(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158092
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ブラシ付き塗布栓
(51)【国際特許分類】
B65D 47/42 20060101AFI20241031BHJP
B65D 47/24 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D47/42 200
B65D47/24 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072962
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA04
3E084EB02
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LG01
3E084LG06
(57)【要約】
【課題】栓本体の先端側にブラシを配備することにより、好ましい触感等の良好な使用感を付与する。
【解決手段】容器90の上方開口の口部94へ装着され、上側に挿通口Aを有する栓本体2と、前記挿通口Aに上下動可能に挿通され、かつ、前記栓本体2の内側に配備されたブラシ部材38と、当該ブラシ部材38を容器90の正立状態での上方へ付勢する付勢部材20とを具備する。前記ブラシ部材38は、前記付勢部材20により昇降可能に支承された台座40と、台座40の上側に配置された毛束58を含むブラシ部50とからなる。その毛束58の根元側には、前記口部94の内部と連通する連通口56が開口されている。前記栓本体2の内部に、前記口部94側から前記連通口56に至る連通路Pを、ブラシ部材38の上下動により開閉するシール部Sが形成されている。栓本体2は、ブラシ部50の周囲を囲む囲繞筒4cを有する
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(90)の上方開口の口部(94)へ装着され、上側に挿通口(A)を有する栓本体(2)と、
前記挿通口(A)に上下動可能に挿通され、かつ、前記栓本体(2)の内側に配備されたブラシ部材(38)と、
当該ブラシ部材(38)を前記容器(90)の正立状態での上方へ付勢する付勢部材(20)とを具備し、
前記ブラシ部材(38)は、前記付勢部材(20)により昇降可能に支承された台座(40)と、この台座(40)の上側に配置された毛束(58)を含むブラシ部(50)とからなり、かつ、その毛束(58)の根元側に、前記口部(94)の内部と連通する連通口(56)が開口されており、
前記栓本体(2)の内部に、前記口部(94)側から前記連通口(56)に至る連通路(P)を、前記ブラシ部材(38)の上下動により開閉するシール部(S)が形成されており、
前記栓本体(2)は、前記ブラシ部(50)の周囲を囲む囲繞筒(4c)を有することを特徴とするブラシ付き塗布栓。
【請求項2】
前記連通口(56)は、前記ブラシ部材(38)の、上方から見たときの中央部に配置されており、
前記ブラシ部(50)は、前記連通口(56)を通る垂直な中心線(О)側へ前記毛束(58)の先端が収束するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラシ付き塗布栓。
【請求項3】
前記囲繞筒(4c)の前記正立状態での上端である開口端部(5)は、前記台座(40)よりも上位に位置しており、
前記ブラシ部材(38)の外周縁部(e)を前記囲繞筒(4c)の内面に当接又は近接させることにより、当該ブラシ部材(38)の上下動が前記囲繞筒(4c)によりガイドされるように形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のブラシ付き塗布栓。
【請求項4】
前記毛束(58)を外部の被塗布面(T)に押し付けることにより前記ブラシ部材(38)が前記栓本体(2)の奥方(I)に押し込まれたときに前記開口端部(5)が前記被塗布面(T)に当接することが可能であるように、前記囲繞筒(4c)の筒長(L)を設定したことを特徴とする、請求項3に記載のブラシ付き塗布栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ付き塗布栓に関する。
【背景技術】
【0002】
