(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158054
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】異常検知システム、異常検知プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20241031BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F25D23/00 301N
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072895
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 英紀
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA06
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA18
3L045MA05
3L045MA06
3L045NA05
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA26
3L345CC01
3L345DD35
3L345EE02
3L345EE25
3L345EE33
3L345EE53
3L345HH25
3L345HH32
3L345HH38
3L345JJ07
3L345JJ17
3L345JJ25
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】ACモータを備える凝縮器ファンの異常を早期に検知する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10と、情報処理装置80と、を備える異常検知システム100であって、冷却貯蔵庫10は、貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11内を冷却するための冷却装置20の一部を構成する凝縮器22と、凝縮器22における凝縮温度を検出可能な第1温度センサ25と、凝縮器22を空冷するための凝縮器ファン30であって、羽根車31と、ACモータ32と、を有する凝縮器ファン30と、を備える。情報処理装置80は、第1温度センサ25の検出温度T25に関する情報に基づき、凝縮器ファン30に異常があると判断する判断部84と、判断部84によって凝縮器ファン30に異常があると判断されたとき、異常を示す情報を出力する出力部85と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却貯蔵庫と、情報処理装置と、を備える異常検知システムであって、
前記冷却貯蔵庫は、
貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置の一部を構成する凝縮器と、
前記凝縮器における凝縮温度を検出可能な第1温度センサと、
前記凝縮器を空冷するための凝縮器ファンであって、気流を発生させる羽根車と、前記羽根車を回転させるACモータと、を有する凝縮器ファンと、を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1温度センサの検出温度に関する情報に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断する判断部と、
前記判断部によって前記凝縮器ファンに異常があると判断されたとき、異常を示す情報を出力する出力部と、を備える異常検知システム。
【請求項2】
前記冷却貯蔵庫は、前記貯蔵庫本体の周囲の外部温度を検出する第2温度センサを備え、
前記判断部は、前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度との差分に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記判断部は、前記差分が第1閾値温度より大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項2に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記判断部は、前記差分が、前記凝縮器ファンが正常に作動しているときの正常データに比べて第2閾値温度を上回るだけ大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項2に記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記正常データは、前記凝縮器ファンが正常に作動している期間の前記差分の平均値である請求項4に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記第1温度センサは、前記凝縮器の凝縮管に設けられる凝縮器温度センサである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記第2温度センサは、前記貯蔵庫本体の周囲に配置されたプリント基板に設けられている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、前記冷却貯蔵庫と通信可能なクラウドサーバである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項9】
貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置の一部を構成する凝縮器と、
前記凝縮器における凝縮温度を検出可能な第1温度センサと、
前記凝縮器を空冷するための凝縮器ファンであって、気流を発生させる羽根車と、前記羽根車を回転させるACモータと、を有する凝縮器ファンと、
を備える冷却貯蔵庫における前記凝縮器ファンの異常の検知するためのプログラムであって、
前記第1温度センサの検出温度に関する情報を収集する収集ステップと、
前記収集ステップにて収集した前記第1温度センサの検出温度に関する情報に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて前記凝縮器ファンに異常があると判断されたとき、異常を示す情報を出力する出力ステップと、を情報処置装置に実行させるプログラム。
【請求項10】
前記冷却貯蔵庫は、前記貯蔵庫本体の周囲の外部温度を検出する第2温度センサを備え、
前記判断ステップは、前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度との差分に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記判断ステップは、前記差分が第1閾値温度より大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記判断ステップは、前記差分が、前記凝縮器ファンが正常に作動しているときの正常データに比べて第2閾値温度を上回るだけ大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項10に記載のプログラム。
【請求項13】
前記正常データは、前記凝縮器ファンが正常に作動している期間の前記差分の平均値である請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記第1温度センサは、前記凝縮器の凝縮管に設けられる凝縮器温度センサである請求項10から請求項13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記第2温度センサは、前記貯蔵庫本体の周囲に配置されたプリント基板に設けられている請求項10から請求項13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記冷却貯蔵庫と通信可能なクラウドサーバ上に保存されている請求項9から請求項13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項17】
貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置の一部を構成する凝縮器と、
前記凝縮器における凝縮温度を検出可能な第1温度センサと、
前記凝縮器を空冷するための凝縮器ファンであって、気流を発生させる羽根車と、前記羽根車を回転させるACモータと、を有する凝縮器ファンと、
を備える冷却貯蔵庫における前記凝縮器ファンの異常を検知する情報処理装置であって、
前記第1温度センサの検出温度に関する情報に基づき、前記凝縮器ファンに異常があるか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記凝縮器ファンに異常があると判断されたとき、異常を示す情報を出力する出力部と、を備える情報処理装置。
【請求項18】
前記冷却貯蔵庫は、前記貯蔵庫本体の周囲の外部温度を検出する第2温度センサを備え、
前記判断部は、前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度との差分に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記判断部は、前記差分が第1閾値温度より大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記判断部は、前記差分が、前記凝縮器ファンが正常に作動しているときの正常データに比べて第2閾値温度を上回るだけ大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断する請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記正常データは、前記凝縮器ファンが正常に作動している期間の前記差分の平均値である請求項20に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記第1温度センサは、前記凝縮器の凝縮管に設けられる凝縮器温度センサである請求項17から請求項21のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記第2温度センサは、前記貯蔵庫本体の周囲に配置されたプリント基板に設けられている請求項18から請求項21のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、異常検知システム、異常検知プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却貯蔵庫は、貯蔵室を所定の冷却設定温度に維持するために、常時運転されている。そのため従来より、冷却貯蔵庫については、故障などによる意図しない運転の停止や運転性能の低下を避けるための対策が施されている。例えば特許文献1には、凝縮器を覆うエアフィルタに目詰まりが発生しているか否かについて、判定する方法が開示されている。エアフィルタが目詰まりすると、凝縮器ファンによる凝縮器の空冷が不十分となり、冷却性能が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
