(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158006
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】地盤情報取得システム及び地盤情報取得方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20241031BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241031BHJP
G01V 1/00 20240101ALI20241031BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 M
G01V1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072779
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓介
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
2G105
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA06
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB04
2D003DB05
2D015HA03
2G105AA02
2G105BB01
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105GG04
2G105LL01
(57)【要約】
【課題】作業機械の下方の地盤中の情報を取得可能な地盤情報取得システムを提供すること。
【解決手段】地盤情報取得システム101は、打撃部であるバケット6を有する作業機械100と、バケット6による打撃によって、地盤G1に伝達されて地盤G1の内部を進行した振動を計測可能な計測器111と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃部を有する作業機械と、
前記打撃部による打撃によって、地盤に伝達されて前記地盤の内部を進行した振動を計測可能な計測器と、を備える、地盤情報取得システム。
【請求項2】
前記計測器によって計測した計測結果に基づいて、前記作業機械の下方の地盤のリスクレベルを判定するリスクレベルを判定し、前記地盤のリスクレベルを報知する、請求項1に記載の地盤情報取得システム。
【請求項3】
前記計測器によって計測した計測結果に基づいて、前記作業機械の下方の地盤の状態を判定し、前記地盤の状態に応じて、前記作業機械の燃費を算出する、請求項1に記載の地盤情報取得システム。
【請求項4】
前記作業機械は、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられ、前記打撃部を有するアタッチメントと、
を備え、
前記計測器によって計測した計測結果に基づいて、前記作業機械の周辺の地盤の状態を判定し、前記地盤の状態に応じて、前記アタッチメントの姿勢を変更可能である、請求項1に記載の地盤情報取得システム。
【請求項5】
前記作業機械は、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられ、前記打撃部であるバケットを有するアタッチメントと、
前記作業機械の位置を測位する測位装置と、
を備え、
前記作業機械の位置、及び前記バケットの姿勢の変化に基づいて、前記バケットによる前記地盤への実際の打撃位置を算出する、請求項1に記載の地盤情報取得システム。
【請求項6】
前記作業機械は、
第1位置に配置された第1作業機械と、
第2位置に配置された第2作業機械と、を含み、
前記計測器は、
前記第1作業機械の前記打撃部によって、前記第1位置の地盤に伝達されて当該地盤の内部を進行した振動を計測可能な第1計測器と、
前記第2作業機械の前記打撃部によって、前記第2位置の地盤に伝達されて当該地盤の内部を進行した振動を計測可能な第2計測器と、を含み、
前記第1計測器によって計測された計測結果、及び前記第2計測器によって計測された計測結果を格納する記憶部を更に備える、請求項1に記載の地盤情報取得システム。
【請求項7】
作業機械を用いて地盤を打撃する工程と、
前記地盤を打撃することにより前記地盤に伝達されて、前記地盤の内部を進行した振動を計測する工程と、を含む、地盤情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地盤情報取得システム及び地盤情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アタッチメントを有し、アタッチメントの姿勢の推移に基づいて作業対象の地面の形状に関する情報を取得するショベルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械による作業後の地面の形状に関する情報の取得だけではなく、作業機械の下方の地盤中の情報を取得することも必要となるおそれがある。
【0005】
本開示は、作業機械の下方の地盤中の情報を取得可能な地盤情報取得システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る地盤情報取得システムは、打撃部を有する作業機械と、打撃部による打撃によって、地盤に伝達されて前記地盤の内部を進行した振動を計測可能な計測器と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、作業機械の下方の地盤中の情報を取得可能な地盤情報取得システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る地盤情報取得システムが適用されるショベルの側面図である。
【
図2】ショベルの側面図であり、ショベルに搭載された姿勢検出装置によって検出される情報の一例を示す図である。
【
図3】ショベルに搭載された基本システムを示すブロック図である。
【
図4】地盤情報取得システムを示す機能ブロック図である。
【
図6】地盤情報取得システムを示す概略図である。された地盤の内部を示す断面図である。
【
図7】弾性波探査装置による測定結果の一例を示す図である。
【
図8】表示装置に表示された表示内容の一例を示す図である。
【
図9】地盤情報取得方法における手順を示すフローチャートである。
【
図10】地盤情報管理システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本開示の一実施形態に係る地盤情報取得システム及び地盤情報取得方法について説明する。まず、地盤情報取得システム101が適用されるショベル100について説明する。地盤情報取得システム101では、ショベル100を用いて、ショベル100の下方の地盤G1の内部の情報を取得する。
図1は、一実施形態に係る地盤情報取得システム101が適用されるショベル100の側面図である。ショベル100は、作業機械の一例である。
【0010】
図1に示すショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントATを備える。下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられる。作業要素としてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントATの一例である掘削アタッチメントを構成する。
【0011】
なお、アタッチメントは、床堀アタッチメント、均しアタッチメント、浚渫アタッチメント等の他のアタッチメントであってもよい。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3にはキャビン10が設けられ、エンジン11等の駆動源が搭載される。上部旋回体3には通信装置M1、測位装置M2、姿勢検出装置M3、及びシリンダ圧検出装置M4が取り付けられる。
【0012】
通信装置M1は、ショベル100と外部との間の通信を制御する装置である。通信装置M1は、GNSS(Global Navigation Satellite System)測量システムとショベル100との間の無線通信を制御する。具体的には、通信装置M1は、例えば1日1回の頻度で、ショベル100の作業を開始する際に作業現場の地形情報を取得する。GNSS測量システムは、例えばネットワーク型RTK-GNSS測位方式を採用する。
