(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158029
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ゲートウェイ
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20241031BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20241031BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/18
H05B47/19
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072826
(22)【出願日】2023-04-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名 大光電機株式会社 刊行物名 無線制御システムカタログ 発行年月 令和4年5月
(71)【出願人】
【識別番号】591112027
【氏名又は名称】大光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長橋 章
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓也
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA29
3K273RA02
3K273RA08
3K273SA17
3K273SA36
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA37
3K273TA41
3K273TA47
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA65
3K273TA66
3K273TA76
3K273UA05
3K273UA13
3K273UA17
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】照明システムの構築する場合に利便性の高いゲートウェイを提供する。
【解決手段】ゲートウェイは、第1の通信部と第2の通信部と処理部とを備える。第1の通信部は、第1の通信方法に準拠した通信を行う。第2の通信部は、第2の通信方法に準拠した無線通信を行う。処理部は、コントローラから第1の通信部経由で第1のデータを受信し、第1のデータを第2のデータに変換し、第2のデータを第2の通信部経由で照明用無線調光器に送信する。ゲートウェイは、外部機器を接続可能な接続部をさらに備える。処理部は、外部機器から接続部経由で入力した外部入力信号に基づいて制御信号を生成し、制御信号を、第2の通信部経由で照明用無線調光器に送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信方法に準拠した通信を行う第1の通信部と、
第2の通信方法に準拠した無線通信を行う第2の通信部と、
コントローラから前記第1の通信部経由で第1のデータを受信し、前記第1のデータを第2のデータに変換し、前記第2のデータを前記第2の通信部経由で照明用無線調光器に送信する処理部と、
を具備し、
外部機器を接続可能な外部入力接続部をさらに具備し、
前記処理部は、前記外部機器から前記外部入力接続部経由で入力した外部入力信号に基づいて制御信号を生成し、前記制御信号を、前記第2の通信部経由で前記照明用無線調光器に送信する、
ゲートウェイ。
【請求項2】
照明器具を接続可能なDMX接続部をさらに具備し、
前記処理部は、前記DMX接続部経由で前記照明器具にDMX信号を送信する、
請求項1のゲートウェイ。
【請求項3】
複数の照明用無線調光器によって構成される複数のメッシュネットワークを含む施設を示す施設識別情報を記憶する記憶部をさらに具備し、
前記処理部は、前記複数のメッシュネットワークのうちの第1のメッシュネットワークと前記第2の通信部経由で通信し、前記施設識別情報と同じ識別情報を保有しており前記複数のメッシュネットワークのうちの第2のメッシュネットワークと無線通信をする他のゲートウェイと連携する、
請求項1のゲートウェイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、コントローラから制御信号を受信し、制御信号を照明デバイスの調光器へ送信するゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第6266126号公報)には、固体光源と、無線回路とを備える照明ユニットが開示されている。無線回路は、無線制御信号を受信して、照明ユニットの制御を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、照明システムを構築する場合に利便性の高いゲートウェイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、ゲートウェイは、第1の通信部と第2の通信部と処理部とを備える。第1の通信部は、第1の通信方法に準拠した通信を行う。第2の通信部は、第2の通信方法に準拠した無線通信を行う。処理部は、コントローラから第1の通信部経由で第1のデータを受信し、第1のデータを第2のデータに変換し、第2のデータを第2の通信部経由で照明用無線調光器に送信する。ゲートウェイは、外部機器を接続可能な接続部をさらに備える。処理部は、外部機器から接続部経由で入力した外部入力信号に基づいて制御信号を生成し、制御信号を、第2の通信部経由で照明用無線調光器に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係るゲートウェイを備える照明システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態に係る第1のコントローラ、ルータ、ゲートウェイの処理の例を示すシーケンス図。
【
図3】第1の実施形態に係るゲートウェイの構成の一例を示すブロック図。
【
図4】第2の実施形態に係る照明システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図5】第3の実施形態係る第2のコントローラの構成の一例を示すブロック図。
【
図6】第3の実施形態に係る第2のコントローラの一例を示す正面図。
【
図7】第4の実施形態に係る照明システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図8】第4の実施形態に係る第2のコントローラの一例を示す正面図。
【
図9】第4の実施形態に係る照明システムによって実行される点灯・消灯処理の例を示すシーケンス図。
【
図10】第4の実施形態に係る照明システムによって実行される変更処理及び変更解除処理の例を示すシーケンス図
【
図11】第5の実施形態に係る無線調光器の構成の一例を示すブロック図。
【
図12】第5の実施形態に係る無線モジュールによって実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図13】第6の実施形態に係る無線調光器の構成の一例を示すブロック図。
【
図14】PWM信号の電圧と平均電圧との関係の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら各実施形態について説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0008】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、ゲートウェイと、当該ゲートウェイを備える照明システムに関する。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るゲートウェイGW1~GWpを備える照明システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
図1に例示する各種の構成要素は、同一又は類似の機能及び作用を実現可能であれば、自由に組み合わせてもよく、又は、自由に分離してもよい。
【0011】
照明システム1は、第1のコントローラ2、少なくとも1つのルータ3、施設F1~Fpのそれぞれに対応するゲートウェイGW1~GWp、施設F1~Fpのそれぞれに備えられる複数の無線調光器と調光器具と照明デバイスとの組み合わせ、施設F1~Fpのそれぞれに備えられる第2のコントローラC1~Cpを備える。
【0012】
第1の実施形態では、ゲートウェイGW1~GWpのうちゲートウェイGW1を代表して説明する。施設F1~Fpのうち施設F1を代表して説明する。第2のコントローラC1~Cpのうち第2のコントローラC1を代表して説明する。ゲートウェイGW2~GWp、施設F2~Fp、第2のコントローラC2~Cpは、ゲートウェイGW1、施設F1、第2のコントローラC1と同様であるため、説明を省略する。
【0013】
第1のコントローラ2は、設定端末又は親機として機能する。第1のコントローラ2は、照明システム1の制御に使用される。第1のコントローラ2は、第2のコントローラC1の上位の制御装置である。第1のコントローラ2は、ルータ3、ゲートウェイGW1経由で、施設F1に属する複数の無線調光器D1~Drと無線通信を行う。
【0014】
より具体的に説明すると、第1のコントローラ2は、ルータ3と無線又は有線により通信を行う。ルータ3は、ゲートウェイGW1~GWpと無線又は有線により通信を行う。ゲートウェイG1は、施設F1に属する複数の無線調光器D1~Drと無線により通信を行う。複数の無線調光器D1~Drのそれぞれは、無線モジュールW1~Wrのそれぞれを備える。
【0015】
例えば、第1のコントローラ2とルータ3との間では、無線LAN(Local Area Network)通信が用いられてもよい。ルータ3とゲートウェイGW1~GWpとの間では、有線のLAN通信又は無線LAN通信が用いられてもよい。ゲートウェイGW1と複数の無線調光器D1~Drとの間では、ブルートゥース(登録商標)が用いられてもよい。
【0016】
第1のコントローラ2は、第2のコントローラC1~Cpの設定に使用される。第1のコントローラ2と第2のコントローラC1~Cpとは、例えば、無線LAN通信又はブルートゥースなどのような無線通信により通信を行うとしてもよい。
【0017】
第1のコントローラ2は、ペアリング(プロビジョニング)により、ゲートウェイGW1~GWp、施設F1~Fpに属する複数の無線調光器、第2のコントローラC1~Cpを認識し、ゲートウェイGW1~GWp、施設F1~Fpに属する複数の無線調光器、第2のコントローラC1~Cpと通信可能になるとしてもよい。
【0018】
第1のコントローラ2は、ユーザ(オペレータ)の操作を受け付け、シーン情報を生成及び記憶し、シーン情報をルータ3及びゲートウェイGW1~GWp経由で施設F1~Fpに属する複数の無線調光器に送信する。
【0019】
第1の実施形態において、シーンとは、照明の状態、例えば少なくとも1つの照明デバイスによって形成される照明演出、を意味するものとする。
【0020】
第1のコントローラ2は、例えば、制御端末として使用されてもよく、又は、設定端末として使用されてもよい。制御端末と設定端末とは、異なる装置でもよい。
【0021】
第1のコントローラ2は、ユーザの操作を受け付け、各種の設定情報を生成及び記憶し、設定情報を、ルータ3及びゲートウェイGW1~GWp経由で第2のコントローラC1~Cpに送信してもよい。あるいは、第1のコントローラ2は、設定情報を例えばブルートゥースなどの無線通信により第2のコントローラC1~Cpに送信してもよい。設定情報は、例えば、第2のコントローラC1~Cpの制御対象となる施設、制御対象となるエリア、制御対象となるグループ、制御対象となる無線調光器又は調光器具を示す識別情報を含むとしてもよい。また、設定情報は、例えば、シーンの変更を解除する時間情報を含むとしてもよい。
【0022】
第1の実施形態において、第1のコントローラ2は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話機、モバイルコンピュータ、又は、制御端末などの装置としてもよい。
【0023】
ルータ3は、第1のコントローラ2とゲートウェイGW1~GWpとの間で通信を中継する。例えば、ルータ3は、第1のコントローラ2に対して無線LAN通信を行い、ゲートウェイGW1~GWpに対して有線のLAN通信を行う。ルータ3は、データの転送経路を選択及び制御する機能を有する。
【0024】
ゲートウェイGW1は、プロトコルが異なるネットワーク間でデータを送受信可能にするための中継処理を実行する。第1の実施形態において、ゲートウェイGW1は、第2のコントローラC1から定時変更解除指示と時間情報を受信した場合に、時間情報の示す時間に設備F1に属する複数の無線調光器D1~Drのシーンの一時変更を解除する機能を備えていてもよい。
【0025】
第1の実施形態においては、複数の照明デバイスI1~Irのそれぞれに複数の調光器具A1~Arが接続されている。第1の実施形態において、複数の照明デバイスI1~Ir及び複数の調光器具A1~Arは、無線通信に対応していないとする。無線調光器D1~Drは、非無線対応の調光器具A1~Arに対して接続される。このように、非無線対応の調光器具A1~Arに対して無線調光器D1~Drを適用することにより、無線通信を用いて調光器具A1~Ar及び照明デバイスI1~Irを制御可能になる。
【0026】
なお、複数の照明デバイスI1~Irは、複数の調光器具A1~Arを介することなく、無線調光器D1~Drに接続されてもよい。言い換えれば、複数の調光器具A1~Arは削除されるか、無線調光器D1~Drの一部の機能として無線調光器D1~Drに組み込まれてもよい。
