(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157993
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】発電機ロータのアライメント調整量算出方法及び発電機ロータのアライメント調整量演算装置
(51)【国際特許分類】
F01D 25/00 20060101AFI20241031BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20241031BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20241031BHJP
H02K 15/16 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F01D25/00 U
F01D15/10 A
F01D25/00 V
G01B11/00 A
H02K15/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072731
(22)【出願日】2023-04-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】菊池 徹
【テーマコード(参考)】
2F065
5H615
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065DD06
2F065GG04
2F065QQ42
5H615AA01
5H615AA05
5H615BB02
5H615PP02
5H615SS55
(57)【要約】
【課題】タービン発電システムの組立後の発電機ロータのアライメント調整のためのセンタリング計測を不要にする。
【解決手段】発電機ロータのアライメント調整量算出方法は、タービン発電システムの分解前に、カップリング間の芯差及び面開き量を計測するセンタリング計測を行うセンタリング計測工程と、タービン発電システムの分解前に、三次元計測装置により、静止点に対する発電機上の評価点の相対位置を計測する第1相対位置計測工程と、分解したタービン発電システムの組立後に、三次元計測装置により、静止点に対する評価点の相対位置を計測する第2相対位置計測工程と、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、発電機ロータのアライメント調整量を算出するアライメント調整量算出工程と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機の発電機ロータとタービンのタービンロータとが各々のカップリングを介して連結されて構成されるタービン発電システムにおいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する発電機ロータのアライメント調整量算出方法であって、
前記タービン発電システムの分解前に、前記カップリング間の芯差及び面開き量を計測するセンタリング計測を行うセンタリング計測工程と、
前記タービン発電システムの分解前に、三次元計測装置により、静止点に対する前記発電機上の評価点の相対位置を計測する第1相対位置計測工程と、
分解した前記タービン発電システムの組立後に、前記三次元計測装置により、前記静止点に対する前記評価点の相対位置を計測する第2相対位置計測工程と、
前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出するアライメント調整量算出工程と、を備える、発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項2】
前記アライメント調整量算出工程において、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、前記静止点に対する前記発電機ロータの相対移動量を算出し、前記センタリング計測工程での計測結果及び前記発電機ロータの前記相対移動量に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項3】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記発電機ロータの軸方向における同位置に2つの前記評価点が設けられ、
前記アライメント調整量算出工程において、前記軸方向における同位置に設けられた2つの前記評価点の前記相対移動量の平均値から、前記静止点に対する前記発電機ロータの前記相対移動量を算出する、請求項2に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項4】
前記アライメント調整量算出工程において、前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果、前記第2相対位置計測工程での計測結果及び前記タービンロータのアライメント調整量に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項5】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記発電機に設けられたネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、前記評価点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記評価点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項6】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記発電機の周囲の基礎に設けられた穴に固定される固定機構と、を有する計測治具を用いて、前記静止点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記静止点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項7】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記発電機の周囲の基礎に設けられたソールプレートにネジ穴を形成し、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記ソールプレートに形成された前記ネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、前記静止点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記静止点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項8】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記発電機の周囲の基礎に設けられたベンチマークにネジ穴を形成し、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記ベンチマークに形成された前記ネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、前記静止点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記静止点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法を用いて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出し出力する発電機ロータのアライメント調整量演算装置であって、
前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する演算部と、