【0013】
測位装置M2は、ショベル100の位置及び向きを測定する装置である。測位装置M2は、電子コンパスを組み込んだGNSS受信機であり、ショベル100の存在位置の緯度、経度、高度を測定し、且つ、ショベル100の向きを測定する。
【0014】
姿勢検出装置M3は、アタッチメントATの姿勢を検出する装置である。
【0015】
シリンダ圧検出装置M4は、油圧シリンダ内の作動油の圧力を検出する装置である。シリンダ圧検出装置M4は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出するブームボトム圧センサを含む。
【0016】
図2は、ショベル100の側面図であり、ショベル100に搭載された姿勢検出装置M3によって検出される情報の一例を示す図である。姿勢検出装置M3は、ブーム角度センサM3a、アーム角度センサM3b、バケット角度センサM3c、及び車体傾斜センサM3dを含む。
【0017】
ブーム角度センサM3aは、ブーム角度θ1を取得するセンサであり、例えば、ブームフートピンの回転角度を検出する回転角度センサ、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサ、ブーム4の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。ブーム角度θ1は、XZ平面において、ブームフートピン位置P1とアーム連結ピン位置P2とを結ぶ線分の水平線に対する角度である。
【0018】
アーム角度センサM3bは、アーム角度θ2を取得するセンサであり、例えば、アーム連結ピンの回転角度を検出する回転角度センサ、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサ、アーム5の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。アーム角度θ2は、XZ平面において、アーム連結ピン位置P2とバケット連結ピン位置P3とを結ぶ線分の水平線に対する角度である。
【0019】
バケット角度センサM3cは、バケット角度θ3を取得するセンサであり、例えば、バケット連結ピンの回転角度を検出する回転角度センサ、バケットシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサ、バケット6の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。バケット角度θ3は、XZ平面において、バケット連結ピン位置P3とバケット爪先位置P4とを結ぶ線分の水平線に対する角度である。
【0020】
車体傾斜センサM3dは、ショベルのY軸回りの傾斜角θ4、及び、ショベルのX軸回りの傾斜角θ5(図示せず。)を取得するセンサであり、例えば2軸傾斜(加速度)センサ等を含む。なお、
図2のXY平面は水平面である。
【0021】
次に、
図3を参照してショベルの基本システムについて説明する。ショベルの基本システムは、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、コントローラ30、及びエンジン制御装置(ECU)74を含む。
【0022】
エンジン11はショベル100の駆動源であり、例えばディーゼルエンジンである。エンジン11は、所定の回転数を維持するように動作する。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
【0023】
メインポンプ14は、高圧油圧ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する油圧ポンプであり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプであり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0024】
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御バルブである。コントロールバルブ17は、レバー又はペダル26A~26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力変化に応じて、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(左用)、走行用油圧モータ1B(右用)、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの一又は複数のものに対し、メインポンプ14から高圧油圧ライン16を通じて供給された作動油を選択的に供給する。なお、以下の説明では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(左用)、走行用油圧モータ1B(右用)、及び旋回用油圧モータ2Aを集合的に「油圧アクチュエータ」と称する。レバー又はペダル26A~26Cは、キャビン10に設けられ、操作者によって操作される。
【0025】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、パイロットライン25を介してパイロットポンプ15から供給された作動油を、流量制御弁のパイロットポートに供給する。操作装置26は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに作動油を供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応するレバー又はペダル26A~26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。
【0026】
コントローラ30は、ショベルを制御するための制御装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30のCPUは、ショベル100の動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードしながらプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する処理を実行させる。
【0027】
コントローラ30は、メインポンプ14の吐出流量の制御を行う。例えば、ネガコン弁(不図示)のネガコン圧に応じて上記制御電流を変化させ、レギュレータ14aを介してメインポンプ14の吐出流量を制御する。
【0028】
エンジン制御装置(ECU)74は、エンジン11を制御する装置である。例えば、コントローラ30からの指令に基づき、後述するエンジン回転数調整ダイヤル75により操作者が設定したエンジン回転数(モード)に応じてエンジン11の回転数を制御するための燃料噴射量等をエンジン11に出力する。
【0029】
エンジン回転数調整ダイヤル75は、キャビン10内に設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジンの回転数を調整するためのダイヤルである。操作者は、エンジン回転数調整ダイヤル75を回転操作することにより、エンジン11の回転数を例えば5段階で切り替えることができる。エンジン回転数調整ダイヤル75を操作することにより、例えば「Rmax」、「R4」、「R3」、「R2」、及び「R1」の5段階に、エンジン11の回転数を変更できる。例えば、「Rmax」、「R4」、「R3」、「R2」、及び「R1」の順で、エンジン11の回転数は高くなる。
【0030】
Rmaxは、エンジン11の最高回転数であり、作業量を優先したい場合に選択される。R4は、2番目に高いエンジン回転数であり、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される。R3及びR2は、3番目及び4番目に高いエンジン回転数であり、燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される。R1は、最も低いエンジン回転数(アイドリング回転数)であり、エンジン11をアイドリング状態にしたい場合に選択されるアイドリングモードにおけるエンジン回転数である。