【0027】
複数の無線調光器D1~Drと調光器具A1~Arと照明デバイスI1~Irとの組み合わせは、施設F1に設置される。第1の実施形態において、施設F1は例えば建築物の1つのフロアとしてもよい。
【0028】
施設F1は、複数のエリアE1~Enに区分けされる。複数の無線調光器D1~Drと調光器具A1~Arと照明デバイスI1~Irとの組み合わせのそれぞれは、複数のエリアE1~Enのいずれかに所属する。
【0029】
複数のエリアE1~Enのそれぞれには、少なくとも1つのグループが所属する。
【0030】
少なくとも1つのグループのそれぞれには、少なくとも1つの無線調光器と調光器具と照明デバイスの組み合わせが所属する。
【0031】
以下においては、エリアE1~EnのうちエリアE1を代表して説明するが、他のエリアE2~EnもエリアE1と同様である。
【0032】
以下においては、エリアE1に属するグループG1~GmのうちグループG1を代表して説明するが、他のグループG2~GmもグループG1と同様である。
【0033】
グループG1には、複数の無線調光器D1~Dk、複数の調光器具A1~Ak、複数の照明デバイスI1~Ikが所属する。
【0034】
複数の無線調光器D1~Dkのそれぞれは、複数の調光器具A1~Akのそれぞれと接続される。複数の調光器具A1~Akのそれぞれは、複数の照明デバイスI1~Ikのそれぞれと接続される。
【0035】
複数の無線調光器D1~Dkのそれぞれは、無線モジュールW1~Wkのそれぞれを備える。
【0036】
以下においては、複数の無線調光器D1~Dk、複数の調光器具A1~Ak、複数の照明デバイスI1~Ikのうち、無線調光器D1、調光器具A1、照明デバイスI1を代表して説明するが、他の無線調光器D2~Dk、他の調光器具A2~Ak、他の照明デバイスI2~Ikも、無線調光器D1、調光器具A1、照明デバイスI1と同様である。
【0037】
無線調光器D1は、無線モジュールW1を用いて、コントローラ3からルータ3及びゲートウェイGW1を介して無線調光器D1宛てのシーン情報を無線により受信する。無線調光器D1は、受信した無線調光器D1宛てのシーン情報を記憶し、シーン情報にしたがって、調光器具A1に調光信号(制御信号)を送信する。調光器具A1は、無線調光器D1から受信した調光信号にしたがって照明デバイスI1を点灯、消灯、又は、点滅させる。これにより、照明デバイスI1は、シーン情報に対応する照明を実現する。
【0038】
無線調光器D1は、無線モジュールW1を用いて、第2のコントローラC1から無線調光器D1宛ての変更指示を無線により受信する。無線調光器D1は、例えば、第2のコントローラC1から識別情報と変更情報とを受信し、識別情報に基づいて宛先判定を行う。なお、無線調光器D1は、第2のコントローラC1からゲートウェイGW1経由で無線調光器D1宛ての変更情報を受信してもよい。
【0039】
無線調光器D1は、変更情報にしたがって、調光器具A1に調光信号を送信する。これにより、調光器具A1は、シーン情報を変更した状態で照明デバイスI1を点灯、消灯、又は、点滅させることができる。
【0040】
無線調光器D1は、例えば、無線モジュールW1を用いて、第2のコントローラC1から無線調光器D1宛ての変更解除指示を無線により受信する。定時変更解除指示とは、設定された時間になった場合に発行され、変更されたシーン情報を元のシーン情報に復帰させることを示す。無線調光器D1は、例えば、第2のコントローラC1から識別情報と変更解除指示とを受信し、識別情報に基づいて変更解除指示の宛先判定を行う。
【0041】
無線調光器D1は、変更解除指示を受信した場合に、変更前の元のシーン情報に基づいて生成された調光信号を調光器具A1に送信する。これにより、調光器具A1は、元のシーン情報にしたがって照明デバイスI1を点灯、消灯、又は、点滅させることができる。照明デバイスI1は、変更前のシーン情報に対応する照明状態に復帰する。
【0042】
無線調光器D1は、無線モジュールW1を用いて、ゲートウェイGW1から無線調光器D1宛ての定時変更解除指示を無線により受信する。無線調光器D1は、例えば、ゲートウェイGW1から識別情報と定時変更解除指示とを受信し、識別情報に基づいて定時変更解除情報の宛先判定を行う。
【0043】
無線調光器D1は、定時変更解除指示を受信した場合に、変更前の元のシーン情報に基づいて調光信号を生成し、生成された調光信号を調光器具A1に送信する。調光器具A1は、元のシーン情報にしたがって照明デバイスI1を点灯、消灯、又は、点滅させることができる。これにより、照明デバイスI1は、所定の時間になった場合に、変更前のシーン情報に対応する照明状態に復帰する。無線調光器D1の具体的な構成は後述の第5の実施形態で説明する。
【0044】
定時に変更を解除する方法としては、ゲートウェイGW1から無線調光器D1へ定時変更解除指示を発信することに代えて、無線調光器D1に変更を解除する時刻を指定する定時変更解除情報を記憶させておき、無線調光器D1が定時変更解除情報に基づいて指定されている時刻に定時変更解除処理を実行するとしてもよい。
【0045】
調光器具A1は、無線調光器D1から調光信号を受信し、受信した調光信号にしたがって照明デバイスI1を制御する。調光信号は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号などでもよい。第1の実施形態において、調光器具A1は無線通信機能を備えていないものとする。
【0046】
調光器具A1と無線調光器D1との間は、PWM信号線Lにより接続されている。以下では、アナログ信号がPWM信号である場合を例として説明するが、アナログ信号は他の方式の信号でもよい。
【0047】
照明デバイスI1は、例えばLED(Light Emitting Diode)でもよい。照明デバイスI1は、調光器具A1の制御にしたがって点灯、消灯、又は、点滅する。
【0048】
第2のコントローラC1は、例えば、壁シーンスイッチでもよく、リモートコントローラでもよい。後述の第3の実施形態において、第2のコントローラC1が壁シーンスイッチの場合を説明し、後述の第4の実施形態において、第2のコントローラC1がリモートコントローラの場合を説明する。
【0049】
第2のコントローラC1は、照明システム1がシーン再生している場合(シーン情報に基づく照明状態を実行している場合)であっても、ユーザの操作を受け付け、施設F1に所属している全部又は一部の無線調光器(例えば、特定のエリアに属する無線調光器、特定のグループに属する無線調光器、特定の無線調光器)に対してシーンからの離脱(照明デバイスの点灯、消灯、点滅、調光の変更、調色の変更)、変更の解除(元のシーンへの復帰)を指示するために使用されてもよい。
【0050】
第2のコントローラC1は、第1のコントローラ2の下位の制御装置であり、第1のコントローラ2より小型、軽量であり、制御機能が少ないとしてもよい。第2のコントローラC1は、無線通信を用いて第1のコントローラ2から設定情報を受信し、設定情報を記憶する。第2のコントローラC1は、操作部によりユーザの変更操作を受け付け、変更操作に対応する変更情報を記憶する。第2のコントローラC1は、設定情報に含まれている識別情報によって特定される無線調光器D1に対して、変更情報を送信する。
【0051】
識別情報は、例えば、送信先(第2のコントローラC1の制御対象)のフロアF1、送信先のエリアE1、送信先のグループG1、送信先の無線調光器D1のうちの少なくとも1つを特定する。これにより、識別情報で特定されているフロアF1に属する無線調光器、識別情報で特定されているエリアE1に属する無線調光器、識別情報で特定されているグループG1に属する無線調光器、又は、識別情報で特定されている無線調光器D1に、変更情報が送信される。
【0052】
図2は、第1の実施形態に係る第1のコントローラ2、ルータ3、ゲートウェイGW1の処理の例を示すシーケンス図である。
【0053】
セットアップの際、第1のコントローラ2は設定処理を開始し(S201)、ルータ3はゲートウェイGW1の検索を行い(S202)、ゲートウェイGW1はルータ3の検索に対して応答を送信する(S203)。ルータ3とゲートウェイGW1とは例えば有線により接続されている。
【0054】
第1のコントローラ2は、ルータ3経由で検索されたゲートウェイGW1に対してゲートウェイ識別情報を送信し(S204)、例えば施設F1とゲートウェイ識別情報とを関係付けて表示部に表示させる。ルータ3は、第1のコントローラ2からゲートウェイ識別情報を受信し、受信したゲートウェイ識別情報をゲートウェイGW1に送信する(S205)。ゲートウェイGW1は、ルータ3からゲートウェイ識別情報を受信し、受信したゲートウェイ識別情報を記憶部に記憶させる(S206)。
【0055】
次に、第1のコントローラ2とゲートウェイGW1とは、例えばブルートゥースなどの第2の通信方法に関するペアリング(グルーピング)を行い、その際に、第1のコントローラ2は、例えば無線LAN通信などの第1の通信方法によりゲートウェイGW1からルータ3経由でゲートウェイ識別情報を受信して参照する(S207~S210)。
【0056】
第1のコントローラ2は、ペアリングで検索したゲートウェイGW1と、ゲートウェイGW1を参照して取得したゲートウェイ識別情報とを関連付ける(S211)。
【0057】
複数のゲートウェイがネットワークに存在する場合には、ゲートウェイがランダムに検索される場合がある。しかしながら、上記のような
図2の処理を実行することにより、ゲートウェイの不一致が発生することを回避可能である。
【0058】
上記の
図2の処理により、ユーザは、第1のコントローラ2を操作して、電波方式及び通信方法の切り替え、及び、識別情報の付与を自動で行うことができる。
【0059】
図3は、第1の実施形態に係るゲートウェイGW1の構成の一例を示すブロック図である。
【0060】
ゲートウェイGW1は、例えば、無線LAN通信とブルートゥースなどのような異なる通信方法の間のデータ通信を中継可能である。
【0061】
第1の実施形態に係るゲートウェイGW1は、DMX端子4と外部入力端子5とを備える。
【0062】
DMX端子(DMX信号出力端子)4は、DMXに準拠する通信に用いられる接続用端子である。DMXは、照明器具の調光及び調色を制御するための通信規格である。DMX端子4は、DMX器具9と有線により接続可能である。
【0063】
外部入力端子5は、外部機器10と有線により接続可能である。外部機器10は、ユーザによって操作可能な入力インタフェース機器でもよい。
【0064】
ゲートウェイGW1は、さらに、第1の通信部61、第2の通信部62、記憶部7、処理部8を備える。
【0065】
第1の通信部61は、ルータ3と第1の通信方法で通信を行う。第1の通信部61は、例えばLAN通信などのように有線を用いて通信するとしてもよく、無線LAN通信などのように無線を用いて通信するとしてもよい。
【0066】
第2の通信部62は、無線調光器D1~Drと第2の通信方法で通信を行う。第2の通信部62は、例えばブルートゥースなどのように無線を用いて通信するとしてもよい。
【0067】
記憶部7は、例えば、処理部8によって使用されるデータ、処理部8で生成されたデータ、処理部8で使用されるプログラム、ルータ3から第1の通信部61経由で受信したデータ、第1の通信部61経由でルータ3に送信するデータ、無線調光器D1~Drから第2の通信部62経由で受信したデータ、第2の通信部62経由で無線調光器D1~Drに送信するデータ、DMX器具9からDMX端子4経由で受信したデータ、DMX端子4経由でDMX器具9に送信するデータ、外部機器10から外部入力端子5経由で受信したデータなどのソフトウェアを記憶する。記憶部7に記憶されているソフトウェアは、例えば、各種の設定値、データ変換用のプログラムなどを含むとしてもよい。
【0068】
処理部8は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。処理部8は、記憶部7に記憶されているソフトウェアに基づいて例えば通信処理などのような各種の処理を実行する。
【0069】
処理部8は、記憶部7に記憶されている時間情報の示す時刻に、定時変更解除指示を、第2の通信部52経由で無線調光器D1~Drに送信してもよい。
【0070】
以上説明した第1の実施形態において、ゲートウェイGW1は、第1のコントローラ2とゲートウェイGW1との間で実行される第1の通信方法と、ゲートウェイGW1と無線調光器D1~Drとの間で実行される第2の通信方法とを実現することができる。第1の実施形態において、第1のコントローラ2は、第1のコントローラ2において検索されたゲートウェイGW1と施設F1との間の関連付けを自動で行うことができる。第1の実施形態においては、ゲートウェイGW1に関する関連付けで不一致が発生することを防止することができるため、ユーザの設定作業を効率化・省力化することができる。
【0071】
このため、第1の実施形態においては、第1のコントローラ2の操作に不慣れなユーザであっても、容易にセットアップ動作を行うことができる。
【0072】
第1の実施形態において、ゲートウェイGW1は、ゲートウェイGW1からDMX信号をDMX器具9に送信可能なDMX端子4を備えている。これにより、ゲートウェイGW1は、DMX器具9と簡単に接続可能であり、容易にゲートウェイGW1がDMX器具9を制御することができる。DMX信号は、例えば演出照明などの照明コントロール信号である。このため、ユーザは、ゲートウェイGW1を様々な種類の照明器具に接続して制御に用いることができる。
【0073】
