(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158120
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241031BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 L
H04N1/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073059
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 万紗子
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC39
5C062AC58
5C062AF07
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】ブラウザでスキャンを行うシステムにおいて、スキャン画像の取得前にセッションが切断された場合に、再接続して画像を取得可能にする。
【解決手段】情報処理装置200とネットワークを介して通信する通信部15と、画像を読み取る画像読取部104と、情報処理装置200との間に確立された通信部15による通信のセッション情報を管理する通信管理部と、通信が切断されたことを検出する切断検出部とを備え、通信部15による通信を介した画像読取部104に対する読み取り指示を受信可能であり、切断検出部により切断を検出した後で情報処理装置200から通信の再接続リクエストを受信した場合、情報処理装置200から送信される認証情報に基づいて、再接続リクエストを許可するか否かを判断することを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置とネットワークを介して通信する通信部と、
画像を読み取る画像読取部と、
前記情報処理装置との間に確立された前記通信部による通信のセッション情報を管理する通信管理部と、
前記通信が切断されたことを検出する切断検出部と
を備え、
前記通信部による通信を介した前記画像読取部に対する読み取り指示を受信可能であり、
前記切断検出部により切断を検出した後で前記情報処理装置から前記通信の再接続のリクエストである再接続リクエストを受信した場合、前記情報処理装置から送信される認証情報に基づいて、前記再接続リクエストを許可するか否かを判断することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記認証情報は、前記再接続リクエストを受信した際に、前記認証情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記再接続リクエストを受信したことに応じて、生成した前記認証情報を表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記再接続リクエストを受信したことに応じて、生成した前記認証情報と前記通信部により通信するための情報を含むコード画像を表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記通信管理部は、前記セッション情報を管理する管理テーブルを有し、
前記切断検出部が前記情報処理装置との通信が切断されたことを検出した場合、前記管理テーブルにおける当該通信に関する有効性フラグを無効にすることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像読取部によって読み取った画像を記憶する記憶部を備え、
前記通信管理部は、
前記切断検出部により前記情報処理装置との通信が切断されたことを検出したときに、当該通信を介して指示された画像読取処理において取得した画像が前記記憶部に所定枚数以上記憶されている場合には、前記管理テーブルにおける当該通信に関する有効性フラグを無効にし、
前記切断検出部により前記情報処理装置との通信が切断されたことを検出したときに、当該通信を介して指示された画像読取処理において取得した画像が前記記憶部に前記所定枚数以上記憶されていない場合には、前記管理テーブルから当該通信に関する前記セッション情報を削除することを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置とネットワークを介して接続し、特に原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に置かれた原稿を搬送して画像を読み取る画像読取装置において、画像読取装置内にウェブサーバを組み込んでおき、ユーザ自身が操作するスマートフォンなどの情報処理装置と画像読取装置とを汎用の通信手段で接続することで、そのウェブサーバに情報処理装置内のブラウザからアクセスし、画像読取装置に関する情報の閲覧および変更、画像読取指示等を行う技術が存在する。
【0003】
例えば、ユーザが画像読取操作を行う場合、スマートフォンで表示したブラウザ上でスキャン設定を選び、スキャン開始ボタンを押すと、スキャンが開始され、画像がダウンロードできる。
