(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158097
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 43/0805 20220101AFI20241031BHJP
G06F 11/34 20060101ALI20241031BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20241031BHJP
H04L 43/0864 20220101ALI20241031BHJP
【FI】
H04L43/0805
G06F11/34 133
G06F11/30 140A
H04L43/0864
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072968
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】桜井 鐘治
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC09
(57)【要約】
【課題】効果的に通信負荷を推定する。
【解決手段】通信負荷推定装置は、試験通信パケットおよび遅延確認パケットを試験対象装置へ送信する通信送付部と、通信送付部から遅延確認パケットが送信されてから、遅延確認パケットを受信した試験対象装置から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得する遅延取得部と、通信送付部から通信量を変更しつつ複数回送信された試験通信パケットに対応する遅延時間の推移量の変化点における試験通信パケットの通信量に基づいて、試験対象装置の最大通信負荷を見積もる最大負荷見積部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続可能な試験対象装置の通信負荷を推定する通信負荷推定装置であり、
あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成するための試験通信パケット生成部と、
前記試験対象装置の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成するための遅延確認パケット生成部と、
前記試験通信パケットおよび前記遅延確認パケットを前記試験対象装置へ送信するための通信送付部と、
前記通信送付部から前記遅延確認パケットが送信されてから、前記遅延確認パケットを受信した前記試験対象装置から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得するための遅延取得部と、
前記通信送付部から前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の最大通信負荷を見積もるための最大負荷見積部とを備える、
通信負荷推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信負荷推定装置であり、
前記最大負荷見積部が、前記通信送付部から同量ずつ前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の前記最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信負荷推定装置であり、
同等の負荷である複数の第1の装置と、
前記第1の装置が接続されない状態における前記遅延時間と、前記第1の装置が1つ接続された状態における前記遅延時間と、前記第1の装置が2つ接続された状態における前記遅延時間との推移量に基づいて前記第1の装置の1つ当たりの負荷を算出するための装置別見積部とをさらに備える、
通信負荷推定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信負荷推定装置であり、
前記装置別見積部が、前記第1の装置の負荷の合計が前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも小さくなるように、接続可能な前記第1の装置の個数を出力する、
通信負荷推定装置。
【請求項5】
請求項3に記載の通信負荷推定装置であり、
同等の負荷である複数の第2の装置をさらに備え、
前記第2の装置の負荷が、前記第1の装置の負荷とは異なり、
前記装置別見積部が、前記第1の装置および前記第2の装置の負荷の合計が前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも小さくなるように、接続可能な前記第1の装置前記第2の装置の個数を出力する、
通信負荷推定装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の通信負荷推定装置であり、
前記最大負荷見積部が、前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも十分に小さい第1の通信量と、前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも十分に大きい第2の通信量とで前記通信送付部から送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の前記最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の通信負荷推定装置であり、
前記最大負荷見積部が、前記通信送付部から前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間に基づく近似曲線を生成し、かつ、前記近似曲線から逸脱する点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の前記最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の通信負荷推定装置であり、
前記通信負荷推定装置が、
前記試験通信パケット生成部と、前記遅延確認パケット生成部と、前記通信送付部と、前記遅延取得部とを備える疑似DoS発生装置と、
少なくとも前記最大負荷見積部を備える通信負荷見積もり装置とを備える、
通信負荷推定装置。
【請求項9】
ネットワークに接続可能な試験対象装置の通信負荷を推定する通信負荷推定方法であり、
あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成し、
前記試験対象装置の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成し、
前記試験通信パケットおよび前記遅延確認パケットを前記試験対象装置へ送信し、
前記遅延確認パケットが送信されてから、前記遅延確認パケットを受信した前記試験対象装置から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得し、
前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、通信負荷の推定技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にIoT(internet of things)機器は、ホームルータなどを使って家庭内に簡易的なネットワークシステムを構築する。このように構築されたネットワークシステムには、複数のメーカー製の機器が含まれることが十分に考えられる。
【0003】
そのようなシステムにおいて、自社で開発した機器が問題なく性能を発揮するためには、あらかじめシステム試験などを実施しておく必要がある(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。そのシステム試験において、自社で開発した機器の通信負荷が適切に見積もられていない場合、その機器で不具合(動作停止または異常な再起動の繰り返しなど)が生じる場合がある。
【0004】
また、自社が開発していない(つまり仕様を把握しきれていない)機器も上記のシステムに接続される可能性が十分にあり、それらの機器が自社で開発した機器に与える影響も考慮しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4180638号公報
【特許文献2】特許第6497782号公報
【特許文献3】特開2020-129736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自社開発していない機器、または、仕様が公開されていない機器などの、様々な機器が接続されたIoTシステム環境が存在する。そのような環境で上記のシステム試験を実施する場合、仕様も公開されていない機器が試験対象装置へ与える負荷の値を定量的に計測することは難しい。
【0007】
また、試験対象装置が十分な負荷に耐えられる仕様になっているかの試験において、負荷を計測するために膨大な数の構成のシステムを検討しなければならず、試験環境構築にコストがかかる。
