IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社T・S・Sの特許一覧

特開2024-158034睫毛・眉毛用のパーマネント剤及び眉毛のパーマ施術方法
<>
  • 特開-睫毛・眉毛用のパーマネント剤及び眉毛のパーマ施術方法 図1
  • 特開-睫毛・眉毛用のパーマネント剤及び眉毛のパーマ施術方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158034
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】睫毛・眉毛用のパーマネント剤及び眉毛のパーマ施術方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/99 20170101AFI20241031BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K8/99
A61Q5/04
A61K8/98
A61K8/65
A61K8/44
A61K8/19
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072839
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】517269275
【氏名又は名称】株式会社T・S・S
(74)【代理人】
【識別番号】100134533
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 夏香
(72)【発明者】
【氏名】青葉 駿
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AB311
4C083AB312
4C083AC581
4C083AC771
4C083AC772
4C083AD441
4C083AD442
4C083CC34
4C083DD06
4C083EE03
4C083EE12
4C083EE25
(57)【要約】
【課題】睫毛や眉毛へのダメージが少なくトリートメント効果もある睫毛・眉毛用のパーマネント剤及び眉毛用のパーマネント施術方法を提供する。
【解決手段】
軟化剤と固定剤の2液からなる睫毛・眉毛用のパーマネント剤であって、前記軟化剤が、還元剤とアミノ酸とアルカリ剤と安定剤とヒト幹細胞培養液とを含むものとし、眉毛3が生えている周辺の肌をワセリンで保護し、グルーで根元から立ち上がるようにコーティングした眉毛3に前記軟化剤をのせ、さらに、水を含ませたコットンを眉毛3にのせて温めて眉毛3を軟化させた後、前記軟化剤を除去し、眉毛3が生えている周辺の肌を再びワセリンで保護し、グルーを塗布しブラシで毛流れを整えた眉毛3に前記固定剤をのせ、水を含ませたコットンを眉毛3にのせて眉毛3の形を固定した後、前記固定剤を除去する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟化剤と固定剤の2液からなる睫毛・眉毛用のパーマネント剤であって、
前記軟化剤が、還元剤とアミノ酸とアルカリ剤と安定剤とヒト幹細胞培養液とを含み、
前記固定剤が、酸化剤と安定剤とヒト幹細胞培養液とを含むことを特徴とする睫毛・眉毛用のパーマネント剤。
【請求項2】
さらに、前記軟化剤が、加水分解ケラチンを含み、前記固定剤が、加水分解ケラチンと乳酸桿菌発酵液を含むことを特徴とする請求項1記載の睫毛・眉毛用のパーマネント剤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の睫毛・眉毛用のパーマネント剤を用いた眉毛用のパーマネント施術方法であって、眉毛が生えている周辺の肌をワセリンで保護し、グルーで根元から立ち上がるようにコーティングした眉毛に前記軟化剤をのせ、さらに、水を含ませたコットンを眉毛にのせて温めて眉毛を軟化させた後、前記軟化剤を除去し、眉毛が生えている周辺の肌を再びワセリンで保護し、グルーを塗布しブラシで毛流れを整えた眉毛に前記固定剤をのせ、水を含ませたコットンを眉毛にのせて眉毛の形を固定した後、前記固定剤を除去することを特徴とする眉毛用のパーマネント施術方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫毛又は眉毛にウェーブを与えて固定するための睫毛・眉毛用のパーマネント剤及び眉毛のパーマ施術方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眉毛や睫毛は顔の印象を大きく変えるパーツであり、アイブロウ化粧料やマスカラ等の睫毛化粧料、アートメイク、睫毛や眉毛のエクステンション、つけ眉毛やつけ睫毛などで補う等により、日本人が眉毛や睫毛に対して抱く「細い・薄い・短い」というコンプレックスをカバーしてきた。自睫毛をビューラー等で一時的に毛流れを癖つけする方法や、自眉毛をはさみでカットすることによる自眉毛をデザインする方法も用いられている。
