(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158012
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】学習装置、推定装置、推定システム、学習方法、推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20241031BHJP
G01N 33/38 20060101ALI20241031BHJP
G01N 3/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E02D3/12 102
G01N33/38
G01N3/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072787
(22)【出願日】2023-04-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】500390869
【氏名又は名称】株式会社インバックス
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】秋山 祥克
(72)【発明者】
【氏名】小林 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】深見 文哉
(72)【発明者】
【氏名】安田 益堂
【テーマコード(参考)】
2D040
2G061
【Fターム(参考)】
2D040AA01
2D040AB05
2D040AC02
2D040CA01
2G061AA02
2G061AB01
2G061BA01
2G061BA20
2G061CA08
2G061DA11
2G061DA12
2G061EC02
(57)【要約】
【課題】ソイルセメントの配合試験に要する期間を短縮可能にすること。
【解決手段】学習制御部は、ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、強度推定モデルを機械学習により学習する。推定部は、強度推定モデルに、第二期間強度推定対象のソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の配合ケースの第一期間強度とを入力し、入力した固化材量及び含水量の複数種類の配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部、
を備える学習装置。
【請求項2】
前記教師データはさらに固化材の種類の情報を含み、
前記学習制御部は、固化材の種類と、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する、
請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る推定部、
を備える推定装置。
【請求項4】
前記教師データはさらに固化材の種類の情報を含み、
前記推定部は、前記強度推定モデルに、固化材の種類と、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る、
請求項3に記載の推定装置。
【請求項5】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部と、
前記強度推定モデルに、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る推定部と、
を備える推定システム。
【請求項6】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習ステップ、
を有する学習方法。
【請求項7】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る推定ステップ、
を有する推定方法。
【請求項8】
コンピューターを、
請求項1又は請求項2に記載の学習装置として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
コンピューターを、
請求項3又は請求項4に記載の推定装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習装置、推定装置、推定システム、学習方法、推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な異常気象のため、土砂災害が頻発している。近年、これらの災害復旧現場においては、従来施工されていたコンクリートの砂防堰堤(砂防ダム)に代えて現地の土砂を材料として強固に固結させた砂防ソイルセメントによる砂防堰堤が多く採用されている。
【0003】
この工法は、地盤改良工で従来施工されているソイルセメント工法と異なり、土石流等で流出した土砂や工事で発生する残土を主な材料として施工する工法である。砂防ソイルセメント工法では、所定の強度を満たすように、材料特性に合わせた固化材(セメント等)の種類や量、含水設定等の適切な配合設計を行うことが非常に重要とされている。この配合設計を行うため、配合試験が行われる。
【0004】
一般的な砂防ソイルセメントの配合試験の概要は次のとおりである。
(1) 500kg~600kg土砂を現地で採取し、JIS規格の土質試験を実施後、基本的に9種類の配合ケースを検討する。
(2) 試験室で、9種類の各配合ケースについて供試体を6本ずつ、合計54本の供試体を作成する。
(3) 各配合ケースについて、3本の供試体の7日強度、3本の供試体の28日強度を測定し、それらの結果を解析して適切な示方配合を決定する。
(4) (3)において得られた結果が要求品質を満足しない場合、再度配合ケースを検討し、(2)から追加試験を実施し、その結果を解析して適切な示方配合を決定する。
【0005】
一方で、砂防ソイルセメントの強度が目標強度以上であることを早期に判定する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、配合試験では、要求品質を満足する試験結果が得られるまで追加試験を繰り返し実施する。しかし、1回の配合試験は少なくとも28日強度を得るための期間を要することに加え、試験のための土砂が不足した場合には、再び現地の土砂を採取しなければならない。また、特許文献1の技術では、所定の養生温度で所定時間、供試体を蒸気養生した後に強度の計測を行う。従って、供試体の蒸気養生が可能な施設へ土砂を運んで試験を行う必要があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ソイルセメントの配合試験に要する期間の短縮を可能にする技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部、を備える学習装置である。
【0010】
本発明の一態様は、上述の学習装置であって、前記教師データはさらに固化材の種類の情報を含み、前記学習制御部は、固化材の種類と、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する。
【0011】
本発明の一態様は、ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る推定部、を備える推定装置である。
【0012】
本発明の一態様は、上述の推定装置であって、前記教師データはさらに固化材の種類の情報を含み、前記推定部は、前記強度推定モデルに、固化材の種類と、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る。
【0013】