【0008】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、効果的に通信負荷を推定するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である通信負荷推定装置は、ネットワークに接続可能な試験対象装置の通信負荷を推定する通信負荷推定装置であり、あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成するための試験通信パケット生成部と、前記試験対象装置の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成するための遅延確認パケット生成部と、前記試験通信パケットおよび前記遅延確認パケットを前記試験対象装置へ送信するための通信送付部と、前記通信送付部から前記遅延確認パケットが送信されてから、前記遅延確認パケットを受信した前記試験対象装置から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得するための遅延取得部と、前記通信送付部から前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の最大通信負荷を見積もるための最大負荷見積部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、試験通信パケットの通信量に基づいて試験対象装置の最大通信負荷を見積もることができる。
【0011】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
【
図2】実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
【
図3】実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
【
図4】実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
【
図5】実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
【
図6】
図1に例が示される通信負荷推定装置を実際に運用する場合のハードウェア構成を概略的に例示する図である。
【
図7】
図1に例が示される通信負荷推定装置を実際に運用する場合のハードウェア構成を概略的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるために、それらのすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0014】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされる。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0015】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0016】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0017】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0018】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。
【0019】
<通信負荷推定装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
図1に例が示されるように、通信負荷推定装置は、ネットワークに接続された試験対象装置200にパケットを送付する疑似DoS発生装置100と、試験される対象の装置である試験対象装置200とを備える。疑似DoS発生装置100は、通信量設定部101と、通信送付部102と、試験パターン部103と、遅延取得部104と、最大負荷見積部105と、装置別見積部106とを備える。
【0020】
図1において、疑似DoS発生装置100が試験対象装置200に試験通信パケットを送付する方法と、遅延を確認するパケット(遅延確認パケット)を送付する方法とについて説明する。
【0021】
疑似DoS発生装置100が試験対象装置200に試験通信パケットを送付する方法としては、疑似DoS発生装置100が、疑似DoS発生装置100の通信量設定部101で設定された通信量、かつ、試験パターン部103で定められた試験パターンの試験通信パケットを、通信送付部102を用いて試験対象装置200に送付する。ここで、通信量設定部101および試験パターン部103は、試験通信パケットを生成する試験通信パケット生成部として機能する。
【0022】
遅延確認パケットを送付する方法としては、上記の試験通信パケットの送付と並行して、疑似DoS発生装置100が、通信送付部102を用いて試験対象装置200に遅延確認パケットを送付する。遅延確認パケットは、たとえば、通信量設定部101または試験パターン部103などで生成される。すなわち、通信量設定部101および試験パターン部103は、遅延確認パケットを生成する遅延確認パケット生成部として機能する。
【0023】
次に、上記で示された両パケット(試験通信パケットおよび遅延確認パケット)が試験対象装置200に与える負荷の考え方について述べる。
【0024】
試験対象装置200は、受信した試験通信パケットに対して、破棄または処理などを含む何らかの処置を実施する。ここでの処理とは、試験対象装置200にとって、有効と判断されれば疑似DoS発生装置100に対してなんらかの情報を返す(応答する)などである。
【0025】
一方で、試験対象装置200に送付される遅延確認パケットは、要求およびそれに対する応答に関する時間差を用いて遅延を計測するためのパケットである。そのため、上記の試験計測パケットとは異なり、短くシンプルなパケットであることが多い。
【0026】
要求に対して応答するため、試験対象装置200は、応答パケットを疑似DoS発生装置100に送付する。この応答の際に遅延が発生する可能性として、試験対象装置200が受信した試験通信パケットの処置に大きな負荷がかかった場合に、応答パケットを疑似DoS発生装置100に送付する時間がかかることがある。
【0027】
次に、疑似DoS発生装置100が試験対象装置200に両パケット(試験通信パケットおよび遅延確認パケット)を送付し、それに基づいて疑似DoS発生装置100による負荷を見積もる方法について述べる。
【0028】
疑似DoS発生装置100は、上記の例において遅延確認パケットを送付している。その際、遅延取得部104を用いて現在時刻(送信時刻)を取得しておく。そして、試験対象装置200からの応答パケットを、遅延取得部104を用いて受信時刻とともに取得することで、遅延取得部104は、送受信間の時間差を遅延時間として取得することができる。このように、試験対象装置200に送信した試験通信パケットの遅延の影響を、送受信の時刻情報から見積もることができる。
【0029】
次に、上記の方法を適用して、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる方法について述べる。疑似DoS発生装置100は、試験パターン部103で、試験計測パケットのある試験パターンを設定する。この試験パターンは、一般に試験対象装置200が容易に回答(応答)することができるようなパターンであり、複雑な形式または試験対象装置200が返答(応答)しづらい悪意ある形式ではないものとする。ただし、試験通信パケット自体の大きさなどは変更可能であってよい。
【0030】
本実施の形態では、単純な正常試験パターンを多量に送付し、試験対象装置200の負荷を高めて、この多量度合いの計測を目的としている。そのため、試験パターンは「一般に試験対象装置200が容易に回答することができるようなパターン」を設定するものとしている。
【0031】
これによって、試験対象装置200が試験パターンの解釈に時間が掛かっているために応答が遅延しているという遅延要因を排除した状態で通信負荷の推定を行うことができる。よって、単純にDoSなど量による負荷試験パターンにおける通信負荷の推定を行う際には、単純な正常試験パターンを設定することが望ましいといえる。
【0032】
ただし、試験パターンは「一般に試験対象装置が容易に回答することができるようなパターン」に限られるものではなく、悪意ある試験パターンを含むように設定することで、悪意ある試験パターンが試験対象装置200に送られた場合を含むセキュリティー試験(ファズ試験)における試験対象装置200の通信負荷の推定が可能になる。
【0033】
次に、通信量設定部101で設定する通信量をA1として設定する。このA1は通信量を示す10進数などで表現された数値であり、単位としてはbps(bit per second)などの値である。試験を開始する際の通信量である初期値Aは可能な限り小さい値に設定しておく。
【0034】
そして、疑似DoS発生装置100は、設定された試験パターンと通信量とで定義される試験通信パケットを試験対象装置200に送付する。また、疑似DoS発生装置100は、試験通信パケットの送付と並行し、遅延確認パケットを試験対象装置200に送付する。
【0035】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットに返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間T1を取得する。
