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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158108
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/27 20060101AFI20241031BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K8/27
A61Q11/00
A61K8/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072996
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】浅原(小林) 奈那子
(72)【発明者】
【氏名】馬場(稲垣) みずき
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB292
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC861
4C083AC862
4C083AD072
4C083AD191
4C083AD272
4C083AD282
4C083AD302
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD532
4C083AD632
4C083CC41
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD28
4C083DD30
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE34
(57)【要約】
【課題】持続的な口臭抑制効果等を示す口腔用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物、(B)ヒアルロン酸又はその塩、及び任意に(C)アミノ酸類及び/又は糖類を含有することを特徴とする、口腔用組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物、及び(B)ヒアルロン酸又はその塩、を含有することを特徴とする、口腔用組成物。
【請求項2】
(C)アミノ酸類及び/又は糖類をさらに含有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(A)成分が、塩化亜鉛、グリシン亜鉛、及び酸化亜鉛から選ばれる一つ以上である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(B)成分の分子量が、411~5000万の範囲にある、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(C)成分が、塩基性アミノ酸又は/及び中性アミノ酸から選ばれる一つ以上である、請求項2に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
(C)成分が、アルギニン及びグリシンから選ばれる一つ以上である、請求項2に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
(C)成分が、分子内に環状構造を有する糖類から選ばれる一つ以上である、請求項2に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
(C)成分が、スクラロース、マルチトール、サッカリンナトリウム、及びステビアから選ばれる一つ以上である、請求項2に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
(A)成分の含有量が、口腔用組成物全体の質量に対し、0.0001~5質量%である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
(B)成分の含有量が、口腔用組成物全体の質量に対し、0.0001~1質量%である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項11】
(C)成分の含有量が、口腔用組成物全体の質量に対し、0.001~10質量%である、請求項2に記載の口腔用組成物。
【請求項12】
(A)成分の含有量を1質量部としたとき、(B)成分の含有量が、0.00002質量部~10000質量部である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項13】
pHが、8~10の範囲である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の口腔用組成物を含有する、持続性口臭抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。より具体的には、本発明は、亜鉛又は亜鉛を含有する化合物とヒアルロン酸又はその塩とを含有する口腔用組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口臭抑制に亜鉛化合物が有効であることが知られており、亜鉛化合物は口腔用組成物に広く使用されている。特許文献1にて、亜鉛化合物とヒアルロン酸又はその非毒性塩を組み合わせることで、抗う蝕、歯石予防、口臭予防、抗炎症効果に優れ、使用感が改善されることが示されている。また、特許文献2では、水溶性亜鉛塩又は水酸化亜鉛と、炭酸水素ナトリウムと、縮合リン酸系キレート剤と、炭粉末とを含有する口腔用組成物が、口臭予防効果に優れ、使用感及び製剤安定性が良好であることが示されている。
