(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158065
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】無線通信変換器および巡回型検針システム
(51)【国際特許分類】
G08C 15/00 20060101AFI20241031BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20241031BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241031BHJP
G06F 21/60 20130101ALI20241031BHJP
【FI】
G08C15/00 B
G08C17/00 Z
H04Q9/00 311H
G06F21/60 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072914
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】塚田 悠司
(72)【発明者】
【氏名】平方 健吾
【テーマコード(参考)】
2F073
5K048
【Fターム(参考)】
2F073AA06
2F073AA07
2F073AA08
2F073AA09
2F073AB01
2F073AB02
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE13
2F073DE16
2F073EE11
2F073EF08
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
5K048AA15
5K048BA35
5K048DC01
5K048EB10
5K048FB09
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】従来に比して省電力化することができるとともに、検針員が巡回しながら自然にデータを収集することができる無線通信変換器を得ること。
【解決手段】無線通信変換器は、計量器と通信を行う計量器通信部と、携帯端末と無線通信を行う無線通信部と、計量器からの検針値の収集と携帯端末への検針値データの無線通信部を介した送信とを行うデータ管理部と、を備える。無線通信部は、携帯端末から次回収集日時データを含む設定データを受信した後にデータ送信モードに遷移して、計量器通信部が計量器から取得した検針値と検針値を収集した日時である検針日時とを含む検針値データを携帯端末に送信し、検針値データの送信を定められた期間実施した後にスリープモードに遷移して、動作を停止する。データ管理部は、現在時刻が次回収集日時データから得られる検針予約日時を経過すると計量器からの検針値を計量器通信部を介して収集する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量器と通信を行う計量器通信部と、
前記計量器の検針値を収集する携帯端末と無線通信を行う無線通信部と、
前記計量器からの前記検針値の収集と、前記携帯端末への前記検針値を含む検針値データの前記無線通信部を介した送信と、を行うデータ管理部と、
を備え、
前記無線通信部は、前記携帯端末から次回の前記検針値の収集日時を示す次回収集日時データを含む設定データを受信した後にデータ送信モードに遷移して、前記計量器通信部が前記計量器から取得した前記検針値と前記検針値を収集した日時である検針日時とを含む検針値データを前記携帯端末に送信し、前記検針値データの送信を定められた期間実施した後にスリープモードに遷移して、動作を停止し、
前記データ管理部は、現在時刻が前記次回収集日時データから得られる検針予約日時を経過すると前記計量器からの前記検針値を前記計量器通信部を介して収集することを特徴とする無線通信変換器。
【請求項2】
前記検針値データを暗号化した暗号化検針値データを生成する送信データ生成部と、
前記検針予約日時を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記データ管理部は、
前記携帯端末から受信した前記設定データに含まれている前記次回収集日時データから前記計量器に対して前記検針値を取得しに行く日時を示す前記検針予約日時を生成して前記記憶部に保存し、
現在時刻が前記検針予約日時を経過すると前記計量器から前記検針値を収集し、前記検針値から前記検針値データを生成し、前記送信データ生成部によって生成された前記暗号化検針値データを無手順の送信方法で前記無線通信部を介して前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信変換器。
【請求項3】
前記無線通信部は、
前記スリープモードのときに現在時刻が前記検針予約日時を経過し、前記データ管理部によって前記検針値が収集されると設定データ受信モードに遷移して、前記携帯端末から前記設定データを受信し、
前記設定データを受信し、前記設定データから生成される前記次回の検針予約日時で前記記憶部の前記検針予約日時が更新されると、前記データ送信モードに遷移することを特徴とする請求項2に記載の無線通信変換器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の無線通信変換器と、
前記携帯端末と、
を備え、
前記携帯端末は、
前記無線通信変換器と無線通信を行う無線通信部と、
前記検針値データを記憶する記憶部と、
前記無線通信変換器から前記無線通信部を介して受信する前記検針値データについて、前記検針値データ中の前記検針日時と、前記無線通信変換器から前記検針値を収集する日時を含む巡回スケジュール情報と、を用いて前記検針値データを前記記憶部に保存するか否かを判定するデータ管理部と、
を有することを特徴とする巡回型検針システム。
【請求項5】
前記携帯端末の前記データ管理部は、前記設定データを前記無線通信部を介して無手順の通信方法で送信することを特徴とする請求項4に記載の巡回型検針システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力、ガス、水道などの使用量のデータを収集する無線通信変換器および巡回型検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信機能を有し、電力使用量の検針値を無線通信にて検針員が所有する携帯端末へ送信する電力量計が普及している。特許文献1には、無線通信装置を有する電力量計から携帯端末に検針値を収集する場合に、携帯端末は、電力量計との無線通信が可能な範囲に入ると、無線通信装置と無線通信を開始して自動的に検針値を収集する技術が開示されている。また、特許文献2には、電力量計等の検針値を電力量計等に設けられる無線通信装置から顧客の携帯端末に近距離無線データ通信機能で送信し、顧客の携帯端末から検針値を事業者が管理するデータ収集システムへ送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/101419号
