(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158055
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20241031BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241031BHJP
H02M 7/493 20070101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H02M7/493
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072897
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 侑生
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 将也
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770AA09
5H770BA20
5H770CA02
5H770DA01
5H770DA11
5H770DA22
5H770DA41
5H770EA01
5H770KA01Y
(57)【要約】
【課題】複数の送電装置間の給電効率の差を低減した非接触給電システムを提供すること。
【解決手段】受電装置80に非接触給電を行う非接触給電装置10であって、直流電源装置20と、直流電源装置の出力電力を送電するDC配線51と、DC配線に接続される少なくとも1つのDC/AC変換装置30と、DC/AC変換装置の出力電力を送電するAC配線52と、AC配線に接続される少なくとも1つの送電装置40と、を備え、直流電源装置の定格電力は、DC/AC変換装置の定格電力よりも大きい、非接触給電装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置(80)に非接触給電を行う非接触給電装置(10,210~710)であって、
直流電源装置(20)と、
前記直流電源装置の出力電力を送電するDC配線(51)と、
前記DC配線に接続される少なくとも1つのDC/AC変換装置(30,730)と、
前記DC/AC変換装置の出力電力を送電するAC配線(52)と、
前記AC配線に接続される少なくとも1つの送電装置(40,840,940)と、を備え、
前記直流電源装置の定格電力は、前記DC/AC変換装置の定格電力よりも大きい、非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記送電装置を複数備え、
前記直流電源装置は、前記DC配線と接続する電源出力端子(22)を有し、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記DC配線と接続する入力端子(31)と、前記AC配線と接続する出力端子(32)と、を有し、
前記複数の送電装置のそれぞれは、前記AC配線と接続する送電装置端子(41)を有し、
前記複数の送電装置のうち、前記DC/AC変換装置から最も近い送電装置の前記送電装置端子と、前記DC/AC変換装置の前記出力端子とを接続する前記AC配線の長さは、前記複数のDC/AC変換装置のうち、前記直流電源装置から最も遠いDC/AC変換装置の前記入力端子と、前記直流電源装置の前記電源出力端子とを接続する前記DC配線の長さよりも短い、非接触給電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
さらに、前記複数のDC/AC変換装置を制御する送電制御装置を備え、
前記送電制御装置は、前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれに同期信号を送信し、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータを制御するインバータ制御部(35)とを有し、
前記インバータ制御部は、受信した前記同期信号を用いて、前記出力電力の位相を制御し、
前記送電制御装置は、前記複数のDC/AC変換装置のうち、少なくとも2つのDC/AC変換装置のそれぞれの前記出力電力の位相が、互いに異なるように前記複数のDC/AC変換装置を制御する、非接触給電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触給電装置であって、
前記送電制御装置は、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれに前記直流電源装置から近い順に装置番号を付し、前記装置番号をN(Nは1以上の整数)、前記複数のDC/AC変換装置の総台数をX(Xは2以上の整数)とした場合、N番目の前記DC/AC変換装置の前記出力電力の波形が、予め定められた基準波形に対して位相が、(N-1)π/X[rad]ずれた波形となるように、前記複数のDC/AC変換装置を制御する、非接触給電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記複数のDC/AC変換装置は、第1の前記受電装置に非接触給電を行う第1の前記送電装置が接続される第1の前記DC/AC変換装置と、前記第1の受電装置の要求最大電力よりも前記要求最大電力が大きい第2の前記受電装置に非接触給電を行う第2の前記送電装置が接続される第2の前記DC/AC変換装置とを含み、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータにPWM制御信号を入力することによって制御するインバータ制御部(35)とを有し、
前記第1のDC/AC変換装置の前記PWM制御信号の最大デューティ比は、前記第2のDC/AC変換装置の前記PWM制御信号の最大デューティ比よりも小さい、非接触給電装置。
【請求項6】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記複数のDC/AC変換装置は、第1の前記受電装置に非接触給電を行う第1の前記送電装置に接続される第1の前記DC/AC変換装置と、前記第1の受電装置の要求最大電力よりも前記要求最大電力が大きい第2の前記受電装置に非接触給電を行う第2の前記送電装置に接続される第2の前記DC/AC変換装置とを含み、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータの後段に接続されたフィルタ(34)とを有し、
前記第1のDC/AC変換装置の前記フィルタのインピーダンスは、前記第1のDC/AC変換装置の出力電圧の基本波成分が、前記第2のDC/AC変換装置の出力電圧の基本波成分よりも小さくなるように設定されている、非接触給電装置。
【請求項7】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記複数のDC/AC変換装置は、第1の前記受電装置に非接触給電を行う第1の前記送電装置に接続される第1の前記DC/AC変換装置と、前記第1の受電装置の要求最大電力よりも前記要求最大電力が大きい第2の前記受電装置に非接触給電を行う第2の前記送電装置に接続される第2の前記DC/AC変換装置とを含み、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータの後段に接続されたトランス(36)とを有し、
前記第1のDC/AC変換装置が有する前記トランスの巻き比数は、前記第2のDC/AC変換装置が有する前記トランスの巻き数比より大きい、非接触給電装置。
【請求項8】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記直流電源装置は、系統電源(GPS)と接続し、前記系統電源から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するPFC回路(24)を有し、
前記DC/AC変換装置は、前記PFC回路が出力した直流電力を交流電力に変換するインバータ(33)を有し、
