(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158115
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】伏図作成支援装置、伏図作成支援プログラム、及び伏図作成支援方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20241031BHJP
【FI】
G06F30/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073008
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】394024477
【氏名又は名称】福井コンピュータホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】青柳 克彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】城地 優一
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DE03
5B146EA08
(57)【要約】
【課題】外形線52の内部を効率よく区画分けして伏図データ24の作成を支援する伏図作成支援装置1、伏図作成支援プログラム18及び伏図作成支援方法を提供することを目的とする。
【解決手段】2階建て以上の木造住宅における伏図データ24の作成を支援する伏図作成支援装置1であって、各階の輪郭を示す外形線52を生成する外形線生成手段と、外形線52の内部を区画分けするための候補線を抽出する候補線抽出手段と、優先順位の高い比較条件で候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較し、最上位の候補線が1つの場合、1つの最上位の候補線を外形線52の内部を区画分けする区画線として決定する絞込み手段と、外形線52の内部を区画線で区画分けした区画データ23に基づいて伏図データ24を生成する伏図生成手段とが備えらえたことを特徴とする。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建物における間取りを示す間取りデータに基づいた伏図の作成を支援する伏図作成支援装置であって、
前記間取りデータから少なくとも柱の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を取得する情報取得手段と、
前記間取りの輪郭を示す外形線を前記外壁情報に基づいて生成する外形線生成手段と、
前記外形線の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、前記柱の位置に基づいて抽出する候補線抽出手段と、
優先順位の高い比較条件で前記候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い前記比較条件で前記最上位の候補線を比較し、前記最上位の候補線が1つの場合、1つの前記最上位の候補線を前記外形線の内部を区画分けする区画線として決定する絞込み手段と、
前記外形線の内部を前記区画線で区画分けした区画データに基づいて前記伏図を生成する伏図生成手段とが備えらえた
伏図作成支援装置。
【請求項2】
前記区画線で囲われた区画が所定の確定条件を満足しない場合、前記区画線で囲われた前記区画の区画分けを前記候補線抽出手段及び前記絞込み手段に行わせ、前記区画線で囲われた前記区画が前記確定条件を満足する場合、前記区画線で囲われた前記区画の区画分けを完了する完了判定手段が備えられた
請求項1に記載の伏図作成支援装置。
【請求項3】
前記確定条件は、
前記区画線で囲われた前記区画の大きさが所定の大きさ以下である
請求項2に記載の伏図作成支援装置。
【請求項4】
前記外形線生成手段を、2階建て以上の前記木造建物における各階の前記外形線を生成する構成とし、
前記外形線生成手段によって生成された前記外形線の一部が、直上階における前記外形線の内部、または直上の屋根の輪郭を示す屋根領域線の内部に位置する場合、前記外形線の一部を前記直上階の前記外形線または前記屋根領域線で置き換えた新しい外形線を生成する上層反映手段が備えられ、
前記伏図生成手段は、
2階以上に対応する前記伏図を直下階の前記区画データに基づいて生成する構成である
請求項1に記載の伏図作成支援装置。
【請求項5】
前記外形線生成手段を、2階建て以上の前記木造建物における各階の前記外形線を生成する構成とし、
前記外形線生成手段によって生成された前記外形線の内部に、直上階における前記外形線の一部が位置する場合、前記直上階における前記外形線の一部を前記外形線の内部を区画分けする前記区画線として決定する上階反映手段が備えられ、
前記伏図生成手段は、
2階以上に対応する前記伏図を直下階の前記区画データに基づいて生成する構成である
請求項1に記載の伏図作成支援装置。
【請求項6】
平面視略L字状の区画が前記外形線の内部にある場合、前記平面視略L字状の折れ点を通る前記外形線または前記区画線を、前記折れ点に対向する前記外形線または前記区画線まで延長した延長線を抽出する延長線抽出手段が備えられ、
前記絞込み手段は、
前記延長線を前記候補線として前記比較条件で比較する構成である
請求項1に記載の伏図作成支援装置。
【請求項7】
前記候補線抽出手段による前記候補線の抽出を除外する除外範囲を設定する除外設定手段が備えられた
請求項1に記載の伏図作成支援装置。
【請求項8】
前記情報取得手段は、
前記間取りデータから階段を示す階段情報及び吹抜けを示す吹抜け情報を取得する構成であり、
前記除外設定手段は、
前記階段情報及び前記吹抜け情報に基づいて前記除外範囲を設定する構成である
請求項7に記載の伏図作成支援装置。
【請求項9】
前記比較条件は、
最も優先順位の高い条件を条件(1)として、優先順位の高い順に条件(1)から条件(7)が予め設定され、
前記条件(1)は、前記候補線の端部に前記柱が位置する割合が高いほど上位とし、
条件(2)は、前記候補線上における固定された内壁が占める割合が高いほど上位とし、
条件(3)は、直上階がある場合、前記候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合が高いほど上位とし、
条件(4)は、直上階または直下階がある場合、前記候補線の両端に位置する柱が、直上階の柱または直下階の柱に一致する割合が高いほど上位とし、
条件(5)は、直上階または直下階がある場合、前記候補線上における固定された内壁が、直下階または直上階における固定された内壁に一致する割合が高いほど上位とし、
条件(6)は、前記区画線で囲われた区画の短辺に略平行である前記候補線を上位とし、
前記条件(7)は、前記区画線で囲われた区画の中心への近さが近い前記候補線を上位とする
請求項1に記載の伏図作成支援装置。
【請求項10】
木造建物における間取りを示す間取りデータに基づいた伏図の作成を支援する伏図作成支援プログラムであって、
前記間取りデータから少なくとも柱の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を取得する情報取得ステップと、
前記間取りの輪郭を示す外形線を前記外壁情報に基づいて生成する外形線生成ステップと、
前記外形線の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、前記柱の位置に基づいて抽出する候補線抽出ステップと、
優先順位の高い比較条件で前記候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い前記比較条件で前記最上位の候補線を比較し、前記最上位の候補線が1つの場合、1つの前記最上位の候補線を前記外形線の内部を区画分けする区画線として決定する絞込みステップと、
前記外形線の内部を前記区画線で区画分けした区画データに基づいて前記伏図を生成する伏図生成ステップとを実行する
伏図作成支援プログラム。
【請求項11】
木造建物における間取りを示す間取りデータに基づいた伏図の作成を支援する伏図作成支援方法であって、
前記間取りデータから少なくとも柱の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を情報取得手段が取得する情報取得工程と、
前記間取りの輪郭を示す外形線を、外形線生成手段が前記外壁情報に基づいて生成する外形線生成工程と、
前記外形線の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、前記柱の位置に基づいて候補線抽出手段が抽出する候補線抽出工程と、
絞込み手段が優先順位の高い比較条件で前記候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い前記比較条件で前記最上位の候補線を比較し、前記最上位の候補線が1つの場合、1つの前記最上位の候補線を前記外形線の内部を区画分けする区画線として決定する絞込み工程と、
前記外形線の内部を前記区画線で区画分けした区画データに基づいて伏図生成手段が前記伏図を生成する伏図生成工程とを行う
伏図作成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば木造建物における伏図の作成を支援するような伏図作成支援装置、伏図作成支援プログラム及び伏図作成支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、木造住宅などの木造建物は、間取りを示す間取りデータから作成した伏図を用いてプレカットした木材を、現場で組み付けて建築している。この木材のプレカットに用いる伏図は、例えば特許文献1のような伏図作成支援装置を用いて作成されている。
【0003】
より詳しくは、特許文献1の伏図作成支援装置は、間取りデータに基づいて各階の柱の位置を取得し、取得した柱の位置から木造建物の輪郭を示す外形線を生成している。
その後、特許文献1の伏図作成支援装置は、外形線の内部を区画分けする区画線を柱の位置に基づいて生成したのち、外形線及び区画線に基づいた伏図を生成している。
【0004】
ところで、特許文献1は、外形線の内部を区画分けする際、区画線の候補となる複数の候補線をそれぞれ複数の所定条件で評価して点数を付与し、より高得点な1つの候補線を区画線として決定している。
【0005】
そうすると、特許文献1は、複数の候補線から1つの区画線の決定に要する工程数が多くなり、かつこのような工程を全ての区画線の決定に適用するため、区画線を効率よく決定するうえで改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、外形線の内部を効率よく区画分けして伏図の作成を支援する伏図作成支援装置、伏図作成支援プログラム及び伏図作成支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、木造建物における間取りを示す間取りデータに基づいた伏図の作成を支援する伏図作成支援装置であって、前記間取りデータから少なくとも柱の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を取得する情報取得手段と、前記間取りの輪郭を示す外形線を前記外壁情報に基づいて生成する外形線生成手段と、前記外形線の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、前記柱の位置に基づいて抽出する候補線抽出手段と、優先順位の高い比較条件で前記候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い前記比較条件で前記最上位の候補線を比較し、前記最上位の候補線が1つの場合、1つの前記最上位の候補線を前記外形線の内部を区画分けする区画線として決定する絞込み手段と、前記外形線の内部を前記区画線で区画分けした区画データに基づいて前記伏図を生成する伏図生成手段とが備えらえたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、木造建物における間取りを示す間取りデータに基づいた伏図の作成を支援する伏図作成支援プログラムであって、前記間取りデータから少なくとも柱の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を取得する情報取得ステップと、前記間取りの輪郭を示す外形線を前記外壁情報に基づいて生成する外形線生成ステップと、前記外形線の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、前記柱の位置に基づいて抽出する候補線抽出ステップと、優先順位の高い比較条件で前記候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い前記比較条件で前記最上位の候補線を比較し、前記最上位の候補線が1つの場合、1つの前記最上位の候補線を前記外形線の内部を区画分けする区画線として決定する絞込みステップと、前記外形線の内部を前記区画線で区画分けした区画データに基づいて前記伏図を生成する伏図生成ステップとを実行することを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、木造建物における間取りを示す間取りデータに基づいた伏図の作成を支援する伏図作成支援方法であって、前記間取りデータから少なくとも柱の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を情報取得手段が取得する情報取得工程と、前記間取りの輪郭を示す外形線を、外形線生成手段が前記外壁情報に基づいて生成する外形線生成工程と、前記外形線の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、前記柱の位置に基づいて候補線抽出手段が抽出する候補線抽出工程と、絞込み手段が優先順位の高い比較条件で前記候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い前記比較条件で前記最上位の候補線を比較し、前記最上位の候補線が1つの場合、1つの前記最上位の候補線を前記外形線の内部を区画分けする区画線として決定する絞込み工程と、前記外形線の内部を前記区画線で区画分けした区画データに基づいて伏図生成手段が前記伏図を生成する伏図生成工程とを行うことを特徴とする。
【0011】