液状内容物に使用される塗布栓として、上方開口の容器口部に装着される、上向きのノズル筒を有する栓本体と、ノズル筒の内側に昇降可能に支承され、かつ、前記ノズル筒の内側の吐出口へ弁として密着する栓部とを備えるとともに、この栓部から、ノズル筒より上側にへッド部を延設し、容器の倒立状態でヘッド部を被塗布面に押し付けると、弁が開き、内容液が供給されるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被塗布面への押付けにより吐出口を開放可能な弁を備えた塗布栓は、育毛剤及び鎮痛・鎮痒・消炎等の医療品、化粧品、洗浄剤、その他の用途に使用し得る。そして塗布栓の用途によって好ましい触感や良好な使用感が求められる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、栓本体の先端側にブラシを配備させることにより、好ましい触感等の良好な使用感を付与した塗布栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器90の上方開口の口部94へ装着され、上側に挿通口Aを有する栓本体2と、
前記挿通口Aに上下動可能に挿通され、かつ、前記栓本体2の内側に配備されたブラシ部材38と、
当該ブラシ部材38を前記容器90の正立状態での上方へ付勢する付勢部材20とを具備し、
前記ブラシ部材38は、前記付勢部材20により昇降可能に支承された台座40と、この台座40の上側に配置された毛束58を含むブラシ部50とからなり、かつ、その毛束58の根元側に、前記口部94の内部と連通する連通口56が開口されており、
前記栓本体2の内部に、前記口部94側から前記連通口56に至る連通路Pを、前記ブラシ部材38の上下動により開閉するシール部Sが形成されており、
前記栓本体2は、前記ブラシ部50の周囲を囲む囲繞筒4cを有する。
【0007】
本手段では、
図1に示す如く、口部94へ装着する栓本体2に、ブラシ部材38を上下動可能に配備している。この構造によれば、好ましい触感、良好な使用感が得られる。
このブラシ部材38は、台座40の上側に配置された毛束58を含むブラシ部50を有し、また、栓本体2は、ブラシ部50の周囲を囲む囲繞筒4cを有する。この構造によれば、被塗布面への押付けにより毛束58が広がることを抑制でき、使用感がよい。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記連通口56は、前記ブラシ部材38の、上方から見たときの中央部に配置されており、
前記ブラシ部50は、前記連通口56を通る垂直な中心線О側へ前記毛束58の先端が収束するように形成されている。
【0009】
本手段では、
図2(A)に示す如く、前記ブラシ部材38の、上方から見たときの中央部に連通口56を配置し、この連通口56を通る中心線О側に毛束58の先端が収束するように形成されている。
この構造によれば、内容液をブラシ部50の先端に集め易く、効率的に塗布作業を行うことができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記囲繞筒4cの正立状態での上端である開口端部5は、前記台座40よりも上位に位置しており、
前記ブラシ部材38の外周縁部eを前記囲繞筒4cの内面に当接又は近接させることにより、当該ブラシ部材38の上下動が前記囲繞筒4cによりガイドされるように形成されている。
【0011】
本手段では、
図2(A)に示す如く、囲繞筒4cの開口端部5が、前記台座40よりも上位に位置しており、かつ、当該囲繞筒4cは、前記ブラシ部材38の上下動をガイドするように形成されている。
この構造によれば、囲繞筒4cのガイド機能により、ブラシ部材38のガタツキを低減でき、良好な使用感が得られる。
【0012】
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ前記毛束58を外部の被塗布面Tに押し付けることにより前記ブラシ部材38が前記栓本体2の奥方Iに押し込まれたときに前記開口端部5が前記被塗布面Tに当接することが可能であるように、前記囲繞筒4cの筒長Lを設定した。
【0013】
本手段では、
図3(B)に示す如く、ブラシ部材38が栓本体2の奥方Iに押し込まれたときに、
図3(C)の如く囲繞筒4cの開口端部5が被塗布面Tに当接するように、囲繞筒4cの筒長Lを設定した。この構造によれば、被塗布面Tへの毛束58の過剰な押付けを抑制できる。かつ囲繞筒4cの外への液体の漏出を抑制できるので、効率的に塗布作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、栓本体の先端側にブラシを配備させた構成により、好ましい触感等の良好な使用感を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るブラシ付き塗布栓の断面図である。
【
図2】
図1の塗布栓から補助蓋及びオーバーキャップを外した構造を示しており、同図(A)は当該構造の断面図、同図(B)はII(B)-II(B)方向から見た断面図である。
【
図3】