第1の実施形態において、ゲートウェイGW1は、例えば、外部機器10から外部入力端子5経由で無電圧接点入力により信号を受信することができる。これにより、ゲートウェイGW1は、外部機器10と連動可能になり、例えば外部機器10からのシーンの呼び出しに対応することができる。また、ゲートウェイGW1は、外部入力端子5を用いて設定を行う装置と接続されることにより、照明システム1が動作可能になる前、第1のコントローラ2がない状態、第1のコントローラ2とゲートウェイGW1とが通信できない状態、又は、照明システム1がセットアップされる前であっても、設定可能である。
【0074】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態の変形例を説明する。第2の実施形態においては、複数のゲートウェイGW1,GW2は、互いに通信可能に接続されており、共通の施設F1を示す施設識別情報を保有し、共通の施設F1に対応付けられる。
【0075】
図4は、第2の実施形態に係る照明システム11の構成の一例を示すブロック図である。
【0076】
この
図4においては、照明システム11のルータ3、ゲートウェイGW1,GW2、施設F1を図示しており、他の構成要素は省略している。
【0077】
ゲートウェイGW1,GW2は、ルータ3を介して互いに通信可能に接続されている。ゲートウェイGW1,GW2のそれぞれは、自機が対応付けられている施設F1を示す施設識別情報12を記憶している。
【0078】
ゲートウェイGW1は、複数の無線調光器によって形成される第1のメッシュネットワーク13に対応する。ゲートウェイGW2は、複数の無線調光器によって形成される第2のメッシュネットワーク14に対応する。
【0079】
例えば、照明システムにおいては、ブルートゥースのネットワークに参加可能なノードの数量に上限がある場合がある。このような制約は、同一の施設F1に上限を超える数のノードを設置する障害になる。
【0080】
第2の実施形態に係る照明システム11においては、共通の施設識別情報12を保有するゲートウェイGW1,GW2が連携(連動)する。例えば、ゲートウェイGW1の処理部8は、第1のメッシュネットワーク13と第2の通信部62経由で通信し、施設識別情報12と同じ識別情報を保有しており第2のメッシュネットワーク62と無線通信をする他のゲートウェイGW2と連携する。例えば、ゲートウェイGW1,GW2は、第1のメッシュネットワーク13と第2のメッシュネットワークに対して共通のシーン情報に対応するシーンを実現させてもよい。ゲートウェイGW1,GW2は、例えばLANなどのような上位のネットワークを経由して連携し、ゲートウェイGW1に対応する第1のメッシュネットワーク13と、ゲートウェイGW2に対応する第2のメッシュネットワーク14とを、一体のネットワークとして制御する。
【0081】
以上説明した第2の実施形態においては、ゲートウェイGW1,GW2が共通の施設識別情報12を保有し、連動することにより、第1のメッシュネットワーク13と第2のメッシュネットワーク14とを同一の施設F1の機器として扱うことができる。したがって、施設F1に対して、単一のブルートゥースのネットワークに参加可能なノードの数を超えるノードを設置することができる。
【0082】
[第3の実施形態]
第3の実施形態においては、第1の実施形態に係る照明システム1又は第2の実施形態に係る照明システム11に備えられる第2のコントローラC1の具体例を説明する。
【0083】
図5は、第3の実施形態に係る第2のコントローラC1の構成の一例を示すブロック図である。
【0084】
第3の実施形態において、第2のコントローラC1は、例えば壁シーンスイッチであるとする。壁シーンスイッチは、壁に取り付けられるスイッチである。第2のコントローラC1は、他の機器と無線又は有線により通信可能であるが、第3の実施形態では有線により通信可能な場合を説明する。
【0085】
例えば、第2のコントローラC1は、照明システム1,11のゲートウェイGW1と有線で接続され、電源の給電と相互通信を行う。照明システム1,11に対しては、送り配線により第2のコントローラC1を増設可能とする。
【0086】
第2のコントローラC1は、施設F1に複数台設置された場合のデータの衝突を避けるために、固有のコントローラ識別情報15を記憶している。第2のコントローラC1は、信号とコントローラ識別情報15とを送信することにより、受信機側で信号の発信元を特定可能とする。
【0087】
ゲートウェイGW1は、対応する第2のコントローラC1に対してデータ通信タイミングの管理及び調停を行う。
【0088】
第2のコントローラC1とゲートウェイGW1との間では、デジタルのシリアル通信により通信が実行されるとしてもよい。
【0089】
第2のコントローラC1は、ゲートウェイGW1経由で無線調光器D1~Drと通信可能としてもよく、ゲートウェイGW1を経由することなく無線調光器D1~Drと通信可能としてもよい。第2のコントローラC1は、例えば、ユーザの操作内容を示す信号を無線調光器D1~Drに送信する。
【0090】
第2のコントローラC1は、例えば、操作部16、表示部17、接続部18、通信部19、記憶部20、処理部21を備える。
【0091】
操作部16は、例えば、ボタン、又は、スイッチを含む。操作部16は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作内容を示す操作信号を処理部21に送信する。
【0092】
操作部16は、例えば、第2のコントローラC1が所属するエリア又はグループを設定するためのスイッチを含むとしてもよい。これにより、ユーザは、第1のコントローラ2がない場合、又は、第1のコントローラ2と通信可能ではない場合であっても、第2のコントローラC1を設定することができる。
【0093】
表示部17は、例えば、LED又は液晶デバイスなどを含む。表示部17は、処理部21から例えば操作部16に対する操作状態などを示す表示信号を受信し、表示信号に対応する表示を行う。
【0094】
表示部17は、例えばLEDと、当該LEDから発光された光を透過する透過部材(導光部材)とを備えるとしてもよい。表示部17は、操作部16に対する操作状態を点灯、消灯、又は、点滅で表す。
【0095】
接続部18は、例えば通信回線を接続可能なコネクタである。接続部18は、複数の端子を含むとしてもよい。接続部18は、例えば、ゲートウェイGW1と通信可能に接続される。
【0096】
接続部18は、外部から電力の供給を受けるとしてもよい。
【0097】
通信部19は、ゲートウェイGW1から、通信回線及び接続部18を介して信号を受信し、信号を処理部21に送信する。通信部19は、処理部21から信号を受信し、接続部18及び通信回線を介してゲートウェイGW1に信号を送信する。
【0098】
通信部19は、例えば、無線調光器D1~Drから信号を無線により受信し、信号を処理部21に送信してもよい。通信部19は、例えば、処理部21から信号を受信し、信号を無線により無線調光器D1~Drに送信してもよい。
【0099】
記憶部20は、第2のコントローラC1を示すコントローラ識別情報15を記憶する。
【0100】
記憶部20は、例えば、処理部21によって使用されるデータ、処理部21で生成されたデータ、処理部21で使用されるプログラム、ゲートウェイGW1から接続部18及び通信部19経由で受信したデータ、通信部19及び接続部18経由でゲートウェイGW1に送信するデータ、無線調光器D1~Drから通信部19経由で受信したデータ、通信部19経由で無線調光器D1~Drに送信するデータなどのソフトウェア22を記憶する。記憶部20に記憶されているソフトウェア22は、例えば、各種の設定値、シーン情報などを含むとしてもよい。
【0101】
図6は、第3の実施形態に係る第2のコントローラC1の一例を示す正面図である。
【0102】
第2のコントローラC1の正面には、縦方向に2列のボタンが配置されている。左側には、上から下へボタンB1~B5が配置される、右側には、上から下へボタンB6~B10が配置される。
【0103】
左側に配置されているボタンB1~B5のそれぞれの左端(左側部)には、透過部材H1~H5のそれぞれが備えられている。ボタンB1~B5のそれぞれの選択状態に応じて第2のコントローラC1内部のLEDが発光し、光が透過部材H1~H5のそれぞれを透過して第2のコントローラC1の正面側に放出される。
【0104】
右側に配置されているボタンB6~B10のそれぞれの右端(右側部)には、透過部材H6~H10のそれぞれが備えられている。ボタンB6~B10のそれぞれの選択状態に応じて第2のコントローラC1内部のLEDが発光し、光が透過部材H6~H10のそれぞれを透過して第2のコントローラC1の正面側に放出される。
【0105】
第3の実施形態に係る第2のコントローラC1は、タイマボタンB5を備える。
【0106】
第2のコントローラC1の裏面側には、接続部18、及び、操作部16のうちの設定用スイッチが備えられてもよい。
【0107】
以下で第3の実施形態に係る第2のコントローラC1によって得られる作用効果を説明する。
【0108】
第2のコントローラC1は、ゲートウェイGW1と有線で接続され、相互に通信可能であり、電力を受けることができる。
【0109】
第2のコントローラC1は、送り配線により増設可能である。
【0110】
複数の第2のコントローラC1が設置された場合であっても、複数の第2のコントローラC1のそれぞれは固有のコントローラ識別情報15を保有しているため、データの衝突を回避することができる。
【0111】
第3の実施形態においては、ゲートウェイGW1がデータ通信タイミングの管理・調停を行うことができる。
【0112】
第2のコントローラC1を用いることで、ユーザはシーンを切り替えることができる。
【0113】
第2のコントローラC1の操作部16を用いることで、ユーザはシーンの呼び出し、及び、切り替えをすることができる。
【0114】
操作部16は、短押し、長押し、連続する短押しの回数、連続する長押しの回数に応じてユーザの操作内容を検出してもよい。ユーザは、例えば、操作部16に対して長押しすることで、シーンフェードを無視して即座にシーンを切り替えることができるとしてもよい。ユーザは、操作部16を操作することにより、設定されたシーンを一時的に、明るく、又は、暗くすることができる。ユーザは、第2のコントローラC1を利用することにより、第1のコントローラ2がない場合、又は、第1のコントローラ2と通信ができない場合であっても、シーンの読み出し、及び、切り替えを行うことができる。
【0115】
ユーザは、ボタンB5を用いて第2のコントローラC1のタイマ機能を操作することができる。第2のコントローラC1は、タイマ機能により記憶部20に記憶されているソフトウェア22に含まれているスケジュールデータにそってシーンの制御を行う。ユーザは、ボタンB5の側部に配置されている透過部材H5から透過される光の有無と色とにより、タイマ機能の動作状態を確認することができる。例えば、透過部材H5が赤色光を発している場合、年間のスケジュールがオフであるとしてもよい。例えば、透過部材H5が青色光を発している場合、年間のスケジュールがオンであるとしてもよい。ユーザは、例えば、ボタンB5を長押しすることにより、年間のスケジュールの停止と再開を切り替え可能である。これにより、ユーザは、第1のコントローラ2がない場合、又は、第1のコントローラ2と通信ができない場合であっても、タイマ機能の切り替えを行うことができる。
【0116】
ユーザは、例えば、ボタンB10を短押しすることにより、エリアE1の照明をオフすることが可能であるが、ボタンB10を長押しすることにより、施設F1の照明をオフすることが可能である。ユーザが第2のコントローラC1を用いて施設F1の照明をオフする場合、第2のコントローラC1は、照明をオフすることを示す信号を、ゲートウェイGW1経由で、施設F1に属する無線調光器D1~Drに送信する。
【0117】
第2のコントローラC1は、ユーザの呼び出したシーン又はユーザの操作に応じて、表示部17のLED発光などにより動作状態をユーザに通知する。第2のコントローラC1は、正面の両側部に備えられている透過部材H1~H10から光を透過可能である。
【0118】
第2のコントローラC1において、ユーザから視認可能な透過部材H1~H10は、第2のコントローラC1の正面の両側部に配置されている。このため、第2のコントローラC1の表示部17は、内部のLEDからユーザが視認可能な正面の透過部材H1~H10まで光を導く導光体を備えるとしてもよい。この場合、表示部17は、LEDと導光体と透過部材H1~H10とを備えることになる。透過部材H1~H10は、例えば、導光板の表面にフロスト処理を施した部材としてもよい。これにより、光を拡散・分散させることができ、ユーザの視認性を上げることができる。上記のような表示部17を備えることで、ユーザは、第2のコントローラC1の動作状態を確認することができる。
【0119】
第2のコントローラC1の操作部16は、照明システム1,11の完成前、又は、照明システム1,11のセットアップ完了前であっても、ユーザが第2のコントローラC1に対して設定を行うことができるように、例えばディップスイッチを備える。例えば、ユーザは、第2のコントローラC1の背面側に備えられているエリア設定スイッチを操作することにより、第2のコントローラC1の制御対象となるエリアE1を指定することができる。ユーザは、エリア設定スイッチを使用して、制御対象となる単一のエリアE1を指定することができ、制御対象となる複数のエリアを指定することもできる。
【0120】
ユーザは操作部16の例えばボタンB1~B3,B4~B6を使用して、複数のシーン情報の中から特定のシーン情報を選択(呼び出し)可能である。例えば、第2のコントローラC1は、6つのシーン情報を集めて1つのページ(ブロック)として管理する。第2のコントローラC1は、5ページ(30個のシーン情報)の設定を保有してもよい。
【0121】