その一方で、口腔用組成物は、適用後にうがいや唾液による自浄作用により、成分が口腔内に滞留せず口腔外に流出してしまうため、亜鉛化合物の口臭抑制効果は持続しにくいという課題がある。
そこで、口臭抑制効果の持続性向上のため、種々の研究がなされてきた。例えば特許文献3では、亜鉛化合物と同様に口臭抑制効果が知られている水溶性銅化合物と、アルギン酸プロピレングリコールエステルとを特定の質量比で配合することで、口臭抑制効果に優れ、かつ使用感が改善することが示されている。さらに、特許文献4では、モノグリセリドを主基剤とし、ポリマー、口臭除去有効成分及び溶剤を含むW/Oエマルジョンタイプの口腔用組成物が、唾液などの水分と結びつきキュービック相に変化することで、粘度及び付着性を増加させ、持続的な口臭除去効果を示すことが示されている。
しかし、上記口腔用組成物は、消臭成分の歯及び口腔粘膜への付着性を飛躍的に向上するには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-29950号公報
【特許文献2】特開2022-100677号公報
【特許文献3】特開2016-141661号公報
【特許文献4】特表2009-500399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を改善することを目的の一つとする。本発明は、また、持続的な口臭抑制効果を示す口腔用組成物を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の末、亜鉛化合物に、ヒアルロン酸又はその塩を配合し、かつ、任意にアミノ酸類及び/又は糖類を配合することにより、亜鉛化合物の口腔内への付着性を改善し、及び/又は亜鉛化合物による口臭抑制効果を持続させることができることを見出した。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
【0006】
〔1〕
(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物、及び(B)ヒアルロン酸又はその塩、を含有することを特徴とする、口腔用組成物。
〔2〕
(C)アミノ酸類及び/又は糖類をさらに含有する、前記〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
(A)成分が、塩化亜鉛、グリシン亜鉛、及び酸化亜鉛から選ばれる一つ以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
(B)成分の分子量が、411~5000万の範囲にある、前記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔5〕
(C)成分が、塩基性アミノ酸又は/及び中性アミノ酸から選ばれる一つ以上である、前記〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔6〕
(C)成分が、アルギニン及びグリシンから選ばれる一つ以上である、前記〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔7〕
(C)成分が、分子内に環状構造を有する糖類から選ばれる一つ以上である、前記〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔8〕
(C)成分が、スクラロース、マルチトール、サッカリンナトリウム、及びステビアから選ばれる一つ以上である、前記〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔9〕
(A)成分の含有量が、口腔用組成物全体の質量に対し、0.0001~5質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔10〕
(B)成分の含有量が、口腔用組成物全体の質量に対し、0.0001~1質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔11〕
(C)成分の含有量が、口腔用組成物全体の質量に対し、0.001~10質量%である、前記〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔12〕
(A)成分の含有量を1質量部としたとき、(B)成分の含有量が、0.00002質量部~10000質量部である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔13〕
pHが、8~10の範囲である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔14〕
前記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物を含有する、持続性口臭抑制剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、消臭成分の歯及び口腔粘膜等への付着性を向上することができる口腔用組成物に関する。本発明は、また、持続的な口臭抑制効果を示す口腔用組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、発明を実施するための形態を詳説するが、以下で例示する好ましい態様やより好ましい態様等は、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず適宜相互に組み合わせて使用することができる。また、数値範囲の記載は例示であって、各範囲の上限と下限並びに実施例の数値とを適宜組み合わせた範囲も好ましく使用することができる。さらに、「含有する」又は「含む」等の用語は、「本質的になる」や「のみからなる」と読み替えてもよい。