凝縮器の空冷が妨げられる要因には、上記したエアフィルタの目詰まり以外に、凝縮器ファンが回転不良により停止してしまうことが挙げられる。特に凝縮器ファンの駆動源にACモータが用いられる場合(すなわち凝縮器ファンがACファンである場合)には、タコメータが搭載されていない限り、凝縮器ファンの異常(回転不良)を早期に把握することが難しいのが実情である。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、ACモータを備える凝縮器ファンの異常を早期に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る異常検知システムは、冷却貯蔵庫と、情報処理装置と、を備える異常検知システムであって、前記冷却貯蔵庫は、貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置の一部を構成する凝縮器と、前記凝縮器における凝縮温度を検出可能な第1温度センサと、前記凝縮器を空冷するための凝縮器ファンであって、気流を発生させる羽根車と、前記羽根車を回転させるACモータと、を有する凝縮器ファンと、を備え、前記情報処理装置は、前記第1温度センサの検出温度に関する情報に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断する判断部と、前記判断部によって前記凝縮器ファンに異常があると判断されたとき、異常を示す情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
また、前記冷却貯蔵庫は、前記貯蔵庫本体の周囲の外部温度を検出する第2温度センサを備え、前記判断部は、前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度との差分に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0008】
また、前記判断部は、前記差分が第1閾値温度より大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0009】
また、前記判断部は、前記差分が、前記凝縮器ファンが正常に作動しているときの正常データに比べて第2閾値温度を上回るだけ大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0010】
また、前記正常データは、前記凝縮器ファンが正常に作動している期間の前記差分の平均値であってもよい。
【0011】
また、前記第1温度センサは、前記凝縮器の凝縮管に設けられる凝縮器温度センサでああってもよい。
【0012】
また、前記第2温度センサは、前記貯蔵庫本体の周囲に配置されたプリント基板に設けられていてもよい。
【0013】
また、前記情報処理装置は、前記冷却貯蔵庫と通信可能なクラウドサーバであってもよい。
【0014】
また、本技術に係るプログラムは、貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置の一部を構成する凝縮器と、前記凝縮器における凝縮温度を検出可能な第1温度センサと、前記凝縮器を空冷するための凝縮器ファンであって、気流を発生させる羽根車と、前記羽根車を回転させるACモータと、を有する凝縮器ファンと、を備える冷却貯蔵庫における前記凝縮器ファンの異常の検知を情報処置装置に実行させるためのプログラムであって、前記第1温度センサの検出温度に関する情報を収集する収集ステップと、前記収集ステップにて収集した前記第1温度センサの検出温度に関する情報に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて前記凝縮器ファンに異常があると判断されたとき、異常を示す情報を出力する出力ステップと、を情報処置装置に実行させる。
【0015】
また、前記冷却貯蔵庫は、前記貯蔵庫本体の周囲の外部温度を検出する第2温度センサを備え、前記判断ステップは、前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度との差分に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0016】
また、前記判断ステップは、前記差分が第1閾値温度より大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0017】
また、前記判断ステップは、前記差分が、前記凝縮器ファンが正常に作動しているときの正常データに比べて第2閾値温度を上回るだけ大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0018】
また、前記正常データは、前記凝縮器ファンが正常に作動している期間の前記差分の平均値であってもよい。
【0019】
また、前記第1温度センサは、前記凝縮器の凝縮管に設けられる凝縮器温度センサであってもよい。
【0020】