【0031】
例えば、Rmax(最高回転数)を2000rpm、R1(アイドリング回転数)を1000rpmとし、その間を250rpm毎に、R4(1750rpm)、R3(1500rpm)、R2(1250rpm)と多段階に設定してよい。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定されたエンジン回転数で一定に回転数制御される。なお、ここでは、エンジン回転数調整ダイヤル75による5段階でのエンジン回転数調整の事例を示したが、5段階には限られず何段階であってもよい。
【0032】
ショベル100は、キャビン10の内部に配置された表示装置40を備える。表示装置40には、例えば操作者による運転を補助するための画像が表示される。操作者は表示装置40の入力部42を利用して情報や指令をコントローラ30に入力できる。また、ショベル100の運転状況や制御情報を表示装置40に表示させることで、運転者に情報を提供できる。表示装置40は、例えば液晶表示装置である。
【0033】
表示装置40は、CAN、LIN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続される。なお、表示装置40は、専用線を介してコントローラ30に接続されてもよい。
【0034】
表示装置40は、表示する画像を生成する処理部40aを含む。処理部40aは、撮像装置M5の出力に基づいて画像表示部41上に表示するカメラ画像を生成する。そのため、撮像装置M5は、例えば専用線を介して表示装置40に接続される。また、処理部40aは、コントローラ30の出力に基づいて表示装置40に表示する画像を生成する。
【0035】
なお、処理部40aは、表示装置40が有する機能としてではなく、コントローラ30が有する機能として実現されてもよい。この場合、撮像装置M5は、表示装置40ではなく、コントローラ30に接続される。
【0036】
また、表示装置40は、例えばタッチパネルでもよい。表示装置40は、入力部として機能する。表示装置40は、操作者によって操作される入力画面を表示できる。
【0037】
ショベル100は、蓄電池70を備える。表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。なお、蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベル100の電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0038】
エンジン11は、上述のとおり、エンジン制御装置(ECU)74により制御される。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置40に送信することができる。
【0039】
また、コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0040】
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板の傾転角を示すデータがコントローラ30に供給される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送られる。これらのデータ(物理量を表すデータ)は一時記憶部30aに格納される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には、油温センサ14cが設けられており、その管路を流れる作動油の温度を表すデータが、油温センサ14cからコントローラ30に供給される。
【0041】
また、レバー又はペダル26A~26Cを操作した際に、パイロットライン25aを通じてコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、油圧センサ15a、15bで検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に供給される。
【0042】
また、エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信される。
【0043】
ショベル100は、外部演算装置30Eを備える。外部演算装置30Eは、通信装置M1、測位装置M2、姿勢検出装置M3、シリンダ圧検出装置M4、撮像装置M5等の出力に基づいて各種演算を行い、演算結果をコントローラ30に対して出力する制御装置である。
【0044】
次に、
図4を参照して外部演算装置30Eの機能について説明する。
図4は、外部演算装置30Eの構成例を示す機能ブロック図である。外部演算装置30Eは、通信装置M1、測位装置M2、姿勢検出装置M3、シリンダ圧検出装置M4の出力を受けて各種演算を実行する。外部演算装置30Eは、その演算結果をコントローラ30に対して出力する。
【0045】
外部演算装置30Eは、CPU及び記憶部を有する。記憶部は、ROM、RAM、及び、不揮発性メモリを含む。記憶部は、CPUを動作させるためのプログラムを記憶する。記憶部は、外部演算装置30Eが入力した各種データを記憶する。記憶部は、各種データのデータベースを記憶する。記憶部は、ブームボトム圧に関するデータを記憶する。記憶部に記憶されたブームボトム圧に関するデータをブーム圧参照テーブルと記載する場合がある。記憶部は、例えば土砂特性(密度、粘性等)に関するデータを記憶する。
【0046】
コントローラ30は、例えば、その演算結果に応じた制御指令を制御弁E1に対して出力する。制御弁E1はアタッチメントの動きを制御するための弁であり、例えば、再生解除弁50、パイロット圧を調整する減圧弁、リリーフ弁等である。
【0047】
外部演算装置30Eは、地形データベース更新部31、位置座標更新部32、地面形状情報取得部33、及び地面接触判定部34を含む。
【0048】
地形データベース更新部31は、地形データベースを更新する機能要素である。地形データベースは、ショベル100が存在する作業現場の地形情報を参照可能に体系的に記憶する。地形データベース更新部31は、例えばショベル100の起動時に通信装置M1を通じて作業現場の地形情報を取得して地形データベースを更新する。作業現場の地形情報は、例えば世界測位系に基づく3次元地形モデルで記述される。
【0049】
位置座標更新部32は、ショベル100の現在位置を表す座標及び向きを更新する機能要素である。位置座標更新部32は、測位装置M2の出力に基づいて世界測位系におけるショベル100の位置座標及び向きを取得する。位置座標更新部は、記憶部に記憶されているショベル100の現在位置を表す座標及び向きに関するデータを更新する。
【0050】
地面形状情報取得部33は、作業対象の地面の現在の形状に関する情報を取得する機能要素である。地面形状情報取得部33は、地形データベース更新部31が更新した地形情報と、位置座標更新部32が更新したショベル100の現在位置を表す座標及び向きと、姿勢検出装置M3が検出したアタッチメントATの姿勢の過去の推移と、シリンダ圧検出装置M4が検出したブームボトム圧とに基づいて掘削対象地面の現在の形状に関する情報を取得する。
【0051】
地面形状情報取得部33は、バケット6の軌跡に関する情報を取得する。地面形状情報取得部33は、姿勢検出装置M3から入力したデータ、及びバケット6の形状のデータに基づいて、バケット6の軌跡を算出する。
【0052】
地面形状情報取得部33は、前回の掘削動作が行われる前の掘削対象地面の形状から、前回の掘削動作の際にバケット6が通過した空間に対応する部分を取り除くことで掘削対象地面の現在の形状を導き出す。地面形状情報取得部33は、掘削動作後の地面形状を推定できる。地面形状情報取得部33は、3次元メッシュモデルで表現された3次元地形モデルを作成することができる。
【0053】
地面形状情報取得部33は、排土動作後の地面形状に関する情報を取得することができる。地面形状情報取得部33は、排土動作が行われたときに排土後の地面形状を取得する処理を実行する。地面形状情報取得部33は、例えば掘削動作後にバケット6の開き操作が行われた場合に排土後の地面形状を取得する処理を実行する。
【0054】