このような画像読取装置においては、メモリ容量の制限等に起因して、画像読取装置内のウェブサーバとユーザが表示したブラウザ間における通信を確立するセッション数に制限が設けられている場合が多い。
【0004】
特許文献1には、ウェブサーバとブラウザ間の限られた通信セッション数を有効に管理する技術が記載されている。ブラウザ上のウェブページが一定期間(例えば、1分~数分)よりも長い期間にわたってウェブサーバとの通信を行わなかった場合、通信セッションが終了される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、スキャン終了後にブラウザがユーザの意図しない動作によって終了してしまった場合、スキャン画像をダウンロードしないまま通信セッションが終了してしまうため、画像を取得する方法が無くなってしまうという課題がある。
【0007】
そのため、スキャン画像をダウンロードしないまま通信セッションが終了してしまった場合、ユーザはスキャン画像を取得するために画像読取装置内のウェブサーバとの通信セッションを再構築する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上を鑑み、本発明に係る画像読取装置は、
情報処理装置とネットワークを介して通信する通信部と、
画像を読み取る画像読取部と、
前記情報処理装置との間に確立された前記通信部による通信のセッション情報を管理する通信管理部と、
前記通信が切断されたことを検出する切断検出部と
を備え、
前記通信部による通信を介した前記画像読取部に対する読み取り指示を受信可能であり、
前記切断検出部により切断を検出した後で前記情報処理装置から前記通信の再接続リクエストを受信した場合、前記情報処理装置から送信される認証情報に基づいて、前記再接続リクエストを許可するか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが情報処理装置からスキャンを行った際、画像のダウンロードを行わないままセッションが終了した場合でも、ウェブサーバとの再接続を行うことで画像のダウンロードが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】本発明の実施形態に関わるネットワーク構成図
【
図4】本発明の実施形態に関わるソフトウェア構成図
【
図5】本発明の実施形態に係るブラウザスキャン実行時のシーケンス図
【
図6】本発明の実施形態に係る画像読取装置の画像読取処理を示したフローチャート
【
図7】本発明の実施形態に係るウェブサーバの通信状態検出処理を示したフローチャート
【
図8】本発明の実施形態に係るウェブサーバの接続確認処理を示したフローチャート
【
図9】本発明の実施形態に係るブラウザの再接続処理を示したフローチャート
【
図10】本発明の実施形態に係る接続情報管理表の一例
【
図11】本発明の実施形態に係るブラウザの表示内容の一例
【
図12】本発明の実施形態に係る操作部125の表示内容の一例
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る画像読取装置100の概略図である。
【0012】
<装置の構成>
原稿台102は、読取対象の原稿101を積載収納する。原稿台102上の原稿は、原稿台原稿検知センサ110によって検出され、給紙ローラ106により一枚ずつ分離されて搬送路108に送り出され、搬送ローラ107によって搬送路108に沿って搬送され、排出部103に排出される。排出部103は画像読取処理を終えた原稿101を積載収納し、排出部原稿検知センサ111にて排紙原稿の有無を検出する。レジストセンサ109は、搬送路108を搬送される原稿101を検出する。レジストセンサ109が原稿101を検出すると、画像読取ユニット104は、原稿上に形成された画像の読み取りを開始する。本実施形態において、画像読取ユニット104は、搬送路108の両側に2つ設けられており、一方が原稿101の表面を、他方が原稿101の裏面を読み取る。なお、画像読取ユニット104を1つのみとする構成であっても良い。各画像読取ユニット104の対向位置には、背景板105がそれぞれ設けられている。背景板105は、例えば、黒色の部材である。排紙口センサ112は、原稿101が搬送路108に残っているか、排出部103に排出されたかを検出する。
【0013】
画像読取ユニット104の内部には、ラインイメージセンサ1043(
図2参照)と、発光部1044a(
図2参照)が設けられている。ラインイメージセンサ1043は原稿101の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に延設され、主走査方向の1ライン分の画像を一度に読み取る。ラインイメージセンサ1043は、例えば、CCDラインセンサやコンタクトイメージセンサである。発光部1044aは、ラインイメージセンサ1043と略平行に延設されており、例えば、複数のLEDからなるLEDアレイにより構成される。発光部1044aが照射し、原稿101で反射した反射光をラインイメージセンサ1043により受光・検出して原稿101上の画像を読み取る。