上記木造建物とは、木造住宅、木造店舗、木造の事業所や作業所、あるいは木造の倉庫などの平屋建てまたは2階建て以上の建物のことをいう。
上記外形線の内部とは、外形線で囲われた範囲の内側のことをいう。
【0012】
この発明によれば、区画線の決定に要する工程数を抑えられるため、外形線の内部を効率よく区画分けして伏図の作成を支援することができる。
具体的には、候補線抽出手段によって抽出された候補線により、外形線の内部が平面視略矩形の区画に区画分けされるため、伏図作成支援装置は、外形線の内部に構造的に安定する区画を形成することができる。
【0013】
このような候補線を絞込み手段が優先順位の高い比較条件で比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較するため、伏図作成支援装置は、優先順位の低い比較条件に変更するたびに比較する候補線の数を減らすことができる。
【0014】
これにより、伏図作成支援装置は、複数の候補線を全て評価して点数化する場合に比べて、複数の候補線から1つの区画線の決定に要する工程数を少なくすることができる。
例えば3つの候補線を5つの所定条件で点数化する場合、少なくとも15回の工程を経て1つの区画線を決定することになる。
【0015】
これに対して、伏図作成支援装置は、最も優先順位の高い比較条件で3つの候補線を比較して最上位の候補線を1つ得た場合、1回の工程で1つの区画線を決定することができる。
【0016】
したがって、伏図作成支援装置、伏図作成支援プログラム及び伏図作成支援方法は、区画線の決定に要する工程数を抑えられるため、外形線の内部を効率よく区画分けして伏図の作成を支援することができる。
【0017】
加えて、上述した区画線によって平面視略矩形に区画分けされた区画データが生成されるため、伏図作成支援装置、伏図作成支援プログラム及び伏図作成支援方法は、立方体形状の構造ユニットを連結した木造建物となるような伏図を生成することができる。このため、伏図作成支援装置、伏図作成支援プログラム及び伏図作成支援方法は、構造的に安定した木造建物の建築を容易にすることができる。
【0018】
この発明の態様として、前記区画線で囲われた区画が所定の確定条件を満足しない場合、前記区画線で囲われた前記区画の区画分けを前記候補線抽出手段及び前記絞込み手段に行わせ、前記区画線で囲われた前記区画が前記確定条件を満足する場合、前記区画線で囲われた前記区画の区画分けを完了する完了判定手段が備えられてもよい。
【0019】
この構成によれば、区画線で囲われた区画が過度に細かく区画分けされることを抑えられるため、梁部材が過剰に配置された伏図が生成されることを防止できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記確定条件は、前記区画線で囲われた前記区画の大きさが所定の大きさ以下であってもよい。
この構成によれば、区画線で囲われた区画が所望されない大きさで細かく区画分けされることを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記外形線生成手段を、2階建て以上の前記木造建物における各階の前記外形線を生成する構成とし、前記外形線生成手段によって生成された前記外形線の一部が、直上階における前記外形線の内部、または直上の屋根の輪郭を示す屋根領域線の内部に位置する場合、前記外形線の一部を前記直上階の前記外形線または前記屋根領域線で置き換えた新しい外形線を生成する上層反映手段が備えられ、前記伏図生成手段は、2階以上に対応する前記伏図を直下階の前記区画データに基づいて生成する構成であってもよい。
【0022】
この構成によれば、直上階の外形線または屋根の輪郭が反映された区画データに基づいて、2階以上に対応する伏図を生成するため、オーバーハング部や軒を支持する胴差や跳ね出し梁が配置された伏図の生成を容易にすることができる。
【0023】
これにより、伏図作成支援装置は、例えば利用者が伏図を修正してオーバーハング部や軒を支持する胴差や跳ね出し梁を追加することを不要にできるため、利用者の利便性を向上することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記外形線生成手段を、2階建て以上の前記木造建物における各階の前記外形線を生成する構成とし、前記外形線生成手段によって生成された前記外形線の内部に、直上階における前記外形線の一部が位置する場合、前記直上階における前記外形線の一部を前記外形線の内部を区画分けする前記区画線として決定する上階反映手段が備えられ、前記伏図生成手段は、2階以上に対応する前記伏図を直下階の前記区画データに基づいて生成する構成であってもよい。
【0025】
この構成によれば、直上階の外壁を加味した平面視略矩形の区画を外形線の内部に形成できるため、下階の床面積に対して上階の床面積が小さい場合であっても、直上階の外壁を支持する梁部材を反映した伏図を容易に生成することができる。
これにより、伏図作成支援装置は、利用者が伏図を修正して梁部材を追加することを不要にできるため、利用者の利便性を向上することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、平面視略L字状の区画が前記外形線の内部にある場合、前記平面視略L字状の折れ点を通る前記外形線または前記区画線を、前記折れ点に対向する前記外形線または前記区画線まで延長した延長線を抽出する延長線抽出手段が備えられ、前記絞込み手段は、前記延長線を前記候補線として前記比較条件で比較する構成であってもよい。
【0027】
この構成によれば、外形線の内部を平面視略L字状の区画ではなく、構造的に安定する平面視略矩形の区画に確実に区画分けすることができる。
この際、延長線を比較条件で比較して区画線を決定するため、伏図作成支援装置は、平面視略L字状の区画を効率よく区画分けすることができる。
加えて、伏図作成支援装置は、利用者が平面視略L字状の区画を区画分けする手間を省くことができるため、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記候補線抽出手段による前記候補線の抽出を除外する除外範囲を設定する除外設定手段が備えられてもよい。
上記除外設定手段は、間取りデータに基づいて自動的に除外範囲を設定する手段、あるいは利用者による操作を受け付けて除外範囲を設定する手段のことをいう。
【0029】
この構成によれば、例えば間取りデータにおける階段部分や吹抜け部分を跨いで候補線が抽出されることを防止できる。これにより、伏図作成支援装置は、階段部分や吹抜け部分に梁部材を配置した伏図が生成されることを防止できる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記情報取得手段は、前記間取りデータから階段を示す階段情報及び吹抜けを示す吹抜け情報を取得する構成であり、前記除外設定手段は、前記階段情報及び前記吹抜け情報に基づいて前記除外範囲を設定する構成であってもよい。
【0031】
この構成によれば、間取りデータに基づいて除外範囲を自動的に設定することができる。これにより、伏図作成支援装置は、利用者による除外範囲の設定を不要にできるため、利用者の利便性を向上することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記比較条件は、最も優先順位の高い条件を条件(1)として、優先順位の高い順に条件(1)から条件(7)が予め設定され、前記条件(1)は、前記候補線の端部に前記柱が位置する割合が高いほど上位とし、条件(2)は、前記候補線上における固定された内壁が占める割合が高いほど上位とし、条件(3)は、直上階がある場合、前記候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合が高いほど上位とし、条件(4)は、直上階または直下階がある場合、前記候補線の両端に位置する柱が、直上階の柱または直下階の柱に一致する割合が高いほど上位とし、条件(5)は、直上階または直下階がある場合、前記候補線上における固定された内壁が、直下階または直上階における固定された内壁に一致する割合が高いほど上位とし、条件(6)は、前記区画線で囲われた区画の短辺に略平行である前記候補線を上位とし、前記条件(7)は、前記区画線で囲われた区画の中心への近さが近い前記候補線を上位としてもよい。
【0033】
上記固定された内壁とは、間取りの内部に位置する建具、手摺り及び開口以外の壁部のことをいう。
この構成によれば、候補線抽出手段によって抽出された候補線を効率よく絞り込むことができる。
【0034】
さらに、候補線の両端に柱が位置する割合の高さを優先順位の上位としているため、伏図作成支援装置は、候補線で区切られた平面視略矩形の区画をより構造的に安定する区画にすることができる。
【0035】
加えて、次に優先順位の高い条件を、候補線上における内壁が占める割合の高さとしているため、伏図作成支援装置は、内壁の位置に優先的に区画線を配置した区画データを生成することができる。
【0036】
これにより、伏図作成支援装置は、内壁の位置に沿って梁部材を配置できるため、内壁の内部に柱や筋交いを後から容易に追加することができる。例えば区画線の一端に柱が位置しない場合であっても、伏図作成支援装置は、区画線の一端に対応する位置に対して柱を容易に追加することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、外形線の内部を効率よく区画分けして伏図の作成を支援する伏図作成支援装置、伏図作成支援プログラム及び伏図作成支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】伏図作成支援装置の内部構成を示すブロック図。
【
図3】伏図作成支援処理の処理動作を示すフローチャート。
【
図4】外形線生成処理の処理動作を示すフローチャート。
【
図7】上階反映処理の処理動作を示すフローチャート。
【
図9】L字区画解消処理の処理動作を示すフローチャート。
【
図10】区画線生成処理の処理動作を示すフローチャート。
【
図12】1階に対する外形線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図13】2階に対する外形線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図14】2階の外形線に屋根の輪郭を反映させた状態を説明する説明図。
【
図16】2階の外形線に対するL字区画解消処理の概略を説明する説明図。
【
図17】1階の外形線に対するL字区画解消処理の概略を説明する説明図。
【
図18】1階の外形線に対するL字区画解消処理の概略を説明する説明図。
【
図19】2階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図20】2階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図21】2階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図22】2階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図23】2階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図24】1階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図25】1階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図26】1階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図27】1階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図28】1階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図29】1階の外形線に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図。
【
図30】1階床の伏図データの生成過程を説明する説明図。
【
図31】2階床の伏図データの生成過程を説明する説明図。
【
図32】2階小屋の伏図データの生成過程を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の伏図作成支援装置1は、2階建て以上の木造住宅における伏図の作成を支援する装置である。このような伏図作成支援装置1について、
図1及び
図2を用いて説明する。
なお、
図1は伏図作成支援装置1の構成図を示し、
図2は伏図作成支援装置1のブロック図を示している。
【0040】
本実施形態の伏図作成支援装置1は、
図1に示すように、通信回線2を介してサーバー3と通信可能な端末であって、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピューターである。
【0041】
まず、サーバー3は、
図2に示すように、伏図作成支援装置1からの要求に対する応答情報として、伏図作成支援装置1に送信される建材データベース3aを記憶している。この建材データベース3aには、木材や金具などの木造建物の建築に必要な各種建材の情報が登録されている。
【0042】
一方、伏図作成支援装置1は、
図1及び
図2に示すように、各種情報を表示する表示部11と、利用者の操作を受け付ける操作受付部12と、外部機器との間で各種情報が入出力される入出力部13とを備えている。
【0043】
さらに、伏図作成支援装置1は、通信回線2に接続する回線接続部14と、各種情報を記憶する記憶部15と、各部の動作を制御する制御部16とを備えている。
具体的には、表示部11は、
図1に示すように、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、制御部16からの指示により、各種情報を表示する機能を有している。
【0044】
また、操作受付部12は、
図1に示すように、キーボード12a及びマウス12bで構成され、利用者による各種操作を受け付ける機能と、受け付けた操作を示す情報を制御部16に出力する機能とを有している。
【0045】
また、入出力部13は、例えばUSBなどのシリアルバスで構成され、外部機器が接続される機能と、外部機器との間で各種情報を授受する機能とを有している。なお、本実施形態の入出力部13には、