【0009】
[口腔用組成物]
本発明の一態様である口腔用組成物は、(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物、(B)ヒアルロン酸又はその塩を含有し、さらに任意に(C)アミノ酸類及び/又は糖類を含有してもよい、組成物である。以下、それぞれ具体的に説明する。
【0010】
(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物
(A)成分の金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物は、例えば、口臭抑制効果を有する主たる有効成分として加えられることが適当である。金属亜鉛は、亜鉛元素それ自体を意味する。(A)成分の亜鉛を含有する化合物としては、亜鉛を含む化合物であれば、いかなる化合物も利用可能であるが、例えば、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、有機亜鉛化合物、及び無機亜鉛化合物を挙げることができる。ここで、ハロゲン化亜鉛としては、例えば、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、及びヨウ化亜鉛を挙げることができ、好ましくは塩化亜鉛である。有機亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛やシュウ酸亜鉛などの炭素数1~10、好ましくは炭素数2~6又は炭素数2~4の有機酸と亜鉛との化合物である有機酸亜鉛化合物;炭素数1~10、好ましくは炭素数2~6又は炭素数2~4の炭化水素基を1つ又は複数有する炭化水素亜鉛化合物;バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、トレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、及びセリンから選択されるアミノ酸と亜鉛との化合物であるアミノ酸亜鉛化合物等を挙げることができ、好ましくはグリシン亜鉛である。無機亜鉛化合物としては、窒化亜鉛、リン化亜鉛、ヒ化亜鉛、アンチモン化亜鉛等の第15族元素と亜鉛との化合物;硫化亜鉛、セレン化亜鉛、テルル化亜鉛等の第16族元素と亜鉛との化合物;硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、リン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、亜ヒ酸亜鉛、ヒ酸亜鉛、クロム酸亜鉛、スズ酸亜鉛等の無機酸と亜鉛との化合物である無機酸亜鉛化合物等を挙げることができる。上記(A)成分は、1種類又は複数種類を組み合わせて使用してもよい。(A)成分として、特に好ましくは、塩化亜鉛、グリシン亜鉛、及び酸化亜鉛である。
【0011】
上記(A)成分の含有量は、上記口腔用組成物全体の質量に対して、例えば、0.0001~5質量%、好ましくは0.001~1質量%、より好ましくは0.02~0.1質量%である。(A)成分の含有量を当該範囲内とすることにより、十分な口臭抑制効果を得ることができる。
【0012】
(B)ヒアルロン酸又はその塩
(B)成分のヒアルロン酸又はその塩は、例えば、口臭抑制効果の持続性向上のために加えられることが適当である。ヒアルロン酸は、以下の構造式(I)で示される多糖類である。
当該ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は、上記構造式(I)中n=1のヒアルロン酸の最小分子量である411以上であり、例えば、2000~5000万であり、好ましくは、1万~1000万であり、より好ましくは、10万~500万であり、さらに好ましくは、50万~350万であり、特に好ましくは80万~200万又は100万~250万である。また、別の好ましい態様としては、ヒアルロン酸又はその塩の分子量は1万~220万又は85万~220万である。構造式(I)中のnは、上記ヒアルロン酸又はその塩の分子量を満たす数値であり、例えば、1~13万であり、好ましくは、4~2万5000であり、より好ましくは、240~1万2500であり、さらに好ましくは、1200~8600であり、特に好ましくは1800~5000又は2400~6100である。また、別の好ましい態様としては、構造式(I)中のnは24~5500又は2000~5500である。ヒアルロン酸の塩としては、第1族元素又は第2族元素とヒアルロン酸との化合物が挙げられるが、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、及びヒアルロン酸カルシウムを挙げることができる。上記(B)成分は、1種類又は複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0013】
上記(B)成分の含有量は、上記口腔用組成物全体の質量に対して、例えば、0.0001~1質量%、好ましくは0.0005~0.01質量%、より好ましくは0.0008~0.003質量%である。別の態様として、(B)成分の含有量は、上記口腔用組成物全体の質量に対して、0.0006~0.0039%が好ましく、0.0008~0.001%がより好ましい。(B)成分の含有量を当該範囲内とすることにより、口臭抑制効果の持続性を十分に向上することができる。