【0014】
図2は、画像読取装置100の制御構成を示す図である。画像読取装置100の制御部10は、CPU11を備え、CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムを実行し、画像読取装置100全体の制御を行う。ROM12には、CPU11が実行するプログラムや固定的なデータが記憶される。RAM13には、ラインイメージセンサ1043が読み取った画像データや、CPU11の演算結果といった可変データが記憶される。ROM12及びRAM13は一例であり、記憶部として利用可能なものであれば他の記憶デバイスであっても良い。
【0015】
制御部10の入出力I/F14には、発光部1044aを駆動する駆動回路24や、ラインイメージセンサ1043が読み取った画像に対してシェーディング補正等の画像処理を行う画像処理回路26が接続される。なお、ADC25は、ラインイメージセンサ1043が出力するアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するアナログ・デジタル変換器である。CPU11は、画像処理回路26から出力される画像データを取得する。
【0016】
通信I/F15は、使用者が操作する情報処理装置200と接続する通信部として機能する通信インターフェースであり、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信I/F15は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。画像読取装置100が読み取った画像データは、通信I/F15経由で情報処理装置200に出力される。
【0017】
制御部10には、原稿台原稿検知センサ110と排出部原稿検知センサ111発光部121を構成する、発光部121を駆動する駆動回路123や、受光部122が受光したアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ・デジタル変換器124が接続されている。なお、本実施形態においては、画像読取ユニット104やそれを駆動する駆動回路24、画像処理回路26などを含んだ構成によって画像読取部を構成しているが、これに限られるものではない。
【0018】
操作部125は画像読取装置100のステータスや設定を表示や変更を行うように表示機と入力機とで構成され、制御部10はその表示内容や入力の制御を行う。本実施形態では、表示機に液晶パネル、入力機にタッチパネルといった汎用な構成を例に説明するが、グラフィカルなユーザーインターフェースであればどのような機器でもかまわない。
【0019】
次に、画像読取装置100が実行する処理について説明する。画像読取装置100は、例えば、操作部125の操作により、または、情報処理装置200を介して、ユーザが読み取り開始を指示した場合に原稿101の読み取りを開始する。CPU11はまず給紙ローラ106を駆動して原稿101の搬送を開始する。レジストセンサ109によって原稿101が画像読取ユニット104の読取位置に到達したことが検出されると、CPU11は、発光部1044aの発光を制御し、ラインイメージセンサ1043を駆動して原稿101の画像を読み取る。
【0020】
図3は、ネットワーク上に接続されている装置の構成図である。
【0021】
情報処理装置200には、ウェブブラウザがインストールされており、ユーザは、ブラウザを介して画像読取装置100を操作する。ユーザがブラウザから画像読取装置100内のウェブサーバ201へアクセスすると、ブラウザはウェブサーバ201からのレスポンスに従ってUIを表示する。なお、このウェブブラウザは、OS標準のウェブブラウザであってもよいし、情報処理装置200に後からインストールされた他のウェブブラウザであってもよい。
【0022】
図4は、画像読取装置100内のソフトウェア構成を示す図である。画像読取装置100が起動すると、CPU11が内部のOSを起動し、その後、ウェブサーバ201を起動する。ウェブサーバ201は常駐アプリケーションであり、
図2で示した通信I/F15経由で接続された情報処理装置200からのリクエスト待機状態となる。ウェブサーバ201が起動した後、UI表示アプリケーション204が起動し、画像読取装置100に設けられた操作部125(
図2参照)にUIを表示する。
【0023】
スキャンアプリケーション203は、例えばウェブサーバ201がスキャン開始指示を受信すると実行され、スキャナードライバー202を介して画像読取装置100を制御する。
【0024】
本実施形態における、ユーザがブラウザ画面からスキャンを実行した際の動作を、
図5のシーケンス図を用いて説明する。
【0025】
画像読取装置100と情報処理装置200が同じネットワーク上に接続されているシステムにおいて、情報処理装置200上のブラウザからスキャンを実行させるユーザは、ブラウザに画像読取装置100内のウェブサーバ201へ接続するための接続情報を入力する(S1001)。接続情報とはブラウザから画像読取装置100にアクセスするためのURLのことである。画像読取装置100は、例えば