【0036】
次に、疑似DoS発生装置100は、A1からいくつか値を増加させた通信量としてA2を通信量設定部101で設定し、上記の同様に試験通信パケットと遅延確認パケットとを試験対象装置200に送付する。そして、疑似DoS発生装置100は、試験対象装置200からの返答(応答)に基づいて遅延時間T2を取得する。そして、疑似DoS発生装置100は、このような試験をN回繰り返す。
【0037】
上記の試験をN回繰り返す際、通信量ANとAN-1との差分は通信量AN-1とAN-2との差分と同一に設定する。これで、遅延時間を遅延時間TNまでN個取得することができる。
【0038】
次に、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もるために、疑似DoS発生装置100の最大負荷見積部105に、上記のN個の遅延時間を入力する。そして、入力されたN個の遅延時間のそれぞれの差分を計算する。具体的には、最大負荷見積部105は、T2-T1、T3-T2、・・・、TN-TN-1を計算する。
【0039】
上記のそれぞれの差分値が一定の値であり等差数列などで表現することができる場合、最大負荷見積部105は、試験対象装置200の内部状態について、最大通信負荷とは判定せずに正常状態と表現する。そして、疑似DoS発生装置100は、さらに上記の試験をM回繰り返す。
【0040】
上記の試験をM回繰り返す際にも、同様に通信量AMとAM-1との差分は通信量AM-1とAM-2との差分と同一に設定する。これによって、遅延時間を遅延時間TMまでM-N個取得することができる。
【0041】
次に、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もるために、最大負荷見積部105に、上記のM-N個の遅延時間を入力する。そして、入力されたM-N個の遅延時間のそれぞれの差分を計算する。具体的には、最大負荷見積部105は、TM-TM-1などを計算する。
【0042】
そうすると、上記のそれぞれの差分値が一定の値とはならず、等差数列などで表現することができない場合が出てくる。このような場合に、最大負荷見積部105は、試験対象装置200の内部状態について、異常状態と表現する。
【0043】
上記の異常状態に初めてなった1からMまでの間のAX値を、最低異常状態と表現する。そして、AXをあるしきい値、たとえば、95%と乗算することで、0.95×AXの値を最大負荷見積もりの値にする。
【0044】
乗算する際のしきい値は、異常状態から大きく遠ざける意図で、90%または85%などのように小さい値を用いてもよい。また、乗算する際のしきい値は、異常状態からしきい値を小さくする場合は、97%などのように大きい値を用いてもよい。
【0045】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0046】
<通信負荷推定装置の構成について>
本実施の形態では、第1の実施の形態の方法を適用しつつ、1種類の装置別の負荷見積もりの方法について述べる。
図2は、本実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
図2に例が示されるように、通信負荷推定装置は、疑似DoS発生装置100と、試験対象装置200と、第1の装置301と、第1の装置301と同等の負荷である第1の装置302とを備える。第1の装置301と第1の装置302とは、同一製品または通信機能として同一相当であるものとする。また、第1の装置301および第1の装置302は、通信負荷推定装置から仕様を把握することができない装置であるものとする。疑似DoS発生装置100は、通信量設定部101と、通信送付部102と、試験パターン部103と、遅延取得部104と、最大負荷見積部105と、装置別見積部106とを備える。
【0047】
図2において、
図1との違いは、第1の装置301および第1の装置302が追加されていることである。
図2では、試験対象装置200以外の装置(第1の装置301および第1の装置302)を通信負荷推定装置に追加し、それらの接続可能な台数を見積もることができる。
【0048】
図2では、第1の装置301と第1の装置302とが追加されているが、本実施の形態においても、初期状態は
図1と同様である。すなわち、初期状態の後、第1の装置を追加するフェーズがあり、そのフェーズを2回実施した状態が
図2に示された状態である。
【0049】
第1の実施の形態で示されたように、疑似DoS発生装置100は、試験パターン部103である試験パターンを設定する。次に、疑似DoS発生装置100は、通信量設定部101で通信量をA1として設定する。なお、試験を開始する際の初期値Aは可能な限り小さい値に設定しておく。
【0050】
次に、疑似DoS発生装置100は、設定された試験パターンと通信量とで定義される試験通信パケットを試験対象装置200に送付する。また、疑似DoS発生装置100は、試験通信パケットの送付と並行し、遅延確認パケットを試験対象装置200に送付する。
【0051】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Ta1を取得する。
【0052】
次に第1の装置301を追加するフェーズに移行する。本フェーズを実施して、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100から試験対象装置200へ送付する。
【0053】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Ta2を取得する。
【0054】
さらに、(第1の装置301と同等の負荷である)第1の装置302を追加するフェーズに移行し、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100から試験対象装置200へ送付する。
【0055】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Ta3を取得する。
【0056】
次に、装置別負荷を見積もるため装置別見積部106に、遅延時間Ta1、遅延時間Ta2、遅延時間Ta3の3つを入力する。そして、疑似DoS発生装置100の装置別見積部106は、入力された3つの遅延時間のそれぞれの差分を計算する。装置別見積部106は、具体的にはTa2-Ta1、Ta3-Ta2を計算する。
【0057】
上記のそれぞれの差分値が一定の値であり等差数列などで表現することができる場合、装置別見積部106は、当該遅延負荷を第1の装置1台あたりの負荷とする。
【0058】
一方で、上記のそれぞれの差分値が一定の値とはならず、等差数列などで表現することができない場合には、第1の装置を追加するフェーズを実行し、その遅延時間の変化に基づいて1台あたりの負荷を見積もる。ここでは、αを1台あたりの負荷とする。追加するフェーズの回数は、5から10をしきい値として変化させる。第1の装置の追加だけでは試験対象装置200の負荷に影響を与えない場合は、通信負荷推定装置の実際のサービスまたは本番環境の動作に類似させ、負荷が発生するように環境を設定する。
【0059】
第1の実施の形態では、試験対象装置200の最大負荷見積もりの値が0.95×AXとされたが、α×n<0.95×AXとなるnが、通信負荷推定装置に接続することができる第1の装置の台数となる。当該値を装置別見積部106から出力する。
【0060】
<第3の実施の形態>
本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0061】
<通信負荷推定装置の構成について>
本実施の形態では、第2の実施の形態の方法を適用しつつ、複数の装置別の負荷見積もりの方法について述べる。
図3は、本実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
図3に例が示されるように、通信負荷推定装置は、少なくとも、疑似DoS発生装置100と、試験対象装置200と、第1の装置301と、第1の装置301と同等の負荷である第1の装置302と、第2の装置401と、第2の装置401と同等の負荷である第2の装置402と、第3の装置501と、第3の装置501と同等の負荷である第3の装置502とを備える。第2の装置401と第2の装置402とは、同一製品または通信機能として同一相当であるものとする。また、第2の装置401および第2の装置402は、通信負荷推定装置から仕様を把握することができない装置であるものとする。第3の装置501と第3の装置502とは、同一製品または通信機能として同一相当であるものとする。また、第3の装置501および第3の装置502は、通信負荷推定装置から仕様を把握することができない装置であるものとする。また、第1の装置、第2の装置および第3の装置は、互いに異なる負荷であるものとする。疑似DoS発生装置100は、通信量設定部101と、通信送付部102と、試験パターン部103と、遅延取得部104と、最大負荷見積部105と、装置別見積部106とを備える。
【0062】
図3において、
図2との違いは、第2の装置401、第2の装置402、第3の装置501および第3の装置502が追加されていることである。
