に格納されている。図5に示すように、制御部18は、第1の認定を行ってよい。第1の認定において、参照経路rrtにおいて第1の交点is1よりも参照駐車位置rpp側の経路点rpが、注目点fpとして認定される。制御部18は、第1の認定後に第2の算出を行ってよい。第2の算出において、第1の交点is1及び注目点fpの距離と、第1の交点is1における特定の移動体11の方向と、注目点fpにおける参照経路rrtの方向とに基づいて、第2の半径が算出されてよい。
【0055】
第2の算出について、図7を用いて具体的に説明する。第2の回転経路rt2の回転中心oからの、第1の交点is1及び注目点fpまでの距離は、第2の半径rである。第1の交点is1における移動体11の方向d1と、注目点fpにおける参照経路rrtの方向dfとのなす角が、第2の回転経路rt2の回転角度θである。第1の交点is1及び注目点fpの距離をlとすると、第1の交点is1及び回転中心oを結ぶ線分に注目点fpから垂線を引くことにより描画される直角三角形の関係から、第2の半径rは(1)式により算出される。
【0056】
【数1】
【0057】
第2の算出の実行時における第1の判別を更に具体的に説明する。前述のように、制御部18は、特定の経路点rpを注目点fpに認定した場合の第2の半径が移動体11の最小回転半径以上であるか否かを判別してよい。制御部18は、当該第2の半径が当該最小回転半径未満である場合、注目点fpに認定した経路点rpよりも参照経路rrtにおいて当該経路点rpよりも参照駐車位置rpp側の経路点rpを新たな注目点fpに認定するように第1の認定を行ってよい。制御部18は、当該第1の認定による注目点fpに対して第2の算出を行ってよい。制御部18は、第2の算出により算出される第2の半径が最小回転半径以上になるまで、第1の認定及び第2の算出を繰返してよい。
【0058】
制御部18は、注目点fpとして認定され得るいずれかの経路点rpに対して算出される第2の半径が最小回転半径以上である場合、第1の設定により設定された第1の半径である第1の回転経路rt1から参照経路rrtに進行可能であると判別してよい。一方、制御部18は、注目点fpとして認定され得るすべての経路点rpに対して算出される第2の半径が最小回転半径未満である場合、第1の半径による参照経路rrtへの進行が不可能であると判別してよい。このように、制御部18は、すべての経路点rpに対して算出される第2の半径が最小回転半径未満であるか否かに基づいて第1の判別を行ってよい。
【0059】
制御部18は、第1の半径による参照経路rrtへの進行が可能となるまで、第1の半径を増加させる第1の設定、第1の算出、及び第1の判別を繰返してよい。制御部18は、図8に示すように、第1の判別において第1の回転経路rt1及び参照経路rrtが交差しない場合、第1の半径による参照経路rrtへの進行が不可能であると判別してよい。
【0060】
制御部18は、第1の半径による参照経路rrtへの進行が可能である場合、第1の回転経路rt1及び参照経路rrtを含む自動駐車経路を生成してよい。制御部18は、第2の回転経路rt2も自動駐車経路に含めてよい。制御部18は、前述のように、生成した自動駐車経路を情報として運転制御用ECU16に付与してよい。制御部18は、自動駐車経路とともに、参照経路rrtにおける制御情報を運転制御用ECU16に付与してよい。
【0061】
次に、本実施形態において制御部18が学習モードにおいて実行する、学習処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。学習処理は、動作モードを学習モードに切替える場合に開始する。
【0062】
ステップS100において、制御部18は、取得部17を介して周辺状況を情報として取得する。取得後、プロセスはステップS101に進む。
【0063】
ステップS101では、制御部18は、ステップS100において取得した周辺状況に基づく周辺マップmpを含む第1の画像im1を生成する。更に、制御部18は、生成した第1の画像im1を表示部14に表示させる。表示後、プロセスはステップS102に進む。
【0064】
ステップS102では、制御部18は、枠fmを移動させる操作入力の検出の有無を判別する。検出される場合、プロセスはステップS103に進む。検出されない場合、プロセスはステップS104に進む。
【0065】
ステップS103では、制御部18は、ステップS102において検出された枠fmを移動させる操作入力に基づいて、第1の画像im1における枠fmを移動させる。移動後、プロセスはステップS104に進む。
【0066】
ステップS104では、制御部18は、参照駐車位置rppを決定する操作入力の検出の有無を判別する。検出されない場合、プロセスはステップS102に戻る。検出される場合、プロセスはステップS105に進む。
【0067】
ステップS105では、制御部18は、取得部17を介して走行経路rtを取得する。取得後、プロセスはステップS106に進む。
【0068】
ステップS106では、制御部18は、駐車完了したか否かを判別する。駐車完了の判別は、例えば、駐車完了を通知する操作入力の検出、参照駐車位置rpp内での停車時間の長さ等によって行われてよい。駐車完了していない場合、プロセスはステップS105に戻る。駐車完了している場合、プロセスはステップS107に進む。
【0069】
ステップS107では、制御部18は、ステップS105において取得した走行経路rtに基づいて、第2の画像im2を生成する。更に、制御部18は、第2の画像im2を表示部14に表示させる。表示後、プロセスはステップS108に進む。
