(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158025
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電磁コイルユニット
(51)【国際特許分類】
H01F 7/06 20060101AFI20241031BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20241031BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01F7/06 L
F16K31/06 305C
H01F7/06 J
H01F7/06 K
H01F7/16 R
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072817
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100213757
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 詩人
(72)【発明者】
【氏名】濱田 正吾
(72)【発明者】
【氏名】三留 陵
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DA08
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB22
3H106DB32
3H106EE13
3H106KK23
5E048AB01
5E048AD02
5E048CB07
(57)【要約】
【課題】放熱性能を向上させることができる電磁コイルユニットを提供する。
【解決手段】巻線41の軸線A1がX方向において交差板部51の中央部からずれて配置されていることで、外函5の内部かつコイル部4の周囲の空間において、軸線A1を挟んでX方向の両側に温度差を生じさせることができ、この温度差によってX方向の気流を発生させることができる。コイル部4のY方向寸法が、一対の連結板部53,54同士の間隔の64~87%であることで、上記の気流がコイル部4と連結板部53,54との間を効率よく通過することができ、放熱性能を向上させることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル部と、前記コイル部の外側に配置される外函と、を備えて電磁弁において流路を切り換えるための電磁コイルユニットであって、
前記コイル部は、所定の軸線の周りに螺旋状に形成された巻線を有し、
前記外函は、前記コイル部を前記軸線の方向から挟み込む一対の交差板部と、前記一対の交差板部同士を連結する一対の連結板部と、を有し、前記一対の交差板部同士の対向方向および前記一対の連結板部同士の対向方向の両方に直交する方向を延在方向とする四角形筒状に形成され、
前記軸線は、前記延在方向において、前記交差板部の中央部からずれて配置され、
前記一対の連結板部同士の対向方向において、前記コイル部の寸法が、前記一対の交差板部同士の間隔の64~87%であることを特徴とする電磁コイルユニット。
【請求項2】
前記外函の前記延在方向が鉛直方向に沿うとともに、前記軸線が前記中央部に対して下方側に配置されるように、前記電磁弁に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電磁コイルユニット。
【請求項3】
前記軸線の前記中央部からのずれ量は、前記延在方向における前記交差板部の寸法の2~10%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁コイルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に用いられる電磁コイルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、巻線に通電することによって巻線の内側に配置された固定鉄心を励磁し、可動鉄心を移動させることで流路を切り換える電磁弁が知られている。このような電磁弁として、巻線としてのソレノイドコイルを内部に保持し、磁路を形成するフレームを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電磁弁では、フレームが、中空ボビンの中心軸線方向の一端部と当接する端板部と、端板部に結合された一対の側板部と、側板部のそれぞれから延びる中心軸線に向かって延びる延長部と、を有して一部品として形成されている。