【0003】
しかし、これらは一時的な対応となってしまうため、加温機を用いてまつ毛や眉毛にパーマをかける方法(例えば、特許文献1参照)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-33897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の方法では、薬剤や加温により睫毛や眉毛にダメージが生じやすい。
【0006】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、睫毛や眉毛へのダメージが少なくトリートメント効果もある睫毛・眉毛用のパーマネント剤及び眉毛のパーマ施術方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、軟化剤と固定剤の2液からなる睫毛・眉毛用のパーマネント剤であって、
前記軟化剤が、還元剤とアミノ酸とアルカリ剤と安定剤とヒト幹細胞培養液とを含み、
前記固定剤が、酸化剤と安定剤とヒト幹細胞培養液とを含むことを特徴とする睫毛・眉毛用のパーマネント剤を提供する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、睫毛や眉毛へのダメージが少なくトリートメント効果もある。
【0009】
さらに、前記軟化剤が、加水分解ケラチンを含み、前記固定剤が、加水分解ケラチンと乳酸桿菌発酵液を含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、上述した本発明の第1の態様の睫毛・眉毛用のパーマネント剤を用いた眉毛用のパーマネント施術方法であって、眉毛が生えている周辺の肌をワセリンで保護し、グルーで根元から立ち上がるようにコーティングした眉毛に前記軟化剤をのせ、さらに、水を含ませたコットンを眉毛にのせて温めて眉毛を軟化させた後、前記軟化剤を除去し、眉毛が生えている周辺の肌を再びワセリンで保護し、グルーを塗布しブラシで毛流れを整えた眉毛に前記固定剤をのせ、水を含ませたコットンを眉毛にのせて眉毛の形を固定した後、前記固定剤を除去することを特徴とする眉毛用のパーマネント施術方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、睫毛や眉毛へのダメージが少なくトリートメント効果もある。睫毛や眉毛や皮膚を保護しながら睫毛や眉毛のパーマを施術することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1の睫毛用のパーマネント施術剤を用いたパーマネント施術方法の施術前(a)と施術後(b)の睫毛の状態の一例のイメージ図である。
図2】本発明の実施例2の眉毛用のパーマネント施術剤を用いたパーマネント施術方法の施術前(a)と施術後(b)の眉毛の状態の一例のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の睫毛・眉毛用のパーマネント剤について、添付図面を参照して実施例を用いて本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例0014】
(睫毛用のパーマネント剤)
本発明の睫毛・眉毛用のパーマネント剤の実施例1は睫毛用のパーマネント剤である。本実施例の睫毛用のパーマネント剤は、軟化剤と固定剤の2液式である。軟化剤(第1剤)は睫毛を軟化させるための溶液である。固定剤(第2剤)は軟化剤を取り除いた後に睫毛に塗布することで睫毛のウェーブ(カール)を定着させるための溶液である。
【0015】
