(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158050
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用格納式テーブル
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20241031BHJP
B60R 7/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60N3/00 A
B60R7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072890
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 英之
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088AA05
3D022CA22
3D022CB01
3D022CC18
3D022CD03
3D022CD05
(57)【要約】
【課題】ジョイント部の強度を増加させることなく、テーブルの耐荷重性能を向上可能とする。
【解決手段】ハウジング20は、車室100の車幅方向中央に配置される。更にハウジング20は、上方に開口21を備える。テーブル板30A,30Bは、収容状態から展開状態に移行可能となっている。収容状態では、テーブル板30A,30Bは、起立状態でハウジング20内に収容される。展開状態では、テーブル板30A,30Bは、開口21からハウジング20外に引き出される。更にテーブル板30A,30Bは、車両前後軸を回転軸として展開される。突出部13A,13Bは、車室100の側壁から車幅方向内側に突設される。更に突出部13A,13Bは、展開状態のテーブル板30A,30Bの車幅方向外側端部を支持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の車幅方向中央に配置され、車両前後方向を長手方向とし、上方に開口を備える、ハウジングと、
起立状態で前記ハウジング内に収容される収容状態から、前記開口から前記ハウジング外に引き出され更に車両前後軸を回転軸として展開される展開状態に移行可能なテーブル板と、
前記車室の側壁から車幅方向内側に突設され、前記展開状態の前記テーブル板の車幅方向外側端部を支持する突出部と、
を備える、車両用格納式テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車両に設けられる、格納式のテーブルが開示される。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1では、車両用のテーブル装置が配置される。車室に設けられた左右一対の座席の間に、テーブル装置が配置される。このテーブル装置は格納式である。すなわち、テーブル板が一対の平板部に分割される。そして一対の平板部は、それぞれ起立位置(パーティション状態)から水平状態に展開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のテーブル装置では、一対の平板部は、水平状態に展開されたときに、片持ち状態となる。つまり、車幅方向中央部分は支柱に支持される一方で、車幅方向両端は下方から支持されない自由端となる。このような片持ち構造のテーブル装置において、耐荷重性能を向上させるためには、支柱と平板部とのジョイント部の強度をより高くする必要がある。
【0005】
そこで本明細書では、ジョイント部の強度を増加させることなく、テーブルの耐荷重性能を向上可能な、車両用格納式テーブルが開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、車両用格納式テーブルが開示される。このテーブルは、ハウジング、テーブル板、及び突出部を備える。ハウジングは、車室の車幅方向中央に配置される。またハウジングは、車両前後方向を長手方向とする。更にハウジングは、上方に開口を備える。テーブル板は、収容状態から展開状態に移行可能となっている。収容状態では、テーブル板は、起立状態でハウジング内に収容される。展開状態では、テーブル板は、開口からハウジング外に引き出される。更にテーブル板は、車両前後軸を回転軸として展開される。突出部は、車室の側壁から車幅方向内側に突設される。更に突出部は、展開状態のテーブル板の車幅方向外側端部を支持する。
【0007】