【0014】
(C)アミノ酸類及び/又は糖類
(C)成分のアミノ酸類及び/又は糖類は、(B)成分による口臭抑制効果の持続性向上のための補助剤として加えられる。ここで、アミノ酸類としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、トレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、及びセリンから選択されるアミノ酸を挙げることができる。アミノ酸類としては塩基性アミノ酸及び中性アミノ酸が好ましく、アルギニン及びグリシンがより好ましい。(C)成分としてアミノ酸類を用いる場合、(A)成分の金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物としてアミノ酸亜鉛を使用することが好ましく、(A)成分と(C)成分とで同一のアミノ酸を使用することがより好ましい。
また、糖類としては、直鎖状糖類及び環状構造を有する糖類等、いかなる糖類も使用できるが、分子内に環状構造を有する糖類から選ばれる一つ以上であることが好ましい。直鎖状糖類としては、キシリトール、グルコース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトールを挙げることができる。分子内に環状構造を有する糖類としては、例えば、スクラロース、マルチトール、サッカリンナトリウム、ステビア、アスパルテーム、アセスルファームカリウム、を挙げることができ、好ましくは、スクラロース、マルチトール、サッカリンナトリウム、及びステビアである。
上記(C)成分は、1種類又は複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
上記(C)成分の含有量は、上記口腔用組成物全体の質量に対して、例えば、0.001~10質量%、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%である。さらに別の態様として、(C)成分がアミノ酸類である場合、当該アミノ酸類は、上記口腔用組成物全体の質量に対して、例えば0.005~1質量%であり、0.01~0.5質量%が好ましく、また、(C)成分が糖類である場合、当該糖類は、上記口腔用組成物全体の質量に対して、例えば0.01~5質量%であり、0.08~1質量%が好ましい。(C)成分の含有量を当該範囲内とすることにより、口臭抑制効果の持続性を十分に向上することができる。
【0016】
上記(A)~(C)成分は、互いに特定の割合で口腔用組成物に含有することが好ましい。具体的には、(A)成分の含有量を1質量部としたとき、(B)成分の含有量が、例えば、0.00002質量部~10000質量部、好ましくは、0.0005質量部~10質量部、より好ましくは、0.008質量部~0.16質量部であることが適当である。また、(A)成分の含有量を1質量部としたとき、アミノ酸類としての(C)成分の含有量が、例えば、0.0002質量部~100000質量部、好ましくは、0.001質量部~1000質量部、より好ましくは、0.1質量部~25質量部であることが適当である。さらに、(A)成分の含有量を1質量部としたとき、糖類としての(C)成分の含有量が、例えば、0.0002質量部以上100000質量部以下、好ましくは、0.01質量部~5000質量部、より好ましくは、1質量部~50質量部であることが適当である。理論に縛られるものではないが、(A)成分に対し、(B)成分を過度に使用することなく上述したような適度な範囲で存在させることにより、(A)成分の口臭抑制効果を十分に発揮しつつ、口腔用組成物を持続的に口腔内に保持することができると考えられる。
【0017】
上記(A)~(C)成分以外にも、必要に応じて口腔用組成物に通常用いられる任意成分を上記口腔用組成物に含有させることができる。任意成分は、例えば、界面活性剤、研磨剤、増粘剤、湿潤剤、溶剤、甘味剤、香料、冷感剤、pH調整剤、防腐剤、着色剤、懸濁剤、機能成分、矯味成分などが挙げられる。これらの任意成分は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができ、また、任意成分を適当な配合量で配合することができる。これらの任意成分は、1つの化合物が複数の特徴(例えば、香料と冷感剤)を有していても良い。
【0018】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルキルグリコシド類、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルエタノールアマイド、ココイルサルコシン酸ナトリウム、N-ラウロイルメチルタウリンナトリウム液などが挙げられる。界面活性剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.01質量%~10質量%である。
【0019】
研磨剤としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、不溶性メタリン酸カルシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、二酸化チタン、非晶質シリカ、結晶質シリカ、アルミノシリケケート、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、レジンなどが挙げられる。研磨剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.01質量%~50質量%である。
