(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158039
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】角度検出装置の信号処理部
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G01D5/20 110Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072867
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】牛草 遼平
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA04
2F077FF34
2F077PP26
(57)【要約】
【課題】角度検出装置の信号処理部の構成を簡素化することができる角度検出装置の信号処理部を得る。
【解決手段】この角度検出装置の信号処理部1は、基準信号を生成する基準信号生成部101と、基準信号を用いて2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部102と、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から出力されたレゾルバ出力を角度データに変換して角度データを出力する変換部103と、変換部103に異常が発生したことを検出する変換監視部104と、を備え、変換部103は、基準信号から角度データだけ位相がずれた位相データをフィードバック信号として用いて角度データを算出するとともに位相データを出力し、変換監視部104は、位相データとレゾルバ出力とを用いて、変換部103に異常が発生したことを検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準信号を生成する基準信号生成部(101)と、
前記基準信号生成部(101)によって生成された前記基準信号を用いて2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部(102)と、
前記2相の励磁信号が入力されたレゾルバから出力されたレゾルバ出力を角度データに変換して前記角度データを出力する変換部(103)と、
前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する変換監視部(104)と、
を備え、
前記変換部(103)は、前記基準信号から前記角度データだけ位相がずれた位相データをフィードバック信号として用いて前記角度データを算出するとともに前記位相データを出力し、
前記変換監視部(104)は、前記位相データと前記レゾルバ出力とを用いて、前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する角度検出装置の信号処理部。
【請求項2】
前記レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されており、
前記変換部(103)は、前記位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを前記2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記角度データを算出する請求項1に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項3】
前記レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、
前記変換部(103)は、前記位相データから変換された1相の周期信号を前記1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように前記角度データを算出する請求項1に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項4】
前記レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、
前記変換部(103)は、前記1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと前記位相データをもとに生成されるフィードバック位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記角度データを算出する請求項1に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項5】
前記変換部(103)は、前記位相データに対して位相が90度ずれた移相データを出力し、
前記変換監視部(104)は、前記位相データおよび前記移相データと前記2相のレゾルバ信号とを用いて、前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する請求項2に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項6】
前記変換監視部(104)は、前記位相データと前記1相のレゾルバ信号とを用いて、前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する請求項3または請求項4に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項7】
基準信号を生成する基準信号生成部(101)と、
前記基準信号生成部(101)によって生成された前記基準信号を用いて2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部(102)と、
前記2相の励磁信号が入力されたレゾルバから出力されたレゾルバ出力を角度データに変換して前記角度データを出力する変換部(103)と、
前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する変換監視部(104)と、
を備え、
前記変換部(103)は、前記基準信号から前記角度データだけ位相がずれた位相データをフィードバック信号として用いて前記角度データを算出するとともに前記位相データの極性を反転させた反転位相データを出力し、
前記変換監視部(104)は、前記反転位相データと前記レゾルバ出力とを用いて、前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する角度検出装置の信号処理部。
【請求項8】
前記レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されており、
前記変換部(103)は、前記位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを前記2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記角度データを算出する請求項7に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項9】
前記レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、