地面形状情報取得部33は、土砂積載量を推定することができる。地面形状情報取得部33は、姿勢検出装置M3が検出するアタッチメントATの姿勢とシリンダ圧検出装置M4が検出するブームボトム圧とに基づいて土砂積載量を推定することができる。土砂積載量は掘削動作によってバケット6に積載される土砂の量である。土砂積載量は、例えば、バケット6に積載される土砂の容積でもよい。土砂積載量は所定の最大積載量によって制限される。
【0055】
地面形状情報取得部33は、ブームボトム圧参照テーブルを参照して現在の掘削アタッチメントの姿勢に対応する非積載時ブームボトム圧を取得する。非積載時ブームボトム圧は、バケット6に土砂が積載されていないときのブームボトム圧を意味する。ブームボトム圧テーブルは、ROM等に予め記憶される参照テーブルであり、実測データの分析に基づいて生成される。具体的には、ブームボトム圧テーブルは、姿勢検出装置M3によって検出されるアタッチメントの姿勢に関連付けて非積載時ブームボトム圧を記憶する。そして、現在のブームボトム圧と非積載時ブームボトム圧との差に基づいてバケット6に積載された土砂の重量を推定する。そして、その推定された土砂の重量と予め入力された土砂特性(密度、粘性等)とからバケット6に積載された土砂の容積を推定する。
【0056】
地面形状情報取得部33は、記憶部に記憶されているブームボトム圧参照テーブルを参照することができる。地面形状情報取得部33は、現在のアタッチメントATの姿勢に対応する非積載時のブームボトム圧を取得することができる。「非積載時のブームボトム圧」は、バケット6に土砂が積載されていないときのブームボトム圧を意味する。
【0057】
「ブームボトム圧テーブル」は、記憶部に予め記憶される参照テーブルであり、実測データの分析に基づいて生成される。記憶部は、姿勢検出装置M3によって検出されるアタッチメントATの姿勢に関連付けて非積載時のブームボトム圧を、ブームボトム圧テーブルとして記憶する。地面形状情報取得部33は、現在のブームボトム圧と非積載時ブームボトム圧との差に基づいてバケット6に積載された土砂の重量を推定することができる。地面形状情報取得部33は、その推定された土砂の重量と予め入力された土砂特性(密度、粘性等)に基づいて、バケット6に積載された土砂の容積を推定する。
【0058】
地面形状情報取得部33は、地面形状の変化に基づいて土砂積載量を推定してもよい。
【0059】
地面形状情報取得部33は土砂排土量を算出することができる。地面形状情報取得部33は、土砂積載量と土砂排土率とに基づいて土砂排土量を算出することができる。地面形状情報取得部33は、土砂積載量に土砂排土率を乗じて土砂排土量を算出することができる。
【0060】
土砂排土量は、排土動作によってバケット6から排土される土砂の量であり、土砂積載量に土砂排土率を乗じることで算出される。土砂排土量は、例えば、土砂積載量と同様に、バケット6によって排土される土砂の容積として算出される。
【0061】
土砂排土率は、土砂積載量に対する土砂排土量の比率であり、排土動作の際のアタッチメントの姿勢の推移、動作速度の推移、土砂特性等に基づいて決定される。地面形状情報取得部33は土砂排土率テーブルを参照して土砂排土率を決定する。
【0062】
「土砂排土率テーブル」は、記憶部に予め記憶される参照テーブルであり、実測データの分析に基づいて生成される。記憶部は、土砂排土率テーブルとして、姿勢検出装置M3によって検出される排土動作の際のバケット角度に関連付けて土砂排土率を記憶する。
【0063】
記憶部は、バケット角度θ3と土砂排土率との関係を示すデータを記憶する。例えば、土砂排土率はバケット角度θ3が略150度以上の場合に0[%]に設定される。地面形状情報取得部33は、バケット角度θ3が略150度以上であればバケット6内の土砂が未だ排土されていないと推定することができる。
【0064】
土砂排土率はバケット角度θ3が略150度を下回るにつれて増大し、バケット角度θ3が略50度以下となった場合に100[%]に達する。地面形状情報取得部33は、バケット角度θ3が略50度以下であればバケット6内の土砂の全てが排土されたと推定することができる。
【0065】
地面形状情報取得部33は排土動作後の地面形状を推定することができる。地面形状情報取得部33は、土砂排土量、直近の排土動作が行われる前の地面形状、排土動作の際の地面に対するバケット6の高さ、排土動作の際のアタッチメントATの姿勢の推移、動作速度の推移、土砂特性に基づいて排土動作後の地面形状を推定することができる。
【0066】
記憶部は、排土動作後の地面形状に関する情報を記憶することができる。記憶部は、排土された土砂とショベル100との位置関係に関するデータを記憶することができる。
【0067】
地面形状情報取得部33は、地面形状の基準点を算出することができる。地面形状情報取得部33は、バケット6の中心点をショベルが位置する水平面上に投影することにより、地面形状の基準点を算出することができる。
【0068】
地面形状情報取得部33は、排土動作後の地面形状のうち直近の排土動作によって更新された部分の形状(以下、「更新部分形状」とする。)を算出することができる。また、更新部分形状をもたらした排土動作の条件(例えば土砂排土量等を含む。)を「基準排土条件」と記載する。
【0069】
地面形状情報取得部33は、土砂排土量が大きいほど大きくなるように、更新部分形状を決定することができる。地面形状情報取得部33は、直近の排土動作が行われる前の地面形状の陥没部分の大きさ(深さ)に応じて、更新部分形状を決定することができる。
【0070】
地面形状情報取得部33は、直近の排土動作の際のバケット6の基準点に対する高さが基準排土条件のときよりも高い場合の更新部分形状を算出することができる。地面形状情報取得部33は、直近の排土動作の際のバケット6の高さが高いほど低く且つ周囲に拡がるように、更新部分形状を算出することができる。
【0071】
地面形状情報取得部33は、排土される土砂の粘度に基づいて、更新部分の形状を算出することができる。地面形状情報取得部33は、排土動作で排土された土砂の粘度が低いほど低く且つ周囲に拡がるように、更新部分形状を算出することができる。
【0072】
地面形状情報取得部33は、排土動作の際のバケット6の動作速度(開き動作)に基づいて、更新部分の形状を算出することができる。地面形状情報取得部33は、排土動作の際のバケット6の開き速度が速いほど基準点に関してバケット6の開き方向に偏るように、更新部分形状を算出することができる。
【0073】
地面形状情報取得部33は、更新部分形状テーブルを参照して更新部分形状を決定することができる。更新部分形状テーブルは、記憶部に予め記憶される参照テーブルであり、実測データの分析に基づいて生成される。記憶部は、更新部分形状テーブルとして、土砂排土量、直近の排土動作が行われる前の地面形状、排土動作の際のバケット6の高さ、排土動作の際のアタッチメントの姿勢の推移、動作速度の推移、土砂特性等に関連付けて更新部分形状を記憶する。
【0074】
このようにして、地面形状情報取得部33は、排土動作後の地面形状を推定できる。そのため、地面形状情報取得部33は、掘削動作後の地面形状に関する情報ばかりでなく、排土動作後の地面形状に関する情報も取得できる。すなわち、地面形状情報取得部33は、掘削動作が行われる前の掘削対象地面の形状をより正確に把握できる。
【0075】
表示装置40は、掘削動作後の地面形状、及び排土動作後の地面形状に関する画像を表示することができる。通信装置M1は、複数台のショベル100の稼働状況を管理する管理装置へ、各種データを送信することができる。
【0076】
地面接触判定部34は、アタッチメントATが地面と接触しているかを判定してアタッチメントATを制御する機能要素である。地面接触判定部34は、地面形状情報取得部33が取得した掘削対象地面の現在の形状に関する情報に基づいてバケット6が地面と接触しているかを判定してアタッチメントATを制御する。
【0077】
地面接触判定部34は、姿勢検出装置M3が検出するアタッチメントATの現在の姿勢と、地面形状情報取得部33が取得した掘削対象地面の現在の形状に関する情報とに基づいて掘削状態を判断することができる。地面接触判定部34は、バケット6の爪先が掘削対象地面に接触しているかを判定する。バケット6の爪先が掘削対象地面に接触していると判定した場合、地面接触判定部34は、コントローラ30に対して判定結果を出力する。
【0078】
