(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158032
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】作業時間計測システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20241031BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072836
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】弘永 雅之
(72)【発明者】
【氏名】合屋 正昭
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】システム構成が単純であり、既存の設備への導入が容易な作業時間計測システムを提供する。
【解決手段】作業時間計測システム1は、複数のバーコードリーダと、制御部11と、を備える。バーコードリーダは、処方箋毎に付与されたバーコード50を読み取る。制御部11は、バーコードリーダが読み取った情報を取得する。複数のバーコードリーダは、調剤に関する複数の作業毎に個別に配置される。複数のバーコードリーダには、個別の装置識別情報が付与されている。制御部11は、バーコードリーダが読み取ったバーコード50(詳細にはバーコード50に記述された受付番号)と、バーコードリーダがバーコード50を読み取った読取時刻又はそれに基づく所要時間と、装置識別情報に予め対応付けられた作業情報と、を対応付けて管理PC2に記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋毎に付与された処方識別情報を読み取る複数の読取装置と、
前記読取装置が読み取った情報を取得する制御部と、
を備え、
複数の前記読取装置は、調剤に関する複数の作業毎に個別に配置され、
複数の前記読取装置には、個別の装置識別情報が付与されており、
前記制御部は、前記読取装置が読み取った前記処方識別情報と、前記読取装置が前記処方識別情報を読み取った読取時刻又はそれに基づく所要時間と、前記装置識別情報に予め対応付けられた作業情報と、を対応付けて記憶装置に記憶することを特徴とする作業時間計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業時間計測システムであって、
前記読取装置は、作業開始位置と作業終了位置にそれぞれ配置されており、
前記作業開始位置の前記読取装置で前記処方識別情報が読み取られた場合、前記制御部は、対応する作業の開始を前記作業情報として前記記憶装置に記憶し、
前記作業終了位置の前記読取装置で前記処方識別情報が読み取られた場合、前記制御部は、対応する作業の終了を前記作業情報として前記記憶装置に記憶することを特徴とする作業時間計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の作業時間計測システムであって、
前記制御部は、前記処方識別情報に対応付けて、更に、フラグ条件を満たすか否かを示すフラグデータを前記記憶装置に記憶することを特徴とする作業時間計測システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業時間計測システムであって、
前記フラグ条件に関連する位置に配置され、前記処方識別情報を読み取るフラグ付け装置を備え、
前記制御部は、前記フラグ付け装置が前記処方識別情報を読み取ったか否かに応じて、前記処方識別情報に対応付けるフラグデータを異ならせることを特徴とする作業時間計測システム。
【請求項5】
請求項1に記載の作業時間計測システムであって、
識別票を発券する発券機を備え、
前記識別票には、前記処方識別情報が含まれており、
前記読取装置は、前記識別票を読み取ることで前記処方識別情報を特定することを特徴とする作業時間計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、調剤に関する作業を計測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、調剤情報管理システムを開示する。調剤情報管理システムは、サーバ装置と、クライアント端末と、を備える。クライアント端末は、薬局又は病院に配置される。調剤情報管理システムは、待ち時間管理機能を有する。具体的には、クライアント端末は、受付端末、調剤機器、及び、監査用及び服薬指導用の情報処理装置と通信可能である。また、調剤機器は調剤に要した時間を計測可能である。