本実施例の睫毛用のパーマネント剤の軟化剤及び固定剤には、基本的な組成の他、いずれもヒト幹細胞培養液を含む。ヒト由来の幹細胞は、分科能と自己複製能を備え、人の体との親和性が高い。本実施例では、具体的には、ヒト脂肪細胞順化培養エキス(hASCsE)を含む。ヒト脂肪細胞順化培養エキスは、ヒト脂肪細胞を数日間培養した後、培養物から除去された培養液のエキスである。すなわち、脂肪由来のヒト幹細胞を培養する際に作られるエキスで、脂肪組織から脂肪幹細胞を抽出し培養した際に幹細胞から分泌されるタンパク質成分である。ヒト脂肪細胞順化培養エキスは、肌なじみがよくアレルギーを起こしにくく、炎症の改善効果や発毛や育毛の促進効果があるとされている。骨髄由来のヒト幹細胞より脂肪由来のヒト幹細胞の方が容易に採取でき、しかも幹細胞の含有量が多いため、脂肪由来のヒト幹細胞培養液が好ましい。ヒト脂肪幹細胞培養エキスには、幹細胞が作るVEGF(血管内皮細胞増殖因子)、TGF(形質転換増殖因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)、IGF(インシュリン様成長因子)などの100種類以上の細胞増殖因子(グロースファクター)などのタンパク質成分を含有することが報告されている。これにより、ヒト由来脂肪幹細胞培養エキスは、皮膚老化と損傷を防止し、皮膚組織の主要構成成分であるヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンの再生を促進する高機能素材となりうる。また、幹細胞培養液成分の生理的活性は、抗老化効果、組織再生効果など、様々な効果が確認されている。
【0016】
また、本実施例の睫毛用のパーマネント剤の軟化剤及び固定剤には、いずれもヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン(羽毛)及び加水分解ケラチン(カシミヤヤギ)も含む。さらに、本実施例の睫毛用のパーマネント剤の固定剤には、乳酸桿菌発酵液、具体的には、乳酸桿菌/トマト果実発酵エキスを含む。加水分解ケラチンは、ケラチンタンパク質を加水分解して得られる水溶性ポリペプチドで、平均分子量は310から30000の範囲に調整されている。加水分解ケラチンは羊毛や羽毛やカシミヤ毛等から作られる。加水分解ケラチンのアミノ酸組成には、硫黄を含むアミノ酸の含有量が多く、睫毛や眉毛の成分に類似しているため毛髪親和性が高いことが知られている。ツヤ向上によるコンディショニング作用や保湿効果を有する。加水分解ケラチンには造膜作用があり、睫毛や眉毛のトリートメント効果を高める。これにより睫毛や眉毛の成長が促進されると推測される。乳酸桿菌発酵液は、抗炎症作用や美肌作用等があると言われ、ヒト型ケラチン量を増加させる。
【0017】
本実施例の睫毛用のパーマネント剤は、ヒト脂肪細胞順化培養エキスを含むので、睫毛が痛みにくく、育毛しながらダメージレスでパーマをかけることができる。また、本実施例の睫毛用のパーマネント剤は、加水分解ケラチンを従来の3倍以上含むことが好ましい。本実施例の睫毛用のパーマネント剤の固定剤に含まれる乳酸桿菌発酵エキスが加水分解ケラチンの効果を最大限に引き出すため、睫毛に欠かせないケラチンの効果を高めることができ、トリートメント効果がより高くなる。
【0018】
本実施例の睫毛用のパーマネント剤の軟化剤には、基本的な組成として、水、システアミンHCl(アミンの塩酸塩)、チオグリコール酸アンモニウム等の還元剤、アミノ酸(アスパラギン酸、グリシン、アラニン、アルギニン等)、他のアルカリ剤(炭酸水素アンモニウム)、アミノカルボン酸構造を有するキレート(EDTA-2Na等)の安定剤等を含む。また、本実施例の睫毛用のパーマネント剤の固定剤には、基本的な組成として、水、臭素酸ナトリウム等の酸化剤、トレオニン、安定剤等を含む。軟化剤及び固定剤には、他のトリートメント成分、防腐剤や香料等の添加剤、その他の成分を含んでもよい。本実施例の睫毛用のパーマネント剤の製造方法は特に制限されず、また上記各成分の成分量も限定されない。
【0019】
