(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158002
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】重みづけ加算回路及び固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/78 20230101AFI20241031BHJP
【FI】
H04N25/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072751
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】半澤 克彦
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CY16
5C024CY18
5C024GX03
5C024GX16
5C024GY31
5C024HX13
5C024HX23
5C024HX28
5C024HX35
5C024HX50
5C024HX57
(57)【要約】
【課題】読出し線の配線数の増加を抑制しつつ、重みづけ加算数を増加することができる重みづけ加算回路及び固体撮像装置を提供する。
【解決手段】本開示の重みづけ加算回路は、固体撮像装置の垂直信号線に読み出された複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像装置の垂直信号線に読み出された複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、
前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、
前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、
前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを備える、
重みづけ加算回路。
【請求項2】
前記固体撮像装置は、
前記複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、
前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す前記垂直信号線と、
前記重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、
前記重みづけ加算回路は、前記セルアレイと、前記垂直信号線と、前記AD変換部とに接続される、
請求項1に記載の重みづけ加算回路。
【請求項3】
前記重みづけ加算回路は、
前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、
前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、重みづけ加算を行う、
請求項1に記載の重みづけ加算回路。
【請求項4】
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである、請求項2に記載の重みづけ加算回路。
【請求項5】
前記重みづけ加算回路は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む、請求項2に記載の重みづけ加算回路。
【請求項6】
前記AD変換部は、前記重みづけ加算回路が前記第4のスイッチの切り替えに基づいて生成したDAC信号と、前記重みづけ加算された信号との逐次比較動作を実施する、請求項5に記載の重みづけ加算回路。
【請求項7】
複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、
前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す垂直信号線と、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を行う重みづけ加算回路と、
前記重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、
前記重みづけ加算回路は、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、
前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、
前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、
前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを含む、
固体撮像装置。
【請求項8】
前記重みづけ加算回路は、
前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、
前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、重みづけ加算を行う、
請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである、請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記複数の容量は、互いに静電容量が異なる第1の容量と第2の容量を含む、請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記垂直信号線と、前記重みづけ加算回路との間には、前記複数の信号の入力の遅延時間を設けるバッファ回路が接続される、請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記重みづけ加算回路は、
前記第1の容量及び前記第2の容量がサンプルホールドする際の静電容量の差を調整する、1または複数のダミー容量と、
前記読出し配線及び前記ダミー容量を接続し、または切り離す1または複数の第3のスイッチとをさらに含む、
請求項10に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記重みづけ加算回路は、前記第1の容量と、前記第2の容量との静電容量の差に基づいて、1または複数の前記ダミー容量に電荷を蓄える、請求項12に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、
前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す垂直信号線と、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、正の値の重みづけ加算を行う第1の重みづけ加算回路と、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、負の値の重みづけ加算を行う第2の重みづけ加算回路と、
前記第1の重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号及び前記第2の重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、
前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、
前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、
前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、
前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを含む、
固体撮像装置。
【請求項15】
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである、請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、
前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、
前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、正の値の重みづけ加算及び負の値の重みづけ加算を行う、
請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項17】
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、
前記複数の信号を前記第1の重みづけ加算回路に切り替えて入力する第1の選択トランジスタと、
前記複数の信号を前記第2の重みづけ加算回路に切り替えて入力する第2の選択トランジスタとを含む、
請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記重みづけ加算回路は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む、請求項8に記載の固体撮像装置。
【請求項19】
前記AD変換部は、前記重みづけ加算回路が前記第4のスイッチの切り替えに基づいて生成したDAC信号と、前記重みづけ加算された信号との逐次比較を実施する、請求項18に記載の固体撮像装置。
【請求項20】
前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む、請求項14に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重みづけ加算回路及び固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network(DNNとも呼ぶ))は、認識性能を向上させるための技術として用いられているが、この技術で用いられる重みづけ加算は、演算回数が多く消費電力が大きい。
【0003】
一方、重みづけ加算について、デジタル回路で行う従来方式から、AD(Analog to Digital)変換を行う前に、演算を完了させることで消費電力を低減する技術が提案されており、例えば、イメージセンサでは、画素アレイから出力された信号に重みづけ加算を行うことで、畳み込み演算を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術では、画素アレイから、複数の読出し線を通じて信号を読み出す。また、各読出し線に対応する容量を通して、加算を行うことで重みづけ加算を行うことができる。しかし、同時に加算する信号数及び読出し線の配線数は、1対1であり、加算数を増やすと、その分、信号数も増加してしまう。
【0006】
そこで、本開示はこれらの問題に鑑み、読出し線の配線数の増加を抑制しつつ、重みづけ加算数を増加することができる重みづけ加算回路及び固体撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の側面の重みづけ加算回路は、固体撮像装置の垂直信号線に読み出された複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを備える。これにより、重みづけ加算回路は、読出し配線を各容量で共有することにより、配線数の増加を抑制することができる。重みづけ加算回路は、加算する信号の数が増加しても、順次信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を実施するため、重みづけ加算数と配線数とのトレードオフとを解消することができる。
【0008】
また、この第1の側面において、前記固体撮像装置は、前記複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す前記垂直信号線と、前記重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、前記重みづけ加算回路は、前記セルアレイと、前記垂直信号線と、前記AD変換部とに接続される。これにより、重みづけ加算回路は、読出し配線を各容量で共有することにより、配線数の増加を抑制することができる。重みづけ加算回路は、加算する信号の数が増加しても、順次信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を実施するため、重みづけ加算数と配線数とのトレードオフとを解消することができる。
【0009】
また、この第1の側面において、前記重みづけ加算回路は、前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、重みづけ加算を行う。これにより、重みづけ加算回路は、読出し配線を各容量で共有することにより、配線数の増加を抑制することができる。重みづけ加算回路は、加算する信号の数が増加しても、順次信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を実施するため、重みづけ加算数と配線数とのトレードオフとを解消することができる。
【0010】
また、この第1の側面において、前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである。これにより、重みづけ加算回路は、画素アレイ部だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行うことができる。
【0011】
また、この第1の側面において、前記重みづけ加算回路は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む。これにより、重みづけ加算回路は、別途、容量を付加することなく、逐次比較型AD変換器の機能を実現することができる。
【0012】
また、この第1の側面において、前記AD変換部は、前記重みづけ加算回路が前記第4のスイッチの切り替えに基づいて生成したDAC信号と、前記重みづけ加算された信号との逐次比較動作を実施する。これにより、重みづけ加算回路は、別途、容量を付加することなく、逐次比較型AD変換器の機能を実現することができる。
【0013】
本開示の第2の側面の固体撮像装置は、複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す垂直信号線と、前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を行う重みづけ加算回路と、前記重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、前記重みづけ加算回路は、前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを含む。これにより、重みづけ加算回路は、読出し配線を各容量で共有することにより、配線数の増加を抑制することができる。重みづけ加算回路は、加算する信号の数が増加しても、順次信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を実施するため、重みづけ加算数と配線数とのトレードオフとを解消することができる。
