(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158104
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 59/80 20230101AFI20241031BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20241031BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20241031BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20241031BHJP
H10K 50/824 20230101ALI20241031BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20241031BHJP
H10K 71/20 20230101ALI20241031BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241031BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241031BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H10K59/80
H10K59/122
H10K59/124
H10K50/84
H10K50/824
H10K71/16
H10K71/20
H10K50/844
G09F9/30 348A
G09F9/30 349Z
G09F9/00 338
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072988
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 直哉
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 昌
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英幸
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107DD37
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD92
3K107DD95
3K107DD96
3K107EE46
3K107FF15
3K107GG12
3K107GG37
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA15
5C094FA01
5C094FA02
5C094FA04
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB15
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA14
5G435BB05
5G435CC09
5G435HH14
5G435KK05
5G435KK10
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記周辺領域に配置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、を備え、前記有機絶縁層は、前記周辺領域において、前記基板の外縁に沿った欠落部を有し、前記第1隔壁は、前記欠落部に配置されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、
前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と、
前記周辺領域に配置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、を備え、
前記有機絶縁層は、前記周辺領域において、前記基板の外縁に沿った欠落部を有し、
前記第1隔壁は、前記欠落部に配置されている、表示装置。
【請求項2】
平面視において、前記第1隔壁は、前記外縁に沿って直線状に形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
さらに、前記基板の角に沿ってL字状に形成された金属層を備え、
平面視において、前記金属層は、前記第1隔壁に重なっている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
基板と、
前記基板の上方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、
前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と、
前記周辺領域に配置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、を備え、
前記第1隔壁は、前記有機絶縁層の上方に配置されている、表示装置。
【請求項5】
平面視において、前記第1隔壁は、格子状に形成されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機絶縁層は、前記周辺領域において、前記基板の外縁に沿った欠落部を有し、
前記第1隔壁は、さらに、前記溝に配置されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
さらに、前記有機絶縁層を覆う第1無機絶縁層を備え、
前記第1隔壁は、前記第1無機絶縁層の上に配置されている、請求項1または4に記載の表示装置。
【請求項8】
さらに、前記有機絶縁層を覆う第1無機絶縁層と、
前記有機絶縁層の下地となる第2無機絶縁層と、を備え、
前記第1無機絶縁層は、前記欠落部において、前記第2無機絶縁層を覆っている、請求項1または6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1無機絶縁層は、前記表示領域に配置され、前記下電極に重なる開口を有している、請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
さらに、前記第1無機絶縁層の上に配置され導電材料で形成された第2下部と、前記第2下部の上に配置され前記第2下部の側面から突出した第2上部と、を有する第2隔壁を備え、
前記下電極、前記有機層、及び、前記上電極は、前記第2隔壁で囲まれ、
前記上電極は、前記第2隔壁の前記第2下部に接触している、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記有機絶縁層は、第1層と、前記第1層の上に位置する第2層と、を有し、しかも、前記欠落部に向かって厚さが低減する階段状の断面を有している、請求項1または6に記載の表示装置。
【請求項12】
前記有機絶縁層は、単層体であり、前記欠落部に向かって厚さが低減する階段状の断面を有している、請求項1または6に記載の表示装置。
【請求項13】
基板の上方に、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って有機絶縁層を形成し、
前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に下電極を形成し、
前記周辺領域に位置する第1下部と、前記第1下部の上に位置し前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁を形成し、