ユーザが操作部16のボタンB10を長押しした場合、第2のコントローラC1は、ゲートウェイGW1経由で制御対象の施設F1内の無線調光器D1~Drに、消灯信号を送信してもよい。これにより、ユーザは、制御対象の施設F1内の全エリアの照明デバイスI1~Irを消灯可能である。さらに、第2のコントローラC1は、消灯信号を、ゲートウェイGW1経由で、他のゲートウェイGW2~GWpの少なくとも1つに送信し、他の設備F2~Fpの少なくとも1つに対して消灯を行ってもよい。
【0122】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、第1乃至第3の実施形態の変形例であり、第2のコントローラC1がリモートコントローラである場合を説明する。以下においては、リモートコントローラに関わる部分を説明し、その他の部分は説明を省略するか、又は、簡単に説明する。
【0123】
図7は、第4の実施形態に係るリモートコントローラ23を備える照明システム24の構成の一例を示す図である。なお、
図7に例示する各種の構成要素は、同一又は類似の機能及び作用を実現可能であれば、自由に組み合わせてもよく、又は、自由に分離してもよい。
【0124】
照明システム24は、第1のコントローラ2、ゲートウェイGW1、複数の無線調光器D1~Drと調光器具A1~Arと照明デバイスI1~Irとの組み合わせ、上記の第2のコントローラC1に相当するリモートコントローラ23を含む。
【0125】
第1のコントローラ2は、照明システム24の制御に使用される。第1のコントローラ2は、リモートコントローラ23の上位の制御装置である。第1のコントローラ2は、ゲートウェイGW1経由で、複数の無線調光器D1~Drと無線通信を行う。より具体的に説明すると、第1のコントローラ2とゲートウェイGW1とは、第1の通信方法により通信を行う。ゲートウェイGW1と複数の無線調光器D1~Drとは、第2の通信方法により通信を行う。第1通信方法は無線LAN通信を含むとしてもよく、第2の通信方法はブルートゥースとしてもよい。
【0126】
第1のコントローラ2は、リモートコントローラ23の設定に使用される。第1のコントローラ2とリモートコントローラ23とは、例えば、無線LAN通信又はブルートゥースなどのような無線通信を行う。
【0127】
リモートコントローラ23は、無線通信を用いて第1のコントローラ2から設定情報25を受信し、設定情報25を記憶部20に記憶させる。リモートコントローラ23は、操作部16によりユーザの変更操作を受け付け、変更操作に対応する変更情報26を記憶部20に記憶させる。リモートコントローラ23は、設定情報25に含まれている識別情報27によって特定される1台又は複数台の無線調光器に対して、変更情報26を送信する。
【0128】
識別情報27は、例えば、送信先(リモートコントローラ23の制御対象)のフロアF1、送信先のエリアE1、送信先のグループG1、送信先の無線調光器D1のうちの少なくとも1つを特定する。これにより、識別情報27で特定されているフロアF1に属する無線調光器D1~Dr、識別情報27で特定されているエリアE1に属する無線調光器D1~Dk、識別情報27で特定されているグループG1に属する無線調光器D1~Dr、又は、識別情報27で特定されている無線調光器D1に、変更情報26が送信される。
【0129】
リモートコントローラ23は、例えば、オフィスのデスクの引き出し内に収容可能なサイズとしてもよい。リモートコントローラ23の背面には、磁石が備えられ、デスク、ドア、ホワイトボードなどの様々な場所に容易に設置可能としてもよい。
【0130】
リモートコントローラ23は、例えば、操作部16、表示部17、通信部19、記憶部20、処理部21を備える。
【0131】
記憶部20は、例えば、第1のコントローラ2から受信した設定情報25、操作部16によって受け付けた操作内容を示す変更情報26などを記憶する。
【0132】
処理部21は、第1のコントローラ2から通信部19経由で受信した設定情報25を記憶部20に記憶させる。処理部21は、操作部16から受け付けた操作内容にしたがって、変更情報26を生成し、生成した変更情報26を記憶部20に記憶させる。そして、処理部21は、操作部16から受け付けた操作内容にしたがって、記憶部20に記憶されている変更情報26を、通信部19経由で、複数の無線調光器D1~Drのうち識別情報27で特定されている無線調光器に送信する。
【0133】
以下で第4の実施形態に係るリモートコントローラ23を備える照明システム24の動作を説明する。
【0134】
リモートコントローラ23は、無線通信可能な通信部19を内蔵しており、設定情報25、変更情報26を複数の無線調光器D1~Drのうちの少なくとも1つと通信可能である。リモートコントローラ23の設定は、第1のコントローラ2により行われる。
【0135】
リモートコントローラ23は、第1のコントローラ2とペアリングを行い、通信可能となる。リモートコントローラ23は、第1のコントローラ2から受信した設定情報25を記憶する。設定情報25は、例えばエリア又はグループを示す識別情報27を含む。これにより、リモートコントローラ23の制御対象となる無線調光器が特定可能であり、リモートコントローラ23は、制御対象の無線調光器を認識し、制御対象の無線調光器のシーンを変更可能になる。
【0136】
リモートコントローラ23は、照明システム24がシーン再生中であっても、予め設定されている特定のエリア又はグループ内の無線調光器を一時的にシーン制御から離脱させることができる。
【0137】
リモートコントローラ23によるシーン情報の一時的な変更は、例えば、点灯、明るさの調整、色温度の調整、消灯(オフ)などを含む。リモートコントローラ23は、シーンの変更後に、変更を解除して元のシーンに復帰させることが可能である。シーンの変更は、シーンの変更解除が実行されるまで継続されるとしてもよい。シーンの変更に関する情報は、シーンの変更解除後に破棄され、変更解除後のシーンに影響しないとしてもよい。
【0138】
リモートコントローラ23によりシーンを変更している間、制御対象の無線調光器の無線モジュールは、タイマによるシーンの切り替え状態又は壁シーンスイッチから受信したシーンの切り替え状態を記憶する。リモートコントローラ23によりシーンの復帰(変更の解除)が指示された場合、制御対象の無線調光器は、記憶されているシーンの切り替え状態に復帰可能である。無線モジュールW1は外部(例えば第1のコントローラ2、第2のコントローラC1、又は、ゲートウェイGW1)のタイマからの指示を受信するため、無線モジュールW1にタイマの機能を備える必要はなく、無線モジュールW1の構成を簡素化することができ、照明システムに導入される無線モジュールの数が多い場合であってもコスト増加を防止することができる。
【0139】
シーンの変更が解除されると、シーンの変更情報26を受信した無線調光器D1は、同一エリアE1又は同一グループG1に属する他の無線調光器D2~Dkと同じシーン情報に対応する状態を実現し、他の無線調光器D2~Dkと同一のシーン情報にしたがった照明状態に復帰することができる。
【0140】
ユーザは、リモートコントローラ23を用いてシーンの復帰操作を行うことができる。加えて、ユーザは、定時自動復帰を設定可能としてもよい。このように、特定の時間に変更から復帰する設定を採用することにより、ある時点で、リモートコントローラ23によるシーンの変更を無効化することができる。
【0141】
図8は、第4の実施形態に係るリモートコントローラ23の一例を示す正面図である。
【0142】
リモートコントローラ23は、正面に、ON/OFFボタン28、プラスボタン29、マイナスボタン30、シーンボタン(調光ボタン)31、CCTボタン(調色ボタン)32、表示部33を備える。
【0143】
ON/OFFボタン28は、制御対象の照明デバイスの点灯と消灯を切り替える操作を受け付ける。
プラスボタン29は、各種の値を増加させる指示を受け付ける。
マイナスボタン30は、各種の値を減少させる指示を受け付ける。
シーンボタン31は、明るさの状態を変更する指示を受け付ける。
CCTボタン32は、色温度の状態を変更する指示を受け付ける。
【0144】
リモートコントローラ23は、図示しない背面に、初期化の指示を受け付けるセットアップスイッチを備えるとしてもよい。
【0145】
リモートコントローラ23は、図示しない背面に、省電力モード実行及び省電力モードからの復帰の指示を受け付けるスイッチを備えるとしてもよい。
【0146】
表示部33は、例えばLEDであり、リモートコントローラ23の状態、照明システム24の状態に基づいて、点灯、消灯、又は、点滅する。
【0147】
図9は、第4の実施形態に係る照明システム24によって実行される点灯・消灯処理の例を示すシーケンス図である。
【0148】
S901~S903において、第1のコントローラ2は、ゲートウェイGW1とペアリングを実行し、無線調光器D1とペアリングを実行し、ゲートウェイGW1及び無線調光器D1と通信可能な状態になる。
【0149】
S904において、第1のコントローラ2は、ゲートウェイGW1にシーン情報を送信する。
【0150】
S905において、ゲートウェイGW1は、第1のコントローラ2からシーン情報を無線により受信し、シーン情報を無線調光器D1に無線により送信する。
【0151】
S906において、無線調光器D1は、ゲートウェイGW1からシーン情報を無線により受信し、シーン情報を記憶する。
【0152】
S907において、第1のコントローラ2は、ゲートウェイGW1に点灯指示を無線により送信する。
【0153】
S908において、ゲートウェイGW1は、第1のコントローラ2から点灯指示を無線により受信し、点灯指示を無線調光器D1に無線により送信する。
【0154】
S909において、無線調光器D1は、ゲートウェイGW1から点灯指示を無線により受信し、記憶しているシーン情報に基づくPWM信号を調光器具A1に送信する。
【0155】
S910において、第1のコントローラ2は、ゲートウェイGW1に消灯指示を無線により送信する。
【0156】
S911において、ゲートウェイGW1は、コントローラ2から消灯指示を無線により受信し、消灯指示を無線調光器D1に無線により送信する。
【0157】
S912において、無線調光器D1は、ゲートウェイGW1から消灯指示を無線により受信し、調光器具A1に消灯信号を送信する。
【0158】
図10は、第4の実施形態に係る照明システム24によって実行される変更処理及び変更解除処理の例を示すシーケンス図である。
【0159】
S1001~S1003において、第1のコントローラ2はリモートコントローラ23とペアリングを実行して通信可能な状態になり、リモートコントローラ23は無線調光器D1とペアリングを実行して通信可能な状態になる。
【0160】
S1004において、第1のコントローラ2は、例えば、制御対象の識別情報27、変更を解除する時間情報などを含む設定情報25をゲートウェイGW1及びリモートコントローラ23に送信する。
【0161】
S1005及びS1006において、ゲートウェイGW1及びリモートコントローラ23は、第1のコントローラ2から設定情報25を受信し、設定情報25を記憶する。
【0162】
S1007において、リモートコントローラ23は、設定情報25の識別情報27によって指定される無線調光器D1に対して、変更情報26を無線により送信する。
【0163】
S1008において、無線調光器D1は、リモートコントローラ23から変更情報26を無線により受信し、変更情報26に対応するPWM信号を調光器具A1に送信する。これによりシーンの変更が実現される。
【0164】
S1009において、リモートコントローラ23は、設定情報25の識別情報27によって指定される無線調光器D1に対して、変更解除指示を無線により送信する。
【0165】
S1010において、無線調光器D1は、リモートコントローラ23から変更解除指示を無線により受信し、元のシーン情報に対応するPWM信号を調光器具A1に送信する。これによりシーンの変更が解除され、シーンが復帰する。
【0166】
S1011において、ゲートウェイGW1は、設定情報25に含まれている時間情報によって指定されている定時変更解除の時間になると、設定情報25の識別情報27によって指定される無線調光器D1に対して、定時変更解除指示を無線により送信する。
【0167】
S1012において、無線調光器D1は、ゲートウェイGW1から定時変更解除指示を無線により受信し、元のシーン情報に対応するPWM信号を調光器具A1に送信する。これにより定時にシーンの変更が解除されてシーンが復帰する。
【0168】
なお、定時変更解除指示は、ゲートウェイGW1からではなく、第1のコントローラ2から送信されてもよく、リモートコントローラ23から送信されてもよく、無線調光器D1が自ら発生させてもよい。
【0169】
以上説明した第4の実施形態においては、第1のコントローラ2を使わなくても、リモートコントローラ23に対するユーザの操作に基づいて、又は、リモートコントローラ23に予め設定された設定情報25に基づいて、特定のエリアE1、特定のグループG1、又は、特定の無線調光器D1の制御を切り替えることができ、照明デバイスI1の点灯、消灯、調光の変更、調色の変更を行うことができる。ユーザは、全体のシーンを変えることなく、自分の意図した一部分(特定のエリアE1、特定のグループG1、特定の無線調光器D1)だけの照明状態を変更することができる。
【0170】
第4の実施形態においては、リモートコントローラ23によって切り替えた照明デバイスI1の照明状態を、ユーザの操作にしたがって、又は、定時に、元のシーンに復帰させることができる。
【0171】
[第5の実施形態]
第5の実施形態では、上記第1乃至第4の実施形態で説明された無線調光器D1を具体的に説明する。以下においては、無線調光器D1に関わる部分を説明し、その他の部分は説明を省略するか、又は、簡単に説明する。
【0172】