【0070】
ステップS108では、制御部18は、走行経路rtの保存を決定する操作入力の検出の有無を判別する。検出される場合、プロセスはステップS109に進む。検出されない場合、学習処理は終了する。
【0071】
ステップS109では、制御部18は、ステップS105において取得した走行経路rtを参照経路rrtとして記憶部15に格納する。格納後、学習処理は終了する。
【0072】
次に、本実施形態において制御部18が自動駐車モードにおいて実行する、経路生成処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。経路生成処理は、動作モードを自動駐車モードに切替える場合に開始する。
【0073】
ステップS200において、制御部18は、取得部17を介して周辺状況を情報として取得する。取得後、プロセスはステップS201に進む。
【0074】
ステップS201では、制御部18は、記憶部15から参照経路rrtを読出す。読出し後、プロセスはステップS202に進む。
【0075】
ステップS202では、制御部18は、第1の半径を設定する。前述のように、制御部18は、初期値として特定の移動体11の最小回転半径を第1の半径に設定する。設定後、プロセスはステップS203に進む。
【0076】
ステップS203では、制御部18は、ステップS202において設定した第1の半径又はステップS212において更新した第1の半径と、特定の移動体11の位置及び方向とに基づいて第1の回転経路rt1を算出する。算出後、プロセスはステップS204に進む。
【0077】
ステップS204では、制御部18は、ステップS201において読出した参照経路rrtとステップS203において算出した第1の回転経路rt1とが交差するか否かを判別する。交差する場合、プロセスはステップS205に進む。交差しない場合、プロセスはステップS212に進む。
【0078】
ステップS205では、制御部18は、参照経路rrt及び第1の回転経路rt1の交点である第1の交点is1の位置及び方向を取得する。取得後、プロセスはステップS206に進む。
【0079】
ステップS206では、制御部18は、参照経路rrtにおける経路点rpの一つを注目点fpに認定する。認定後、プロセスはステップS207に進む。
【0080】
ステップS207では、制御部18は、第1の交点is1と、ステップS206において認定して注目点fp又はステップS211において更新した注目点fpに基づいて、第2の半径を算出する。算出後、プロセスはステップS208に進む。
【0081】
ステップS208では、制御部18は、ステップS207において算出した第2の半径が最小回転半径未満であるか否かを判別する。第2の半径が最小回転半径未満でない場合、プロセスはステップS209に進む。第2の半径が最小回転半径未満である場合、プロセスはステップS210に進む。
【0082】
ステップS209では、制御部18は、直近のステップS207において算出した第2の半径の第2の回転経路rt2を算出する。更に、制御部18は、算出した第2の回転経路rt2と、ステップS201において読出した参照経路rrtと、直近のステップS203において算出した第1の回転経路rt1とを結合することによい、自動駐車経路を生成する。更に、制御部18は、生成した自動駐車経路を運転制御用ECU16に付与する。付与後に、経路生成処理は終了する。
【0083】
ステップS210では、制御部18は、対象の全経路点rp、言換えると、第1の交点is1よりも参照駐車位置rpp側のすべての経路点rpが注目点fpとして認定済みであるか否かを判別する。認定済みでない場合、プロセスはステップS211に進む。
【0084】
ステップS211では、制御部18は、注目点fpに認定している経路点rpの次に参照経路rrtにおいて参照駐車位置rpp側の経路点rpを、新たな注目点fpとして更新する。更新後、プロセスはステップS207に戻る。
【0085】
ステップS212では、制御部18は、設定している第1の半径を拡大するように、第1の半径を再設定することにより第1の半径を更新する。更新後、プロセスはステップS203に戻る。
【0086】
以上のような構成の本実施形態の電子機器10では、制御部18は、周辺状況に基づく特定の移動体11の周辺マップmpと枠fmとを含む第1の画像im1を表示部14に表示させ、周辺マップmpにおける枠fmの位置を特定する操作入力に基づいて当該枠fmを特定の移動体11の参照駐車位置rppに決定し、特定の移動体11への手動入力に基づく走行における駐車完了までの走行経路rtと駐車完了時の周辺マップmpにおける駐車位置及び参照駐車位置rppのずれmsaとを含む第2の画像im2を表示部14に表示させ、走行経路rtを参照経路rrtとして記憶部15に格納する。このような構成により、電子機器10は駐車完了時の駐車位置と、参照駐車位置rppとのずれmsaを操作者に視認させるで、自動駐車のための駐車位置が参照駐車位置rppに対して許容できる位置であるか、言換えると設定される駐車位置が所望の駐車位置であるかを把握させ得る。
【0087】
又、電子機器10では、周辺状況は特定の移動体11の周辺の画像を含み、制御部18は周辺の画像imaを第2の画像im2に含める。このような構成により、電子機器10は、実際の周辺の光景を視認させるので、設定される駐車位置が所望の駐車位置であるかを視覚的にも把握させ得る。
【0088】