情報処理装置は、監査に要した時間、及び、服薬指導に要した時間を計測可能である。クライアント端末は、これらの時間をサーバ装置に送信する。サーバ装置は、クライアント端末から受信した情報に基づいて、各種の待ち時間を記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の待ち時間管理機能を実現するためには、クライアント端末、受付端末、調剤機器、及び情報処理装置を連携する必要があるため、システム構成が複雑化する可能性がある。また、待ち時間管理機能を実現するためには、調剤機器及び情報処理装置に様々な機能が必要となる。例えば、調剤機器には、調剤に要した時間を計測する機能が必要となる。更に、調剤機器には、クライアント端末にデータを送信する機能、及び、データを送信するための通信環境が必要となる。調剤機器は、PC等の汎用的な機器とは異なるため、機能の追加に手間が掛かる可能性がある。従って、既存のシステムに待ち時間管理機能を提供することが困難になる場合がある。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、システム構成が単純であり、既存の設備への導入が容易な作業時間計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の作業時間計測システムが提供される。即ち、作業時間計測システムは、複数の読取装置と、制御部と、を備える。前記読取装置は、処方箋毎に付与された処方識別情報を読み取る。前記制御部は、前記読取装置が読み取った情報を取得する。複数の前記読取装置は、調剤に関する複数の作業毎に個別に配置される。複数の前記読取装置には、個別の装置識別情報が付与されている。前記制御部は、前記読取装置が読み取った前記処方識別情報と、前記読取装置が前記処方識別情報を読み取った読取時刻又はそれに基づく所要時間と、前記装置識別情報に予め対応付けられた作業情報と、を対応付けて記憶装置に記憶する。
【0008】
調剤機器や受付端末との連携が必須ではないので、システム構成が単純になり、かつ、既存の調剤システムへの導入が容易である。
【0009】
前記の作業時間計測システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記読取装置は、作業開始位置と作業終了位置にそれぞれ配置されている。前記作業開始位置の前記読取装置で前記処方識別情報が読み取られた場合、前記制御部は、対応する作業の開始を前記作業情報として前記記憶装置に記憶する。前記作業終了位置の前記読取装置で前記処方識別情報が読み取られた場合、前記制御部は、対応する作業の終了を前記作業情報として前記記憶装置に記憶する。
【0010】
読取装置で読み取るだけで、作業の開始と終了を自動的に登録できる。
【0011】
前記の作業時間計測システムにおいては、前記制御部は、前記処方識別情報に対応付けて、更に、フラグ条件を満たすか否かを示すフラグデータを前記記憶装置に記憶することが好ましい。
【0012】
調剤に関する作業のうち所要時間が長くなる傾向がある作業をフラグ条件として設定することで、調剤に関する作業の所要時間を詳細に記録できる。
【0013】
前記の作業時間計測システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、作業時間計測システムは、前記フラグ条件に関連する位置に配置され、前記処方識別情報を読み取るフラグ付け装置を備える。前記制御部は、前記フラグ付け装置が前記処方識別情報を読み取ったか否かに応じて、前記処方識別情報に対応付けるフラグデータを異ならせる。
【0014】
フラグ付け装置で読み取るだけでフラグを立てることができるので、作業者の手間が少ない。
【0015】
前記の作業時間計測システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、作業時間計測システムは、識別票を発券する発券機を備える。前記識別票には、前記処方識別情報が含まれている。前記読取装置は、前記識別票を読み取ることで前記処方識別情報を特定する。
【0016】
簡単な方法で処方識別情報を発行して読取装置に読み取らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】情報処理装置に表示される発券画面を示す図。
【
図4】薬局に設けられる情報処理装置が行う処理を示すフローチャート。
【
図5】管理PCに記憶される作業情報データを示す表。
【
図6】バーコードリーダの識別情報に応じて行われる処理を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1を参照して、作業時間計測システム1の構成について説明する。