本発明の一態様は、ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部と、前記強度推定モデルに、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る推定部と、を備える推定システムである。
【0014】
本発明の一態様は、ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の前記配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習ステップ、を有する学習方法である。
【0015】
本発明の一態様は、ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された前記固化材量及び前記含水量の複数種類の前記配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る推定ステップ、を有する推定方法である。
【0016】
本発明の一態様は、コンピューターを、上述の学習装置として機能させるためのプログラムである。
【0017】
本発明の一態様は、コンピューターを、上述の推定装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ソイルセメントの配合試験に要する期間を短縮可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】配合試験の対象の配合ケースの例を示す図である。
【
図10】土砂と砂防ソイルセメントの含水比の違いによる強度分布の例を示す図である。
【
図11】砂防ソイルセメントの含水比と28日強度との関係の例を示す図である。
【
図12】実施形態の推定システムのシステム構成を示す概略ブロック図である。
【
図13】実施形態の端末装置の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。
【
図14】実施形態の教師データの例を示す図である。
【
図15】実施形態の学習装置の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。
【
図16】実施形態の学習装置の処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態の推定装置の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。
【
図18】実施形態の推定装置の処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図19】実施形態の端末装置に表示される画面の例を示す図である。
【
図20】本実施形態に適用される情報処理装置のハードウェア構成例の概略を示す図である。
【
図21】実施形態の推定装置の機能構成の変形例を示す概略ブロック図である。
【
図22】実施形態の推定装置の機能構成の変形例を示す概略ブロック図である。
【
図23】実施形態の推定システムを用いた推定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。ここではまず、砂防ソイルセメントの配合試験の実施手順を説明する。砂防ソイルセメントは、ソイルセメントの一例である。ここでは、試験対象の土砂についてJIS規格の土質試験の実施後、9種類の配合ケースが検討されている場合を例に説明する。
【0021】
図1は、配合試験を行う対象の配合ケースの例を示す。
図1に示す9種類の配合ケースでは、同じ種類の固化材を使用する。以下では、固化材がセメントである場合を例に説明する。まず、CASE1、CASE2、CASE3の3つのセメントケースを設定する。CASE1、CASE2、CASE3の単位セメント量はそれぞれ、C1、C2、C3である。そして、各セメントケースCASEn(n=1,2,3)に、3種類の含水比Wn1、Wn2、Wn3を設定し、それぞれCASEn-1、CASEn-2、CASEn-3とする。これにより、合計9つの配合ケースCASE1-1~3-3が設定される。単位セメント量は、C1<C2<C3であり、含水比はW11<W12<W13、W21<W22<W23、W31<W32<W33とする。C2-C1=C3-C2とすることが多いが、これに限定されない。また、W12-W11=W13-W12=W22-W21=W23-W22=W32-W31=W33-W32とすることが多いが、これに限定されない。配合試験では、一般的にこれら9種類の配合ケースそれぞれの砂防ソイルセメントの7日強度及び28日強度が測定される。
【0022】
図2は、配合試験の手順を示すフロー図である。従来は、9種類の配合ケースそれぞれについて、ステップS1~ステップS9の手順を行う。また、
図3~
図9は、
図2に示す各手順の実施の様子を示す図である。
【0023】
まず、試験実施者は、配合試験を実施する砂防ソイルセメントの材料の混合量を確認する(ステップS1、
図3)。材料は、試験対象の土砂である試料、セメント及び添加水である。これら材料の混合量は、
図1に示す各配合ケースのセメントの種類、単位セメント量及び含水比に基づいて決定される。
【0024】
続いて、試験実施者は、配合ケース別に、試料及びセメントをミキサに投入して規定時間の空練りを行う(ステップS2、
図4)。続いて、試験実施者は、ミキサに添加水を投入し、規定時間の本練りを行う(ステップS3、
図5)。試験実施者は、本練りの混合後、混合状態を目視及び触手にて確認する(ステップS4、
図6)。試験実施者は、試験含水比と混合後含水比の整合性確認のため、混合後試料の含水比を測定する(ステップS5、
図7(a)及び
図7(b))。続いて、試験実施者は、スランプコーンを用いて混合後試料を測定する(ステップS6、
図8)。
【0025】
その後、試験実施者は、9種類の各配合ケースについて、3本の材齢7日圧縮強度試験用供試体、及び、3本の材齢28日圧縮強度試験用供試体を作製する(ステップS7)。これら供試体の作製においては、混合後試料をモールドへ投入後、突き棒による突固め、バイブレータによる締固め等にてモールド内の試料を締固める(
図9(a))。なお、試料投入と、締固めは数回に分けて行う。供試体の作製後は(
図9(b))、必要に応じて天端をモルタル等によってキャッピング処理する。砂防ソイルセメントの強度は、単位セメント量、含水比、養生温度、湿潤管理などの影響を受けるため、各配合試験においてこれらの要因を一定にする。
【0026】
試験実施者は、供試体作成後7日目に、各配合ケースの3本の材齢7日圧縮強度試験用供試体の圧縮強度を計測して7日強度を得る(ステップS8)。さらに、試験実施者は、供試体作成後28日目に各配合ケースの3本の材齢28日圧縮強度試験用供試体の圧縮強度を計測して28日強度を得る(ステップS9)。
【0027】
配合試験の目的は、各配合ケースにおける28日強度の確認である。しかしながら、砂防ソイルセメントは、セメント水和反応(化学反応)による硬化を目的としており、7日強度から28日強度への増加も示方配合(要求品質を満足する配合)を判断する際の重要なデータであることから、供試体の7日強度も測定している。なお、1種類の配合ケースについて材齢7日圧縮強度試験用供試体、及び、材齢28日圧縮強度試験用供試体を3本ずつ作製しているが、これは、異常値が得られた場合にそれを検知可能とするためであり、3本に限定されるものではない。
【0028】