図3では、試験対象装置200以外の複数の装置(第2の装置401、第2の装置402、第3の装置501および第3の装置502)を通信負荷推定装置に追加し、それらの負荷も見積もることができる。
【0063】
図3では、
図2から第2の装置401、第2の装置402、第3の装置501および第3の装置502が追加されているが、本実施の形態において、初期状態は
図2と同様である。すなわち、初期状態の後、各種装置を追加するフェーズがあり、そのフェーズを4回実施した状態が
図3に示された状態である。
【0064】
第1の実施の形態で示されたように、疑似DoS発生装置100は、試験パターン部103である試験パターンを設定する。次に、疑似DoS発生装置100は、通信量設定部101で通信量をA1として設定する。なお、試験を開始する際の初期値Aは可能な限り小さい値に設定しておく。
【0065】
次に、疑似DoS発生装置100は、設定された試験パターンと通信量とで定義される試験通信パケットを試験対象装置200に送付する。また、疑似DoS発生装置100は、試験通信パケットの送付と並行し、遅延確認パケットを試験対象装置200に送付する。
【0066】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Tb1を取得する。
【0067】
次に第2の装置401を追加するフェーズに移行する。本フェーズを実施して、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100から試験対象装置200へ送付する。
【0068】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Tb2を取得する。
【0069】
さらに、(第2の装置401と同等の負荷である)第2の装置402を追加するフェーズに移行し、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100から試験対象装置200へ送付する。
【0070】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Tb3を取得する。
【0071】
次に、装置別負荷を見積もるため装置別見積部106に、遅延時間Tb1、遅延時間Tb2、遅延時間Tb3の3つを入力する。そして、疑似DoS発生装置100の装置別見積部106は、入力された3つの遅延時間のそれぞれの差分を計算する。装置別見積部106は、具体的にはTb2-Tb1、Tb3-Tb2を計算する。
【0072】
上記のそれぞれの差分値が一定の値であり等差数列などで表現することができる場合、装置別見積部106は、当該遅延負荷を第2の装置1台あたりの負荷とする。
【0073】
一方で、上記のそれぞれの差分値が一定の値とはならず、等差数列などで表現することができない場合には、第2の装置を追加するフェーズを実行し、その遅延時間の変化に基づいて1台あたりの負荷を見積もる。ここでは、βを1台あたりの負荷とする。追加するフェーズの回数は、5から10をしきい値として変化させる。第2の装置の追加だけでは試験対象装置200の負荷に影響を与えない場合は、通信負荷推定装置の実際のサービスまたは本番環境の動作に類似させ、負荷が発生するように環境を設定する。
【0074】
第1の実施の形態では、試験対象装置200の最大負荷見積もりの値が0.95×AXとされたが、α×n1+β×n2<0.95×AXとなるn1が、通信負荷推定装置に接続することができる第1の装置の台数となり、上記を満たすn2が、通信負荷推定装置に接続することができる第2の装置の台数となる。当該値を装置別見積部106から出力する。
【0075】
さらに、第3の装置501を追加するフェーズに移行する。本フェーズを実施して、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100から試験対象装置200へ送付する。
【0076】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Tc2を取得する。
【0077】
さらに、(第3の装置501と同等の負荷である)第3の装置502を追加するフェーズに移行し、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100から試験対象装置200へ送付する。
【0078】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100は、遅延取得部104を用いて遅延時間Tc3を取得する。
【0079】
次に、装置別負荷を見積もるため装置別見積部106に、遅延時間Tb3、遅延時間Tc2、遅延時間Tc3の3つを入力する。そして、疑似DoS発生装置100の装置別見積部106は、入力された3つの遅延時間のそれぞれの差分を計算する。装置別見積部106は、具体的にはTc2-Tb3、Tc3-Tc2を計算する。
【0080】
上記のそれぞれの差分値が一定の値であり等差数列などで表現することができる場合、装置別見積部106は、当該遅延負荷を第3の装置1台あたりの負荷とする。
【0081】
一方で、上記のそれぞれの差分値が一定の値とはならず、等差数列などで表現することができない場合には、第3の装置を追加するフェーズを実行し、その遅延時間の変化に基づいて1台あたりの負荷を見積もる。ここでは、γを1台あたりの負荷とする。追加するフェーズの回数は、5から10をしきい値として変化させる。第3の装置の追加だけでは試験対象装置200の負荷に影響を与えない場合は、通信負荷推定装置の実際のサービスまたは本番環境の動作に類似させ、負荷が発生するように環境を設定する。
【0082】
第1の実施の形態では、試験対象装置200の最大負荷見積もりの値が0.95×AXとされたが、α×n1+β×n2+γ×n3<0.95×AXとなるn1が、通信負荷推定装置に接続することができる第1の装置の台数となり、上記を満たすn2が、通信負荷推定装置に接続することができる第2の装置の台数となり、上記を満たすn3が、通信負荷推定装置に接続することができる第3の装置の台数となる。当該値を装置別見積部106から出力する。
【0083】
その他、負荷が異なる第4の装置、第5の装置などを追加する場合であっても、α×n1+β×n2+γ×n3+…ω×nn<0.95×AXなどとして、同様に通信負荷推定装置に接続することができる台数を見積もることができる。
【0084】
<第4の実施の形態>
本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0085】
<通信負荷推定装置の構成について>
本実施の形態では、第1の実施の形態の方法を適用しつつ、効率的に試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる方法について述べる。
【0086】
第1の実施の形態では、通信量設定部101で通信量をA1と設定し、さらに、A1からいくつか値を増加させたA2を設定する。一方で本実施の形態では、A2に加えて、第1の実施の形態で示された試験対象装置200の異常状態になる程度にまで大きく増加させたA3を設定する。すなわち、試験対象装置200の最大通信負荷よりも十分に小さい通信量(A1)から、試験対象装置200の最大通信負荷よりも十分に大きい通信量(A2)へ大きく増加させる。
【0087】
次に通信量設定部101は、A2とA1との差分を取得し、当該差分の50%の通信量をA4とする。そして、通信量設定部101で通信量をA4と設定し、当該通信量で試験対象装置200の正常状態か異常状態かを判定する。正常か異常かの判定は、最大負荷見積部105で行い、(A4-A2)/(A2-A1)≪(T4-T2)/(T2-T1)が成り立つ場合には異常状態と判定し、成り立たない場合には正常状態と判断する。
【0088】
異常状態であった場合、A4とA2との間に試験対象装置200の最大通信負荷が存在することになる。通信量設定部101は、A4とA2との差分を取得し、当該差分の50%の通信量をA5と設定し、当該通信量で試験対象装置200の正常状態か異常状態かの判定を繰り返し、正常状態になったときの通信量ANを最大負荷見積もりの値とする。
【0089】
一方で、正常状態であった場合、A3とA4との間に最大通信負荷が存在することになる。通信量設定部101は、A3とA4との差分を取得し、当該差分の50%の通信量をA5と設定し、当該通信量で試験対象装置200の正常状態か異常状態かの判定を繰り返し、異常状態になったときの一つ前の正常状態の通信量AN-1を最大負荷見積もりの値とする。
【0090】
このような方法を繰り返すことで、第1の実施の形態に示されたようなA1からいくつか値を増加させた通信量としてA2を設定することを繰り返す場合に比べて、効率的に試験対象装置200の最大通信負荷を見積もることができる。
【0091】
<第5の実施の形態>
本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0092】
<通信負荷推定装置の構成について>
本実施の形態では、第1の実施の形態の方法を適用しつつ、正常状態と異常状態とを区別する別の方法について述べる。
【0093】
第1の実施の形態では、最大通信負荷を見積もるため、最大負荷見積部105に遅延時間をN個入力し、それぞれの差分を計算する。そして、これら差分の値が一定の値である等差数列などで表現することができる場合、正常状態と表現している。