【0014】
また、この第2の側面において、前記重みづけ加算回路は、前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、重みづけ加算を行う。これにより、重みづけ加算回路は、読出し配線を各容量で共有することにより、配線数の増加を抑制することができる。重みづけ加算回路は、加算する信号の数が増加しても、順次信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を実施するため、重みづけ加算数と配線数とのトレードオフとを解消することができる。
【0015】
また、この第2の側面において、前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである。これにより、重みづけ加算回路は、画素アレイ部だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行うことができる。
【0016】
また、この第2の側面において、前記複数の容量は、互いに静電容量が異なる第1の容量と第2の容量を含む。これにより、重みづけ加算回路は、この静電容量の大きさによって、入力された信号の重みづけを変更することができる。
【0017】
また、この第2の側面において、前記垂直信号線と、前記重みづけ加算回路との間には、前記複数の信号の入力の遅延時間を設けるバッファ回路が接続される。これにより、重みづけ加算回路は、バッファ回路によって重みづけ加算回路への信号の入力の際に遅延時間を設けることができ、容量の静電容量の大きさの違いによる電荷の蓄積時間のずれを抑制することができる。
【0018】
また、この第2の側面において、前記重みづけ加算回路は、前記第1の容量及び前記第2の容量がサンプルホールドする際の静電容量の差を調整する、1または複数のダミー容量と、前記読出し配線及び前記ダミー容量を接続し、または切り離す1または複数の第3のスイッチとをさらに含む。これにより、重みづけ加算回路は、サンプルホールドを行う際に、疑似的にすべての容量を一定になるように調整することができ、容量の静電容量大きさの違いによる電荷の蓄積時間のずれを抑制することができる。
【0019】
また、この第2の側面において、前記重みづけ加算回路は、前記第1の容量と、前記第2の容量との静電容量の差に基づいて、1または複数の前記ダミー容量に電荷を蓄える。これにより、重みづけ加算回路は、サンプルホールドを行う際に、疑似的にすべての容量を一定になるように調整することができ、容量の静電容量大きさの違いによる電荷の蓄積時間のずれを抑制することができる。
【0020】
本開示の第3の側面の固体撮像装置は、複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す垂直信号線と、前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、正の値の重みづけ加算を行う第1の重みづけ加算回路と、前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、負の値の重みづけ加算を行う第2の重みづけ加算回路と、前記第1の重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号及び前記第2の重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを含む。これにより、重みづけ加算回路は、正の値の重みづけ加算に加えて、負の値の重みづけ加算を実施することができる。
【0021】
また、この第3の側面において、前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである。これにより、重みづけ加算回路は、画素アレイ部だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行うことができる。
【0022】
また、この第3の側面において、前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、正の値の重みづけ加算及び負の値の重みづけ加算を行う。これにより、重みづけ加算回路は、正の値の重みづけ加算に加えて、負の値の重みづけ加算を実施することができる。
【0023】
また、この第3の側面において、前記セルアレイに含まれる複数のセルは、前記複数の信号を前記第1の重みづけ加算回路に切り替えて入力する第1の選択トランジスタと、前記複数の信号を前記第2の重みづけ加算回路に切り替えて入力する第2の選択トランジスタとを含む。これにより、セルは、これらのトランジスタを切り替えることにより、第1の重みづけ加算回路または第2の重みづけ加算回路に信号を入力することができる。これにより、重みづけ加算回路は、正の値の重みづけ加算に加えて、負の値の重みづけ加算を実施することができる。また、重みづけ加算回路は、第1の選択トランジスタ及び第2の選択トランジスタの開閉に基づいて、第1の重みづけ加算回路が正の値の信号を入力すると同時に、第2の重みづけ加算回路は、負の値の信号を入力することができる。
【0024】
また、この第2の側面において、前記重みづけ加算回路は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む。これにより、重みづけ加算回路は、別途、容量を付加することなく、逐次比較型AD変換器の機能を実現することができる。
【0025】
また、この第2の側面において、前記AD変換部は、前記重みづけ加算回路が前記第4のスイッチの切り替えに基づいて生成したDAC信号と、前記重みづけ加算された信号との逐次比較を実施する。これにより、重みづけ加算回路は、別途、容量を付加することなく、逐次比較型AD変換器の機能を実現することができる。
【0026】
また、この第3の側面において、前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む。これにより、重みづけ加算回路は、別途、容量を付加することなく、逐次比較型AD変換器の機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態における固体撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における画素アレイ部に配列される画素の回路構成例を示す図である。
【
図3】第1実施形態における重みづけ加算回路の回路構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態における重みづけ加算回路のタイミングチャートの例である。
【
図5】第1実施形態における重みづけ加算回路等のタイミングチャートの別の例である。
【
図6】第1実施形態における画素の変形例を示す図である。
【
図7】第1実施形態における画素アレイの変形例である。
【
図8】第2実施形態における重みづけ加算回路の回路図である。
【
図9】第3実施形態における重みづけ加算回路の回路図である。
【
図10】第3実施形態における重みづけ加算回路のタイミングチャートである。
【
図11】第4実施形態における重みづけ加算回路等の回路図である。
【
図12】第4実施形態における重みづけ加算回路等のタイミングチャートである。
【
図13】第5実施形態における重みづけ加算回路等の回路図である。
【
図14】第6実施形態における重みづけ加算回路等の回路図である。
【
図15】第6実施形態における重みづけ加算回路等の変形例の回路図である。
【
図16】車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における固体撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
図1の固体撮像装置10は、画素が行列状に複数配列された画素アレイ部20と、その周辺の周辺回路部とを有して構成される。周辺回路部には、垂直駆動部12、AD変換部13、水平駆動部14、制御部15、信号処理回路16、データ記憶部17、及び、入出力部18等が含まれる。
【0031】
画素アレイ部20内に2次元配置されている各画素は、光電変換部としてのフォトダイオード及び複数の画素トランジスタ等によって構成される。複数の画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタ、リセットトランジスタ等のMOSトランジスタである。画素アレイ部20の各画素には、例えば、Red、GreenまたはBlueのカラーフィルタがベイヤ配列で配置されており、各画素は、Red、GreenまたはBlueのいずれかの画素信号(以下、単に信号とも呼ぶ)を出力する。
【0032】
垂直駆動部12は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動配線(不図示)を介して画素アレイ部20の各画素に駆動パルスを供給することにより、行単位で画素を駆動する。すなわち、垂直駆動部12は、画素アレイ部20の各画素を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素のフォトダイオードにおいて入射光量に応じて生成された信号電荷に基づく画素信号を、列単位に共通に設けられた垂直信号線を通して重みづけ加算回路19に供給する。
【0033】
重みづけ加算回路19は、例えば、垂直信号線を共有する画素ごとに設置される。垂直信号線は、画素アレイ部20の各画素から、所定の重みづけ加算単位分の複数の画素信号を読み出し、順次、重みづけ加算回路19に供給する。重みづけ加算回路19は、垂直信号線から入力を受け付けた信号に対して重みづけ加算を行う。この重みづけ加算単位は、垂直信号線を共有する画素の中から選択される。重みづけ加算回路19の詳細は後述する。
【0034】
AD変換部(ADC)13は、重みづけ加算回路19から出力された信号に対して、画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)処理や、AD変換を行う。
【0035】
水平駆動部14は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、AD変換部13に保持されている所定の一行の各画素のAD変換後の(デジタルの)画素信号を信号処理回路16に順次出力させる。
【0036】
制御部15は、外部から入力されるクロック信号と、動作モード等を指令するデータを受け取り、固体撮像装置10全体の動作を制御する。例えば、制御部15は、入力されたクロック信号に基づいて、垂直同期信号や水平同期信号等を生成し、垂直駆動部12、AD変換部13、及び、水平駆動部14等に供給する。
【0037】
信号処理回路16は、AD変換部13から供給される画素信号に対して、黒レベル調整処理、列ばらつき補正処理、デモザイク処理等の各種のデジタル信号処理を必要に応じて実行し、入出力部18に供給する。信号処理回路16は、動作モードによっては、画素信号のバッファリングだけを行って出力する場合もある。データ記憶部17は、信号処理回路16が行う信号処理に必要となるパラメータ等のデータを記憶する。また、データ記憶部17は、例えば、デモザイク処理等の処理において画像信号を記憶するためのフレームメモリも備える。信号処理回路16は、入出力部18を介して外部の画像処理装置から入力されたパラメータ等をデータ記憶部17に記憶させたり、外部の画像処理装置からの指示に基づいて、信号処理を適宜選択し、実行することができる。
【0038】
入出力部18は、信号処理回路16から順次入力される画像信号を、外部の画像処理装置、例えば、後段のISP(Image Signal Processor)等に出力する。また、入出力部18は、外部の画像処理装置から入力される信号やパラメータを、信号処理回路16や制御部15へ供給する。
【0039】
固体撮像装置10は、以上のように構成されており、例えば、CDS処理とAD変換処理を画素列ごとに行うカラムAD方式と呼ばれるCMOSイメージセンサである。
【0040】
図2は、第1実施形態における画素アレイ部に配列される画素の回路構成例を示す図である。
【0041】
図2の画素100は、フォトダイオードPD、転送トランジスタTRG、フローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び、選択トランジスタSELを備える。
【0042】
フォトダイオードPDは、入射されてきた光を受光して光電変換し、得られた電荷を蓄積する。また、フォトダイオードPDに蓄積された電荷は、転送トランジスタTRGのゲートに供給される駆動信号がHiとなって転送トランジスタTRGがオンされると、転送トランジスタTRを介してフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0043】
フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTRから転送された電荷を一時的に保持する。また、フローティングディフュージョンFDには、増幅トランジスタAMP及び選択トランジスタSELを介して垂直信号線VSLが接続されている。垂直信号線VSLは、同じ列の重みづけ加算回路19に接続されている。
【0044】
リセットトランジスタRSTは、リセット信号によりオンされたとき、フローティングディフュージョンFDに保持されている電荷が定電圧源VDDに排出されることで、フローティングディフュージョンFDの電位をリセットする。
【0045】
増幅トランジスタAMPは、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた画素信号を出力する。すなわち、増幅トランジスタAMPは、定電流源としての負荷MOS(不図示)とソースフォロワ回路を構成し、フローティングディフュージョンFDに保持されている電荷に応じたレベルを示す画素信号が、増幅トランジスタAMPから選択トランジスタSELを介して重みづけ加算回路19に出力される。
【0046】
選択トランジスタSELは、選択信により画素100が選択されたときオンされ、画素100の画素信号を、垂直信号線VSLを介して重みづけ加算回路19に出力する。
【0047】
なお、