前記変換部(103)は、前記位相データから変換された1相の周期信号を前記1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように前記角度データを算出する請求項7に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項10】
前記レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、
前記変換部(103)は、前記1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと前記位相データをもとに生成されるフィードバック位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記角度データを算出する請求項7に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項11】
前記変換部(103)は、前記位相データに対して位相が90度ずれた移相データの極性を反転させた反転移相データを出力し、
前記変換監視部(104)は、前記反転位相データおよび前記反転移相データと前記2相のレゾルバ信号とを用いて、前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する請求項8に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項12】
前記変換監視部(104)は、前記反転位相データと前記1相のレゾルバ信号とを用いて、前記変換部(103)に異常が発生したことを検出する請求項9または請求項10に記載の角度検出装置の信号処理部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、角度検出装置の信号処理部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、励磁信号生成部と、変換部と、を備えている角度検出装置の信号処理部が知られている。励磁信号生成部は、励磁信号を生成する。励磁信号生成部によって生成された励磁信号は、レゾルバに入力される。励磁信号が入力されたレゾルバからレゾルバ信号が出力される。レゾルバから出力されたレゾルバ信号は、変換部に入力される。変換部は、レゾルバ信号を角度データに変換して角度データを出力する。変換部から出力された角度データは、被制御装置を制御する制御装置に入力される。また、レゾルバから出力されたレゾルバ信号は、制御装置に入力される。制御装置は、レゾルバ信号を用いて角度データを算出する。また、制御装置は、変換部から出力された角度データと制御装置が算出した角度データとを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、変換部に異常が発生したことを検出するために、レゾルバ信号をアナログデータからデジタルデータに変換するA/D変換装置が必要になる。これにより、角度検出装置の信号処理部の構成が複雑になってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、角度検出装置の信号処理部の構成を簡素化することができる角度検出装置の信号処理部を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る角度検出装置の信号処理部は、基準信号を生成する基準信号生成部と、基準信号生成部によって生成された基準信号を用いて2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部と、2相の励磁信号が入力されたレゾルバから出力されたレゾルバ出力を角度データに変換して角度データを出力する変換部と、変換部に異常が発生したことを検出する変換監視部と、を備え、変換部は、基準信号から角度データだけ位相がずれた位相データをフィードバック信号として用いて角度データを算出するとともに位相データを出力し、変換監視部は、位相データとレゾルバ出力とを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されており、変換部は、位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、変換部は、位相データから変換された1相の周期信号を1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、変換部は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと位相データをもとに生成されるフィードバック位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、変換部は、位相データに対して位相が90度ずれた移相データを出力し、変換監視部は、位相データおよび移相データと2相のレゾルバ信号とを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、変換監視部は、位相データと1相のレゾルバ信号とを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部は、基準信号を生成する基準信号生成部と、基準信号生成部によって生成された基準信号を用いて2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部と、2相の励磁信号が入力されたレゾルバから出力されたレゾルバ出力を角度データに変換して角度データを出力する変換部と、変換部に異常が発生したことを検出する変換監視部と、を備え、変換部は、基準信号から角度データだけ位相がずれた位相データをフィードバック信号として用いて角度データを算出するとともに位相データの極性を反転させた反転位相データを出力し、変換監視部は、反転位相データとレゾルバ出力とを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されており、変換部は、位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、変換部は、位相データから変換された1相の周期信号を1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、変換部は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと位相データをもとに生成されるフィードバック位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、変換部は、位相データに対して位相が90度ずれた移相データの極性を反転させた反転移相データを出力し、変換監視部は、反転位相データおよび反転移相データと2相のレゾルバ信号とを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、変換監視部は、反転位相データと1相のレゾルバ信号とを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る角度検出装置の信号処理部によれば、角度検出装置の信号処理部の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図4】
図1の変換監視部が変換部の異常を検出する方法を示す説明図である。
【
図5】実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁1相出力型のレゾルバ2になっている。