また、前記第2温度センサは、前記貯蔵庫本体の周囲に配置されたプリント基板に設けられていてもよい。
【0021】
また、前記冷却貯蔵庫と通信可能なクラウドサーバ上に保存されていてもよい。
【0022】
本技術に係る情報処理装置は、貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置の一部を構成する凝縮器と、前記凝縮器における凝縮温度を検出可能な第1温度センサと、前記凝縮器を空冷するための凝縮器ファンであって、気流を発生させる羽根車と、前記羽根車を回転させるACモータと、を有する凝縮器ファンと、を備える冷却貯蔵庫における前記凝縮器ファンの異常を検知する情報処理装置であって、前記第1温度センサの検出温度に関する情報に基づき、前記凝縮器ファンに異常があるか否かを判断する判断部と、前記判断部によって前記凝縮器ファンに異常があると判断されたとき、異常を示す情報を出力する出力部と、を備える。
【0023】
また、前記冷却貯蔵庫は、前記貯蔵庫本体の周囲の外部温度を検出する第2温度センサを備え、前記判断部は、前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度との差分に基づき、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0024】
また、前記判断部は、前記差分が第1閾値温度より大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0025】
また、前記判断部は、前記差分が、前記凝縮器ファンが正常に作動しているときの正常データに比べて第2閾値温度を上回るだけ大きい場合に、前記凝縮器ファンに異常があると判断してもよい。
【0026】
また、前記正常データは、前記凝縮器ファンが正常に作動している期間の前記差分の平均値であってもよい。
【0027】
また、前記第1温度センサは、前記凝縮器の凝縮管に設けられる凝縮器温度センサであってもよい。
【0028】
また、前記第2温度センサは、前記貯蔵庫本体の周囲に配置されたプリント基板に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本技術によれば、ACモータを備える凝縮器ファンの異常を早期に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図5】凝縮器ファンの異常と凝縮器温度との関係を示す実測データ例
【発明を実施するための形態】
【0031】
<実施形態1>
実施形態1に係る異常検知システム100について
図1から
図7を参照して説明する。一部の図に示した符号F,B,L,R,U,Dはそれぞれ、冷却貯蔵庫10の前後方向における前、後、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左、右、鉛直方向(上下方向)の上、下を示している。
【0032】
異常検知システム100は、冷却貯蔵庫10の凝縮器ファン30の異常(回転不良)の予兆を検知するシステムである。異常検知システム100は、
図1に示すように、冷却貯蔵庫10と、情報処理装置80と、を備える。
【0033】
[冷却貯蔵庫10]
冷却貯蔵庫10は、
図2及び
図3に示すように、おおまかには、貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11の前面開口を開閉するための扉13と、貯蔵庫本体11内を冷却するための冷却装置20と、制御装置50と、を備える。貯蔵庫本体11は、前面開口を有する断熱箱体であって、外箱と内箱との間に断熱材(例えばウレタンフォーム、メラミンフォーム)が発泡充填されて構成されている。扉13は、観音開き式に左右に対をなす2つずつが上下に2組設けられている。貯蔵庫本体11の上部には、冷却室ダクト18が取り付けられることによって冷却器室17が画成されている。貯蔵庫本体11の内部のうち、冷却室ダクト18で区切られた残りの部分が、食品等の被貯蔵物を収容するための貯蔵室14となっている。
【0034】
冷却室ダクト18は、
図3に示すように、後方に向けて下方に傾斜し、吸込口18A及び吹出口18Bが設けられている。冷却器室17内において吸込口18Aの上方には、循環用ファン(庫内ファン)35が設けられている。さらに循環用ファン35の上方には、庫内温度センサ26(庫内サーミスタ)が設けられている。循環用ファン35及び庫内温度センサ26の後方には、冷却器24が設けられている。冷却器24の下側には、冷却器24に付着した霜を融解するための除霜用ヒータ27が取り付けられている。冷却室ダクト18によって、貯蔵室14と冷却器室17とが仕切られると共に、冷却器24に付着した霜が融解された際に生じる除霜水が受け止められるようになっている。冷却室ダクト18の後端部には、排水管19が接続されており、除霜水は排水管19を通って貯蔵庫本体11の外部に排出される。
【0035】
機械室15は、
図2から
図3に示すように、貯蔵庫本体11の上方に設けられている。機械室15には、冷却装置20を構成する機械類(圧縮機21、凝縮器22、及び凝縮器ファン30等)、制御装置50、オペレーションボックス52等が収容されている。機械室15の前面パネル15Aの一部には、