【0019】
作業時間計測システム1は、薬局で行われる調剤に関する作業についての作業時間を計測するシステムである。作業時間計測システム1は、情報処理装置10と、発券機20と、バーコードリーダ群30と、を備える。ただし、発券機20は必須の構成要素ではなく省略可能である。
【0020】
情報処理装置10は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、又は、スマートフォン等の情報処理機器である。なお、情報処理装置10は、他の用途としても用いられる汎用機であってもよいし、作業時間計測システム1のためのみに用いられる専用機であってもよい。情報処理装置10は、制御部11と、操作部12と、表示部13と、時計部14と、記憶部15と、を備える。
【0021】
制御部11は、例えばCPUであり、プログラムを実行可能である。操作部12は、ユーザが操作して情報処理装置10に指示を与えるための部分であり、例えば、ハードウェアキー又はタッチパネルである。表示部13は、情報を表示するためのディスプレイであり、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。時計部14は、現在時刻を出力する部分である。記憶部15は、情報を記憶するための部分であり、例えば、HDD、SSD、又はフラッシュメモリである。制御部11は、記憶部15に記憶されたプログラムを実行することにより、様々な処理を行う。例えば、制御部11は、所定の演算を行ったり、他の装置と通信を行ったり、情報を記憶部15に記憶したりする処理を行う。
【0022】
発券機20は、情報処理装置10からの指令に基づいて、バーコード(識別票)50を出力する。詳細は後述するが、バーコード50は処方箋毎に発行されており、バーコード50には、処方箋を特定するための情報(処方識別情報)が記述されている。発券機20は、バーコードではなく、マトリックス型の2次元コードを出力する構成であってもよい。本実施形態のバーコード50は裏面が粘着面であり、対象物に貼付することができる。バーコード50は、例えば、処方箋、又は、調剤用のカゴに貼付される。
【0023】
バーコードリーダ群30は、複数のバーコードリーダを含む。バーコードリーダは、検査光又は自然光がバーコードで反射した光を検出する光センサを備える。バーコードリーダは、光センサの検出結果に基づいて、バーコード50に記載された情報を読み取る。また、バーコードリーダ群30を構成する複数のバーコードリーダには、それぞれ固有の識別情報(装置識別情報)が付与されている。
【0024】
バーコードリーダ群30を構成するバーコードリーダの1つが親機であり、他のバーコードリーダが子機である。具体的には、第1バーコードリーダ31が親機であり、第2バーコードリーダ32、第3バーコードリーダ33、第4バーコードリーダ34、第5バーコードリーダ35、第6バーコードリーダ36、及び、第7バーコードリーダ(フラグ付け装置)37が子機である。親機の第1バーコードリーダ31は、情報処理装置10と通信する機能(例えば有線通信モジュール)と、子機のバーコードリーダと通信する機能(例えば無線通信モジュール)と、を有する。子機のバーコードリーダは、親機の第1バーコードリーダ31と通信する機能(例えば無線通信モジュール)を有する。
【0025】
親機の第1バーコードリーダ31は、バーコード50を読み取った場合、読み取った情報(バーコード50に記載された情報)と、自機の識別情報と、を情報処理装置10に送信する。子機のバーコードリーダは、バーコード50を読み取った場合、読み取った情報と、自機の識別情報と、を親機の第1バーコードリーダ31に送信する。親機の第1バーコードリーダ31は、子機のバーコードリーダから受信した情報を情報処理装置10に送信する。
【0026】
なお、この通信構成は一例であり、全てのバーコードリーダが情報処理装置10に直接的にデータを送信してもよい。また、本実施形態では親機の第1バーコードリーダ31が、子機のバーコードリーダと情報処理装置10の通信を中継するが、これに代えて、第1バーコードリーダ31とは異なる機器が、親機(中継器)として機能してもよい。バーコードリーダ群30を構成するバーコードリーダの数は一例であり、7機に限られない。
【0027】
情報処理装置10は、インターネット3等のワイドエリアネットワークに接続可能である。情報処理装置10は、インターネット3を介して、管理PC2と通信可能である。情報処理装置10は、作業時間計測システム1を実行することにより得られた情報を管理PC2に送信する。
【0028】