【0094】
ここでの差分は、何らかの数列で表現される場合であれば、様々な方法が適用されても構わない。具体的には、算出された遅延時間から線形近似のような近似曲線を作成し、その近似曲線から大きく逸脱するものを異常状態、逸脱しないものを正常状態とすることで、異常状態と正常状態との変化点における試験通信パケットの通信量から最大通信負荷を求めることができる。
【0095】
第2の実施の形態または第3の実施の形態の方法を適用し、異なる装置の正常状態と異常状態とを区別する方式にも、同上の方法を用いることができる。
【0096】
<第6の実施の形態>
本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0097】
<通信負荷推定装置の構成について>
図4は、本実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
図4に例が示されるように、通信負荷推定装置は、少なくとも、疑似DoS発生装置100Aと、試験対象装置200と、通信負荷見積もり装置600とを備える。疑似DoS発生装置100Aは、通信量設定部101と、通信送付部102と、試験パターン部103と、遅延取得部104とを備える。通信負荷見積もり装置600は、最大負荷見積部605と、装置別見積部606とを備える。
図4に示されるように、最大負荷見積部と、装置別見積部とを疑似DoS発生装置100Aから切り離すことで、装置構成の自由度が高まる。
【0098】
図4において、疑似DoS発生装置100Aが試験対象装置200に試験通信パケットを送付する方法と、遅延確認パケットを送付する方法とについて説明する。
【0099】
疑似DoS発生装置100Aが試験対象装置200に試験通信パケットを送付する方法としては、疑似DoS発生装置100Aが、疑似DoS発生装置100Aの通信量設定部101で設定された通信量、かつ、試験パターン部103で定められた試験パターンの試験通信パケットを、通信送付部102を用いて試験対象装置200に送付する。
【0100】
遅延確認パケットを送付する方法としては、上記の試験通信パケットの送付と並行して、疑似DoS発生装置100Aが、通信送付部102を用いて試験対象装置200に遅延確認パケットを送付する。
【0101】
次に、上記で示された両パケット(試験通信パケットおよび遅延確認パケット)が試験対象装置200に与える負荷の考え方について述べる。
【0102】
試験対象装置200は、受信した試験通信パケットについて、破棄または処理などを含む何らかの処置を実施する。ここでの処理とは、試験対象装置200にとって、有効と判断されれば疑似DoS発生装置100Aに対してなんらかの情報を返す(応答する)などである。
【0103】
一方で、試験対象装置200に送付される遅延確認パケットは、要求およびそれに対する応答に関する時間差を用いて遅延を計測するためのパケットである。そのため、上記の試験計測パケットとは異なり、短くシンプルなパケットであることが多い。
【0104】
要求に対して応答するため、試験対象装置200は、応答パケットを疑似DoS発生装置100Aに送付する。この応答の際に遅延が発生する可能性として、試験対象装置200が受信した試験通信パケットの処置に大きな負荷がかかった場合に、応答パケットを疑似DoS発生装置100Aに送付する時間がかかることがある。
【0105】
次に、疑似DoS発生装置100Aが試験対象装置200に両パケット(試験通信パケットおよび遅延確認パケット)を送付し、それに基づいて疑似DoS発生装置100Aによる負荷を見積もる方法について述べる。
【0106】
疑似DoS発生装置100Aは、上記の例において遅延確認パケットを送付している。その際、遅延取得部104を用いて現在時刻(送信時刻)を取得しておく。そして、試験対象装置200からの応答パケットを、遅延取得部104を用いて受信時刻とともに取得することで、送受信間の時間差を取得することができる。このように試験対象装置200に送信した試験通信パケットの遅延の影響を、送受信の時刻情報から見積もることができる。
【0107】
次に、上記の方法を適用して、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる方法について述べる。疑似DoS発生装置100Aは、試験パターン部103で、試験計測パケットのある試験パターンを設定する。この試験パターンは、一般に試験対象装置200が容易に回答(応答)することができるようなパターンであり、複雑な形式または試験対象装置200が返答(応答)しづらい悪意ある形式ではないものとする。ただ、試験通信パケット自体の大きさなどは変更可能であってよい。
【0108】
次に、通信量設定部101で設定する通信量をA1として設定する。このA1は通信量を示す10進数などで表現された数値であり、単位としてはbps(bit per second)などの値である。試験を開始する際の通信量である初期値Aは可能な限り小さい値に設定しておく。
【0109】
そして、疑似DoS発生装置100Aは、設定された試験パターンと通信量とで定義される試験通信パケットを試験対象装置200に送付する。また、疑似DoS発生装置100は、試験通信パケットの送付と並行し、遅延確認パケットを試験対象装置200に送付する。
【0110】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100Aは、遅延取得部104を用いて遅延時間T1を取得する。
【0111】
次に、疑似DoS発生装置100Aは、A1からいくつか値を増加させた通信量としてA2を通信量設定部101で設定し、上記の同様に試験通信パケットと遅延確認パケットとを試験対象装置200に送付する。そして、疑似DoS発生装置100Aは、試験対象装置200からの返答(応答)に基づいて遅延時間T2を取得する。そして、疑似DoS発生装置100Aは、このような試験をN回繰り返す。
【0112】
上記の試験をN回繰り返す際、通信量ANとAN-1との差分は通信量AN-1とAN-2との差分と同一に設定する。これで、遅延時間を遅延時間TNまでN個取得することができる。
【0113】
次に、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もるために、通信負荷見積もり装置600の最大負荷見積部605に、上記のN個の遅延時間を入力する。そして、入力されたN個の遅延時間のそれぞれの差分を計算する。具体的には、最大負荷見積部105は、T2-T1、T3-T2、・・・、TN-TN-1を計算する。
【0114】
上記のそれぞれの差分値が一定の値であり等差数列などで表現することができる場合、最大負荷見積部605は、試験対象装置200の内部状態について、最大通信負荷とは判定せずに正常状態と表現する。そして、疑似DoS発生装置100Aは、さらに上記の試験をM回繰り返す。
【0115】
上記の試験をM回繰り返す際にも、同様に通信量AMとAM-1との差分は通信量AM-1とAM-2との差分と同一に設定する。これによって、遅延時間を遅延時間TMまでM-N個取得することができる。
【0116】
次に、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もるために、最大負荷見積部605に、上記のM-N個の遅延時間を入力する。そして、入力されたM-N個の遅延時間のそれぞれの差分を計算する。具体的には、最大負荷見積部105は、TM-TM-1などを計算する。
【0117】
そうすると、上記のそれぞれの差分値が一定の値とはならず、等差数列などで表現することができない場合が出てくる。このような場合に、最大負荷見積部605は、試験対象装置200の内部状態について、異常状態と表現する。
【0118】
上記の異常状態に初めてなった1からMまでの間のAX値を、最低異常状態と表現する。そして、AXをあるしきい値、たとえば、95%と乗算することで、0.95×AXの値を最大負荷見積もりの値にする。
【0119】
乗算する際のしきい値は、異常状態から大きく遠ざける意図で、90%または85%などのように小さい値を用いてもよい。また、乗算する際のしきい値は、異常状態からしきい値を小さくする場合は、97%などのように大きい値を用いてもよい。
【0120】
<第7の実施の形態>
本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0121】
<通信負荷推定装置の構成について>
本実施の形態では、第6の実施の形態の方法を適用しつつ、1種類の装置別の負荷見積もりの方法について述べる。
図5は、本実施の形態に関する通信負荷推定装置の構成の例を概念的に示す図である。
図5に例が示されるように、通信負荷推定装置は、疑似DoS発生装置100Aと、試験対象装置200と、通信負荷見積もり装置600と、第1の装置301と、第1の装置301と同等の負荷である第1の装置302とを備える。第1の装置301と第1の装置302とは、同一製品または通信機能として同一相当であるものとする。疑似DoS発生装置100Aは、通信量設定部101と、通信送付部102と、試験パターン部103と、遅延取得部104とを備える。通信負荷見積もり装置600は、最大負荷見積部605と、装置別見積部606とを備える。
【0122】
図5において、
