(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158059
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】デバイス診断システムおよびデバイス診断方法
(51)【国際特許分類】
G01H 3/00 20060101AFI20241031BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241031BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01H3/00 A
G03G21/00 510
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072905
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】陸 琳
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 佑耶
【テーマコード(参考)】
2C061
2G064
2H270
【Fターム(参考)】
2C061HJ07
2C061HN04
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV21
2C061HV32
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB15
2G064AB22
2G064BA02
2G064CC41
2G064DD05
2G064DD08
2G064DD12
2G064DD15
2H270LA98
2H270LD04
2H270MB25
2H270NC11
2H270RA01
2H270RB09
2H270RC02
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 画像形成装置の動作音における異音を正確に検出するデバイス診断システムおよびデバイス診断方法を得る。
【解決手段】 当該デバイス診断システムは、診断対象の画像形成装置1と、画像形成装置1の動作音を集音するポータブル端末装置2と、その動作音において異音があるか否かを判定する異音判定部23とを備える。ポータブル端末装置2は、画像形成装置1に対して相対的な所定の複数の集音位置から選択された集音位置で画像形成装置1の動作音を集音する。そして、異音判定部23は、(a)選択された集音位置に対応する判定条件を特定し、(b)特定した判定条件に従って、集音された動作音の音響データに基づいて動作音において異音があるか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象の画像形成装置と、
前記画像形成装置の動作音を集音するポータブル端末装置と、
前記動作音において異音があるか否かを判定する異音判定部とを備え、
前記ポータブル端末装置は、前記画像形成装置に対して相対的な所定の複数の集音位置から選択された集音位置で前記画像形成装置の動作音を集音し、
前記異音判定部は、(a)前記集音位置に対応する判定条件を特定し、(b)特定した前記判定条件に従って、集音された前記動作音の音響データに基づいて前記動作音において異音があるか否かを判定すること、
を特徴とするデバイス診断システム。
【請求項2】
記憶装置をさらに備え、
前記記憶装置は、当該画像形成装置についての前記複数の集音位置のそれぞれに対応する複数の判定条件を示す集音条件データを記憶しており、
前記異音判定部は、前記集音条件データを参照して、受信した前記集音位置情報に対応する判定条件を特定すること、
を特徴とする請求項1記載のデバイス診断システム。
【請求項3】
前記複数の判定条件は、前記画像形成装置から前記複数の集音位置のそれぞれへの方向、および前記画像形成装置から前記複数の集音位置のそれぞれまでの距離に対応して設定されていることを特徴とする請求項2記載のデバイス診断システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は、選択された前記集音位置に前記ポータブル端末装置がユーザーによって配置されたときに、特定の動作を実行し、
前記ポータブル端末装置は、選択された前記集音位置に前記ポータブル端末装置がユーザーによって配置されたときに、前記特定の動作をしている前記画像形成装置の前記動作音を集音すること、
を特徴することを特徴とする請求項1記載のデバイス診断システム。
【請求項5】
前記ポータブル端末装置は、選択された前記集音位置に前記ポータブル端末装置が前記ユーザーによって配置されるように、前記ユーザーをガイドすることを特徴とする請求項4記載のデバイス診断システム。
【請求項6】
画像形成装置の動作音を集音するポータブル端末装置を利用した前記画像形成装置についてのデバイス診断方法において、
前記ポータブル端末装置により、前記画像形成装置に対して相対的な所定の複数の集音位置から選択された集音位置で前記画像形成装置の動作音を集音し、
(a)前記集音位置に対応する判定条件を特定し、(b)特定した前記判定条件に従って、集音された前記動作音の音響データに基づいて前記動作音において異音があるか否かを判定すること、
を特徴とするデバイス診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス診断システムおよびデバイス診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、正常時の動作音を予め記憶しておき、現時点の動作音を収集し、現時点の動作音と正常時の動作音とを比較して、現時点の動作音と正常時の動作音とのレベル差が所定の閾値以上であるタイミングを異音発生タイミングとして特定し、その異音発生タイミングで収集されている動作音に基づいて故障箇所を特定している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像形成装置では、固定的な閾値に基づいて異音発生タイミングが検出されるため、上述の画像形成装置の設置環境(環境音の音量レベルなど)の変化に起因して、異音発生タイミングが正確に検出されない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の動作音における異音を正確に検出するデバイス診断システムおよびデバイス診断方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデバイス診断システムは、診断対象の画像形成装置と、前記画像形成装置の動作音を集音するポータブル端末装置と、前記動作音において異音があるか否かを判定する異音判定部とを備える。前記ポータブル端末装置は、前記画像形成装置に対して相対的な所定の複数の集音位置から選択された集音位置で前記画像形成装置の動作音を集音する。そして、前記異音判定部は、(a)前記集音位置に対応する判定条件を特定し、(b)特定した前記判定条件に従って、集音された前記動作音の音響データに基づいて前記動作音において異音があるか否かを判定する。
【0007】
本発明に係るデバイス診断方法は、画像形成装置の動作音を集音するポータブル端末装置を利用した前記画像形成装置についてのデバイス診断方法であり、(a)前記ポータブル端末装置により、前記画像形成装置に対して相対的な所定の複数の集音位置から選択された集音位置で前記画像形成装置の動作音を集音し、(b1)前記集音位置に対応する判定条件を特定し、(b2)特定した前記判定条件に従って、集音された前記動作音の音響データに基づいて前記動作音において異音があるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置の動作音における異音を正確に検出するデバイス診断システムおよびデバイス診断方法が得られる。
【0009】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係るデバイス診断システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るデバイス診断システムの動作について説明するシーケンス図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態2に係るデバイス診断システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係るデバイス診断システムの動作について説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
実施の形態1.