これにより、断面C字状のフレームに対して磁束損失の改善を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電磁弁では、四角形筒状のフレームによって巻線を囲むように磁路を形成して磁束損失を低減することはできるものの、巻線の通電時に発生する熱をフレームの外側に放熱しにくいという不都合があった。例えば、低コスト化のために、巻線を構成する導線の断面積またはターン数を減らして導線の使用量を削減した場合、抵抗値が上昇するか、又は、起磁力確保のために必要な電流が大きくなる。発熱の要因となる抵抗損は電流および抵抗値の両方に依存して大きくなるため、上記のように導線の使用量を削減すると発熱しやすくなる。このため、電磁駆動弁に用いられる電磁コイルユニットにおいて放熱性能を向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明の目的は、放熱性能を向上させることができる電磁コイルユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁コイルユニットは、コイル部と、前記コイル部の外側に配置される外函と、を備えて電磁弁において流路を切り換えるための電磁コイルユニットであって、前記コイル部は、所定の軸線の周りに螺旋状に形成された巻線を有し、前記外函は、前記コイル部を前記軸線の方向から挟み込む一対の交差板部と、前記一対の交差板部同士を連結する一対の連結板部と、を有し、前記一対の交差板部同士の対向方向および前記一対の連結板部同士の対向方向の両方に直交する方向を延在方向とする四角形筒状に形成され、前記軸線は、前記延在方向において、前記交差板部の中央部からずれて配置され、前記一対の連結板部同士の対向方向において、前記コイル部の寸法が、前記一対の交差板部同士の間隔の64~87%であることを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、巻線の軸線が交差板部の中央部からずれて配置されていることで、巻線には、外函の延在方向において、外側空間に近い部分と遠い部分とが形成される。巻線は、外側空間に近い方が冷却されやすいことから、外函の内部かつコイル部の周囲の空間において、軸線を挟んで両側に温度差を生じさせることができる。この温度差によって気圧差が生じ、高圧側(低温側)から低圧側(高温側)に向かう気流を発生させることができる(換言すると、この温度差によって密度差が生じ、高密度側(低温側)から低密度側(高温側)に向かう気流を発生させることができる)。上記のように気流が生じる方向(延在方向)と直交する方向である一対の連結板部同士の対向方向において、コイル部の寸法が、一対の交差板部同士の間隔の64~87%であることで、上記の気流がコイル部と連結板部との間を効率よく通過することができ、放熱性能を向上させることができる。
【0008】
これに対し、コイル部の上記寸法が、一対の連結板部同士の間隔に対して大きすぎると、コイル部と連結板部との間の隙間が小さくなり、気流が通過しにくくなって充分な放熱性能を得にくくなる。また、コイル部の上記寸法が、一対の連結板部同士の間隔に対して小さすぎると、上記のような温度差および気圧差が生じにくく、気流を発生させにくくなるとともに、ヨークとしての外函の磁路が長くなってしまい磁気効率が低下してしまう。
【0009】
この際、本発明の電磁コイルユニットでは、前記外函の前記延在方向が鉛直方向に沿うとともに、前記軸線が前記中央部に対して下方側に配置されるように、前記電磁弁に配置されることが好ましい。このような構成によれば、温度差により生じる気流に加え、この気流を上昇気流としてコイル部と連結板部との間を通過させることができ、放熱性能をさらに向上させることができる。
【0010】
また、本発明の電磁コイルユニットでは、前記軸線の前記中央部からのずれ量は、前記延在方向における前記交差板部の寸法の2~10%であることが好ましい。このような構成によれば、大型化を抑制しつつ上記のような気流を発生させやすい。さらに、このずれ量は、延在方向における交差板部の寸法の3~8%であることがより好ましく、このような構成によれば、上記のような気流を発生させつつ、大型化をさらに抑制しやすい。これに対し、ずれ量が交差板部の上記寸法に対して大きすぎると、電磁コイルユニットが大型化しやすい。また、ずれ量が交差板部の上記寸法に対して小さすぎると、温度差が生じにくく気流を発生させにくい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電磁コイルユニットによれば、放熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一例である実施形態にかかる電磁弁が設けられた冷凍サイクルの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の電磁コイルユニット1は、