図1に示すように開口が設けられており、この開口から、オペレーションボックス52の前面に設けられた操作パネル16が露出するように取り付けられている。操作パネル16は、表示部と、操作部と、を一体的に備えている。表示部は、例えば7セグメントディスプレイであり、冷却貯蔵庫10の各種情報を表示する。操作部は、例えば押しボタン式のスイッチであり、制御装置50に対して冷却貯蔵庫10の運転条件や動作を指示することができるように構成されている。
【0036】
冷却装置20は、貯蔵庫本体11の内部(貯蔵室14)を冷却する。冷却装置20は、
図3に示すように、圧縮機21と、凝縮器22と、凝縮器ファン30と、冷却器24と、を備える。圧縮機21、凝縮器22、及び冷却器24は、配管によって連結されており、冷媒を循環させて、既知の冷凍サイクルを形成している。なお、凝縮器22と冷却器24との間には、膨張弁(キャビラリーチューブ)が介在しているものとされる。
【0037】
圧縮機21は、モータを動力源として冷媒ガスを吸引して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを吐出する。凝縮器22は、圧縮機21で圧縮された冷媒ガスを凝縮器ファン30の送風により冷却して液化させる。凝縮器22は、凝縮管22Aと、多数のフィンと、これらを収容する凝縮器ボックス22Bと、エアフィルタ22Cと、を備える。凝縮管22Aは、左右方向に延在しつつ多重に折り返される形状をなしている。凝縮管22Aは、凝縮器ボックス22B内のフィンを貫通して凝縮器ボックス22Bの側面を突き抜け、U字状に折り返されている。
【0038】
凝縮器ファン30は、凝縮器ボックス22Bの後方に設けられている。凝縮器ファン30は、気流を発生させる羽根車31と、羽根車31を回転させる駆動源であるACモータ32と、を備える。凝縮器ファン30が作動すると、外気が凝縮器ボックス22B内を前から後ろに通過して、凝縮管22Aが空冷される。凝縮管22A内の冷媒は、圧縮機21側の入口付近では高温ガスであり、凝縮管22Aに沿って進むにつれて冷却が進み温度低下する。そして、冷媒ガスの温度が圧力に応じた飽和温度(凝縮温度)まで低下すると、液体に凝縮し始める。冷媒ガスの液化率は、凝縮管22Aに沿って進むにつれて増大し、冷却器24側の出口付近では冷媒液に凝縮された状態(液化率100%)となる。
【0039】
凝縮器22の凝縮管22Aには、凝縮器温度センサ25(第1温度センサの一例、目詰まりサーミスタ)がサーミスタホルダに収容される形で取り付けられている。凝縮器温度センサ25は、凝縮管22Aの入口と出口の間の中央部を含む中央配管の外面に接するように取り付けられている。中央配管における凝縮管22A内の冷媒は、少なくとも一部が凝縮されて液化しており、その温度は凝縮温度と一致している。従って、凝縮器温度センサ25は、冷媒の凝縮温度を検出していることとなる。また、冷媒の凝縮温度は冷媒圧力に応じて変化することから、凝縮器温度センサ25によって冷媒圧力を間接的に検出可能と言える。
【0040】
エアフィルタ22Cは、凝縮器ボックス22Bの前面開口に取り付けられている。エアフィルタ22Cによって凝縮器ボックス22B内に塵埃等の異物が侵入しフィン等に付着してしまう事態が抑制される。凝縮器温度センサ25は、エアフィルタ22Cの目詰まりを検知する目詰まり温度センサを兼ねている。エアフィルタ22Cが目詰まりすると、凝縮管22Aが空冷されにくくなるため、凝縮器温度センサ25の温度が正常時よりも上昇してしまう。この温度上昇により目詰まり異常を検知することもできる。
【0041】
冷却器24は、凝縮器22からの冷媒液を膨張弁(キャビラリーチューブ)により減圧してから気化させることで、気化熱によって冷却器24を通過する空気を冷却する。冷却器24からの冷媒ガスは、圧縮機21に帰還される。貯蔵室14の内気は、循環用ファン35によって吸込口18Aから冷却器室17内に吸い込まれる。吸い込まれた内気は、冷却器24によって冷却され、吹出口18Bから貯蔵室14内に吹き出される。これにより、貯蔵室14に収容された被貯蔵物が冷却される。また、循環用ファン35によって吸い込まれた内気が庫内温度センサ26に当たることで、貯蔵庫本体11内(貯蔵室14内)の温度(庫内温度)が検出される。
【0042】
オペレーションボックス52は、操作パネル16、及び操作パネル16用のプリント基板(操作基板)を収容する。また操作基板上には、貯蔵庫本体11の周囲の外部温度を検出する外部温度センサ54(第2温度センサの一例、基板サーミスタ)が実装されている。外部温度センサ54は、操作基板以外の場所に設けられていても構わないが、操作基板上に実装することで、外部温度センサ54と操作基板とを接続する信号線ケーブルを配索せずに済む。なお、基板の発熱等によって外部温度センサ54の検出温度は実際の貯蔵庫本体11の周囲の外部温度よりも高くなる可能性があるが、それを考慮して用いれば問題はない。
【0043】
制御装置50は、
図4に示すように、各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、各種の情報を記憶する記憶部Mと、計時機能を有するタイマT等とを有するマイクロコンピュータによって構成されている。制御装置50は、1つまたは2つ以上のマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。記憶部Mは、CPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、制御プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、を含む。制御プログラムは、1つのプログラムから構成されていてもよいし、2つ以上のプログラムが組み合わされて構成されていてもよい。記憶部Mは、冷却貯蔵庫10の運転に必要となる各種の設定値を記憶することができる。