前記下電極の上に、発光層を含む有機層を形成し、
前記有機層の上に上電極を形成し、
前記有機絶縁層を形成する工程は、前記周辺領域に、前記表示領域を囲むループ状の溝を形成する工程を含む、表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1隔壁は、前記溝に形成する、請求項13に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1隔壁は、前記有機絶縁層の上方に形成する、請求項13に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記下電極を形成した後であって前記第1隔壁を形成する前に、
前記有機絶縁層を覆うとともに、前記下電極に重なる開口を有する第1無機絶縁層を形成する、請求項13に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1無機絶縁層を形成した後であって前記有機層を形成する前に、
前記第1無機絶縁層の上に前記第1隔壁を形成するとともに、前記第1無機絶縁層の上に位置し導電性を有する第2下部と、前記第2下部の上に位置し前記第2下部の側面から突出した第2上部と、を有する第2隔壁を形成し、
前記有機層及び前記上電極は、前記第2隔壁をマスクとした蒸着によって形成する、請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記上電極を形成した後に、
前記第2隔壁をマスクとした蒸着を行い、前記上電極の上にキャップ層を形成し、
前記第2隔壁及び前記キャップ層を覆う封止層を形成する、請求項17に記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記封止層の上に、パターニングしたレジストを形成し、
前記レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記封止層の一部、前記キャップ層の一部、前記上電極の一部、及び、前記有機層の一部を順次除去する、請求項18に記載の表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記有機絶縁層を形成する前に、第2無機絶縁層を形成し、
前記第1無機絶縁層は、前記溝において、前記第2無機絶縁層を覆っている、請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子を製造する過程において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記周辺領域に配置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、を備え、前記有機絶縁層は、前記周辺領域において、前記基板の外縁に沿った欠落部を有し、前記第1隔壁は、前記欠落部に配置されている。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記周辺領域に配置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、を備え、前記第1隔壁は、前記有機絶縁層の上方に配置されている。
【0007】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
基板の上方に、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って有機絶縁層を形成し、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に下電極を形成し、前記周辺領域に位置する第1下部と、前記第1下部の上に位置し前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁を形成し、前記下電極の上に、発光層を含む有機層を形成し、前記有機層の上に上電極を形成し、前記有機絶縁層を形成する工程は、前記周辺領域に、前記表示領域を囲むループ状の溝を形成する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、表示装置用マザー基板100の一例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した表示装置用マザー基板100の領域100Aを拡大した平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した領域100Bを拡大した平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示したカットラインCLで割断された表示パネルPNLを示す平面図である。
【
図8A】
図8Aは、第1グループの一構成例を示す断面図である。
【
図17】
図17は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図18】
図18は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図19】
図19は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図20】
図20は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図21】
図21は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図22】
図22は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図23】
図23は、
図8Aに示した溝Gを含む領域に多層膜115が形成された様子を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0012】
【0013】
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAよりも外側の周辺領域SAと、を有する表示パネルPNLを備えている。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0014】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0015】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2、SP3とともに、あるいは副画素SP1、SP2、SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0016】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0017】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0018】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0019】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0020】
周辺領域SAは、ICチップやフレキシブルプリント回路基板を接続するための複数の端子TEを有している。複数の端子TEは、一方向に並んでいる。図示した例では、複数の端子TEは、第1方向Xに沿って並んでいる。また、図示した例では、周辺領域SAは、検査等に用いられるパッドPDを有している。なお、パッドPDは、省略されてもよい。
