(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158017
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用速度計試験機
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G01M17/007 A
G01M17/007 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072797
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000135737
【氏名又は名称】株式会社バンザイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】海老原 康輔
(72)【発明者】
【氏名】永島 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中山 雄一郎
(57)【要約】
【課題】従来のスピードメーターの試験機は、設定が難しいという欠点があった。
【解決手段】本発明の車両用速度計試験機は、左側の枠体部と、該左側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の左側の前輪又は後輪を支持する複数の左側のローラー部と、右側の枠体部と、該右側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の右の前輪又は後輪を支持する複数の右のローラー部と、前記各左側のローラー部と、対応する前記各右側のローラー部とをそれぞれ同軸で連結する連結手段と、前記各右側のローラー部及び前記各左側のローラー部の少なくとも一方のローラー部にそれぞれ設けた回転数を検知する回転数検知装置と、該各回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数に基づいて、前記被試験車両の速度を演算する演算部とよりなることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の前輪又は後輪を支持する複数のローラーと、
該各ローラーの回転数をそれぞれ検知する回転数検知装置と、
該各回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数に基づいて、前記被試験車両の速度を演算する演算部と
よりなることを特徴とする車両用速度計試験機。
【請求項2】
左側の枠体部と、該左側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の左側の前輪又は後輪を支持する複数の左側のローラー部と、
右側の枠体部と、該右側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の右の前輪又は後輪を支持する複数の右のローラー部と、
前記各左側のローラー部と、対応する前記各右側のローラー部とをそれぞれ同軸で連結する連結手段と、
前記各右側のローラー部及び前記各左側のローラー部の少なくとも一方のローラー部にそれぞれ設けた回転数を検知する回転数検知装置と、
該各回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数に基づいて、前記被試験車両の速度を演算する演算部と
よりなることを特徴とする車両用速度計試験機。
【請求項3】
左側の枠体部と、該左側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の左側の前輪又は後輪を支持する複数の左側のローラー部と、
右側の枠体部と、該右側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の右の前輪又は後輪を支持する複数の右のローラー部と、
前記各右側のローラー部及び前記各左側のローラー部にそれぞれ設けた回転数を検知する回転数検知装置と、
前記各左側のローラー部の回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数と、前記各右側のローラー部の回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数との平均値の回転数に基づいて、前記被試験車両の速度を演算する演算部と
よりなることを特徴とする車両用速度計試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、FF車(前輪駆動車)やFR車(後輪駆動車)に加えて、4WD車(4輪駆動車)のスピードメータ(速度計)も試験(検査)できる車両用速度計試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車検などにおいて、前輪駆動車や後輪駆動車に加えて、例えば、