判定結果を受けたコントローラ30は、制御弁E1としての再生解除弁50に対して制御指令を出力してその開口面積を増大させる。地面接触判定部34は、バケット6の爪先が掘削対象地面に接触する直前にコントローラ30に対してバケット6の爪先が掘削対象地面に接触するとの判定結果を出力してもよい。さらに、予め入力された土砂密度情報に基づいて掘削アタッチメントを制御してもよい。
【0079】
次に、
図4~
図6を参照して、地盤情報取得システム101について説明する。
図5及び
図6は、地盤情報取得システム101を示す概略図である。
図5及び
図6では、ショベル100が配置される地盤G1,G2が異なっている。
図5及び
図6では、地盤G1,G2の断面が示されている。地盤情報取得システム101は、ショベル100と、弾性波探査装置110とを含む。
【0080】
図5及び
図6に示されるように、地盤情報取得システム101は、ショベル100を用いて地盤G1,G2に振動を加えて、地盤G1,G2の内部を通過した振動を計測することができる。ショベル100は、バケット6を用いて、地盤G1,G2を打撃することはできる。バケット6は、打撃部の一例である。ショベル100は、例えば、バケット6の底面6aを地盤G1,G2の地表に当てることにより、地盤G1,G2に振動を加えることができる。
【0081】
バケット6は、掘削した土砂を収容するための凹部形状を有する。この凹部形状は、バケット6の開口とは反対側に膨らむように形成されている。バケット6は、凹部形状を有するので、土砂を収容することができる。バケット6の底面6aは、凹部形状を形成する。底面6aは、バケット6の開口とは反対側の面を形成する。
【0082】
ショベル100は、
図4に示される位置座標更新部32によって、バケット6の位置を検出することができる。外部演算装置30Eは、バケット6の形状に関するデータ、及びバケット6の軌跡の推移に基づいて、バケット6の底面6aの位置を算出することができる。バケット6の底面6aは、地盤G1,G2に当たる位置である。
【0083】
位置座標更新部32は、
図2に示す、バケット爪先位置P4、及びバケット角度θ3に基づいて、バケット6の底面6aの位置である打撃位置を算出することができる。なお、位置座標更新部32は、アタッチメントATのその他の位置に基づいて、バケット6による打撃位置を算出してもよい。また、打撃位置は、バケット6の底面6aの位置に限定されない。例えば、ショベル100のその他の部位を、地盤G1,G2に当てることにより、地盤G1,G2に打撃を加えてもよい。この場合には、ショベル100のうち、地盤G1,G2に当てられる位置が打撃位置となる。また、例えば、アタッチメントATは、地盤G1,G2に当てられるその他の打撃部を備えていてもよい。例えば、アタッチメントATには、打撃用のハンマーが取り付けられていてもよい。操作者は、アタッチメントATを動作させて、打撃部を地盤G1,G2に当てることより、地盤G1,G2に振動を加えることができる。
【0084】
また、操作者は、例えば、バケット6を操作することにより、バケット6に保持されている物体を上方から落下させ、地盤G1,G2に打撃を加えて、地盤G1,G2に振動を加えてもよい。ショベル100は、打撃により、地盤G1,G2中に弾性波を発生させることができる。
【0085】
図4に示すように、弾性波探査装置110は、計測器111と、解析部112と、通信部113とを含む。
【0086】
計測器111は、例えば、地盤G1,G2に差し込まれて、地盤G1,G2の振動を検出できるセンサである。計測器111は、地盤G1,G2を進行して計測器111に到達した弾性波を検出することができる。
【0087】
解析部112は、例えば、CPU及び記憶部を含む。解析部112は、計測器111によって計測された弾性波に関する信号を受信して、解析することができる。解析部112は、受信した弾性波に関する信号を増幅することができる。弾性波探査装置110は、計測器111によって計測された弾性波に関するデータを出力することができる。
【0088】
図7は、弾性波探査装置110による側的結果の一例を示す図である。
図7では、横軸に時間の経過を示し、縦軸に位置を示す。縦軸に示す位置は、計測器111の位置を示す。計測器111の位置は、例えば、計測の基準となる位置からの距離である。基準となる位置は、ショベル100の位置でもよく、その他の位置でもよい。
【0089】
弾性波探査装置110は、
図5及び
図6に示されるように、1つの計測器111を用いて、弾性波を計測してもよく、複数の計測器111を用いて弾性波を計測してもよい。計測器111の位置は、任意の位置でよい。ショベル100によって作業される現場では、事前にボーリング調査を行うことにより、地盤G1,G2の情報が取得される。計測器111による計測位置は、ボーリング調査による調査位置と異なる位置でもよく、同じ位置でもよい。例えば、ボーリング調査による調査位置と異なる位置に、計測器111を配置することにより、ボーリング調査による調査結果を補完する情報を取得することができる。例えば、ボーリング調査による調査位置と同じ位置に、計測器111を配置することにより、ボーリング調査による調査結果の信頼性の向上を図ることができる。
【0090】
ショベル100による打撃により生じた弾性波は、地盤G1,G2の内部を進行する。例えば、地盤G1,G2の内部の地層の境界において、弾性波が反射する。弾性波探査装置110は、地盤G1,G2の内部を進行した弾性波を計測することにより、地盤G1,G2の内部の情報を取得できる。
【0091】
弾性波探査装置110は、地盤G1,G2の内部の情報として、地盤G1,G2の硬さに関するデータを取得することができる。弾性波探査装置110は、地盤G1,G2の内部の情報として、地層に関するデータを取得することができる。地層には、切土層、盛土層、砂層、シルト層、粘土層、岩盤層などがある。弾性波探査装置110は、地盤G1,G2の内部の情報として、地層の深さに関するデータ、及び地層の厚さに関するデータを取得することができる。地盤G1,G2の内部の情報は、「地盤の状態」の一例である。
【0092】
図4に示すショベル100の外部演算装置30Eは、地盤情報取得部35、地盤データベース更新部36、リスクレベル判定部37、燃費算出部38、及び制御部39を含む。
【0093】
地盤情報取得部35は、作業対象の地盤G1,G2の内部の情報を取得する。弾性波探査装置110にから送信された情報を入力することにより取得する。弾性波探査装置110の解析部112による解析結果を入力することができる。地盤情報取得部35は、通信装置M1を介して、弾性波探査装置110から送信されたデータを受信することができる。地盤情報取得部35は、弾性波探査装置110の計測器111によって計測された情報を取得して、取得した情報を解析することにより、地盤G1,G2の内部の情報を取得してもよい。
【0094】
地盤データベース更新部36は、地盤データベースを更新する。地形データベースは、ショベル100が存在する作業現場の地盤G1,G2の内部の情報を参照可能に体系的に記憶する。地盤データベース更新部36は、例えばショベル100の起動時に通信装置M1を通じて作業現場の地盤G1,G2の内部の情報を取得して地盤データベースを更新する。作業現場の地盤情報は、例えば世界測位系に基づく3次元モデルで記述されてもよい。
【0095】
リスクレベル判定部37は、地盤情報取得部35によって取得された地盤G1,G2の内部の情報、及び地盤データベースに格納されている情報に基づいて、地盤G1,G2のリスクレベルを判定する。リスクレベル判定部37は、例えば、地盤G1,G2の硬さに関する情報に基づいて、リスクレベルを判定することができる。
【0096】
リスクレベル判定部37は、地盤G1,G2が軟らかい場合には、地盤G1,G2が硬い場合よりもリスクレベルが高いと判定することができる。リスクレベルが高いとは、リスクレベルが低い場合と比較して、ショベル100による作業が危険な状態であることを示す。
【0097】
リスクレベル判定部37は、地盤G1,G2が硬い場合には、地盤G1,G2が軟らかい場合よりもリスクレベルが低いと判定することができる。リスクレベルが低いとは、リスクレベルが高い場合と比較して、ショベル100による作業が安全であることを示す。
【0098】