【0010】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、変換部103と、変換監視部104と、を備えている。
【0011】
基準信号生成部101は、基準信号ωRtを生成する。基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtは、励磁信号生成部102に入力される。基準信号ωRtが入力された励磁信号生成部102は、基準信号ωRtを用いて2相の励磁信号を生成する。2相の励磁信号のうちの一方の励磁信号を第1励磁信号sinωRtとし、他方の励磁信号を第2励磁信号cosωRtとする。励磁信号生成部102によって生成された2相の励磁信号のそれぞれは、レゾルバ2に入力される。
【0012】
2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応したレゾルバ出力が出力される。実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されている。したがって、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応した1相のレゾルバ信号が出力される。1相のレゾルバ信号は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)である。なお、1相のレゾルバ信号は、第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)であってもよい。レゾルバ2から出力された1相のレゾルバ信号は、変換部103に入力される。
【0013】
変換部103は、1相のレゾルバ信号を角度データφに変換して角度データφを出力する。角度データφは、回転角度θを示す。
【0014】
変換監視部104は、変換部103に異常が発生したことを検出する。
【0015】
図2は、
図1の変換部103を示すブロック図である。変換部103は、コンパレータ105と、PFC(phase frequency comparator)106と、制御則107と、ACC(accumulator)108と、減算部109と、位相信号生成部110と、を備えている。
【0016】
コンパレータ105には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。コンパレータ105に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、コンパレータ105からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0017】
変換部103では、フィードバック信号として、後述する位相データωRt-φが用いられる。位相信号生成部110は、位相データωRt-φをもとに生成されるフィードバック位相データを出力する。位相信号生成部110は、位相調整されたフィードバック位相データを出力する。PFC106には、コンパレータ105から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、位相信号生成部110から出力されたフィードバック位相データとが入力される。PFC106は、レゾルバ位相データωRt-θとフィードバック位相データとの差分を算出して、算出結果を制御偏差εとして出力する。
【0018】
制御則107には、PFC106から出力された制御偏差εが入力される。制御則107は、制御偏差εがゼロになるように角度データφの角速度信号を算出し、算出結果を出力する。
【0019】
ACC108には、制御則107から出力された角度データφの角速度信号が入力される。ACC108は、角度データφの角速度信号を積分して、積分結果を出力する。ACC108から出力される積分結果は、角度データφになる。
【0020】
減算部109には、ACC108から出力された角度データφと、基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtとが入力される。減算部109は、角度データφと基準信号ωRtとの差分を算出する。基準信号ωRtから角度データφだけ位相がずれたデータを位相データωRt-φとする。減算部109は、算出結果である位相データωRt-φを出力する。
【0021】
位相信号生成部110には、減算部109から出力された位相データωRt-φが入力される。位相信号生成部110は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)に対応して位相データωRt-φの位相ずれ量を調整し、調整したフィードバック位相データを出力する。なお、1相のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である場合には、位相信号生成部110は、第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)に対応して位相データωRt-φの位相ずれ量を調整し、調整したフィードバック移動データを出力する。なお、1相のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である場合には、コンパレータ105からレゾルバ位相データωRt-θ+90°が出力されるため、位相信号生成部110では、調整されるフィードバック位相データの位相ずれ量として90度が考慮される。また、センサの位相ずれは、実際には製造ばらつきが原因になって、0度または90度からずれる場合がある。したがって、位相ずれを設定に応じて調整し、0度または90度からのずれが吸収できるようになっている。
【0022】
したがって、変換部103は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データωRt-θとフィードバック位相データとの差分から得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する。
【0023】
図3は、
図1の変換監視部104を示すブロック図である。変換監視部104は、コンパレータ111と、位相比較部112と、位相差判定部113と、を備えている。
【0024】
コンパレータ111には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。コンパレータ111に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、コンパレータ111からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0025】
位相比較部112には、コンパレータ111から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、変換部103から出力された位相データωRt-φとが入力される。位相比較部112は、レゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0026】
位相差判定部113には、位相比較部112の算出結果が入力される。また、位相差判定部113には、判定基準値Tth1が予め設定されている。判定基準値Tth1は、変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。位相差判定部113は、レゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの間の位相差が判定基準値Tth1を超えているか否かに基づいて、変換部103に異常が発生したことを検出する。位相差判定部113が変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、位相差判定部113は、異常検出信号を出力する。