図1に示す塗布栓の使用作業の説明図であり、同図(A)は塗布栓を倒立状態として被塗布面に当接させた状態を、同図(B)は塗布栓を被塗布面に圧接させた状態を、同図(C)は囲繞筒の開口端部が被塗布面に当接された状態を、それぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図3は、本発明の実施形態に係るブラシ付き塗布栓1を示している。
このブラシ付き塗布栓1は、液状物を収納する容器90の口部94に装着して使用される。
まず図示例の容器90の構造を説明すると、胴部から肩部92を介して口部94を立設させている。図示例の口部94は、外周面にオネジ部95を付設した口頸部であり、その上部は小外径部96に形成されている。これらの構造は適宜変更することができる。
前記ブラシ付き塗布栓1は、栓本体2と、付勢部材20と、ブラシ部材38と、補助キャップ60と、オーバーキャップ70とを具備する。
もっともこの構造は適宜変更することができ、補助キャップ60及びオーバーキャップ70は省略することができる。
【0017】
栓本体2は、容器90の上方開口の口部94へ装着するための部材であり、上側にブラシ部材38の挿通口である上端開口Aを、下側に下端開口Bを有する略筒状に形成されている。
なお、本明細書において、「上」及び「下」という用語は、特に断らない限り、
図1の状態(正立状態の容器90にブラシ付き塗布栓1を装着した状態)での上及び下を意味するものとする。
本実施形態において、栓本体2は、
図1に示す如く、下方筒部4a及び上方筒部4cに比べて中間筒部4bを小径とした主筒4を有する。そして、その下方筒部4aから外向きのフランジ状壁12を介して外筒14が垂設されている。
ここで、前記上方筒部4cは、後述のブラシ部50を囲むための部位であり、また中間筒部4bの内部には、後述の連結筒42が摺動可能に配置されている。これら上方筒部4c及び中間筒部4bは、それぞれ直筒状に形成されている。
前記下方筒部4aは、前記口部94に連結させるための部位であり、図示例では、前記下方筒部4aと前記外筒14との間に、前記口部94の小外径部96が挟持されている。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
前記外筒14の内面には、前記小外径部96とアンダーカット結合する第1抜止め用突条16が、また前記下方筒部4aの内面には、後述の付勢部材20の第2抜止め用突条24とかみ合う係合溝10が、それぞれ周設されている。
【0018】
前記上方筒部4cは、後述のブラシ部50の周囲を囲む囲繞筒として形成されている。
ここで、「ブラシ部の周囲を囲む」とは、
図3(B)に示すように、ブラシ部材38が塗布栓の奥方I(容器90側と同義)へ変位した状態で、囲繞筒が後述のブラシ部50の毛束58を包囲することが可能な構造であることを意味している。これにより、毛束58が広がることを規制することができる。
また囲繞筒4cは、ブラシ部50の昇降をガイドする役割を有しており、直筒状に形成されている。
前記囲繞筒4cの上端である開口端部5は、ブラシ部材38が奥方Iに向けて変位する前の初期位置で、ブラシ部50を支える後述の台座40及びブラシ部50の後述するリング板54よりも上位に位置している。
前記囲繞筒4cの筒長Lは、ブラシ部材38が容器90側へ押し込まれたときに、前記開口端部5が被塗布面Tに当接することが可能な長さとするとよい(
図3(C)参照)。
また、開口端部5が被塗布面Tに当接した際に、後述する台座板48の下面が後述する第2周状受部8に当接していてもよく、当該第2周状受部8と隙間をあけて対向していてもよい。
【0019】
本実施形態では、前記下方筒部4aと前記中間筒部4bとの間に、後述の周状当接部30を当接させるための第1周状受部6が周設されている。
また、前記中間筒部4bと前記上方筒部4cとの間に、後述の台座板48と対向する第2周状受部8が周設されている。
これら台座板48と第2周状受部8との間には、
図3(A)に示すように、ブラシ部材38の上下動を可能とするための移動代Gをとっている。
図示例では、前記第1周状受部6は上端小径のテーパ状に、また前記第2周状受部8は上端大径のテーパ状に、それぞれ形成されている。もっとも、これらの形状は適宜変更することができる。
【0020】
付勢部材20は、前記栓本体2の内部に配備されており、ブラシ部材38を上方へ付勢する役割を有する。
本実施形態の付勢部材20は、前記下方筒部4a内に固定された固定部22から、バネ部26を介して、ブラシ部材38と連結させた昇降部28を上方へ突設させてなる。図示例では固定部22とバネ部26と昇降部28とは一体成形されている。もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
【0021】