図4に示すように、フルタイム4WD車の被試験車両1のスピードメーター検査もできるようにするために、速度計を検査できる車両用速度計試験機2を、試験場の床3に前後に離間して2台埋め込んで設置し、左右の前輪を支持する前側の試験機2を固定式とし、左右の後輪を支持する後側の試験機2を移動式とし、前記被試験車両1の車軸間距離(ホイールベース)に合わせて、前記移動式の試験機2を前後方向に移動できるようにしている(特許文献1)。
【0003】
なお、前記車両用速度計試験機2は、ブレーキテストもできる複合試験機であってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-264218号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記車両用速度計試験機2が高価であり、また、移動式の試験機の移動駆動機構や、前後の試験機間の距離を制御する制御装置を必要として、装置が複雑になると共に、更に、高価となる問題点があった。
【0006】
また、移動式の試験機は大きいため、狭い店舗への設置は難しかった。
【0007】
そのため、例えば、
図5及び
図6に示すように、前側のみを速度計を検査できる固定式の車両用速度計試験機2とし、後側は、速度計試験手段や試験機移動手段の無い、単に左右の後輪を支持するだけの固定式多軸フリーローラー装置4を試験場の床面3の凹部3aに埋め込んで設置すると共に、
図7に示すように、速度計試験手段の無い、単に各左右の車輪を支持するだけの、試験場内を移動可能な左右1対のポータブルフリーローラー装置5、5を別途設けて、構造を簡略し、費用を安くしたものもある。
【0008】
なお、前記固定式多軸フリーローラー装置4は、例えば、
図6に示すように、前後方向に対して直交すると共に水平方向に延びる回転軸を有する、前後方向に離間して設けた複数の回転自在なフリーローラー4aからなり、該固定式多軸フリーローラー装置4は前後方向に長く構成されているので、前記被試験車両1のホイールベースの長さにかかわらず、前記いずれかのフリーローラー4a上に左右の後輪を支持できるようになる。
【0009】
なお、
図6においては、前記固定式多軸フリーローラー装置4を現場での設置を容易にするために、前記各フリーローラー4aをそれぞれ左右2つに分離した、左側後輪を支持する左側ユニット4Aと、右側後輪を支持する右側ユニット4Bと2つからなる固定式多軸フリーローラー装置4の例を示しているが、一本のフリーローラー4aにより、左右の後輪を支持できる固定式多軸フリーローラー装置4としてもよい。
【0010】
また、前記左右の各ポータブルフリーローラー装置5、5は、
図7に示すように、それぞれ、前後方向に対して直交すると共に水平方向に延びる回転軸を有する、前後方向に離間して設けた2本一対の回転自在なフリーローラー5a、5aからなる。
【0011】
そして、4WD車の速度計を検査する場合は、主となる駆動軸を試験装置に乗せて測定する必要があるため、前輪が主となる被試験車両1の場合は、
図8に示すように、左右の前輪を前記車両用速度計試験機2に支持させると共に、左右の後輪を前記固定式多軸フリーローラー装置4に支持させて、前輪においてスピードメーター検査を行うようにする。
【0012】
また、後輪が主となる駆動軸となる場合は、
図9に示すように、被試験車両1の左右の前輪が位置する場所に、それぞれ前記左右のポータブルフリーローラー装置5、5を位置させて設置し、左右の後輪を前記車両用速度計試験機2に支持させると共に、左右の前輪を、それぞれ前記ポータブルフリーローラー装置5、5に支持させて、後輪においてスピードメーター検査を行うようにする。
【0013】
このようにすることにより、駆動軸が前輪、又は、後輪であっても、4WD車のスピードメーターの検査ができるようにしている。
【0014】
なお、前記固定式の車両用速度計試験機2は、例えば、
図5、
図6に示すように、床3の凹部3bに埋め込まれ、例えば、左右の前輪を支持する前後のローラー2a、2bと、これらローラー2a、2b間で前輪を昇降するリフト2cと、前輪の回転数検知手段等(図示せず)とよりなる。
【0015】
なお、
図6において、前記車両用速度計試験機2も、左側ユニット2Aと、右側ユニット2Bとに分離した例を示すが、1本のローラーにより左右の車輪を支持する一体ものとしてもよい。
【0016】
また、
図8、
図9中のタイヤ内に記載の「駆」とは、主な駆動軸を示す。
【0017】
しかしながら、前記ポータブルフリーローラー装置5においては、設置の際、該装置の左右の位置出しが難しく、正しい位置に設置しないと検査時の振動や車両の横流れが発生する可能性があった。