図2に示すように、外部機器としてプリンタ17が接続されている。
【0046】
また、回線接続部14は、例えば有線LANモジュールなどで構成され、通信回線2に接続する機能と、通信回線2を介して各種情報の受送信を行う機能とを有している。
また、記憶部15は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。
【0047】
この記憶部15には、
図2に示すように、伏図データの作成を支援する機能を実現する伏図作成支援プログラム18と、サーバー3から取得した建材データベース19と、木造住宅ごとに設定登録されたプロジェクトデータ20とが記憶されている。
【0048】
詳述すると、プロジェクトデータ20には、プロジェクト名、木造住宅の建築主、土地の所在地、土地の形状や大きさなど木造住宅の建築に関する各種情報が関連付けて登録されている。
【0049】
さらに、プロジェクトデータ20には、
図2に示すように、木造住宅の意匠を三次元モデルデータで示す意匠データ21と、意匠データ21から生成された間取りデータ22と、間取りデータ22から生成された各階の区画データ23及び各階層の伏図データ24が関連付けて登録されている。
【0050】
間取りデータ22は、木造住宅における間取りを示すデータであって、各階ごとに生成されている。この間取りデータ22は、柱の属性が付与されたパーツデータ、固定された内壁の属性が付与されたパーツデータ、建具の属性が付与されたパーツデータ、ポーチの属性が付与されたパーツデータ、及びベランダの属性が付与されたパーツデータなどが、所望されるレイアウトに配置されたデータである。
【0051】
また、区画データ23は、間取りデータ22に基づいて各階を区画分けしたデータであって、間取りデータ22から伏図データ24を作成する過程で生成されている。
また、伏図データ24は、区画データ23から生成される伏図を示すデータであって、各層ごとに関連付けて生成されている。
【0052】
この伏図データ24のうち、1階床の伏図データ24が1階の区画データ23に基づいて生成されている。
さらに、2階以上における床の伏図データ24が直下階の区画データ23に基づいて生成され、最上階における小屋の伏図データ24が最上階の区画データ23に基づいて生成されている。
【0053】
また、制御部16は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
この制御部16は、表示部11、操作受付部12、入出力部13、回線接続部14、及び記憶部15との間における各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0054】
次に、上述した伏図作成支援装置1において、伏図作成支援プログラム18を実行した際の伏図作成支援処理の動作について、
図3から
図10を用いて説明する。
なお、
図3は伏図作成支援処理のフローチャートを示し、
図4は外形線生成処理のフローチャートを示し、
図5及び
図6は外形線生成処理の概略を説明する説明図を示している。
【0055】
さらに、
図7は上階反映処理のフローチャートを示し、
図8は上階反映処理の概略を説明する説明図を示し、
図9はL字区画解消処理のフローチャートを示し、
図10は区画線生成処理のフローチャートを示している。
【0056】
利用者が操作受付部12を操作して、伏図作成支援プログラム18を実行する操作を行うと、伏図作成支援装置1の制御部16は、
図3に示すように、伏図作成支援プログラム18を実行して、メニュー画面(図示省略)を表示部11に表示させる(ステップS101)。
【0057】
このメニュー画面には、プロジェクト名を選択入力する入力欄、プロジェクト名に対応する意匠データ21及び間取りデータ22を読み出すためのボタン、伏図の作成を開始するためのボタン、伏図データ24を読み出すためのボタンなどが表示されている。
【0058】
利用者がメニュー画面の案内にしたがって、プロジェクト名を選択入力するとともに、伏図の作成を開始するボタンを押下すると、制御部16は、
図3に示すように、プロジェクト名に対応するプロジェクトデータ20から間取りデータ22を読み込む(ステップS102)。
【0059】
この際、制御部16は、XY座標平面における相対位置を維持しながら、各階の間取りデータ22を読み込む。
さらに、制御部16は、柱の属性が付与されたパーツデータを柱情報として間取りデータ22から取得するとともに、外壁の属性が付与されたバーツデータを外壁情報として間取りデータ22から取得する。
【0060】
そして、制御部16は、柱情報が示す柱の位置に基づいて、X軸方向に所定間隔を隔てた座標位置と、Y軸方向に所定間隔を隔てた座標位置とが付与されたXY座標平面上に柱をプロットしたデータを生成する。
なお、X軸方向の所定間隔とY軸方向の所定間隔とは略同じ間隔とする。
【0061】
その後、制御部16は、
図3に示すように、間取りデータ22から取得した外壁情報に基づいて、平面視における各階の輪郭を示す外形線を生成する外形線生成処理を開始する(ステップS103)。
【0062】
具体的には、外形線生成処理を開始すると、制御部16は、
図4に示すように、外壁情報が示す外壁の位置や形状に基づいて各階の輪郭を抽出するとともに、輪郭に沿った閉じた線形である外形線を各階ごとに生成して、柱をプロットしたXY座標平面に配置する(ステップS111)。
【0063】
その後、制御部16は、玄関がある階の外形線に上層の輪郭を重ね合わせた際、玄関前の直上に上層の輪郭が位置するか否かを判定する(ステップS112)。
なお、上層の輪郭としては、直上階の輪郭、ポーチの屋根を示す輪郭などとする。
【0064】
玄関前の直上に上層の輪郭が位置しない場合(ステップS112:No)、制御部16は、
図4に示すように、処理をステップS114に進める。
一方、玄関前の直上に上層の輪郭が位置する場合(ステップS112:Yes)、制御部16は、玄関のある階の外形線に上層の輪郭を反映させた新しい外形線を生成する(ステップS113)。
【0065】
より詳しくは、制御部16は、
図5に示すように、玄関のある階の外形線のうち、太い破線で図示した外形線の一部を、上層の外形線(図中の細い破線)に置き換えて新しい外形線(図中の太い実線)を生成する。
【0066】
上述したステップS111からステップS113の処理を行うと、制御部16は、
図4に示すように、ベランダの属性が付与されたパーツデータの直上に屋根の輪郭を示す屋根領域線が位置するか否かを判定する(ステップS114)。
ベランダの属性が付与されたパーツデータの直上に屋根領域線が位置しない場合(ステップS114:No)、制御部16は、処理をステップS116に進める。
【0067】
一方、ベランダの属性が付与されたパーツデータの直上に屋根領域線が位置する場合(ステップS114:Yes)、制御部16は、
図4に示すように、ベランダのある階の外形線に屋根領域線を反映させた新しい外形線を生成する(ステップS115)。
【0068】
例えば
図6(a)に示すように、図中の細い破線で図示した屋根領域線RLがベランダの輪郭に沿って位置する場合、制御部16は、ベランダのある階の外形線のうち、太い破線で図示した外形線の一部を、屋根の輪郭を示す屋根領域線RLに置き換えて新しい外形線(図中の太い実線)を生成する。
【0069】
あるいは
図6(b)に示すように、屋根領域線RLがベランダの一部を覆う場合、制御部16は、ベランダのある階の外形線のうち、太い破線で図示した外形線の一部を、ベランダの一部を覆う屋根の輪郭を示す屋根領域線RLに置き換えて新しい外形線(図中の太い実線)を生成する。
【0070】
ステップS114及びステップS115の処理が完了すると、制御部16は、
図4に示すように、全ての階の外形線に対して、上述したステップS111からステップS115の処理を行ったか否かを判定する(ステップS116)。
【0071】
全ての外形線に対する処理が完了していない場合(ステップS116:No)、制御部16は、処理をステップS112に戻して、全ての外形線に対する処理が完了するまで、ステップS112からステップS116までの処理を繰り返す。
【0072】
一方、全ての外形線に対する処理が完了した場合(ステップS116:Yes)、制御部16は、
図4に示すように、各階の外形線を一時記憶したのち、外形線生成処理を終了して、処理を
図3のステップS104に進める。
図3に戻って外形線生成処理を終了すると、制御部16は、梁部材の配置を除外する除外範囲を、各階の間取りデータ22に基づいて設定する(ステップS104)。
【0073】
具体的には、制御部16は、階段の属性または/および吹抜けの属性が付与されたパーツデータを間取りデータ22から抽出し、階段の属性または/および吹抜けの属性が付与されたパーツデータに対応する範囲を除外範囲として、階段の属性または/および吹抜けの属性が付与されたパーツデータが位置する階または直下階の外形線の内部に設定する。
【0074】
例えば2建て木造住宅の場合、1階の階段や吹抜け部分を除外範囲として1階の外形線の内部に設定し、3階建て木造住宅の場合、1階の階段や吹抜け部分及び2階の階段や吹抜け部分を、除外範囲として2階の外形線の内部に設定する。
【0075】
除外範囲を設定すると、制御部16は、
図3に示すように、直上階の外形線を反映させる上階反映処理を開始する(ステップS105)。
具体的には、上階反映処理を開始すると、制御部16は、
図7に示すように、一時記憶した1階の外形線を読み出す(ステップS121)。
【0076】
その後、制御部16は、一時記憶した当該階の外形線に直上階の外形線を重ね合わせた際、当該階における外形線の一部が直上階の外形線の内部に位置するか否かを判定する(ステップS122)。
【0077】
当該階の外形線の一部が直上階の外形線の内部に位置しない場合(ステップS122:No)、制御部16は、処理をステップS124に進める。
一方、当該階の外形線の一部が直上階の外形線の内部に位置する場合(ステップS122:Yes)、制御部16は、当該階の外形線の一部を直上階の外形線に置き換えて新しい当該階の外形線を生成する(ステップS123)。
【0078】
例えば
図8(a)に示すように、太い実線で図示した1階の外形線31Aと細い実線で図示した2階の外形線32とが一致しない場合、1階の外形線31Aに2階の外形線32を重ね合わせると、太い破線で図示した1階の外形線31Aの一部31a(
図8(b)参照)が、2階の外形線32の内部に位置することになる。
【0079】
この場合、制御部16は、
図8(b)に示すように、1階の外形線31Aの一部31aで囲われた2階の外形線32の一部で、1階の外形線31Aの一部を置き換えて新しい1階の外形線31B(図中の太い実線)を生成する。
【0080】
その後、制御部16は、
図7に示すように、当該階の外形線に直上階の外形線を重ね合わせた際、当該階の外形線の内部が直上階の外形線の一部によって区切られるか否かを判定する(ステップS124)。
当該階の外形線の内部が直上階の外形線の一部によって区切られない場合(ステップS124:No)、制御部16は、処理をステップS126に進める。
【0081】
一方、当該階の外形線の内部が直上階の外形線の一部によって区切られる場合(ステップS124:Yes)、制御部16は、直上階の外形線の一部を、当該階の外形線の内部を区画分けする区画線として決定する(ステップS125)。
【0082】
例えば
図8(b)に示すように、1階の外形線31Aに2階の外形線32を重ね合わせた際、1階の外形線31Aの内部が、2階の外形線32の一部によって区切られる場合、制御部16は、2階の外形線32の一部を区画線33,34(図中の細い実線)として決定する。
【0083】
図7のステップS121からステップS125の処理を行うと、制御部16は、当該階が最上階から数えて1つ下の階か否かを判定する(ステップS126)。例えば制御部16は、2階建て木造住宅の場合、現在処理している階が1階か否かを判定し、3階建て木造住宅の場合、現在処理している階が2階か否かを判定する。
【0084】
当該階が最上階から数えて1つの下の階でない場合(ステップS126:No)、制御部16は、当該階の直上に位置する直上階の外形線を読み出したのち(ステップS127)、直上階の外形線に対して上述したステップS122からステップS126の処理を行う。
【0085】
一方、当該階が最上階から数えて1つの下の階の場合(ステップS126:Yes)、制御部16は、直上階の上層が屋根となるため、上階反映処理を終了して、処理を
図3のステップS106に進める。
【0086】
図3に戻って上階反映処理を終了すると、制御部16は、
図3に示すように、入隅部または/および出隅部(以下、隅部と呼ぶ)を折れ点とした平面視略L字状の区画が外形線の内部にあるか否かを各階ごとに判定する(ステップS106)。
【0087】
なお、入隅部及び出隅部は、外形線同士の交差による隅部、または区画線同士の交差による隅部とする。
平面視略L字状の区画がない場合(ステップS106:No)、制御部16は、処理をステップS108に進める。
【0088】
一方、平面視略L字状の区画がある場合(ステップS106:Yes)、制御部16は、隅部と柱情報とに基づいて、平面視略L字状の区画を平面視略矩形の区画に区画分けするL字区画解消処理を開始する(ステップS107)。
【0089】
具体的には、L字区画解消処理を開始すると、制御部16は、
図9に示すように、隅部に柱がある、または/および隅部に対向する柱があるか否かを判定する(ステップS131)。
この際、制御部16は、隅部を通る外形線または区画線を延長した延長線と、隅部に対向する外形線または区画線との交点に位置する柱を隅部に対向する柱として判定する。
【0090】
隅部に柱がなく、かつ隅部に対向する柱もない場合(ステップS131:No)、制御部16は、L字区画解消処理を終了して処理を
図3のステップS108に進める。
【0091】
一方、隅部に柱がある、または/および隅部に対向する柱がある場合(ステップS131:Yes)、制御部16は、隅部を通る外形線または区画線を隅部に対向する外形線または区画線まで延長した延長線を、外形線の内部を区画分けする候補線として抽出する(ステップS132)。
【0092】
例えば
図8(b)に示すように、区画線33の入隅部に柱35が位置し、柱35に対してX軸方向(図中の矢印X)で対向する柱36が外形線31B上に位置している場合、制御部16は、柱35と柱36とを結ぶ線を外形線31Bの内部を区画分けする候補線37として抽出する。