第5の実施形態においては、無線機能を有していない照明デバイスI1及び調光器具A1に対して、無線調光器D1を組み合わせることにより、照明デバイスI1及び調光器具A1を、無線機能を有する照明システム1に組み込む。以下においては、照明システム1を代表として説明するが、他の照明システム11,24についても同様である。
【0173】
図11は、第5の実施形態に係る無線調光器(パワーボックス)D1の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図11に例示する各種の構成要素は、同一又は類似の機能及び作用を実現可能であれば、自由に組み合わせてもよく、又は、自由に分離してもよい。
【0174】
例えば、無線調光器D1と調光器具A1とは1つの装置としてもよい。例えば、調光ユニット34と調光器具A1とは、1つの装置としてもよい。
図11において、調光器具A1と照明デバイスI1とは、まとめて調光型照明器具を構成するとしてもよい。調光型照明器具の調光方式としては、位相制御型、PWM制御型、PWM調光調色型、DALI(登録商標)(Digital Addressable Lighting Interface)制御型などがある。調光器具A1は、例えば調光型別置き電源としてもよい。調光型照明器具の調光方式に適合した無線調光器D1が、調光型照明器具に接続される。調光型照明器具と無線調光器D1との間の配線は、調光方式によって異なる配線となる。このため、ユーザは、調光型照明器具と無線調光器D1との間を調光方式に適合した配線で接続する必要がある。第5の実施形態においては、電気工事において、調光型照明器具と無線調光器D1との間の配線に誤りがあっても無線調光器D1の破壊を防止可能とする。
【0175】
図11においては、ルータ3、ゲートウェイGW1及び第2のコントローラC1を省略している。
【0176】
調光器具A1は、無線調光器D1から電力の供給を受ける。また、調光器具A1は、無線調光器D1から調光信号を受信し、受信した調光信号にしたがって照明デバイスI1を制御する。調光信号は、例えばPWM信号などでもよい。
【0177】
調光器具A1と無線調光器D1との間は、PWM信号線Lにより接続されている。
【0178】
無線調光器D1は、PWM信号線L及び無線機能を有していない調光器具A1経由で、照明デバイスI1と接続される。無線調光器D1は、調光器具A1及び照明デバイスI1を、無線通信を行う第1のコントローラ2と連動させるための装置である。無線調光器D1は、例えば、位相調光方式、PWM調光方式(単色又は調光調色)、又は、オン/オフ方式などの調光を行うが、第5の実施形態ではPWM調光方式を例として説明する。
【0179】
無線調光器D1は、無線モジュールW1と調光ユニット34とを備える。無線モジュールW1と調光ユニット34とは、例えばワイヤーハーネス又はケーブルハーネスなどのような信号と電力を伝達する有線伝達路35により通信可能及び電力供給可能に接続される。
【0180】
無線モジュールW1は、無線通信を用いて第1のコントローラ2からルータ3及びゲートウェイGW1経由で無線信号を受信する。無線モジュールW1は、調光ユニット34と有線伝達路35により電気的に接続される。無線モジュールW1は、調光ユニット34から有線伝達路35経由で電力を受ける。無線モジュールW1は、調光ユニット34に対して有線伝達路35経由で信号を送信し、調光ユニット34から有線伝達路35経由で信号を受信する。
【0181】
無線モジュールW1は、調光ユニット34に電気的に接続されることで使用される。無線モジュールW1は、例えば、操作部36、表示部37、接続部38、通信モジュール39を備える。
【0182】
操作部36は、例えば、ボタン、又は、スイッチを含む。操作部36は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作内容を示す操作信号を通信モジュール39に送信する。操作部36は、例えば、エリア設定スイッチ、チェックスイッチ、強制解除(リセット)スイッチを含むとしてもよい。エリア設定スイッチ、チェックスイッチ、強制リセットスイッチは、適宜組み合わせてもよい。より具体的には、操作部36は、例えばディップスイッチ又は押しボタンスイッチを含むとしてもよい。
【0183】
エリア設定スイッチは、無線調光器D1が所属するエリアの識別情報(例えば番号)を設定可能であり、さらに、チェックモードの起動スイッチとして機能させることも可能である。
【0184】
無線モジュールW1は、例えば、チェックモードで起動した場合に、時間軸でパターン化された照明動作、又は、一定の照明点灯などのチェックパターンにそって照明デバイス4を点灯、消灯、又は、点滅させる。
【0185】
チェックモード中、強制リセットスイッチは、チェックモードのパターンを切り替えるスイッチとして使用されてもよい。具体的には、チェックモード中において、強制リセットスイッチは、複数のチェックモードの中からいずれかのチェックモードの指定を受け付ける。無線モジュールW1は、チェックモード中、強制リセットスイッチによって指定されたチェックモードにより動作する。
【0186】
第5の実施形態において、無線モジュールW1は、チェックモードを、無線通信のペアリングを実行する前に起動させることが可能である。
【0187】
表示部37は、例えば、LED又は液晶デバイスなどを含む。表示部37は、通信モジュール39から例えば無線モジュールW1又は照明システム1の状態などを示す表示信号を受信し、表示信号に対応する表示を行う。具体例として、表示部37は、第1の色、第2の色のそれぞれ独立したモニター用LEDとしてもよい。表示部37は、通電状態及び通信状態を点灯、消灯、又は、点滅で表す。
【0188】
接続部38は、有線伝達路35の一端と接続可能である。接続部38に接続された優先伝達路35の複数の端子のうちの1つは、調光ユニット34がアナログ通信制御モードで動作する場合に、モードセレクト端子として機能する。
【0189】
通信モジュール39は、通信アンテナ40、記憶部41、演算部42を備える。通信モジュール39は、調光ユニット34から有線伝達路35及び接続部38経由で電力を受ける。通信モジュール39は、第1のコントローラ2とルータ3及びゲートウェイGW1経由で通信する。通信モジュール26は、第2のコントローラC1とゲートウェイGW1経由で、又は、ゲートウェイGW1を経由することなく、無線により通信する。通信モジュール39は、接続部38及び有線伝達路35経由で調光ユニット34と有線により通信する。
【0190】
通信アンテナ40は、電波を受信して電気信号を演算部42に送信する。
【0191】
記憶部41は、例えば、演算部42で生成されたデータ、演算部42で使用されるデータ、又は、演算部42で使用されるプログラムなどのソフトウェアを記憶する。記憶部41に記憶されているソフトウェアは、例えば、各種の設定値、第1のコントローラ2から受信したデータ、第2のコントローラC1から受信したデータ、ゲートウェイGW1から受信したデータ、又は、調光ユニット34から受信したデータなどを含むとしてもよい。記憶部41は、例えばシーン情報、無線モジュールW1が所属するフロア・エリア・グループを示す所属情報などを記憶してもよい。
【0192】
演算部42は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。演算部42は、記憶部41に記憶されているソフトウェアに基づいて例えば通信処理、判定処理、又は、チェックモード処理などのような各種の処理を実行する。
【0193】
演算部42は、各種の処理にしたがって、通信アンテナ40、ゲートウェイGW1、ルータ3経由で、第1のコントローラ2と無線通信する。演算部42は、各種の処理にしたがって、通信アンテナ40を用いて、第2のコントローラC1と、ゲートウェイGW1経由で、又は、ゲートウェイGW1を経由することなく通信する。演算部42は、各種の処理にしたがって、接続部38及び有線伝達路35経由で調光ユニット34と通信する。演算部42によって実行される処理の一例を、
図12のフローチャートを用いて後で説明する。
【0194】
演算部42は、種類の異なる通信制御モード(例えば、通信制御フォーマット、通信仕様、通信方式)を自動的に判定する機能を含む。演算部42は、例えば、接続部38における特定の端子(ピン)の電気的な接続状態(無線モジュールW1と調光ユニット34との間の電気的な接続状態)、又は、通信状態の少なくとも1つに基づいて通信制御モードを判定する。
【0195】
演算部42は、調光ユニット34に対する通信において、複数の異なる種類の通信制御モードを実行する。演算部42が複数の異なる種類の通信制御モードに対応可能であるため、当該無線モジュールW1は、1台で、種類の異なる調光ユニット34に適用可能である。具体例として、演算部42は、アナログ通信制御モード、単チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)、2チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)、又は、多チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)のいずれにも対応可能である。
【0196】
演算部42は、例えばディップスイッチなどのような操作部36の状態に応じて、チェックモードを実行する。このため、演算部42は、第1のコントローラ2がない状態、又は、第1のコントローラ2と通信できない状態であっても、無線モジュールW1と調光ユニット34と調光器具A1と照明デバイスI1の接続・動作のテストを実行可能である。具体的には、演算部42は、チェックモード(又はテストモード)実行されると、記憶部41に記憶されているチェックパターンに基づいて、点灯、消灯、点滅、調光、調色などのための制御を行う。ユーザは、チェックモードにしたがって発光する照明デバイスI1を確認することにより、無線モジュールW1と調光ユニット34と調光器具A1と照明デバイスI1の接続・動作を確認することができる。これにより、第1のコントローラ2と無線モジュールW1との間のペアリングをしなくても無線モジュールW1から照明デバイスI1までの配線を確認することができる。演算部42がチェックモードを実行することにより、ユーザの現場での作業性を向上させることができ、ユーザは照明システム1のセットアップ前に点検を行うことができる。
【0197】
演算部42は、例えばディップスイッチなどのような操作部36の状態に応じて、無線調光器D1が所属するエリアを設定可能である。このため、照明システム1の施工工事又はセットアップが完了する前であっても、又は、照明システム1に対する通電ができない状態であっても、ユーザの操作により無線モジュールW1に予めエリア又はグループを設定することができる。これにより、照明システム1に対する施工工事、セットアップ、又は、通電開始の後に必要になる機器の設定及びエリア又はグループの設定の時間を短縮することができ、ユーザの負担を軽減することができる。
【0198】
演算部42は、例えば押しボタンスイッチの押下などのような操作部36の状態に応じて、第1のコントローラ2から実行されたペアリング(プロビジュニング)を強制的に解除する。一般的にペアリングの解除は、設定を行った第1のコントローラ2のみが実行可能であったが、第2の実施形態では、ユーザが手動で強制解除スイッチを操作し、演算部42がペアリングの解除を行う。これにより、第1のコントローラ2の故障又は紛失が発生した場合、又は、第1のコントローラ2と無線モジュールW1とが通信可能でない状況の場合に、無線モジュールW1と第1のコントローラ2とのペアリングを解除し、第1のコントローラ2又は新しいコントローラからの再セットアップを実行することができる。
【0199】
演算部42は、例えば、記憶部41に記憶されているシーン情報に基づいて、照明制御信号を生成し、照明制御信号を接続部38及び有線伝達路35経由で調光ユニット34に送信してもよい。
【0200】
調光ユニット34は、外部の電源からの電力を受け、電力変換を行う。調光ユニット34は、変換された電力を調光器具A1経由で照明デバイスI1に供給する。調光ユニット34は、有線伝達路35経由で無線モジュールW1と接続されている。調光ユニット34は、無線モジュールW1に対して有線伝達路35経由で信号を送信し、無線モジュールW1から有線伝達路35経由で信号を受信する。調光ユニット34は、変換された電力を有線伝達路35経由で無線モジュールW1に供給する。調光ユニット34は、接続部43、記憶部44、操作部45、処理部46、電力変換部47、調光部(例えば調光回路)48、表示部49、異常検出部(例えば異常検出回路)50を備える。なお、処理部46と調光部48とは、組み合わせて1つの構成要素としてもよい。処理部46と異常検出部50とは、組み合わせて1つの構成要素としてもよい。その他の構成要素も適宜組み合わせてもよい。
【0201】
接続部43は、有線伝達路35の他端と接続可能である。接続部43は、複数の端子を含む。
【0202】
記憶部44は、例えば、処理部46で生成されたデータ、処理部46で使用されるデータ、又は、処理部46で使用されるプログラムなどのソフトウェアを記憶する。記憶部44に記憶されているソフトウェアは、例えば、各種の設定値、無線モジュールW1から受信したデータなどを含むとしてもよい。より具体的には、記憶部44は、例えば、電源種別コード、通信フォーマットを記憶する。
【0203】
操作部45は、例えば、ボタン(例えば押しボタンスイッチ)、又は、スイッチ(例えばディップスイッチ)を含む。操作部45は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作内容を示す操作信号を処理部46に送信する。操作部45は、例えば、チェックスイッチを含むとしてもよい。
【0204】