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るデバイス診断システムの構成を示すブロック図である。当該実施の形態において、
図1に示すデバイス診断システム1は、診断対象の画像形成装置1と、スマートフォンなどのポータブル端末装置2とを備える。
【0014】
画像形成装置1は、プリント装置、画像読取装置などといった動作音を発する内部装置11を備え、さらに、ユーザーインターフェイス12、通信インターフェイス13、記憶装置14、演算処理装置15、および距離センサー16を備える。
【0015】
ユーザーインターフェイス12は、ユーザーに各種情報を表示する表示装置12a(ディスプレイパネルなど)およびユーザー操作を受け付ける入力装置12b(キーボード、ハードキー、ソフトキーのためのタッチパネルなど)を備える。ユーザーインターフェイス12は、画像形成装置1に外部接続されたモニター装置や、画像形成装置1と通信可能な外部装置(タブレットPCなど)でもよい。
【0016】
通信インターフェイス13は、外部装置(ポータブル端末装置2など)と通信するための周辺機器インターフェイス、ネットワークインターフェイスなどである。なお、通信インターフェイス13は、ポータブル端末装置2とデータ通信するため無線通信インターフェイス(例えば、ブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信インターフェイスなど)を含む。
【0017】
記憶装置14は、各種プログラムおよび各種データを格納している不揮発性の記憶装置(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなど)である。例えば、記憶装置14には、集音条件データ14a、後述の動作音の音響データ(波形データ、周波数分布データなど)、診断結果などが記憶される。集音条件データ14aは、当該画像形成装置1についての複数の集音位置のそれぞれに対応する複数の判定条件を示すデータである。なお、集音条件データ14aは、画像形成装置1に内蔵される記憶装置14ではなく、外部の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0018】
ここで、上述の複数の集音位置は、当該画像形成装置1からの相対的な位置であって、1または複数の方向(前方、後方、右側方、左側方など)のそれぞれについての1または複数の距離の位置である。また、上述の複数の判定条件は、その複数の集音位置(つまり、画像形成装置1から複数の集音位置のそれぞれへの方向、および画像形成装置1から複数の集音位置のそれぞれまでの距離)に対応して設定されている。
【0019】
演算処理装置15は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたコンピューターであって、ROMや記憶装置14に格納されているプログラムをRAMにロードしCPUで実行することで、各種処理部として動作する。また、距離センサー16は、当該画像形成装置1からポータブル端末装置2までの距離を計測するセンサーである。
【0020】
ここでは、演算処理装置15は、測定制御部21、測定データ取得部22、および異音判定部23として動作する。
【0021】
測定制御部21は、所定のシーケンスで、内部装置11の動作、ポータブル端末装置2による集音動作などを実行させる。例えば、測定制御部21は、通信インターフェイス13を使用して、ポータブル端末装置2に接続し、ポータブル端末装置2に所定の処理(集音処理など)を実行させる。
【0022】
測定データ取得部22は、通信インターフェイス13を使用して、ポータブル端末装置2から画像形成装置1の動作音の音響データ(波形データ、周波数分布データなど)を受信する。
【0023】
異音判定部23は、(a)上述の所定の複数の集音位置からユーザーにより選択された集音位置に対応する判定条件を特定し、(b)特定した判定条件に従って、ポータブル端末装置2から受信した音響データに基づいて画像形成装置1の動作音において異音があるか否かを判定する。
【0024】
具体的には、異音判定部23は、集音条件データ14aを読み出し、その集音条件データ14aに基づいて、選択された集音位置に対応する判定条件を特定する。
【0025】
例えば、判定条件は、動作音の音量レベル(所定時間長の動作音の最大レベル、平均レベルなど)が所定閾値を超えること、予め取得されている正常時の動作音の音量レベルと現時点で取得された動作音の音量レベルとの差分が所定閾値を超えることなどである。したがって、集音条件データ14において、判定条件として、このような閾値が指定されている。
【0026】
このように、集音位置に応じて動作音の音量レベルが変化するため、集音位置に応じた判定条件が設定されている。
【0027】