図示例の固定部22は、外周面に脱落防止用の第2抜止め用突条24を付設した筒体である。この筒体を下方筒部4a内へ下側から嵌入させると、前記第2抜止め用突条24が前記係合溝10に係止される。また前記固定部22の下端には、主筒4の下方筒部4aの下端面に係止する鍔部25が周設されている。
次に、前記バネ部26は、例えば多条の螺旋バネとして形成されている。もっとも、その形態は適宜変更することができる。
前記昇降部28は、前記バネ部26と連設された大径筒部28aと、大径筒部の上端に付設された頂板28bと、この頂板28bから立設された小径筒部28cとからなる。
前記大径筒部28aは、主筒4の下方筒部4a内に遊挿されており、かつ、前記小径筒部28cは、前記中間筒部4b内へ突入されている。
大径筒部28a及び下方筒部4aの間、並びに、小径筒部28c及び中間筒部4bの間の間には、空隙cが形成されており、これら空隙cは、前記口部94の内部から後述の連通口56に至る連通路Pの一部である。
前記頂板28bと前記大径筒部28aとの角部(接続部)には、前記第1周状受部6と突き当たる周状当接部30が形成されている。図示例では、前記角部はテーパ状に面取りされている。
それら第1周状受部6及び周状当接部30は、後述のブラシ部材38の上下動により、前記連通路Pを開閉するシール部Sを形成している(
図3(A)及び
図3(B)参照)。
また前記上方筒部4cの外面には、
図2(A)に示す如く、後述の第3抜止め用突条44を嵌合させるための嵌合凹溝32が周設されている。
【0022】
ブラシ部材38は、前記挿通口Aに上下動可能に挿通され、かつ、前記栓本体2の内側に配備された部材である。
本実施形態のブラシ部材38は、前記付勢部材20により昇降可能に支承された台座40と、この台座40の上側に配置された毛束58を含むブラシ部50とからなる。その毛束58の根元側には、毛束58に内容液を供給するための連通口56が開口されている。
図示例では、台座40とブラシ部50とが別体に成形されているが、これらを一体に成形してもよい。
図示例のブラシ部50は、後述の如く、垂直な連通筒52の上端に付設された環状のリング板54の上面に毛束58を一体に立設させてなり、そのリング板54の中央のリング孔を前記連通口56としている。なお、毛束58は植設されたものでもよい。
この連通口56は、前記口部94の内部と連通する連通路Pの終端部であり、上方から見たときのブラシ部材38の中央部に配置されている。
【0023】
前記台座40は、縦向きの連結筒42の上端に、上方から見て環状の台座板48を付設してなる。
この台座板48の上面49は、下方へ凹む部分球面状に形成されている。
前記連結筒42の内面には、中央部に連通オリフィス46を有するオリフィス板45が付設されている。このオリフィス板45は、連結筒42の上下方向中間部に位置させて配置されている。
前記連結筒42の下半部には、前記小径筒部28cが、また、連結筒42の上半部には、前述のブラシ部50の連通筒52が、それぞれ嵌着・連結されている。
前記連結筒42の下半部の内面には、前記嵌合凹溝32に嵌入させるための第3抜止め用突条44が周設されている。
また前記連結筒42の内面下端からオリフィス板45の下面に亘って、連通スリット43が形成されている。
この連通スリット43は、前記連通オリフィス46を介して、連通筒52の筒孔である連通孔53と連続している。本実施形態では、
図2(B)に示す如く、前記連結筒42の周方向に複数(図示例では3個)の連通スリット43を設けている。
そして、
図1に示す如く、前述の空隙cと、台座40の連通スリット43及び連通オリフィス46と、ブラシ部50の連通孔53及び連通口56とにより、内容液の流路である連通路Pが形成されている。もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
【0024】
前記ブラシ部50は、ボス状の連通筒52と、連通筒52の上端から前記台座板48に沿った湾曲形状で上外方へ延びるリング板54と、このリング板54の上面に立設された毛束58とで形成されている。
この毛束58は、
図2(A)に示す如く、先端側が中心側(連通口56を通る垂直な中心線О側)へ収束しており、全体として下側から上側へすぼまる形状に形成されている。
本実施形態のブラシ部50は、柔軟な材料を用いて、成形状態では、水平なリング板54から垂直に毛束58が立設する形態に形成されており、前記台座板48の上に配置することにより、リング板54が台座板48に沿って変形するため、毛束58の先端側が収束した形態へ変形するように構成されている。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
【0025】