前記演算部により算出された前記発電機ロータのアライメント調整量を出力する出力部と、を備える、発電機ロータのアライメント調整量演算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、発電機ロータのアライメント調整量算出方法及び発電機ロータのアライメント調整量演算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タービン発電システムは、発電機の発電機ロータとタービンのタービンロータとが各々のカップリングを介して連結されて構成されている。発電機ロータとタービンロータは、発電設備の定期点検時に切り離され(分解され)、定期点検完了前に再度連結される(組み立てられる)ことになるが、連結の際に各ロータの軸受の支持位置の調整を要し、これをアライメント調整と呼ぶ。
【0003】
一般的な定期点検時の発電機ロータのアライメント調整方法では、アライメント調整量を算出するために、アライメント調整の直前に各ロータのカップリング間の芯差及び面開き量を計測するセンタリング計測を行い、各ロータのアライメント状態を確認する。
【0004】
しかしながら、この方法では、定期点検での点検及び組立後にセンタリング計測を行い、アライメント調整を実施することになる。このため、タービン発電システムの組立後に実施する工程が多くなり、組立後の工程調整が難しくなる。また、定期点検中に発電機をジャッキアップしたり、分解のために発電機を移動させたりした場合、定期点検中に発電機ロータの位置が移動したことにより、発電機ロータのアライメント調整量が大きくなり、アライメント調整により多くの時間を要する。このことも、タービン発電システムの組立後の工程調整を難しくする一因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、タービン発電システムの組立後の発電機ロータのアライメント調整のためのセンタリング計測を不要にすることができる発電機ロータのアライメント調整量算出方法及び発電機ロータのアライメント調整量演算装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法は、発電機の発電機ロータとタービンのタービンロータとが各々のカップリングを介して連結されて構成されるタービン発電システムにおいて、発電機ロータのアライメント調整量を算出する方法である。発電機ロータのアライメント調整量算出方法は、タービン発電システムの分解前に、カップリング間の芯差及び面開き量を計測するセンタリング計測を行うセンタリング計測工程と、タービン発電システムの分解前に、三次元計測装置により、静止点に対する発電機上の評価点の相対位置を計測する第1相対位置計測工程と、分解したタービン発電システムの組立後に、三次元計測装置により、静止点に対する評価点の相対位置を計測する第2相対位置計測工程と、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、発電機ロータのアライメント調整量を算出するアライメント調整量算出工程と、を備える。
【0008】
また、実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量演算装置は、上述した発電機ロータのアライメント調整量算出方法を用いて、発電機ロータのアライメント調整量を算出し出力する装置である。発電機ロータのアライメント調整量演算装置は、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果が入力される入力部と、入力部に入力されたセンタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、発電機ロータのアライメント調整量を算出する演算部と、演算部により算出された発電機ロータのアライメント調整量を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タービン発電システムの組立後の発電機ロータのアライメント調整のためのセンタリング計測を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態によるタービン発電システムの概略構成を示す模式図であって、各ロータの上下方向における位置関係を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態によるタービン発電システムの概略構成を示す模式図であって、各ロータの左右方向における位置関係を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1のカップリングを拡大して示す模式図であって、カップリング間の上下方向における芯差及び面開き量を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態によるタービン発電システムの発電機ロータの上下方向におけるアライメント調整方法を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態によるタービン発電システムの発電機ロータの左右方向におけるアライメント調整方法を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態によるタービン発電システムの発電機を示す側面図である。
【
図12】
図12は、第2の実施の形態によるタービン発電システムの発電機ロータの上下方向におけるアライメント調整方法を説明するための模式図である。
【
図13】
図13は、第2の実施の形態によるタービン発電システムの発電機ロータの左右方向におけるアライメント調整方法を説明するための模式図である。
【
図14】
図14は、第3の実施の形態によるタービン発電システムの一部を拡大して示す上面図である。
【
図16】
図16は、第4の実施の形態によるタービン発電システムの発電機を示す上面図である。
【
図18】
図18は、第5の実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量演算装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法及び発電機ロータのアライメント調整量演算装置について説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
まず、
図1~
図11を参照して、第1の実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法について説明する。
【0013】
ここではまず、
図1~
図3を用いて、本実施の形態によるタービン発電システム1について説明する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、タービン発電システム1は、発電機2と、タービン3と、を備えている。
【0015】
発電機2は、発電機ロータ2aと、2つのカップリング2bと、2つの軸受2c、2dと、を有している。カップリング2bは、発電機ロータ2aの両端部にそれぞれ設けられている。軸受2c、2dは、発電機ロータ2aを回転可能に支持している。軸受2cは、発電機ロータ2aの軸方向における一側(図における左側)に設けられている。軸受2dは、発電機ロータ2aの軸方向における他側(図における右側)に設けられている。
【0016】
タービン3は、タービンロータ3aと、2つのカップリング3bと、2つの軸受3c、3dと、を有している。カップリング3bは、タービンロータ3aの両端部にそれぞれ設けられている。軸受3c、3dは、タービンロータ3aを回転可能に支持している。軸受3cは、タービンロータ3aの軸方向における一側(図における左側)に設けられている。軸受3dは、タービンロータ3aの軸方向における他側(図における右側)に設けられている。
【0017】
タービン発電システム1は、発電機2の発電機ロータ2aとタービン3のタービンロータ3aとが各々のカップリング2b、3bを介して連結されて構成されている。なお、図示しないが、タービン発電システム1は、複数のタービンを備えていてもよく、各タービンのタービンロータ同士も各々のカップリングを介して連結されていてもよい。
【0018】
図1は、各ロータ2a、3aの上下方向(鉛直方向)における位置関係を示している。
図2は、各ロータ2a、3aの左右方向(水平方向)における位置関係を示している。
図1及び
図2に示すように、タービン発電システム1の組立時、発電機ロータ2aとタービンロータ3aとを連結した際、発電機ロータ2aが基準となるタービンロータ3aに対してずれて配置される場合がある。この各ロータ2a、3a間の位置ずれを解消するために各ロータ2a、3aを支持する軸受2c、2d、3c、3dの支持位置を調整することをアライメント調整と呼ぶ。