【0093】
さらに、
図8(b)に示すように、柱35に対してY軸方向(図中の矢印Y)で対向する柱38が区画線34上に位置している場合、制御部16は、柱35と柱38とを結ぶ線を外形線31Bの内部を区画分けする候補線39として抽出する。
【0094】
候補線37,39を抽出すると、制御部16は、優先順位が付与された比較条件のうち、最も優先順位の高い比較条件で候補線を比較する(ステップS133)。
ここで、比較条件は、最も優先順位の高い条件を条件(1)として、優先順位の高い順に条件(1)から条件(7)が予め設定されている。
【0095】
具体的には、建具、手摺り及び開口を除く壁部を固定された内壁として、条件(1)が、候補線の端部に柱が位置する割合の高さで比較する。
条件(2)が、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さで比較する。
条件(3)が、直上階がある場合、候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合の高さで比較する。
条件(4)が、直上階または直下階がある場合、候補線の両端に位置する柱が、直上階の柱または直下階の柱に一致する割合の高さで比較する。
条件(5)が、直上階または直下階がある場合、候補線上における固定された内壁が、直下階または直上階における固定された内壁に一致する割合の高さで比較する。
条件(6)が、区画線で囲われた区画の短辺に略平行であるかで比較する。
条件(7)が、区画線で囲われた区画の中心への近さで比較する。
【0096】
なお、条件(1)から条件(7)のうち、条件(1)から条件(5)は、割合が高いほど上位とし、条件(6)は短辺に略平行な候補線を上位とし、条件(7)は中心に近いほど上位とする。
【0097】
また、条件(2)、条件(3)及び条件(5)における割合は、X軸方向の座標位置またはY軸方向の座標位置で候補線、及び内壁の属性が付与されたパーツデータをそれぞれ分割した際、候補線の分割数に対してパーツデータの分割数が占める割合とする。
【0098】
図9のステップS133において、最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、制御部16は、最上位の候補線が1つか否かを判定する(ステップS134)。
【0099】
最上位の候補線が2つ以上の場合(ステップS134:No)、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較したのち(ステップS135)、処理をステップS134に戻して最上位の候補線が1つか否かを判定する。
一方、最上位の候補線が1つの場合(ステップS134:Yes)、制御部16は、最上位の候補線を外形線の内部を区画分けする区画線として決定する(ステップS136)。
【0100】
より詳しくは、例えば
図8(b)に示すように、上述した条件(1)で候補線37,39を比較した場合、候補線37の両端に柱35及び柱36が位置し、候補線39の両端に柱35及び柱38が位置するため、候補線の端部に柱が位置する割合の高さがともに100%となる。
【0101】
このため、候補線37と候補線39とを次に優先順位の高い上述した条件(2)で比較する。この際、柱35と柱36とを結ぶ候補線37上における内壁が占める割合が、柱35と柱38とを結ぶ候補線39よりも高い場合、柱35と柱36とを結ぶ候補線37を区画線として決定する。
【0102】
その後、制御部16は、全ての隅部に対して上述のステップS132からステップS136の処理を行ったか否かを判定する(ステップS137)。
全ての隅部に対する処理が完了していない場合(ステップS137:No)、制御部16は、処理をステップS132に戻して、全ての隅部に対する処理が完了するまで、ステップS132からステップS137を繰り返す。
【0103】
一方、全ての隅部に対する処理が完了した場合(ステップS137:Yes)、制御部16は、外形線に区画線を関連付けて一時記憶したのち、L字区画解消処理を終了して処理を
図3のステップS108に進める。
【0104】
図3に戻ってL字区画解消処理を終了すると、制御部16は、外形線の内部を区画分けするための区画線を柱情報に基づいて決定する区画線生成処理を開始する(ステップS108)。
具体的には、区画線生成処理を開始すると、制御部16は、
図10に示すように、各階の柱情報に基づいて、外形線の内部を区画分けする区画線の候補である候補線を抽出する(ステップS141)。
【0105】
この際、制御部16は、外形線に対して略平行に対向配置された柱のうち、外形線上に位置する柱同士を結ぶ線、外形線上の柱と区画線上の柱とを結ぶ線、あるいは区画線上の柱同士を結ぶ線を候補線として抽出する。
【0106】
さらに、制御部16は、外形線上または区画線上に位置する柱から、当該柱に対向する外形線または区画線に至る直線を候補線として抽出する。この候補線となる直線は、当該柱が位置する外形線または区画線に直交する線、または当該柱に対向する外形線または区画線に直交する線とする。
これにより、外形線で囲われた区画または区画線で区切られた区画が、候補線によって平面視略矩形の区画に区切られる。
【0107】
その後、制御部16は、優先順位が付与された比較条件のうち、最も優先順位の高い比較条件で候補線を比較する(ステップS142)。
この際、比較条件は、上述したL字区画解消処理のステップS133における比較条件と同じであって、最も優先順位の高い条件を条件(1)として、優先順位の高い順に条件(1)から条件(7)が予め設定されている。
【0108】
具体的には、条件(1)が、候補線の端部に柱が位置する割合の高さで比較する。
条件(2)が、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さで比較する。
条件(3)が、直上階がある場合、候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合の高さで比較する。
条件(4)が、直上階または直下階がある場合、候補線の両端に位置する柱が、直上階の柱または直下階の柱に一致する割合の高さで比較する。
条件(5)が、直上階または直下階がある場合、候補線上における固定された内壁が、直下階または直上階における固定された内壁に一致する割合の高さで比較する。
条件(6)が、区画線で囲われた区画の短辺に略平行であるかで比較する。
条件(7)が、区画線で囲われた区画の中心への近さで比較する。
【0109】
なお、条件(1)から条件(7)のうち、条件(1)から条件(5)は、割合が高いほど上位とし、条件(6)は短辺に略平行な候補線を上位とし、条件(7)は中心に近いほど上位とする。
【0110】
また、条件(2)、条件(3)及び条件(5)における割合は、X軸方向の座標位置またはY軸方向の座標位置で候補線、及び内壁の属性が付与されたパーツデータをそれぞれ分割した際、候補線の分割数に対してパーツデータの分割数が占める割合とする。
【0111】
図10のステップS142において、最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、制御部16は、最上位の候補線が1つか否かを判定する(ステップS143)。
【0112】
最上位の候補線が2つ以上の場合(ステップS143:No)、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較したのち(ステップS144)、処理をステップS143に戻して最上位の候補線が1つか否かを判定する。
【0113】
一方、最上位の候補線が1つの場合(ステップS143:Yes)、制御部16は、最上位の候補線を外形線の内部を区画分けする区画線として決定する(ステップS145)。
【0114】
区画線を決定すると、制御部16は、ステップS145で決定した区画線で区切られた2つの区画のうち、少なくとも一方が所定の確定条件を満足するか否かを判定する(ステップS146)。
【0115】
なお、本実施形態における確定条件は、区画線で区切られた区画を、X軸方向の座標位置及びY軸方向の座標位置で分割した際のマス目の数に基づいて設定されている。例えば確定条件は、区画線で区切られた区画における短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下である。
【0116】
区画線で区切られた区画が確定条件を満足しない場合(ステップS146:No)、制御部16は、処理をステップS141に戻して、区画線で区切られた区画が確定条件を満足するまで、ステップS141からステップS146の処理を繰り返す。
【0117】
一方、区画線で区切られた区画が確定条件を満足する場合(ステップS146:Yes)、制御部16は、確定条件を満足する区画を確定区画として決定する(ステップS147)。
その後、制御部16は、確定区画として確定していない未確定の区画があるか否かを判定する(ステップS148)。
【0118】
未確定の区画がある場合(ステップS148:No)、制御部16は、処理をステップS141に戻して、未確定の区画がなくなるまで、ステップS141からステップS148の処理を繰り返す。
【0119】
一方、未確定の区画がない場合(ステップS148:Yes)、制御部16は、外形線を区画線で区画分けした区画データ23を柱情報に関連付けて記憶部15に記憶するとともに、区画線生成処理を終了して、処理を
図3のステップS109に進める。
図3に戻って区画線生成処理を終了すると、制御部16は、全ての階の区画分けが完了したか否かを判定する(ステップS109)。
【0120】
全ての階の区画分けが完了していなければ(ステップS109:No)、制御部16は、処理をステップS108に戻して、全ての階の区画分けが完了するまで、ステップS108及びステップS109の処理を繰り返す。
一方、全ての階の区画分けが完了した場合(ステップS109:Yes)、制御部16は、区画データ23に基づいて各階の伏図データ24を生成する(ステップS110)。
【0121】
具体的には、制御部16は、建材データベース19を参照しながら、区画データ23の柱情報に基づいて柱を配置するとともに、外形線上及び区画線上に大梁を配置した図面データを生成する。さらに、制御部16は、大梁に橋架する小梁や、梁同士を連結する火打ち梁を配置して伏図データ24を生成する。
【0122】
この際、制御部16は、1階床の伏図データ24及び2階床の伏図データ24を1階の区画データ23に基づいて生成し、2階と屋根との間となる2階小屋の伏図データ24を2階の区画データ23に基づいて生成する。
その後、制御部16は、生成した伏図データ24を記憶部15に記憶したのち、全ての処理を終了する。
【0123】
引き続き、2階建て木造住宅を間取りデータ22の一例として、上述の
図3におけるステップS102からステップS110に至る過程について、
図11から
図32を用いてさらに詳述する。
【0124】
なお、
図11は間取りデータ22の一例を説明する説明図を示し、
図12は1階に対する外形線生成処理の概略を説明する説明図を示し、
図13は2階に対する外形線生成処理の概略を説明する説明図を示し、
図14は2階の外形線82に屋根の輪郭を反映させた状態を説明する説明図を示している。
【0125】
さらに、
図15は除外範囲の概略を説明する説明図を示し、
図16は2階の外形線82に対するL字区画解消処理の概略を説明する説明図を示し、
図17及び
図18は1階の外形線52に対するL字区画解消処理の概略を説明する説明図を示している。
【0126】
加えて、
図19から
図23は2階の外形線82に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図を示し、
図24から
図29は、1階の外形線52に対する区画線生成処理の概略を説明する説明図を示している。
【0127】
そして、
図30は1階床の伏図データ24の生成過程を説明する説明図を示し、
図31は2階床の伏図データ24の生成過程を説明する説明図を示し、
図32は2階小屋の伏図データ24の生成過程を説明する説明図を示している。
【0128】
また、
図12から
図29において、図中の(a)は区画データ23の生成過程の説明図を示し、図中の(b)は区画データ23の生成過程の要部を間取りデータ22に重ね合わせた説明図を示している。
【0129】
ここで、間取りデータ22の一例は、
図11に示すように、間取りが4LDKの2階建て木造住宅とする。この間取りデータ22のうち、1階の間取りデータ22Aは、台所や居間及び和室が設けられた構成であり、2階の間取りデータ22Bは、ベランダ及び3つの洋室が設けられた構成である。なお、2階の間取りデータ22Bにおける二点鎖線は、2階を覆う屋根の輪郭を示す屋根領域線RLを示している。
【0130】
まず、伏図作成支援処理を開始して、伏図の作成を開始するボタンの押下を受け付けると、
図3のステップS102において、制御部16は、柱の属性が付与された柱情報及び外壁の属性が付与された外壁情報を、1階の間取りデータ22A及び2階の間取りデータ22Bから抽出する。
【0131】
その後、制御部16は、
図12(a)に示すように、1階の柱情報が示す柱の位置に基づいて、1階の柱51をXY座標平面にプロットする。
同様に、制御部16は、
図13(a)に示すように、2階の柱情報が示す柱の位置に基づいて、2階の柱81をXY座標平面にプロットする。
【0132】
なお、XY座標平面は、矢印Xで図示したX軸方向に所定間隔を隔てた座標位置(X座標X1からX座標X10)と、矢印Yで図示したY軸方向に所定間隔を隔てた座標位置(Y座標Y1からY座標Y11)とが予め付与されている。
【0133】
その後、外形線生成処理を開始すると、
図4のステップS111において、制御部16は、
図12(a)中及び
図13(a)中の太い実線で示すように、外壁情報に基づいて抽出した1階の輪郭を示す外形線52、及び2階の輪郭を示す外形線82を生成する。
【0134】
さらに、1階の間取りデータ22Aの玄関前に上層の輪郭が位置しないため、制御部16は、
図4のステップS112:NoからステップS114に移行して、ベランダの直上に屋根があるか否かを判定する。
【0135】
2階の間取りデータ22Bによれば、ベランダ全体を覆うように屋根の輪郭を示す屋根領域線RLが位置しているため、制御部16は、