図12(a)に示す画面を操作部125に表示してもよい。また、このURLを示す二次元コードなどを表示して、情報処理装置200が有する撮像機能でそれを撮像することでURLを取得できるようにしてもよい。
【0026】
ユーザから接続情報を入力されたブラウザは、ウェブサーバ201へ接続確立のためにセッションID(セッション情報)を要求するリクエスト(接続要求)を送る(S1002)。この要求を受けたウェブサーバ201は、セッションIDを生成し(S1003)、ブラウザへセッションIDを通知する(S1004)。このとき、ウェブサーバ201は、生成したセッションIDをブラウザのIPアドレスと紐づけて、例えば
図10に示す接続管理表(管理テーブル)としてROM12内に保存する。また、本実施形態においては、ウェブサーバ201はブラウザからリクエストを受け取った時刻の情報も、リクエスト時間としてIPアドレスと紐づけて接続管理表に保存する。また、この
図10に示す接続管理表には、後述するように各セッションIDの有効性についても保存されている。また、後述するパスコードが設定されていれば、それも保存されている。このとき、ウェブサーバ201は、セッション情報を管理する通信管理部として機能している。
【0027】
セッションIDを取得したブラウザは、例えば
図11(a)に示すようなスキャン設定画面(スキャン用UI)を表示する(S1005)。ユーザはこのスキャン設定画面上にて、画像読取設定を行い、必要に応じて詳細設定ボタン501を押下して詳細設定したうえで、スキャン開始ボタン502を押下して画像読取処理を実行させることができる。
【0028】
ユーザがスキャン開始ボタン502を押下する(S1006)と、ブラウザはウェブサーバ201へ画像読取設定情報とスキャン開始リクエストをスキャン指示として画像読取装置100に送る(S1007)。このスキャン指示を受けた画像読取装置100は受け取った画像読取設定情報をもとに画像読取処理を実行する(S1008)。この処理の動作については後ほど詳しく説明する。画像読取装置100が画像読取処理を終了すると、ウェブサーバ201はブラウザへ画像読取処理が終了したことを通知する(S1009)。
【0029】
画像読取処理が終了すると、読み取った画像をブラウザ上で閲覧・編集するために、ブラウザはウェブサーバ201へ編集用の画像情報を取得するリクエストを送る(S1010)。この要求を受けたウェブサーバ201は画像読取装置100内に保存された編集用の画像情報をブラウザへ送信する(S1011)。編集用の画像情報を取得したブラウザは、例えば
図11(b)に示すような画像編集用画面を表示する(S1012)。ユーザはこの画像編集用画面上にて、取得した画像に対し、回転や順序の入れ替えなどの編集を行うことができる。
【0030】
ユーザは、画像の編集を終えると保存ボタン505を押下することで編集後の画像の保存を指示する(S1013)。この指示を受けたブラウザはウェブサーバ201へ編集後の画像の送信リクエストを送る(S1014)。送信リクエストを受けとったウェブサーバ201は、送信用の画像ファイルを生成し(S1015)、ブラウザへ画像ファイルを送信する(S1016)。画像ファイルを受け取ったブラウザは、情報処理装置200内に画像ファイルを保存する(S1017)。
【0031】
次に、画像読取装置100が行う画像読取処理について、
図6を用いて説明する。
図6は、画像読取装置100が画像読取処理の開始指示(
図5、S1007のスキャン開始リクエスト)を受け取った際の動作を示すフローチャートである。
【0032】
画像読取処理を開始した画像読取装置100は、原稿台102に置かれた原稿101の搬送を開始する(S2001)。原稿101を搬送が開始されると、画像読取装置100の画像読取ユニット104は、ブラウザから受け取った画像読取設定情報をもとに、原稿の読み取りと読み取った画像の画像処理を順次行う(S2002)。原稿に対する画像処理が終了すると、画像読取装置100は画像ファイルを編集用画像としてROM12へ保存する(S2003)。
【0033】
画像読取装置100は、原稿台原稿検知センサ110が原稿台102に置かれた原稿がすべてなくなることを検知するまで(S2004でNo)ステップS2001からステップS2003の処理を繰り返す(S2004でYes)。
【0034】
原稿台102に原稿がなくなると画像読取装置100は画像読取処理を終了する。
【0035】
次に、本実施形態における、ブラウザとウェブサーバ201間の通信が切断されたかどうかの判断処理について、
図7を用いて説明する。通信の切断は、例えばユーザがブラウザを誤って終了させてしまった場合に発生する。
図7はブラウザとウェブサーバ201間の通信状態検出処理を示すフローチャートである。
【0036】
画像読取装置100は、
図5のステップS1003にて