上記構成によれば、展開状態において、テーブル板の車幅方向端部が、車室側壁に設けられた突出部によって支持される。これによりテーブル板は両持ち構造となる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示される車両用格納式テーブルは、ジョイント部の強度を増加させることなく、テーブルの耐荷重性能を向上可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る車両用格納式テーブルが収容状態にあるときの様子を例示する斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る車両用格納式テーブルが、パーティション状態にあるときの様子を例示する斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る車両用格納式テーブルが展開状態にあるときの様子を例示する斜視図である。
【
図4】ハウジングの内部構造を例示する斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る車両用格納式テーブルの、収容状態から展開状態に至るまでの動作を説明する、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本実施形態に係る車両用格納式テーブルが、図面を用いて説明される。以下で説明する形状、材料、個数、及び数値は、説明のための例示であって、車両用格納式テーブルの仕様に応じて適宜変更することができる。また以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号が付される。
【0011】
また、
図1-
図5では、各構成の位置や方向を表すために、FR軸、LH軸、及びUP軸からなる直交座標系が用いられる。FR軸は車両前方を正方向とする、車両前後方向軸である。LH軸は車両左側を正方向とする、車幅方向軸である。UP軸は上方を正方向とする、車両上下方向軸である。
【0012】
<車室内構造>
図1-
図3には、車室100の内部構造が例示される。この車室100に、本実施形態に係る、車両用の格納式テーブルが配置される。この格納式テーブルは、ハウジング20、テーブル板30A,30B、及び突出部13A,13Bを備える。またその他にも格納式テーブルは、上昇ボタン15、下降ボタン17、フロアレール19、スライダ26(
図5参照)、ガイドレール22(
図4参照)、ガイド46、ヒンジ部40、昇降機構50、及びロール60A,60Bを備える。
【0013】
図1-
図3の例では、車室100は片側のみにドアが配置される。例えば、
図3にてドアトリム10Bが示されているように、車室100の左側壁にドアが設けられる。また車室100の右側壁には、内装トリム10Aが配置される。
【0014】
内装トリム10A及びドアトリム10Bには、突出部13A,13Bが突設される。つまり車室100には、側壁から車幅方向内側に突設される突出部13A,13Bが配置される。後述されるように、展開状態(
図3参照)のテーブル板30A,30Bの、車幅方向外側端部が、突出部13A,13Bに支持される。これにより、テーブル板30A,30Bが両持ち構造となる。この構造の詳細は後述される。
【0015】
フロア12上には、フロントシートとして、一対のセパレートシート14,14が車幅方向に配列される。セパレートシート14,14は、例えば後方を向くように位置決めされる。また一対のセパレートシート14,14間には、ハウジング20が設置可能な程度の間隔が空けられる。
【0016】
またフロア12上には、リアシートとして、ベンチシート16が配置される。ベンチシート16は、例えば前方を向くように位置決めされる。すなわち、一対のセパレートシート14,14とベンチシート16は向かい合うように配置される。
【0017】
フロア12には、フロアレール19,19が敷設される。フロアレール19,19は、一対のセパレートシート14,14の間に敷設される。例えばフロアレール19,19は、フロア12の、車幅方向中央に一対敷設される。例えばフロアレール19,19は、フロア12上において、セパレートシート14,14の間から、セパレートシート14,14及びベンチシート16の間の床面に至るまで、車両前後方向に延伸する。
【0018】
<ハウジング>
ハウジング20は、車室100の車幅方向中央に配置される。またフロアレール19,19上を、ハウジング20が移動する。ハウジング20は筐体であって、車両前後方向を長手方向とする。例えばハウジング20の車両前後方向寸法は、セパレートシート14,14の車両前後方向寸法と等しい。なお以下では、「等しい」とは複数の値が完全に一致する場合に限定されない。例えば複数の値に差異が生じていても、その差異が、対象部材の製造公差、組付公差等の公差内に収まっているならば、これらの複数の値は等しいとみなされる。
【0019】
図2を参照して、ハウジング20の上方には開口21が形成される。後述されるように、開口21から、テーブル板30A,30Bが鉛直方向に引き出される。
【0020】
また
図5を参照して、ハウジング20の下面にはスライダ26,26が配置される。スライダ26,26はハウジングの下面から下方に突出する凸部である。このスライダ26,26がフロアレール19,19上を摺動する。これにより、ハウジング20は、フロアレール19,19に沿って車両前後方向に移動可能となる。