図4のステップS114:YesからステップS115に移行する。
【0136】
そして、ステップS115において、制御部16は、
図13(a)及び
図14(a)に示すように、X座標X6とY座標Y2との交点に位置する柱81から、X座標X6とY座標Y3との交点に位置する柱81を通って、X座標X10とY座標Y3との交点に位置する柱81に至る外形線82の一部82aを、細い破線で図示した屋根領域線RLに置き換えて新しい2階の外形線82を生成する。
【0137】
その後、外形線生成処理を終了すると、
図3のステップS104において、制御部16は、
図15(a)に示すように、1階の間取りデータ22Aにおける階段の属性が付与された範囲を除外範囲Sとして設定したのち、ステップS105の上階反映処理を開始する。
【0138】
上階反映処理を開始した制御部16は、1階の外形線52の一部が2階の外形線82の内部に位置しないため、
図7のステップS122:NoからステップS124に移行して、1階の外形線52の内部が2階の外形線で区切られるかを判定する。
【0139】
ここで、
図13及び
図15(a)によれば、1階の外形線52の内部が、X座標X3とY座標Y5との交点に位置する柱51と、X座標X3とY座標Y11との交点に位置する柱51とを結ぶように、Y軸方向に延びる2階の外形線82の一部82bによって区切られている。
【0140】
このため、
図7のステップS125に移行した制御部16は、
図15(a)に示すように、X座標X3とY座標Y5との交点に位置する柱51と、X座標X3とY座標Y11との交点に位置する柱51とを結ぶ2階の外形線82の一部82bを、1階の外形線52の内部を区切る区画線として確定する。
【0141】
その後、ステップS126において、制御部16は、当該階が2階建て木造住宅における1階のため、上階反映処理を終了して
図3のステップS106に処理を進めて、平面視略L字状の区画があるかを判定する。
【0142】
この際、2階の外形線82は、
図16(a)に示すように、X座標X6とY座標Y2との交点に位置する柱81を折れ点する平面視略L字状をなしている。このため、制御部16は、X座標X6とY座標Y2との交点部分を隅部として、ステップS107のL字区画解消処理を開始する。
【0143】
ここで、
図16(a)によれば、X座標X3上をY軸方向に延びる外形線82には隅部の柱81にX軸方向で対向する柱がなく、Y座標Y11上をX軸方向に延びる外形線82には隅部の柱81にY軸方向で対向する柱81が存在している。
【0144】
このため、
図9のステップS131:YesからステップS132に移行した制御部16は、隅部の柱81を通るY座標Y2上の外形線82を、隅部に対向するX座標X3上の外形線82まで延長した延長線を候補線(図示省略)として抽出する。
さらに、制御部16は、隅部の柱81を通るX座標X6上の外形線82を、隅部に対向するY座標Y11上の外形線82まで延長した延長線を候補線83として抽出する。
【0145】
その後、制御部16は、ステップS133において、比較条件における最も優先順位の高い条件(1)で2つの候補線を比較する。
ここで、上述したように、隅部の柱81を通るY座標Y2上の外形線82を、隅部に対向するX座標X3上の外形線82まで延長した候補線の先端には、柱81が存在しない。
【0146】
一方、隅部の柱81を通るX座標X6上の外形線82を、隅部に対向するY座標Y11上の外形線82まで延長した候補線83の先端には柱81が存在している。
ゆえに、ステップS134において、条件(1)での最上位の候補線が候補線83だけとなるため、制御部16は、ステップS136において候補線83を区画線として決定する。
【0147】
また、1階の外形線52には、
図17(a)に示すように、X座標X6とY座標Y2との交点に位置する柱51を折れ点する平面視略L字状の区画が形成されている。このため、制御部16は、X座標X6とY座標Y2との交点部分を隅部として、ステップS107のL字区画解消処理を開始する。
【0148】
ここで、
図17(a)によれば、X座標X3上をY軸方向に延びる外形線52には隅部の柱51にX軸方向で対向する柱51が存在し、Y座標Y11上をX軸方向に延びる外形線52には隅部の柱51にY軸方向で対向する柱51が存在している。
【0149】
このため、ステップS132において、制御部16は、
図17(a)に示すように、X座標X6とY座標Y2との交点に位置する柱51と、X座標X3とY座標Y2との交点に位置する柱51とを結ぶ直線を候補線53として抽出する。
【0150】
さらに、制御部16は、
図17(a)に示すように、X座標X6とY座標Y2との交点に位置する柱51と、X座標X6とY座標Y11との交点に位置する柱51とを結ぶ直線を候補線54として抽出する。
【0151】
その後、制御部16は、ステップS133において、比較条件における最も優先順位の高い条件(1)で候補線53,54を比較する。
ここで、条件(1)は、上述したように、候補線の端部に柱が位置する割合の高さである。
【0152】
一方、上述したように候補線53及び候補線54の両端にはそれぞれ柱51が存在するため、候補線の端部に柱が位置する割合が、候補線53及び候補線54ともに100%となる。
【0153】
そこで、制御部16は、ステップS135において、次に優先順位の高い条件(2)で候補線53,54を比較する。
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
【0154】
一方、
図17(b)によれば、X軸方向に延びる候補線53上には固定された内壁が存在しないため、候補線53上における固定された内壁が占める割合が0%となる。
【0155】
さらに、Y軸方向に延びる候補線54上には、
図17(b)に示すように、Y座標Y4とY座標Y6との間、及びY座標Y7とY座標Y9との間に固定された内壁が存在する。
【0156】
ここで、Y軸方向に延びる候補線54を、Y軸方向の座標位置(Y座標Y2からY座標Y11)で分割した分割数が9マスであり、固定された内壁をY軸方向の座標位置で分割した分割数が4マスであるため、候補線54上における固定された内壁が占める割合が、4マス/9マス×100=44%となる。
【0157】
このため、ステップS136において、制御部16は、
図18(a)に示すように、最上位の候補線54を区画線として決定したのち、L字区画解消処理を終了するとともに、処理を
図3のステップS108に進めて区画線生成処理を開始する。
【0158】
区画線生成処理を開始すると、
図10のステップS141において、制御部16は、
図19(a)に示すように、2階の外形線82の内部において、X座標X6上をY軸方向に延びる区画線(符号省略)で区切られた図中左側の区画を区画分けする候補線を抽出する。
【0159】
具体的には、
図19(a)に示すように、X座標X4とY座標Y1との交点に位置する柱81a、及びX座標X4とY座標Y11との交点に位置する柱81aとが、外形線82上に位置し、かつ外形線82に略平行なY軸方向で対向配置されている。
このため、制御部16は、X座標X4の位置において、Y軸方向で対向する一対の柱81aを結ぶ線を候補線84として決定する。
【0160】
さらに、
図19(a)に示すように、X座標X3とY座標Y3との交点に位置する柱81bが外形線82上に位置し、X座標X6とY座標Y3との交点に位置する柱81bが区画線上に位置し、かつ外形線82に略平行なX軸方向で対向配置されている。
このため、制御部16は、Y座標Y3の位置において、X軸方向で対向する一対の柱81bを結ぶ線を候補線85として決定する。
【0161】
同様にして、制御部16は、
図19(a)に示すように、Y座標Y5の位置において、X軸方向で対向する一対の柱81cを結ぶ線を候補線86とし、Y座標Y6の位置において、X軸方向で対向する一対の柱81dを結ぶ線を候補線87として決定する。
【0162】
さらに、制御部16は、
図19(a)に示すように、Y座標Y8の位置において、X軸方向で対向する一対の柱81eを結ぶ線を候補線88とし、Y座標Y9の位置において、X軸方向で対向する一対の柱81fを結ぶ線を候補線89として決定する。
【0163】
加えて、制御部16は、
図19(a)に示すように、X座標X3の位置をY軸方向に延びる外形線82上において、Y座標Y4に位置する柱81、Y座標Y7に位置する柱81、及びY座標Y10に位置する柱81と、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0164】
さらにまた、制御部16は、
図19(a)に示すように、X座標X6の位置をY軸方向に延びる外形線82上において、Y座標Y2に位置する柱81と、X座標X3の位置をY軸方向に延びる外形線82とをX軸方向に結ぶ直線を候補線(図示省略)として決定する。
【0165】
さらに、制御部16は、
図19(a)に示すように、Y座標Y11の位置をX軸方向に延びる外形線82上において、X座標X5に位置する柱81と、Y座標Y1の位置をX軸方向に延びる外形線82とをY軸方向に結ぶ直線を候補線(図示省略)として決定する。
【0166】
ここで、
図10のステップS142において、制御部16が最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、条件(1)が候補線の端部に柱が位置する割合の高さであるため、制御部16は、最上位の候補線を候補線84,85,86,87,88,89と決定する。
【0167】
その後、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(2)で候補線84,85,86,87,88,89を比較する。
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
【0168】
一方、
図19(b)によれば、Y軸方向に延びる候補線84上には、Y座標Y7とY座標Y9との間に階段手摺が存在し、Y座標Y5とY座標Y6との間、及びY座標Y10とY座標Y11との間に固定された内壁が存在する。
【0169】
さらに、Y軸方向に延びる候補線84を、Y軸方向の座標位置(Y座標Y1からY座標Y11)で分割した分割数が10マスであり、固定された内壁をY軸方向の座標位置で分割した分割数が2マスであるため、候補線84上における固定された内壁が占める割合が、2マス/10マス×100=20%となる。
【0170】
同様にして算出すると、候補線上における固定された内壁が占める割合は、候補線85上及び候補線86上が0%、候補線87上が2マス/3マス×100=67%、候補線88上が0%、候補線89上が2マス/3マス×100=67%となる。
【0171】
これにより、最上位の候補線が候補線87及び候補線89の2つとなるため、制御部16は、ステップS143:NoからステップS144に移行して、次に優先順位の高い比較条件である条件(3)で候補線87及び候補線89を比較する。
【0172】
この際、条件(3)が、直上階がある場合、候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合の高さであるのに対して、現在、2階の外形線を区画分けする候補線を抽出しているため、制御部16は、条件(3)をスキップして、条件(4)で候補線87及び候補線89を比較する。
【0173】
ここで、条件(4)は、上述したように直上階または直下階がある場合、候補線の両端に位置する柱が、直上階の柱または直下階の柱に一致する割合の高さである。
一方、
図12及び
図20(a)によれば、候補線87の両端に位置する柱81d,81dがともに1階の柱51に一致し、候補線89の両端に位置する柱81f,81fがともに1階の柱51に一致している。
【0174】
このため、条件(4)での比較結果が候補線87及び候補線89ともに一致率100%となる。
そこで、制御部16は、候補線87及び候補線89を最上位の候補線として、で次に優先順位の高い比較条件である条件(5)で候補線87及び候補線89を比較する。
【0175】
ここで、条件(5)は、上述したように直上階または直下階がある場合、候補線上における固定された内壁が、直下階または直上階における固定された内壁に一致する割合の高さである。
一方、
図20(b)によれば、Y座標Y6に位置する候補線87上には、X座標X4からX座標X6の間に内壁が存在し、その直下には1階の内壁が存在している(
図12(b)参照)。
【0176】
さらに、
図20(b)によれば、Y座標Y9に位置する候補線89上には、X座標X4からX座標X6の間に内壁が存在し、その直下には1階の内壁が存在している(
図12(b)参照)。
【0177】
このため、候補線上における固定された内壁が、直下階における固定された内壁に一致する割合の高さは、候補線87及び候補線89ともに100%となる。
そこで、制御部16は、候補線87及び候補線89を最上位の候補線として、次に優先順位の高い比較条件である条件(6)で候補線87及び候補線89を比較する。
【0178】
ここで、条件(6)は、上述したように、区画線で囲われた区画の短辺に略平行であるかである。
一方、
図20(a)によれば、候補線87及び候補線89が、X座標X6上をY軸方向に延びる区画線と外形線82とで囲われた区画の短辺(Y軸方向に延びる外形線82)に略平行となっている。
【0179】
これにより、最上位の候補線が候補線87及び候補線89の2つであるため、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(7)で候補線87及び候補線89を比較する。
ここで、条件(7)は、上述したように、区画線で囲われた区画の中心への近さである。
【0180】
一方、
図20(a)によれば、X座標X6上をY軸方向に延びる区画線と外形線82とで囲われた区画において、X軸方向の中心に対して候補線87及び候補線89が略同じ近さに位置し、Y軸方向の中心に対して候補線87が候補線89よりも近い位置に位置している。
このため、
図10のステップS145において、制御部16は、
図21(a)に示すように、候補線87を区画線として決定する。
【0181】
さらに、区画線(候補線87)によって新たに区切られた2つの区画の大きさが、いずれも短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下であるため、
図10のステップS147において、制御部16は、
図21(a)中の「×」印で示すように、区画線によって区切られた2つの区画を確定区画として決定する。