図4との違いは、第1の装置301および第1の装置302が追加されていることである。
図5では、試験対象装置200以外の装置(第1の装置301および第1の装置302)を通信負荷推定装置に追加し、それらの接続可能な台数を見積もることができる。
【0123】
図5では、第1の装置301と第1の装置302とが追加されているが、本実施の形態においても、初期状態は
図4と同様である。すなわち、初期状態の後、第1の装置を追加するフェーズがあり、そのフェーズを2回実施した状態が
図5に示された状態である。
【0124】
第6の実施の形態で示されたように、疑似DoS発生装置100Aは、試験パターン部103である試験パターンを設定する。次に、疑似DoS発生装置100Aは、通信量設定部101で通信量をA1として設定する。なお、試験を開始する際の初期値Aは可能な限り小さい値に設定しておく。
【0125】
次に、疑似DoS発生装置100Aは、設定された試験パターンと通信量とで定義される試験通信パケットを試験対象装置200に送付する。また、疑似DoS発生装置100Aは、試験通信パケットの送付と並行し、遅延確認パケットを試験対象装置200に送付する。
【0126】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100Aは、遅延取得部104を用いて遅延時間Ta1を取得する。
【0127】
次に第1の装置301を追加するフェーズに移行する。本フェーズを実施して、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100Aから試験対象装置200へ送付する。
【0128】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100Aは、遅延取得部104を用いて遅延時間Ta2を取得する。
【0129】
さらに、(第1の装置301と同等の負荷である)第1の装置302を追加するフェーズに移行し、これまでと同様に、試験通信パケットと、遅延確認パケットとを疑似DoS発生装置100Aから試験対象装置200へ送付する。
【0130】
これらのパケットを受け取った試験対象装置200は、試験通信パケットの処置を実施し、遅延確認パケットを返答(応答)する。試験対象装置200からの返答(応答)を受け取った疑似DoS発生装置100Aは、遅延取得部104を用いて遅延時間Ta3を取得する。
【0131】
次に、装置別負荷を見積もるため装置別見積部606に、遅延時間Ta1、遅延時間Ta2、遅延時間Ta3の3つを入力する。そして、通信負荷見積もり装置600の装置別見積部606は、入力された3つの遅延時間のそれぞれの差分を計算する。装置別見積部106は、具体的にはTa2-Ta1、Ta3-Ta2を計算する。
【0132】
上記のそれぞれの差分値が一定の値であり等差数列などで表現することができる場合、装置別見積部606は、当該遅延負荷を第1の装置1台あたりの負荷とする。
【0133】
一方で、上記のそれぞれの差分値が一定の値とはならず、等差数列などで表現することができない場合には、第1の装置を追加するフェーズを実行し、その遅延時間の変化に基づいて1台あたりの負荷を見積もる。ここでは、αを1台あたりの負荷とする。追加するフェーズの回数は、5から10をしきい値として変化させる。第1の装置の追加だけでは試験対象装置200の負荷に影響を与えない場合は、通信負荷推定装置の実際のサービスまたは本番環境の動作に類似させ、負荷が発生するように環境を設定する。
【0134】
第6の実施の形態では、試験対象装置200の最大負荷見積もりの値が0.95×AXとされたが、α×n<0.95×AXとなるnが、通信負荷推定装置に接続することができる第1の装置の台数となる。当該値を装置別見積部606から出力する。
【0135】
<第8の実施の形態>
本実施の形態に関する通信負荷推定装置、および、通信負荷推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0136】
<通信負荷推定装置の構成について>
第6の実施の形態および第7の実施の形態に、第3の実施の形態、第4の実施の形態および第5の実施の形態を適宜適用することができる。
【0137】
<通信負荷推定装置のハードウェア構成について>
図6および
図7は、
図1から
図5に例が示される通信負荷推定装置を実際に運用する場合のハードウェア構成を概略的に例示する図である。
【0138】
なお、
図6および
図7に例示されるハードウェア構成は、
図1に例示される構成とは数などが整合しない場合があるが、これは
図1に例示される構成が概念的な単位を示すものであることに起因する。
【0139】
よって、少なくとも、
図1に例示される1つの構成が、
図6および
図7に例示される複数のハードウェア構成から成る場合と、
図1に例示される1つの構成が、
図6および
図7に例示されるハードウェア構成の一部に対応する場合と、さらには、
図1に例示される複数の構成が、
図6および
図7に例示される1つのハードウェア構成に備えられる場合とが想定され得る。
【0140】
図6では、
図1中の通信量設定部101、通信送付部102、試験パターン部103、遅延取得部104、最大負荷見積部105および装置別見積部106などを実現するためのハードウェア構成として、演算を行う処理回路1102Aと、情報を記憶することができる記憶装置1103とが示される。当該構成は、上記のいずれの実施の形態においても同様である。
【0141】
図7では、
図1中の通信量設定部101、通信送付部102、試験パターン部103、遅延取得部104、最大負荷見積部105および装置別見積部106などを実現するためのハードウェア構成として、演算を行う処理回路1102Bが示される。当該構成は、上記のいずれの実施の形態においても同様である。
【0142】
記憶装置1103は、たとえば、ハードディスクドライブ(Hard disk drive、すなわち、HDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)、フラッシュメモリ、erasable programmable read only memory(EPROM)およびelectrically erasable programmable read-only memory(EEPROM)などの、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記録媒体)、または、今後使用されるあらゆる記録媒体であってもよい。
【0143】
処理回路1102Aは、記憶装置1103、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行するものであってもよい。すなわち、たとえば、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor、すなわち、DSP)であってもよい。
【0144】
処理回路1102Aが記憶装置1103、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行するものである場合、通信量設定部101、通信送付部102、試験パターン部103、遅延取得部104、最大負荷見積部105および装置別見積部106は、記憶装置1103に格納されたプログラムが処理回路1102Aによって実行されるソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。なお、通信量設定部101、通信送付部102、試験パターン部103、遅延取得部104、最大負荷見積部105および装置別見積部106の機能は、たとえば、複数の処理回路が連携することによって実現されてもよい。
【0145】
ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、記憶装置1103に記憶されるものであってもよい。その場合、処理回路1102Aは、記憶装置1103に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、上記の機能を実現する。すなわち、記憶装置1103は、処理回路1102Aに実行されることによって、上記の機能が結果的に実現されるプログラムを記憶するものであってもよい。
【0146】
また、処理回路1102Bは、専用のハードウェアであってもよい。すなわち、たとえば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、集積回路(application specific integrated circuit、すなわち、ASIC)、field-programmable gate array(FPGA)またはこれらを組み合わせた回路であってもよい。
【0147】
処理回路1102Bが専用のハードウェアである場合、通信量設定部101、通信送付部102、試験パターン部103、遅延取得部104、最大負荷見積部105および装置別見積部106は、処理回路1102Bが動作することにより実現される。なお、通信量設定部101、通信送付部102、試験パターン部103、遅延取得部104、最大負荷見積部105および装置別見積部106の機能は、別々の回路で実現されてもよいし、単一の回路で実現されてもよい。
【0148】