【特許文献2】特開2001-273581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの携帯端末を介して検針値を無線通信にて送受信する方式には、携帯端末側から検針値の取得を要求する検針値取得要求の送信を開始して電力量計等に設けられる無線通信装置との間の通信の接続を行って収集する接続方式と、検針値を保持している無線通信装置側が現在の検針値を一定周期で発呼し、この発呼データを携帯端末側で受信するビーコン方式と、がある。特許文献1に記載の技術のように検針員が巡回して検針値を収集する場合に、検針員が所有する携帯端末から検針値を保持する無線通信装置に対して都度接続してデータを収集する接続方式では、携帯端末側から検針値の取得の操作が必要であること、および接続自体に時間を要することから、収集に有意な時間がかかってしまう。このため、巡回をしながら自然とデータが収集されるシステムを実現することができないという問題があった。また、検針員が巡回して検針値を収集する場合にビーコン方式を適用した場合には、発呼間隔を短くすることで巡回をしながら自然と携帯端末にデータが集まるようなシステムとすることは可能であるが、電池駆動をしている無線通信装置が常にデータ送信を行うこととなる。このため、通信端末における電池消費が激しくなり、検針に求められる8年程度の電池駆動を達成することができないという問題があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、従来に比して省電力化することができるとともに、検針員が巡回しながら自然にデータを収集することができる無線通信変換器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る無線通信変換器は、計量器と通信を行う計量器通信部と、計量器の検針値を収集する携帯端末と無線通信を行う無線通信部と、計量器からの検針値の収集と、携帯端末への検針値を含む検針値データの無線通信部を介した送信と、を行うデータ管理部と、を備える。無線通信部は、携帯端末から次回の検針値の収集日時を示す次回収集日時データを含む設定データを受信した後にデータ送信モードに遷移して、計量器通信部が計量器から取得した検針値と検針値を収集した日時である検針日時とを含む検針値データを携帯端末に送信し、検針値データの送信を定められた期間実施した後にスリープモードに遷移して、動作を停止する。データ管理部は、現在時刻が次回収集日時データから得られる検針予約日時を経過すると計量器からの検針値を計量器通信部を介して収集する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、従来に比して省電力化することができるとともに、検針員が巡回しながら自然にデータを収集することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る巡回型検針システムの構成の一例を模式的に示す図
【
図2】実施の形態1に係る巡回型検針システムを構成する携帯端末の機能構成の一例を模式的に示す図
【
図5】携帯端末の無線通信部の動作モードを説明するための状態遷移図
【
図6】実施の形態1に係る巡回型検針システムを構成する無線通信変換器の機能構成の一例を模式的に示す図
【
図7】無線通信変換器の無線通信部の動作モードを説明するための状態遷移図
【
図8】実施の形態1に係る巡回型検針システムを構成するメータの機能構成の一例を模式的に示す図
【
図9】携帯端末での次回巡回日時設定動作の手順の一例を示すフローチャート
【
図10】無線通信変換器での検針値収集動作の手順の一例を示すフローチャート
【
図11】無線通信変換器および携帯端末での巡回日時設定および検針値送信動作の手順の一例を示すフローチャート
【
図12】
図11の携帯端末の検針値データの判定処理の手順の一例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態1に係る携帯端末を実現するコンピュータシステムの構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態に係る無線通信変換器および巡回型検針システムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る巡回型検針システムの構成の一例を模式的に示す図である。
図1に示されるように、巡回型検針システム100は、検針員による検針作業で使用される携帯端末1と、需要家における水道、ガス、熱量などの使用量を計測する計量器である1台以上のメータ2と、メータ2から使用量を示す検針値を収集して携帯端末1へ無線通信によってデータ送信する1台以上の無線通信変換器3と、を備える。この例では、無線通信変換器3の無線通信は、Bluetooth(登録商標)方式で行われるものとするが、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4等の他方式で行われてもよい。熱量の一例は電力量である。
【0011】
携帯端末1は、メータ2の検針値を収集する装置であり、水道、ガス、熱量などの使用量の検針を行う検針員が所持する無線通信機能を有する携帯可能な情報処理端末である。携帯端末1の一例は、スマートフォン、タブレット端末などの汎用の携帯機器、計量器の検針専用のハンディ端末である。つまり、携帯端末1は、検針作業で必要な機能を実現するためのデータ収集プログラムを実行することにより実現される情報処理端末である。
【0012】
メータ2は、電気的に駆動されるとともに、無線通信変換器3とシリアル通信線などの通信線4を介して接続され、設定されたある時刻におけるメータ2の値である検針値を無線通信変換器3に送信する。この例では、メータ2が、電池駆動され、検針値をシリアル通信等で無線通信変換器3に送信する水道メータ、ガスメータおよび熱量計である場合を想定する。なお、電池駆動ではない水道メータ、ガスメータ、熱量計等であっても、検針値を読み取り、無線通信変換器3に検針値を送信することができるものであればよい。無線通信変換器3が各メータ2と通信線4を介して接続されるが、無線通信変換器3とメータ2とを結ぶ通信線4は、チャンネルとも称される。
【0013】
無線通信変換器3は、通信線4を介してメータ2から検針値を取得し、取得した検針値を保持することができる。また、無線通信変換器3は、無線通信によって携帯端末1への検針値の送信、および携帯端末1からの次回の検針日時に関する設定データの受信を行う。ここでは、1つの需要家の複数のメータ2に対して1つの無線通信変換器3が設けられる例が示されているが、1つのメータ2に対して1つの無線通信変換器3が設けられてもよい。
【0014】
つづいて、巡回型検針システム100を構成する各装置について、詳しく説明する。
図2は、実施の形態1に係る巡回型検針システムを構成する携帯端末の機能構成の一例を模式的に示す図である。携帯端末1は、検針を行うための種々のデータを記憶する記憶部11と、検針値データおよびメータ2の管理を行うデータ管理部12と、無線通信変換器3と無線通信を行う無線通信部13と、種々のデータの表示および入力を行う画面表示部14と、を備える。
【0015】
記憶部11は、通信許可リスト111と、検針値データ112と、巡回スケジュール情報113と、を記憶する。
【0016】
通信許可リスト111は、巡回型検針システム100が検針対象とするメータ2に接続される無線通信変換器3を識別する情報である変換器IDと、変換器IDで識別される無線通信変換器3に接続されるメータ2を識別する情報であるメータ識別データと、を含む。つまり、通信許可リスト111は、変換器IDとメータ識別データとを対応付ける情報である。メータ識別データは、変換器IDと、変換器IDで識別される無線通信変換器3のチャンネルを識別する情報であるチャンネル識別子と、チャンネル識別子で識別されるチャンネルに接続されるメータ2の計量種別を示す計量種別識別子と、の組み合わせからなるデータである。メータ2の計量種別は、水道、ガス、熱量などである。
【0017】
検針値データ112は、収集した検針値等を含むデータである。具体的には、検針値データ112は、無線通信変換器3から収集した検針値データに対して、送信元である無線通信変換器3の変換器ID、検針日時およびメータ識別データが紐づけられた形のデータである。