【0018】
本発明は、前記の欠点を除くようにしたものである。
【0019】
なお、上記説明においては、前側に車両用速度計試験機2を設置し、後側に固定式多軸フリーローラー装置4を設置した場合を例として説明したが、後側に車両用速度計試験機2を設置し、前側に固定式多軸フリーローラー装置4を設置するなど、車両用速度計試験機2及び固定式多軸フリーローラー装置4の設置位置に限定は無く自由である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の車両用速度計試験機は、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の前輪又は後輪を支持する複数のローラーと、該各ローラーの回転数をそれぞれ検知する回転数検知装置と、該各回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数に基づいて、前記被試験車両の速度を演算する演算部とよりなることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の車両用速度計試験機は、左側の枠体部と、該左側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の左側の前輪又は後輪を支持する複数の左側のローラー部と、右側の枠体部と、該右側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の右の前輪又は後輪を支持する複数の右のローラー部と、前記各左側のローラー部と、対応する前記各右側のローラー部とをそれぞれ同軸で連結する連結手段と、前記各右側のローラー部及び前記各左側のローラー部の少なくとも一方のローラー部にそれぞれ設けた回転数を検知する回転数検知装置と、該各回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数に基づいて、前記被試験車両の速度を演算する演算部とよりなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の車両用速度計試験機は、左側の枠体部と、該左側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の左側の前輪又は後輪を支持する複数の左側のローラー部と、右側の枠体部と、該右側の枠体部内に、前後方向にそれぞれ離間して設けた、被試験車両の右の前輪又は後輪を支持する複数の右のローラー部と、前記各右側のローラー部及び前記各左側のローラー部にそれぞれ設けた回転数を検知する回転数検知装置と、前記各左側のローラー部の回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数と、前記各右側のローラー部の回転数検知装置から取得した回転数のうち最大の回転数との平均値の回転数に基づいて、前記被試験車両の速度を演算する演算部とよりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、例えば、従来の固定式のブレーキ・速度複合試験機などの車両用速度計試験機と組み合わせて使用することで、色々な駆動方式(FF・FR・4WD等)の被試験車両であっても、試験機を該被測定車両のホイールベースに合わせて移動させる必要がなく、また、駆動輪が前輪後輪どちらであっても、速度計の誤差を計測できるようになる。
【0024】
また、本発明の車両用速度計試験機は床に埋め込んで設置した固定式であるので、コストが安く、また、別途、ポータブルフリーローラー装置などを用いないので、装置の位置出しなどが不要で、簡単に試験ができるようになる。
【0025】
また、本発明の車両用速度計試験機は、車輪を支持するローラーのみが回転し、他のローラーは回転しないので、検査中の周囲に立っている人の巻き込み当の事故の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の車両用速度計試験機による試験方法の説明用側面図である。
【
図2】本発明の車両用速度計試験機の説明用平面図である。
【
図3】本発明の他の実施例の車両用速度計試験機の説明用平面図である。
【
図4】従来の装置による試験方法の説明用側面図である。
【
図5】従来の他の装置による試験方法の説明用側面図である。
【
図6】従来の車両用速度計試験機と固定式多軸フリーローラー装置の説明用平面図である。
【
図7】従来のポータブルフリーローラー装置の説明用平面図である。
【
図8】従来の他の装置による試験方法の説明用側面図である。
【