図10は、土砂と砂防ソイルセメントの含水比の違いによる強度分布の例を示す図である。曲線A0は土砂の含水量と締固め強度との関係を示し、曲線A1、A2、A3は、セメントの種類及び単位セメント量が同じ砂防ソイルセメントの含水比に対する28日強度から求めた2次曲線を示す図である。曲線A0は、例えば材料試験により得られる。w1、w2、w3はそれぞれ、CASEn-1、CASEn-2、CASEn-3の砂防ソイルセメントの含水比、C1、C2、C3はそれぞれ、CASEn-1、CASEn-2、CASEn-3の28日強度である。また、Pはピーク強度、Bは最小管理強度である。最小管理強度は、水和反応により材料が硬化していることが保障できる強度である。
【0029】
図10(a)は、CASEn-1~n-3において強度のピークPを捉えることができた場合の28日強度の測定結果である。この場合、曲線A1上にピークPがある。
図10(b)は、CASEn-1~n-3において加水量が強度のピークPを超えた場合の測定結果である。曲線A2は含水比が増えるにつれて減少している。
図10(c)は、CASEn-1~n-3において加水量が強度のピークを下回った場合の測定結果である。曲線A3は含水比が増えるにつれて減少している。
図10(b)や
図10(c)のように、28日強度の結果からピークPが捉えられない場合、ピークPが捉えられるように配合を再び検討して配合試験が行われることがある。
【0030】
図11は、CASE1、2、3のそれぞれのセメントケースから得られる砂防ソイルセメントの含水比と28日強度との関係の例を示す図である。曲線A0は土砂の含水量と締固め強度との関係を示し、曲線D1、D2、D3はそれぞれ、CASE1、2、3から得られる砂防ソイルセメントの含水比と28日強度との関係を示し、α1、α2、α3はそれぞれ、CASE1、2、3の砂防ソイルセメントのピーク強度含水比を示す。
図11(a)は、3つのセメントケースともピーク強度が最小管理強度を超えている場合であり、
図11(b)は、2つのセメントケースのピーク強度が最小管理強度を超えている場合である。これらの場合、2つ以上のピーク強度(例えば、2N/mm
2以上のピーク強度)に基づいて、示方配合を決定可能である。一方、
図11(c)は、1つのセメントケースのピーク強度が最小管理強度を超えている場合であり、
図11(d)は、3つのセメントケースともピーク強度が最小管理強度を超えていない場合である。これらの場合、2以上のピーク強度が得られるように配合ケースを再び検討し、配合試験が行われることがある。従来は、配合試験の繰り返しによって、試験期間が増大し、さらには費用の増大が問題になることもあった。
【0031】
続いて、本実施形態の推定システムについて説明する。
図12は、本発明の一実施形態による推定システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。推定システム100は、端末装置10と学習装置20と推定装置30とを含む。端末装置10と推定装置30とは、ネットワーク70を介して通信可能に接続される。学習装置20と推定装置30とは、ネットワーク70を介して通信可能に接続されてもよい。ネットワーク70は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク70は、例えばインターネットを用いて構成されてもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)を用いて構成されてもよい。ネットワーク70は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0032】
学習装置20は、
図2に示す手順に従って過去に行われた配合試験の結果を示す配合試験データを教師データとして使用し、強度推定モデルを機械学習する。強度推定モデルは、セメントの種類と、9種類の配合ケースそれぞれの単位セメント量(固化材量)及び含水量と、1以上の配合ケースの砂防ソイルセメントの7日強度とを入力とし、入力された単位セメント及び含水量の9種類の配合ケースそれぞれの砂防ソイルセメントの28日強度を出力する。
【0033】
新たな土砂について配合試験を行う場合、試験実施者はその土砂について9種類の配合ケースを検討し、それらのうち少なくとも1種類の配合ケースの砂防ソイルセメントについて
図2に示す手順に従って7日強度を測定する。推定装置30は、学習装置20による学習後の強度推定モデル(以下、「学習済モデル」とも記載する。)に、セメントの種類と、検討された9種類の配合ケースそれぞれの単位セメント量及び含水比と、検討された配合ケースのうち測定された1種類以上9種類以下の配合ケースの7日強度の情報(以下「入力情報」という。)を入力することにより、入力された単位セメント及び含水量の9種類の配合ケースそれぞれの砂防ソイルセメントの28日強度の推定値を出力として得る。
【0034】
図13は、端末装置10の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。端末装置10は、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター、専用機器などの情報機器を用いて構成される。端末装置10は、通信部11、入力部12、出力部13、記憶部14及び制御部15を備える。
【0035】
通信部11は、通信機器である。通信部11は、例えばネットワークインターフェースとして構成されてもよい。通信部11は、制御部15の制御に応じて、ネットワーク70を介して他の装置とデータ通信する。通信部11は、無線通信を行う装置であってもよいし、有線通信を行う装置であってもよい。
【0036】
入力部12は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部12は、ユーザーの指示を端末装置10に入力する際にユーザーによって操作される。入力部12は、入力装置を端末装置10に接続するためのインターフェースであってもよい。この場合、入力部12は、入力装置においてユーザーの入力に応じ生成された入力信号を端末装置10に入力する。
【0037】
出力部13は、情報をユーザーが認知可能な形で出力する。出力部13は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置であってもよい。出力部13は、画像表示装置を端末装置10に接続するためのインターフェースであってもよい。この場合、出力部13は、画像データを表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。出力部13は、スピーカー等の音響を出力する装置であってもよい。出力部13は、スピーカーやヘッドホン等の音響出力装置を端末装置10に接続するためのインターフェースであってもよい。この場合、出力部13は、音響データを再生するための音響信号を生成し、自身に接続されている音響出力装置に音響信号を出力する。なお、出力部13は、入力部12と一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0038】
記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部14は、制御部15によって使用されるデータを記憶する。記憶部14は、制御部15が処理を行う際に必要となるデータを記憶する。
【0039】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリー(主記憶装置)とを用いて構成される。制御部15は、プロセッサーがプログラムを実行することによって機能する。なお、制御部15の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0040】