【0018】
巡回スケジュール情報113は、検針員が検針値データを収集する日時のデータである巡回スケジュールを示す情報である。一例では、巡回スケジュール情報113は、無線通信変換器3がメータ2から検針値を収集する日時を示す収集日時データと、該当する変換器IDと、を組み合わせたデータである。巡回スケジュール情報113は、これから行う巡回についてのスケジュールのほか、次回行う巡回スケジュールも含む。また、過去に行われた巡回スケジュールを含んでいてもよい。
【0019】
データ管理部12は、データ収集部121と、データ判定部122と、データ設定部123と、を備える。
【0020】
データ収集部121は、無線通信部13を介して無線通信変換器3から受信した暗号化検針値データを収集する。後述するように、無線通信変換器3は、メータ2から検針値を収集しており、検針値を含む検針値データを暗号化した暗号化検針値データを携帯端末1に送信する。検針値データは、上記したように検針値と、変換器IDと、検針日時と、メータ識別データと、を有する。検針日時は、メータ2が検針値を取得した日時情報である。検針日時は、年、月、日、時間、分を含むことが望ましい。データ収集部121は、収集した暗号化検針値データを復号化し、復号化した平文の検針値データをデータ判定部122へ引き渡す。データ収集部121は、暗号化検針値データを復号化する際に使用する復号キーを保持している。以下では、検針値データは、暗号化されていない平文の検針値データを意味するものとする。
【0021】
データ判定部122は、検針値データ中の検針日時と記憶部11に記憶されている巡回スケジュール情報113とを用いて復号化した検針値データを保存するか否かを判定する。具体的には、データ判定部122は、データ収集部121からの検針値データに含まれる変換器IDおよび検針日時を用いて、検針値データを採用するか否かを判定し、採用する場合に検針値データを記憶部11に記憶する。一例では、データ判定部122は、データ収集部121からの検針値データに含まれる変換器IDが記憶部11の通信許可リスト111に存在するかを判定する。通信許可リスト111は、携帯端末1と通信が可能な無線通信変換器3の変換器IDを含む情報である。変換器IDが通信許可リスト111にある場合には、データ判定部122は、検針値データの検針日時と、記憶部11に記憶されている巡回スケジュール情報113の該当する変換器IDの収集日時データと、を比較し、両者の差が定められた値未満であるかを判定する。両者の差が定められた値未満である場合には、データ判定部122は、データ収集部121で収集された検針値データを記憶部11に保存する。両者の差が定められた値よりも大きい場合には、データ収集部121で収集された検針値データを破棄する。定められた値は、両者の差が誤差の範囲であるとすることができる値である。
【0022】
データ設定部123は、無線通信変換器3に次回の検針値データの収集日時等の設定を行う。具体的には、データ設定部123は、記憶部11に記憶されている巡回スケジュール情報113から、次回の巡回スケジュール情報、すなわち変換器IDに対応する次回の検針値の収集日時を示す次回収集日時データを読み出し、変換器IDと次回収集日時データとを組み合わせた設定データを生成する。データ設定部123は、生成した設定データを無線通信変換器3に無線通信部13を介して送信する。設定データは、変換器IDおよび次回収集日時データのほかに、現在時刻を有していてもよい。また、次回収集日時データは、巡回スケジュール情報113中の収集日時データのうち、現在時刻よりも未来の収集日時データである。
【0023】
無線通信部13は、無線通信変換器3を対象として定められた通信方式で無線通信を行う。実施の形態1で使用する無線通信の方式はブロードキャストなどの無手順によるデータ送信が行えるものである。無線通信部13は、無線通信変換器3から暗号化検針値データを受信すると、受信処理した暗号化検針値データをデータ収集部121に渡す。また、無線通信部13は、データ設定部123から設定データを受けると、設定データを無線通信変換器3に無手順方式によって送信する。一例では、無線通信部13は、個々の無線通信変換器3を宛先にして設定データの送信を行うのではなく、パケットのデータ部分に、変換器IDと次回収集日時データとを組み合わせた設定データを格納し、ブロードキャスト等の方法によって設定データを含むデータの送信を行う。1つのパケットに1つの設定データが含まれるものであってもよいし、1つのパケットに複数の設定データが含まれるものであってもよい。無線通信方式がBluetoothである場合には、無線通信部13は、アドバタイズデータに設定データを含めてブロードキャストで送信する。
【0024】
画面表示部14は、情報を表示する表示部と、情報を入力する入力部と、を有する。画面表示部14は、表示部と入力部とが別々に構成されるものであってもよいが、表示部と入力部とが一体的に構成されたタッチパネルであってもよい。画面表示部14は、巡回スケジュール設定画面141、変換器ID設定画面142などの表示画面を表示する。また、画面表示部14は、表示画面に入力され、決定された内容を記憶部11に記憶する。
【0025】
巡回スケジュール設定画面141は、検針員が各無線通信変換器3に対して巡回を行うスケジュールを設定する画面である。
図3は、巡回スケジュール設定画面の一例を示す図である。
図3に示されるように、巡回スケジュール設定画面141では、変換器ID設定欄1411と、収集日時設定欄1412と、を有する。変換器ID設定欄1411は、無線通信変換器3の変換器IDを表示する欄である。一例では、記憶部11の通信許可リスト111に登録されている無線通信変換器3の変換器IDが読み出されて、それぞれの変換器ID設定欄1411に表示される。収集日時設定欄1412は、変換器IDで識別される無線通信変換器3に接続されるメータ2の検針を行う予定の日時を入力する欄である。1つの変換器ID設定欄1411に対して1つの収集日時設定欄1412が対応付けされている。設定されている各変換器IDに対して、それぞれ巡回日時を設定することができる。検針員によって巡回スケジュール設定画面141での設定が終了すると、画面表示部14は、巡回スケジュール設定画面141に入力された内容を、次回巡回スケジュール情報として記憶部11の巡回スケジュール情報113に保存する。なお、変換器IDに対応して収集日時設定欄1412に設定された収集日時は、次回収集日時データとなり、変換器ID設定欄1411に設定された変換器IDと合わせて設定データとなる。
【0026】
周期的に実行されるような巡回の場合には、画面表示部14は、最初に設定した巡回スケジュールと、実際に検針値を取得した検針日時の記録と、から、次の巡回スケジュールにおける次回収集日時データの候補を割り出す。一例では、画面表示部14は、検針日時の間隔を算出し、最後の検針日時または巡回スケジュール情報113の中の最新の収集日時データに算出した検針日時の間隔を加算した日時を次回収集日時データの候補とすることができる。画面表示部14は、次回収集日時データの候補を候補リストとして保存しておき、収集日時設定欄1412に候補リストの値を入力した巡回スケジュール設定画面141を表示してもよい。これによって、検針員による次回以降の入力を簡素化することができる。
【0027】
図2に戻り、変換器ID設定画面142は、検針員が携帯端末1で収集を行う対象となる変換器ID、および変換器IDが付された無線通信変換器3に接続されているメータ2の計量種別の登録を行う画面である。
図4は、変換器ID設定画面の一例を示す図である。変換器ID設定画面142は、無線通信変換器3のチャンネルに対してメータ2の計量種別の設定を行う画面である。これは、無線通信変換器3に接続されているメータ2を把握するために行う。