図9】従来の他の装置による試験方法の説明用側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面によって本発明の実施例を説明する。
【0028】
なお、従来例の説明と同じ部分には、同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例0029】
(1.車両用速度計試験機の構造の説明)
【0030】
本発明においては、従来における固定式多軸フリーローラー装置4及びポータブルフリーローラー装置5を用いる代わりに、
図1及び
図2に示すように、前記床3の凹部3cに埋め込まれて固定される枠体6と、該枠体6内に、左右の後輪を支持する、前後方向に対して直交すると共に水平方向に延びる回転軸を有する、前後方向に所望の距離、それぞれ離間して設けた複数の回転フリーローラー7と、該各フリーローラー7の回転を検知する回転数検知装置8と、該各回転数検知装置8から取得した回転数のうち最大の回転数に基づいて、被試験車両1の速度に換算(演算)する速度演算部9と、演算された結果を表示する表示部10とよりなる車両用速度計試験機11を用いる。
【0031】
なお、前記回転数検知装置8としては、例えば、前記フリーローラー7の軸端部に直結したロータリーエンコーダなどあるが、前記フリーローラー7の回転数を検知できるものであれば、接触式の機械式、非接触式の光学式、磁気式、画像認識式など、特に、制限はない。
【0032】
また、前記フリーローラー7の数は、多くの車両を検査できるように、少なくとも3本以上、例えば、6本や,8本や、10本や、または、それ以上の本数などがあるが、特に本数の制限はない。
【0033】
また、前記フリーローラー7の数や、隣接するフリーローラー7間の各距離は、想定される被試験車両のホイールベースをもとに設計され、前記車両用速度計試験機11は、前後方向に長く形成されている。
【0034】
また、前記速度演算部9は、例えば、前記各回転数検知装置8から取得した回転数のうち最大の回転数を選ぶ(演算する)第一の演算部と、該最大の回転数から被測定車の速度を演算する第二の演算部とよりなる。
【0035】
また、本実施例においては、前側に前記従来の固定式の車両用速度計試験機2を設置し、後側に本発明の固定式の前記車両用速度計試験機11を設置した例を説明するが、後側に従来の固定式の前記車両用速度計試験機2を設置し、前側に本発明の固定式の前記車両用速度計試験機11を設置するなど、該車両用速度計試験機11の設置位置に限定はない。
【0036】
また、左右の後輪又は前輪の車輪を支持する前記車両用速度計試験機11を一体として形成してもよいが、装置が非常に大きくなる。
【0037】
そこで、
図2に示すように、前記枠体6を、左側枠体部6aと、右側枠体部6bとに分割すると共に、左右の車輪を支持する回転フリーローラー7を、左側の車輪を支持する左側ローラー部7aと、右側の車輪を支持する右側ローラー部7bとに分割し、前記各左側ローラー部7aを、前記左側枠体部6a内に、前後方向に所望の距離離間して配置して設けて、左側ローラーユニット部11Aとし、また、前記各右側ローラー部7bを、前記右側枠体部6b内に、前後方向に所望の距離離間して配置して設けて、右側ローラーユニット部11Bとし、そして、前記各左側ローラー部7aと、該左側ローラー部7aに対応する、前記各右側ローラー部7bとを、それぞれ連結カップリング部7cを介して連結シャフト7dにより、左右のローラーが一体で回転すると共に、同軸(同一中心線上)になるように連結してもよい。
【0038】
なお、12は、前記枠体6を前記床3の凹部3c内に固定するための枠固定具を示す。
【0039】
また、13は、前記各回転数検知装置8からの回転数情報を前記速度演算部9に伝達する信号線を示す。
【0040】
なお、
図3に示すように、前記各左側ローラー部7aと、該左側ローラー部7aに対応する、前記各右側ローラー部7bとを、それぞれ連結シャフト7dにより連結せずに、左右のローラー部7a、7bがそれぞれ独立に回転するようにしてもよい。
【0041】
かかる場合は、各左右のローラー部7a、7bにそれぞれ回転数検知装置8a、8bを設け、また、前記速度演算部9は、各左側のローラー部7aの回転数検知装置8aから取得した回転数のうち最大の回転数と、各右側のローラー部7bの回転数検知装置8bから取得した回転数のうち最大の回転数との平均値の回転数を演算し、該演算した回転数に基づいて、被試験車両1の速度に換算(演算)するようにする。
【0042】
即ち、前記速度演算部9の第一の演算部の代わりに、各左側のローラー部7aの回転数検知装置8aから取得した回転数のうち最大の回転数と、各右側のローラー部7bの回転数検知装置8bから取得した回転数のうち最大の回転数との平均値の回転数を演算する第三の演算部を設けるようにしてもよい。