【0021】
図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【0022】
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。副画素SP1及び副画素SP2が第1方向Xに並び、副画素SP1及び副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。
【0023】
副画素SP1、SP2、SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0024】
なお、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1、SP2、SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0025】
表示領域DAには、無機絶縁層5及び隔壁6が配置されている。無機絶縁層5は、副画素SP1、SP2、SP3においてそれぞれ開口AP1、AP2、AP3を有している。これらの開口AP1、AP2、AP3を有する無機絶縁層5は、リブと称する場合がある。
隔壁6は、平面視において無機絶縁層5と重なっている。隔壁6は、開口AP1、AP2、AP3を囲む格子状に形成されている。隔壁6は、無機絶縁層5と同様に副画素SP1、SP2、SP3において開口を有するということもできる。
【0026】
副画素SP1、SP2、SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201、202、203を備えている。
【0027】
副画素SP1の表示素子201は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1を備えている。下電極LE1の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE1、有機層OR1、及び、上電極UE1を備える表示素子201は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR1及び上電極UE1のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR1は、例えば青波長域の光を放つ発光層を含む。
【0028】
副画素SP2の表示素子202は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2を備えている。下電極LE2の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE2、有機層OR2、及び、上電極UE2を備える表示素子202は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR2及び上電極UE2のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR2は、例えば緑波長域の光を放つ発光層を含む。
【0029】
副画素SP3の表示素子203は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3を備えている。下電極LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE3、有機層OR3、及び、上電極UE3を備える表示素子203は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR3及び上電極UE3のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR3は、例えば赤波長域の光を放つ発光層を含む。
【0030】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0031】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0032】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0033】
図2の例においては、開口AP1の面積、開口AP2の面積、及び、開口AP3の面積は、互いに異なる。開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0034】
図3は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【0035】
回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する有機絶縁層である。
【0036】
下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12の上に配置され、互いに離間している。無機絶縁層5は、絶縁層12及び下電極LE1、LE2、LE3の上に配置されている。無機絶縁層5の開口AP1は下電極LE1に重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3に重なっている。下電極LE1、LE2、LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE1、LE2、LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、絶縁層12が無機絶縁層5により覆われている。下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて副画素SP1、SP2、SP3のそれぞれの画素回路1に接続されている。なお、絶縁層12のコンタクトホールは、
図3では省略するが、
図2のCH1、CH2、CH3に相当する。
【0037】
隔壁6は、無機絶縁層5の上に配置された導電性を有する下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。上部62の両端部は、下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0038】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、開口AP1から露出した下電極LE1を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
【0039】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、開口AP2から露出した下電極LE2を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下部61に接触している。
【0040】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、開口AP3から露出した下電極LE3を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下部61に接触している。
【0041】
図3の例においては、副画素SP1はキャップ層CP1及び封止層SE1を有し、副画素SP2はキャップ層CP2及び封止層SE2を有し、副画素SP3はキャップ層CP3及び封止層SE3を有している。キャップ層CP1、CP2、CP3は、それぞれ有機層OR1、OR2、OR3から放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0042】
キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。
キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。
キャップ層CP3は、上電極UE3の上に配置されている。
【0043】
封止層SE1は、キャップ層CP1の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0044】
図3の例においては、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部は、副画素SP1の周囲の隔壁6の上に位置している。これらの部分は、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のうち開口AP1に位置する部分(表示素子201を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のそれぞれの一部は、副画素SP2の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のうち開口AP2に位置する部分(表示素子202を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のそれぞれの一部は、副画素SP3の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のうち開口AP3に位置する部分(表示素子203を構成する部分)から離間している。
【0045】
封止層SE1、SE2、SE3の端部は、隔壁6の上に位置している。
図3の例においては、副画素SP1、SP2間の隔壁6の上に位置する封止層SE1、SE2の端部同士が離間し、副画素SP2、SP3間の隔壁6の上に位置する封止層SE2、SE3の端部同士が離間している。
【0046】
封止層SE1、SE2、SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0047】
無機絶縁層5、封止層SE1、SE2、SE3、及び、封止層14は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al2O3)などの無機絶縁材料で形成されている。
【0048】
隔壁6の下部61は、導電材料で形成され、上電極UE1、UE2、UE3と電気的に接続されている。隔壁6の上部62は、例えば導電材料によって形成されているが、絶縁材料で形成されもよい。下部61は、上部62とは異なる材料で形成されている。
【0049】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの酸化物導電材料で形成された透明電極と、銀などの金属材料で形成された金属電極とを含む多層体である。
【0050】
有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM1、発光層EM2、及び、発光層EM3は、互いに異なる材料で形成されている。一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
また、有機層OR1、OR2、OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。
【0051】
上電極UE1、UE2、UE3は、例えば、マグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0052】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、複数の薄膜の多層体である。複数の薄膜は、いずれも透明であり、しかも、互いに異なる屈折率を有している。
【0053】
図3に示した回路層11、絶縁層12、及び、無機絶縁層5は、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って配置されている。
【0054】
次に、複数の表示装置DSPを一括して製造するための表示装置用マザー基板100について説明する。
【0055】
図4は、表示装置用マザー基板100の一例を示す平面図である。
表示装置用マザー基板100は、大型の基板10の上に、複数のパネル部PPと、これらのパネル部PPよりも外側の余白部MPと、を備えている。大型の基板10は、例えば矩形状に形成されている。複数のパネル部PPは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列されている。パネル部PPの各々は、表示装置用マザー基板100をカットラインに沿って割断することで取り出される。取り出されたパネル部PPの各々は、
図1に示した表示パネルPNLに相当する。
【0056】
図5は、
図4に示した表示装置用マザー基板100の領域100Aを拡大した平面図である。
【0057】
領域100Aは、1つのパネル部PPを含んでいる。
図5に一点鎖線で示すカットラインCLは、第1方向X及び第2方向Yに沿って延出している。これらのカットラインCLは、
図1に示した表示パネルPNLの外形となりうる。パネル部PPの各々は、表示領域DAと、周辺領域SAと、を備えている。
【0058】
有機絶縁層ILは、少なくとも、
図3に示した絶縁層12を含んでいる。有機絶縁層ILは、パネル部PPの各々に配置されるとともに、余白部MPにも配置されている。有機絶縁層ILは、格子状に形成された溝Gを有している。図示した例では、溝Gは、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ延出している。
1つのパネル部PPに着目すると、溝Gは、表示領域DAを囲むループ状に形成されている。表示領域DAは、島状の有機絶縁層ILに重なっている。また、周辺領域SAの一部も、有機絶縁層ILに重なっている。
カットラインCLは、溝Gに重なっている。パネル部PPの各々は、ループ状の溝Gで囲まれている。
【0059】
図6は、
図5に示した領域100Bを拡大した平面図である。
領域100Bは、第1方向Xに延出したカットラインCLと第2方向Yに延出したカットラインCLとの交差部を含んでいる。
【0060】
隔壁7は、溝Gに配置されている。溝Gにおいて、隔壁7は、カットラインCLに沿って直線状に形成されている。また、カットラインCLの交差部においては、隔壁7は、L字状に形成されている。
金属層MTは、溝Gに配置されている。交差部において、4つの金属層MTは、互いに離間し、カットラインCLに沿ってL字状に形成されている。4つの金属層MTの間には、十字状のスペースが形成されている。これらの4つの金属層MTは、例えば、表示装置用マザー基板100を位置合わせするためのアライメントマークとして機能する。平面視において、交差部に位置する隔壁7は、金属層MTに重なっている。但し、金属層MTに重なる隔壁7は、アライメントマークの誤認識を防止する観点で、金属層MTが存在しない領域に跨って配置されることはない。
これらの金属層MT及び隔壁7は、カット不良を防止する観点で、カットラインCLに重ならないように配置されている。第1方向Xに延出したカットラインCLは、第2方向Yに隣接する2つの金属層MTの間に位置している。また、第2方向Yに延出したカットラインCLは、第1方向Xに隣接する2つの金属層MTの間に位置している。
【0061】
隔壁7は、さらに、パネル部PPの周辺領域SA及び余白部MPにおいて、有機絶縁層ILの上方に配置されている。有機絶縁層ILに重なる隔壁7は、格子状に形成されている。一例では、隔壁7は、