前記送電装置は、送電コイル(L1)と送電コンデンサ(C1)とを有する送電共振回路(44)と、前記送電共振回路の状態を共振状態と非共振状態との間で切り替える切替回路(46)と、を有し、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記送電装置を複数備える、非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波電源装置と、高周波電源装置からスイッチを介して接続された複数の送電ユニットとを備える非接触給電システムが開示されている。この複数の送電ユニットの各送電ユニットは、高周波電源装置に対して並列に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の非接触給電装置では、送電ユニットの配置数が多くなると、高周波電源装置に近い送電ユニットと、高周波電源装置から遠い送電ユニットとの間で、高周波電源装置と送電ユニットとを接続する配線の長さの差が大きくなる。配線の長さの差が大きくなるほど、配線の寄生インダクタンスなどの寄生成分の差が大きくなる。このため、高周波電源装置に近い送電ユニットと、高周波電源装置から遠い送電ユニットとの間で、給電効率に差が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、受電装置(80)に非接触給電を行う非接触給電装置(10,210~710)が提供される。この非接触給電装置は、直流電源装置(20)と、前記直流電源装置の出力電力を送電するDC配線(51)と、前記DC配線に接続される少なくとも1つのDC/AC変換装置(30,730)と、前記DC/AC変換装置の出力電力を送電するAC配線(52)と、前記AC配線に接続される少なくとも1つの送電装置(40,840,940)と、を備え、前記直流電源装置の定格電力は、前記DC/AC変換装置の定格電力よりも大きい。
【0007】
この形態によれば、直流電源装置の定格電力は、DC/AC変換装置の定格電力よりも大きいため、送電装置を増設する場合には、新たなDC/AC変換装置を追加して直流電源装置に接続し、追加したDC/AC変換装置に送電装置を接続することができる。そして、直流電源装置に対して複数の送電装置を接続する場合、直流電源装置から送電装置までの電力配線を敷設する範囲を、DC配線を敷設する範囲とAC配線を敷設する範囲とで分担することにより、1つのDC/AC変換装置からすべての送電装置にAC配線を敷設する場合と比較して、AC配線の長さを短くすることができる。よって、複数の送電装置を配置する場合であっても、DC/AC変換装置と各送電装置との距離の差は小さくできるため、AC配線の長さの差が長くなることによる給電効率の差を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図。
【
図2】第1実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
【
図3】第2実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図。
【
図4】第3実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
【
図5】第3実施形態に係るインバータの出力波形を示す図。
【
図6】第4実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図。
【
図7】第5実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図。
【
図8】第7実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
【
図9】第8実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
【
図10】第9実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A1.非接触給電システムの構成:
図1に示すように、非接触給電装置10は、直流電源装置20と、複数のDC/AC変換装置30と、複数の送電装置40と、DC配線51,51と、AC配線52,52とを備える。本実施形態では、複数の送電装置40は、道路の下に埋設されている。送電装置40は、道路を走行する移動体としての車両に搭載されている受電装置80(
図9)に、車両の走行中に非接触給電する。ここで、走行中とは、車両が移動している場合と、信号待ち等で車両が停止している場合とを含む。車両は、例えば、電気自動車やハイブリッド車として構成される。
【0010】
なお、受電装置80が搭載される移動体は、道路を走行する車両に限られず、例えば、AGV(無人搬送車)や、走行ロボットなどでもよい。また、送電装置40は、道路の下ではなく、道路に隣接する歩道や駐車場、AGVが走行する経路に設置されてもよい。さらに、送電装置40は、地面に略平行な道路や経路だけではなく、地面に略垂直な側面に設けられても良い。さらに、受電装置80が搭載される装置は、移動体ではなく、固定の装置でもよい。
【0011】
直流電源装置20は、電源入力端子21,21と、電源出力端子22,22とを有する。DC/AC変換装置30は、入力端子31,31と、出力端子32,32とを有する。送電装置40は、送電装置端子41,41を有する。DC配線51,51は、直流電源装置20の出力電力を送電する。AC配線52,52は、DC/AC変換装置30の出力電力を送電する。
【0012】
直流電源装置20の電源入力端子21,21と、系統電源GPSの2つの出力端子の各々とは、2本の電力配線の各々で接続されている。直流電源装置20は、系統電源GPSから2本の電源配線を介して交流電力が供給される。直流電源装置20は、交流電力を直流電力に変換して、変換した直流電力を電源出力端子22,22から出力する。系統電源GPSの出力電力の周波数は例えば60Hzであり、電圧は例えば200Vである。直流電源装置20の出力電圧は例えば400Vである。なお、系統電源GPSの出力電力および直流電源装置20の出力電力の電圧値などは、上記に限られない。
【0013】
複数のDC/AC変換装置30の各DC/AC変換装置30は、直流電源装置20に並列に接続されている。具体的には、直流電源装置20の電源出力端子22,22の各々と、複数のDC/AC変換装置30のうち、直流電源装置20に最も近い最寄りのDC/AC変換装置30の入力端子31,31の各々とがDC配線51,51の各々で接続されている。そして、最寄りのDC/AC変換装置30ではない、他のDC/AC変換装置30の入力端子31,31の各々は、隣のDC/AC変換装置30の入力端子31,31の各々と、DC配線51,51の各々で接続されている。これにより、DC配線51,51に接続されている複数のDC/AC変換装置30には、同じ直流電源装置20から直流電力が供給される。
【0014】
DC/AC変換装置30は、DC配線51,51を介して、直流電源装置20から供給される直流電力を動作周波数の交流電力に変換して、変換した交流電力を出力端子32,32から出力する。DC/AC変換装置30の出力電力の電圧値は、例えば200Vであるが、これに限られない。
【0015】
複数の送電装置40の各送電装置40は、DC/AC変換装置30に並列に接続されている。具体的には、DC/AC変換装置30の出力端子32,32の各々と、複数の送電装置40のうち、DC/AC変換装置30に最も近い最寄りの送電装置40の送電装置端子41,41の各々とがAC配線52,52の各々で接続されている。そして、最寄りの送電装置40ではない、他の送電装置40の送電装置端子41,41の各々は、隣の送電装置40の送電装置端子41,41の各々と、AC配線52,52の各々で接続されている。これにより、AC配線52,52に接続されている複数の送電装置40には、同じDC/AC変換装置30から交流電力が供給される。
【0016】