リスクレベル判定部37は、弾性波探査装置110から受信した情報、及び、ボーリング調査による結果に基づいて、地盤G1,G2のリスクレベルを判定してもよい。リスクレベル判定部37は、その他の情報を考慮して、リスクレベルを判定してもよい。その他の情報とは、例えば天気に関する情報や、地形の表面形状に関する情報が挙げられる。リスクレベル判定部37は、例えば、雨量が多い場合には、雨量が少ない場合と比較して、リスクレベルが高いと判定してもよい。リスクレベル判定部37は、地形の表面形状の変化が大きい場合には、地形の表面形状の変化が小さい場合と比較して、リスクレベルが高いと判定してもよい。
【0099】
燃費算出部38は、地盤情報取得部35によって取得された地盤G1,G2の内部の情報、及び地盤データベースに格納されている情報に基づいて、エンジン11の燃費を算出することができる。
【0100】
燃費算出部38は、例えば、地盤G1,G2が硬い場合には、地盤G1,G2が軟らかい場合と比較して、燃費が低くなるように、燃費を算出することができる。地盤G1,G2が硬い場合には、掘削動作の動力が増加する傾向にあるため、燃費算出部38は、燃費が低くなるように、燃費を算出することができる。
【0101】
燃費算出部38は、例えば、地盤G1,G2の地層の種類に応じて、燃費が異なるように、燃費を算出してもよい。燃費算出部38は、例えば、地層の密度が高い場合には、地層の密度が低い場合と比較して、燃費が低くなるように、燃費を算出することができる。掘削される土砂の密度が高い場合には、バケット6によって掘削される土砂の重量が増加して、掘削動作の動力が増加する傾向にあるため、燃費算出部38は、燃費が低くなるように、燃費を算出することができる。
【0102】
制御部39は、地盤情報取得部35によって取得された地盤G1,G2の内部の情報、及び地盤データベースに格納されている情報に基づいて、ショベル100における動作を制御することができる。制御部39は、リスクレベル判定部37によって判定されたリスクレベルに応じて、ショベル100における動作を制御することができる。制御部39は、燃費算出部38によって算出された燃費に応じて、ショベル100における動作を制御することができる。制御部39は、コントローラ30に指令信号を出力することにより、ショベル100の動作を制御することができる。
【0103】
制御部39は、地盤G1,G2が硬い場合には、地盤G1,G2が軟らかい場合と比較して、遅く動作させるように、ショベル100を制御することができる。制御部39は、地盤G1,G2が軟らかい場合には、地盤G1,G2が硬い場合と比較して、速く動作させるように、ショベル100を制御することができる。
【0104】
制御部39は、地盤G1,G2が硬い場合には、地盤G1,G2が軟らかい場合と比較して、掘削動作における掘削量が少なるように、バケット6の動作を制御することができる。制御部39は、地盤G1,G2が軟らかい場合には、地盤G1,G2が硬い場合と比較して、掘削動作における掘削量が多くなるように、バケット6の動作を制御することができる。
【0105】
制御部39は、地盤G1,G2の硬さに応じて、アタッチメントATの姿勢を変更するように、ショベル100の動作を制御することができる。制御部39は、地盤G1,G2が硬い場合には、地盤G1,G2が軟らかい場合と比較して、バケット角度θ3を大きくするように、アタッチメントATの姿勢を制御してもよい。制御部39は、地盤G1,G2が軟らかい場合には、地盤G1,G2が硬い場合と比較して、バケット角度θ3を小さくするように、アタッチメントATの姿勢を制御してもよい。
【0106】
制御部39は、リスクレベル判定部37によって判定されたリスクレベルが高い場合には、操作者に注意喚起を行うように、表示装置40を制御することができる。制御部39は、リスクレベル判定部37によって判定されたリスクレベルが低い場合には、掘削作業が安全に実行できる旨を操作者に報知するように、表示装置40を制御することができる。制御部39は、例えば、スピーカなどの音声出力部を制御して、リスクレベルを報知してもよい。表示装置40及びスピーカは、報知部の一例である。
【0107】
制御部39は、燃費算出部38によって算出された燃費が高い場合には、燃費が低い場合と比較して、ショベル100における動作速度を速くしてもよい。制御部39は、燃費算出部38によって算出された燃費が低い場合には、燃費が高い場合と比較して、ショベル100における動作速度を遅くしてもよい。
【0108】
制御部39は、燃費算出部38によって算出された燃費に関する情報を、表示装置40に表示するように、コントローラ30を制御することができる。制御部39は、地盤情報取得部35によって取得された地盤G1,G2の内部の情報を、表示装置40に表示するように、コントローラ30を制御することができる。
【0109】
次は、
図8を参照して、表示装置40に表示される表示内容について説明する。
図8は、表示装置40に表示された表示内容の一例を示す図である。表示装置40は、
図3に示されるコントローラ30からの指示に従い、画像を表示できる。
【0110】
表示装置40は、地盤G1,G2の内部の情報について、表示することができる。表示装置40は、地盤G1の地層、地層の深さ、地層の厚さに関する情報を、画像表示することができる。表示装置40は、地層の種類によって、色や模様を変えてもよい。表示装置40は、地盤G1の硬さに応じて、画像表示を変えてもよい。
【0111】
表示装置40は、ショベル100の位置、バケット6による打撃位置、及び計測器111による計測位置を表示してもよい。
【0112】
また、表示装置40は、地盤G1の状態に応じた燃費の変化に関する情報を表示してもよい。また、表示装置40は、地盤G1の状態に応じたリスクレベルに関する情報を表示してもよい。表示装置40は、地盤G1の状態に応じたリスクレベルに関する情報として、文字情報を表示してもよい。表示装置40は、地盤G1のリスクレベルが高い場合には、例えば「危険」との文字を表示してもよい。また、表示装置40は、リスクレベルに応じて、文字の大きさや、色を変えてもよい。
【0113】
また、表示装置40は、地盤G1の状態に応じて、アタッチメントATの姿勢を変更するように、案内表示を行ってもよい。表示装置40は、アタッチメントATの姿勢を変更することを促す案内表示として、動画を用いてもよく、静止画を用いてもよく、文字を用いてよい。
【0114】
次に、
図9を参照して、地盤情報取得方法における手順について説明する。
図9は、地盤情報取得方法における手順を示すフローチャートである。地盤情報取得方法は、ショベル100を用いて地盤G1,G2を打撃する工程と、地盤G1,G2を打撃することにより地盤G1,G2に伝達されて、地盤G1,G2の内部を進行した振動を計測する固定と、を含む。
【0115】
地盤情報取得方法は、例えばショベル100による掘削作業の実行前に実行される。なお、地盤情報取得方法は、ショベル100による掘削作業の実行後に実行されてもよい。また、地盤情報取得方法は、ショベル100による掘削作業の途中で実行されてもよい。
【0116】
まず、ショベル100は、バケット6を用いて、地盤G1,G2を打撃する(ステップS11)。操作者は、アタッチメントATを動かして、バケット6を下方に移動させることにより、地面を打撃する。ショベル100は、バケット6を揺動させて、底面6aを地面に打ち付ける。
【0117】
バケット6を用いて地面を打撃することにより、地盤G1,G2の内部に振動が伝達される。地盤G1,G2に伝達された振動は、適宜、地盤G1,G2の内部を進行する。振動は、例えば、地層の境界で反射する。また、地盤G1,G2の内部の状況に応じて、振動の伝達速度が異なる。
【0118】
次に、弾性波探査装置110の計測器111は、地盤G1,G2の内部を進行した振動を検出する(ステップS12)。弾性波探査装置110の解析部112は、計測器111によって計測された結果を解析する。
【0119】
次に、弾性波探査装置110は、計測結果をショベル100に出力する(ステップS13)。なお、ここでいう計測結果は、解析結果を含む。弾性波探査装置110の通信部113は、計測結果に関する信号を送信する。ショベル100の通信装置M1は、弾性波探査装置110から送信された計測結果に関する信号を受信する。
【0120】
次に、ショベル100の外部演算装置30Eは、弾性波探査装置110による計測結果に基づいて、地盤G1,G2のリスクレベルを評価する(ステップS14)。外部演算装置30Eのリスクレベル判定部37は、地盤G1,G2の内部の状態を把握して、地盤G1,G2のリスクレベルを判定する。なお、リスクレベルの一例については、上述している。また、地盤G1,G2の内部の状態の一例についても、上述している。