【0044】
また制御装置50は、情報処理装置80からの情報を受信する受信部55と、冷却貯蔵庫10の情報を送信する送信部56と、を備える。制御装置50が備える各部は、リレー等の回路を含むハードウエアによって構成されていてもよいし、CPUが、冷却運転プログラム、除霜運転プログラム、強制除霜運転プログラム、送受信プログラム等のソフトウエアを実行することにより、機能的に実現されていてもよい。あるいは、これらの各部は、ハードウエアとソフトウエアとの協働により実現されていてもよい。
【0045】
制御装置50は少なくとも、圧縮機21、凝縮器ファン30、循環用ファン35、除霜用ヒータ27、オペレーションボックス52内の操作パネル16及び操作基板、庫内温度センサ26、凝縮器温度センサ25、並びに外部温度センサ54と電気的に接続されている。制御装置50は、圧縮機21、凝縮器ファン30、循環用ファン35、及び除霜用ヒータ27等を制御することで、冷却運転、及び冷却器24に付着した霜を融解する除霜運転を実行する。
【0046】
また制御装置50は、定期的に、あるいは必要なタイミングで、凝縮器温度センサ25、庫内温度センサ26、及び外部温度センサ54のそれぞれによって、庫内温度T26、凝縮器温度T25、外部温度T54をモニタリング(検知)する。制御装置50は、これらのセンサ25、26、54によってモニタリングされた情報を、送信部56を通じて情報処理装置80に送信する。
【0047】
各センサ25、26、54の検出温度T25、T26、T54は、検知するごとに、あるいは複数回の検知ごと(例えば5秒間隔)に、検知時刻と共に情報処理装置80に送信される。各センサ25、26、54について、モニタリングとデータ送信とのタイミングは独立して任意に設定可能である。また制御装置50は、異常検知システム100において必要な他の情報(例えば、冷却貯蔵庫10のID情報など)を、送信部56を通じて情報処理装置80に送信するように構成されている。冷却貯蔵庫10から情報処理装置80に送られた情報は、データベースDBに格納される。
【0048】
[情報処理装置80]
情報処理装置80は、冷却貯蔵庫10の動作をモニタリングして、早い段階でモニタリング対象である冷却貯蔵庫10の凝縮器ファン30の異常(回転不良)を検知するための装置である。情報処理装置80は、例えば
図1に示すように、冷却貯蔵庫10に有線または無線によって接続可能とされる。情報処理装置80は、例えばエッジコンピュータやクラウドサーバの他、分散コンピューティング等を用いてネットワーク空間上に仮想的に存在しているものであっても構わない。また情報処理装置80は、人工知能によって処理を行うものであっても構わない。情報処理装置80は、冷却貯蔵庫10の他に、接続が許可されている携帯型端末や、パーソナルコンピュータ等の各種のコンピュータと有線または無線によって接続されていてもよい。
【0049】
情報処理装置80は、
図1に示すように、各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行するプロセッサPとしての中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、各種の情報を記憶する記憶部JMと、計時機能を有するタイマJT等とを有するマイクロコンピュータによって構成されている。情報処理装置80は、1つまたは2つ以上のマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。記憶部JMは、CPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、制御プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、を含む。制御プログラムは、1つのプログラムから構成されていてもよいし、2つ以上のプログラムが組み合わされて構成されていてもよい。また、記憶部JMは、冷却貯蔵庫10から送信される測定データを記憶して保管するためのデータベースDBを備える。
【0050】
また情報処理装置80は、取得部81と、判断部84と、出力部85と、を備える。情報処理装置80が備える各部は、リレー等の回路を含むハードウエアによって構成されていてもよいし、CPUが、1または複数の制御プログラムを実行することにより、機能的に実現されていてもよい。あるいは、これらの各部は、ハードウエアとソフトウエアとの協働により実現されていてもよい。
【0051】
取得部81は、凝縮器温度センサ25の検出温度(以下、凝縮器温度という)T25、及び外部温度センサ54の検出温度(以下、外部温度という)T54を取得する。判断部84は、取得部81が取得した凝縮器温度T25に関する情報(具体的には、凝縮器温度T25の外部温度T54に対する差分)に基づき、凝縮器ファン30に異常があると判断する。
【0052】
出力部85は、凝縮器ファン30に異常があると判断されたとき、異常を示す情報を生成して出力する。出力部85による異常を示す情報は、冷却貯蔵庫10に対して出力してもよいし、データベースDBに対して出力してもよいし、接続が許可されている携帯型端末や、パーソナルコンピュータ等の各種のコンピュータに対して出力してもよいし、これらのいずれか1つ以上に出力してもよい。異常を示す情報としては、単に、凝縮器ファン30に何らかの異常があることを示す情報であってよいし、メンテナンスを促す情報であってもよい。