図10の接続管理表に保存されたセッションIDそれぞれに対し、一定期間内にブラウザからリクエストが送られたかどうかを判断する処理を行う。このとき、画像読取装置100は接続管理表のリクエスト時間と現在時刻を比較し、セッションIDが最後にリクエストを受け付けてから一定期間以上経過していた場合(S3101でNo)、ウェブサーバ201はブラウザとの通信が切断されたと判断し、接続管理表内におけるセッションIDの有効性フラグを無効に書き換える(S3102)。すなわち、ウェブサーバ201が切断検出部として機能している。セッションIDが無効の場合、ブラウザとウェブサーバ201間の通信は確立されないため、後述する再接続処理を行わない限り、情報処理装置200は通信の切断前に表示していたブラウザ画面を表示できない。
【0037】
画像読取装置100は、
図7に示した一連の動作を一定間隔ごとに各セッションIDに対し繰り返すことで、セッションIDの有効性を維持し、ブラウザとウェブサーバ201間の通信が切断されたかどうかを判断している。なお、この有効性を維持するための一定間隔は、セッションIDやそれ以外の条件によって異なる値を使用してもよい。
【0038】
次に、ウェブサーバ201とブラウザ間の通信の再確立処理について説明する。通信の再確立は、例えばユーザが誤って終了させてしまったブラウザ画面を再度表示させるため、該当するURLでウェブサーバ201にアクセスした場合や、ブラウザアプリをバックグラウンドにした際はバックグラウンド通信しないように設定されている場合などに発生することがある。
【0039】
まずは、画像読取装置100における通信の再確立処理について、
図8を用いて説明する。
図8はブラウザからリクエストを受け取ったウェブサーバ201の動作を示すフローチャートである。
【0040】
なお、本実施形態では、説明の簡略化のため、ブラウザが
図11(b)の画像編集用画面を表示中(
図5、S1012)にブラウザが終了し、一定期間経過後、ユーザが再度該当する画面を表示する場合を例に挙げて説明する。このとき、ブラウザからウェブサーバ201に対し、定期的にあるいはボタン操作などの一定条件を満たすことで、画像編集用画面へのアクセスを行うリクエストを送信して画面を更新するようにしてもよいし、定期的に画像読取装置100の状態(ステータス)を取得するポーリングリクエストを送信するようにしてもよい。
【0041】
ウェブサーバ201は、ブラウザから
図11(b)へのアクセスを行うリクエストまたは上述したポーリングリクエストを受け取ると、ROM12内の接続管理表をもとにリクエストに含まれるセッションIDが有効かどうかを判断する。セッションIDが有効だった場合(S3001でYes)、ウェブサーバ201はそのままリクエストを実行し(S3002)、ブラウザへ
図12(b)を表示するための情報を含んだレスポンスやステータスを返す。
【0042】
一方、セッションIDが無効だった場合(S3001でNo)、ウェブサーバ201はブラウザへ再接続処理を行うようにレスポンスを送り(S3003)、再接続処理に必要な再接続用情報を生成する(S3004)。再接続用情報とは画像読取装置100がランダムに生成したパスコード(認証情報)のことである。このとき生成したパスコードは画像読取装置100によって
図10の接続管理表に登録されるものとする。また、画像読取装置100は、パスコードを例えば
図12(b)の画面のようにして操作部125に設けられた表示部や制御可能な表示装置に表示する(S3005)。
【0043】
ステップS3005を終えると、ウェブサーバ201はブラウザから再接続処理のリクエスト(再接続リクエスト)が送られてくるのを待機する(S3006)。ブラウザからの再接続リクエストについてはこの後詳しく説明する。
【0044】
ブラウザから再接続リクエストが送られてきた場合、ウェブサーバ201は、リクエストと共に送られたパスコードが
図10の接続管理表に保管されたパスコード情報と等しいかどうかを判別する。パスコードが正しかった場合(S3007でYes)、画像読取装置100は接続管理表のセッションIDを有効化し(S3008)、同時にパスコードを破棄することで、再接続リクエストを許可する。パスコードが正しくなかった場合(S3007でNo)、ウェブサーバ201はステップS3006の状態へ戻り、リクエストは実行されない。
【0045】
このとき、セキュリティレベルを上げるため、S3008にてセッションの有効化フラグを有効にすると同時に、ウェブサーバ201は新たなセッションIDを作成してもよい。画像読取装置100は、新たに作成されたセッションIDの情報で
図10の接続管理表を更新する。ウェブサーバ201から新たなセッションIDの情報を受け取ったブラウザは、次回以降のリクエストを新たなセッションIDを用いて送信する。
【0046】
このとき、画像読取装置100は、上記パスコード認証に複数回失敗した場合や、ステップS3003にて再接続指示を送ってから一定時間が経過した場合、接続が切断されたと判断して再接続処理を終了してS3006、S3007のループを抜け、ブラウザに対し再接続できないことを通知するとともに、