睫毛や眉毛の主成分であるケラチンタンパク質は、ポリペプチドを主鎖とした螺旋構造で、隣り合った主鎖同士が横に繋がる側鎖結合により結合して弾力などの特性を発揮する。主な側鎖結合として、硫黄同士の結合である強固なシスチン結合(ジスルフィド(SS)結合)と、電気的なイオン結合(塩結合)と、水で簡単に切断される弱い水素結合がある。軟化剤(第1剤)に含まれる還元剤成分によってシスチン結合を切断し、アルカリ剤成分によって塩結合が切断され、水分によって水素結合が切断される。アミノ酸は睫毛や眉毛を軟化・膨潤させて還元剤による還元作用を促進する。主鎖同士がずれた状態で固定剤(第2剤)を塗布すると、酸化剤成分により、切断されたシスチン結合が元の位置からずれた状態で再結合して固定され、酸化によりアルカリ性から弱酸性に戻ることで塩結合も再結合し、水分を拭き取ることで水素結合も再度形成される。かかる側鎖結合の切断と再結合により睫毛や眉毛にウェーブ(カール)を与え、保持する。ビューラー等で一時的に癖付けする場合と異なり、本実施例により睫毛や眉毛に与えたウェーブ(カール)は持続する。還元過程で睫毛内や眉毛内に不可避に生じる混合ジスルフィド基や、再結合できなかったシスチンにより生じるシステイン酸は、睫毛や眉毛の内部にダメージを与え、ごわつきやぱさつきの原因になるが、本実施例によれば、パーマによるダメージをヒト幹細胞培養液により軽減する効果が期待でき、さらに加水分解ケラチンと、加水分解ケラチンの効果を高める乳酸桿菌発酵液によりトリートメント効果でダメージをさらに軽減する効果が期待できる。
【0020】
{施術方法}
本発明の睫毛・眉毛用のパーマネント施術方法の実施例1は、上述した実施例1の睫毛用のパーマネント剤を用いた、睫毛用のパーマネント施術方法である。本実施例の施術方法は、美容サロン等において従業員等の施術者が顧客等の被施術者に対して施術することを想定しているが、他の方法で施術してもよい。
【0021】
(下準備工程)
まず、下睫毛をテープで下瞼に止めて巻き込みを防止し、アイメイク落とし等の処理剤又は精製水を含ませた綿棒又はマイクロスティック2本の間に被施術者の睫毛を挟んで睫毛の根元から毛先まで拭き上げることにより、睫毛についたマスカラ等の化粧料をや皮脂や汚れ等を取り除いて清浄にする。上瞼の睫毛のうち、パーマを掛けない睫毛を上瞼に止めて巻き込みを防止する。カールさせたい形により選定したロッドを上瞼の上に置く。必要に応じてロッドを上瞼に固定する。ツイーザー(睫毛をつまむピンセット)で真上に巻き上げる。
【0022】
(軟化工程)
次に、上述した睫毛用のパーマネント剤のうち軟化剤をブラシで被施術者の睫毛の根元から中間部にかけて塗布して所定時間放置する。放置時間は2分程度を目安に調整する。本工程により、軟化剤を睫毛に浸透させ、睫毛を軟化させる。加温はしない。
【0023】
(軟化剤拭き取り工程)
次に、ウィーザーで余分な軟化剤を軽く取り除いて、コットン又は精製水を染みこませた綿棒で睫毛に残った軟化剤を拭き取る。第2剤の浸透効率を上げるために軟化剤を完全に除去することが好ましい。
【0024】
(巻き上げ工程)
次に、睫毛用の水溶性グルー(接着剤)を睫毛に塗布してツイーザーでロッドに睫毛を巻き上げる。
【0025】
(固定工程)
次に、上述した睫毛用のパーマネント剤のうち固定剤をブラシで被施術者の睫毛の根元から中間部にかけて塗布してガーゼを乗せて所定時間放置する。放置時間は8分程度を目安に調整する。本工程により、軟化させた睫毛を所望の形にカールさせた状態で固定する。
【0026】
(固定剤拭き取り工程)
次に、精製水を含ませたコットンで固定剤を拭き取り、ロッドの固定を外し、グルーを拭き取り、ロッドから睫毛を離して、睫毛と上瞼を拭き取る。かぶれ等防止のため、睫毛や上瞼にパーマネント剤等が残らないよう、しっかり取り除く。なお、その後にトリートメント修復剤等を用いてトリートメント処理を追加で行ってもよい。
【0027】
図1は、本発明の実施例1の睫毛用のパーマネント施術剤を用いたパーマネント施術方法の施術前(a)と施術後(b)の睫毛の状態の一例のイメージ図である。本実施例によれば、睫毛が根元からしっかり立ち上がり、長く見えるうえ、カール感が出ている。また、睫毛や瞼にダメージがない。
【0028】
{効果}
本実施例によれば、睫毛や肌を保護しながら施術でき、睫毛へのダメージが少なくトリートメント効果もある。また、本実施例によれば、被施術者の睫毛への負担を軽減でき、繰り返し行う睫毛パーマ施術からのダメージを軽減するので、被施術者は安心して施術を受けることができる。育毛・発毛効果と保湿効果とトリートメント効果により、睫毛の健康を保ちながら美しい睫毛パーマを実現できる。また、軟化時間が早いので施術時間が短くて済む。
【0029】