図2の画素回路は、ローリングシャッタ方式の画素回路であるが、転送トランジスタTRGとフローティングディフュージョンFDとの間に、転送トランジスタTRGで転送された電荷を蓄える電荷保持部(メモリ部)と、その電荷保持部の電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する転送トランジスタをさらに設け、グローバルシャッタ方式の駆動を可能としてもよい。
【0048】
図3は、第1実施形態における重みづけ加算回路の回路構成例を示す図である。
【0049】
図3の重みづけ加算回路19は、読出し配線130、第1のスイッチ131、複数の容量132、複数の第2のスイッチ133を備える。また、重みづけ加算回路19は、読出し配線130を介して、入力側は垂直信号線VSLを介して複数の画素100と接続され、出力側はAD変換部13に接続される。つまり、重みづけ加算回路19は、垂直信号線VSLを介して、複数の画素100から、順次信号の入力を受け付け、重みづけ加算を行った後、AD変換器にこれらの信号を入力する。
【0050】
図3では、複数の容量132は、それぞれ異なる静電容量を有している。重みづけ加算回路19は、このように、容量132について、互いに静電容量の異なる第1の容量及び第2の容量を有していてもよい。重みづけ加算回路19は、この静電容量の大きさによって、入力された信号の重みづけを変更することができる。
図3の例では、重みづけ加算回路19は、4つの容量132及び4つの第2のスイッチ133を備えており、それぞれの容量132の静電容量の大きさをC3、C2、C1及びC0(C3>C2>C1>C0)としている。また、重みづけ加算回路19は、同一の垂直信号線VSLに接続される画素100について、容量132の数の単位で重みづけ加算を行う。例えば、同一の垂直信号線VSLに12個の画素100が接続されており、重みづけ加算回路19が4つの容量132を備えている場合、これら12個の画素100は、3回に分けて重みづけ加算される。
【0051】
第1のスイッチ131は、垂直信号線VSL及び読出し配線130を接続し、または切り離す。また、第1のスイッチ131がオン状態の時、垂直信号線VSLと、読出し配線130とを接続し、画素100から出力された信号の入力を受け付ける。
【0052】
第2のスイッチ133は、読出し配線130及び容量132を接続し、または切り離す。重みづけ加算回路19が入力を受け付けた信号は、各第2のスイッチ133をオン状態となった際に、読出し配線130と、対応する容量132とを接続し、容量132に電荷を蓄える。このように、重みづけ加算回路19が、垂直信号線VSLから信号の入力を受け付け、対応する容量132で信号電荷を蓄えることをサンプルホールドと呼ぶ。重みづけ加算回路19は、各信号について、容量132の静電容量の大きさに基づいて重みづけを行うことができる。
【0053】
重みづけ加算回路19は、各容量132でサンプルホールドが完了した後、各第2のスイッチ133をオン状態として、読出し配線130でサンプルホールドされた全ての信号の加算を行う。このように、サンプルホールドされた全ての信号について、加算することを重みづけ加算と呼ぶ。
【0054】
重みづけ加算が行われた重みづけ加算信号は、AD変換部13に出力される。AD変換部13は、重みづけ加算信号の入力を受け付け、AD変換処理を行う。また、AD変換部13は、CDS処理を行った後、重みづけ加算信号のAD変換処理を行ってもよい。
【0055】
図4は、第1実施形態における重みづけ加算回路のタイミングチャートの例である。
【0056】
図4では、重みづけ加算回路19は、4つの画素から順次、信号の入力を受け付け、重みづけ加算を行う例を示している。
【0057】
図4のタイミングチャートは、画素アレイ部20から垂直信号線VSLを介して読み出された複数の信号(信号電圧V0~V3)について、静電容量の大きさをC0、C1、C2及びC3(C0<C1<C2<C3)とする各容量132で、順次サンプルホールドする例を示している。また、
図4のタイミングチャートは、各容量132がサンプルホールドした後、読出し配線130で重みづけ加算を行う例を示している。
【0058】
この例では、静電容量の大きさをC0、C1、C2及びC3とする容量132に接続される各第2のスイッチ133について、それぞれSW0、SW1、SW2及びSW3と表す。
【0059】
本実施形態における重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133について、SW0~SW3の順番でオンとし、サンプルホールドする例を示しているが、例えば、第2のスイッチ133は、SW3~SW0の順番でオンとしてもよく、また他の順番でオンとしてもよい。また、説明のため、
図4のタイミングチャートでは第1のスイッチ131をSHと表記する。また、読出し配線130をPNと表記する。
【0060】
まず、重みづけ加算回路19は、第1のスイッチ131をオンとし、垂直信号線VSLと、読出し配線130とを接続し、画素アレイ部20から信号の入力を受け付ける。この時、SHの電圧はHiとなり、重みづけ加算の開始まで電圧状態が保たれる。
【0061】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW0をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C0とを接続する。C0は、信号電圧V0の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時SW0の電圧状態はHiとなり、C0に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、C0に蓄えられる電荷Q0は、式(1)として表される。
Q0=V0×C0 (1)
【0062】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW1をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C1とを接続する。C1は、信号電圧V1の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時SW1の電圧状態はHiとなり、C1に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、C1に蓄えられる電荷Q1は、式(2)として表される。
Q1=V1×C1 (2)
【0063】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW2をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C2とを接続する。C2は、信号電圧V2の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時SW2の電圧状態はHiとなり、C2に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、C2に蓄えられる電荷Q2は、式(3)として表される。
Q2=V2×C2 (3)
【0064】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW3をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C3とを接続する。C3は、信号電圧V3の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時SW3の電圧状態はHiとなり、C3に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、C3に蓄えられる電荷Q3は、式(4)として表される。
Q3=V3×C3 (4)
【0065】
各容量132でサンプルホールドが完了した後、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133をすべてオンとし、読出し配線130で加算を行う。この時の読出し配線130の信号電圧Vは、式(5)として表される。
V=(Q0+Q1+Q2+Q3)/(C0+C1+C2+C3) (5)
【0066】
上述のように、重みづけ加算された信号は、AD変換部13に入力される。また、C3~C0の容量比率を2のべき乗とし、各信号を加算することで、ビットシリアル演算を行うことができる。このように、容量132の値は、フレキシブルに設計することができる。
【0067】
この例では、重みづけ加算回路19は、SW0、SW1、SW2及びSW3の順番でオンとする例を説明したが、この順番は限定されず、任意の順番でオンとしてもよい。
【0068】
図5は、第1実施形態における重みづけ加算回路等のタイミングチャートの別の例である。
【0069】
図5の回路は、
図4の例と同様に、4つの画素100から順次信号の入力を受け付けてサンプルホールドし、重みづけ加算を行う例を示している。また、
図5の回路は、垂直信号線VSLには、ダイナミックソースフォロワ用の電圧源140及びソースフォロワ用の電流源141が接続される。電圧源140の電源電圧値は、0Vを含む任意の電圧値でよい。また、
図5の回路は、垂直信号線VSLには、電圧源140及び電流源141のうち、いずれか一方のみが接続されていてもよい。
【0070】
また、この例では、AD変換部13は、重みづけ加算にあたり、CDS動作を行う例を示している。CDS動作は、画素100から2回にわたって信号を読み出し、それらの差分を求める。このCDS動作においては、フローティングディフュージョンFDを初期化した際の信号がP相レベルとして読み出され、フォトダイオードPDからフローティングディフュージョンFDへ電荷を転送した際の信号がD相レベルとして読み出される。これらのP相レベル及びD相レベルの差分を求めることにより、固定パターンノイズが除去される。
【0071】
図5のタイミングチャートを用いて具体的すると、まず、P相レベルの読出しとして、リセットトランジスタRST0によって、フローティングディフュージョンFDを初期化し、選択トランジスタSEL0をオンとして、リセットレベル信号を重みづけ加算回路19に送信する。重みづけ加算回路19では、対応する容量であるC0でリセットレベル信号をサンプルホールドする。重みづけ加算回路19は、この動作をC0~C3まで繰り返したのち、重みづけを行った後、読出し配線130で加算を行う。また、加算された信号は、リセット信号としてAD変換部13に入力され、AD変換が行われる。
【0072】
次に、D相レベルの読出しとして、転送トランジスタTRG3をオンとして、さらに、選択トランジスタSELをオンとすることで、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を重みづけ加算回路19に送信する。重みづけ加算回路19は、対応する容量であるC0でサンプルホールドする。重みづけ加算回路19は、この動作をC0~C3まで繰り返して信号をサンプルホールドが完了した後、読出し配線130で重みづけ加算する。また、重みづけ加算された信号は、データ信号としてAD変換部13に入力され、AD変換が行われる。
【0073】
AD変換部13は、データ信号と、リセット信号との差分を求めることで、固定パターンのノイズを除去する。
【0074】
図6は、第1実施形態における画素の変形例を示す図である。
【0075】
図6Aは、フォトダイオードPD、第1の転送トランジスタTRG’、第2の転送トランジスタTRG’’及びメモリMEMを含む構成を1つの単位とした、いわゆる画素共有の回路構成の例を示している。
図6Aは、これら2つの単位がフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタRST及び増幅トランジスタAMPを共有する。
【0076】
フォトダイオードPD側に接続される第1の転送トランジスタTRG’は、フォトダイオードPDに蓄えられた電荷をメモリMEMに転送する。また、フローティングディフュージョンFD側に接続される第2の転送トランジスタTRG’’は、メモリMEMに蓄えられた電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0077】
図6Aの回路構成は、
図2の画素100と比較して、フローティングディフュージョンFDに電荷を転送する第2の転送トランジスタTRG’’に加え、メモリMEM及びメモリMEMに電荷を転送する第1の転送トランジスタTRG’を含んでいる点が異なっている。また、
図6Aの回路構成は、フォトダイオードPD等を2つ含む点が異なっている。
【0078】
この回路構成において、フォトダイオードPD、第1の転送トランジスタTRG’、第2の転送トランジスタTRG’’及びメモリMEMが共有するフローティングディフュージョンFD等の回路の共有数は、2つに限定されない。任意の数のフォトダイオードPD等がフローティングディフュージョンFD等の回路を共有することができる。
【0079】
図6Bは、有機光電変換膜あるいは無機光電変換膜(以下、単に光電変換膜42と称する)、透明電極43、下部電極44及び転送トランジスタTRGを含む構成を1つの単位とする画素共有の回路構成の例を示している。
図6Bは、これら3つの単位がフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタRST及び増幅トランジスタAMPを共有する。なお、
図5Bの回路構成において、VCは、透明電極43に接続する電源電圧であり、VRは、リセットトランジスタトランジスタRSTに接続される電源電圧である。
【0080】
図6Bの回路構成は、
図2の画素100と比較して、
図2のフォトダイオードPDが、光電変換膜42、透明電極43及び下部電極44を含む3つ構成に変わった点と、選択トランジスタSELが除かれた点が異なっている。
【0081】
この回路構成において、光電変換膜42、透明電極43及び下部電極44が共有するフローティングディフュージョンFD等の回路の共有数は、3つに限定されない。任意の数の光電変換膜42等がフローティングディフュージョンFD等の回路を共有することができる。
【0082】
上述の例に限定されず、画素100はフォトダイオードPD、または光電変換膜42を含むその他の構成をであってもよい。また、画素100は、フォトダイオードPD、または光電変換膜42で生成される電荷を一時的に蓄えるメモリMEMを含んでいてもよい。
【0083】
図7は、第1実施形態における画素アレイの変形例である。
【0084】
図7は、6つのトランジスタM1~M6を含む、SRAM(Static Random Access Memory)構造を有するコンピューティングインメモリ(Computation in memory:CiM)の例を示している。SRAM構造は、例えば、信号を保持する2つのトランジスタにより構成され、それぞれ交差接続される2組のインバータと、それぞれのインバータに読出し及び書き込みを行う2つのトランジスタとを備える。