処理部46は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。処理部46は、操作部45の指定にしたがって、記憶部44に記憶されているソフトウェアに基づいて各種の処理を実行する。
【0205】
処理部46は、各種の処理にしたがって、電力変換部47、調光部48、表示部49、異常検出部50を制御し、接続部43及び有線伝達路35経由で無線モジュールW1と通信する。
【0206】
第5の実施形態において、処理部46は、操作部45の操作状態(例えばチェックスイッチの状態)にしたがってチェックモードを実行する。処理部46は、単独でチェックモードを起動してもよく、チェックモードにおいて異常検出部50と協働して異常の検出を行ってもよく、無線モジュールW1のチェックモードと協働してもよい。処理部46がチェックモードで動作することにより、ユーザは、例えばPWM信号線Lなどの配線チェック及び各種の動作確認を行うことができる。
【0207】
電力変換部47は、処理部46による制御にしたがって動作し、電源から供給された電力を変換する。電力変換部47は、例えば、電源から供給された電流の電圧、電流、周波数を所定の電圧、電流、周波数へ変換する。電力変換部47は、変換された電力を、記憶部44、操作部45、処理部46、調光部48、表示部49、異常検出部50へ供給する。電力変換部47は、変換された電力を、調光部48経由で調光器具A1へ供給し、及び、接続部43及び有線伝達路35経由で無線モジュールW1へ供給する。
【0208】
調光部48は、電力変換部47から変換された電力を受け、調光器具A1に電力を供給する。具体的には、調光部48は、供給されたDC電力を定電圧又は定電流にし、もしくは、PWM制御し、調光信号を生成し、生成された調光信号を調光器具A1に送信する。第2の実施形態においては、調光部35から調光器具A1へアナログ信号であるPWM信号が供給される場合を例として説明するが、アナログ信号は他の方式の信号でもよい。
【0209】
異常検出部50は、処理部46と連携して異常検出処理を実行する。異常検出部50は、異常が検出された場合に、無線調光器D1の動作を停止することで、無線調光器D1の故障発生を防止し、無線調光器D1を保護する。異常検出部50は、例えばPWM配線保護回路としてもよい。異常検出部50は、無線調光器D1の通電中に常時動作し、異常検出を行うとしてもよい。処理部46は、異常発生時に、無線調光器D1の出力を停止し、有線伝達路35、無線モジュールW1経由で、第1のコントローラ2に異常情報を送信してもよい。
【0210】
以下で異常検出部50と処理部46との協働によって実行される異常検出処理を説明する。
【0211】
例えば、調光用PWM配線を行う必要がある従来の調光器においては、誤った配線、又は、配線の短絡により、信号を出力する回路の故障、又は、回路の破壊が発生する場合がある。このような故障又は破壊を防止するため、従来の調光器では、ヒューズ又はそれに類似する保護素子を使用して、回路の故障又は破壊を防止している。
【0212】
例えば一般的な保護ヒューズを用いて回路の故障又は破壊を防止する方法においては、復旧する際に、ヒューズを物理的に交換する必要がある。ヒューズが自動復帰型である場合、ショート状態が継続すると遮断と復帰を繰り返してしまい、物理的な故障が発生し、自動復帰型のヒューズの交換が必要になる。自動復帰型のヒューズが基盤実装型である場合、基盤本体の交換が必要になる場合がある。
【0213】
このような課題に対して、第5の実施形態においては、異常検出部50を用いて異常の検出を行う。より具体的には、第5の実施形態に係る調光ユニット34は、例えば、PWM信号線Lのショートなどの異常検出を行う。異常検出部50は、例えば、ポリスイッチを含む。ポリスイッチは、高温になると抵抗が大きくなり、最終的に回路を遮断する。第5の実施形態においては、例えば、監視対象の信号線の一端にポリスイッチの一端を接続し、他端にポリスイッチの他端を接続する。異常検出部50は、ポリスイッチの両端で発生する電圧を示す電圧信号を処理部46に送信する。処理部46は、異常検出部50から電圧信号を受信し、例えば電圧の時間当たりの変化量に基づいて、異常を検出する。処理部46は、異常を検出した場合に異常検出部50による監視対象の回路の動作又は出力を停止する。これにより、無線調光器の故障又は破壊を大幅に減少させることができ、回路交換などの発生を防止することができる。
【0214】
第5の実施形態においては、例えばPWM信号線L又は監視対象の回路がショートしても保護機能が働くため、無線調光器D1が故障することを防止することができ、異常の原因を解消すれば照明デバイスI1を再点灯可能である。
【0215】
処理部46は、異常を検出した場合には、異常情報を、有線伝達路35、無線モジュールW1経由で、第1のコントローラ2に送信する。第1のコントローラ2は、アプリケーション・ソフトウェアを用いて、異常情報を表示する。これにより、ユーザは、無線調光器D1によって検出された異常を確認することができる。
【0216】
以下で無線モジュールW1によって実行される通信モードの自動設定動作を説明する。
【0217】
第5の実施形態において、無線モジュールW1は、当該無線モジュールW1と調光ユニット34との間で実行される通信がアナログ通信制御モードに準拠するか、又は、デジタル通信制御モードに準拠するか、を自動で判定し、さらに、デジタル通信制御モードに準拠すると判定された場合に、複数の種類のデジタル通信制御モードのうちのどのデジタル通信制御モードに準拠するかを自動で判定する。
【0218】
第5の実施形態では、アナログ通信制御モードがPWM通信モードである場合を例として説明するが、アナログ通信制御モードは他のアナログ通信制御モードでもよい。また、デジタル通信制御モードがシリアル通信モードである場合を例として説明するが、デジタル通信制御モードは例えばパラレル通信モードなどのような他の通信モードでもよい。
【0219】
ここで、第1のコントローラ2と無線モジュールW1~Wrとの関係を説明する。第5の実施形態において、照明システム1は、複数の無線モジュールW1~Wrを備え、第1のコントローラ2は、複数の無線モジュールW1~Wrと無線通信を行う。無線モジュールW1~Wrは、無線通信のためのペアリング時とペアリング後とで、異なる通信を実行してもよい。より具体的には、ペアリング時に、複数の無線モジュールW1~Wrと第1のコントローラ2とは直接無線により接続され、ペアリング後に、ペアリングされた複数の無線モジュールW1~Wrの集合体は相互に通信可能に接続され、複数の通信伝達路を使って無線通信を行うとしてもよい。
【0220】
一般的な1対1の通信又は1対多の通信では、電波到達距離は直接到達波の距離となる。このような一般的な1対1の通信又は1対多の通信では、送信装置と受信装置が物理的な距離又は電波減衰の影響を受けやすい。これに対して、上記のように、複数の無線モジュールW1~Wrが相互に通信可能な照明システム2においては、ペアリングされた複数の無線モジュールW1~Wrによって電波伝達経路を形成することができる。言い換えれば、複数の無縁モジュールW1~Wrのそれぞれは、第1のコントローラ2との通信のみではなく、他の無線モジュールの中継器として機能することが可能である。
【0221】
図12は、第5の実施形態に係る無線モジュールW1によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0222】
無線モジュールW1は、調光ユニット34からの給電が開始されると、調光ユニット34の判定処理に移行し、接続電源の種別を判定する。無線モジュールW1は、起動後に、通信モードの判定を行い、次に、エリア設定スイッチの状態を判定する。エリア設定スイッチの状態がチェックモードを表す場合、無線モジュールW1は、チェックモードに対応するチェックパターンを調光ユニット34に送信する。
【0223】
ステップS1201において、演算部42は、接続部38に接続された有線伝達路35の特定の端子の状態(例えば電圧の変化)に基づいて、当該特定の端子がPWMモードにおけるモードセレクト端子として機能しているか否かを判定する。演算部42は、特定の端子がモードセレクト端子として機能している場合に、PWMオンと判定し、特定の端子がモードセレクト端子として機能していない場合に、PWMオフと判定する。より具体的に説明すると、演算部42は、例えば、特定の端子の電圧が0Vか、あるいは、供給電圧かに基づいて、PWMオンか否かを判定する。この無線モジュールW1の判定は、調光ユニット34がマイクロコンピュータを非搭載であっても容易に実現することができる。したがって、無線モジュールW1は、マイクロコンピュータを搭載しない調光ユニットに対しても連結可能である。
【0224】
PWMオン(接続部38に接続された有線伝達路35の特定の端子の状態がモードセレクト端子の状態に相当)の場合、ステップS1202において、演算部42は、PWM通信制御モードによる起動を行う。PWM通信制御モードによる起動の後、ステップS1203において、演算部42は、操作部36に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。エリア設定スイッチは、エリアを選択可能である。また、エリア設定スイッチは、チェックモード(テストモード)を選択可能である。エリア設定スイッチは、複数のオン/オフを指定可能なディップスイッチとしてもよい。
【0225】
エリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合(例えば複数のディップスイッチがオールオンの場合)、ステップS1204において、演算部42は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS1203に戻る。
【0226】
エリア設定スイッチがエリアを選択する状態である場合(例えば複数のディップスイッチのうちのいずれかがオンであり、他のディップスイッチがオフの場合)、ステップS1205において、演算部42は、調光ユニット34と協動して、エリア設定スイッチの示すエリアに関するPWM通信制御モードによる運転を実行する。
【0227】
上記のS1201においてPWMオフの場合、ステップS1206において、演算部42は、無線モジュールW1と調光ユニット34との間の通信に適用されるデジタル通信制御モード(データ通信フォーマット)の種別の判定を行う。例えば、演算部42は、第1のデジタル通信制御モードに基づく信号を調光ユニット34に対して送信する。演算部42は、調光ユニット34から正常な応答を受信した場合には、第1のデジタル通信制御モードを選択する。演算部42は、調光ユニット34から正常な応答を受信しない場合には、第2のデジタル通信制御モードを選択してもよい。あるいは、演算部42は、調光ユニット34から正常な応答を受信しない場合には、第2のデジタル通信制御モードに基づく信号を調光ユニット34に対して送信し、調光ユニット34から正常な応答を受信した場合に、第2のデジタル通信制御モードを選択してもよい。
【0228】
上記のステップS1206において第1のデジタル通信制御モードが選択された場合、ステップS1207において、演算部42は、第1のデジタル通信制御モードによる起動を行う。第1のデジタル通信制御モードによる起動の後、ステップS1208において、演算部42は、操作部36に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。
【0229】
ステップS1208においてエリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合、ステップS1209において、演算部42は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS1208に戻る。
【0230】
ステップS1208においてエリア設定スイッチがエリア選択する状態である場合、ステップS1210において、演算部42は、エリア設定スイッチの示すエリアに関する第1のデジタル通信制御モードによる運転を実行する。
【0231】
上記のステップS1206において第2のデジタル通信制御モードが選択された場合、ステップS1211において、演算部42は、第2のデジタル通信制御モードによる起動を行う。第2のデジタル通信制御モードによる起動の後、ステップS1212において、演算部42は、操作部36に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。
【0232】
ステップS1212においてエリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合、ステップS1213において、演算部42は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS1212に戻る。
【0233】
ステップS1212においてエリア設定スイッチがエリア選択する状態である場合、ステップS1214において、演算部42は、エリア設定スイッチの示すエリアに関する第2のデジタル通信制御モードによる運転を実行する。
【0234】
上記
図12において、ステップS1201の判定は、例えば、無線モジュールW1の接続部25に接続された有線伝達路35のモードセレクト端子の状態(電圧又は電位)を判定する。
【0235】
ステップS1206の判定は、特定の通信制御モードで通信を行い、応答の受信状態に基づいて通信制御モードを判定する。
【0236】
ステップS1203、ステップS1208、ステップS1212の判定は、モードセレクトスイッチの状態を電気的に判定する。
【0237】
第5の実施形態における通信制御モードの判定は、ステップS1206以降において拡張・追加されてもよい。
【0238】
演算部42は、上記の各種の判定結果又は通信制御モードの種別情報を記憶部41に保存し、第1のコントローラ2からの要求にしたがって、判定結果又は種別情報を第1のコントローラ2に送信する。