作業時間計測システム1は、薬局毎にそれぞれ設けられている。管理PC2が複数の薬局を管理する場合は、管理PC2は、それぞれの薬局の情報処理装置10から後述の作業情報データを受信して記憶する。なお、管理PC2に代えて又は加えて、情報処理装置10の記憶部15が作業情報データを記憶してもよい。
【0029】
次に、
図2から
図6を参照して、作業時間計測システム1が行う処理について順を追って説明する。
図2には、薬局での調剤に関する作業の流れが記載されている。
【0030】
<1:調剤受付け>初めに、調剤受付けについて説明する。
【0031】
調剤事務員は、受領した処方箋の情報を登録する。処方箋の受領は、例えば、薬局を訪れた患者から直接受領する場合と、FAXにより事前に受領する場合と、がある。なお、FAXに代えて、インターネットを介した通信により処方箋を受領してもよい。処方箋の登録は、薬局に設置されたPCを用いて行われてもよいし、情報処理装置10を用いて行われてもよい。
【0032】
調剤事務員は、患者が受付けをしたタイミングで、情報処理装置10を操作して発券画面を表示させる。なお、発券画面は常に表示されていてもよい。
図3には、発券画面が示されている。発券画面には、発券ボタン61、外来ボタン62、FAXボタン63、平均待ち時間エリア64、平均調剤時間エリア65、平均監査時間エリア66、及び、平均投薬時間エリア67と、が表示される。
【0033】
発券ボタン61はバーコード50の発券を指示するためのボタンである。外来ボタン62とFAXボタン63は発券前に事前に選択可能なボタンである。調剤事務員は、患者が薬局を訪れた際に処方箋を受領した場合は、外来ボタン62を押した後に発券ボタン61を押す。調剤事務員は、患者が事前にFAXで処方箋を送っていた場合はFAXボタン63を押した後に発券ボタン61を押す。
【0034】
図4のフローチャートのステップS101からS104は、発券時に情報処理装置10が行う処理である。情報処理装置10は、発券ボタン61が押されたか否かを判定する(S101)。発券ボタン61が押されたと判定した場合、情報処理装置10は、受付番号を生成する(S102)。受付番号とは、処方箋毎に発行される番号であり、上述した、処方箋を特定するための情報(処方識別情報)である。従って、バーコード50には、受付番号が記載されている。情報処理装置10は、生成した受付番号が記述されたバーコード50を発券するように発券機20に指示する(S103)。次に、情報処理装置10は、受付年月日、受付番号、フラグデータ、及び、発券時刻を記憶部15に記憶する(S104)。情報処理装置10は、発券ボタン61が押されたタイミングで時計部14が出力した年月日を受付年月日とし、現在時刻を発券時刻とする。フラグデータとは、フラグ条件を満たした場合に記録される情報である。ここでは、発券ボタン61が押される前に、外来ボタン62が押された場合、外来のフラグデータが記録される。発券ボタン61が押される前に、FAXボタン63が押された場合、FAXのフラグデータが記録される。
【0035】
図5には、作業情報データが示されている。作業情報データとは、作業時間計測システム1により生成されるデータであり、調剤に関する作業の時間に関する情報のデータである。本実施形態では、作業情報データが記憶部15に記憶されるが、情報処理装置10以外(例えば管理PC2又はサーバ)に記憶されてもよい。情報処理装置10がステップS104の処理を行うことにより、受付年月日、受付番号、及び、発券時刻の情報が入力される。また、外来ボタン62が押された場合は、外来の項目に「1」が入力される(初期値は0)。同様に、FAXボタン63が押された場合は、FAXの項目に「1」が入力される。外来時は患者が訪れた後に薬剤を準備するのに対し、FAXで処方箋を受領した場合は患者が訪れる前に準備することが可能である。つまり、外来かFAXかに応じて所要時間が異なるため、分類して管理するためにフラグデータが用いられる。
【0036】
また、調剤事務員は、発券機20が発券したバーコード50を処方箋又は調剤用のカゴに貼付する。次に、調剤事務員は、処方箋及びカゴを調剤待ちスペースに置く。以上により調剤受付けが終了する。
【0037】
<2:調剤>次に、調剤について説明する。
【0038】
調剤を行う薬剤師は、調剤待ちスペースにある処方箋及びカゴを手に取る。なお、調剤は薬剤師に代えて調剤補助員が行ってもよい。調剤待ちスペース、調剤台、又はその近傍である作業開始位置には、第1バーコードリーダ31が配置されている。薬剤師は、調剤開始時に第1バーコードリーダ31でバーコード50を読み取る。これにより、調剤開始時刻が作業情報データに記録される。
【0039】