図1に示すような電磁弁102に用いられるものであり、電磁弁102は、例えば
図1に示すような冷凍サイクル100を構成するものである。冷凍サイクル100は、ルームエアコン、パッケージエアコン、マルチエアコン等の空気調和機に利用されるものであって、流体としての冷媒を圧縮する圧縮機103と、冷却モード時に凝縮器として機能する第一熱交換器としての室外熱交換器104と、冷却モード時に蒸発器として機能する第二熱交換器としての室内熱交換器105と、室外熱交換器104と室内熱交換器105との間にて冷媒を膨張させて減圧する膨張手段としての膨張弁106と、四方切換弁101と、四方切換弁101の流路を切換え制御するパイロット電磁弁である電磁弁102と、を備え、これらが冷媒配管によって連結されている。なお、膨張手段としては、膨張弁106に限らず、キャピラリでもよい。
【0014】
この冷凍サイクル100は、
図1に実線矢印で示す冷却モード(冷房運転)において、圧縮機103、四方切換弁101、室外熱交換器104、膨張弁106、室内熱交換器105、四方切換弁101及び圧縮機103の順に冷媒が流れる冷房サイクルを構成する。一方、破線矢印で示す加温モード(暖房運転)において、圧縮機103、四方切換弁101、室内熱交換器105、膨張弁106、室外熱交換器104、四方切換弁101及び圧縮機103の順に冷媒が流れる暖房サイクルを構成する。この暖房サイクルと冷房サイクルとの切換えは、電磁弁102による四方切換弁101の切換え動作によって行われる。
【0015】
四方切換弁101は、周知のものであり、円筒状の弁本体111と、弁本体の内部にスライド自在に設けられたスライド弁112と、圧縮機103の吐出口に連通する高圧側導管(D継手)113と、圧縮機103の吸込口に連通する低圧側導管(S継手)114と、室内熱交換器105に連通する室内側導管(E継手)115と、室外熱交換器104に連通する室外側導管(C継手)116と、を備えて構成されている。弁本体111は、その軸方向両端部を塞ぐ栓体117,118を有することにより、全体に密封されたシリンダーとして構成され、スライド弁112を移動させるピストン119を軸方向から挟む空間A11,A12が形成されている。
【0016】
本実施形態の電磁弁102は、四方切換弁の構成を有する周知のものであり、弁本体120と、弁座部121と、弁体122と、電磁コイルユニット1と、継手部材123~126と、を有し、弁体122が所定のスライド方向(即ち移動方向)に沿って移動することで流体の流路が切り換えられるものである。尚、
図1は、冷凍サイクル100を構成する各部がどのように接続されているかを模式的に示すものであり、各部の位置関係や向き、寸法等を示すものではない。特に、電磁駆動弁102の詳細な構造や配置、向きについては以下に説明する通りである。
【0017】
電磁コイルユニット1は、
図2,3にも示すように、プランジャ2と、吸引子3と、コイル部4と、外函5と、を備える。コイル部4の巻線41が通電されることで吸引子3が励磁され、プランジャ2が吸引子3に向かって移動することにより、プランジャ2によって保持された弁体122が移動するようになっている。電磁弁102において流路が切り換えられることにより、高圧側導管113の高圧流体がピストン119を軸方向から挟む空間A11,A12のうち一方に導入され、低圧側導管114の低圧流体が他方の空間に導入され、ピストン119が低圧側の空間に向かって移動する。
【0018】
コイル部4は、巻線41とモールド部42とボビン43と有し、モールド成形により一体的に構成されたものである。巻線41は、導線411が所定の軸線A1を中心にボビン43に対して螺旋状に巻回されたソレノイドコイルである。モールド部42は、巻線41が内側に設けられるように、絶縁体であるモールド樹脂により形成されている。
【0019】
以下では、軸線A1の方向をZ方向とし、Z方向に直交する平面をXY平面とする。また、X方向が鉛直方向と一致しているものとする。