図7の例では、SRAM構造は、トランジスタM1及びトランジスタM3により構成されるインバータと、トランジスタM2及びトランジスタM4により構成されるインバータとを備え、またそれぞれのインバータは交差接続される。また、それぞれのインバータには、書き込み及び読出しを行うトランジスタM5と、トランジスタM6とが接続される。また、この例では、コンピューティングインメモリは、トランジスタM2のソース及びトランジスタM4のドレインにトランジスタM7が接続されている。また、この例では、コンピューティングインメモリは、トランジスタM1のソース及びトランジスタM3のドレインにトランジスタM8が接続されている。
【0085】
例えば、ディープニューラルネットワークにおいて、信号の積和演算を行うにあたり、上述したような信号を保持する機構として、メモリが用いられることがある。また、メモリは、トランジスタやキャパシタといった信号を保持するための素子により構成される。重みづけ回路19の入力側には、
図7で例示したSRAM構造の他、抵抗変化型メモリとも呼ばれるReRAM(Resistive Random Access Memory)、強誘電体メモリとも呼ばれるFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)または磁気抵抗メモリとも呼ばれるMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等のメモリのアレイ構造を含む回路が接続されていてもよい。メモリがアレイ状に配置された構造のことをメモリアレイと呼ぶ。このメモリアレイは、2次元構造ではなく、1次元構造であってもよい。また、重みづけ加算回路19の入力側には、容量ラダー回路が接続されていてもよい。
【0086】
上述したフォトダイオードPDを含む画素100やメモリアレイに含まれるメモリといった信号を保持する機構のことをセルと呼ぶ。上述した画素アレイ部20やメモリアレイといったセルのアレイ構造のことをセルアレイと呼ぶ。
【0087】
また、セルアレイ及び重みづけ加算回路19は、異なる基板に実装されてもよい。例えば、セルアレイは、第1の基板に実装され、重みづけ加算回路19及びAD変換部13は第2の基板に実装されてもよい。さらにこれらの構成に加えて、第3基板にDRAMが実装されてもよい。これらの基板は、例えば、TSV、Cu-Cu接続またはマイクロバンプによって接続される。
【0088】
本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、読出し配線130を各容量132で共有することにより、配線数の増加を抑制することができる。重みづけ加算回路19は、加算する信号の数が増加しても、順次信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を実施するため、重みづけ加算数と配線数とのトレードオフとを解消することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、セルアレイからの信号を共通の垂直信号線VSLを介して、信号を入力する。本実施形態では、垂直信号線VSLの数と、重みづけ加算回路19の数の比は1対1となる。これにより、回路垂直信号線VSLの数を減らすことができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、AD変換部13は、重みづけ加算回路19から、リセット信号と、データ信号とを分けて入力を受け付けることにより、重みづけ加算とともに、CDS動作も実現することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、画素アレイ部20だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行うことができる。これにより、重みづけ加算回路19は、画素100以外の信号を保持する機構において重みづけ加算を実現することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、入力側に画素共有の回路構成を有するセルアレイを接続することにより、セルアレイ内での重みづけに加えて、重みづけ加算回路19でさらに、重みづけを実現することができる。これにより、セルアレイ内での重みづけが十分でない場合に、重みづけ加算回路19で重みづけを補うことができる。
(第2実施形態)
【0093】
図8は、第2実施形態における重みづけ加算回路の回路図である。
【0094】
重みづけ加算回路19において、サンプルホールドするための容量132の静電容量の大きさがそれぞれ異なる場合、容量132に電荷の蓄積が完了するまでの時間が変わってしまう場合がある。例えば、静電両々が小さい容量132の場合、電荷の蓄積が完了するまでの時間は短く、静電容量が大きい容量132の場合、電荷の蓄積が完了するまでの時間は長い。本実施形態では、電荷の蓄積が完了するまでの時間のことをセトリング時間とも呼ぶ。特に、本実施形態で用いられるチャージシェアに加え、その他の容量負荷読み出し(ダイナミックソースフォロワ、電流加算等)の場合、容量値の変動は抑える方がより好ましい。
【0095】
本実施形態における重みづけ加算回路19は、垂直信号線VSLと、重みづけ加算回路19の間にバッファ回路142を備え、容量132の大きさに応じて、重みづけ加算回路19に入力する信号について、入力の遅延時間を設ける。バッファ回路142は、例えば、ソースフォロワ回路やユニティゲインバッファ回路を用いることが考えられる。
【0096】
例えば、容量132の小さいC0にサンプルホールドする場合、バッファ回路142は、重みづけ加算回路19への信号の入力に遅延時間を設ける。また、容量の大きいC3にサンプルホールドする場合、バッファ回路142は、重みづけ加算回路19への入力に遅延を設けない。
【0097】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、重みづけ加算回路19の入力側には、画素アレイ部20だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイを接続してもよい。
【0098】
本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、バッファ回路142によって重みづけ加算回路19への信号の入力の際に遅延時間を設けることができ、容量132の静電容量の大きさの違いによる電荷の蓄積時間のずれを抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、画素アレイ部20だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行うことができる。これにより、重みづけ加算回路19は、信号を保持する機構からの入力について、容量132の静電容量の大きさの違いによる電荷の蓄積時間のずれを抑制することができる。
【0100】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態における重みづけ加算回路の回路図である。
【0101】
本実施形態における重みづけ加算回路19は、上述した容量132に加え、ダミー容量134及び第3のスイッチ135を備える。第3のスイッチ135は、読出し配線130及びダミー容量134を接続し、または切り離す。
【0102】
重み付け加算回路19は、第1の容量及び第2の容量の静電容量の差に基づいて、ダミー容量134に電荷を蓄える。重みづけ加算回路19は、それぞれ静電容量が異なる容量132にサンプルホールドする際に、入力側から見た静電容量の合計値が一定となるように、ダミー容量134を読出し配線130に接続し、静電容量の差を調整する。例えば、重み付け加算回路19は、静電容量が大きい第1の容量にサンプルホールドする際は、ダミー容量132に電荷を蓄えないが、静電容量が小さい第2の容量にサンプルホールドする際には、ダミー容量134にも電荷を蓄積する。また、ダミー容量134に蓄えられた電荷は、加算は行わずリセットされる。
【0103】
図9の例では、重みづけ加算回路19は、4つの容量132に加え、3つのダミー容量134を備える。また、それぞれのダミー容量134は、第3のスイッチ135を介して読出し配線130と接続されている。また、4つの容量132について、静電容量をそれぞれ入力側からC3、C2、C1及びC0とする。また3つのダミー容量134について、静電容量をそれぞれ入力側からからDC2、DC1及びDC0とする。
【0104】
また、各容量132及びダミー容量134には、式(6)が成り立つものとして説明する。
C3=C2+DC1+DC0
=C1+DC2+DC0
=C0+DC2+DC1 (7)
【0105】
式(7)は一例であり、容量132と併せて接続するダミー容量134の容量の値及び数は、C3~C0の容量の値に依存する。この組み合わせは設計パラメータとなる。また、重みづけ加算回路19において、容量132の数と、ダミー容量134の数とは必ず一致する必要はなく、各ダミー容量134の容量の値は同じ値としてもよく、異なる値としてもよい。
【0106】
ダミー容量134は、常にフローティングとなる場合もあるため、例えば、第3のスイッチ135と、ダミー容量134との間にGNDあるいはVDD等、所定の電圧に固定するためのSWを設けてもよい。以下では、説明の単純化のため、これらの構成はないものとして説明する。
【0107】
図10は、第3実施形態における重みづけ加算回路のタイミングチャートである。
【0108】
図10のタイミングチャートは、画素アレイ部20から垂直信号線VSLを介して読み出された複数の信号(信号電圧V0~V3)について、静電容量の大きさをC0、C1、C2及びC3(C0<C1<C2<C3)とする各容量132でサンプルホールドする例を示している。また、
図10のタイミングチャートは、各容量132がサンプルホールドした後、読出し配線130で重みづけ加算を行う例を示している。
【0109】
また、
図10のタイミングチャートでは、重みづけ加算回路19は、容量132にサンプルホールドする際に、各容量132が同一となるように、第3のスイッチ135を開閉し、静電容量の大きさをDC0、DC1及びDC2(DC0<DC1<DC2)とする各ダミー容量134にも電荷を蓄積する。
【0110】
この例では、静電容量の大きさをC0、C1、C2及びC3とする各容量132に接続される各第2のスイッチ133について、それぞれSW0、SW1、SW2及びSW3と表す。また、静電容量の大きさをDC0、DC1及びDC2とする各ダミー容量134に接続される各第3のスイッチ135をそれぞれ、DSW0、DSW1及びDSW2と表す。各容量132及び各ダミー容量134における容量の関係式は、式(7)として表す。
【0111】
本実施形態における重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133について、SW0~SW3の順番でオンとし、サンプルホールドする例を示しているが、例えば、第2のスイッチ133は、SW3~SW0の順番でオンとしてもよく、また他の順番でオンとしてもよい。
【0112】
まず、重みづけ加算回路19は、第1のスイッチ131をオンとし、垂直信号線VSLと、読出し配線130とを接続し、画素アレイ部20から信号の入力を受け付ける。この時、SHの電圧はHiとなり、重みづけ加算が完了するまで電圧状態が保たれる。
【0113】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW0をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C0とを接続する。C0は、信号電圧V0の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時、SW0の電圧状態はHiとなり、C0に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、重みづけ加算回路19は、第3のスイッチ135のうち、DSW1及びDSW2をオンとし、読出し配線130と、ダミー容量134のうち、DC1及びDC2を接続する。また、C0に蓄えられる電荷Q0は、式(1)として表される。
【0114】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW1をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C1とを接続する。C1は、信号電圧V1の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時SW1の電圧状態はHiとなり、C1に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、重みづけ加算回路19は、第3のスイッチ135のうち、DSW0及びDSW2をオンとし、読出し配線130と、ダミー容量134のうち、DC0及びDC2を接続する。また、C1に蓄えられる電荷Q1は、式(2)として表される。
【0115】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW2をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C2とを接続する。C2は、信号電圧V2の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時SW2の電圧状態はHiとなり、C2に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、重みづけ加算回路19は、第3のスイッチ135のうち、DSW0及びDSW1をオンとし、読出し配線130と、ダミー容量134のうち、DC0及びDC1を接続する。また、C2に蓄えられる電荷Q2は、式(3)として表される。
【0116】
次に、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133のうち、SW3をオンとし、読出し配線130と、容量132のうち、C3とを接続する。C3は、信号電圧V3の信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。この時SW3の電圧状態はHiとなり、C3に電荷が蓄えられるまで電圧状態が保たれる。また、C3に蓄えられる電荷Q3は、式(4)として表される。なお、C3に電荷を蓄える際の読出し配線130の電圧はV3となる。