ヒト幹細胞培養液には、様々な種類のサイトカイン(細胞を活性化する物質)やグロースファクター(成長因子。細胞の増殖や分化を促進する物質)が溶け出し、豊富に含まれている点が特徴であり、本実施例は、これらがたっぷりと含まれた培養液を含むので、本実施例によれば、皮膚組織の主要構成成分であるヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンを作り出すおおもとである線維芽細胞に働きかけ、張りと弾力性をあげる効果が期待できる。本実施例は、ケラチン成分を配合した液体を使って、自睫毛を根元から立ち上げるトリートメントとなりうる。ケラチンはタンパク質のひとつで、睫毛の主成分であるので、自睫毛や肌にもやさしく負担が少ないどころか、塗ることでまつげを内部から修復してくれる効果にも期待できる。しかも、比較的持ちが良い施術である。本実施例は、自睫毛の健康を保ちながら、上向きカールで印象もアップできるので、メリットが多い。特に、下向きのまつげが気になる、自まつげに負担をかけたくない場合に向いている。
【0030】
また、加水分解ケラチンにより、ダメージを補う働きがある。本実施例は、睫毛と同じ成分のケラチンを配合した、コスメ系のカーリング剤を使用したパーマである。本実施例によれば、繰り返し行う薬剤処理によるダメージで減少した睫毛内部のタンパク質を、主成分のケラチンで補充しながらパーマをかける。つまり本実施例によれば、ダメージ修復を可能とするパーマとなりうる。また、上述した施術方法により、ダメージを補う効果とともに時短が実現できる。
【実施例0031】
(眉毛用のパーマネント剤)
本発明の睫毛・眉毛用のパーマネント剤の実施例2は眉毛用のパーマネント剤である。本実施例の眉毛用のパーマネント剤は、軟化剤と固定剤の2液式である。軟化剤(第1剤)は眉毛を軟化させるための溶液である。固定剤(第2剤)は軟化剤を取り除いた後に眉毛に塗布することで眉毛のウェーブ(カール)を定着させるための溶液である。眉毛は睫毛と異なり肌に沿った状態で生えているので肌に直接パーマネント剤を塗ることになる。
【0032】
本実施例の眉毛用のパーマネント剤の軟化剤及び固定剤には、基本的な組成の他、実施例1と同様に、いずれもヒト幹細胞培養液を含む。本実施例では、具体的には、ヒト脂肪細胞順化培養エキス(hASCsE)を含む。また、本実施例の眉毛用のパーマネント剤の軟化剤及び固定剤には、いずれもヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン(羽毛)及び加水分解ケラチン(羽毛、カシミヤヤギ)も含む。さらに、本実施例の眉毛用のパーマネント剤の固定剤には、乳酸桿菌発酵液として、乳酸桿菌/トマト果実発酵エキスを含む。
【0033】
本実施例の眉毛用のパーマネント剤は、ヒト脂肪細胞順化培養エキスを含むので、眉毛が痛みにくく、育毛しながらダメージレスでパーマをかけることができ、眉毛が生えている皮膚に付着しても肌への負担が少ない。また、本実施例の眉毛用のパーマネント剤は、加水分解ケラチンを従来の3倍以上含むことが好ましい。
【0034】
本実施例の眉毛用のパーマネント剤の軟化剤には、基本的な組成として、水、チオグリセリン、チオグリコール酸アンモニウム等の還元剤、アミノ酸(アスパラギン酸、グリシン、アラニン、アルギニン等)、他のアルカリ剤(炭酸水素アンモニウム)、アミノカルボン酸構造を有するキレート(EDTA-2Na等)の安定剤等を含む。また、本実施例の眉毛用のパーマネント剤の固定剤には、基本的な組成として、水、臭素酸ナトリウム等の酸化剤、トレオニン、安定剤等を含む。軟化剤及び固定剤には、他のトリートメント成分、防腐剤や香料等の添加剤、その他の成分を含んでもよい。本実施例の眉毛用のパーマネント剤の製造方法は特に制限されず、また上記各成分の成分量も限定されない。その他の点は実施例1と同様である。
【0035】
{施術方法}
本発明の睫毛・眉毛用のパーマネント施術方法の実施例2は、上述した実施例2の眉毛用のパーマネント剤を用いた、眉毛用のパーマネント施術方法である。本実施例の施術方法は、美容サロン等において従業員等の施術者が顧客等の被施術者に対して施術することを想定しているが、他の方法で施術してもよい。本実施例の施術方法は、眉毛が生えている周辺の肌をワセリンで保護し、グルーで根元から立ち上がるようにコーティングした眉毛に軟化剤をのせ、さらに、水を含ませたコットンを眉毛にのせて温めて眉毛を軟化させた後、軟化剤を除去し、眉毛が生えている周辺の肌を再びワセリンで保護し、グルーを塗布しブラシで形を整えた眉毛に固定剤をのせ、水を含ませたコットンを眉毛にのせて眉毛の形を固定した後、固定剤を除去する。具体的には、以下のように行う。