図10接続管理表に保管したセッションID情報を破棄してもよい。このときユーザは、
図5を用いて説明したブラウザを利用したスキャン処理を最初からやり直すこととなる。
【0047】
次に、情報処理装置200上のブラウザにおける通信の再確立処理について、
図9を用いて説明する。
図10はブラウザにおける再接続処理の動作を示すフローチャートである。
【0048】
図9のステップS3003にて、ウェブサーバ201からレスポンスとして再接続処理を要求されたブラウザは、例えば
図11(c)の画面を表示する(S4001)。この再接続用画面はユーザによってパスコードを入力できる機能を持つものとし、ユーザはステップS3005にて画像読取装置100が表示したパスコードをブラウザへ入力することができる。
【0049】
なお、本実施形態では画像読取装置100に表示するパスコードをユーザが手作業で入力しているが、画像読取装置100にパスコードを含んだ二次元コードなどのコード画像を表示し、情報処理装置200がコード画像を読み取ることで画面に入力されるような仕組みとしてもよい。具体的には、
図12(b)の画面にコード画像を表示するコード画像表示ボタン(不図示)を設け、そのコード画像表示ボタンが選択されると、パスコードを含んだコード画像を表示する。あるいは、
図12(b)の画面にパスコードを併記してコード画像を表示してもよい。
図11(c)の画面にはカメラ機能を起動するボタンを配置し、このコード画像を読み取ることで、情報処理装置200は、ブラウザから自動的にウェブサーバ201へパスコードを含んだ再接続処理のリクエストを送信することができる(
図9、S3005)。なお、コード画像に
図11(c)のURLとパスコードを含ませておけば、
図11(c)の画面からカメラを起動せずとも、情報処理装置200のカメラアプリによってコード画像を読んだ場合でも、情報処理装置200のOSの機能により、ブラウザから自動的にウェブサーバ201へパスコードを含んだ再接続処理のリクエストを送信することも可能である。
【0050】
図11(c)の画面でユーザがパスコードを入力し、再接続ボタン506を押下すると、ブラウザは入力されたパスコードと共に再接続処理を開始するリクエストをウェブサーバ201へ送信する(S4002)。再接続処理が成功した場合(S4003でYes)、ウェブサーバ201から
図11(b)を表示するための情報を含んだレスポンスが返ってくるので、ブラウザは
図11(b)を表示する。
【0051】
再接続処理が失敗した場合(S4003でNo)、ユーザは再度再接続処理を実行する必要がある。
【0052】
図11(c)の画面で再接続処理を行わず、もう一度スキャン処理をやり直す場合、ユーザはスキャンをやり直すボタン507を押下する。このとき、画像読取装置100と情報処理装置200は
図5で示したステップS1002からS1005を実行し、再度セッションIDを取得するとともにブラウザに
図11(a)の画面を表示する。
【0053】
以上説明した実施形態は本発明の一例であり、その趣旨を変更しない範囲において適宜変更が可能である。
【0054】
本実施形態では、上述した通り、ブラウザが
図11(b)の画像編集用画面を表示中に切断された場合を例に挙げて説明したが、画像読取装置100が原稿の画像読取処理を行っている際に、ブラウザからの接続を切断してしまう場合も考えられる。
【0055】
画像読取装置100は、スキャンアプリケーション203は画像読取処理が終了するとウェブサーバ201にその旨を通知する(
図5のS1008内の処理)。しかし、ブラウザが切断されていた場合、ウェブサーバ201はブラウザからのレスポンスを取得できないため、セッションIDが無効になったと判断し、
図10の接続管理表内のセッションIDの有効性フラグを無効に書き換える(S3102)。
【0056】
このとき、画像読取装置100は、画像読取処理中にブラウザからの接続が切断した時点で、画像読取処理を一時停止してもよい。さらに、例えば「セッションが切断されました。再接続してください」などのメッセージを操作部125が有する表示画面やスピーカーから通知しても良い。一時停止した状態で、セッション再接続があった場合に画像読取処理を再開するようにし、その状態で一定時間が経過した場合には一時停止している画像読取処理において取得した画像ファイルを削除し、併せてセッションIDも破棄(接続管理表から削除)すればよい。
【0057】
画像読取処理の実行中にセッションIDを無効にしつつ画像読取処理を継続した場合、画像読取処理の完了後、情報処理装置200上のブラウザにて画像編集処理が行われないことになり、画像読取装置100内には読み取った原稿の画像ファイルが保存されたままとなる。このとき、未編集の画像ファイルをセッションIDの情報と紐づけて保存しておくことで、ユーザが利用していた情報処理装置とは異なる情報処理装置から新たに画像読取処理を開始するリクエストを受け付けた場合、その画像読取処理で生成された画像ファイルと未編集の画像ファイルとを区別することができる。このとき、ユーザが再接続処理を行えば未編集だった画像ファイルを編集し、保存することができる。