【0117】
各容量132でサンプルホールドが完了した後、重みづけ加算回路19は、第2のスイッチ133をすべてオンとし、読出し配線130で加算を行う。この時の読出し配線130の信号電圧Vは、式(5)として表される。なお、ダミー容量134に蓄えられた電荷は、AD変換されずに、リセットされる。
【0118】
上述のように、重みづけ加算された信号は、AD変換部13に入力される。また、C3~C0の容量比率を2のべき乗とし、各信号を加算することで、ビットシリアル演算を行うことができる。
【0119】
この例では、重みづけ加算回路19は、SW0、SW1、SW2及びSW3の順番でオンとする例を説明したが、この順番は限定されず、任意の順番でオンとしてもよい。
【0120】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、重みづけ加算回路19の入力側には、画素アレイ部20だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイを接続してもよい。
【0121】
本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、容量132に加え、ダミー容量134を備える。また、重みづけ加算回路19は、各容量132にサンプルホールドする際に、第3のスイッチ135をオンとして、ダミー容量134にも併せて電荷を蓄える。これにより、重みづけ加算回路19は、サンプルホールドを行う際に、疑似的にすべての容量132を一定になるように調整することができ、容量132の静電容量の大きさの違いによる電荷の蓄積時間のずれを抑制することができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、画素アレイ部20だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行うことができる。これにより、重みづけ加算回路19は、信号を保持する機構からの入力について、容量132の大きさの違いによる電荷の蓄積時間のずれを抑制することができる。
【0123】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態における重みづけ加算回路等の回路図である。
【0124】
第1~3実施形態では、重みづけ加算回路19が正の値の重みづけ加算を行う例について説明した。例えば、畳み込み演算を実施する場合、重みづけ加算回路19は、負の値の重みづけ加算を実施する場合がある。
【0125】
本実施形態では、重みづけ加算回路19は、正の値の重みづけ加算を実施する第1の重みづけ加算回路19’と、負の値の重みづけ加算を実施する第2の重みづけ加算回路19’’とを含む。この構成では、第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’は、各々の第1のスイッチ131を切り替えることで、垂直信号線VSLから信号を入力し、正の値及び負の値について重みづけ加算を行う。この例では、第1の重みづけ加算回路19’の第1のスイッチ131をSHと表し、第2の重みづけ加算回路19’’の第1のスイッチ131をnSHと表す。これらの重みづけ加算回路19’及び19’’の構成は、
図3と同様である。
【0126】
つまり、SHをオンとして、nSHをオフとすることで、第1の重みづけ加算回路19’は、正の値の重みづけ加算を実施することができ、また、SHをオフとして、nSHをオンとすることで、第2の重みづけ加算回路19’’は、負の値の重みづけ加算を実施することができる。
【0127】
重みづけ加算回路19は、正の値の重みづけ加算結果及び負の値の重みづけ加算結果を、それぞれAD変換部13に個別に入力し、AD変換した後に、引き算回路(不図示)等でこれらの値の差分をとることで正の値及び負の値の演算を実行してもよい。また、重みづけ加算回路19が、引き算回路等によって、第1の重みづけ加算回路19’と、第2の重みづけ加算回路19’’との差分をとった後に、AD変換部13は、差分信号をAD変換してもよい。
【0128】
また、重みづけ加算回路19は、サンプルホールドしない回路については、重みづけ加算の前に、初期電圧にリセットしてもよい。また、重みづけ加算回路19は、重みづけ加算の際に、すべての容量132に係る第2のスイッチ133をオンとしてもよく、また、サンプルホールドを実行した容量132に係る第2のスイッチ133のみをオンとしてもよい。第2のスイッチ133のオン状態とオフ状態によって、重みづけの係数が変化するだけであるため、第2のスイッチ133の開閉状態は、任意の設計としてもよい。
【0129】
図12は、第4実施形態における重みづけ加算回路等のタイミングチャートである。
【0130】
図12の回路は、4つの画素100から順次信号の入力を受け付けてサンプルホールド、重みづけ加算を行う例を示している。また、この例では、4つの画素100のうち、2つの画素100は、正の値の重みづけ加算を実施するために、第1の重みづけ加算回路19’に信号を入力する。また、残りの2つの画素100は、負の値の重みづけ加算を実施するために、第2の重みづけ加算回路19’’に信号を入力する。
【0131】
図5と同様にこの例では、AD変換部13は、重みづけ加算を行う前にCDS動作を行う例を示している。また、この例では、C2、C3、nC0及びnC1にはサンプルホールドを行わない例を示している。
【0132】
図12のタイミングチャートを用いて具体的すると、画素100は、まず、P相レベルの読出しとして、リセットトランジスタRST0によって、フローティングディフュージョンFDを初期化し、選択トランジスタSEL0をオンとして、リセットレベル信号を重みづけ加算回路19に送信する。重みづけ加算回路19は、対応する容量132であるC0でリセットレベル信号をサンプルホールドする。重みづけ加算回路19は、この動作をC0、C1、nC2及びnC3で繰り返したのち、重みづけを行った後、読出し配線130で加算を行う。また、加算された信号は、リセット信号としてAD変換部13に入力され、AD変換が行われる。
【0133】
次に、画素100は、D相レベルの読出しとして、転送トランジスタTRG3をオンとして、さらに、選択トランジスタSELをオンとすることで、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を重みづけ加算回路19に送信する。重みづけ加算回路19は、対応する容量132であるC0でサンプルホールドする。重みづけ加算回路19は、この動作をC0、C1、nC2及びnC3で繰り返して信号をサンプルホールドした後、読出し配線130で重みづけ加算する。この例では、C0及びC1については、正の加算が行われ、また、nC2及びnC3については、負の加算が行われる。正の値の重みづけ加算結果及び負の値の重みづけ加算結果は、データ信号としてAD変換部13に入力され、AD変換される。この例では、AD変換された後に、引き算回路でこれらの値の差分をとることで正の値の演算及び負の値の演算を実施する。また、引き算回路では、このデータ信号の差分信号と、リセット信号との差分を求めることで、固定パターンのノイズが除去される。
【0134】
本実施形態では、重みづけ加算回路19は、画素アレイ部20だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行ってもよい。
【0135】
本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、第1の重みづけ加算回路19’に加えて、第2の重みづけ加算回路19’’を含む。これにより、重みづけ加算回路19は、正の値の重みづけ加算に加えて、負の値の重みづけ加算を実施することができる。
【0136】
また、本実施形態によれば、AD変換部13は、第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’から、リセット信号と、データ信号とを分けて入力を受け付けることにより、重みづけ加算とともに、CDS動作も実現することができる。
【0137】
また、本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、画素アレイ部20だけでなく、メモリアレイ等のセルアレイに接続して重みづけ加算を行うことができる。これにより、画素100だけでなく、信号を保持する機構における重みづけ加算を実現することができる。
【0138】
また、本実施形態によれば、第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’は、セルアレイからの信号を共通の垂直信号線VSLを介して、信号を入力する。本実施形態では、垂直信号線VSLの数と、重みづけ加算回路19の数の比は1対2となる。これにより、回路垂直信号線VSLの数を減らすことができる。
【0139】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態における重みづけ加算回路等の回路図である。
【0140】
本実施形態では、各々の画素100は、第1の垂直信号線VSL’を介して、第1の重みづけ加算回路19’に信号を入力する第1の選択トランジスタSEL’を含む。また、各々の画素100は、第2の垂直信号線nVSLを介して、第2の重みづけ加算回路19’’に信号を入力する第2の選択トランジスタnSELを含む。
【0141】
本実施形態では、説明のため、画素100が、第1の選択トランジスタSEL’と、第2の選択トランジスタnSELを含む例を取り上げる。しかし、この例に限らず、上述したメモリ等のセルが第1の選択トランジスタSEL’と、第2の選択トランジスタnSELを含んでいる構成であればよい。
【0142】
画素100は、正の値の重みづけ加算を実施する場合、第1の選択トランジスタSEL’をオンとし、また、第2の選択トランジスタnSELをオフとして、第1の重みづけ加算回路19’に信号を入力する。また、画素100は、負の値の重みづけ加算を実施する場合、第2の選択トランジスタnSELをオンとし、また、第1の選択トランジスタSEL’をオフとして、第2の重みづけ加算回路19’’に信号を入力する。このように、画素100は、第1の選択トランジスタSEL’及び第2の選択トランジスタnSELを切り替えて、第1の重みづけ加算回路19’または第2の重みづけ加算回路19’’に信号を入力する。
【0143】
第1の重みづけ加算回路19’は、第1の選択トランジスタSEL’がオンである画素100から順次、信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。また、すべての信号についてサンプルホールドが完了後、正の値の重みづけ加算を実施する。
【0144】
第2の重みづけ加算回路19’’は、第2の選択トランジスタnSELがオンである画素100から順次、信号の入力を受け付けてサンプルホールドする。また、すべての信号についてサンプルホールドが完了後、負の値の重みづけ加算を実施する。
【0145】
重みづけ加算回路19は、正の値の重みづけ加算結果及び負の値の重みづけ加算結果を、それぞれAD変換部13に個別に入力し、AD変換した後に、引き算回路(不図示)等でこれらの値の差分をとることで正の値の演算及び負の値の演算を実行してもよい。また、重みづけ加算回路19に引き算回路等を含めて、第1の重みづけ加算回路19’と、第2の重みづけ加算回路19’’との差分をとった後に、AD変換部13は、差分信号をAD変換してもよい。
【0146】
本実施形態によれば、セルは、第1の選択トランジスタSEL’及び第2の選択トランジスタnSELを備える。セルは、これらのトランジスタを切り替えることにより、第1の重みづけ加算回路19’または第2の重みづけ加算回路19’’に信号を入力することができる。これにより、重みづけ加算回路19は、正の値の重みづけ加算に加えて、負の値の重みづけ加算を実施することができる。
【0147】
また、本実施形態における重みづけ加算回路19は、第1の選択トランジスタSEL’及び第2の選択トランジスタnSELの開閉に基づいて、第1の重みづけ加算回路19’が正の値の信号を入力すると同時に、第2の重みづけ加算回路19’’は、負の値の信号を入力することができる。
【0148】
また、本実施形態によれば、第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’は、セルアレイからの信号をそれぞれ、第1の垂直信号線VSL’及び第2の垂直信号線nVSLを介して、信号を入力する。本実施形態では、垂直信号線の数と、重みづけ加算回路19の数の比は1対1となる。これにより、回路垂直信号線VSLの数を減らすことができる。
【0149】
(第6実施形態)
図14は、第6実施形態における重みづけ加算回路等の回路図である。
【0150】
本実施形態における重みづけ加算回路は、各容量132について、読出し配線130側の端子とは逆側の端子に接続され、端子電圧を複数の値に切り替え可能とする第4のスイッチ136を含む。
【0151】
図14Aは、各容量132について、第4のスイッチ136が、読出し配線130とは逆側の端子電圧を2つの値に設定可能な構成を示している。例えば、2つの値は、GNDあるいはVDDといった値に設定することが考えらる。
【0152】
また、
図14Aは、AD変換部13に含まれるコンパレータ33を図示している。コンパレータ33の一方の入力は、データ信号が入力され、もう一方の入力は、基準電圧Refが入力される。
【0153】
図14Bは、第4のスイッチ136が、各容量132について、読出し配線130とは逆側の端子電圧を3つの値に設定可能な構成を示している。この例では、3つの値をRef1、Ref2及びRef3として表している。
【0154】
重みづけ加算回路19は、各容量132で信号をサンプルホールドし、その後重みづけ加算するまでの間、第4のスイッチ136を所定の値に固定する。
図4Aでは、例えば、第4のスイッチ136は、GND電圧に電圧値を固定することが考えられる。また、重みづけ加算回路19は、重みづけ加算後、AD変換部13にデータ信号を入力する。また、重みづけ加算回路19は、AD変換の際に、第4のスイッチ136を逐次切り替えてDAC信号を生成し、AD変換部13に入力する。AD変換部13は、データ信号と、DAC信号との逐次比較動作を実施することにより、逐次比較型(SAR(Successive Approximation Register)型とも呼ぶ)ADの変換を実現することができる。
【0155】
図15は、第6実施形態における重みづけ加算回路等の変形例の回路図である。
【0156】