【0028】
図4に示されるように、変換器ID設定画面142は、変換器ID設定欄1421と、チャンネル設定欄1422と、計量種別設定欄1423と、を有する。変換器ID設定欄1421は、無線通信変換器3の変換器IDを表示する欄である。一例では、記憶部11の通信許可リスト111に登録されている無線通信変換器3の変換器IDが読み出されて、それぞれの変換器ID設定欄1421に表示される。または、検針員が個々の無線通信変換器3の変換器IDを変換器ID設定欄1421に入力してもよい。チャンネル設定欄1422は、変換器IDで識別される無線通信変換器3が有するチャンネルの識別情報であるチャンネル識別子を表示する欄である。計量種別設定欄1423は、変換器IDで識別される無線通信変換器3にチャンネル識別子で識別されるチャンネルを介して接続されるメータ2の計量種別を設定する欄である。一例では、計量種別設定欄1423には、水道、ガス、熱量などの計量種別を識別する識別子である計量種別識別子が入力される。変換器ID、チャンネル識別子および計量種別識別子の組み合わせは、メータ2を識別することができるので、メータ識別データと称される。検針員によって変換器ID設定画面142での設定が終了すると、変換器ID設定画面142で設定された内容は、記憶部11の通信許可リスト111に保存される。
【0029】
次に、携帯端末1の動作モードについて説明する。
図5は、携帯端末の無線通信部の動作モードを説明するための状態遷移図である。
図5に示されるように、無線通信部13は、動作モードとして設定データ送信モードM01とデータ収集モードM02とを有する。
【0030】
設定データ送信モードM01は、携帯端末1のデータ収集プログラムの起動後に遷移する状態である。設定データ送信モードM01では、設定データ送信モードM01への遷移時に記憶部11に保持されている次回収集日時データを含む設定データを一定間隔で送信し続ける。一方、データ収集モードM02では、無線通信変換器3が送信している検針値データの受信を待ち受けており、検針値データを受信した場合には、検針結果である検針値データを保存する。この検針結果の保存に関する動作の詳細は後述する。
【0031】
各動作モード間の遷移について説明する。データ収集プログラムは、起動後の初期化処理を実行した後(P01)、設定データ送信モードM01へと遷移する。設定データ送信モードM01の状態がX秒の間継続される。設定データ送信モードM01への遷移からX秒経過すると(P02)、データ収集モードM02へと遷移する。データ収集モードM02では無線通信変換器3から送信されるデータの受信および検針結果の保存が行われる(P03)。データ収集モードM02の状態は、X秒の間継続される。データ収集モードM02への遷移からX秒経過すると(P04)、設定データ送信モードM01へと遷移する。この後、同様の動作モードの遷移が繰り返し実行される。
【0032】
図6は、実施の形態1に係る巡回型検針システムを構成する無線通信変換器の機能構成の一例を模式的に示す図である。無線通信変換器3は、無線通信変換器3で送受信されるデータの管理を行うデータ管理部31と、携帯端末1との間で無線通信を行う無線通信部32と、メータ2との間で通信を行うシリアル通信部33と、携帯端末1との間の送受信で必要なデータを記憶する記憶部34と、検針値データを暗号化して検針値暗号化データを生成する送信データ生成部35と、を備える。
【0033】
データ管理部31は、メータ2からの検針値の収集、携帯端末1への検針値データの送信等を行う。データ管理部31は、データ収集部311と、データ送信処理部312と、データ受信処理部313と、を備える。
【0034】
データ収集部311は、シリアル通信部33を介してメータ2から検針値を収集し、検針値と検針値を収集した日時である検針日時とを含む検針値データを生成する。具体的には、データ収集部311は、現在時刻が記憶部34に記憶されている収集日時データ343に格納されている日時である検針予約日時を経過すると、シリアル通信部33を介してメータ2から検針値を収集する。また、データ収集部311は、変換器ID、メータ2から検針値データを取得した検針日時およびメータ識別データを収集した検針値に紐づけた検針値データ342を生成し、記憶部34に保存する。
【0035】
データ送信処理部312は、送信データ生成部35によって生成された暗号化検針値データを無手順の送信方法で携帯端末1に送信させる処理を無線通信部32に実行させる。データ送信処理部312は、一例では、暗号化検針値データを一定周期でブロードキャストする。
【0036】
データ受信処理部313は、無線通信部32を介して携帯端末1から受信した設定データに含まれている次回収集日時データから得られる検針予約日時を生成し、検針予約日時を収集日時データ343として記憶部34に保存する。ここでは、検針予約日時は、次回収集日時データよりも定められた時間だけ前となる日時である。これは、次回収集日時データに検針員が巡回してきた場合に予め検針値を収集しておく必要があること、また検針員の巡回に時間的な誤差があること、を考慮したものである。ただし、これは一例であり、検針予約日時を、受信した次回収集日時データと同じ日時としてもよい。記憶部34に収集日時データ343が記憶されている場合には、受信した設定データに含まれている収集日時データ343で既に記憶されている収集日時データ343を更新する。以下では、収集日時データ343に含まれる収集日時は、検針予約日時とも称される。
【0037】
無線通信部32は、携帯端末1を対象として定められた通信方式で無線通信を行い、携帯端末1との間で検針値データ、設定データ等の送受信を行う。携帯端末1の無線通信部13のところでも説明したように、使用する無線通信の方式はブロードキャストなどの無手順によるデータ送信が行えるものである。無線通信部32は、検針値データを送信する場合には、データ送信処理部312からの指示にしたがって検針値データを含む暗号化検針値データを送信する。
【0038】
シリアル通信部33は、シリアル通信線によってメータ2と接続され、メータ2から送信される検針値を受信する。つまり、シリアル通信部33は、メータ2とシリアル通信線による有線通信を行い、検針値を取得する。一例では、シリアル通信部33は、データ収集部311からの指示にしたがって、検針値の取得を要求する検針値取得要求をメータ2に送信する。また、シリアル通信部33は、メータ2から検針値取得要求に対する応答である検針値取得応答を受信し、受信した検針値取得応答に含まれる検針値をデータ収集部311に渡す。シリアル通信部33は、計量器通信部に対応する。
【0039】
記憶部34は、検針値データを携帯端末1に送信する際に必要なデータを記憶する。記憶部34は、変換器IDデータ341と、検針値データ342と、収集日時データ343と、を記憶する。変換器IDデータ341は、無線通信変換器3に固有の識別子である変換器IDである。検針値データ342は、データ収集部311によって生成されたデータであり、検針値、変換器ID、検針日時およびメータ識別データを有する。収集日時データ343は、無線通信変換器3がメータ2に対して検針値を取得しに行く日時を示すデータであり、ここでは検針予約日時である。
【0040】
送信データ生成部35は、記憶部34に記憶された検針値データ342を暗号化した暗号化検針値データを生成する。無線通信変換器3から携帯端末1までの間に無線通信で検針値データが送信されることになるが、悪意のある第三者によって検針値データが盗まれたり、攻撃されたりすることを抑制するために、暗号化処理がなされる。送信データ生成部35は、携帯端末1のデータ収集部121が有する復号キーに対応した暗号キーを有し、この暗号キーを用いて暗号化を行う。