【0020】
コイル部4は、Z方向の両側の端面44,45と、軸線A1を中心とする円筒の一部である曲面部46と、曲面部46からX方向の一方側(鉛直方向の上側)に突出した突出部47と、を有している。曲面部46は、巻線41と同心円状に形成されたものであり、突出部47は、巻線41に対してリード線6を接続するために設けられている部分である。このように、コイル部4の外周形状は、軸線A1を通過するとともにYZ平面に沿った面の両側で非対称な形状となっている。突出部47は、曲面部46に連続するとともにX方向の一方側に向かって延びる一対の平面部471を有している。平面部471は、ZX平面に対して傾斜している。
【0021】
外函5は、一対の交差板部51,52と、一対の交差板部51,52同士を連結する一対の連結板部53,54と、を有する。交差板部51は、XY平面に沿って延びるとともに、弁座部121とは反対側から、コイル部4の端面44に対して接触するように設けられる。交差板部51には、吸引子3を固定するための貫通孔511が形成されている。この貫通孔511の中心は、円柱状の吸引子3の中心と一致し、吸引子3は巻線41と同心円状に配置されている。従って、貫通孔511の中心と、巻線41の中心(即ち軸線A1)と、が一致するようになっている。
【0022】
貫通孔511は、X方向において、交差板部51の中央部から鉛直方向の下側にずれて配置されている。
図3には、交差板部51のX方向中央部を通るとともにY方向に沿った線LN1を一点鎖線にて示しており、貫通孔511および軸線A1が線LN1よりも下側に位置している。従って、電磁弁102において、巻線41の軸線A1が、X方向において交差板部51の中央部から下側にずれて配置されている。軸線A1の線LN1からのずれ量ΔXは、交差板部51のX方向寸法LXの2~10%となっており、より好ましくは3~8%となっている。
【0023】
交差板部51のうちX方向の上側の端縁には、リード線6を配置するための切り欠き部512が形成されている。即ち、軸線A1は、切り欠き部512が形成される側とは反対側にずれている。
【0024】
交差板部52は、XY平面に沿って延びるとともに、弁座部121側から、コイル部4の端面45に対して接触するように設けられる。交差板部52には、弁本体120が挿通される貫通孔521が形成されている。尚、交差板部52のうち貫通孔521を挟んでY方向の両側の部分は、互いに連結されていてもよいし、互いに独立していて(即ち、上記特許文献1のように外函5を例えば一枚の金属板からの折り曲げ加工により形成し、金属板の端縁同士の合わせ目にスリットが形成された構成であって)もよい。また、交差板部51と交差板部52とは、X方向寸法及びY方向寸法が互いに等しい。
【0025】
連結板部53,54は、一対の交差板部51,52のY方向端部同士を接続し、ZX平面に沿って延びる。
【0026】
以上のように、外函5は、一対の交差板部51,52と一対の連結板部53,54とによって、延びる四角形筒状に形成されており、その延在方向がX方向と一致する。
【0027】
上記のような外函5は、磁気回路を形成してヨークとして機能する。即ち、巻線41の一端から他端に向かって、磁束が、交差板部51を通過し、一対の連結板部53,54を通過し、交差板部52を通過して再びコイル部4に戻る(あるいは磁束が逆向きに通過する)。
【0028】
以下では、コイル部4と外函5との関係および放熱の態様について説明する。まず、コイル部4の外周面(特に曲面部46)と連結板部53,54との間には、隙間が形成されている。このとき、コイル部4のY方向寸法L1が、一対の連結板部53,54同士の間隔(即ち内面同士の間隔)L2の64~87%となっている。尚、コイル部4のY方向寸法L1とは、Y方向寸法のうち最大寸法を意味する。
【0029】
また、上記のように軸線A1が線LN1に対して下側にずれていることから、コイル部4は、筒状の外函5における下側開口の近傍に位置している。これにより、コイル部4は、通電によって発熱した際、X方向下側の方が上側よりも外気によって冷却されやすくなっている。即ち、外函5の内部かつコイル部4の周囲の空間において、軸線A1よりも上側の方が下側よりも温度が高くなる。温度が高い領域は、温度が低い領域に対し、相対的に圧力が低くなり、このような圧力差によって温度が低い側から高い側に(下側から上側に)向かう気流が生じる(換言すると、上記の温度差によって密度差が生じ、高密度側(低温側)から低密度側(高温側)に向かう気流が生じる)。