図15に示す重みづけ加算回路19は、正の値の重みづけ加算を実施する第1の重みづけ加算回路19’と、負の値の重みづけ加算を実施する第2の重みづけ加算回路19’’とを含む。また、第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’は、それぞれ各容量132について、読出し配線130とは逆側の端子電圧を複数の値に切り替え可能とする第4のスイッチ136を含む。
図15は、各容量132について、第4のスイッチ136が、読出し配線130とは逆側の端子電圧を2つの値に設定可能な構成を示している
【0157】
本変形例における第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’は、各容量132に信号をサンプルホールドし、その後重みづけ加算するまでの間、第4のスイッチ136を所定の値に固定する。例えば、第4のスイッチ136は、GND電圧に電圧値を固定することが考えられる。また、第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’は、AD変換部13にデータ信号を入力する。また、第1の重みづけ加算回路19’及び第2の重みづけ加算回路19’’は、AD変換にあたり、第4のスイッチ136を逐次切り替えて、AD変換部13にDAC信号を入力する。AD変換部13は、正の値の重みづけ加算結果及び負の値の重みづけ加算結果においても、データ信号と、DAC信号とを逐次比較することにより、逐次比較型ADの変換を実現することができる。
【0158】
本実施形態によれば、重みづけ加算回路19は、各容量132について、読出し配線130とは逆側の端子電圧を複数の値に切り替え可能とする第4のスイッチ136を含む。これにより、重みづけ加算回路19は、別途、容量132を付加することなく、逐次比較型AD変換器の機能を実現することができる。
【0159】
<<車両制御システムの構成例>>
図16は、本技術が適用される移動装置制御システムの一例である車両制御システム11の構成例を示すブロック図である。
【0160】
車両制御システム11は、車両1に設けられ、車両1の走行支援及び自動運転に関わる処理を行う。
【0161】
車両制御システム11は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、DMS(Driver Monitoring System)30、HMI(Human Machine Interface)31、及び、車両制御部32を備える。
【0162】
車両制御ECU21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、ドライバモニタリングシステム(DMS)30、ヒューマンマシーンインタフェース(HMI)31、及び、車両制御部32は、通信ネットワーク41を介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク41は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)といったデジタル双方向通信の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。通信ネットワーク41は、伝送されるデータの種類によって使い分けられてもよい。例えば、車両制御に関するデータに対してCANが適用され、大容量データに対してイーサネットが適用されるようにしてもよい。なお、車両制御システム11の各部は、通信ネットワーク41を介さずに、例えば近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))やBluetooth(登録商標)といった比較的近距離での通信を想定した無線通信を用いて直接的に接続される場合もある。
【0163】
なお、以下、車両制御システム11の各部が、通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、通信ネットワーク41の記載を省略するものとする。例えば、車両制御ECU21と通信部22が通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、単に車両制御ECU21と通信部22とが通信を行うと記載する。
【0164】
車両制御ECU21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)といった各種のプロセッサにより構成される。車両制御ECU21は、車両制御システム11全体又は一部の機能の制御を行う。
【0165】
通信部22は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種のデータの送受信を行う。このとき、通信部22は、複数の通信方式を用いて通信を行うことができる。
【0166】
通信部22が実行可能な車外との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク上に存在するサーバ(以下、外部のサーバと呼ぶ)等と通信を行う。通信部22が通信を行う外部ネットワークは、例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク等である。通信部22が外部ネットワークに対して行う通信方式は、所定以上の通信速度、且つ、所定以上の距離間でデジタル双方向通信が可能な無線通信方式であれば、特に限定されない。
【0167】
また例えば、通信部22は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末と通信を行うことができる。自車の近傍に存在する端末は、例えば、歩行者や自転車等の比較的低速で移動する移動体が装着する端末、店舗等に位置が固定されて設置される端末、又は、MTC(Machine Type Communication)端末である。さらに、通信部22は、V2X通信を行うこともできる。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等の、自車と他との通信をいう。
【0168】
通信部22は、例えば、車両制御システム11の動作を制御するソフトウエアを更新するためのプログラムを外部から受信することができる(Over The Air)。通信部22は、さらに、地図情報、交通情報、車両1の周囲の情報等を外部から受信することができる。また例えば、通信部22は、車両1に関する情報や、車両1の周囲の情報等を外部に送信することができる。通信部22が外部に送信する車両1に関する情報としては、例えば、車両1の状態を示すデータ、認識部73による認識結果等がある。さらに例えば、通信部22は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
【0169】
例えば、通信部22は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標))により送信される電磁波を受信する。
【0170】
通信部22が実行可能な車内との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば無線通信を用いて、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)といった、無線通信により所定以上の通信速度でデジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の機器と無線通信を行うことができる。これに限らず、通信部22は、有線通信を用いて車内の各機器と通信を行うこともできる。例えば、通信部22は、図示しない接続端子に接続されるケーブルを介した有線通信により、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、MHL(Mobile High-definition Link)といった、有線通信により所定以上の通信速度でデジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の各機器と通信を行うことができる。
【0171】
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワーク41に接続されていない機器を指す。車内の機器としては、例えば、運転者等の搭乗者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
【0172】
地図情報蓄積部23は、外部から取得した地図及び車両1で作成した地図の一方又は両方を蓄積する。例えば、地図情報蓄積部23は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
【0173】
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップ等である。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から車両1に提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群データ)により構成される地図である。ベクターマップは、例えば、車線や信号機の位置といった交通情報等をポイントクラウドマップに対応付け、ADAS(Advanced Driver Assistance System)やAD(Autonomous Driving)に適合させた地図である。
【0174】
ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、カメラ51、レーダ52、LiDAR53等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両1で作成され、地図情報蓄積部23に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両1がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図データが外部のサーバ等から取得される。
【0175】
位置情報取得部24は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両1の位置情報を取得する。取得した位置情報は、走行支援・自動運転制御部29に供給される。なお、位置情報取得部24は、GNSS信号を用いた方式に限定されず、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。
【0176】
外部認識センサ25は、車両1の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。外部認識センサ25が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0177】
例えば、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)53、及び、超音波センサ54を備える。これに限らず、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54のうち1種類以上のセンサを備える構成でもよい。カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の数は、現実的に車両1に設置可能な数であれば特に限定されない。また、外部認識センサ25が備えるセンサの種類は、この例に限定されず、外部認識センサ25は、他の種類のセンサを備えてもよい。外部認識センサ25が備える各センサのセンシング領域の例は、後述する。
【0178】
なお、カメラ51の撮影方式は、特に限定されない。例えば、測距が可能な撮影方式であるToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった各種の撮影方式のカメラを、必要に応じてカメラ51に適用することができる。これに限らず、カメラ51は、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。
【0179】
また、例えば、外部認識センサ25は、車両1に対する環境を検出するための環境センサを備えることができる。環境センサは、天候、気象、明るさ等の環境を検出するためのセンサであって、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等の各種センサを含むことができる。
【0180】
さらに、例えば、外部認識センサ25は、車両1の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
【0181】
車内センサ26は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車内センサ26が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0182】
例えば、車内センサ26は、カメラ、レーダ、着座センサ、ステアリングホイールセンサ、マイクロフォン、生体センサのうち1種類以上のセンサを備えることができる。車内センサ26が備えるカメラとしては、例えば、ToFカメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった、測距可能な各種の撮影方式のカメラを用いることができる。これに限らず、車内センサ26が備えるカメラは、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。車内センサ26が備える生体センサは、例えば、シートやステアリングホイール等に設けられ、運転者等の搭乗者の各種の生体情報を検出する。
【0183】
車両センサ27は、車両1の状態を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車両センサ27が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0184】
例えば、車両センサ27は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、それらを統合した慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))を備える。例えば、車両センサ27は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、及び、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサを備える。例えば、車両センサ27は、エンジンやモータの回転数を検出する回転センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、タイヤのスリップ率を検出するスリップ率センサ、及び、車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える。例えば、車両センサ27は、バッテリの残量及び温度を検出するバッテリセンサ、並びに、外部からの衝撃を検出する衝撃センサを備える。