【0041】
図7は、無線通信変換器の無線通信部の動作モードを説明するための状態遷移図である。
図7に示されるように、無線通信部32は、スリープモードM03と、設定データ受信モードM04と、データ送信モードM05と、を有する。
【0042】
スリープモードM03では、無線通信変換器3は無線通信の送受信は行わず、現在日時の監視のみを行っている。このため、スリープモードM03では、消費電力の削減を行うことができる。現在日時の監視は、無線通信変換器3が内部に有する時計を用いて行われるものであってもよいし、携帯端末1が送信する設定データに含まれる現在時刻を用いるものであってもよい。
【0043】
設定データ受信モードM04では、携帯端末1が送信する設定データを待ち受けている。データ送信モードM05では、後述する自動収集動作で取得した検針値および変換器IDを含み、暗号化された暗号化検針値データを一定間隔で送信する。設定データ受信モードM04およびデータ送信モードM05は、収集日時データ343である検針予約日時から定められた期間だけ実行される。
【0044】
次に遷移について説明する。無線通信変換器3は起動後に初期化処理を実行した後(P05)、スリープモードM03へと遷移する。現在日時が、次回巡回スケジュールの次回収集日時データよりもZ分前となる検針予約日時を経過すると、接続しているメータ2から検針値を取得して(P06)、設定データ受信モードM04へと遷移する。設定データ受信モードM04では、携帯端末1が送信する設定データを受信し、設定データに自身の変換器IDが含まれている場合に、変換器IDに対応する次回巡回スケジュールよりもZ分前となる検針予約日時を収集日時データ343として記憶部34に保存し(P07)、データ送信モードM05へ遷移する。データ送信モードM05では、暗号化検針値データを一定間隔で送信する。データ送信モードM05に遷移してからY秒経過すると(P08)、スリープモードM03へと遷移する。
【0045】
このように、無線通信部32は、携帯端末1から次回の検針値の収集日時を示す次回収集日時データを含む設定データを受信した後にデータ送信モードM05に遷移して、シリアル通信部33がメータ2から取得した検針値と検針値を収集した日時である検針日時とを含む検針値データを携帯端末1に送信し、検針値データの送信を定められた期間実施した後にスリープモードM03に遷移して、動作を停止する。また、無線通信部32は、スリープモードM03のときに現在時刻が検針予約日時を経過し、データ管理部31によって検針値が収集されると設定データ受信モードM04に遷移し、携帯端末1から設定データを受信する。さらに、無線通信部32は、設定データを受信し、設定データから次回の検針予約日時で記憶部34の収集日時データ343、すなわち検針予約日時を更新すると、データ送信モードM05に遷移する。
【0046】
図8は、実施の形態1に係る巡回型検針システムを構成するメータの機能構成の一例を模式的に示す図である。メータ2は、検針部21と、送信データ生成部22と、データ送信処理部23と、シリアル通信部24と、を備える。
【0047】
検針部21は、メータ2が設置される需要家における水道、ガス、熱量などの使用量を計測する。検針部21は、無線通信変換器3から検針値取得要求を受けると、メータ2の使用量を計測した検針値を取得する。
【0048】
送信データ生成部22は、検針部21で計測された検針値を無線通信変換器3へ送信する送信用データを生成する。具体的には、送信データ生成部22は、送信用データとして計測された検針値を含む検針値取得応答を生成する。
【0049】
データ送信処理部23は、送信データ生成部22で生成された送信用データである検針値取得応答をシリアル通信線を介して無線通信変換器3へと送信する処理をシリアル通信部24に実行させる。
【0050】
シリアル通信部24は、無線通信変換器3のシリアル通信部33とシリアル通信線を介して接続され、無線通信変換器3とシリアル通信線による有線通信を行う。シリアル通信部24は、データ送信処理部23で生成された検針値を含む検針値取得応答をシリアル通信の規格にしたがって無線通信変換器3に送信する。
【0051】
つづいて、巡回型検針システム100の全体動作について、詳細に説明する。巡回型検針システム100の全体動作には、検針員が携帯端末1に対して次回の巡回スケジュールを設定する動作である次回巡回日時設定動作と、無線通信変換器3がメータ2から自動的に検針値を収集する動作である検針値収集動作と、携帯端末1が無線通信変換器3に対して次回巡回日時を設定し、無線通信変換器3が携帯端末1へ検針値データを送信する動作である巡回日時設定および検針値送信動作と、が含まれる。以下では、巡回型検針システム100の動作をこれらの3つの動作に分けて説明を行う。
【0052】
<次回巡回日時設定動作>
図9は、携帯端末での次回巡回日時設定動作の手順の一例を示すフローチャートである。次回巡回日時設定動作では、検針員によって画面表示部14を介して次回の巡回スケジュールである次回収集日時が入力される。一例では、画面表示部14は
図3に示されるような巡回スケジュール設定画面141を表示し、検針員は変換器IDごとに次回巡回する予定の年月日時分を入力する。検針員による入力が完了すると、画面表示部14は、入力された内容である次回の巡回スケジュールを巡回スケジュール情報113として記憶部11に保存する(ステップS11)。その後、データ設定部123は、巡回スケジュール情報113から設定データを生成する(ステップS12)。一例では、データ設定部123は、巡回スケジュール情報113の次回の巡回スケジュールに対応する変換器IDおよび次回収集日時データを含む設定データを生成する。以上で、処理が終了する。
【0053】
<検針値収集動作>
図10は、無線通信変換器での検針値収集動作の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、無線通信変換器3の無線通信部32はスリープモードM03にあるものとする。無線通信変換器3の無線通信部32は、記憶部34の収集日時データ343で示される検針予約日時が経過したかを判定する(ステップS31)。検針予約日時は、
図9に示される次回巡回日時設定動作で、携帯端末1から取得した次回収集日時データに基づいて予め設定されるものである。検針予約日時が経過していない場合(ステップS31でNoの場合)には、検針予約日時が経過するまで待機する。
【0054】
検針予約日時が経過した場合(ステップS31でYesの場合)には、データ収集部311は、メータ2に対して検針値の取得を要求する検針値取得要求をシリアル通信部33を介して送信する(ステップS32)。無線通信変換器3に接続されているメータ2のシリアル通信部24は、検針値取得要求を受信し(ステップS33)、検針部21は、メータ2の検針値を取得する(ステップS34)。送信データ生成部22は、メータ2の検針値を含む検針値取得応答を生成する(ステップS35)。データ送信処理部23は、シリアル通信部24を介して検針値取得応答を無線通信変換器3に送信する(ステップS36)。そして、無線通信変換器3のデータ収集部311は、無線通信部32を介して検針値取得応答を受信する(ステップS37)。
【0055】
データ収集部311は、受信した検針値取得応答に含まれる検針値に変換器ID、検針日時およびメータ識別データを紐づけた検針値データを生成し(ステップS38)、生成した検針値データで記憶部34の検針値データ342を更新する(ステップS39)。その後、無線通信部32は、