増粘剤としては、例えば、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウムなどのアルカリ金属アルギネート、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタンガム、トラガカントガム、アラビアガムなどのガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどの合成増粘剤、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル、ビーガムなどの無機増粘剤などが挙げられる。増粘剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.01質量%~30質量%である。
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクチトールなどの多価アルコールが挙げられる。湿潤剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.01質量%~99質量%である。
【0020】
溶剤としては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤、水などが挙げられる。溶剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.01質量%~99質量%である。
甘味剤としては、例えば、パラチニット、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルミン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、ρ-メトキシシンナミックアルデヒド、スクラロース、キシリトール、ステビアなどが挙げられる。甘味剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~10質量%である。
香料としては、例えば、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバーなどの調合香料、テルペノイド系精油、フェニルプロパノイド系精油などが挙げられる。香料の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~5質量%である。
冷感剤としては、例えば、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミドなどが挙げられる。冷感剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~5質量%である。
pH調整剤としては、リン酸、パントテン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、ケイ酸、クエン酸、メタリン酸、ポリリン酸及びこれらの化学的に可能な塩、並びに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウムなどが挙げられる。pH調整剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~20質量%である。
【0021】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどが挙げられる。防腐剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~10質量%である。
着色剤としては、例えば、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号などの色素、二酸化チタン、酸化亜鉛、グンジョウなどの顔料が挙げられる。着色剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.01質量%~10質量%である。
懸濁剤としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油などの油脂、及びこれらの油脂を含むエマルションなどが挙げられる。懸濁剤の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~5質量%である。
機能成分としては、例えば、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸、ピリドキシン塩酸塩、ε-アミノカプロン酸、アラントイン、塩化ナトリウム、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール酢酸エステル、ゼオライト、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、硝酸カリウム、アズレンスルホン酸及びその塩、乳酸アルミニウム、並びにトラネキサム酸などが挙げられる。機能成分の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~10質量%である。
矯味成分としては、例えば、チャエキス、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。矯味成分の配合量は、上記口腔用組成物の全質量を基準として、一般的に0.001質量%~5質量%である。
【0022】
本発明の口腔用組成物は、常温(例えば、25℃±5℃)でペースト状、ジェル状、液体状などの種々の形態とすることができる。口腔用組成物としては、例えば、練歯磨剤、ジェル状歯磨剤、液体歯磨剤、口腔湿潤剤、マウスウォッシュ等が挙げられる。
