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  • 特開-診療支援システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158125
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】診療支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20241031BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073064
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】518192220
【氏名又は名称】一般社団法人テレメディーズ
(74)【代理人】
【識別番号】240000693
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人滝田三良法律事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷田部 淳一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、医師(特に主治医)からの説明を患者や家族が十分に理解することができる診療支援システムを提供する。
【解決手段】診療支援システム100は、説明記録手段110と、診療情報記憶手段120と、セカンドオピニオン取得手段130と、患者情報データベース140と、第2医師データベース150と、同席家族データベース160とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の医療関係者が患者に診療方針を説明する際に、説明内容を該患者に関係する関係者へ情報共有する診療支援システムであって、
前記第1の医療関係者の前記患者への説明を記録する説明記録手段と、
前記第1の医療関係者から前記患者への説明に付随する該患者の診療情報を取得して記録する診療情報記憶手段と、
前記関係者として前記第1の医療関係者とは異なる第2の医療関係者へ前記説明記録手段による記録および前記診療情報記憶手段に記録された診療情報を展開し、該第2の医療関係者から前記患者への説明を取得するセカンドオピニオン取得手段と
を備えることを特徴とする診療支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の診療支援システムにおいて、
前記セカンドオピニオン取得手段は、前記第2の医療関係者から前記患者への説明を取得することに代えてまたは加えて、該第2の医療関係者から該患者への説明をオンライン通話により実現することを特徴とする診療支援システム。
【請求項3】
請求項2記載の診療支援システムにおいて、
前記セカンドオピニオン取得手段は、前記第2の医療関係者から前記患者への説明をオンライン通話で実現する場合において、前記第1の医療関係者と該患者の家族とのいずれか一方または両方をオンライン通話に招待することを特徴とする診療支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療関係者が患者に診療方針を説明する際に、説明内容を該患者に関係する関係者へ情報共有する診療支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の診療支援システムとしては、下記特許文献1に示すように、カルテや検査結果を集約機関に集約して管理するシステムが知られている。かかるシステムによれば、他の医療機関の情報も、カルテや検査結果を集約機関を通して見ることが可能となる。
【0003】
これにより、受診者である患者や家族は、集約された医療情報から、診療や治療の方針を検討したり、セカンドオピニオンを求めたりするなど、診療や治療に積極的に関与し、より満足度の高い診療や治療を受けることができる。また、医療機関では、重複した検査や投薬を省略したり、より適切な医療機関や診療科を紹介したり、医療機関間で最新の情報を共有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-021744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、患者や家族は、そもそも医療情報にアクセスできても、その医療情報が意味するところを理解できないために、適切な診療や治療、ひいては、必要なセカンドオピニオンを得ることが困難であるという問題があった。
【0006】
本願発明者は、医師として、さらにオンライン診療をいち早く事業化したパイオニア医師として、かかる問題の根幹には、医師(特に主治医)からの説明自体を患者や家族は十分に理解ができないことに起因するとの知見に至った。
【0007】
そこで、本発明は、かかる知見に基づいて、医師(特に主治医)からの説明を患者や家族が十分に理解することができる診療支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の診療支援システムは、第1の医療関係者が患者に診療方針を説明する際に、説明内容を該患者に関係する関係者へ情報共有する診療支援システムであって、
前記第1の医療関係者の前記患者への説明を記録する説明記録手段と、
前記第1の医療関係者から前記患者への説明に付随する該患者の診療情報を取得して記録する診療情報記憶手段と、
前記関係者として前記第1の医療関係者とは異なる第2の医療関係者へ前記説明記録手段による記録および前記診療情報記憶手段に記録された診療情報を展開し、該第2の医療関係者から前記患者への説明を取得するセカンドオピニオン取得手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
第1発明の診療支援システムによれば、例えば、主治医である第1の医療関係者が患者に診療方針を説明する際に、その説明を説明記録手段を介して記録する。
【0010】
そして、かかる説明記録手段の説明記録のみ、または、説明記録に医療情報記憶手段に記憶された診療情報と共に展開し、例えば、セカンドオピニオンをもらう第2の医療関係者に展開し、説明(セカンドオピニオン)を取得する。