ここで、本実施形態の第1バーコードリーダ31は、薬剤師が第1バーコードリーダ31を操作することなく、バーコード50の読取りが可能である。詳細には、第1バーコードリーダ31は、ユーザが手に持つタイプではなく、固定して用いるタイプである。更に、第1バーコードリーダ31は、対象物が近接すると検査光の照射を開始する機能、又は、常に検査光を照射するモードを有する。これにより、薬剤師は、カゴを手に持った状態で、第1バーコードリーダ31にバーコード50を読み取らせることができる。バーコードリーダ群30を構成する他のバーコードリーダも同様の機能を有する。
【0040】
図4のフローチャートのステップS105及びS106は、調剤、監査、及び投薬時に情報処理装置10が行う処理である。情報処理装置10は、バーコードリーダから情報を受信したか否かを判定する(S105)。バーコードリーダから情報を受信したと判定した場合、情報処理装置10は、バーコードリーダの識別情報に基づく処理を実行する(S106)。
図6には、バーコードリーダの識別情報に基づく処理が示されている。第1バーコードリーダ31の識別情報には、調剤開始時刻を記録する処理が対応付けられている。従って、情報処理装置10は、第1バーコードリーダ31から情報を受信したタイミングで時計部14が出力した現在時刻を調剤開始時刻として作業情報データに記録する。なお、第1バーコードリーダ31に時計部14に相当する機能を持たせて、第1バーコードリーダ31から情報処理装置10に送信する情報に現在時刻を含めてもよい。
【0041】
また、情報処理装置10は、バーコード50が第1バーコードリーダ31により一度読み取られた後に、同じバーコード50が第1バーコードリーダ31に再度読み取られたことを検出した場合、最後に読み取られた際の時刻を用いて調剤開始時刻を更新する。これにより、誤って2回連続でバーコード50を読み取った場合でも、適切に処理を行うことができる。なお、これは一例であり、同じバーコード50が複数回読み取られた場合に、該当のデータを無効にしてもよい。
【0042】
次に、薬剤師は、調剤を行う。調剤(調製)とは、処方箋に記載された情報に基づいて薬剤を準備して揃えることである。調剤は、例えば、調剤棚に収納された薬剤を薬剤師がピッキングする方法がある。また、別の方法として、薬剤師は、調剤機器を用いて調剤を行うことがある。調剤機器とは、薬剤師の調剤を補助する機器である。例えば、調剤機器は、指定された種類の薬剤を指定された分量だけ準備したり、薬剤を包装する処理を行ったりする。
【0043】
ここで、調剤機器を用いて一包化が行われることがある。一包化とは、患者が1回に服用する薬剤をまとめて1袋に包装することである。一包化を行う場合は、通常の調剤と比較して所要時間が長くなる。そのため、一包化の有無に応じて所要時間を管理することが好ましい。本実施形態では、一包化を行う調剤機器の近傍(フラグ条件に関連する位置)には、第7バーコードリーダ37が配置されている。薬剤師は、一包化を行う場合、第7バーコードリーダ37でバーコード50を読み取る。これにより、情報処理装置10は、バーコードリーダから情報を受信したと判定し(S105)、第7バーコードリーダ37に対応する処理である、一包化の項目に「1」を入力する処理を行う(S106)。これにより、一包化のフラグデータが作業情報データに記録される。
【0044】
その後、薬剤師は、処方箋及びカゴを監査待ちスペースに置く。以上により調剤が終了する。また、調剤台、監査待ちスペース、又はその近傍である作業終了位置には、第2バーコードリーダ32が配置されている。薬剤師は、調剤終了時に第2バーコードリーダ32でバーコード50を読み取る。これにより、第1バーコードリーダ31でバーコード50を読み取った場合と同様の処理(S105,S106)を情報処理装置10が行い、調剤終了時刻が作業情報データに記録される。なお、以下では、バーコードリーダでバーコード50を読み取った際の情報処理装置10の処理の説明を省略する。
【0045】
<3:監査>次に、監査について説明する。
【0046】
監査とは、調剤が処方箋通りに行われているかを薬剤師が確認する作業である。監査待ちスペース、監査台、又はその近傍である作業開始位置には、第3バーコードリーダ33が配置されている。薬剤師は、監査開始時に第3バーコードリーダ33でバーコード50を読み取る。これにより、監査開始時刻が作業情報データに記録される。
【0047】
薬剤師は、調剤が処方箋通りに行われているかを確認した後に、処方箋及びカゴを投薬待ちスペースに置く。以上により監査が終了する。また、監査台、投薬待ちスペース、又はその近傍である作業終了位置には、第4バーコードリーダ34が配置されている。薬剤師は、監査終了時に第4バーコードリーダ34でバーコード50を読み取る。これにより、監査終了時刻が作業情報データに記録される。
