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特開2024-158088ボイドスリーブ及びボイドスリーブの設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158088
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ボイドスリーブ及びボイドスリーブの設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 15/06 20060101AFI20241031BHJP
   B28B 7/16 20060101ALI20241031BHJP
   B28B 7/28 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04G15/06 A
B28B7/16 Z
B28B7/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072956
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】青木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛徳
【テーマコード(参考)】
2E150
4G053
【Fターム(参考)】
2E150BA27
2E150CA11
2E150HF09
2E150HF15
2E150HF19
2E150MA01X
2E150MA51X
4G053BC02
4G053BD02
4G053BE04
4G053DA03
4G053EA41
4G053EB05
(57)【要約】
【課題】他の工事の邪魔になり難くしながら収容空間に設備機器を設置し易いボイドスリーブ及びボイドスリーブの設置方法を提供する。
【解決手段】コンクリート内周面F1を形成する筒状のスリーブ本体6と、スリーブ本体6の上方側に向けて開口する上方側開口部7を塞ぐと共に収容空間3の天井面F2を形成する蓋体8と、蓋体8に支持されると共に収容空間3内に設置される複数種の設備機器に接続されるケーブルを収容するジョイントボックス11とを備え、スリーブ本体6を、コンクリート内周面F1が露出するようにコンクリートの硬化後に天井スラブ2から取り外し可能に構成し、蓋体8を、スリーブ本体6が天井スラブ2から取り外された状態で、天井スラブ2における蓋体8の上方側に位置する部分と一体となって残置されるように構成する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井スラブのコンクリートの打設時に埋設して筒状のコンクリート内周面を有する収容空間を形成するボイドスリーブであって、
前記コンクリート内周面を形成する筒状のスリーブ本体と、前記スリーブ本体の上方側に向けて開口する上方側開口部を塞ぐと共に前記収容空間の天井面を形成する蓋体と、前記蓋体に支持されると共に前記収容空間内に設置される複数種の設備機器に接続されるケーブルを収容するジョイントボックスとを備え、
前記スリーブ本体は、前記コンクリート内周面が露出するように前記コンクリートの硬化後に前記天井スラブから取り外し可能に構成され、
前記蓋体は、前記スリーブ本体が前記天井スラブから取り外された状態で、前記天井スラブにおける前記蓋体の上方側に位置する部分と一体となって残置されるように構成されているボイドスリーブ。
【請求項2】
前記ジョイントボックスは、前記蓋体の上方側に備えられている請求項1に記載のボイドスリーブ。
【請求項3】
前記ジョイントボックスが、前記蓋体の下方側に高さ調節自在に備えられている請求項1に記載のボイドスリーブ。
【請求項4】
前記蓋体と前記天井スラブの天井面を形成する型枠との夫々に着脱可能に連結される連結材を備え、
前記連結材は、前記型枠の下方側から前記型枠との連結を解除可能で、且つ、前記蓋体の下方側から前記蓋体との連結を解除可能に構成されている請求項1から3の何れか一項に記載のボイドスリーブ。
【請求項5】
請求項4に記載のボイドスリーブの設置方法であって、
前記蓋体と前記型枠との間に前記スリーブ本体を介在させた状態で前記連結材によって前記蓋体を前記型枠に連結する連結工程と、
前記蓋体に前記ジョイントボックスを支持させるジョイントボックス支持工程と、
前記ジョイントボックス支持工程と前記連結工程との後に、前記天井スラブのコンクリートを打設する打設工程と、
前記コンクリートの硬化後に前記連結材による前記蓋体と前記型枠との連結を解除して前記型枠を取り外す型枠取外工程と、
前記型枠取外工程の後に、前記スリーブ本体を取り外して前記コンクリート内周面を露出させる露出工程とを行うボイドスリーブの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井スラブのコンクリートの打設時に埋設して筒状のコンクリート内周面を有する収容空間を形成するボイドスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、天井スラブのコンクリートの打設時に埋設して筒状のコンクリート内周面を有する収容空間を形成するボイドスリーブが示されている。