【0027】
変換部103から出力された角度データφおよび変換監視部104から出力された異常検出信号は、図示しない制御装置に入力される。制御装置は、角度データφおよび異常検出信号を用いて、図示しない被制御装置を制御する。
【0028】
図4は、
図1の変換監視部104が変換部103の異常を検出する方法を示す説明図である。
図4の(a)では、第1レゾルバ信号sin(ω
Rt-θ)がコンパレータ111に入力される例が示されている。コンパレータ111に第1レゾルバ信号sin(ω
Rt-θ)が入力されることによって、
図4の(b)に示すレゾルバ位相データω
Rt-θがコンパレータ111から出力される。レゾルバ位相データω
Rt-θは、電圧の値がHおよびLの何れか一方の値になるデータである。
【0029】
図4の(b)に示すレゾルバ位相データω
Rt-θおよび
図4の(c)に示す位相データω
Rt-φが位相比較部112に入力される。
図4(c)では、変換部103に異常が発生している場合に変換部103から出力された位相データω
Rt-φが示されている。変換部103に異常が発生していない場合には、レゾルバ位相データω
Rt-θと位相データω
Rt-φとの間に位相ずれが発生しない。位相比較部112では、レゾルバ位相データω
Rt-θおよび位相データω
Rt-φの排他的論理和を算出する。
図4の(d)は、算出された排他的論理和を示している。
【0030】
図4の(e)に示すように、位相差判定部113は、算出された排他的論理和のうちで、Hの状態の時間だけカウントアップを行い、Lの状態ではカウントをリセットする。また、位相差判定部113は、カウントアップされた値が予め設定された判定閾値を超えた場合に、変換部103に異常が発生したことを検出する。判定閾値は、判定基準値T
th1に対応する値である。
【0031】
図4の(f)に示すように、変換部103に異常が発生したことを位相差判定部113が検出した場合に、位相差判定部113は、異常検出信号を出力する。
図4の(f)では、位相差判定部113から出力された電圧の値がHの状態が、位相差判定部113が異常検出信号を出力した状態に対応する。
【0032】
以上説明したように、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、変換部103と、変換監視部104と、を備えている。基準信号生成部101は、基準信号ωRtを生成する。励磁信号生成部102は、基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtを用いて2相の励磁信号を生成する。変換部103は、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から出力されたレゾルバ出力を角度データφに変換して角度データφを出力する。変換監視部104は、変換部103に異常が発生したことを検出する。変換部103は、基準信号ωRtから角度データφだけ位相がずれた位相データωRt-φをフィードバック信号として用いて角度データφを算出するとともに位相データωRt-φを出力する。変換監視部104は、位相データωRt-φとレゾルバ出力とを用いて、変換部103に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、フィードバック信号として用いられる位相データωRt-φを用いて、変換部103に異常が発生したことが検出される。これにより、角度検出装置の信号処理部1の構成を簡素化することができる。
【0033】
また、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されている。変換部103は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φをもとに生成されるフィードバック位相データとの差分から得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する。この構成によれば、振幅変調方式と比較して、変換部103に対するノイズの影響を小さくすることができ、これにより、変換部103による角度データφの算出の精度を向上させることができる。
【0034】
また、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1では、変換監視部104は、位相データωRt-φと1相のレゾルバ信号とを用いて、変換部103に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、変換部103の異常を容易に検出することができる。
【0035】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁1相出力型のレゾルバ2になっている。
【0036】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、変換部103と、変換監視部104と、を備えている。
【0037】
実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101および励磁信号生成部102は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101および励磁信号生成部102と同一である。
【0038】
変換部103は、位相データωRt-φの極性を反転させた反転位相データ-(ωRt-φ)を出力する。実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1における変換部103のその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における変換部103と同様である。
【0039】
図6は、
図5の変換監視部104を示すブロック図である。変換監視部104は、コンパレータ114と、位相比較部115と、位相差判定部116と、反転部140と、を備えている。
【0040】
コンパレータ114には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。コンパレータ114に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、コンパレータ114からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0041】
反転部140には、変換部103から出力された反転位相データ-(ωRt-φ)が入力される。反転部140に反転位相データ-(ωRt-φ)が入力されることによって、反転部140から位相データωRt-φが出力される。位相比較部115には、コンパレータ114から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、反転部140から出力された位相データωRt-φとが入力される。位相比較部115は、レゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0042】