制御部15は、例えば自装置(端末装置10)にインストールされたアプリケーションを実行してもよい。このようなアプリケーションの具体例として、推定システム100の専用アプリケーションとして端末装置10に提供されるアプリケーションがある。このようなアプリケーションの他の具体例として、WEB(ウェブ)ブラウザーのアプリケーションがある。このようなアプリケーションは、予め端末装置10にインストールされていてもよいし、推定処理を実行する際にその都度ダウンロードされてもよい。例えばWEBブラウザーのアプリケーションとして実装される場合には、特定のWEBサーバーに端末装置10が接続することに応じてWEBサーバーによって指定された装置(例えばWEBサーバーそのものでもよいし他のサーバーでもよい)から端末装置10がアプリケーションをダウンロードして実行してもよい。制御部15は、実行中のアプリケーションのプログラムにしたがって動作する。
【0041】
制御部15は、ユーザーの操作や推定装置30から受信される情報に応じて端末装置10を制御する。例えば、制御部15は、ユーザーが入力部12を操作することによって入力された情報を、通信部11を用いることによって推定装置30へ送信する。例えば、制御部15は、推定装置30から送信された情報がネットワーク70を介して通信部11で受信されると、受信された情報に基づいて画面データを生成し、出力部13に画面データを表示させる。このような画面データには、推定装置30から送信された情報を示す画像や文字が含まれる。例えば、制御部15は、推定装置30から送信された情報がネットワーク70を介して通信部11で受信されると、受信された情報に基づいて音声データを生成し、出力部13から音声データを出力させてもよい。
【0042】
図14は、教師データの例を示す図である。教師データは、過去の配合試験における配合ケース1-1~3-3それぞれのセメントの種類、単位セメント量、含水比、3本の供試体の7日強度及び3本の供試体の28日強度を含む。
【0043】
図15は、学習装置20の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。学習装置20は、例えばパーソナルコンピューターやサーバー装置などの情報処理装置を用いて構成される。学習装置20は、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。
【0044】
通信部21は、通信機器である。通信部21は、例えばネットワークインターフェースとして構成されてもよい。通信部21は、制御部23の制御に応じて、ネットワーク70を介して他の装置とデータ通信する。通信部21は、無線通信を行う装置であってもよいし、有線通信を行う装置であってもよい。
【0045】
記憶部22は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部22は、制御部23によって使用されるデータを記憶する。記憶部22は、例えば教師データ記憶部221、前処理済教師データ記憶部222及び学習済モデル記憶部223として機能してもよい。
【0046】
教師データ記憶部221は、学習装置20が実行する学習処理に用いられる教師データを記憶する。教師データ記憶部221が記憶する教師データは、
図14に示すような過去の各配合試験の結果を示す配合試験データである。
【0047】
前処理済教師データ記憶部222は、前処理済教師データを記憶する。前処理済教師データは、教師データに対して前処理制御部232が前処理を実行することによって得られる情報を記憶する。前処理は、教師データを、強度推定モデルに入力するためのデータ形式へ変換する処理である。
【0048】
学習済モデル記憶部223は、教師データ記憶部221に記憶されている教師データや前処理済教師データ記憶部222に記憶される前処理済教師データを用いた学習処理によって得られる学習済モデルを記憶する。
【0049】
制御部23は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部23は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、情報制御部231、前処理制御部232及び学習制御部233として機能する。なお、制御部23の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0050】
情報制御部231は、情報の入出力を制御する。例えば、情報制御部231は、他の機器(情報処理装置や記憶媒体)から教師データを取得し、教師データ記憶部221に記録する。また、例えば、情報制御部231は、学習済モデル記憶部223に記憶されている学習済モデルを、他の装置(例えば推定装置30)に対して送信する。前処理制御部232は、教師データを、学習済モデルに入力可能なデータ形式に変換する。例えば、前処理制御部232は、同一の種類の配合ケースについて複数の供試体の7日強度が含まれている場合、それら供試体の7日強度の平均に変換してもよい。同様に、前処理制御部232は、同一の種類の配合ケースについて複数の供試体の28日強度が含まれている場合、それら供試体の28日強度の平均に変換してもよい。また、前処理制御部232は、同一の種類の配合ケースについての複数の供試体の7日強度のうち、異常値を示すと判定した供試体の7日強度を教師データから削除してもよい。同様に、前処理制御部232は、同一の種類の配合ケースについての複数の供試体の28日強度のうち、異常値を示すと判定した供試体の28日強度を教師データから削除してもよい。
【0051】
学習制御部233は、前処理済教師データ記憶部222に記憶されている教師データ又は前処理済教師データを用いて学習処理を実行する。学習制御部233は、例えば教師あり学習を行うことによって、入力されるセメントの種類と、9種類の配合ケースそれぞれの単位セメント量及び含水比と、1以上の配合ケースの7日強度とを含む入力情報に基づいて、入力された単位セメント量及び含水比の9種類の配合ケースそれぞれの28日強度の推定値を出力するための学習済モデルを生成する。以下では、9種類の配合ケースのうち、推定モデルに7日強度を入力する対象の配合ケースを強度入力対象配合ケースと記載する。強度入力対象配合ケースは、1種類の場合はCASE2-2、2種類の場合はCASE2-2及び2-3、3種類の場合はCASE2-1、2-2及び2-3、4種類の場合はCASE2-1、2-2、2-3及び3-2のように、9種類まで増加させることができる。学習制御部233は、生成された学習済モデルを学習済モデル記憶部223に記録する。学習制御部233によって得られた学習済モデルは、推定装置30に対して送信され、推定装置30の学習済モデル記憶部321に記録されてもよい。
【0052】
強度推定モデルのアルゴリズムには、例えば、PythonのscikitlearnのExtraTreeRegressorを用いることができる(例えば、参考文献1参照)。ExtraTreeRegressorは、非常にランダム性が高くノイズや外れ値に強いことが特徴である。強度推定モデルでは,ExtraTreeRegressorとして、配合試験データを複数の決定木に分割し、各決定木によって予測された値を平均化することで、回帰を行った。具体的には、目的変数を9種類の配合ケースの28日強度の結果としたことからAI(人工知能)モデルを9個作成し、この評価に交差検証を7分割にて行うため、各モデルで7個作成した。従って、9×7=63個のAIモデルが作成され、これら63個のAIモデルを合わせて1つの強度推定モデルとした。なお、9種類の配合ケースの28日強度の結果とは、教師データが示す配合試験の各配合ケースの28日強度の測定結果である。