【0048】
<4:投薬>次に、投薬について説明する。
【0049】
投薬とは、調剤した薬剤を患者に説明して、患者に薬剤を渡す作業である。投薬待ちスペース、患者に薬剤を渡すカウンター、又はその近傍である作業開始位置には、第5バーコードリーダ35が配置されている。薬剤師は、投薬開始時に第5バーコードリーダ35でバーコード50を読み取る。これにより、投薬開始時刻が作業情報データに記録される。
【0050】
薬剤師は、調剤した薬剤を患者に説明して、患者に薬剤を渡す。これにより、投薬が終了する。患者に薬剤を渡すカウンター、又はその近傍である作業終了位置には、第6バーコードリーダ36が配置されている。薬剤師は、投薬終了時に第6バーコードリーダ36でバーコード50を読み取る。これにより、投薬終了時刻が作業情報データに記録される。その後、薬剤師は、処方箋をファイルに閉じてカゴを待機位置に置く。
【0051】
以上により、調剤に関する作業が終了する。これらの作業が繰り返し行われ、作業情報データに情報が蓄積されていく。
【0052】
情報処理装置10は、作業情報データから直近の所定数(例えば5つ)の情報を抽出して、平均待ち時間、平均調剤時間、平均監査時間、平均投薬時間を算出する。平均待ち時間とは、直近の所定数の待ち時間の平均値である。待ち時間とは、発券してから投薬が完了するまでに掛かった時間である。従って、投薬終了時刻から発券時刻を減算することで待ち時間が算出できる。情報処理装置10は、平均待ち時間を平均待ち時間エリア64に表示する。平均調剤時間とは、直近の所定数の調剤時間の平均値である。調剤時間は、調剤終了時刻から調剤開始時刻を減算することで算出できる。情報処理装置10は、平均調剤時間を平均調剤時間エリア65に表示する。同様に、情報処理装置10は、監査終了時刻から監査開始時刻を減算することで監査時間を算出し、所定数の監査時間の平均値である平均監査時間を平均監査時間エリア66に表示する。同様に、情報処理装置10は、投薬終了時刻から投薬開始時刻を減算することで投薬時間を算出し、所定数の投薬時間の平均値である平均投薬時間を平均投薬時間エリア67に表示する。
【0053】
なお、一包化のフラグデータが含まれる情報を、上記の平均値の算出から除外してもよい。また、外来がメインの薬局ではFAXのフラグデータが含まれる情報を、上記の平均値の算出から除外してもよい。あるいは、FAXがメインの薬局では外来のフラグデータが含まれる情報を、上記の平均値の算出から除外してもよい。また、薬剤師等がバーコード50の読取りを忘れた場合や何らかのエラーにより、時刻の情報に抜けが有る場合、その受付番号の情報を平均値の算出から除外してもよい。
【0054】
これらの情報を情報処理装置10の表示部13に表示することにより、調剤事務員、調剤補助員、又は薬剤師は、薬局の混雑状況をリアルタイムに把握できる。
【0055】
また、作業情報データの活用方法は、リアルタイムの待ち時間だけではない。例えば、情報処理装置10又は管理PC2は、患者の待ち時間を時間帯及び曜日毎に算出することにより、患者が集中し易い時間帯及び曜日を特定できる。また、時間帯及び曜日毎の待ち時間の平均値をグラフで表示してもよい。そして、患者が集中し易い時間帯及び曜日の人員を増やすことにより待ち時間を軽減させることができる。また、患者の待ち時間が長い時間帯及び曜日において、調剤時間、監査時間、及び投薬時間を分析することにより、調剤、監査、及び投薬の何れに時間が掛かっているかを判定できる。これらにより、オペレーションの改善手法を模索できる。
【0056】
また、本実施形態の作業時間計測システム1は、情報処理装置10とバーコードリーダ群30だけで完結する。そのため、調剤機器から調剤時間を取得する必要がないため、既存のシステムへの導入が容易である。また、薬局内に別のシステムがある場合に、そのシステムの連携が不要であるため、その観点でも、既存のシステムへの導入が容易である。なお、作業時間計測システム1を調剤機器又は別のシステムと連携させてもよい。
【0057】
上記実施形態は一例であり、以下のように変更してもよい。
【0058】
例えば、上述したように、発券機20を省略してもよい。この場合、調剤用のカゴに予めバーコード等が貼付されている。同一の処方箋による調剤、監査、及び投薬は同一のカゴを用いて行う。そのため、調剤用のカゴに貼付されたバーコードの情報は、処方識別情報に該当する。
【0059】
バーコード又は2次元コードに代えて、ICタグを用いてもよい。ICタグは電波を受信した際に、所定の情報(処方識別情報)を送信するタグである。この場合、バーコードリーダに代えて、ICタグのリーダが読取装置として用いられる。