このボイドスリーブは、収容空間のコンクリート内周面を形成する筒状のスリーブ本体を備えており、コンクリートの硬化後にスリーブ本体を天井スラブから取り外すことで、コンクリート内周面が露出する状態で天井スラブに上下方向に貫通する収容空間が形成されるようになっている。
このような収容空間は、ケーブルを挿通するために用いられており、ケーブルに接続されている設備機器は、天井スラブの天井面に設置される場合が多いが、天井スラブの天井面と見た目が異なる設備機器を収容空間に設置することで、天井面の見栄えを良くすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-349055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、収容空間に設備機器を設置させるためには、設備機器を支持する支持部材が必要であるが、この支持部材を天井スラブの上方側の開口部を塞ぐように設置し、その支持部材に吊り下げるようにして設備機器を収容空間に設置した場合、支持部材が天井スラブから上方側に突出するため上階側で邪魔になる可能性があり、また、収容空間内に支持部材を設置した場合では、支持部材を収容空間のコンクリート内周面に固定させ難く、収容空間に設備機器を設置し難いものとなる。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、他の工事の邪魔になり難くしながら収容空間に設備機器を設置し易いボイドスリーブ及びボイドスリーブの設置方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、天井スラブのコンクリートの打設時に埋設して筒状のコンクリート内周面を有する収容空間を形成するボイドスリーブであって、
前記コンクリート内周面を形成する筒状のスリーブ本体と、前記スリーブ本体の上方側に向けて開口する上方側開口部を塞ぐと共に前記収容空間の天井面を形成する蓋体と、前記蓋体に支持されると共に前記収容空間内に設置される複数種の設備機器に接続されるケーブルを収容するジョイントボックスとを備え、
前記スリーブ本体は、前記コンクリート内周面が露出するように前記コンクリートの硬化後に前記天井スラブから取り外し可能に構成され、
前記蓋体は、前記スリーブ本体が前記天井スラブから取り外された状態で、前記天井スラブにおける前記蓋体の上方側に位置する部分と一体となって残置されるように構成されている点にある。
【0007】
本構成によれば、コンクリートの硬化後にスリーブ本体を天井スラブから取り外すことで、コンクリート内周面が露出する状態で天井スラブに上下方向に有底筒状の収容空間を形成させながら、蓋体は天井スラブにおける蓋体の上方側に位置する部分と一体となって残置するため、蓋体を天井スラブから上方側に突出させることなく設置することができるので、天井スラブの上階側で邪魔になることがなく、また、この蓋体に直接又はジョイントボックスを介した状態で設備機器を収容空間内に設置することができるため、天井スラブの上階側で邪魔になり難くしながら収容空間に設備機器を設置し易くなる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記ジョイントボックスは、前記蓋体の上方側に備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、比較的小さなジョイントボックスを収容空間外における蓋体の上方側で天井スラブ内に埋設させることができる。そのため、収容空間内にジョイントボックスを設置する場合に比べて収容空間の厚み(高さ)を小さくすることができ、比較的大きな収容空間による天井スラブの厚み方向の断面欠損を小さくして比較的厚みの小さな天井スラブにも適用することが可能となる。また、収容空間内にジョイントボックスを設置する場合に比べて収容空間内に大型の設備機器を収容し易くなる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記ジョイントボックスが、前記蓋体の下方側に高さ調節自在に備えられている点にある。
【0011】
本構成によれば、ジョイントボックスを介して設備機器を蓋体に支持させることができ、しかも、ジョイントボックスの高さを調整することで、設備機器の設置高さを調整することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記蓋体と前記天井スラブの天井面を形成する型枠との夫々に着脱可能に連結される連結材を備え、
前記連結材は、前記型枠の下方側から前記型枠との連結を解除可能で、且つ、前記蓋体の下方側から前記蓋体との連結を解除可能に構成されている点にある。