本実施形態では、前記ブラシ部材38において最も径方向外側に位置する外周縁部e(図示例では台座板48の周端部)を前記囲繞筒4cの内面に摺動可能に当接させることにより、当該ブラシ部材38の上下動が前記囲繞筒4cによりガイドされるように形成されている。これにより、ブラシ部材38が上下動に伴い、横方向にブレることを防止することができる。
なお、「ガイド」とは、摺接状態で案内される場合に限定されない。
すなわち、「摺動可能に当接させる」代わりに、僅かの間隙を存して外周縁部eを囲繞筒4cの内面に近接させてもよい。
【0026】
補助キャップ60は、前記ブラシ部50を覆うように前記栓本体2に装着された部材である。
本実施形態の補助キャップ60は、水平な上板62の下面からスカート状部64を設けるとともに、このスカート状部64の下端に、前記囲繞筒4cの上部に内嵌させる嵌合リング66を周設している。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
【0027】
オーバーキャップ70は、栓本体2及びブラシ部材38を覆うように容器90の口部94に装着された部材である。
本実施形態のオーバーキャップ70は、天板72から垂設する周壁74の上半壁部74aから、環状拡径部74bを介して、下半壁部74cを連設している。そして、この下半壁部74cの内面に、口部94のオネジ部95とかみ合うメネジ部76が形成されている。
また前記環状拡径部74bからは、外向きフランジ77を介して、下半壁部74cを囲む補助周壁78が垂設されている。
【0028】
前記構成において、ブラシ付き塗布栓1を使用するときには、
図1の状態から、オーバーキャップ70及び補助キャップ60をそれぞれ外して、
図3(A)に示すように、容器90の倒立状態で、ブラシ部材38の毛束58を外部の被塗布面Tに接触させる。
次に、ブラシ付き塗布栓1を被塗布面T側へ押し付けると、
図3(B)に示すように、バネ部26が弾性圧縮することにより、付勢部材20の昇降部28及びブラシ部材38が奥方Iへ変位する。
これにより、シール部Sが開いて、容器90内の内容液が連通路Pを通り、ブラシ部材38の中央部に配置された連通口56から毛束58へ供給される。故にブラシの先部(収束された毛束の先端部)に内容液を集め易い。
そして、内容物を含侵させた毛束58を介して、外部の被塗布面T(例えば利用者の頭皮など)へ塗布することができる。故に、栓本体2に設けたブラシ部50を用いて好ましい触感・良好な使用感が得られる。
これらの工程において、囲繞筒4cは、ブラシ部50が囲繞筒4cの筒軸方向に向かって適切に変位するようにブラシ部材38の移動をガイドするとともに、毛束58が不用意に広がることを規制する。故に、使用感をさらに向上できる。
なお、
図3(B)の状態から、さらに強くブラシ付き塗布栓1を被塗布面Tへ押し付けると、
図3(C)に示す如く、囲繞筒4cの開口端部5が被塗布面Tに当接する。これにより、毛束58が被塗布面Tに過剰に押し付けられることが防止される。
また囲繞筒4cは、連通口56から過剰に供給された内容液を囲繞筒4cの内部に留め、一度に外部へ漏出することも防止する。
この状態で、囲繞筒4cの開口端部5を被塗布面Tから離さずに、被塗布面Tに沿ってスライドさせると、囲繞筒4c内に留められた内容液を、被塗布面Tの広い範囲に無駄なく適正に塗り広げることができる。故に、効率的に塗布作業を行うことができる。
塗布作業が終わったときには、被塗布面Tからブラシ部50を離すと、バネ部26の作用によりシール部Sが閉鎖する。そして、容器を正立状態に戻して、補助キャップ60及びオーバーキャップ70を再装着すると、
図1の状態に戻る。
【符号の説明】
【0029】
1…ブラシ付き塗布栓 2…栓本体 4…主筒 4a…下方筒部 4b…中間筒部
4c…上方筒部(囲繞筒) 5…開口端部 6…第1周状受部 8…第2周状受部
10…係合溝 12…フランジ状壁 14…外筒 16…第1抜止め用突条
20…付勢部材 22…固定部 24…第2抜止め用突条 25…鍔部 26…バネ部
28…昇降部 28a…大径筒部 28b…頂板 28c…小径筒部
30…周状当接部 32…嵌合凹溝
38…ブラシ部材 40…台座 42…連結筒 43…連通スリット
44…第3抜止め用突条 45…オリフィス板 46…連通オリフィス
48…台座板 49…上面 50…ブラシ部 52…連通筒 53…連通孔
54…リング板 56…連通口 58…毛束
60…補助キャップ 62…上板 64…スカート状部 66…嵌合リング
70…オーバーキャップ 72…天板 74…周壁 74a…上半壁部
74b…環状拡径部 74c…下半壁部 76…メネジ部 77…外向きフランジ
78…補助周壁
90…容器 92…肩部 94…口部(口頸部)95…オネジ部 96…小外径部
A…上端開口(挿通口) B…下端開口 c…空隙 e…外周縁部 G…移動代
I…奥方 L…筒長 О…中心線 P…連通路 S…シール部 T…被塗布面