【0011】
ここで、少なくとも説明記録を含めた『展開』には、説明内容の記録や診療情報を電磁データとして送信する場合のほか、これらの情報が記憶されたサーバへのサクセス情報を送信することで、サーバ上での閲覧可能な状態とすることを含む。
【0012】
また、説明(セカンドオピニオン)の『取得』には、文書での取得のほか、ビデオメッセージの形での取得であってもよい。
【0013】
かかる説明(セカンドオピニオン)は、例えば主治医からの説明を解説すると共に、診療方針についての補助的な意見となるため、患者や家族の理解を十分に助けるものである。
【0014】
このように、第1発明の診療支援システムによれば、患者や家族が十分に理解することができる。
【0015】
第2発明の診療支援システムは、第1発明において、
前記セカンドオピニオン取得手段は、前記第2の医療関係者から前記患者への説明を取得することに代えてまたは加えて、該第2の医療関係者から該患者への説明をオンライン通話により実現することを特徴とする。
【0016】
第2発明の診療支援システムによれば、説明(セカンドオピニオン)の『取得』を、セカンドオピニオンを行う第2の医療関係者とのオンライン通話により実現する。
【0017】
これにより、患者のみながら家族も含めてリアルタイムでの説明を受けることができるに加えて、質疑応答も可能となり、説明(セカンドオピニオン)についてより深い理解をえることができる。
【0018】
このように、第2発明の診療支援システムによれば、オンライン通話を通して、患者や家族が十二分に理解することができる。
【0019】
第3発明の診療支援システムは、第2発明において、
前記セカンドオピニオン取得手段は、前記第2の医療関係者から前記患者への説明をオンライン通話で実現する場合において、前記第1の医療関係者と該患者の家族とのいずれか一方または両方をオンライン通話に招待することを特徴とする。
【0020】
第3発明の診療支援システムによれば、第2の医療関係者とのオンライン通話に際して、オンライン通話を確立するために、患者と家族のいずれか一方または両方に対して、オンライン通話の招待(スケジューリングを含む)を行う。
【0021】
これにより、実際に、オンライン通話による説明(セカンドオピニオン)の取得を実現することができる。
【0022】
このように、第3発明の診療支援システムによれば、実際に、オンライン通話を通して、患者や家族が十二分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の診療支援システムの概要を示すシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、本実施形態の診療支援システム100は、例えば、主治医である医師X(本発明の第1の医療関係者)が患者Yに診療方針を説明する際に、その説明内容を患者Yに関係する関係者Z,W等に共有するシステムである。
【0025】
より詳細には、診療支援システム100は、主治医である医師Xの患者Yへの診療方針の説明内容を録音・録画し、その録音・録画の記録データを、医師Z(本発明の第2の医療関係者)に展開する。診療支援システム100は、医師Zから、医師Xの診療方針の解説を含めたセカンドオピニオンを取得して、患者Yのほか患者Yの家族Wに展開する。
【0026】
次に、診療支援システム100の具体的な構成について説明する。
【0027】
診療支援システム100は、説明記録手段110と、診療情報記憶手段120と、セカンドオピニオン取得手段130と、患者情報データベース140と、第2医師データベース150と、同席家族データベース160とを備える。
【0028】
説明記録手段110は、医師Xの患者Yへの説明内容をカメラ10などの撮像手段を介して撮像データとして取得し、取得した撮像データを当該システムのメモリやハードディスク等の記録手段に記録する。なお、記録手段への記録に際しては、患者Yに関連するフォルダに、医師Xからの診療方針の説明であることが特定されるファイル名や識別子が付されて保存される。
【0029】
診療情報記憶手段120は、説明記録手段110に記録された患者Yの撮像データに関連する、患者データベース140に記憶された患者Yの患者情報から医師Zに提供する診療情報を選択して取得し一時的に記憶する。ここでも、記録に際しては、患者Yに関連するフォルダに、医師Xからの診療方針の説明である撮像データであることおよび医師Xの診察に関連する患者Yの診療情報であることが特定されるファイル名や識別子が付されて保存される。
【0030】
セカンドオピニオン取得手段130は、説明記録手段110に記録されたに記憶された撮像データのほか、診療情報記憶手段120に記憶された診療情報を含めた診療情報を医師Zに『展開』し、医師Zの見解をセカンドオピニオンとして『取得』して、取得したセカンドオピニオンを患者Y等に『展開』する。
【0031】
ここでの『展開』には、説明内容の記録や診療情報などを電磁データとしてパスワードを付してまたは適宜暗号して、直接送信する場合のほか、これらの情報が記憶されたサーバへのサクセス情報(アクセスキー)を送信することで、サーバ上での閲覧可能な状態としてもよい。
【0032】
また、医師Zからの見解の『取得』については、医師Zの説明や見解を文書により取得する場合のほか、カメラ30などの撮像手段を介して撮像データとして取得し、取得した撮像データを当該システムのメモリやハードディスク等の記録手段に記録する。ここでも、記録手段への記録に際しては、患者Yに関連するフォルダに、医師Zからのセカンドオピニオンであることが特定されるファイル名や識別子が付されて保存される。
【0033】
また、セカンドオピニオン取得手段130は、医師Zからのセカンドオピニオンの取得に代えてまたは加えて、オンライン通話のよる説明を実現するための構成として、以下の構成を備えてもよい。
【0034】
すなわち、セカンドオピニオン取得手段130は、説明日時決定手段131と、患者招待手段132と、セカンド医師招待手段133と、同席家族招待手段134とを備える。
【0035】