【0182】
図21(a)によれば2階の外形線82の内部には未確定の区画があるため、制御部16は、
図10のステップS148:NoからステップS141に処理を戻したのち、X座標X6の位置でY軸方向に延びる区画線で区切られた図中右側の区画に対して、未確定の区画がなくなるまで
図10のステップS141からステップS148の処理を行う。
【0183】
具体的には、
図10のステップS141において、制御部16は、
図21(a)に示すように、Y座標Y3の位置でX軸方向に対向する一対の柱81gを結ぶ線を候補線90とし、Y座標Y5の位置でX軸方向に対向する一対の柱81hを結ぶ線を候補線91として決定する。
【0184】
さらに、制御部16は、
図21(a)に示すように、Y座標Y6の位置でX軸方向に対向する一対の柱81iを結ぶ線を候補線92とし、Y座標Y8の位置でX軸方向に対向する一対の柱81jを結ぶ線を候補線93とし、Y座標Y9の位置でX軸方向に対向する一対の柱81kを結ぶ線を候補線94として決定する。
【0185】
加えて、制御部16は、
図21(a)に示すように、X座標X10の位置をY軸方向に延びる外形線82上において、Y座標Y7とY座標Y8との間に位置する柱81、及びY座標Y10に位置する柱81と、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0186】
さらにまた、制御部16は、
図21(a)に示すように、Y座標Y11の位置をX軸方向に延びる外形線82上において、X座標X7に位置する柱81及びX座標X9に位置する柱81と、Y座標Y2の位置をX軸方向に延びる外形線82とをY軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0187】
ここで、
図10のステップS142において、制御部16が最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、条件(1)が候補線の端部に柱が位置する割合の高さであるため、制御部16は、最上位の候補線を候補線90,91,92,93,94と決定する。
【0188】
その後、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(2)で候補線90,91,92,93,94を比較する。
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
【0189】
一方、
図21(b)によれば、候補線上における固定された内壁が占める割合は、候補線90上が2マス/4マス×100=50%、候補線91上が0%、候補線92上が1マス/4マス×100=25%、候補線93上が3マス/4マス×100=75%、候補線94上が0%となる。
これにより、最上位の候補線が候補線93の1つとなるため、
図10のステップS145において、制御部16は、候補線93を区画線として決定する。
【0190】
さらに、区画線(候補線93)によって新たに区切られたY座標Y8からY座標Y11の区画の大きさが、短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下のため、制御部16は、
図22(a)中の「×」印で示すように、区画線によって区切られた区画を確定区画として決定する。
【0191】
その後、制御部16は、区画線(候補線93)によって新たに区切られたY座標Y2からY座標Y8の区画に対して、未確定の区画がなくなるまで、
図10のステップS141からステップS148の処理を行う。
【0192】
具体的には、
図10のステップS141において、制御部16は、
図22(a)に示すように、Y座標Y3の位置でX軸方向に対向する一対の柱81gを結ぶ線を候補線90とし、Y座標Y5の位置でX軸方向に対向する一対の柱81hを結ぶ線を候補線91とし、Y座標Y6の位置でX軸方向に対向する一対の柱81iを結ぶ線を候補線92として決定する。
【0193】
さらにまた、制御部16は、
図22(a)に示すように、Y座標Y8の位置をX軸方向に延びる区画線(候補線93)上において、X座標X7に位置する柱81及びX座標X9に位置する柱81と、Y座標Y2の位置をX軸方向に延びる外形線82とをY軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0194】
加えて、制御部16は、
図22(a)に示すように、X座標X10の位置をY軸方向に延びる外形線82上において、Y座標Y7とY座標Y8との間に位置する柱81と、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線とをX軸方向に結ぶ直線を候補線(図示省略)として決定する。
【0195】
ここで、
図10のステップS142において、制御部16が最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、条件(1)が候補線の端部に柱が位置する割合の高さであるため、制御部16は、最上位の候補線を候補線90,91,92と決定する。
【0196】
その後、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(2)で候補線90,91,92を比較する。
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
【0197】
一方、
図22(b)によれば、候補線上における固定された内壁が占める割合は、候補線90上が2マス/4マス×100=50%、候補線91上が0%、候補線92上が1マス/4マス×100=25%となる。
これにより、最上位の候補線が候補線90の1つとなるため、
図10のステップS145において、制御部16は、候補線90を区画線として決定する。
【0198】
さらに、区画線(候補線90)によって新たに区切られた2つの区画の大きさが、それぞれ短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下のため、ステップS147において、制御部16は、
図23(a)中の「×」印で示すように、区画線によって区切られた区画を確定区画として決定する。
【0199】
これにより、2階の外形線82の内部に未確定の区画が存在しないため、制御部16は、外形線82の内部を区画線で区画分けした2階の区画データ23Bを記憶したのち、処理を
図3のステップS109に進める。
【0200】
この際、1階の区画分けが完了していないため、制御部16は、処理をステップS108に戻して、1階の外形線52に対する区画線生成処理を開始する。
なお、1階の外形線52に対する区画線生成処理は、上述した2階の外形線82に対する区画線生成処理と同じため、ここでは簡単に説明する。
【0201】
具体的には、区画線生成処理を開始すると、
図10のステップS141において、制御部16は、
図24(a)に示すように、Y座標Y6の位置でX軸方向に対向する一対の柱51aを結ぶ線を候補線55とし、Y座標Y8の位置でX軸方向に対向する一対の柱51bを結ぶ線を候補線56として決定する。
さらに、制御部16は、
図24(a)に示すように、Y座標Y9の位置でX軸方向に対向する一対の柱51cを結ぶ線を候補線57として決定する。
【0202】
加えて、制御部16は、
図24(a)に示すように、X座標X1の位置をY軸方向に延びる外形線52上において、Y座標Y6とY座標Y7との間に位置する柱51、及びY座標Y9とY座標Y10との間に位置する柱51と、X座標X3の位置をY軸方向に延びる区画線とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0203】
さらにまた、制御部16は、
図24(a)に示すように、X座標X3の位置をY軸方向に延びる区画線上において、Y座標Y10に位置する柱51、及びY座標Y10とY座標Y11との間に位置する柱51と、X座標X1の位置をY軸方向に延びる外形線52とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0204】
ここで、
図10のステップS142において、制御部16が最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、条件(1)が候補線の端部に柱が位置する割合の高さであるため、制御部16は、最上位の候補線を候補線55,56,57と決定する。
【0205】
その後、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(2)で候補線55,56,57を比較する。
【0206】
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
一方、
図24(b)によれば、候補線上における固定された内壁が占める割合は、候補線55上が0%、候補線56,57上が2マス/2マス×100=100%となる。
【0207】
これにより、最上位の候補線が候補線56及び候補線57の2つとなるため、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(3)で候補線56及び候補線57を比較する。
【0208】
この際、条件(3)が、直上階がある場合、候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合の高さであるのに対して、1階の当該区画の直上に2階が存在しないため、制御部16は、条件(3)をスキップして、条件(4)で候補線56及び候補線57を比較する。
ここで、条件(4)は、上述したように直上階または直下階がある場合、候補線の両端に位置する柱が、直上階の柱または直下階の柱に一致する割合の高さである。
【0209】
一方、
図13及び
図25(a)によれば、候補線56の両端に位置する柱51b,51bうち、X座標X3上に位置する柱51bが2階の柱81に一致し、候補線57の両端に位置する柱51c,51cのうち、X座標X3上に位置する柱51cが2階の柱81に一致している。
【0210】
このため、条件(4)での比較結果が候補線56及び候補線57ともに一致率50%となる。
そこで、制御部16は、候補線56及び候補線57を最上位の候補線として、で次に優先順位の高い比較条件である条件(5)で候補線56及び候補線57を比較する。
【0211】
ここで、条件(5)は、上述したように直上階または直下階がある場合、候補線上における固定された内壁が、直下階または直上階における固定された内壁に一致する割合の高さである。
一方、
図12及び
図13によれば、1階の当該区画の直上に2階が存在しないため、制御部16は、条件(5)をスキップして、次に優先順位の高い比較条件である条件(6)で候補線56及び候補線57を比較する。
【0212】
ここで、条件(6)は、上述したように、区画線で囲われた区画の短辺に略平行であるかである。
一方、
図25(a)によれば、候補線56及び候補線57が、X座標X3上をY軸方向に延びる区画線と外形線52とで囲われた区画の短辺(Y軸方向に延びる外形線52)に略平行となっている。
【0213】
これにより、最上位の候補線が候補線56及び候補線57の2つであるため、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(7)で候補線56及び候補線57を比較する。
ここで、条件(7)は、上述したように、区画線で囲われた区画の中心への近さである。
【0214】
一方、
図25(a)によれば、X座標X3上をY軸方向に延びる区画線と外形線52とで囲われた区画において、X軸方向の中心に対して候補線56及び候補線57が略同じ近さに位置し、Y軸方向の中心に対して候補線56が候補線57よりも近い位置に位置している。
このため、
図10のステップS145において、制御部16は、
図26(a)に示すように、候補線56を区画線として決定する。
【0215】
さらに、区画線(候補線56)によって新たに区切られた2つの区画の大きさが、いずれも短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下であるため、ステップS147において、制御部16は、
図26(a)中の「×」印で示すように、区画線によって区切られた2つの区画を確定区画として決定する。
【0216】
図26(a)によれば1階の外形線52の内部には未確定の区画があるため、制御部16は、
図10のステップS148:NoからステップS141に処理を戻したのち、X座標X6の位置でY軸方向に延びる区画線で区切られた図中左側の区画に対して、未確定の区画がなくなるまで
図10のステップS141からステップS148の処理を行う。
【0217】
具体的には、
図10のステップS141において、制御部16は、
図26(a)に示すように、X座標X4の位置でY軸方向に対向する一対の柱51dを結ぶ線を候補線58とし、Y座標Y2の位置でX軸方向に対向する一対の柱51eを結ぶ線を候補線59とし、Y座標Y4の位置でX軸方向に対向する一対の柱51fを結ぶ線を候補線60として決定する。
【0218】
さらに、制御部16は、
図26(a)に示すように、Y座標Y5の位置でX軸方向に対向する一対の柱51gを結ぶ線を候補線61とし、Y座標Y6の位置でX軸方向に対向する一対の柱51hを結ぶ線を候補線62とし、Y座標Y9の位置でX軸方向に対向する一対の柱51iを結ぶ線を候補線63として決定する。
【0219】
加えて、制御部16は、
図26(a)に示すように、X座標X3の位置をY軸方向に延びる区画線上において、Y座標Y10に位置する柱51、及びY座標Y10とY座標Y11との間に位置する柱51と、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0220】
さらにまた、制御部16は、
図26(a)に示すように、Y座標Y11の位置をX軸方向に延びる外形線52上において、X座標X5に位置する柱51と、Y座標Y1の位置をX軸方向に延びる外形線52とをY軸方向に結ぶ直線を候補線(図示省略)として決定する。
【0221】
ここで、
図10のステップS142において、制御部16が最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、条件(1)が候補線の端部に柱が位置する割合の高さであるため、制御部16は、最上位の候補線を候補線58,59,60,61,62,63と決定する。
【0222】