【0021】
図4には、ハウジング20の内部構造が例示される。ハウジング20の内壁の内、車両前後面には、ガイドレール22が配置される。なお
図4ではハウジング20の内壁前面のみが例示されているが、内壁後面も
図4と同様の構造を備える。
【0022】
ガイドレール22は鉛直方向に延伸される。後述されるように、ガイドレール22上をガイド46が摺動する。この摺動により、テーブル板30A,30Bの移動方向が規制される。
【0023】
またハウジング20の内部には、ロール60A,60Bが配置される。ロール60A,60Bは、テーブル板30A,30Bを挟んで一対配置される。ロール60A,60Bは、車両前後方向に延伸する。例えばハウジング20の前壁から後壁まで直線的にロール60A,60Bが設置される。
【0024】
ロール60A,60Bは、車両前後軸を回転軸として回転する。後述される
図5のように、パーティション状態においてロール60A,60Bは、テーブル板30A,30Bの水平展開を防ぐ。またパーティション状態から展開状態に移行する際に、ロール60A,60Bはテーブル板30A,30Bの展開をガイドする。
【0025】
<テーブル板>
図1-
図4を参照して、テーブル板30A,30Bは、本体板32A,32B及びクッション34A,34Bを備える。後述されるようにテーブル板30A,30Bは、収容状態(
図1参照)からパーティション状態(
図2参照)を経て、展開状態(
図3参照)に移行可能となっている。このテーブル板30A,30Bに、ヒンジ部40(
図4参照)、昇降機構50、及びガイド46が設けられる。
【0026】
クッション34A,34Bは例えばハウジング20(
図2参照)の開口21よりも、車両前後方向寸法が長い。つまりクッション34A,34Bは、
図1の収容状態においてハウジング20外に配置される。クッション34A,34Bは、
図1の収容状態においてアームレストとして機能する。
【0027】
図5を参照して、テーブル板30A,30Bが起立状態にあるときを基準にして、クッション34A,34Bのそれぞれの車幅方向中央位置から外れた位置に、本体板32A,32Bの上端が接続される。
【0028】
また、クッション34A,34B内には錘34A1,34B1が配置される。錘34A1,34B1は本体板32A,32Bとは離隔配置される。例えばテーブル板30A,30Bが起立状態にあるときを基準にして、錘34A1,34B1は、本体板32A,32Bよりも車幅方向外側に配置される。
【0029】
本体板32A,32Bは、テーブル板となる部品である。本体板32A,32Bは、例えばアルミパネルから構成される。本体板32A,32Bは、
図1、
図2のように、展開前は鉛直方向に沿った起立姿勢となる。また
図3のように、展開後の本体板32A,32Bは、水平方向に沿って展開される。
【0030】
図4を参照して、ヒンジ部40は、起立姿勢の本体板32A,32Bの下端に接続される。またヒンジ部40は、本体板32A,32Bの前後端に接続される。ヒンジ部40はヒンジハウジング41及びオイルダンパ42A,42Bを備える。
【0031】
ヒンジハウジング41はオイルダンパ42A,42Bを収容する箱体である。オイルダンパ42A,42Bは前端に支持突起44A,44Bを備える。またオイルダンパ42A,42Bは後端に支持突起43A,43Bを備える。
【0032】
前方の支持突起44A,44Bは、ヒンジハウジング41の挿入孔(図示せず)に挿入される。後方の支持突起43A,44Bは、ヒンジハウジング41及び本体板32A,32Bの挿入孔(いずれも図示せず)に挿入される。例えば支持突起43A,43Bは、支持突起44A,44Bよりも長い。
【0033】
オイルダンパ42A,42Bは、テーブル板30A,30Bの回転軸となる。オイルダンパ42A,42Bの中心軸が車両前後方向に延伸していることから、テーブル板30A,30Bは、車両前後軸を回転軸として展開する。オイルダンパ42A,42Bに封入された作動油の粘性抵抗により、テーブル板30A,30Bの急展開が抑制される。
【0034】
ヒンジ部40はガイド46に結合される。つまりヒンジ部40とガイド46は一体的に移動する。ガイド46はガイドレール22上を摺動する。例えばガイド46とガイドレール22との間にボール47が配置される。ボール47により、ガイド46のスムーズな摺動が図られる。
【0035】
ガイドレール22は鉛直方向に延伸しているから、ガイド46及びヒンジ部40は鉛直歩行に移動可能となっている。ガイド46により、ハウジング20内のテーブル板30A,30Bの移動方向が鉛直方向に規制される。
【0036】
ヒンジ部40に、昇降機構50が取り付けられる。昇降機構50は例えばラック/ピニオン型の直動機構である。昇降機構50は図示しないモータ及びピニオンを備える。また昇降機構50はラック52を備える。ラック52はハウジング20内に配置され、鉛直方向に延伸する。
【0037】
昇降機構50は上昇ボタン15(