【0053】
(参考文献1) Pierre Geurts 他, "Extremely randomized trees," Machine Learning 63(1), 3-42, 2006
【0054】
図16は、学習装置20の処理の具体例を示すフローチャートである。まず、情報制御部231は教師データを取得する(ステップS101)。教師データは、例えばユーザーによって入力されてもよいし、他の情報機器から通信によって取得されてもよいし、学習装置20に接続された記録媒体から取得されてもよい。前処理制御部232は、教師データに対して所定の前処理を実行する(ステップS102)。学習制御部233は、前処理済教師データを用いて学習処理を実行し、学習済モデルを学習済モデル記憶部223に記録する(ステップS103)。
【0055】
図17は、推定装置30の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。推定装置30は、例えばパーソナルコンピューターやサーバー装置などの情報処理装置を用いて構成される。推定装置30は、通信部31、記憶部32及び制御部33を備える。
【0056】
通信部31は、通信機器である。通信部31は、例えばネットワークインターフェースとして構成されてもよい。通信部31は、制御部33の制御に応じて、ネットワーク70を介して他の装置とデータ通信する。通信部31は、無線通信を行う装置であってもよいし、有線通信を行う装置であってもよい。
【0057】
記憶部32は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部32は、制御部33によって使用されるデータを記憶する。記憶部32は、例えば学習済モデル記憶部321として機能してもよい。
【0058】
学習済モデル記憶部321は、予め学習処理によって生成された学習済モデルの情報を記憶する。このような学習処理は、例えば他の装置(例えば学習装置20)によって実行されてもよいし、自装置(推定装置30)によって実行されてもよい。
【0059】
制御部33は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部33は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、情報制御部331、前処理制御部332及び推定部333として機能する。なお、制御部33の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0060】
情報制御部331は、端末装置10等の他の装置から入力情報を取得する。入力情報は、セメントの種類と、9種類の配合ケースそれぞれの単位セメント量及び含水比と、強度入力対象配合ケース及び強度入力対象配合ケースの1以上の供試体の7日強度との情報を含む。強度入力対象配合ケースの情報は、9種類の配合ケースのうちいずれであるか、すなわち、CASE1-1~CASE3-3のいずれであるかを示す情報である。情報制御部331は、推定部333によって得られた推定結果を示す情報を、端末装置10等の他の装置に対して情報を送信する。このような情報制御部331による他の装置との間の情報のやりとりは、例えば通信部31による通信によって行われてもよい。
【0061】
前処理制御部332は、情報制御部331によって取得された入力情報に対して所定の前処理を実行する。すなわち、前処理制御部332は、学習装置20の前処理制御部232と同様の前処理により、入力情報を、学習済モデルに入力可能なデータ形式に変換する。例えば、前処理制御部332は、同一の種類の配合ケースについて複数の供試体の7日強度が含まれている場合、それら供試体の7日強度の平均に変換してもよい。また、前処理制御部332は、同一の種類の配合ケースについての複数の供試体の7日強度のうち、異常値を示すと判定した供試体の7日強度を入力情報から削除してもよい。
【0062】
推定部333は、学習済モデル記憶部321に記憶される学習済モデルと、前処理制御部332がデータ形式を変換した入力情報と、を用いて推定処理を行う。推定部333は、学習済モデル記憶部321に記憶される学習済モデルと、情報制御部331によって取得された入力情報と、を用いて推定処理を行ってもよい。推定処理によって、入力情報に含まれる9種類の配合ケースそれぞれの28日強度の推定値が出力される。
【0063】
続いて、推定装置30を用いた28日強度の推定について説明する。まず、試験実施者は、配合試験対象の試料(土砂)について、セメントの種類と、
図1に示すような9種類の配合ケースを検討する。試験実施者は、強度入力配合ケースの数によって、CASE1-1~3-3までのいずれの配合ケースについて少なくとも配合試験を行うかを決定する。試験実施者は、配合試験を行うと決定した1~9種類の配合ケースについて、
図2に示す配合試験のステップS1~ステップS8までを行い、7日強度を得る。
【0064】
図18は、推定装置30の処理の具体例を示すフローチャートである。情報制御部331は端末装置10から入力情報を取得する(ステップS201)。入力情報は、配合試験で使用したセメントの種類と、検討された9種類の配合ケースの単位セメント量及び含水比と、強度入力配合ケースと、配合試験により得られた強度入力配合ケースそれぞれの供試体の7日強度とを含む。前処理制御部332は、入力情報に対して前処理を行うことによって、学習済モデルに入力可能なデータ形式に変換する(ステップS202)。推定部333は、データ形式が変換された入力情報を用いて推定処理を行う(ステップS203)。推定部333は、推定結果として得られた9種類の各配合ケースの28日強度の推定値の情報を端末装置10に送信する(ステップS204)。
【0065】
なお、試験実施者は、ステップS204において出力された推定結果を参照し、異なる配合ケースの28日強度を得る必要があると判断した場合、端末装置10を用いて、配合ケースの単位セメント量及び含水比を変更した入力情報を生成する。例えば、強度入力配合ケースをCASE2-2の1種類とする。この場合、CASE1及びCASE3の単位セメント量と、CASE1-1、1-2、1-3、2-1、2-3、3-1、3-2、3-3の含水量の値を変更した入力情報を生成可能である。また、強度入力配合ケースがCASE2-1、2-2、2-3、3-2の4種類とする。この場合、CASE1の単位セメント量と、CASE1-1、1-2、1-3、3-1、3-3の含水量の値を変更した入力情報を生成可能である。また、強度入力配合ケースをCASE2-2の1種類とし、かつ、配合試験において複数の配合ケースの7日強度を測定した場合、それらの配合ケースをそれぞれCASE2-2の強度入力配合ケースとして用いた入力情報を生成することも可能である。推定装置30は、生成された入力情報を端末装置10から取得して
図18の処理を行うことで、さらなる配合試験を行うことなく、配合試験を行わなかった単位セメント量及び含水比の砂防ソイルセメントの28日強度を得ることができる。
【0066】
図19は、端末装置10に表示される入力画面の例を示す図である。入力画面において、セメントの種類(E1)と、各配合ケースの単位セメント量(E2)及び含水比(E3)と、強度入力配合ケースの各供試体の7日強度(E4)が入力される。各配合ケースのうち強度入力配合ケースがいずれであるかについては、7日強度(E4)が入力された行の先頭の配合ケース番号により特定される。