【0121】
次に、外部演算装置30Eは、地盤G1,G2の状態に応じて、ショベル100の燃費を算出する(ステップS15)。外部演算装置30Eの燃費算出部38は、地盤G1,G2の状態に応じて、ショベル100の燃費を算出する。なお、燃費の算出の一例については、上述している。
【0122】
次に、外部演算装置30Eは、地盤G1,G2の状態に応じて、アタッチメントATの姿勢を制御する(ステップS16)。外部演算装置30Eの制御部39は、地盤G1,G2の内部の状態に応じて、アタッチメントATの姿勢を変更するように、アタッチメントATの動作を制御できる。なお、アタッチメントATの姿勢の制御の一例は、上述している。制御部39は、地盤G1,G2の硬さに応じて、バケット6の姿勢を変更してもよい。
【0123】
次に、外部演算装置30Eは、ショベル100による地盤G1,G2の掘削後の地面の表面形状を算出する(ステップS17)。外部演算装置30Eの地面形状情報取得部33は、地面の表面形状を算出することができる。なお、地面の表面形状の算出の一例については上述している。また、ショベル100は、その他の方法により、地面の表面形状の算出を行ってもよい。例えば、ショベル100は、地面に対してレーザーを照射することにより、地面の表面形状を計測することができる。
【0124】
次に、外部演算装置30Eは、地盤G1,G2の内部の情報と、地面の表面形状に関する情報とを関連づけて保存する(ステップS18)。外部演算装置30Eは、例えば、平面視における位置を関連づけることにより、地盤G1,G2の内部の情報と、地面の表面形状とを関連づけることができる。なお、ステップS17,18における処理は、ショベル100の掘削動作の後に実行される。ステップS17,18は、掘削動作の前に実行されてもよい。
【0125】
また、地盤情報取得方法における処理は、適宜、順番を変えて実施してもよく、同時に実施してもよい。地盤情報取得方法において、ショベル100の燃費を算出した後に、地盤G1,G2のリスクレベルを判定してもよい。
【0126】
(作用効果)
本実施形態に係る地盤情報取得システム101は、打撃部であるバケット6を有するショベル100と、バケット6による打撃によって地盤G1,G2に伝達されて地盤G1,G2の内部を進行した振動を計測可能な計測器111と、を備える。
【0127】
この地盤情報取得システム101によれば、バケット6を用いて地盤G1,G2を打撃することにより、地盤G1,G2に弾性波を発生させることができる。地盤情報取得システム101によれば、計測器111を用いて、地盤G1,G2を通過した弾性波を計測することにより、地盤G1,G2の内部の状態を把握できる。
【0128】
また、地盤情報取得システム101は、計測器111によって計測した計測結果に基づいて、ショベル100の下方の地盤G1,G2のリスクレベルを判定し、地盤G1,G2のリスクレベルを報知する。この地盤情報取得システム101によれば、地盤G1,G2の内部の情報に基づいて、リスクレベルを判定することができる。
【0129】
また、地盤情報取得システム101よれば、判定結果であるリスクレベルをショベル100の操作者に報知することができる。操作者は、キャビン10に設けられた表示装置40を見ることにより、ショベル100の下方の地盤G1,G2の内部の情報に基づくリスクレベルを認識することができる。操作者は、リスクレベルに基づいて、ショベル100による掘削作業を中断したり、慎重に操作したりするなど、様々な対応をとることができる。その結果、ショベル100による掘削作業の安全性を向上させることができる。
【0130】
また、地盤情報取得システム101は、計測器111によって計測した計測結果に基づいて、ショベル100の下方の地盤G1,G2の状態を判定し、地盤G1,G2の状態に応じて、ショベル100の燃費を算出する。この地盤情報取得システム101によれば、ショベル100の下方の地盤G1,G2の内部の状態に基づいて、ショベル100の燃費を算出し、算出された燃費に応じて、ショベル100における運転を適宜調整することができる。操作者は、地盤G1,G2の内部の状態に基づいて、ショベル100の燃費を考慮して、運転を変更することができる。例えば、操作者は、燃費を気にすることなく、掘削作業に集中することができる。また、操作者は、燃費が低下しないように、運転を調整することができる。
【0131】
また、地盤情報取得システム101では、ショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられ、打撃部であるバケット6を有するアタッチメントATと、ショベル100の位置を測位する測位装置M2と、を備え、ショベル100の位置、及びバケット6の姿勢の変化に基づいて、バケット6による地盤への実際の打撃位置を算出する。ショベル100では、地面接触判定部34によって、バケット6と地盤G1,G2との接触位置を検出することができる。ショベル100では、自動で打撃位置を計測することができる。その結果、地盤情報取得システム101では、弾性波探査装置110における計測精度の向上を図ることができる。
【0132】
また、地盤情報取得システム101では、弾性波探査装置110により常時計測を行ってもよい。これにより、地盤情報取得システム101によれば、リアルタイムで地盤の内部の情報を取得することができる。地盤情報取得システム101では、リアルタイムで地盤の内部の情報を取得できるので、例えば、長雨などによる地盤の硬さの変化、地盤の緩みの変化を早急に把握することができる。そのため、ショベル100の操作者に地盤の緩みなどのリスク情報をリアルタイムで報知できる。
【0133】
また、地盤情報取得システム101では、地盤の内部の硬さを把握することができるので、地盤の内部の硬さに応じて、ショベル100の燃費を予測し、この燃費の予測に基づいて、ショベル100における動作を制御することができる。
【0134】
また、地盤情報取得システム101では、地盤の内部の硬さに応じて、アタッチメントATの姿勢を制御することができる。
【0135】
また、地盤情報取得システム101では、掘削の進捗に応じて、弾性波探査装置110による計測を実施してもよい。これにより、地盤の内部の状態を把握して、地層の変化や地盤の内部の水分の含有率などを把握してもよい。また、地盤情報取得システム101では、取得した情報をリアルタイムで、操作者に通知することができる。例えば、ショベル100の表示装置40は、地層の変化や、水分の含有率の変化、硬さの変化等を色の違いにより表示してもよい。ショベル100では、弾性波探査装置110によって取得した情報に基づいて、ショベル100の操作者に注意喚起を行うことができる。
【0136】
また、地盤情報取得システム101では、ボーリング調査による取得した情報を、予め記憶部に記憶させておき、ボーリング調査による調査結果と弾性波探査装置110による計測結果とを比較することができる。ショベル100では、ボーリング調査による調査結果と、弾性波探査装置110による計測結果とに基づいて、ショベル100における動作を制御してもよい。ショベル100では、弾性波探査装置110による計測結果に応じて、ショベル100における運転モードを変更してもよい。
【0137】
また、地盤情報取得システム101では、ショベル100によるバケット6を用いて、地盤G1,G2に打撃を加えて、弾性波を発生させることができることにより、従来実施されていた、例えば、木槌を用いて人が打撃を加える場合と比較して、広範囲の地盤の内部の状況を把握できる。また、地盤情報取得システム101では、人が木槌を用いて、地盤を打撃する必要がないため、作業性の向上を図ることができる。
【0138】
また、地盤情報取得システム101では、従来実施されていた、例えば、ダイナマイトを用いて地盤中に弾性波を発生させる方法と比較して、容易に実施することができる。地盤情報取得システム101では、ダイナマイトを使用せずに、弾性波探査装置110による計測範囲を広げることができ、危険作業を削減することができる。ダイナマイトを使用する場合には、ダイナマイトの管理、運搬等に注意が必要であったが、地盤情報取得システム101ではその必要がない。
【0139】