【0043】
なお、13aは、前記各左側のローラー部7aの回転数検知装置8aからの回転数情報を、前記速度演算部9に伝達する信号線を示し、13bは、前記各右側のローラー部7bの回転数検知装置8bからの回転数情報を、前記速度演算部9に伝達する信号線を示す。
【0044】
次に、本発明の車両用速度計試験機の設置方法、使用方法とその効果について説明する。
【0045】
(2.車両用速度計試験機の設置の説明)
【0046】
例えば、前側に従来の固定式の前記車両用速度計試験機2を床3の凹部3b内に設置し、後側に本発明の前記車両用速度計試験機11の左側ローラーユニット部11A及び右側ローラーユニット部11Bをそれぞれ床3の凹部3c内に固定して設置する。
【0047】
なお、該車両用速度計試験機11は、左側ローラーユニット部11Aと、右側ローラーユニット部11Bに分割されているので、施工現場での設置が容易になる。
【0048】
そして、前記各左側ローラー部7aと各右側ローラー部7bとを、連結カップリング部を介して、連結シャフト7dにより、それぞれ同軸となるように連結する。
【0049】
なお、前記各左側ローラー部7aと各右側ローラー部7bとを、連結シャフト7dにより連結しない場合には、各左右のローラー部に、それぞれ回転検知装置8a、8bを設けるようにする。
【0050】
そして、左右のローラーの平行度を出すように調整されて、設置が完了する。
【0051】
なお、後側に従来の固定式の前記車両用速度計試験機2を設置し、前側に本発明の前記車両用速度計試験機11を設置するなど、該車両用速度計試験機11の設置位置に制限はない。
【0052】
また、前記車両用速度計試験機11は、設置後は、床面に対してフラットになり、床面上に突起物が出ないように設置される。
【0053】
なお、前記車両用速度計試験機11は、従来の固定式多軸フリーローラー装置4をもとに、左右のローラーを連結し1本のローラーとし、そして、各ローラーに回転数検知装置8を設ける、或いは、左右のローラーを連結せず、各左右のローラーに回転数検知装置8a、8bをそれぞれ設け、そして、速度演算部9と表示部10と設けるようにすれば、従来の固定式多軸フリーローラー装置のピットを活用して、本願発明の車両用速度計試験機11を設置でき、コストを下げることができるようになる。
【0054】
(3.試験機による試験の説明)
【0055】
4WD車のスピードメーターの試験を行うには、被試験車両1の左右の前輪が、前記車両用速度計試験機2に支持される位置まで、被試験車両1を移動する。
【0056】
これにより、前記車両用速度計試験機11の前後方向の長さは、想定される被試験車両のホイールベースをもとに設計されているため、被試験車両1の左右の後輪は、前記車両用速度計試験機11のいずれかのローラー7により支持されるようになる。
【0057】
そして、例えば、前輪が主となる駆動軸の被試験車両1においては、前記車両用速度計試験機2により、スピードメーターの試験を行うようにする。
【0058】
また、後輪が主となる駆動軸の被試験車両1においては、前記車両用速度計試験機11により、スピードメーターの試験を行うようする。
【0059】
即ち、前記車両用速度計試験機11の複数のローラー7のうち、左右の車輪を支持するローラー7のみが、前記車輪の回転に従って回転するので、該ローラー7の回転数に基づき速度を演算すれば、速度を計測することができ、従って、前記速度演算部9が、前記各フリーローラーから検知された回転数のうち最大の回転数に基づいて速度に換算して演算し、前記表示部により該速度が表示することにより、該速度に基づき、被試験車両1の速度計の誤差を計測するようになる。
【0060】
なお、被試験車両1の左右の車輪が、前後の2つのローラー7に支持される時でも、前記速度演算部8により、最大の回転数に基づいて速度が演算されるので、即ち、早く回転する側のローラーに基づき速度が演算されるので、被測定車両1の速度を演算することができるようになる。
【0061】
また、左右のローラーが分離されている場合でも、各左側の回転数のうち最大の回転数と、各右側の回転数のうち最大の回転数との平均値の回転数を演算し、かかる回転数をもとに、被試験車両の速度を演算するので、速度計の試験ができるようになる。
【0062】
本発明によれば、簡単な構成により、例えば、従来の固定式のブレーキ・速度複合試験機などの車両用速度計試験機と組み合わせて使用することで、色々な駆動方式(FF・FR・4WD等)の被試験車両であっても、試験機を該被測定車両のホイールベースに合わせて移動させる必要がなく、また、駆動輪が前輪後輪どちらであっても、簡単に速度計の誤差を計測できるようになる。
【0063】
また、車輪を支持するローラーのみが回転し、他のローラーは回転しないので、安全性が高い。