【0023】
[口腔用組成物の製造方法]
上記口腔用組成物は、(A)成分と(B)成分とを混合する工程等、複数の成分を含む組成物の一般的な調製方法によって製造することができる。各成分の混合の順序は特に限定されず、1成分ずつ順に混合しても良いし、すべての成分を同時に混合しても良い。
上記口腔用組成物は、当該混合するステップのほか、口腔用組成物の製造方法において通常用いられる工程に従って、その他の殺菌・抗菌成分及び任意成分を配合する追加の任意工程と共に調製することができる。
【0024】
[口腔用組成物の特性]
上記口腔用組成物は、酸性、中性、及びアルカリ性のいずれであってもよいが、中性又はアルカリ性であることが好ましく、より好ましくは弱アルカリ性である。具体的な口腔用組成物のpHは、例えば4.0~12.0、好ましくは7.0~11.0、より好ましくは8.0~10.0であることが適当である。
上記口腔用組成物は、使用後、複数回うがいをしたり、唾液が分泌されても、洗い流されずに口腔内に残存できる。例えば、上記口腔用組成物は、口腔内を水で1~7回、好ましくは2~6回、より好ましくは3~5回うがいした後であっても口腔用組成物が口腔内に十分に残存し、当該口腔用組成物による口臭抑制効果を持続的に発揮することができる。唾液は正常人で平均0.3mL/分で分泌されることが知られており、上記口腔用組成物は、10mL以上の唾液が分泌されても、口腔内に十分に残存し、当該口腔用組成物による口臭抑制効果を持続的に発揮することができる。当該口腔用組成物が口腔内に付着し、残存できるか否かは、口腔モデルを2mLの精製水や人工唾液で2~10回、好ましくは3~7回、より好ましくは5回±1回洗浄した後であっても、口腔用組成物が口腔内に十分に残存しているか否かで測定することができ、エチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム溶液(EDTA)を試薬として口腔モデルに付着した亜鉛量を測定した場合、例えば、10μg以上、好ましくは30μg以上、より好ましくは60μg以上の亜鉛が付着していれば、当該口腔用組成物による口臭抑制効果を持続的に発揮することができると言える。
【0025】
[口腔用組成物の用途]
本発明の口腔用組成物は、口腔内の口臭抑制のために用いられる。具体的には、当該口腔用組成物(例えば、1mL)を口腔内で、例えば30秒~6分間、好ましくは1~5分間、より好ましくは3分間±1分間維持することによって、口腔用組成物が口腔内に有効にとどまり、口臭抑制作用が十分に維持される。本発明の口腔用組成物は、特に持続的な口臭抑制効果が期待でき、理論に縛られるものではないが、(A)成分が口臭抑制の有効成分として働くとともに、(B)成分及び任意の(C)成分が(A)成分を口腔内に持続的に保持するための成分として働く。上記口腔用組成物は、単に口腔内に維持する場合のほか、すすぐ、うがいをする、ブラッシングする等の方法によって、口腔用組成物を口腔内の隅々まで行き渡らせることが適当である。
【0026】
[持続性口臭抑制剤]
本発明の口腔用組成物は、長時間口腔内にとどまって持続的に口臭抑制効果を発揮するので、持続性の口臭抑制剤として使用できる。具体的には、当該持続性口臭抑制剤は、上記口腔用組成物の他、他の口臭抑制剤や口腔洗浄剤等の他の有効成分、抗炎症剤や抗菌剤等の薬剤、精製水などの追加の溶剤等を含んでもよい。特に、本発明の口腔用組成物をA剤とし、精製水などの追加の溶剤をB剤とし、A剤とB剤のキットとして持続性口臭抑制剤を提供してもよいし、A剤のみを持続性口臭抑制剤として、使用時に適切な濃度に希釈(例えば、1.5~10倍、好ましくは2~5倍希釈)して使用してもよい。
【実施例0027】
以下、本発明の口腔用組成物の具体的な実施例について説明するが、当該実施例は本発明の範囲を限定する意図ではないことを確認的に明記しておく。また、%は、残存率を除いて質量%を意味する。
【0028】
[実施例及び比較例で使用した成分]
実施例及び比較例で使用した成分は以下の通りである。
・塩化亜鉛:純正化学株式会社製
・グリシン亜鉛:日光ケミカルズ株式会社製
・酸化亜鉛:ハクスイテック株式会社製
・グルコン酸銅:富田製薬株式会社製
・ヒアルロン酸ナトリウム1(重量平均分子量120万~220万):キューピー株式会社製、製品番号:HA-LQH
・ヒアルロン酸ナトリウム2(重量平均分子量85万~160万):キューピー株式会社製製品番号:HA-LQ
・ヒアルロン酸ナトリウム3(重量平均分子量1万以下):キューピー株式会社 ヒアロオリゴ
・アルギニン:サンデケミカル株式会社製
・グリシン:有機合成薬品工業株式会社製
・スクラロース:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
・マルチトール:ヤクシ化成株式会社製
・サッカリンナトリウム:金剛薬品株式会社製
・ステビア:丸善製薬株式会社製
・キシリトール:物産フードサイエンス株式会社製
【0029】
[実施例1の口腔用組成物の調製]
表1の実施例1に記載された各成分を、マグネチックスターラーを用いて混合し、実施例1の口腔用組成物を得た。
[実施例2~23及び比較例1~9の口腔用組成物の調製]
表1~7に記載された割合の成分を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2~23及び比較例1~9の口腔用組成物を得た。
【0030】
[持続的な口臭抑制効果の評価]