【0060】
本実施形態では、開始と終了とでバーコードリーダを分けたが、同一のバーコードリーダを用いてもよい。この場合、調剤用のバーコードリーダで1回目に読み取った際の現在時刻が調剤開始時刻であり、調剤用のバーコードリーダで2回目に読み取った際の現在時刻が調剤終了時刻である。監査及び投薬についても同様である。
【0061】
本実施形態では、例えば調剤について調剤開始時刻と調剤終了時刻を作業情報データとして記録する。これに代えて、調剤開始時刻を一時的に記憶部15に記憶しておき、調剤終了時刻が取得できた時点で調剤待ち時間(調剤所要時間)を計算し、調剤待ち時間を作業情報データに記録してもよい。監査及び投薬についても同様である。
【0062】
本実施形態では、調剤、監査、及び投薬について、開始時刻と終了時刻とを算出する。ただし、これらの3つの作業のうち1つ又は2つのみについて、開始時刻と終了時刻とを算出してもよい。また、作業時間計測システム1は、調剤、監査、及び投薬以外の作業にも適用できる。
【0063】
本実施形態では、フラグデータの例として、一包化、外来、及びFAXを説明した。ただし、これら以外についてフラグデータを設定してもよい。例えば、疑義照会の有無、予製の有無についてフラグデータを設定してもよい。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態の作業時間計測システム1は、複数のバーコードリーダと、制御部11と、を備える。バーコードリーダは、処方箋毎に付与されたバーコード50を読み取る。制御部11は、バーコードリーダが読み取った情報を取得する。複数のバーコードリーダは、調剤に関する複数の作業毎に個別に配置される。複数のバーコードリーダには、個別の装置識別情報が付与されている。制御部11は、バーコードリーダが読み取ったバーコード50(詳細にはバーコード50に記述された受付番号)と、バーコードリーダがバーコード50を読み取った読取時刻又はそれに基づく所要時間と、装置識別情報に予め対応付けられた作業情報と、を対応付けて管理PC2に記憶する。
【0065】
調剤機器や受付端末との連携が必須ではないので、システム構成が単純になり、かつ、既存の調剤システムへの導入が容易である。
【0066】
本実施形態の作業時間計測システム1において、バーコードリーダは、作業開始位置と作業終了位置にそれぞれ配置されている。作業開始位置のバーコードリーダでバーコード50が読み取られた場合、制御部11は、対応する作業の開始を作業情報として管理PC2に記憶する。作業終了位置のバーコードリーダでバーコード50が読み取られた場合、制御部11は、対応する作業の終了を作業情報として管理PC2に記憶する。
【0067】
バーコードリーダで読み取るだけで、作業の開始と終了を自動的に登録できる。
【0068】
本実施形態の作業時間計測システム1において、制御部11は、バーコード50に対応付けて、更に、フラグ条件を満たすか否かを示すフラグデータを管理PC2に記憶する。
【0069】
調剤に関する作業のうち所要時間が長くなる傾向がある作業をフラグ条件として設定することで、調剤に関する作業の所要時間を詳細に記録できる。
【0070】
本実施形態の作業時間計測システム1は、フラグ条件に関連する位置に配置され、バーコード50を読み取る第7バーコードリーダ37を備える。制御部11は、第7バーコードリーダ37がバーコード50を読み取ったか否かに応じて、バーコード50に対応付けるフラグデータを異ならせる。
【0071】
第7バーコードリーダ37で読み取るだけでフラグを立てることができるので、作業者の手間が少ない。
【0072】
本実施形態の作業時間計測システム1は、バーコード50を発券する発券機20を備える。バーコード50には、処方識別情報が含まれている。バーコードリーダは、バーコード50を読み取ることで処方識別情報を特定する。
【0073】
簡単な方法で処方識別情報を発行してバーコードリーダに読み取らせることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 作業時間計測システム
2 管理PC(記憶装置)
10 情報処理装置
11 制御部
15 記憶部(記憶装置)
20 発券機
31 第1バーコードリーダ(読取装置)
32 第2バーコードリーダ(読取装置)
33 第3バーコードリーダ(読取装置)
34 第4バーコードリーダ(読取装置)
35 第5バーコードリーダ(読取装置)
36 第6バーコードリーダ(読取装置)
37 第7バーコードリーダ(フラグ付け装置)
50 バーコード(識別票)