【0239】
演算部42は、デジタル通信制御モードに移行した場合、第1のコントローラ2から受信した要求にしたがって、電源固有の識別情報を、調光ユニット34から有線伝達路35及び接続部38経由で受信し、電源固有の識別情報を記憶部41に記憶させ、電源固有の識別情報を第1のコントローラ2へ送信する。演算部42は、記憶部41が電源固有の識別情報を保存済みの場合には、記憶部41に記憶されている電源固有の識別情報を読み出し、読み出した電源固有の識別情報を第1のコントローラ2に送信してもよい。
【0240】
演算部42は、第1のコントローラ2からエリア設定モード又はグループ設定モードの指定信号を受信した場合に、この指定信号によって指定されているエリア又はグループに対して、ステップS1203、ステップS1208、ステップS1212の判定結果を強制的に切り替え、この強制的に切り替えた状態を記憶部41に記憶させるとしてもよい。これにより、これにより、エリア又はグループの設定を遠隔で切り替えることができる。
【0241】
以上説明した第5の実施形態においては、照明デバイスI1及び調光器具A1が無線機能を有していない場合であっても、照明デバイスI1及び調光器具A1に対して無線調光器D1を組み合わせることにより、無線機能を有する照明システム1に照明デバイスI1及び調光器具A1を組み込むことができる。
【0242】
第5の実施形態において、無線調光器D1は、照明システム1のセットアップ完了前に、チェックモードを実行し、照明システム1のセットアップ前においても動作確認と異常検出部50及び処理部46による配線チェックを行うことができる。
【0243】
第5の実施形態においては、処理部46と異常検出部50とが協働して異常を検出し、異常を検出した場合に、異常検出部50により監視対象の回路の動作又は出力を停止する。これにより、無線調光器D1の故障又は破壊を大幅に減少させることができ、回路交換などの発生を防止することができる。
【0244】
第5の実施形態においては、無線調光器D1の異常が検出された場合に、第1のコントローラ2が異常情報を表示する。これにより、ユーザは、無線調光器D1に発生した異常を確認することができる。
【0245】
第5の実施形態においては、調光器具A1及び照明デバイスI1が無線通信に非対応であり、かつ、異常検出機能を有していない場合あってもが、第5の実施形態に係る無線調光器D1を調光器具A1に接続することにより、無線通信と異常検出が可能になり、照明システム1の運用の安全性を確保することができる。
【0246】
第5の実施形態に係る無線調光器D1は、異常情報を、ゲートウェイGW1、ルータ3、又は、インターネット経由で、第1のコントローラ2に送信してもよい。これにより、ユーザは、第1のコントローラ2によって照明システム1を監視することができる。
【0247】
第5の実施形態に係る無線調光器D1は、操作部36を備える。従来においては、照明デバイスI1と調光器具A1の点灯確認をするためには、現場で配線し、第1のコントローラ2とペアリングを行う必要があった。これに対して、第5の実施形態においては、無線調光器D1に備えられている操作部36を用いて照明をオン/オフすることができ、ペアリングしなくてもチェックモードによる配線確認を行うことができる。これにより、ユーザの現場での作業性を向上させることができ、セットアップ前に配線確認を行うことができる。
【0248】
第5の実施形態においては、1台で複数種類の通信制御モードに適用可能な無線モジュールW1を使って照明システム1を構築することができる。第5の実施形態においては、無線モジュールW1に対して様々な種類の調光ユニット34を接続することができる。
【0249】
第5の実施形態においては、無線モジュールW1が調光ユニット34の通信制御モードを端子の電圧の変化及び通信の不可により自動で判定し、通信制御モードの切り替えを行う。これにより、照明システム1の構築を省力化及び短期化することができる。
【0250】
第5の実施形態においては、照明システム1が動作可能になる前、第1のコントローラ2がない状態、第1のコントローラ2と無線モジュールW1とが通信できない状態、又は、照明システム1がセットアップされる前であっても、無線モジュールW1の操作部36に対する操作によりエリア又はグループの設定を行うことができる。
【0251】
第5の実施形態においては、無線モジュールW1におけるチェックモードを実行することにより、照明システム1が動作可能になる前、第1のコントローラ2がない状態、第1のコントローラ2と無線モジュールW1とが通信できない状態、又は、照明システム1がセットアップされる前であっても、ユーザは照明デバイスI1の点灯、消灯、調光、又は、調色の状態を確認することができる。これにより、ユーザは照明システム1を構築しつつチェック作業を進めることができ、作業を効率化することができ、照明システム1の信頼性を向上させることができる。また、第5の実施形態においては、ペアリングしなくても照明デバイスI1の配線を確認することができる。また、ユーザの現場での作業性を向上させ、セットアップ前に配線を確認することができる。
【0252】
第5の実施形態においては、無線モジュールW1に例えばディップスイッチ又は押しボタンスイッチなどのような操作部36を備え、操作部36を操作することにより、エリア設定、及び、ペアリングの強制解除を行うことができる。また、第1のコントローラ2を用いて、エリア設定、グループ設定、及び、ペアリングの確立又は解除を行うこともできる。例えば、多数の照明デバイスに対するペアリング、エリアの設定、グループの設定を第1のコントローラ2で制御する場合には、第1のコントローラ2の画面に多数の器具を表示して仕分けをする必要があった。しかしながら、第5の実施形態においては、個々の無線モジュールW1~Wr側でペアリングに関する指示、エリア設定、グループ設定をすることができるため、第1のコントローラ2に多数の器具を表示してペアリングに関する指示、エリア設定、グループ設定をする必要がない。したがって、ユーザはペアリング時の機器の振り分けを容易かつ効率的に行うことができる。
【0253】
一般的に、第1のコントローラ2によるペアリングにおいては、電源が入っている複数の無線モジュールW1~Wrが一斉に検索される。ユーザは、この一斉に検索された複数の無線モジュールW1~Wrを分類し、エリアE1~Enに分ける作業を第1のコントローラ2で行うことが必要になる。しかしながら、第5の実施形態に係る照明システム1においては、ペアリング前に、無線モジュールW1~Wrのエリア設定スイッチを予め設定することにより、ユーザの作業を軽減することができる。
【0254】
第5の実施形態において、調光ユニット34は、無線対応の照明器具としてもよい。この場合、照明器具A1は、各種の検出回路を備えるとしてもよい。各種の検出回路としては、例えば、2次側過電流、異常温度、回路故障の検出回路などがある。検出回路が異常を検出すると、処理部46は、異常コードの処理を行う。処理部46は、異常コードを接続部43、有線伝達路35経由で無線モジュールW1に送信する。
【0255】
第5の実施形態に係る無線調光器D1を新規の無線調光器に置き換える場合、複数の他の無線調光器の保有する例えばシーン情報などのようなデータは、新規の無線調光器に送信され、インストール可能とする。これにより、ユーザは新規の無線調光器に対して初期設定をする必要がなく、容易に他の無線調光器のデータを新規の無線調光器に引き継ぐことができる。
【0256】
[第6の実施形態]
第6の実施形態は、第5の実施形態で説明した無線調光器D1の変形例である。
【0257】
図13は、第6の実施形態に係る無線調光器D1の構成の一例を示すブロック図である。この
図13の無線調光器D1では、
図11の無線調光器D1の構成要素のうち第6の実施形態で説明する部分のみを図示しており、他の部分は省略している。
【0258】
第6の実施形態に係る無線調光器D1は、2つのPWM出力系統LA,LBを有している。無線調光器D1は、2つのPWM出力系統LA,LBにより調光器具A1にPWM信号を伝達する。
【0259】
第6の実施形態に係る無線調光器D1は、マイクロコンピュータ51と、異常検出部53A,53Bと、抵抗器54A,54Bを備える。
【0260】
マイクロコンピュータ51は、PWM出力系統LAに対応するPWM調光信号回路52AとPWM出力系統LBに対応するPWM調光信号回路52Bとを備える。PWM調光信号回路52A,52Bは、PWM信号を生成し、生成したPWM信号をPWM出力系統LA,LB経由で照明器具A1に送信する。
【0261】
マイクロコンピュータ51は、PWM調光信号回路52AからPWM出力系統LAへ出力されたPWM信号(電圧)を監視し、さらに、PWM調光信号回路52BからPWM出力系統LBへ出力されたPWM信号を監視する。マイクロコンピュータ51は、
図11における処理部46と調光部48として機能する。マイクロコンピュータ51は、起動し、通電状態となると、異常検出を開始する。
【0262】
異常検出部53A,53Bのそれぞれは、PWM調光信号回路52A,52Bのそれぞれと直列に接続されており、例えば、抵抗器又はポリスイッチ端の電圧を監視する。
【0263】
異常検出部53A,53Bのそれぞれは、PWM信号の電圧の測定値(例えば実測値又は取り込み値)を、抵抗器54A,54Bを経由してマイクロコンピュータ51に出力する。
【0264】
マイクロコンピュータ51は、理論値と、測定値とを比較し、差が所定の範囲を超える場合に異常を検出する。
【0265】
一般的に、照明制御用のPWM信号(例えば調光信号)は、DC12V程度の電圧で1kHzの周波数のパルス波形である。消灯信号時はDC12Vである。PWM信号によって表される調光度を上げると(明るくすると)、PWM信号の波形におけるオフ期間は長くなる。このように、オフ期間が長くなれば、電圧換算した場合に微弱になる。また、ポリスイッチを作動させるほどの電流増加を期待できない場合がある。このため、オフ期間の長いPWM信号の異常検出は困難である。
【0266】
しかしながら、第6の実施形態においては、マイクロコンピュータ51が理論値と測定値とを比較し、異常検出を行うため、PWM信号を電圧換算した値(例えば調光度)が微弱であっても異常検出を行うことができる。
【0267】
図14は、PWM信号の電圧と平均電圧との関係の例を示すグラフである。
PWMはパルス幅変調と呼ばれる。PWMでは、一定間隔(T)で発生するパルスの幅(Tp)を変化させることにより平均電圧が制御される。例えば、波形のオン期間が長い場合には照明デバイスI1は暗く発光し、オン期間が短い場合、明るく発光する。無線調光器D1は、このようなPWM信号の出力制御を行う。第6の実施形態に係る無線調光器D1は、異常検出の処理において、PWM信号をAD変換回路によりアナログデジタル変換し、マイクロコンピュータ51にフィードバックさせる。そして、無線調光器D1は、出力したPWM信号の理論値とフィードバックされた測定値との差が所定範囲外となる時間が所定期間以上となる場合に、異常を検出する。
【0268】
以上説明した第6の実施形態においては、無線調光器D1が2つのPWM出力系統LA,LBを有しており、2つのPWM出力系統LA,LBのそれぞれに対して異常検出部53A,53Bが備えられており、マイクロコンピュータ51が理論値と測定値との比較を行うことで2つのPWM出力系統LA,LBの異常検出を行う。これにより、PWM調光信号の示す調光度がどのような値であっても異常検出を行うことができる。
【0269】
[第7の実施形態]
第7の実施形態では、無線モジュールW1~Wrに記憶される情報と、第1のコントローラ2の下位(子機)として使用されるコントローラ(以下、子機コントローラという)との関係を説明する。以下の説明では、無線モジュールW1、照明システム1、ゲートウェイGW1、第2のコントローラC1を代表して説明するが、無線モジュールW2~Wr、照明システム11,24、ゲートウェイGW2~GWp、第2のコントローラC2~Cpについても同様である。
【0270】
照明システム1は、1以上の照明デバイスI1~Irによりシーンを再生する。照明システム1は、作業者及びユーザの利便性を向上させるために、標準のシーンに対する第1の変更及び第2の変更という2種類の変更を実現可能としてもよい。
【0271】
第1の変更は、例えば、標準のシーンからの離脱・一時変更・標準のシーンへの復帰を含むモードとする。
第2の変更は、例えば、標準のシーンを微調整するモードとする。
【0272】
第1の変更と第2の変更とは、例えば、双方とも子機コントローラに対する作業者又はユーザの操作に基づいて標準のシーンを変更する点で共通する。しかしながら、第1の変更と第2の変更とは、変更に関する優先度が異なる点で相違する。
【0273】
子機コントローラに対する変更操作に優先度を持たせるために、照明システム1は、複数の種類の子機コントローラを備えるとともに、無線モジュールW1の記憶部41に各種の情報を記憶する。無線モジュールW1は、記憶部41の情報に基づいて処理を実行する。
【0274】
具体例として、無線モジュールW1の記憶部41は、例えば、ネットワーク情報、無線モジュールW1の固有識別情報、施設情報(施設識別情報を含む)、エリア情報(エリア識別情報)、グループ情報(グループ識別情報を含む)、少なくとも1つのシーン情報(例えば、シーンレベル、フェードタイム情報を含む)、変更情報(例えばプライベートモードレベル又はユーザ優先モードレベル)、変更復帰シーン情報(例えばプライベートモード復帰シーンレベル)、一時変更情報(一時変更レベル)、最終状態情報(停電復帰用現状レベル)を記憶する。
【0275】
ネットワーク情報は、第1のコントローラ2の操作によりペアリング時に付与されるネットワークコード(例えばメッシュネットワークキー)を含むとしてもよい。ネットワーク情報は、同一のネットワークで機能するためのログインキー情報を含むとしてもよい。