図2に示した格子状の隔壁6と同様のパターンで形成されている。有機絶縁層ILの上方に配置された隔壁7は、溝Gに配置された隔壁7から離間している。
【0062】
隔壁7を形成する際のウエットエッチングにおいて、溝Gに配置される隔壁7が過度に除去されることに起因した隔壁7の消失を防止する観点で、溝Gに配置される隔壁7の幅W1は、有機絶縁層ILの上方に配置される隔壁7の幅W2より大きいことが望ましい。
【0063】
パネル部PPの周辺領域SAは、溝Gのうち、カットラインCLと有機絶縁層ILとの間の部分を含んでいる。
【0064】
図7は、
図6に示したカットラインCLで割断された表示パネルPNLを示す平面図である。
【0065】
図6に示したカットラインCLは、基板10の外縁10Eに相当する。
有機絶縁層ILは、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って配置されている。有機絶縁層ILは、周辺領域SAにおいて、外縁10Eに沿った欠落部LPを有している。図示した例では、欠落部LPは、ループ状に形成され、外縁10Eの全周に沿って形成されている。欠落部LPは、
図6に示した溝Gの一部に相当する。欠落部LPにおいては、有機絶縁層ILは、下地が露出するように貫通している。
換言すると、有機絶縁層ILの外縁ILEは、平面視において、基板10の外縁10Eに重ならず、外縁10Eと表示領域DAとの間に位置している。
【0066】
基板10の1つの角を拡大すると、
図6に示したアライメントマークを構成する一部の金属層MT、及び、隔壁7は、欠落部LPに配置され、平面視において、互いに重なっている。換言すると、金属層MT及び隔壁7は、平面視において、外縁ILEと外縁10Eとの間に位置している。金属層MTは、基板10の角に沿ってL字状に形成されている。金属層MTに重なる一部の隔壁7は、外縁10Eに沿って直線状に形成されている。また、金属層MTに重なる他の隔壁7は、基板10の角に沿ってL字状に形成されている。
周辺領域SAにおいて、有機絶縁層ILに重なる隔壁7は、平面視において、格子状に形成されている。
【0067】
次に、
図6のC-D線に沿った表示装置用マザー基板100の断面構造について、いくつかの構成例を説明する。
【0068】
《第1グループ》
【0069】
図8Aは、第1グループの一構成例を示す断面図である。
【0070】
絶縁層111は、無機絶縁層であり、基板10の上に配置されている。金属層MTは、絶縁層111の上に配置されている。絶縁層112は、無機絶縁層であり、絶縁層111の上に配置されるとともに、金属層MTを覆っている。絶縁層113は、有機絶縁層であり、絶縁層112の上に配置されている。これらの絶縁層111、絶縁層112、絶縁層113、及び、金属層MTは、
図3に示した回路層11に含まれる。なお、回路層11は、図示した層の他に、絶縁層及び導電層を含んでいる。
【0071】
絶縁層12は、有機絶縁層であり、絶縁層113を覆い、絶縁層112に接する領域に溝Gを有している。
図8Aに示す構成例では、上記の有機絶縁層ILは、絶縁層113及び絶縁層12を有している。このような構成例においては、絶縁層113は第1層に相当し、絶縁層12は第1層の上に位置する第2層に相当する。このような有機絶縁層ILの断面形状に着目すると、有機絶縁層ILは、溝Gに向かって厚さが低減する階段状の断面を有している。
【0072】
有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の厚さと絶縁層12の厚さとの総和であり、絶縁層112の上面から絶縁層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。
【0073】
有機絶縁層ILの厚さT2は、絶縁層12の厚さであり、絶縁層112の上面から絶縁層12のほぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT2は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと溝Gとの間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。
【0074】
無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、溝Gにおいて絶縁層112を覆っている。
【0075】
隔壁7は、有機絶縁層ILの上方に配置されるとともに、溝Gに配置されている。図示した例では、隔壁7は、上面121Aの上方に配置される一方で、上面122Aの上方には配置されていない。但し、隔壁7が上面122Aの上方に配置されてもよい。
【0076】
隔壁7は、無機絶縁層5の上に配置された下部71と、下部71の上に配置された上部72とを有している。上部72は、下部71よりも大きい幅を有している。上部72の両端部は、下部71の側面よりも突出している。このように、隔壁7は、
図3に示した隔壁6と同様のオーバーハング状である。隔壁7は、隔壁6と同一工程で形成することができる。この場合、下部71は下部61と同一材料で形成され、上部72は上部62と同一材料で形成される。
【0077】
階段状の断面を有する有機絶縁層ILは、例えば、以下のような手法で形成可能である。
まず、絶縁層112の上に、絶縁層113を形成する。その後、溝G、上面121A及び上面122Aを有する絶縁層12を形成する。このような絶縁層12は、例えば、以下のような手法で形成可能である。
すなわち、絶縁層113が形成された表示装置用マザー基板100の全面に、例えばポジ型の有機材料により絶縁層を形成する。その後、絶縁層を露光する。この露光工程では、溝Gの露光量は最大に設定され、溝Gから外側に向かうにしたがって露光量は段階的に減少するように設定されている。その後、露光された絶縁層を現像する。その後、絶縁層を焼成する。
これにより、上記の断面形状を有する有機絶縁層ILが形成される。この時に形成される溝Gは、
図5などに示したように、表示領域DAを囲むループ状に形成される。
【0078】
図8Bは、他の構成例を示す断面図である。
図8Bに示す構成例は、
図8Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0079】
図8Cは、他の構成例を示す断面図である。
図8Cに示す構成例は、
図8Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0080】
なお、
図8A、
図8B、
図8Cに示した各構成例において、絶縁層111、絶縁層112、及び、金属層MTのいずれかが省略されてもよい。
【0081】
図9Aは、他の構成例を示す断面図である。
図9Aに示す構成例は、
図8Aに示した構成例と比較して、絶縁層111、絶縁層112、及び、金属層MTのすべてが省略された点で相違している。
絶縁層113は、基板10の上に配置されている。絶縁層12は、絶縁層113を覆うとともに、基板10に接する領域に溝Gを有している。無機絶縁層5は、溝Gにおいて基板10を覆っている。
隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び溝Gにおいて、それぞれ無機絶縁層5の上に配置されている。
【0082】
図9Bは、他の構成例を示す断面図である。
図9Bに示す構成例は、
図9Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0083】
図9Cは、他の構成例を示す断面図である。
図9Cに示す構成例は、
図9Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0084】