【0030】
このとき、コイル部4の外周面と連結板部53,54との間に隙間が形成されていることで、上記のような気流がコイル部4と連結板部53,54との間を通過可能となっている。
【0031】
以上の本実施形態によれば、巻線41の軸線A1がX方向において交差板部51の中央部からずれて配置されていることで、外函5の内部かつコイル部4の周囲の空間において、軸線A1を挟んでX方向の両側に温度差を生じさせることができ、この温度差によってX方向の気流を発生させることができる。コイル部4のY方向寸法が、一対の連結板部53,54同士の間隔の64~87%であることで、上記の気流がコイル部4と連結板部53,54との間を効率よく通過することができ、放熱性能を向上させることができる。
【0032】
これに対し、コイル部4のY方向寸法が、一対の連結板部53,54同士の間隔に対して大きすぎると、これらの間の隙間を確保しにくくなり、気流が通過しにくくなって充分な放熱性能を得にくくなる。また、コイル部4のY方向寸法が、一対の連結板部53,54同士の間隔に対して小さすぎると、上記のような温度差が生じにくく、気流を発生させにくくなるとともに、ヨークとしての外函5の磁路が長くなってしまい磁気効率が低下してしまう。
【0033】
また、四角形筒状の外函5が鉛直方向を延在方向とし、巻線41の軸線A1が交差板部51の中央部に対して下方側に配置されていることで、上昇気流がコイル部4と連結板部53,54との間を通過することができ、放熱性能をさらに向上させることができる。
【0034】
また、交差板部51の中央部からの巻線41の軸線A1のずれ量ΔXが、交差板部51のX方向寸法LXの2~10%、より好ましくは3~8%であることで、大型化を抑制しつつ上記のような気流を発生させやすい。これに対し、ずれ量ΔXが寸法LXに対して大きすぎると、電磁コイルユニットが大型化しやすい。また、ずれ量ΔXが寸法LXに対して小さすぎると、温度差が生じにくく気流を発生させにくい。
【0035】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。前記実施形態では、四角形筒状の外函5が鉛直方向に沿って延びるものとしたが、外函の延在方向は、鉛直方向に対して多少の傾斜を有していてもよい。また、上記のような温度差によって気流が発生しやすい場合には、外函の延在方向が、水平面内の一方向に沿っていてもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、交差板部51の中央部からの巻線41の軸線A1のずれ量ΔXが、交差板部51のX方向寸法LXの2~10%、より好ましくは3~8%であるものとしたが、ずれ量はこのような範囲に限定されない。例えば、外函が巻線に対して充分に大きい場合には、ずれ量を大きくし、温度差を生じやすくしてもよい。また、温度差が生じやすい場合には、ずれ量を小さくしてもよい。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0038】
[実施例]
上記のような実施形態の電磁コイルユニット1において、コイル部4のY方向寸法L1と、一対の連結板部53,54同士の間隔L2と、の比率を変化させ、温度を測定し、相対的な温度上昇(温度上昇比率)を確認した。
【0039】
共通の実験条件としては、印加電圧を240V且つ50Hzとし、通電を継続して温度が飽和した時点での温度を測定した。また、通電時の消費電力についても測定した。外函5の寸法は変化させず、コイル部4のY方向寸法L1のみを変化させることにより、これらの寸法L1と寸法L2との比率を変化させた。このような寸法L1と寸法L2との比率と、温度上昇比率の測定結果と、消費電力の測定結果と、を表1に示す。
【0040】
【0041】
各実施例および比較例における温度上昇値を、比較例1における温度上昇値で除した値を温度上昇比率とした。同様に、各実施例および比較例における消費電力値を、比較例1における消費電力値で除した値を消費電力比率とした。L1とL2との比率が64~85%の実施例1~4において、温度上昇比率が低くなった。このとき、消費電力比率を考慮しても、実施例1~4において温度上昇比率が低くなることが確認された。
【符号の説明】
【0042】
1…電磁コイルユニット、4…コイル部、41…巻線、5…外函、51,52…交差板部、53,54…連結板部、102…電磁弁、A1…軸線