送電装置40は、AC配線52,52を介して、DC/AC変換装置30から供給される交流電力を内蔵する送電コイルL1(
図2)に印加することによって、受電装置80に非接触給電を行う。
【0017】
A2.非接触給電システムの回路構成:
図2に示すように、直流電源装置20は、上記構成に加え、ラインフィルタ23と、PFC回路24とを有する。ラインフィルタ23は、系統電源GPSから供給される交流電力のノイズを除去する。PFC回路24は、ラインフィルタ23を通過した交流電力を直流電力に変換して出力する。PFC回路24は、自身の力率を1に近づけるための回路構成を備える力率改善回路である。PFC回路24は、具体的には、整流器や平滑コンデンサなどを有する。PFC回路24は、生成した直流電力を電源出力端子22,22から出力する。
【0018】
DC/AC変換装置30は、上記構成に加え、インバータ33と、高周波フィルタ34と、インバータ制御部35とを有する。インバータ33は、直流電源装置20から供給される直流電力を、高周波である動作周波数の交流電力に変換する。本実施形態において、動作周波数は85kHzである。インバータ制御部35は、インバータ33を駆動する。高周波フィルタ34は、インバータ33から出力される交流電力の高周波ノイズを除去する。高周波フィルタ34を通過した交流電力は、出力端子32,32から出力される。
【0019】
送電装置40は、上記構成に加え、送電共振回路44と、切替回路46とを有する。送電共振回路44は、送電コイルL1と、送電コンデンサC1と、第1スイッチSW1とを有する。送電コンデンサC1は、送電共振回路44を動作周波数にて共振状態とするとともに、送電共振回路44を動作周波数にて非共振状態とする機能を有する。送電コンデンサC1は、第1送電コンデンサC11と、第2送電コンデンサC12とを含む。
【0020】
第1送電コンデンサC11は、送電コイルL1と直列に接続されている。第2送電コンデンサC12は第1スイッチSW1と直列に接続されている。そして、第2送電コンデンサC12と第1スイッチSW1との接続体は、第1送電コンデンサC11と並列に接続されている。第1スイッチSW1は、2つのFET(Field effect transistor)の各々のソース端子が接続された双方向スイッチである。2つのFETのゲート端子には、切替回路46から出力される切替信号Sig1が入力される。これにより、第1スイッチSW1のオン・オフ状態が制御される。
【0021】
第1スイッチSW1にハイレベルの切替信号Sig1が入力されると、第1スイッチSW1はオン状態、すなわち導通状態となり、第2送電コンデンサC12に電流が流れる。第1スイッチSW1はオン状態となると、第1送電コンデンサC11と、第2送電コンデンサC12と、送電コイルL1とにより、送電共振回路44は共振状態となる。対して、第1スイッチSW1にロウレベルの切替信号Sig1が入力されると、第1スイッチSW1はオフ状態、すなわち非導通状態となる。そして、第1送電コンデンサC11と送電コイルL1とにより形成される共振回路の共振周波数は、動作周波数からずれるため、送電共振回路44は非共振状態となる。
【0022】
図9に示すように、受電装置80は、少なくとも受電コイルL2を有する受電共振回路81を有する。なお、
図2では、受電装置80は省略されている。
【0023】
図2に示す切替回路46は、送電コイルL1の近傍に受電コイルL2(
図9)があることを検出すると、切替信号Sig1を用いて、第1スイッチSW1をオフ状態からオン状態に切り替える。これにより、送電共振回路44は、共振状態に設定される。送電コイルL1と受電コイルL2とが磁気的に結合している場合において、送電共振回路44の共振周波数と、受電共振回路81の共振周波数とは、略同一になるように設定されている。これにより、送電コイルL1と、受電コイルL2との磁界結合によって、受電コイルL2への非接触給電を行うことができる。
【0024】
ここで、直流電源装置20の定格電力は、DC/AC変換装置30の定格電力よりも大きい。よって、
図1に示すように、1つの直流電源装置20から、複数のDC/AC変換装置30へ直流電力を供給することができる。なお、本実施形態では、DC/AC変換装置30を増設する場合には、最寄りのDC/AC変換装置30の入力端子31,31の各々と、新たに設置するDC/AC変換装置30の入力端子31,31の各々とがDC配線51,51によって接続される。直流電源装置20の定格電力は、DC/AC変換装置30の定格電力よりも大きいため、既に設置されている1つの直流電源装置20に対して、DC/AC変換装置30を追加で接続することができる。
【0025】
送電装置40についても同様に、DC/AC変換装置30の定格電力は、複数の送電装置40に対して給電可能な値に設定されている。よって、既に設置されている1つのDC/AC変換装置30に対して、送電装置40を追加で接続することができる。
【0026】
上記の様に、DC/AC変換装置30を増設する場合には、新たなDC/AC変換装置30と、既に設置されているDC/AC変換装置30とをDC配線51,51で接続することにより、新たなDC/AC変換装置30は、直流電源装置20から電力供給を受けることができる。これにより、新たなDC/AC変換装置30と、直流電源装置20とをDC配線51,51で接続する場合よりも、敷設に要する工数を減らすことができる。送電装置40を増設する場合についても同様に、新たな送電装置40と、既に設置されている送電装置40とをAC配線52,52で接続することにより、敷設に要する工数を減らすことができる。
【0027】
本実施形態では、非接触給電装置10が複数の送電装置40を有する場合に、1つの直流電源装置20に対して、複数のDC/AC変換装置30を設置することにより、複数の送電装置40の各送電装置40間の給電効率の差を小さくすることができる。仮に、非接触給電装置10が有する、すべての送電装置40に対して、1つのDC/AC変換装置30から交流電力を供給する場合には、AC配線52の全長が長くなり易い。AC配線52が長くなるほど、寄生インダクタンスや寄生容量などの寄生成分が大きくなる。DC/AC変換装置30に近い送電装置40と、DC/AC変換装置30に遠い送電装置40とでは、AC配線52,52の長さが異なるため、寄生成分の大きさが両者で異なる。このため、DC/AC変換装置30から送電コイルL1へ至る電流経路のインピーダンスが両者で異なるため、DC/AC変換装置30から出力される交流電力に対して、送電コイルL1に流れる電流が両者で異なる。よって、AC配線52の全長が長くなるほど、給電効率の差が両者で大きくなる。この点、本実施形態によれば、複数の送電装置40を設置する場合に、複数のDC/AC変換装置30に直流電力を分配し、各DC/AC変換装置30から送電装置40に交流電力を供給する。これにより、直流電源装置20から送電装置40までの電力配線を敷設する範囲を、DC配線51,51を敷設する範囲とAC配線52,52を敷設する範囲とで分担することにより、AC配線52,52の全長を短くすることができる。よって、複数の送電装置40の各送電装置40間の給電特性の差を小さくすることができる。
【0028】
なお、AC配線52,52の全長が長くなることよって生じる、送電コイルL1までの電流経路のインピーダンスの差を補償するために、DC/AC変換装置30と送電装置40との間に補償用のコンデンサユニットを配置する構成も考えられる。しかし、この場合には、DC/AC変換装置30の他に、補償用のコンデンサユニットを用意する必要が生じる。この点、本実施形態によれば、補償用のコンデンサユニットを用いないことにより、非接触給電装置10の設置に必要な部品点数の増加を抑制することができる。また、交流電力が送電される配線では、交流損失が生じる。そして、交流損失を低減するために、AC配線52,52として使用される線材は、DC配線51,51に使用される線材よりも高価になる傾向がある。この点、本実施形態では、直流電源装置20から送電装置40までの電力配線を敷設する範囲を、DC配線51,51を敷設する範囲とAC配線52,52を敷設する範囲とで分担することにより、AC配線52,52を使用する長さを短くすることができるため、設置コストを低減することができる。そして、AC配線52,52を使用する長さを短くすることにより、交流損失を低減することができる。