図19では、強度入力配合ケースがCASE2-1、2-2、2-3の3種類の場合を例に示している。例えば、強度入力配合ケースが1種類の場合、CASE2-2の7日強度が入力され、CASE2-1、2-3の7日強度は入力されない。推定装置30の情報制御部331は、入力画面に入力された入力情報を取得する(
図18のステップS201)。前処理制御部332は、1つの強度入力配合ケースについて複数の供試体の7日強度が入力された場合、それらの平均を求める前処理を行う(
図18のステップS202)。
図19に示す入力画面では、前処理が行われた7日強度の平均(E5)が表示されている。なお、端末装置10が、7日強度の平均を入力情報に設定してもよい。推定部333は、前処理が行われた入力情報を学習済モデルに入力して得られた各配合ケースの28日強度を端末装置10に送信する(
図18のステップS203)。端末装置10は、受信した各配合ケースの28日強度(E6)を表示する。
【0067】
なお、
図18のステップS201において、7日強度(E4)を入力せずに、7日強度の平均(E5)を入力してもよい。この場合、ステップS202において各強度入力配合ケースについて平均を求める前処理を行わなくてもよい。
【0068】
図19に示す入力画面において、強度入力配合ケースが属していないセメントケースのセメント量と、強度入力配合ケース以外の含水比とを変更することにより、他の単位セメント量及び含水比の28日強度の推定値を得ることが可能である。また、配合試験において複数の配合ケースの7日強度を測定した場合、それらのうち任意の配合ケースの7日強度をCASE2-2の強度入力配合ケースとするように、各配合ケースの単位セメント及び含水比を設定し、入力情報を変更してもよい。
【0069】
上記のように構成された推定システム100では、少なくとも1種類の配合ケースの少なくとも1つの供試体の7日強度の情報を用いることによって、複数種類の配合ケースの28日強度を推定することが可能となる。具体的には以下の通りである。推定システム100は、配合試験の結果得られた複数の配合ケースの7日強度及び28日強度の配合試験データを用いて機械学習による学習処理を実行し、学習済モデルを得る。そして、推定システム100は、28日強度の推定対象となる複数の配合ケースの少なくとも一部の配合ケースについて行った配合試験の7日強度についての新たな入力情報を取得し、取得した入力情報に基づいて推定対象の複数の配合ケースそれぞれの28日強度の推定情報を取得する。
【0070】
上記では、配合ケースが9種類である場合について説明したが、配合ケースの種類は9以外でもよい。また、
図18の処理において推定装置30に入力された入力情報と、その入力情報を用いて得られた推定結果とに基づいて生成された教師データを、
図16の学習処理において用いてもよい。
【0071】
図20は、本実施形態に適用される情報処理装置90のハードウェア構成例の概略を示す図である。情報処理装置90は、プロセッサー91、主記憶装置92、通信インターフェース93、補助記憶装置94、入出力インターフェース95及び内部バス96を備える。プロセッサー91、主記憶装置92、通信インターフェース93、補助記憶装置94及び入出力インターフェース95は、内部バス96を介して互いに通信可能に接続される。情報処理装置90は、例えば学習装置20及び推定装置30に適用されてもよい。この場合、例えば通信部21及び通信部31は通信インターフェース93を用いて構成されてもよい。例えば記憶部22及び記憶部32は補助記憶装置94を用いて構成されてもよい。また、制御部23及び制御部33は、プロセッサー91及び主記憶装置92を用いて構成されてもよい。
【0072】
(変形例)
本実施形態では、端末装置10と推定装置30とが異なる装置として構成されているが、一体の装置として構成されてもよい。
図21は、このように構成された推定装置30の変形例を示す図である。
図21に示される推定装置30は、入力部34、出力部35を備える。
図21に示される推定装置30の入力部34、出力部35は、それぞれ端末装置10の入力部12、出力部13と同様に機能する。制御部33は、入力部34に対する操作に応じて動作し、入力された入力情報を用いて推定処理を行い、出力部35を用いて情報を出力する。
【0073】
本実施形態では、学習装置20と推定装置30とが異なる装置として構成されているが、一体の装置として構成されてもよい。
図22は、このように構成された推定装置30の変形例を示す図である。
図22に示される推定装置30の記憶部32は、教師データ記憶部322及び前処理済教師データ記憶部323としても機能する。
図22に示される推定装置30の制御部33は、学習制御部334としても機能する。教師データ記憶部322及び前処理済教師データ記憶部323は、それぞれ学習装置20の教師データ記憶部221及び前処理済教師データ記憶部222と同様に機能する。前処理制御部332は、推定装置30の前処理(入力情報に対する前処理)のみではなく、学習装置20の前処理(教師データに対する前処理)も実行する。学習制御部334は、学習装置20の学習制御部233と同様に機能する。
【0074】
また、学習装置20と推定装置30とを異なる装置として構成する場合でも、推定装置30は学習済モデル記憶部321として、学習装置20の学習済モデル記憶部223を用いてもよい。
【0075】
学習装置20は、複数の情報処理装置を用いて実装されてもよい。例えば、クラウド等の装置を用いて学習装置20が実装されてもよい。例えば、学習装置20において、記憶部22と制御部23とがそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。例えば、学習装置20の記憶部22が複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。推定装置30は、複数の情報処理装置を用いて実装されてもよい。例えば、クラウド等の装置を用いて推定装置30が実装されてもよい。例えば、推定装置30において、記憶部32と制御部33とがそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。例えば、推定装置30の記憶部32が複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0076】
また、学習装置20の学習制御部233及び推定装置30の学習制御部334は、セメントの種類毎に強度推定モデルを作成してもよい。この場合、推定装置30の推定部333は、入力情報に含まれるセメントの種類の情報に基づいて学習済モデルを選択し、選択した学習済モデルにセメントの種類の情報を除く入力情報を入力し、複数の配合ケースそれぞれの28日強度の推定値を得る。
【0077】
本実施形態の学習済モデルを用いた予測の精度の評価実験について説明する。学習済モデルには、ExtraTreeRegressorを用いた。学習装置20により、2つの学習済モデルを学習した。一つは、3034の教師データを用い、もう一つは、2178の教師データを用いた。
図2に示す手順により行われた評価試験のデータに基づいて、強度入力対象配合ケースを1種類から順に9種類まで増やした入力情報を生成した。推定装置30は、各学習済モデルに入力情報を入力して、9種類の配合ケースそれぞれの28日強度の推定結果を得た。得られた各推定結果について決定係数R
2を求めた。いずれの学習済モデルの場合も、強度入力対象配合ケースが1種類から9種類までのいずれについても、決定係数R
2は0.8以上であり、強度入力対象配合ケースの数が多いほど精度が上昇した。
【0078】