24ウェルプレートに、1cm四方に切断したビトロスキン(IMS社製)を配置し、実施例及び比較例の各成分1mLを添加し、3分間浸漬した。実施例及び比較例の各成分を除去し、ビトロスキンを2mLの人工唾液(0.9mMリン酸二水素カリウム、1.5mM塩化カルシウム、20mMのHEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、130mM塩化カリウムを含むpH7の水溶液)で5回洗浄した。洗浄後のビトロスキンをゴム栓付バイアル瓶に入れ、さらに蒸留水1mLを当該バイアル瓶に加え、揮発性成分の揮散防止のために当該バイアル瓶を当該ゴム栓で密閉した。次いで密閉状態の当該バイアル瓶に、ゴム栓を通じて、200μg/mLの硫化水素溶液をマイクロシリンジで10μL添加した。37℃で30分間インキュベートした後、気相中の硫化水素をガスタイトシリンジで100μL採取し、ガスクロマトグラフィー(製品名:GC-2014、製造会社:株式会社島津製作所)にて測定した。
一方、コントロールとして、ゴム栓付バイアル瓶に上記ビトロスキンと蒸留水1mLとを加え、当該バイアル瓶を当該ゴム栓で密閉した。密閉状態のバイアル瓶に、ゴム栓を通じて、200μg/mLの硫化水素溶液をマイクロシリンジで10μL添加した。37℃で30分間インキュベートした後、気相中の硫化水素をガスタイトシリンジで100μL採取し、上記ガスクロマトグラフィーにて測定した。
当該コントロールにおける硫化水素のバイアル瓶の気相中の濃度を100%としたときの、実施例及び比較例での硫化水素のバイアル瓶の気相中の濃度を残存率(%)として求め、下記基準によって持続的な口臭抑制効果を評価した。
A(最優秀):13%未満
B(優秀):13%以上40%未満
C(非常に良い):40%以上45%未満
D(良い):45%以上60%未満
E(可):60%以上64%未満
F(悪い):64%以上84%未満
G(非常に悪い):84%以上
【0031】
表1

【0032】
表2

【0033】
表3

【0034】
表4

【0035】
表5

【0036】
表6

【0037】
表7

【0038】
上記表1~7の結果から、本発明の口腔用組成物は持続的な口臭抑制効果を示すことがわかった。より具体的には、以下の点が明らかになった。
・実施例1~4と比較例1及び2とから、(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物と(B)ヒアルロン酸又はその塩とを組み合わせることで、優れた持続的口臭抑制効果を示すことがわかった。
・実施例1、5~10、並びに16~21及び比較例1~3、5、7、並びに9の結果より、(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物と(B)ヒアルロン酸又はその塩に、さらに(C)アミノ酸類を加えると、(A)成分及び(B)成分のみの場合より効果がより飛躍的に上昇した。
・実施例1、11~15、22、並びに23及び比較例1、2、4、6、並びに8より、(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物と(B)ヒアルロン酸又はその塩に、さらに(C)糖類を加えると、(A)成分及び(B)成分のみより効果がより飛躍的に上昇した。
【0039】
[金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物の付着性評価]
24ウェルプレートに、1cm四方に切断したビトロスキン(IMS社製)を配置し、実施例及び比較例の各成分1mLを添加し、3分間浸漬した後、溶液を回収した。ビトロスキンを2mLの人工唾液(0.9mMリン酸二水素カリウム、1.5mM塩化カルシウム、20mMのHEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、130mM塩化カリウムを含むpH7の水溶液)で5回洗浄し、人工唾液も回収した。回収した実施例及び比較例の各成分と、回収した人工唾液を合わせ、塩酸でpH5に調整した後、0.1M酢酸バッファーを0.5mL、及び0.1%キシレノールオレンジ1滴を添加し、試料溶液とした。
別容器に、実施例及び比較例の各成分1mLに、上記と同じ人工唾液10mLを加えた溶液を、塩酸でpH5に調整した後、0.1M酢酸バッファーを0.5mL、及び0.1%キシレノールオレンジ1滴を添加し、原液溶液とした。
試料溶液及び原液溶液を0.1mMエチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム溶液(EDTA)で滴定を行った。各溶液の色が赤紫色から黄色に変わった地点を終点とした。下記式により各溶液中の亜鉛量(μg)を算出し、ビトロスキンに付着した亜鉛量(μg)を求めた。

各溶液中の亜鉛量(μg)=0.1(mM)×滴下したEDTA量(mL)×65.39(亜鉛のモル質量)
ビトロスキンに付着した亜鉛量(μg)=原液溶液中の亜鉛量(μg)―試料溶液中の亜鉛量(μg)
得られた亜鉛付着量より、下記の基準で評価した。
◎(非常に良い):ビトロスキンに付着した亜鉛量が、60μg以上である。
〇(良い):ビトロスキンに付着した亜鉛量が、10μg以上60μg未満である。
×(悪い):ビトロスキンに付着した亜鉛量が、10μg未満である。
【0040】
表8

【0041】
上記表8の結果から、本発明の口腔用組成物は、ビトロスキンへの亜鉛付着性効果を示した。より具体的には、以下の点が明らかになった。
実施例1と比較例1から、(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物と(B)ヒアルロン酸又はその塩とを組み合わせることで、優れた亜鉛付着性効果を示した。