また、例えば、画像形成装置1に複数の動作ユニットがある場合、それぞれに固有の、動作ユニット(動作ユニットの構造)に応じた動作音が発生する。例えば、画像形成装置1が内部装置11として、プリント用紙用のシート搬送装置を有するプリント装置、および原稿用のシート搬送装置を有する画像読取装置を備える場合、プリント装置のシート搬送装置と、画像読取装置のシート搬送装置とで、動作音が異なる。また、例えば、プリント装置のシート搬送装置において、シート搬送を伴わない動作モードでの動作音と、シート搬送を伴う動作モードでの動作音とは、互いに異なる。そのため、画像形成装置1の複数の動作状態(動作中の動作ユニット、実行中の動作モードなど)に応じた複数の判定条件を設定しておき、診断モードにおいて指定された画像形成装置1の動作状態に応じた判定条件を特定し、特定した判定条件に従って、画像形成装置1の動作音において異音があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0028】
ポータブル端末装置2は、マイクロフォンなどの集音装置2a、画像形成装置1の通信インターフェイス13と通信可能な通信装置2b、および集音部2cを備える。ポータブル端末装置2は、コンピューターを内蔵し、そのコンピューターが所定のアプリケーションを実行することで、集音部2cとして動作する。
【0029】
集音部2cは、上述の選択された集音位置で(つまり、ポータブル端末装置2がその集音位置に配置されているときに)画像形成装置1の動作音を集音し、集音した動作音の音響データを、通信装置2bを使用して、画像形成装置1に送信する。
【0030】
この実施の形態では、画像形成装置1の内部装置11は、選択された集音位置にポータブル端末装置2がユーザーによって配置されたときに、特定の動作を実行し、ポータブル端末装置2の集音部2cは、選択された集音位置にポータブル端末装置1がユーザーによって配置されたときに、その特定の動作をしている画像形成装置1の動作音を集音する。
【0031】
次に、実施の形態1に係るデバイス診断システムの動作について説明する。
図2は、実施の形態1に係るデバイス診断システムの動作について説明するシーケンス図である。
【0032】
ユーザーが所定のユーザー操作を画像形成装置1のユーザーインターフェイス12に対して行うと、以下の診断モードが開始される(ステップS1)。
【0033】
診断モードが開始されると、画像形成装置1の測定制御部21は、(a)集音位置の選択画面を表示装置12aに表示し、(b)タッチパネルなどの入力装置12bで、集音位置を選択するユーザー操作を検出し、(c)そのユーザー操作により指定された集音位置を選択する(ステップS2)。
【0034】
次に、測定制御部21は、選択した集音位置にポータブル端末装置2が配置されるようにユーザーに対してガイドメッセージを表示装置12aに表示したり図示せぬスピーカーから出力したりする(ステップS3)。ガイドメッセージは、例えば画像形成装置1に対する集音位置(画像形成装置1からの方向および距離)を示すテキスト、画像、音声などを含む。例えば、測定制御部21は、ユーザーがその集音位置にポータブル端末装置2を配置したことを示すユーザー操作が入力装置12bで検出されると、選択した集音位置にポータブル端末装置2が配置されたと判定する。
【0035】
なお、その際、測定制御部21は、距離センサー16や通信インターフェイス13を使用して、ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離(例えば2メートル)以内に位置しているか否かを判定し、ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離以内に位置していない場合には、ポータブル端末装置2を画像形成装置1から所定距離以内に位置させるように促すメッセージをユーザーに対して表示装置12aに表示したりスピーカーから出力したりする。この所定距離は、ポータブル端末装置2で画像形成装置1の動作音を収集可能な最大距離である。
【0036】
例えば、通信装置2bおよび通信インターフェイス13は、ブルートゥース(登録商標)のクラス2の通信規格でデータ通信を行い、測定制御部21は、通信インターフェイス13により感受される通信装置2bの送信電波の強度に基づいて、ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離(ここでは、集音の可能な2メートル)以内に位置しているか否かを判定するようにしてもよい。なお、ブルートゥース(登録商標)のクラス2の通信規格でデータ通信では、6メートル以内でのデータ通信が可能となっている。
【0037】
選択した集音位置に当該ポータブル端末装置2が配置されたと判定した後、測定制御部21は、通信インターフェイス13を使用して、集音指令をポータブル端末装置2に送信するとともに、特定の動作を内部装置11に実行させる(ステップS4)。
【0038】
ポータブル端末装置2では、集音部2cは、その集音指令に従って、集音装置2aで画像形成装置1の動作音を所定期間、収集し、収集した動作音の音響データを生成し(ステップS5)、通信装置2bで、その音響データを画像形成装置1に送信する(ステップS6)。