その後、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(2)で候補線58,59,60,61,62,63を比較する。
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
【0223】
一方、
図26(b)によれば、候補線上における固定された内壁が占める割合は、候補線58上が3マス/10マス×100=30%、候補線59、候補線60及び候補線61上が0%、候補線62上が3マス/3マス×100=100%、候補線63上が2マス/3マス×100=67%となる。
これにより、最上位の候補線が候補線62の1つとなるため、
図10のステップS145において、制御部16は、候補線62を区画線として決定する。
【0224】
さらに、区画線(候補線62)によって新たに区切られた2つの区画の大きさが、短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下のため、制御部16は、
図27(a)中の「×」印で示すように、区画線によって区切られた区画を確定区画として決定する。
【0225】
その後、制御部16は、X座標X6の位置でY軸方向に延びる区画線で区切られた図中右側の区画に対して、未確定の区画がなくなるまで
図10のステップS141からステップS148の処理を行う。
【0226】
具体的には、
図10のステップS141において、制御部16は、
図27(a)に示すように、X座標X7の位置でY軸方向に対向する一対の柱51jを結ぶ線を候補線64とし、X座標X9の位置でY軸方向に対向する一対の柱51kを結ぶ線を候補線65として決定する。
【0227】
さらに、制御部16は、
図27(a)に示すように、Y座標Y5の位置でX軸方向に対向する一対の柱51lを結ぶ線を候補線66とし、Y座標Y6の位置でX軸方向に対向する一対の柱51mを結ぶ線を候補線67とし、Y座標Y8とY座標Y9との間の位置でX軸方向に対向する一対の柱51nを結ぶ線を候補線68として決定する。
【0228】
加えて、制御部16は、
図27(a)に示すように、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線上において、Y座標Y4に位置する柱51、Y座標Y7に位置する柱51、Y座標Y8に位置する柱51及びY座標Y9に位置する柱51と、X座標X10の位置をY軸方向に延びる外形線52とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0229】
さらにまた、制御部16は、
図27(a)に示すように、X座標X10の位置をY軸方向に延びる外形線52上において、Y座標Y3に位置する柱51、Y座標Y9とY座標Y10の間に位置する柱51、及びY座標Y10に位置する柱51と、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0230】
さらに、制御部16は、
図27(a)に示すように、Y座標Y11の位置をX軸方向に延びる外形線52上において、X座標X8に位置する柱51と、Y座標Y2の位置をX軸方向に延びる外形線52とをY軸方向に結ぶ直線を候補線(図示省略)として決定する。
【0231】
ここで、
図10のステップS142において、制御部16が最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、条件(1)が候補線の端部に柱が位置する割合の高さであるため、制御部16は、最上位の候補線を候補線64,65,66,67,68と決定する。
【0232】
その後、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(2)で候補線64,65,66,67,68を比較する。
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
【0233】
一方、
図27(b)によれば、候補線上における固定された内壁が占める割合は、候補線64及び候補線65が0%、候補線66及び候補線67上が0%、候補線68上が3マス/4マス×100=75%となる。
これにより、最上位の候補線が候補線68の1つとなるため、
図10のステップS145において、制御部16は、候補線68を区画線として決定する。
【0234】
さらに、区画線(候補線68)によって新たに区切られた候補線68からY座標Y11の区画の大きさが、短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下のため、制御部16は、
図28(a)中の「×」印で示すように、区画線によって区切られた区画を確定区画として決定する。
【0235】
その後、制御部16は、
図10のステップS148:NoからステップS141に処理を戻したのち、Y座標Y1から区画線(候補線68)の間の区画に対して、未確定の区画がなくなるまで
図10のステップS141からステップS148の処理を行う。
【0236】
具体的には、
図10のステップS141において、制御部16は、
図28(a)に示すように、Y座標Y5の位置でX軸方向に対向する一対の柱51lを結ぶ線を候補線66とし、Y座標Y6の位置でX軸方向に対向する一対の柱51mを結ぶ線を候補線67として決定する。
【0237】
さらに、制御部16は、
図28(a)に示すように、X座標X7の位置でY軸方向に対向する柱51j及び柱51oを結ぶ線を候補線69とし、X座標X9の位置でY軸方向に対向する柱51k及び柱51pを結ぶ線を候補線70として決定する。
【0238】
加えて、制御部16は、
図28(a)に示すように、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線上において、Y座標Y4に位置する柱51、Y座標Y7に位置する柱51及びY座標Y8に位置する柱51と、X座標X10の位置をY軸方向に延びる外形線52とをX軸方向に結ぶ直線をそれぞれ候補線(図示省略)として決定する。
【0239】
さらにまた、制御部16は、
図28(a)に示すように、X座標X10の位置をY軸方向に延びる外形線52上において、Y座標Y3に位置する柱51と、X座標X6の位置をY軸方向に延びる区画線とをX軸方向に結ぶ直線を候補線(図示省略)として決定する。
【0240】
ここで、
図10のステップS142において、制御部16が最も優先順位の高い比較条件である条件(1)で候補線を比較すると、条件(1)が候補線の端部に柱が位置する割合の高さであるため、制御部16は、最上位の候補線を候補線66,67,69,70と決定する。
【0241】
その後、
図10のステップS144において、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(2)で候補線66,67,69,70を比較する。
ここで、条件(2)は、上述したように、候補線上における固定された内壁が占める割合の高さである。
【0242】
一方、
図28(b)によれば、候補線上における固定された内壁が占める割合は、候補線66及び候補線67上が0%、候補線69及び候補線70上が0%となる。
これにより、最上位の候補線が候補線66,67,69,70の4つとなるため、制御部16は、次に優先順位の高い比較条件である条件(3)で候補線66,67,69,70を比較する。
【0243】
ここで、条件(3)は、上述したように、直上階がある場合、候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合の高さである。
一方、
図13及び
図28(a)によれば、候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合の高さは、候補線66上が0%、候補線67上が1マス/4マス×100=25%、候補線69及び候補線70上が0%となる。
【0244】
これにより、最上位の候補線が候補線67の1つとなるため、制御部16は、
図10のステップS145において、候補線67を区画線として決定する。
さらに、区画線(候補線67)によって新たに区切られた2つの区画の大きさが、いずれも短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下であるため、
図10のステップS147において、制御部16は、
図29(a)中の「×」印で示すように、区画線によって区切られた2つの区画を確定区画として決定する。
【0245】
これにより、1階の外形線52の内部に未確定の区画が存在しないため、制御部16は、外形線52の内部を区画線で区画分けした1階の区画データ23Aを記憶したのち、ステップS110において、伏図データ24の生成を開始する。
【0246】
具体的には、制御部16は、1階の区画データ23Aに基づいて1階床の伏図データ24Aを生成し、1階の区画データ23Aに基づいて2階床の伏図データ24Bを生成し、2階の区画データ23Bに基づいて2階小屋の伏図データ24Cを生成する。
【0247】
より詳しくは、1階床の伏図データ24Aの生成を開始すると、制御部16は、
図30(a)に示すように、1階の区画データ23Aの柱情報に基づいて柱201(図中の丸印)を配置するとともに、外形線(符号省略)及び区画線(符号省略)に沿って土台202を配置する。
さらに、制御部16は、
図30(b)に示すように、土台202に橋架する大引203や、土台202同士を連結する火打ち土台204を配置して1階床の伏図データ24Aを生成する。
【0248】
同様に、2階床の伏図データ24Bの生成を開始すると、制御部16は、
図31(a)に示すように、1階の区画データ23Aの柱情報に基づいて柱211を配置するとともに、外形線(符号省略)及び区画線(符号省略)に沿って大梁212を配置する。
さらに、制御部16は、
図31(b)に示すように、大梁212に橋架する小梁213や、梁同士を連結する火打ち梁214を配置して2階床の伏図データ24Bを生成する。
【0249】
さらにまた、2階小屋の伏図データ24Cの生成を開始すると、制御部16は、
図32(a)に示すように、2階の区画データ23Bの柱情報に基づいて柱221を配置するとともに、外形線(符号省略)及び区画線(符号省略)に沿って大梁222を配置する。
さらに、制御部16は、
図32(b)に示すように、大梁222に橋架する小梁223や、梁同士を連結する火打ち梁224を配置して2階小屋の伏図データ24Cを生成する。
【0250】
このようにして、伏図作成支援装置1は、間取りデータ22に基づいて、各階の輪郭を示す外形線を抽出するとともに、外形線の内部を区画分けするための候補線を比較条件で比較して1つに絞り込むことで外形線の内部を区画分けしている。
【0251】
以上のように、本実施形態の伏図作成支援装置1は、少なくとも2階建て以上の木造住宅における各階の間取りを示す間取りデータ22に基づいた伏図データ24の作成を支援する装置である。
【0252】
この伏図作成支援装置1は、間取りデータ22から少なくとも柱51,81の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を取得する情報取得手段(制御部16)と、平面視における各階の輪郭を示す外形線52,82を外壁情報に基づいて生成する外形線生成手段(制御部16)とを備えている。
【0253】
さらに、伏図作成支援装置1は、外形線52,82の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、柱51,81の位置に基づいて抽出する候補線抽出手段(制御部16)を備えている。
【0254】
加えて、伏図作成支援装置1は、優先順位の高い比較条件で候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較し、最上位の候補線が1つの場合、1つの最上位の候補線を外形線52,82の内部を区画分けする区画線として決定する絞込み手段(制御部16)を備えている。
【0255】
そして、伏図作成支援装置1は、外形線52,82の内部を区画線で区画分けした区画データ23に基づいて伏図データ24を生成する伏図生成手段(制御部16)を備えている。
【0256】
また、本実施形態における伏図作成支援プログラム18は、間取りデータ22から少なくとも柱51,81の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を取得する情報取得ステップ(ステップS102)と、平面視における各階の輪郭を示す外形線52,82を外壁情報に基づいて生成する外形線生成ステップ(ステップS103)とを実行する。
【0257】
さらに、伏図作成支援プログラム18は、外形線52,82の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、柱51,81の位置に基づいて抽出する候補線抽出ステップ(ステップS141)を実行する。
【0258】
加えて、伏図作成支援プログラム18は、優先順位の高い比較条件で候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較し、最上位の候補線が1つの場合、1つの最上位の候補線を外形線52,82の内部を区画分けする区画線として決定する絞込みステップ(ステップS142からステップS145)を実行する。
【0259】
そして、伏図作成支援プログラム18は、外形線52,82の内部を区画線で区画分けした区画データ23に基づいて伏図データ24を生成する伏図生成ステップ(ステップS110)を実行するものである。
【0260】
また、本実施形態における伏図作成支援方法は、間取りデータ22から少なくとも柱51,81の位置を示す柱情報及び外壁を示す外壁情報を情報取得手段(制御部16)が取得する情報取得工程(ステップS102)と、平面視における各階の輪郭を示す外形線52,82を、外形線生成手段(制御部16)が外壁情報に基づいて生成する外形線生成工程(ステップS103)とを行う。
【0261】
さらに、伏図作成支援方法は、外形線52,82の内部を平面視略矩形の区画に区画分けするための候補線を、柱51,81の位置に基づいて候補線抽出手段(制御部16)が抽出する候補線抽出工程(ステップS141)を行う。
【0262】
加えて、伏図作成支援方法は、絞込み手段(制御部16)が優先順位の高い比較条件で候補線を比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較し、最上位の候補線が1つの場合、1つの最上位の候補線を外形線52,82の内部を区画分けする区画線として決定する絞込み工程(ステップS142からステップS145)を行う。