【0013】
本構成によれば、コンクリートを打設する際に連結材を蓋体と型枠との双方に連結させておくことで、蓋体が型枠に対してずれることを防止することができると共に、コンクリートの硬化後は、型枠の下方側から連結材の型枠に対する連結を解除することができ、且つ、蓋体の下方側から連結材の蓋体に対する連結を解除することができるため、型枠を取り外す際の連結を解除する作業と連結材を撤去する作業が行い易くなる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、ボイドスリーブの設置方法であって、
前記蓋体と前記型枠との間に前記スリーブ本体を介在させた状態で前記連結材によって前記蓋体を前記型枠に連結する連結工程と、
前記蓋体に前記ジョイントボックスを支持させるジョイントボックス支持工程と、
前記ジョイントボックス支持工程と前記連結工程との後に、前記天井スラブのコンクリートを打設する打設工程と、
前記コンクリートの硬化後に前記連結材による前記蓋体と前記型枠との連結を解除して前記型枠を取り外す型枠取外工程と、
前記型枠取外工程の後に、前記スリーブ本体を取り外して前記コンクリート内周面を露出させる露出工程とを行う点にある。
【0015】
本構成によれば、コンクリートの硬化後に型枠取外工程と露出工程とを行うことで、コンクリート内周面が露出する状態で天井スラブに上下方向に有底筒状の収容空間を形成させながら、蓋体は天井スラブにおける蓋体の上方側に位置と一体となって残置するため、蓋体を天井スラブから上方側に突出させることなく設置することができるので、天井スラブの上階側で邪魔になることがなく、また、この蓋体に直接又はジョイントボックスを介した状態で設備機器を収容空間内に設置することができるため、天井スラブの上階側で邪魔になり難くしながら収容空間に設備機器を設置し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態のボイドスリーブのコンクリート打設時の状態を示す一部を切り欠いた縦断側面図
図2】第1実施形態のスリーブ本体の斜視図
図3】第1実施形態の蓋体とジョイントボックスとの斜視図
図4】第1実施形態の型枠にスリーブ本体を載置した状態を示す縦断側面図
図5】第1実施形態の型枠にスリーブ本体を設置した状態を示す平面図
図6】第1実施形態の蓋体と型枠とに連結材を連結した状態を示す一部を切り欠いた縦断側面図
図7】第1実施形態の型枠を取り外した状態を示す一部を切り欠いた縦断側面図
図8】第1実施形態のスリーブ本体を取り外して設備機器を設置した状態を示す一部を切り欠いた縦断側面図
図9】第1実施形態のボイドスリーブの設置手順のフローチャート
図10】第1実施形態の配管を床下空間に設置した状態を示す一部を切り欠いた縦断側面図
図11】第1実施形態の収容空間の高さを比較的高くした状態を示す一部を切り欠いた縦断側面図
図12】第2実施形態のボイドスリーブのコンクリート打設時の状態を示す縦断側面図
図13】第2実施形態のスリーブ本体を取り外して設備機器を設置した状態を示す縦断側面図
図14】第3実施形態のボイドスリーブのコンクリート打設時の状態を示す縦断側面図
図15】第3実施形態のスリーブ本体を取り外して設備機器を設置した状態を示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
本発明に係るボイドスリーブの第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ボイドスリーブ1は、天井スラブ2のコンクリートの打設時に埋設して筒状のコンクリート内周面F1(図8参照)を有する収容空間3を形成するように構成されている。
ボイドスリーブ1は、コンクリート内周面F1を形成する筒状のスリーブ本体6と、スリーブ本体6の上方側に向けて開口する上方側開口部7(図2参照)を塞ぐと共に収容空間3の天井面F2を形成する蓋体8と、蓋体8に支持されると共に収容空間3内に設置される複数種の設備機器9(図8参照)に接続されるケーブル10(図8参照)を収容するジョイントボックス11とを備えている。尚、複数種の設備機器9としては、照明器具、スピーカー、感知器等の機能や外形の異なるものが設置対象とされている。
【0018】
図2に示すように、スリーブ本体6は、所定の厚みを有する厚紙材によって円筒形状に形成されており、図1及び図4に示すように、天井スラブ2の天井面F3を形成する型枠14上に設置される。
図5に示すように、型枠14には、スリーブ本体6の内面に接触するように複数(図示例では4つ)の桟木や木板等からなる移動規制部材15が釘等の規制部材用固定具16で固定されており、型枠14上に設置されているスリーブ本体6は、移動規制部材15によって水平方向への移動が規制された状態で型枠14上に設置される。
【0019】