説明日時決定手段131は、オンライン同席する関係者のスケジュールを調整する手段であって、例えば、医師Zによるセカンドオピニオンの説明に際して、(セカンド医師データベース150に登録された医師Zの登録情報または診療支援システム100のスケジュールを考慮した)説明日時の候補日時をカレンダーから抽出し、抽出した日時について、患者Yおよびその家族Wの可否に基づいて説明日時を最終決定する。
【0036】
なお、患者Yおよびその家族Wの可否は、説明日時決定手段131により、説明日時の候補日時を、患者Yおよび同席家族データベース160に登録された患者Yの家族Wに通知し、その回答である候補日時の可否(〇,×)を受け付けることにより実行される。
患者招待手段132は、説明日時決定手段131により決定された説明日時に、患者Yを招待してオンライン通話を確立して、オンライン同席を実現する。
【0037】
セカンド医師招待手段133は、説明日時決定手段131により決定された説明日時に、医師Zを招待してオンライン通話を確立して、オンライン同席を実現する。
【0038】
同席家族招待手段134は、説明日時決定手段131により決定された説明日時に、家族Wを招待してオンライン通話を確立して、オンライン同席を実現する。
【0039】
患者データベース140は、患者Yの診療情報をはじめとする患者Yの医療情報、生体情報のほか、住所、氏名などの個人情報を記憶保持する。
【0040】
セカンド医師データベース150は、医師Zに関する情報(連絡先・オンラインでの接続方法・診療科・専門分野・執筆論文・経歴・対応可能曜日時間帯のほか、担当患者など)を記憶保持する。
【0041】
同席家族データベース160は、同席する家族に関する情報(連絡先・オンラインでの接続方法・患者Yとの関係など)を記憶保持する。
【0042】
以上が本実施形態の診療支援システム100の構成である。なお、以上の構成において、診療支援システム100の各処理部および処理手段110~150は、それぞれ例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、後述する各種処理を実行するプログラムをメモリ(不図示)に記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、各種処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。
【0043】
次に、本実施形態における診療支援システムの処理内容を説明する。
【0044】
まず、診療支援システム100は、図中(A)で示すように、説明記録手段110を介して主治医である医師Xの患者Yへの診療方針の説明内容をカメラ10を介して録音・録画する。
【0045】
次に、診療支援システム100は、図中(B)で示すように、セカンドオピニオン取得手段130は、診療情報記憶手段120により予め取捨選択された患者Yの診療情報と共に、録音・録画の記録データを、医師Zに展開する。
【0046】
これに対して、図中(C)で示すように、セカンドオピニオン取得手段130は、医師Zから、医師Xの診療方針の解説を含めたセカンドオピニオンである説明を取得し、さらに、図中(D)に示すように、取得した説明(セカンドオピニオン)を患者Yおよびその家族Wに展開する。
【0047】
以上が診療支援システム100の基本処理内容であり、説明(セカンドオピニオン)は、例えば主治医からの説明を解説すると共に、診療方針についての補助的な意見となるため、患者や家族の理解を十分に助けるものである。
【0048】
かかる支援システムにおいて、セカンドオピニオン取得手段130は、医師Zからの説明の取得に代えてまたは加えて、医師Zから患者Yへの説明をオンライン通話により実現してもよい。
【0049】
この場合、医師Zとのオンライン通話に際して、説明日時決定手段131が説明日時の調整を行い、決定された説明日時に、患者招待手段132とセカンド医師招待手段133と同席家族招待手段134とがそれぞれ患者Yと医師Zと家族Wをオンライン通話に招待して、実際に、オンライン通話による説明(セカンドオピニオンの取得)を実現する。
【0050】
これにより、実際に、オンライン通話を通して、患者Yや家族Wが医師Xの診療方針を医師Zを介して十二分に理解することができる。
【0051】
なお、本実施形態において、第1の医療関係者が例えば主治医である医師Xであり、第2の医療関係者がセカンドオピニオンを出せる医師Zである場合について説明したが、それぞれ医師に限定されるものではなく、看護師や臨床工学技士や理学療法士などの医療従事者や学者や弁護士などの専門家であってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、セカンドオピニオン取得手段130を介して、医師Xからの説明記録データおよび患者Yの診療情報を予め医師Zに提供しているが、これに代えて医師Xから患者Yへの診療方針の説明に際して、医師Zをオンライン通話によりリアルタイムに同席させてもよい。その際に、患者Yもオンライン通話により説明(医師Xから患者Yへの診療方針の説明および医師Zから患者Yへの説明)を受けてもよく、さらに患者Yの家族Wをオンライン通話により同席させてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態におけるオンライン通話の実現方法については、任意の方法が採用され得る。例えば、WEB会議やテレビ会議システムへの接続URLが記載された招待メールの送信のほか、直接、医師Xや医師Zの端末(PCやタブレット)や家族Wの端末(PCやタブレット)を呼び出す形で実現してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10,30…カメラ、100…診療支援システム、110…説明記憶手段、120…診療情報記憶手段、130…セカンドオピニオン取得手段、131…説明日時決定手段、132…患者招待手段、133…セカンド医師招待手段、134…同席家族招待手段、140…患者データベース、150…セカンド医師データベース、160…同席家族データベース、X…医師(第1の医療関係者)、Y…患者、Z…医師(第2の医療関係者)、W…家族。
図1