位相差判定部116には、位相比較部115の算出結果が入力される。また、位相差判定部116には、判定基準値Tth2が予め設定されている。判定基準値Tth2は、変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。位相差判定部116は、レゾルバ位相データωRt-θと反転位相データ-(ωRt-φ)との間の位相差が判定基準値Tth2を超えているか否かに基づいて、変換部103に異常が発生したことを検出する。位相差判定部116が変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、位相差判定部116は、異常検出信号を出力する。
【0043】
実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出処理部の信号処理部1と同様である。
【0044】
以上説明したように、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、変換部103と、変換監視部104と、を備えている。基準信号生成部101は、基準信号ωRtを生成する。励磁信号生成部102は、基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtを用いて2相の励磁信号を生成する。変換部103は、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から出力されたレゾルバ出力を角度データφに変換して角度データφを出力する。変換監視部104は、変換部103に異常が発生したことを検出する。変換部103は、基準信号ωRtから角度データφだけ位相がずれた位相データωRt-φをフィードバック信号として用いて角度データφを算出するとともに位相データωRt-φの極性を反転させた反転位相データ-(ωRt-φ)を出力する。変換監視部104は、反転位相データ-(ωRt-φ)とレゾルバ出力とを用いて、変換部103に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、フィードバック信号として用いられる位相データωRt-φの極性を反転させた反転位相データ-(ωRt-φ)を用いて、変換部103に異常が発生したことが検出される。これにより、角度検出装置の信号処理部1の構成を簡素化することができる。
【0045】
また、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されている。変換部103は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φをもとに生成されるフィードバック位相データとの差分から得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する。この構成によれば、振幅変調方式と比較して、変換部103に対するノイズの影響を小さくすることができ、これにより、変換部103による角度データφの算出の精度を向上させることができる。
【0046】
また、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1では、変換監視部104は、反転位相データ-(ωRt-φ)と1相のレゾルバ信号とを用いて、変換部103に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、変換部103の異常を容易に検出することができる。
【0047】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁2相出力型のレゾルバ2になっている。
【0048】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、変換部103と、変換監視部104と、を備えている。
【0049】
2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応したレゾルバ出力が出力される。実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されている。したがって、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応した2相のレゾルバ信号が出力される。2相のレゾルバ信号のうちの一方のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)であり、他方のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である。レゾルバ2から出力された2相のレゾルバ信号のそれぞれは、変換部103に入力される。変換部103は、2相のレゾルバ信号を角度データφに変換して角度データφを出力する。角度データφは、回転角度θを示す。
【0050】
図8は、
図7の変換部103を示すブロック図である。変換部103は、第1乗算部117と、第2乗算部118と、第1減算部119と、A/D変換部120と、制御則121と、ACC122と、第2減算部123と、移相部124と、三角関数信号変換部125と、を備えている。
【0051】
変換部103におけるフィードバック信号をωLtとする。三角関数信号変換部125は、2相の周期信号を生成する。2相の周期信号のうちの一方の周期信号を第1三角関数信号cos(ωLt)とし、他方の周期信号を第2三角関数信号sin(ωLt)とする。三角関数信号変換部125は、第1三角関数信号cos(ωLt)および第2三角関数信号sin(ωLt)を出力する。
【0052】
レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部125から出力された第1三角関数信号cos(ωLt)とが互いに対応している。第1乗算部117には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部125から出力された第1三角関数信号cos(ωLt)とが入力される。第1乗算部117は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と第1三角関数信号cos(ωLt)とを乗算して、乗算結果を出力する。
【0053】
レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部125から出力された第2三角関数信号sin(ωLt)とが互いに対応している。第2乗算部118には、レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部125から出力された第2三角関数信号sin(ωLt)とが入力される。第2乗算部118は、第1レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と第2三角関数信号sin(ωLt)とを乗算して、乗算結果を出力する。
【0054】
第1減算部119には、第1乗算部117の乗算結果と、第2乗算部118の乗算結果とが入力される。第1減算部119は、第1乗算部117の乗算結果と、第2乗算部118の乗算結果との差分を算出して、算出結果を制御偏差εとして出力する。制御偏差εは、下記の式(1)を満たす。
【0055】
ε=cos(ωRt-θ)・sin(ωLt)-sin(ωRt-θ)・cos(ωLt)=sin(ωLt-ωRt+θ) (1)
【0056】