図7に示されるように、スリープモードM03から設定データ受信モードM04へと遷移する(ステップS40)。以上で、検針値収集動作が終了する。その後、次の巡回日時設定および検針値送信動作へと続く動作が行われる。
【0056】
<巡回日時設定および検針値送信動作>
図11は、無線通信変換器および携帯端末での巡回日時設定および検針値送信動作の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、携帯端末1および無線通信変換器3との間でデータの送受信がなされるが、別々に動作を説明する。
【0057】
まず、携帯端末1について説明する。ここでは、携帯端末1は、設定データ送信モードM01であるものとする。無線通信部13は、設定データをブロードキャストなどの無手順の送信方法にて無線通信変換器3へ送信し続ける(ステップS51)。送信する設定データは、変換器IDと次回収集日時データとが対の形となったデータを含む。また、設定データは、現在時刻を含んでいてもよい。ブロードキャスト方式の場合には宛先指定ができないため、送信するデータとして変換器IDと次回収集日時データとが対になったものをまとめて送信している。通信方式によっては送信パケット長さに制約が発生する場合もある。この場合には、一例では、変換器IDをいくつかのグループに分けて、巡回スケジュールが近いものを優先的にブロードキャストなどで送信する。無線通信部13は、無線通信方式がBluetoothである場合には、設定データを含む無線信号をアドバタイズデータとして決められた周期でブロードキャストする。アドバタイズデータは、ビーコンとも呼ばれる。
【0058】
次いで、無線通信部13は、設定データ送信中の状態がX秒以上経過したかを判定する(ステップS52)。X秒以上経過していない場合(ステップS52でNoの場合)には、ステップS51に処理が戻る。
【0059】
X秒以上経過した場合(ステップS52でYesの場合)には、無線通信部13は、データ収集モードM02へ遷移する(ステップS53)。データ収集モードM02への遷移によって、無線通信部13は、設定データ送信を停止する。その後、データ収集部121は、無線通信部13を介して無線通信変換器3から暗号化検針値データを受信する(ステップS54)。次いで、データ判定部122は、暗号化検針値データを復号化し、検針値データの判定処理を行う(ステップS55)。
【0060】
ここで、ステップS55の検針値データの判定処理の詳細について説明する。
図12は、
図11の携帯端末の検針値データの判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0061】
データ判定部122は、
図11のステップS55で復号化した検針値データ中の変換器IDと通信許可リスト111との照合を行い(ステップS91)、変換器IDが通信許可リスト111に存在するかを判定する(ステップS92)。変換器IDが通信許可リスト111に存在する場合(ステップS92でYesの場合)には、データ判定部122は、ステップS55で復号化した検針値データの検針日時と、携帯端末1が当該無線通信変換器3に設定した次回収集日時データとの時間差を計算し(ステップS93)、時間差の絶対値が決められた値A未満であるかを判定する(ステップS94)。次回収集日時データは、ステップS51で携帯端末1が設定データの送信を行う前に無線通信変換器3に設定していた次回収集日時データである。データ判定部122は、次回収集日時データとして、検針値データの判定処理を行っている日と同じで、対応する変換器IDの次回収集日時データを巡回スケジュール情報113から取得する。
【0062】
時間差の絶対値が決められた値A未満である場合(ステップS94でYesの場合)には、データ判定部122は、ステップS55で復号化した検針値データの変換器IDおよび検針日時と、記憶部11に記憶されている巡回スケジュール情報113と、の照合を行い(ステップS95)、検針値データ112が未取得であるかを判定する(ステップS96)。つまり、対象巡回日時の検針値データの収集履歴を照会し、対象巡回日時の検針値データ112が既に取得されているかを判定する。
【0063】
検針値データ112が未取得である場合(ステップS96でYesの場合)には、データ判定部122は、対象の検針値データを採用すると判定し(ステップS97)。その後、
図11へと処理が戻る。
【0064】
ステップS92で変換器IDが通信許可リスト111に存在しない場合(ステップS92でNoの場合)、時間差の絶対値が決められた値A以上である場合(ステップS94でNoの場合)、または検針値データ112が取得済みである場合(ステップS96でNoの場合)には、データ判定部122は、対象の検針値データを破棄すると判定する(ステップS98)。その後、
図11へと処理が戻る。
【0065】
図11に戻り、ステップS55で検針値データの判定処理の結果、データ判定部122は、対象の検針値データは採用となったかを判定する(ステップS56)。採用となった場合(ステップS56でYesの場合)には、データ判定部122は、対象の検針値データを記憶部11に保存する(ステップS57)。採用ではない場合、すなわち破棄となった場合(ステップS56でNoの場合)には、データ判定部122は、対象の検針値データを保存しない。
【0066】
その後またはステップS57の後に、無線通信部13は、データ収集モードM02へ遷移してからX秒以上経過したかを判定する(ステップS58)。X秒以上経過していない場合(ステップS58でNoの場合)には、処理がステップS54に戻り、無線通信変換器3からの検針値データを受信するまで待機する。X秒以上経過している場合(ステップS58でYesの場合)には、無線通信部13は、設定データ送信モードM01へと遷移し(ステップS59)、再びステップS51からの動作を繰り返す。以上の携帯端末1におけるステップS51からステップS59までの処理がデータ収集方法に対応する。
【0067】
次に、無線通信変換器3の動作について説明する。このとき、無線通信変換器3は設定データ受信モードM04の状態にある。無線通信変換器3の無線通信部32は、携帯端末1から送信された設定データの受信を行う(ステップS71)。次いで、データ受信処理部313は、受信した設定データから自身に設定されている変換器IDに該当する次回収集日時データを抽出する(ステップS72)。次いで、データ受信処理部313は、抽出した次回収集日時データから検針予約日時を算出し、検針予約日時で記憶部34の収集日時データ343を更新する(ステップS73)。
【0068】
記憶部34の収集日時データ343の更新が行われると、無線通信部32は、データ送信モードM05へと遷移する(ステップS74)。その後、データ送信処理部312は、メータ2から予め収集しておいた検針値データ342を暗号化した暗号化検針値データをブロードキャストなどの無手順の送信方法で無線通信部32を介して送信する(ステップS75)。その後、無線通信部32は、データ送信モードM05へ遷移してからY秒経過したかを判定する(ステップS76)。Y秒経過していない場合(ステップS76でNoの場合)には、処理がステップS75に戻る。そして、Y秒経過するまで、暗号化針値データを送信し続ける。
【0069】
Y秒経過した場合(ステップS76でYesの場合)には、無線通信部32は、スリープモードM03へ遷移する(ステップS77)。スリープモードM03へ遷移すると、無線通信部32は動作を停止する。スリープモードM03の後は、
図10で説明した検針値収集動作へと続く動作を行う。
【0070】
ここで、携帯端末1のハードウェア構成について説明する。実施の形態1の携帯端末1は、コンピュータシステム上で、携帯端末1における処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが携帯端末1として機能する。