【0029】
以上説明した第1実施形態によれば、非接触給電装置10は、直流電源装置20と、DC/AC変換装置30とを備える。そして、直流電源装置20の定格電力は、DC/AC変換装置30の定格電力よりも大きい。これにより、送電装置40を増設する場合には、新たなDC/AC変換装置30を追加して、追加したDC/AC変換装置30に送電装置40を接続することができる。そして、1つの直流電源装置20に対して複数の送電装置40を接続する場合、直流電源装置20から送電装置40までの電力配線を敷設する範囲を、DC配線51,51を敷設する範囲とAC配線52,52を敷設する範囲とで分担することにより、1つのDC/AC変換装置30からすべての送電装置40にAC配線52,52を用いて配線する場合と比較して、AC配線52,52の長さを短くすることができる。よって、複数の送電装置40を配置する場合であっても、DC/AC変換装置30と各送電装置40との距離の差は小さくできるため、AC配線52,52の長さの差が長くなることによる給電効率の差を生じにくくすることができる。
【0030】
B.第2実施形態:
図3に示すように、第2実施形態に係る非接触給電装置210は、複数のDC/AC変換装置30の直流電源装置20との接続方法と、複数の送電装置40のDC/AC変換装置30との接続方法とが第1実施形態とは異なる。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0031】
本実施形態では、複数のDC/AC変換装置30のうち、直流電源装置20から最も遠いDC/AC変換装置30である最遠DC/AC変換装置30Eと、直流電源装置20とがDC配線51,51で接続されている。そして、最遠DC/AC変換装置30Eを除く他のDC/AC変換装置30は、直流電源装置20と最遠DC/AC変換装置30Eとを接続するDC配線51,51から分岐するDC配線51,51を用いて接続されている。具体的には、DC配線51,51の分岐点にはコネクタが取り付けられており、分岐するDC配線51,51は、コネクタと接続される。なお、「直流電源装置20から最も遠い」とは、直流電源装置20との距離が最も長いことを意味する。
【0032】
同様に、複数の送電装置40のうち、DC/AC変換装置30から最も遠い送電装置40である最遠送電装置40Eと、DC/AC変換装置30とがAC配線52,52で接続されている。そして、最遠送電装置40Eを除く他の送電装置40は、DC/AC変換装置30と最遠送電装置40Eとを接続するAC配線52,52から分岐するAC配線52,52を用いて接続されている。
【0033】
複数の送電装置40のうち、DC/AC変換装置30から最も近い送電装置40の送電装置端子41,41と、DC/AC変換装置30の出力端子32,32とを接続するAC配線52,52の長さLE2は、最遠DC/AC変換装置30Eの入力端子31,31と、直流電源装置20の電源出力端子22とを接続するDC配線51,51の長さLE1よりも短い。なお、DC配線51,51の長さLE1とは、2本のDC配線51のうち長い方のDC配線51の長さである。AC配線52,52の長さLE2とは、2本のAC配線52のうち長い方のAC配線52の長さである。また、「DC/AC変換装置30から最も近い」とは、DC/AC変換装置30との距離が最も短いことを意味する。長さLE2を、長さLE1よりも短くすることにより、給電効率の差を小さくする効果をさらに向上させることができる。なお、複数の送電装置40が接続されている場合には、全ての送電装置40について給電効率の差を小さくすることができるため、最遠送電装置40Eの送電装置端子41,41と、DC/AC変換装置30の出力端子32,32とを接続するAC配線52,52の長さを、長さLE1よりも短くするとよい。
【0034】
なお、実際には、複数の送電装置40を設置する場合に、長さLE2と長さLE1との上記の大小関係を満たすように、DC/AC変換装置30を配置することにより、上記の大小関係が実現される。つまり、配置予定の複数の送電装置40の設置範囲が広い場合には、設置範囲を分割して、分割された設置範囲毎にDC/AC変換装置30を配置する。これにより、上記の長さLE2と長さLE1との上記の大小関係を満たすことができる。
【0035】
以上説明した第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、長さLE2を、長さLE1よりも短くすることにより、給電効率の差を小さくする効果をさらに向上させることができる。また、非接触給電装置210は、複数のDC/AC変換装置30と、複数の送電装置40とを有する。直流電源装置20と、複数のDC/AC変換装置30とはDC配線51,51で接続されている。DC/AC変換装置30と、複数の送電装置40とはAC配線52,52で接続されている。このように、直流電源装置20から送電装置40までの電力配線を敷設する範囲を、DC配線51,51を敷設する範囲とAC配線52,52を敷設する範囲とで分担することにより、1つのDC/AC変換装置30からすべての送電装置40にAC配線52,52を敷設する場合と比較して、AC配線52,52の長さを短くすることができる。よって、送電装置40間の給電効率の差を生じにくくすることができる。
【0036】
C.第3実施形態:
図4に示すように、第3実施形態に係る非接触給電装置310は、送電制御装置60を備える点が、上記各実施形態と異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。本実施形態では、非接触給電装置310が、4つのDC/AC変換装置30を備える形態を例示して説明する。
【0037】
送電制御装置60は、複数のDC/AC変換装置30を制御する。送電制御装置60は、複数のDC/AC変換装置30のそれぞれのDC/AC変換装置30に同期信号Sig2を送信する。具体的には、送電制御装置60と各DC/AC変換装置30とは、同期信号Sig2を伝送する信号線53で接続されている。
【0038】
インバータ33は、ブリッジ回路を構成する4つのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4を有する。本実施形態において、スイッチング素子Q1~Q4は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)で実現されている。
【0039】
上記のように、インバータ制御部35は、インバータ33を駆動する。具体的に、インバータ制御部35は、スイッチング素子Q1~Q4の各々のゲート端子に、スイッチング素子Q1~Q4の各々をオン状態またはオフ状態に設定するためのPWM制御信号を入力する。インバータ制御部35は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4との組と、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3との組とを、互いに相補的にオン状態またはオフ状態に設定する。具体的には、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とに入力されるPWM制御信号がスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをオン状態に設定するオン電圧である期間に、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とに入力されるPWM制御信号がスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とをオフ状態に設定するオフ電圧となるように設定する。同様に、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とに入力されるPWM制御信号がオフ電圧である期間に、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とに入力されるPWM制御信号がオン電圧となるように設定する。PWM制御信号は、周期的に、オン電圧とオフ電圧との何れか一方から何れか他方に切り替えられる。インバータ制御部35は、1周期に対するオン電圧を出力する期間の割合であるデューティ比を調整することにより、DC/AC変換装置30の出力電圧を調整する。