又、電子機器10は、枠fmを重畳させた周辺マップmpと、当該周辺マップmpにおける当該枠fmの位置及び向きを変更させる第1のボタンbt1と、周辺マップmpに重畳した枠fmの位置を参照駐車位置rppに決定する第2のボタンbt2とを含む第1の画像im1を生成する。このような構成により、電子機器10は、周辺マップmp内で枠fmの位置を任意に変更させ得る。
【0089】
又、電子機器10は、走行経路rtの保存を決定する操作入力に基づいて、当該走行経路rtを格納する。このような構成により、電子機器10は、走行経路rtを参照経路rrtとして決定する機会を操作者に付与し得る。
【0090】
又、電子機器10は、特定の移動体11の回転半径を最小回転半径以上の第1の半径に設定する第1の設定を行い、第1の半径による第1の回転経路rt1を算出する第1の算出を行い、第1の回転経路rt1及び参照経路rrtが交差する場合交差する第1の交点is1における当該特定の移動体11の方向d1と当該第1の交点is1の位置とに基づいて第1の交点is1を経由して特定の移動体11が参照経路rrtに進行可能であるか否かを判別する第1の判別を行い、参照経路rrtに進行可能になるまで第1の半径を増加させる第1の設定、第1の算出、及び第1の判別を繰返し、参照経路rrtに進行可能である場合に第1の回転経路rt1及び参照経路rrtを含む自動駐車経路を生成する。このような構成により、電子機器10は、自動駐車の開始位置から、記憶済みの参照経路rrtを利用して、駐車位置に到達させるための情報を付与し得る。
【0091】
又、電子機器10は、第1の交点is1において第1の回転経路rt1から連続し且つ一定の回転半径で進行して参照経路rrtに到達する第1の到達点ap1における特定の移動体11の方向が当該第1の到達点ap1における参照経路rrtの方向と一致する第2の回転経路rt2の第2の半径を算出し、第2の半径が最小回転半径以上であるかに基づいて第1の判別を行う。このような構成により、電子機器10は、第1の回転経路rt1から第2の回転経路rt2、第2の回転経路rt2から参照経路rrtへの接続時に据切りの不要な自動駐車経路を生成し得る。
【0092】
又、電子機器10は、参照経路rrtにおいて第1の交点is1よりも参照駐車位置rpp側の経路点rpを注目点fpとして認定する第1の認定及び第1の交点is1及び注目点fpの距離と第1の交点is1における特定の移動体11の方向d1と注目点fpにおける参照経路rrtの方向dfとに基づく第2の算出を行うことにより第2の半径を算出し、第2の半径が最小回転半径未満である場合に注目点fpに認定した経路点rpよりも参照経路rrtにおいて当該経路点rpよりも参照駐車位置rpp側の経路点rpを注目点fpとして認定する第1の認定及び第2の算出を第2の半径が最小回転半径以上になるまで繰返し、注目点fpとして認定され得るすべての経路点rpに対して算出される第2の半径が最小回転半径未満である場合に第1の半径による参照経路rrtへの進行が不可能であると判別する。このような構成により、電子機器10は、参照経路rrt上で数が有限である経路点rp毎に第2の半径の算出及び最小回転半径との比較を行うので、電子機器10における処理負荷及び処理時間を低減し得る。
【0093】
一実施形態において、(1)電子機器は、
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させ、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定し、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させる制御部を備える。
【0094】
(2)上記(1)の電子機器は、
特定の移動体の周辺状況、入力部への操作入力、及び前記移動体の走行経路を取得する取得部を、更に備え、
前記制御部は、
前記周辺状況、前記操作入力、及び前記走行経路に基づいて、参照経路を記憶部に格納し、
前記走行経路を参照経路として前記記憶部に格納する。
【0095】
(3)上記(2)の電子機器は、
前記周辺状況は、前記移動体の周辺の画像を含み、
前記制御部は、前記周辺の画像を前記第2の画像に含める。
【0096】
(4)上記(1)乃至(3)の電子機器では、
前記制御部は、前記枠を重畳させた前記周辺マップと、該周辺マップにおける該枠の位置及び向きを変更させる第1のボタンと、前記周辺マップに重畳した前記枠の位置を前記参照停止位置に決定する第2のボタンとを含む前記第1の画像を生成する。
【0097】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかの電子機器では、
前記制御部は、前記走行経路の保存を決定する操作入力に基づいて、該走行経路を格納する。
【0098】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかの電子機器では、
前記制御部は、前記走行経路の保存を決定する第3のボタンを前記第2の画像に含める。
【0099】
(7)上記(1)乃至(6)のいずれかの電子機器では、
前記制御部は、
前記移動体の回転半径を、最小回転半径以上の第1の半径に設定する第1の設定を行い、
前記第1の半径による第1の回転経路を算出する第1の算出を行い、
前記第1の回転経路及び前記参照経路が交差する場合、交差する第1の交点における該移動体の方向と該第1の交点の位置とに基づいて、前記第1の交点を経由して前記移動体が前記参照経路に進行可能であるか否かを判別する第1の判別を行い、