図10Aは、他の構成例を示す断面図である。
図10Aに示す構成例は、
図9Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5が省略された点で相違している。
絶縁層113は、基板10の上に配置されている。絶縁層12は、絶縁層113を覆うとともに、基板10に接する領域に溝Gを有している。
隔壁7は、絶縁層12の上に配置されるとともに、溝Gにおいて基板10の上に配置されている。
【0085】
図10Bは、他の構成例を示す断面図である。
図10Bに示す構成例は、
図10Aに示した構成例と比較して、絶縁層12の上の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて基板10の上に配置されている。
【0086】
図10Cは、他の構成例を示す断面図である。
図10Cに示す構成例は、
図10Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、絶縁層12の上に配置されている。
【0087】
《第2グループ》
【0088】
図11Aは、第2グループの一構成例を示す断面図である。
【0089】
図11Aに示す構成例は、
図8Aに示した構成例と比較して、絶縁層113が絶縁層12よりもカットラインCLに向かって延出している点で相違している。絶縁層113は、溝Gを有している。絶縁層12は、絶縁層113の上に配置されている。絶縁層113及び絶縁層12を有する有機絶縁層ILの断面形状に着目すると、有機絶縁層ILは、溝Gに向かって厚さが低減する階段状の断面を有している。
【0090】
有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の厚さと絶縁層12の厚さとの総和であり、絶縁層112の上面から絶縁層12のほぼ平坦な上面12Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。
【0091】
有機絶縁層ILの厚さT2は、絶縁層12から露出した絶縁層113の厚さであり、絶縁層112の上面から絶縁層113のほぼ平坦な上面113Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT2は、厚さT1より小さい。上面113Aは、上面12Aと溝Gとの間に位置し、また、上面12Aよりも下方に位置している。
【0092】
無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、絶縁層12から露出した絶縁層113を覆い、溝Gにおいて絶縁層112を覆っている。
【0093】
隔壁7は、有機絶縁層ILの上方に配置されるとともに、溝Gに配置されている。図示した例では、隔壁7は、上面12Aの上方に配置される一方で、上面113Aの上方には配置されていない。但し、隔壁7が上面113Aの上方に配置されてもよい。隔壁7の下部71は、いずれも無機絶縁層5の上に配置されている。
【0094】
階段状の断面を有する有機絶縁層ILは、例えば、以下のような手法で形成可能である。
まず、絶縁層112の上に、溝G及び上面113Aを有する絶縁層113を形成する。その後、絶縁層113の上に、上面12Aを有する絶縁層12を形成する。このとき、絶縁層12は、溝Gの近傍において絶縁層113の一部を露出するように形成される。
これにより、上記の断面形状を有する有機絶縁層ILが形成される。
【0095】
図11Bは、他の構成例を示す断面図である。
図11Bに示す構成例は、
図11Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0096】
図11Cは、他の構成例を示す断面図である。
図11Cに示す構成例は、
図11Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0097】
なお、
図11A、
図11B、
図11Cに示した各構成例において、絶縁層111、絶縁層112、及び、金属層MTのいずれかが省略されてもよい。
【0098】
図12Aは、他の構成例を示す断面図である。
図12Aに示す構成例は、
図11Aに示した構成例と比較して、絶縁層111、絶縁層112、及び、金属層MTのすべてが省略された点で相違している。
絶縁層113は、基板10の上に配置され、溝Gを有している。無機絶縁層5は、溝Gにおいて基板10を覆っている。
隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び溝Gにおいて、無機絶縁層5の上に配置されている。
【0099】
図12Bは、他の構成例を示す断面図である。
図12Bに示す構成例は、
図12Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0100】
図12Cは、他の構成例を示す断面図である。
図12Cに示す構成例は、
図12Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0101】
図13Aは、他の構成例を示す断面図である。
図13Aに示す構成例は、
図12Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5が省略された点で相違している。
絶縁層113は、基板10の上に配置され、溝Gを有している。
隔壁7は、絶縁層12の上に配置されるとともに、溝Gにおいて基板10の上に配置されている。
【0102】
図13Bは、他の構成例を示す断面図である。
図13Bに示す構成例は、
図13Aに示した構成例と比較して、絶縁層12の上の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて基板10の上に配置されている。
【0103】
図13Cは、他の構成例を示す断面図である。
図13Cに示す構成例は、
図13Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、絶縁層12の上に配置されている。
【0104】
《第3グループ》
【0105】
図14Aは、第3グループの一構成例を示す断面図である。
【0106】
図14Aに示す構成例は、
図8Aに示した構成例と比較して、階段状の断面を有する有機絶縁層ILが絶縁層12の単層体である点で相違している。絶縁層113は、存在しない。絶縁層12は、溝Gを有している。
【0107】
有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層112の上面から絶縁層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。
有機絶縁層ILの厚さT2は、絶縁層112の上面から絶縁層12のほぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT2は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと溝Gとの間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。
【0108】
無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、溝Gにおいて絶縁層112を覆っている。
【0109】
隔壁7は、有機絶縁層ILの上方に配置されるとともに、溝Gに配置されている。図示した例では、隔壁7は、上面121Aの上方に配置される一方で、上面122Aの上方には配置されていない。但し、隔壁7が上面122Aの上方に配置されてもよい。隔壁7の下部71は、いずれも無機絶縁層5の上に配置されている。
