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特開2024-158058デバイス診断装置、画像形成装置およびデバイス診断方法
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  • 特開-デバイス診断装置、画像形成装置およびデバイス診断方法 図1
  • 特開-デバイス診断装置、画像形成装置およびデバイス診断方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158058
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】デバイス診断装置、画像形成装置およびデバイス診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 3/00 20060101AFI20241031BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241031BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241031BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241031BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20241031BHJP
   B65H 7/06 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
G01H3/00 A
G03G21/00 510
G03G21/00 502
B41J29/38 301
H04N1/00 002A
G01M99/00 Z
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072904
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】陸 琳
(72)【発明者】
【氏名】前田 良太
【テーマコード(参考)】
2C061
2G024
2G064
2H270
3F048
5C062
【Fターム(参考)】
2C061BB08
2C061CQ04
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HV02
2C061HV19
2C061HV21
2C061HV28
2C061HV30
2C061HV32
2G024AD27
2G024BA27
2G024CA13
2G024DA28
2G024FA06
2G024FA15
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB15
2G064AB22
2G064BA02
2G064CC41
2G064DD05
2G064DD08
2G064DD12
2G064DD15
2H270LA58
2H270LA62
2H270LA66
2H270LA98
2H270LA99
2H270LD01
2H270LD09
2H270MF13
2H270NE00
2H270QA13
2H270RA01
2H270RA15
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA13
3F048BA14
3F048BB02
3F048BC01
3F048BC08
3F048DB15
3F048DC17
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC55
5C062AC58
5C062AE07
5C062AE11
5C062AE15
5C062AF00
(57)【要約】
【課題】 対象デバイスの動作音における異音を正確に検出する。
【解決手段】 集音部21は、集音装置2を使用して対象デバイス101の動作音を収集する。異音判定部23は、所定の判定条件に従って、収集された動作音における異音の有無を自動的に判定する。判定条件調整部24は、異音判定部により収集された動作音において異音があると判定された場合において、(a)収集された動作音を再生し、(b)再生中の動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作が行われたか否かを判定し、(c)その再生中の動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作がなかった場合、異音判定部により当該動作音において異音がないと判定されるように、上述の判定条件を調整する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集音装置を使用して対象デバイスの動作音を収集する集音部と、
所定の判定条件に従って、収集された前記動作音における異音の有無を自動的に判定する異音判定部と、
前記異音判定部により収集された前記動作音において異音があると判定された場合において、(a)収集された前記動作音を再生し、(b)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作が行われたか否かを判定し、(c)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作がなかった場合、前記異音判定部により当該動作音において異音がないと判定されるように、前記判定条件を調整する判定条件調整部と、
を備えることを特徴とするデバイス診断装置。
【請求項2】
前記判定条件調整部は、前記異音判定部により収集された前記動作音において異音がないと判定された場合、および前記異音判断操作があった場合には、前記判定条件を調整しないことを特徴とする請求項1記載のデバイス診断装置。
【請求項3】
前記動作音の収集期間における前記対象デバイスの動作状態を記録するデバイス状態記録部をさらに備え、
前記判定条件調整部は、記録された前記対象デバイスの動作状態に応じて前記判定条件を調整すること、
を特徴とする請求項1記載のデバイス診断装置。
【請求項4】
シート搬送装置を備えた画像形成装置において、
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のデバイス診断装置を備え、
前記対象デバイスは、当該画像形成装置であること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
集音装置を使用して対象デバイスの動作音を収集する集音ステップと、
所定の判定条件に従って、収集された前記動作音における異音の有無を自動的に判定する異音判定ステップと、