・実施例1及び5の結果より、(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物と(B)ヒアルロン酸又はその塩に、さらに(C)アミノ酸類を加えると、(A)成分及び(B)成分のみの場合より効果がより飛躍的に上昇した。
・実施例1及び11の結果より、(A)金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物と(B)ヒアルロン酸又はその塩に、さらに(C)糖類を加えると、(A)成分及び(B)成分のみより効果がより飛躍的に上昇した。
【0042】
[処方例]
(A)成分、(B)成分、かつ任意に(C)成分を配合するとともに、任意成分を混合して調製した本発明の口腔用組成物の処方例を示す。配合量の単位は、処方剤全体を100質量%とした場合の質量%である。
以下に示すジェル状歯磨剤、練歯磨剤、非水練歯磨剤、及び液体歯磨剤は、金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物の口腔内への付着性を改善し、及び/又は、金属亜鉛又は亜鉛を含有する化合物による口臭抑制効果を持続させることができることが確認された。
【0043】
[処方例1]練歯磨剤
塩化亜鉛 0.025
グリシン亜鉛 0.025
酸化亜鉛 0.025
ヒアルロン酸ナトリウム 0.001
アルギニン 0.01
グリシン 0.01
スクラロース 0.1
マルチトール 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
ステビア 0.1
クエン酸 0.05
酒石酸 0.05
ベンザルコニウム塩化物 0.01
ベンゼトニウム塩化物 0.01
無水ケイ酸 7.0
含水ケイ酸 3.0
リン酸水素カルシウム 1.0
酸化チタン 0.3
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
フッ化ナトリウム 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 0.5
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.1
70%ソルビット液 10
濃グリセリン 20
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
香料 1.0
精製水 残
合計 100%
【0044】
[処方例2]非水練歯磨剤
塩化亜鉛 0.025
グリシン亜鉛 0.025
酸化亜鉛 0.025
ヒアルロン酸ナトリウム 0.001
アルギニン 0.01
グリシン 0.01
スクラロース 0.1
マルチトール 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
ステビア 0.1
クエン酸 0.05
酒石酸 0.05
ベンザルコニウム塩化物 0.01
ベンゼトニウム塩化物 0.01
無水ケイ酸 10.0
含水ケイ酸 5.0
リン酸水素カルシウム 1.0
酸化チタン 1.0
アルギン酸プロピレングリコール 0.1
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1
ポリビニルピロリドン 1.0
水酸化ナトリウム 0.3
フッ化ナトリウム 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 0.5
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.1
濃グリセリン 20.0
グリセリン脂肪酸エステル 0.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
香料 1.0
プロピレングリコール 残
合計 100%
【0045】
[処方例3]ジェル状歯磨剤
塩化亜鉛 0.025
グリシン亜鉛 0.025
酸化亜鉛 0.025
ヒアルロン酸ナトリウム 0.001
アルギニン 0.01
グリシン 0.01
スクラロース 0.1
マルチトール 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
ステビア 0.1
クエン酸 0.05
酒石酸 0.05
ベンザルコニウム塩化物 0.01
ベンゼトニウム塩化物 0.01
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
70%ソルビット液 10.0
フッ化ナトリウム 0.1
濃グリセリン 30.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
グリセリン脂肪酸エステル 0.5
香料 1.0
精製水 残
合計 100%
【0046】
[処方例4]液体歯磨剤
塩化亜鉛 0.025
グリシン亜鉛 0.025
酸化亜鉛 0.025
ヒアルロン酸ナトリウム 0.001
アルギニン 0.01
グリシン 0.01
スクラロース 0.1
マルチトール 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
ステビア 0.1
ベンザルコニウム塩化物 0.01
キサンタンガム 0.5
水酸化ナトリウム 0.42
アルギン酸プロピレングリコール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
ソルビット 7
濃グリセリン 30
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
香料 1.0
精製水 残
合計 100%