【0110】
このような絶縁層12は、例えば、以下のような手法で形成可能である。
すなわち、絶縁層112が形成された表示装置用マザー基板100の全面に、例えばポジ型の有機材料により絶縁層を形成する。その後、絶縁層を露光する。この露光工程では、溝Gの露光量は最大に設定され、溝Gから外側に向かうにしたがって露光量は段階的に減少するように設定されている。その後、露光された絶縁層を現像する。その後、絶縁層を焼成する。
これにより、上記の断面形状を有する絶縁層12が形成される。
【0111】
図14Bは、他の構成例を示す断面図である。
図14Bに示す構成例は、
図14Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0112】
図14Cは、他の構成例を示す断面図である。
図14Cに示す構成例は、
図14Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0113】
なお、
図14A、
図14B、
図14Cに示した各構成例において、絶縁層111、絶縁層112、及び、金属層MTのいずれかが省略されてもよい。
【0114】
図15Aは、他の構成例を示す断面図である。
図15Aに示す構成例は、
図14Aに示した構成例と比較して、絶縁層111、絶縁層112、及び、金属層MTのすべてが省略された点で相違している。
有機絶縁層ILに相当する絶縁層12は、基板10の上に配置され、溝Gを有している。無機絶縁層5は、溝Gにおいて基板10を覆っている。
隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び溝Gにおいて、無機絶縁層5の上に配置されている。
【0115】
図15Bは、他の構成例を示す断面図である。
図15Bに示す構成例は、
図15Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0116】
図15Cは、他の構成例を示す断面図である。
図15Cに示す構成例は、
図15Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0117】
図16Aは、他の構成例を示す断面図である。
図16Aに示す構成例は、
図15Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5が省略された点で相違している。
有機絶縁層ILに相当する絶縁層12は、基板10の上に配置され、溝Gを有している。
隔壁7は、絶縁層12の上に配置されるとともに、溝Gにおいて基板10の上に配置されている。
【0118】
図16Bは、他の構成例を示す断面図である。
図16Bに示す構成例は、
図16Aに示した構成例と比較して、絶縁層12の上の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、溝Gにおいて基板10の上に配置されている。
【0119】
図16Cは、他の構成例を示す断面図である。
図16Cに示す構成例は、
図16Aに示した構成例と比較して、溝Gにおける隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、絶縁層12の上に配置されている。
【0120】
次に、
図17乃至
図22を参照して、表示装置DSPの製造方法について説明する。なお、
図17乃至
図22においては、絶縁層12よりも下方の図示を省略している。
【0121】
まず、
図17に示すように、表示領域DAにおいて、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する。その後、無機絶縁層5を形成する。絶縁層12及び無機絶縁層5は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白部MPにも形成される。周辺領域SA及び余白部MPにおける絶縁層12を含む有機絶縁層ILの形成手法は、例えば、
図8Aなどを参照して説明した通りである。無機絶縁層5は、有機絶縁層ILを覆い、また、溝Gにおいては絶縁層112を覆うように形成される。
その後、表示領域DAにおいて、無機絶縁層5の上に位置する下部61と、下部61の上に位置する上部62と、を有する隔壁6を形成する。その後、無機絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成する。開口AP1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開口AP2は副画素SP2の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素SP3の下電極LE3に重なる。なお、開口AP1、AP2、AP3の形成工程は、隔壁6の形成工程より前に行ってもよい。
隔壁6を形成するのと同時に、
図8Aなどに示したように、有機絶縁層ILの上方、及び、溝Gに隔壁7も形成する。
【0122】
続いて、表示素子201を形成する。
【0123】
まず、
図18に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層EM1、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。
その後、隔壁6をマスクとして、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、高屈折率材料及び低屈折率材料を順次蒸着して、キャップ層CP1を形成する。
これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空環境を維持した状態で連続して形成される。
その後、キャップ層CP1及び隔壁6を連続的に覆うように、封止層SE1を形成する。
【0124】
有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、上部62によって遮られる。このため、上部62の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、下電極LE1の直上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間している。
【0125】
これらの有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白部MPにも形成される。
【0126】
続いて、
図19に示すように、封止層SE1の上に、所定の形状にパターニングされたレジストR1を形成する。レジストR1は、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0127】
続いて、
図20に示すように、レジストR1をマスクとしたエッチングを行うことにより、レジストR1から露出した封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3が露出する。
その後、レジストR1を除去する。これにより、副画素SP1に表示素子201が形成される。
【0128】
続いて、
図21に示すように、表示素子202を形成する。表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成する。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2、及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0129】