前記異音判定ステップにて、収集された前記動作音において異音があると判定された場合において、(a)収集された前記動作音を再生し、(b)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作が行われたか否かを判定し、(c)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作がなかった場合、前記異音判定ステップにて当該動作音において異音がないと判定されるように、前記判定条件を調整する判定条件調整ステップと、
を備えることを特徴とするデバイス診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス診断装置、画像形成装置およびデバイス診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、正常時の動作音を予め記憶しておき、現時点の動作音を収集し、現時点の動作音と正常時の動作音とを比較して、現時点の動作音と正常時の動作音とのレベル差が所定の閾値以上であるタイミングを異音発生タイミングとして特定し、その異音発生タイミングで収集されている動作音に基づいて故障箇所を特定している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-79263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像形成装置では、固定的な閾値に基づいて異音発生タイミングが検出されるため、上述の画像形成装置(対象デバイス)の設置環境(環境音の音量レベルなど)の変化に起因して、異音発生タイミングが正確に検出されない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、対象デバイスの動作音における異音を正確に検出するデバイス診断装置、画像形成装置およびデバイス診断方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデバイス診断装置は、集音装置を使用して対象デバイスの動作音を収集する集音部と、所定の判定条件に従って、収集された前記動作音における異音の有無を自動的に判定する異音判定部と、前記異音判定部により収集された前記動作音において異音があると判定された場合において、(a)収集された前記動作音を再生し、(b)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作が行われたか否かを判定し、(c)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作がなかった場合、前記異音判定部により当該動作音において異音がないと判定されるように、前記判定条件を調整する判定条件調整部とを備える。
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、シート搬送装置を備えた画像形成装置であり、上述のデバイス診断装置を備える。そして、上述の対象デバイスは、当該画像形成装置である。
【0008】
本発明に係るデバイス診断方法は、集音装置を使用して対象デバイスの動作音を収集する集音ステップと、所定の判定条件に従って、収集された前記動作音における異音の有無を自動的に判定する異音判定ステップと、前記異音判定ステップにて、収集された前記動作音において異音があると判定された場合において、(a)収集された前記動作音を再生し、(b)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作が行われたか否かを判定し、(c)再生中の前記動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作がなかった場合、前記異音判定ステップにて当該動作音において異音がないと判定されるように、前記判定条件を調整する判定条件調整ステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対象デバイスの動作音における異音を正確に検出するデバイス診断装置、画像形成装置およびデバイス診断方法が得られる。
【0010】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るデバイス診断装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すデバイス診断装置1の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るデバイス診断装置の構成を示すブロック図である。当該実施の形態において、図1に示すデバイス診断装置1は、スマートフォンなどの汎用のポータブル端末装置または専用のポータブル端末装置であって、対象デバイス101の異音を検出する。デバイス診断装置1は、マイクロフォンなどの集音装置2、およびスピーカー、イヤフォンなどの音響出力装置3を接続されている。
【0014】
なお、集音装置2および音響出力装置3は、デバイス診断装置1に内蔵されていてもよい。また、デバイス診断装置1は、対象デバイス101に内蔵されていてもよい。対象デバイス101は、可動部を有するデバイスであって、ここでは、シート搬送装置を備えた画像形成装置(プリンター、スキャナー、複合機など)である。
【0015】
集音装置2は、対象デバイス101上に、または対象デバイス101に近接して対象デバイス101の動作音を感受し、動作音に対応する音響信号を出力する。なお、集音装置2には、必要に応じて、アンプ、通信回路などの電子回路、電源回路、アナログデジタル変換器などが含まれる。また、集音装置2とデバイス診断装置1との接続は、有線でも無線でもよい。
【0016】
図1に示すように、デバイス診断装置1は、ユーザーインターフェイス11、通信インターフェイス12、記憶装置13、および演算処理装置14を備える。
【0017】
ユーザーインターフェイス11は、ユーザーに各種情報を表示する表示装置11a(ディスプレイパネルなど)およびユーザー操作を受け付ける入力装置11b(キーボード、ハードキー、ソフトキーのためのタッチパネルなど)を備える。通信インターフェイス12は、外部装置と通信するための周辺機器インターフェイス、ネットワークインターフェイスなどである。
【0018】
記憶装置13は、各種プログラムおよび各種データを格納している不揮発性の記憶装置(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなど)である。例えば、記憶装置13には、後述の動作音の音響信号のデータ(波形データ、周波数分布データなど)、診断結果などが記憶される。
【0019】
演算処理装置14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたコンピューターであって、ROMや記憶装置13に格納されているプログラムをRAMにロードしCPUで実行することで、各種処理部として動作する。
【0020】