【0263】
そして、伏図作成支援方法は、外形線52,82の内部を区画線で区画分けした区画データ23に基づいて伏図生成手段(制御部16)が伏図データ24を生成する伏図生成工程(ステップS110)を行うものである。
【0264】
この構成によれば、区画線の決定に要する工程数を抑えられるため、外形線52,82の内部を効率よく区画分けして伏図データ24の作成を支援することができる。
具体的には、候補線抽出手段によって抽出された候補線により、外形線52,82の内部が平面視略矩形の区画に区画分けされるため、伏図作成支援装置1は、外形線52,82の内部に構造的に安定する区画を形成することができる。
【0265】
このような候補線を絞込み手段が優先順位の高い比較条件で比較して、比較結果の最上位の候補線が2つ以上の場合、次に優先順位の高い比較条件で最上位の候補線を比較するため、伏図作成支援装置1は、優先順位の低い比較条件に変更するたびに比較する候補線の数を減らすことができる。
【0266】
これにより、伏図作成支援装置1は、複数の候補線を全て評価して点数化する場合に比べて、複数の候補線から1つの区画線の決定に要する工程数を少なくすることができる。
例えば3つの候補線を5つの所定条件で点数化する場合、少なくとも15回の工程を経て1つの区画線を決定することになる。
【0267】
これに対して、伏図作成支援装置1は、最も優先順位の高い比較条件で3つの候補線を比較して最上位の候補線を1つ得た場合、1回の工程で1つの区画線を決定することができる。
【0268】
したがって、伏図作成支援装置1、伏図作成支援プログラム18及び伏図作成支援方法は、区画線の決定に要する工程数を抑えられるため、外形線52,82の内部を効率よく区画分けして伏図データ24の作成を支援することができる。
【0269】
加えて、上述した区画線によって平面視略矩形に区画分けされた区画データ23が生成されるため、伏図作成支援装置1、伏図作成支援プログラム18及び伏図作成支援方法は、立方体形状の構造ユニットを連結した木造住宅となるような伏図データ24を生成することができる。このため、伏図作成支援装置1、伏図作成支援プログラム18及び伏図作成支援方法は、構造的に安定した木造住宅の建築を容易にすることができる。
【0270】
また、伏図作成支援装置1は、区画線で囲われた区画が所定の確定条件を満足しない場合、区画線で囲われた区画の区画分けを候補線抽出手段及び絞込み手段に行わせ、区画線で囲われた区画が確定条件を満足する場合、区画線で囲われた区画の区画分けを完了する完了判定手段(制御部16)を備えている。
【0271】
この構成によれば、区画線で囲われた区画が過度に細かく区画分けされることを抑えられるため、梁部材が過剰に配置された伏図データ24が生成されることを防止できる。
【0272】
また、確定条件は、区画線で囲われた区画の大きさが所定の大きさ以下(短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下)であるため、伏図作成支援装置1は、区画線で囲われた区画が所望されない大きさで細かく区画分けされることを防止できる。
【0273】
また、伏図作成支援装置1は、外形線生成手段によって生成された外形線の一部が、直上階における外形線の内部、または直上の屋根の輪郭を示す屋根領域線RLの内部に位置する場合、外形線の一部を直上階の外形線または屋根領域線RLで置き換えた新しい外形線を生成する上層反映手段(制御部16)を備えている。
そして、伏図生成手段は、2階以上に対応する伏図データ24を直下階の区画データ23に基づいて生成する構成である。
【0274】
例えば上層反映手段(制御部16)は、外形線生成手段によって生成された外形線82の一部82aが、直上の屋根の輪郭を示す屋根領域線RLの内部に位置する場合、外形線82の一部82aを屋根領域線RLで置き換えた新しい外形線82を生成する。
【0275】
この構成によれば、直上階の外形線または屋根領域線RLが反映された区画データに基づいて、2階以上に対応する伏図データを生成するため、オーバーハング部や軒を支持する胴差や跳ね出し梁が配置された伏図データの生成を容易にすることができる。
【0276】
これにより、伏図作成支援装置1は、例えば利用者が伏図データ24を修正してオーバーハング部や軒を支持する胴差や跳ね出し梁を追加することを不要にできるため、利用者の利便性を向上することができる。
【0277】
また、伏図作成支援装置1は、外形線生成手段によって生成された外形線52の内部に、直上階における外形線82の一部82bが位置する場合、直上階における外形線82の一部82bを外形線52の内部を区画分けする区画線として決定する上階反映手段(制御部16)を備えている。
そして、伏図生成手段は、2階以上に対応する伏図データ24を直下階の区画データ23に基づいて生成する構成である。
【0278】
この構成によれば、2階の外壁を加味した平面視略矩形の区画を外形線52の内部に形成できるため、1階の床面積に対して2階の床面積が小さい場合であっても、2階の外壁を支持する梁部材を反映した伏図データ24Bを容易に生成することができる。
これにより、伏図作成支援装置1は、利用者が伏図データ24を修正して梁部材を追加することを不要にできるため、利用者の利便性を向上することができる。
【0279】
また、伏図作成支援装置1は、平面視略L字状の区画が外形線52,82の内部にある場合、平面視略L字状の隅部を通る外形線52,82または区画線を、隅部に対向する外形線52,82または区画線まで延長した延長線を抽出する延長線抽出手段(制御部16)を備えている。
そして、絞込み手段は、延長線を候補線として比較条件で比較する構成である。
【0280】
例えば延長線抽出手段は、1階の外形線52に平面視略L字状の区画がある場合、隅部に対して外形線52の延長方向で対向する柱51と隅部の柱51とを結ぶ外形線52の延長線(候補線53,54)を抽出する。
この場合、絞込み手段は、延長線(候補線53,54)を候補線として比較条件で比較する構成である。
【0281】
さらに、延長線抽出手段は、2階の外形線82に平面視略L字状の区画がある場合、隅部の柱81からX座標X3上の外形線82へ向けて延長した延長線と、隅部の柱81からY座標Y11上の外形線82へ向けて延長した延長線(候補線83)とを抽出する。
この場合、絞込み手段は、延長線(候補線83)を区画線として決定する構成である。
【0282】
この構成によれば、外形線52,82の内部を平面視略L字状の区画ではなく、構造的に安定する平面視略矩形の区画に確実に区画分けすることができる。
この際、延長線を比較条件で比較して区画線を決定するため、伏図作成支援装置1は、平面視略L字状の区画を効率よく区画分けすることができる。
加えて、伏図作成支援装置1は、利用者が平面視略L字状の区画を区画分けする手間を省くことができるため、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0283】
また、候補線抽出手段による候補線の抽出を除外する除外範囲Sを設定する除外設定手段(制御部16)を備えているため、伏図作成支援装置1は、例えば間取りデータ22における階段部分や吹抜け部分を跨いで候補線が抽出されることを防止できる。
これにより、伏図作成支援装置1は、階段部分や吹抜け部分に梁部材を配置した伏図データ24が生成されることを防止できる。
【0284】
また、情報取得手段は、間取りデータ22から階段を示す階段情報及び吹抜けを示す吹抜け情報を取得する構成である。そして、除外設定手段は、階段情報及び吹抜け情報に基づいて除外範囲Sを設定する構成である。
【0285】
この構成によれば、間取りデータ22に基づいて除外範囲Sを自動的に設定することができる。これにより、伏図作成支援装置1は、利用者による除外範囲Sの設定を不要にできるため、利用者の利便性を向上することができる。
【0286】
また、比較条件は、最も優先順位の高い条件を条件(1)として、優先順位の高い順に条件(1)から条件(7)が予め設定されている。
【0287】
そして、条件(1)は、候補線の端部に柱が位置する割合が高いほど上位とし、条件(2)は、候補線上における固定された内壁が占める割合が高いほど上位とし、条件(3)は、直上階がある場合、候補線上における直上階の固定された内壁が占める割合が高いほど上位とする。
【0288】
さらに、条件(4)は、直上階または直下階がある場合、候補線の両端に位置する柱が、直上階の柱または直下階の柱に一致する割合が高いほど上位とし、条件(5)は、直上階または直下階がある場合、候補線上における固定された内壁が、直下階または直上階における固定された内壁に一致する割合が高いほど上位とする。
【0289】
そして、条件(6)は、区画線で囲われた区画の短辺に略平行である候補線を上位とし、前記条件(7)は、区画線で囲われた区画の中心への近さが近い候補線を上位とする。
この構成によれば、候補線抽出手段によって抽出された候補線を効率よく絞り込むことができる。
【0290】
さらに、候補線の両端に柱が位置する割合の高さを優先順位の上位としているため、伏図作成支援装置1は、候補線で区切られた平面視略矩形の区画をより構造的に安定する区画にすることができる。
【0291】
加えて、次に優先順位の高い条件を、候補線上における内壁が占める割合の高さとしているため、伏図作成支援装置1は、内壁の位置に優先的に区画線を配置した区画データ23を生成することができる。
【0292】
これにより、伏図作成支援装置1は、内壁の位置に沿って梁部材を配置できるため、内壁の内部に柱や筋交いを後から容易に追加することができる。例えば区画線の一端に柱が位置しない場合であっても、伏図作成支援装置1は、区画線の一端に対応する位置に対して柱を容易に追加することができる。
【0293】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の伏図は、実施形態の伏図データ24に対応し、
以下同様に、
情報取得手段、外形線生成手段、候補線抽出手段、絞込み手段、伏図生成手段、完了判定手段、上層反映手段、上階反映手段、延長線抽出手段及び除外設定手段は、制御部16に対応し、
区画の大きさが所定の大きさ以下は、短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下に対応し、
延長線は、候補線53及び候補線54に対応し、
情報取得ステップ及び情報取得工程は、ステップS102に対応し、
外形線生成ステップ及び外形線生成工程は、ステップS103に対応し、
候補線抽出ステップ及び候補線抽出工程は、ステップS141に対応し、
絞込みステップ及び絞込み工程は、ステップS142からステップS145に対応し、
伏図生成ステップ及び伏図生成工程は、ステップS110に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0294】
例えば上述した実施形態において、2階建て木造住宅を用いて説明したが、これに限定せず、木造店舗、木造の事業所や作業所、あるいは木造の倉庫などの平屋建てまたは2階建て以上の木造建物であってもよい。
また、
図3のステップS104において、間取りデータ22に基づいて除外範囲Sを設定したが、これに限定せず、利用者による操作を受け付けて除外範囲Sを設定する構成であってもよい。
【0295】
また、候補線を比較する比較条件を、上述した条件(1)から条件(7)としたが、これに限定せず、適宜の数であってもよい。
また、比較条件の内容は、上述した内容に限定せず、候補線を1つに絞り込む比較条件であれば適宜の内容であってもよい。
【0296】
また、固定された内壁が占める割合を、候補線の分割数に対してパーツデータの分割数が占める割合としたが、これに限定せず、例えば候補線の長さに対して内壁の長さが占める割合としてもよい。
【0297】
また、区画線で区切られた区画の大きさが、短辺が4マス以下かつ長辺が5マス以下であることを確定条件としたが、これに限定せず、適宜の大きさを確定条件とする、あるいは区画の大きさ以外を確定条件としてもよい。さらに、確定条件は、複数あってもよい。
【0298】
また、屋根の輪郭に基づいて外形線52,82を修正するタイミングは、上述した実施形態のタイミングに限定せず、外形線52,82の内部を区画分けするまでであれば、適宜のタイミングであってもよい。
また、
図3のステップS105における上階反映処理は、上述した実施形態のタイミングに限定せず、外形線52,82の内部を区画分けするまでであれば、適宜のタイミングであってもよい。
【0299】
また、
図3のステップS108の区画線生成処理において、外形線52,82の内部に区画線がない場合、外形線52,82上に位置する2つの柱を結ぶ候補線を優先的に抽出するとともに、候補線を比較条件で比較して区画線を決定してもよい。
【0300】
この場合、外形線52,82上に位置する2つの柱を結ぶ候補線から区画線を決定したのち、区画線で区画分けされた区画を区画分けする候補線を抽出するとともに、候補線を比較条件で比較して区画線を決定する。
【0301】
この構成によれば、外形線52,82を比較的大きな大区画で区画分けしたのち、大区画をさらに小さい小区画に区画分けできるため、伏図作成支援装置1は、構造的に安定する大きな平面視略矩形の区画を確実に生成することができる。
【0302】
また、
図10のステップS110において、伏図データ24の生成は、上述した実施形態の過程に限定せず、区画データ23を用いて伏図データ24を生成するのであれば適宜の過程であってもよい。
【0303】
また、伏図作成支援装置1の記憶部15にサーバー3から取得した建材データベース3aを建材データベース19として記憶し、伏図データ24を生成する際、記憶部15に記憶した建材データベース19を参照して生成したが、これに限定しない。
【0304】
例えば伏図作成支援装置1の記憶部15に建材データベース19を記憶せず、伏図データ24を生成するたびに、サーバー3の建材データベース3aを参照する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0305】
1…伏図作成支援装置
16…制御部
18…伏図作成支援プログラム
22…間取りデータ
23…区画データ
24…伏図データ
51,81…柱
52,82…外形線
53~70…候補線
83~94…候補線
RL…屋根領域線
S…除外範囲