【0071】
図13は、実施の形態1に係る携帯端末を実現するコンピュータシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図13に示されるように、このコンピュータシステムは、制御部901と、入力部902と、記憶部903と、表示部904と、通信部905と、出力部906と、を備え、これらはシステムバス907を介して接続されている。
【0072】
図13において、制御部901は、一例では、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、実施の形態1の携帯端末1における処理が記述されたプログラムを実行する。一例では、
図11のステップS51からステップS59までの処理が記述されたプログラムがデータ収集プログラムとなる。入力部902は、一例ではキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部903は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部901が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータなどを記憶する。また、記憶部903は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部904は、ディスプレイ、液晶表示パネルなどで構成され、コンピュータシステムのユーザに対して各種画面を表示する。一例では、入力部902と表示部904とが一体的に形成されたタッチパネルで入力部902および表示部904が構成されていてもよい。通信部905は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部906は、プリンタ、スピーカなどである。なお、
図13は、一例であり、コンピュータシステムの構成は
図13の例に限定されない。
【0073】
プログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部903にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部903から読み出されたプログラムが記憶部903の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部901は、記憶部903に格納されたプログラムに従って、実施の形態1の携帯端末1としての処理を実行する。
【0074】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、携帯端末1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部905を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0075】
図2に示した携帯端末1のデータ管理部12は、
図13に示した記憶部903に記憶されたプログラムが
図13に示した制御部901により実行されることによって実現される。データ管理部12の実現には、
図13に示した記憶部903も用いられる。記憶部11は、
図13に示した記憶部903によって実現される。無線通信部13は、
図13に示した通信部905によって実現される。画面表示部14は、
図13に示した入力部902および表示部904によって実現される。
【0076】
つぎに、無線通信変換器3のハードウェア構成について説明する。無線通信変換器3は、専用の処理回路によって実現される。
図14は、専用の処理回路の一例を示すブロック図である。
図14に示した専用の処理回路は、プロセッサ951、メモリ952および通信回路953を備える。
【0077】
演算装置であるプロセッサ951は、一例では、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはDSP(Digital Signal Processor)等である。記憶部であるメモリ952は、一例では、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク等が該当する。通信回路953は、通信を行うことが可能な送受信機である。なお、
図14は、一例であり、専用の処理回路の構成は
図14の例に限定されない。
【0078】
無線通信変換器3は、無線通信変換器3が実行する処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが専用の処理回路で実行されることによって実現される。具体的には、プログラムがメモリ952にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、メモリ952から読み出されたプログラムがメモリ952の一次記憶領域に格納される。この状態で、プロセッサ951は、メモリ952に格納されたプログラムに従って、実施の形態1に係る無線通信変換器3としての処理を実行する。なお、上記プログラムは記録媒体により提供されてもよいし、通信回路953を経由して伝送媒体により提供されてもよい。
【0079】
図6に示した無線通信変換器3のデータ管理部31および送信データ生成部35は、
図14に示したメモリ952に記憶されたプログラムがプロセッサ951によって実行されることにより実現される。また、データ管理部31および送信データ生成部35の実現にはメモリ952も用いられる。
図6に示した無線通信部32およびシリアル通信部33は、
図14に示した通信回路953によって実現される。
図6に示した記憶部34は、メモリ952によって実現される。
【0080】
次に実施の形態1による効果について説明する。次回巡回日時設定動作において、携帯端末1と無線通信変換器3とが、事前に設定された巡回日時スケジュールに同期して、それぞれブロードキャストなどの無手順動作を実行するようにした。これによって、都度、通信セッションを張るような手順型の通信に比べて早くデータを取得できるとともに、歩行速度程度での巡回時でも自然にデータ収集を行うことができる。
【0081】
加えて、無手順型でデータのやり取りを行う場合、通信相手がデータを取得するタイミングが不定であることから、送信側は常に送信を行う必要がある。このため、電源がバッテリ式の場合は電池消費が多くなり、機器に求められる電池寿命を満足することができなくなる。これを回避するため、通常はスケジュール動作などで必要な時間だけ起動して、この時刻と同期して携帯端末1側からデータを取得しに行く手法が考えられる。しかし、実施の形態1では、携帯端末1が、検針員による無線通信変換器3からデータを収集する巡回スケジュールの立案と合わせて、各無線通信変換器3に検針値データの収集日時を設定する設定データを自動で生成する。そして、携帯端末1は、検針を行う際に合わせて次回の巡回スケジュールを無線通信変換器3に設定するので、検針員は無線通信変換器3の起動スケジュールの設定を特に意識することなく検針を行うことができる。
【0082】
また、従来では、水道メータ、積算熱量計等に設けられる無線通信装置は、通信速度が300bps程度と遅い。このため、検針のタイミングで毎回メータから検針値を取得する場合にビーコン方式を用いたとしても、巡回しながら自然とデータが集まるような仕組みとすることはできなかった。しかし、実施の形態1では、水道メータ等から予め検針値を取得して無線通信変換器3に保持させるようにしたので、検針のタイミングで毎回メータから検針値を取得する場合に比して高速化することができる。また、実施の形態1では、Bluetooth、IEEE 802.15.4等の無線通信方式を採用するため、巡回しながら自然とデータが集まるような仕組みとすることができる。