【0040】
本実施形態において、高周波フィルタ34は、インダクタとコンデンサとで構成される4次フィルタである。なお、高周波フィルタ34は、4次フィルタに限られず、その他の回路構成のフィルタを用いることができる。
【0041】
インバータ制御部35は、受信した同期信号Sig2を用いて、DC/AC変換装置30の出力電力の位相を制御する。詳細には、インバータ制御部35は、DC/AC変換装置30の出力電圧の位相を制御する。送電制御装置60は、少なくとも2つのDC/AC変換装置30のそれぞれの出力電力の位相が、互いに異なるように複数のDC/AC変換装置30を制御する。これにより、複数のDC/AC変換装置30にて同位相の電流が流れることが抑制されるため、DC/AC変換装置30の前段の直流電源装置20の出力電圧のリップルを低減することができる。よって、直流電源装置20が有するPFC回路24の平滑コンデンサを小型化することができる。また、DC配線51,52にリップル電流が流れることによるEMC(Electromagnetic Compatibility)の影響を低減できる。
【0042】
本実施形態では、さらに、直流電源装置20に接続されている全てのDC/AC変換装置30の各々の出力電圧の波形の位相が、互いに異なるように制御される。
【0043】
DC/AC変換装置30には、予め装置番号が付されている。本実施形態では、直流電源装置20との距離が最も短いDC/AC変換装置30の装置番号を「1」として、直流電源装置20との距離が遠くなるほど、大きい数字となるように、順に整数の装置番号が付されている。送電制御装置60は、直流電源装置20に接続されている装置番号を「N(Nは1以上の整数)」、DC/AC変換装置30の総台数を「X(Xは2以上の整数)」とした場合、N番目のDC/AC変換装置30の出力電力の波形が、予め定められた基準波形に対して位相が、(N-1)π/X[rad]ずれた波形となるように、DC/AC変換装置を制御する。(N-1)π/Xを位相補正値とも呼ぶ。本実施形態では、装置番号が「1」のDC/AC変換装置30の出力電圧の波形が、予め定められた基準波形となるように設定されている。
【0044】
図5に示すように、装置番号が「1」のDC/AC変換装置30に内蔵されるインバータ33の出力電圧は、時刻tsで位相が0rad、周期がTs[s]の矩形波である。装置番号が「2」のDC/AC変換装置30に内蔵されるインバータ33の出力電圧の波形は、N=2,X=4であるので、基準波形に対して、(1π/4)[rad]ずれた波形である。つまり、時刻(ts+Ts/8)で、位相が0radの矩形波である。同様に、装置番号が「3」のDC/AC変換装置30に内蔵されるインバータ33の出力電圧の波形は、基準波形に対して、(1π/2)[rad]ずれた波形である。装置番号が「4」のDC/AC変換装置30に内蔵されるインバータ33の出力電圧の波形は、基準波形に対して、(3π/4)[rad]ずれた波形である。このように、直流電源装置20に接続されている全てのDC/AC変換装置30の各々の出力電圧の波形の位相が、互いに異なる。このため、4つのDC/AC変換装置30の各々の出力電流の位相は互いに異なるため、前段の直流電源装置20の出力電圧のリップルをさらに低減することができる。
【0045】
本実施形態では、送電制御装置60は、各DC/AC変換装置30に装置番号と、位相補正値とを送信する。DC/AC変換装置30は、受信した装置番号と位相補正値とをインバータ制御部35の内蔵する図示しないメモリに記憶する。そして、インバータ制御部35は、位相補正値と同期信号Sig2とを用いてインバータ33を駆動する。なお、装置番号と位相補正値との設定方法の他の実施形態として、送電制御装置60とDC/AC変換装置30との通信ではなく、作業員により、DC/AC変換装置30に装置番号と位相補正値とが設定されてもよい。また、上記の位相補正値に代えて、時間補正値としての「(N-1)Ts/(2X)」を送信しても良い。時間補正値とは、基準波形の位相が0radとなる基準時間と、自身の出力波形の位相が0radとなる時間との差の時間である。
【0046】
本実施形態では、直流電源装置20に接続されている全てのDC/AC変換装置30の各々の出力電圧の波形の位相が、互いに異なるように制御される場合を説明した。これに限られず、直流電源装置20に接続されている複数のDC/AC変換装置30のうち、少なくとも2つのDC/AC変換装置30のそれぞれの出力電圧の波形の位相が、互いに異なるように制御される構成としてもよい。同じ位相の出力電圧を出力するDC/AC変換装置30が複数ある場合であっても、全てのDC/AC変換装置30が同じ波形の出力電圧する場合よりも、直流電源装置20の出力電圧のリップルを低減することができる。本実施形態のように、直流電源装置20に接続されている全てのDC/AC変換装置30の各々の出力電圧の波形の位相が互いに異なる形態とすると、直流電源装置20の出力電圧のリップルを低減する効果を向上させることができるため好ましい。
【0047】
以上説明した第3実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。また、送電制御装置60は、複数のDC/AC変換装置30のうち、少なくとも2つのDC/AC変換装置30のそれぞれの出力電力の位相が、互いに異なるように複数のDC/AC変換装置30を制御する。よって、直流電源装置20の出力電圧のリップルを低減することができる。また、送電制御装置は、N番目の前記DC/AC変換装置30の出力電力の波形が基準波形に対して位相が位相補正値だけずれた波形となるように、複数のDC/AC変換装置30を制御する。これにより、直流電源装置20の出力電圧のリップルを低減する効果を向上させることができる。
【0048】
D.第4実施形態:
第3実施形態では、信号線53,53を用いて、送電制御装置60とDC/AC変換装置30との通信が行われる。
図6に示す本実施形態では、送電制御装置60とDC/AC変換装置30とは、無線通信が行われる点が、第3実施形態とは異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0049】
図6に示す本実施形態に係る非接触給電装置410が備えるインバータ制御部35は、図示しない通信部を有している。インバータ制御部35は、送電制御装置60との無線通信により、同期信号Sig2が送信される。本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果を奏するとともに、信号線53,53を敷設する手間を省くことができるため、非接触給電装置310を敷設し易くすることができる。
【0050】
E.第5実施形態:
図7に示す本実施形態に係る非接触給電装置510は、2つのDC/AC変換装置30を有する。そして、2つのDC/AC変換装置30の出力電圧は、互いに異なる点が、上記各実施形態とは異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0051】