【0039】
その際、測定制御部21は、動作開始および動作終了を示す特定音響をスピーカーから出力させるようにしてもよい。その場合、これにより、音響データにおける動作音の開始タイミングおよび終了タイミングが特定音響によって示される。なお、動作開始を示す特定音響のみをスピーカーから出力させるようにしてもよい。
【0040】
画像形成装置1において、測定データ取得部22は、通信インターフェイス13を使用して、その音響データを受信し、異音判定部23は、集音条件データ14aを参照して、選択された集音位置に対応する判定条件を特定し、特定した判定条件に従って、受信した音響データに基づく動作音に異音があるか否かを判定する(ステップS7)。その際、特定した判定条件に従って、上述の開始タイミングの特定音響より前の動作音および終了タイミングの特定音響より後の動作音を除外して、動作音に異音があるか否かを判定するようにしてもよい。また、その動作音に異音があると判定された場合には、その異音に対応する異常箇所や異常原因が特定され、診断結果として表示装置12aに表示されたり、記憶装置14に記憶されたりしてもよい。
【0041】
以上のように、上記実施の形態1に係るデバイス診断システムは、診断対象の画像形成装置1と、画像形成装置1の動作音を集音するポータブル端末装置2と、その動作音において異音があるか否かを判定する異音判定部23とを備える。ポータブル端末装置2は、画像形成装置1に対して相対的な所定の複数の集音位置から選択された集音位置で画像形成装置1の動作音を集音する。そして、異音判定部23は、(a)選択された集音位置に対応する判定条件を特定し、(b)特定した判定条件に従って、集音された動作音の音響データに基づいて動作音において異音があるか否かを判定する。
【0042】
これにより、集音位置に応じた適切な判定条件が選択されるため、画像形成装置1の動作音における異音が正確に検出される。
【0043】
実施の形態2.
【0044】
図3は、本発明の実施の形態2に係るデバイス診断システムの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、実施の形態2では、画像形成装置1に距離センサー16は設けられておらず、ポータブル端末装置2は、集音位置ガイド部2dを備えている。
【0045】
集音位置ガイド部2dは、(a)上述の所定の複数の集音位置からユーザーにより選択された集音位置を、ポータブル端末装置2に対するユーザー操作に基づいて特定し、(b)特定した集音位置(つまり、ユーザーにより選択された集音位置)にポータブル端末装置1がユーザーによって配置されるようにユーザーをガイドする。
【0046】
また、実施の形態2では、測定データ取得部22は、通信インターフェイス13を使用して、ポータブル端末装置2から上述の音響データとともに集音位置情報を受信する。集音位置情報は、上述の特定した集音位置(つまり、ユーザーにより選択された集音位置)を示す情報である。
【0047】
また、実施の形態2では、異音判定部23は、(a)受信した集音位置情報(つまり、選択された集音位置)に対応する判定条件を特定し、(b)特定した判定条件に従って、受信した動作音の音響データに基づいて画像形成装置1の動作音において異音があるか否かを判定する。
【0048】
次に、実施の形態2に係るデバイス診断システムの動作について説明する。
図4は、実施の形態2に係るデバイス診断システムの動作について説明するシーケンス図である。
【0049】
ユーザーが所定のユーザー操作を画像形成装置1のユーザーインターフェイス12に対して行うと、以下の診断モードが開始される(ステップS11)。
【0050】
診断モードが開始されると、画像形成装置1の測定処理部21は、通信インターフェイス13を使用して、アプリケーション起動要求を送信する(ステップS12)。ポータブル端末装置2は、通信装置2bを使用して、そのアプリケーション起動要求を受信すると、そのアプリケーション起動要求により指定されたアプリケーションを起動する。これにより、上述の集音部2cおよび集音位置ガイド部2dを含むアプリケーションが起動される。
【0051】
ポータブル端末装置2では、集音位置ガイド部2dは、(a)集音位置の選択画面をディスプレイ(図示せず)に表示し、(b)タッチパネルなどの入力装置で、集音位置を選択するユーザー操作を検出し、(c)そのユーザー操作により指定された集音位置を選択する(ステップS13)。
【0052】
次に、集音位置ガイド部2dは、選択した集音位置に当該ポータブル端末装置2が配置されるようにユーザーに対して、上述のガイドメッセージをポータブル端末装置2のディスプレイに表示する(ステップS14)。例えば、集音位置ガイド部2dは、ユーザーがその集音位置に当該ポータブル端末装置2を配置したことを示すユーザー操作がポータブル端末装置2の入力装置で検出されると、選択した集音位置に当該ポータブル端末装置2が配置されたと判定する。
【0053】