ここでは、演算処理装置14は、集音部21、デバイス状態記録部22、異音判定部23、および判定条件調整部24として動作する。
【0021】
集音部21は、集音装置2を使用して対象デバイス101の動作音を収集する。具体的には、集音部21は、対象デバイス101の動作音の音響信号を集音装置2から取得する。
【0022】
デバイス状態記録部22は、集音部21による動作音の収集期間における対象デバイス101の動作状態(動作中の動作ユニット、実行中の動作モードなど)を取得し記録する。例えば、デバイス状態記録部22は、通信インターフェイス12を使用して、対象デバイス101から、対象デバイス101の動作状態を取得する。あるいは、ユーザーが、ユーザーインターフェイス11に対象デバイス101の動作状態を入力してもよく、その場合、デバイス状態記録部22は、ユーザーインターフェイス11を使用して、入力された対象デバイス101の動作状態を取得する。
【0023】
例えば、対象デバイス101に複数の動作ユニットがある場合、それぞれに固有の、動作ユニット(動作ユニットの構造)に応じた動作音が発生する。例えば対象デバイス101としての画像形成装置が、プリント用紙用のシート搬送装置を有するプリント装置、および原稿用のシート搬送装置を有する画像読取装置を備える場合、プリント装置のシート搬送装置と、画像読取装置のシート搬送装置とで、動作音が異なる。また、例えば、プリント装置のシート搬送装置において、シート搬送を伴わない動作モードでの動作音と、シート搬送を伴う動作モードでの動作音とは、互いに異なる。
【0024】
異音判定部23は、所定の判定条件に従って、収集された動作音における異音の有無を自動的に判定する。
【0025】
例えば、判定条件は、動作音の音量レベル(所定時間長の動作音の最大レベル、平均レベルなど)が所定閾値を超えること、予め取得されている正常時の動作音の音量レベルと現時点で取得された動作音の音量レベルとの差分が所定閾値を超えることなどである。
【0026】
また、上述のように、動作状態に応じて動作音が異なる場合、動作音収集時の動作状態に対応する閾値が選択され、その閾値で、収集された動作音における異音の有無が判定される。
【0027】
判定条件調整部24は、異音判定部23により収集された動作音において異音があると判定された場合において、(a)収集された動作音を再生して、再生した動作音を音響出力装置3から出力し、(b)その動作音(再生音)を聴取したユーザーによる異音判断操作(所定のユーザー操作)が入力装置11bに対して行われたか否かを判定し、(c)その動作音(再生音)を聴取したユーザーによる異音判断操作がなかった場合、異音判定部23により当該動作音において異音がないと判定されるように、上述の判定条件を調整する。ここでは、上述の判定条件としての閾値が変更される。
【0028】
なお、判定条件調整部24は、(a)異音判定部23により収集された動作音において異音がないと判定された場合、および(b)異音があると判定され異音判断操作があった場合には、上述の判定条件を調整しない。
【0029】
また、上述のように、動作状態に応じて動作音が異なる場合、判定条件調整部24は、記録された対象デバイスの動作状態に応じて判定条件を調整する。例えば、その動作状態に対応する上述の閾値が変更される。
【0030】
次に、上記デバイス診断装置1の動作について説明する。図2は、図1に示すデバイス診断装置1の動作について説明するフローチャートである。
【0031】
ユーザーは、対象デバイス101を動作させ、所定のユーザー操作をユーザーインターフェイス11に対して行う。そのユーザー操作がユーザーインターフェイス11で検出されると、以下の診断モードが開始される(ステップS1)。
【0032】
診断モードでは、まず、所定期間において、集音部21が、対象デバイス101の動作音を収集するとともに、デバイス状態記録部22が、対象デバイス101の動作状態を記録する(ステップS2)。
【0033】
所定期間の終了後、異音判定部23は、所定の判定条件に従って、収集された動作音における異音の有無を自動的に判定し、その判定結果を表示装置11aに表示する(ステップS3)。
【0034】
次に、判定条件調整部24は、異音判定部23により収集された動作音において異音があると判定されたか否かを判定する(ステップS4)。収集された動作音において異音がないと判定された場合には、当該処理を終了する。
【0035】
収集された動作音において異音があると判定された場合、判定条件調整部24は、収集された動作音の再生(つまり、再生音の出力)を開始する(ステップS5)。その際、判定条件調整部24は、再生音を聴取するようにユーザーに促すメッセージを表示装置11aに表示し、そのメッセージの表示開始後に所定のユーザー操作が入力装置11bに対して行われると、動作音の再生を開始する。例えば、そのメッセージと、そのユーザー操作のためのソフトキーと、異音判断操作のためのソフトキーが、1つの画面で、表示装置11aに表示される。
【0036】
再生開始後、判定条件調整部24は、異音判断操作が行われたか否か(ステップS6)および再生が終了したか否か(ステップS7)を繰り返し判定する。
【0037】
判定条件調整部24は、再生終了までに、異音判断操作が行われたと判定した場合には、異音判断操作が行われたタイミングでの動作音や動作状態から既存の方法で異常原因などを特定し、表示装置11aに表示したり記憶装置13に保存したりする(ステップS8)。
【0038】
一方、判定条件調整部24は、再生終了までに、異音判断操作が行われなかったと判定した場合には、上述のように判定条件を調整する(ステップS9)。
【0039】
以上のように、上記実施の形態によれば、集音部21は、集音装置2を使用して対象デバイス101の動作音を収集する。異音判定部23は、所定の判定条件に従って、収集された動作音における異音の有無を自動的に判定する。判定条件調整部24は、異音判定部により収集された動作音において異音があると判定された場合において、(a)収集された動作音を再生し、(b)再生中の動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作が行われたか否かを判定し、(c)再生中の動作音を聴取したユーザーによる異音判断操作がなかった場合、異音判定部により当該動作音において異音がないと判定されるように、上述の判定条件を調整する。
【0040】
これにより、環境音に拘わらずユーザーの聴覚に基づいて判定条件が設定されるため、対象デバイス101の動作音における異音が正確に検出される。
【0041】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、画像形成装置などの異常箇所の検出や予測に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 デバイス診断装置
2 集音装置
21 集音部
22 デバイス状態記録部
23 異音判定部
24 判定条件調整部
図1
図2