【0185】
記憶部28は、不揮発性の記憶媒体及び揮発性の記憶媒体のうち少なくとも一方を含み、データやプログラムを記憶する。記憶部28は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)として用いられ、記憶媒体としては、HDD(Hard Disc Drive)といった磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイスを適用することができる。記憶部28は、車両制御システム11の各部が用いる各種プログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部28は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両1の情報や車内センサ26によって取得された情報を記憶する。
【0186】
走行支援・自動運転制御部29は、車両1の走行支援及び自動運転の制御を行う。例えば、走行支援・自動運転制御部29は、分析部61、行動計画部62、及び、動作制御部63を備える。
【0187】
分析部61は、車両1及び周囲の状況の分析処理を行う。分析部61は、自己位置推定部71、センサフュージョン部72、及び、認識部73を備える。
【0188】
自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータ、及び、地図情報蓄積部23に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両1の自己位置を推定する。例えば、自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータに基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両1の自己位置を推定する。車両1の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
【0189】
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両1の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、認識部73による車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
【0190】
なお、自己位置推定部71は、位置情報取得部24により取得される位置情報、及び、車両センサ27からのセンサデータに基づいて、車両1の自己位置を推定してもよい。
【0191】
センサフュージョン部72は、複数の異なる種類のセンサデータ(例えば、カメラ51から供給される画像データ、及び、レーダ52から供給されるセンサデータ)を組み合わせて、新たな情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサデータを組合せる方法としては、統合、融合、連合等がある。
【0192】
認識部73は、車両1の外部の状況の検出を行う検出処理、及び、車両1の外部の状況の認識を行う認識処理を実行する。
【0193】
例えば、認識部73は、外部認識センサ25からの情報、自己位置推定部71からの情報、センサフュージョン部72からの情報等に基づいて、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0194】
具体的には、例えば、認識部73は、車両1の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
【0195】
例えば、認識部73は、レーダ52又はLiDAR53等によるセンサデータに基づくポイントクラウドを点群の塊ごとに分類するクラスタリングを行うことにより、車両1の周囲の物体を検出する。これにより、車両1の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
【0196】
例えば、認識部73は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両1の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両1の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
【0197】
例えば、認識部73は、カメラ51から供給される画像データに基づいて、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等を検出又は認識する。また、認識部73は、セマンティックセグメンテーション等の認識処理を行うことにより、車両1の周囲の物体の種類を認識してもよい。
【0198】
例えば、認識部73は、地図情報蓄積部23に蓄積されている地図、自己位置推定部71による自己位置の推定結果、及び、認識部73による車両1の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両1の周囲の交通ルールの認識処理を行うことができる。認識部73は、この処理により、信号機の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等を認識することができる。
【0199】
例えば、認識部73は、車両1の周囲の環境の認識処理を行うことができる。認識部73が認識対象とする周囲の環境としては、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
【0200】
行動計画部62は、車両1の行動計画を作成する。例えば、行動計画部62は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
【0201】
なお、経路計画(Global path planning)とは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理である。この経路計画には、軌道計画と言われ、計画した経路において、車両1の運動特性を考慮して、車両1の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成(Local path planning)を行う処理も含まれる。
【0202】
経路追従とは、経路計画により計画された経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。行動計画部62は、例えば、この経路追従の処理の結果に基づき、車両1の目標速度と目標角速度を計算することができる。
【0203】
動作制御部63は、行動計画部62により作成された行動計画を実現するために、車両1の動作を制御する。
【0204】
例えば、動作制御部63は、後述する車両制御部32に含まれる、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、及び、駆動制御部83を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両1が進行するように、加減速制御及び方向制御を行う。例えば、動作制御部63は、衝突回避又は衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等のADASの機能実現を目的とした協調制御を行う。例えば、動作制御部63は、運転者の操作によらずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。
【0205】
DMS30は、車内センサ26からのセンサデータ、及び、後述するHMI31に入力される入力データ等に基づいて、運転者の認証処理、及び、運転者の状態の認識処理等を行う。認識対象となる運転者の状態としては、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向、酩酊度、運転操作、姿勢等が想定される。
【0206】
なお、DMS30が、運転者以外の搭乗者の認証処理、及び、当該搭乗者の状態の認識処理を行うようにしてもよい。また、例えば、DMS30が、車内センサ26からのセンサデータに基づいて、車内の状況の認識処理を行うようにしてもよい。認識対象となる車内の状況としては、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が想定される。
【0207】
HMI31は、各種のデータや指示等の入力と、各種のデータの運転者等への提示を行う。
【0208】
HMI31によるデータの入力について、概略的に説明する。HMI31は、人がデータを入力するための入力デバイスを備える。HMI31は、入力デバイスにより入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム11の各部に供給する。HMI31は、入力デバイスとして、例えばタッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、レバーといった操作子を備える。これに限らず、HMI31は、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で情報を入力可能な入力デバイスをさらに備えてもよい。さらに、HMI31は、例えば、赤外線又は電波を利用したリモートコントロール装置や、車両制御システム11の操作に対応したモバイル機器又はウェアラブル機器等の外部接続機器を入力デバイスとして用いてもよい。
【0209】
HMI31によるデータの提示について、概略的に説明する。HMI31は、搭乗者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成を行う。また、HMI31は、生成された各情報の出力、出力内容、出力タイミング及び出力方法等を制御する出力制御を行う。HMI31は、視覚情報として、例えば、操作画面、車両1の状態表示、警告表示、車両1の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報を生成及び出力する。また、HMI31は、聴覚情報として、例えば、音声ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音により示される情報を生成及び出力する。さらに、HMI31は、触覚情報として、例えば、力、振動、動き等により搭乗者の触覚に与えられる情報を生成及び出力する。
【0210】
HMI31が視覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、自身が画像を表示することで視覚情報を提示する表示装置や、画像を投影することで視覚情報を提示するプロジェクタ装置を適用することができる。なお、表示装置は、通常のディスプレイを有する表示装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウエアラブルデバイスといった、搭乗者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。また、HMI31は、車両1に設けられるナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプ等が有する表示デバイスを、視覚情報を出力する出力デバイスとして用いることも可能である。
【0211】
HMI31が聴覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホンを適用することができる。
【0212】
HMI31が触覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子を適用することができる。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シートといった、車両1の搭乗者が接触する部分に設けられる。
【0213】
車両制御部32は、車両1の各部の制御を行う。車両制御部32は、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、駆動制御部83、ボディ系制御部84、ライト制御部85、及び、ホーン制御部86を備える。
【0214】
ステアリング制御部81は、車両1のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部81は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うステアリングECU、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0215】
ブレーキ制御部82は、車両1のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)、回生ブレーキ機構等を備える。ブレーキ制御部82は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うブレーキECU、ブレーキシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0216】
駆動制御部83は、車両1の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部83は、例えば、駆動システムの制御を行う駆動ECU、駆動システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0217】
ボディ系制御部84は、車両1のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部84は、例えば、ボディ系システムの制御を行うボディ系ECU、ボディ系システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0218】
ライト制御部85は、車両1の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部85は、ライトの制御を行うライトECU、ライトの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0219】