なお、その際、集音位置ガイド部2dは、通信装置2bを使用して、当該ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離(例えば2メートル)以内に位置しているか否かを判定し、当該ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離以内に位置していない場合には、当該ポータブル端末装置2を画像形成装置1から所定距離以内に位置させるように促すメッセージをポータブル端末装置2のディスプレイでユーザーに対して表示する。この所定距離は、実施の形態1のものと同様である。
【0054】
そして、選択した集音位置に当該ポータブル端末装置2が配置されると、集音部2cは、通信装置2bを使用して、特定の動作を画像形成装置1に実行させる動作指令を送信する(ステップS15)。
【0055】
画像形成装置1において、測定制御部21は、通信インターフェイス13を使用して、その動作指令を受信し、その動作指令により指定されている特定の動作を内部装置11に実行させる(ステップS16)。
【0056】
他方、ポータブル端末装置2では、集音部2cは、動作指令の送信後、集音装置2aで画像形成装置1の動作音を所定期間、収集し、収集した動作音の音響データを生成する(ステップS17)。
【0057】
動作音の収集後、集音部2cは、選択された集音位置を示す集音位置情報およびその動作音の音響データを、通信装置2bで、画像形成装置1に送信する(ステップS18)。
【0058】
画像形成装置1において、測定データ取得部22は、通信インターフェイス13を使用して、その集音位置情報および音響データを受信し、異音判定部23は、判定条件データ14aを参照して、受信された集音位置情報の示す集音位置に対応する判定条件を特定し、特定した判定条件に従って、受信した音響データに基づく動作音に異音があるか否かを判定する(ステップS19)。
【0059】
なお、実施の形態1と同様に、測定制御部21は、動作開始を示す特定音響、または動作開始および動作終了を示す特定音響をスピーカーから出力させ、異音判定部23は、音響データにおいて、特定音響に基づく期間を除外して、動作音に異音があるか否かを判定するようにしてもよい。また、その動作音に異音があると判定された場合には、その異音に対応する異常箇所や異常原因が特定され、診断結果として表示装置12aに表示されたり、記憶装置14に記憶されたりしてもよい。
【0060】
なお、実施の形態2に係るデバイス診断システムのその他の構成および動作については、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
実施の形態3.
【0062】
実施の形態3では、ポータブル端末装置2に、距離センサー、および距離センサーで測距を行う測距アプリケーションがインストールされており、集音位置ガイド部2dは、実施の形態2のように通信装置2bの代わりに、その測距アプリケーションを使用して、当該ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離(例えば2メートル)以内に位置しているか否かを判定する。なお、測距アプリケーションは、集音位置ガイド部2dが自動的に起動してもよいし、ユーザーが手動で起動するようにしてもよい。
【0063】
また、ユーザーが、実施の形態2のように通信装置2bを使用して、当該ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離以内に位置しているか否かを判定するか(第1判定モード)、その測距アプリケーションを使用して、当該ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離以内に位置しているか否かを判定するか(第2判定モード)を選択するようにしてもよい。その場合、集音位置ガイド部2dは、その選択のためのユーザー操作に従って、第1判定モードおよび第2判定モードのいずれかを選択し、選択した判定モードで、当該ポータブル端末装置2が画像形成装置1から所定距離以内に位置しているか否かを判定する。
【0064】
なお、実施の形態3に係るデバイス診断システムのその他の構成および動作については、実施の形態2と同様であるので、その説明を省略する。
【0065】
実施の形態4.
【0066】
実施の形態2では、測定制御部21、測定データ取得部22、および異音判定部23は、画像形成装置1に内蔵されているが、画像形成装置1とは別のデバイス(ネットワーク上のサーバーなど)に内蔵されていてもよい。
【0067】
なお、実施の形態4に係るデバイス診断システムのその他の構成および動作については、実施の形態2または3と同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、画像形成装置などの異常箇所の検出や予測に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
2 ポータブル端末装置
14 記憶装置
14a 集音条件データ