【0019】
図3は、カップリング2b、3b間の上下方向における芯差5及び面開き量6を示している。カップリング2b、3b間の左右方向における芯差5及び面開き量6の図示は省略する。
図3に示すように、芯差5とは、互いに隣接するカップリング2b、3bの芯(最外面における中心点)間のずれ量である。面開き量6とは、互いに隣接するカップリング2b、3bの外面間の最大開き量である。これらの芯差5及び面開き量6は、センタリング計測により計測可能である。
【0020】
一般的な定期点検時の発電機ロータのアライメント調整方法では、タービン発電システム1の組立後にセンタリング計測を行い、カップリング2b、3b間の上下方向及び左右方向の芯差5及び面開き量6をそれぞれ計測する。そして、その計測結果に基づいて、各ロータ2a、3aの位置関係を評価し、カップリング2b、3b間の芯差5及び面開き量6が管理値内となるような、各軸受2c、2dにおける発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。ここで、
図1に示すように、アライメント調整量a1は、軸受2cにおける発電機ロータ2aの上下方向の調整量であり、アライメント調整量a2は、軸受2dにおける発電機ロータ2aの上下方向の調整量である。また、
図2に示すように、アライメント調整量b1は、軸受2cにおける発電機ロータ2aの左右方向の調整量であり、アライメント調整量b2は、軸受2dにおける発電機ロータ2aの左右方向の調整量である。
【0021】
これに対して本実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法では、タービン発電システム1の組立後のセンタリング計測を行わずに、発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。
【0022】
定期点検中、タービン発電システム1の分解後、発電機2をジャッキアップしたり、分解のために発電機を移動させたりする場合がある。この場合、
図4及び
図5に示すように、発電機ロータ2aの位置は、タービン発電システム1の分解前の位置Aから上下方向及び左右方向に移動してしまう。
【0023】
ここで、定期点検中の発電機ロータ2aの移動量c1、c2、d1、d2を計測することができれば、タービン発電システム1の分解前の発電機ロータ2aの位置Aからタービン発電システム1の組立後の発電機ロータ2aの目標位置Bまでの発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出することができる。ここで、
図4に示すように、移動量c1は、軸受2cにおける発電機ロータ2aの上下方向の移動量であり、移動量c2は、軸受2dにおける発電機ロータ2aの上下方向の移動量である。また、
図5に示すように、移動量d1は、軸受2cにおける発電機ロータ2aの左右方向の移動量であり、移動量d2は、軸受2dにおける発電機ロータ2aの左右方向の移動量である。
【0024】
本実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法では、定期点検中の発電機ロータ2aの移動量c1、c2、d1、d2を計測することで、タービン発電システム1の組立後のセンタリング計測を行わずに、発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出することを可能にする。
【0025】
以下、
図6~
図11を用いて、本実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法について詳細に説明する。
【0026】
本実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法は、タービン発電システム1の定期点検時に実施される。本実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法は、センタリング計測工程と、第1相対位置計測工程と、第2相対位置計測工程と、アライメント調整量算出工程と、を備えている。
【0027】
まず、センタリング計測工程が実施される。センタリング計測工程では、タービン発電システム1の分解前に、カップリング2b、3b間の芯差5及び面開き量6を計測するセンタリング計測を行う。センタリング計測では、発電機ロータ2aとタービンロータ3aとが連結された状態で、各ロータ2a、3aを回転させながら、カップリング2b、3b間の芯差5及び面開き量6を直接計測する。
【0028】
続いて、第1相対位置計測工程が実施される。第1相対位置計測工程では、タービン発電システム1の分解前に、三次元計測装置により、静止点に対する発電機2上の評価点の相対位置を計測する。
【0029】
評価点は、発電機2上の任意の位置に設けられる。評価点は、発電機2の発電機本体7に設けられてもよい。発電機ロータ2aは、発電機本体7に設けられた軸受2c、2dによって支持されており、発電機ロータ2aの移動量は、発電機本体7の移動量と等しいと見ることができる。このため、発電機本体7上の評価点の移動量を計測することで、発電機ロータ2aの移動量を計測することができる。
図6及び
図7に示す例においては、発電機本体7に設けられた脚板8上に、評価点P1~P8が設けられている。
【0030】
評価点の数は任意である。例えば、評価点は、発電機ロータ2aの軸方向に沿って2つ以上設けられてもよい。また、評価点は、発電機ロータ2aの軸方向における同位置に2つ設けられてもよい。2つの評価点は、発電機ロータ2aに対して、軸方向に直交する方向における一側(
図7における下側)及び他側(
図7における上側)にそれぞれ設けられていてもよい。2つの評価点は、発電機ロータ2aから同距離になるように設けられていてもよい。
【0031】
図7に示す例においては、発電機本体7の軸方向における一側及び他側並びに軸方向に直交する方向における一側及び他側にそれぞれ脚板8が設けられており、各脚板8に2つずつ、計8つの評価点P1~P8が設けられている。軸方向に直交する方向における一側(
図7における下側)では、4つの評価点P1、P2、P5、P6が、軸方向に沿って並んでいる。軸方向に直交する方向における他側(
図7における上側)では、4つの評価点P3、P4、P7、P8が、軸方向に沿って並んでいる。また、2つの評価点P1、P3が、軸方向における同位置に設けられている。また、2つの評価点P2、P4が、軸方向における同位置に設けられている。また、2つの評価点P5、P7が、軸方向における同位置に設けられている。また、2つの評価点P6、P8が、軸方向における同位置に設けられている。
【0032】
静止点は、発電機2以外の場所の任意の位置に設けられる。静止点は、発電機2の近くの位置に設けられてもよい。静止点は、発電機2の周囲の基礎10上に設けられもよい。
図7に示す例においては、発電機2の周囲の基礎10に設けられた穴11の中央位置に、静止点Q1~Q4が設けられている。穴11は、脚板8の近くに設けられていてもよい。穴11は、四角形の開口を有する四角柱状の穴であってもよい。この穴11は、発電機2を持ち上げる(ジャッキアップ)際に使用されるジャッキングポストを挿入するために基礎10に予め設けられた穴であってもよい。
【0033】
静止点の数は任意である。静止点は、1つのみ設けられてもよいし、各評価点に対応するように評価点の数と同じ数設けられてもよい。
図7に示す例においては、各脚板8の近くに1つずつ、計4つの静止点Q1~Q4が設けられている。静止点Q1は、評価点P1、P2に対応する静止点である。静止点Q2は、評価点P3、P4に対応する静止点である。静止点Q3は、評価点P5、P6に対応する静止点である。静止点Q4は、評価点P7、P8に対応する静止点である。
【0034】
本実施の形態においては、8つの評価点P1~P8と4つの静止点Q1~Q4の各位置をそれぞれ三次元計測装置により計測して、静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対位置を算出する。三次元計測装置としては、例えばレーザートラッカを用いる。レーザートラッカは、リフレクタ9にレーザー光を照射することでリフレクタ9の位置を計測する。本実施の形態においては、リフレクタ9を各評価点P1~P8及び各静止点Q1~Q4にそれぞれ配置する。