図23は、実際に行った従来の配合試験の28日強度および本実施形態を用いた28日強度の推定結果を示す図である。本実施形態による予測を、強度入力配合ケースが1種類の場合(以下、「1ケース予測結果」と記載)と、3種類の場合(以下、「3ケース予測結果」)との2パターンについて行った。符号F1、F2、F3は、従来の配合試験により得られた実測の28日強度、符号G1、G2、G3は、1ケース予測結果(AI_1)、符号H1、H2、H3は、3ケース予測結果(AI_3)である。また、符号F1、G1、H1はセメント量が50(C-50)、符号F2、G2、H2はセメント量が100(C-100)、符号F3、G3、H3はセメント量が150(C-150)である。
【0079】
1ケース予測結果の決定係数(R2値)は0.83、3ケース予測結果の決定係数(R2値)は0.90であった。3ケース予測結果のほうが高精度ではあるものの、自然土のバラツキを勘案すれば、1ケース予測結果のズレは、非常に軽微である。上記のように、高い推定精度により9種類の配合ケースの28日強度の推定結果が得られた。
【0080】
以上説明した実施形態によれば、物理的な配合試験のために作製する供試体を従来の9ケース3本ずつの54本から、1ケースの3本、あるいは、1ケースの1本を最低本数とすることができる。また、配合試験のための土砂の採取量が大幅に減少する。また、配合試験の結果判明までが従来の28日から7日に短縮されるため、工期が削減される。また、当初の配合ケースにおいて要求品質を満足しない場合でも、入力情報における配合ケースの設定を変更することで、追加の配合試験を行うことなく、示方配合の決定に有用な情報を得ることができる。従って、追加試料の採取や工期の増大、これらに伴う費用の増大のリスクが軽減される。また、試料採取現場から配合試験施設が離れている場合や、試料の運搬が困難な場合、JIS規格の試験を採取場所近辺で実施し、1配合ケースの供試体3本又は1本を現地で作成し、7日強度の情報を取得して入力データに用いることで、示方配合の検討を行うことが可能となる。例えば、1配合ケース分の供試体の配合試験用キットであれば運搬が容易であるため、例えば、現場が海外である場合などでも、現場において15kg程度の土砂を採取し、7日強度を測定することで、示方配合に必要なデータを短期間で得ることが可能となる。上記では、砂防ソイルセメントを例に説明したが、土砂、固化材及び水を混合するソイルセメントに適用可能である。
【0081】
以上説明した実施形態によれば、推定システムは、学習制御部と、推定部とを有する。学習装置が学習制御部を有し、推定装置が推定部を有してもよい。学習制御部は、ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の配合ケースそれぞれのソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、入力された固化材量及び含水量の複数種類の配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する。推定部は、学習された強度推定モデルに、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の複数種類の配合ケースのうち1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された固化材量及び含水量の複数種類の配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る。例えば、第一期間は上述した実施形態では7日であり、第二期間は上述した実施形態では28日である。第一期間はセメントの水和反応が進んでいない期間であり、第二期間は材料が硬化していることが保障できる強度までセメントの水和反応が得られたかどうかを確認可能な期間である。
【0082】
教師データはさらに固化材の種類の情報を含んでもよい。強度推定モデルは、さらに、固化材の種類を入力とする。推定部は、強度推定モデルに、固化材の種類と、複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、1以上の配合ケースのソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、入力された種類の固化材を用いた複数種類の配合ケースそれぞれのソイルセメントの第二期間強度の出力を得る。
【0083】
また、上記の実施形態では、第一期間強度よりも第二期間強度のほうが高い場合の例を説明したが、第一期間強度よりも第二期間強度の方が低いソイルセメントの場合にも適用可能である。
【0084】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0085】
100…推定システム, 10…端末装置, 11…通信部, 12…入力部, 13…出力部, 14…記憶部, 15…制御部, 20…学習装置, 21…通信部, 22…記憶部, 221…教師データ記憶部, 222…前処理済教師データ記憶部, 223…学習済モデル記憶部, 23…制御部, 231…情報制御部, 232…前処理制御部, 233…学習制御部, 30…推定装置, 31…通信部, 32…記憶部, 321…学習済モデル記憶部, 322…教師データ記憶部, 323…前処理済教師データ記憶部, 33…制御部, 331…情報制御部, 332…前処理制御部, 333…推定部, 334…学習制御部, 34…入力部, 35…出力部
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、第二期間強度推定対象のソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記推定対象配合ケースのうち一部の推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、前記第一期間強度が入力されなかった前記推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部、
を備える学習装置。
【請求項2】
配合試験を行ったソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記配合試験の結果得られた複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、前記配合試験を行ったソイルセメントに用いられた土砂とは異なる土砂を用いたソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記推定対象ソイルセメントについて測定された1以上の前記推定対象配合ケースの第一期間強度とを入力とし、入力された複数種類の前記推定対象配合ケースそれぞれの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部、
を備える学習装置。
【請求項3】
前記教師データはさらに固化材の種類の情報を含み、
前記学習制御部は、さらに固化材の種類を入力とし、前記推定値を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する、
請求項1又は請求項2に記載の学習装置。
【請求項4】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、第二期間強度推定対象のソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記推定対象配合ケースのうち一部の推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、前記第一期間強度が入力されなかった前記推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値の出力を得る推定部、