【0053】
[凝縮器ファン30の異常(回転不良)]
続いて、異常検知システム100の検知対象である凝縮器ファン30の異常(回転不良)について説明する。本実施形態に係る凝縮器ファン30は、既述したように、駆動源としてACモータ32を備えるACファンである。駆動源がDCモータであるDCファンの場合、回転信号により凝縮器ファンの回転不良を容易に検知できる一方、ACファンの場合、タコメータが備えられていない限り、回転不良を検知することは難しい。凝縮器ファン30が回転不良により停止し、凝縮器22の空冷が不十分になると、冷却能力が低下し、貯蔵庫本体11内(貯蔵室14内)を設定通りに冷却できなくなってしまう。
【0054】
本発明者の検討によると、ACモータ32、ひいては凝縮器ファン30に異常が発生する場合、その前兆として、凝縮器温度T25が急激に増大する。この事象について、
図5の実測データ例を参照して説明する。冷却貯蔵庫10が設定温度4℃の保冷状態を維持するために運転されているとき、
図5に示すように、庫内温度T26が設定温度4℃より所定温度だけ大きくなると、庫内温度T26を設定温度に近づけるために、制御装置50は、圧縮機21、及び凝縮器ファン30を作動する。これに伴い、凝縮器22には冷媒が流入し、凝縮器温度T25は増大する(
図5のピークP1)。そして、凝縮器ファン30が正常に動作し続ける間、凝縮器温度T25は、外部温度T54に対して差分(T25-T54)が10℃程度から15℃程度の温度範囲で推移する。
【0055】
上記した正常動作の状態において、凝縮器ファン30に異常が発生すると、凝縮器温度T25が急増し、凝縮器温度T25と外部温度T54との差分(T25-T54)は30℃に近くに急増する(
図5のピークP2)。凝縮器ファン30の異常は、ACモータ32における巻線のレイヤーショートが生じて巻線の温度が増大し、温度ヒューズが作動することで(例えば作動点は136℃)、ACモータ32への通電が遮断されて、ACモータ32が停止することが主な原因と考えられる。この場合、ACモータ32の停止によって巻線の温度が低下すると、温度ヒューズが自動復帰してACモータ32への通電が再開され、凝縮器ファン30も自動的に再作動する。
図5では、凝縮器ファン30の再作動までの実測データが示されているが、最初にピークP2が確認されてから、温度ヒューズが自動復帰できず凝縮器ファン30が完全に故障するまでの2週間程度の間、ピークP2に示される事象が繰り返された。
【0056】
[凝縮器ファン30の異常検知方法]
そこで本技術に係る異常検知システム100は、上記した凝縮器温度T25に基づく情報によって、ACモータ32の異常、ひいては凝縮器ファン30の異常の予兆を検知する。異常検知システム100の異常検知方法(異常検知プログラム)について、
図6のフローチャートを参照して説明する。前提として、冷却貯蔵庫10の制御装置50は、制御プログラムに基づいて冷却運転を実行し、所定の冷却運転時間毎等に除霜運転を実行するものとされる。また初期状態では冷却貯蔵庫10の各機器、特に本技術の検知対象である凝縮器ファン30に異常は生じておらず、正常状態であると想定する。情報処理装置80は、このように冷却貯蔵庫10が稼動された状態において、異常検知プログラムを実行する。
【0057】
まず情報処理装置80の取得部81は、凝縮器温度T25、庫内温度T26、及び外部温度T54を収集する(ステップS10、収集ステップの一例)。収集に際しては、冷却貯蔵庫10の送信部56がこれらのデータを情報処理装置80に送信するものとするが、それ以外の方法で収集しても構わない。また収集のタイミングは任意に設定可能とされる。
【0058】
次に、情報処理装置80の判断部84は、冷却貯蔵庫10の運転状態が冷却中、つまり冷却運転中であるか否かを確認する(ステップS15)。冷却貯蔵庫10が冷却運転中である場合(ステップS15のYES)、情報処理装置80の判断部84は、凝縮器温度T25と外部温度T54との差分(T25-T54)を算出する(ステップS20)。一方、冷却運転中でない場合には(除霜運転中等)、凝縮器温度T25に基づく情報によって、凝縮器ファン30の異常の予兆を検知することはできないため、異常検知プログラムを終了する(ステップS15のNO)。
【0059】
情報処理装置80の判断部84は、ステップS20の後、正常データの有無を確認する(ステップS25)。正常データとは、正常な状態の冷却貯蔵庫10においてモニタリングされる、凝縮器温度T25と外部温度T54との差分(T25-T54)に関するデータである。より詳しくは、本実施形態に係る正常データは、正常な状態(後述するステップS30のYES状態)における当該差分(T25-T54)について、10個のデータの平均値である。ただし、正常データはこれに限られず、例えば圧縮機21の周波数や外部温度T54に応じて作成された相関テーブルに基づき決定されてもよい。また正常データは、所定の頻度で(例えば1か月ごと)更新されてもよい。
【0060】