【0035】
本実施の形態においては、計測治具20を用いて、リフレクタ9を各評価点P1~P8に配置する。
図8及び
図9に示すように、計測治具20は、台座21と、ネジ部23と、を有している。台座21は、リフレクタ9を保持する部分である。
図8及び
図9に示すように、リフレクタ9は球状であってもよい。台座21は、窪み22を有していてもよく、この窪み22に球状のリフレクタ9の一部が入り込むことで、リフレクタ9を保持してもよい。ネジ部23は、台座21の下部に設けられている。脚板8の評価点P1~P8に対応する位置には、ネジ穴13が設けられており、ネジ部23は、この脚板8に設けられたネジ穴13と螺合するようになっている。ネジ穴13は、発電機2をジャッキアップするために脚板8に予め設けられている。換言すると、評価点P1~P8は、脚板8のこのようなネジ穴13が設けられた位置に設定される。このような計測治具20を用いることで、リフレクタ9を発電機2上の各評価点P1~P8に固定することができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、計測治具30を用いて、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4に配置する。
図10及び
図11に示すように、計測治具30は、台座31と、固定機構33と、を有している。台座31は、リフレクタ9を保持する部分である。台座31は、窪み32を有していてもよく、この窪み32に球状のリフレクタ9の一部が入り込むことで、リフレクタ9を保持してもよい。固定機構33は、台座31の下部に設けられている。固定機構33は、発電機2の周囲の基礎10に設けられた穴11に固定されるようになっている。固定機構33は、梁部34と、爪部35と、を有している。梁部34は、十字状であり、穴11を跨ぐように縦方向に延びる部分と、穴11を跨ぐように横方向に延びる部分とを有している。爪部35は、梁部34の下部に設けられている。爪部35は、四角柱状の穴11の各内面に当接するように複数設けられている。各爪部35はそれぞれ縦方向又は横方向に移動可能であり、各爪部35が穴11の内面に当接することで、固定機構33が穴11に固定されるようになっている。このような計測治具30を用いることで、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4に固定することができる。
【0037】
このようにして、第1相対位置計測工程において、タービン発電システム1の分解前に、レーザートラッカにより、8つの評価点P1~P8と4つの静止点Q1~Q4の各位置(座標位置)をそれぞれ計測する。各評価点P1~P8及び各静止点Q1~Q4の計測は、同時に行ってもよいし、1つずつあるいは複数ずつ行ってもよい。そして、計測により得られた評価点P1~P8の座標位置から、計測により得られた静止点Q1~Q4の座標位置を減算することで、静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対位置を算出することができる。
【0038】
第1相対位置計測工程の後、定期点検において、タービン発電システム1が分解される。すなわち、カップリング2b、3bを介して連結されていた発電機ロータ2aとタービンロータ3aとが切り離される。タービン発電システム1の分解後、発電機2をジャッキアップしたり、分解のために発電機を移動させたりする場合もある。その後、分解したタービン発電システム1が組み立てられる。すなわち、発電機ロータ2aとタービンロータ3aとが各々のカップリング2b、3bを介して再度連結される。
【0039】
次に、第2相対位置計測工程が実施される。第2相対位置計測工程では、三次元計測装置により、静止点に対する評価点の相対位置を計測する。
【0040】
第2相対位置計測工程における評価点及び静止点は、第1相対位置計測工程における評価点P1~P8及び静止点Q1~Q4と同じ位置に設定する。また、第1相対位置計測工程と同様、三次元計測装置として、レーザートラッカを用いる。この場合、第1相対位置計測工程と同様、計測治具20を用いて、リフレクタ9を各評価点P1~P8に配置する。また、計測治具30を用いて、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4に配置する。
【0041】
このようにして、第2相対位置計測工程において、タービン発電システム1の組立後に、レーザートラッカにより、8つの評価点P1~P8と4つの静止点Q1~Q4の各位置(座標位置)をそれぞれ計測する。そして、計測により得られた評価点P1~P8の座標位置から、計測により得られた静止点Q1~Q4の座標位置を減算することで、静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対位置を算出することができる。
【0042】
その後、アライメント調整量算出工程が実施される。アライメント調整量算出工程では、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出する。
【0043】
アライメント調整量算出工程では、まず、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、静止点Q1~Q4に対する発電機ロータ2aの相対移動量を算出する。
【0044】
より具体的には、まず、第2相対位置計測工程で計測された静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対位置から、第1相対位置計測工程で計測された静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対位置を減算することで、静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対移動量を算出する。ここで、静止点Q1に対する評価点P1の上下方向の相対移動量をu11、左右方向の相対移動量をv11とする。静止点Q1に対する評価点P2の上下方向の相対移動量をu21、左右方向の相対移動量をv21とする。静止点Q2に対する評価点P3の上下方向の相対移動量をu12、左右方向の相対移動量をv12とする。静止点Q2に対する評価点P4の上下方向の相対移動量をu22、左右方向の相対移動量をv22とする。静止点Q3に対する評価点P5の上下方向の相対移動量をu31、左右方向の相対移動量をv31とする。静止点Q3に対する評価点P6の上下方向の相対移動量をu41、左右方向の相対移動量をv41とする。静止点Q4に対する評価点P7の上下方向の相対移動量をu32、左右方向の相対移動量をv32とする。静止点Q4に対する評価点P8の上下方向の相対移動量をu42、左右方向の相対移動量をv42とする。
【0045】
次に、軸方向における同位置に設けられた2つの評価点P1~P8の相対移動量の平均値から、静止点Q1~Q4に対する発電機ロータ2aの相対移動量を算出する。すなわち、軸方向における同位置に設けられた2つの評価点P1、P3の上下方向の相対移動量u11、u12の平均値から、評価点P1、P2の軸方向位置における発電機ロータ2aの上下方向の相対移動量u1を算出する。また、軸方向における同位置に設けられた2つの評価点P1、P3の左右方向の相対移動量v11、v12の平均値から、評価点P1、P2の軸方向位置における発電機ロータ2aの左右方向の相対移動量v1を算出する。同様に、評価点P2、P4の上下方向の相対移動量u21、u22の平均値から、評価点P2、P4の軸方向位置における発電機ロータ2aの上下方向の相対移動量u2を算出する。また、評価点P2、P4の左右方向の相対移動量v21、v22の平均値から、評価点P2、P4の軸方向位置における発電機ロータ2aの左右方向の相対移動量v2を算出する。同様に、評価点P5、P7の上下方向の相対移動量u31、u32の平均値から、評価点P5、P7の軸方向位置における発電機ロータ2aの上下方向の相対移動量u3を算出する。また、評価点P5、P7の左右方向の相対移動量v31、v32の平均値から、評価点P5、P7の軸方向位置における発電機ロータ2aの左右方向の相対移動量v3を算出する。同様に、評価点P6、P8の上下方向の相対移動量u41、u42の平均値から、評価点P6、P8の軸方向位置における発電機ロータ2aの上下方向の相対移動量u4を算出する。また、評価点P6、P8の左右方向の相対移動量v41、v42の平均値から、評価点P6、P8の軸方向位置における発電機ロータ2aの左右方向の相対移動量v4を算出する。