2つのDC/AC変換装置30の一方を第1のDC/AC変換装置としての第1DC/AC変換装置30Aと呼び、他方を第2のDC/AC変換装置としての第2DC/AC変換装置30Bと呼ぶ。第1DC/AC変換装置30Aと、第2DC/AC変換装置30Bとは、互いに異なる区画に設置されている。2つのDC/AC変換装置30のそれぞれは、互いに要求電力が異なる2種類の受電装置80のそれぞれに対応する。2種類の受電装置80の一方を第1の受電装置としての第1受電装置80Aと呼び、他方を第2の受電装置としての第2受電装置80Bと呼ぶ。第1受電装置80Aに非接触給電する送電装置40を第1の送電装置40とも呼ぶ。第2受電装置80Bに非接触給電する送電装置40を第2の送電装置40とも呼ぶ。第1受電装置80Aと、第2受電装置80Bとは、要求電力が互いに異なる。詳細には、第1受電装置80Aの要求最大電力は、第2受電装置80Bの要求最大電力よりも大きい。第1DC/AC変換装置30Aは、第1受電装置80Aに非接触給電する第1の送電装置40に交流電力を供給する。第2DC/AC変換装置30Bは、第2受電装置80Bに非接触給電する第2の送電装置40に交流電力を供給する。
【0052】
第1受電装置80Aは、設置場所に固定されている産業用ロボットに搭載されている。第1受電装置80Aは、第1の送電装置40との相対位置が変動しないため、非接触給電を常時受けることができる。対して、第2受電装置80Bは、移動可能なAGVに搭載されている。第2受電装置80Bは、第2の送電装置40との相対位置が変動する。このため、第2受電装置80Bは、第2の送電装置40から給電可能な位置範囲に位置している場合に非接触給電を受けることができる。したがって、第1受電装置80Aは平均的に電力を受電できるため要求電力の瞬時電力は小さい。対して、第2受電装置80Bは、平均的に電力を受電できないため、要求電力の瞬時電力は大きい。そして、第2受電装置80Bの要求最大電力の電圧値は、第1受電装置80Aの要求最大電力の電圧値よりも大きい。
【0053】
第2DC/AC変換装置30Bの出力電圧は、第1DC/AC変換装置30Aの出力電圧よりも大きい。これにより、第1DC/AC変換装置30Aと第2DC/AC変換装置30Bとのそれぞれは、それぞれに接続されている各送電装置40が非接触給電する受電装置80の要求電力を不足なく給電することができる。
【0054】
具体的には、第1DC/AC変換装置30Aと第2DC/AC変換装置30Bとは、PWM制御信号のデューティ比を調整することによって、自身の出力電圧を調整する。つまり、第1DC/AC変換装置30AのPWM制御信号の最大デューティ比は、第2DC/AC変換装置30BのPWM制御信号の最大デューティ比よりも小さくなるように設定されている。
【0055】
以上説明した第5実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果を奏する、また、非接触給電装置510は、第1DC/AC変換装置30Aと、第2DC/AC変換装置30Bとを備える。そして、第1DC/AC変換装置30AのPWM制御信号の最大デューティ比は、第2DC/AC変換装置30BのPWM制御信号の最大デューティ比よりも小さくなるように設定されている。これにより、互いに要求電力が異なる複数の受電装置80に、各受電装置80の要求電力を満たす電力を給電することができる。
【0056】
F.第6実施形態:
第5実施形態では、インバータ制御部35が出力するPWM制御信号のデューティ比を調整することによって、出力電圧が調整される。本実施形態では、DC/AC変換装置30の高周波フィルタ34のインピーダンスが調整されることによって、DC/AC変換装置30の出力電圧が調整される点が、第5実施形態とは異なる。上記実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。具体的には、DC/AC変換装置30の回路構成は、
図4に示す第3実施形態と同じであるため、
図4の符号を用いて説明する。非接触給電装置510の構成については、
図7に示す第5実施形態と同じであるため、
図7の符号を用いて説明する。
【0057】
本実施形態においても、第5実施形態と同様に、非接触給電装置510は、第1受電装置80Aに非接触給電する第1の送電装置40に接続されている第1DC/AC変換装置30Aと、第2受電装置80Bに非接触給電する第2の送電装置40に接続されている第2DC/AC変換装置30Bとを備えている。第2受電装置80Bの要求最大電力の電圧値は、第1受電装置80Aの要求最大電力の電圧値よりも大きい。
【0058】
本実施形態においては、第1DC/AC変換装置30Aが有する高周波フィルタ34と、第2DC/AC変換装置30Bが有する高周波フィルタ34とは、互いにインピーダンスが異なる。詳細には、第1DC/AC変換装置30Aの高周波フィルタ34のインピーダンスは、第1DC/AC変換装置30Aの出力電圧の基本波成分が、第2DC/AC変換装置30Bの出力電圧の基本波成分よりも小さくなるように設定されている。これにより、第2DC/AC変換装置30Bの出力電圧を、第1DC/AC変換装置30Aの出力電圧をよりも大きくすることができる。
【0059】
以上説明した第6実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0060】
G.第7実施形態:
第5実施形態では、インバータ制御部35が出力するPWM制御信号のデューティ比を調整することによって、出力電圧が調整される。
図8に示す本実施形態に係る非接触給電装置710では、DC/AC変換装置730が有するトランス36の巻き数比が調整されていることによって、DC/AC変換装置30の出力電圧が調整される点が、第5実施形態とは異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0061】
図8に示すように、DC/AC変換装置730は、上記構成に加えて、トランス36を有する。トランス36は、インバータ33と高周波フィルタ34との間に配置されている。トランス36は、インバータ33の出力電圧を降圧または昇圧する。トランス36の出力電力は、高周波フィルタ34に入力される。また、本実施形態では、高周波フィルタ34は、2本の電力配線の各々に直列に接続されたコイルおよびコンデンサと、2本の電力配線間に接続されたコイルおよびコンデンサとによって構成されている。
【0062】
本実施形態においても、第5実施形態と同様に、非接触給電装置510は、第1受電装置80Aに非接触給電する第1の送電装置40に接続されている第1DC/AC変換装置30Aと、第2受電装置80Bに非接触給電する第2の送電装置40に接続されている第2DC/AC変換装置30Bとを備えている。第2受電装置80Bの要求最大電力の電圧値は、第1受電装置80Aの要求最大電力の電圧値よりも大きい。
【0063】
本実施形態においては、第1DC/AC変換装置30Aが有するトランス36の巻き比数と、第2DC/AC変換装置30Bが有するトランスの巻き数比とは互いに異なる。詳細には、第1DC/AC変換装置30Aが有するトランス36の巻き比数は、第2DC/AC変換装置30Bが有するトランスの巻き数比より大きい。これにより、第2DC/AC変換装置30Bの出力電圧を、第1DC/AC変換装置30Aの出力電圧よりも大きくすることができる。
【0064】
以上説明した第7実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
H.第8実施形態:
上記第1実施形態では、送電装置40は、送電共振回路44を備え、送電共振回路44が有する送電コイルL1を用いて、非接触給電が行われる。
図9に示す、本実施形態に係る送電装置840は、送電装置840の回路構成が、送電装置40とは異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0066】
送電装置840は、上記構成に加えて、3次共振回路48を有する。3次共振回路48は、送電装置40と受電装置80との電力伝送経路を形成または遮断するために用いられる。3次共振回路48は、3次コイルL3と、3次コンデンサC3と、第2スイッチSW2とを有する。3次コンデンサC3と、第2スイッチSW2とは、3次コイルL3に並列に接続されている。第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1と同様の双方向スイッチである。3次コイルL3は、送電コイルL1と磁気結合可能な位置に配置されている。これにより、送電コイルL1と受電コイルL2とが磁気結合する場合には、送電コイルL1と、受電コイルL2と、3次コイルL3とが互いに磁気結合する。