地盤情報取得システム101によれば、作業現場に存在するショベル100を用いて、地盤の内部の状況を掘削作業の前後に容易に実施できる。地盤情報取得システム101では、ショベル100による掘削作業を実施することができると共に、ショベル100を用いて打撃を行い、弾性波探査装置110を用いて、地盤の内部の状況を容易に把握できる。
【0140】
(第2実施形態)
次に、
図10を参照して、地盤情報管理システム120について説明する。
図10は、地盤情報管理システム120を示す概略図である。地盤情報管理システム120は、複数の作業現場に配置された地盤情報取得システム101A~Cから、情報を取得し、取得した情報を保存し、管理するシステムである。地盤情報管理システム120は、複数の地盤情報取得システム101A~Cと、管理装置121とを含む。
【0141】
地盤情報取得システム101A~Cは、上述した地盤情報取得システム101と同じ構成である。地盤情報取得システム101Aのショベル100Aは、地盤G1に配置され、地盤情報取得システム101Bのショベル100Bは、地盤G2に配置され、地盤情報取得システム101Cのショベル100Cは、地盤G3に配置されている。ショベル100は、上述したショベル100と同じ構成である。ショベル100A~Cは、第1作業機械及び第2作業機械の一例である。地盤G1~G3の打撃位置は、第1位置及び第2位置の一例である。
【0142】
管理装置121は、CPU122及び記憶部130を備える。記憶部130は、ROM、RAM、及び、不揮発性メモリを含む。記憶部130は、CPU122を動作させるためのプログラムを記憶する。記憶部130は、管理装置121が入力した各種データを記憶する。
【0143】
記憶部130は、地面形状データベース131及び地盤情報データベース132を格納する。地面形状データベース131は、地盤情報取得システム101から送信された地面形状に関するデータを記憶する。地面形状データベース131は、上述した地面形状情報取得部33で取得した情報を記憶する。
【0144】
地盤情報データベース132は、地盤情報取得システム101から送信された地盤の内部の状態に関するデータを記憶する。地盤情報データベース132は、上述した地盤情報取得部35で取得した情報を記憶する。
【0145】
記憶部130は、地面形状データベース131に記憶されている情報と、地盤情報データベース132に記憶されている情報とを、関連付けて記憶する。記憶部130は、位置情報に基づいて、地面形状に関するデータと、地盤の内部の状態に関するデータを記憶することができる。記憶部130は、ショベル100によって掘削された領域Knの地面形状に関する情報と、領域Knの下方の地盤の内部の情報とを関連付けて記憶する。領域Knの位置情報は、ショベル100の測位装置M2によって計測された位置情報である。
【0146】
本実施形態に係る地盤情報管理システム120は、互いに異なる複数の位置に配置された複数のショベル100A~Bを含み、ショベル100Aのバケット6によって、地盤G1に伝達されて当該地盤G1の内部を進行した弾性波を計測可能な計測器111と、ショベル100Bのバケット6によって、地盤G2に伝達されて当該地盤G2の内部を進行した弾性波を計測可能な計測器111と、ショベル100Cのバケット6によって、地盤G3に伝達されて当該地盤G3の内部を進行した弾性波を計測可能な111と、を含む。地盤情報管理システム120は、地盤情報取得システム101Aの計測器111によって計測された計測結果、地盤情報取得システム101Bの計測器111によって計測された計測結果、地盤情報取得システム101Cの計測器111によって計測された計測結果を格納する記憶部130を備える。地盤情報取得システム101A~Cの計測器111は、第1計測器及び第2計測器の一例である。
【0147】
このような地盤情報管理システム120によれば、複数の現場の地盤G1~G3の内部の状態に関するデータを統合して管理することができる。地盤情報管理システム120では、複数の現場について、地面形状に関する情報、及び地盤の内部の状態に関する情報を一元管理することができる。地盤情報管理システム120では、地盤情報取得システム101によって取得された地盤の内部の状態に関する情報を有効活用することができ、地盤に関する情報を把握して対策を施すことができる。地盤情報管理システム120に記憶されているデータを活用して、災害対策を事前に実行することにより、土地の有効活用を促進できる。
【0148】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0149】
上記のショベル100は、キャビン10に操作者が搭乗して運転操作するものでもよく、例えば、リモート運転又は自動掘削運転(無人運転)を実行可能なものでもよい。
【0150】
また、ショベル100の撮像装置M5はショベルの周辺の画像を取得する装置である。撮像装置M5は、ショベルの上部旋回体3に取り付けられるカメラでもよく、撮像した画像に基づいてショベルの周囲の地面までの距離を認識して作業現場の地形情報を取得することができる。なお、撮像装置M5はステレオカメラ、距離画像カメラ、3次元レーザスキャナ等であってもよい。
【0151】
また、撮像装置M5はショベルの外部に取り付けられていてもよい。この場合、外部演算装置30Eは、通信装置M1を介して撮像装置M5が出力する地形情報を取得してもよい。具体的には、撮像装置M5は、空撮用マルチコプタ、作業現場に設置された鉄塔等に取り付けられ、作業現場を上から見た画像に基づいて作業現場の地形情報を取得してもよい。また、撮像装置M5は、空撮用マルチコプタに取り付けられた場合、1時間に1回程度の頻度で或いはリアルタイムで、作業現場を上から見た画像を撮像して作業現場の地形情報を取得してもよい。撮像装置M5が取得した地形情報は地形データベースの更新に用いられる。その更新間隔は、地形情報の所得間隔が1時間以上の場合には、姿勢検出装置M3からの信号に基づく地形データベースの更新間隔よりも長い。
【0152】
また、上述の実施形態では、外部演算装置30Eはコントローラ30の外部にある別の演算装置として説明されたが、コントローラ30に一体的に統合されてもよい。
【0153】
また、上記の実施形態では、打撃部としてバケット6を有するショベル100を備える地盤情報取得システム101について例示しているが、打撃部はバケット6に限定されない。打撃部は、上下方向に動作し、地盤に打撃可能なその他の部位でもよい。例えば、ショベル100は、アタッチメントATに設けられたフック(打撃部)を降下させて、地盤を打撃してもよい。
【0154】
また、上記の実施形態では、作業機械としてショベル100を備える地盤情報取得システム101について例示しているが、作業機械はショベル100に限定されない。作業機械は、例えばブルドーザーでもよい。例えば、ブルドーザーは、バケットを上昇させた後、バケットを降下させることにより、地盤を打撃してもよい。
【0155】
また、地盤情報取得システム101は、複数の計測器111を用いて、地盤の内部を進行した弾性波を計測してもよく、1つの計測器111を用いて、弾性波を計測してもよい。計測器111は、弾性波を計測可能な位置に配置されていればよく、任意の位置に配置される。計測器111は、ショベル100の前方に配置されていてもよく、ショベル100の後方に配置されていてもよく、ショベル100の側方に配置されていてもよい。計測器111は、ショベル100よりも上方に配置されていてもよく、ショベル100よりも下方に配置されていてもよい。
【0156】
また、上記の実施形態では、駆動源としてエンジン11を備えるショベル100について例示しているが、駆動源はエンジン11に限定されない。ショベル100は、駆動源として、モータを備えるものでもよく、エンジン及びモータを備えるものでもよい。モータに供給される電力は、エンジンによって発電された電力でもよく、バッテリに蓄電された電力でもよい。
【符号の説明】
【0157】
101,101A~C 地盤情報取得システム
100,100A~C ショベル(作業機械、第1作業機械、第2作業機械)
1 下部走行体
3 上部旋回体
6 バケット(打撃部)
35 地盤情報取得部
37 リスクレベル判定部
38 燃費算出部
40 表示装置(報知部)
111 計測器(第1計測器、第2計測器)
120 地盤情報管理システム(地盤情報取得システム)
AT アタッチメント
G1~G3 地盤
M2 測位装置