図1及び図3に示すように、蓋体8は、スリーブ本体6の上方側開口部7を塞ぐことが可能な大きさの金属製の板材によって構成されており、スリーブ本体6の外径より僅かに大きな円形状に形成されている。
図1に示すように、ボイドスリーブ1には、蓋体8と型枠14との夫々に着脱可能に連結される連結材17が備えられている。蓋体8と型枠14との間にスリーブ本体6を位置させた状態で連結材17を蓋体8と型枠14との双方に連結させることで、蓋体8を型枠14に固定させるとともに、その蓋体8を介してスリーブ本体6が型枠14に対して上下方向に移動することが規制されている。
【0020】
連結材17は、型枠14の下方側から型枠14との連結を解除可能で、且つ、蓋体8の下方側から蓋体8との連結を解除可能に構成されている。
説明を加えると、図1及び図6に示すように、連結材17は、型枠14に対して釘等の連結材用固定具18によって上方側から連結されており、蓋体8の上方側に備えられている雌ネジ部19に螺合されることで蓋体8に連結されている。具体的には、連結材17は、その上端部にネジ部21A(図4参照)を備え且つ下端部に頭部21Bを備えた棒状部21と、棒状部21が挿通されて頭部21Bによって抜け止めされている連結体22とを備えて構成されている。そして、棒状部21が挿通されて棒状部21の下端部が抜け止めしている連結体22が、連結材用固定具18によって型枠14に上方側から連結され、蓋体8に挿通している棒状部21の上端部に、蓋体8の上方側においてナット等の雌ネジ部19が螺合されている。尚、雌ネジ部19とネジ部21Aとの螺合部が被覆テープ23によって上方側から被覆されており、その螺合部のコンクリートによる固着が防止されている。
連結材17は、図6に示す状態から、下方側から型枠14を引き下げて連結材用固定具18を型枠14から引き抜くことで、図7に示すように、型枠14との連結が解除可能に構成さている。また、連結材17は、図7に示す状態から、棒状部21を縦軸心周りに回転させて棒状部21を雌ネジ部19から下方側に離脱させることで、蓋体8との連結が解除可能に構成されている。
【0021】
スリーブ本体6は、コンクリート内周面F1が露出するようにコンクリートの硬化後に天井スラブ2から取り外し可能に構成されている。スリーブ本体6は、上述したように厚紙材によって構成されており、コンクリートの硬化後に径方向内側に変形させることで天井スラブ2から取り外すことが可能となっており、このようにスリーブ本体6を天井スラブ2から取り外すことによってスリーブ本体6によって覆われていたコンクリート内周面F1が露出するようになっている。
【0022】
図8に示すように、蓋体8は、スリーブ本体6が天井スラブ2から取り外された状態で、天井スラブ2における蓋体8の上方側に位置する部分と一体となって残置されるように構成されている。
蓋体8は、上述したようにスリーブ本体6より径方向に大きな形状に形成されており、蓋体8の周縁部がコンクリートに差し込まれた状態で埋設されている。そのため、スリーブ本体6を天井スラブ2から取り外した状態でも蓋体8の周縁部がコンクリートに差し込まれた状態となっていることで、天井スラブ2における蓋体8の上方側に位置する部分と一体なって残置されるようになっている。
【0023】
図3に示すように、ジョイントボックス11は、蓋体8の上方側に備えられている。そのため、図7に示すように、蓋体8が天井スラブ2内に残置された状態では、ジョイントボックス11は、天井スラブ2における蓋体8の上方側に位置する部分に埋設されている。
【0024】
ジョイントボックス11には、PF管(合成樹脂製可とう電線管 )等で構成された管体26を接続するための接続孔11Aが形成されている。接続孔11Aは、脆弱部を介してによって接続孔11Aの周縁部に接続されている蓋部11Bによって塞がれており、脆弱部を破断させて蓋部11Bを取り外すことで接続孔11Aが開口して管体26が接続可能となっている。本実施形態では、ジョイントボックス11は、接続孔11Aを利用して管体用コネクタ27を取り付け可能に構成されており、管体26は、管体用コネクタ27に接続することで、この管体用コネクタ27を介した状態でジョイントボックス11に接続される。本実施形態では、管体26は、ジョイントボックス11から水平方向に延びており、天井スラブ2の側方に形成されている空間まで延設されている。
【0025】
蓋体8におけるジョイントボックス11と重なる部位、及び、ジョイントボックス11における下面を形成する部位には、上下方向に貫通する連通孔(図示せず)が形成されており、蓋体8の下方側に形成されている収容空間3とジョイントボックス11の内部空間とが連通している。
本実施形態では、収容空間3の設置される設備機器9は、ビスを用いて蓋体8の下面に固定されている。また、管体26内を通してジョイントボックス11内に導入されたケーブル10が、蓋体8やジョイントボックス11に形成されている連通孔を通して設備機器9に接続されている。
【0026】
次に、ボイドスリーブ1の設置方法について説明する。