【0046】
このようにして、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、軸方向の各位置における発電機ロータ2aの上下方向の相対移動量u1、u2、u3、u4及び左右方向の相対移動量v1、v2、v3、v4をそれぞれ算出することができる。
【0047】
次に、センタリング計測工程での計測結果及び発電機ロータ2aの相対移動量u1、u2、u3、u4、v1、v2、v3、v4に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。
【0048】
より具体的には、まず、センタリング計測工程におけるセンタリング計測により、タービン発電システム1の分解前のカップリング2b、3b間の芯差5及び面開き量6が計測されている。これらの計測結果と、カップリング2bと軸受2c間の寸法、軸受2c、2d間の寸法、カップリング2bの外径寸法等の寸法情報とに基づいて、各軸受2c、2dにおける発電機ロータ2aの上下方向及び左右方向のアライメント調整量を算出する。次に、発電機ロータ2aの相対移動量u1、u2、u3、u4、v1、v2、v3、v4と、各評価点P1~P8の軸方向位置や各軸受2c、2dの支持位置(アライメント調整位置)等の位置情報とに基づいて、各軸受2c、2dにおける発電機ロータ2aの上下方向及び左右方向の移動量c1、c2、d1、d2を算出する。そして、上述したアライメント調整量から、この移動量c1、c2、d1、d2を減算することで、最終的な発電機ロータ2aの上下方向及び左右方向のアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。
【0049】
このようにして、アライメント調整量算出工程において、カップリング2b、3b間の芯差5及び面開き量6が管理値内となるような、各軸受2c、2dにおける発電機ロータ2aの上下方向及び左右方向のアライメント調整量a1、a2、b1、b2をそれぞれ算出することができる。
【0050】
アライメント調整量算出工程の後、算出した発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整が行われる。アライメント調整は、発電機ロータ2aの各軸受2c、2dの支持位置を調整することにより行われる。より具体的には、上下方向のアライメント調整は、脚板8下のシム調整を実施することにより行われ、左右方向のアライメント調整は、発電機本体7の位置調整を実施することにより行われる。
【0051】
このようにして、タービン発電システム1の組立後に、カップリング2b、3b間の芯差5及び面開き量6が管理値内となるように、発電機ロータ2aのアライメント調整を行うことができる。
【0052】
このように本実施の形態によれば、発電機ロータのアライメント調整量算出方法は、センタリング計測工程と、第1相対位置計測工程と、第2相対位置計測工程と、アライメント調整量算出工程と、を備えている。センタリング計測工程では、タービン発電システム1の分解前に、カップリング2b、3b間の左右方向における芯差5及び面開き量6を計測するセンタリング計測を行う。第1相対位置計測工程では、タービン発電システム1の分解前に、三次元計測装置により、静止点Q1~Q4に対する発電機2上の評価点P1~P8の相対位置を計測する。第2相対位置計測工程では、分解したタービン発電システム1の組立後に、三次元計測装置により、静止点Q1~Q4に対する発電機2上の評価点P1~P8の相対位置を計測する。そして、アライメント調整量算出工程では、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。すなわち、タービン発電システム1の分解前のセンタリング計測の計測結果、タービン発電システム1の分解前の静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対位置の計測結果及び分解したタービン発電システム1の組立後の静止点Q1~Q4に対する評価点P1~P8の相対位置の計測結果に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。このことにより、タービン発電システム1の組立後のセンタリング計測を行わずに、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出することができる。このため、タービン発電システム1の組立後の発電機ロータ2aのアライメント調整のためのセンタリング計測を不要にすることができる。この結果、定期点検時において、タービン発電システム1の組立後に実施する工程を削減することができ、組立後の工程調整を容易化することができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、三次元計測装置により、静止点Q1~Q4に対する発電機2上の評価点P1~P8の相対位置を計測している。一般に、タービン発電システム1の分解前とタービン発電システム1の組立後とで、レーザートラッカ等の三次元計測装置を全く同じ位置に設置することは困難である。したがって、本実施の形態のように、評価点P1~P8を静止点Q1~Q4を基準にした相対位置として計測することで、三次元計測装置の設置位置に寄らずに、評価点P1~P8の位置を確実に評価することができる。このため、発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出精度を向上させることができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、アライメント調整量算出工程において、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、静止点Q1~Q4に対する発電機ロータ2aの相対移動量を算出し、センタリング計測工程での計測結果及び発電機ロータ2aの相対移動量に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。定期点検中、タービン発電システム1の分解後に、発電機2をジャッキアップしたり、分解のために発電機を移動させたりする場合がある。この場合、発電機ロータ2aの位置は、タービン発電システム1の分解前の位置Aから上下方向及び左右方向に移動してしまう。本実施の形態によれば、定期点検中の発電機ロータ2aの移動量c1、c2、d1、d2を算出することで、タービン発電システム1の組立後のセンタリング計測を行わずに、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出することができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、アライメント調整量算出工程において、軸方向における同位置に設けられた2つの評価点の相対移動量の平均値から、静止点に対する発電機ロータ2aの相対移動量を算出する。発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出するためには、本来、発電機ロータ2a上に評価点P1~P8を設けることが好ましい。しかしながら、タービン発電システム1が組み立てられた状態で、発電機ロータ2a上に評価点P1~P8を設けることは困難である。これに対して本実施の形態によれば、軸方向における同位置に設けられた2つの評価点の相対移動量の平均値を取ることにより、本来の発電機ロータ2aの相対移動量に近づけることができる。このため、発電機ロータ2aの相対移動量の算出精度を向上させることができ、発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出精度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、リフレクタ9を保持する台座21と、台座21の下部に設けられ、発電機2に設けられたネジ穴13と螺合するネジ部23と、を有する計測治具20を用いて、評価点P1~P8にリフレクタ9を配置する。このことにより、リフレクタ9を発電機2上の各評価点P1~P8にしっかりと固定することができる。