【0083】
さらに、周期的に実行されるような巡回の場合には、携帯端末1の画面表示部14は、最初に設定した巡回スケジュールと、実際に検針値を取得した検針日時の記録と、から、次の巡回スケジュール候補を自動的に算出し、画面表示などで検針員に対して候補リストとして通知することもできる。一例では、画面表示部14は、巡回スケジュール設定画面141の収集日時設定欄1412に算出した次の巡回スケジュール候補を表示させるようにすることができる。これによって、次回以降の収集日時の検針員による入力を簡素化することもできる。
【0084】
次回巡回日時設定動作では、無線通信変換器3は電池の消費を抑制するために、データ送信モードM05への遷移後、Y秒経過するとスリープモードM03へと遷移する。検針値データは無線通信で送信されているため、無線通信時の周囲環境によっては携帯端末1で受信ができないことも想定される。このような場合には、一例では、無線通信変換器3は、ボタンの押下で一回のみ検針値データの送信を行い、検針値データの送信後にスリープモードM03に戻る処理を行うボタンを備えるようにすればよい。これによって、巡回時の無線通信環境による検針値データの取得失敗に対応することができる。
【0085】
このように、実施の形態1の無線通信変換器3は、計量器であるメータ2と通信を行うシリアル通信部33と、メータ2の検針値を収集する携帯端末1と無線通信を行う無線通信部32と、メータ2からの検針値の収集と、携帯端末1への検針値を含む検針値データの無線通信部32を介した送信と、を行うデータ管理部31と、を備える。無線通信部32は、携帯端末1から次回の検針値の収集日時を示す次回収集日時データを含む設定データを受信した後にデータ送信モードM05に遷移して、シリアル通信部33がメータ2から取得した検針値と検針値を収集した日時である検針日時とを含む検針値データを携帯端末1に送信し、検針値データの送信を定められた期間実施した後にスリープモードM03に遷移して、動作を停止する。データ管理部31は、現在時刻が次回収集日時データから得られる検針予約日時を経過するとメータ2からの検針値をシリアル通信部33を介して収集する。このように、無線通信部32は、携帯端末1から検針予約時間と現在時刻を含む下り通信電文によりデータ送信モードM05に遷移して、検針値を携帯端末1に送信し、シリアル通信部33は、検針予約時刻と現在時刻とに基づき検針予約時刻にメータ2から検針値を取得する。これによって、従来に比して省電力化することができ、検針員が巡回しながら自然にデータを収集することができ、さらに検針員が無線通信変換器3の起動時刻を意識することなく運用が可能な巡回型検針システム100を提供することができる。
【0086】
次に、実施の形態1による別の効果について詳細を記載する。検針値データを秘密鍵などで暗号化しておけば、盗聴を防ぐことができるが、盗聴した内容をそのまま送り付けるリプレイアタックに対しては、暗号化のみでは対策を行うことができない。一例では、暗号化された検針値データを暗号化されたまま第三者が盗聴し、盗聴したデータと全く同じデータを送り付けることで、本来より低い検針値である不正な値を携帯端末1に取得させ、水道等の検針値を本来より低い値しか使用していないように見せかける攻撃が想定される。
【0087】
一例では、特開2022-104385号公報には、検針員が所持する携帯端末が、計測装置から受信した暗号化された計測データをそのままサーバへと送信し、サーバは、暗号化された計測データを復号化し、携帯端末からの認証要求に対して認証処理を行った後に、復号化した計測データを携帯端末へ送信する暗号化手法が開示されている。また、特開2022-104385号公報では、第三者からの攻撃に対処するための対応としてサーバとの認証を行う方式が採用されている。この場合は、携帯端末とサーバとが公衆回線などで接続されている必要がある。しかし、検針を行う場合に、携帯端末が公衆回線に接続される環境にない場合もある。この場合には、サーバでの認証処理を用いた検針ができないという課題がある。
【0088】
特開2022-104385号公報の暗号化手法と合わせて実施の形態1の手法を用いることで、リプレイアタックを防ぐことが可能である。ここで、暗号文については秘密鍵で暗号化されているものとし、攻撃者は、盗聴自体は可能であるが、暗号文の復号化および暗号化は行えず、データの中身の閲覧および改ざんは行えない、という前提で効果を記載する。
【0089】
一例では、攻撃者が、盗聴した値を一定周期で送信し続ける模擬送信器を設置していたとする。以下では、模擬送信器は、模擬器と称される。巡回スケジュールの当日、無線通信変換器3側が、送信開始後に、模擬器がすぐに盗聴し、送信したとする。実施の形態1によれば、携帯端末1は無線通信変換器3からの検針値データを既に受信していれば、対象の巡回スケジュールデータの収集は完了したものとして、当該変換器IDからの検針値データ、すなわち模擬機からの検針値データを破棄する。このため、携帯端末1は、模擬器からのデータを受信しないので、攻撃者による攻撃は成立しないことになる。
【0090】
仮に、模擬器が、無線通信変換器3から送信される検針値データを盗聴し、盗聴した検針値データをコピー後すぐに模擬器から検針値データの送信を開始し、無線通信変換器3が送信するデータよりも早く携帯端末1に到達したものとする。この場合には、携帯端末1が模擬器からの検針値データを採用したとしても、攻撃者にとって価値があるデータとはなっておらず、セキュリティの観点では攻撃は成立していないことになる。なぜなら、模擬器がコピーして送信した検針値は、無線通信変換器3が送信している正しい検針値そのものであり、実際に送信している検針値データと差がないデータを携帯端末1が取得しているからである。
【0091】
よって、攻撃者にとって意味のあるデータを採用するケースとしては、次回検針日に携帯端末1が誤って模擬器のデータを採用してしまうことを狙って、一度取得した盗聴データを継続して送信し続けることが想定される。しかし、この場合には、一度取得した盗聴データに含まれる検針値の取得日と携帯端末1が保持している巡回スケジュール情報113との間に日単位で差異が発生していることになる。この場合には上記したように、携帯端末1は、受信した盗聴データを採用しないので、攻撃を防ぐことができる。
【0092】
このように、実施の形態1の従属的な効果として、検針員が設定するスケジュール情報を活用することで、リプレイアタックを防止することも可能となる。また、公衆回線に接続されない環境下でも第三者からの攻撃に対処することができる。
【0093】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 携帯端末、2 メータ、3 無線通信変換器、4 通信線、11,34,903 記憶部、12,31 データ管理部、13,32 無線通信部、14 画面表示部、21 検針部、22,35 送信データ生成部、23,312 データ送信処理部、24,33 シリアル通信部、100 巡回型検針システム、111 通信許可リスト、112 検針値データ、113 巡回スケジュール情報、121,311 データ収集部、122 データ判定部、123 データ設定部、141 巡回スケジュール設定画面、142 変換器ID設定画面、313 データ受信処理部、341 変換器IDデータ、342 検針値データ、343 収集日時データ、901 制御部、902 入力部、904 表示部、905 通信部、906 出力部、907 システムバス、951 プロセッサ、952 メモリ、953 通信回路。