なお、通信量設定部101、通信送付部102、試験パターン部103、遅延取得部104、最大負荷見積部105および装置別見積部106の機能は、一部が記憶装置1103に格納されたプログラムを実行するものである処理回路1102Aにおいて実現され、一部が専用のハードウェアである処理回路1102Bにおいて実現されてもよい。
【0149】
<以上に記載された複数の実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された複数の実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された複数の実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0150】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0151】
以上に記載された実施の形態によれば、通信負荷推定装置は、試験通信パケット生成部と、遅延確認パケット生成部と、通信送付部102と、遅延取得部104と、最大負荷見積部105(または、最大負荷見積部605)とを備える。ここで、試験通信パケット生成部は、たとえば、通信量設定部101および試験パターン部103によって実現される機能部である。また、遅延確認パケット生成部は、たとえば、通信量設定部101および試験パターン部103によって実現される機能部である。試験通信パケット生成部は、あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成する。遅延確認パケット生成部は、試験対象装置200の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成する。通信送付部102は、試験通信パケットおよび遅延確認パケットを試験対象装置200へ送信する。遅延取得部104は、通信送付部102から遅延確認パケットが送信されてから、遅延確認パケットを受信した試験対象装置200から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得する。最大負荷見積部105は、通信送付部102から通信量を変更しつつ複数回送信された試験通信パケットに対応する遅延時間を取得する。そして、最大負荷見積部105は、当該遅延時間の推移量の変化点における試験通信パケットの通信量を求め、当該通信量に基づいて試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる(推定する)。
【0152】
また、以上に記載された実施の形態によれば、通信負荷推定装置は、プログラムを実行する処理回路1102Aと、実行されるプログラムを記憶する記憶装置1103とを備える。そして、処理回路1102Aがプログラムを実行することによって、以下の動作が実現される。
【0153】
すなわち、あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットが生成される。そして、試験対象装置200の遅延を確認するための遅延確認パケットが生成される。そして、試験通信パケットおよび遅延確認パケットが試験対象装置200へ送信される。そして、遅延確認パケットが送信されてから、遅延確認パケットを受信した試験対象装置200から応答パケットを受信するまでの遅延時間が取得される。そして、通信量を変更しつつ複数回送信された試験通信パケットに対応する遅延時間の推移量の変化点における試験通信パケットの通信量に基づいて、試験対象装置200の最大通信負荷が推定される。
【0154】
また、以上に記載された実施の形態によれば、通信負荷推定装置は、専用のハードウェアである処理回路1102Bを備える。そして、専用のハードウェアである処理回路1102Bは、以下の動作を行う。
【0155】
すなわち、専用のハードウェアである処理回路1102Bは、あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成する。そして、試験対象装置200の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成する。そして、試験通信パケットおよび遅延確認パケットを試験対象装置200へ送信する。そして、遅延確認パケットが送信されてから、遅延確認パケットを受信した試験対象装置200から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得する。そして、通信量を変更しつつ複数回送信された試験通信パケットに対応する遅延時間の推移量の変化点における試験通信パケットの通信量に基づいて、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる(推定する)。
【0156】
このような構成によれば、試験対象装置200の通信負荷について、その負荷を装置として超えた異常状態、その負荷を装置として耐えた正常状態をそれぞれ定義し、正常状態の中でもっとも異常状態に近い試験通信パケット(最低異常状態の試験通信パケット)の通信量を最大通信負荷として見積もることができる。
【0157】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0158】
また、以上に記載された実施の形態によれば、最大負荷見積部105が、通信送付部102から同量ずつ通信量を変更しつつ複数回送信された試験通信パケットに対応する遅延時間の推移量の変化点における試験通信パケットの通信量に基づいて、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる。このような構成によれば、通信量が同量ずつ変更される試験通信パケットに対応する遅延時間の推移量の規則性が変化するタイミングでの通信量を、試験対象装置200の最大通信負荷とすることができる。
【0159】
また、以上に記載された実施の形態によれば、通信負荷推定装置は、同等の負荷である複数の第1の装置301(または、第1の装置302)と、装置別見積部106(または、装置別見積部606)とを備える。装置別見積部106は、第1の装置301が接続されない状態における前記遅延時間と、第1の装置301が1つ接続された状態における前記遅延時間と、第1の装置301が2つ接続された状態における前記遅延時間との推移量に基づいて第1の装置301の1つ当たりの負荷を算出する。このような構成によれば、自社開発していない機器、または、仕様が公開されていない機器が含まれる場合において、当該機器の1つ当たりの負荷を簡易な方法で定量的に算出することができる。
【0160】
また、以上に記載された実施の形態によれば、装置別見積部106(または、装置別見積部606)が、第1の装置301の負荷の合計が試験対象装置200の最大通信負荷よりも小さくなるように、接続可能な第1の装置301の個数を出力する。このような構成によれば、通信負荷推定装置に接続可能な一種の装置の台数を特定することができる。
【0161】
また、以上に記載された実施の形態によれば、通信負荷推定装置は、同等の負荷である複数の第2の装置401(または、第2の装置402)を備える。ここで、第2の装置401の負荷が、第1の装置301の負荷とは異なる。そして、装置別見積部106が、第1の装置301および第2の装置401の負荷の合計が試験対象装置200の最大通信負荷よりも小さくなるように、接続可能な第1の装置301第2の装置401の個数を出力する。このような構成によれば、通信負荷推定装置に接続可能な複数種の装置の台数を個別に特定することができる。
【0162】
また、以上に記載された実施の形態によれば、最大負荷見積部105が、試験対象装置200の最大通信負荷よりも十分に小さい第1の通信量と、試験対象装置200の最大通信負荷よりも十分に大きい第2の通信量とで通信送付部102から送信された試験通信パケットに対応する遅延時間の推移量の変化点における試験通信パケットの通信量に基づいて、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる。このような構成によれば、A1からいくつか値を増加させた通信量としてA2を設定する場合に比べて、効率的に試験対象装置200の最大通信負荷を見積もることができる。
【0163】
また、以上に記載された実施の形態によれば、最大負荷見積部105が、通信送付部102から通信量を変更しつつ複数回送信された試験通信パケットに対応する遅延時間に基づく近似曲線を生成し、かつ、近似曲線から逸脱する点における試験通信パケットの通信量に基づいて、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる。このような構成によれば、等差数列で表現される場合に限られず、様々な近似曲線からの逸脱を基準として試験対象装置200の最大通信負荷を推定することができる。
【0164】
また、以上に記載された実施の形態によれば、通信負荷推定装置が、疑似DoS発生装置100Aと、通信負荷見積もり装置600とを備える。疑似DoS発生装置100Aは、試験通信パケット生成部と、遅延確認パケット生成部と、通信送付部102と、遅延取得部104とを備える。通信負荷見積もり装置600は、少なくとも最大負荷見積部605を備える。このような構成によれば、最大負荷見積部と、装置別見積部とを疑似DoS発生装置100Aから切り離すことで、装置構成の自由度が高まる。