このため、第1相対位置計測工程(タービン発電システム1の分解前)及び第2相対位置計測工程(タービン発電システム1の組立後)において、評価点P1~P8の位置が変化することを抑制することができる。この結果、評価点P1~P8の位置の計測精度を向上させることができ、発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出精度を向上させることができる。また、発電機2に設けられた既存のネジ穴13を用いてリフレクタ9を発電機2上に固定するため、新たにネジ穴等を形成することを要さず、工数の増大を抑制することができる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、リフレクタ9を保持する台座31と、台座31の下部に設けられ、発電機2の周囲の基礎10に設けられた穴11に固定される固定機構33と、を有する計測治具30を用いて、静止点Q1~Q4にリフレクタ9を配置する。このことにより、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4にしっかりと固定することができる。このため、第1相対位置計測工程(タービン発電システム1の分解前)及び第2相対位置計測工程(タービン発電システム1の組立後)において、静止点Q1~Q4の位置が変化することを抑制することができる。この結果、静止点Q1~Q4の位置の計測精度を向上させることができ、発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出精度を向上させることができる。また、発電機2の周囲の基礎10に設けられた既存の穴11を用いてリフレクタ9を固定するため、新たにネジ穴等を形成することを要さず、工数の増大を抑制することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
次に、
図12及び
図13を参照して、第2の実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法について説明する。
【0059】
図12及び
図13に示す第2の実施の形態においては、アライメント調整量算出工程において、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果、第2相対位置計測工程での計測結果及びタービンロータのアライメント調整量に基づいて、発電機ロータのアライメント調整量を算出する点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と略同一である。
図12及び
図13において、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
上述した第1の実施の形態においては、タービン発電システム1の分解から組立完了までの間に、タービンロータ3aのアライメント調整が行われていない例について説明した。すなわち、第1の実施の形態においては、タービンロータ3aのアライメント調整が行われないことを前提とした発電機ロータのアライメント調整量算出方法について説明した。
【0061】
しかしながら、タービン発電システム1が2つ以上のタービンロータを備えている場合、基準となるタービンロータから軸方向へ順次アライメント調整が行われ、発電機ロータ2aのアライメント調整前に、タービンロータ3aのアライメント調整が行われる場合がある。本実施の形態においては、発電機ロータ2aのアライメント調整前にタービンロータ3aのアライメント調整が行われていた場合の発電機ロータのアライメント調整量算出方法について説明する。
【0062】
本実施の形態においては、アライメント調整量算出工程において、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果、第2相対位置計測工程での計測結果及びタービンロータ3aのアライメント調整量に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出する。
【0063】
図12及び
図13は、
図4及び
図5に示す各ロータ2a、3aの位置関係からさらにタービンロータ3aのアライメント調整が行われた場合の各ロータ2a、3aの位置関係を示している。
図12及び
図13に示すように、タービン発電システム1の分解前のセンタリング計測工程での計測結果とタービンロータ3aのアライメント調整量とから、アライメント調整後のタービンロータ3aの位置を算出することができる。このため、タービンロータ3aの調整による発電機ロータ2aの追加調整量e1、e2、f1、f2を算出することができる。ここで、
図12に示すように、追加調整量e1は、軸受2cにおける発電機ロータ2aの上下方向の追加調整量であり、追加調整量e2は、軸受2dにおける発電機ロータ2aの上下方向の追加調整量である。また、
図13に示すように、追加調整量f1は、軸受2cにおける発電機ロータ2aの左右方向の追加調整量であり、追加調整量f2は、軸受2dにおける発電機ロータ2aの左右方向の追加調整量である。そして、第1の実施の形態で算出した発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2に、この追加調整量e1、e2、f1、f2を加算することで、発電機ロータ2aのアライメント調整前にタービンロータ3aのアライメント調整が行われていた場合の発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出することができる。
【0064】
このように本実施の形態によれば、アライメント調整量算出工程において、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果、第2相対位置計測工程での計測結果及びタービンロータのアライメント調整量に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出する。このことにより、タービンロータ3aのアライメント調整が行われていた場合の発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出精度を向上させることができる。
【0065】
(第3の実施の形態)
次に、
図14及び
図15を参照して、第3の実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法について説明する。
【0066】
図14及び
図15に示す第3の実施の形態においては、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、発電機の周囲の基礎に設けられたソールプレートにネジ穴を形成し、リフレクタを保持する台座と、台座の下部に設けられ、ソールプレートに形成されたネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、静止点にリフレクタを配置し、レーザートラッカによりリフレクタにレーザー光を照射することで、静止点の位置を計測する点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と略同一である。
図14及び
図15において、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
本実施の形態においては、
図14に示すように、静止点Q1~Q4は、発電機2の周囲の基礎10上のソールプレート14に設けられる。より具体的には、発電機2の周囲の基礎10に設けられたソールプレート14に形成されたネジ穴15上に設けられる。ソールプレート14は、脚板8の下方に設けられていてもよい。ネジ穴15は、例えばソールプレート14の隅部に形成されていてもよい。ネジ穴15は、ソールプレート14に形成されていてもよい。ネジ穴15は、ソールプレート14にネジ穴加工を施すことにより形成することができる。
【0068】
また、本実施の形態においては、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、計測治具40を用いて、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4に配置する。