【0067】
3次コンデンサC3の容量値は、送電コイルL1と、受電コイルL2と、3次コイルL3とが互いに磁気結合した場合に、3次コイルL3と3次コンデンサC3とで形成される並列共振回路が共振状態となる値に設定されている。
【0068】
受電装置80は、第1実施形態と同様に移動体に搭載されており、送電コイルL1に受電コイルL2が接近した場合には、切替回路46は、送電共振回路44および3次共振回路48を非共振状態から共振状態に切り替えて、送電装置40を待機状態から給電状態に切り替える。具体的には、切替回路46は、上記のように、第1スイッチSW1をオフ状態からオン状態に切り替えるとともに、第2スイッチSW2をオン状態からオフ状態に切り替える。第2スイッチSW2は、オフ状態に切り替えられると、3次コイルL3と3次コンデンサC3とで形成される並列共振回路が共振状態となる。これにより、送電コイルL1には給電電流が流れ、受電コイルL2に非接触給電される。
【0069】
対して、送電コイルL1から受電コイルL2が離れた場合には、切替回路46は、送電共振回路44および3次共振回路48を共振状態から非共振状態に切り替えて、送電装置40を給電状態から待機状態に切り替える。具体的には、切替回路46は、上記のように、第1スイッチSW1をオン状態からオフ状態に切り替えるとともに、第2スイッチSW2をオフ状態からオン状態に切り替える。第2スイッチSW2がオン状態に切り替えられると、3次コイルL3の両端子が短絡されるため、3次共振回路48は非共振状態になる。これにより、送電装置40は、送電コイルL1に給電電流よりも小さい待機電流が流れる待機状態に切り替えられる。
【0070】
送電コイルL1は、配列されており、受電コイルL2は、配列されている送電コイルL1のうち、最寄りの送電コイルL1から給電される。つまり、配列されている複数の送電コイルL1は、配置順に、順次、待機状態から給電状態に切り替えられる。このため、給電状態に設定されている送電装置40の送電コイルL1が発生させる磁束が、隣の待機状態に設定されている送電装置40の送電コイルL1を貫く場合が生じ得る。ここで、3次共振回路48が非共振状態に設定されていることにより、送電コイルL1に生じる磁束を小さくすることができる。
【0071】
以上説明した第8実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0072】
I.第9実施形態:
本実施形態に係る送電装置940は、上記第8実施形態の送電装置840と回路構成が異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0073】
図10に示すように、送電装置940は、3次共振回路948を有する。3次共振回路948は、3次コイルL3と、3次コンデンサC3と、第2スイッチSW2とに加え、第4コンデンサC4と、第3スイッチSW3とを有する。第4コンデンサC4は、第3スイッチSW3と直列に接続されている。そして、第4コンデンサC4と第3スイッチSW3との接続体は、3次コイルL3に並列に接続されている。第3スイッチSW3は、1つのFETで実現されている。
【0074】
第3スイッチSW3は、3次共振回路848を共振状態に設定する場合にオン状態に設定され、3次共振回路848を非共振状態に設定する場合にオフ状態に設定される。そして、3次コンデンサC3と第4コンデンサC4との合成容量は、送電コイルL1と、受電コイルL2と、3次コイルL3とが互いに磁気結合した場合に、3次コイルL3と3次コンデンサC3と第4コンデンサC4とで形成される並列共振回路が共振状態となる値に設定されている。
【0075】
切替回路46は、送電装置840を待機状態に設定する場合には、第1スイッチSW1をオフ状態に設定し、第2スイッチSW2をオン状態に設定し、第3スイッチSW3をオフ状態に設定する。対して、送電装置840を給電状態に設定する場合には、切替回路46は、第1スイッチSW1をオン状態に設定し、第2スイッチSW2をオフ状態に設定し、第3スイッチSW3をオン状態に設定する。3次共振回路848は、上記第8実施形態の3次共振回路48に対して、第3スイッチSW3と第4コンデンサC4とが追加されている。これにより、第2スイッチSW2のオン・オフ状態の設定だけでなく、第3スイッチSW3のオン・オフ状態の設定により、3次共振回路948の共振・非共振状態を設定できる。よって、例えば、第2スイッチSW2が常時オフ状態となる故障が発生した場合にも、第3スイッチSW3を用いて、3次共振回路948を非共振状態に設定することができる。
【0076】
以上説明した第9実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0077】
J.他の実施形態:
(J1)上記第1実施形態では、送電共振回路44では、送電コイルL1に送電コンデンサC1が直列に接続されている。送電共振回路44の回路構成および受電共振回路81の回路構成は、特に限定されない。例えば、送電共振回路44では、送電コイルL1に送電コンデンサC1が直列に接続され、受電共振回路81では、受電コイルL2に受電コンデンサが直列に接続された、いわゆるS-S方式の回路構成でもよい。(a)また、送電共振回路44では、送電コイルL1に送電コンデンサC1が並列に接続され、受電共振回路81では、受電コイルL2に受電コンデンサを直列に接続された、いわゆるP-S方式の回路構成でもよい。(b)また、送電コイルL1に直列に接続された送電コンデンサC1に加え、送電コイルL1に並列に接続されたコンデンサを備え、受電共振回路81では、受電コイルL2の両端子のそれぞれに2つの受電コンデンサのそれぞれが直列に接続された、いわゆるP-SS方式の回路構成でもよい。(c)また、送電コイルL1に直列に接続された送電コンデンサC1に加え、送電コイルL1に並列に接続されたコンデンサを備え、受電共振回路81では、受電コイルL2に直列に接続された第1の受電コンデンサと、受電コイルL2に並列に接続された第2の受電コンデンサとを備える、いわゆるSP-PS方式の回路構成でもよい。(d)また、送電共振回路44は、コイルとコンデンサとが直列に接続された閉回路を備えてもよい。この閉回路のコイルは、送電コイルL1と受電コイルL2と磁気結合した場合に、受電コイルL2と磁気結合可能な位置に配置される。(e)さらに、閉回路のコンデンサが、コイルと直列ではなく、並列に接続されもよい。(f)また、送電共振回路44は、送電コイルL1と直列に接続されたコイルを備えると共に、コイルと並列に接続されたコンデンサを備えてもよい。このコイルは、送電コイルL1と受電コイルL2と磁気結合した場合に、受電コイルL2と磁気結合可能な位置に配置される。
【0078】
(J2)上記第3実施形態では、送電制御装置60は、複数のDC/AC変換装置30のうち、少なくとも2つのDC/AC変換装置30のそれぞれの出力電力の位相が、互いに異なるように複数のDC/AC変換装置30を制御する。他の形態として、送電制御装置60は、複数のDC/AC変換装置30それぞれの出力電力の位相が、互いに同じになるように複数のDC/AC変換装置30を制御してもよい。
【0079】
(J3)上記第1実施形態では、パルス生成回路82を構成するスイッチング素子Q1~Q4は、MOSFETで実現される。他の実施形態として、スイッチング素子Q1~Q4を他の半導体素子、例えば、還流ダイオードが接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)にて実現してもよい。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および第3スイッチSW3についても同様である。また、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は双方向スイッチに限られず、1つのスイッチング素子で構成された片方向スイッチでもよい。第3スイッチSW3は双方向スイッチでもよい。