図9のボイドスリーブ1の設置手順のフローチャートに示すように、ボイドスリーブ1の設置方法では、蓋体8と型枠14との間にスリーブ本体6を介在させた状態で連結材17によって蓋体8を型枠14に連結する連結工程S2と、蓋体8にジョイントボックス11を支持させるジョイントボックス支持工程S1と、ジョイントボックス支持工程S1と連結工程S2との後に、天井スラブ2のコンクリートを打設する打設工程S3と、コンクリートの硬化後に連結材17による蓋体8と型枠14との連結を解除して型枠14を取り外す型枠取外工程S4と、型枠取外工程S4の後に、スリーブ本体6を取り外してコンクリート内周面F1を露出させる露出工程S5とを行う。
【0027】
ジョイントボックス支持工程S1は、図3に示すように、蓋体8の上面にジョイントボックス11を固定させて蓋体8にジョイントボックス11を支持させる工程である。
連結工程S2は、図4及び図5に示すように、型枠14の上面の所定の位置にスリーブ本体6を載置させた状態で移動規制部材15を型枠14に固定してスリーブ本体6の水平方向の位置を固定し、連結材17の下端部を型枠14に連結した後、図6に示すように、連結材17の上端部に蓋体8を連結して、蓋体8と型枠14との間にスリーブ本体6を介在させた状態で連結材17によって蓋体8を型枠14に連結する工程である。
尚、本実施形態では、ジョイントボックス支持工程S1を行った後、蓋体8にジョイントボックス11を支持させた状態で連結工程S2を行っているが、連結工程S2を行った後、蓋体8が連結材17に連結されている状態でジョイントボックス支持工程S1を行ってもよい。
【0028】
打設工程S3は、型枠14上にコンクリートを打設する工程であり、ボイドスリーブ1の全体がコンクリートに埋設されるようにボイドスリーブ1の上端(ジョイントボックス11の上端)より上方側までコンクリートを打設する。
型枠取外工程S4は、打設工程S3において打設されたコンクリートが硬化した後、図7に示すように、型枠14を引き下げることで連結材17の下端部と型枠14との連結を解除して型枠14を取り外す工程である。この型枠取外工程S4では、型枠14を取り外した後に連結材17を回転操作して連結材17の上端部との連結を解除して連結材17を蓋体8から取り外すことも行う。
【0029】
露出工程S5は、スリーブ本体6を径方向内側に変形させて天井スラブ2から取り外してスリーブ本体6によって覆われていたコンクリート内周面F1を露出させる工程である。
本実施形態では、ジョイントボックス支持工程S1、連結工程S2、打設工程S3、型枠取外工程S4、露出工程S5の順で行い、このようにボイドスリーブ1を設置した状態で設備機器9が蓋体8の下面にビス等を用いて取り付けられて収容空間3に設置される。
【0030】
このように、ボイドスリーブ1を設置することで、コンクリート内周面F1が露出する状態で天井スラブ2に上下方向に有底筒状の収容空間3を形成させながら、蓋体8は天井スラブ2における蓋体8の上方側に位置する部分と一体となって残置するため、蓋体8を天井スラブ2から上方側に突出させることなく設置することができるので、天井スラブ2の上階側で邪魔になることがなく、また、設備機器9を収容空間3内に設置することができるため、天井スラブ2の上階側で邪魔になり難くしながら収容空間3に設備機器9を設置し易くなる。
【0031】
尚、本実施形態では、管体26は、ジョイントボックス11から水平方向に延ばして天井スラブ2の側方に形成されている空間まで延在させたが、図10に示すように、天井スラブ2の上方側に床材29が設置された二重床となっており、天井スラブ2と床材29との間に床下空間30が形成されている場合は、管体26をジョイントボックス11から上方側に延ばして床下空間30に延設するようにしてもよい。
【0032】
また、スリーブ本体6には、軸心方向(上下方向)の長さが異なる複数の種類のものを用意してもよい。例えば、軸心方向に比較的長いスリーブ本体6を用いることで、図11に示すように収容空間3を上下方向に広くすることができるため、高さが高い設備機器9を収容空間3から下方側に突出することなく設置することができる。また、図10に示すように、軸心方向に比較的短いスリーブ本体6を用いることで、厚みが薄い天井スラブ2にボイドスリーブ1を設置することが可能となる。
【0033】
〔第2実施形態〕
本発明に係るボイドスリーブの第2実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、ボイドスリーブ1の第2実施形態を説明するにあたり、第1実施形態と異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0034】
図12に示すように、本実施形態では、ジョイントボックス11は、蓋体8の下方側に高さ調節自在に備えられている。説明を加えると、蓋体8の下面から雄ネジを備えた棒状体31が備えられていると共に、ジョイントボックス11には、蓋体8の棒状体31に螺合する螺合部32が備えられている。ジョイントボックス11は、螺合部32を棒状体31に螺合させることで蓋体8の下方側に支持させることができると共に、螺合部32させるときの回転量を調整することで、蓋体8に対する高さ調節が可能となっている。