【0276】
固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報、シーン情報は、照明システム1の標準の運転及び通信で使用される情報である。固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報、シーン情報は、第1のコントローラ2によって設定され、第1のコントローラ2から無線モジュールW1へ送信され、無線モジュールW1の記憶部41に記憶される。
【0277】
変更情報及び変更復帰シーン情報は、無線モジュールW1と無線通信可能な第1の子機コントローラによって作業者又はユーザによって生成され、第1の子機コントローラから無線モジュールW1へ送信され、無線モジュールW1の記憶部41に記憶される。変更情報及び変更復帰シーン情報は、上記の第1の変更(標準のシーンからの離脱・一時変更・標準のシーンへの復帰)、又は、上記の第2の変更(標準のシーンの微調整)を実現するために使用される。
【0278】
第1の子機コントローラは、例えばリモートコントローラ23としてもよい。作業者又はユーザは、リモートコントローラ23を使用することにより、第1のコントローラ2を使用しなくても、特定のエリア又は特定のグループに所属する照明デバイスI1の明るさ・色を操作可能である。作業者又はユーザは、例えば、全体のシーンを変えることなく、自分の上の照明デバイスI1を明るくすることができる。また、作業者又はユーザは、例えば、会議などで特定のグループのみを消灯させることができる。
【0279】
変更情報は、例えば、リモートコントローラ23によってシーン離脱をする際に変更される値である。変更情報及び変更復帰シーン情報に対応するシーンへの移行は、第1のコントローラ2によって事前に設定されたリモートコントローラ23を作業者又はユーザが操作することにより行われる。
【0280】
変更情報は、例えば、リモートコントローラ23を操作する作業者又はユーザによって変更・調整された明るさ・色に関する値を含むとしてもよい。
【0281】
変更情報は、作業者又はユーザがリモートコントローラ23を用いて設定した優先度の高いシーン情報(明るさ・色のレベルを含む)とする。第1のコントローラ2又は第2のコントローラC1が無線モジュールW1の記憶部28に記憶されている変更情報を呼び出すと、無線モジュールW1は、再生中のシーンを離脱して変更情報に対応するシーンを再生するための処理を実行する。この変更情報に対応するシーンを再生するモードの優先度は高いため、変更情報に対応するシーンの再生中は、この作業者又はユーザによって設定された変更情報のシーンの再生が維持される。無線モジュールW1は、第1のコントローラ2、第2のコントローラC1、又は、ゲートウェイGW1のスケジュールタイマからシーンの変更指示を受信したとしても、変更情報のシーンを優先して変更情報のシーンを維持し、シーン復帰指示又は第1のコントローラ2からの強制復帰指示を受信するまでは第1のコントローラ2、第2のコントローラC1、又は、ゲートウェイGW1のスケジュールタイマから受信したシーンの変更指示を反映しない。そして、無線モジュールW1は、この第1のコントローラ2、第2のコントローラC1、又は、ゲートウェイGW1のスケジュールタイマから受信したシーンの変更指示の内容を、変更復帰シーン情報として記憶部41に記憶しておく。
【0282】
変更復帰シーン情報は、変更情報に対応するシーンを再生している状態から復帰する場合のシーン(例えば明るさ又は色)の値を含む。無線モジュールW1は、作業者又はユーザの操作に基づくシーン復帰指示、又は、第1のコントローラ2からの強制復帰指示を受信するまでこの変更復帰シーン情報を呼び出さない。無線モジュールW1は、シーン復帰指示、又は、強制復帰指示を受信した場合に、変更復帰シーン情報を呼び出し、変更復帰シーン情報に対応するシーンを再生するための処理を実行する。
【0283】
第7の実施形態において、変更情報と変更復帰シーン情報とは対の関係を有している。無線モジュールW1は、記憶部41に、復帰時のシーン番号やレベル情報を有する変更復帰シーン情報を随時管理している。
【0284】
特定のエリアに対して特定のシーン情報に基づいてシーンの再生が実行されている場合に、無線モジュールW1は、例えば、変更情報を用いることで、この特定のエリアに属する特定のグループをシーンから離脱することができる。シーンの離脱が生じている状況において、例えば、特定のエリアに対して第1のシーン情報(例えば夜用のシーン情報)から第2のシーン情報(例えば朝のシーン情報)への遷移が発生したとする。この場合、無線モジュールW1は、変更復帰シーン情報も第1のシーン情報から第2のシーン情報に遷移させておく。無線モジュールW1は、復帰時に、第2のシーン情報に対応する変更復帰シーン情報を呼び出して再生することにより、同じエリアに属する他の無線モジュールと整合したシーンの再生を行う。これにより、時間が経過し、適用されるシーン情報が変化した場合であっても適切なシーンを再生することができる。
【0285】
リモートコントローラ23は、無線モジュールW1に対してコマンドを送信する。このコマンドは、例えば、施設の指定、エリアの指定、グループの指定、光の強さを示す値、光の明るさを示す値などを含む構成とする。リモートコントローラ23は、例えば、ネットワーク情報、無線モジュールW1の固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報を記憶する。リモートコントローラ23が記憶しているネットワーク情報、無線モジュールW1の固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報は、例えば、第1のコントローラ2により設定され、第1のコントローラ2からリモートコントローラ23に送信される。
【0286】
照明システム1においては、システムの破壊又は故障に対するリスクを分散し、無線通信帯域を確保するために分散処理を実現する。このため、リモートコントローラ23は、主に、無線モジュールW1~Wrにコマンドを送信する。各種の演算及び処理の多くは、個々の無線モジュールW1~Wrで実行される。コマンドとしては、例えば、照明を明るくするコマンド、照明を暗くするコマンド、色温度を変更するコマンド、オン/オフコマンド、シーン離脱コマンド、シーン復帰コマンドがある。
【0287】
作業者又はユーザがリモートコントローラ23を用いてシーンを変更しても、標準のシーン情報は無線モジュールW1~Wrに保存されている。このため、作業者又はユーザは、自由にシーンを変更し、その後容易にシーンを復帰させることができる。また、リモートコントローラ23は、第1のコントローラ2よりも機能が少なくてもよく、作業者又はユーザはリモートコントローラ23の感覚的なインタフェースを用いることができる。
【0288】
無線モジュールW1の記憶部41に記憶されている一時変更情報は、第1のコントローラ2又は第2のコントローラC1(例えば壁シーンスイッチ)によって設定され、第1のコントローラ2又は第2のコントローラC1から無線モジュールW1に送信され、無線モジュールW1の記憶部41に記憶される。一時変更情報は、例えば、一時的に変更されたシーンレベルを含む。
【0289】
一時変更情報に基づいてシーンを再生するモードへの移行は、第1のコントローラ2又は第2のコントローラC1を作業者又はユーザが操作することにより行われる。
【0290】
第2のコントローラC1は、例えば、第1のコントローラ2と無線モジュールW1~Wrとの間で通信を中継するゲートウェイGW1に接続される。ゲートウェイGW1はタイマ機能を有しており、作業者又はユーザは第2のコントローラC1を用いてゲートウェイGW1のタイマ機能をオン/オフ可能としてもよい。作業者又はユーザは、第2のコントローラC1を使用することにより、第1のコントローラ2を用いることなく、シーンの呼び出し、シーンの切り替え、明るさの一時変更、色温度の一時変更、スケジュールの開始、スケジュールの解除を行うことができる。
【0291】
第1のコントローラ2又は第2のコントローラC1が無線モジュールW1の記憶部41に記憶されている一時変更情報を呼び出すと、特定のエリアE1に属するすべての無線モジュールW1~Wkは、例えば、再生中のシーン情報と一時変更情報とに基づいて、シーンを一時的に変更する。この一時的なシーンの変更は、例えば上記の変更情報に基づくシーンの変更などよりも優先度を低くしてもよい。一時変更情報に基づくシーンの一時的な変更は優先度が低いため、作業者又はユーザの操作、又は、タイマにより別のシーン情報が呼び出された場合、無線モジュールW1~Wkは、一時変更情報を破棄し、別のシーン情報に対応するシーンの再生を開始してもよい。
【0292】
作業者又はユーザは、シーン再生中に、第2のコントローラC1の上ボタン又は下ボタンを操作し、シーンの明るさ、色温度などを変更する。第2のコントローラC1は、例えば、ゲートウェイGW1経由で、特定の施設F1の特定のエリアE1に属する全グループG1~Gmの無線モジュールW1~Wkに、一時変更のコマンドを送信する。この一時変更の優先度は低いため、無線モジュールW1~Wkは、シーンの一時変更を実行した後に、第1のコントローラ2又は第2のコントローラC1からゲートウェイGW1経由で別のコマンドを受信した場合に、一時変更を破棄し、受信した別のコマンドにそったシーンへ遷移する。
【0293】
第7の実施形態において、ゲートウェイGW1は、タイマ機能を備えており、無線モジュールW1~Wrの一時変更を所定の時間に無効化してもよい。
【0294】
第2のコントローラC1は、ゲートウェイGW1経由で無線モジュールW1~Wrに対してコマンドを送信する。このコマンドは、例えば、施設F1の指定、特定のエリアE1に所属する全グループG1~Gmの指定、光の強さを示す値、光の明るさを示す値などを含む構成とする。第2のコントローラC1は、例えば、ネットワーク情報、無線モジュールの固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報を記憶する。第2のコントローラC1が記憶しているネットワーク情報、無線モジュールの固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報は、例えば、第1のコントローラ2により設定され、第1のコントローラ2から第2のコントローラC1に送信される。
【0295】
作業者又はユーザが第2のコントローラC1を用いてシーンを変更しても、標準のシーン情報は無線モジュールW1~Wrに保存されている。このため、作業者又はユーザは、自由にシーンを変更し、その後容易にシーンを復帰させることができる。また、第2のコントローラC1は、第1のコントローラ2よりも機能が少なくてもよく、作業者又はユーザは感覚的なインタフェースを用いることができる。
【0296】
最終状態情報は、照明システム1への電力供給が停止された場合(例えば停電の場合)における最新のシーン情報を表す。無線モジュールW1は、電力供給が再開された場合に、最終状態情報を記憶部41から読み出し、最終状態情報に対応するシーンの再生を行う。これにより、無線モジュールW1は、電力供給が停止される直前のシーンを再現することができる。
【0297】
以上説明した第7の実施形態においては、第1のコントローラ2で設定された各種の情報は、無線モジュールW1の記憶部41に記憶される。無線モジュールW1は、第1のコントローラ2、子機コントローラ、ゲートウェイGW1などから受信したコマンドにそって記憶部41の記憶内容にそって処理を実行する。
【0298】
第7の実施形態において、第1のコントローラ2、子機コントローラ、ゲートウェイGW1のタイマ機能によって送信されるコマンドは、シンプルなデータ構造とする。これにより、複数の無線モジュールW1~Wrによってメッシュネットワークを構築することができ、ネットワークの負荷を軽減させることができ、レスポンスを速くすることができる。また、第7の実施形態においては、ネットワークの帯域を確保するために、応答が不要な特定のコマンドに対して応答の送受信を省略してもよい。第7の実施形態では、コマンドの種別に応じて応答を省略可能であるが、第1のコントローラ2が設定情報を無線モジュールW1~Wrに送信した場合には、第1のコントローラ2は、当該設定情報が正常に受信されたことを示す応答を無線モジュールW1~Wrから受信してもよい。
【0299】
第7の実施形態においては、通信の安定と確実性を確保するために、照明システム1に備えられる複数の無線モジュールW1~Wrが相互に通信可能であり、コマンドのリピート通信を行うとしてもよい。
【0300】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0301】
1,11,24…照明システム、2…第1のコントローラ、3…ルータ、GW1~GWp…ゲートウェイ、C1~Cp…第2のコントローラ、F1~Fp…施設、E1~En…エリア、G1~Gm…グループ、D1~Dr…無線調光器、W1~Wr…無線モジュール、A1~Ak…調光器具、I1~Ik…照明デバイス、W1~Wk…無線モジュール、4…DMX端子、5…外部入力端子、61…第1の通信部、62…第2の通信部、7…記憶部、8…処理部、9…DMX器具、10…外部機器、12…施設識別情報、13,14…メッシュネットワーク、15…コントローラ識別情報、16,36,45…操作部、17,37,47,49…表示部、18,38,43…接続部、19…通信部、20,41,44…記憶部、21,46…処理部、22…ソフトウェア、23…リモートコントローラ、25…設定情報、26…変更情報、27…識別情報、34…調光ユニット、35…有線伝達路、39…通信モジュール、40…通信アンテナ、42…演算部、48…調光部、50…異常検出部