図15に示すように、計測治具40は、台座41と、ネジ部43と、を有している。台座41は、リフレクタ9を保持する部分である。台座41は、窪み42を有していてもよく、この窪み42に球状のリフレクタ9の一部が入り込むことで、リフレクタ9を保持してもよい。ネジ部43は、台座41の下部に設けられている。ネジ部43は、ソールプレート14に形成されたネジ穴15と螺合するようになっている。このような計測治具40を用いることで、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4に固定することができる。
【0069】
このように本実施の形態によれば、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、発電機2の周囲の基礎10に設けられたソールプレート14にネジ穴15を形成し、リフレクタ9を保持する台座41と、台座41の下部に設けられ、ソールプレート14に形成されたネジ穴15と螺合するネジ部43と、を有する計測治具40を用いて、静止点Q1~Q4にリフレクタ9を配置する。このことにより、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4にしっかりと固定することができる。このため、第1相対位置計測工程(タービン発電システム1の分解前)及び第2相対位置計測工程(タービン発電システム1の組立後)において、静止点Q1~Q4の位置が変化することを抑制することができる。この結果、静止点Q1~Q4の位置の計測精度を向上させることができ、発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出精度を向上させることができる。
【0070】
(第4の実施の形態)
次に、
図16及び
図17を参照して、第4の実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量算出方法について説明する。
【0071】
図16及び
図17に示す第4の実施の形態においては、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、発電機の周囲の基礎に設けられたベンチマークにネジ穴を形成し、リフレクタを保持する台座と、台座の下部に設けられ、ベンチマークに形成されたネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、静止点にリフレクタを配置し、レーザートラッカによりリフレクタにレーザー光を照射することで、静止点の位置を計測する点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と略同一である。
図16及び
図17において、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施の形態においては、
図16に示すように、静止点Q1~Q4は、発電機2の周囲の基礎10上のベンチマーク16に設けられる。より具体的には、発電機2の周囲の基礎10に設けられたベンチマーク16に形成されたネジ穴17上に設けられる。ベンチマーク16は、基礎10の経年的な垂直方向の変化量を計測するために基礎10上に予め設けられた固定点である。ベンチマーク16は、発電機2の2つの軸受2c、2dの左右方向にそれぞれ設けられている。ネジ穴17は、ベンチマーク16の中央部に形成されていてもよい。ネジ穴17は、ベンチマーク16にネジ穴加工を施すことにより形成することができる。
【0073】
また、本実施の形態においては、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、計測治具50を用いて、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4に配置する。
図17に示すように、計測治具50は、台座51と、ネジ部53と、を有している。台座51は、リフレクタ9を保持する部分である。台座51は、窪み52を有していてもよく、この窪み52に球状のリフレクタ9の一部が入り込むことで、リフレクタ9を保持してもよい。ネジ部53は、台座51の下部に設けられている。ネジ部53は、ベンチマーク16に形成されたネジ穴17と螺合するようになっている。このような計測治具50を用いることで、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4に固定することができる。
【0074】
このように本実施の形態によれば、第1相対位置計測工程及び第2相対位置計測工程において、発電機2の周囲の基礎10に設けられたベンチマーク16にネジ穴17を形成し、リフレクタ9を保持する台座51と、台座51の下部に設けられ、ベンチマーク16に形成されたネジ穴17と螺合するネジ部53と、を有する計測治具50を用いて、静止点Q1~Q4にリフレクタ9を配置する。このことにより、リフレクタ9を各静止点Q1~Q4にしっかりと固定することができる。このため、第1相対位置計測工程(タービン発電システム1の分解前)及び第2相対位置計測工程(タービン発電システム1の組立後)において、静止点Q1~Q4の位置が変化することを抑制することができる。この結果、静止点Q1~Q4の位置の計測精度を向上させることができ、発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出精度を向上させることができる。
【0075】
(第5の実施の形態)
次に、
図18を参照して、第5の実施の形態による発電機ロータのアライメント調整量演算装置について説明する。
【0076】
図18に示す第5の実施の形態においては、発電機ロータのアライメント調整量演算装置が、上述した発電機ロータのアライメント調整量算出方法を用いて、発電機ロータのアライメント調整量を算出し出力する点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と略同一である。
図18において、
図1~
図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
本実施の形態においては、発電機ロータのアライメント調整量演算装置60が、上述した実施の形態で説明した発電機ロータのアライメント調整量算出方法を用いて、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出し出力する。
図18に示すように、アライメント調整量演算装置60は、入力部61と、演算部62と、出力部63と、を備えている。
【0078】
入力部61は、センタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果が入力される。また、入力部61には、カップリング2bと軸受2c間の寸法、軸受2c、2d間の寸法、カップリング2bの外径寸法等の寸法情報が入力される。また、入力部61には、各軸受2c、2dの支持位置(アライメント調整位置)等の位置情報が入力される。また、上述した第2の実施の形態で説明したように、発電機ロータ2aのアライメント調整前にタービンロータ3aのアライメント調整が行われていた場合、入力部61には、タービンロータ3aのアライメント調整量が入力される。
【0079】
演算部62は、入力部61に入力されたセンタリング計測工程での計測結果、第1相対位置計測工程での計測結果及び第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出する。より具体的には、演算部62は、タービン発電システム1の分解前のカップリング2b、3b間の芯差5及び面開き量6の計測結果と、上述した寸法情報とに基づいて、各軸受2c、2dにおける発電機ロータ2aの上下方向及び左右方向のアライメント調整量を算出する。次に、演算部62は、発電機ロータ2aの相対移動量u1、u2、u3、u4、v1、v2、v3、v4と、上述した位置情報とに基づいて、各軸受2c、2dにおける発電機ロータ2aの上下方向及び左右方向の移動量c1、c2、d1、d2を算出する。そして、上述したアライメント調整量から、この移動量c1、c2、d1、d2を減算することで、最終的な発電機ロータ2aの上下方向及び左右方向のアライメント調整量a1、a2、b1、b2を算出する。
【0080】