【0036】
(下準備工程)
まず、ワセリンで、眉毛が生えている周辺の肌を保護する。根元がうねらないように、眉毛用の水溶性グルーを眉毛にしっかり付けて根元から立ち上がるようにコーティングする。眉毛が浮かないようにブラシで圧をかけながらブラッシングする。
【0037】
(軟化工程)
次に、上述した眉毛用のパーマネント剤のうち軟化剤を綿棒で被施術者の眉毛にのせて、軟化剤を塗ったところに、精製水を浸すことにより水を含ませたコットンをのせ、さらに、温めたコットンを上からのせて所定時間放置する。放置時間は6~14分程度を目安に調整する。本工程により、軟化剤を眉毛に浸透させ、眉毛を軟化させる。蒸しタオルやホットアイマスク等は使用しない。ワセリンで肌を保護しているので軟化剤による肌トラブルを軽減できる。
【0038】
(軟化剤拭き取り工程)
次に、精製水を染みこませたコットンで眉毛に残った軟化剤を拭き取る。第2剤の浸透効率を上げるために軟化剤を完全に除去することが好ましい。
【0039】
(巻き上げ工程)
次に、再び、ワセリンで、眉毛が生えている周辺の肌を保護し、眉毛用の水溶性グルーを眉毛に塗布してブラシで眉毛を巻き上げることにより毛流れを整える。ブラシに加えて爪楊枝等を用いてもよい。
【0040】
(固定工程)
次に、上述した眉毛用のパーマネント剤のうち固定剤を綿棒で被施術者の眉毛にのせて、精製水を浸すことにより水を含ませたコットンをのせて、さらにラッピングしたコットンをのせて所定時間放置する。放置時間は8分程度を目安に調整する。本工程により、軟化させた眉毛を所望の形に毛流れを整えた状態で固定することにより、眉毛の形を固定する。ワセリンで肌を保護しているので固定剤による肌トラブルを軽減できる。
【0041】
(固定剤拭き取り工程)
次に、精製水を含ませたコットンで固定剤を拭き取り、眉毛と皮膚にパーマネント剤等が残らないよう、しっかり取り除く。なお、その後にワックス剤等を用いてむだ毛処理を追加で行ってもよい。
【0042】
図2は、本発明の実施例2の眉毛用のパーマネント施術剤を用いたパーマネント施術方法の施術前(a)と施術後(b)の眉毛の状態の一例のイメージ図である。本実施例によれば、眉毛が自由にデザインでき、パーマで美しい流れを作るので、ナチュラルな美しい仕上がりとなる。
【0043】
{効果}
本実施例によれば、眉毛や肌を保護しながら施術でき、眉毛へのダメージが少なくトリートメント効果もある。また、本実施例によれば、被施術者の眉毛への負担を軽減でき、繰り返し行う眉毛パーマ施術からのダメージを軽減するので、被施術者は安心して施術を受けることができる。育毛・発毛効果と保湿効果とトリートメント効果により、眉毛の健康を保ちながら美しい眉毛パーマを実現できる。また、軟化時間が早いので施術時間が短くて済む。
【0044】
また、本実施例によれば、約1ヶ月間美しい状態をキープできる。毛並みを揃えるのにハサミでカットする必要がない。眉毛で顔の印象は大きく変わり、本実施例によって、若返りやアカ抜け、リフトアップされた印象を持たせ、持続させることが可能となる。パーマネント剤が、眉毛が生えている周辺の皮膚に触れないので、肌トラブルを防止できる。
【0045】
本実施例によれば、加水分解ケラチンにより、ダメージを補う働きがある。本実施例は、眉毛と同じ成分のケラチンを配合した、コスメ系のカーリング剤を使用したパーマである。本実施例によれば、繰り返し行う薬剤処理によるダメージで減少した眉毛内部のタンパク質を、主成分のケラチンで補充しながらパーマをかける。つまり本実施例によれば、ダメージ修復を可能とするパーマとなりうる。また、上述した施術方法により、ダメージを補う効果とともに時短が実現できる。その他の点は実施例1と同様である。
【0046】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々と変形実施が可能である。また、上記各実施の形態の構成要素を発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 目
2 睫毛
3 眉毛
図1
図2