【0080】
(J4)上記第1実施形態では、隣り合うDC/AC変換装置30同士はDC配線51,51で接続されている。上記第2実施形態では、最遠DC/AC変換装置30Eを除く他のDC/AC変換装置30は、直流電源装置20と最遠DC/AC変換装置30Eとを接続するDC配線51,51から分岐するDC配線51,51を用いて接続されている。直流電源装置20と各DC/AC変換装置30とを接続する他の形態として、直流電源装置20と各DC/AC変換装置30とが、例えば端子台などの分配器を介して接続されてもよい。また、直流電源装置20の電源出力端子22,22に複数のDC/AC変換装置30が接続されてもよい。同様に、DC/AC変換装置30と各送電装置40とを接続する他の形態として、DC/AC変換装置30と各送電装置40とが、例えば端子台などの分配器を介して接続されてもよい。また、DC/AC変換装置30の出力端子32,32に複数の送電装置40が接続されてもよい。
【0081】
本開示は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0082】
K:他の形態:
本開示の特徴を以下の通り示す。
(形態1)
受電装置(80)に非接触給電を行う非接触給電装置(10,210~710)であって、
直流電源装置(20)と、
前記直流電源装置の出力電力を送電するDC配線(51)と、
前記DC配線に接続される少なくとも1つのDC/AC変換装置(30,730)と、
前記DC/AC変換装置の出力電力を送電するAC配線(52)と、
前記AC配線に接続される少なくとも1つの送電装置(40,840,940)と、を備え、
前記直流電源装置の定格電力は、前記DC/AC変換装置の定格電力よりも大きい、非接触給電装置。
(形態2)
形態1に記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記送電装置を複数備え、
前記直流電源装置は、前記DC配線と接続する電源出力端子(22)を有し、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記DC配線と接続する入力端子(31)と、前記AC配線と接続する出力端子(32)と、を有し、
前記複数の送電装置のそれぞれは、前記AC配線と接続する送電装置端子(41)を有し、
前記複数の送電装置のうち、前記DC/AC変換装置から最も近い送電装置の前記送電装置端子と、前記DC/AC変換装置の前記出力端子とを接続する前記AC配線の長さは、前記複数のDC/AC変換装置のうち、前記直流電源装置から最も遠いDC/AC変換装置の前記入力端子と、前記直流電源装置の前記電源出力端子とを接続する前記DC配線の長さよりも短い、非接触給電装置。
(形態3)
形態1または2に記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
さらに、前記複数のDC/AC変換装置を制御する送電制御装置を備え、
前記送電制御装置は、前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれに同期信号を送信し、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータを制御するインバータ制御部(35)とを有し、
前記インバータ制御部は、受信した前記同期信号を用いて、前記出力電力の位相を制御し、
前記送電制御装置は、前記複数のDC/AC変換装置のうち、少なくとも2つのDC/AC変換装置のそれぞれの前記出力電力の位相が、互いに異なるように前記複数のDC/AC変換装置を制御する、非接触給電装置。
(形態4)
形態3に記載の非接触給電装置であって、
前記送電制御装置は、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれに前記直流電源装置から近い順に装置番号を付し、前記装置番号をN(Nは1以上の整数)、前記複数のDC/AC変換装置の総台数をX(Xは2以上の整数)とした場合、N番目の前記DC/AC変換装置の前記出力電力の波形が、予め定められた基準波形に対して位相が、(N-1)π/X[rad]ずれた波形となるように、前記複数のDC/AC変換装置を制御する、非接触給電装置。
(形態5)
形態1から4のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記複数のDC/AC変換装置は、第1の前記受電装置に非接触給電を行う第1の前記送電装置が接続される第1の前記DC/AC変換装置と、前記第1の受電装置の要求最大電力よりも前記要求最大電力が大きい第2の前記受電装置に非接触給電を行う第2の前記送電装置が接続される第2の前記DC/AC変換装置とを含み、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータにPWM制御信号を入力することによって制御するインバータ制御部(35)とを有し、
前記第1のDC/AC変換装置の前記PWM制御信号の最大デューティ比は、前記第2のDC/AC変換装置の前記PWM制御信号の最大デューティ比よりも小さい、非接触給電装置。
(形態6)
形態1から5のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記複数のDC/AC変換装置は、第1の前記受電装置に非接触給電を行う第1の前記送電装置に接続される第1の前記DC/AC変換装置と、前記第1の受電装置の要求最大電力よりも前記要求最大電力が大きい第2の前記受電装置に非接触給電を行う第2の前記送電装置に接続される第2の前記DC/AC変換装置とを含み、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータの後段に接続されたフィルタ(34)とを有し、
前記第1のDC/AC変換装置の前記フィルタのインピーダンスは、前記第1のDC/AC変換装置の出力電圧の基本波成分が、前記第2のDC/AC変換装置の出力電圧の基本波成分よりも小さくなるように設定されている、非接触給電装置。
(形態7)
形態1から6のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記複数のDC/AC変換装置は、第1の前記受電装置に非接触給電を行う第1の前記送電装置に接続される第1の前記DC/AC変換装置と、前記第1の受電装置の要求最大電力よりも前記要求最大電力が大きい第2の前記受電装置に非接触給電を行う第2の前記送電装置に接続される第2の前記DC/AC変換装置とを含み、
前記複数のDC/AC変換装置のそれぞれは、前記出力電力を出力するインバータ(33)と、前記インバータの後段に接続されたトランス(36)とを有し、
前記第1のDC/AC変換装置が有する前記トランスの巻き比数は、前記第2のDC/AC変換装置が有する前記トランスの巻き数比より大きい、非接触給電装置。
(形態8)
形態1から7のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記直流電源装置は、系統電源(GPS)と接続し、前記系統電源から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するPFC回路(24)を有し、
前記DC/AC変換装置は、前記PFC回路が出力した直流電力を交流電力に変換するインバータ(33)を有し、
前記送電装置は、送電コイル(L1)と送電コンデンサ(C1)とを有する送電共振回路(44)と、前記送電共振回路の状態を共振状態と非共振状態との間で切り替える切替回路(46)と、を有し、
前記DC/AC変換装置を複数備え、
前記送電装置を複数備える、非接触給電装置。
【符号の説明】
【0083】
10,210,310,410,510,710…非接触給電装置、20…直流電源装置、30,730…DC/AC変換装置、40,840,940…送電装置、51…DC配線、52…AC配線、80…受電装置