また、発電機ロータ2aのアライメント調整前にタービンロータ3aのアライメント調整が行われていた場合、演算部62は、入力部61に入力されたセンタリング計測工程での計測結果及びタービンロータ3aのアライメント調整量に基づいて、タービンロータ3aの調整による発電機ロータ2aの追加調整量e1、e2、f1、f2を算出する。そして、上述した発電機ロータ2aのアライメント調整量a1、a2、b1、b2に、この追加調整量e1、e2、f1、f2を加算することで、発電機ロータ2aのアライメント調整前にタービンロータ3aのアライメント調整が行われていた場合の発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出する。
【0081】
出力部63は、演算部62により算出された発電機ロータ2aのアライメント調整量を出力する。出力部63は、不図示の表示装置に、発電機ロータ2aのアライメント調整量を出力し、表示するようにしてもよい。また、出力部63は、表示装置に、
図4、
図5、
図12及び
図13に示すような各ロータ2a、3aの位置関係を示す模式図を出力し、表示するようにしてもよい。
【0082】
このように本実施の形態によれば、発電機ロータのアライメント調整量演算装置60が、上述した実施の形態で説明した発電機ロータのアライメント調整量算出方法を用いて、発電機ロータ2aのアライメント調整量を算出し出力する。このようにアライメント調整量演算装置60を用いることにより、発電機ロータ2aのアライメント調整量の算出及び出力を自動的に行うことができる。このため、発電機ロータ2aのアライメント調整量を簡便に算出することができる。
【0083】
以上述べた実施の形態によれば、タービン発電システムの組立後の発電機ロータのアライメント調整のためのセンタリング計測を不要にすることができる。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1:タービン発電システム、2:発電機、2a:発電機ロータ、2b:カップリング、3:タービン、3a:タービンロータ、3b:カップリング、5:芯差、6:面開き量、9:リフレクタ、10:基礎、11:穴、13:ネジ穴、20:計測治具、21:台座、23:ネジ部、30:計測治具、31:台座、33:固定機構、40:計測治具、41:台座、43:ネジ部、50:計測治具、51:台座、53:ネジ部、60:アライメント調整量演算装置、61:入力部、62:演算部、63:出力部、P1~P8:評価点、Q1~Q4:静止点
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機の発電機ロータとタービンのタービンロータとが各々のカップリングを介して連結されて構成されるタービン発電システムにおいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する発電機ロータのアライメント調整量算出方法であって、
前記タービン発電システムの分解前に、前記カップリング間の芯差及び面開き量を計測するセンタリング計測を行うセンタリング計測工程と、
前記タービン発電システムの分解前に、三次元計測装置により、前記発電機の周囲の基礎に対して静止した静止点に対する前記発電機上の評価点の相対位置を計測する第1相対位置計測工程と、
分解した前記タービン発電システムの組立後に、前記三次元計測装置により、前記静止点に対する前記評価点の相対位置を計測する第2相対位置計測工程と、
前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出するアライメント調整量算出工程と、を備える、発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項2】
前記アライメント調整量算出工程において、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、前記静止点に対する前記発電機ロータの相対移動量を算出し、前記センタリング計測工程での計測結果及び前記発電機ロータの前記相対移動量に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項3】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記発電機ロータの軸方向における同位置に2つの前記評価点が設けられ、
前記アライメント調整量算出工程において、前記軸方向における同位置に設けられた2つの前記評価点の前記相対移動量の平均値から、前記静止点に対する前記発電機ロータの前記相対移動量を算出する、請求項2に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項4】
前記タービンロータのアライメント調整が行われた際の前記タービンロータのアライメント調整量を取得する工程を更に備え、
前記アライメント調整量算出工程において、前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果、前記第2相対位置計測工程での計測結果及び前記タービンロータのアライメント調整量に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項5】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記発電機に設けられたネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、前記評価点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記評価点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項6】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記発電機の周囲の基礎に設けられた穴に固定される固定機構と、を有する計測治具を用いて、前記静止点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記静止点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項7】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記発電機の周囲の基礎に設けられたソールプレートにネジ穴を形成し、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記ソールプレートに形成された前記ネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、前記静止点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記静止点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項8】
前記第1相対位置計測工程及び前記第2相対位置計測工程において、前記三次元計測装置は、リフレクタにレーザー光を照射することで前記リフレクタの位置を計測するレーザートラッカであり、前記発電機の周囲の基礎に設けられたベンチマークにネジ穴を形成し、前記リフレクタを保持する台座と、前記台座の下部に設けられ、前記ベンチマークに形成された前記ネジ穴と螺合するネジ部と、を有する計測治具を用いて、前記静止点に前記リフレクタを配置し、前記レーザートラッカにより前記リフレクタにレーザー光を照射することで、前記静止点の位置を計測する、請求項1に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の発電機ロータのアライメント調整量算出方法を用いて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出し出力する発電機ロータのアライメント調整量演算装置であって、
前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記センタリング計測工程での計測結果、前記第1相対位置計測工程での計測結果及び前記第2相対位置計測工程での計測結果に基づいて、前記発電機ロータのアライメント調整量を算出する演算部と、
前記演算部により算出された前記発電機ロータのアライメント調整量を出力する出力部と、を備える、発電機ロータのアライメント調整量演算装置。