続いて、
図22に示すように、表示素子203を形成する。表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成する。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203が形成される。
【0130】
その後、
図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0131】
なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成される場合を想定したが、表示素子201、202、203の形成順はこの例に限られない。
【0132】
図23は、
図8Aに示した溝Gを含む領域に多層膜115が形成された様子を説明するための断面図である。
【0133】
上記の表示素子201、202、203をそれぞれ形成する工程において、多層膜115は、余白部MP及び周辺領域SAにも形成される。ここでの多層膜115とは、例えば、
図18を参照して説明した表示素子201を形成するための有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1を含んでいる。多層膜115は、無機絶縁層5及び隔壁7の上に形成される。
【0134】
図18を参照して説明したのと同様に、多層膜115は、オーバーハング状の隔壁7によって分断される。すなわち、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、隔壁7の上部72によって遮られる。このため、上部72の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部72の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、無機絶縁層5の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間している。これにより、多層膜115は、部分的に分断される。
【0135】
多層膜115が隔壁7によって分断されていない場合と比較して、連続した多層膜115の面積が低減され、多層膜115に生じうる応力が分散される。また、無機絶縁層5及び無機絶縁層5の上の多層膜115は、隔壁7で抑え込まれているため、無機絶縁層5の浮き上がり、及び、多層膜115の無機絶縁層5からの浮き上りが抑制される。さらに、多層膜115が形成された後に形成される封止層SE1は、隔壁7とともに多層膜115を抑え込んでいる。このため、多層膜115及び封止層SE1の無機絶縁層5からの離脱を抑制することができる。
【0136】
また、有機絶縁層ILは、溝Gに向かうにしたがって厚さが低減する階段状の断面を有している。したがって、急峻な段差の形成が抑制される。有機絶縁層ILは、厚さが薄いほど伸びが小さい。このため、有機絶縁層ILの上に多層膜115が形成された際、多層膜115の歪みが小さく、多層膜115において、局所的な応力の集中を抑制することができる。これにより、無機絶縁層5からの多層膜115の離脱を抑制することができる。
【0137】
ここで、多層膜115が無機絶縁層5から浮き上がり、破断した場合に生じうる不具合について説明する。無機絶縁層5から離脱した多層膜115は、異物となって製造装置内を浮遊し、汚染源となり得る。また、浮遊した異物が処理基板に付着すると、種々の欠陥を引き起こす原因となり得る。
【0138】
これに対して、本実施形態によれば、カットラインCLを含む領域において、多層膜115の離脱を抑制することができる。これにより、製造装置の汚染や、不所望な異物の生成が抑制される。したがって、信頼性の低下が抑制される。
【0139】
なお、多層膜115が表示素子202を形成するための有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2を含む場合であっても、同様の効果が得られる。
また、多層膜115が表示素子203を形成するための有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3を含む場合であっても、同様の効果が得られる。
【0140】
ここでは、
図8Aに示した構成例について、多層膜115の離脱が抑制される効果について説明したが、その他の各構成例についても同様の効果が得られる。
【0141】
上記の実施形態において、例えば、無機絶縁層5は第1無機絶縁層に相当し、絶縁層112は第2無機絶縁層に相当し、絶縁層113は有機絶縁層の第1層に相当し、絶縁層12は有機絶縁層の第2層に相当する。また、隔壁7は第1隔壁に相当し、下部71は第1下部に相当し、上部72は第1上部に相当し、隔壁6は第2隔壁に相当し、下部61は第2下部に相当し、上部62は第2上部に相当する。
【0142】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置、表示装置用マザー基板、及び、表示装置の製造方法を提供することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及び表示装置の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及び表示装置の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0144】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0145】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0146】
本明細書にて開示した構成から得られる表示装置用マザー基板の一例を以下に付記する。
(A)
画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を有するパネル部と、
前記パネル部よりも外側の余白部と、
前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と、
第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、を備え、
前記有機絶縁層は、前記表示領域を囲むループ状の溝を有し、
前記第1隔壁は、前記溝に配置されている、表示装置用マザー基板。
(B)
画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を有するパネル部と、
前記パネル部よりも外側の余白部と、
前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と、
第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、を備え、
前記第1隔壁は、前記余白部及び前記周辺領域の少なくとも一方において、前記有機絶縁層の上方に配置されている、表示装置用マザー基板。
【符号の説明】
【0147】
DSP…表示装置 10…基板
5…無機絶縁層 AP1、AP2、AP3…開口
6…隔壁 61…下部 62…上部
7…隔壁 71…下部 72…上部
SP1、SP2、SP3…副画素
201、202、203…表示素子(有機EL素子)
LE1、LE2、LE3…下電極
UE1、UE2、UE3…上電極
OR1、OR2、OR3…有機層
DA…表示領域 SA…周辺領域
100…表示装置用マザー基板 PP…パネル部 MP…余白部
CL…カットライン
IL…有機絶縁層 12…絶縁層 113…絶縁層 MT…金属層