ホーン制御部86は、車両1のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部86は、例えば、カーホーンの制御を行うホーンECU、カーホーンの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0220】
図17は、
図16の外部認識センサ25のカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54等によるセンシング領域の例を示す図である。なお、
図17において、車両1を上面から見た様子が模式的に示され、左端側が車両1の前端(フロント)側であり、右端側が車両1の後端(リア)側となっている。
【0221】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bは、超音波センサ54のセンシング領域の例を示している。センシング領域101Fは、複数の超音波センサ54によって車両1の前端周辺をカバーしている。センシング領域101Bは、複数の超音波センサ54によって車両1の後端周辺をカバーしている。
【0222】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の駐車支援等に用いられる。
【0223】
センシング領域102F乃至センシング領域102Bは、短距離又は中距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域102Fは、車両1の前方において、センシング領域101Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Bは、車両1の後方において、センシング領域101Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Lは、車両1の左側面の後方の周辺をカバーしている。センシング領域102Rは、車両1の右側面の後方の周辺をカバーしている。
【0224】
センシング領域102Fにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の前方に存在する車両や歩行者等の検出等に用いられる。センシング領域102Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の後方の衝突防止機能等に用いられる。センシング領域102L及びセンシング領域102Rにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の側方の死角における物体の検出等に用いられる。
【0225】
センシング領域103F乃至センシング領域103Bは、カメラ51によるセンシング領域の例を示している。センシング領域103Fは、車両1の前方において、センシング領域102Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Bは、車両1の後方において、センシング領域102Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Lは、車両1の左側面の周辺をカバーしている。センシング領域103Rは、車両1の右側面の周辺をカバーしている。
【0226】
センシング領域103Fにおけるセンシング結果は、例えば、信号機や交通標識の認識、車線逸脱防止支援システム、自動ヘッドライト制御システムに用いることができる。センシング領域103Bにおけるセンシング結果は、例えば、駐車支援、及び、サラウンドビューシステムに用いることができる。センシング領域103L及びセンシング領域103Rにおけるセンシング結果は、例えば、サラウンドビューシステムに用いることができる。
【0227】
センシング領域104は、LiDAR53のセンシング領域の例を示している。センシング領域104は、車両1の前方において、センシング領域103Fより遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域104は、センシング領域103Fより左右方向の範囲が狭くなっている。
【0228】
センシング領域104におけるセンシング結果は、例えば、周辺車両等の物体検出に用いられる。
【0229】
センシング領域105は、長距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。
センシング領域105は、車両1の前方において、センシング領域104より遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域105は、センシング領域104より左右方向の範囲が狭くなっている。
【0230】
センシング領域105におけるセンシング結果は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、緊急ブレーキ、衝突回避等に用いられる。
【0231】
なお、外部認識センサ25が含むカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の各センサのセンシング領域は、
図17以外に各種の構成をとってもよい。具体的には、超音波センサ54が車両1の側方もセンシングするようにしてもよいし、LiDAR53が車両1の後方をセンシングするようにしてもよい。また、各センサの設置位置は、上述した各例に限定されない。また、各センサの数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
【0232】
以上、実施の形態及びその変形例、適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0233】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
【0234】
(1)
固体撮像装置の垂直信号線に読み出された複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、
前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、
前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、
前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを備える、
重みづけ加算回路。
【0235】
(2)
前記固体撮像装置は、
前記複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、
前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す前記垂直信号線と、
前記重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、
前記重みづけ加算回路は、前記セルアレイと、前記垂直信号線と、前記AD変換部とに接続される、
(1)に記載の重みづけ加算回路。
【0236】
(3)
前記重みづけ加算回路は、
前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、
前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、重みづけ加算を行う、
(1)に記載の重みづけ加算回路。
【0237】
(4)
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである、(2)に記載の重みづけ加算回路。
【0238】
(5)
前記重みづけ加算回路は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む、(2)に記載の重みづけ加算回路。
【0239】
(6)
前記AD変換部は、前記重みづけ加算回路が前記第4のスイッチの切り替えに基づいて生成したDAC信号と、前記重みづけ加算された信号との逐次比較動作を実施する、(5)に記載の重みづけ加算回路。
【0240】
(7)
複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、
前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す垂直信号線と、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、重みづけ加算を行う重みづけ加算回路と、
前記重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、
前記重みづけ加算回路は、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、
前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、
前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、
前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを含む、
固体撮像装置。
【0241】
(8)
前記重みづけ加算回路は、
前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、
前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、重みづけ加算を行う、
(7)に記載の固体撮像装置。
【0242】
(9)
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである、(7)に記載の固体撮像装置。
【0243】
(10)
前記複数の容量は、互いに静電容量が異なる第1の容量と第2の容量を含む、(7)に記載の固体撮像装置。
【0244】
(11)
前記垂直信号線と、前記重みづけ加算回路との間には、前記複数の信号の入力の遅延時間を設けるバッファ回路が接続される、(7)に記載の固体撮像装置。
【0245】
(12)
前記重みづけ加算回路は、
前記第1の容量及び前記第2の容量がサンプルホールドする際の静電容量の差を調整する、1または複数のダミー容量と、
前記読出し配線及び前記ダミー容量を接続し、または切り離す1または複数の第3のスイッチとをさらに含む、
(10)に記載の固体撮像装置。
【0246】
(13)
前記重みづけ加算回路は、前記第1の容量と、前記第2の容量との静電容量の差に基づいて、1または複数の前記ダミー容量に電荷を蓄える、(12)に記載の固体撮像装置。
【0247】
(14)
複数の信号を保持する機構を有するセルアレイと、
前記セルアレイから前記複数の信号を読み出す垂直信号線と、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、正の値の重みづけ加算を行う第1の重みづけ加算回路と、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号をサンプルホールドし、負の値の重みづけ加算を行う第2の重みづけ加算回路と、
前記第1の重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号及び前記第2の重みづけ加算回路で重みづけ加算された信号のAD変換を行うAD変換部とを備え、
前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、
前記垂直信号線に読み出された前記複数の信号の入力を受け付ける読出し配線と、
前記垂直信号線及び前記読み出し配線を接続し、または切り離す第1のスイッチと、
前記複数の信号をサンプルホールドする複数の容量と、
前記読出し配線及び前記容量を接続し、または切り離す複数の第2スイッチとを含む、
固体撮像装置。
【0248】
(15)
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、フォトダイオードを含む画素、またはメモリアレイに含まれるメモリである、(14)に記載の固体撮像装置。
【0249】
(16)
前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、
前記垂直信号線に順次読み出された前記複数の信号を順次サンプルホールドし、
前記複数の信号のサンプルホールドの完了後に、正の値の重みづけ加算及び負の値の重みづけ加算を行う、
(14)に記載の固体撮像装置。
【0250】
(17)
前記セルアレイに含まれる複数のセルは、
前記複数の信号を前記第1の重みづけ加算回路に切り替えて入力する第1の選択トランジスタと、
前記複数の信号を前記第2の重みづけ加算回路に切り替えて入力する第2の選択トランジスタとを含む、
(14)に記載の固体撮像装置。
【0251】
(18)
前記重みづけ加算回路は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む、(8)に記載の固体撮像装置。
【0252】
(19)
前記AD変換部は、前記重みづけ加算回路が前記第4のスイッチの切り替えに基づいて生成したDAC信号と、前記重みづけ加算された信号との逐次比較を実施する、(18)に記載の固体撮像装置。
【0253】
(20)
前記第1及び第2の重みづけ加算回路の各々は、前記複数の容量における前記読出し配線側の端子とは逆側の端子に、端子電圧の値を切り替え可能とする第4のスイッチをさらに含む、(14)に記載の固体撮像装置。
【符号の説明】
【0254】
1:車両、10:固体撮像装置、11:車両制御システム、12:垂直駆動部、
13:AD変換部、14:水平駆動部、15:制御部、16:信号処理回路、
17:データ記憶部、18:入出力部、19:重みづけ加算回路、
19’:重みづけ加算回路、19’’:重みづけ加算回路、20:画素アレイ部、
21:車両制御ECU、22:通信部、23:地図情報蓄積部、
24:位置情報取得部、25:外部認識センサ、26:車内センサ、
27:車両センサ、28:記憶部、29:走行支援・自動運転制御部、
30:DMS、31:HMI、32:車両制御部、33:コンパレータ、
41:通信ネットワーク、42:光電変換膜、43:透明電極、44:下部電極、
51:カメラ、52:レーダ、53:LiDAR、54:超音波センサ、
61:分析部、62:行動計画部、63:動作制御部、71:自己位置推定部、
72:センサフュージョン部、73:認識部、81:ステアリング制御部、
82:ブレーキ制御部、83:駆動制御部、84:ボディ系制御部、
85:ライト制御部、86:ホーン制御部、100:画素、130:読出し配線、
131:第1のスイッチ、132:容量、133:第2のスイッチ、
134:ダミー容量、135:第3のスイッチ、136:第4のスイッチ
140:電圧源、141:電流源、142:バッファ回路