【0058】
このとき、基本的には画像読取処理の終了時点で、すべてのセッションIDが無効となっているため、基本的にはいずれの情報処理装置200からの接続要求も受け付けることが可能な状態であるが、未編集だった画像ファイルが保存されている場合には、画像読取装置100を、他の画像読取装置からの接続要求を受け付けない再接続待ち状態に遷移させることもできる。
【0059】
一方で、再接続待ち状態であっても、所定時間の経過後は、他の画像読取装置からの接続要求を受け付けるように構成してもよい。他の画像読取装置からの接続要求があるまでは、再接続待ち状態を維持してよい。他の画像読取装置からの接続要求により画像読取処理が実行されると、上述したように、再接続待ち状態ではないものの、再接続処理を行うことにより未編集だった画像ファイルの編集が可能な状態(編集待機状態)となる。この編集待機状態においては、画像ファイルの編集、保存のみが可能であり、再接続待ち状態において再接続した場合には、例えば追加で画像を読み取る(継続スキャン)などの画像読取に関する指示が可能なように構成してもよい。このとき、画像読取装置100は、再接続待ち状態になった画像読取処理における画像読取設定情報や画像読取ユニット104で画像を読み取る際の光量やシェーディングデータなどの設定値を再接続待ち状態が継続している限り維持していればよい。
【0060】
また、画像読取処理終了後、ブラウザがウェブサーバ201へセッションIDを用いて正しくレスポンスを返さなかった場合、ウェブサーバ201は画像読取処理がキャンセルされたと判断し、読み取った画像を破棄すると共に、新たな情報処理装置からの画像読取処理の開始リクエストを待機する状態にする(すなわち、初期状態に戻る)こともできる。
【0061】
また、
図10の接続管理表において、セッションIDが最後にリクエストを受け付けてから一定期間以上経過していた場合(S3101でNo)、ウェブサーバ201はブラウザとの通信が切断されたと判断し、接続管理表内におけるセッションIDの有効性フラグを無効に書き換える(S3102)、と説明したがこれに限られない。セッションIDに対し一定期間以上経過していた場合に、そのセッションIDに対応する読み取り画像が保存されている場合にのみセッションIDを無効とし、画像が保存されていない場合には、接続管理表からセッションIDを削除しても良い。すなわち、セッションIDを用いた通信によって画像がRAM13に保存されていない場合には、再接続できないように構成し、画像が保存されている場合にのみ、再接続可能に構成してもよい。この構成によれば、無闇にセッションIDを接続管理表に残す必要がなく、処理が簡略化される。
【0062】
また、画像が保存されている場合に、他の条件を満たすか否かで、セッションIDを無効として接続管理表に残すし、再接続可能に管理するか否かを判断するように構成しても良い。例えば、そのセッションIDに対応する読み取り画像が所定枚数以上保存されている場合のみ再接続可能に管理しても良い。この場合、所定枚数未満の場合にはスキャンし直す必要があるが、少ない枚数であればそれ程ユーザへの負荷がかからない一方で、所定枚数以上となるスキャンを実行したセッションIDを多く再接続可能に管理、読み取った画像を保存することができ、利便性を向上させることができる。また、接続管理表に、セッションIDを要求した情報処理装置に関する情報(シリアルNoやIPアドレス)を記録しておき、デバイス情報の種類に応じて再接続可能か否かを判断してもよい。
【0063】
なお、接続管理表からセッションIDを削除するタイミングについても、種々の変更が可能である。例えば、接続管理表におけるリクエスト時間が古い場合には自動的に削除されるようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、
図8のステップS3004においてパスコードを生成する構成について説明したが、
図5に示したステップS1003においてセッションIDを生成する際に、すべてのセッションIDに対してパスコードが生成されるように設定可能に構成しても良い。この構成によれば、画像読取処理のセキュリティを向上したい場合には、すべてのセッションIDに対してパスコードが生成されるように設定することで、接続管理表に保存されたセッションIDに関するすべての接続要求に対してパスコードが設定される。なお、この場合、ステップS1003で生成されるパスコードとは別のパスコードがステップS3004で生成されるように構成しても良い。また、すべてのセッションIDに対してパスコードが生成された場合においても、パスコードを利用した認証処理は、ステップS3004のみで行うように構成してもよい。すなわち、すべてのセッションIDに対し、セッションID生成と同時に再接続用のパスコードが生成されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
15 通信I/F
100 画像読取装置
101 原稿
104 画像読取ユニット
200 情報処理装置