図1参照)及び下降ボタン17の操作に応じて駆動する。例えば上昇ボタン15及び下降ボタン17は、内装トリム10A(
図1参照)に設けられる。昇降機構50の駆動により、ヒンジ部40、ガイド46、及びテーブル板30A,30Bが鉛直方向に移動する。
【0038】
<寸法設定>
図3を参照して、展開状態では、セパレートシート14,14を跨ぐようにテーブル板30A,30Bが展開される。このことから、本体板32A,32Bの車幅寸法W1,W2は、セパレートシート14,14の車幅寸法を超過するように定められる。例えば車幅寸法W1,W2は、車室100の車幅方向全幅の半値に、所定のマージン(例えば0.9)を掛けた寸法に定められる。
【0039】
また本体板32A,32Bを収容するハウジング20について、フロア12からの高さH1(
図1参照)が、車幅寸法W1,W2と同等となるように定められる。更にハウジング20とともにテーブルの脚となる突出部13A,13B(
図2、
図3参照)の、フロア12からの設置高さH2,H3は、ハウジング20の高さH1に略等しい。より詳細には、
図5に例示されるように、展開状態におけるクッション34A,34Bと本体板32A,32Bとの高低差H5分の差異を勘案して、突出部13A,13Bの設置高さH2,H3が定められる。例えばH2+H5=H1、H3+H5=H1となるように、突出部13A,13Bの設置高さH2,H3が定められる。
【0040】
<動作説明>
図1、
図5を参照して、収容状態において、テーブル板30A,30Bは起立状態でハウジング20内に収容される。なおこのとき、クッション34A,34Bはハウジング20外に露出される。
【0041】
次に
図2、
図5を参照して、テーブル板30A,30Bがハウジング20内に収容された収容状態(
図1参照)において、上昇ボタン15が乗員に押される。ボタン操作に応じて昇降機構50が駆動してテーブル板30A,30Bが起立状態のままハウジング20の開口21から上方に引き出される。
【0042】
更にテーブル板30A,30Bは、ヒンジ部40がロール60A,60Bよりもわずかに下方となる位置にて一時停止する。このとき、テーブル板30A,30Bは
図2に例示されるように、セパレートシート14,14を隔てるパーティションウォールとなる。
【0043】
次に
図3に例示されるように、ハウジング20がセパレートシート14,14とベンチシート16との間にスライド移動される。例えばこのスライド移動は、スライダ26(
図5参照)がフロアレール19(
図2参照)上を摺動することで実行される。
【0044】
図5を参照して、更に上昇ボタン15が乗員に押されると、ヒンジ部40はロール60A,60Bよりも上方に移動する。このとき、ヒンジ部40の支持突起43A,43B(
図4参照)を回転軸として、つまり車両前後軸を回転軸として、テーブル板30A,30Bが展開する。例えばクッション34A,34B内の錘34A1,34B1によって、自重でテーブル板30A,30Bが展開する。
【0045】
ここで、ハウジング20がセパレートシート14,14の間に配置されているときにテーブル板30A,30Bが展開することを避ける機構が、車室100に設けられていてもよい。例えばフロアレール19の後端にスイッチ(図示せず)が設けられる。スイッチは、
図2のパーティション状態からの更なるテーブル板30A,30Bの上昇を規制するために設けられる。スライダ26がこのスイッチを押すことで、上記の上昇規制が解除される。
【0046】
クッション34A,34Bが突出部13A,13Bに当接することで、テーブル板30A,30Bの展開が完了する。
図5に例示されるように、本体板32A,32Bの車幅方向内側端部がハウジング20に支持される。更にテーブル板30A,30Bの、車幅方向外側端部に設けられたクッション34A,34Bが、突出部13A,13Bに支持される。つまりテーブル板30A,30Bは両持ち構造となる。
【0047】
テーブル板30A,30Bを収容する際には、例えば乗員が手動でテーブル板30A,30Bを水平な展開状態から鉛直な起立状態に起こす。その後下降ボタン17が乗員により押されると、テーブル板30A,30Bはハウジング20内に収容される。
【0048】
<本実施形態の別例>
図1-
図5では、ハウジング20から車幅方向両側にテーブル板30A,30Bが展開されていたが、本実施形態に係る車両用格納式テーブルは、この形態には限定されない。例えば、テーブル板30A,30Bの一方のみが、車室100に搭載されていてもよい。例えばテーブル展開時における車両乗降を可能とするために、内装トリム10A側のテーブル板30Aのみが設けられ、テーブル板30Bは省略されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10A 内装トリム,10B ドアトリム、13A,13B 突出部、20 ハウジング、21 開口、30A,30B テーブル板、40 ヒンジ部、50 昇降機構、100 車室。