【0165】
以上に記載された実施の形態によれば、通信負荷推定方法において、あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成する。そして、試験対象装置200の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成する。そして、試験通信パケットおよび遅延確認パケットを試験対象装置200へ送信する。そして、遅延確認パケットが送信されてから、遅延確認パケットを受信した試験対象装置200から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得する。そして、通信量を変更しつつ複数回送信された試験通信パケットに対応する遅延時間の推移量の変化点における試験通信パケットの通信量に基づいて、試験対象装置200の最大通信負荷を見積もる(推定する)。
【0166】
このような構成によれば、試験対象装置200の通信負荷について、その負荷を装置として超えた異常状態、その負荷を装置として耐えた正常状態をそれぞれ定義し、正常状態の中でもっとも異常状態に近い試験通信パケット(最低異常状態の試験通信パケット)の通信量を最大通信負荷として見積もることができる。
【0167】
なお、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0168】
また、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0169】
<以上に記載された複数の実施の形態の変形例について>
以上に記載された複数の実施の形態では、それぞれの構成要素の寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではない。
【0170】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態における構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0171】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」の構成要素が備えられる、と記載された場合に、当該構成要素が「1つ以上」備えられていてもよい。
【0172】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0173】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0174】
また、本願明細書における説明は、本技術に関連するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
【0175】
また、以上に記載された実施の形態で記載されたそれぞれの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、ソフトウェアとしては、たとえば「部」などを称され、ハードウェアとしては、たとえば「処理回路」(circuitry)などと称される。
【0176】
また、本願明細書に開示される技術は、それぞれの構成要素が複数の装置に分散して備えられる場合、すなわち、複数の装置の組み合わせとしてのシステムのような態様であってもよいものとする。
【0177】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0178】
(付記1)
ネットワークに接続可能な試験対象装置の通信負荷を推定する通信負荷推定装置であり、
あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成するための試験通信パケット生成部と、
前記試験対象装置の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成するための遅延確認パケット生成部と、
前記試験通信パケットおよび前記遅延確認パケットを前記試験対象装置へ送信するための通信送付部と、
前記通信送付部から前記遅延確認パケットが送信されてから、前記遅延確認パケットを受信した前記試験対象装置から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得するための遅延取得部と、
前記通信送付部から前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の最大通信負荷を見積もるための最大負荷見積部とを備える、
通信負荷推定装置。
【0179】
(付記2)
付記1に記載の通信負荷推定装置であり、
前記最大負荷見積部が、前記通信送付部から同量ずつ前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の前記最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定装置。
【0180】
(付記3)
付記1または2に記載の通信負荷推定装置であり、
同等の負荷である複数の第1の装置と、
前記第1の装置が接続されない状態における前記遅延時間と、前記第1の装置が1つ接続された状態における前記遅延時間と、前記第1の装置が2つ接続された状態における前記遅延時間との推移量に基づいて前記第1の装置の1つ当たりの負荷を算出するための装置別見積部とをさらに備える、
通信負荷推定装置。
【0181】
(付記4)
付記3に記載の通信負荷推定装置であり、
前記装置別見積部が、前記第1の装置の負荷の合計が前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも小さくなるように、接続可能な前記第1の装置の個数を出力する、
通信負荷推定装置。
【0182】
(付記5)
付記3または4に記載の通信負荷推定装置であり、
同等の負荷である複数の第2の装置をさらに備え、
前記第2の装置の負荷が、前記第1の装置の負荷とは異なり、
前記装置別見積部が、前記第1の装置および前記第2の装置の負荷の合計が前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも小さくなるように、接続可能な前記第1の装置前記第2の装置の個数を出力する、
通信負荷推定装置。
【0183】
(付記6)
付記1から5のうちのいずれか1つに記載の通信負荷推定装置であり、
前記最大負荷見積部が、前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも十分に小さい第1の通信量と、前記試験対象装置の前記最大通信負荷よりも十分に大きい第2の通信量とで前記通信送付部から送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の前記最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定装置。
【0184】
(付記7)
付記1から6のうちのいずれか1つに記載の通信負荷推定装置であり、
前記最大負荷見積部が、前記通信送付部から前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間に基づく近似曲線を生成し、かつ、前記近似曲線から逸脱する点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の前記最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定装置。
【0185】
(付記8)
付記1から7のうちのいずれか1つに記載の通信負荷推定装置であり、
前記通信負荷推定装置が、
前記試験通信パケット生成部と、前記遅延確認パケット生成部と、前記通信送付部と、前記遅延取得部とを備える疑似DoS発生装置と、
少なくとも前記最大負荷見積部を備える通信負荷見積もり装置とを備える、
通信負荷推定装置。
【0186】
(付記9)
ネットワークに接続可能な試験対象装置の通信負荷を推定する通信負荷推定方法であり、
あらかじめ設定された通信量およびあらかじめ設定された試験パターンに基づき試験通信パケットを生成し、
前記試験対象装置の遅延を確認するための遅延確認パケットを生成し、
前記試験通信パケットおよび前記遅延確認パケットを前記試験対象装置へ送信し、
前記遅延確認パケットが送信されてから、前記遅延確認パケットを受信した前記試験対象装置から応答パケットを受信するまでの遅延時間を取得し、
前記通信量を変更しつつ複数回送信された前記試験通信パケットに対応する前記遅延時間の推移量の変化点における前記試験通信パケットの前記通信量に基づいて、前記試験対象装置の最大通信負荷を見積もる、
通信負荷推定方法。
【符号の説明】
【0187】
100 疑似DoS発生装置、100A 疑似DoS発生装置、101 通信量設定部、102 通信送付部、103 試験パターン部、104 遅延取得部、105 最大負荷見積部、106 装置別見積部、200 試験対象装置、301 第1の装置、302 第1の装置、401 第2の装置、402 第2の装置、501 第3の装置、502 第3の装置、600 通信負荷見積もり装置、605 最大負荷見積部、606 装置別見積部、1102A 処理回路、1102B 処理回路、1103 記憶装置。