A/D変換部120には、第1減算部119から出力された制御偏差εが入力される。A/D変換部120は、制御偏差εをアナログデータからデジタルデータに変換して、デジタルデータの制御偏差εを出力する。
【0057】
制御則121には、A/D変換部120から出力されたデジタルデータの制御偏差εが入力される。制御則121は、制御偏差εがゼロになるように角度データφの角速度信号を算出し、算出結果を出力する。
【0058】
ACC122には、制御則121から出力された角度データφの角速度信号が入力される。ACC122は、角度データφの角速度信号を積分して、積分結果を出力する。ACC122から出力される積分結果は、角度データφになる。
【0059】
第2減算部123には、ACC122から出力された角度データφと、基準信号生成部101から出力された基準信号ωRtとが入力される。第2減算部123は、角度データφと基準信号ωRtとの差分を算出する。基準信号ωRtから角度データφだけ位相がずれたデータを位相データωRt-φとする。第2減算部123は、算出結果である位相データωRt-φを出力する。
【0060】
移相部124には、第2減算部123から出力された位相データωRt-φが入力される。移相部124は、位相データωRt-φに対して位相が90度ずれた移相データωRt-φ+90°を出力する。
【0061】
三角関数信号変換部125には、第2減算部123から出力された位相データωRt-φがフィードバック信号ωLtとして入力される。三角関数信号変換部125は、位相データωRt-φを用いて、2相の周期信号を生成する。位相データωRt-φがフィードバック信号ωLtであることから、制御偏差εは、下記の式(2)を満たす。
【0062】
ε=sin(θ-φ) (2)
【0063】
したがって、変換部103は、位相データωRt-φから変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算する。また、変換部103は、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する。変換部103は、算出した角度データφを出力する。
【0064】
図9は、
図7の変換監視部104を示すブロック図である。変換監視部104は、第1コンパレータ126と、第1位相比較部127と、第1位相差判定部128と、第2コンパレータ129と、第2位相比較部130と、第2位相差判定部131と、論理和回路部132と、を備えている。
【0065】
第1コンパレータ126には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。第1コンパレータ126に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、第1コンパレータ126からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0066】
第1位相比較部127には、第1コンパレータ126から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、変換部103から出力された位相データωRt-φとが入力される。第1位相比較部127は、レゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0067】
第1位相差判定部128には、第1位相比較部127の算出結果が入力される。また、第1位相差判定部128には、判定基準値Tth3が予め設定されている。判定基準値Tth3は、変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第1位相差判定部128は、レゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの間の位相差が判定基準値Tth3を超えているか否かに基づいて、変換部103に異常が発生したことを検出する。第1位相差判定部128が変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、第1位相差判定部128は、異常検出信号を出力する。
【0068】
第2コンパレータ129には、レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力される。第2コンパレータ129に第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力されることによって、第2コンパレータ129からレゾルバ位相データωRt-θ+90°が出力される。
【0069】
第2位相比較部130には、第2コンパレータ129から出力されたレゾルバ位相データωRt-θ+90°と、変換部103から出力された移相データωRt-φ+90°とが入力される。第2位相比較部130は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と移相データωRt-φ+90°との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0070】
第2位相差判定部131には、第2位相比較部130の算出結果が入力される。また、第2位相差判定部131には、判定基準値Tth4が予め設定されている。判定基準値Tth4は、変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第2位相差判定部131は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と移相データωRt-φ+90°との間の位相差が判定基準値Tth4を超えているか否かに基づいて、変換部103に異常が発生したことを検出する。第2位相差判定部131が変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、第2位相差判定部131は、異常検出信号を出力する。
【0071】
論理和回路部132には、第1位相差判定部128から出力された異常検出信号および第2位相差判定部131から出力された異常検出信号が入力される。第1位相差判定部128から出力された異常検出信号および第2位相差判定部131から出力された異常検出信号の少なくとも何れか一方が論理和回路部132に入力された場合に、論理和回路部132は異常検出信号を出力する。
【0072】
実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1と同様である。
【0073】
以上説明したように、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されている。変換部103は、位相データωRt-φから変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する。この構成によれば、変換部103による角度データφの算出の精度を向上させることができる。
【0074】
また、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1では、変換部103は、位相データωRt-φに対して位相が90度ずれた移相データωRt-φ+90°を出力する。変換監視部104は、位相データωRt-φおよび移相データωRt-φ+90°と2相のレゾルバ信号とを用いて、変換部103に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、変換部103の異常を容易に検出することができる。
【0075】
実施の形態4.