【0035】
そして、図13に示すように、ジョイントボックス11の下面に、据付用木板33が取り付けられており、収容空間3に設置される設備機器9は、ビスを用いて据付用木板33の下面に固定されており、ジョイントボックス11及び据付用木板33を介した状態で蓋体8に支持されている。また、ジョイントボックス11の高さを調整することで、設備機器9の設置高さを調整することができるようになっている。そして、管体26内のケーブル10は、蓋体8を通して収容空間3の天井面F2から収容空間3に導出された後、ジョイントボックス11に形成されている連通孔を通してジョイントボックス11内に導入され、そのケーブル10が設備機器9に接続されている。
【0036】
本実施形態では、管体用コネクタ27は蓋体8に取り付けられており、管体26は、管体用コネクタ27を介した状態で蓋体8に接続されている。本実施形態では、管体26は、蓋体8から上方側に延びており、天井スラブ2と床材29との間に形成されている床下空間30まで延設されている。
【0037】
〔第3実施形態〕
本発明にかかるボイドスリーブの第3実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、ボイドスリーブ1の第3実施形態を説明するにあたり、第2実施形態と異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0038】
図14に示すように、管体26内のケーブル10は、コンクリート内周面F1を通して収容空間3に導出された後、ジョイントボックス11に形成されている連通孔を通してジョイントボックス11内に導入され、そのケーブル10が設備機器9に接続されている。
【0039】
図15に示すように、本実施形態では、管体26は、スリーブ本体6の外周面に釘等によって接続されており、スリーブ本体6を径方向内側に変形させることでスリーブ本体6との連結が解除可能に構成されている。そのため、管体26は、スリーブ本体6が天井スラブ2から取り外された状態で、天井スラブ2におけるスリーブ本体6の径方向外側に位置する部分と一体になって残置されるように構成されている。この管体26は、水平方向に延びて天井スラブ2の側方に形成されている空間まで延設されている。
【0040】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0041】
(1)上記実施形態では、ジョイントボックス支持工程S1を行った後に連結工程S2を行う例を説明した。しかし、連結工程S2を行った後にジョイントボックス支持工程S1を行ってもよく、また、連結工程S2を行っている間にジョイントボックス支持工程S1を行ってもよい。
【0042】
(2)上記実施形態では、連結材17を、型枠14に対して釘等の連結材用固定具18によって上方側から連結することで、型枠14の下方側から型枠14との連結を解除可能とする構成としたが、連結材17を、型枠14から下方側に突出させると共に型枠14に螺合させることで、型枠14から下方側に突出する部分を回転操作することで、型枠14の下方側から型枠14との連結を解除可能とする等、型枠14の下方側から型枠14との連結を解除可能とする連結材17の構成は適宜変更してもよい。
【0043】
(3)上記実施形態では、連結材17を、蓋体8に下方側から挿通させて蓋体8の上方側において雌ネジ部19を螺合させることで、蓋体8の下方側から蓋体8との連結を解除可能とする構成としたが、連結材17を、蓋体8に対して釘等の固定具によって下方側から連結する等、蓋体8の下方側から蓋体8との連結を解除可能とする連結材17の構成は適宜変更してもよい。
【0044】
(4)上記第2実施形態及び上記第3実施形態では、ジョイントボックス11を、蓋体8の下方側に高さ調節自在に備える構成を例として説明したが、ジョイントボックス11を、蓋体8の下方側に高さ調節不能に備える構成としてよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ボイドスリーブ
2 天井スラブ
3 収容空間
6 スリーブ本体
7 上方側開口部
8 蓋体
9 設備機器
10 ケーブル
11 ジョイントボックス
14 枠体
17 連結材
F1 コンクリート内周面
F2 収容空間の天井面
F3 天井スラブの天井面
S1 ジョイントボックス支持工程
S2 連結工程
S3 打設工程
S4 型枠取外工程
S5 露出工程
図1
図2
図3
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図6
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