冷却貯蔵庫10の運転初期では、正常データは設定されていないため、ステップS25は「無」となる(ステップS25のNO)。次に情報処理装置80の判断部84は、凝縮器温度T25と外部温度T54との差分(T25-T54)と第1閾値温度(例えば25℃)を比較する(ステップS30)。当該差分(T25-T54)が第1閾値温度より大きいときには(ステップS30のNO)、凝縮器ファン30に異常があると判断する(ステップS35、判断ステップの一例)。そして情報処理装置80の出力部85は、異常を示す情報を出力する(ステップS40、出力ステップの一例)。本実施形態では、異常を示す情報として冷却貯蔵庫10のアラームが発報される。アラームの発報方法は限定されず、例えば操作パネル16への表示、冷却貯蔵庫10が発光手段や発音手段を備える場合には光や音による発報、情報処理装置80から携帯型端末等に異常を知らせるメッセージの送信等とされる。
【0061】
一方、凝縮器温度T25と外部温度T54との差分(T25-T54)が第1閾値温度未満の場合(ステップS30のYES)、情報処理装置80の判断部84は、正常状態の当該差分(T25-T54)のデータが10個分蓄積されたか否かを確認する(ステップS45)。そして、当該データが10個分揃っている場合には、これらの平均値を算出して正常データとして設定する(ステップS50)。
【0062】
正常データが設定された後は、再びステップS10から繰り返しとなる。繰り返されると、ステップS25における正常データは「有」となる(ステップS25のYES)。そして判断部84は、凝縮器温度T25と外部温度T54との差分(T25-T54)が、正常データに比べて第2閾値温度(例えば10℃)を上回るだけ大きい場合に(ステップS55のYES)、凝縮器ファン30に異常があると判断する(ステップS35、判断ステップの一例)。そして出力部85は、異常を示す情報を出力する(ステップS40)。
【0063】
続いて、異常検知システム100の作用効果について説明する。異常検知システム100によれば、凝縮器温度T25に基づく情報によって、凝縮器ファン30の異常を検知し、異常を示す情報を出力することで、凝縮器ファン30の異常を早期に検知できる。その際、情報処理装置80の判断部84は、凝縮器温度T25の外部温度T54に対する差分を判断基準とする。これにより外部温度T54の変化による影響を除外でき、より適切に凝縮器温度T25に基づき凝縮器ファン30の異常を判断できる。
【0064】
また、異常検知システム100によれば、正常な状態の冷却貯蔵庫10においてモニタリングされる正常データを算出し、凝縮器温度T25の外部温度T54に対する差分(T25-T54)が正常データに比べて第2閾値温度(例えば10℃)を上回るだけ大きい場合に、異常と判断する。このようにすれば、冷却貯蔵庫10の機種や個体差による影響を抑制でき、より適切に凝縮器温度T25に基づき凝縮器ファン30の異常を判断できる。
【0065】
また、異常判断を行う情報処置装置80は、冷却貯蔵庫10とは別体のクラウドサーバ等とされる。異常検知プログラムをクラウドサーバ等に保存することで、市場で稼働中の冷却貯蔵庫10に内蔵する制御プログラム(ソフトウエア)を変更せずに、凝縮器ファン30の異常検知を実現可能となる。
【0066】
上記した異常検知システム100に基づく実施データ例を
図7に示す。最初に異常が検知されアラームが発報されたのは11月11日である。その際の凝縮器温度T25の変化は
図5のピークP2として記述した通りである。また、
図7に示すように、凝縮器ファン30が完全に故障する(再作動しなくなる)11月25日までの2週間の間、アラームは発報され続け、11月25日に近づくにつれて、アラームの発報頻度は増大した。
【0067】
従って、
図7の実施データ例によれば、凝縮器ファン30が完全に故障する2週間前に、最初のアラームが発報され、ACモータ32を備える凝縮器ファン30の異常を早期に検知できることが確認できた。その結果、完全な故障が発生してからACモータ32を交換する場合に比べて、運転性能の低下を抑制でき、食品等が劣化したり、貯蔵庫本体11内に雑菌が繁殖してしまう事態を回避できることが確認できた。
【0068】
<他の実施形態>
本技術は、上記の実施形態に開示された例に限定されるものではなく、例えば、以下の態様も本技術範囲に含まれる。また、本技術は、その本質から逸脱しない範囲において種々変更された態様で実施することができる。
【0069】
(1)上記実施形態では、冷却貯蔵庫10の制御装置50にI/F、受信部55、および送信部56が備えられ、これらのI/F、受信部55、および送信部56の機能を利用して情報処理装置80との間で情報を送受信するようにしていた。しかしながら、冷却貯蔵庫10は、例えば付加的にデータ通信装置を備えており、データ通信装置を介して情報処理装置80との間で情報を送受信するように構成されていてもよい。
【0070】
(2)上記異常検知システム100においては、1つの情報処理装置80に対し、1つの冷却貯蔵庫10のみが通信可能に接続されていた。しかしながら、1つの情報処理装置80に対し、複数の冷却貯蔵庫10が通信可能に接続されていてもよい。
【0071】
(3)冷却貯蔵庫10の構成は一例に過ぎない。また本技術は、ACモータを駆動源とする凝縮器ファンを備える冷却貯蔵庫10以外の機器(例えば製氷機)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
10…冷却貯蔵庫、11…貯蔵庫本体、20…冷却装置、22…凝縮器、22A…凝縮管、25…凝縮器温度センサ(第1温度センサ)、30…凝縮器ファン、31…羽根車、32…ACモータ、54…外部温度センサ(第2温度センサ)、80…情報処理装置、81…取得部、84…判断部、85…出力部、100…異常検知システム