を備える推定装置。
【請求項5】
配合試験を行ったソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記配合試験の結果得られた複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、前記配合試験を行ったソイルセメントに用いられた土砂とは異なる土砂を用いたソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記推定対象ソイルセメントについて測定された1以上の前記推定対象配合ケースの第一期間強度とを入力することにより、入力された複数種類の前記推定対象配合ケースそれぞれの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値の出力を得る推定部、
を備える推定装置。
【請求項6】
前記教師データはさらに固化材の種類の情報を含み、
前記推定部は、前記強度推定モデルに、さらに固化材の種類を入力することにより、前記推定値の出力を得る、
請求項4又は請求項5に記載の推定装置。
【請求項7】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、第二期間強度推定対象のソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記推定対象配合ケースのうち一部の推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、前記第一期間強度が入力されなかった前記推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部と、
第二期間強度推定対象の複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の推定対象配合ケースのうち一部の推定対象配合ケースの推定対象ソイルセメントの第一期間強度とを含んだ入力情報を取得し、取得した前記入力情報を前記強度推定モデルに入力することにより、前記入力情報に含まれ、かつ、前記入力情報により前記第一期間強度が入力されなかった前記推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値の出力を得る推定部と、
を備える推定システム。
【請求項8】
配合試験を行ったソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記配合試験の結果得られた複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、前記配合試験を行ったソイルセメントに用いられた土砂とは異なる土砂を用いたソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記推定対象ソイルセメントについて測定された1以上の前記推定対象配合ケースの第一期間強度とを入力とし、入力された複数種類の前記推定対象配合ケースそれぞれの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習制御部と、
第二期間強度推定対象の複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、第二期間強度推定対象の前記複数種類の推定対象配合ケースのうち1以上の推定対象配合ケースの推定対象ソイルセメントの第一期間強度とを含んだ入力情報を取得し、取得した前記入力情報を前記強度推定モデルに入力することにより、前記入力情報に含まれる複数種類の前記推定対象配合ケースそれぞれの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値の出力を得る推定部と、
を備える推定システム。
【請求項9】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、第二期間強度推定対象のソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記推定対象配合ケースのうち一部の推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第一期間強度とを入力とし、前記第一期間強度が入力されなかった前記推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習ステップ、
を有する学習方法。
【請求項10】
配合試験を行ったソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記配合試験の結果得られた複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて、前記配合試験を行ったソイルセメントに用いられた土砂とは異なる土砂を用いたソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記推定対象ソイルセメントについて測定された1以上の前記推定対象配合ケースの第一期間強度とを入力とし、入力された複数種類の前記推定対象配合ケースそれぞれの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値を出力する強度推定モデルを機械学習により学習する学習ステップ、
を有する学習方法。
【請求項11】
ソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、第二期間強度推定対象のソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、複数種類の前記推定対象配合ケースのうち一部の推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第一期間強度とを入力することにより、前記第一期間強度が入力されなかった前記推定対象配合ケースの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値の出力を得る推定ステップ、
を有する推定方法。
【請求項12】
配合試験を行ったソイルセメントの複数種類の配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記配合試験の結果得られた複数種類の前記配合ケースそれぞれの前記ソイルセメントの第一期間経過後の強度である第一期間強度及び前記第一期間よりも長い第二期間経過後の強度である第二期間強度とを示す教師データを用いて学習された強度推定モデルに、前記配合試験を行ったソイルセメントに用いられた土砂とは異なる土砂を用いたソイルセメントである推定対象ソイルセメントについての第二期間強度推定対象の配合ケースである複数種類の推定対象配合ケースそれぞれの固化材量及び含水量と、前記推定対象ソイルセメントについて測定された1以上の前記推定対象配合ケースの第一期間強度とを入力することにより、入力された複数種類の前記推定対象配合ケースそれぞれの前記推定対象ソイルセメントの第二期間強度の推定値の出力を得る推定ステップ、
を有する推定方法。
【請求項13】
コンピューターを、
請求項1又は請求項2に記載の学習装置として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
コンピューターを、
請求項4又は請求項5に記載の推定装置として機能させるためのプログラム。