図10は、実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁2相出力型のレゾルバ2になっている。
【0076】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、変換部103と、変換監視部104と、を備えている。
【0077】
実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101および励磁信号生成部102は、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101および励磁信号生成部102と同一である。
【0078】
変換部103は、位相データωRt-φの極性を反転させた反転位相データ-(ωRt-φ)を出力する。また、変換部103は、移相データωRt-φ+90°の極性を反転させた反転移相データ-(ωRt-φ+90°)を出力する。実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1における変換部103のその他の構成は、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1における変換部103と同様である。
【0079】
図11は、
図10の変換監視部104を示すブロック図である。変換監視部104は、第1コンパレータ133と、第1位相比較部134と、第1位相差判定部135と、第2コンパレータ136と、第2位相比較部137と、第2位相差判定部138と、論理和回路部139と、第1反転部141と、第2反転部142と、を備えている。
【0080】
第1コンパレータ133には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。第1コンパレータ133に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、第1コンパレータ133からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0081】
第1反転部141には、変換部103から出力された反転位相データ-(ωRt-φ)が入力される。第1反転部141に反転位相データ-(ωRt-φ)が入力されることによって、第1反転部141から位相データωRt-φが出力される。第1位相比較部134には、第1コンパレータ133から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、第1反転部141から出力された位相データωRt-φとが入力される。第1位相比較部134は、レゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0082】
第1位相差判定部135には、第1位相比較部134の算出結果が入力される。また、第1位相差判定部135には、判定基準値Tth5が予め設定されている。判定基準値Tth5は、変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第1位相差判定部135は、レゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの間の位相差が判定基準値Tth5を超えているか否かに基づいて、変換部103に異常が発生したことを検出する。第1位相差判定部135が変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、第1位相差判定部135は、異常検出信号を出力する。
【0083】
第2コンパレータ136には、レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力される。第2コンパレータ136に第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力されることによって、第2コンパレータ136からレゾルバ位相データωRt-θ+90°が出力される。
【0084】
第2反転部142には、変換部103から出力された反転移相データ-(ωRt-φ+90°)が入力される。第2反転部142に反転移相データ-(ωRt-φ+90°)が入力されることによって、第2反転部142から移相データωRt-φ+90°が出力される。第2位相比較部137には、第2コンパレータ129から出力されたレゾルバ位相データωRt-θ+90°と、第2反転部142から出力された移相データωRt-φ+90°とが入力される。第2位相比較部137は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と移相データωRt-φ+90°との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0085】
第2位相差判定部138には、第2位相比較部137の算出結果が入力される。また、第2位相差判定部138には、判定基準値Tth6が予め設定されている。判定基準値Tth6は、変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第2位相差判定部138は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と移相データωRt-φ+90°との間の位相差が判定基準値Tth6を超えているか否かに基づいて、変換部103に異常が発生したことを検出する。第2位相差判定部138が変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、第2位相差判定部138は、異常検出信号を出力する。
【0086】
論理和回路部139には、第1位相差判定部135から出力された異常検出信号および第2位相差判定部138から出力された異常検出信号が入力される。第1位相差判定部135から出力された異常検出信号および第2位相差判定部138から出力された異常検出信号の少なくとも何れか一方が論理和回路部139に入力された場合に、論理和回路部139は異常検出信号を出力する。
【0087】
実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1と同様である。
【0088】
以上説明したように、実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されている。変換部103は、位相データωRt-φから変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する。この構成によれば、変換部103による角度データφの算出の精度を向上させることができる。
【0089】
また、実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1では、変換部103は、位相データωRt-φに対して位相が90度ずれた移相データωRt-φ+90°の極性を反転させた反転移相データ-(ωRt-φ+90°)を出力する。変換監視部104は、反転位相データ-(ωRt-φ)および反転移相データ-(ωRt-φ+90°)と2相のレゾルバ信号とを用いて、変換部103に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、変換部103の異常を容易に検出することができる。
【0090】
また、各実施の形態に係る角度検出装置の信号処理部1では、変換部103には、基準信号生成部101から基準信号ωRtが入力される構成について説明した。しかしながら、この構成に限らない。変換部103に2相の励磁信号の少なくとも一方が入力され、変換部103が、2相の励磁信号の少なくとも一方を基準信号ωRtに変換する構成であってもよい。