前記参照経路に進行可能になるまで、前記第1の半径を増加させる前記第1の設定、前記第1の算出、及び前記第1の判別を繰返し、
前記参照経路に進行可能である場合、前記第1の回転経路及び前記参照経路を含む自動停止経路を生成する。
【0100】
(8)上記(7)の電子機器では、
前記制御部は、前記第1の交点において前記第1の回転経路から連続し、且つ一定の回転半径で進行して前記参照経路に到達する第1の到達点における前記移動体の方向が該第1の到達点における前記参照経路の方向と一致する第2の回転経路の第2の半径を算出し、前記第2の半径が前記最小回転半径以上であるかに基づいて、前記第1の判別を行う。
【0101】
(9)上記(8)の電子機器では、
前記参照経路として、前記参照経路上の複数の経路点それぞれの位置と、それぞれにおける該参照経路の方向との組合せが、前記記憶部に格納され、
前記制御部は、
前記参照経路において前記第1の交点よりも前記参照位置側の前記経路点を注目点として認定する第1の認定、及び前記第1の交点及び前記注目点の距離と前記第1の交点における前記移動体の方向と前記注目点における前記参照経路の方向とに基づく第2の算出を行うことにより前記第2の半径を算出し、
前記第2の半径が前記最小回転半径未満である場合、前記注目点に認定した経路点よりも前記参照経路において該経路点よりも前記参照停止位置側の前記経路点を注目点として認定する前記第1の認定、及び前記第2の算出を、前記第2の半径が該最小回転半径以上になるまで繰返し、
前記注目点として認定され得るすべての経路点に対して算出される第2の半径が前記最小回転半径未満である場合、前記第1の半径による前記参照経路への進行が不可能であると判別する。
【0102】
又、一実施形態において、(10)情報処理方法は、
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させ、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定し、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させる。
【0103】
又、一実施形態において、(11)プログラムは、
移動体の周辺マップと、該周辺マップに示される前記移動体に対応する枠とを含む第1の画像を表示部に表示させるステップと、
前記周辺マップにおける前記枠の位置を特定する操作入力に基づいて、該枠を前記移動体の参照停止位置に決定するステップと、
前記移動体の停止完了までの前記走行経路と、前記停止完了時の停止位置及び前記参照停止位置のずれと、を含む第2の画像を前記表示部に表示させるステップと、を含む動作をコンピュータに実行させる。
【0104】
以上、電子機器10の実施形態を説明してきたが、本開示の実施形態としては、装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、又はメモリカード等)としての実施態様をとることも可能である。
【0105】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であってもよい。さらに、プログラムは、制御基板上のCPUにおいてのみ全ての処理が実施されるように構成されてもされなくてもよい。プログラムは、必要に応じて基板に付加された拡張ボード又は拡張ユニットに実装された別の処理ユニットによってその一部又は全部が実施されるように構成されてもよい。
【0106】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0107】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0108】
本開示に記載された構成要件の全て、及び/又は、開示された全ての方法、又は、処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。また、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一、又は、均等となる特徴の一例にすぎない。
【0109】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴、又は、それらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法、又は、処理のステップ、又は、それらの組合せに拡張することができる。
【0110】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1の画像は、第2の画像と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0111】
10 電子機器
11 車両
12 センサ部
13 入力部
14 表示部
15 記憶部
16 運転制御用ECU
17 取得部
18 制御部
ap1 第1の到達点
bt1 第1のボタン
bt2 第2のボタン
bt3 第3のボタン
df 注目点における参照経路の方向
d1 第1の交点における移動体の方向
fm 枠
fp 注目点
ima 周辺画像
im1 第1の画像
im2 第2の画像
is1 第1の交点
mp 周辺マップ
msa 駐車位置と参照駐車位置とのずれ
rrt 参照経路
rp 経路点
rpp 参照駐車位置
rt 走行経路
rt1 第1の回転経路
rt2 第2の回転経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10