【0091】
また、実施の形態3、4に係る角度検出装置の信号処理部1では、2相の周期信号として、第1三角関数信号cos(ωLt)および第2三角関数信号sin(ωLt)を用いた構成について説明した。しかしながら、2相の周期信号は、これに限らず、周期的に変化する信号であればよい。2相の周期信号としては、例えば、三角波、正弦波、台形波が挙げられる。
【0092】
また、実施の形態3、4に係る角度検出装置の信号処理部1では、2相のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)および第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である構成について説明した。しかしながら、2相のレゾルバ信号は、これに限らず、周期的に変換する信号であればよい。2相のレゾルバ信号としては、例えば、三角波、正弦波、台形波が挙げられる。
【0093】
また、実施の形態1、2に係る角度検出装置の信号処理部1では、変換部103がレゾルバ位相データωRt-θと位相データωRt-φとの差分から得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する構成について説明した。しかしながら、これに限らず、変換部103は、実施の形態3、4に係る角度検出装置の信号処理部1における変換部103と同様にして角度データφを算出する構成であってもよい。言い換えれば、変換部103は、位相データωRt-φから変換された1相の周期信号を1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差εがゼロになるように角度データφを算出する構成であってもよい。1相のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)である場合に、1相の周期信号が第1三角関数信号cos(ωLt)になる。一方、1相のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である場合に、1相の周期信号が第2三角関数信号sin(ωLt)になる。
【0094】
また、実施の形態1、2に係る角度検出装置の信号処理部1では、1相のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)である構成について説明した。しかしながら、1相のレゾルバ信号は、これに限らず、周期的に変換する信号であればよい。1相のレゾルバ信号としては、例えば、三角波、正弦波、台形波が挙げられる。
【0095】
また、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1では、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と位相データωRt-φとが変換監視部104に入力される構成について説明した。しかしながら、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)の極性を反転させた反転第1レゾルバ信号-(sin(ωRt-θ))と反転位相データ-(ωRt-φ)とが変換監視部104に入力される構成であってもよい。
【0096】
また、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1では、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と反転位相データ-(ωRt-φ)とが変換監視部104に入力される構成について説明した。しかしながら、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)の極性を反転させた反転第1レゾルバ信号-(sin(ωRt-θ))と位相データωRt-φとが変換監視部104に入力される構成であってもよい。
【0097】
また、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1では、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と位相データωRt-φと第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と移相データωRt-φ+90°とが変換監視部104に入力される構成について説明した。しかしながら、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)の極性を反転させた反転第1レゾルバ信号-(sin(ωRt-θ))と反転位相データ-(ωRt-φ)と第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)の極性を反転させた反転第2レゾルバ信号-(cos(ωRt-θ))と反転移相データ-(ωRt-φ+90°)とが変換監視部104に入力される構成であってもよい。
【0098】
また、実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1では、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と反転位相データ-(ωRt-φ)と第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と反転移相データ-(ωRt-φ+90°)とが変換監視部104に入力される構成について説明した。しかしながら、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)の極性を反転させた反転第1レゾルバ信号-(sin(ωRt-θ))と位相データωRt-φと第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)の極性を反転させた反転第2レゾルバ信号-(cos(ωRt-θ))と移相データωRt-φ+90°とが変換監視部104に入力される構成であってもよい。
【0099】
以上、好ましい各実施の形態に係る角度検出装置の信号処理部1について説明したが、上述した各実施の形態に係る角度検出装置の信号処理部1に制限されることはない。特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した各実施の形態に係る角度検出装置の信号処理部1に種々の変形および変換を加えることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 信号処理部、2 レゾルバ、101 基準信号生成部、102 励磁信号生成部、103 変換部、104 変換監視部、105 コンパレータ、106 PFC、107 制御則、108 ACC、109 減算部、110 位相信号生成部、111 コンパレータ、112 位相比較部、113 位相差判定部、114 コンパレータ、115 位相比較部、116 位相差判定部、117 第1乗算部、118 第2乗算部、119 第1減算部、120 A/D変換部、121 制御則、122 ACC、123 第2減算部、124 移相部、125 三角関数信号変換部、126 第1コンパレータ、127 第1位相比較部、128 第1位相差判定部、129 第2コンパレータ、130 第2位相比較部、131 第2位相差判定部、132 論理和回路部、133 第1コンパレータ、134 第1位相比較部、135 第1位相差判定部、136 第2コンパレータ、137 第2位相比較部、138 第2位相差判定部、139 論理和回路部、140 反転部、141 第1反転部、142 第2反転部。